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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和3年12月9日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和3年12月9日(木)13:28~16:25
財務省国際会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.令和4年度財政投融資計画の編成上の論点

    ①(株)日本政策金融公庫、(独)福祉医療機構、
    (独)日本高速道路保有・債務返済機構、
    自動車安全特別会計(空港整備勘定)、
    全国土地改良事業団体連合会

    質疑・応答

    ②(国研)科学技術振興機構

    質疑・応答

  • 3.

配付資料

資料1-1

財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料
(株)日本政策金融公庫、(独)福祉医療機構

資料1-2

財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料
(独)日本高速道路保有・債務返済機構

資料1-3

財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料
自動車安全特別会計(空港整備勘定)

資料1-4

財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料
全国土地改良事業団体連合会

資料2-1

財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料
大学ファンドについて(財務省作成資料)

資料2-2

財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料
大学ファンドについて(内閣府、文部科学省作成資料)

出席者

分科会長

百合

角田理財局長

大津理財局次長

石田総務課長

関口財政投融資総括課長

小林資金企画室長

笠原財政投融資企画官

米田管理課長

原田計画官

漆畑計画官

高田

土居丈朗

渡部賢一

臨時委員

江川雅子

冨田俊基

中里

林田晃雄

原田喜美枝

専門委員

川村雄介

工藤禎子


13時28分開会

〔翁分科会長〕それでは、予定の時間となりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開会いたします。

本日は、令和4年度財政投融資計画の編成上の論点について、ご審議いただきます。いつもどおりですが、時間が限られておりますので、ご質問など、なるべく簡潔にお願いいたします。

また、国会開会中ということもあり、事務局側において、やむなく途中退席する場合もございますので、あらかじめご了承願います。

それでは、まず令和4年度財政投融資計画の編成上の論点につきまして、原田計画官、漆畑計画官より、説明をお願いいたします。

〔原田計画官〕原田でございます。よろしくお願いいたします。

まず、資料1-1をご覧ください。今般、11月19日に閣議決定されました経済対策におきまして、各種コロナ感染症関連融資制度を取り扱う財投機関につきまして、改要求が行われることになりました。

4ページをご覧ください。公庫のコロナ感染症特別貸付でありますとか危機対応融資、このあたりも申込期限が延長された上で、来年の3月末以降も融資が実行されることになってございます。それから、公庫の劣後ローン、農林部門のセーフティネット資金、それから福祉医療機構のコロナ対応支援資金、このあたりも4月以降も継続という方向で検討されてございます。これを受けまして、改要求となった次第でございます。

個別に、どのように改要求されたかでございますが、まず、日本公庫の国民部門でございますが、コロナ特別貸付の継続を反映いたしまして、事業規模が6兆円程度と、下の表をご覧になってお分かりになると思いますが、相当な規模が今後出たとしても大丈夫な事業規模として6兆円とした一方で、コロナ対応用に措置された一般会計出資金が2.7兆円活用できることになりまして、差引き財融としては、かえって減りまして、1.45兆円減の2兆3,621億円といった数字になってございます。

中小部門のほうも同様でございます。事業規模が十分な水準ということで3.4兆円程度に増加する一方、一般会計出資金を1.4兆円活用することによりまして、財融の改要求額は微増、300億円の増にとどまってございます。

それから、またおめくりいただいて、農林部門でございます。

農林部門ですが、農林部門のコロナ対応は、セーフティネット資金の貸付限度額を引き上げるといった変更で対応するものでございまして、当初要求に通常分のセーフティネット資金への対応が含まれているということでございまして、コロナ対応の改要求額も470億円といった規模になってございます。

それから、公庫の危機対応部門でございます。こちらも来年3月までの申込み、それから9月までの融資実行ということに伴いまして、事業規模を上乗せしてございます。ツーステップ・ローンですので、その他の部門のように出資金云々という話はなく、事業規模増がそのまま財融の改要求の増となってございます。事業規模としては、過去の実績を見ても、こちらも十分妥当な水準かと考えてございます。

〔漆畑計画官〕次の福祉医療機構でございますが、こちらも他の機関と同様、コロナ対応が延長されることに伴って事業規模を2,661億円から8,686億円に増やしてございます。それに伴い財政融資も2,579億円から8,565億円と、改要求がなされている状況でございます。

〔原田計画官〕最後に、ご参考までに沖縄公庫でございますが、こちらもコロナ対応があるにはあるのですが、当初要求で、事業規模を上乗せしなくても対応できるということで、改要求は行われていないということでございます。

全体像として、日本公庫と福祉医療機構、それから沖縄公庫の合計をご参考までに載せておきました。日本公庫の国民部門の減が非常に大きいという影響もありまして、約4,000億円の減と、全体としては、財融の額は改要求により減っている状況でございます。

これを反映いたしまして、論点でございますが、まず、コロナ対応でございます。現下の状況や今後の感染再拡大の可能性を踏まえまして、十分な事業規模を確保できているのか、これがまずもって重要でございますが、一方、機関全体の改要求額に関しましては、先ほど申し上げたとおり、全体としては財政投融資の額は増加していない状況でございますが、個別機関ごとに見ると、日本公庫の危機対応円滑化業務でありますとか、福祉医療機構などの財政投融資額は増加している。こうしたことに鑑み、その償還確実性の観点について、どのように評価するかといった点をご議論いただければと考えてございます。

それから1点、前向きな話でありますが、11月22日の分科会におきまして、経済対策関連としてご紹介させていただいたものでございます。日本公庫を通じたツーステップ・ローンの対象に、先端半導体を国内で生産する事業者を追加するといった話でございます。臨時国会に5G促進法の一部を改正する法律案を提出してございます。その中に、日本公庫を活用したツーステップ・ローンが盛り込まれているところでございます。支援対象となる事業者は、いろいろ報道されているところではありますが、情報通信機器等に使用される高性能な半導体を国内で生産する事業者を想定しているところでございます。

私からは以上でございます。

〔漆畑計画官〕続きまして、高速道路と空港について、引き続き説明させていただきます。3ページでございます。こちらは概要なので割愛させていただきまして、5ページよろしいでしょうか。改要求の概要からご説明させていただきます。

夏の時点で真ん中、令和4年度当初要求額4,630億円の政府保証の要求がございました。こちらは今回、政府保証1,200億円になりました。それから、別途、2,000億円の財政融資を改めて要求が出ている状況でございます。この2,000億円を使いまして、従来からやってございます暫定2車線の4車線化を実施していきたいというものでございます。

ページめくっていただいて、7ページでございます。暫定2車線の課題ということで3つございます。速度低下、安全性の低下、それから災害時の通行止めリスクがあるかと思います。

8ページをお願いします。課題への対応ということで、国土交通省で、安全・安心基本計画を策定しまして、3つの観点、時間信頼性の確保、それから事故防止、3つ目がネットワークの代替可能性という観点から、指標でもって優先整備区間を選定し、4車線化を計画的に実施しているところでございます。

ページをめくっていただき、9ページでございます。令和2年度より、財融を活用して課題の大きい優先整備区間の約880キロメートルのうち約196キロメートルを整備中でございますが、令和4年度においても、残りの区間、優先整備順位の高いものから、計画的に整備を実施していきたいとなってございます。

めくっていただきまして、10ページでございます。論点でございます。

経済対策等々において、これまでも暫定2車線を4車線化と整備することが記載されてございますが、これについては、財政融資を措置し実施を支援してきたところでございます。令和4年度においても引き続き、暫定2車線の4車線化を、財融を活用し、課題の大きい区間から優先的に推進していくべきではないか。

それから3つ目の丸でございますが、整備が完了した区間については、具体的な効果を検証し、今後の4車線化の検討にさらに活用していくべきではないかと、まとめてございます。

道路は以上でございます。

続きまして、空港の説明をさせていただきます。空港は自動車安全特会の空港整備勘定でございますが、3ページが特会の概要でございます。その後、整備事業費の対象空港となってございます。この辺りは基礎的な話なので割愛させていただきまして、6ページに行っていただきます。改要求の概要でございます。

真ん中、令和4年度当初要求額(A)ですが、984億円、夏の時点で要求ございましたものが、今回1,645億円ということで改めて要求がなされているところでございます。

8ページに行っていただければと思います。空港が直面する課題と対応ということで、2つございます。

1つが、空港の機能強化でございますが、ポストコロナに向け、拠点空港・地方空港の機能強化等を計画的に実施していきたいというものでございます。例えば、羽田空港、左下でございますが、駐機場の整備、それから内際乗り継ぎ、国内線、国際線乗り継ぎの利便性向上のための整備等々を実施したい。

それから、地方空港であれば、福岡空港の滑走路の増設のような話を進めていきたいと思ってございます。

めくっていただきまして、9ページでございます。もう一つ、2つ目の課題ということで防災・減災・老朽化対策があるかと思います。浸水対策、耐震対策、老朽化対策等々をしっかりと実施していかなければいけないと思ってございます。

めくっていただきまして、10ページ、論点でございます。空港整備勘定につきましては、独立採算で事業を行ってきていましたが、コロナの影響により空港需要が減少する中でも必要な設備投資をしっかり続けていくために、令和2年度から再び財政融資を措置し、支援してきているところでございます。令和4年度においても、ポストコロナを見据え、拠点空港・地方空港における空港機能強化や、防災・減災、老朽化等々の必要な設備投資を引き続き進められるよう、財政融資を活用していくべきではないかということで、まとめてございます。

空港は以上でございます。

〔原田計画官〕それから、資料1-4でございますが、前に分科会で少し触れさせていただいた、ため池の件でございます。農水省から新規で財投要求がされています全国土地改良事業団体連合会の件でございます。

最初に、趣旨でございますが、近年、集中豪雨等が非常に増えておりまして、ため池の周りで農業はもちろん生活を行う上でも非常に危機を感じている、危ないと思っている方々が増えている中で、こうした農業用のため池や排水施設等をしっかり整備していくことが喫緊の課題になってございます。骨太2021や成長戦略などにおいても、対応が求められているところでございます。

農水省から、こうした政策課題に対応するために、新たに小規模なため池、用排水路、用排水ポンプや遠隔監視機器等の整備を推進するために、補助率50%の補助事業の創設が要求されているところでございますが、今回の財投要求はこれに合わせて、必要な整備をさらに加速して実施できるように、この下の赤枠のところになりますが、国庫補助がなされる50%を除いた都道府県20%と土地改良区30%の部分に対応して、低利の財政融資を活用していくという趣旨の要求でございます。財投機関としては、先ほど申し上げた全国連合会となります。新規の財投機関となり、要求規模は財政融資11億円でございます。

また、財投機関となるためには法改正が必要でございまして、次期通常国会に土地改良法の一部を改正する法律案の提出が予定されているということでございます。

償還確実性については、3ページ目でございます。まず、各農家が土地改良区に対し負担金を出してまいります。この負担金が地方連合会、全国連合会と回りまして、財融に返ってくる。こうしたお金の流れでございますが、その償還確実性、下の箱になりますが、1つ1つ見てまいりますと、まず、土地改良法のところで、事業開始前にしっかりとした手続きが踏まれており、裨益者の3分の2以上の同意でありますとか、知事の認可でありますとか、こうしたことがしっかり手続きとして取られることと、負担金の徴収には強制徴収(滞納処分)も可能となっておりまして、今までも負担金の徴収率は約99%と非常に高い徴収率であるということが、まず1つ、安心材料かと考えてございます。

それでも取りはぐれが全くないというわけではありませんので、土地改良区の積立金等でありますとか、右側の全国連合会の正味財産の推移が安定的に推移しているでありますとか、こうしたことがありますので、償還確実性に関して言えば、今のところそれほど懸念はないかと考えているところでございます。

論点になりますが、今般の要求は、主に防災です。グリーン及びデジタルといった目的もありますが、主に防災・減災・国土強靱化といった政策課題に着実に対応するため、必要な整備をより加速して実施できるよう、低利の財政融資を活用したいとされております。その政策的意義、それから具体的な政策的効果といったことについて、ご確認いただければということでございます。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見やご質問をお願いしたいと思います。挙手ボタンを確認しながら指名させていただきますので、そのままお待ちください。

ご発言の際に資料を引用される場合には、資料番号と該当ページをおっしゃっていただければと思います。また、要求側の方も来ていらっしゃいますので、ご質問いただいても結構でございます。

それでは、お願いいたします。

それでは、林田委員、まず、お願いいたします。

〔林田委員〕ご説明ありがとうございました。たくさんあるので発言も少し長くなってしまうかもしれませんが、急いでやります。

まず、資料1-1の9ページの論点と、12ページの執行状況等に関連してですが、コメントを1つ。

コロナ関連予算については、よく未執行が多過ぎる、ずさんだとか、無駄だとかといった批判が野党や一部のメディアからよく出ていますが、何せ相手にしているのが、これからどれほど猛威を振るうのか分からないコロナである以上、多めに予算を準備しておくというのは仕方がない面もあるのかと私は思っています。

巨額の予備費の是非等は別としても、財投に関して言えば、大切なのは資金需要に対処できる枠なり、それぞれの資金需要の性格にマッチした制度を備えておくことだと思っています。

また、さらに大切なのは、額があるから使い切ろうとか、そうでないと翌年度予算がもらえない、ということになってしまったら本末転倒ですので、真に資金需要のある分についてのみ執行すること、これをしっかりやることが大切だと思っております。その意味では、使い残しが出るというのは、節度ある執行をしている1つのあかしでもあるのかということであって、その部分をあまりなじるのは、かえって角を矯めて牛を殺す話になるのではないかと思っています。

十分な事業規模があるかという論点に関して言えば、財投には弾力条項もありますし、要求のレベル感はこのようなものでいいのかと私は感じています。

次に、高速道路、資料は1-2ですが、5ページです。

上の四角の囲みの文章が事前のご説明から少し変わっていて、「金利負担軽減分(=債務引受余力の増加)を活用し」という文言が入りました。これによって、財投がどう貢献しているのかが非常に分かりやすくなって結構だと思います。

そこで気になったのは、金利負担軽減分は、定量的にはどのぐらいあるものなのかという点です。ただ低利融資というだけでなく、整備期間が短縮されることによる利払い負担の軽減などもあると思います。国民に財投の有用性をアピールするという観点から、こうした情報についても、貢献のエビデンスをしっかりと外部に示していったほうがいいのではないかと思っています。

ちなみに、私のおぼろげな記憶でありますが、リニア向けの財投については、40年ほどで3兆円ほどJR東海に貢献、恩恵があるという説明を当時の担当者の方から受けて、すごい貢献の力があるのだなと実感したことを覚えています。これは本当の数字かどうか、記憶定かではありませんが。

それから、質問ですが、4車線化事業全体に対する財政融資の比率、事業費にどれぐらい使っているのか。多分、整備する主体が自分で自己資金でやっている部分もあるでしょうし、いろいろ資金調達もしていると思うのですが、どれくらい比率があるのか。

それから、9ページですが、優先整備区間の課題が大きいところから手をつけるというお話でしたが、結局は全部財投を入れて整備することになるのか、そうではないのか。あるいは、その場合、あとどれぐらいの財投を出すことに、何年間で出すのか。それとも、そうした将来計画は、まだ全然何もないのか。その辺りを教えていただければと思います。

最後に、空港で1つ疑問というかお願いがありまして、政府は今年6月15日の閣議で2021年版の観光白書を決定しましたが、2030年に訪日外国人客を6,000万人にするという目標を堅持するということを確認しました。政策の意気込みとしては理解できるのですが、今、コロナの変異株がどんどん出てきて、仮に感染が収束したとしても、ビジネスのありよう、リモート化の流れはある。そうした中で、海外出張はどうなるのかとか、いろいろなファクターがある。従来の、コロナ前のボリューム感で、政策をこれからも決めていっていいのかという疑問が私にはあります。

今回の空港機能強化もそうですが、押っ取り刀で急いでやるようなことなのかどうなのか。こうした指摘をしますと、10ページにもありますが、必要なときにはすぐにつくれないから、必要な整備は続けるというご説明をよく受けますが、空港のことではありませんが、実はつくり過ぎて持て余している公共的な施設などは、たくさんあるということは常識でありまして、一応真っ当な施設をつくっていれば、会計検査院のチェックも入りにくいとは思いますが、例えば8ページにあるような駐機場の整備は、飛行機が今ほとんど飛んでいないときにせっせと駐機場をつくるのは少し滑稽な話だと思いますし、財務省にお願いですが、コロナ感染の状況を見ながら、緊急性の高い事業を優先して、貴重なお金を使おうという冷静な目で査定を進めていただきたいというお願いです。

長くなりました。以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

質問には、後で少しまとめてお答えいただきます。

次、冨田委員お願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。

高速道路債務返済機構についてであります。先ほどの林田委員ご指摘の5ページでありますが、私は、これは同じ政策目的を実施するために、国民負担が可能な限り少ないほうが当然選ばれるべき政策手段であるということから、全面的に賛成です。もちろん償還確実性を精査するということが大事なわけですが。

申し上げたいことは、20年前の財投改革のときには、財政融資ではなしに、財投機関債だと。財投機関債で、財投機関の存廃を決めるという議論が横行していたのです。私、物すごい少数派だったのですが、政治がつまり国民が決めるべきことを、それにかわってマーケットが決めることはできないはずだということを、言い続けたわけです。ようやくここに来て、こうした議論が、3年前からですが、日本道路公団(JH)に絡んで出てきました。

それ以前は、政府保証債はどのような位置づけだったかというと、財投から財投機関債に移る過渡期的なものとして、過渡期的な資金調達手段として政府保証債があるという位置づけだったのです。

ここへ来て、その矢印がきちんと正しい方向に、つまり、政府保証債からよりコストの低い財融貸出に戻るということを3年前から、3年前ですから最近で始め、これがだんだん定着してきたので、やはりここで、同じ政策目的を達成するための政策手段がいかにあるべきかということを、肝に銘じておく必要があると思います。

その一方で、政府保証債については、例えば、ドイツの政策金融機関というか、いわゆる財投機関です、我が国の言葉でいえば。KfWはドル建てで政府保証債を出しております。同じように、外貨調達が必要な財投機関は外貨で調達しております。JBICだとか、JICAです。それとか、政府系の金融機関についてのALMの手段として、やはり、政府保証債で資金調達するというのはありだと思います。

そうした位置づけが政府保証債にはあるということで、改めて政府保証債の議論をするということは、ここでは必要ないかと思います。

先ほどの林田委員と同じように、利払費負担軽減効果がどれだけあるのかについてお示しいただきたい。

2番目は、全国土地改良事業団体連合会が新たに財投機関になったということで、今般のため池についての防災・減災事業に対する融資というのは、極めて重要なわけですので、償還確実性を精査しながら融資を行うのは大きな意味があろうと思います。

一方、土改連自体は、多様なたくさんの事業を行っております。どこら辺までを融資対象として視野に入れるべきか、もちろんこれから、この場でも検討することかもしれませんが、そこらの展望をお示しいただきたい。先ほど、防災・減災、そして小声だったと思うのですが、グリーンということも言われましたので、融資対象がどんどん広がる可能性もないとは言えないような気がいたしますので、そこらについての展望をお伺いしたい。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、高田委員、お願いいたします。

〔高田委員〕ご説明どうもありがとうございました。

様々な論点があるのですが、重要性の観点から、兆円単位の議論のところからさせていただこうと思います。基本的には政策公庫が中心になります。今回の論点になっております改要求につきましては、もちろん十分な規模でもあると思いますし、また、償還の確実性の議論も当然の議論だと私は思います。

ただ、私が問題意識としようと思っておりますのは、その持続性の問題かと思っています。今回、こちらの資料を拝見させていただきましても、今回の緊急融資ということで言えば60兆円という単位になっています。この単位は日本のGDPの1割以上でもございますし、また、日本の民間貸出しの1割以上という金額にもなっているということです。

もちろん、これがあったからこそ、やはり今年度、また、昨年度のこれだけの金融の安定というものがございましたので、それはそれとして非常に評価できるものだと思いますし、また、今後の改要求につきましても、当然のことながら、来年度に向けて、こうしたものを対応していくのは、もちろん今のコロナの環境下においては重要だということになってこようかとは思います。

ただ、問題は、今回の融資、こちらの表の中にもあるわけですが、貸付期間、貸付金利の今のゼロゼロというのは、ちょうど3年ぐらいということでございますから、2023年3月以降という形が多くなるわけであります。すなわち、来年度にとっては、取りあえずということであっても、再来年度になってまいりますと、そこのところが金利が発生するということで大きな崖ができるところになりますので、当然のことながら、来年度中にある程度めどをつけておくような発想がないと、単純に貸出しを増やしていくというモードだけの議論から、来年度においては、確実にそれをどのような形で対応するのかという次元に移っていかざるを得ないわけです。

しかも、先ほど申しましたように金額がそれだけ多い状況ですから、まさにマクロ的な国民経済的においても、どのような形のリストラクチャリングを取っていくのかを、やはり組織体制として、どう対応するのか。しかも、事実上これだけの融資を対応したということは、従来のメイン先ではないところも含めた対応をしていくわけでありますから、件数が膨大になっているわけでありますから、そこのところの体制をどのような形で来年度中にめどをつけるか、また、もしくはその準備をしていくかという発想がないと、実際に2023年の3月以降になったときに、これからやろうと思ってもなかなかできないわけでありまして、そこのところの対応の視野を、もしくは議論を、フォワードルッキングな形でもって対応しておくことが、私はこれだけの規模を積み上げた中で言えば、同時に対応しておかざるを得ない部分があるのではないかと思います。

もちろん、政治的にまいりますと、来年選挙もあるわけでありまして、しかもコロナという環境があるわけでありますから、今のところは取りあえずアクセルをというような状況になっているのは現実の姿だろうと思いますが、同時に、だからといってこれをどんどん潰していくということではなく、ある程度、企業価値なりを高めながら、また、同時に持続性を考えながら、せっかくこれだけの成果を上げたものの、最終的なフィニッシュをどのような形にするのかという発想を、やはり考えておく必要があるわけです。その辺の対応の重要性をやはり我々としても、常にメッセージとして対応していく、このような点がやはり必要ではないかと思っております。

私の議論は以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。そのとおりだと思います。

それでは、渡部賢一委員、お願いいたします。

〔渡部委員〕ありがとうございます。

1点の意見と1点の質問、簡潔に申し上げたいと思います。資料1-1の12ページ、林田委員からも賛成、この要求額は妥当だというお話がありました。しかし、執行率がこれだけ低いというのは、こうした財投機関へのニーズも実際は減ってきているのではないか。報道等においても執行率が低くて、いわゆる目詰まりがどうのこうのというのも最近は聞かれないとすれば、やはり、ニューノーマルという言葉がいいのかどうか、いわゆる正常化に向けて縮めていくべきではないか。執行率は、計画というのは計画ですから、99もあれば101もあるかもしれないのですが、やはり10%だ6%だという執行率ではない形に持っていくべきではないかという気がいたします。

それから2点目は、質問です。資料1-2の、5ページの低金利を利用してというか、レバレッジをかけてというか、金利差を利用としての融資だということです。いわゆる正常化というかテーパリング等が始まる、向かっていかないと駄目ではないかと個人的に思っているわけですが。そうするとエンジョイする金利負担軽減分がなくなって来ます。とすれば、逆に、ここで出ている4車線化はやめていくとか、減らすことをお考えなのか、その他のことを考えていらっしゃるのか、その辺についてお伺いしたい。

以上、2点です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

続きまして、工藤委員、お願いいたします。

〔工藤委員〕ありがとうございます。

資料1-1のコロナ関連融資につきまして、日本公庫における改要求案では、制度融資の延長期間において、少なくとも足元の貸付実績と同程度の貸付額はカバーできるような事業規模を確保いただいたと理解しています。事業規模に特段懸念はないもの、償還確実性については26日の分科会でも議論になったり、債権管理とモニタリングをしっかりお願いしたいと存じます。

2点目は、同じく資料1-1の10ページ、ツーステップ・ローンでございますが、先端的な国内生産を促進するための金融支援として、日本政策金融公庫を通じたツーステップ・ローンにより長期・低利の融資を実施するということについて、意義があるというのは非常に理解いたします。

一方で、本件について民業補完性の観点からは、どのような制度設計、運営が想定されているのかをお伺いしたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、川村委員、お願いいたします。

〔川村委員〕いろいろご説明ありがとうございます。

簡単に申しますと、最初の財融の執行状況との関係、林田委員のご意見、渡部委員のご意見、両方それぞれ、そうだなと思うのですが、結論的には、先が見えないコロナ、いろいろ言われている中で、要求金額そのものの水準が、一昨年というか昨年の実施額の半分ぐらいのところで枠を抑えているというところを見ると、やむを得ないのかと。

大体ほかは、各委員にほとんどご指摘いただいたところばかりですが、1つだけ、償還確実性とシミュレーションとの関係について、例えば空港については、令和22年度に債務完済予定という、収入とのシミュレーションが出ていますが、これは非常に不安定要素も多い話で、20年近く先の話ですし、コロナから急回復するかどうかもあるので、これは不断の見直しをお願いしたい。

それから、それと類似のものは、高速道路については書かれてなくて、言わば借換えというか、調達手段の変更による金利差によって、いいという当面の記載があって、それはそれで納得できるのですが、やはり、空港と同じように長期のシミュレーションと不断の見直しをぜひお願いしたい。

高速道路の具体的な効果の検証、それによる今後の方向というのは当然のことでありますが、この具体的な効果の検証も高速道路に限らず全ての財投案件に言えることなので、ぜひ不断に、また、適宜報告をいただければと思う次第です。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、中里委員、お願いいたします。

〔中里委員〕ありがとうございます。

まず、日本政策金融公庫の話ですが、10月の分科会のときに、ゼロゼロ融資について、予定通りこの年末で終了させてよろしいのでしょうかということについて、質問させていただきました。

11月19日に経済対策が閣議決定されて、今年度末、3月末まで延長となったと思うのですが、10月の分科会のときには、特段もうフローの、つまり、新規の融資については、環境がある程度よくなってきているので、それほど必要ないのではないかというお話があったかと思うのですが、この点についてどのようなご判断があったのかについて伺わせていただきたいと思います。別に問い詰めているわけではなくて、考え方の整理をしておかないと、継続性の観点から少し議論があるかと思ったので、この質問をさせていただいています。

それからもう一つは、高速道路保有・債務返済機構の話です。暫定2車線を4車線にするところで、いろいろ議論になっているので確認をさせてください。

まず、暫定2車線を4車線にするときの基準のところです。例えば中央分離帯。暫定2車線の区間で事故が多いというのは、中央分離帯がコストをかけないために、すごく簡素な形でつくられているので、対面で事故が起きてしまうわけなのですが、暫定2車線を4車線にするときには、堅固な中央分離帯をつくって、事故が起きないようにするのでしょうか。

もしそのようにするのでなければ、安全性の観点から暫定2車線を4車線にする必要があるというところは、少し理由が弱くなってしまうのではないかというのがお伺いしたいことの一つです。

もう一つは、ABCDの基準の話です。どこを整備するか、点数で優先順位をつけているのですが、そのときに断面交通量のような基準がないのです。先ほどから償還確実性の話が出ていると思うのですが、断面交通量をある地点で取ったときに、そこを通過する交通量が1日に1万台というような基準が採算面から別途あると思います。例えば、直近で整備しているようなところで、断面交通量が1万台を超えているところはどの程度あるのでしょうかというのが二つ目の質問です。

もう一つは、保有機構さんはとても信用力が高くて、30年ぐらいの年限の財投機関債を普通に発行して資金調達ができています。その中で、なぜあえて、こうした形で財政融資を求められているのか、その考え方の整理をお伺いしたいということです。

以上でございます。どうもありがとうございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、今までの委員の先生方のご意見やご質問にお答えいただければと思いますが、まず、それでは、計画官からお答えいただけますでしょうか。

〔原田計画官〕ありがとうございました。私からは公庫のところと、それからため池のところをお答えさせていただきます。

まず、大きな話から言いますと、高田委員、それから工藤委員から、債権管理の必要性、我々もこれは一番重要だと考えておりまして、これからどうやっていくか、これは前の分科会でも議論になりましたが、1つ1つ、公庫の限られた人員の中できめ細かい対応をしていかないといけないということに尽きるわけですが、おっしゃるとおりこれから償還の山が来て、借り換えさせるのか、それとも退場させるのか、その前提としてのビジネスモデルをどのように立て直していくのか、こうしたことについてきめ細かい対応が必要になります。公庫の方々も最大の力で頑張っていると思うのですが、さらに業務の効率化でありますとか、それからAIの活用といった議論もありますが、こうしたことをして、大変だと思いますが、最大限頑張っていただく、我々としてもそこに協力していくということかと思っております。

この点は、公庫の方々からも、どのような見解かは、私たちもお聞きしたいところでございます。

それから、執行率の話でございます。林田委員、それから渡部委員からご質問がございました。

我々まず、セーフティネットの用意が重要ですので、これだけコロナがはやって不透明感があるときは、まずはセーフティネットとして、ある程度余裕を持った事業規模を用意するわけですが、一方で、どのような性質のものなのかが分かってくれば、セーフティネットの幅もだんだん小さくなっていくというのは当然かと思ってございます。今後はそうしたことを念頭に置いて対応していくということかと思うわけです。

ただ、構造として、執行率は、先ほど、今回の改要求がなぜか減ってしまったというお話もあるように、一般会計と、財融と、それから返すものが返ってくる関係上執行率が非常に小さく見えているということもございまして、財融の執行率が6%、10%というのが、そのまま事業規模の見積りの6%、10%しか実行されてないということとは違いますので、そこを念頭に置いた上で、先ほど申したように不確実性が減った分については、しっかり対応していくことかと考えているところでございます。

それから、中里委員からゼロゼロの話ございました。なぜ、あと3か月かということでございますが、これもセーフティネットの話ですので、新たな話、オミクロンでありますとか、そうしたことがありますので、3月まではとりあえずこれを継続する。4月以降は、資料には一部見直しをしながら継続と書かれております。これはまさしく、経済状況を見まして、ゼロゼロがどのようになっていくかを今検討中でございます。こうしたことを念頭に置いて、4月以降どのような姿にしていくのかになっていくかと思います。

それから、工藤委員からツーステップ・ローンの話がございました。これは、告示で民間と協調して融資をしていくということが書かれることになると存じますが、少なくとも半分は民間といったような姿を念頭に置いているところでございます。

それから冨田委員から、ため池の話をいただきました。土改連でございますが、これは何でもかんでも事業についてこの仕組みを活用するというよりは、土地改良区と都道府県がお金を出し合って積立てていくわけでございますが、通常でいきますと、その積立金が十分集まった時点で、それが例えば5年ぐらいたった時点で、ため池の整備を行うというタイムスケジュールの問題で、5年待つと危ない地域があるから早く対応するための措置ということで、財融を活用するということでございます。

5年間、何で早くやらないといけないかと申しますと、それは危ないからでありまして、ビジネスリスクを軽減するといった性質の財融ではございませんので、単純にグリーンとかそうしたデジタルとかいう理由だけで、ほかの事業にこれが拡大していくものではないと考えてございます。

私からは以上でございます。

〔漆畑計画官〕道路と空港について、漆畑から説明させていただきます。

まず、林田先生、それから冨田先生からございました金利負担軽減効果でございますが、こちらは先日ご議論いただいた令和3年度補正の3,000億円と、今回の2,000億円と合わせて5,000億円の金利負担の削減効果として、約2,500億円程度見込んでいるところでございます。もちろん、ここは金利の変動によって、また左右するのでしょうが、今のところ我々としては、2,500億円程度を見込んでいるということでございます。

それから、林田先生からございました4車線化の整備について、9ページでございますが、安全・安心基本計画以降暫定2車線を4車線にしてきているものは100%、財融でやっているのですが、その前ということで言うと、書いているとおりですが、全体の高規格道路が1.2万キロメートルございまして、そのうちの暫定の2車線という部分が4,394キロメートル、約4割程度ですので、残り約8,000キロメートルはこの時点で4車線になっているものということかと思います。暫定2車線のうち、有料のもので、かつ対面通行のものが約1,600キロメートルになるのでございますが、そこのうち、先ほどの3つのメルクマールで、問題が大きいところを調べて、優先整備区間ということで約880キロメートルを選定したところと聞いてございます。そのうち、そこからさらに優先順位が高いものを選んでいくというプロセスになるかと思います。

それから、あと何年やるつもりだということでございます。14ページを見ていただければと思いますが、その辺りの話が少し出てございます。高速道路約1.2万キロメートルのうち、対面が約3,100キロメートルになって、そのうち有料が約1,600キロメートルになってということでございますが、ここから、今し方申し上げたとおりですが、優先区間を選定していきますので、やはり時間信頼性みたいな話をしますと、安全・安心の観点もございますので、そこは財源の確保の状況を見据えながら、順次事業化していきたいということで、最後、そこはどこまでを目指すのかは、また財源や優先度を見ながら、安全・安心の度合いを見ながらになっていくかと思います。

それから、空港について……。

〔林田委員〕金額はどうですか。10年、15年やるとなると。

〔漆畑計画官〕それは、大体金額は工事区間にもよりますので、例えば今の実績でいうと、大体8.6キロメートルで1,000億円、1,000億円かければ10キロメートル弱ぐらい、今までの実績でいえばですので、それを掛け合わせた数字が、もしかしたらおよその額かもしれない、そこはトンネルの箇所とか整備箇所とかキャパシティみたいなものもあるので、全然違ってくると思いますし、それを全部やるかどうかは、また議論がある話だと思います。

〔林田委員〕単純に計算すると10兆円ぐらいになる。それぐらいの規模になるのですか。

〔漆畑計画官〕そうですね。そのまま単純に、なかなか計算できない話だと思いますが、今入れている額と整備に着手した区間と比べると、そうした試算になろうかと思います。

〔林田委員〕分かりました。

〔漆畑計画官〕それから、空港でございますが、これも先生おっしゃるとおりかと思います。無駄な投資は絶対やるべきではないとは我々も思ってございます。

他方で、まさに今こうした時期から、しっかりポストコロナの回復に向けて整備、特に羽田空港はフル回転している空港でございましたが、今ちょうど、そうした意味では回転が少し収まっているところで、整備も進むところもあるでしょうから、そうした意味では、計画的に整備して、無駄なものは投資をしないということだと思います。ただ、必要な、今後に向けたものは、しっかり整備していく必要があるのか、そこは我々もよく見ていきたいと思ってございます。

それから、冨田先生のは、さっきの削減効果かと思います。

また、渡部賢一先生からございました、今、低金利環境だと、今後、どこまでやっていくのかということでしょうが、政保債と財融とを入れ替えたときの金利差というのは、やはり引き続きは出るので、そこはうまく我々も活用していかなければいけないのかと、そこは状況を見ながらだと思います。

他方で、4車線化は、もちろん時間短縮みたいな話もございますが、安全・安心みたいな早期に直さなければいけない部分もございますので、そうしたものは早く直していかなければいけないでしょうし、また、国土強靱化の観点から、かえってお金がかかってしまう、土砂崩れで交通が麻痺してということもございますので、そこはよく見ながらということになるかと思います。いずれにせよ、金利差は少し残ると思いますので、それの幅を見ながら、この政策をするかどうかは、今後、よく見ていかなければいけないのかと思ってございます。

それから、川村先生からいただいた、空港のほうは、そうした意味で不安定要素は、今後、コロナ以外も含めて、いろいろとアップダウンがあるのはよくあるので、償還確実性をしっかり、このとおりいくのかどうなのか、見ていただければ、通常時に戻れば大分収入のところが、グラフを見ていただければと思いますが、あるとは思いますが、我々もコンサバティブに見ていかなければいけないと思ってございますので、しっかりウオッチしていきたいと思ってございます。

それから、高速道路の償還確実性も、先生もおっしゃっていただいたように、まさに金利削減分でやるので本体には影響しないのでしょうが、我々も、要は、それ以外に、例えば人口減少とか、今後、マイナス要因は収益についてあるかと思います。そうしたものをよく見ながら、収益性、償還確実性を見ていかなければとは思ってございます。

それから、効果の不断の検証もしっかり、他の機関、今回の効果検証は道路ということでしょうが、それに限った話ではないと思いますので、そうした観点でしっかり見ていきたいと思います。

それから、中里先生からですね。よろしいですか。では、ざっと私から言ってよろしいですか。私のほうで答えられる話だけ答えさせていただいて、分離帯の話等はあれですので、また後ほどですが、なぜ財融かということは、そうした意味では、やはり緊急、それから安全・安心という観点で、しっかり国としても4車線化は進めていかなければいけない中で、金利負担軽減効果はしっかり使っていかなければいけないというので、もちろん道路機構の調達の話ではなくて政策の話として、我々もしっかり支援していかなければいけないのかと思ってございます。

前半の2つは、国交省から、すみません。

〔国土交通省道路局沓掛高速道路課長〕国土交通省道路局からお答えさせていただきます。

まず、4車線化した場合に、堅固な中央分離帯をつくるのかというご指摘につきましては、結論から申しますと、つくります。高速道路を4車線化した場合に、中央分離帯を設置して、往復の交通を分離するというのが道路構造令等で示されていますので、そこはしっかりしたものをつくって、交通安全が図れるようにしていくところでございます。

それから2点目、1万台を超えているところがどれぐらいあるのか、交通量というお話がございました。これにつきましては、15ページで優先整備区間の選定方法と、各指標が出てございます。この15ページの指標2で渋滞回数を出しております。大体、設計基準交通量というのがございまして、例えば平地でありましたら1万4,000台、あるいは山地部でしたら1万台という設計基準交通量がございます。これを超えてくると大体渋滞が出てくるという形で、交通量も大事ですが、実際それで何が問題になるかというと、それで渋滞が発生するというところなので、その渋滞で指標を見ております。これによって、どれぐらいの交通、交通がたくさんあるところでは、やはり4車線化が必要だというのを、この指標で見ているような状況でございます。

私から補足は以上でございます。

〔翁分科会長〕空港についてのご質問がございましたが、それについてのご返答をお願いしたいのですが。空港需要の見通しなどにつきまして。

〔国土交通省重田大臣官房参事官〕国土交通省航空局の重田と申します。よろしくお願いします。

コロナの影響を受けて、いろいろな機関が、今後航空需要がどの程度戻っていくのかを予測しております。コロナ前は、大体2019年とすると、まず、2021年に、国内線で7割、国際線で2割戻るという予想が、IATAという世界のエアラインの協会が出しているところであります。

さらに申し上げると、2022年、来年について言うと、国内線で9割余、国際線で4割余戻るという形で言われておりまして、いろいろ今後不透明な部分はありますが、現状におきましても、国内線は確実に戻りつつあるといった状況でございますし、また国際線についても、緩やかではありますが、戻ってきているという状況になっております。

また、林田先生からもご指摘いただきましたが、無駄な事業がないように要求官庁としてしっかり精査をした上で、需要回復のときに的確に対応できるように、空港整備事業を計画的に実施していきたいと思っているところであります。よろしくお願いします。

〔翁分科会長〕皆様、ご質問について、ご回答ございましたが、よろしいでしょうか。特に、追加的に。

はい、お願いします。

〔林田委員〕原田計画官のご説明で、1点付け加えたいのですが、公庫の償還が来たときの問題で、主に公庫の手間暇のお話をされていたのですが、この問題の本質は手間暇ではなくて、要するに期限が来たけど、ほかから借換えができない、業績が回復していない、そこにもう貸さないのか貸すのか。これは、ある種、何かしっかりとした決めの問題がないと、要するに、公庫の優しい担当者に当たった企業は、また貸してもらえて、少し厳しい人に当たったところは倒産してしまうというようなことが起こるようでは、非常に不公平ですし、やはり政府の腹構えとして、構造改革路線か何路線かというわけではないのですが、そうしたことが確実に来るわけですから、そうした時期は。その腹構えを、そのときには私はもう担当ではないよというのではなくて、省の中でしっかりと話して、公庫とも意見交換をして、民間も巻き込んで、しっかりとそこの償還の山が来たとき慌てないようにしてほしいということが一番本質なのかと思っているので、それだけお聞かせください。

〔翁分科会長〕公庫については、アフターコロナのビジネスモデルを描いて、実行していくというのが、こうしたことによって先送りにならないということが、私も大変大事だと思っていますので、やはり今こそ、そうしたことを進めていかなければならない時期ですので、うまくそれを両立して、支援していただくようにお願いしたいと思っております。

それでは、どうぞ。

〔漆畑計画官〕補足いたします。林田先生の道路の4車線の全体、大体10兆円ぐらいかという話でしたが、有料でかつ暫定2車線で対面の約1,600キロメートルで約8兆円程度ということをイメージいただければと思います。すみません。

〔林田委員〕ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは、この件につきましては、ここで質疑を終了したいと思います。国土交通省、農林水産省の担当部局の皆様には、ご退席いただきます。ありがとうございました。

(国土交通省、農林水産省退席)

(内閣府、文部科学省、科学技術振興機構着席)

〔翁分科会長〕それでは、次に、科学技術振興機構につきまして、ご審議をいただきます。関口財政投融資総括課長及び内閣府より、要求の概要及び編成上の論点の説明をお願いいたします。

〔関口財政投融資総括課長〕財投総括課長の関口でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、大学ファンドについて、資料2-1に沿ってご説明させていただきたいと思います。

資料全体につきまして、11月9日の分科会で提出させていただいた資料と重なる部分がございますので、新しい部分を中心にご説明させていただきたいと思います。

3ページをご覧いただければと思います。右側に、11月19日に閣議決定させていただいた総合経済対策で盛り込まれた部分が記載されてございます。青字の部分を中心に補足説明を加えつつ、ご説明させていただきたいと思います。

一番上の青字ですが、世界最高水準の研究大学を形成するためということで、大学ファンド設置の目的を明確にしているところであります。

それから、2番目の青字になりますが、財政融資資金の償還確実性の担保の観点から、償還期、融資を始めて21年目から40年目までの償還期には過去の大きな市場変動、具体的にはリーマンショックですとか、そうしたグローバル金融危機級の大きな市場変動が起きたとしても、大学ファンドの財務基盤に問題が生じないよう、自己資本を増やしていくということであります。

それから、その下の青字、「本ファンドの支援に当たっては、」という文章でございますが、大学ファンドからの支援が行われることによって、現在、各大学で取り組まれているような自己収入の増加に向けた努力を阻害することなく、むしろその確実な増加につながるような仕組みにしていくこと、また、大学ファンドへの資金拠出が慫慂されるような仕組みにすることとしておりまして、具体的な仕組みについては、関係者間で現在検討中ということでございます。その上で、世界トップ大学並みの事業成長を図っていくということであります。

その次の、「将来的には、」から始まる部分ですが、大学ファンドは、我が国の大学が世界のトップ大学の研究や財務基盤に比べて、差が拡大する一方である。そうした現状を踏まえ、速やかに日本において世界に伍する大学を形成していくための過渡的な措置でございまして、将来的には、参画大学が自らの資金で大学固有の基金の保持運用を行っていくことを目指すということであります。

さらに、その下に注釈がございまして、※2でありますが、これは前段後段ありますが、前段は、大学への助成は安定的かつ継続的に行う必要がある一方で、大学ファンドの財務の健全性を損なうことのないようにしていく必要があるということで、会計上の仕組みをしっかりつくっていく必要がありますし、併せて実際の支出に当たっても、そのバランスに留意していく必要があるということであります。それから後段は、各大学への助成業務というのは、JST、科学技術振興機構が担うのですが、その一方で、大学への支援額の決定などは、政府の会議体において行うということでありまして、さらに、財政融資資金を含む国の資金が政策目的に沿って適切に使われているかを、政府の会議体において確認するということであります。

それから、その下に※3とございますが、参画大学から大学ファンドへの資金拠出については、将来的に払戻しをする場合には、大学ファンドの財務に悪影響を及ぼさないなどの要件を設けた上で、その要件に該当する場合に限り払い戻せるようにするということを検討していくということであります。

具体的な要件は今後の検討ということでありますが、財政融資資金の償還確実性を担保する観点から、払戻し後も、大学ファンドの安定的な財務基盤を維持しながら、払戻金の確保に向けた資産処分など様々市場への影響もあると思いますので、段階的払戻しになり得ると考えているところであります。

以上が経済対策の文章でございまして、続いて次の4ページでございます。今週月曜日に岸田総理による所信表明演説がございまして、10兆円の大学ファンドを年度内に創設することを表明されているということでございます。

それから、5ページ以降、5、6、7、8ページと、こちらは前回の資料と同じでございますので、割愛させていただきます。

それから、11ページから14ページにかけてでございますが、これまでの分科会の委員の先生方からいただいたご指摘とか、あるいは事務局から紹介させていただいた論点などを整理させていただいているところでございます。

11ページでございますが、「1.償還確実性の確保」でございまして、借用証書や償還計画に、償還確実性を担保するための具体的な規定、例えばコベナンツ条項などを盛り込んではどうかとしてございます。

それから、下方リスクに備えて、相応の自己資本が必要ではないかということを掲げております。

それから、その下の「2.JSTにおけるファンド運営、リスク管理」ですが、大学ファンドの長期収益目標率はなぜ3%なのでしょうか。また、ガバナンス・リスク管理体制ですとか、運用・監視委員会の役割・責任はどのようなものになるのかとしているところであります。

それから、その次の12ページでございますが、「3.大学への支援」とございますが、会計処理はどのように行われるのでしょうか。また、大学への支援額の決定には、資金の貸し手である財務省も関与すべきではないでしょうか。それから、大学の自己収入の増加を促す仕組みとすべきではないのでしょうかとしているということであります。

それから、下のほう、「4.大学ファンドの自立、JSTによる資金の自己調達努力」でありますが、大学が大学ファンドに資金拠出をするに当たって、何らかのインセンティブを与えるべきではないかとしているところであります。

次のページ、13ページでございます。早期の繰上償還の検討ですとか、JSTにおける資金の自己調達を行うべきではないかとしています。

それから、「5.将来的な各大学における大学固有基金の運営」でございますが、どのように基金の組成ですとか体制整備を行うのかとしてございます。

それから、「6.参画大学の要件・大学改革」でございますが、参画大学の具体的な要件はどのようなものになるのでしょうかとしているところであります。

それから、その次、14ページでございます。参画大学において、年3%の事業成長をどのように実現するのでしょうか。また、事業成長について、ガバニングボードや法人の長において、どのような責任が生じるのかとしているところであります。

以上が考えられる論点だと考えてございます。

私からの説明は以上でございます。

〔翁分科会長〕お願いいたします。

〔文部科学省坂本審議官〕それでは、文部科学省から資料2に沿ってご説明させていただきます。

まず、1ページをお開きいただければと思います。ファンドの施策の目的、概要が書かれておりますが、これは今、関口課長からご説明のあった内容でございますので省略させていただきますが、右上をご覧いただきますと、補正予算でございます。既に措置していただいている4.5兆円に加えまして、自己資本の拡充を目的として、令和3年度補正予算として6,111億円が計上されているというところを付け加えさせていただきます。

次に、2ページをご覧ください。大学ファンドの制度設計でございます。これは運用の仕組みとして、物価上昇率1.38%プラス支出目標率3%以上の運用目標でありますとか、あるいは、下の四角にございますが、世界標準の長期・国際分散投資の実行など、既にご説明した基本的考え方を示したものでございますので、内容は省略させていただきたいと思います。

次、3ページをご覧ください。ファンドの制度設計あるいは枠組み構築に関する進捗状況と、それから今後のスケジュールをまとめた表でございます。これにつきましても、大部分ご説明をしたものでございます。大学改革と資金運用という大きな2つのテーマについて、内閣府、文部科学省で、専門調査会あるいは有識者の検討会議などを開いて、制度設計をしております。

さらに、JSTにおいては、資金運用の体制整備を進めているところでございます。本格的に、今年度末から運用を開始していくということについて、このような作業が進められている、法案提出についても準備を進めているところでございます。これまでご説明した内容でございますので、これも省略させていただきます。

次、4ページをご覧いただければと思います。以降、今、関口課長からご説明いただいた具体的論点の対応状況について、こちらも既に説明した部分の繰り返しもございますが、方針、対応状況などを説明させていただきます。

まず、償還確実性の確保についてでございます。

1つ目の丸、借用証書あるいは償還計画等に、償還確実性を担保するための具体的な規定を盛り込むべき。例えば、償還計画どおりの償還が見込み難い場合は、事業の見直し等を行う旨の記載、こうしたご指摘がございました。

これについては、ご指摘のとおり対応させていただきたいと考えておりまして、現在、詳細な内容を調整しているところでございます。

2つ目は、元本を毀損させずに、大学への支出は全て運用益から賄うことになっている。その中で、償還確実性のために、下方リスクに備えて、相応の自己資本が必要とのご指摘でございます。

こちらにつきましても、ご指摘のとおり対応していきたいと考えておりまして、この内容については、後ほどご説明を詳しくさせていただきます。

5ページをご覧いただければと思います。次、「2.JSTにおけるファンド運営、リスク管理」でございます。大学ファンドの長期収益目標率が3%である根拠でございます。

こちらにつきましては、内閣府、CSTIの世界と伍する研究大学専門調査会の資金運用ワーキンググループにおきまして、我が国の国力に応じた世界トップ研究大学を創出するのに必要な支援規模の検討、先進諸国におけるトップ研究大学の数、その事業規模、事業成長率等の各種データの国際比較も含めます。こうした検討を行いました上で、投資環境の過去の実績、あるいは将来予測やストレス分析なども組み合せまして、必要かつ実現可能な水準として、長期収益目標を3%と設定したところでございます。後ほど関連データについてご説明いたします。

次の白丸でございますが、JSTにおけるガバナンス・リスク管理体制の構築、あるいは、ファンドマネジメントの具体的な人数・構成等についてのご指摘、さらには運用・監視委員会の具体的な役割・責任についてのご指摘がございました。

JSTにおいては、運用業務担当理事として、元農林中金の常務執行役員でおられます喜田氏を、本年6月にお迎えしております。

さらに、助成資金運用等の適正な運営を図るために、JST法の規定に基づきまして、外部有識者による運用・監視委員会が設置されているところでございます。10月1日に文部科学大臣が任命し、11月2日に第1回の会合が開催されてございます。

さらに、JSTの中の体制でございますが、投資部門、リスク管理部門、内部監査部門といった3線防衛を機能させる。運用及びガバナンス機能を構築させていただきたいと今準備を進めております。来年3月の運用開始に向けて、現在、体制を構築中でございますが、投資に係る組織の具体的な人数・構成は調整中でございます。

これらの内容を、もう少し具体的にご説明いたしますので、次のページ、6ページをご覧いただければと思います。

まず、研究大学の資金規模と成長の国際比較でございます。上の囲みに書いてありますように、例えば、英米の代表的な大学、7大学と、それから日本の大学を比較しております。左側が大学収入の推移、右側が具体的な数字でございます。上の囲みに書かせていただいていますとおり、こうしたグラフを見てお分かりいただけますが、英米の7大学の年間実質平均成長率は3.8%、この間のタイムズ・ハイヤー・エデュケーション、上位10校の平均名目成長率は5.5%でございます。したがいまして、我が国の大学が世界と伍する大学となるためには、やはり支出の成長率3%プラス物価上昇率が最低限必要となるのではないかと考えられるところでございます。

次のページをご覧いただければと、7ページでございます。海外、英米の大学のエンダウメントの状況を簡単に整理しております。イエール大学、スタンフォード大学等々の大学が並んでおりますが、こちらを見ていただきますと、リターン目標につきましては大体7%から8%程度、ペイアウト目標については4%から5%程度、運用資産は、イエールからプリンストンまでは3兆円から4兆円、オックスフォードが0.6兆円でございますが、こうした規模でございます。実績としての年間収益率は7%から10%ぐらい出されているというところ、ご覧いただけるかと思います。

次、8ページをご覧いただければと思います。次は国内の状況でございますが、主な年金積立金の状況を整理させていただいております。GPIF、国家公務員共済等々ございますが、リターン目標については、それぞれ賃金上昇率プラス1.7%といったもの、そして、年間収益率については、大体3%弱から4%弱が出されているところでございます。

次、9ページをご覧いただければと思います。JSTにおけるガバナンス・リスク管理体制のご説明資料でございます。下の図にございますとおり、投資部門、リスク管理部門、内部監査部門、3線防衛の体制を今つくりつつあるところでございます。この点についてのご議論を一度していただきました。そのときのご指摘も踏まえて、見直したものがここに書かれてございます。

まず、投資部門でございます。左下でございますが、資金運用本部があり、そこで投資委員会が上にございまして、決定を行うということでございますが、そこの委員長には、運用業務担当理事、そして、委員としては、マネジメントを代表する総括担当理事、それからファンド業務担当の副理事級が入る、オブザーバーとして、リスク管理担当の役員等が入るところでございます。

次に、右側の第2線でございますが、運用リスク管理については、運用リスク管理部、そしてその上に運用リスク管理委員会がございまして、こちらは、委員長が内部統制の担当理事、そして委員は総括担当理事、そして運用リスク管理の副理事級が入るということでございます。オブザーバーは運用担当のものでございます。

さらに、第3線が、右にございますが、内部監査部門ということでございます。

これら全体について、その上にございますが、JST法に基づき設置された運用・監視委員会が監視を行うということでございます。運用・監視委員会の業務につきましては、上の囲みにございますが、JST法第20条第2項に具体的に規定されております。寄託金運用業務等、ファンド全体の運用業務、さらに第4号、こちら右の括弧に書かれたものでございますが、業務方法書、中長期計画、あるいは資金運用の基本方針、こうしたものについては、運用・監視委員会の議を経なければならないということが定められております。

さらに、運用・監視委員会は、運用業務等の実施状況を監視するというところも書いております。

そのほか、運用業務等について、議長の諮問に応じて重要事項について意見を述べる、あるいは必要と認める事項については理事長に建議することができるという権限も定められているところでございます。

次、10ページをお願いいたします。今ご説明しました運用・監視委員会の委員の方々のリストでございます。10ページに掲げられている5名の方々に、委員ご就任をお願いしているところでございます。

次でございます。11ページをご覧ください。JSTにおけるファンド運営、リスク管理の続きでございますが、具体的にどのようなリスク管理・モニタリングを行うのか、その方法、あるいは事業自体の見直しのラインの設定についてのご指摘がございました。以前、ご説明した内容と重複する部分もございますが、改めて、ここに述べさせていただきます。

まず、JSTにおいては、標準偏差等をリスク管理上のモニタリング指標とする。日次で確認を行う。その結果を月次で運用リスク管理委員会に報告する。結果に応じて、投資規律を遵守しつつ、市場環境や資産配分方針の見直しの要否等を確認して、運用・監視委員会に報告するという体制を取るとしております。

そして、特に以下の場合は文部科学大臣、財務大臣にも報告するということで、3点ございます。

まず、1点目は、ネットの実現損失、単年度と累計、これらについては資本金を超過する場合(決算時点)、この場合の報告になるということ。3期連続となった場合は、事業見直しの判断が出てくるということでございます。2点目が、資産評価額が財政融資資金の残高を下回る場合。3点目は、年度初来の総合収益率が基本ポートフォリオの標準偏差のマイナス1倍、マイナス2倍を下回る場合という、この3点でございます。

さらに、モニタリングについては、運用資産全体資産・資産種類・運用手法等の視点から、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクといった各種リスクの特性に応じてモニタリングをしっかり行っていくこともしていく予定でございます。

次、12ページをご覧ください。モニタリングのプロセスについて、図に示しております。

まず、上のところは四半期ごとに投資委員会、運用・監視委員会がモニタリングを行うということでございますが、あらかじめチェックポイントを設定いたしまして、チェックポイントに該当した事項については、審議・報告が行われるということでございます。

さらに、月次のモニタリングについては、運用リスク管理委員会や投資委員会で、モニタリング結果のうちチェックポイントに該当した事項について事前協議・報告をしていくというところもございます。

さらに、運用リスク管理部が、報告事項に該当すると判断した場合の対応についても、フローをまとめております。

13ページをご覧いただければと思います。報告事項該当時の対応プロセスでございますが、報告事項は、先ほどご説明したものも含めて4点ございますが、1つ目がネットの実現損失が資本金を超過する、2つ目が資産評価額が財政融資資金の残高を下回る、3つ目が、実際のポートフォリオ又は基本ポートフォリオの標準偏差が許容リスクを超過する。4つ目が、年度初来の総合収益率が基本ポートフォリオの標準偏差のマイナス1倍、マイナス2倍を下回るということでございます。こうした事項に該当する場合には、運用リスク管理部から報告が、運用リスク管理委員会に上がり、さらに運用・監視委員会で審議・報告が行われる。そして、1つ目、2つ目、4つ目については、文部科学大臣、財務大臣に報告される、そうしたフローを予定してございます。

次、14ページをご覧ください。その他の枠組みについてでございますが、まず、大学への支援の枠組みでございます。大学への助成のための会計処理、あるいは、運用益が出ない場合の仕組みをどうするか。償還確実性の確保をし、さらに長期運用目標を達成するという観点で、特に運用立ち上げ期も含めて、大学への支出額の水準をどのように考えているのかというご指摘がございました。

また、元本を毀損させずに、大学への支出は運用益で賄うということで、自己資本が必要ではないかというところがございます。これにつきましては、大学ファンドは運用益をもとに大学への助成を行うとは、そのとおりでございまして、具体的な処理方法をフローチャートで用意してございます。

15ページをご覧いただければと思います。この会計処理のフローでございますが、まず、左上、損益計算で利益が発生いたしますと、利益に対して、損失を差し引いて、残余の額が出てくるということでございます。この残余の額について、財務大臣協議を経まして、まず、左下にございますが、目的積立金が計上される。当面、約9,000億円を上限と想定しております。その内訳といいますのは、まず、大学への助成、これは当面年間3,000億円を上限に毎年度国が設置する会議体で決定するように調整を今進めております。それと、運用益の不足に備えたバッファーとして当面6,000億円、これについては資本剰余金への振替を検討中でございます。さらに、この残余の額から目的積立金を引いた額が積立金として、下方リスクに備えた自己資本として機能するものとして計上されるというところでございます。

次、16ページをご覧いただければと思います。大学ファンドの財務諸表イメージでございますが、有価証券の評価損益は、財務諸表で適切に処理されるということでございます。証券の保有目的によりまして取扱いが異なりますが、売買目的であれば損益計算書に計上され、その他目的であれば貸借対照表の純資産の部に計上されることになりますが、いずれも自己資本の変動要因となるものでございます。下の図は具体的なイメージを示したものでございますが、詳しい説明は省略させていただきます。

次、17ページをご覧いただければと思います。大学への支援の枠組みの続きでございます。1つ目の丸、財融資金が政策目的に沿って適切に使われているか確認できるように、今後の大学への支援額の決定等も含め、資金の貸し手である財務省も関与すべきではないかというご指摘がございました。今後検討していく予定でございます。

さらに、大学の自立を促す観点から、寄附金の拡充、あるいは大学債の発行など、自己収入の増加を促す仕組みとすべきではないかでございますが、これにつきましては、大学への支援の基本的考え方は、現在、内閣府、CSTIの専門調査会で、以下のような方向で検討されているところでございます。

ポイントは2つございますが、まず、大学ファンドは、世界と伍する研究大学が持つ知の適切な価値づけから、大学発ベンチャー、卒業生を含む関係者からの寄附、さらには、大学独自のファンドの拡充などを通じて、新しい資金の流れを生み出す。そして、その資金を新たな学問分野や若手研究者など、長期的視野に立って、次代の知の創出につながる研究基盤へ再投資されるといった好循環サイクルを生み出すための先行投資となることが期待される、これが1点目でございます。

もう一つは、大学ファンドから大学への支援は、外部資金の獲得実績などに応じ、マッチングファンド的に決定すべきという考え方でございます。

こうした方向で検討しているわけでございますが、この調査会の最終まとめは来年1月めどとされておりまして、ここで示されることになると考えてございます。

次、18ページをご覧いただければと思います。次は、大学ファンドの自立、JSTによる資金の自己調達努力でございます。支援対象となる大学のファンドへの資金拠出、あるいはそのインセンティブでございますが、参画大学によるファンドへの資金拠出の在り方については、参画大学における自己収入の確実な増加、そしてファンドへの資金拠出を慫慂する仕組みとするようなことを、どのようなインセンティブが可能かということも含めて、今検討しているところでございます。

次の丸でございますが、国の資金の活用が時限的であることを踏まえれば、例えば、運用益により利益剰余金が拡大した場合には、財融資金の早期繰上償還も検討すべきというご指摘でございます。

これにつきましては、先ほどご説明ありましたが、大学ファンドの政策目的や運用に支障がない場合、必要に応じ、早期に財融資金の繰上償還を行う旨、借用証書等に記載予定でございまして、詳細は調整中でございます。

さらに、JSTは資金の自己調達、JST債の発行等を行うべきではないかにつきましても、JSTとしては、市場環境や運用状況を踏まえつつ、令和4年度中にJST債の発行を目指すこととしております。

次、19ページをお願いいたします。将来的な各大学における大学固有基金の運営、出口政策でございますが、具体的にどのような基金を組成、体制整備、ノウハウ蓄積を行うのかでございます。各大学において、独自基金の積立てが長期にわたって可能となるように、国立大学法人法における積立金の特例などの制度改正を現在検討中でございます。詳細は、内閣府、CSTIの調査会及び文部科学省の検討会議において議論中でございます。これらの内容、具体的な制度改正事項については、専門調査会の最終取りまとめ、来年1月めどでございます、これに集約される予定でございます。

さらに、人材育成の部分については、JSTにおいて、長期運用に係る人材育成のための施策、OJTプログラムでありますとか、あるいは戦略的な人事ローテーション等を行って、各大学の人材育成にも、しっかりと協力していく、こうしたところを予定しております。

次、20ページでございます。参画大学の要件・大学改革でございますが、具体的な要件はどのようなものか、どのように決めるのか、大学改革の制度設計というところでございますが、これにつきましては、以下のような点、要件が期待される数大学に対して、研究大学の機能強化、若手研究者の育成、優秀な博士学生の輩出、新たな学問領域の創出などの活動にファンドから支援を行うということを検討してございます。

要件について1つ目は、我が国の研究力の飛躍的な増大、あるいは次代の社会構造への変革につながる研究上の土壌(ポテンシャル)を有し、それを活用して次代の知の創出へとつながる好循環サイクルを生み出すことができるかどうかというところ。それから、この好循環サイクルを構築するために、事業成長を実現する方策、あるいはそれを可能とするガバナンス(合議体による意思決定機関)を備えることができるかというところでございます。

これらに関する関連法案について、次期通常国会への提出を目指して検討を進めているところで、支援は、令和6年度以降、支援開始を予定しているというところでございます。

21ページをご覧いただければと思います。参画大学の要件・大学改革の続きでございますけれども、参画大学に年3%の事業成長を求めるということで、具体的にどう実現するのかということでございますが、大学ファンドからの支援と大学における外部資金獲得額のマッチングを行うことで、大学に外部資金獲得、それによる自立的成長というものを求めていくということを検討してございます。

さらに、参画大学において、ガバニングボードが3%成長の責任主体であると。法人の長が3%成長の総括責任者ということですが、どのような責任が生じるのかというところでございます。ガバニングボードは、ご指摘のとおり、3%成長あるいは事業戦略立案の決定について責任を負います。法人の長はその執行の責任者ということでございます。その責任の在り方については、大学種別によっても異なることが想定されますが、3%成長の未達が一定期間続く場合には、政府による特定研究大学の指定の取消し、あるいは大学ファンドによる支援の打切りなどが想定される。そういった原因を踏まえた責任を負うことになるというふうに考えています。

最後に、22ページと23ページは、今申し上げました好循環の流れをどのように生み出すかと、大学固有の知的アセット、知、資金、人材をどのように経営資源に転換していくか、それとの関係で社会との対話をどのように行うか、それを実現する体制、開かれた経営体制としてガバニングボードがあり、また、内部の組織も整備されていくということが示されております。

最後、23ページは、大学の成長、あるいは大学の公共的価値の拡大のためのドライバーとなる主な要素を図にしておりますが、こちらももうご説明した内容でございますので、説明は省略させていただきます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見やご質問などをいただければと思います。

それでは、川村委員、お願いいたします。

〔川村委員〕ありがとうございます。大変詳細なご説明いただきまして、感謝します。

一方で、昨年の今頃から当分科会では、何回このファンドを取り上げてきたか。それだけ当分科会としては、なかなかに不安を持ってきているという案件であるということは共通理解としてあると思います。ただ一方で、明確な政策決定がなされて実行に移されている以上、いいものをつくらなきゃいけない。そういう視点で、幾つか意見と質問をさせていただきたいと思います。

ただいまのご説明で、前回以前にいろいろ質問させていただいたことをしっかり受け止めていただいて、これは大変感謝いたします。その中で大きく疑問に思うところは、大学の自立と矛盾しないかと。例えば、マッチングファンドというのは、これはレバレッジの考え方で、要するに、大学ファンドに比べて個別の大学の資金というのは桁が何桁も小さい段階なので、例えば100億円集めても、極端な話、1,000億円取れるという可能性があるということで回していこうと、この考え方自体はよく分かります。

ただ、大学は甘えの構造を持っている教員と、非常に自立性の高い意識の教員と、結構違います。また、構造が企業と違って必ずしもバーティカルじゃない、どっちかというとフラットなので、なかなかそこの部分がきっちり大学の構成員に伝わるかというところは、いささか不安を持っておりますので、その辺は運用において、ぜひしっかりやっていただきたいというのが全体的です。

今の段階で質問というのは、具体的に運用するときにどうするかというところに入っていくと思うんですが、というのは間もなく運用が始まるわけですよね。7ページ、8ページなんかを見ますと、このファンド自体が平均的に4.38%以上のパフォーマンスを上げないと、コストを含めてですけども、難しいと。例えば、日本のGPIFとかこういうところは、大体パフォーマンスが海外の半分ぐらいですよね。ポートフォリオを見ると、日本のものはどうしてもリスクアバースになっている等、大学ファンドはある程度リスクを取りながらリターンを求めていかないとこれは難しいと思うので、そこはしっかりやっていただきたいと思うんです。

その場合に大きく投資の体制として、インハウスの体制がどうなっているのかということと外部委託がどうなのかという、2つのポイントがあると思います。法律上の規定があるので、インハウスでは、どうしてもフィックスト・インカムというか、ソブリンというか、かなり安全確実なものにやらざるを得ない。そうすると現状で考えて、リターンといってもせいぜい1%とか2%しか出ないわけですよね。そうなると、どうしても外部委託の部分で、結構アグレッシブな投資をしなきゃいけないということになると思います。

そこで、まず、インハウスの体制は整っていますか、現状はどうですかということが質問1で、2番目、より重要なのは、外部委託をする場合の外部のアセットマネジメント会社というか、こういうところの募集体制、例えばビューティーコンテストをいつ実施するとか、過去のトラックレコードがどうだとか、そういうことはどうなっている、そのプロセスは現在どうなっているでしょうかということと、もう一つ、特にこれだけのリターンを求めると国内ものは無理ですから、為替リスクを含めた海外のリターンというものを相当考えなきゃいけない。

そうすると金融商品取引法(金商法)上、必ずしも日本で登録を受けている外資のアセットマネジメント会社でなくても、逆に言うと、日本にそういうフットがなくても非常に高いパフォーマンスを上げているアセットマネージャーなんかもたくさんいると思うんですが、現行法だと多分、日本で金商法の登録をしている業者じゃないと、単純には外部委託できないのかなと。その辺の工夫はどうなっているんだろうかという、主として運用の面について伺いたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。後でまとめてお答えいただければと思います。

次、林田委員、お願いします。

〔林田委員〕ありがとうございます。ご説明、ありがとうございました。

これまでも発言したんですけれども、私自身は、大学ファンド自体の意義については十分認めているつもりですし、大学の研究力を高めて、ぜひ日本の生産性、技術力、開発力を高め、日本経済の発展、日本社会の発展につなげてほしいと切に願っています。

ただ一方で、このファンドの原資として財投がふさわしいのか。要するに、国民に必ず返さなければならない借金を充てていいのかという点については、まだ納得していません。川村委員は、もう制度ができてしまったというお話をしました。もう前年度に出しちゃったんだからもういいじゃないという考え方もあると思います。ただ、今回問題になっているのは、前年度よりさらに多額の財投を追い貸しするかどうかということでありまして、この点の是非については、当分科会としてもきっちりとした意思を示す必要があると私は思っています。

というのも、池尾分科会長は、反対論が多い中で、「皆さんの意見をもって当分科会の意見とします」というふうに締めくくられました。要は、反対論は多いですよということで言ったのですが、当時の事務局は、その財投計画をそのまま国会へ出し、それが成立し、骨太にも書かれ、どんどん既成事実が積み重なって、要するに我々の意思はスルーされてしまったわけです。ですから、今回なあなあで、私たちは実は反対なんだけどなあということでこのまま通してしまえば同じことになると。同じ轍は、私としては踏みたくないなと思っています。

それで、中身についてですけれども、資料2-2の5ページに事業収入3%以上、じゃ、実際今の日本はどうなのかと次の6ページをめくると、1%に満たないところがずらりとある。本当にできるのかねということが1つ。

それからもう一つは、17ページにも書いてありましたが、マッチングファンド的なものにしたいということは、要するに外部資金の獲得の実績などが上がらないところは支援が減りますよと、大した支援は受けられませんよというようにも読めると。そうすると、支援を受けたければ、研究ではなくて外部資金の獲得を頑張りなさい。これは、インセンティブを設ける場合に、本来の目的は研究力を高めることなんだから、研究成果をもってしてインセンティブにするのが本来の姿であるはずなのに、外部に資金を求めることが目的になる。これは研究力を高めることと整合的なのかというのは、私ちょっと疑問があります。

今日、新聞で、京大のiPS細胞研究所の山中伸弥先生が、所長を3月で辞めるとおっしゃいました。それはなぜかというと、やはり研究所長ということになると、外部との付き合いもある、研究資金を得るためにいろいろな雑務をこなさなきゃいけないと。自分の研究者としての旬をこんなものに使いたくないと、本当に研究に打ち込みたいということで決断されたわけです。

ですから、研究をする大学というのは、やはり研究を主にやらなきゃいけない。それを外部資金を獲得しなきゃ支援は多く得られませんという立てつけは、私は、これは大学ファンド本来の目的から逸れていってしまっているのではないかと。要するに、借りたお金でやるから、おまえらも少し頑張れという論理は分かりますけれども、それを追求していくと大学ファンド本来の目的から逸れていく。要するに、土台が狂っているので、上に建てた建物の寸法が狂うということではないのかと私は思っているので、ここは非常に危惧しています。

それから、11ページに戻って、これはいろいろモニタリングのことが書いてあります。きっちりやっているようにも見えますが、資産運用のプロがここにいっぱいいらっしゃいますので私が言うことでもないのですが、資産運用というのはこういうのんびりした話ではありません。月次で運用リスク委員会に報告すると。これはきっちりやっているようだけれども、例えばリーマンショックのようなときは、それこそ1分1秒1時間ごとに報告しなきゃいけないでしょうし、特に波風の立たないときは1年に1回で全然構わないと思うんです。ですから、運用の状況というものをいつでも運用リスク委員会で見られるようにして、問題があれば報告を求めるぐらいのことをしなければ、私は、このガバナンスは効かないのではないかと思っています。定時で報告させるというのは、資産運用は動くときには動くという実態にマッチングしてないような気がします。

それから15ページ。ここには、要するに最初に利益が出たときのフローが書いてあります。じゃあ、まず損失が出た場合にはどういうフローになるのか、ご説明をいただきたいということです。

そんなところですかね。私、この分科会に入って十数年たちますけれども、要求官庁が我々の言うことにいろいろと反論してくるのは分かるんですけれども、今回は何か私たちの素朴な疑問、根源的な違和感を、財務省が要求官庁側に立って説明しているようにも感じていて、財務省からも完全にスルーされているような気がしているのは、私はとても残念で、寂しく悲しい思いをしています。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

それでは、冨田委員、お願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。

私は、今日は償還確実性に絞ってご質問させていただきたいと思います。それはなぜかと申しますと、金融商品として投資信託というのがあるんですけれども、中身はこの大学ファンドと同じようなものがたくさんあるんです。損が出たときは、投資家の自己責任です。これは、損が出たときにどうなるのかということは、やはり事前に納税者、国民に分かっておいていただく必要があるということなんです。

先ほど事業見直しを行うという、極めて抽象的で、中身がよく分からないことでご説明いただいたのですが、それを詳しくお聞きしたいということでございます。それの前に幾つかお聞きしたいことがあるので、お伺いしたいと思います。

まず、財務省の資料2-1の5ページでございます。5ページの一番下、参考の一番下ですが、財政融資資金は大学支援のために取り崩さず、順次償還とあります。これはだから、ペイアウトはこういう考え方でやるんですよということが明示してあって、これはもう当然我々は、前提として議論しているということでよろしいかどうか。

お聞きしたいことは、運用の損が発生したときのことです。これについて、今日お伺いした中で、財務省の資料の11ページの2つ目の丸、償還原資となる元本を毀損させずに、大学への支出は全て運用益から賄うこととなっている中、財政融資資金を確実に償還するためには、下方リスクに備え、自己資本が必要ではないか、ここで言っていることは、償還を確実にするために、相応の自己資本が必要と言っております。

対しまして、今日お伺いした資料2-2の2ページ、2つ目の丸、「政府出資金は事業の基礎的財産/リスクバッファーの性格」、これは意味がよく分からないので詳しくご説明いただきたいのですけれども、運用当初の自己資本比率11.1%は、支出目標、すなわちペイアウトの目標に対応した最小限の比率。だから融資元である理財局と、それから使う側というか、内外の株式市場で運用する側とは違ったことを言っているのです。これがまず、どっちなのかということをお答えいただきたいというのが次の質問です。

それから、次は、16ページのバランスシートです。もちろんJSTのほうの資料ですけれども、まず、バランスシートの前に、P/Lを作るときに、利払費をどういう前提で計算されるのか。これは5年の変動金利でお借りになるわけですよね。決して今のような低い金利でずっと行くわけじゃなしに、運用の前提とされているような、消費者物価で言えば、何回も聞いたからよく覚えてしまうのだけれども、1.38%。ただ、CPIが1.38%のときに5年フローといったらどれぐらいの金利になっているかなんです。そういうことは当然前提にされて試算されるものだと思いますが、それがそういう想定になっているのかどうかです。

それから、損失の発生との関係で、このページの右側のほうですけれども、ここでの事例というのは、当期末処理損失が1,000億円ですけれども、これがもっと大きくて、資本剰余金よりも大きく、さらに積立金を合計したものよりも大きく、さらには出資金が1兆1,000億円も毀損しちゃったという場合だってあり得るわけですよ。そういう場合にどうするのかといったことが、たった1行しか今日はなかったんですね、事業を見直しすると。それは一体、具体的に何なのかと、国民の自己責任で済む話ではないと思うんです。これだけ政府を挙げて検討し、今回の政策の重要な課題として上がっているもので、極めて重要なテーマなわけです。だからこそ私は、今言ったような基本的なところを聞きたいわけです。

さらに、先ほども議論があった11ページのモニタリングなんですけれども、通常、財投の場合、官民ファンドも含めて、モニタリングは融資先の状況を見るわけですよ。それが好ましくないときには、官民ファンドであれば、ハンズオンという形で経営にまで注文をつけるわけです。ところが、今回のこのファンドというのは、財投として極めて異例であって、世界経済に対して投資しているわけですね、日本も含めて。内外の株式市場、内外の債券市場、それをモニタリングするといったって、ハンズオンもできなければ何もないわけです。だから、全くほかの財投とは違うという認識を持つ必要があるのではないかと思うんです。

だから、私は賛成とか反対とか言っているのではなしに、きっちりと国民に説明して分かってもらえれば、これは極めて大事な、これからの我が国にとって、特定大学においてこれからノーベル賞を受賞するような方々が輩出される。これは国民の夢である。そういう夢であるからこそ、今私の言った極めて初歩的な、基本的な質問に対して明確にお答えいただきたいということでございます。

〔翁分科会長〕もう一人、皆さん、ご質問あるんですが、渡部賢一さんにご質問いただいたところで、一旦またお答えいただきたいと思います。お願いいたします。

〔渡部委員〕政策目的に対して、大学ファンドというのが手段として適切であるかどうかとか、したがって大学ファンドがあるとすれば、財投上の償還確実性というか、毀損のないようにしっかり運営してほしいというテーマはもう話されていますので、質問を1点だけ、資料2-2の21ページです。21ページに、参画大学に年3%の事業成長を求める。ガバニングボードなり法人の長が責任主体なり総括責任者である。駄目だった場合はペナルティーが、特定研究大学の指定の取消しとか、大学ファンドの支援打切りというペナルティーは書かれています。逆に、経営の権限は強化されるのかどうかお聞きしたい。

法人の長なのかガバニングボードなのかよく分からないのですけれども、来年1月の云々を待ってということじゃなくて、腹だけ切れというのだけは決まっています、あとは駄目でしたから大学ファンドの支援も打ち切るよ、ポスドクか何かの人への支援も打ち切るということになっちゃうのか、その辺同時に経営者というか、法人の長に対してはしっかり事業成長3%、あるいはそれ以上狙えるような仕組み、経営権限を持たせることができるのかどうかについてお伺いできればと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕それでは、今までのところでご質問について、ご回答をお願いいたします。

〔科学技術振興機構喜田運用業務担当理事〕ありがとうございます。JSTの運用担当理事であります喜田でございます。

まず、JSTの運用に関する部分、それから林田委員からのモニタリングに関する部分のご質問がありましたので、当機構に関連するものから先にお答えいたします。

私のほうからは、川村委員からいただきましたインハウスの体制ですが、先ほどの外部委託のお話ありましたけれども、外部委託には2つありまして、一つは事務の外部委託をするということ、それから運用そのものの外部委託をするということがございます。

このインハウスの状況というのは、運用は自分でやって事務は外部委託する、資産管理機関に任せるということになります。

体制が今できているかというのに関しましては、まずインハウスについては、当初の方針としましては、先ほど川村委員がおっしゃったとおり、国債をインハウスでやろうと思っています。これは流動性の確保、それからポートフォリオのコントロールということでして、事務は今、公募で資産管理機関、つまり事務の外部委託の受け手について公募していまして、近々内容を決定したいと思っております。

それから今度、運用の外部委託、こちらがいわゆる運用マネージャーにリスクを取ってもらいますので、ここの巧拙というのを見極めないといけないというのはご指摘のとおりですが、まずは、今はパッシブ運用、つまりインデックスの運用をしてもらう運用会社、ここではいわゆるアクティブなリスクは取らない運用会社について公募をしていまして、ここから体制に応じてアルファを取るアクティブマネージャーを運用会社、これはJSTの体制ですが、人を見る見極めの力、それから評価する力というのを確認しながらやっていくと。そういうのが確認できてからアクティブは取りに行くということでございます。

それから、3点目につきましては、おっしゃるとおり、海外の優秀なマネージャーにアクセスしたいと思っていますが、金商法上の登録機関を組み入れる必要があるというのはご指摘のとおりです。ですので、基本的には金商法上の登録機関へという方に公募いただいて、その方々が海外のマネージャーに再委託するなり、いわゆる協業、連携してやる形というのを基本として想定しております。

為替リスクにつきましてもお話ありましたが、これはグローバルの投資で、外貨資産がほかの年金基金さんよりも大きくなる可能性というのは十分ございますので、そこにつきましてのコントロールは極力自分たちでやっていきたいというふうに思っております。これが運用に関してです。

モニタリングにつきましては、甲田のほうからご説明申し上げます。

〔科学技術振興機構甲田理事〕モニタリングにつきましては、林田委員からのご質問につきまして、おっしゃるとおり、モニタリングは定時のみでは駄目ではないかと。問題があればリアルタイムでやるためにやるべきというのはおっしゃるとおりでございます。少し資料の書きぶりが足りなかったところがございますけれども、もちろん市場が激変しているときには、リアルタイムで対応したいというふうに考えております。

委員会につきましても、随時開催、それからモニタリング自体の頻度をより上げていくということは当然考えてございます。

以上でございます。

〔内閣府合田大臣官房審議官〕内閣府でございます。

川村委員から、今回の仕組みと大学の自立性の関係、それから林田委員から、3%成長について、研究ではなく稼げということは根本的に間違っているのではないかというご指摘をいただきました。内閣府のCSTI、総合科学技術・イノベーション会議の議論を少しご紹介申し上げたいと思っております。

基本的に議論の根底にございますは、我が国の学術研究の水準に関する危機感でございます。Web of ScienceですとかScopusのトップ10%論文の分野ごとの内外の研究大学の状況のランキングを、上位から暖色、寒色で色分けをいたしますと、欧米や中国の大学は真っ赤で、我が国の大学は真っ青という状況になります。

これは、我が国の論文生産性が必ずしも落ちているということではなくて、アメリカや中国の飛躍的な論文生産性の向上による相対的なものでございます。その背景には、これらの大学の大幅な財政規模の拡大があり、東大は現在、スタンフォード大学の3分の1から4分の1の規模になってございます。

私のほうも、当然のことではございますが、国立大学の運営費交付金、それから私学助成、それから科研費などは、かつての1,500億円の規模から現在2,300億円の規模になってございまして、これらの支援というのはしっかりと引き続きやっていきたいと思っておりますが、その現状を超えて世界に伍する研究大学にふさわしい大学として、新規の研究ですとか、あるいは必ずしも直ちに社会的価値に結びつかないが、知的アセットの拡大には不可欠な卓越した分野の基盤形成、あるいは卓越した研究者の海外からの招聘、実力ある若手の研究環境整備や海外への他流試合といったものを、大学自身の判断と戦略で展開するには、財政規模の拡大と大学独自基金が必須だというふうに考えてございます。

だからこそ3%成長と独自基金の拡大が必要だというふうに申し上げたわけでございますが、この数字は世界の研究大学との相場感だけではなくて、我が国の研究大学のここ15年の年平均の自己収入増でございますが、寄附金が5.9%増、民間・産学連携収入が12.1%、その他収入が8.7%という状況を踏まえたものでございます。

もちろん、継続的に3%成長しつつ、大学独自基金を拡大するための自己収入の増は容易なことではございません。ファンドレイジング担当部署の設置あるいは強化、それからこれは財務省にもお願いをさせていただいた寄附金の繰越控除ですとか、あるいはプランド・ギビングをお認めいただくこと。あるいはご案内のとおり、ダイキン、ソフトバンク、中外製薬と東大、阪大などとの10年間で100億円あるいは200億円といったような価値創造型の産学連携、スタートアップ収入の確保といったものを行う必要があるというふうに考えてございます。

例えば、東大のAI研究の松尾豊先生は、コンサルのように民間企業との共同研究や委託につきましても、固定費の上乗せ、それから即時性の価値、つまり企業としては人材採用からする必要はない、多様な組合せの価値というものをプライシングすべきというふうに言っておりまして、私どもは、このような体制をつくることが、むしろ研究者の時間の劣化を防ぎ、若手研究者などが新規性の高い研究に、先ほど申し上げたように、存分に取り組める環境になるというふうに考えているところでございます。

それに関連して、ガバナンス、法人の長やガバニングボードの強化については、文部科学省のほうからご説明申し上げます。

〔文部科学省坂本審議官〕文部科学省でございます。

ガバナンスについては非常に重要なご指摘で、ガバニングボードあるいは法人の長がどのような権限を持っているのかというところ、これは法的な詰めも行っておりますけれども、基本的な考えとしましては、22ページ、先ほど説明を省略させていただきましたけれども、この図をご覧いただきますと、先ほど申し上げましたように、大学の知的アセットをいかに経営資源に転換していくかということ、これは決して我々は、大学の学問と、それから資金獲得というのは常に対立するものではないと考えています。特に実学の世界、工学、医学、農学、そういったものは社会的な価値を生み出して、かつ学問も発展していくというところ、それが非常に今重要になっているということがございます。欧米の主要大学は、そういったことを積極的に進めていると。

さらには、そういったものが具体的に大学発ベンチャーとか共同研究という形で、資金流動を起こすような動きにもなっていくという流れをつくっている、それを組織としてつくっていると。日本でも、例えば大阪大学共同研究講座という、民間資金主体で、民間から教授の方を呼び込んで、どんどん大学の学問を成長させるということを今もう実践をしております。ほかの大学もそれをどんどん今、取り入れておりますけれども。

そういった形で、さらには卒業生を含めた関係者からも、大学の公共的価値を高めるために寄附をしていただくということ。これも要は大学を成長させる、それが社会の発展につながるエコシステムというものを、大学の周りにある関係者、ステークホルダーを総動員して、そういうエコシステムをつくっていくという、そういったものにこの助成金は使われるべきだと。

そのエコシステム形成のコミットメントをする総括責任者は法人の長であり、そのコミットメントが妥当であると。それを実際に社会に対して説明をし、実践を、ある意味バックアップしていくのがガバニングボードであると我々は考えておりまして、そこの、はっきり言うと、権限も重いですが、責任も非常に重いものというふうに考えております。そこのコミットメントが達成されない見込みになってきたときに、このファンドは助成打切り等々のことが考えられるというふうな立てつけになっているということをご説明申し上げたいと思います。

冨田委員のほうから、国民のサイエンスに対する夢、これは今のような大学のエコシステムというものができて、自立的に成長できるような形にするということの先に、新しい学問分野をどんどん開拓していく若手が育っていくというふうに我々は考えておりまして、そういったエコシステム形成のメカニズムというものが、今、欧米との関係では、残念ながら、その形成の取組が遅れていると。そこをぜひ加速させていただきたいという考え方でやっているというところでございます。

〔林田委員〕すみません、私の発言を全く、ちょっと趣旨を取り違えていらっしゃるような気がするので。

私は別に、大学が外部資金を得たり、民間と協力して協調して研究力を高めるためにお金を得たりするということは、それはあっていいと思います。非常にいいことだと思います。ただ、それと大学ファンドの支援を受けられるかどうかをリンケージさせて、あるいはペナルティーの一つの要素、それができなければペナルティーだぞと、支援はしないぞというのは、ちょっと違うのではないかということを申し上げているだけです。

だから要するに、そっちはそっちでしっかりやっていただければ結構。だけれども、大学ファンドというのは、研究力を高めるためにやるものなのだから、その支援は支援として研究力アップに資する。大学の自助努力も研究力アップに資する。それは両方やればいいだけであって、それをなぜリンケージさせて脅しをかける必要があるかというところを申し上げたかったわけです。

〔翁分科会長〕冨田委員のご質問にはまだお答えいただいてないですね。それをお答えいただいてからでよろしいですか、冨田委員。

〔冨田委員〕はい。

〔文部科学省奥野振興企画課長〕振興企画課長の奥野でございます。各委員の皆様からいただいたご質問の中で、会計・財務処理に関する部分に関してまとめてお答え申し上げたいと思います。

ご質問にございましたとおり、理財局の事務方の説明と文部科学省側との説明との整合性に関して、及び損益等の処理の考え方等に関して、様々なご質問をいただいたところです。

まず、理財局のご説明と私どものご説明の基本的なポイントといたしましては、今回の大学ファンドにおいて、大学等に支出される金額が、財政融資で借り入れた元本を使用するのではなく、運用における運用益、つまり損益処理から出てきた利益剰余のみを支援の原資とする。それが私どもの資料でございましたら、15ページに記載されているところでございます。

したがいまして、運用の規律といたしましては、利益剰余のみを支援の原資とするということは、財政融資資金等で借り入れた元本が支出されることが、システムとしては排除されていく。そういった観点で、償還確実性のベースとなる元本に関して毀損しないという構造が組み込まれている。そういう説明におきまして、理財局の事務方の関口課長からご説明いただいた内容と、私どものご説明した15ページの内容というのが整合しているところでございます。

ただ一方で、委員の先生の皆様からいただいてございますとおり、損益処理で出ていたP/Lの剰余というのが出ていなかったときにどうするのかという観点のご疑問と、あとは、仮に支出に至らなかったといたしましても、B/Sのベース等において、資産の価値等が減少する点に関してのご懸念等を背景にしたご質問、ご懸念いただいておるものだと考えてございます。

まず、1点目でございます。まずそもそも、それではP/Lのベースにおいて利益剰余がなかった場合の考え方。これにつきましては、今回の損益処理の仕組みといたしましては、利益剰余がなかった時点においては、当然、大学等に対する配分の利益剰余というのがございませんので、配分を行うことができなくなります。

また、では、その損失はどのような形になるかといいますと、これは繰越しの欠損金という形で計上されまして、それが翌年度以降に十分その繰越し欠損金というのを、まずは埋めるに当たる利益剰余がなかった場合に関しては、大学への支出というのができなくなるという仕組みにおいて、この運用元本を担保する規律が機能するように考えておるところでございます。

ただ一方で、内閣府等からも指摘を受けておりますが、助成を受ける大学といたしましては、その金額というのが運用実績において大きく変動するという事態になると、助成を受ける側の予見可能性、事業計画等にも影響が出ることになります。したがって、15ページにございますとおり、ある特定の時期の運用益というのが足りなかった場合、もしくは支出できなかった場合に関して、過年度、それ以前の運用益を当面6,000億円、運用益が上がらない期間等が一定期間ある場合に関して、仮定として3,000億円を支出すると考えた場合には、2年の相当分等の運用益の不足に関しては、これは会計処理の特例といたしまして、資本剰余金の部に振り替えておくことで、短期において、当該年度に十分な運用益というのが得られなかった場合に関しては、その財源として取り崩せるようにという考え方、これが15ページの左の運用益が不足した場合に備えたバッファーという考え方でございます。

ただ基本は、こちらに書いてございますとおり、当期もしくは過年度の利益剰余のみを支出の対象とすることによりまして、この運用元本というものを事業の実施によって、助成によって毀損させないということが、この制度上担保されているという点でございます。その上でご質問にございました金利その他についてでございます。

そういった内容を含めまして、次に、16ページの大学ファンドの財務諸表のイメージをご覧ください。なお、この16ページに関しましては、ご指摘いただいたとおり、いわゆる財務諸表をかなり簡略化して論点を単純化して記載してございます。したがいまして、ご指摘のありました金利のほかに、運用を行うに当たりましては、先ほど喜田理事からご説明があったように、インハウスでやる場合には当然、職員の人件費、もしくは投資一任等で外部に委託する場合には委託経費等、これは今、仮定としては変動値として入れておりませんので、この16ページの表の中では、一応イメージにおいてはゼロとしてございますが、P/Lの中においては、当然これは費用、経費として算入されるものでございますので、当然当期の利益とまずは損益処理におきまして、当期の利益に対して費用としてそれをP/Lにおいて処理した上で、そこから出てきた内容が当期の利益・損失として出ます。

したがいまして、金利等につきましても、費用としてP/Lの中において措置して、当然その金利を上回るだけの当期の利益というのが出てこないと、大学等への配分はできなくなるというような形で考えておるところでございます。

その上で損失処理の表等を見ますと、一方で、そういった措置を行わない場合の資産等の時価等の毀損に関しては、この表においては2つの考え方がございます。

売買目的等で保有しております有価証券等におきましては、P/Lにおいて、有価証券評価損益等が出てまいりますので、ここが大きく減った場合にはここがマイナスがついてまいりますので、右の評価損発生時という観点で出てまいります。

また、売買目的ではない長期保有の資産に関しましては、B/Sの中におきまして、その他目的の有価証券の損益差分等が出ますので、ここでマイナスになった場合はマイナス等がついてくるという形になります。ただ、その他のほうに計上してしまいますと、先ほどご説明申し上げましたとおり、損益処理上に算入できませんので、ここは大学等の支出としては計上されないという形になろうかと思います。

〔冨田委員〕私が聞いたことに何も答えずに、書いてあることを言っているだけじゃないですか。

〔林田委員〕制度の仕組みはみんな大体分かっているわけですから。

〔冨田委員〕ちょっと言いますね。聞きたいことは、全ての剰余金も積立金も、これは自己資本がなくなったときにどうするんですか、事業の見直しとは何ですかということなんですよ。そのお答えが全然ないじゃないですか。

〔文部科学省奥野振興企画課長〕B/Sの中におきまして、ご指摘の質問の点に関しては、B/Sの資産の部の金額というのは、恐らく2点ございまして、自己資本というのを下回ったケースと、恐らくB/Sの中の借方にある金額というのが元本を下回った場合にどのように対応するかという観点のご質問に関してでございます。

〔翁分科会長〕端的にお願いします。

〔文部科学省奥野振興企画課長〕はい。こちらにつきましては、運用方法の見直し等というのがございます。当然、事象に応じてモニタリングされてくるわけでございますから、短期的にはB/Sの中において、元本を下回る資産になった場合については、運用方法の見直しについて、JSTの側から報告を受けた上で、文部科学大臣の責任によって、引き続きこの運用を継続した形で資産の回復のめどが立つものであるのか、もしくは実損という形で、それが回復不能な減損等に達しているのかに応じて運用を継続するか、もしくは運用方法をもう一度改めて実施するか等に関して、その都度状況に応じて判断することになりますが、恐らく実態に関しては多様な観点がございます。

ただ一方で、我々ご説明申し上げますとおり、その時点においては、必ずモニタリングの指標として文部科学省に対して説明が入り、財務省にもその旨適宜説明して、その都度、その方向の見直しの内容が妥当であるかどうかにつきましては、文部科学省の行政責任において責任を持って、我々が最も合理的だと考える運用方法を変えるか、運用を停止するか、もしくは資産の構成等に関して一定の変更が必要にあるかについては、その都度適切な対応をするという形で、現時点では申し上げるほかないと考えてございます。

〔冨田委員〕現時点で、今言われたのは、そうであるとしたって、私が聞いているのは一番基本的なことですよ。20年後からお金を返し始め、それで40年後にはちゃんと返さなきゃ駄目なんですよ、10兆円を。それが返らないときにはどうするんですか。返す途中で、当然返す努力をするということを今言われたわけですよ。それでも返らないときは、投資信託であれば自己責任になる。だけど、これは国民が、国会で決めてやることなんですよ。そうすると、それはどういう意味なのかということ。

それからもう一つ、理財局の資料と食い違いがないと言われたんだけども、さっき言いましたように、資料2-2の2ページというのは、11.1%の自己資本比率というのはペイアウトとの関係で書いてある。ところが、理財局のほうは、資料2-1の11ページの2番目の丸、これは財政融資資金を確実に償還するために、下方リスクに備えて相応の自己資本、11.1%分ですよ、これが必要ではないかという議論をしているわけです。だから、ペイアウトのために自己資本が必要だとあなた方は言っているんですよ。

だから、国民に返すのが優先なのか、お金を配ることが優先なのかという、基本的なことが僕は分からないから聞いているのに、そのお答えがないじゃない。書いてあることの説明ばっかりしている。

〔文部科学省坂本審議官〕すみません、元本を毀損しないというところは、まず、もう最も重要な点だというふうに、それを基本にして運用させていただくというところ、これは改めて確認させていただきたいと思います。

〔文部科学省奥野振興企画課長〕その上で、ペイアウトとの関係のご指摘でございますが、先ほどいただいたとおり、償還が始まる前から順次モニタリングを行ってございます。その中で、元本を毀損しないという観点からは、資産の変動等に関して直接元本を守るという観点で、自己資本の一定の厚みというのは合理的でございます。したがいまして、モニタリングしながら元本を安定的に把握している上で、償還確実性が必ず担保されているというのを常時確認していくという観点では、自己資本の厚みというのが償還確実性を担保する際の、先ほど言った様々な変動に関しての一つ有効な考え方であると考えております。したがいまして、償還確実性が担保できる資産があるかどうかというのを常時把握することというのは、もちろん最大限必要であるという点は、先ほど坂本が申し上げましたとおりでございます。

〔冨田委員〕確認ですが、2ページの左側の2つ目の黒ポツ、これは間違っているんですね。11.1%は、支出目標率3%に対応した最小限の比率。

〔内閣府合田大臣官房審議官〕恐縮でございます、内閣府でございますが、これは全体として、投資目標3%プラス1.38%で4.38%ということでございますが、当初、特に5年はその運用がなかなか難しいということで、運用については3%という目標で対応させていただきたいと思っておりまして、その際、ボラティリティー1σが11.0%ということでございますので、1.1兆円ということで、政府出資を1.1兆円積ませていただいたということで、財務省とも相談をさせていただいて、この数字を入れさせていただいているというものでございます。

〔冨田委員〕それはだけど、全然意味が違うのではないですか。

〔林田委員〕要するに、この自己資本のメルクマールは、ペイアウトをメルクマールにして決めているものなんですか。それとも、損失の発生可能性を考えて、財務の健全性を保つためにこの水準をやっているのか。今のご説明は、メルクマールがペイアウトですというふうに言っているのと同じに聞こえますけれども。

〔内閣府合田大臣官房審議官〕ですので、先ほど坂本から申し上げましたように、21年目からの償還確実性を確保するために、自己資本比率を、経済変動があったとしても償還可能性を毀損しないように高めていくということをやらせていただくというご説明を申し上げた次第でございます。

〔林田委員〕でも基準は、支出目標3%なんですね。それを基に11.1%は妥当だと今おっしゃっている。これの記述はちょっと違うのではないかという冨田委員のご指摘については、どういうふうにお答えになるんですか。

〔文部科学省奥野振興企画課長〕支出目標の3%に直接結びついているというわけではございませんで、支出目標の3%を達成するための運用を行ったときにおけるボラティリティーの幅というのが11%程度ございます。したがって、一方で、申し上げておりますとおり、償還確実性の担保の観点では、B/Sの中におきまして、元本というのが常時保全されているというのが一番モニタリングとして確実でございますので、したがってこの3%を達成するような形で投資を行っているときに、都度都度この財務諸表のB/Sに影響が出てくるボラティリティーというのが自己資本の範囲内に収まっていることでもって、常時B/Sの中において償還に必要な元本というのが担保されていることを保全していくという観点で合理的という形から、この11%というのを考えてございます。

〔川村委員〕端的に言えば、この6,000億円というのは国民のものですか、大学のものですかと聞いているのに。これはもう1回、この財投分科会を臨時で開いてもらえませんか。まだ質問もいっぱいあって、今の、僕が最初に信頼して申し上げたんだけど、答えぶりを見るとだんだん不安になってきて、絶対矛盾のままです。

〔翁分科会長〕すみません。それでは、ほかに質問したい委員、まだおりますので、まずそちらを優先させていただきます。

〔川村委員〕はい、もちろんです。

〔翁分科会長〕では、高田委員、お願いいたします。

〔高田委員〕どうもありがとうございました。ちょうど1年前にこの議論が始まったときからこういう議論だという、非常に感慨深いものがあるんですけれども、やはりこれまでとは異次元の感じになっているところなので、なかなか従来の議論の中で難しくなっているなというのは感じます。

当然のことながら、国費だから償還確実にという部分と、それから国のお金なので、リスク許容度が高くて、非常に長い時間をかけてリスクテイクができるという側面があるので、その両面のところのバランスをどう考えるのかなということではないかと私は思います。大学ファンドが重要な成長戦略の一つということになっている以上、これを機会に投資カルチャーとしてのメッセージをいかに出すことができるのかというところが、私は非常に重要なんじゃないかなというふうに思います。

償還確実性という観点からすると、私が前半のところで申し上げた緊急融資のほうがよっぽど償還確実性は難しいんじゃないかなというふうに思っていますので、それに比べれば、こちらのほうである程度、時間を味方にして、市場の中での一定の成長をと、投資対象に海外も含めてというようなことというのは、今後の日本の一つの在り方だと思います。そこの点をぜひ今回の大学ファンドという中で、研究というものも含めて、投資カルチャーをつくっていくのかというところが重要であります。またそのためにはいかに自由度の高い運用を実現できるかというような運用環境なり、もしくは制度設計というものをつけていくということがやはり重要なんだろうと思います。

ですから、そういう観点で申し上げますと、今回確かに大学を充実させるということは非常に重要ではあるんですけれども、このファンドというのは打ち出の小づちじゃございませんので、当然のことながら、一定のリスクは伴うということにもなるわけです。となりますと、そういう状況の中で確かに3%という長期の収益目標の数字は、私も妥当だと思っています。長期の収益目標は。しかしながら、これが独り歩きするということではなくて、確定の給付ということではなくて、いかに実績配当でというような状況の中で、ある程度のフレキシビリティーをつくるというようなことが重要になってまいりますので、それも含めた自由度の高い運用をいかに実現することができるのかというところが重要です。我々は、今回せっかくこれをつくる以上は、そういった点を今後もメッセージとして、立てていく必要があるんじゃないのかなというふうに思います。

それから、そういう観点で申し上げますと、当然のことながら、いずれ自己資金の調達というような大学債というものも必要になってくると私は思っております。しかしながら、まだトラックレコードがない中で、市場での調達をするというのは、運用の制約を非常に与えてしまう可能性というものもあります。従って、私はそこのところはあまり拙速にすることではなくて、いかにこの実績、安定的な運用体制が出来た段階で初めて大学債の発行を行う着実な対応が重要と考えています。

そういう意味では、先ほど喜田理事がおっしゃったように、当面のところは、インハウスのところは取りあえず国債で対応するにしても、一定の部分のところはインデックスの対応をしていくというような状況の中で、適切なモニタリングをしながら対応する。その辺の体制というんでしょうか、その辺は妥当だと思います。こういった点を見守りながら、いかにこれからの日本の重要なカルチャーとしての資産運用というようなことを、大学ファンドも含めて、大学の実際のところでも対応できるような、そういうような仕組みづくりというんでしょうか、こういうものをぜひ願いたいなというふうに思っています。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。

江川委員お願いします。

〔江川委員〕ありがとうございます。

日本の大学の研究力強化という目標と、財政投融資という手段のミスマッチに関しての問題意識は、ほかの委員と同意見です。償還されないのではないかという危惧もございますし、一方で矛盾を内包する政策によって大学が翻弄されて、かえって研究力が低下してしまうのではないかという危機感も持っています。ただ今回、大学ファンドに関して論点を整理するということなので、この政策を進める場合に、目的に照らして重要だと思うことを4点述べたいと思います。

1つ目は使途の柔軟性の確保です。

大学の基金の収入、運用益ですね、これは政府などから交付される研究費、補助金に比べると、使途に関しての制約が少ないので、研究者の裁量で自由に研究が進められるという利点があります。大学ファンドでは、償還確実性を確保するための仕組みを整えるのがとても重要ですが、一方、設計においては、資金使途に過度の制約を設けないようにして、資金の柔軟性というメリットを損なわないようにしていただきたいと思います。

2点目は、参画大学の目標と体制整備に関してです。

参画大学には年3%の長期収益目標を求めると伺っております。一定の自助努力を求める必要性は十分理解いたしますが、研究者が事業成長のための活動に忙殺されて、研究ができなくなるというようなことは避けなくてはいけないと思います。日本の大学は海外の大学に比べますと、アカデミックスタッフに対してサポートスタッフが少ないという課題があります。参画大学が自ら資金を集めて基金運用を行う、あるいは研究者をサポートして産学連携をさらに推進する、そういったことを行う人材を採用して育成する体制をつくることがとても重要な課題だと思います。

大変難しい課題ですが、周到な計画を練って、相当なリソースを投入する必要があると思います。ですから、ファンドをこのような人材の採用、体制整備にも使えるように是非していただきたいと思います。

3点目は、若手研究者の拡充です。

皆さんもご存じのように、法人化以降、国立大学で若手研究者のポストが激減して、研究力が大きく低下しているという現状を改革するというのは重要な課題です。これについては、文部科学省も、大学も、大きな問題意識を持って改革を進めていると理解しております。

ただ、とても重要な問題なので、これを確実なものにするように今回目標設定ができないものかと思います。例えば、任期つきでない若手研究者の数、比率など、適切な目標を検討していただければと思います。

最後、4点目は、多様性とアカデミック・インブリーディングへの対応ということです。

日本の大学の弱点は、多様性が足りないということです。女性研究者、あるいは外国人の研究者の比率が、海外の大学に比べて極めて低いです。それから、例えば東京大学の学部・大学院を卒業して東大の先生とか教授になる方が多いんですけれども、これはアカデミック・インブリーディングと言われて、学術研究にマイナスになるとされています。多様性がイノベーションの源だとされているので、これはとても重要な課題です。ハーバードなど海外の大学では、意図的に学部を出た人を別の大学の大学院に進学させたり、あるいは卒業生は、ほかの大学で実績を積んだ後でないと教員として採用しなかったり、そういったことをして多様な経歴の研究者を集めています。アカデミック・インブリーディングに関しては、中国、韓国などのトップ大学も対策を講じております。

ですから、今回、参画大学にそれぞれの大学の実情に即して、例えば多様性に関する目標を設定していただくのもいいのではないかと思います。それによって女性や外国人など、多様な研究者の登用が見込まれるということもありますし、海外や日本のほかの大学で優れた業績を上げた研究者が参画大学に転職する可能性も高まるので、ファンドのメリットが参画大学以外にも波及して、全体として効果を上げるということも見込まれると思います。

以上、4点申し上げました。ありがとうございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

それでは、中里委員、それで最後、土居委員、お願いします。

〔中里委員〕どうもありがとうございます。先ほどはクリアなご説明をありがとうございました。皆さんいろいろお立場がある中で大変なお仕事をされていて、これから申し上げるようなことをお伝えしたらちょっと心が痛むというか、胸が痛むんですけど、これが私のここでの仕事なのでお許しください。

金融教育というのが学校でも熱心になされていて、それは文科省さんがご担当と思いますが、金融教育というのは、どうやってリスクを取ってお金をもうけるかという話ではないんですよね。これは将来のイベントを考えながら、どうやって安定的に資産管理をするかという話だと思うんです。もし文科省さんの副読本などがそうなっていなかったら、即刻書き換えていただきたいんですけど、その点からするとこういうことです。

これからやろうとしていることは、簡単に言うと、100万円元手がある人が、900万円お金を借りてきて1,000万円にして、国内の並みいる年金基金さんよりもより高いリターンを得るように調整をすると、そういうことをされているわけで、そうすると当然、リスクは高くなります。今、為替が相当円安に振れている中で、これからまた外債とか外国の株式をたくさん買うということは、為替リスクも思い切りテイクするかもしれないということになるわけです。

そうすると、その下で将来、ここで目指しているようなものができるかどうかということになると、先ほどの説明資料の中に、国内の年金基金が3%台で基金が回っているとあるんですけれども、それは2010年から19年にかけて、日経平均株価が1万円から2万円になった局面のことなんですよ。今もし私たちが1989年の12月にいるとなると、その20年後ってかなり悲しい状態になっているはずです。そうすると、その場合も含めて考えないといけないと。

そうすると、これは何を申し上げているかというと、例えば私が投資信託でこの商品を買いましたと。そうしたら塩漬けになっちゃっても、「見通しが悪かったな、自分が悪かったな」でいいんですけど、これはお貸付なんですよね。融資なので20年たったら返済しないといけないお金なわけです。そのことをまずきちんと考えていただきたいんです。

その上で考えると、一つの方法というのは、資産サイドのところに安定的な満期の短い資産を持っていれば、それで2年なり3年なりつないでお返しいただければ、その間にいろんな調整ができるでしょうと。それはもちろん市況が回復するということだけじゃなくて、場合によっては、一般会計のところでやりくりをしてお金を作って、もしできなければ財政当局さんとご相談されて損失を補塡していただく、それでお返しいただくと。それが一つですよね。そうするとその調整がまず必要なんだと思うんです。

それからもう一つは、リスクをきちんと適切に取っていくということを考えていくのは大事なんですけれども、例えばその際に資産サイドのところに国債も持っていればいいわけですよね。GPIFさんは、過去、財投協力で年金資金の運用をしていたので、その経過もあって、途中まで国債をバランスシートの上で相当持っていたんですね。そこまではとは言わないんですけれども、20年間の後には返済が始まるわけなので何らかの形できちんと安全な資産を持つようなポートフォリオにしておけばいいと。その手があるんだと思うんです。

資料2-2の14ページのところに、「下方のリスクに備えた相応の自己資本として、大学への助成や支援バッファーとして計上した後の残余の額は、全て積立金として計上することを検討」と書いてあるんですが、これは発想が逆だと思います。つまり、何を申し上げるかというと、お貸付をしているので、きちんと融資のご返済をいただかないといけないわけですから、それをきちんと確保できる状態の下で、その残余をむしろ支援に回すというのが基本ではないかと。出資であればいいんですけども、融資なので、そこは基本として考えていただきたい部分です。

ここまでは長めの期間の話ですが、以下すごく短い期間の話を申し上げたいと思います。

この要求をもとにして資金をお渡ししたときに、恐らく信託銀行さんにお願いをして運用されると思うんですけど、そうすると今、信託銀行ってマイナス金利のところに日銀当座預金の残高が引っかかっちゃっているんですよね。ということはどういうことかというと、ここで10兆円お金が入ってくると、それは当然マイナス金利残高のところに入ることになるわけで、そうすると信託銀行さんとしても困るので、何らかの形でJSTさんに補塡をしてくださいよという話になると思うんです。

それは金額で計算すると、億円単位あるいは10億円単位になると思うんです。もちろんそれは他のところ、例えば交付税特会の借入金の入札をして運用すれば、そこで消えるのでいいんですけれども、マイナス金利残高に落っこちちゃうような可能性のあるお金を、どういう形で短期的に運用されるのか、あるいはそれについて信託銀行さんと、マイナス金利に関わる部分についてどういうお話をされているのかということについて、お話を伺っておきたいと思います。

以上です。どうもありがとうございました。

〔翁分科会長〕それでは最後、土居先生、お願いします。

〔土居委員〕まず、この論点に関するところで、私の意見を述べさせていただいた後で、大学ファンドの位置づけとして、大学を取り巻く環境及び大学改革との関連で意見を述べさせていただきたいと思います。

まず、論点に関連するところでは、資料2-2の17ページに書いてありますけれども、財務省も関与すべきではないかということについては、これは当然関与すべきであるということで、関与しないことはあり得ないというふうに思います。特に、財投分科会との関連で申しますと、残高機関になると、何かと議論の俎上に上らないことが多いんですが、これだけ巨額の資金を融資するということは前代未聞ですので、やはり残高機関になったとしても、毎年のようにモニターをする必要があるのではないかというふうに思います。

それからもう1点、同資料18ページですけれども、一番下のところですが、JST債の発行を行うべきということは、これは極めて重要だと思います。極端に言えば、JST債でどしどし賄っていただいた分を、財政融資を繰上償還していただくというぐらいの勢いでやっていただきたいと。もちろんこれは単に誰から借りるかという問題以前の問題というのもあって、やはりIR、投資家に対する説明責任、これも非常に重要な負債による規律づけになりますので、これは積極的に行う必要があるというふうに私は思います。

それで1点、論点とするところを申し上げました。

そこで、各委員から、様々に大学ファンドにまつわる問題点が挙げられていて、全く私も同感であります。私もずっと職業人生を大学人として生きてきた人間として、大学ファンドで大学を支援していただいているということなのかというと、非常に気持ち悪い仕組みであるということで、しかもそれは大学ファンドという話をし始めて初めて出てきたものではなくて、これまでの大学行政、ないしは政府と大学の関係というものが、一事が万事式に象徴しているというふうに思います。

そういう意味では、こちらにお越しいただいているので、CSTI、文科省には、ぜひともこういう点をきちんと襟を正していただきたいと。応援する意味で、襟を正していただきたいと。

どういうことかといいますと、もともと大学人というか、大学の研究者と文部科学省ないしCSTIの思惑とは全然一致してない。だけども、予算を分捕るときだけ同床異夢で、予算を増やせ増やせ、わっしょいわっしょいという形で、そこで同床異夢的に結合するという毎年のような悪態、これは大学人として私としても反省すべきだと思っているんですけれども、大学人が甘えている。そういうことがあって、もっとしっかりガバナンスを効かせていただきたいと。

大学改革についてご提案があって、それはそれとして私はいいと思うんですけれども、じゃあ、その実効性がどうなのかというと、林田委員もおっしゃったように、これまでの大学との関係ということで言うと、微妙に大学人の甘えを放置しておきながら、それでいて何かガバナンスを効かせているかのように、所管省庁としてコミットを微妙に下げているところがあるということかと思います。

国立大学法人制度というのは、イギリスのエージェンシー制度に倣ってできた仕組みであるわけですから、経済学の言葉で言うところのプリンシパル・エージェント関係というものをしっかり意識しなければいけない。つまり、国立大学法人の長は、文部科学大臣ないしは文部科学省との間でのプリンシパル・エージェント関係でなきゃいけないにもかかわらず、全然そういう雰囲気がないと。何で大学の自由を、自治を許してくれないんだと大学側からも突き上げられて、そこの部分で文科省も甘やかしている部分があるんじゃないか、大学をですね、大学をですよ。もっとしっかりプリンシパル・エージェント関係の下に国立大学法人制度というものをつくっているということであれば、しっかりプリンシパルとしてガバナンスを効かせないといけないと。

確かに大学の自治、学問の自由があるということは、私も大学人として承知しておりますけれども、それは制度の立てつけと。それが嫌なら別の仕組みの大学ないしは研究機関に研究者として移ればいいだけの話であって、国立大学にいたいということであれば、国立大学法人制度の下に、自らの職業人としての仕事をそこでするということにコミットするということを意味するわけですから、むしろもっとしっかり文科省は大学に対してガバナンスを効かせる必要があると。変に大学を甘やかしてはいけないというふうに思うわけです。

若手研究者になかなか国立大学法人化後、常勤の仕事、テニュアの仕事が少なくなっているという話がありますが、国立大学法人の中で、成果が上がらない研究者を冷遇しない悪平等があると、既得権が温存されていると。こういうようなことがあるから、若手研究者がしわ寄せを食っているだけの話であって、アメリカのように、ヨーロッパのようにということをCSTIからも上がっておりましたけれども、成果主義というものもやはり研究者の中にはあるわけで、それが日本では欧米に比べて徹底していない。そんな徹底しない状況でお金を幾らつぎ込んだところで、奇特な研究者がいればできるけれども、全体として底上げになるというようなことにはならないので、やはり大学内の改革というのは不可欠で、それを志向しておられるという点では、私はそれは応援したいと思いますけれども、じゃあ、その覚悟があるのかと。

ファンドを一つの契機として大学改革を断行するということの覚悟があるのかというところが、残念ながら今日のお話でも、いいとこ取りをしよう。大学は大学で、大学人の甘えをある程度認めてあげて、だけどもお金をつけてあげようという、そういうような面があるので、やはり研究者というのは非常に厳しい競争環境の中にいるわけで、だから切り続けられないと、なかなかその厳しい環境を克服できない。そういう面があるので、お金をつけるだけじゃなくて、しっかりと大学人が研究する、この厳しい環境に立ち向かっていく、そういうような規律づけをガバナンスを通じて与えてあげないといけないというふうに思います。

財投分科会から、償還確実性、償還確実性と言われているというような話を、大学ファンドをつくりながら全然助成をくれないじゃないかといって、大学人から批判されるなんてというようなことを、そっくりそのまま財務省にその声を向けてしまうなんていうようなことに決してならないようにしていただきたいと。大学人はお金が欲しいというのは、それは当たり前なわけで、お金はそれはただでくれるにこしたことはないわけですけど、そんなただでくれるわけはないということなので、やっぱりしっかりとガバナンスを、これはCSTIにとってもそうですけれども、文科省もガバナンスを効かせていただくというところが今後必要なのではないかと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。

大幅に超過してしまって、私の不手際で申し訳ありません。私も非常に大きな不安を持っておりますが、特に今日議論になったリスクバッファーはポートフォリオのリスクなのか、それとも3,000億円というのを毎年毎年出す上でのリスクバッファーなのかというのは重要なことで、高田委員もおっしゃいましたけれども、確定給付なのかどうなのか、特に初期の段階ですよね、そこのところが大変不安でございます。その辺りはもう少し明確に何かご説明を、また文書ででも結構ですので、いただければと思います。

やはり自己資本が積み上がるまでのところで3,000億円ありきでやっていくと、大きな問題が発生すると思いますし、あいにくの金融環境でこれから金利が上がってまいります。そういう意味でも非常に厳しいことではないかなというふうに思っています。

それから、もう一つだけ申し上げたいのは、いろんなリスク管理機関がありますけれども、そこについての説明責任を、法律にないとしても、モニターしていかなければいけませんので、その説明責任を果たすように、情報開示をしっかりして、どういうところへ、どういう指示をしているのかということが分かるような形にしていただきたいというふうに思っております。

それで、中里さんからご質問があって、30秒から1分ぐらいで信託のことをちょっとお答えいただけますでしょうか。

〔科学技術振興機構喜田運用業務担当理事〕JSTの喜田です。私のほうから簡単に。

今おっしゃるとおり、政策金利はマイナスですので、ここの部分で超過する部分はマイナス金利になります。当然ながら幾ばくかは現金も残しておきますので、マイナスの分も出るとは思いますが、極力それを防ぐような運用をしていくと、もうそれだけを申し上げておきます。

〔翁分科会長〕何かございますか。

〔冨田委員〕すみません、手短に申し上げますけれども、ご説明の中で16ページのところで、売買目的とその他目的を分ける話なんですけれども、これについて明確な基準があれば、それもご説明いただきたい。

それから、JST債についての考え方なんですけれども、これは直前に日本高速道路保有・債務返済機構についての議論のときに私申し上げたんですけれども、財投機関債ということの意味なんですよね。これは政府保証がつかないんです。もっと言うと、他の財投機関とここは全く違うんだということをご自覚いただきたい。資金運用なんですよ。資産管理というふうに言われた委員もおられますけれども、それは全然違うんですよ。融資対象について何かこういうふうに政策的に誘導するとか、そういうことはできないんですよ。もう天に唾するようなものです、世界経済に対して。だから、それは全くほかのところと違うので、やはり大学改革を徹底したものと結びつくようなものにいたしませんと、ほかにこんな例が出たらこれ、大変と言ったらおかしいですけれども、これは国の信用を失墜いたしますよ。国からお金を借りて資産運用すれば財政支出ができるんだ、そんな手品、僕は知らないですよ。だから、本当に覚悟が求められているということだと思います。

したがって、JSTさんについても、投資家がそういう資産運用のために借金するんだということになれば、他の財投機関、土居先生が言われたようなIR的な位置づけ、そういうもので発行できないですよ。だって、ヘッジファンドに金貸すということになるわけです。

そうすると、やはりJST債は何のためだということ、これは資料2-2の2ページ目、最初に出てくるので、最初のポツですが、順次、財投機関債を発行し、大学からの資金拠出の在り方を検討、これも何の意味か分からないので、具体的にきっちり書いていただかないと。だから、このページ、いろいろ書いてあるが、具体的なイメージが湧かないのですよ。したがって、きっちりとお書きいただいてと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕それでは、本日の質疑はこの辺りで終了したいと思います。今日回答のなかった事項とか、又は、改めてもう1回確認したい事項などについては、事務局のほうにお出しいただいて、それでご回答いただくということにさせていただきたいと思います。

それでは、本当に今日は多くの委員からいろいろな意見が出ましたので、ぜひ、覚悟というお言葉もありましたけれども、本当に借り入れをして株式に65%運用するということでやっていくというのは、相当なリスクであることはもう間違いがないわけですので、覚悟が問われていると思いますので、どうぞよろしくお答えをいただきたいと思います。

それでは、どうもありがとうございました。

(内閣府、文部科学省、科学技術振興機構退席)

〔翁分科会長〕すみません、委員の方だけちょっとだけ残っていただけますか。

今日は本当に超過してしまいまして。毎回毎回この大学ファンドは大変なんですけど。

基本的には、こういう形で議論するのは今回が一応最後というふうに今日まで思っておりました。今日、またいろいろな質問が出てお答えしきれなかった部分については今、回答を促していますので、お願いしたいと思っています。これだけ様々な意見が出ているので、ちゃんと記録に残しておきたいというふうに思いまして、去年の池尾先生と一緒で、異論も含めて、しっかりと何かまとめて、それでホームページに載せたらどうかというふうに思っています。名前は入れませんけれども。

そういう形のものを残しておけば、40年後にどういうことになっているかというようなときにまでしっかり、こういうことを初期に議論していたんだというのが残るようにしておいたほうがいいかなというふうに思っていて、統一的に何かまとめるということはなく、表紙(おもてがみ)ぐらいは書くかもしれませんが、皆さんのご意見をしっかり書いておいたらどうかなというふうに思っております。

それでまたちょっとやり取りはあるかもしれませんけれども、そういうことで取りまとめをするということではなく、皆さんの意見をしっかり書いておくというような形でちょっと文書を、四、五枚になるかもしれませんが、A4では三、四枚か四、五枚か、そんなイメージを持っていますが、そういうことでいかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

〔林田委員〕1つ気になるのは、そういう紙をまとめたときに、多分論点整理的なものになると思うんですが、それは論点を整理したものというふうに国民は受け止めなくて、何らかの財投分科会としての意思表示と受け止めると思うんです。この議論の前提が、事務局側は、この大学ファンド10兆円というものを前提に、それをうまく運用するためのことを話し合ってくださいという立てつけでやっている。ところが我々は、少なくとも私は、その前提に疑問がある。だから、事務局側の前提に立って議論をしているつもりは毛頭ないんです。

だから、事務局が作った文書が、いわゆる事務局側なりの前提に立ったもので作られていると、私もそれに乗っかっていろいろ意見を言っているということになってしまう。そこをすごく危惧していまして。あとは書きぶりの問題なので、そこは分科会長に信頼してお任せするということになると思うんですけれども。

〔翁分科会長〕分かりました。前提のところから、前提というか、まずそもそも論として違和感があるということも、お一人のご意見として、一人か何人か分かりませんけれども、ちゃんと意見の中に入るという形にしたいと思います。

〔林田委員〕あと、名前は別に出ても構いません。というのは、議事録になれば分かるわけですから。

〔翁分科会長〕ええ、もう分かります。だから、議事録を見れば分かるでしょという話なのかもしれないんです。

〔林田委員〕ただ、議事録は読まれませんから、そんなに。

〔翁分科会長〕ええ。だけども、一応こういう、これだけ何回も皆さんにご議論いただいて、ただ割と議論の幅がありました。ですので、何か統一的なものをまとめるというのは困難だと私は思っていて、皆さんのご趣旨が入るような形で今までのものをまとめてみて、それで皆さんに見ていただいて、ここだけはちょっと嫌だなとか、そういうのをご確認いただくという形でやってみたいと思います。

〔林田委員〕はい。じゃあ、仕上がりを見させていただいて。

〔翁分科会長〕はい。林田さんがご満足いただけるものになるかは分かりませんが、そういうものは残しておいたほうがいいんじゃないかと。

〔林田委員〕私もそう思います。もう別に名前を出せと言われれば、僕は別に、責任持って発言しているつもりなので構いませんし、顔が見えたほうが訴求力があると思うので、そこはお任せしますけれども。

〔翁分科会長〕そうですね。皆さんがどう思われるか分かりませんけれども、一応でも、もう議事録で皆さん出ますので、それはいいかなとは思っておりますけれども。

では、そういうことで、先ほどいろいろご議論されたところについては関口課長のほうでお引き取りいただいて、お返事待ちという部分もあるかと思いますが。

いかがでしょうか、それで。

(「異議なし」の声あり)

〔翁分科会長〕では、そういう形で。

それでは、本当にすみません、もう1時間オーバーしてしまいまして。また本日の議事内容につきましては、この後事務局より記者レクを行います。そして、議事録につきましては、委員の皆様にご了解いただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

本日はご多用のところ、どうもありがとうございました。

16時25分閉会