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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和4年11月22日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和4年11月22日(火)13:30~15:52
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.株式会社脱炭素化支援機構の設立状況について

    質疑・応答

  • 3.令和5年度財政投融資計画の編成上の論点

    官民ファンド

    質疑・応答

  • 4.

配付資料

資料1

株式会社脱炭素化支援機構の設立状況について

資料2-1

説明資料官民ファンド(財務省資料)

資料2-1

(参考資料)官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会
(令和4年10月20日開催)資料一部抜粋

資料2-2

中間整理の検討結果等について
(経済産業省株式会社海外需要開拓支援機構)

資料2-3

投資計画等の進捗状況
(国土交通省株式会社海外交通・都市開発事業支援機構)

資料2-4

投資計画等の進捗状況
(総務省株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構)

資料2-5

投資計画等の進捗状況
(農林水産省株式会社農林漁業成長産業化支援機構)

出席者

分科会長

百合

齋藤理財局長

彦谷理財局次長

柴田総務課長

原田財政投融資総括課長

奥村資金企画室長

原山財政投融資企画官

丸山管理課長

佐野計画官

大江計画官

土居丈朗

野村浩子

渡部賢一

渡辺

臨時委員

冨田俊基

中里

林田晃雄

喜美枝

専門委員

川村雄介

工藤禎子


13時30分開会

〔翁分科会長〕それでは、予定の時間となりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。

本日は、株式会社脱炭素化支援機構の設立状況及び令和5年度財政投融資計画の編成上の論点についてご審議いただきます。

なお、時間が限られておりますので、ご質問などは、できるだけ簡潔にお願いいたします。また、会場にいらっしゃる皆様方は、ご発言の際、マイクにできるだけ近づいていただいた上で、お差し支えなければマスクを外してご発言いただければと思います。

まず、議事に先立ちまして、先般、書面によりご審議いただきました令和4年度財政投融資計画補正等については、原案のとおり了承となりましたので、ご報告いたします。

それでは、株式会社脱炭素化支援機構の設立状況について、ご審議いただきます。脱炭素化支援機構より、まず、ご説明をお願いいたします。

〔環境省白石大臣官房地域脱炭素推進審議官〕私、環境省の地域脱炭素推進審議官の白石と申します。まず、冒頭のご説明は環境省から簡単に申し上げ、本日同席いただいております脱炭素化支援機構の田吉社長も含めて、質疑の対応をさせていただきます。

まず、資料に入る前に、簡単に経緯を申し上げます。1年前に当分科会におきまして、新しい脱炭素化の支援の枠組みにつきまして、ご説明を申し上げ、その後、地球温暖化対策法の改正という形で5月25日に改正法案の成立をみております。7月に法の施行を受けまして、8月に発起人会の開催を行いまして、9月に設立の認可を行っております。

1ページおめくりください。

そういうことでございまして、10月28日でございますが、株式会社脱炭素化支援機構の創立総会が開催されてございます。民間株主82社中79社、環境省を含む関係省庁から計153人が出席して、創立してございます。

次のページをご覧ください。この機構の設立目的を改めて申し上げます。国の財政投融資からの出資、それから民間の出資、総計204億円を原資としまして、ファンド事業を行う株式会社でございます。カーボンニュートラルの実現に向けまして、呼び水として脱炭素に資する多様な事業への投融資を行い、脱炭素に必要な資金の流れを太く、速くして、経済社会の発展、地方創生、知見の集積、人材育成、こういったものに貢献をしていくということでございます。

下に田吉社長のスピーチの骨子を書いてございます。時間の制約がございますので、割愛いたします。

次のページをご覧ください。法律の概要でございます。リマインドになりますが、このファンドはそもそも前身となる事業がございまして、従前、令和3年度までは、エネ特予算48億円を使いまして、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構を経由して、地域再エネの発電施設に対するファンドとして活動してございましたが、今年の10月をもちまして、脱炭素化支援機構という枠組みに切替えを図ってございます。投資分野も多様になりまして、民間からの出資を受けて、新しく株式会社として運営をするということでございます。

なお、この切替えに伴いまして、グリーンファイナンス推進機構は今後、新規の出資決定は行わないということでございます。

次のページをご覧ください。基本スキームは官民ファンドの一般的なひな形と同じでございますが、脱炭素化に資する事業に対してエクイティ・メザニン等のリスクマネー供給を行いまして、民間の巨額のESG資金を脱炭素投資に振り向ける呼び水となることを目指してございます。

現年度、令和4年度の国からの最大出資額は200億円でございます。既に設立時に102億円、出資いただいていますので、残り100億円弱ということでございます。令和5年度は400億を要求してございます。

次のページをご覧ください。民間出資企業の一覧でございます。82社から102億円の出資をいただいています。設立時の発起人は日本政策投資銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行の4行にお願いしてございます。その他、多種多様な地方銀行、それから事業会社にも25社、趣旨に賛同いただきまして、出資をいただいているということでございます。

6ページ目をご覧ください。設立時の組織体制でございます。事業推進一部と二部に分けまして、大企業案件を一部、中小企業案件・地域密着案件を第二部が行う、それから出資案件についてはプロジェクト管理部が行うという組織体制になってございます。

次のページをご覧ください。設立に伴いまして、取締役・監査役を任命してございます。詳細は参考資料にプロフィール等がついてございますので、説明は割愛いたします。

説明は以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、ただいまの説明を踏まえまして、委員の皆様からご質問やご意見などございましたらお願いいたします。オンラインでご出席の委員の皆様は、ご発言の際、チャット欄にその旨を書き込んでいただければと思います。チャットがうまくいかない場合は、挙手ボタンでお示しください。確認しまして、ご指名いたしますので、そのままお待ちください。ご発言の際に資料を引用される場合には、資料番号と該当ページをおっしゃってください。

それでは、林田委員、川村委員、渡部委員、冨田委員の順でお願いいたします。

〔林田委員〕ご説明ありがとうございました。

1つだけ、確認のためにお伺いします。資料の4ページ目、この機構の活動の時期、いつまで活動するかという問題ですが、普通は、10年とか20年とか決まっていることが多いと思うのですが、期限のないところもありますが、この機構の場合は2050年カーボンニュートラルの実現までという、要するに2050年ということなのか、カーボンニュートラルの実現というタスクが達成されるまでということなのか。

実際、カーボンニュートラルが実現できるかどうかということすら、ウクライナ侵攻をめぐるエネルギー問題などで危ぶまれている中で、どういう歯止めが法律的にかかっているのか、一応、お聞きしておきたいです。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

後でまとめてお答えいただければと思います。

川村委員、お願いします。

〔川村委員〕ご説明どうもありがとうございました。この趣旨、政策は大変理解できますし、重要なことだと思います。その中で1つだけ、4ページでも、あるいは3ページでもいいのですが、気になりますのは、これは非常に民間からの出資者が82社ですか、大変数が多いわけであります。そういう中で、やはりこれは官民で、ほかの官民ファンドでも私も感じるのですが、ほとんどガバナンスが所管官庁と財務省のラインになってしまって、民間が出資しても、ほとんど年に1回、総会に形だけ出るみたいです。実質というか、奉加帳方式になってしまっているケースが非常に多いのが気になっているところです。そういう中で、民間の賛同者が多いのは大変結構ですが、民間株主のガバナンスをどのように反映させていけるのかということについて、ご教示いただければと思います。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、渡部委員、お願いいたします。

〔渡部委員〕簡潔に質問です。5ページですか、オールジャパンで民間出資、民間企業からの出資を仰いだとのこと。いわゆる、奉加帳を回された訳です。

その際に、セールストークというのですか、出資をすれば、特に事業会社さん、こんないいことがありますよとか、どういう、平たく言えばセールストークを使われたのでしょうか。

換言すれば、どこでもいいのですが、鉄鋼会社さんなんかも出されていますが、彼らが社内で、執行の役員会や取締役会、あるいは株主総会でどういう説明ができるのかをお聞きしたいという1点でございます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、冨田委員、お願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。

まず、前身のエネ特出資のグリーンファイナンス推進機構ですが、設立から10年近くなりますが、ポートフォリオとして、地域再エネの発電施設ですが、太陽光発電とバイオマス事業、それぞれどれぐらいの資産を持っておられ、それらの株式を順次処分した上で、解散・廃止ということですが、どれぐらいの期間をかけて処分なさるのか。累損の可能性等はあるのかということを、まずお聞きしたいと思います。

また、このグリーンファイナンス推進機構は、グリーンボンドに補助金を出してきたわけですが、その累計額とグリーンボンドの残高をお聞きしたい。つまり、金利換算でどの程度利差補給を行ってきたのかということです。

それから、新設の脱炭素化支援機構でありますが、投資対象は、エネルギー起源CO削減事業の大規模化に加えまして、廃棄物焼却CO削減が対象とされるということですが、後者の分野、重要性は分かるのですが、これらは、リサイクルの促進などによりますごみの排出量の減少とか、廃棄物処理施設の広域化・集約化で、ガス排出量自体は減ってきており、今後も減少していくと思われます。このため、機構によります出捐者の大きな拡大は見込みにくいのではないかという気がいたします。機構は、具体的に本年度200億円の出資を呼び水に、どの程度の事業規模を見込んでおられるのか。また、機構によります向こう10年間の投資規模、それによって誘発されると見込まれる民間投資などの計画をお教えいただきたい。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、今までの委員の質問や、意見につきまして、ご回答をお願いできればと思います。

〔環境省白石大臣官房地域脱炭素推進審議官〕まず、環境省から、設立の、例えば法的な話だとか、設立の経緯に関わること、出資者への営業活動、こちらのことに関しては私からご説明して、それ以後の数字的な話、あるいはグリーンファイナンス推進機構に関することは田吉社長からご説明を申し上げます。

まず、林田先生からいただきました機構の活動の期限でございますが、これは法律的に2050年度までになってございます。非常にロングタームで設置する法律的な立てつけになってございます。もちろん適宜適切にフォローアップとか評価を行いながらということでございますが、あくまでも設置の目的は、2050年のカーボンニュートラルを目指して活動を続けるということになってございます。

次、川村先生からいただきました民間のガバナンス、民間の株主からの出資者が多いのではないか、ガバナンスが果たしてどうなっているのかということでございます。

我々非常に、奉加帳というとあれですが、出資を広く、業界にかかわらず、環境省は所管の業界はほとんど持っておりませんので、逆に言うと、他省庁の所管事業を含めて非常に幅広く声をかけてございます。脱炭素化に意欲的な多くの民間企業と連携をしながらオールジャパンで取り組むという方針がありますので、幅広い業種業態の民間企業、民間金融機関に声かけを行って、結果的に多くの企業に株主になってもらっています。

この株主との適切なガバナンス体制を構築するために、株主の権利・平等性、こういった確保を原則といたしまして、特定の株主だけではなく、多くの株主のニーズを可能な限りくみ上げることを目的として、株主とのネットワークの場を早期に立ち上げまして、必要な情報を幅広に共有していきたいと考えてございます。我々、株主が多いということは、むしろ環境省としてもメリットだと考えてございます。いわゆるソーシングに関しても、株主とのコミュニケーションの中から情報が得られる部分があるのではないかという考え方でございます。株主が多いというメリットを最大限生かしまして、株主と連携しながら、全国各地で幅広い業種・業態の脱炭素事業への投資案件の組成、こういったものに取り組んでいくということでございます。

渡部先生からも、趣旨は同じでございます。奉加帳という見方も、確かに金融機関の場合かなり多いものですから、そういう見方もできるかもしれませんが、あくまでも、強制もしておりませんし、趣旨にご賛同いただけるところにご賛同いただいているということでございます。セールストークとしていろいろ、我々も、当然ただでお金がもらえるとは思っておりません。アピールしたのが何点かございますが、1つ、脱炭素化支援機構に投資いただくということ自身が、ある種の脱炭素化投資の1つであるということが、一つございます。

それから、当然、呼び水としての事例をつくるということで、環境省としても、機構と株主との間のコミュニケーションを円滑にすることによりまして、逆に言うと、機構の活動、それから環境省が考える脱炭素化投資の現状、こういったものを株主の皆さんには適時適切に情報を提供するということを、ある程度お約束しながら、お金をいただいているということでございます。株主の皆さんは、逆に言うと、そういう投資の事例、こういったものを、当然、株主平等の原則の下ではございますが、自分の営業の参考にするというメリットを感じていただけるということではないかと考えてございます。

それから、我々としてもいろいろな投資案件のソーシングにも、当然、いろいろな企業さんの判断だとか意見だとか、そういうこともいただきながら考える。そういう双方向のメリットをある程度訴えながら、株主をお願いしたということが経緯でございます。

あと、グリーンファイナンス推進機構のポートフォリオの件は、田吉さんにお願いします。

それから、投資対象として廃棄物処理という話が冨田先生からございました。まだまだ日本の廃棄物処理、環境省は、ごみの処理は焼却処理ということで、ずっとやってきたわけですが、昨今、やはりCO排出を削減するという観点から、当然、焼却が一番手っ取り早いわけですが、焼却以外の方法という可能性が、いろいろな分野で芽生えてきている。かつ、プラスチックのように、それが環境中に放出された場合、非常に問題になるものがあって、これも焼却をするよりもマテリアルリサイクルであるとかケミカルリサイクル、こういった手法でリサイクルをするやり方のほうが、CO排出が少なくなるということがございます。残念ながらまだプラスチックなどにおきましても、焼却処理が多い現状でございますので、ここを如何にCO排出の少ないやり方で処理していくのかは大きな課題だと思っています。生ごみ等に関しても、単に水気を含んだ生ごみを焼却するのではなくて、これをバイオガス化するとか、いろいろなやり方があって、そこにもかなりCO排出削減の余地があるだろうということで、そこは大きな投資機会があると我々としては考えてございます。

残りは、田吉社長からお願いします。

〔脱炭素化支援機構田吉代表取締役〕脱炭素化支援機構の田吉でございます。よろしくお願いいたします。

ご質問のありましたグリーンファイナンスの話でございますが、手元に細かい数字を持ち合わせておりませんので、記憶の限りでお答えさせていただきまして、お答えできない部分は後ほど、別途、お知らせするようにしたいと思います。

グリーンファイナンスで足元、約150億円ぐらいの出資コミットを持っております。件数としては30件ぐらいございます。こちらについて今後、処分したり、あるいは回収したりということではございますが、投融資の形態、投資の形態が株式もありますし、劣後債といったデットに近い形のものもございますので、形態に応じて、期限があるものは期限を迎えて回収する、そうでないものについては、適切なタイミングで回収するということになってまいります。ただ、インフラも非常に、投資回収期間が長いという特徴がありますので、今具体的に、いつまでとお答えはできないのですが、数年で売って回収してしまうような形はなかなか難しいのかと考えております。

いずれにしましても、三十数件ありますので、個別の事業者と相談しながら、そこにつきましては適切に回収していきたいと考えております。

あと、グリーンボンドの件についてご質問があったのですが、こちらにつきましては環境省さんの補助事業及び委託事業ということで取り組んでおるわけですが、場合によっては情報も含めて、先ほどの投資のほうと利益相反その他いろいろなことが起きる可能性がございますので、中で情報についてウォールを引いてございます。

私、グリーンファイナンスではそちらの担当はしていなかったものですから、そちらの数字について今、手元にも頭にも入っていない状況でございますので、申し訳ございませんが、そこにつきましては改めてお知らせしたいと思います。

最後に、脱炭素化支援機構の今後についてということで、廃棄物の話は今、白石審議官からお話ありましたが、付け加えて申し上げますが、環境省さんも随分長い間いろいろ情報収集とかもしていただきまして、先月末の時点で400件以上のご相談をいただいていまして、ある程度、その中でも多少は具体性があるかというのが半分、200件弱ぐらいはございます。その中には、やはりバイオマス関係、廃棄物関係のものも非常に多くございます。先ほど白石審議官がおっしゃられましたようなプラスチックの話もありますし、あと、SAFなどに代表されるようなバイオ燃料みたいな話も非常に多ございます。ですので、それも含めまして、投資対象としてやっていけると思っておりますし、さらに、さっき申し上げたように相談件数で非常に、それぐらい多くて、さらに、実は創立以降、毎日数件という単位で問合せが入っているような、そんな状況でございまして、もちろん玉石混交で、それが確率的には全部できるような高い確率ではありませんが、今、その辺の入ってきている相談案件等々を精査している状況でございます。

もちろん政策的な目的もございますし、脱炭素化支援機構として収支をきちんと回していかなければいけないといったところもございますので、そういった情報と、実際の目的等々を踏まえまして、今、どういったタイミングで、どういった形で収支を回していくかということについて精査中でございます。

ですので、最後のご質問も、いつまでに幾らということでご質問いただいたのですが、今精査中ということでございますので、そこはご勘弁願いたいと思います。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕今年度の出資に対して、投資額の見込みと事業規模、その見込みがまだ、お聞きできなかったのですが、それと、10年間の投資規模については、これから精査するというお答えだったように思うのですが、結局、お話を伺っていると、カーボンゼロに向けて、廃棄物処理だって、当然、将来的には事業規模を縮小していくわけですよね。だから非常に前倒し的に、投資規模が大きくなるのではないかと思って、私、10年間の民間投資、誘発されるものの民間投資の規模をお聞きしたということですが、その点よろしくお願いいたします。

〔翁分科会長〕よろしくお願いします。

〔脱炭素化支援機構田吉代表取締役〕こちらにつきましては、今、政府でも議論されておりますように、廃棄物だけではなくて、様々な分野での投資が必要ということで、10年間で官民で150兆円ぐらいの投資が必要だということで、GX債の議論を含めていろいろな議論がなされておるわけでございまして、その中で、私どもが担っていくことになるかと思います。恐らく、技術開発の進展に伴いまして、この10年間におきましても、数年後とか、数年単位でいろいろな投資対象も変わってくると思います。今まさしく実証とかやっているものが、例えば10年20年たって、さらに実用化になったときに、我々の投資対象になってくる。そういうこともあると思いますので、投資対象が今後、縮小するのか大きくなるのか、いろいろ議論があるかと思いますが、そういった形で、10年間で150兆円、さらにカーボンニュートラルが400兆円という議論がありますので、それを踏まえてやるということではございます。

ですので、10年間ということでどうかというと、今精査中でございますので、繰り返しなりますが、具体的な数字は申し上げる状況にないということでご了承願いたいと思います。

以上でございます。

〔翁分科会長〕土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕ご説明、どうもありがとうございました。今の冨田委員のご発言に関して、私も似たような懸念は持っているのですが、こういう投資案件に関して言うと、どちらかというとトランジションファイナンスというか、脱炭素に向けて、今、化石燃料で一時的に回しているものをやめる。だが、新技術に至るまでには少し、いろいろなイノベーションなり追加的な措置が必要なのだが、一旦、できるだけCO排出量を少ないものに、一時的に取り替えるというようなタイプのトランジションのものは確かにある。ただ、そうしたものが、カーボンニュートラルが実現してもなおまだ収益が上がってくるなどということは考えにくいということかと思います。

ですから、そういうトランジションのものについては、できるだけ短く投資して、収益回収を早めにするということ、これは釈迦に説法かもしれませんが。その代わり、純粋に脱炭素技術といいましょうか、脱炭素が実現した施設なりは、引き続き2050年以降もそれを使い続けるということで、まさにCOを排出しない仕組みで、いろいろなビジネスを展開するということになれば、それはそれとして収益が上がってくるということが、それなりの長い期間収益が上がってくることが期待できるということなのではないかと思いますので、それをうまくミックスして、投資をしていただくことが大事なことなのかと思います。

私はコメントです。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

何かコメントございますか。

〔脱炭素化支援機構田吉代表取締役〕今の土居先生のお話はおっしゃるとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、いろいろなパターンのご相談が来ておるのですが、それぞれについて、やはり、投資のメジャーがいろいろ違いますので、それも含めて現在どういうポートフォリオ構成でやるのが一番望ましいのかという議論を進めておりますので、今のお話に沿って進めたいと思います。ありがとうございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、この辺りで質疑を終了したいと思います。脱炭素化支援機構におきましては、しっかりと取り組んでいただきまして、実績をしっかり上げていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、ご退席いただければと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

((株)脱炭素化支援機構退席)

(CJ、JOIN、JICT、A-FIVE着席)

〔翁分科会長〕それでは、次に、官民ファンドについてご審議いただきます。

まず、官民ファンドに係る論点について、原山企画官からご説明いただいた後、投資計画に対する進捗状況などにつきまして、各ファンドのご担当の方より順にご報告をいただきます。委員の皆様からのご意見、ご質問については、全ての説明終了後にご対応いたします。

それでは、原山企画官からご説明をお願いいたします。

〔原山財政投融資企画官〕企画官の原山です。よろしくお願いいたします。

それでは、資料2-1をお願いします。

2ページ目をお願いします。論点の関係です。官民ファンドについては、これまでも改革工程表に基づく確認をしていただいていますが、今回は、今年の9月末時点における進捗状況を確認事項として考えております。また、今後の投資方針及び対応について、前回6月の分科会以降の具体的な取組なども確認事項として考えております。

次に、5ページ目をお願いします。今年9月末時点での投資額の進捗状況です。CJとJOINについては目標達成、JICTについては目標未達となっています。

6ページ目をお願いします。前回の6月の分科会以降の具体的な取組などについて、各ファンドに確認すべき主な事項です。

まず、CJです。CJについては、これまでの分科会で、官民ファンドという仕組みでこのまま続けてもいいのかといったご指摘や、政策性と収益性の重複領域、ストライクゾーンはそもそもあるのかといったご指摘など、様々なご意見が出されておりました。CJについては、今回、組織の在り方を含めての抜本的な見直しの検討が行われたわけですが、その内容は適切かつ十分と評価できるか、これまでの延長線ではない抜本的な見直しといえるか、こういったことなどを確認事項として考えております。

次に、JOINについては、収益力の強化に向けた案件組成の状況、今後の見通しなどを確認事項として考えています。

7ページ目をお願いします。JICTについては、改善計画の達成に向けて、案件組成の状況や見通しなどを確認事項として考えています。

A-FIVEについては、コロナ・円安・ウクライナ情勢といった影響も踏まえた、既存案件の状況や見通しを確認事項として考えています。

次に、各ファンド共通の話として、ファンド間の連携・協調についても確認事項として挙げています。

8ページ目をお願いします。CJとJICTの今後についての考え方です。

CJについては、今回、抜本的な見直しの検討が行われたわけですが、組織形態が維持される場合でも、見直しによる成果が上がらないときには、CJ及び経済産業省は、他の機関との統合又は廃止を前提に、具体的な道筋を検討する。JICTについては、令和5年3月期において、仮に達成が図られなければ、JICT及び総務省は、速やかに組織の在り方も含め抜本的な見直しを行う。こういった方向性としては、どうかと考えております。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、クールジャパン機構からご説明をお願いいたします。

〔経済産業省商務・サービスグループ茂木商務・サービス審議官〕それでは、資料2-2に基づいてご説明を申し上げます。

まず、資料2-2の説明に入る前に、冒頭、6月の抜本見直しに係る中間整理案の検討結果をこれからご報告しますが、6月の本分科会でご指摘いただきました、クールジャパン分野におけるリスクマネーの供給支援というのがなじむのかどうか。あるいは機構の位置づけや在り方も含めた見直しをすべきではないか。また、清算価値も含めて、そうした価値をきちんと評価しながら進めるべきではないかといったご指摘がございましたので、この点について最初に申し述べたいと存じます。

まず、機構の位置づけや、政策パッケージとしての有効性については、経産省としても改めてクールジャパン政策の意義と、過去の投資案件の全ての検証を行った上で、見直しを進めてまいりました。

クールジャパンは日本の生活文化の特色を生かした魅力、これは例えばコンテンツであったり衣食住であったり先端テックであったり、あるいは伝統芸能や技術であったり、レジャーであったり、地域産品だったりしますが、こうした価値を事業化して、海外に拡大する。そして、拡大しゆくBtoC市場にしっかりと展開していく。そうしたクールジャパン政策の重要性については、引き続き重要であると考えています。

また、こうした生活文化関連市場におけるジャパンブランドの浸透は、それ以外の業種の海外展開への寄与や訪日外国人旅行者の増加といった、国内の関連産業への波及効果を生み出すものであることからも、我が国にとってもこうした海外需要獲得が必要であるということは論をまたないと考えています。

支援手法として、融資や補助金などもございますが、事業の特性に応じた政策をしっかりと取っていく必要があると考えています。

今申し述べたような生活文化関連分野の海外需要の獲得には、通常5年から7年といった中長期のリスクマネーを要するということがございます。加えまして、現地の商慣行や法規制等の知見や、現地からの信用力を持ちながら、現地事業者と円滑に交渉できる事業パートナー、こうしたものを要することなど中長期のリスクテイクとローカルネットワークの提供等が求められてまいります。

さらには、各地方の伝統や匠の技ですとか、あるいは地方の中小企業が提供するもの、あるいはスタートアップ、こうした産業あるいは事業者が展開する商品・サービスが多くございますので、一般的にはなかなか海外に打って出るには資本力が不足している事業者も多いと考えています。従いまして、こうしたエクイティによる支援という、リスクマネー供給をすることに加えて、民間の投資を呼び水にしながら、効果を引き出しながらハンズオンで支援をするという海外需要開拓支援機構の役割は引き続き重要であると考えています。

資料の15ページは後ほどご覧いただきたいと思いますが、ご参考までに、エキスパートからのコメントもございます。このような事業者が必要とする各種支援を行いながら、事業者の海外進出を後押しできる国内の民間ファンド、これは必ずしも十分に存在しているわけではないということでございまして、官民ファンドとして機構が担う役割は、引き続き重要であるという指摘をいただいておるところであります。

また、清算価値についてのご指摘がございました。2021年度末に清算したと仮定した場合の評価額ですが、あえて計算しますと、全ての保有株式が簿価で売却できる場合を想定すると、出資金が1,173億円、累積損失が309億円ですので、これを差し引いた864億円が現時点での評価の目安となります。投資案件は現在、各々のEXITに向けて事業活動中や成長途上でございますので、現時点での売却では必ずしも産投資金を含む出資金の回収はできない可能性もあります。

一方、今回の抜本見直しを踏まえまして、既存案件については、現在の事業進捗等に基づき保守的に見直した想定リターンを着実に確保して、政策性及び収益性を確保した質の高い新規投資を進めることで、ファンドの終期の2033年度においては、今後の必要経費を考慮してもなお、出資金を上回るリターンを達成できると見込んでおります。この点は後ほど説明させていただきます。

それでは、資料の説明に入りますが、まず最初に、今回の抜本見直しで、収益性を確保しながら政策的な必要性を追求していく体制を構築するために、大きく3つのガバナンスの強化の取組を進めております。1つ目は組織経営、2つ目は案件の管理、3つ目は投資の判断というガバナンスの強化策について検討を行って、実行に移してまいりました。

まず、この3つのガバナンス強化に関する検討結果をご説明した上で、その後、抜本見直し等によって既に現われつつあるパイプラインの変化、それからこれらを踏まえたJカーブの再設定についてご説明申し上げます。

こちらの資料の、まず2ページ目をご覧ください。海外需要開拓支援機構が今後パフォーマンスを高めていくためには、組織内の競争環境を整備して、投資回収まで着実に実行していくことが重要になります。

まず、下のほうをご覧いただきたいのですが、このために優秀な人がより評価され、より案件へのコミットメントを高めるための組織改革を進めます。具体的には、メリハリのある人事考課制度を導入して、賞与体系の傾斜を強化しました。

そして上側でございますが、さらに今後は、投資担当者の投資案件に対する自己投資を促す仕組みを導入し、特に、投資責任者たる一定クラス以上には、より強力な強化をするなど、強力なインセンティブの設計を導入していきます。これによって組織の新陳代謝を進めてまいりたいと考えています。

続いて3ページ目をご覧ください。機構は設置法において、経営に関する監督機能を担う取締役が投資決定を行う海外需要開拓委員も務めることとされているため、投資ガバナンスと経営ガバナンスの境界が曖昧でございまして、偏った議論が行われる傾向がございました。今回、取締役として求める役割、投資決定を行う委員として求める役割をそれぞれ明確化するジョブディスクリプションを策定しまして、運用を開始したところでございます。これによって議論の偏りを回避しまして、経営及び投資に関するガバナンスを各々強化してまいりたいと考えています。

それから、4ページ目をご覧ください。案件管理のガバナンス強化でございます。既存投資案件に対するモニタリング及びポートフォリオの管理の強化を行ってまいりました。

まず、モニタリング会議の頻度を増加するということです。これは現在、四半期ごとに行われているものを毎月行うことにいたしております。また、適時適切に必要な対応を実施できる体制を構築して、事業の見通しが立たない案件については、早期のEXIT交渉を行ってまいります。実際に幾つかの案件でEXIT交渉を開始しているところでございます。

参考までに、参考資料の10ページをご覧いただきたいと思います。少し話がそれますが、こちらをご覧いただきたいと思います。

CJ機構は、多種多様な業務を支援対象としておりまして、政策的意義についても、11ページにありますとおり、4,795社の機構の投資先企業のサービスを活用するなど、民間企業の海外需要開拓に貢献してきております。

収益性については、累積損失が計画を52億円下回ったことで、今回の見直しの議論も行っているところでありますが、内訳は次の12ページのとおりです。

これが、現在の309億円の内訳となりますが、半分が設立時からのファンドの運営経費の累積となります。残り半分がEXITなどに伴う投資損益と、未実現損失の先行計上となっているという構造でございます。

まず、上の運営経費でございますが、こちらについては、組織内の見直しをやりながらコスト削減に努めているところです。例えばデューデリジェンスを一部内製化することで低コストにしながら内容を充実させたり、例えばオフィスの面積を大幅に縮小しまして、家賃を昨年6月から4割削減するという取組も今進めてきたところでございます。

一方で、既にEXITした案件で60億円の損失が出ておりますが、これは収益の形で出てこなかったものの、そこから波及的に政策効果も生み出してきております。例えばパリに構える展示会商談施設、商談拠点を活用して、伝統的な工芸品産業の振興協会や経産局、中小機構などとの連携の下で、全国の地域産品の常設展示等を実施した案件でございますが、こうした展示会の参加企業のうち約500社が継続的に欧州でビジネスを行っているなど、事業そのものは必ずしもプロフィットが出ませんでしたが、地域産品事業者の欧州展開に貢献してまいりました。

5ページにお戻りいただいてもよろしいでしょうか。恐縮です。資料があちこち飛んで申し訳ありません。

次に、投資判断のガバナンス強化という視点でございます。中間整理で提示させていただきました内容を確実に実行していくため、投資判断のガバナンス強化として、案件発掘から支援、EXITまで効果的にサポート可能な組織形態に、機構の体制をリストラクチャリングいたしました。

具体的には、今年の6月に、産総研と連携協定を結びました。これは先端テクノロジー領域も出てまいりますので、こうした領域も踏まえた投資を行える体制を構築するということです。8月には社長直轄の支援部隊の設置、ミドルオフィスの設置、投資チームへの監督・牽制機能の強化、さらには法務チームを増員して、投資業務に専属化させて、より一層複雑化する海外投資リスクへの対応強化をしたところでございます。

その上で、パイプラインがどう変わってきたかということです。次の6ページでございます。昨年6月に現行の経営体制に移りましてから、これまでの投資案件についても、政策性、収益性の両面から振り返りを行ってきました。その評価を踏まえまして、戦略の見直しも行ってきています。大きな方向性としては、海外現地に根差した活動基盤のある事業、こうした事業との連携を深めていくということ。さらには、政策性と収益性のある案件のソーシングと政策資源を有効に活用した事業展開支援をしていくということ。例えば経産省が持っている様々なネットワークをフルに活用して連携をしていくということでございます。それから3つ目は、先端テクノロジー領域も含めたより分散的なポートフォリオを設計していくということでございます。

例えば、このパイプラインの量について、ここに数字を載せておりますが、年平均で案件発掘件数は、前の体制に比べまして約2倍の数を確保しながら、質としても、例えば経産省のネットワークに紐づく案件は約4倍に増えています。先端テクノロジー領域の案件もこの1年で急増しているなど、これまでよりも数多くのパイプラインの中から質の高い案件を選ぶことができる土壌が出来始めているということをご確認いただければ幸いです。

次、7ページをご覧ください。1つの例としてご紹介をします。これは具体例として、今年の10月に支援決定をしたDAIZ社の例でございます。これは落合式ハイプレッシャー法という特殊な手法によって、大豆に栄養価とうま味と香りなどを発生させる技術でございまして、こうした技術を使ったミラクルミート、食用肉を販売する事業であります。こうした海外展開を行う事業にも支援を始めました。

また、資料には記載ございませんが、今年の9月に支援決定を公表したWineGalleryPtyという会社がございます。これはもともとオーストラリアやイギリスの消費者向けのDtoCのワインの販売、流通網を持つ事業者ですが、この既存の流通チャネルに対して投資を行うことで、日本酒をのせて、現地需要の獲得を目指す。こうしたチャネルへの投資も強化しているところであります。

その上で、8ページをご覧ください。今回の抜本見直しの検討結果も踏まえまして、最低限達成すべき投資計画として、修正後の計画を策定しました。これまでの出資件数は56件ですが、EXITは13件、うち4件はプラス、9件マイナスでEXITしておりまして、減損損失等を計上した案件は、EXIT済みを含めて15件となります。こうした投資実績もあって、当初計画よりも下振れしてきているのが現状でございます。

今回策定する修正後の計画においては、長引くコロナの影響ですとか、国内外の株式市場の不調といった不確実性が強い状況の中ではございますが、こうした状況は当面継続するという保守的な見込みに基づいて修正後の計画を策定しています。

既存案件の想定回収額の見直しも行いまして、想定EXIT時期の後ろ倒しも行っています。

それから、足元の実績に合わせまして、投資額あるいは販管費の削減も行います。

それから2024年度に、その結果として底を打って、25年度以降、回収局面に入った場合には、本格的な新規投資を2028年度まで再開いたしますが、昨年5月に策定した、この前の改善計画で予定していた金額以内で新規投資を行う、それ以上の追加はしない。こうしたことを考慮した修正後の計画になっております。

この結果として、2024年度に累積損益が底を打ちます。25年度からは、投資回収が本格化するということで、Jカーブが上向きになりまして、ファンドの終期の2033年度においては、累積損益がプラスになることを見込んでおります。

今回の抜本見直しにおける各取組をしっかりと継続しまして、既存案件の着実な企業価値の向上と投資回収につなげていくことで、修正後計画の達成に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

長くなりましたが、以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

次、JOIN、お願いいたします。

〔国土交通省平岡国際統括官〕国土交通省でございます。資料2-3に沿いまして、改革工程表を踏まえた投資計画の進捗状況についてご説明をさせていただきたいと思います。

まず、2ページをよろしくお願いいたします。改革工程表2018を踏まえました投資計画では、2022年度の上半期に58億円、年間計画では146億円の投資を行うこととなっておりますが、上半期の実績は117億円でございます。また、本日時点での投資の実績でございますが、264億円ということで、年度計画額を上回っている、こういう状況でございます。

2022年度におきましては、9月までに投資計画の達成に向けまして、デジタルや脱炭素といったポストコロナの投資ニーズを踏まえながら、リスクマネジメントの観点から、ポートフォリオのバランスを改善すべく、案件形成の多様化に取り組んでまいったところでございます。引き続き、これらの投資ニーズを踏まえました案件形成に取り組むとともに、支援案件の長期的収益性を担保するためのモニタリング体制の強化、それから他の政府系機関などと連携した案件形成や支援に取り組むことで、投資計画の達成の実現を図ってまいりたいと考えております。

6月の分科会でお示ししました取組の進捗状況につきましては、次ページ以降、JOINから説明させていただきます。

〔海外交通・都市開発事業支援機構細見専務取締役〕今年6月にJOIN専務取締役に就任した細見です。前回の分科会でお示しした投資方針、概要等についてご説明いたします。

3ページをご覧ください。本年度上期は、早期の収益化が見込まれるグリーン案件に出資したほか、Mobility as a Serviceの実現につながる北米での自動運転車椅子サービス事業や、Transit Oriented開発を実現するインドネシアでのブラウン案件などの案件形成を推進しました。引き続きコロナや地政学リスクの既存案件への影響を注視しつつ、ポストコロナの投資ニーズを捉え、案件形成に取り組むとともに、既存案件についても注視し、投資計画の達成、政策的意義の実現を図ってまいります。

次、4ページをご覧ください。VUCAと言われる先行き不透明な時代にあって、高い技術力等を有する民間企業でも、単独では海外投資に踏み切れないケースが少なくありません。JOINは、共同出資やハンズオン支援で本邦企業を支援し、我が国経済の持続的成長や外交政策の実現にも貢献してまいります。

そうした政策性とともに、長期的収益性を確保することが不可欠と認識し、各案件の社内審査を高度化させ、その上で、社外役員を中心に構成する事業委員会でしっかりと議論の上、支援決定を行っております。また、案件のモニタリング体制を強化するため、第一線の事業推進部が、案件形成からモニタリングまで一貫して担当し、プロジェクト管理部が、そのモニタリング結果のレビュー及びJOINのポートフォリオ全体の多面的なリスク管理を行う体制へと組織改編に着手しました。さらに、内部監査部門がこれらを適切に監査する体制強化を検討しており、全社的なリスク管理体制の強化を図っております。

最後に5ページをご覧ください。昨今は従来型のインフラに加えまして、デジタルや脱炭素、また、交通バリアフリーなど、共生社会実現に関連した案件に参画する中堅・中小企業や地方企業などの支援例が出てきております。こうしたニーズを発掘するため、JICA、JBIC、NEXI、地銀などと連携して、地方でもセミナーを実施しております。引き続き、他の機関とも連携しつつ、JOINに期待される役割をしっかりと果たしてまいります。

以上でJOINの説明を終わります。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、次に、JICTからお願いいたします。

〔総務省田原国際戦略局長〕株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)の計画について資料2-4に基づきまして、総務省からご説明させていただきます。

まず、資料をおめくりいただいて、2ページ目でございますが、改革工程表2021を踏まえた改善計画の進捗状況についてでございます。

今年度、JICTにおきましては、9月末時点におきまして、1件の新規の投資を実施しているところでございます。投資額は5億円で、これは今年度の投資計画額の6%にとどまってございます。本年10月に支援決定を行った案件が2件ございますことから、年度の投資計画額は達成できる見込みとなっております。

また、JICTの内部態勢強化といたしましては、地方銀行からの若手出向者受入れなどによる地方人材育成・地方案件組成力の向上ですとか、金融・フィンテック分野に造詣の深い社外取締役の採用等によりまして、案件組成能力の向上に努めているところでございます。

総務省といたしましては、JICTが引き続き態勢を強化し、確実に改善計画を上回る実績を積み重ねていけるよう、適切に監督してまいりたいと考えております。

おめくりいただいて、続きまして、3ページ目でございます。前回6月の分科会以降の進捗状況ということでございます。

案件組成につきましては、本年2月に改正いたしましたJICTの支援基準に基づいた案件組成を進めた結果、支援範囲拡大に伴う案件組成が3件ございました。また、昨年度から検討を進めていた大型案件につきましても、この10月に支援決定をいたしました。この関係でJICTにおきましては、今年度の投資計画額80億円を達成できる見込みとなっております。

今後の見通しといたしましては、このほかにも年度内の案件組成に向け検討・調整中の案件が複数ございます。JICTとしては、先ほど申し上げたような体制の強化を行いつつ、新たな支援基準に基づき、一層の案件発掘・組成を進めていく方針と承知しております。

また、大型案件からの配当収入につきましても、しっかり上がっておりまして、この資料にもございますが、今年度上半期では2案件から合計11.5億の収益があったところでございます。

また、政策と収益の重複領域についてでございますが、JICTにおきましては、長期的に収益性が見込まれるものの、規制分野であるがゆえの政治リスクが存在する案件の支援を行うなど、リスクが高く民間企業のみでは資金が十分に供給されず参入しにくい海外における通信・放送・郵便分野に対して政策性と収益性が重複する領域への投資を図ってきたところでございます。

政策的意義につきましては、支援基準に基づいて精査を行い、収益性についても厳しく評価を行った上での案件組成に引き続き努めていくということでございます。既存案件についても、事業状況のモニタリングをしっかりと行い、適時適切なハンズオン支援により確実な収益性の確保に向けて取り組んでいくこととしております。

続いて、官民ファンドとしてのJICTの役割につきまして、資料4ページになりますが、ご説明させていただきます。

JICTが専門領域としている通信・放送・郵便分野については、ICT・デジタル技術で日本企業の事業に付加価値を与え、収益性の向上が大きく期待できる分野ということでございまして、一方で、当該分野は規制領域であるということもございますので、官民ファンドによる支援が特に重要な分野であると考えているところでございます。

JICTは、ICT分野を専門として効果的な支援を実施可能な唯一の官民ファンドということで、引き続きリスクマネーの供給、専門的知見を生かしたハンズオン支援をしっかりと実施することで、我が国の事業者の収益性の向上を図り、もって我が国経済の持続的な成長に寄与してまいりたいと考えているところでございます。

JICTに関するご説明は以上でございます。よろしくお願いします。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、最後にA-FIVE、お願いいたします。

〔農林水産省大臣官房新事業・食品産業部萩原新事業・食品産業政策課長〕農林水産省でございます。株式会社農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)についてご説明させていただきたいと思います。資料に沿って説明させていただきたいと思います。

まず、2ページをご覧ください。A-FIVEにつきましては、本年6月の分科会でご説明させていただきましたとおり、本年3月末の累積損失が141億円となりました。計画額の122億円を下回りました。しかしながら、出資時と比較して、企業価値が向上している出資先の純利益及びコロナの影響等を受けた出資先に対する積極的な支援によりまして、令和7年度末の累積損失を120億円とする計画の達成は可能と見込んでおります。

続きまして、3ページをご覧ください。累積損失120億の計画の達成に向けまして、3ページにありますように、出資先の企業の価値の向上や、業績が悪化している出資先の業績改善、及び予算の適切な執行等による経費削減の取組等を実施しているところであります。コロナの影響もありますが、業績が悪化した事業者の回復には一定の期間を要すること、また、円安等を要因とした原材料の高騰による業績への影響が懸念される一方、輸出に取り組む事業者にはプラスの効果も期待されるところです。

A-FIVEにおいては、事業者に対し、引き続き積極的な支援を通じた企業価値の向上と、回収の最大化に取り組むこととしております。

農林水産省といたしましても、A-FIVEに対し、本計画が着実に実行されるのに必要な協力・助言を行っていくとともに、引き続き不断の経費削減等を促してまいりたいと考えております。

以上で説明を終わらせていただきます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見、ご質問をお願いいたします。要求側の方々にご質問いただいて結構でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、川村委員、お願いいたします。

〔川村委員〕ありがとうございます。非常に厳しい各ファンドの中でも、とりわけ、今一番胸突き八丁に来ているのがCJだと思います。非常に抜本的な改革案ということで言わばラストチャンスということで提示されたものと理解しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

1つ質問とあと2つ、3つばかり意見ですが、この損失について、資料2-2の12ページに累損の内訳が出ているわけです。この中の現在抱えている減損の90億円、ここでの議論はどうしても国、財投としての損失ということばかり問題になっているのですが、私の理解ではこれ、半分以上民間が出資しているので、この累損の部分の4、50億円は多分民間に属する損失ではないかと思うのですが、その辺を教えていただきたいというのが質問です。

その上で、今後、これをどんどん改善していくためには、いろいろEXITも積極的に取っていく必要があると思うのですが、ぜひその場合に、半分以上民間が出していて、しかも結構中小業者が多かったはずです。ですから、1億円損したら倒れてしまうレベルの企業は相当あったと記憶しています。ですので、特にEXITを取る場合には、この事業が、今後民間がしっかり担っていける事業として、事業としての継続性があるのか。たまさか損失が会計上は出ているが、事業としては、まだまだ今後成長余力があって、それを民に委ねることがいいのだという案件に、ぜひ手を携えていってもらいたいと思う要望が、この関連での1点目です。

それから、前後しましたが、やはりCJの一番の課題というのは、例えば11ページにあるように各種KPIはほとんど超過達成している中で、突出して損益に問題があるわけですから、はっきり言って、問題は損益に尽きるということだと思います。それを向上させるためにどうするかという中では、委員の中には反対意見の方もたくさんいらっしゃるのは分かっているのですが、私はやはり思い切った選択と集中をしていただきたい。

それは何かというと、CJというものの政策、もちろん、全然当てはまらないものは駄目ですが、ある程度、もちろんOB、アウト・オブ・バウンズは駄目ですが、少々ラフぐらいだったらいいぐらいにして、その代わり、ラフだが飛距離が飛んでいる。フェアウェイのど真ん中ではないが、はるかにオーバーランして、ピンも狙えるぐらいのラフに入るような、飛距離は遠いが、フェアウェイではないというようなものも対象にしていいと思うし、そうではないと儲からないです。そういう意味でいけば、ブラウン案件も躊躇せずやってもらいたいという気がします。

加えて、思い切った割り切りで、これは海外にいろいろなネットワークというか、販路等を持っている事業者は望ましいということをどこかに書いてあったと思うのですが、それがもともとのCJはそういうことを持ってない地方・中小の事業者に、例えばJETROであるとか、いろいろなところを紹介しつつ、サポートすると言っているのですが、その成果は一部ありますが、ほとんど出てないです。少なくとも収益については出てないし、自分で海外に販路等を持ってない中小企業は、外に出ても、言葉から始まってネットワークから何から全く無力であります。その支援は、実態的には不可能に近いのが現実です。

したがって、思い切って、あまり小規模の、夢を持っているが小規模だというものはやらない。むしろ、自分たちでも独自の海外ネットワークを持っている大企業、こういうところを目途にするのだというぐらいの思い切りを持っていただきたいという点と、それからもう一つは、やはりEXITで一番確率が、従前、CJの場合、取れているのはIPOばかりです。バイバックはほとんどないと思います。

したがって、IPOでかなりのエクイティストーリーが見込めて、相当収益が高いというようなものに特化してもらう必要があるのではないかと思います。つまり、ここへ来ると、OBにならない限り、なりふり構わず収益を上げていかざるを得ないというのが現実だと思いますし、政策性と収益性のバランスということで常に揺れてまいりましたが、今回の改善案を見ても、思い切って、そういう意味でペナルティーは払わない打数の中で収益を追求していく。そういう意味でいけばテック系というものも含めてやるべきだと、これは私の意見です。

以上です。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、土居委員、それから工藤委員が先に出られるので、土居委員の次に工藤委員、野村委員、中里委員、原田委員の順でお願いいたします。

それでは、土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕どうもありがとうございました。官民ファンドが林立というか乱立というか、した頃から財投分科会の委員をさせていただいているので、当該官民ファンドの所管省庁の担当の幹部の方、それから官民ファンドそのものの幹部の方は、ずっとその頃から、その地位におられないかもしれませんが、私は委員を仰せつかっているという責任からすると、さすがに、これまでずっと見てきた官民ファンドに対して、厳しい言葉を言わざるを得ないという状況が、今回またさらに深まってしまったということは極めて残念だと思います。

それぞれのご担当者は、ご担当を担われるところで大変ご努力されているのだと思いますが、やはり出資側の財投分科会にいる限り、出資金がきちんと返ってこないおそれがあるということに対しては、極めて厳しく目を光らせざるを得ないと思います。

特に、これまで政治の影響もあってだと理解していますが、我が国の財政におけるいわゆる出資金というものは、必ずリターンが上がってくることには、こだわらないというような性質があって、もちろんリターンが上がれば、まさに文字どおり、配当が国庫に納められるという意味で、期待どおりのことなのだが、結局毀損してしまうことになれば、事実上補助金を与えたのも同然のような状態に、事後的にはなるということで、やむを得ないというような政治判断をなさる場合も、これまで多々あった。ですが、今回またそれをするのかということについては、私としては大変懸念しております。これまでよりも、さらに我が国の財政状況は悪化しているということですから、産業投資という名を借りて事実上の事後的な補助金を当該出資先にくれてやるというほど、あいにく、我が国の財政状況は楽観できない状況にある。そういうことを踏まえた上で、確かに波及効果、政策の効果もあるかもしれないが、それは、一般会計で補助金を出して政策効果が出ているという話と、産業投資で出資したが毀損してそのまま行って返ってこなかったというもので効果があったという話と、ごちゃまぜにしていいのかと思うわけです。やはり、出資したお金は毀損せず、返ってくるということを期待し、もちろんこれは個別案件でという意味ではなくて、出資した官民ファンドの単位でという意味です。個別案件でという意味ではなくて、機関単位で、せめて出資した分ぐらいのお金が返ってくる。つまり、累積損益プラス・マイナス・ゼロ以上というところは維持していただきたいと思っているのですが、あいにくこのままでいきますと、CJとA-FIVEは、ますます毀損の度合いを深めていくようなご報告を今日は受けたということで、やはり厳しい言葉を申し上げざるを得ないと思います。

特にCJについては、資料2-2の8ページにありますように、もはやラストチャンスだという川村委員の、ある種、愛のあるというか、もはや最後の決断をせざるを得ないような状況にあるのではないか。資料2-1の8ページに、理財局事務局からご提案のあるように、他の機関との統合または廃止を前提ということにならざるを得ない、瀬戸際だと私は思っています。もちろん、ここから改善されることを期待しておりますが、もし、来年、成果が上がらなければ、まさに統合ないしは廃止。ただ、統合といっても、そんな状態の機関を、そういう案件を引き取ってくれる機関なんてあるのかというぐらいの損失ぶりですから、それはもはや残り1つしかないというぐらいの危機感を持って臨んでいただきたいと思います。

その意味で、資料2-2の17ページでお書きになっておられる、マッチングの案件が増えているということですが、それはせいぜい損益がプラス・マイナス・ゼロに持っていけるということで、それでも本当は、産業投資としては、期待以下ということなわけですが、もともと実際CJがお示しになっていた損益というのは、もともとは500億円ぐらいのプラスで最終的に終わるというつもりで描いておられたわけですが、それとは全然違う数字になっているわけです。でも、せめてそうであればまだ分かるのですが、これだけマッチングしているのに、何できちんと収益が回収できないのかというところは、もっと厳しく追求していただかなければいけない。確かに欧州の市場につなぐことができたという審議官のご説明はありましたが、では、そういう民間事業者から何できちんと手数料なりなんなり収益を上げるように出資先に求めなかったのか。そして、その出資先がきちんと赤字を減らすとか黒字になって、そしてEXITできて、そこで初めてCJに産業投資から出資してよかったねという話になるところまでも含めて、やらなければいけない。このままだと、先ほど来私が申し上げているように、出資金という名を借りた単なる事後的な補助金をくれてやったというだけに終わってしまう。それは当該民間企業の方々は喜ぶかもしれないが、国民の財産である産業投資が失われているということを重大な問題として捉えていただかなければいけない。国民の財産が失われているという状況ですから、やはりこれはきちんと回収していただかなければいけないと思います。

そういう意味で言いますと、これはまず、CJについてですが、20ページで、回収率の内訳が示せないというのは、これはもはや、そう言っていられる段階ではない。国民の財産たる産業投資から出資を間接的であれ受けた方々がおられて、その方々が、あたかもしらばっくれて、毀損してしまっているという状態を国民に開示しないということで、本当に国民が許してくるのか。場合によっては、これはぜひ理財局にも求めたいと思いますが、たとえ1件だったとしても、回収率を示していただくように、私はお願いしたい。こうやって隠すことで、あたかも、多少回収率が悪くても、何とか他でごまかせるというような、そういうモチベーションが生じてはいけないと思います。これは後で申し上げるようにA-FIVEも同様であります。

A-FIVEも、まさに去年の議論よりもさらに累積損失が増えているような状況で、もう計画どおりに待たずに、もう今お締めになったほうがまだましという声さえ出てくるかもしれない。一生懸命頑張りますということは分かるのだが、さらに損失を拡大させると、国民の財産はさらに失われるということになるわけなので、そういう意味では、きちんと回収していただくことは言うまでもありませんが、やはり、回収をきちんとするという緊張感を与えるためにも、資料2-5の5ページにあります回収率、全部非公表、これは、もうきちんと開示していただくことを通じて、回収率が悪いと開示されるのだと。開示されることが嫌ならば、悪い数字が開示されることが嫌ならば、きちんと回収に応じていただくという具合に、投資先に対してハッパをかけて、きちんと回収していただくことに努めていただきたいと思います。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、工藤委員、お願いします。

〔工藤委員〕ありがとうございます。順番を変えていただいて、申し訳ありません。

ご説明ありがとうございました。今もお話あったクールジャパン機構様について、いわゆる抜本的な見直しに沿いご説明いただいたような各種の体制改善は行われてきていると認識しています。ご尽力、しっかりいただいているとは思います。

一方で、クールジャパン様に限らないわけですが、ファンド設立から時間も経っておりまして、所管官庁にはそもそも論として、現在我が国産業政策における、クールジャパンであればクールジャパン政策の位置づけや、どのような政策パッケージで支援することが最も効果的、効率的なのかを改めて整理していただくことが重要だと考えます。

先ほど、マッチングをたくさんしているのに、何で儲からないのだという話が土居先生からもありましたが、政策効果を得るということと、投資先が収益を得るということが、必ずしも一致していないという状況かもしれません。クールジャパンは海外に日本のファンを増やすという政策だったと思うのですが、それが本当にファンドを通じてやるのが一番いいのか。いろいろな企業も巻き込むところにインセンティブがきちんとあるような形になっているのか。そこに、他の政府の政策を組み合わせる必要がないのか。こういったことを、検討頂いた上で分かることもあると思うので、きちんと見直していただいたほうがいいのではないかと思います。

クールジャパン機構の位置づけや組織の在り方は大本のクールジャパン政策が整理された上で検討されるべきであると思いまして、クールジャパン機構の体制の一部の改善のみでは根本的な課題の解決にはつながらないのではないかと思いました。

投資実行の実績が積み上がらなかったり、収益性が低位にとどまるという事態が、他の官民ファンドも含めて、今後も発生していく可能性があるのではないかと懸念しております。クールジャパン機構に限らず、政策目的に沿った案件を創出する能力に課題を抱える官民ファンドは複数あるのではないかと認識しております。既存の分野を官民ファンドにより支援する形ではなく、時代に合わせて産業そのものを創出していくような政策を一層強化し、そうして生まれた産業の芽を官民ファンドによって支援していくような流れが今後生まれていくことを期待しています。

あともう一つ、以前も申し上げたのですが、今回、クールジャパン機構様で、一般の民間のファンドと同じように管理費が大体2%ぐらいなので、そこの内数には入っているということだと思うのですが、投資残高が1,000億円弱だったか、もう少しだったか。それに対しての2%ということだと思うのですが、ただ、今の収益の状況を考えると、単独で2%の管理費をしっかり使っていくというよりは、他の官民ファンドも含めて、もう少しシェアード化とか、何かコストで共有化を図れるところがないか、これは官民ファンド全般として考えたほうがいいのではないかと、全ての官民ファンドの状況を見て思いました。ぜひ、ご検討いただきたいと思います。

以上です。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、野村委員、お願いいたします。

〔野村委員〕ご説明いただいて、各ファンドのご尽力と政策意義は十分に認めるところではありますが、中にはこれだけ累損が膨らみ続けて、改善計画で、さらに膨らむところもございます。そこで、先ほど土居先生がおっしゃったように、公金を投入し続けていることを考えると、そろそろ撤退ラインといいますか、言葉はよくないかもしれないが損切りルールを定めてもいい時期なのではないかと思います。例えばですが、改善計画案を掲げた年から2期連続で計画案での累損と実績との乖離が20%以上続くような、そういうところでは解散準備の検討に入るといった、何か一定のルールがあってもいいのではないかと思います。当然、官民ファンドは収益性だけではなくて政策性が重要なので、一律にはくくれないところはあると思いますし、個別の判断は必要だと思いますが、ここまで累損が膨らむ状況が続くと、そういうルールを入れてもいい時期かと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

中里委員、お願いいたします。

〔中里委員〕ご説明ありがとうございました。CJさんに伺いたいことがあります。今この場にいらっしゃる方は、過去に担当された方の不良債権の処理をしているようなお立場で、ちょうど1997年、今から25年前の今頃、金融システムの不安定が起きたわけですが、そのときも不良債権をつくった人はどこかに行ってしまって、当時担当していた人はその処理をしている立場ということがあったわけで、皆さんに申し上げるのは申し訳ないのですが、少しきついことを申し上げないといけません。

まず、ちょうど10年前の今頃、実はCJさんの立ち上げの際にご説明をいただいていて、今、その説明資料が手元にあるのですが、そのときに伺った話と今の話がすごくずれていて、つまり、クールとかポップとかkawaii(カワイイ)とか、そういうところからどんどんずれていっているわけです。恐らく一生懸命収益力の強化をしようとすると、それ自体が本来の機構法1条の目的規定からどんどんずれていく。要するに、これは補助金でいうと、補助金の目的外使用、つまり、補助金適正化法違反に相当するような事案であるということを、まず申し上げないといけないと思います。

その上で、8ページのところで質問があります。8ページの累損の見通しのグラフです。これととてもよく似たグラフをどこかで見たことがあって、それは何かというと人口推計、人口がどれだけ増えていくか推計するときに、出生率、子供が生まれる率の推計をするのですが、それを見ると、ちょうどこれと同じ格好になります。つまり、計画を立ててから数年後には必ず反転して、上にいきますよという予測になるわけです。この資料でも、トラックレコード、過去の実績を見ると、ちょうどそうなっています。ということは今立てている計画も下振れする可能性があり、そうすると当然ボラティリティがあって、それも予測されていると思うのですが、どういうふうにボラティリティが発生しているのかということを伺いたいと思います。

つまり、この見通しは下振れする可能性が相当あって、そうすると今の修正計画自体も実は過大な見通しになっている可能性があるわけです。これがフィクスト・インカム、確定利付きの話だったらいいのですが、そうではないので、収益の出方に変動が当然あると思うので、それを計算されていると思いますが、それがどうなっているのか伺いたいということです。

それと、JOINさんのことで1つだけ伺いたいことがあります。JOINさんのいろいろな投資の案件、お仕事を見ていると、JBICさんと業務の範囲が相当重なっていると思います。実際にお仕事をされている方も、JBICのご出身の方がたくさんいらっしゃると思います。何であえてJOINさんで、JBICさんではなく、こういう仕事をするのか、もう一度、念のため確認しておきたいと思います。

以上でございます。どうもありがとうございました。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

続きまして、原田委員、お願いいたします。

〔原田委員〕ご説明ありがとうございました。私からは、A-FIVEを除く各ファンドにお伺いしたいことが2点ございます。A-FIVEに特化してお伺いしたいことが1点あります。

まず、各ファンド、3ファンドにお伺いしたいこととしては、どのファンドのご説明のときにも社外取を活用するといったお話が出てきたのですが、具体的には何も出てきていないように感じました。CJさんのときには、ジョブディスクリプションを作ったというお話はありましたが、社外取をどう活用しているのか、取締役会はどのぐらいの頻度であり案件の承認、追随のほかにどのようなことを議論されているのかお伺いさせてください。それ以外にも何か具体的な反論があったですとか、そういったことがあったのかどうかのお話を少々お聞かせくださいというのが、まず1点目です。

もう1点目は、今先ほど中里委員がおっしゃったことに関連しまして、中里委員は計画が下振れするのではないかというお話でしたが、同じように思いました。Jカーブがあるのですが、3ファンド、大体、設立期限に近づいて、必ずプラスのところに修正、計画が行っているのですが、だんだん期間がずれていくだけで、実際になかなか目標を達成できないまま推移してきているというのが残念なところです。野村委員もおっしゃいましたが、損切りするなど、ほかの計画も同時に必要なのではないかと思います。財務省のホームページを見ますと、財政融資資金の貸倒れは、未だ発生してないと書いてありますが、各ファンドのJカーブの推移、時系列的な推移を、過去からの変遷を見ていると非常に不安になります。この辺、いつも似たような図を出すのではなく、もう少し別の観点から、より具体的な計画を今後策定していただきたいと思いました。これはお伺いしたいというよりも、要望になります。

それから、A-FIVEに特化してお伺いしたいことがあります。設立は2012年で、もう既に10年経過していまして、設立当初に出資を受けた企業はもうEXITしているところもあれば、途中出資を受けたところは借換えのニーズですとか追加出資のニーズがあるかと思うのですが、そういったニーズには応じないと聞いております。

ですが、解散予定の2027年までは、まだあと5年ありますので、既存の出資案件に追加のケアがないということだと、これはよりよくない方向に向かうのではないかと思います。出資先のニーズに応じずに強制的にEXITするということであれば、それは民間に引き継ぐのかということにもなりますが、その場合、きちんとスムーズにいっているのかどうか。お聞かせください。逆を言えば、民間が引き継がないような案件があるのであれば、そもそも論になりますので、もともと民間の出資がとても少なかったのがA-FIVEのファンドであろうかと思いますので、その辺の引継ぎといいますか、どういうふうに締めるのか。資料だと、円安の影響だとか、コロナの影響だとか、ウクライナの影響などと書いてありますが、そうした影響は他の出資先も同様にうけていて、6次産業化を頑張ってやっているのだが、コロナで全然予定どおりいかなくて、まだもう少し支援してほしいというところはあるかと思うのですが、そういうところとの対話がどうなっているのかについてお教えください。

以上になります。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、林田委員、お願いいたします。

〔林田委員〕ありがとうございます。

まず、クールジャパン機構さんにお伺いします。資料2-2の8ページのJカーブですが、原田委員もおっしゃられましたが、2018年の線が一番上にあり、19年があり、2021年は少し上に上がったように見え、今年になると、さらにフラット化しているということで、この図、線を引くこと自体に、毎年意味があるのかと思うほど、見事に、収支の改善が先になってしまっている。しかも左上の表を見ますと、EXIT13件のうち、プラスが4件、マイナスが9件、さらに言えば、12ページ、今投資中のもののうち、1割以上の90億円が損切りというか減損されている。まさに、投資としては非常に厳しい状況にあるということが、これで分かる。

そう考えていくと、クールジャパンについて、先ほど中里委員が、そもそも話が全然違う事業だったのではないかというお話がありましたが、それを目指すところの事業を官民ファンドという形態で政策支援するということが、10年をかけて分かったが、無理だったねということを、これは如実に示しているのではないかと感じます。

冒頭、川村委員が、ラフでもいいから案件組成していこうよという、愛のあるお話があったわけですが、経産省の審議官の方は、CJ機構の目的として、「我が国の生活文化の特色を生かしたもの」ということをおっしゃられました。私、出がけに、CJ機構のホームページを見ますと、どういうことをやっているかというところの表現として「日本の魅力ある商品・サービスの海外需要開拓に関連する支援」云々と。つまり、「我が国の生活文化の特色を生かした」というところは、ホームページで説明がないわけです。これは途中から変わったのか、最初からそうだったのか、私は分かりませんが、少なくともクールジャパンのほうがそういう認識であるのであれば、「日本の魅力ある商品・サービス」というものであれば、何でも支援の対象になってしまうと感じました。

そこで、それぞれ案件を、どんなものがあるのか、資料を基に見ますと、2-2の7ページ、DAIZの話が出てきます。何となく日本っぽくもありますが、別に日本は大豆の大生産国ではありませんし、大豆でいいのかなと。我が国の生活文化の特色を生かしたことになるのか。

それから、先ほど、このほかにワインがあるというお話もありましたが、ワインといえばやはりフランスとかイタリアかなという気もするし、でも強いて言えば、これからの新しい日本の文化なのだという言い方もできるのかと思いました。

ただ、説明のなかった財務省の参考資料、資料2-1の、現下の官民ファンドの取組という資料があるのですが、例えば4ページ、CJ機構、「人工構造タンパク質由来の繊維素材を開発し」とあります。これは、日本の生活文化の特色を生かしたということになるのかという気がいたします。

6ページを見ますと、「クラウドを用いて衣服生産の管理や工場とのコミュニケーション」云々と、これも、日本の生活文化に根差したものなのかという疑問が湧きます。

さらに9ページ、グリーントランスフォーメーション、「人工構造タンパク質素材を開発・生産」、これもどうもCJ法の第1条にある「我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある商品又は役務の海外における需要の開拓」というものに沿っていないのではないか。川村委員が言われるまでもなく、既にもう、今の投資案件自体が、相当ラフ化している。ど真ん中では多分ないのかと。

中里委員がおっしゃられたように、目的外使用とまでは、私は申しませんが、やはり、そもそもの政策目的に沿ったものであるのかということは不断にチェックして、変えるのであればしっかり国民に説明をして、こうこうこうだからこういう案件にも我々は出すことにしたということを、やはり手続としてはあるべきだったのかと思っています。

それと関連して、資料2-2の2ページ、コミットメント強化による、インセンティブを高めるという話で、投資担当者のコミットメント強化と、要するに、あなたも投資をして、職員の方にも投資をさせて、儲かるか儲からないか、腕試しなのだから、儲かるような案件を持ってこい。それが嫌なら、辞めてもらって結構だと、人材の新陳代謝ともおっしゃっていたので、という狙いがあろうかと思います。こういう形にしますと、やはり手っ取り早く儲けられる案件に傾斜しがちであり、そもそもの政策目的からどんどん離れていく方向に働くのではないかと、私は危惧しております。

川村委員が最初にご提起されたように、本来の目的とは合わなくても、テックのほうにやっていいのかどうかということは、きちんと、この審議会は責任を持って、意見というか、考え方を示すべきなのだろうと感じています。

それから次、A-FIVEにお伺いします。あまり、これ以上やっていくと、かえって損が膨らむのではないかというご指摘、私も感じるところがありました。

要するに、どういう段階で、どうEXITすれば、どういう産業投資の毀損になるのかというシミュレーションみたいなものを、そろそろ示すべき時期に来ているのではないかと感じています。それは多分、計算できると私は思います。私の能力は超えていますが、皆さんならできると思っているので、ぜひ示していただきたい。

それから、A-FIVEを立ち上げたときに、地方の銀行や企業に確か拠出してもらった地方のサブファンドがあったと思うのですが、当時はサブファンドへの投資イコールA-FIVEの実績のような説明を受けて、その先が出なかったのですが、そのサブファンドは今どういう状況になっていて、A-FIVEがEXITした場合には、そのサブファンドはどうなってしまうのか。サブファンドにお金を出した人はどうなってしまうのか、そういったことも現時点で分かる範囲で結構ですので教えていただきたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、渡部委員、お願いいたします。

〔渡部委員〕簡潔に意見です。ご担当といいますか、ローテーションによるアンハッピーな仕事を減らすというためにも、理財局さんの資料2-1、8ページにあるように、少なくともCJさんについては、廃止というか、プランBといいますか、クローズアウトするということも、この会としてリコメンドすべきではないかと考えます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、皆様のご意見やご質問がそろいましたので、クールジャパン機構から順番にご回答をお願いいたします。

それでは、クールジャパン機構からお願いいたします。

〔経済産業省商務・サービスグループ茂木商務・サービス審議官〕経済産業省の商務・サービス審議官の茂木です。たくさんご指摘を頂戴しまして、ありがとうございます。全部に全て完璧に答えることはできないかもしれませんが、丁寧にお答えをしていきたいと思います。

まず、川村委員から、やはり損益のところがかなり、ここが達成できないKPIであり、思い切った選択と集中をすべきではないかというご指摘も頂戴しました。

やはり投資案件は、後のご質問でもございましたが、CJ機構のもともとの支援基準がございます。この支援基準に沿った形で、政策性を満たすということは必須であると考えています。その上で、収益性を持たせるためのポートフォリオをどこまで広げていけるかということが1つのポイントかと思っています。

そういう観点から、多少ラフでもというお話がございましたが、事業性が高くて、政策性についてもきちんと説明できる案件の数を少しずつ増やしていく。その中で、経済産業省が様々な取組をやって、地域であるとかスタートアップであるとか、こうした事業者から、こうしたところから見つけ出してきた企業、こうした企業のうち海外展開を希望している企業をハンズオンで支援して、膨らましていくということもやっておりますし、大企業と連携した投資というのも、当然この中にはございますので、これも全体のポートフォリオの中で、収益性についてもしっかりと加味した形で進めていきたいと思っております。

それから、土居委員から、組織単位として出資した分をきちんと回収するということは最低限だと、これはご指摘のとおりだと考えています。現状のJカーブをご覧いただくと、2024年の段階で底をつくというJカーブになっておりますが、当然、組織全体としては、個々の案件に成功失敗ございますが、最終的に投資いただいた分をお返しできるような投資体制を整えて、場合によっては新規出資もしっかりやりながら事業を進めてまいりたいと考えております。

その上で、他の委員の方もございましたが、損切りルールとか撤退ルールとか、そういうご指摘ございましたが、この点は財務省のご指導もいただきながら進めてまいりたいと思っておりますが、私ども今回お示ししたJカーブ自体は、最低限達成すべき収支だと考えております。従いまして、これを達成できない場合は、相応の決断が必要であると私どもも考えておりますし、そうした危機感を持って対応を続けているところでございます。

それから、回収率についての指摘も、土居委員からございました。回収率については、前回お出ししている回収率と、今回お出ししている回収率の差分で、事業者が1件しかない場合は、その事業者が特定されてしまうということで、こうした形で表示をさせていただいておりますが、ご指摘のとおり、やはり説明責任を果たすという観点から、どういった形の情報公開が必要なのか、この点は改めてしっかりと検討したいと存じます。

それから、政策パッケージとして、やはりエクイティという形式が果たしてクールジャパンという政策を進めていく上で、それしかないのかというご指摘だと思います。実は政策パッケージという意味で言いますと、クールジャパン機構が持っている出資機能は、広い意味でのクールジャパン政策を進めていく上での1つの手段であると私どもは考えています。例えば、出資がなくても、海外展開したいと考えている、いろいろな事業者の方を、政府間でいろいろな制度改革要望をしたり、現地の大使館ですとかJETROなども活用して、様々な現地への橋渡しをするという支援などもやっております。こうしたものも1つの政策的な取組です。

それから、政府間で大きな枠組みをつくって、日本の様々な取組をその国に展開していくということもあります。そうした政策的な大きな枠組みに加えて、こうした出資という機能があることによって、さらに、資金が足りない事業者さんが海外展開していくときの助けになる。そういう意味で、この出資機能があるとご理解いただきたいと存じます。

とはいえ、この出資機能自体が、財投資金をいただいている以上は、毀損してもいいということになりませんので、先ほど申し上げたような改善計画をしっかり取組みながら、収益性も確保していきたいと考えています。

それから、中里委員、原田委員からもございましたが、Jカーブが下振れするリスクがあるのではないかというご指摘です。

まず、このJカーブの作り方という意味においては、まず、現行の案件、既存案件ですが、既に事業が始まっているものがございますので、そうした事業が始まっているものについては、現時点で既に当初の計画より、例えば収益が落ち込んでいるとか、利益が減ってきているというものは、利益が減ったことを前提に回収額を見積もっています。したがいまして、そういう意味では、現時点の下振れリスクについては、既にここで織り込んでいる形になっています。

ただ、その後は、大きく下振れして、それがゼロになってしまうということを想定しているわけではなくて、現時点の下振れリスクだけを見込んでいることになります。

それから、25年以降立ち上がってくるためには、既存案件が、そうした中でも、今の評価の水準を維持することと、もう一つは、新規でこれから行う投資をここで加味しています。これも実は、8ページの図の中では、下に数表がございますが、上から4段目の投資額(修正後計画)というのがございまして、23年度以降、90、90、189、189という数字が並んでおりますが、これが、今後の新規の投資計画ということになります。もちろん、この新規の投資計画は具体的な案件が今あるわけではございません。ただ、こうした投資を行うに当たっても、まず1つは、先ほど申し上げたガバナンスをしっかり強化しながら、収益性と政策性が満たせる案件をしっかり案件形成していくことと、それから全体としては、個々の案件ではありませんが、平均して、ここで行われる投資案件が投資倍率として、1.4倍程度の投資倍率が見込まれるということを前提に、このカーブは描かれているということでございます。

いずれにしましても、このカーブは、私どもが最初に申し上げたとおり、非常な危機感を持ってこのカーブを設定しておりますし、かなり保守的な前提の下に、このカーブを設定しております。したがいまして、最低限達成すべき投資計画が達成できない場合においては、先ほど申し上げたとおり、相応の決断が必要であるということは、しっかりと認識をしておるところでございます。

それから、林田委員から、大豆の話とかワインの話がございました。大豆については、これは日本初の技術であるということと、和食文化の基礎をなしている大豆の加工技術から発生している技術だということで、これを活用した海外展開をCJ機構の投資案件としたということでございます。

それからワインについては、私の説明が舌足らずだったかもしれませんが、これはワインの、いわゆる流通チャネルに日本酒を乗せていただくという意味で出資をしているということであります。これは会員企業の方に、AIとかで分析しながら、毎月お好みのワインを3本お届けするというサービスですが、その中の1つに日本酒を入れていただくということで、ここに官民で協調出資をして、それで、日本の各地の日本酒をそこに紹介しながら、3本の中の1本、あるいは2か月に1回とか、ケースはいろいろありますが、その中に日本酒を入れていただくことで、日本酒のチャネルを押さえていく。そういう事業とご理解いただきたいと思っております。

私からは以上です。CJ機構から追加で説明をします。

〔海外需要開拓支援機構川﨑代表取締役社長CEO兼COO〕CJ機構の社長の川﨑でございます。いろいろとご指摘、ご意見いただきまして、ありがとうございます。

幾つかありましたが、まず、原田委員からご質問のありました社外取締役のジョブディスクリプションを策定し、というところでございますが、今年7月に改めて、当然のこともあるのですが、ジョブディスクリプションという形で役割を確認し、徹底しているということでございます。

社外取締役としての役割としましては、1つ目、戦略的な意思決定ということで、機構のミッションを踏まえて経営陣が提案する機構全体の経営戦略や投資戦略で重点分野などを評価して、自らの知見・経験に基づき経営陣との間で議論を行い、必要な意思決定を行っていくということです。

その際、公的資金を活用した組織としては、機構の業務が終了するまでに、累損を解消し、所要の利益が確保できるように、独立した立場から意見を述べていっていただくというものです。

2つ目としましては、業務執行の監督、これも当然のことですが、監査役とも連携しながら、機構の組織運営や業務執行に係る体制の構築・運用状況を監督し、必要に応じて取締役会において改善を提案していくという形で、改めて定義して、提示して、確認しております。

あともう一つ、林田委員からのご質問にありました、自己投資の件です。投資担当者の担当案件への自己投資によるコミットメント強化策についてですが、今これは検討中、準備中のところではございますが、これを行うに当たっては、当然、政策的意義を十分に満たした案件発掘、案件組成を大前提としてのものでございます。

投資担当者が投資案件に自己資金を投じることで、投資回収に対する直接的なインセンティブとなります。投資検討段階における企業価値の算定、条件交渉などから、投資実行後のバリューアップ、EXITに至るまで、より一層責任を持って取り組むこと、コミットメント強化につながることも期待しております。

また、併せて賞与体系の傾斜強化によるメリハリあるインセンティブ設計と相まって、パフォーマンスに応じたインセンティブをより強化することによって、政策性を大前提としつつも、収益面で結果を出せる体制を整えていきたいと考えております。

また、この制度設計につきましては、弁護士等とも相談し、制度面・法務面で詳細な論点について、年度内を目途に精査を進めている状況でございます。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、次にJOINからご回答をお願いいたします。

〔国土交通省平岡国際統括官〕まず、国土交通省から。中里委員からJOINとJBICの役割分担について、ご質問をいただきました。

JOINは、現地の事業体に出資を行い、それからハンズオンの支援を行うということを主たる業務としております。これに対しまして、JBICは主に融資を担当しているということでございます。

JOINが単独で支援する場合もあれば、JBICが単独で支援することもあれば、また、両者連携して担当すること、ご支援することもございますが、その辺りは、個別具体的な支援ニーズに応じて、必要に応じて連携をして対応させていただいているという状況でございます。

〔海外交通・都市開発事業支援機構細見専務取締役〕続きまして、JOINから社外取締役の件についてお答えいたします。現在、社外取締役5名、社外監査役1名で、それぞれエンジニアリング会社の元役員、民間ファンドの元社長、メガバンク出身者、政投銀出身者、弁護士、大学の先生ということで、専門領域が異なるところから社外役員になっていただいておりますが、毎月の事業委員会の前に、それぞれ個別の事業委員、社外取締役に対して個別に案件を、資料を渡して説明し、また、社内審査の議事録も示しながら、どういう点が論点になったのかということをしっかり示して、それぞれの専門領域から、厳しいコメントもいただきながら議論をした上で、実際の事業委員会に臨むという体制にしております。

また、今年度から、実際の支援決定の前の、デューデリジェンスを始める前にも同様のプロセスを踏みまして、正しい政策的意義が実現されるかどうかということも含めて、案件の初期段階から社外取締役に関与いただいて、支援決定に至っているということでございます。

よろしくお願いいたします。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、今度はJICTからお願いいたします。

〔海外通信・放送・郵便事業支援機構大島代表取締役社長〕ありがとうございます。JICT社長、大島からご説明したいと思います。

原田委員から、社外役員の活用についてのご質問があったと承知しております。私どもの場合、事業委員会の構成員が社外取締役も兼ねておるわけでありますが、社外役員については、現在社外取締役が4名、社外監査役が1名でございます。いずれも様々なご経歴でございまして、総務省関係の政策に関わられた方、あるいは株主の1社でもある商社の役員を務められている方、また、6月からではございますが、米国在住のフィンテックの事業を起こされたベンチャー領域に非常に詳しい方、そして法律ご出身の方ということで、様々なバックグラウンドの方に社外役員をしていただいております。

案件ごとの事業を見極めるところと、それからガバナンスのところを見ていただくところ、これはしっかり分けてございまして、これは私が昨年6月に就任したときに、一番最初に整理をしたところでございます。

案件につきましては、事業委員会の場で、案件の初期段階、DDの開始時、そして認可の過程、それぞれにおいてしっかり委員の皆様にご意見をいただき、審査をいただいているところでございます。

また、頻度につきましても、案件の増加に応じて、定例の月1回に加えて、臨時の開催が月数度に及ぶこともあるというのが現状でございます。

また、ガバナンスに関しましては、通常の取締役会だけではなく、オフサイト等でもご意見をいただき、経営全般に関するご意見、戦略策定に対する知見、こういったものをいただきながら、JICTの経営計画策定、戦略策定に生かしているところでございます。

また、米国在住の役員の方については、ICTサービス事業、あるいはLP出資等の新しい領域についても、最先端の西海岸の状況等のご知見も共有いただき、貢献頂いているところでございます。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、最後にA-FIVE、お願いいたします。

〔農林漁業成長産業化支援機構矢花取締役専務〕A-FIVEの専務の矢花でございます。

まず、土居委員から、情報開示の指摘がございました。これにつきましては、企業の特定につながる懸念があるということで、我々、非公開という扱いにしているのですが、本日のご指摘を踏まえまして、事業者の経営への影響は考慮しながら、適切な情報開示の在り方について検討させていただきたいと思っております。

また、原田委員からご説明ありましたA-FIVEとして追加出資しないのですが、追加の資金ニーズにどう対応していくのかということでございます。これにつきまして、A-FIVEは、出資先につきましては、直接出資しているところと、あと地方にサブファンドを設けてサブファンドと一緒に出資をしている支援先がございます。現在、それぞれについて我々の解散が3年半後に迫る中で、どのタイミングでどういう形でファイナンスをして必要なお金を確保していくのか。我々としては、例えば親会社さんに我々の持ち分を引き取っていただくとか、あるいはサブファンドには地方銀行さんからも支援が入っておりますので、そういうところと相談しながら、適切な引受先を見つけながら、EXITのタイミングを探すということを、関係者と日々の経営の状況をにらみながら、議論をさせていただいている、落としどころを探っているという作業をしてございます。

それと、林田委員からEXITのシミュレーションということでご指摘ありました。今の話とも少し関わるのですが、個々の案件につきまして、そういったサブファンドのGP、LP、地方銀行さん、もちろん支援先と対話を重ねながら、残された時間を活用して、一番いいタイミングでEXITする、それで、支援先については経営が将来にわたって続けていけるような状況を作るということで、お話をさせていただいております。したがいまして、個々にそれぞれの中身が違ってきておりますので、これをシミュレーションという形で示すのは困難かと認識をしております。

また、地方にサブファンドを設けたということで、これはトータルでいきますと53のサブファンドを設けました。そこからEXITをして、サブファンドの出資案件がなくなるところについては、解散ということで17は既に解散をして、今残っているのが36ということになります。この中には、A-FIVE案件を閉じる、EXITとともに、出資案件がなくなれば、これは速やかに解散に持っていくというものがあります。

他方、A-FIVEが出資を引いても、継続的に出資をサブファンドとしてやっていきたいというところもございますので、そこは、どういう形で継続していただくかということも含めて、我々としては議論を継続して、合意点を見つけていきたいと考えてございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

林田委員、お願いします。

〔林田委員〕クールジャパン機構に関して、追加の質問をしたいと思います。審議官からは政策性を満たすことは必須であるというお話があり、社長さんからも、政策的意義は大前提というお話があり、心強く思ったところであります。

そして、私がお尋ねした個別案件について、これは政策性についてどうですかという問いに対して、2つ、DAIZとワインはお答えいただいて、1つは日本酒絡みの点はお答えいただいたし、日本酒のところはかなり長くご説明いただいて分かるのですが、やはり、「人工構造タンパク質由来の繊維素材を開発し、量産技術を確立した」という部分、この事業自体は大変立派な事業だと思います。大変有望なのかという気もいたしますが、これが日本の生活文化の特色を生かしたというのと、どう関係があるのか、あるいは、クラウドを用いて衣服生産の生産管理、コミュニケーションをデジタル化する事業、これについて日本の生活文化の特色を生かしたというのと、どう関連するのかというところはご説明いただけてなかったので、要するに、なぜこういう細かいことをお尋ねするかというと、やはり政策性というところをどれぐらいフォーカスしてやられているのかということの、実例を見るのが一番早いので、説明がつくものしかやりませんというお話を審議官はされているので、説明がつくのかと。では、どういうご説明なのかというのをお尋ねします。

〔翁分科会長〕お願いします。

〔経済産業省商務・サービスグループ茂木商務・サービス審議官〕ご指摘ありがとうございます。2つ、ご指摘いただいておりまして、まず、個別案件について、人工構造タンパク質由来の事業ということでございます。これはある種のタンパク質、繊維をつくるタンパク質を形成して、そこから糸をつくり出すわけですが、これ自体が、日本の繊維産業のプラットフォームを活用したり、あるいは、それが日本のファッションという形で海外に展開できる、そういう意味でのジャパンブランドだというのが我々の認識です。そういう整理をしています。

それから、もう1つのクラウドを使った衣料生産プラットフォーム、これもまさに日本の縫製工場や生地メーカーの産地のプラットフォーム、これをクラウド化して海外に展開していくということでありますので、一種の地場産業の海外展開というようなビジネスモデルを私ども想定しておりまして、したがって、これは広い意味でのCJ機構の投資対象になり得るという考え方です。

最初に、私説明し忘れてしまいましたが、中里委員と林田委員からも、10年前と説明がずれているではないかというご指摘もありまして、支援基準そのものは今、「我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある商品又は役務」と書いてあって、その中で「例えばコンテンツ、衣食住、サービス、先端テック、レジャー、地域産品、伝統産品、教育、観光等」としておりまして、元来の支援基準そのものが、コンテンツとかアニメとか、そういうところにかなり限定をしたビジネスモデルではなくて、もっと広い意味で、日本の強みを何らかの形で海外に展開して、それを日本ブランドとして認識していただいて、その結果としての波及効果を狙っていくというのが本来の事業モデルですので、最初に私が申し上げた2件についても、日本の特色を生かした、CJ機構の支援基準に適合していると考えております。

〔林田委員〕そうしますと、今のご説明ですと、例えば町工場の、ロケットの先端をつくったへら絞りの技術とか、ああいうものもやはりクールジャパンというくくりに、いわゆるその町工場の技術とか、かなり幅広いものがクールジャパンなのだというのは、もともとそうだったということでしょうか。

〔経済産業省商務・サービスグループ茂木商務・サービス審議官〕言葉として、もともとそうだったという言い方は、やや開き直りに聞こえるかもしれないのですが、本来の支援基準そのものは、かなり幅広く捉えておりまして、「生活文化の特色を生かした魅力ある商品又は役務」をさらに具体的にどう展開するかという観点で言いますと、先ほどの新しい先端のテクノロジーとか、地域に根差した産業の技術とか、こういったものも含み得る形で支援基準は設定しております。

ただ、恐らく最初に想定していた分かりやすいものとして、アニメやコンテンツを中心に説明をしたという経緯はあると思いますが、CJ機構の本来のファンクションとしては、そういったものも読み得る形で、組織を組まれているということであります。

〔翁分科会長〕では、土居委員、手短めにお願いします。

〔土居委員〕CJとA-FIVEから前向きなお答えをいただいたのを感謝申し上げます。

私が申し上げたかったのは、1つ、まず、投資機関全体を通じて、このままでは産業投資が一部毀損するかもしれない可能性のある官民ファンドに関して、投資回収率を解明するべきだという意味で申し上げたということで、投資がトータルで十分に回収できる官民ファンドまで全部開示せよということまで言っているわけではないということを、まず1点申し上げます。つまり、ここで言えば、今の段階では、CJとA-FIVEはその可能性があることを懸念しているということで申し上げたということ。

もう一つは、確かにEXIT案件の当該民間事業者の方々に配慮というのは必要かもしれませんが、官民ファンドとして、むしろ出資者側として、国民の財産である産業投資を使っていることに踏まえて、国民に対しての説明責任を果たしていただくことをぜひともお願いいたしたいですし、理財局におかれましては、そういう方向で、いい形での情報開示をお願いしたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

ほぼ質疑が終わりまして、私も、クールジャパン機構を長く拝見しておりまして、Jカーブが毎回大きく狂ってくることに対して、私たちとしても非常に責任を感じているところであります。

今回本格的に再建案を検討していただいたわけですが、いろいろ今までのガバナンスにも課題があったと本当に思っており、今の時点でこういう取り組みをやっとやるのだなというところも、かなり感じました。例えば、委員会と取締役会の整理とか、モニタリングの頻度とか、この辺り、私も産業再生機構におりましたが、そういうことは当初から取り組んでおりました。また、もう一つ感じましたのは、やはり減損率とか投資の成績が、今までの時点ですが、13件のうち9件、投資成績がネガティブということを考えると、再生ものは41件ありましたが、ほとんど黒字で赤字は本当に少なかったので、やはりクールジャパンの分野と官民ファンドの相性の悪さを改めて感じました。先ほどから皆様もご意見あったのですが、クールジャパン政策を推進していく上で、官民ファンドが本当に適切な政策手段なのかということは、改めて考える必要があると感じております。

ここまで何回もこの機構の議論をしてきておりまして、今後私たちどういうふうに見ていくかということを考えたときに、さすがに撤退ラインをきちんと決めて、もうこれ以上、こうなったらもうここは統合又は廃止又は新規案件をやめるとか、いろいろな考え方はあると思うのですが、そういったことをしっかり決めていただく時期に来ていると思います。

皆様しっかり頑張っていただいており、今、いろいろ本格的に検討されている方々も、何とかやっていこうと思ってやっていらっしゃるので、それを見ながら、どういう撤退ラインを決めていくのがいいのかを、ぜひ、財務省と一緒にご検討いただきたいと思っております。ラストチャンスだと思います、本当に。

他の機構も様々な課題を抱えていて、官民ファンドはすごく難しいと思っています。政策性と収益性をかなえる、ベン図の真ん中のところをうまくやる、本当にナローパスだと思っていて、だから、それが合う分野と、そうでない分野はあると思っています。その意味で、厳しい環境でありますが、それから海外をやっていらっしゃるところは特に、いろいろ経済環境が大きくグローバルに変わってきているので、いろいろリスクも増えてきていると思うので、しっかり取り組んでいただきたいと思っております。

ということで、この辺りで質疑を終了したいのですが、本日の議論を踏まえまして、原田課長から、ご発言をお願いしたいと思います。

〔原田財政投融資総括課長〕原田でございます。座長におまとめいただいたので、申し上げることはあまりないと思うのですが、支援基準の話がございましたが、法定の支援基準を踏まえるのはまさしく当たり前のことですが、その中で、最後のチャンスという言葉がありましたが、まずは収益性にとことんこだわってみようと。潜在的に収益性にこだわった案件をやった上で、結果が出ないというのは、何を意味するかというと、それはファンド自身の事業運営能力が検証されていると思いますので、それを見ていく。今後見ていく中でも、新規、それから新規でなくても見逃せないような、かなり大きな案件も実はあるわけで、大小あるわけですが、そういったものについてはEXITとか減損というタイミングよりも前に、このプロジェクトはきちんと遂行できているのか、売上げは上がっているのか、そういうこともしっかり見ていく、検証をやっていく。そういう意味では、まさに経産省の審議官の方もおっしゃったように、今引かれた計画ラインというのは瀬戸際の、最低限のラインということですので、これが普通にいけば絶対達成できるラインとして引いたわけですから、今後、官民ファンドを分科会等で扱っていくときに、きちんと達成できているかは、CJ・経産省にしっかり全力で成果が出るように取り組んでいただきたいですし、財務省としてもそれをしっかり後押ししていく、そういうふうに考えてございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕しっかりとモニタリングをしていただきたいと思います。

それでは、4つの官民ファンド及びその関係省庁の担当部局の皆様、どうもありがとうございました。ここでご退出いただければと思います。

(CJ、JOIN、JICT、A-FIVE退席)

〔翁分科会長〕最後に1点だけ、佐野計画官よりご報告があるということで、お願いいたします。

〔佐野計画官〕過去に産業投資で出資を行っております産業革新投資機構傘下のファンドにおける投資枠の拡大について、ここでご報告申し上げます。

経済産業省所管の産業革新投資機構、JICでございますが、傘下のJICプライベートエクイティファンドについて、ファンドの投資枠をこれまでの4,000億円から1兆1,000億円に拡大いたしました。

この背景ですが、近年、国内でも大型の事業再編案件が増加傾向にあり、その中には、日本の産業構造の転換や競争力強化に大きく貢献する政策的意義の高い案件も存在しているということで、こうした案件の増加に対応することとしたものと承知しております。

ご報告は以上です。

〔翁分科会長〕林田委員、お願いします。

〔林田委員〕今おっしゃられた大きな案件がいろいろ相次いでいるというのは、例えばどういう案件を念頭に入れた話なのか。あるいは、1兆1,000億円というのは相当大きな規模ですが、それを必要とするのはどういうイメージなのか、私、ぱっとイメージが湧かないのですが、その辺りはどうでしょうか。

〔川村委員〕関連する質問です。今まで4,000億円の枠の中で2年強、これ設立されて実績ゼロと承知しています。1件もない。ゼロ円です。その状況で抽象論と、この前段の官民ファンドの議論ではないのだが、実績2年間でゼロ件、ゼロ円のファンドに、何でさらに1兆何千億円ですか、1,000億円案件が5、6個実はありますとか、こういう案件で5,000億円のものがあって、どうしてもこのファンド出すのだとかいうのでもない限り、いいのかなと思うんですよ。

今日の前段、長々ご議論いただいて、我々も議論した話に関連して、認めてしまったというから、ノーとは言えないのでしょうが、これは相当厳しくモニタリングしないと危ないと思います。

〔翁分科会長〕ご回答、お願いします。

〔佐野計画官〕お答え申し上げます。案件につきましては、経産省からは、業界の再編に関連するような大きな案件がパイプラインとして何種類も寄せられていると聞いております。インサイダー的な話もございますので、ここで個別のことを申し上げることはできませんが、いろいろなものに対応できるようにと、事業再編の話はたくさんあるということでございます。

おっしゃるとおり実績ゼロの状態が続いておりました。2020年9月にJICキャピタルが設立されまして、相談案件自体はいろいろあったと、具体的な提案を行うところまで至った案件もあると伺っております。

ただ、やはり条件面であるとか、あと産業競争力強化法に基づく投資基準がございますので、JICとして取り組むべき事業再編に該当するのかといった内容面でなかなか合意できず、案件形成にならなかったということが続いていたと聞いております。

第1号案件は2022年8月末に、成約に至っていると聞いております。実績ゼロではございましたが、コロナ禍であるとか、ウクライナ危機、また、気候変動など、大きな状況の変化を乗り越えるために、経産省、JICとしても、我が国の産業構造の転換に向けた大きな動きに貢献していきたいということで、今回の認可に至ったということでございます。

〔齋藤理財局長〕いいですか。すみません。JICやINCJに5年間出向していた関係者として、少し補足をさせていただきますと、今、佐野からもお話を申し上げたとおり、JICPEについては、なかなか設立後も案件がなかった。ただ、報道ベースで出たところで申し上げると、最近ですと東芝で名前が出ている、これはもう報道で出ていますので、インサイダー云々という話ではないと思います。それから過去、日立グループの会社をカーブアウトさせるときなどにも、JICPEが検討主体ということで名前が挙がったことがございます。

そういう意味では、日本の上場大企業のカーブアウト案件等で、JICPEが検討している案件が複数あり、そういう企業の性質上、まさにインサイダーになりますので、固有名詞は申し上げられませんが、それなりの規模になるものがあるということでございます。それもあって、私どもとしては、経産省からの協議に同意をしたということでございます。

ただ、今日の前半の議論にも少し関係するのですが、官民ファンドとしての収益性を考えるときに、もちろん1つ1つの収益性をきちんと確認した上で、投資の判断をするということはもちろんですが、それに加え、ファンドとしての案件全体のポートフォリオをどういう風に構築していくのか、これも非常に重要でして、大型案件をやる場合は、当然その1件がこけただけで、もうファンドとして、なかなかプラマイをプラスに持っていくのが、損益プラスに持っていくのが難しくなったりもしますので、特に大型案件をやる場合には注意が必要なのだろうと思っています。

そうした意味では、今回、経産省から、JICPEの投資枠の拡大の相談があったときに、経産省の担当局長に対して私から、その1件でファンド全体の損益に大きな影響を及ぼしかねないような大型案件については、私ども理財局もJICの出資者の立場から注視していきたいということは申し上げて、経産省からも了解を取っているということでございます。大型案件については、これまでの官民ファンドの個別案件以上に、我々理財局としても注意を払って見ていきたい。そのように思っておりますので、ご理解いただければ幸いでございます。

〔林田委員〕すみません、今のお話で大分分かったのですが、要するに、大きな案件の相談を受けますと、それを止める力は財務省にはないと考えてよろしいのでしょうか。要するに、相談には乗るし、いろいろ助言はするが、投資判断そのものはそれぞれの官民ファンドが多分持っているのだと思います、権限というか投資判断を。そうすると、どうしてもやると言われたときには、ブレーキをかけられるのはどなたになるのでしょうか。それは、公的な立場の人というか、政府サイドにはいらっしゃらないと考えてよろしいのでしょうか。

〔齋藤理財局長〕現在の制度的な枠組みとしては、JICからファンドにお金を出すところについては、そこの出資を決定するときには、経済産業大臣の認可を受けるというプロセスを必ず踏むことになっていますが、お金を出した後の個別のJIC傘下のファンドが、具体的にどういう個別案件をやっていくのか、そこについては各ファンドに委ねられているということでございます。

ただ、JICPEと、それからJICのVC、この2つのファンドについては、他のLP出資している民間とは違って、JICの子ファンドですので、そういう意味では、経済産業省がJICに対する監督権を行使する、その枠組みの中で、子ファンドに対する関与について、子ファンドに対してダイレクトにではなくて、JICに対して何がしか意見を言うということは、制度的にはできることになっています。

〔翁分科会長〕渡部委員。

〔渡部委員〕切り口が少し違うと思うのですが、先ほど出た産業構造を変えるとか、その業種のコンソリデーションを進めるとかいう場合において、一定のファンド、米国資本市場であるように、俗に言うファンド資本主義的な役割が必要だというのは理解するのですが、今の情勢の中で、官というか、それが出ていかなければいけないほど、民間の外資系含めた資金がないのかという素朴な疑問があるというのを1点申し上げたいと思います。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

いずれにしましても、しっかりと、財務省としても、モニタリングしていただきまして、また、こちらでもご報告をいただくようにお願いできればと思っております。

それでは、予定の時間を過ぎてしまいましたが、本日の議事はここまでといたします。各委員より頂戴いたしましたご意見につきましては、今後の財投計画の策定にご活用いただければと思います。

また、追加のご意見、ご質問がございましたら、事務局までお寄せください。

本日の議事内容につきましては、別途事務局より記者レクを行います。議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、ホームページに掲載いたします。

次回の開催日程は後日、事務局よりご連絡いたします。

本日もご多忙の中、誠にありがとうございました。これにて閉会いたします。

ありがとうございました。

15時52分閉会