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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和3年12月23日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和3年12月23日(木)10:01~11:47
財務省国際会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.副大臣挨拶

  • 3.報告事項

  • 4.令和4年度財政投融資計画等

    (議案第1号)令和4年度財政投融資計画

    (議案第2号)令和4年度財政融資資金運用計画

    (議案第3号)令和4年度の財政融資資金の融通条件

    質疑・応答

  • 5.

配付資料

資料1-1

前回(12月9日)の財政投融資分科会における委員から内閣府・文部科学省に対する質問事項(大学ファンド)

資料1-2

大学ファンドについての議論の整理

資料2

交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について

議案第1号

令和4年度財政投融資計画

議案第2号

令和4年度財政融資資金運用計画

議案第3号

令和4年度の財政融資資金の融通条件

議案関係説明資料

参考資料令和4年度財政投融資計画の機関別事業計画・資金計画

出席者

分科会長

百合

岡本財務副大臣

角田理財局長

石田総務課長

関口財政投融資総括課長

小林資金企画室長

笠原財政投融資企画官

米田管理課長

原田計画官

漆畑計画官

高田

土居丈朗

渡部賢一

渡辺

臨時委員

江川雅子

冨田俊基

林田晃雄

原田喜美枝

専門委員

川村雄介

家森信善


10時01分開会

〔翁分科会長〕それでは、予定の時間となりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。

本日は、報告事項及び令和4年度財政投融資計画等の2つの議題がございます。なお、全体の時間が限られておりますので、ご質問などは簡潔にお願いいたします。

本日は、岡本財務副大臣にご出席いただいております。開催に当たり、岡本財務副大臣にご挨拶を頂戴したいと思います。

報道関係者が入りますので、そのままお待ちください。

(報道カメラ入室)

〔岡本財務副大臣〕皆様、おはようございます。岸田総理の下、第2次内閣が発足いたしまして、財務副大臣を拝命いたしました岡本三成です。これまで4回にわたりまして、ご議論をいただいておりますことに加えまして、今日も年末で皆様それぞれお忙しい中、わざわざ足をお運びいただきまして、また、ウェブ上でご参加をいただいている皆様も本当にありがとうございます。

今回のこの議論に際しまして、皆様のこれまでのご議論をまとめたもの、また、11月19日は経済対策に関する閣議決定がされておりますが、その取組を反映したものになっています。

皆さんにこれまでご議論いただいた中のもので、今日、トピックになっている中で3点、重要なポイントがあると思っていまして、1つは、現在のコロナ禍の中で本当にご苦労されている事業者の皆さんをどのように支援していくかということと、今後、ポストコロナの時代に入ったときに、どのように成長を強化していくかというポイント。2つ目には、日本が本来持っている潜在力を具現化していくために、支援をしていく形といたしまして、岸田総理がよく口にしていらっしゃいます科学技術立国を実現していくということと、今回の政権の目玉であります「デジタル田園都市国家構想」を実現すること及び経済安全保障を推進すること。最後には、やはり国民の皆さんの命を守るような防災・減災という観点が重要だと思っています。

私、議員になって9年たちますが、その前は、アメリカの投資銀行で20年以上働いていました。市場メカニズムがすごく大切だということはよく認識している議員の1人だと思っていますが、市場のメカニズムだけに任せてしまうとどうしても、必要だが手当てされないものがあったり、不公平が生じるところがあるので、今世界的に、官と民の距離関係を、諸外国はもう一度問い直している状況にあると私は思っています。

日本においては、例えば超長期のものであったり、大規模プロジェクトのものであったりを支援するのが財投の役割だと思っておりまして、先生方に今日しっかりとご議論いただきまして、まとめたものを、財務省としてしっかりと受け止めて、今後の財投計画に活かしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、報道関係者の皆様は、ご退室ください。

(報道カメラ退室)

〔翁分科会長〕なお、本日は、予算案の決定を間近に控えていることから、岡本副大臣、事務局側において、業務の都合上、やむなく途中退席をする場合もございますので、あらかじめご了承願います。

それでは、議事に移ります。報告事項については、大学ファンドと交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更についての2点がございます。

まず、初めに大学ファンドについてですが、前回の分科会において委員からのご質問のうち、時間内にお答えをいただけなかったものについて、関口財政投融資総括課長よりご説明をお願いいたします。

〔関口財政投融資総括課長〕財政投融資総括課長の関口でございます。よろしくお願いいたします。

翁会長からお話があったとおり、前回の分科会で委員の先生方からいただいたご質問に関して、十分に回答できなかった部分がございまして、お手元の資料1-1のとおりまとめてございます。これらの質問についての回答は内閣府、文部科学省よりいただいておりますので、ご紹介させていただければと思います。

問1に対する回答でございます。ご指摘の内閣府・文科省資料における記述は、グローバル株式・債券の過去25年間の実績データに基づいて、支出目標率と同じ3%の期待リターン、こちらは物価上昇率を含むために、長期収益目標率4.38%とは異なるということでございますが、この3%の期待リターンに対応した資産価値変動の標準偏差が約11.1%と算出されることから、リスクバッファーに当たる自己資本比率として、運用開始時点で最低限必要な水準として約11.1%とすることとした旨を記載しているものです。

運用立ち上げ期は債券の割合が多い形から始め、運用の過程で自己資本を厚くしつつ、段階的にリスク資産を増やしてリスクテイクを行い、収益率を4.38%に向けて徐々に高めていくことを想定しています。理財局資料にあるとおり、本年11月の経済対策に従い、財政融資資金の償還確実性の担保の観点から、下方リスクに備え、自己資本を厚くし、償還期には、過去の大きな市場変動にも耐えられる水準の安定的な財務基盤の形成を目指します。いずれにせよ、この自己資本は下方リスクに備えたリスクバッファーであり、大学支援のためのバッファーとは考えを異にするものであります。

問2に対する答えでございます。ファンドの運用立ち上げ期には債券の割合が多い形で資産運用を始め、段階的にリスク資産を増やしてリスクテイクを行い、収益率を徐々に高めていくことを想定しています。先ほど申し上げたとおり、グローバル株式・債券は過去25年間、こちら1996年から2020年の実績データに基づいて、支出目標率と同じ3%の期待リターンに対応した資産価値変動の標準偏差、こちら1σでございますが、約11.1%であることから、リスクバッファーに当たる自己資本比率を運用開始時点においては約11.1%とすることとしています。

したがいまして、ご指摘のとおり、株式比率65%のポートフォリオから生じ得る最大損失に対して、自己資本11.1%のままで足りるとは考えておらず、株式比率65%など、よりリスクの高いポートフォリオを段階的に形成するに当たっては、運用の過程で自己資本を厚くしつつ、より高い信頼区間で想定される損失額に耐えられる安定的な財務基盤を形成していきます。

問3に対する答えでございます。ご指摘のような場合には、大学への支援はできないことになります。事業の見直しを行う前に、様々なリスク管理上のモニタリングを行うこととしており、一定の資産評価の下方変動や債務超過になる場合には、科学技術振興機構(JST)が資産配分の見直しの要否などを確認した結果を、文部科学大臣、財務大臣に報告を行う仕組みとする予定でございまして、これを受けて文部科学大臣は、JSTが定めた運用の基本方針の変更等について、判断を行うことになると考えています。

さらに、ネットの実現損失が決算時点で資本金を超過する場合には、文部科学大臣、財務大臣に報告を行う仕組みとする予定であり、この状態が3期連続した場合には、文部科学大臣は運用方法の見直しや停止、繰上償還など、ファンド運用の在り方も含め、事業見直しの判断を行うことになると考えています。

問4に対する答えでございます。財政融資資金の元本を大学支援に充てることや、元利金の返済よりも大学支援が優先されることはありません。

また、運用立ち上げ期は運用の過程で自己資本を厚くしつつ、段階的にリスク資産を増やしてリスクテイクを行い、収益率を徐々に高めていくことを想定しているため、大学への支出についても、収益率や資本剰余金等の状況を踏まえ、段階的に拡大していくことを想定しており、決して3,000億円を確定給付額とするものではありません。

問5に対する答えでございます。運用益については、まずは大学支援に充てるための剰余金、こちらはバッファーを含みますが、剰余金として計上し、残余を全て積立金に計上することとしています。これにより、大学支援と積立金への計上を両立することを考えており、大学支援のための剰余金を過大に確保するような仕組みとはしません。

いずれにせよ、支出に当たっては 、経済対策に「大学ファンドの財務の健全性を確保しつつ、安定的・継続的な支援の仕組みを構築する。政府の会議体を通じて、国の資金が政策目的に沿って適切に使われているか確認し、大学への支援額の決定等を行う」と記載されているとおり、大学ファンドの財務の健全性を確保しつつ、支出を行うことになります。

問6に対する回答でございます。独立行政法人会計基準及び金融商品会計に関する実務指針を踏まえた取扱いとする予定ですが、詳細については、JSTの会計監査人と検討しているところであります。

問7に対する答えになります。ご指摘の3つの委員会のうち、投資委員会及び運用リスク管理委員会については、JSTの内部プロセスとして設けたものであり、議事要旨などの公表は予定していませんが、運用状況については、随時、運用・監視委員会に報告することにしています。それを踏まえ、運用・監視委員会で審議が行われ、その審議内容は、説明責任の観点から、市場などに影響を与えない範囲で議事要旨を公表することとしています。

問8に対する答えでございます。大学ファンドの目的は、大学の研究力を向上させることだけではなく、大学が創出した知的価値を基に、自ら自己財源を確保し、イノベーション・エコシステムを構築することにより、新たな知的価値を継続的に創出する主体へと変革していくことにあります。そのためには、大学は、自らが生み出す新たな知的価値を適切にプライシングなどすることによって、継続的に外部資金を確保していけるような体制を構築していくことが求められるところ、諸外国の大学はこのような変革を遂げ、平均して3%以上の事業成長を達成しています。こうしたことを踏まえ、大学ファンドの対象大学にも同様の変革を通じて、事業成長3%以上を達成することが必要と考えています。

問9に対する回答でございます。ガバニングボードは3%成長のための戦略の決定やその執行の監督を行うこと、法人の長は戦略を執行していくことが主な職務となることを想定しています。

まず、ガバニングボードにつきましては、国公立大学法人においては、現状、重要事項の意思決定等を行うガバニングボードが法令上設置されていません。そのため、現在、関係法令にどのように位置づけるかの検討を行っており、重要事項の意思決定やその執行の監督を職務とするとともに、当該決定等について責任を負うこととすることを想定しています。

一方で、私立大学においては、基本的に理事会がその役割を果たすものでありますが、寄附行為によって評議員会を議決機関化することも可能であるところ、各学校法人において適切に判断いただくものと考えています。

また、法人の長については、国公私立大学のいずれにおいても、現行法令上、法人の業務を総理することとされており、その位置づけは大きく変わらないこととなると考えています。

問10に対する回答でございます。JST債券の発行に当たっては、他の財投機関同様に、投資家の投資判断に資するため、JSTにおいて債券内容説明書や投資家説明資料を作成し、説明を行うことを検討しています。具体的には債券の発行条件、JSTの事業概要、決算報告書の内容のほか、資金使途となる大学ファンドの資産運用状況及び運用に関するリスク、市場の影響や為替の影響などを含みますが、そういった情報について、JSTから説明、提供していくことを検討しています。今回のご指摘を踏まえ、募集を行う際などには、その時々の状況を踏まえ、投資家に対して、より多くの情報提供を行うよう努めてまいりたいと考えています。

問11に対する回答でございます。運用目標を資産運用の収益から借入金利などの費用を控除した値として設定した上で、その達成に向けて、運用の基本となる基本ポートフォリオを、合理的な将来予測に基づくリスク分析を踏まえて定めることとしています。

また、実際の運用環境が想定と乖離している等の場合には、必要に応じて基本ポートフォリオの見直しを検討することとしており、一定の金利上昇は、こうしたスキームの中で対応していくことになると考えています。

なお、将来的に大幅な金利上昇があった場合には、運用目標を変更するなどの対応も必要になるものと考えてございます。

以上が内閣府及び文科省からいただいた回答の全体でございます。私からの説明は以上となります。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、私から大学ファンドについての議論の整理について、ご報告させていただきたいと思います。資料1-2になります。

令和4年度財投編成における財投分科会においては、これまで何度か大学ファンドについて議論を行ってきました。各委員からは様々なご意見をいただき、活発な議論と多くの質疑が行われまして、その意味では非常に有意義であったと思っております。

また、全ての意見を統一する見解を示すということは困難でございますが、本分科会で行われた議論をしっかり残し、そして大学ファンド関係者に十分な留意や、適切な対応を求めることが必要ということで、今までの議論、出された意見を取りまとめて、このような形でまとめさせていただきました。

1ページ目にございますが、多様な意見が出されていること、そして、仕組みやリスク管理の考え方についての異論とか残された疑問も含めて、様々な個別意見を論点別に列挙・整理しております。それをぜひ、内閣府、文科省、財務省、JST、それから大学を含む大学ファンド関係者には、これらの指摘に十分な留意と適切な対応を求めたいと思っております。

ここに書いてありますように、政策の意義と目的については、本分科会としても異論のないところでございますが、財政融資資金を、通常の活用とは異なり、政策目的とは直接関係ないリスクのある市場運用の原資として約9兆円という極めて大規模な貸付けを行う、このこと自体は非常に異例な貸付けだと認識しております。その意味で、リスクが顕在化する場合に備えて、大学ファンド関係者には十分な留意を求めたいと思いますし、財務省については、今後特段の注意を払って、本事業に関与していただきたいと考えております。

皆様にはご協力をいただきまして、様々なご意見をまとめさせていただいております。大学ファンドについては、これからも本分科会としても、継続的な報告を求めるなどのフォローアップを続けることとしたいと思っております。

皆様のご協力に感謝いたします。今後ともまた、よろしくお願いしたいと思っております。

もし何かご意見があったら、報告事項もう一つございますので、その後、いただければと思います。

次に、漆畑計画官より交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について、ご説明をお願いいたします。

〔漆畑計画官〕担当計画官の漆畑でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、資料2「交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還計画の変更について」という資料をご覧いただきたいと思います。

1ページでございます。交付税特会においては、財融資金からの短期の借入れと、民間金融機関からの短期の借入れを行っているところでございますが、下のグラフの右側でございます。令和2年度末残高が総額30兆9,623億円。その下、このうち財融資金からの借入れ分が7兆5,168億円というのが現状でございます。

ページをめくっていただきまして、2ページ目でございます。こちらが今回の報告事項でございますが、交付税特会の借入金の償還計画の変更に関する資料でございます。

交付税特会につきましては、借入れは短期ですので、令和4年度の財投計画に直接表れるものではございませんが、毎年度、同特会に対する年度越しの短期貸付につきまして、年度末の時点でご意見をいただいております関係で、本日、償還計画の変更をご報告させていただくものでございます。

具体的な話でございますが、この表、上段が変更前、下段が変更後ということで変更案ということでございますが、上から見ますと令和3年度は、上段の一番右が、償還を行わない、バーになってございましたが、変更後は、下でございますが、8,500億円の償還を行うように見直されてございます。こちらは令和3年度補正予算に基づく対応となってございます。

それから、左の「R4」、「R5」をご覧いただければと思います。令和4年度当初は1,000億円、令和5年度は3,000億円の償還予定でございましたが、変更後はそれぞれ5,000億円の償還を行うように見直されておりまして、その結果、一番最後、上段の償還完了予定年度が令和38年度から令和36年度と早まってございます。

今回の償還計画の見直しにつきましては、地方税収の増加が見込まれること等に伴う対応になってございます。我々貸し手の立場としましては、償還計画のとおり、残額を減らしていただくことが大前提でございますので、今後着実な償還を進めていただくようと思ってございます。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

報告事項につきましては、以上でございますが、特段のご意見やご質問ございましたらお願いいたします。

林田委員、お願いいたします。

〔林田委員〕ご説明ありがとうございます。

まず、内閣府、文部科学省の回答について申し上げます。まず、1ページの問2についてですが、先ほどの説明だと、損失が出なければ支援はできないという、そうした回答ですが、それはそうでしょう。全く当然のことであって、その後に少し不安がありまして、要するに、そうならないための方策として、モニタリング、運用方針の変更、それから何ですか、運用基本方針変更、運用見直しや停止、繰上償還などといって、最終的にはファンドを潰す、事業の見直しの判断を行うとなっている。

要するに、モニタリングをして眺めはするが、盛り返す方策は何一つない。運用がうまくいかなければ、消え去る運命にあるファンドですよと。それに2年度にわたり9兆円もの巨額の財投資金を投じるという性格の事業ですよというのが、この回答で語るに落ちるとなったのだと思います。

これほどのリスクを国民に負わせるという覚悟があって、この事業を進めているのかどうかというところはもう一度、財投当局としても、しっかりとした見解を示すべきだと。要するに文科省と内閣府から、これといったリカバリー案が出てこなかった。だから、ではどうするのだというところは、はっきりさせていただきたい。

それから問8ですが、これは主に私が質問した話だと思いますが、私は何も事業成長3%を目指すことがいけないと言ったわけではないわけで、それは頑張って大学が事業を成長させることは必要だと思っています。

ただ、それと、3%の成長ということと、支援の可否をリンクさせて、それを要件としてしまうと、事業成長のほうが目的化してしまって、本当は研究開発に没頭すべき職員が、何か企業との打合せとか何だとかというものに振り回されて、本当にやりたい研究ができなくなってしまっては、これは大学ファンドそもそもの目的である研究力の向上等へというものに支障が出るおそれはありませんかという問題提起をしました。

しかるに、先ほどいただいた回答を聞いておりますと、私の疑問に対しては、ほとんどゼロ回答ということで、ともかく事業成長は必要だと、3%は必要なのだということだけ答えている。いや、それが必要だというのは別に私異論はないわけで、それはやっていただいて結構ですが、それはそちらで頑張ってください。ただ、それができないと支援を打ち切るということになっては、問題があるのではという、私の質問に全く真っすぐ答えていない。これを姑息というのです。姑息というのは、よく間違われますが、よく卑怯というような意味で使われますが、本来の意味は、その場しのぎ、一時しのぎという、この場、この分科会でこうした回答にもならない回答を出して、これで何となくみんな納得した感じになって、これで終わると思ったら大間違いです。もっときちんとした回答をするように、私は求めていきたいと思います。

さらに言えば、諸外国の大学では3%以上の事業成長を達成している。だから、日本の国も頑張るということを言っていますが、国情も大学の環境も寄附文化も全く違う外国の例を挙げて、日本もできるでしょうというのは、極めて論理的ではない。例がいい例かどうかは自信ありませんが、例えば同じアジアの中国は6%成長している。だから日本も6%成長できるでしょうと言われたら、皆さんどう思いますか。それは違うとなると思います。それと同じようなことを言って、堂々と答えてくるという神経が私には分かりません。やはり、日本の官僚機構はもう少し論理的に物事、政策を進めていただきたいと思います。

それから、交付税特会のほうに話を移します。長くなって、すみません。

これまで交付税特会の借入金の償還計画、どのように変わってきたのかというと、19年度、承継されてから8回、切り替えています。ほとんどのケースは先送りです。返せないから、償還計画を少し先送りするというものでしたが、今回、急遽前倒しをするという逆の動きをしています。先ほど説明には地方税収の増加等とありました。その「等」が気になるのですが、確かに地方税収はある程度上がったのかもしれませんが、このようにドラスティックに地方税収が上がっているとも思えない。この「等」とは何だろうとつらつら考えると、コロナ対応で地方に大変巨額の予算が前年度ついた。それを使い切っていないというニュースが幾つもある。そうすると、交付税特会に大きなお金がたまっている。そのたまっているお金を使って財投に返してくれている。これは財投にとっては非常にありがたいお話ではありますが、国全体の借金の状況を考えたときに、これはもろ手を挙げて喜んでいい話なのかどうか。

要するに、今回こうやって償還を前倒しできる事情、その辺りを、単に「地方税収の増加等」という、ぼかした言葉ではなくて、何がどうなって、どうなったから、これまで7回、8回と先送りしてきた償還計画が急遽前倒しできるようになった。魔法のような話でありますので、そこはきちんと国民に分かるように説明していただきというのが私の意見です。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、川村委員、お願いいたします。

〔川村委員〕ありがとうございます。なるべく簡潔に。

先に交付税特会のところ、私も全く林田委員と同じで、表を見ると大変結構だと思うのですが、何でというところが、すごい前倒しというか大きい額で、しかも、最後に六千何百億円ですか。これはやや分からないところがあるので教えていただきたいというのが1点です。

それから、大学ファンドも随分やってきたわけですが、議論の整理における各意見というのは私なりに理解すると、要するに財投から見ると極めて異例の融資である。だから、本旨にかなってない。だけどもやるのだ、やると決めた以上は、ひっかき傷を幾つもつくっておくという趣旨だと思います。それが、各委員によって表現の違いこそあれ、恐らく財投分科会のほぼ全員の委員が、強い違和感を感じたことは間違いない。

それから、それをエンドースしてしまうのが文科省、内閣府からの答えで、肩透かしです。要するにこのファンドが矛盾しているからです。

その上で、やるとなって、心配なのは運用です。モニタリングもそうですが、一方で、3,000億円というのは、大学側から見たら、原資の9兆円、10兆円云々というよりも、毎年ほぼ安定的に3,000億円来るかどうか。最初そろそろやっていって、小さくやって、5年後でしたっけ、きちんとした運用をするみたいなご説明があったかと思うのですが、そんなもので間に合うのか。やるのだったら、それはもちろん投資上、最初いきなり全部アクティブというわけにはいかないでしょうが、4.4%の運用利回りを確保するのに、ソブリンものとETFだけで出るわけがない。パッシブだけで出るわけない。

そうすると、5年間、大学は待っているというと、5年間停滞してしまうわけです、大学サイドから見ると。5年たってパフォーマンスが出なかったら、何なんだという話なので、最初のスタートを少し慎重にやるのは分かりますが、きちんと、これだけリスクを取るとおっしゃっているのだから、4.何%取れるだけの運用を、もう来年の後半にでも、スタートして半年ぐらいでも始めてもらわないと、何のためのお金なのか。一見、最初パッシブにやると、ゆっくりやっていいみたいですが、その間遅れるわけです、この政策目的が。そのくらいリスクを取れる、大丈夫だと当事者がおっしゃっているのだから、それをコミットして、きちんとした運用をしていただきたいというのは、強い要請として申し上げたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕大学ファンドと交付税特会について、1つ意見を述べたいと思います。

大学ファンドについては、ほかの委員のご意見とほぼ同じ考え方を持っていて、やはり、今後も引き続き、このファンドが暴発しないように、まかり間違っても大学側の求めに応じて、出せもしないお金を、そうした財務状況でありながらも、大学支援のためにお金を出すことを優先してしまうようなことにならないようにしていただく必要があって、それは、前回私も申し上げたとおり、大学関係者は、もらえるものだと勝手に思い込んでいますが、そうではないものだということを周知徹底させる必要がある。運用益が出ない限りは、大学支援には回らないものなのだということを、大学関係者には徹底的に周知させる必要があると思います。

それとともに、やはり、財投分科会でも毎年のように、しっかり見ていく必要があって、特に、恐らく内閣府、文科省の担当者は、人事異動で替わってしまって、前任の人の何を言ったかというのを、もちろん引き継いでいるはずだろうが、先ほどの林田委員の話ではないですが、姑息な対応をなさる可能性が、もっと高まる可能性があるので、財投分科会としては、きちんとインスティテューショナルメモリーとして、残しておく必要があるのではないかと思います。

それから、交付税特会ですが、私はそんなに不自然ではないと思っていまして、交付税原資になる法人税収が相当増えている、それから消費税収も10%に税率が上がって、交付税財源になっている。

だが、先ほど林田委員がおっしゃったような、新型コロナ対策対応地方創生臨時交付金という地方交付税とは別枠の、コロナ対策のための地方への交付金が別途行っているので、地方交付税交付金がたくさん来なくても、そこそこやりくりができるという、地方自治体の財政状況というのはそれはそれとしてあるので、コロナ前の例年に比べると、交付税増額圧力が相当和らいでいるということがあって、だったら交付税原資のうち、返済財源に回す分は今確保できるというような理由が働いているのではないかというのが私の見立てで、これは後で事務局にきちんとお答えいただくほうがいいと思うのですが、そうした意味では確かに財源的に余裕が今、足元であるというのが交付税特会の状況で、だから前倒しで返済するということにした、それはそれで私はいいと思うのですが、いつ何どき、また地方自治体から交付税総額増額要求が高まる。それで、今まで繰延べ、繰延べしてきたのは、交付税総額を増やすためには、返済をすると、その分交付税総額が減ってしまうので、それをわざと遅らせていたという側面もあったと思います。ですから、そうした交付税増額圧力が高まると、償還を遅らせるということが過去にはあったと私は思っていますが、今回はそれがむしろ逆だった。ほかの交付金がある上に、交付税財源も税収増でたくさん確保できているような状況の中で、返済の余力が交付税特会の中で出てきたということなのではないかと思っているということを、意見として述べさせていただきたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。最初に、内閣府、文科省の質問事項に対する回答を、課長より代読されたわけですが、私が本当に聞きたかったことは、一言でお答えいただけたようにも思います。つまり、大学に対するペイオフよりも償還を優先するのだ。それを私は聞きたかったのです。それで一生懸命質問させてもらったのですが、できれば紙で書いてもらいたかったということが、最初の点です。

2番目の点に、先ほど、委員からご指摘のあった点ですが、そもそも議論の発端と私が認識しているのは、過去の運用パフォーマンスというのは、将来のパフォーマンスを保障するものではないにもかかわらず、科学的方法だと言って、1年前そして今年の夏にもここでご説明されたのです。私は、そんなことは過去の話であって将来を保障するものではない。だから、自己資本がどれだけ必要ですかというのも、なかなかお答えにならなかった。もちろんこれは予算とも絡むので。3%と11.1%の関係を問うたのですが、先ほど言ったようにお答えいただけた。

だけど、林田委員がご指摘の点は、我々としては、そうした問題があるので、分科会長からご説明がございました議論の整理において、1ページ目の第2パラグラフです、その仕組みやリスク管理の考え方についての異論や残された疑問も含めて、我々は意見を述べました。大枠はやむを得ない。その中で残された疑問ということについて、私もそうですが、林田委員もご指摘になられた点については、具体的には5ページの2番目にありますように、こうしたファンド運用に財投資金を活用するということは今回限りにすべきであるということを明確に訴えた点は、私は委員の意見として、議論の整理はよくできていると思います。

ただ、クリスマスツリーのオーナメントみたいにいろいろなものが入っていて、本当に何が分科会として明確に言いたいかというのが、よく分からない。だから、いかに我々は真剣に将来のことを考えて議論したかという形でお読みいただきたいと思います。

これに関して振り返りますと、財投改革のときに、資金運用審議会というのがありまして、財投改革を決めたのですが、そのときの議事録がもうないのです。前世紀末だったので。だから、分科会の議事録というのは、これからどのような扱いになるのかということも。

つまり、何を言っているかというと、財投というのは、副大臣が言われたように非常に有用な手段です。金融資本市場、特に長期の資本市場において、市場の失敗があるときに、やはり公的分野が果たすべき大きな役割としてこれがあるのですが、そうしたことがあるがゆえに、物すごく強い期待があったり、物すごく悪いことをやっているところではないかということで、毀誉褒貶が激しいのです。だから、そうしたときに、やはり我々としては、そうした議論をきちんとやった末のことなのだということを残していただきたいということでございます。

それから、交付税特会は、基本的に今年度及び来年度については、国税収入の増加による交付税の増加による影響のように思います。

私は、この問題は、基本的に一旦、国が赤字国債を出したときから、交付税特会の借入れが行われていまして、それは隠れ借金と言われていたのです。それが、今世紀初めから新しい方向で、このように変わったわけです。

困るのは、リスケをやることです。どんどんリスケをやって、返済期間を短縮したのは今回2回目です。これが法律改正必要なので、国民の目には触れるので、やはりこの問題が、いかに我が国の借金が大きいかということの事例として、知ることになってほしいということが、申し上げたい点です。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、高田委員、お願いします。

〔高田委員〕どうもありがとうございました。

また、いろいろな取りまとめのところでご尽力いただきまして、どうもありがとうございました。

今回の大学ファンドについての私の意見ということですが、確かに多くの方がおっしゃるように、異例であるのはもう確かだなと私も思っていますし、これまでにあまりないような形であるのも確かだなと思います。

ただ、一方で、今回こうした形で、成長戦略という枠組みの中でやる以上は、せっかくなので本当にしっかりやってほしい、いい方向に向けていただきたいというのが、我々関与したものの1つの意見かと思っています。確かに、こうしたお金を市場の中で運用するわけでありますから、当然リスクは伴うわけでありますが、そうした中で、今、ほとんど公的年金も含めて、非常にそうした中での対応をしてきている。これが、日本の今の姿でもあるというのも現実の姿でございますから、そうした中で日本としても、資産運用という動きがなかなか定着してない部分もあるわけです。今回、せっかく国として、これだけ対応するということであれば、こうした資産運用の高度化と申しましょうか、また、場合によっては、大学ということでもあるわけですから、そうした中での研究力というか、そうした点も含めて高めていただきたいと思います。また、そのような中で、これをどう活かしていくのかというような発想も必要です。財政投融資は、当然のことながら融資でありますが、現実にはコロナ後の緊急融資ということで相当なリスクを伴っている中に、既に我々もすでに踏み出しているということでございます。そうした中の一環として、大学ファンドのリスクテイクがあるとすれば、それをいかに将来的なものに役立てて対応できるのかが重要です。

ただ、そのためには、何度も繰り返し申し上げているのですが、やはり非常に自由度が高い運用ができませんと、手かせ足かせがあるという中では、なかなかそれが実現できません。モニタリングと同時に、自由度の高い運用への対応も我々は見守っていかなければいけない、そのように思う次第でございます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、原田委員、お願いいたします。

〔原田委員〕ありがとうございます。手短に、2点申し上げます。

まず1点目、交付税特会ですが、過去の返済計画は、平成19年、つまりは2007年に、平成38年に返済は完了するという計画でした。ついては、今からもう5年後には返済完了しているという計画でした。

ですが、今の計画を見ると、令和36年ということで、今後まだ30年たっても、返済は完了しないという計画ですので、今の計画を前倒しということに対する疑念は多少あるかもしれませんが、この計画を頑張って努力していただきたいというのが、まず1点目になります。

そして、大学ファンドにつきましてですが、いろいろご回答をいただきました。それについてではなく、漠然とした不安について1度、簡単に申し上げたいと思いました。JSTさん、事業規模は数千億円のところです。そこに投資の原資として9兆円貸すということは、過去の財投の歴史の中では極めて大きい規模であります。直近の大規模なものはJR東海に対する3兆円がありました。これは、JR東海はコロナ前は利益で2兆円ぐらい出ていますし、リニアに貸すという、本業性のあるところに貸していくということがありました。それに比べると金額も非常に大きくて、かつ、JSTの本業ではない運用に貸すということでリスクを感じます。ですので、具体的な疑問点については、いろいろ回答いただきましたが、それでもやはり依然として不安が残ります。ついては、ぜひとも、しっかりと運用していっていただきたいと願います。

以上になります。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、今までのご意見、ご質問について財務省からお答えをお願いいたします。

〔関口財政投融資総括課長〕財投総括課長の関口でございます。委員の先生方から様々なご意見ありがとうございます。

今まで何度となく、この件については、ご議論いただきまして、先生方の問題意識は非常に我々も胸に受け止めているところでございます。

いずれにしましても、これはしっかりとフォローしていく必要があると思いまして、まだ制度設計を含めて、終わっているわけではございませんので、借入れの証書とか、償還計画とか、あるいは文科省では、これから来年の通常国会に向けて法案の作成等、行っていきますので、そうした制度設計を行った上で、さらにはファンドが立ち上がって実際の運用と、それから大学への支援を始めていくわけでございますので、我々として、しっかりとした制度設計を行うとともに、そうした動きについて逐一、しっかりとモニタリングして、必要な交渉を、内閣府、文科省、あるいはJSTとやっていきたいと思います。

ですので、先生方のご心配、ご懸念、非常に深く受け止めて、内閣府、文科省とそうした話を共有しながらしっかりとしたものにしていきたいと思ってございます。ありがとうございます。

〔岡本財務副大臣〕私から、いいですか、少し。

〔翁分科会長〕はい。

〔岡本財務副大臣〕委員の先生方のご意見をお伺いして、そのとおりだと思いました。林田先生をはじめ、皆さんのご意見も全くそのとおりで、いろいろご回答いただいておりますが、内閣府や文科省、様々なご意見をまとめながら、大変ご苦労して、委員の先生方にご報告していらっしゃると思いますが、多分、今後一番大切なのは、ガバナンスとアセットアロケーションです。結果的にこれだけの大規模なもので、ネットで3,000億円、3%でペイアウトしようと思ったら、基本的には、このファンドの目的にあるように、投資の果実を実際にペイアウトしていくということですから、売り買いをアクティブに行うというよりは、毎年のキャッシュインフローが入ってくるディビデンドインカムを中心として、その3,000億円をどうやって賄っていくかということで、全体のアセットアロケーションとしてリスクを取り過ぎないようにというような注意も必要ですし、何よりもガバナンスを効かすことが重要ですので、先生方の頂戴した意見をしっかりと受け止めながら、前に進めていきたいと思います。

ありがとうございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、漆畑計画官、お願いします。

〔漆畑計画官〕すみません、交付税のところでございます。林田先生、川村先生、土居先生、冨田先生、原田先生からいただきましたが、もうかなり、土居先生と冨田先生からご解説いただいたのを、あまり補足するような話はないのですが、要は、過去最高の地方税収という話も出ていますし、報道ベースでいうと、企業業績の好調とか、土居先生がおっしゃったように、消費税の引上げ、税率の引上げみたいな話もございました。そうしたことで過去最高レベルということで聞いてございますが、そうした増収がございました。地財折衝の中で、それをどうするかという話もいろいろございまして、使ってしまおうという議論もあったように聞いてございますが、それはきちんと返してもらうなり、後ほど出てきますが、臨財債をもう少し減らすとか、そうしたことになってございますので、我々と総務省とで一生懸命、そこは前倒し、前倒しということで思ってございます。原田先生からもございましたが、要は償還計画を我々としてもしっかり見ていかなければいけないというのは、もちろんそのとおりでございますので、総務省ともしっかり調整していきたいと思ってございます。

〔翁分科会長〕お願いします。

〔林田委員〕私、財研の記者は2回やったのですが、地方財政というのは本当に鬼門でして、制度が複雑過ぎて、取材しても取材しても全然分からないのです、何がどうなっているのか。ある日突然ばんと決まるという。何かもう少し、普通の人に分かるように説明する工夫というのを、何かしていただけると。財政の先生方のように詳しければあれですが、私などの頭では少しついていけないところがありまして、もう少し何か分かりやすい資料のつくり方とか、そうしたものを工夫していただけると、なおありがたいなと思っております。よろしくお願いします。

〔漆畑計画官〕努力するように、頑張ります。すみません。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

議事録のことがございました。議事録は、ずっと取ってありますよね。冨田先生からのご質問がございましたが、大丈夫だと思いますので、しっかり残して、これからのエビデンスにしていきたいと思いますし、今回、インスティテューショナルメモリーという形で残させていただきますし、これをもってしっかりと、今日、いろいろなご議論も踏まえて、財務省にはしっかり対応していただきたいと思います。

それでは、報告事項については、皆様、貴重なご意見ありがとうございました。どうぞ今後とも引き続き、モニタリングもやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、次に移ります。よろしいですか。令和4年度財政投融資計画等の3案について、ご審議いただきます。関口課長より説明をお願いいたします。

〔関口財政投融資総括課長〕財投総括課長の関口です。3件議案がございます。議案第1号が令和4年度財政投融資計画、議案第2号が令和4年度財政融資資金運用計画、議案第3号が令和4年度の財政融資資金の融通条件でございます。これらについて、議案関係説明資料で説明させていただきたいと思います。

1ページ目をご覧いただければと思います。令和4年度の財政投融資計画額につきましては、コロナの影響を受けた事業者への支援に引き続き万全を期すとともに、科学技術立国の実現、「デジタル田園都市国家構想」、経済安全保障の推進、防災・減災、国土強靱化等の分野に重点的に投融資を行うこととしてございます。

真ん中の左側のグラフにございますとおり、令和4年度の財投計画額は、令和3年度の当初計画額の40.9兆円から大きく減少しまして、18.9兆円となってございます。財投規模については減少してございますが、右側のグラフ、計画の執行状況を見ていただくと、コロナ前である令和元年度の実績ですとか、令和3年度の足元の執行状況から見ても、十分な規模は確保しているものと考えてございます。

2ページ目をご覧いただければと思います。こちらは主な施策ということで、コロナの影響を受けた事業者への対応、ポストコロナを見据えた成長力強化、科学技術立国の実現、それから「デジタル田園都市国家構想」の推進、経済安全保障の推進、インフラ整備の加速ということを挙げさせていただいています。

事業の具体的な内容については、次のページ以降でご説明させていただきたいと思います。3ページ目でございますが、日本政策金融公庫でございます。コロナ対応について、令和4年度も中小事業者等の資金繰り支援に万全を期すこととしていまして、国民一般向け業務、中小企業者向け業務、危機対応円滑化業務の各業務に対して、合わせて財政融資3兆9,540億円、産業投資189億円を措置することとしてございます。財投の額につきましては、昨年度よりも減少してございますが、各事業の事業規模としては、十分な対応ができているものと考えてございます。

ページの右側をご覧ください。それぞれの業務における貸付実績の推移を示したものでございます。水色の棒が令和2年度の実績でございますが、こちらは年度の前半で非常に大きな貸付実績があったものの、緑色の棒が令和3年度でございますが、貸付実績は落ち着いてきているのが見て取れると思います。

グラフの中の赤色の点線ですが、これは令和4年度の事業規模の目安を示したものでございまして、令和3年度における実績と比べていただければ、十分な規模が確保されていることがイメージしていただけるのではないかと思ってございます。

その次の4ページでございますが、こちらはポストコロナを見据えた成長力強化のための日本公庫における取組でございます。

左上、成長性資金の供給でございますが、貸付年限の多様化などによって、利便性の高い独立した新しい制度として資本性劣後ローンの制度を創設します。

その次、新株予約権付融資でございますが、担保の乏しいスタートアップ支援のための制度でございまして、こちらの貸付限度額を拡充いたします。

また、これも同じくスタートアップ支援の一環でございますが、創業前後の事業者の中で、雇用を増加させる者に対して、特別に利率を引き下げることとしてございます。

その下のところ、事業承継マッチング支援等とございますが、こうした事業承継などは引き続き積極的に推進してまいります。

また、教育ローンでございますが、貸付期間の上限を拡充することによって返済負担の軽減を図るなど、子育て世代の支援を進めてまいります。

その次の5ページ目でございますが、日本公庫の農林水産業者向けの業務でございますが、右側の絵の左のほうでございますが、コロナ対策として、セーフティネット資金について十分な事業規模を確保するなど資金繰り支援に万全を期する方向でございます。

それから、絵の右側でございますが、ポストコロナ対策として新たに資本性劣後ローンを創設することとしてございます。

それから、絵の上のほうでございますが、スーパーL資金の確保などによって、農林水産業の大規模化や効率化を支援してまいります。

絵の下のほうでございますが、こちらはHACCP対応の施設整備などを支援するために、輸出基盤強化資金を創設して、農林水産物の輸出促進を図っていくこととしてございます。

さらに、一番下になりますが、金融支援のみならず、デジタル化ですとか販路拡大といったコンサルティング業務を通じて、総合的に農林漁業者の下支えを推進してまいりたいと考えてございます。

これらに対応するために、財政融資6,270億円を措置することとしてございます。

それから、その次のページになりますが、沖縄公庫でございます。日本公庫と同様、右上のグラフの中の赤色の点線は、令和4年度の事業規模の目安でございますが、令和3年度における実績と比べていただければ、十分な規模が確保されていることがイメージしていただけると思ってございます。

左下、産業投資の活用でございますが、沖縄公庫には出資機能がございまして、資本金1億円以上の企業への出資ができることになってございましたが、スタートアップを含む幅広い産業を支援できるように、出資要件を外すこととしてございます。

また、県外の副業人材を含めた幅広い人材を活用できるように、マッチング支援を推進していくこととしてございます。

その次、7ページでございますが、こちらは福祉医療機構でございます。医療・福祉事業者への資金繰り支援に万全を期すとともに、デジタル投資の加速ですとか保育の受皿整備、そうしたものに取り組む事業者を積極的に支援するために、デジタル投資に係る貸付けの金利優遇ですとか、保育関連施設の整備に係る貸付けの融資率引上げ、そうした制度改正を行うこととしてございまして、財政融資8,565億円を措置することとしてございます。

その次、8ページでございますが、こちらは科学技術振興機構に対して、大学ファンド実現のために、財政融資4兆8,889億円を措置することとしてございます。

それから、その次のページでございますが、日本政策投資銀行でございます。デジタル、グリーンなどの先端科学技術の研究開発などを行う事業者への支援、地域交通の確保、ライフサイエンス産業の競争力強化、こうした取組を支援するために、財政融資3,000億円、産業投資500億円、政府保証3,500億円を措置することとしてございます。

なお、左上の財政投融資の表に産業投資という行がございますが、令和3年度が1,750億円であったのに対して令和4年度は500億円と、1,250億円も減ってございますが、こちらは下に注記がございますが、これまで産業投資を活用して創設しました3つのファンドがございまして、こちらを活用して、引き続き資金ニーズに応えていくこととしてございまして、来年度は500億円の措置とさせていただいているところでございます。

それから、次の10ページでございますが、株式会社脱炭素化事業支援機構でございます。こちら仮称でございますが、環境省所管の新規の財投機関になります。温室効果ガス排出量に関する2030年度目標などの達成に向けて、産業投資と民間資金を財源とする新たな官民ファンドとなります。

脱炭素社会の実現に向けて、民業補完に徹しつつ、民間資金の呼び水効果を最大限に発揮するための財源として、産業投資200億円を措置することとしてございます。

その次、11ページは国際協力銀行でございます。我が国産業の国際協力強化の観点から、様々な金融支援を行うこととしてございます。

左上の財政投融資の表にございますとおり、令和3年度の財投措置額は1.2兆円弱であったのに対して、来年度は1.6兆円と大きくなってございますが、こちらは令和4年度において、既往債務の償還額が増加することになってございまして、それに伴って、調達すべき資金の額が増える。それを受けて財政融資及び政府保証が増えているものでございます。

その次、12ページでございますが、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、いわゆるJOGMECでございますが、我が国企業による天然ガスや金属鉱物資源の安定的な供給を促進するために、財政融資3億円、産業投資546億円を措置することとしてございます。

左下に、本年10月に閣議決定させていただいた第6次エネルギー基本計画の抜粋がございまして、その下のほうに、下線が引いてありますが、「水素・アンモニア、CCS等の脱炭素燃料・技術の導入・拡大等のカーボンニュートラル化に資するべく、役割の見直し、リスクマネー供給、技術実証等の機能強化を検討する」とございます。こうした方向性も踏まえて、適切に対応していきたいと考えてございます。

その次、13ページでございます。日本政策金融公庫の特定事業等促進円滑化業務でございます。こちらは個別法に基づいて特定事業等を実施しようとする認定事業者に対して、指定金融機関が行う貸付けに必要な資金の貸付け、いわゆるツーステップ・ローンを実施するものでございます。令和4年度におきましては、先月に閣議決定されました経済対策を踏まえて、先端半導体の国内生産を促進するための資金供給を追加することとしてございます。

先端半導体生産支援を含めて、ツーステップ・ローンの業務に対しては財政融資2,117億円を措置することとしてございます。

その次、14ページをご覧いただければと思います。日本高速道路保有・債務返済機構でございますが、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」などに基づいて、財政融資資金を活用して、高速道路の暫定2車線区間の計画的な4車線化を実施するために、財政融資2,000億円、政府保証1,200億円を措置することとしてございます。

その次の15ページをご覧いただければと思います。鉄道建設・運輸施設整備支援機構の地域公共交通等勘定でございますが、アクセス利便性のさらなる向上などを図るために、主要な都市鉄道ネットワークとして、東京メトロの有楽町線と南北線の延伸などを進めることとしてございまして、財源として財政融資2,011億円を措置することとしてございます。

その次のページでございますが、自動車安全特別会計の空港整備勘定でございます。ポストコロナも見据えまして、羽田空港や福岡空港、那覇空港、新千歳空港の機能強化を図るとともに、その他の地方空港におきまして、防災・減災・老朽化対策を進めるために、財政融資1,645億円を措置することとしてございます。

それから、その次の17ページでございます。全国土地改良事業団体連合会でございまして、こちらは農水省所管の新規の財投機関となります。近年、自然災害が多発する中で、農業用ため池等の整備を加速するために、財政融資9億円を措置することとしてございます。

その次、18ページでございます。地方公共団体でございます。防災・減災に資する事業ですとか、地域のライフライン、上下水道などでございますが、そうしたことを支える公営企業債など、国として重点的に資源配分すべき事業について、引き続き、財政融資を積極的に活用することとしてございまして、財政融資2兆6,264億円を措置することとしてございます。

左上の財政投融資の表の上から2行目、財政融資の額を見ますと、令和3年度3兆6,847億円に比べまして、令和4年度は2兆6,264億円と、1兆円余りの減額になります。

これは、下から2行目ですか、臨時財政対策債の欄がございます。その下の財政融資による引受けの部分が1兆円余り減ってございまして、地方向け財政融資資金の額が減った要因が、臨時財政対策債の引受額が大幅に落ちたことに伴うものであることが見て取れると思います。

臨時財政対策債の発行総額が大幅に縮減する背景は、足下の税収見通しを踏まえまして、令和4年度の税収見込みが国税、地方税ともに好調でございまして、それに伴って国から地方に行く地方交付税、そうしたものの額が増加することによるものと理解してございます。

それから、その次19ページでございますが、産業投資の概要でございます。令和3年度に比べまして、令和4年度は364億円の減額となりまして、3,262億円を措置することとしてございます。これは、先ほどご説明したとおり、日本政策投資銀行に対する産業投資額が大幅に減少することの影響を受けるものでございます。

また、右下にあるとおり、地方におけるエクイティ人材を拡充する観点から、官民ファンド等による地域銀行からの人材を受け入れるためのマッチングを支援してございまして、その紹介になります。

その次、20ページでございます。官民ファンドの取組でございまして、産業投資や政府保証を措置しています各ファンドの取組事例の紹介と、またその下は、累積損失を抱えております官民ファンドにおける、累積損失解消に向けた取組の紹介をしてございます。

その後、21、22、23ページはグラフや表になりますので説明は割愛します。最後に24ページをご覧いただければと思います。

こちらは、令和4年度における財投機関債の発行予定でございます。令和4年度に少し事業規模が減少します住宅金融支援機構と国際協力機構を除きまして、これまで財投機関債を発行していた機関は、令和4年度におきましても、令和3年度とほぼ同額の機関債の発行を予定してございます。

真ん中の少し下に、科学技術振興機構がございまして、こちらにおいては令和4年度、新規に200億円の債券の発行を予定しているということでございます。

以上が議案関係説明資料でございますが、以上を踏まえて議案をご覧いただければと思います。

議案第1号でございますが、令和4年度財政投融資計画、こちらは対象機関ごとの措置額を、財政融資、産業投資、政府保証の原資別に整理した資料でございます。この第1号の4ページに、令和4年度財政投融資原資見込がございます。下の注書きの2に書いてございますが、令和4年度の新たな貸付けに必要な財源といたしまして、財政投融資特別会計国債、いわゆる財投債でございますが、こちらについて25兆円の発行を予定しているところでございます。

それから、5ページでございますが、財政投融資使途別分類表となってございます。(1)の中小零細企業と、(4)の福祉・医療の額が大きく減少してございます。中小零細企業については、日本公庫の国民一般向け業務、中小企業者向け業務、それから福祉・医療については、福祉医療機構におけるコロナ対応の減少が、それぞれ主な要因となってございます。

それから、一番下の(10)のその他も減少していますが、こちらは、日本公庫の危機対応円滑化業務においてコロナ対応が減少していることと、地方公共団体の臨時財政対策債の引受けの減少が主な要因でございます。

以上が第1号でございます。

続いて、第2号、令和4年度の財政融資資金運用計画でございますが、こちらは先ほどの財投計画の中の、財政融資のみを切り出した資料になりますので、説明は割愛させていただきます。

最後に、議案第3号でございますが、こちらは令和4年度の財政融資資金の融通条件でございます。主な新設事項としては、4ページの8でございますが、新規の財投機関でございます全国土地改良事業団体連合会に対する融通条件として、2年以内の据置期間を含む5年以内の貸付け条件を設定しているところでございます。

以上が議案の説明になります。私からの説明は以上でございます。

〔翁分科会長〕ご説明ありがとうございました。

それでは、令和4年度財政投融資計画等の3案につきまして、委員の皆様からご意見、ご質問などございましたら、お願いいたします。

高田委員、お願いいたします。

〔高田委員〕ご説明どうもありがとうございました。

私は今回の、財政融資になるのですが、特に公庫を中心としたところになるのですが、今回の令和4年度に対応した新規のところについては、私は妥当な金額だろうと思っております。

ただ、問題意識といたしますと、以前の会合でも申し上げたのですが、ちょうど令和5年の3月で、いわゆるこれまでの緊急融資、ゼロゼロの利払いが発生するというタイミングになってまいります。そうした観点からいたしますと、来年度令和4年度は、その融資の最後の猶予期間という位置づけになってくるわけでございまして、これは官民両方、日本政策金融公庫を中心とした公的なところと、それから民間合わせて60兆円単位という金額が、特に令和2年度での山が非常に大きくなっています。これが、ちょうど再来年の3月といったところで山が来るわけでございますから、そこのところに向けた対応をどのようにしていくのかという発想が重要です。要は、新規のところはともかくとして、これから迫る利払いに応じた準備期間としての重要性が私はあるのではないかと思います。令和3年度まではこうした形で新規のところにどう対応するのかが一番のポイントだったと思うのですが、令和4年度は新規というよりは、令和5年度に備えた対応を事前にどのようにしておくのか、いわゆる残高管理が非常に重要な状況になってくる。これを単に、リストラというよりは、いかにそれを先を見据えた成長戦略につなげていくことができるのかという、フォワードルッキングの視点みたいなものも含めた対応をどのようにできるのかという視点が、私は重要なのではないかと思っています。

ですから、そうした意味で言いますと、関係資料の19ページで地方のエクイティ人材をどう官民ファンド等でつないでいくのかといったような発想なども含めて、いろいろな英知を対応しながら、非常にご苦労されていらっしゃると思います。特に飲食とか、宿泊などの業種の再生にどのようにつなげていけるのかを、やはり来年度中に、かなりの道筋をつけておく必要があるだろうと思います。そうした点から、単に今回の新規ということ以上に、そうした点を我々もモニタリングしていくことができればと思う次第でございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、林田委員、お願いします。

〔林田委員〕何か私ばかりしゃべって、すみません。

まず、1ページ目ですが、このグラフを見ますと、令和4年度の財投計画、ざっと19兆円、ぱっと見ると、およそ5兆円の大学ファンドを除けば、コロナ前の数字に、ほとんど変わらない数字に戻っているという印象を受けますが、例えば、関口課長からも説明がありましたように3ページの表を見ますと、事業規模としては、国民や、中小は令和元年の3倍ぐらい、危機対応はもっと多いという具合で、かなり財投機関としては貢献をしている。

財投計画全体の数字だけを見ていると、財投は何かコロナ対応からフェードアウトしつつあるというような印象も受けるわけですが、実際には積極的な貢献が来年度も続くということだと思います。

財投は制度や仕組みが複雑でありまして、一般の人に分かっていただくのは、かなり難しい面もありますが、今私が指摘したような面も含めて、丁寧に情報発信して、財投の重要性について国民に理解してもらうということは、今後の政策遂行の上でも重要だと思います。

それから、3ページ、融資の状況が書いてありますが、高田委員がおっしゃられたことと重なりますが、要するに、いつ償還が始まり、いつ頃そのピークが来て、どれぐらいお金を返してもらわなければいけなくなるのかという絵姿は、今からでも描けると思います。今、もう融資をしている、新規融資は大分落ち着いてきているので、何かそうしたものも、2年、3年のものですから、財務省でしっかり準備をして、その上で、来年度は準備期間であると。この準備期間に何をするかですが、返してもらうときに、みんな全部先送りして、いいですよ、いいですよという太陽政策でいくのか、やはり事業として成り立たないところは、しっかりと取立てをする、いわゆる北風政策を取って、日本経済の構造改革につなげていくという立場を取るのか。そうした腹構えを、財務省としても、財投機関と相談しながら、あるいは巻き込んでいる民間金融機関とも相談しながら、しっかり対応していただきたい。1年あるのですから、そこは無駄にしてはいけない。期間が迫って、やむを得ないから、また貸しましょうみたいな、そうしたどたばたと、その場で決めてしまうことはないように、お願いしたいと思っています。

それから、5ページ、農業で、コメントです。質問も1つあります。

農業の成長産業化というのは大変重要な問題でありますが、問題はその中身だと思います。農業をもうかる産業にするための先進的な取組に措置していくということになるかと思いますが、お金が、これも非効率な農家の延命などにいろいろ使われてきたという歴史的事実がありまして、そうしたことを繰り返し、何かまいたお金が砂地に吸い込まれた水のように消えてしまう、どのような効果が上がったか分からないというようなことでは元も子もありません。措置する対象を精査することはもちろんとして、投入した資金がどのような成果を上げているのか、しっかりとモニタリングをして、PDCAサイクルをしっかり回していく、こうしたことをしっかりやってほしいと思います。

それから、すみません、長くなって。13ページ、これは半導体生産者に対するツーステップ・ローンということで、目的は経済安全保障、中でも産業の米である半導体の安定的な調達に資する事業と私は理解しています。

ただ、ツーステップ・ローンを使っているという点で、国、いわゆる財投当局が実際の事業者に対してガバナンスを効かせるというのが、かなり難しい枠組みだと私は思っています。日本政策金融公庫にはガバナンスは効いて、いろいろなことが言える。それが指定金融機関に行く。その先に事業者がある。普通の危機対応融資というのは、言ってみれば国が損害担保契約をして、ある程度国の責任で危機を回避するということでやっているからいいのですが、この産業向けというのは、やはり、産業がどのようなことをやっているのか、政策目的に合った事業をしているのかというところは、しっかり見ていかなければいけない。その場合のガバナンスの効かせ方をどうするのかということが1つ。

そもそも指定金融機関というのは、いささかイリュージョンでありまして、もともとは民間金融機関がどんどん入ってきてという絵を描いていたものが、今は政投銀と商工中金しかない。彼らは国の子会社みたいなものですから、ガバナンスが非常に効きやすい。それはそれでいいのですが、彼らが完全民営化したときに、このスキームはワークするのですかという問題はあると思います。完全民営化方針でいいのか、一般の危機対応をうまく回すということも含めて、その辺りのところを誰も議論していないので、その辺のところはそろそろしっかり議論を始めたほうがいいのではないかと思います。

最後に、この政策自体、財投というのは、もちろん償還確実性ということが問われるわけですが、やはり政策目的に沿った、政策目的性というところもしっかりと見なければいけない。だから、この半導体への立地促進策が、供給網の強化という政策目的にかなったものかというチェックもしたほうがいいと思います。

私、専門家ではないので、ざっとしか調べなかったのですが、法律の要綱などを見ると、特定半導体、ここには先端半導体とありますが、法律上は特定半導体、国内における安定的な生産の確保を目的として、対象事業者には、需給が逼迫した場合、増産や生産能力の強化といった安定的な生産に資する取組を行うよう求めています。

しかし、生産した半導体をどこに供給するかという点、供給義務については、記述が見当たりませんでした。

そうなると、今、巷間うわさされている海外メーカーが、日本に立地しましたと。逼迫してきたら増産します。増産したものをみんな母国へ供給する、というようなことも起き得るのか。そうではなくて、日本国内にしっかりと供給して、国内の半導体供給をしっかり支えていくという枠組みが何か用意されているのか。その辺りの仕組みを教えていただきたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕貴重なご意見、ご質問ありがとうございます。

後で、お答えいただけるところは、お答えいただきたいと思います。指定金融機関については、私も問題意識を、恐らく川村委員も持っていらっしゃると思うのですが、やはり民間が本来はやるべき話なので、このままでいいのかというのは、議論すべきだと私も思っております。

それでは、川村委員、お願いいたします。

〔川村委員〕すみません。後半の論点だけで、議案でいうと議案第1号になるのですかね。要するに、財投機関とか官民ファンドとか、ここの役割というのは、これを見ると随分、官民ファンドでも10年たって、15年となると大きく見直すと書いてある。各官民ファンドもそうしたことだと思います。例えば、先ほど林田委員がおっしゃった、農業のビジネス化、マネタイズ化といっても、A-FIVEという失敗官民ファンドと言われる苦い経験もしているわけです。たしか、この絵面は同じような絵だったと記憶しています。

今大変だから、これから対応しましょうという絵で、少しこれは、財務省の所管の話ではないでしょう。もっとフォワードルッキングで必要だから、こう対応するのです。何か台湾を誘致するとか、それはいいのですが、それが何年先だ、何か非常に悠長な気がして、逆に5年先、こうなっているだろうから、こうしたという投資があってもいいのではないかと思います。

特に官民ファンドとか、財投機関の役割が大きく変わってくる。それは当然だと思うのですが、その中で財投が従来と同じスタイルでいいのか。金額を減らしたり増やしたりというのがありますが、そうした中でまた、世の中のファッションとして脱炭素と出てくると脱炭素、今までファンドを持ってなかった所管官庁が、ちょうどいいと、ぱっと出たという感じが、正直僕は否めないです。本当に必要だから、200億円でこれが役に立つのかではなくて、欲しい欲しいと思っていたら、ちょうど今ブームが来た、チャンスという、何かそうした感じがする。

つまり、各官民ファンドにしても、何か少し安易なところが。それを、政策目的といえばそうですが、この辺で、やはり財投としても、かつてやっていた政策評価であるとか、地方財政のモニタリングチェックであるとかと同じように、なるべく早いうちにそうしたモニタリングを、財投分科会としてもやったほうがいいのではないか。それぞれ毎期毎期、予算の季節になるとヒアリングして、各委員がみんな意見を言うのですが、大体、主管官庁と理財局の交渉で、落ちどころはこうですというので、また、毎年繰り返しているのが実態で、それがもう10年近くになっているわけですから、そろそろそうしたモニタリングもしたほうがいいような気がします。

以上です。全部意見です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、家森委員、お願いいたします。

〔家森委員〕ありがとうございます。3点です。

1つは、日本公庫についてです。来年度、事業者支援というのは非常に重要になってくるわけで、ここに、ご説明にあるような取組をしていただきたいのですが、同時に、この財投の委員会に、去年でしたら、日本公庫がどのような資金提供をしたかというのを月次で出していただいていましたので、来年度もぜひ、事業者支援の状況とか債務者の状況などについてデータを適宜出していただけますと、ありがたいというのが第1点です。

それから、第2点目は、どの段階だったか忘れたのですが、去年、住宅金融支援機構について、グリーン債の発行で政府保証債の枠がついたのですが、今年度の政府保証債の枠はグリーン債ではないのかどうか。それから、日本政策投資銀行も、今回グリーンでやるということで、政府保証債を予定されているので、そこもグリーン債を発行されるのかを教えていただければということです。

それから、3番目は17ページの、新しく支援を受けられることになった土地改良事業についてです。制度を知らないのですが、一番左側の下ですが、財政融資を受けた団体は資金を交付されていくということですが、交付されたお金に対しては、返済を受けるのではなくて、手数料を受ける形で返済原資ができるのでしょうか。財投のお金の返済原資はどのような性格のものなのでしょうか。

以上です。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、次に、原田委員、お願いします。

〔原田委員〕ありがとうございます。議案関係説明資料の2ページにあります「デジタル田園都市国家構想」の推進について、2点、コメントを申し上げます。

まず、ここに書いてあるネーミングですが、とてもよいのですが、ここに書いてあることですとか、5ページに具体的な絵が描いてありますが、こうしたことで農林水産業の成長産業化が促進できるかというと、恐らく厳しいです。基本的には、規制緩和を促していっていただきたいというのがあります。財務省としては、お金の出し手として、ぜひともその重要性を考えていただきたい、発言していただきたいと思うのですが、農業の問題は、ここにはスーパーL資金などについて、事業規模確保とも書いていただいていますが、根本的なところが手つかずのまま残っていて・・・というのがすごく感じるところです。

例えば、ここに書いていただいているスーパーL資金ですと、これは大規模化を促進するというのは非常によいのですが、では、誰がこの資金にアプライできるかというと、認定農業者でないと駄目。この認定農業者とはというと、数を見ても減っているという状況で、すごく保護的な色を残したまま成長しようとしているというのが、ここ1つだけ見ても、やはり言えるかと思います。

それで、皆様もご存じのところですが、農業を担う平均年齢は今もう70歳近いところに来ていまして、95%以上の人が65歳以上と高齢化している中、スマート農業というのは多少助けになるかもしれませんが、後継者問題ですとか、耕作放棄地ですとか、荒廃してしまった農地ですとか、いろいろな問題があって、そうしたところに根本的に入らないまま、生産性の向上というのは、なかなか厳しいです。例えば農地の集約なくして生産性の向上は難しいと思いますので、お金の出し手として、財投としても、当局に少し意見を述べていっていただければというのが、まず、1点目になります。

もう一つは、生活インフラということで、上下水道など、地公体へ資金を供給するという、これも「デジタル田園都市国家構想」の中の1つになりますが、上下水道は、財投の分科会では実地監査の報告の際に、独立採算だが、赤字事業体が多いということが、毎年申し添えられています。実際、利用料率も上がっていないままで、赤字のままで、ここ一、二年目立ってきたのが老朽化の設備更新費用などが、国土強靱化の予算で出るようになっているという状況です。より不透明度合いが高まっていると感じます。

一度、実際の返済の説明なども、今日ではなくて構いませんので、どこかの時点で説明をしていただければと感じます。赤字だが返ってきている分が少しでもあるのかどうかなど、いつかのタイミングでご説明ください。

以上になります。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、江川委員、お願いいたします。

〔江川委員〕どうもありがとうございます。今ちょうど発言された原田委員と、一部重複するところがあります。今回の投融資計画を拝見して、成長力あるいは経済競争力、国土強靱化、そうした重要な課題に対応していると思うのですが、地方の上下水道の老朽化というのは分科会でも何度もお伺いして、非常に重要な問題だと思います。こうした非常にベーシックなものは、一応、「デジタル田園都市国家構想」の中には入っているものの、どうしても政策の目玉になりにくいのですが、本当に重要なものです。ですから、そこに十分なお金が配分されるようにしていただきたいですし、きちんとそうなっているかも、教えていただければというのが質問です。

それから、もう一つは、カーボンニュートラルに向けての対応です。ファンドもありますが、やはりESGに関する取組は世界で進んでおりまして、日本は遅れているところもあるので、先ほど家森委員がおっしゃったグリーンボンドなども含めて、国でしっかり対応していただき、リーダーシップを取っていただくことが重要だと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、財務省からご説明、ご回答をお願いいたします。

〔原田計画官〕先生方から非常に有益なご質疑、ご指摘いただきまして、本当にありがとうございます。順にご説明していきたいと存じます。

まず、高田先生からいただきました公庫の話でございます。これはおっしゃるとおり、これから貸付けに対する非常に大きい償還の山が訪れます。遠い将来ではないということで、これに向けて、いかに個別の事業者に対して対応していくかが重要でございます。そのときに、今やれることは各事業者さんに対して、ビジネスモデルをしっかり考えていくということから入りまして、コロナ劣後ローンなどのツールも使いながらやっていく。そして、償還を迎える前に、どのような将来を描いていくかを、関係者一同で、今から考えていくことが重要ではないかと思ってございます。

関連して、林田委員からいただきました北風か太陽かという話もありました。我々は、その時々の景気等を見て考えていかなければならないと思ってございますが、また、これは非常にミクロも大事でございますので、その時々でどのような対応が、事業者に対して融資を行うのか引くのか、そうした判断を正確にやっていくことが重要かと考えています。

いずれにせよ、我々も、それから公庫に対しても、非常に密に連携して、こうした大きな山に向けて備えていきたいと考えております。

林田委員から、今の点も含めて幾つかご指摘をいただきました。国民一般向け業務と中小企業者向け業務の事業規模を合わせた9.2兆円の額は例年ベースである一方で、事業規模を十分に備えているということの意味は、財源の問題で、例えば出資金が当たっていたり、回収金が当たっていたりということがございます。おっしゃるとおり、これはなかなか複雑で、それも含めて財融の仕組み、一般の方々には分かりにくいのは事実であると思いますので、我々もこれからいろいろ説明の場がございますが、最大限対応してまいりたいと思うところでございます。

それから、農業でございます。非効率なところがあるということであります。これも、PDCAを回すというのは非常に必要だと思います。これから、劣後ローンとか中小、国民に入れているような仕組みを農業にも入れて、創業・育成をやっていくわけでございますが、こうした新しい制度を入れていくわけでありますから、その中でより一層PDCAもしっかりやっていくように、我々も心得ていかなければならないと考えているところでございます。

それから、半導体事業者にどのようにガバナンスを効かせるかということでございますが、やる以上はこれが日本の国益にかなっているか、それから先ほどご発言のあった生産された半導体が国内に供給されるかどうか、こうした点は下位法令等で対応して、関係省庁、特に経産省になりますが、事業者認定のプロセスで確認していくものと考えてございます。

また、公庫が指定金融機関を見る際にも、こうしたガバナンス面の確認がなされると我々も認識しております。

それから、川村委員からご指摘いただきました官民ファンドでございます。特に今回、環境ファンドを新設するということで、要求が来たときには、既に環境に関しては政投銀等がしっかりやっているという認識は我々もございまして、新しくつくる必要性、それから重複はないのかという問題意識を持って、予算編成過程で見させていただきました。編成の論点の際にも少し触れたところでございますが、これらの点や償還確実性もチェックした上で、環境ファンドが付加価値をつけていく余地は十分あるだろうという判断をして、今に至っているところでございます。

いずれにせよ、我々は今そう判断しておりますが、本当にそうかというのは、これからしっかり見ていかないといけない。作ったものの、結局、無駄になってしまうというのはよくないと思いますので、しっかりモニタリングしていこうと思います。

その上で、環境ファンド以外、官民ファンドはたくさんございます。成功した良い取組もあれば足りないところもあって、横串を刺して見ていくということが非常に重要だと思っております。前のこの分科会でも、横串のイメージ図のようなものをお出ししたと思いますが、今後とも議論させていただければと考えてございます。

それから、家森先生からいただきましたグリーン債の質問につきましては、政投銀の政保債はグリーン債ではなく通常の政保債となっております。

それから、原田委員からご指摘いただいた日本公庫の農林部門に関して、スーパーL資金というのは大規模で、やる気のある認定事業者を対象としていますが、確かに減っている状況について、どうしようかという問題意識は、我々も農水省と話をさせていただきました。その中で、新しく劣後ローンを設けて、創業・育成をしっかりやっていくために、国民、中小で有効に使われている劣後ローンと同じようなもので、きめ細かく支援をしていこうと思っています。

こうしたことで、スーパーL資金等がしっかり使われるようになるためにも、このような仕組みを使っていきたい。

それから、5ページの一番下に書かれていますが、コンサルティング業務もかなり機能してございまして、会計士や税理士等の専門家のうち、農業法人等に特に知見の深い方々が支援していくときに、公庫が創設した経営アドバイザリー制度の試験を受けていただくわけですが、こうした方々が、公庫がこの人は農業で非常に前向き、かつ、いいアドバイスができるという認定をした場合には、この方々が行って、コンサルティングをしていくという制度も活用されています。

こうしたことも含めて、農業の分野、生産性を高めるために十分、役割を果たしていく必要があると思っています。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕漆畑計画官、お願いします。

〔漆畑計画官〕家森委員からの住宅金融支援機構のグリーン債発行について、去年に引き続いて2,200億円のグリーン債でということになってございます。評判よかったみたいでございますので、今年もということになってございます。

それから、原田委員と江川委員から、上下水道ございました。江川先生からもめり張りというか、ベーシックなところにはきちんと、しっかりと重点化したほうがいいというお話、ごもっともですが、他方で、原田先生から公営企業の経営の中身をしっかりウオッチということでございます。そこも含めて、我々しっかりフォローしていかなければいけないのかと思ってございます。

以上です。

〔原田計画官〕家森先生から、土地改良区からの償還原資の話、ため池の話ございました、申し訳ございません。これは農家からの負担金が償還原資になるということでございます。今までも農家からの負担金については、強制徴収の手続もございますし、取りはぐれはほとんどないということになっています。

〔翁分科会長〕家森委員、最初のご質問をもう1回お願いいたします。

〔家森委員〕すみません。日本公庫の来年度の企業者支援を実施されていくわけですが、できるだけ、来年度について債務者の状況など、どうなっているのかについて、ここでご報告いただければありがたいということでございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

〔原田計画官〕我々も整理して、ご報告できるようにしたいと思います。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

林田委員や高田委員からもご紹介ありましたが、コロナ対応のゼロゼロ融資がどんどん期限が来ますので、私たちとしても共有してどのような感じでこれから推移していくのかということを、一度データでも出していただいて、どのような取組を促していくかを来年にかけて議論できればと思います。

お願いいたします。

〔岡本財務副大臣〕今、分科会長がまさしくおっしゃったゼロゼロ融資について、高田先生が令和5年に訪れるゼロゼロ融資の金利払いの準備のために考えなければいけないとおっしゃったことに関連して、林田先生の太陽か北風かという議論も非常に興味深く、これはぜひご意見を、今日ではなくてもいただきたいのですが、もともとの議論というのは、とにかくこの新型コロナウイルス感染症の影響を起点として倒産を起こさないように、ご存じのように、キャッシュフローさえ回っていれば倒産しませんから、赤字企業でも融資があれば助かるので、リーマンショックのときのように7割が黒字倒産になるような事態は避けようということで、積極的に融資をすることにした。ただ、そのときは、とにかく谷が大きいので、長く借りていただいて、十分な時間を使いながら回復していただこうということで、運転資金でも15年、設備は20年借りられることにしたのですが、蓋を開けてみると、やはり債務に対する嫌悪感が日本の経営者は非常に高いので、7年ぐらいで借りてしまっていて、そうするともう令和5年から返済が始まると、きっとそこで、リスケにするか、それとも、返済能力がないところはそこで本当に不渡りを出すかみたいなことになってしまって、政治的にはリスケにしようみたいなことになりがちです。これは実際、債権者とすると、リスケして若干でも融資を回収できるのだったらそうしたほうがいい一方で、労働移転が行われないような、いわゆるゾンビ企業を生み出してもいけないなど、様々な議論が出てきてしまいます。かといって、こんなに大量に融資したものを、1件1件、債務状況や効果を見ながら、ここは存続、リカバリー可能だからリスケしようとか、ここはもうなかなか取り立てるのが難しいので清算しようだとかということを全部やっていくのも、かなり現実的には難しいという状況の中で、令和5年になって、いきなりゼロゼロ融資の期限についての方向性を示すと、債務者の人は考える準備をする余力がなくなってしまうので、1年間ほどの余裕を持って来年度ぐらいからメッセージを出さなければいけないという問題意識を非常に強く持っています。

また、何とか返せることができると思って借りていても、その結果、倒産は少ないのですが、廃業は増えるのではないかといった様々な問題意識を高く持っているので、この場で答えはないのでしょうが、委員の先生方から、今後の基本的な戦略としてどのようなメッセージを債務者の方々に、来年度に打ち出したらいいかというのは、どこかでぜひ教えていただけるとありがたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございます。

貴重なご意見ありがとうございました。官民ファンドについても、これからまた議論していくことが大事だというご意見もございましたので、これも来年にかけての課題としていきたいと思います。

〔林田委員〕すみません、官民ファンドで1つ言い忘れてしまって。

今回、脱炭素の新しい官民ファンドができます。脱炭素は非常に重要なことであります。

ただ、この分野にあまりにも手厚い支援をしてしまうと、かえって効率化でありますとか、新しい技術を開発する意欲をそぐということも実際にあります。端的なのは、太陽光発電です。2012年度、民主党政権がFITで太陽光だけ、1キロワット時当たり40円プラス税という非常に高い。これは風力が22円でしたから、破格の値段で20年間買い取るという、これによって何が起きたかといいますと、国内の太陽光パネルメーカーは、それを効率化して安くするという努力を怠り、中国産にみんな取っていかれ、太陽光発電所は増えたが、日本の太陽光産業は全く駄目になってしまうということもあります。

ですから、政策を措置するのはいいのですが、その加減といいますか、やる気を引き出す、革新の気持ちを奮い起こさせるような対応をしていただきたいということをお願いしたいと思います。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

〔川村委員〕今たまたま出たので、僕がもう一つ懸念するのは、特にこの環境ファンド、グリーンファンドというのですか、については、割と中小事業者さんが多いと思うのですが、ほとんどの人は補助金だと思っています。返さなければいけない出資だと思っていません。やはりFITの古きよき思い出があるので、また、夢よ、再びで、手金1億円出しておいて、ここから1億円出資してもらって、2億円でさやを稼いで、大もうけしようと。そうした人たちは返すつもりはないですから。というか、これはほかの官民ファンドもそうですが、出資金と補助金と区別つかない方々が、残念ながら、いまだにとても多いです。財投と税金と言われたら、もっと、もちろん分からなくなってしまうが、それよりも出資か補助金かと、ほとんどの人は補助金で見ているという、潜在顧客の怖さをよく知ってもらわないとまずいと思います。

〔翁分科会長〕はい、ありがとうございます。

様々なご意見が出ましたが、この議題についての審議はここまでとしたいと思います。

それでは、令和4年度財政投融資計画等、3案について本分科会として了承したいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは、令和4年度財政投融資計画等、3案について、本分科会として、「了承」とさせていただきます。

予定の時間となりましたので、本日の議事はここまでといたします。本日使用した資料は、明日の閣議終了後、財務省ホームページに掲載いたします。

また、議事録につきましては、委員の皆様のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

本日は、年末のご多忙中のところご参集いただき、熱心にご議論いただきまして誠にありがとうございました。

副大臣、どうもありがとうございました。

それでは、これにて閉会いたします。ありがとうございました。

11時47分閉会