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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和4年7月28日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和4年7月28日(木)10:27~12:01
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.令和3年度財政融資資金運用報告書

  • 3.財投施策を通じた地方公共団体等との連携について

  • 4.令和4年度政策コスト分析

  • 5.質疑・応答

  • 6.

配付資料

資料1-1

令和3年度財政融資資金運用報告のポイント

資料1-2

令和3年度財政融資資金運用報告について

資料1-3

令和3年度財政融資資金運用報告書

資料2

財投施策を通じた地方公共団体等との連携について

資料3-1

政策コスト分析(令和4年度)の概要

資料3-2

財政投融資対象事業に関する政策コスト分析(令和4年度)

出席者

分科会長

百合

齋藤理財局長

彦谷理財局次長

柴田総務課長

原田財政投融資総括課長

奥村資金企画室長

原山財政投融資企画官

丸山管理課長

佐野計画官

大江計画官

土居丈朗

渡部賢一

渡辺

臨時委員

江川雅子

冨田俊基

中里

林田晃雄

原田喜美枝

専門委員

川村雄介

家森信善


10時27分開会

〔翁分科会長〕予定の時間より少し早いのですが、皆様お揃いになりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。

議事に移ります前に、齋藤理財局長よりご挨拶をお願いいたします。

また、理財局の人事異動がございましたので、併せてご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。

〔齋藤理財局長〕皆様、おはようございます。ご紹介いただきました新しい理財局長、齋藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は委員の先生方、ご多忙な中、ご出席いただきましたことをまずもって感謝申し上げたいと存じます。

私自身の財投分科会との関わりというのを振り返らせていただくと、もう20年余り前になるのですが、当時、計画官の補佐として、財政投融資改革後、2年目の財投編成だったと思いますが、担当している機関の財投編成上の論点について説明をさせていただいたというのが一番最初だったと記憶いたしております。

また、近年では、私昨年の6月まで、財投の対象機関でもあります官民ファンド、産業革新投資機構に、5年ほどCFOとして出向しておりましたので、機構の投資状況のご説明ですとか、あるいは途中、産投出資の追加をお願いするような場面もありましたので、その際のご説明などにも、お邪魔をさせていただいた記憶がございます。

いつの分科会におきましても、委員の先生方からは、それぞれのご専門、あるいはバックグラウンドに裏づけられた、非常に的確で貴重なご意見を頂戴してきたと思っております。引き続き、財投について、温かく、また、時には厳しく、ご指摘を賜れば幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、財務省、人事異動がございましたので、理財局の新体制、私からご紹介させていただければと存じます。

まず、私の右隣、委員の先生方からご覧になって左側のメンバーを紹介させていただきます。

私の右隣ですが、担当の理財局次長、彦谷でございます。

〔彦谷理財局次長〕よろしくお願いします。

〔齋藤理財局長〕それから、その隣、総務課長の柴田でございます。

〔柴田総務課長〕よろしくお願いします。

〔齋藤理財局長〕それから、計画官の1人目ですが、政府系金融機関等を担当いたします佐野でございます。

〔佐野計画官〕よろしくお願いします。

〔齋藤理財局長〕それからもう1人の計画官、地方向け等を担当いたします大江でございます。

〔大江計画官〕よろしくお願いします。

〔齋藤理財局長〕それから、翁先生を挟んで反対側でございますが、財政投融資全体を取りまとめます財投総括課長の原田でございます。

〔原田財政投融資総括課長〕よろしくお願いします。

〔齋藤理財局長〕それから、資金企画室長の奥村でございます。

〔奥村資金企画室長〕よろしくお願いいたします。

〔齋藤理財局長〕管理課長の丸山でございます。

〔丸山管理課長〕よろしくお願いいたします。

〔齋藤理財局長〕それから、財政投融資企画官の原山でございます。

〔原山財政投融資企画官〕よろしくお願いします。

〔齋藤理財局長〕理財局新体制、このメンバーでこの秋から冬にかけての財政投融資の来年度の財投計画の編成ですとか、あるいは財投機関のモニタリング、フォローアップ等を行ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、議事に移ります。本日は、令和3年度財政融資資金運用報告書、財投施策を通じた地方公共団体等との連携について、令和4年度政策コスト分析の合計3つの議題についてご審議いただきます。

まず、令和3年度財政融資資金運用報告書について、原田財政投融資総括課長より説明をお願いいたします。

〔原田財政投融資総括課長〕財投総括課長を拝命いたしました原田でございます。委員の皆様には引き続きご指導、ご鞭撻いただきますよう、よろしくお願いいたします。

それでは、早速、資料1-1の1ページ目をご覧ください。

令和3年度の財政投融資計画の運用額、ご覧のように15兆4,070億円となっております。資料の下段に、近年の実績をグラフ化しておりますが、近年では執行率が70%台で推移しておりましたが、ご承知のとおり、去年から引き続き低い率となっておりまして、令和3年度におきましては、33.8%となってございます。新型コロナの影響を受けた企業の資金需要に対応するため、十分な計画規模を確保した一方で、政策金融機関を中心として資金需要に落ち着きが見られてきたということが主な要因でございます。

それでは、資料1-1の2ページ目をご覧ください。短期運用実績についてご説明いたします。資料の上段にございます表をご覧ください。

令和3年度中の財政融資資金の短期運用額は319兆4,103億円、それから回収額は321兆823億円となってございます。

残高につきましては、前年度末比1兆6,720億円減少の7兆5,174億円となってございます。主な内訳は交付税及び譲与税配付金特別会計が約6兆円、それから年金特別会計が約1.4兆円となってございます。

運用額と回収額の数字が非常に大きい、この原因としては、交付税特会の貸付・回収が数日単位、それから年金特会の貸付・回収が1か月程度の単位で繰り返されている、この累計となっている結果でございます。

それから、資料の下段左側にございますグラフをご覧ください。令和3年度末の財政融資資金資産現在高は、前年度末比279億円減少の130兆4,215億円となってございます。令和2年度末とほぼ同水準ということでございます。

令和3年度末現在高の主な機関の内訳でございますが、地方公共団体向けが42.6兆円、それから日本政策金融公庫向けが21.4兆円、都市再生機構向けが9兆円となってございます。

それから、財投債と預託金の関係でございますが、下段右側のグラフをご覧ください。令和3年度末における財投債の発行残高でございますが、前年度末比14兆208億円減少の104兆6,242億円。それから預託金残高は、前年度末比3兆7,138億円増加の32兆4,486億円となってございます。預託金残高が増加しておりますが、これは日本政策金融公庫、それから、中小企業基盤整備機構などからの預託金が増加したことが主な要因となってございます。

続きまして、令和3年度における財政投融資特別会計財政融資資金勘定の損益について、ご説明いたします。3ページ目をご覧ください。

資料の上段左側にございます表でございますが、令和3年度の財政融資資金勘定のBSでございます。赤枠を付しているところでございますが、本年度損失が304億円となってございます。この損失は翌年度に繰り越しまして、現在、1兆3,184億円ございます金利変動準備金から補足して処理することとなります。

右側は、今後どのように、この赤字といいますか損失が展開するかでございますが、令和4年度以降も、しばらく数年の間は損失が継続する可能性があるということでございます。

最後に、令和3年度財政融資使途別分類表についてご説明いたします。資料下段の円グラフをご覧ください。

令和3年度の運用状況を使途別に見ますと、総額15兆4,070億円のうち、教育が4兆7,578億円、社会資本が3兆5,702億円、その他が1兆4,841億円となってございます。

令和3年度におきましては、科学技術振興機構、いわゆる大学ファンドでございますが、これに対する貸付を実行したことなどにより、前年度に比べて教育に対する運用額が増加してございます。1兆円だったのが4.8兆円ということでございます。

令和3年度財政融資資金運用報告についての説明は以上でございます。

それから、財投施策を通じた地方公共団体等との連携について、資料2をご覧ください。

財投機関につきましては、地方公共団体、それから地方の事業者、金融機関等と連携して課題解決の取組に支援をしていっているわけでございますが、地方拠点、それから人的リソースが不足するということから十分な広報やネットワーキングができない。それから地方への活動が不十分にとどまるというところもございます。

こうしたところ、我々も財務局というチャネルを有するわけでございますから、財投機関側、地方関係者側、双方のニーズ把握に努め、これら関係者をつなぐ様々な取組を実施してきたところでございます。

特に、去年1年は、こういったことに積極的に取り組んだことから、幾つかその経過をご説明いたします。

まず、①でございます。官民ファンド等の地域金融機関等向け合同説明会でございます。

特に、新しくできた官民ファンド中心でございますが、脱炭素事業、まちづくり、大学発ベンチャーといった支援するファンドにおきまして、申し上げたとおり地域拠点がないとか、ネットワーク構築が地域と不十分であるといった問題がございます。

この点につきまして、合同説明会を中国財務局と共同で開催したところでございまして、地域金融機関、地方支分部局、それから地公体と、こうした人にも来てもらったということでございます。

オンライン開催であったということでありまして、各地、本店担当者、それから、説明には参加しないが、その場に参加した官民ファンドでありますとか、我々、それから、ほかの財務局、こうした人間も参加が可能になったということでございます。

次のページでございます。地域金融機関と官民ファンドの人材交流でございます。

地域活性化の実現には、地方でエクイティ資金を回す人材の拡充が重要ということでありました。各官民ファンド等の人材受入情報を理財局で集約いたしまして、地銀協、第二地銀協を通じて、全国の地銀に展開する取組を実施してございます。

実際に、この取組により、官民ファンドにおいて人材受入れを行っている例も数例出てきていると認識しているところでございます。

それから、下段ですが、鉄道運輸機構による離島航路関係地方公共団体向け説明会でございます。

鉄道運輸機構、船の建造支援を行っているわけでございますが、離島の対象地域におきましては、支援実績が少ないでありますとか、そもそもこうした制度があることを知らないことがあるのが実情でございます。

福岡財務支局、それから長崎財務事務所主催で、こうした地方公共団体向けにオンライン説明会を開催したところでございます。これも制度周知ということで、意義があったと考えているところでございます。

次のページでございまして、PFIに関する知見を地公体と共有していくということでございます。地公体の多くが、財政面の課題解決手段としてPFIといった官民連携手法を活用したいと。しかし、その手法が分からないでありますとか人材が足りないといった課題が寄せられてございます。PFI機構が、本省と財務局との間での会議の場に参加してもらうと、我々から働きかけまして、そのPFI機構からPFIの課題とか解決方法、具体的な使い方といったことから説明をしてもらいました。

今後、このように財務省、財務局がPFI機構と地公体のつなぎ役を果たしていくことが重要であると考えたところでございます。

それから、下段でございますが、公営企業、上下水道や公立病院といったものでございますが、その業務効率化等の経営課題につきまして、財務省・財務局が、地方公共団体の首長さんなどへ直接改善を働きかけるために、その場に手交可能な好事例集を作成いたしまして、これを横展開した話でございます。これも、今のところ非常に有効に活用されていると聞いているところでございます。

次のページでございますが、公営企業に関して、公営企業の経営に関しましては、従来から各地でセミナーが開催されてきたところでございますが、我々特に総務省と連携を、共有して、総務省の公営企業課長自らこのセミナーに参加する。総務省・財務省の連携をしっかり示していくことが、課題解決にプラスの影響を与えていくのではないかと考えたところでございます。

それから、次の⑦でございますが、法人等実地監査でございます。ご承知のとおり、一番の目的は財政投融資の償還確実性をしっかり保っていくことでございますが、さらに前向きな地域における課題解決、それから新たなニーズを発掘することにも使えないかということで、積極的に意見交換、それから将来の展望の共有ということを行ってきたところでございます。下に詳細を書いておりますので、ご覧ください。

それから、次のページですが、財務状況把握の活用でございます。これも従来からやってきた財務局による財務状況把握でございますが、その有効な活用の仕方につきまして、北陸財務局と東北財務局の例がございますが、市や町の検討の場に、直接、財務局が参加していく機会が増えたということでございます。そういうやり方があったのか、こういう情報があるのかということが、市や町のレベルで認識されたということでございます。

もう一つ、⑨でございますが、財務状況把握の活かし方の好事例につきまして、好事例に出てきた、実際にその好事例についての取組を行った団体、地方公共団体と、これを実際参考にしたいという地方公共団体につきまして、それぞれの管轄の財務局が仲介してオンラインでつなぐ、そして意見交換を行うといった例でございます。これも、好事例の展開には非常に役立ったと考えてございます。

我々もこういった、財務局というチャネルを積極的に活用して、今後、自治体との連携を深めていきたいと考えているところでございます。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、次に、令和4年度政策コスト分析について、奥村資金企画室長よりご説明をお願いいたします。

〔奥村資金企画室長〕資金企画室長の奥村でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、資料3-1、表紙めくっていただきまして、1枚紙の資料でございます。こちら、今回の政策コスト分析の概要でございます。

令和4年度分につきましては、25機関を対象に集計しており、令和3年度分と同じ機関数となっております。

内訳としましては、令和4年度に財投要求がなかった国立がん研究センターが対象から外れ、新たに全国土地改良事業団体連合会が追加されております。

その下、参考としまして、この集計対象のほかに、科学技術振興機構(JST)に対する国からの出資金1.1兆円による機会費用2,966億円を試算しております。JSTにつきましては、市場運用を行い、その運用益から大学への助成を行うものですので、長期的な収益目標率や大学への助成目標額が掲げられており、我々としましても、目標に向けてしっかりと頑張ってもらいたいと考えております。

他方で、大学への具体的な助成方針は今後決定されるものであること等を踏まえまして、コスト分析に当たりまして、既に確定している国からの出資金1.1兆円による約40年間の機会費用を対象に試算させていただいております。

その下の2つ目の黒ポツですが、この25機関全体の政策コストの総額は1兆6,492億円となっており、令和3年分が3兆6,946億円でしたので、単純に比較しますと、2兆454億円の減少となっております。この計数だけを見ますと、政策コストの総額が大幅に減少したように見えます。

この要因としましては、日本政策金融公庫、危機対応円滑化業務勘定におけます新型コロナ関連の損害担保事業につきまして、事業規模が縮小したこと等によりまして、損害担保補償引受額、補償金の支払いですが、これがかなり減少しております。これによります機会費用が大きく減少し、約1.5兆円になりますが、こういったことが大宗を占めているところでございます。

その下の黒ポツ、政策コストにおける新型コロナの影響の例について、昨年度と同様に、新型コロナウイルス対策融資を行います日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、福祉医療機構の3機関について、一定の条件の下、令和4年分の新型コロナウイルス対策に係る政策コストを試算したところ、約1.9兆円であると試算されております。昨年度、令和3年分の試算が約4.7兆円となっておりまして、単純に比較しますと、約2.8兆円の減となっております。先ほどご説明させていただいたとおり、日本政策金融公庫の危機対応の部分におけます新型コロナ関連の損害担保事業について、事業規模が縮小したことのほか、日本政策金融公庫の国民一般向け、中小企業者向け、こういったところの出資金の減に伴う機会費用の減等によるものでございます。

また、こうした金融機関におきましては、新型コロナウイルスの影響によりまして、今後、貸倒れ等が増加することも見込まれるところでありますが、実際にどの程度、決算に影響を及ぼすか判明するのはもう少し先でありまして、現時点ではこうした影響を適正に見込むことが難しいため、従来の手法により推計しております。

従来の手法といいますのは、例えば、日本公庫の中小部門におきまして、貸倒償却率について、令和2年度実績までの5か年の加重平均を採用するなどでございます。

なお、事業系の機関、空港整備に係る航空需要や、病院の患者数等につきましては、新型コロナの影響を見込んで推計を行っております。航空需要でしたら、国内線は令和4年度、国際線は令和6年度に、従来の水準まで回復するだろう、病院は3年以内に従来の水準まで回復するだろうという見込みでございます。

資料右下の政策コスト分析の前提金利、スポット・レートのグラフをご覧ください。黄色い線が令和3年度、赤い線が今回の令和4年度でございます。今回、若干金利が上昇しておりますが、それほど大きくは変わっていないかと思っています。

その上の青い線が感応度分析の前提となる金利でございます。こちらについては、恐縮ですが、資料3-2の3ページをご覧ください。

当分科会で、これまで前提金利の設定如何が非常に重要であるというご指摘をいただきまして、一昨年の令和2年度分析から感応度分析として、マイナス金利政策導入前ケースを追加しておりまして、今回も同様に分析を実施しております。

これによりますと、日銀の黒田総裁がマイナス金利導入の発表をした前日の、平成28年1月28日の金利を前提にしますと、今回の基本ケース対比で、政策コストが約2.1兆円増加、これは昨年度の分析ですと、約2.7兆円増加しておりましたので、金利次第では大きく政策コストが増えるという結果となっております。資料の真ん中、矢印下の青の括弧書きにも記載しておりますが、やはり、将来的な金利の変動リスクは大きいことを前提に、複数の前提によって政策コストを捉えていくことが重要であることには変わりがないと考えております。

大変恐縮ですが、再度、3-1の資料にお戻りください。

こちら、資料左下の表をご覧ください。政策コストを構成要素別にしたものでございます。昨年度と4年度を比較した増減額を記載しております。

左から2番目、①国の支出欄がマイナスの1,539億円。3番目の②国の収入欄がプラス1,657億円、どちらも1,500億円前後の増減額となっております。

この資料には記載しておりませんが、差額の中身を簡単にご紹介させていただきますと、①の国の支出につきましては、主なところでは、鉄道運輸機構の建設勘定と自動車安全特別会計、空港整備のほうですが、これは分析期間が1年間短縮したことによる補助金の減の影響によりまして、コストのほうが大きく減少しているところでございます。

また、②の国の収入につきまして、主なところですと、同じく自動車安全特別会計の空港整備で、需要を少し堅めに見たところで、新規借入の償還額の増加等に伴いまして、余剰資金が減少するということで、国庫納付が減少、これは逆にプラスのコストになるのですが、同じく都市再生機構におきまして、実績を踏まえまして、修繕費等の賃貸住宅業務費が増加したことによりまして、国庫納付が減となっておりますが、日本政策投資銀行におきまして、特定投資業務の業務完了時期が延びたことで、新規の貸付によりまして利ざやを稼げるということで、逆に国庫納付が増えるということで、こちらの3機関を足しますと、大体この差額が説明できるというところでございます。

③の国からの出資金等による機会費用、マイナスの2兆571億円ですが、これは先ほどご説明しました、日本公庫の危機対応円滑化業務の損害担保に係るもの、約1.5兆円ほど減っておりますが、これが大宗を占めるところでございます。

簡単ではありますが、私からの説明は以上でございます。

〔翁分科会長〕ご説明ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からのご意見、ご質問をお願いしたいと思います。オンラインでご出席の委員の皆様については、ご発言の際、チャット欄に、その旨をお書きいただければと思いますし、それがうまくいかない場合は挙手ボタンでお示しください。チャット欄等を確認しながら、指名させていただきますので、そのままお待ちください。

ご発言の際には、資料を引用される場合、資料番号と該当ページをおっしゃっていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、渡部委員、土居委員、林田委員、順番にお願いいたします。

〔渡部委員〕ありがとうございます。2点ございます。共に資料1-1です。

1点目は、1-1の1ページです。執行率の低さが際立ちます。令和2年度に比べても3年度は、33.8、32.6、さらに低下しています。政策金融というか、その実行スピードなどいろいろ現状の課題があって、これらを踏まえて令和3年度の計画があったわけです。現状は十分な量の確保という段階も過ぎ、それからいわゆる実務上の目の粗さというのもほぼ解決し、民間銀行も出てきているという中では、政策金融の数字のつくり方、来年度に向けて、ノーマルというかせめて過去と同じような、70数%のところへ戻しても良いと考えます。その辺いかがでしょうかというのが1点目です。

2点目は、同じ1-1の3ページです。上段に期間損益304億円の損失計上と同時に、もう一つは、アーニングス・アット・リスク分析が出ています。FRBの利上げ云々含めて、世界中のエコノミスト等はむしろ、IMFもそうかもしれませんが、世界景気が後退するのではないかというような議論も逆に出てきています。そうすると、いわゆる信用リスクというか、信用コストというか、その増大も今後可能性が出てくるということになります。当然、金利情勢の分析は大事ですが、バリュー・アット・リスクというか、そういった分析もどこか加味していくというのが、今後の展開、今後の景況情勢を踏まえれば重要ではないかと考えます。

以上、2点でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、土居委員、お願いします。

〔土居委員〕ご説明ありがとうございました。財政融資資金運用報告で1点、それから政策コスト分析で1点、意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、財政融資資金運用報告ですが、資料1-1の3ページに、令和3年度の結果が示されていて、本年度損失は304億円であるというご報告をいただいたわけであります。もちろん、先ほどのご説明にもありましたように、これは金利変動準備金で対処するということは、金利変動準備金そのものの意義という意味においてもかなっていることだと思いますし、今一度改めて、金利変動準備金の意義を確認できたのではないかと思います。

一時、金利変動準備金をほぼ払底してしまった時期もあったわけでありますから、やはりこれから、いわゆる逆ざやになるということになりますと、損失をある程度勘定せざるを得ない。けれども、損失を国民負担に直ちにしないためにも、金利変動準備金できちんとそれをバッファーとして活用していくということで、引き続き金利変動準備金が存在する価値というものは非常に大きいものであるということですので、今後も引き続き、金利変動準備金が、そこに何かすぐには使わないたまり金があるのではないかというような、そういう変な言動に惑わされることなく、こういう逆ざやになった状況が現にあり、それを踏まえた上での金利変動準備金があるということを、しっかり国民にも広く理解していただくようにしていく必要があるのではないかと思います。

それからもう1点は、政策コスト分析で、参考ということにはなっているわけですが、科学技術振興機構の機会費用2,966億円、これは計算されたということで、これまた意義があると思います。

これは、確かに、他の財投機関と計算方法が必ずしも同じような形で計算されているわけではないという意味もあって、あくまでも参考ということなのかもしれませんが、いわゆる財投機関に含まれるJSTなわけですから、そういう意味では、計算し続けるということは非常に大事なことであり、かつ、政策コストの合計、25機関の対象には含めていないとはいえ、あくまでも、論理的には同じような考え方に基づいて計算された機会費用であるということでありますから、広くこれを国民、特にJSTの助成勘定に関わる方々に、これだけの機会費用がかかっているということを重く受け止めていただくということを、ぜひしていただきたい。この機会費用があるということを踏まえて、しっかり世界に伍する学術研究をしていただき、国民にその便益を還元していただくということを、関係当事者には周知していただきたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

林田委員、お願いします。

〔林田委員〕ご説明ありがとうございました。私は、運用報告、それから地方自治体との連携、あと資料2でもう一つ、それから政策コスト分析と、いっぱいあってすみません。

まず運用報告です。渡部委員もおっしゃられました、執行率が相当低いということです。コロナ融資は資金需要の見込みが難しいということがありますし、この執行率の低さを必要以上に咎めて、無理に使わせるということはあまり建設的ではないので、全体としてはやむを得ない部分があると以前申し上げたとおりの意見ですが、過去の資料を振り返り、例えば2021年12月9日の分科会資料1-1、17ページ。これはコロナ関連融資のストックの推移のグラフだったのですが、それを見返してみますと、明らかに令和3年度のコロナ融資の計画を策定、決定した時期には、コロナ融資の増加ベースが明確に鈍っておりました。

あと、借手側の事情を考えれば、過大な借金を負うということに、非常にナーバスになっているということもありますので、これからじゃんじゃん出ていくということは、多分見通しにくかったのではなかろうかと思います。

ですので、そうしたところも実態をきちんと見積もった上での計画策定だったのかという点については、反省というか、検証をして、今後の適正な財投計画編成に生かすべきだと思います。

特に、このとき日本公庫の分がすごく多くて、その分を計画額とか、更に弾力も考えると、40兆円ぐらいお金を出せるという計画になっています。これは、りそなグループ全体の貸付残高に匹敵する規模でありまして、メガに次ぐような金融機関が新たに生まれるほどの融資の枠を取る必要が本当にあったのかという観点も考えたほうがいいのではないかということです。

それから1点、資料1-1の2ページで、預託金がかなり出ているというお話がありました。預託金というのは、昔なくしたはずですが、これが出てきてしまっている。これは一時的なものと考えてよろしいのか。一過性というか、本来ないけれども、コロナか何かの情勢によって出てきているものなのか、それは回収の目途はどうなのかということも、この際聞いておきたいと思います。

次に行きます。資料2、3ページです。

PFIについて久しぶりに私、目に触れて、これはかつて民活の何か1つの、民活のためにすごくいいものだということで、ここでも議論されたと思います。昔の議事録などを振り返りますと、2011年末の当分科会で、PFI機構の設立が了承された際、A-FIVEと並んで業績への懸念が示されていましたが、調べてみると、PFI機構の業績は好調なようです。それはそれで結構なのですが、実際のその事業がどうなっているのかがよく分からなくて、PFI機構のホームページを見てもよく分からなくて、いろいろ事務局の方にも情報提供いただいて調べたところ、実績評価という文書が内閣府のホームページにありました。ただ、その中身を読むと、各事業の公益性とか公共性とかいろいろ項目があって書かれているのですが、ほぼボイラープレート化というか、定型化されていて、どれを見ても一緒、どうこうしており公共性、公益性があるというお定まりの文章になっていて、実際どういうことをやっているのかさっぱり分からない。

そこで考えたのですが、官民ファンドで赤字が出る、累積赤字が出る、それが解消しないとなると、いろいろなチェックが入りますが、官民ファンド自体の業績がそう悪くない場合には、何をやっているのか、我々のところにPDCAサイクルが回ってこない。これは、何がしかの形で、あそこはこうなっているということを、時々は目に触れておいたほうがいいのかなということを感じました。

取り急ぎ行きます。資料2の5ページです。

例えばこの、別にやり玉に上げるわけではありませんが、関西国際空港で万博の話があると。新たな賑わいを創り出して活力を高めたい。中部国際空港では、インバウンドの旅客をいかに増やすかが課題。

私も大阪万博の成功やインバウンド需要の復活を願っている1人ですが、財政によって後押しする以上はコロナ情勢も踏まえつつ、どれほどの来場者があるのか、あるいは海外からの人出は順調に回復するのか、訪日外国人客は政府目標どおりの2030年6,000万人という数を本当に達成するのか、そうした政府目標を前提とした空港の施設整備の進捗スピードに妥当性はあるのかといった点は冷静に検討すべきかと考えます。

財務省が観光客の政府目標に口を出すというのはなかなか難しいかと思いますが、要求内容の前提となる数字でありますので、それを丸呑みするのではなく、下振れリスクなども織り込んで、計画策定の際に精査すべきだと思います。

ここに書かれている実地監査等に対する連携というか、意見等については、非常に意気込みは理解できますが、やはり少し財投当局は、その意気込みと同じ意気込みでやるのではなくて、それを受け止めて冷静に対処していただきたいと思います。

余計なことで付言いたしますと、訪日客の需要見通しについて、国交省はいつもIATAの数字を挙げてきます。これは世界の航空会社の出した数字。つまり、航空需要に関するインナーの団体の見通しでありまして、航空各社は株主に悲観的な数字を示しにくいという事情も勘案しますと、そのデータの客観性はいかほどのものかという疑念を抱かざるを得ません。こうした性格のデータのみに依存して、政策の前提となる将来予測を行うということについては、やや安易なのではないかという懸念を持っておりまして、財務省としても、別のエビデンスを探すなど財投計画編成に向けて、更に実質的、建設的な論議、検討を行うべきだと私は思います。

最後、長くなりました、政策コストです。日本経済は今円安、資源エネルギーの高騰といった、非常に厳しい局面に直面しております。日銀は現在の金融緩和を継続する考えを示してはおりますが、一方で欧米諸国は利上げをどんどん進めている。

政策コスト分析の前提金利を拝見しますと、今後10年近く、この歴史的な低金利、ゼロ金利が継続するという前提に立ってはじいておられるようです。

日本のインフレ率は現在、相対的に国際的には低位にありますが、インフレの亢進、それに伴う金融引き締めなどを想定したストレス検査的な試算、これは感応度分析はありますが、マイナス金利の直前ということは、異次元の緩和は始まっているわけです。歴史的に言えば、相当低いところで感応度をやっている。それよりもう少し、世界の情勢を踏まえたストレス検査的なものをやってみてはどうかとも思いますが、それについては事務局や各委員のお考えもお聞きしたいと思いました。

最後です。大学ファンドですが、これは土居委員もおっしゃられたように、これはほかのものに含まれずということではなくて、別建てで同じようにやっていくというのが正しいやり方なのだろうと思います。

この政策コスト分析に影響するのは、やはり出資金の運用成績、それから、キャッシュアウトの状況、その2つが大きく絡んでくる。もちろん前提の金利もそうですが。

資料3-2の85ページを見ますと、二千九百幾つかの政策コストの前提は4.38%の運用収益率を前提としているように読めます。これは、私の感覚からすると、相当高い運用成績なのかな。今後運用が始まって、軌道に乗ってきたときに、運用成績がここまで来ない場合、政策コスト分析にどのようにそれを反映していくのかという方針が決まっていらっしゃるのか、そこはこれからなのか。その辺りのところを、状況をお伺いしたいということです。

すみません。長くなりました。以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

お三方にいろいろなご質問やご意見をいただいています。ここで一旦、ご回答をお願いできればと思います。

〔原田財政投融資総括課長〕まず、運用実績の話とそれから地方の話について、お話しいたします。

まず、渡部委員、林田委員から執行率のお話をいただきました。足元、非常に低い執行率になりまして、林田委員もご指摘いただいたように、特に中小企業金融につきましては、一般会計等が先に入って、財融が入っていくという関係もございまして、なかなか最終的にどうなるかという数字は難しい面がございます。

それから、特にコロナという病気は、どんどん病気の性質が変わっていくものですから、足元こういう状況だから、確かに委員からいただいたように、もう借り疲れをしているとか、十分借りたからもう出ていかないだろう、そういう予測はつく一方で、新たなコロナの、少し筋の悪い病気がまた出てきたら、一体どうなるのだろうか。そういったリスクも、やはり当時はあったものですから、計画段階で皆様にもそういうご理解の下、ある程度十分な規模として措置したところでございます。

そういう経緯は経緯として、その頃の状況とは、今変わってきたということも事実でございます。最終的には今まで70%台で回していた時期を想定して、いきなりこれがまた来年、70を絶対達成するのだと、そういうことはなかなか、この場で言うことは非常に難しいですし、コロナ、それからウクライナといった世界の経済の動向もございますものですから、中小企業金融は読みにくいところはあるわけでございますが、気持ちとしては、しっかりと定常化を踏まえて検討していきたい、そのように考えているところでございます。

それから、金利変動準備金、土居委員からいただきました。おっしゃるとおりでございます。もうしばらくこういった状況、逆ざやの状況が続くものですから、金利変動準備金、生じている赤字の要因というのは、結局、財投改革後の平成13年から平成18年にかけて、資産より負債のほうが短いデュレーション・ギャップということを解消するために、20年債を発行してしまった。その金利負担が大きいという影響で、これが剥がれ落ちればイーブンベースに戻っていくので、未来永劫こういったマイナスが続くというものではないと考えておりまして、アーニング・アット・リスクの下振れを全部足し上げても、金利変動準備金の規模に比べれば、安心できる規模かと考えているところでございます。

とはいえ、金利変動準備金がこれだけあったから安心できるわけで、今後、こういうことが、また生じないとも限らないわけですから、おっしゃるとおり、金利変動準備金の価値がしっかり認識できた。これをしっかり確保していくことの意義が認識されたと我々も考えているところでございます。

それから、預託金のご質問を林田委員からいただきました。運用報告のポイントの2ページのグラフに出ているように、年金と郵貯がなくなったのですね。それ以外の部分は残っていて、公庫のようなところは余裕金があれば預託できるということでございます。郵貯と年金の部分がなくなって、これが縮んでいるということでございます。

〔林田委員〕すみません、これは、年金は残るのでしょう。要するに、最近の情勢で預託金が増えているのかどうなのかをお尋ねしたのですが。

〔原田財政投融資総括課長〕そうですね、コロナである程度、最近の影響だと思います。コロナでこれだけ積んで、実際、余裕金が出ると預託できるということになりますので、その影響が大きいということでございます。平常化すると、それが少し減ってくるかと予測されるところでございます。

あと、渡部先生から損失の話、どちらかというとアーニング・アット・リスクに絡めて世界経済の影響とか金利動向の影響、いただきました。入りと出と、赤字に関して、本年度損失のところにいきますと、出が減ればそれだけ調達も減るということで、景気の影響はそこで相当解消されるということから、景気が良くなった悪くなったということから直接この損失が大きく増えたり減ったりするというものではございませんが、金利のいろいろなパスを考える上で、アーニング・アット・リスクの上と下の差が出てくるものですから、金利の変動の影響ということにつきましては、先生ご指摘のように、しっかり考えていきたい。むしろ、どちらかというとコスト分析のほうが影響が大きいと思いますので、似たような議論が皆様から今後出ると思うので、奥村から、コスト分析の中で景気でありますとか金利の影響でありますとか、どのように考えていくかというところで、併せてお答えしたいと考えてございます。

それから地方のところでございます。PFI機構、実際に黒字運営であり、それなりにしっかりビジネスとしては回してもらっている。一方、確かに、何をやっているのかという説明で、表に出ている部分がボイラープレートといいますか、定型化されている、そういう事情は大変良くないと思いますので、我々も、所管省庁でありますとかPFI機構とか関わっていくときに、せっかくいいことをやっているのだから、しっかり分かるようにしようよということは話していきたいと思います。また、どうしても最終的にお金が戻ってこないリスクの高いところから、この分科会の場で優先的に議論をするということで、なかなか、PFIのようにうまくいっているところは俎上に上らないわけですが、何らかの形で、それが政策目的にかなう行動ができたかどうかということにつきましても、どのようなご報告ができるか、我々も考えていってみたいと思います。

それから、国際空港、関空とか中部とか、これは相当、ここで書かれていることは前向きな話、当然、前向きなニーズがどのようなことがあるか、前向きな材料がどういうことがあるかということについての意見交換の例として、こういうことが書いてありますが、こういうことを議論する上で、当然マイナスのリスクもあるだろうということは、議論の俎上に上ってございます。まさにプラス面、マイナス面、どういうものがあるかということを、現場の声を聞いて、財務局なり我々が理解していく。それが、各官民ファンドにもしっかりつなげていくことが目的でありますから、先生がまさに教えてくださった、ご指摘くださった、そういったマイナス面、リスク面ということも、しっかりこういった場でも、向こうに当てますし、その結果、どういうことだということも、よく共有していきたい。官民ファンド等と共有していきたいと考えるところであります。我々の立場としては、当然一歩引いて冷静にというところは変わらない。そのように考える所存でございます。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕政策コストについて、お願いいたします。

〔奥村資金企画室長〕政策コストについて、お答えさせていただきます。少し順番が変わってしまって恐縮ですが、林田委員から、今の例えばマイナス金利導入前の前提をやっているのも、かなり低いのではないか、これからのことを考えて、もう少しストレステスト、もう少しハードなストレステスト的なものをやったほうが良いのではないかというご指摘をいただいております。これもおっしゃるとおり、マイナス金利導入前の金利でも、過去の水準から見てもかなり低いところでございます。これまでも、この分科会でいろいろご指摘いただいて、様々な前提で感応度分析をやっております。

一方で、経年比較といったことも重要だと思いますし、言われているような前提の、どういった金利モデルの前提が適当なのかというのも、やはり我々勉強して、市場動向であるとか経済動向なども注視しつつ、更にどんな工夫ができるのかを考えていきたいと思います。

もう1点、JSTのほうの今後の政策コストを、国民に対する開示というか、そういったところをどうやっていくか、予定みたいなこともご質問いただきました。これは土居先生のご質問と多分かぶっているのではないかと思っております。

こちらについては、そもそもJSTにつきましては、決算であるとか、運用状況報告のタイミングなどをまず活用して、しっかりと継続的な報告をしていくことが重要なのではないかと思っています。

その上で、政策コストのほうで、どういうふうに活用してやっていけるのかというのも、我々今、どういうふうにやっていくか、持ち合わせていないのですが、もう少しいろいろ検討して、また、お示ししていきたいと思っております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕よろしいでしょうか。

それでは、続きまして、家森委員、冨田委員、江川委員、渡辺委員の順番でお願いいたします。

家森委員、お願いいたします。

〔家森委員〕ありがとうございます。神戸大学の家森です。3点、短く申し上げます。

資料1-1の3ページです。1つ目は、304億円の損失が、どういうところから生じているのかがこの表で分かると非常に良いと思いました。

それから、2つ目ですが、教育が4兆7,000億円出ておりますが、去年まで教育は2年間大体1兆円だったのがいきなり増えたことになっています。これはJSTの問題ですが、JSTが教育という範疇なのかどうかということです。教育とは別のものではないかと思うので、この図の描き方も考慮していただいたらと思いました。

それからもう一つ、財務局と財投機関の連携関係であります。これは非常に期待をしているところですが、財務局の職員の方々がそういうことできるのかという点から、財務局の人材育成に課題はないのかという質問です。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。2点、申し上げたい。

1点目は、JSTについてのコスト分析です。ご説明あったように、外枠で出資コストを機会費用として計算することについて、それには全く異論ございません。

申し上げたいことは、資料3-2の13ページ、一番下です。そこで、JSTがやることについて、一般会計から出資金を受け、また、財政融資資金から借入を行い、内外の市場動向を踏まえた運用を実施するという特別の措置であると記載があります。私は、この特別な措置という特別の言葉に、非常に重要な意味を込めねばならないと考えます。

特別というのは普通、一般とは違うことを意味いたします。一般と違うということについては、財投は融資対象、運用対象に対して、ガバナンスを利かせることが前提となっております。ところが、JSTの運用対象というのは、世界の、内外の株式市場、債券市場であって、JSTが頑張っても世界経済のパフォーマンスを上げるということはできないわけでして、他の財投機関とは全く性格が異なります。他の財投機関と政策コストも計算方法が違うという、形式的な意味で外枠にするのではなく、全く違った性格を持っているということが、特別の措置の第1の意味だと私は申し上げたい。

特別の第2の意味は、借入金の運用によって、その運用益で財政支出が賄えるというのは、言ってみれば、それがどんどん拡大していけば、無税国家論に等しいわけです。そういうことが可能かということを、よく冷静に考える必要があります。

つまり、特別の措置は、他の領域に波及しないこと、させないこと。つまり、あってはならないという意味での特別だと考えます。

この2点、私は、特別の措置ということについて、ぜひとも留意しておかねばならないことであると思います。

なぜこういうことを申し上げるかというと、手短に申し上げます。

財投はいろいろ期待がある反面、いろいろな無理筋のことをこれまでやってきた。それは、例えばノーペナルティで地方向けの融資の繰上償還を行ったり、あるいは財政融資資金の金利変動準備金から、今日もお話ありましたが、それを一般会計に繰り入れて、他の財政支出に使うといったことがなされてきましたし、さらにはまた、財投貸付金の証券化も、非常にコストがかかるとしてもやってしまえという話もございました。

これらはきちんと財投リポート等で記録があるわけですが、今回も政策コスト分析レポートにも、これを特別の措置として、これからもきちんと記録し、字は小さくて、小さな領域にすぎませんが、明示し公表すべきだと思います。

2点目に指摘したいことも政策コスト分析についてで、コロナ関連融資に係る国民負担というのは、国民の関心が非常に高いものである。それについて、資料3-1で明確にしていただけたと思います。つまり、主に、危機対応円滑化業務の損害担保事業におきまして、その損失補填額が非常に減少したといって、1兆5,000億円、政策コストが減少した。これを主因として、融資系3機関についての、新型コロナのコストも、合計で1.9兆円減少した。これはこれでいいのですが、私はこれらの根拠を、ある程度示す必要があるのではないかと思います。それは、日本公庫の危機対応円滑化業務というのは、ツーステップローンでやっているからだと思うのですが、日本公庫に、他の融資と同じように、繰上償還だとか、あるいは、貸倒引当金繰入率といったものの実績、計画、試算前提という計数が全く示されておりません。

もちろんこれは、政府系金融機関、DBJにおきましては、こういう計数があるものだと私は類推いたしますが、これらについて示すことによって、よりコスト分析の説得力が増してくるのではないかと思います。

それから、3-1の文章の一番下のところで、従来の手法で推計を実施とあります。足元まではまだよく分からないという指摘だったのですが、そこらは本当に、貸倒引当金の繰入率について、大きな上昇が見られないのかどうか。もしあるとすれば、やはり試算の前提として、引当金繰入率の引上げということが必要になってくるのではないかと思います。

以上2点でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、次に、江川委員、お願いします。

〔江川委員〕どうもありがとうございます。手短に2点申し上げます。

1点目は、今後、感染症が何年か続いていくということが徐々に明らかになってきたので、これまでのコロナの危機的な対応、非常時という対応から、ウィズコロナの定常状態への移行ということをしっかり考えて、政策を打っていただきたいということです。

これまでもゼロゼロ融資がゾンビ企業の延命につながるのではないかというような議論がございました。市場の構造変化に伴って、廃業すべき会社には融資をしないとか、そういった規律を持って、定常状態だという緊張感に基づいて、いろいろな政策を考えていただく、そういう点が重要だと思います。

2点目は、コロナ禍を経て、明らかに大きく変わったことがあるので、それを踏まえた上で、政策を考えるべきだということです。先ほど林田委員がおっしゃった航空需要は分かりやすい例だと思いますが、航空会社が実際にもう需要は戻らないと判断して、従業員の配置転換とかをしているわけですから、そういったところは冷静に見て、政策に反映していくべきだと思います。

もう一つは、人の動きが変わってきているということです。今日冒頭にご説明があった地公体との連携というのは非常にいい取組だと思いますが、コロナの後、IターンとかUターンとか、地方に移住する人が増えてきているというのも、大きな変化だと思います。

ですから、これまで地方は人材がいないという問題があったのですが、それが少し軽減される可能性もありますし、今後地公体との連携などはさらに強化していくといいのではないかと思います。

もう一つ、エネルギーに関しても大きな転換が起きていますので、これもしっかり踏まえた上で、政策に反映していただくということで、こういったコロナ禍を経た構造的な変化を前提に、政策を打っていただきたいということです。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、次に、渡辺委員、お願いします。

〔渡辺委員〕渡辺努です。2点、コメントさせていただきます。

最初のコメントは、何人かの委員から既に出ていますが、政策コスト分析のところ、金利の話であります。ベースラインの金利ももちろん低いですし、それから、感応度分析のところに提供している金利もマイナス金利が日本で適用される直前の金利ということで、決して高くはないわけであります。

現時点では多くの国で、日本以外の国ですが、金利がどんどん上がってきていて、どこまで上がるのか多くの人が心配するような状況になっているわけですが、その中で、このベースラインの感応度分析の金利の数字というのは、やはり何か、少し間が抜けているという印象を私は強く持ちます。

なぜこういうことになっているのかと考えてみると、恐らく国債のマーケット、日本の国債のマーケットだけ、そこについている金利だけを注目する、そういう視点で物事が考えられているから、こうなるのだと思いますので、そうではなくて、ここではオールタナティブな投資機会を全般に考えるべきであって、それは国債に限らず、あるいは日本の国債に限らず、他の国のものも含めて、その調達コスト、運用コスト、運用のリターンが変わってきているかどうかを反映するような指標を持ってこなければいけないわけなので、そこがあまりにも視点が狭過ぎるのだろうと思います。例えば、仮にグローバルな金利の数字を機会費用と考えたとすれば、現時点では機会費用は猛烈に上がっていることになるはずですが、そういう判断が出てこないわけですので、それは現時点で行っている施策の適切性を評価する上で、非常に歪められてしまうのではないかと思います。

ですので、金利について何を使うのか、JGBだけではまずいのではないか、JGB以外の金利も使うべきなのではないか。この辺のところをしっかりと分析のフレームワークとして考え直す必要があると思います。

例えば、アメリカの財政当局がどこか分からないですが、財務省であれ、あるいはCBOとかですか、そういうところであれば、当然、金利を想定して、いろいろな財政への影響、金利の影響というのも試算していると思いますが、そういうものを参考にするというのが1つのやり方としてはあり得るのではないかと思います。これが1点目です。

2点目は地方との連携の件ですが、これも既にいろいろなご意見が出ている部分ではありますが、セミナーを開催したりとか、あるいはうまくいっている事例を共有したりとか、地道にやっていらっしゃるということで、それは着実に成果が上がっているのだなということで勉強させていただきました。

ただ、ここまで地道にやるのだろうかというのが私の正直な印象でありまして、決して不特定多数の地方の方々に情報を届けることが目的ではないことは、よく理解しておりますが、それでも、例えば一般の企業であれ、大学のようなところもそうですが、多くの人たちに情報を届けようとするときは、やはりデジタルの、例えばホームページなりなんなりを利用することが通常行われているわけで、そのときに、どのぐらいページビューがあるのかも非常に神経質に見て、どういうふうにやれば多くの方に見てもらえるのかをいろいろなところで、企業にしろ、大学にしろ工夫しているわけです。そういう視点、デジタルをもっと活用して地方に情報を届けていく、地方で、今までは知らなかったが、そこで知って、財投の仕組みを活用する人が増えてくる、そういうことをもう少し意図的にやるべきなのではないかと思いました。

例えば、考えられるのは、ポータルサイトみたいなものをつくって、ワンストップで、財投機関がどんなことをやっているか、あるいは、どういうタイプの事業所とか、どういうタイプの金融機関の案件であれば、ここに引っかかるのかとか、そういうことについて、読み手がある程度のことが分かるようなポータルサイトを作っていく。あるいは、もし可能であれば、そこにできるだけの統計とか数字を置いておいて、それを見ながら、そのサイトを見た人たちが自分の事業と照らし合わせて、これは申し込めるのではないかが判断できる、そういう情報と数字とデータ、両方を見られるようなポータルサイトを作っていくことが1つあり得るのかと思います。この辺は時間もかかるし、お金もかかる話なので、すぐにどうのこうのということではないと思うのですが、せっかく地方に向けた連携活動を展開されているわけですので、もう一歩それを合理的に、効率的に行えるように工夫をされたらいいのではないかと思いました。

私からは2点です。

〔翁分科会長〕貴重なご意見ありがとうございます。

それでは、続きまして、川村委員、原田委員、中里委員の順番でお願いいたします。

最後にご回答をお願いいたします。

〔川村委員〕ありがとうございます。川村です。簡単に申し上げます。

1つは、皆さんご指摘の、資料1-2で言えば2ページの、執行率の問題であります。やはりこれが近時、この2年、40%、30%と非常に低い数字になっています。コロナ支援という特別事情があり、それが思うほど必要なかった、その事情はよく分かるわけですが、今後も感染症が続きそうということに加え、内外のいろいろな情勢が非常に不透明、また、GX、DX様々なお金もかかる。場合によっては、防衛費というような問題も波及があるかもしれない。そういう意味でいくと、7割以上の執行率は結果として難しいのかもしれないのですが、少なくとも60%ぐらいは維持できるようなスタンスを持っていただきたい、これは意見です。

それから、2番目は質問ですが、今日は時間がないと思うので、次回以降で結構、ただ、必ずやっていただきたいのは、やはり大学ファンドです。政策コストの分析の点もさることながら、今現在どうなっているのか、巨額のものを出して、官民ファンドではないという整理なので、普通の他の官民ファンドへのモニタリングと違う形になると思うのですが、財務省は必ずこれを見ていくということを言っておりますので、今年スタートで、今どうなっているのか。特に、内外の金利情勢が一変し、金融情勢も大きく変わっていく中で、運用もなかなか難しい状況なのではないか。巨額のものでありますので、ここはきっちり見ていきたいので、次回以降ご報告をお願いできればと思います。

以上2点です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、原田委員、お願いいたします。

〔原田委員〕ありがとうございます。時間もありませんし、皆さんに重要な点はご指摘いただいたと思いますので、重なる部分も多いですので、手短に申し上げます。

まず、資料1の3ページの金利変動準備金です。本年度の損失は、金利変動準備金から取り崩すということで、令和4年度以降も同様にしますというご説明がありました。先ほど事務局からのご返答では1.31兆円あるから安心というお話もありましたが、そうではないと思います。先ほど冨田委員もおっしゃいましたが、過去何回かにわたり積み立ててきた分の準備金を一般会計に繰り入れてきたという経緯があります。その背景としては、過去30年にわたって金融緩和がずっと続いてきたから、金利のリスクなどなかったような時代でしたのでできたのだと思いますが、今はそうではなく、渡辺委員もおっしゃったようにインフレですし、海外の中銀は緩和を見直していますので、日本もインフレですし、過去30年弱続いてきた超低金利が、今後も続くとは到底思えないと思います。

そうすると逆ざやということが発生しますので、そうしたときに金利変動準備金をさらに積み立てるということはもう不可能になりますので、減るだけという状況になると、今後は不安しかないと思います。ですので、なるべく減らさないように注視するという形で、引き続き気にかけていただければというのが、まず1点目になります。

それから、冨田委員もおっしゃった、大学ファンド、政策コスト分析に含めてはいけないという点について、同様に思いますので、この点も、繰り返しになりますが、もう一度述べさせていただきます。

大学ファンドは事業性のあるところへの財政融資ではありませんので、内外株式比率7割と言っていますが、マーケットの浮き沈みが、そのままコスト分析に響いてくるというおかしな状況が生じますので、規模に照らして重要ではありますが、土居委員おっしゃるように政策コストをしっかり示してほしいというのは確かに1つの考え方ですが、今までと同じところに含めるというのは非常にミスリーディングになるように思います。ですので、別建てでということをお願いできればということを申し上げさせてください。

あとは、資料2の1ページにあります地域連携です。財務局における地域連携、これは非常に良い取組であると思います。今後も進めていっていただきたいということですが、これも渡辺委員が、もう一歩効率的にとおっしゃいましたが、同じように思うところがあります。せっかくですので、今はオンライン名刺というのもありますし、オンラインで参加者同士がアポ取りということも、アプリを入れれば可能ですので、もう少し、一歩進んでDXを利用したイベントの開催という形で、効率的にやっていっていただければということを一言申し添えます。

他にもありますが、もう時間もありませんので以上にいたします。ありがとうございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、中里委員、お願いいたします。

〔中里委員〕どうもご説明ありがとうございました。

ミスターJGBが理財局に戻っていらしたことをとてもうれしく思います。

毎年この時期に資金運用報告と政策コスト分析のお話を伺うのですが、今年は3つ大きな変化があったので、そのことに関してお話ししたいと思います。

1つは、地方公共団体との連携の話で、これは通常、地方自治体の財務状況把握などのご報告をいただいていると思うのですが、今年は「等」のところがすごく新しくて、地域金融機関との連携の強化というところが、とても興味深い取組だと思いました。

これはちょうど、財務局でいうと、金融庁の組織としての財務局の役割、地域金融機関とのネットワークを生かした取組でもあって、これをどんどん進めていかれると、地域経済に対する貢献というのが財務局のミッションとしてあると思うのですが、その1つの大きな例として、とてもいいのではないかなと思いました。

それからもう一つは、政策コスト分析の話です。政策コスト分析、通常は金利の想定が動いて、それに伴って機会費用が動いて、それによって政策コストが大きく動くという話になっているのですが、今年は金利の想定は変わってなくて、多分これは日本公庫さんのツーステップローンの話だと思うのですが、そこが動いて、減になっているというところが、非常に特徴的だと思います。

それ自体は良いことなのですが、ただ先ほど冨田先生からもお話がありました貸倒れの償却のところがとても気になっています。それは何かというと、この3機関が直接貸しているものだけではなくて、民間金融機関を通じたゼロゼロ融資の債務保証を保証協会さんがされると、その再保険を日本公庫がしているので、その点もあって、大変気になっています。

これは単に政策コストを計算するというのではなく、これからどうするかという話が当然あって、それは何かというと、中小機構の利子補給は3年だけなのでもうすぐそれが切れると、金利が上がるはずです。そのことも含めて、とても気になっているので、これは政策コストだけでなく財政投融資全体の話からしても、貸倒償却の部分について、非常に重要なものとしてウォッチしていく必要があると思いました。

それから3つ目は、資料1の13ページに、使途別の資金の運用の話が出ていると思うのですが、今年の大きな特徴は、先ほどからお話が出ているように教育がものすごく増えているということなわけですね。これはJST、科学技術振興機構の大学ファンドの話があるからですが、JSTを政策コスト分析の中に入れてしまうと、1つは性質が大きく違うということ、それからもう一つは、これを入れてしまうと、他の機関についていくら緻密に計算しても、JSTの部分が動くと、全部動いてしまうので、そうするとこれはやっぱり別建てにしたほうがいいでしょうという話になるのだと思います。

そのときに、政策コストを把握するというのはもちろん大事なのですが、基本的に大学ファンドは今何をやっているかというと、投資信託みたいなことをやっているわけです。ですから、投資信託の運用状況報告書みたいなものを私たちは見たいわけなのです。要するにどういうポートフォリオを組んで、どういうパフォーマンスになっていて、それは例えばGPIFその他の機関との比較で見たときに、どれだけパフォーマンスが、アウトパフォームしているか、あるいは下がってしまっているのか、それを見たいのだと思います。

ですから、そこのところを、政策コストではなくまさに資金運用報告をJSTについてしていただくということをお願いしたいのです。できれば金利リスクのリスク量の把握などもしていただきたいのですが、その点、よろしくお願いしたいと思います。

以上でございます。どうもありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

皆様、大変貴重なコメントやご意見がありましたので、お答えできるところを端的に、少し過ぎてしまいましたが、ご回答をいただけますでしょうか。

〔原田財政投融資総括課長〕お答えいたします。

まず、今後の計画、来年度を踏まえて、執行率、川村委員からありました。不透明な中でも、先ほど申し上げたように、定常状態が何かということを念頭に置きまして、我々もやっていきたいと思います。

同様に、江川委員からいただきました、感染症が危機からウィズコロナになってくる。その中で航空会社それからエネルギー、こういったものも環境が変化していく。これも十分踏まえた上で、どういう状態が新しい定常なのかということを考えて、我々もやっていきたいと考える次第でございます。

家森先生から、赤字というか損失の部分、それからJSTは教育なのか、資料の整理のところをいただきました。もう少し分かりやすい資料を常に求めていきたいということで、適切な書き方は今後とも検討していきたいと思います。

また、JSTが教育かどうか、我々の中でも科学技術ではないか、こういったことは悩んだところでございますが、博士課程の学生などの若手人材育成というのも非常に大きなところを含んでいることから、これはやはり教育だろうと。10兆円のときから、それはそういうふうに仕切ったところでございますが、同じような問題意識は共有しているところでございます。

それから、地方のところでございます。財務局で、地方が頑張っているのはよろしい、一方で、デジタルをもっと活用できないかという意見、これは渡辺先生、それから原田先生からいただいたところでございます。ポータルサイトのようなものをどのように作っていくか、こういったご指摘も踏まえて、我々も具体的に何かできるか、相手の官民ファンド等に働きかけるなり、我々がどういう対応ができるか、我々としても検討していきたいと思ってございます。

〔翁分科会長〕あと、金利の大きな変動がこれから考えられますが、国債だけ見ていていいのか。それは政策コストで。

〔原田財政投融資総括課長〕そうですね。あるとすると大学ファンドですね。大学ファンドの運用報告ということでございます。

これもまだ運用が始まったばかりなので、今、ご報告というわけにはできないのですが、どういう経緯で今展開しているのかということを、できる限り情報提供できるように、我々としても検討して、そのような場を設けていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

〔奥村資金企画室長〕コストの部分につきまして、回答させていただきます。

まず、冨田先生からコロナの影響について国民の関心が非常に高いということで、今回の試算について、前提のところ、ツーステップローンなどの貸倒れであるとか、それの試算前提が出されていないのではないか、今後出していくべきではないかということで、ご質問いただきました。

この部分につきましては、各機関の経営情報、経営方針みたいなところにも当たるところがございますので、どこまでお出しできるのか、機関とも調整しまして、いろいろ考えてみたいと思います。それが1点。

あと、もう一つ、渡辺先生から、前提金利が今非常に低いので、国債に限らず、何か別の指標を採っても良いのではないかというご指摘でございました。

皆さんご案内のとおり、今の政策コストの枠組みとしましては、国が財投機関に出資等を行った場合に、その資金を国債で運用すれば、得られた利益を放棄しているという部分が機会費用として政策コストに反映されるような枠組みでございます。ですので、金利が政策コストに非常に大きく影響してくるところでございます。そういったことで、その前にもご質問があったところですが、感応度分析も含めて、どういった金利の前提がふさわしいのか、いろいろと勉強させていただきたいと思っております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ほかに、もしご回答がなかったところがありましたら。

お願いいたします。

〔齋藤理財局長〕すみません、事務方からお答えしにくい部分もあるかと思いますし、私の前職の東海財務局長としての経験も踏まえて、地域連携の話ですとか、あるいはコロナで随分積み上がった貸出のところを、これからどう見ていくのかといったところ、コメントさせていただければと存じます。

まず、1つ目、コロナで積み上がった融資について、これから信用リスクみたいなところはどういうふうに顕在化してくるのかですが、これは政府系金融機関だけではなくて、民間金融機関もゼロゼロ融資で随分と、コロナの中で民間エクスポージャーを増やしてきております。ゼロゼロ融資の据置期間が、3年というのが実は結構多いということです。2年前にコロナが本格化しましたので、そういう意味ではゼロゼロ融資の返済が本格化するのは来年の春頃というイメージで、金融サイドは考えております。

今、金融庁が音頭を取る形で、それぞれの全国地域によっていろいろ事情も異なりますので、各財務局が中心になって、事業者支援体制の構築プロジェクトを進めております。

これは何かと申しますと、コロナの中で積み上がったゼロゼロ融資の返済本格化を睨んで、返済にいろいろ課題を伴うような事業者、貸出先を金融機関がしっかりと絞り込んで、営業店任せにするのではなくて、金融機関の本部、本店がしっかりとサポートする形で、事業の改善であったり、場合によっては事業再生みたいなことまで視野に入れながら、取り組んでいくようなことを進めております。

そういう意味では、私どもも財務省として、そうした金融庁の取組、その進捗状況などについても十分情報を把握しながら、政府系金融機関のところもどういうふうに考えていけばいいのかは、さらに研究していきたいと思っております。これが1つでございます。

それから、財務局における地域連携でございますが、もう少しデジタルを使ってワンストップでというようなご提言もいただきました。これも非常にごもっともな部分がある一方で、実際に地方で現場にいた人間の感覚からすると、家森先生から、財務局の人材の課題があるのではないですかというお話をいただきましたが、まさに地域ごとに事情がかなり異なります。私がおりましたのは名古屋で、都会ではありますが、実際名古屋にいると、東京との情報格差は相当あります。そうした中で、私、東海財務局で、最近東海で盛り上がりつつあるスタートアップ支援のセミナーを地元の金融機関向けに、私がいた官民ファンドの投資担当者にも協力してもらって、名古屋に来てもらって開催し、セミナーの後は地元の金融機関の人たちと実際に意見交換をする。そうした中で大分、どういうふうに金融機関がスタートアップに取り組んでいけるのかというところの理解を深めてもらったこともございました。

そういう意味では、デジタルを使って効率的にやるのと同時に、地域連携はそれぞれの地域の事情も踏まえて、かなりオーダーメイドで、いろいろな取組を進めていかなければいけない部分があるところは、ぜひご理解いただければと存じます。

私からは以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

本当にマクロ環境が大きく変わって、コロナ後の様々な対応をしていかなければいけませんし、また、金利環境、マクロ環境、本当にこれからますます大きく変わる中で、いろいろ検討、研究していっていただきたいと思いますし、モニタリングもしっかりやっていただきたいと思っております。

また、多くの方から、JSTについての報告についてもご要望がありましたので、ぜひ、お願いしたいですし、JST以外の官民ファンドについても、工夫していただきたいと思っています。

さっき家森先生がおっしゃった教育というのでいいのかというのは、科学技術でというよりは、むしろ、3-2の資料のように、注をつけて、市場資金に運用する特別の措置で、それを最終的に教育にやるものだという、そういうことを書いておくという趣旨でご発言されたのではないかと思います。その辺も、これは特別の措置なので、並べて書いて、ほかの教育がそうなのかといったら、少し違うと思うので、ご検討いただければと思いました。

すみません。少し時間超過してしまいましたが、大変貴重な意見をありがとうございます。

〔林田委員〕今、特別な措置ということが出てきたので、念のため確認したいのですが、官民ファンドについては、事業の累損が増えて、計画どおりにいかない場合に、存廃も含めた、存続も含めた見直しを行うという建付けになっていると思うのですが、大学ファンドについては特別の措置ということで、そういう対象にはなるのかならないのかというのは、あまり明示的なご説明をいただいた記憶がないのですが、そこはどういう建付けにされているのでしょうか。

〔原田財政投融資総括課長〕官民ファンドの中で、計画どおりにいかなかったら、存続も含めて検討というのは、まさに今議論を行った事業を見ている官民ファンドを前提に議論を行っていると思うので、大学ファンドについて、もしもこういったことがあったらこうするということについては、同じ考え方が当てはまるものではないと思います。ですので、計画どおり行わないと、事業見直しを含めて検討という大きな筋としては変わらないのですが、官民ファンドに今当てはめているそのままのやり方でやっていくのが適当かというと、そうではないと思います。

今後、大学ファンドが計画どおり、彼らが言っている目的どおりでありますとか、想定しているような動きができない場合には、その都度、見直しを行っていく、そういう理解になっていると考えております。

〔翁分科会長〕うまくいかなかった場合、事業を見直す基準については文章がちゃんと残っていたと思います、大学ファンドについて。今文章を持っておりませんが。

〔林田委員〕ただ、その撤退ラインというのは。

〔翁分科会長〕撤退ラインはまだ。

〔林田委員〕特にないんですよね。

〔翁分科会長〕そうです。

〔林田委員〕そこを確認したかったんです。何か、そのうち検討する必要は出てくるような気がしたものですから。

〔翁分科会長〕いずれにせよ、運用状況なども見ながら、いろいろと検討して、考えていきたいと思います。

〔林田委員〕そうですね。分かりました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

また、追加のご意見やご質問ございましたら、事務局までお寄せいただければと思います。

本日の議事内容につきましては、この後、事務局より記者レクを行います。議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

本日はご多忙の中、誠にありがとうございました。これにて閉会いたします。

ありがとうございました。

12時01分閉会