財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録
財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第
令和4年6月20日(月)13:30~15:18
(オンライン開催)
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1.開会
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2.官民ファンドの投資計画等の進捗状況
質疑・応答
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3.閉会
配付資料
資料1 |
官民ファンドについて |
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資料2-1 |
投資計画等の進捗状況 |
資料2-2 |
投資計画等の進捗状況 |
資料2-3 |
投資計画等の進捗状況 |
資料2-4 |
投資計画等の進捗状況 |
出席者
分科会長 |
翁百合 |
角田理財局長 大津理財局次長 石田総務課長 関口財政投融資総括課長 小林資金企画室長 笠原財政投融資企画官 米田管理課長 原田計画官 |
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委員 |
土居丈朗 野村浩子 渡部賢一 渡辺努 |
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臨時委員 |
江川雅子 冨山和彦 中里透 林田晃雄 原田喜美枝 |
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専門委員 |
川村雄介 工藤禎子 家森信善 |
13時30分開会
〔翁分科会長〕それでは、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。
本日は、官民ファンドの投資計画等の進捗状況について、ご審議いただきます。
それでは、笠原財政投融資企画官より議題全体についてご説明をいただいた後、投資計画等の進捗について、4つのファンドの各ご担当の方より順にご報告いただきます。委員の皆様からのご意見、ご質問については、全ての説明終了後にご対応いたします。
それでは、笠原財政投融資企画官、お願いいたします。
〔笠原財政投融資企画官〕笠原でございます。よろしくお願いいたします。私のほうからは、資料1に基づきまして、全体についてご説明させていただきます。
3ページをご覧ください。官民ファンドにつきましては、特に累積損失の大きい4ファンドにつきましては、これまでも改革工程表に基づく確認をいただいておりますが、今回も令和4年3月末時点における進捗状況についてご確認をしていただければと思います。
下のグラフ、表の赤囲みのところが、今回の3月末時点での、左側が目標値、右側が実績値となっております。
見ていただけますとおり、まずクールジャパン機構(CJ機構)につきましては、投資額は計画値を達成したものの、累積損益につきましては計画値に対して未達となっております。この点、改革工程表上、改善計画の未達の場合につきましては、組織の在り方も含め抜本的な見直しを行うとなっておりますところ、現在、機構、それから主務省におきましてこの見直しをしているところでございまして、今回はその中間整理のご報告と認識しております。
JOINにつきましては、投資額・累積損益ともに計画値を達成しております。
JICTにつきましては、双方の計画値ともに未達となっておりまして、こちらも改革工程表に基づきまして、今般、改善計画を策定、公表いたしましたので、その内容についてのご説明というふうになってございます。
A-FIVEにつきましては、累積損益が計画値に対して未達となっております。
以上の進捗状況を踏えまして、この後、各ファンド、主務省から、その対応についてご説明をいただきますところ、4ページをご覧いただければと思いますけれども、その対応等につきまして事務局のほうから幾つか着眼点のような形で整理をさせていただいております。
まずCJにつきましては、例えば、一番上にありますとおり、これまでの投資内容等の要因分析、総括の内容、この辺りが適切なのかどうかといったようなことを記載しております。また、一番最後の矢印でございますが、抜本的見直しの結論として仮に組織形態が維持されるとしても、それでも成果が上がらない場合の対応をどのように考えるか。この辺りも一つ論点になるかと存じております。
JOINにつきましては、今回、計画値達成ということになりますので、内容につきましてはこれまでも今後の政策性、収益性の達成に向けた様々な取組を行っていただきましたところ、今般その流れの中で、例えば、そのガバナンス体制の問題であるとか、それから収益基盤の強化に向けた取組、この辺りにつきましてさらなる進展についてご報告をいただく予定でございます。
それから、おめくりいただきまして5ページですが、JICTにつきましては今回、改善計画を策定、公表ということがありますので、その内容についての妥当性のご確認、それから2つ目の矢印ございますけれども、改善計画の達成に向けて、例えば、新たな投資領域を含めたソーシング力の強化、ICTサービス案件における他の官民ファンド等との連携・協調、カントリーリスクへの対応強化など更なる取組を進めるべきではないか、このように挙げております。
また、A-FIVEにつきましても、改善計画上の最終損益目標値の確保のため、特に、有望案件のバリューアップやコロナ禍の影響を受けた投資先の事業再生等に向けた取組、この辺りについて論点として挙げてございます。
次、おめくりいただきまして6ページでございますが、併せてファンド間の連携・協調等といった点についても記載をしてございます。コスト・収益の改善のみならず、官民ファンドとしての政策的パフォーマンスを向上させる観点からも、ファンド間の連携・協調や個別業務の共同化を促進すべきではないか。また、財務省をはじめ政府全体でも官民ファンドのソーシング・ネットワーキングの強化に資する機会の提供に取り組むべきではないか。このような形で論点として挙げてございます。
最後、8ページをご覧ください。今後の進め方でございますけれども、大きく2つ挙げてございます。2つ黒いポツを挙げてございますけれども、今回の改善計画が未達となったクールジャパン機構につきましては、ご案内のとおり、今、見直しを行っているということでございますので、その見直し結果については改めて本分科会においても確認を行うと。
それから、今般改善計画を策定いたしましたJICTについては、令和5年3月期において仮にその計画の達成が図られなければ、速やかに組織の在り方も含め抜本的な見直しを行う。このように整理をしております。
また最後でございますが、改革工程表に基づく「組織の在り方も含め抜本的な見直し」後もなお組織形態が維持される場合について、それでも成果が上がらない際の対応方針として、組織統廃合を念頭に置いた道筋を整理する。このような形でも整理をさせていただいているところでございます。
私からは以上になります。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。
それではクールジャパン機構、JOIN、JICT、A-FIVEの順でご説明をお願いいたします。それでは、CJ機構からお願いいたします。
〔経済産業省商務・サービスグループ畠山審議官〕経済産業省商務・サービスグループ審議官の畠山でございます。クールジャパン機構について昨年5月に策定いたしました改善計画の進捗状況についてご説明をいたします。まず資料2-1を1ページ開けていただければと思います。下の2ページのところです。
下の青枠内をご覧ください。まず投資状況でございますけれども、2021年度の投資額は142億円で、計画額134億円に対して8億円上回っております。また2021年度末の累積損失はマイナス309億円、計画額マイナス257億円に対して52億円下回っております。これは、一部の投資先が長引く新型コロナの影響を大きく受けて、売上げの大幅減少や回復の遅れ等によって62億円の減損損失を計上したためでございます。
次の3ページ目をご覧ください。足元の収益改善見通しですけれども、先ほど申し上げたとおり昨年度の決算では減損損失を計上しておりますが、例えば、資料にあるような寧波阪急やベトナムでの日本食材の低温物流を提供するCLK、あるいはスパイバーなど、収益性の面で改善計画以上の投資回収が期待される案件も出てきております。また今後の投資につきましては、政策性を大前提といたしまして、収益確保の蓋然性をより高めるため、安定的なキャッシュフローを生み出す事業基盤があり、海外需要開拓に取り組むレイターステージ以降の事業者に対する支援を中心に実行していきたいと考えております。その上でそれぞれの投資先に関連する政策担当原課、これは省内にもあるし、本当は省外にもあると思いますけれども、そういった原課が持っている他の支援策を組み合わせて集中的に支援するなど、投資案件の成功確率をより上げていく取組も併せて行っていきたいと考えております。
このように、足元における収益改善の見通しがあるものの、改善計画が未達となったことを受けまして、現在、経済産業省及びクールジャパン機構において、組織の在り方を含めた抜本的な見直しに関する検討を行っているところでございます。本日は中間整理として、現在の検討の方向性についてご説明をさせていただきます。
4ページ目をご覧ください。抜本的な見直しの検討に当たって、まずはクールジャパン機構の意義から振り返りをしております。クールジャパン政策は、少子高齢化によって国内市場が縮小していく中で、各地方の伝統や匠の技なども含めて、我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある商品等の海外需要獲得を通じて、日本経済に新たな付加価値をもたらし、持続的な成長につなげる重要な取組と考えております。
こうした中で、クールジャパン分野における海外需要開拓は、海外現地の生活文化に根差した人々の趣向ですとか嗜好などに左右されまして、比較的事業の予見性が立ちにくく、新型コロナの感染拡大や国際情勢の変化も加わって投資回収の不確実性が高いこと、そして2番目に、日本ではレイターステージにおける大規模な投資資金が不足していること、こうしたことから、民間だけでは様々な事業者の海外展開を可能とするような面的な波及性や中長期的な連続性を確保することが困難だと考えております。このため、海外プラットフォーマーへの投資や海外現地パートナーとの連携などによって、海外進出の環境整備を行うクールジャパン機構の役割は重要であると考えております。
例えば、具体的な案件ですけれども、ラーメンチェーンの一風堂の海外進出に当たりましては、海外の法規制や食文化の違いなどによって事業の予見性が立ちにくかった中で、クールジャパン機構がリスクマネーを供給するとともに、現地のネットワークも提供することで成功につながっておりまして、一風堂はこの経験を生かして、クールジャパンが引き揚げた後も海外店舗の拡大を続けております。こうした成功例が出ることで、その他の日本食事業者の海外展開の予見性も高めることができたと考えております。
政策効果全体につきましては、ちょっと飛んで恐縮ですけれども、10ページ目をご覧ください。まず、呼び水効果としてクールジャパン機構からの出融資の約2倍の民間資金を誘発しているというのが左側でございます。右側は波及効果ですけれども、クールジャパン機構が投資した46社を通じまして、4,795社の事業者が海外需要獲得を実現しているという状況でございます。
戻っていただいて、4ページでございます。「組織の在り方を含め抜本的な見直し」についてでございます。例えばJICが判断するリスク、これはCJ機構とどう違うかというところですけれども、JICはオープンイノベーションの観点から、主に投資先の持つ革新的な技術の優位性及びその社会実装の実現可能性のリスクで、先ほど申し上げたクールジャパン機構による海外現地の生活文化に根差した人々の趣向・嗜好に左右され予見性が立ちにくいリスクというものとは、見ているリスクが大きく異なると思っております。事業目的が異質な組織同士の統合は、政策目的が多角化することで組織が独立して存在する場合よりも各事業に対する経営判断の精度が低下すると考えられますとともに、クールジャパン機構と異なるリスクを評価する組織、例えばJICですけれども、これがクールジャパン分野の投資に強い影響を及ぼす場合、クールジャパン機構による政策目的の実現に必要な投資が十分になされなくなるおそれもあるというふうに考えております。
こうした点も踏まえまして、政策目的の実現に向けて効果的な支援を行いながら、一方で収益改善の蓋然性を確保していけますように、組織の在り方を含めた抜本的な見直しを行う方向で検討しているところでございます。
今回の抜本的な見直しにおきましては、有識者のご意見も伺いながら2つ、まず1つはCJ機構による海外需要開拓支援事業について、政策的必要性や有効性の観点からCJ機構が果たす役割を検証するとともに、2番目として、効率的かつ効果的な事業実施のための適切な運営体制やガバナンス強化策などについて検討を進めてまいります。
詳細につきましては、続いてクールジャパン機構から説明をしていただきます。
以上でございます。
〔海外需要開拓支援機構川﨑代表取締役社長CEO〕続きまして、クールジャパン機構社長の川﨑でございます。昨年6月にクールジャパン機構の社長となりました。よろしくお願いいたします。社長就任後、投資会社におりました経験から機構を改革してきているところもございますので、その点も含めましてご説明させていただきます。
これまでの機構の組織・運用に関しまして、設立当初の案件組成は過度に政策的意義を重視した結果、収益性に課題を生じたことを踏まえまして、2018年7月にキャッシュフロー重視・現地パートナー重視などの投資方針を策定し、実施してきたところです。
2020年以降は新型コロナの影響もあり累積損失が拡大しておりますが、政策的意義を大前提としつつ、最終的な累積損失解消に向け、より収益回収の可能性のある案件組成を行っていくことが重要と考えております。
これまでの状況を振り返りますと、①、まず案件発掘・組成に関しまして、例えば我が国生活文化の特色を生かした先端テクノロジー分野など、これまであまり注力してこなかった分野で意義のある案件があり得るのではないか。②、また、そうした広範なCJ分野をカバーするため専門性を補完する人材を機動的に確保するための仕組みが構築できていなかったのではないか。③としまして、また投資案件が積み上がる一方で、新型コロナの影響を受ける中、今までと同じ頻度、方法でのモニタリングでは不十分であり、より組織的にモニタリングを実施する必要があるのではないかといったことを課題として認識し、対応を行う必要があると考えております。
資料6ページ目をご覧ください。組織・運用上の問題点を踏まえた具体的対応の方向性といたしまして、前回の財投分科会でも示されました官民ファンドの事業プロセスに関する主な着眼点も踏まえ、課題3点に対応した取組の検討状況についてご説明します。
まず、課題の1点目。案件組成、投資先支援の強化に関しまして、クールジャパン政策性を大前提としつつ、これまであまり注力してこなかった領域への支援も実行してまいります。
また、支援手法につきましても、エクイティ出資に限定せず、CBやメザニンも含めあらゆる金融手法をバランスよく活用し、リスクを抑制し、安定したリターンも確保してまいりたいと考えております。
加えまして、案件発掘等の強化のため、地方経産局や補助金対象企業のネットワークなど、経産省における政策資源を最大限活用させていただきます。当機構としましても、保有する海外展開ノウハウ、ネットワークを最大限活用し取り組んでまいります。
また、私自身の直接の指示の下、案件発掘に動く部隊を設置し、また、そこで中心的な役割を担う営業人材についても新たに採用することによりまして、より営業力を強化していきたいと考えております。
次に課題の2点目、人材確保の仕組み導入についてですが、まず案件組成時におきまして専門的な知見、アドバイス等を得るため、先週6月17日、産総研と連携協定を締結し、産総研の専門家約2,300名に相談可能な仕組みを新設いたしました。
また、支援決定時におきましても、海外需要開拓委員会の専門性の補完としまして、外部専門家による意見・評価を求めることができる仕組みを新設いたしました。
最後に課題の3点目、投資と回収の強化についてです。私自身を議長としましてモニタリング会議の開催頻度を上げて、適宜、機動的なチェック体制による機能強化を図りました。
また、国内外での投資銀行業務の経験豊富な執行役員を採用し、彼をヘッドとして投資チームに対する監督、牽制機能を持たせたミドルオフィスを新設し、リスクマネジメント機能を強化、総合的、組織的にチェックし、牽制機能を強化するようにいたしました。
加えまして、私や社外取締役の方々を含め、昨年6月に新体制に移行して1年となります。これまでも会社の大きな方向性に関することは取締役の方々と議論してきたところではございますが、この中間整理に記載の具体的対応の検討を進めるに当たっても、例えば投資対象領域の議論やインセンティブの設計に係る評価制度、モニタリング強化についての議論など、取締役の方々により積極的に関与いただいてまいりました。このように取締役会での議論も活性化しており、また、委員会によるモニタリングも強化されている中、さらなる機構の運営改善と着実な案件管理の観点から、取締役会と委員会に求める役割を改めて明確化し、機能強化していきたいと考えております。
また、投資担当者に対するインセンティブ設計も重要であると考えております。まずは高いパフォーマンスを上げた投資担当者に、パフォーマンスに応じたより高い賞与を出せるよう、賞与体系の傾斜を強化いたしました。さらには投資担当者の自己投資を促す仕組みの導入も検討したいと考えております。
こうした取組により、クールジャパン政策性を大前提としつつ、今後の収益改善の蓋然性を確保してまいりたいと考えております。
私からの説明は以上となります。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、次にJOINからお願いいたします。
〔国土交通省山上国際統括官〕それでは、海外交通・都市開発事業支援機構、JOINにつきましてご説明申し上げます。私は、国土交通省国際統括官の山上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
資料2-2の2ページをお開きいただきたいと思います。JOINの改革工程表2018を踏まえた、投資計画の進捗状況でございます。改革工程表2018を踏まえた投資計画の2021年度末の計画値として、年間投資額149億円、累積損失155億円を見込んでおりました。2021年度は年間311億円の投資を行い、累積損失は145億円となりました。その結果、2021年度末での投資計画の進捗状況は投資額及び累積損益、いずれも計画値を上回っております。なお、累積損失が昨年度と比較し増額した要因ですが、一部の事業において評価損による損失を計上、及び一部の事業におきまして営業収益が減少したためとなります。
一番下の丸で記載をしておりますが、地政学リスクの高まり、コロナ禍の影響、脱炭素化の要請など、海外インフラ展開を取り巻く環境は常時変化しておりますが、世界の持続的成長に向けたインフラ整備の重要性に変わりはありません。このためJOINでは、これまで行ってまいりました案件発掘、組成、開発の機能強化について今後も引き続き取り組み、さらにポートフォリオのバランス改善、リスク管理体制、ガバナンス体制の強化について取り組むことで、投資計画の達成、政策的意義の実現を図ってまいります。
前回までの分科会でお示しいたしました取組の進捗状況につきましては、JOINからご説明申し上げます。
〔海外交通・都市開発事業支援機構稲川専務取締役〕JOINの稲川でございます。資料に沿って、前回までの分科会でお示ししました主な取組であります投資体制の強化に向けた取組、投資案件や投資分野に関わる取組の進捗状況についてご説明を申し上げます。
まず、3ページをご覧ください。現在のJOINの投資体制を1つ目の矢印に記載しております。5ページ目にJOINの投資体制図を掲載しておりますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。JOINにおきましては、事業推進部が案件の発掘・組成を行い、その後、案件審査委員会や支援検討会議等で事業内容を精査した後に、事業委員会にて事業の支援内容が決定されます。出資実行後はプロジェクト管理部に案件が移管され、同部が地政学リスクの高まりやコロナ禍の影響といった情勢変化も把握しつつ、案件のモニタリング、ポートフォリオ管理を行い、定期的に事業委員会に報告しているところでございます。
2つ目の矢印では、投資体制の強化に向けて取り組んでいる内容を記載しております。具体的には機構のポートフォリオの構成を踏まえたリスク管理の強化に一層取り組んでいくため、組織再編を検討しております。この組織再編によりまして、改編された事業推進部が案件を一貫して担当することによる案件管理の強化、そして複数の視点からのリスク評価によるチェック機能の強化を図ってまいります。
続きまして、4ページをご覧ください。投資案件や投資分野に関わる取組についてですが、まず1つ目の矢印をご覧ください。JOINが政策的意義のある案件に対し必要なリスクテイクを行い、長期収益性を確保しながら我が国事業者の支援を行うためには、JOINの投資案件全体について、その種類、投資規模、投資先国などの観点から、投資の残高、収支等を把握・分析してポートフォリオのバランスを改善する案件形成を行うことで、リスク等に見合ったリターンを確保し、収益力の強化を図る必要があると考えております。
そのための取組として、2つ目の矢印をご覧ください。ポートフォリオバランスの観点から、ブラウンフィールド案件や早期収益化が見込まれるグリーンフィールドの案件形成に取り組んでおりまして、2021年度は5件の案件から配当を受け取っております。また、案件形成の取組として我が国インフラ関係企業、関係の公的機関、自治体、有識者等との意見交換の場を通じて、インフラの維持管理段階、いわゆるO&Mにおける本邦企業の知見の集約に取り組んでおります。
さらに3つ目の矢印をご覧ください。ポストコロナの投資ニーズを踏まえたデジタル基盤整備や、環境分野をはじめとする幅広い分野を支援するための知見、ノウハウの習得に向けて、関係協議会等に積極的に参加いたしまして、関係企業とのネットワークの拡充も同時に図っているところでございます。
以上で説明を終わります。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、次にJICT、お願いいたします。
〔総務省田原国際戦略局長〕総務省国際戦略局長をしております、田原でございます。海外通信・放送・郵便事業支援機構、JICTの投資計画の進捗状況、改革工程表2021を踏まえた改善計画の策定の経緯などについて、まず総務省からご説明をさせていただきます。
2ページをお開きください。下段の青枠内に沿ってご説明いたします。令和3年度におきましては投資検討中の大型案件につきまして、ストラクチャーの変更に伴い投資検討スケジュールが大幅に後ろ倒しになったこと、また一部の案件につきまして地政学リスクの顕在化などを踏まえまして、減損、引当ての処理を実施した影響によりまして、投資額は計画額を47億円下回る4億円、累積損益額は計画額を30億円下回るマイナス112億円となっております。
2点目でございますけれども、昨年度に支援決定いたしました米国におけるアクセスコントロールICTサービス事業につきましては、本年2月の支援基準改正に伴い、支援対象範囲に加えられましたICTサービスに係る案件への支援に該当するものでございます。
社内態勢の強化等につきましては、この後、JICTからご説明させていただきます。
おめくりいただいて、3ページ目でございます。続いて、改善計画策定の経緯につきましてご説明いたします。先ほど申し上げましたとおり、令和3年度におきましては投資額、累積損益額ともに計画額を下回る実績となっております。また、法施行後5年の見直しを踏まえた支援基準の改正により支援対象範囲を拡大しておりますこと、当初投資計画と比較いたしまして投資実績の積み上げが進んだことにより前提条件のずれが生じていることなどをも考慮いたしまして、現状に即した新たな計画として改革工程表2021を踏まえました改善計画の策定を行うこととしたものでございます。
改善計画の概要につきましては、JICTからご説明申し上げます。
〔海外通信・放送・郵便事業支援機構大島代表取締役社長〕JICT社長の大島でございます。
2ページ目にお戻りいただければと思います。こちらの表、グラフをご覧いただきながらご説明申し上げたいと思います。
ただいまお話ございましたように、法施行後5年の見直しにおける検討結果を踏まえまして、ICTサービス事業やLP投資への支援を可能とする新しい支援基準に基づきまして、こちらも反映して改善計画を作成してございます。投資計画額につきましては、2022年度の目標は80億円としております。これは従来から支援対象でございましたICTのインフラ事業に加えまして、新たな支援対象となりましたICTサービス事業、あるいはファンドへのLP投資についても新規案件組成に向けた検討が進んでいる現状を踏まえまして、比較的確度の高い案件を念頭に積算をしているものでございます。
累積損益につきましては、Jカーブの底に当たる2025年度前後におきまして計画累積損益の下げ幅が当初計画に比べて1.5倍となっておりますけれども、中段にございますように総投資額が734億円から1,119億円と1.5倍に拡大しておりまして、妥当な水準と考えております。また、投資済み案件の想定回収額を保守的に見直すということも行っておりまして、ポートフォリオ全体のIRRにつきましては、右側にございますとおり5.9%から5.1%に低下する前提としておりますけれども、機構解散までの従来の投資計画の見積りを上回る水準で回収が可能ということで、累積の損益は上方に修正をしておるところでございます。
また、現在のポートフォリオにおきましては、優先株出資等の活用によりまして、リスク性の高い資金拠出等は足元限定的でございます。既存のM&A案件2件からは今年度以降、合計約13億円の配当収入が毎年見込まれるということもございまして、安定的な収益源も確保しているところでございます。したがいまして、数年以内に単年度の黒字化も可能と見込んでおるところでございまして、累損解消に向けた収支改善は一定程度堅調に進んでいると評価しているところでございます。したがいまして、一定のリスクを許容した投資活動につきましては引き続き継続することは可能であると認識をしているところでございます。
また、具体的な取組内容につきましては、4ページ目にお進みいただければと思います。
機構におきまして、官民ファンドの事業プロセスに関する主な着眼点を踏まえまして、社内態勢の強化に取り組んでいるところでございます。
主要な点として4点ございます。第1に、組織権限及び会議体運営の見直しでございます。こちらは1年前の私の着任後すぐ着手したところでございます。2点目は、支援範囲拡大を踏まえました案件ソーシング・推進態勢の強化でございます。3点目は、案件数が徐々に増えている、また多様化しているということを踏まえましたポートフォリオ管理・リスク分析の強化でございます。4点目は、係る活動を担っていく人材の採用・育成の強化のための人事制度改革でございまして、こちらは既に実施しているところでございます。加えまして、LP投資の枠組みを活用しまして、地方、中堅、中小企業を含む事業者など、今までなかった接点を増やしていきながら、案件ソーシングを一層強化していきたいと思っておるところでございます。
さらに、エコシステムの構築につきましても、記載の事項に加えまして、直近を含めて4点ほど取組を行っておるところでございます。1点目としては自治体関連団体で中小製造業者の海外進出支援をサポートするという経験、ノウハウを持っている人間を4月より採用いたしまして、エコシステム構築、IR業務を担当する専門ラインとして配置をしているところでございます。
2点目としましては、同じく4月より肥後銀行様から海外案件の業務経験もある30代若手社員の出向を受け入れております。こちらにつきましては中国財務局主催の地域金融機関向けの合同説明会におきましても、私どもも参加させていただきまして、この取組をご紹介申し上げる機会も頂戴したところでございます。このように、地方との紐帯も強化しております。
3点目として米国の金融業界、ICT業界と、関係者と非常に強いコネクションがございます。新たな社外取締役にご参画いただくべく、6月末の株主総会にご承認いただくべく関係方面と調整を進めさせていただいております。
加えまして4点目でございますが、7月から、金融機関からグローバル金融市場及び投資業務経験が豊富なマネージングディレクター級社員を受け入れる予定でございます。これによりましてフロントの組織体制を一層強化する所存でございます。今後も、案件採択時における投資先領域の多様化やリスク分散を進めながら、ポートフォリオのさらなる安定化、ひいてはJICT自体の法目的の達成といった具体的成果へ結びつくよう、引き続き努めてまいりたいと思います。
私からの説明は以上でございます。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは最後に、A-FIVEからお願いいたします。
〔農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長野新事業・食品産業政策課長〕農林漁業成長産業化支援機構、A-FIVEにつきましてご説明をさせていただきます。私、農林水産省の大臣官房新事業・食品産業政策課長の長野でございます。よろしくお願いいたします。
資料2-4の2ページをご覧ください。A-FIVEにつきましては、ご案内のとおり元年の12月に江藤農林水産大臣より、令和3年度以降は新たな出資の決定を行わず、可能な限り速やかに解散するとの方針が示されました。その上で令和2年5月に損失を最小化するための改善計画を策定しておりまして、累積損失の最小化を進めてまいっているところでございます。本年3月末の累積損失は決算見込みで141億円となりまして、計画額の122億円に対しまして18億円下回ったところでございます。
3ページをご覧ください。こうした乖離が生じた要因といたしましては、新型コロナウイルス感染蔓延が長期化する経済状況の中、外食産業、またそれに食品を提供する流通、製造業ともに投資先の業績が悪化したことにより、約20億円の減損を計上したことによっております。しかしながら、現時点で出資時点と比較いたしまして、フードテック関係の企業におきまして企業価値が向上している出資先もございまして、A-FIVEの解散時期の令和7年度末までに18億円程度の純利益を見込んでいるということがございます。コロナの影響を受けておりますけれども、今後好転することを期待し、また業績の改善につながる支援を積極的に行いたいと考えておりまして、この回収の最大化を図っていくこととして、令和7年度末の累損を120億円とする今回の計画の達成は可能であると見込んでいるところでございます。
4ページでございます。今後の方針といたしまして、この累損の計画達成に向けまして、回収の最大化につきまして積極的な支援を行っていくこと、また、より高額なEXITに向けまして外部のファンドやコンサルタントを活用いたしましたアドバイザリー機能の発揮、また株式譲渡の仲介等を検討してまいりたいと考えております。
農林水産省といたしましては、A-FIVEにおいて本計画が着実に実行されるよう、必要な協力、助言を全力で行っていくとしておりまして、引き続き不断の経費削減努力も促してまいりたいと考えております。
以上でご説明を終了いたします。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見、ご質問をお願いしたいと思います。ご発言の際はチャット欄にその旨を書き込んでいただければと思います。チャットがもしうまくいかない場合は、挙手ボタンでお示しいただければと思います。チャット欄を確認しながら順番に指名させていただきますので、そのままお待ちください。ご発言の際に資料を引用される場合には、資料番号と該当ページもおっしゃってください。また、官民ファンドの方々に直接ご質問いただいても結構です。
それでは、どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。
それでは、川村委員、林田委員、お願いいたします。まず、川村委員からお願いいたします。
〔川村委員〕ありがとうございます。非常に苦衷の各ファンドでご苦労をされている様子がよく分かります。また特に今回一番問題のクールジャパン機構においても、相当抜本的な改革というか、広がりを持った改正案を実行するということで、大変結構だと思います。その点、ちょっと2つばかり。
1つは意見というか、感想なんですが、資料1の3ページになりますが、改革工程表に基づく投資計画等の進捗状況、これは全体の4ファンドが出ているもの、これですが、拝見しますと、確かにCJの累損というのはかなり大きいわけなんですが、実はこの「海外」とつく3つのファンドで累損が600億円近くになっているわけですね。それぞれファンドの特徴があるから一概には言えないものの、クールジャパンの場合は言わばレッドラインに今回引っかかっているということで特段のご報告をいただいているわけですけれども、実はほかのファンドも、いろいろ事情があるにしても、数字だけ見ると、ある意味非常に似たりよったりの苦衷にある。つまり、「海外」とつくものが総倒れになっているというのが官民ファンドの現状だと思います。したがって、ここのところはやはり官民ファンドになるわけですから、先ほどCJや幾つかのほかのファンドでもありましたけれども、いろいろな政府、官の持っているネットワークを最大限活用する。ぜひこれやっていかないと、今日のCJは明日のほかの海外絡みというふうになりかねない。コロナが幸い少し収まっているのかなという気はしますけれども、グローバルで見たらまだまだそうじゃないし、特に大きなマーケットがまだやられてますので、特段の、やはり官の視点というのは必要だなというのが意見的な感想です。
2番目、CJに関して質問なんですけれども、これ、たまたま私が1年前まで絡んでいたということもあるので、そことの比較もあるんですが、需要開拓委員会というところと取締役会って、メンバーがほぼほぼ重なっているわけですね。実際、需要開拓委員会が支援決定を最終的にはするわけなんですけども、当時から毎回、非常に長時間、大部の資料を読み込む中で、需要開拓委員である特に社外取締役が要求されているスペックというのが、投資の専門家というよりも、むしろ投資プロセスにおけるガバナンスであるとかやり方だとか、あるいはそれぞれの持っている知見を生かしてモニタリングするということが中心なのではないか。それがあたかも個々のファンドマネジャーと似たような、それを上乗せするような仕事で非常に時間と労力を取っているという気がしています。
その点で、この需要開拓委員会は、もっと機能分化と効率化をしたほうがいいのではないか。つまり、モニタリングと執行をかなり分けて、実際の執行はCIO以下の投資チームが基本的にやる。そして需要開拓委員会はモニタリングプラスアルファ、このプラスアルファという意味は、これは取締役会ではないので、ある程度投資に踏み込むことも必要ですけれども、民間会社でいう営業会議とか経営会議的な位置付けの方がいいのではないかと、それがより効率的なんじゃないかなと私は感じるのですけれども、これについてどうお考えかという点について。これは質問です。
以上です。ありがとうございます。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。続けてご質問やご意見をいただいた後に、お答えいただきたいと思います。
それでは、次に林田委員、お願いいたします。
〔林田委員〕皆さん、ご説明ありがとうございました。そもそも論みたいな話になって大変恐縮なんですけれども、今回の議題は改革工程表に基づく投資計画の進捗状況ということでありますので、投資額の実績とか累積損失の動向にフォーカスして、ある意味数字の議論になっていくというのはやむを得ないと思いますけれども、そもそも官民ファンドというのは何のためにつくられたのかという点について、やはり私たち分科会の委員は考えながら議論していかなきゃいけないかなというふうに思いました。
そして、官民ファンドが担うべき案件のストライクゾーンは何かというと、投資収益の論理と政策目的の論理、この重複領域にあるんだと。これは、前にまとめた財投の在り方報告書に明記されております。民間だけでは難しいリスクマネーを供給して、それにより政策目的を達成する。あるいは民間投資を誘発する、呼び水効果を誘発すると。そして出口においては、やはりこれは国民の財産を使ってやる話なので、しっかりリターンを取っていこうと。これは、言うは易く行うは難しということが分かった上で官民ファンドというものを始めたはずです。
そして、今いろいろ中身についてもご説明いただいたので、それはそれでよかったと思いますけれども、それぞれの投資の中身が本来の官民ファンド設置の目的にそぐうものであるのかどうなのかという議論を、実は私たちはあまりしてこなかったなという、ちょっとこれは委員としての反省があります。各ファンドが当初の目的にかなった業務運営をして成果を挙げているのかどうか、それは各ファンドのガバナンスに委ねる部分が多いとは思いますけれども、そこは時折確認しておきたいなという、これは私の反省でもあります。
なぜこんなことを思ったかといいますと、数字ばかりに目が行きますと、ともすれば投資実績が上がればいいのだと、リターンを挙げて累損を解消していけばいいんだという、そして官民ファンドの存続を図るというふうに、何か目的がずれていってしまう可能性もなきにしもあらずと。先ほどどちらかのファンドの方が、当初は過度に政策性を重視してしまい収益性がおろそかになっていたというようなお話をされましたが、そもそも政策性と収益性というものをどうバランスを取るかというのが官民ファンドの最も重大な、バランスを取る難しいところだったわけで、今更ながらという気もいたしますし、決して組織を存続させるために何かをやるということが先に行かずに、やはり日本経済にとって官民ファンドは必要なんだと、なぜ必要なのかということは国民に説明していかなきゃいけないと思いました。
個別で言いますと、クールジャパン機構ですけれども、組織の在り方を含めた抜本的見直しをやっているんですけれども、ここに挙げている例が、なぜかJICの統合の検討のみでありまして、JICはそもそもかなり先端的な事業創出を目指すところでありまして、日本の魅力を発信する、そして海外の需要を取り込むクールジャパン機構とはそもそも大分性質が違うので、こことの統合を検討したって、それは結論はここに書いてあるとおりになるかと思います。
財投関係で言えば、メザニンからエクイティにかけて海外展開等を担う組織としては、例えばJBICの海外展開支援ファシリティ、あるいは日本公庫のメザニンファイナンス等々、他にもいろいろあるわけですと。抜本的な見直しというのであれば、そうしたところも目配りをして、検討すべきではないのかなと。やや、抜本的という割には改革への熱意が感じられないなというふうに感じた次第です。
それから、財務省の資料1の4ページ、JOINのところに、他の官民ファンドとの連携・協調もというところがありまして、これは事前の説明ではJICT等ということだったようなのですが、そもそも私、JOINとJICTができる前に、どちらも海外インフラ輸出ということであるので、省の縦割りにする必要はないのではという指摘をした記憶があります。別にこの改革工程表に基づこうと基づかなかろうと、要するに効率的に、あるいは連携して協働、協調してやっていくというのが非常に望ましいことであると思いますので、その辺りも視野に、組織の在り方については考えていただきたいというのが私の意見です。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
続いて、江川委員、お願いいたします。
〔江川委員〕ご説明どうもありがとうございました。各機関とも、人材を補強されたり、組織態勢や監督のやり方を見直されたり、あるいはほかの機関との提携を強化されたりということで、いろいろな形で改革をしていらっしゃることがよく分かりました。
その辺は非常に心強いのですけれども、やはり、この財投分科会で何度も、いろいろな形でファンド間の連携ができるのではないかという話をしたにもかかわらず、あまり具体的な事が進んでいないというのが残念だと思っております。
ご説明のときにも申し上げましたが、例えば、バックオフィス業務は各法人の政策目的にかかわらず共通基盤として持てるものだと思うので、そういうところを共有化するだけでもコストの削減になります。逆にファンド間の交流が進んで、例えばファンドの間で重複する問題が出てきていたと思いますけれども、その辺の調整がうまくいくとか、そういったメリットもあるのではないかなと思います。
先ほどCJ、クールジャパンとJICの提携に関して、林田委員は合わないんじゃないかというお話をされて、最初のご説明もそういうことだったのですが、私自身は、投資の対象というか政策目的とオペレーションというのは分けて考えることができると思っています。政策目的の異なるものを一つの組織の中に置いておくことは、意思決定の仕方を工夫すればできるのではないかと思います。と申しますのも、民間のファンドでもベンチャー投資だけではリスクが高いということで、例えばバイアウト投資を、同時並行して一つの屋根の下で行っているとか、そういった例もあります。その辺は抜本的な改革ということを今、ご検討されているわけなので、ぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは次に、工藤委員お願いします。
〔工藤委員〕ありがとうございます。日本経済の産業競争力や地政学リスクに変化がある中、皆様におかれては良質案件の捕捉や運営に大変ご苦労があるかと思います。
先に発言された方が仰るとおり、ご説明いただいたファンドというのは2013年、14年頃に設立されたものであり、今の政策目的に合致しているのか、それを支援する政策が継続的に打たれているのか、という点は確認していくべきだと考えています。その観点を踏まえて、クールジャパン機構とA-FIVEについて発言させて頂きたいと思います。
まず、クールジャパン機構について2点申し上げます。1点目は、累積損益に関する計画と実績との間の乖離について、資料では乖離の要因として長引く新型コロナの影響を挙げて頂いていますが、これについては回復、収束に向かっていると考えて宜しいでしょうか。それとも既存、新規投資に中長期的な影響が想定されるのか、投資回収の蓋然性という観点からお伺いしたいと思います。
2点目は、いわゆる「抜本的な見直し」についてです。他の官民ファンドにも共通の課題だと思いますが、先ほど申し上げたとおり、ファンドの設立当時から時間も経ち、所管官庁には、改めてクールジャパン機構が背負う政策、すなわち資料に記載されているクールジャパン分野への支援について、現在の我が国の産業政策における位置付けや、どのような政策パッケージで支援することが最も効率的、効果的なのか、また、そういう政策が打たれているのかを整理して頂きたいと思います。クールジャパン機構の位置付けや組織の在り方はその上で検討されるべきことであって、クールジャパン機構の現行の体制ありきで考えるという検討プロセスにはならないようにご留意頂きたいと思います。
次に、A-FIVEについて1点質問をさせて頂きたいと存じます。今回、計画の見直しは行わないということですが、既存投資先に対するコロナ影響について、先ほどは収益が見込まれる案件もあるということでしたが、今回、損失を計上した個別案件を除けば、おおむね昨年の計画で想定したとおりという理解でよいのかを教えて頂きたいと思います。正しい現状認識や想定に基づいて対策を検討すべきと考えており、その観点からお伺いするものです。
以上です。ありがとうございました。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、次、渡部賢一委員、お願いいたします。
〔渡部委員〕渡部です、ありがとうございます。資料1のページ8、今後の進め方に関しての意見です。各ファンドの方々、あるいは主務官庁の方々のお話をお聞きして、改善などの目標に向けて量的にも質的にも努力されていることが分かりました。しかし、どなたかからもご発言がありましたが、数値目標の追求が過ぎると政策目的との整合性が怪しくなってくるかもしれないです。また、設立から諸環境はかなり変化してしまっていますので、かなり違ってきています。したがって、夫々の政策目的も位相というか、フェーズが違ってきているかもしれないと思います。
要望としては、この今後の進め方というところ、財務省さんとしては非常に、夏休みも返上して頑張っていただいて、早くこういうものの整理、道筋をつける整理に向けて頑張っていただければと思います。なお、一般的にPE、プライベートエクイティやヘッジファンド、行き詰まった場合は解散、換金するケースが少なくないと思います。これは、時間軸を考えれば、そろばんとしてその方が合理的だからということです。
以上でございます。
〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、次に、家森委員お願いいたします。
〔家森委員〕ありがとうございました。クールジャパン機構について、少しだけ私もコメントさせていただきたいと思います。
クールジャパンが最初できた頃、日本のアニメとかお酒とかの日本の伝統的な分野の海外需要を開拓していくということで、私のように地域経済をやっている人間にとっては心強いものができたなというふうに思っておりました。ただ、今回この見直しの中で、もうこういうものはやられなくなってしまうのかということ、見直されて、こういう分野はもう必要なくなってきたということなのか、併せてやっていただけるのかというところを教えていただきたい。収益性に課題があるということでありますけども、本来はある程度収益があって、それで政策目標を最大限にされるというのが多分ロジックだと思うので、このような分野はもう収益性が全く上がらないのでもうできないということなのか。
そして4ページのデジタル田園都市国家構想のところにも、地域の産業活性化の取組についてクールジャパン機構が活躍するというようなことも書かれているんですが、その部分との関係が今日の改革のところではよく分かりませんでしたので、教えていただければというふうに思います。9ページにCJ分野の海外展開のノウハウを提供するとありますが、地域の企業が海外展開、海外需要を獲得したいなと信用金庫に相談へ行ったとき、信用金庫さんがCJに相談に行けるみたいな感じの機能が今でももう十分あるのか、もうそういうものは諦められたのか、その辺りを少し教えていただければと思います。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。
それでは次に、渡辺努委員、お願いします。
〔渡辺委員〕渡辺努です。今の4つのファンドの方にそれぞれお聞きしたいところがあります。
マクロからどんどん変わってきているわけでして、こっちに入ってから特に変わってきているわけでして、特に言うとリスクマネーというのが供給されなくなってきているというのが一般的な傾向としてあると思います。私の周りにいるベンチャーをやっているような人たちの話を聞いても、やはりかなり資金が取りにくくなっているということをよく聞きます。そういう環境の変化を前提にしたときに、先ほどから話が出ている収益性と政策目的とのバランスというものが以前と同じようなままでいいのかどうかというのが私の質問の趣旨であります。一言で言えば、民間のVCとかのお金、リスクマネーがなかなかベンチャーに入らなくなってきているという状況の下で、こういう時こそむしろ官民ファンドというのが積極的にリスクマネーを提供することを考えてもいいのではないかということ。それが質問の趣旨であります。
そして、それを前提にしてお伺いしたい点が2つほどあります。1つは、実際にお仕事をされている中でそういう場面に出くわすようなこともあるんじゃないかと思うんですけれども、実際そういうことが起きているのかどうか。そういうことというのは、要は民間の資金がリスクマネーで引き上げられてしまって困っている企業とかが投資先の方向から出てきている、あるいは投資はしていないけれども、そういう先で出てきているのを見るとか、そういうような意味での事例が見えているのかどうか。見えていた場合には実際にそれをどういうふうに取り扱おうとしているのか。官民ファンドとして、例えば肩代わり的なことをするのかどうかとか、そことかを検討する、要はそういう場面があるのかどうか、そこら辺のことを聞きたいというのが1番目です。
2番目の質問は、仮にそういうことがあったとして、そのとき実際にどういう取組をするのかということについてのご質問です。つまり今日のお話が既に行った投資をしっかり回収するとか、あるいは新しく行う場合でもできるだけキャッシュフローの安定しているところに限定するとか、専らそれぞれのファンドの収益性を改善させるという形でのお話だったわけですけれども、一方で、私が言ったようなことでさらに少しリスクもあるところに積極的に貸出しをするようなことをすれば、当然それは収益性を悪化させる可能性があるわけですけれども、その2つのことをどうやって両立していくんだろうか、といっても、両立できないにしても、どう峻別していくんだろうかというのが多分すごく大事な問題なんじゃないかなというふうに思います。例えば何かの形で器を分けていくとか、そういうようなことを工夫する必要があるんだと思いますけれども、そのことについて何かお知恵があればお聞かせいただきたいと思います。
2点、よろしくお願いいたします。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。
それでは、次に、野村委員お願いします。
〔野村委員〕野村です。各機関とも着実に改革に向けて歩を進めていることが分かりました。ありがとうございます。時間も限られるので、気になるクールジャパンについてのみコメントします。
抜本的見直しがされるということですが、私が気になるのは、クールジャパンが本来の設置目的、政策目的に沿った活動になっているのか、ほかの金融機関、ファンドと比べての存在意義がどうなのかということです。
というのは、資料2-1のクールジャパンさんの4ページ目にもありますように、先ほどから皆さんおっしゃっているように、日本の生活文化の魅力を事業化して海外需要を開拓するというのが設立趣旨だと思いますが、これと照らしてどうかということです。
例えば、累計でも最大出資になっているスパイバーについてです。2021年の投資で142億円中、110億円がスパイバーとなっていますが、これが生活文化の発信になっているのか、これはテクノロジーの分野ではないかと思ったりもいたします。ということで、存在意義というのを、改めてほかにはないことを行っているのかということを問い直していただきたいと思います。
それから、各論の質問なので、これはスキップしていただいて、コメントにしていただいて結構ですが、一つは、四、五年前からクールジャパンに対して指摘されている固定費の削減がどう進んでいるのか、現時点でもほかのファンドの平均と比べると高い水準にあるかと思います。
2つ目が、人的リソースまで支援できるような体制の構築をするべきではないかということも以前から指摘されていたと思います。今回、改めて専門家が、海外現地での販路開拓や顧客紹介など、人的リソースにまつわる支援が不足していると指摘されていますが、以前からこれは海外でのマーケティング支援なども含めて指摘されていた点です。これが、どのように進んでいるのかもお伺いしたいところです。ご回答は時間があればで結構です。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、次に、冨山委員、お願いいたします。
〔冨山委員〕どうもありがとうございます。私もさっきの、林田さんかな、ややそもそも論なんですけれども、さっき議論ありましたように、もともと政策領域と収益領域が重なるところでやりましょうと、これは当たり前で、要するに、投資ファンドなので、その政策課題というのは基本的には民間プレーヤー型でやるということは、何らかの市場の失敗が起きていることが前提ということになります。
当然、市場の失敗空間というのは、これも何人かの方がおっしゃられたように、これは常に動くんですよね、時々の経済状況によって。したがって、当然ある種、重複領域はムービングターゲットであるということと、場合によっては消えるわけですので、うまくいっていないケースというのは、もともと重複領域がなかった可能性もあるんですが、どちらかというと、インプリメンテーションが失敗しているという乗りの説明が多くて、それだとやっている人がちょっとかわいそうなところがあって、要は、もともと重複領域がない場合は誰がやったって失敗するんですよね。多分、私がやっても失敗します。
ですので、どうしてもこれはうまくいった最初の産業再生機構のときに、あまりにも劇的にうまくいっちゃったので、翁さんも中心メンバーでしたけれども、何となくうまくいくふうに思っちゃうんですが、あの時は明らかにばかでかい市場の失敗の穴が空いていて、すごいストライクゾーンが広がったんですよ、はっきり言って。それから、金融危機、不良債権処理という明確な政策目的がありましたよね、ペイオフの解除を含めて。ですから、政策目的は明らかで、それを達成する上で非常に巨大な市場の失敗の穴が空いていたので、比較的、あとはメンバーとお金がそろえばストライクゾーンに球を放れたという背景があります。
それ以降は、やっぱり僕から見るとずっとストライクゾーンが狭いところでやっているので、本来ここにあるレビューも、レビューとしてはいいんだけれども、そもそもストライクゾーンがあるのか、あるいは今の場所でいいのかという議論を私はちゃんとしたほうがいいように思います。
それから、もう1点、これもさっきどなたか、海外物は厳しいよという話がありましたけれども、これもある意味当然で、要は、海外の領域でそう簡単に市場の失敗の穴はないはずなんですよね、もともと。それから、当然、海外で投資をやるということは、ある意味で海外に係る投資というのは、もともとレッドオーシャン的な場合が多いので、あと、プレーヤーも場合によっては海外のプレーヤーと競合するわけですから、組織能力的に非常に高いレベルのことをやらなきゃいけないわけです。
ですから、もともとこれは勝率が高くないというか、投資として難しくなるというのと、それから、ちなみにさっきJBICのエクイティファシリティの話があって、我々は、実はその脈絡でNordic NinjaというのをJBICさんと向こうでやっていますが、これはちゃんと収益を上げております。
じゃあ、何でそれができるかというところは、理由は簡単で、やっている人間が超一流だからです。僕も関わっていますけれども、日本から行っているメンバーも向こうにいるメンバーも超一流だからです。そうなっちゃうと、今度はもう一つの問いとして、官民ファンドというファシリティが、そういう超一流の人間を集めてできるような立てつけになっているんですかという問いが次にあって、これは自分で言うのも何ですけれども、産業再生機構で、当時の日本としてはドリームチームに近い超一流の人間が集まってやっていたんですよね。これは翁さんよくご存じのとおりで。あれははっきり言って時限だからああいうメンバーをそろえられたので、時限組織じゃない会社で、いろいろもめましたが、要は、公務員体系に準じるという給与体系で、成功報酬もなしで、そんな超一流のやつが集まるのかと、それで5年、10年、15年とできるのかというのは、もともと私は疑問を感じていたところなので、その辺もやっぱり検証すべきだと思っています。
結局トータルの議論として、そもそもの政策目的、どこに市場の失敗があるのか、それから、そこに今ちゃんとさっきの重複領域があるのかというレビューを、せっかく新しい資本主義ということで、官民の役割をもう一回見直そうという議論をしているわけですから、これは各官庁ともおやりになられたらいいのではないかということを思うのと、それから、今や官民ファンドという立てつけ自体が私はちょっと無理があると思っている。そもそもさっき言った給与体系、組織の構造、時限という事情がなくなっていることも含めて、かなり無理があると思っているので、それも含めて大きなレビューをしたほうがいいんじゃないかと思っています。
これはある意味では、もともと担当官庁がそれぞれありますから、逆に今日おいでになっている皆さんが答えられるかどうか分からないけれども、そういう次元の、要するに、一番根本論としてのレビューなり、抜本と言うのであれば、そういう見直しをしているのかどうなのかというところが、私の根本的質問です。
ちなみに、今日一番話題のクールジャパンでいうと、これは随分長い間クールジャパンをやってきて、私の理解は、要は、BtoCの世界で、BtoCのグローバルマーケットで、いわゆる無形のコンテンツでビジネスが、産業がつくれますかということやっているわけです。その観点で言っちゃうと、はっきり言って韓国にぼろ負けしているわけです。最近話題のBTSだってそうだし、「パラサイト 半地下の家族」もそうなんだけれども、もう完全にぼろ負けですよ。
もともとうまくいっていたゲーム、ソニーや任天堂はうまくいっているのが相変わらず調子がいいだけの話であって、そうすると、ひょっとするとクールジャパン機構にその政策を担わせたことに無理があったんじゃないかという感じがするんですよね。もっと違う政策をしたほうが有効だったんじゃないかということになるので、いや、これもそうなんですけれども、やっぱり、そもそも論の政策パッケージとしてどうあるべきなのか、そこで官民ファンドがフィットしているのか、フィットしていないのかという議論を私はぜひともやってほしいと思うので、その辺の動きについて、もし何かコメントがあったら、各省さん、お答えいただければと思います。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。
それでは、次に、原田委員、お願いいたします。
〔原田委員〕ありがとうございます。各ファンドから改善計画、組織再編についてご説明をいただきまして、ありがとうございます。
1点、意見を申し上げます。資料1の8ページ、「3.今後の進め方」というページについてなんですけれども、一番最後のほうに、抜本的な見直し後も成果が上がらない際の対応として、組織の統廃合も念頭に道筋を整理するとありますが、この点について、これ以上のことが書いてありませんので、今後、組織の統廃合というのが議論されるようになるのでしたら、ぜひとも考えていただきたいことを申し上げます。
安易に統廃合しようということにはならないと思うんですけれども、もし今後、統廃合するということであれば、効果はどこに見込めるのか、シナジーはどこにあるのかということは、まず一つ考えなければいけないことです。先ほど江川委員がバックオフィスを統合したらコストは下がりますというお話をなさっていらっしゃいました。そうであれば、多少は財務内容の改善は期待できるのかなと思います。
ただ、例えばシステムなどが別々で、そこもシナジー効果が見込めませんということでしたら、コストの削減は限定的かもしれませんので、効果がどこに見込めるのかということはしっかり見定めていただきたいです。官民ファンドは主務大臣の関与などがあったのか、どうなのか、ちょっとよく覚えておりませんけれども、そういった責任の所在がどこに移るのかといったことも、考えることであろうかと思います。誰も責任をとらないで安易な統廃合となってはいけないと思います。とにかく目的を明確に統廃合の道筋を考えるべきであるということを、1点申し上げさせてください。
以上になります。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。
それでは、最後のご質問、ご発言になると思いますが、土居先生、お願いします。
〔土居委員〕慶應義塾大学の土居でございます。ご説明どうもありがとうございました。非常に細かく説明をいただいたんですが、あいにくこれで、さらにこのまま続行してくださいと、もう全面的に応援できるというようなご説明ではなかったと言わざるを得ないと思います。
もちろん、もともとの計画を下回るような実績しか上げられていなかったと、それは、たとえコロナといえども、時は待ってくれませんので、こういう予期せぬことが起こったとしても、どうやって損失を最小にするかとか、目標に近づけられるかということは、どういうリスクがあったとしても、それをきちんと乗り越えていかなければいけないわけですし、こういう官民ファンドからのご説明は、もう何回も聞かされたというのが、この分科会でのこれまでだったと思います。今日もそういうことだったと言わざるを得ないと思います。
さらに、私もこの分科会で申し上げておりましたが、うまくいっても叱られるけれども、失敗しても叱られるというのが、ある種、官民ファンドの今置かれている立場なのではないかと。つまり、うまくいっても民業を圧迫しているんじゃないかというそしりを受ける可能性ももちろんありますし、うまくいかなければ当然これは叱られると。
そういう意味では、先ほど冨山委員がご指摘されたように、官民ファンドという仕組みで、このまま続けていてもいいのかということは、もはや真剣に考えなければならない分岐点に来ているんじゃないかと思います。
そういう意味では、これは事務局に対するコメントということになりますけれども、官民ファンドそれぞれに、会計学的に言うところの清算価値で測った企業価値というものが幾らなのかと。今日直ちに清算するとなった時には幾らの価値があるのかということを少し計算するということを踏み込んでやらなければならない段階に入っているのではないかと思います。
このまま投資機関があって、それを継続して最終的に引き揚げるということを待っていては、損失が拡大する可能性というのも、私は十分にはらんでいると思います。もちろん、これからコロナから回復するというところで、少しはゲインがあるのかもしれません。それから、海外案件だとすると、今、円安なので、先に円高だったときに投資していたものが円安になって返ってきて、円に転換するということになった時に、その差益みたいなものが含まれるというようなことがあるのかもしれませんけれども、それはむしろ、おまけみたいな収益であって、もともとの政策目的で上げた収益とはとても言えないわけですから、国民に対して毀損することを少しは和らげられたという程度の話にすぎませんので、やはり、ここで清算価値を測った上で、場合によっては組織の統廃合、これはもちろん組織論的に統廃合するという議論は先ほど来ありますけれども、それだけではなくて、バランスシートから見て統廃合の必要があるというようなことが、もし数字として現れたら、それはしっかり今後の組織の在り方に、きちんと改善につなげていく必要が私はあるのではないかと思います。
私からは以上です。
〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。
それでは、官民ファンドの皆様から、今の意見やご質問に対してお答えいただきたいと思います。共通する論点としては、そもそもの政策目的のレビューとか、また、政策目的と収益のベン図の真ん中を常に見られながらやらなければいけないことなんですが、そういうことを常にレビューしているのかと、また、こういった政策、官民ファンドという手段自体の、こういった政策関与の在り方がほかの手段と比べて適切か、考えているかというような根本的な問いもありました。そういった共通するようなことについてのご回答と、渡辺努委員からもかなり共通するご質問がありましたがそのご回答、あと、個別にもいろいろとご質問があったかと思いますので、恐縮ですが、クールジャパンファンドから、先ほどの順番でご回答いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、クールジャパンファンドからお願いいたします。
〔経済産業省商務・サービスグループ畠山審議官〕経済産業省、畠山でございます。それでは、順次お答えをいたします。
まず、川村委員から指摘のあったCJ機構の委員会の役割分担、これは後ほど川﨑社長からお答えをいただきます。
それから、林田委員からございました、要するに、JICとの統合だけ議論しているんじゃないのかと。JBICや、あるいは日本公庫のものとの組合せということも考えるべきじゃないかということでご指摘をいただきました。
我々、いずれにせよ、組織を統合するにせよ何にせよ、まずは固まりとしてCJ機構が今やっている業務の収益性、もちろん政策効果とのバランスを考えながらですけれども、ここの収益性をきちんと確保するということをやらなければいけないとは考えておりまして、まずそこを中心には考えております。
その上で、今日も多々ご議論いただきましたけれども、収益を確保しながら政策目的を達成する上で、その他機関、要するに、JIC以外の機関との連携、あるいは統廃合を含めた組織の在り方を考える必要がある、あるいは考えたほうがベターであるということであるとすれば、そこを我々もきちんとどういう効果があるのかということを含めて議論していきたいと、このように考えております。
それから、工藤委員から指摘のあったコロナの回復の状況、これは川﨑社長からお答えいただきます。
2つ目の、むしろ抜本的な問題として、このような政策目的で行うものの手段として官民ファンドというものがいいのかどうかという趣旨のご質問だったと思いますけれども、私自身は、これは本当言うとクールジャパンに限られないんですが、やっぱり政策の資源をどこに投入するのかということで考えますと、全世界的にいっても、今、割と研究開発とか中小企業、日本はそういうところに集中することが多くなってきたんですけれども、事業化段階への支援というのが積極的に各国とも行っているような、こういう状況になっていまして、そういう意味でいうと、出資という形態にもちろん限らないんですけれども、政策目的、企業が事業段階に入った、そういうステージでの政策支援の在り方、手法というのを考えていく必要があると思っていまして、そういう中では、やっぱり各国でも政府が出資している例、あるいは政府がこういうファンド的なことをやっている例はありますけれども、こういう出資機能みたいなことを果たし、やりながら、収益性とのバランスの中で政策目的を達成するという手段は、一つ、政策手段として持っておきたいなと考えておりまして、CJ機構でもそのようなことだと思っております。
ちなみに、このCJ分野につきましては、やっぱり以前にも増して、こういうクールジャパン、あるいはそれぞれの国の文化、あるいは生活、そういうところのよさに着目したストーリー仕立てで説明をする、あるいはストーリーを組み立てるということが、必ずしもクールジャパンの分野でなかったものについても、そこをうまく組み合わせることで競争力を持ち得るということが近年発生していると思っておりまして、そういう意味でも、こういうクールジャパン分野の新たな役割だと考えているものですから、そういう意味で引き続き、政策手段としての収益性ですとか、そういうところのパフォーマンスはきちんと改善していかなきゃいけないとする一方で、やはり、この分野の政策支援というのは引き続きやっていきたいと、このように思っているところでございます。
それから、家森委員から、日本のアニメとか、あるいはお酒の市場開拓ということ、今後なくなるのかというご指摘がありました。川﨑社長からも補足あるかもしれませんけれども、私はこれは引き続きやっていきたいと思っておりまして、ただ、やっぱり収益性とのバランスを考えたときに、これはいろいろなステージのものをやっておく必要があると思っていまして、要するに、自ら政策目的を追求するもの、あるいは日本文化をすごく売り込みにいくもの、割と単独でやるもの、そういうものも必要なケースもあり得ると思いますけれども、一方で、やっぱり海外事業者とうまく連携しながら、あるいはそれなりにキャッシュフローが見えている案件、あるいは本当言うと、こういうことも検討したいと思っておりますけれども、政策手段としても、単に出資だけではなくて、もう少しメザニン的なものでやったりとか、あるいは債務保証みたいなことをやったりとか、あるいは金融ではなくて、海外展開のアドバイス、ノウハウ提供みたいなことをやったりですとか、そういったことも含めて考えていきたいと思っておりまして、そういう政策手段を講じながら、やっぱり、日本のアニメを売り込むとか、お酒を売り込むとか、そういうことも併せてやっていきたいと思っております。
それから、渡辺努委員からご指摘があった、政策と収益性のバランス、これは現場でどういうことが起きているのか、これは川﨑社長からお答えいただこうと思いますけれども、実際どう取り組むのか、このバランスを取るというのは大変我々も悩ましく思っているところではございまして、もちろん、この場でもともと使っているお金の性格も含めて、当然、収益のバランスを取っていかないといけないということで、収益性のところをきちんと改善していかなければいけないという議論を相当ご指摘をいただいているということを踏まえつつ、一方で、この政策をつくった段階で、これは政治の場面も含めて、相当、政策目的をきちんと果たせるのかということを、我々も問われているという状況でございますので、ここのバランスは今まだ必ずしも妙案があるというわけではないんですけれども、両者のバランスを取らなきゃいけないというのは日々悩み続けながらやることだと思っております。
それから、冨山委員からご指摘ありました、そもそも政策パッケージとして、CJ分野でこういう手法を取ってやるというのについてどう思うかということについて言えば、先ほどもお答えした中身でもあるんですけれども、やっぱり事業段階の支援という中で、こういう出資ですとか、本当は金融手法をもう少し幅を広げていければと思っていますし、今申し上げたように、金融以外の手法もうまく組み合わせる必要もあるかなとは思っておりますけれども、ここの政策について、こうした機構による支援のような、こういう枠組みを持っておきたいということは思っておりまして、ここをいかに収益性とバランスさせながら政策を実現するかというのを引き続き追求していくということで、秋に向けてきちんと案をまとめていきたいと、このように思っております。
残りは、川﨑社長からお願いいたします。
〔海外需要開拓支援機構川﨑代表取締役社長CEO〕ありがとうございます。多くのご質問、ご指摘をどうもありがとうございます。
まず、川村委員からご指摘がありました海外需要開拓委員会における委員の役割についてですけれども、投資検討における委員の役割ということで、スタートして今1年たったわけなのですが、当初はちょっと混乱した運営になっていたというような反省もございます。ただ、ここで改めて海外需要開拓委員会における委員の役割というのを明確にして、業務執行サイドの役割と、海外需要開拓委員会での委員の役割というものを明確にした上で再度臨んでいけたらと思っております。基本的にはそれぞれの委員の方々の経験、知見を十分に生かした議論が展開されるような形での運営を心がけていければと考えております。
2つ目、工藤委員からのご質問で、コロナの影響は収束に向かっているのかというようなご質問ではございましたが、案件ごとに当然温度差はございますが、おしなべて言えますのは、ネガティブインパクトという点でいけば、最悪期はやっと脱してきたかなというように見ております。ただ、まだまだ予断を許さないような状況ではございますので、しっかりとモニタリングをしていく、あとバリュークリエーションをいろいろな形で、ハンズオンも含めまして行っていくというところは、まだまだ必要な状況かと認識しております。
続きまして、渡辺委員からの収益と政策性のバランスはどう考えているのかというようなご質問に対してですが、今、実際に業務執行をしていく際に気をつけてやっていくようにしておりますのは、まず、ソーシングの点では、クールジャパン政策性というものが大前提です。いろいろな案件、実績もございますので、数多くの案件がやってくるわけなんですけれども、まず、クールジャパン性を大前提として考えること。その中で、より収益性の高いものは何だろうかというようなことも含めてオリジネーションしていくというところを心がけてやっていくべきだと考えております。ですから、組織の設立目的でもありますけれども、クールジャパン政策を訴求していくということは大前提だと私自身は考えております。
続きまして、野村委員からご指摘のありましたスパイバーのクールジャパン政策性についてですけれども、簡単に申し上げておきます。
ご存じのように、スパイバーは、クモの糸の遺伝子をもとに人工構造タンパク質の新素材を開発、生産する慶應義塾大学発ベンチャーでございます。本格的な事業化フェーズに移行するに当たっての成長資金を出資という形でやっております。原料を化石資源に依存せずに、生分解性で環境負荷が低く、持続可能なサステーナブルな次世代基幹素材として注目されているもので、日本が強みとする最先端の素材製品開発技術を活用したものづくりを、世界のファッション、アパレル市場に発信していくものという位置づけでクールジャパン政策性が高いものということで出資をしております。
以上でございます。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、次に、JOINからご回答をお願いいたします。
〔国土交通省山上国際統括官〕国土交通省です。JOINについて、3点、ご質問いただいたと認識をしております。
1つ目は、政策領域と収益領域の重複領域、これをどう的確に捉えて支援をしていくのか。2つ目が、官民ファンドの限界についてであります。3つ目が、JOINとJICTとの連携、このように認識をしておりますので、まず、私からお答え申し上げまして、JOINのほうから補足があれば、お話をしたいと思います。
まず、1点目の政策領域と収益領域の重複、この部分をどう的確に捉えるか、これは大変、我々、常に頭を悩ませている問題でございます。特に私どもJOINが取り扱う分野はインフラの輸出でございますので、本来、公共的な色彩の強い領域で収益をどう確保するかというのは、常々、頭を悩ませる問題であります。
他方で、政策領域の要請は日増しに高くなっておりまして、私ども自由で開かれたインド太平洋というのを日本政府として標榜しましたが、その後、アメリカ、イギリス、多くの国がこのFOIPというコンセプトに賛同し共に唱えてくれております。外交政策を考える上で、このインフラシステムの輸出をどうレバレッジとして利かせていくのか、大変これは有効な対外政策であろうということで、マルチの枠組みでも、新興国や途上国のインフラの展開を支援していこうということが、QUADなどでも議論をしております。
したがって、政策領域は非常に広がるんですが、その中でどう収益を確保していくのか、これが大変大きなテーマであると考えておりまして、今般、JOINの組織改編についての考え方をご説明申し上げましたけれども、案件の管理、モニタリング、つまり、収益をどう管理していくのかということが大変重要になっていると思っておりまして、これからしっかり取り組んでいこうと思っています。
また、もう1点、特にASEAN中心にこれからODA卒業国が出てまいります。そうすると、彼らは民間資金をより活用して、PPPという手法でインフラシステムを整備し、あるいは運用しようとしてくると思います。その意味で、エクイティ性資金を提供するJOINの役割、大変大きいものがあると思っておりまして、現に民間企業からは常々100件近くの相談を預かっている、こういう状況でございます。
1点目と関連しますが、2点目の官民ファンドという立てつけで、政策目的、あるいは民間の海外ビジネスを支援していくことは適切かということであります。JOINの、官民ファンドの一つの役割として、出資というのと、支援対象の事業主体に経営参画をしてハンズオン支援をしていくということがございます。
そういう意味では、ソブリンファンドが世界各地にあり、韓国でもKINDという官民ファンドをつくって、これはJOINを意識したファンドになっておりますが、国がかりでエクイティ性資金を出し、同じように海外の事業主体を支援していこうということが非常に多くなっております。繰り返しになりますが、インフラですので、官、つまり公的色彩が非常に強いので、民間資金を提供しながら相手の政府にも話ができる、あるいはバックボーンとして、ガーディアンとしていろいろ交渉もできる、そういった官民ファンドの強みも、やはりあるのではないかと思っておりまして、組織改編も含めて、より改善を図っていきたいと考えております。
最後に、JICTとの連携でございます。JICTとの連携につきまして、私ども交通・都市開発の領域でも、通信、デジタル、あるいはAI、こういった技術を活用しない交通、あるいは都市開発は今やない時代ですので、どうしても親和性が出てまいります。その中でも、私どもは交通・都市開発という分野に長けた専門家を擁して支援をしてまいります。JICTさんは郵便、通信、デジタル、そういった分野に長けた専門家集団だと思っております。重複領域があり得る場合もあると思うんですが、それはファンド間の交流をこれまでもしておりますが、しっかりこれからもしていくということと、あとは政府の中でも国土交通省と総務省、常々交流し、JOIN、そしてJICT、それぞれの課題意識を共有し、問題意識を共有し、あるいはベストプラクティスも共有して、常に連携しながらやっていく、これが大変重要だろうと思っております。
私からは以上です。補足があれば。
〔海外交通・都市開発事業支援機構稲川専務取締役〕渡辺委員から出てきたリスクマネーの供給不足について、1点だけ私のほうからお話をさせていただきます。
2021年度、JOINは8件、276億円の出融資を行いました。従来のインフラ事業に加えまして、先ほど少し申し上げましたけれども、デジタル基盤とか、環境関連の事業とか、そういった我々にとっては新しい分野への投資に資金を、今、供給しております。
こちらはお話がありましたように、比較的ベンチャーに近いスタートアップのようなところなので、我々としては、外部の専門家で内容をしっかりと精査し、一方でリターンは従来のインフラに比べて比較的高いリターンをいただけるので、こうした案件を組み合わせて、対応していきたいと思っています。
リスクの管理に関しましては、トータルのエクスポージャーの中で、こういったベンチャーに関するリスクというのは、ある程度、限定といいますか、基準を設けて、その範囲内でやっていこうということで、識別して管理をしているところでございます。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、JICTからお願いいたします。
〔総務省田原国際戦略局長〕総務省でございます。まず、私からざっとご説明させていただきまして、細かい点をJICTのほうから補足していただければと思います。
まず、何点かご意見ございました。政策目的がいろいろ設立期から変わってきていて、それを適宜見直す必要があるんじゃないかと、こちらにつきましては、まさに5年見直しを行って、もともと通信インフラ、放送インフラ等のインフラ事業であったということで、かなりハードイメージでしたが、情報通信の分野、デジタルの分野、かなりソフトでそういうサービスができるということで、インフラ整備を伴わないICTサービス事業、こちらについてもできるように見直したということと、従来はそうした大型の案件しかできないということで、大手企業が中心になりましたが、そうしたソフト中心のサービスでもいろいろ海外にどんどん出ていけるという状況になったということもありまして、ベンチャーさんですとか、地方の企業、こういった方々に対してどんどん支援ができるようにという形でファンドへのLP投資ということでベンチャーさんにつなぐような投資についてもJICTが扱えるようにということで規定を見直しているところでございます。
また、そういった中で政策領域と収益領域の重複、バランスということでございますが、こちらについては、非常に難しい点ではございますが、先ほどの私からのご説明でも、地政学的リスクで、ある程度処分をするということも出てきておりますけれども、いずれにしても、そういうリスクの高い地域への投資、あるいはそうではない、競争領域になりますけれども、比較的そういう安定した地域への投資も含めてバランスを見ながら双方に対して投資をしていくというようなことが必要なのであろうと。
また、投資先についても先ほどご説明させていただいた、必ずしもインフラではないソフト事業等も含めてという形になりますので、そうした形でポートフォリオのバランスを取りながら、多様化しながら、きちんと一定の政策の中でリスクを伴うものについても投資ができるようにというように考えていくべきと思っております。
また、政策領域との関係でございますけれども、私どもとしても、総務省で行っている様々な調査事業、実証事業、こうした政策目的に沿って行っている事業と、その出口への支援、あるいは研究開発もしかりですけれども、そういったことに関してのJICTとの連携というのを強めていこうということで、私どもの政策担当の部署と、あるいは研究部門と、JICTの運営部門の連携、情報交換を従来以上に密に行うようにしているところでございます。
そういった形で、あと、ご指摘ありましたJOINさんとの連携ですけれども、これは先ほど国土交通省からあったとおりでございますが、私どもとしては、こういったスマートシティですとか、いろいろな分野でデジタルと都市等との分野、重複する部分もあろうかと思いますけれども、それぞれについて、それぞれ得意な知識を生かしながら支援をしていくということが1点ございます。
また、あわせて、双方の連携というのは、その中でもしっかりと行っていかなければいけないということで、それぞれの官民ファンド間の連携も従来以上にしっかりしていくということは当然でございますけれども、政府の中でも国交省、あるいは政府全体の中でもファンド間、あるいは省庁間で連携すべくいろいろな議論が進んでおりますので、従来以上に密な連携をしていきたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
〔海外通信・放送・郵便事業支援機構大島代表取締役社長〕JICT、大島でございます。
若干、委員の皆様からのご質問に関して、私見ということで申し上げますと、渡辺委員からのご質問の点に関しましては、資金繰りということに関しては非常に緩和的な金融環境であるということからすると、ただいまこの瞬間で資金不足から、では官民ファンドのほうに来るということまでではないかというふうに認識をしていますが、一部IPOの案件が伸びるとか、そういうものは既に始まっておりますので、そういった有望なベンチャーの中で支援していくものが出てくる可能性はあろうかと思っています。
一方で、為替もそうでありますし、ご案内のとおり海外の金融市場というのは非常に高金利、今、金利上昇が見られているところでございますけれども、こういった中でいいますと、恐らくリスクに見合った、期待リターンという目線が上がってくるだろうと思われます。
そういった中では、これはリスクリターンからすると、官民ファンドとしてしっかり見ていきませんと、リスクに見合わない低採算のバランスシートが増えてくる可能性がありますので、この辺りについては事業性をしっかり見極めながら、海外市場の動向やインテリジェンスにも気をつけながら、ポートフォリオ全体の健全性を保っていきたいと考えております。これが1点。
それから、官民ファンドとしての取り組む目線、役割ということで、これは冨山委員からご指摘いただいていますけれども、やはり、特に金融危機以降の日本ということに関して言えば、中長期の事業金融目線を持ってどういうふうに産業を育てていくか、こういうことが、商業銀行化している日本の金融と、それから民間ファンドが両立するような構成の中でいえば、どこかでしっかり日本産業全体を考えてサポートする官民ファンドというのが存在し、事業金融という視点でサポートしていく、こういった観点はどの分野においても大変重要ではないかと私個人としては考えているところであります。
3点目でございますが、バランスシートの健全性、これは先ほど土居委員からのご指摘にもつながると思いますけれども、投資済みの将来収益になるであろうものも含めた全体のバランスシート、これは足元と、それから会計上表現されたものも含めて、しっかりモニターしながらリスクを見ていく、こういったことが大変重要ではないかと認識しておりまして、私どもしっかり取り組んでいきたいと思っています。
以上です。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
それでは、A-FIVE、お願いします。
〔農林漁業成長産業化支援機構高橋取締役専務〕A-FIVE専務の高橋でございます。
まず最初に共通の問いかけといたしまして、昨今の経済情勢なりを踏まえて、政策性と収益性をいかに両立するのか、あるいは官民ファンドという手法が適切と考えるかといった問合せがございましたけれども、ご案内のとおりA-FIVEにつきましては、既に新規投資を停止しておりまして、回収のみに現在専念するという特殊な位置づけになってございますので、そこにつきましては、お答えを割愛させていただきたいと思います。
次に、個別のご質問といたしまして、工藤委員から、A-FIVEについて改善計画を見直さないということですけれども、今期、減損を計上した案件以外は計画どおりに進んでいるものと考えてよいのかというご質問がございました。
結論から申し上げますと、ほぼそのように見てよろしいのではないかと私ども考えてございます。今期、コロナなりを踏まえまして、約20億円の減損を計上しておりますけれども、計画と実績の対比で申しますと、122億円の減損という計画に対しまして、141億円、18億円上回ったということです。もちろん、数字だけを単純に比べればという問題ではございませんけれども、そういった減損の規模感なりを踏まえて、あるいは私どもが把握しておりますその他の案件の状況なりを考えれば、減損以外の部分については、ほぼ計画どおり進んでいると考えて差し支えないというのが、我々の考えでございます。
以上でございます。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
一通りお答えいただきましたが、冨山委員から、チャット欄に書いていただいているので、一、二分でコメントをいただけますか。
〔冨山委員〕書いたとおりで、さっきのクールジャパンの話は、答弁が正しいとすれば、よっぽどやっている人が仕事できないんじゃないのという話になっちゃうように僕には聞こえたので、多分そんなことはないだろうと思うので、基本的な政策のパッケージングというのかな、CJを含めてクールジャパン、あるいは無形資産を成長の一つのソースにするという政策パッケージの中において、クールジャパンというのが、多分そんなに役に立たないんですよね、ということがある意味分かっているので、一つのエビデンスとしてちゃんとPDCAを回して、政策のパッケージングを変えるということを経産省として考えてもらいたいし、これはすごく大事なので、ここの戦略は、だから、変にクールジャパンというフォーマットにこだわらないほうがいいような気がしました。
それから、もう1点、先ほどのJOIN、JICTもそうなんだけれども、海外領域に関して言うと、インフラ系の超長期のエクイティ投資は、もともと日本は民間もほとんどやっていないんですよね。ここは明らかに、日本全体の産業金融全体の組織能力の実は欠落しているところで、これをどう埋めていくかというのは物すごく大事なテーマなんですけれども、ということは、もっと言っちゃうと、ひょっとするとJOINなりJICTなり、政策課題としてその能力をどう評価するかというのを、僕、設定したらいいんじゃないかなという気がするんです。
だとすると、例えば、実際Nordic Ninjaもそういうフォーマットになっているんだけれども、海外の一流ソブリン・ウエルス・ファンドの人を雇うとか、そういうことをして、彼らの物の考え方とか行動様式というものを、要するに、今のところ日本にはない話だから、そこでいきなり無理しないというか、日本人だけでやろうとしないで、そういう一流の人からいろいろなノウハウなり、考え方なり、物の決め方なり、組織の運営の仕方なりというのを吸収するのも、これは一つありではないかと思っているので、ぜひとも、政策目的はいろいろあるんですけれども、その中にインフラに対する長期エクイティ投資という、要するに、官も民もほとんど持っていない産業的組織能力を日本で、これは大事な機能であることは間違いないので、日本の成長にとっても、いろいろな意味で大事だということは間違いないです。あと、経済安全保障上も今後大事になるはずなので、ですから、そこは政策目的に乗っけたらどうかなと思いました。
以上、コメントです。
〔翁分科会長〕ありがとうございます。
最後に、今日の中で統合とか見直し、土居委員からは清算価値の算出というような提案が出てきておりますけれども、事務局から、今後の見直しについてご回答を一言、1分以内ぐらいでお願いできますか。
〔笠原財政投融資企画官〕事務局でございます。
組織の在り方について、今後、改革工程表等で、そういったことも少し整理をしていくということをお示しさせていただいておりますので、その中で今日お話ありました、例えば、そもそもその効果であるとか、シナジーとか、そういうことがどうあるべきかとか、清算価値で、今のタイミングで必要性を考えるべきではないか、また、今日のご議論いろいろありましたけれども、そもそも変わるニーズ、目的等の関係で必要性があるのかどうか、この辺りはご指摘のとおり、組織の在り方における非常に大きな視点だと思いますので、今後そういった形で、我々、出資者としても組織の見直し、必要に応じてする際には、こういった視点を含めて検討させていただければと思っております。
〔翁分科会長〕ありがとうございました。
少し時間を過ぎてしまいましたが、今日はこれで質疑を終了したいと思います。
ご議論いただいた内容のほか、もし追加でご意見やご質問がありましたら、事務局のほうまでお寄せいただければと思います。
本日の議事内容につきましては、この後、事務局より記者レクを行います。
議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省のホームページに掲載いたします。
次回の開催日程は、後日、事務局よりご連絡いたします。
本日はご多忙の中、官民ファンドや関係省庁の皆様にもいらしていただきまして、ありがとうございました。これで終わりたいと思います。
ご多忙の中、どうもありがとうございました。以上で閉会いたします。
15時18分閉会