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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和3年11月22日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和3年11月22日(月)13:30~15:49
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.令和4年度財政投融資計画の編成上の論点

    • ①脱炭素社会実現のための機関

      質疑・応答

    • ②官民ファンド

      質疑・応答

  • 3.令和3年度財政投融資計画補正等

    (議案第1号)令和3年度財政投融資計画補正

    (議案第2号)令和3年度財政融資資金運用計画の一部変更

    (議案第3号)令和3年度の財政融資資金の融通条件の改定

    質疑・応答

  • 4.

配付資料

資料1 説明資料(脱炭素社会実現のための機関)
資料2-1 説明資料(官民ファンド)
資料2-2

投資計画等の進捗状況
(経済産業省、(株)海外需要開拓支援機構)

資料2-3

投資計画等の進捗状況
(国土交通省、(株)海外交通・都市開発事業支援機構)

資料2-4

投資計画等の進捗状況
(総務省、(株)海外通信・放送・郵便事業支援機構)

資料2-5

投資計画等の進捗状況
(農林水産省、(株)農林漁業成長産業化支援機構)

議案第1号 令和3年度財政投融資計画補正
議案第2号 令和3年度財政融資資金運用計画の一部変更
議案第3号 令和3年度の財政融資資金の融通条件の改定

議案関係説明資料

出席者

分科会長

百合

角田理財局長

大津理財局次長

石田総務課長

関口財政投融資総括課長

小林資金企画室長

笠原財政投融資企画官

米田管理課長

原田計画官

漆畑計画官

高田

土居丈朗

野村浩子

渡部賢一

渡辺

臨時委員

江川雅子

冨田俊基

林田晃雄

原田喜美枝

専門委員

工藤禎子

家森信善


13時30分開会

〔翁分科会長〕それでは、予定の時間となりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたします。

本日は、令和4年度財政投融資計画の編成上の論点、令和3年度財政投融資計画補正等をご審議いただきます。なお、時間が限られておりますので、ご質問、ご意見など、できるだけ簡潔にお願いできればと思います。

また、本日は事務局側において、業務の都合上、やむなく一時退席する場面がございますので、あらかじめご了承願います。

それでは、まず令和4年度財政投融資計画の編成上の論点についてご審議いただきます。原田計画官より、要求の概要及び編成上の論点の説明をお願いいたします。

〔原田計画官〕原田でございます。よろしくお願いいたします。資料1をご覧ください。脱炭素社会実現のための機関となってございます。今回の環境ファンドの要求についてご説明いたします。

3ページについて、国・地方脱炭素実現会議で決定されました地域脱炭素ロードマップに基づきまして、脱炭素事業に取り組む民間事業者等を支援するために、下の、左に掲げられている交付金と、それから右に掲げられている新しいファンドが、環境省から要求されてございます。

右側の脱炭素ファンドが今回の俎上に上がる点でございます。このファンドは全く新規というわけではなく、既存のエネルギー特別会計(エネ特)の地域脱炭素投資促進ファンド事業がございました。こちらで蓄積された経験を活かしつつ、産業投資(産投)を活用した新たなファンドとしての新ファンドが要求されているという次第でございます。旧ファンドと新ファンドの関係や両ファンドの収益性といった点を今後ご説明させていただきます。

6ページをご覧ください。この産投を活用した新しいファンドを設ける趣旨は大きく2つございまして、1つがカーボンニュートラルの実現、もう一つが脱炭素を契機とした地方創生の実現ということでございます。6ページは、カーボンニュートラルの実現についてでございます。

下の棒でございますけれども、幾つかのデータに基づく環境省の試算でございますけれども、左側、2050年、我が国でカーボンニュートラルを実現するためには、平均で年間約8兆円の規模の投資が必要ということで試算されてございます。一方で、5兆円、我が国におきまして現時点では年間こうした額が投資されているということで、単純計算で差引き3兆円、毎年兆円規模の追加投資が必要ということでございます。こちらに新ファンドが貢献していくということでございます。

7ページをご覧ください。こちらは地方創生ということでございまして、これまでも政府は地域における脱炭素化の取組を推進してきたところでございますけれども、先ほどのロードマップの中では、地域の魅力と質を向上させる地方創生に資する脱炭素という観点から、これに国全体で取り組み、政策を総動員していくと。そのための経路、3つ目の丸でございますけれども、2つございまして、1つは、少なくとも100か所の脱炭素先行地域におきまして、2025年までにどうやっていくかということを決め、30年度までに実行ということでございます。もう一つは、この100か所にとらわれず、全国で脱炭素の基盤となる重点対策、自家消費型太陽光でありますとか、資源循環高度化でありますとか、吸収源対策としての林業の持続性の向上でありますとか、こうした項目を全国で進めていくと。そして、ドミノ型に脱炭素を進めていくといったことでございます。

次に8ページをご覧ください。それでは、こうしたことを進めていく上で、エネ特から産投を活用することに切り替える趣旨ということでございますけれども、まず、現在のエネ特でございますが、左下にありますように、石油石炭税等を財源とするエネ特は、受益者負担の観点から、特別会計に関する法律に基づき、発電や熱発生等のための化石燃料の使用に伴うエネルギー起源CO2の排出抑制のための設備導入の補助、それから普及促進のためのモデル事業等を行うために用いるものと定められてございます。こうした中、こちらを産投に変えますと、右側でございますけれども、例えば①、②といったような非エネルギー起源CO2排出抑制に資する事業として、例えば工業プロセスの化学反応の利用とか、それから廃棄物の焼却等に由来するCO2の排出抑制、それから②のように、先ほど林という話もありましたけれども、CO2の吸収量を増大させる吸収源対策、こうしたことにつきましても俎上に上がってくる、新しいファンドが使えるようになってくるということでございます。

それから一番下のポチでございますけれども、エネ特からは、性質上、補助金ということですから、利用は新技術の純粋なモデル事業といったものに限られておりましたけれども、産投ですと、モデル事業よりも一段ビジネスの方向に進んだ、ただし民間単独ではハードルが高いといった事業に対してもファンドが活用できる。こちらに広がるということでございます。

次の9ページは、新ファンドが扱う事業のイメージでございます。4つありますけれども、まず①は、食品バイオマスの肥料・燃料等への循環利用とございますけれども、これは廃棄食品等を発酵させて、バイオガスを出しまして、発電、それから燃料・肥料を出して販売していくといった事業でございます。

②は、これはRE100企業が再生可能エネルギー(再エネ)の需要に対応して、こちらに売電していくということでございまして、敷地内外等に太陽光発電等を設置して売電していくといった事業でございます。

③は先ほどの森林ということですけれども、比較的、都会に近いような森林の保全をしていって、木材、バイオマス、それから場合によっては観光資源等を活用して収益を上げていくといった事業でございます。この①から③、いずれも設備投資は数十億円ぐらいと。こちらに対しまして、収入が年間5億から10億円といったイメージでございます。ですから、大体10年ぐらいで元が取れていくといったようなことがイメージされてございます。

それから、投資対象イメージ④でございますけれども、こちらはちょっと系統が違いまして、CCS(炭素固定)ということでございますけれども、発電所や廃棄物処理施設等の排出ガスからCO2を分離・回収、そして集めて地中に埋めるといった事業でございます。こちらも、水素やアンモニア等を製造する際にも必要な技術ということでございまして、CO2対策をしていくためには将来的に非常に重要な技術ということでございます。現在は、カーボンプライシングや埋蔵場所といったところ、幾つも課題があることから、直ちにこれが事業化というわけではないですけれども、長期的にはこのファンドにおきまして扱うべき先端的な事業ということになりますので、ご紹介させていただきました。

では12ページをご覧ください。それでは、あと2つ、今般の新ファンドでございますけれども、産投を利用していくということで、どれぐらいの収益性があるかということでございます。現行のエネ特のファンドがどれぐらいの収益性があったかということが非常に参考になるということで、こちらに掲載させていただきました。平成25年から稼働しておりまして、出資実績37件と、184億円の出資を行ったところでございますが、いずれの案件でも毀損は生じていないということでございます。それから9件がExitしており、その中で、22億円の出資に対して27億円の収入、差引き5億円の利益ということになってございまして、投資倍率は1.25ということでございます。この37件、184億円の出資に当てはめますと、これが230億円の収入、差引き46億円の利益ということになりますので、これを前提に、この下のグラフを見ていきますと、令和11年頃にはとんとんになっていくと。こんな数字であるということでございます。こうしたイメージを持っていただければと考えてございます。

それから13ページは、新ファンドのガバナンスでございます。新ファンドは多くの官民ファンドの仕組みを踏襲したものでございますけれども、例えば下の左側にあります脱炭素事業支援委員会におきまして、民間金融機関等において投資実務経験がある者を含むようにしていくということでありますとか、右側の新ファンド全体としてのポートフォリオと書いてありますけれども、環境に非常に役に立つ施策と収益性と。こうしたもの、様々な事業があると思いますけれども、ポートフォリオ全体として、いつ回収されるかとか収益率とか、こうしたことを全体で考えていく。そのための適切なポートフォリオを組んでいくということが非常に重要と考えてございます。

では、14ページをご覧ください。14ページ、環境の分野でありますけれども、民間や各金融機関におきましても先行して多くの取組が行われているところでございます。例えば日本政策投資銀行(DBJ)との連携等が非常に重要ということでございまして、右下でございますけれども、グリーン投資促進ファンド、こちらはDBJのファンドでございますが、こうしたところと、しっかり得意分野を活かして、どういうふうにすみ分けるか。すみ分けた上でどのように連携していくか。こうしたことをしっかり検討していただく必要があると考えてございます。

最後、論点ということでございます。16ページでございますけれども、まず政策的意義でございます。カーボンニュートラルの実現、それから地方創生ということから、この新しいファンドは貢献することができるのか。そのために、エネ特ではなくて産投を活用する意義が認められるかという点でございます。

次に、産投を使うとすれば、収益性ということが非常に重要でございます。先ほど申し上げたように、現行ファンドは先ほど申し上げたようなパフォーマンスでありますけれども、新ファンドはどういうふうになっていくだろうかと。もちろん、範囲が広がっていくわけですから、新しい専門性を有した人材というのはどのような方をどのぐらいいただけばいいだろうかと。それから、当然ガバナンスが必要でありますから、どんなガバナンスの仕組みを組めばよろしいかといったことでございます。

最後に、先ほど申し上げたDBJと、他の先行民間等との連携をしっかりやっていくと。どのように役割分担していくか。こうした点をご議論いただければと考えてございます。

私からは以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご質問、ご意見をお願いいたします。挙手ボタンを確認しながら指名させていただきますので、そのままお待ちください。ご発言の際に資料を引用される場合には、資料番号と該当ページをおっしゃってください。なお、要求側の環境省の方々がいらしていますので、直接ご質問いただいても結構でございます。それでは、お願いいたします。

それでは、まず渡部賢一委員、お願いいたします。

〔渡部委員〕では、できるだけ簡潔に。最後のページの16ページに、一番下のパラグラフです。DBJさんの機能に期待するのか、連携されるのか、competeされるのか。いまいち、ご説明ではよく分からなかったのですけれども、現実的にDBJさんも頑張っていらっしゃるわけですが、人がなかなか限界もあるというようなことも聞いています。そういう意味で、人的資源というのは、今後拡大されていくときに大丈夫なのかどうか。特に今、質問ですけど、12ページですか、決して悪くないパフォーマンスを上げていらっしゃる。スタッフの方が36名、役職員数36名と資料にございます。このうち、実際の実務というか、事業に精通された方、プロフェッショナルの方、目利きの方というのは何名ぐらいおられるのかなというのが質問です。これがどのぐらいの、増え方というのはおかしいですけれども、それを想定されているのかというのをお聞きできればと思います。以上です。

〔翁分科会長〕あとお2人ぐらい、先に意見を言っていただいてから、ご質問に答えていただく感じでお願いします。それでは林田委員、お願いいたします。

〔林田委員〕ご説明ありがとうございました。

脱炭素社会の実現というのは非常に重要な問題でありまして、それを政策支援によって支えていくという必要性は十分認めています。大きな方向性はいいのですけれども、それでも政策にする以上は、精緻な検討が必要になる。そして、特にこれが官民ファンドという方式で本当にぴったりくるのかということは、しっかり見ていかなくてはいけないと思います。

それを踏まえて、資料1の6ページですけれども、脱炭素に必要な投資規模というもの、これは政策のスケールを決める非常に重要な数字だと思うのですが、それを割り出す方法として、日本政府が自ら責任を持って必要額を積み上げたものではなくて、再エネ関連の国際機関の世界全体の推計を基に日本の必要額を推計すると。そして、単純に不足額を引き算で出していると。この大本の推計のエビデンスがはっきりしない上に、さらに推定に推定を重ねておりまして、大事な数字を割り出す方式としては、やや安直な気がしました。データとエビデンスに基づいて政策形成を行うEBPMという考え方が主流になりつつありますが、その流れにも反しているのではないかという気がします。

それで、大学ファンドのときもそうでしたけれども、財政が厳しい中で、根拠のあまりはっきりしない腰だめの数字を使って大規模な政策規模を決めていくという手法は、もうそろそろやめたほうがいいと私は思います。そもそも、そうしたことにブレーキ役を演じなければいけない財務省が、その機能を十分発揮していないように思えるのは、とても残念です。

次に、資料1の12ページです。右側の投資案件の収益性について、投資ベースでは黒字を確保しているということで、ご説明の中でも非常にうまくいっているというようなご説明がありましたが、大切なのは、経費を含め、全体の投資収益の累積できちんと償還できるというパスが本当に描けるのかということでありまして、下の図を見れば、ご説明にもありましたけれども、令和10年度までは水面下にあると。そこに、また新ファンドに切り替えることによって、規模は5倍に膨らむということでありまして、新たなコンセプトの投資にウイングを広げていくということ、仕切り直しをするわけですから、官民ファンドの立ち上げ当初に共通して見られたことではありますけれども、収支状況が当初は非常に厳しいということは避けられないと。案件の組成当初は非常に難しいということは押さえて検討すべきだと思います。

次のページにあるガバナンスですが、ガバナンスも死活的に重要なのですけれども、このファンドの設立を是とするか非とするかを判断する際に最も大切なことというのは、私が考えるに、要するに脱炭素に向けた投融資というものが、しっかり資金回収できる種類の事業なのかどうかということでありまして、旧ファンドのほうもトータルの累積損失はまだ一度も上向いていない厳しい状況ですから、財投当局は新たにウイングを広げるリスク、なぜ5倍増に衣替えしても大丈夫なのかという根拠などについて、きちんと精査してもらいたいと思います。

最後に、今のご説明ですと、この官民ファンドとDBJで全部、脱炭素の投資を担っていくみたいに聞こえますけれども、最後のほうに民間との連携とありますけれども、やはり財政投融資は呼び水効果ということが非常に重要なので、その呼び水効果についてどういう見通しを持ち、足りない3兆円ですか、この数字自体もあやふやですけれども、それをどういうふうにカバーしていけるのかという見通しのようなものを示していただければありがたいです。以上です。

長くなりました。すみません。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは野村委員、お願いします。

〔野村委員〕ご説明ありがとうございます。

まず、環境ファンドの趣旨にはもちろん、今必要なものとして賛同しますが、今、林田委員のお話にもありましたように、新たな官民ファンドを立ち上げるということだと、2つ懸念がございます。

1つは、非常に成長分野であるだけに、民間の投資も十分見込まれるような分野であるということで、民間投資の阻害にならないか、民業圧迫にならないか、その見極めがどうなされるのかということが1つ。

それから2つ目が、今までもお話に出ましたように、既存の官民ファンドとのすみ分け、連携、特にDBJのグリーン投資促進ファンドとどうすみ分けるのかということが、まだ腹落ちしないところです。14ページの資料で、DBJのグリーン投資促進ファンドを見ますと、ここに書かれている目的や趣旨、対象は、ほぼ新ファンドと同じものかと思います。それで、DBJのグリーン投資促進ファンドにも産投のお金が入っております。なので、これを拡大するという選択肢はないものかと考えました。ファンドが乱立するといった言葉はよくないですが、同じような趣旨のファンドが同分野で複数あることがはたしていいのかということが1つ、疑問であります。2番目の点は質問です。以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。今の段階でのご質問につきまして、環境省からお願いいたします。

〔環境省白石大臣官房審議官〕ありがとうございます。

環境省の大臣官房審議官をしております白石でございます。頂いた質問に順次お答えさせていただきます。

まず渡部委員から、DBJの機能、DBJとの連携ということに関してご質問いただきました。まさにご指摘のとおり、DBJのグリーン投資促進ファンドといったものと中身が重なるではないかという点は、当然我々も考えてございますがDBJとも、どうするのかということを、立案当初から考えてございましたけれども、やはり、いろいろ役割分担ができるのではないかと考えてございます。今回の新しい機構でございますけれども、地域の脱炭素化というものに特化した専門的知見を有するという組織にしてまいりたいと思いますし、設置期間についてはDBJのファンドは2030年に終わるというようなことだと聞いておりますけれども、こちらのものに関してはもう少し、やはり2050年のカーボンニュートラルというものを見据えて、ある程度長い投資というものも念頭に置いた組織にしたいと考えてございまして、10年以上の超長期のリスクを取れるといった強みとか特性といったものを活かしまして、他の官民ファンドあるいは他省庁だけでは十分に支援できない事業等を支援して、民間投資を引き出すということを目指してございます。実際の支援に当たっては、DBJや他の官民ファンドのみならず、当省の地方事務所でございます地方環境事務所を活用しながら、財務省の財務局といった他省庁の出先機関とも連携いたしまして、役割分担をしながら、相乗効果の高い支援ができるように、相互の案件形成、管理への参画、これは定期的な情報交換といったことで連携してまいりたいと考えてございます。たくさんございますので、こんな感じでご説明させていただきます。

それから、人的資源についてでございます。現在、この新しい機構の前身となる、今のグリーンファイナンス推進機構でございますけれども、36人の役職員のうち、ファンドの事業関係は33名おりまして、理事10名、フロントが9名、モニタリング6名ということでございまして、フロント・モニタリング15名ぐらいが、知見がある職員かなと思ってございます。当然、このスタッフだけでやるわけではなくて、発足後につきましては、投資や運用の状況を踏まえて規模を大きくするということがございますので、当然、組織が過大にはならないようにしたいと思いますけれども、必要な人的資源といったもの、特に脱炭素分野のファンド投資や政策投資、脱炭素事業、それから経営の企画、組織マネジメント等に係る経験者・有識者を追加採用していくということを考えてございます。人材に関しては、金融機関あるいは事業会社等の経験者を募るべく、各方面との調整、人材募集の準備を進めるということにしてございます。いずれにいたしましても、適材適所の考え方で人員配置を検討していくということになろうと考えてございます。

続きまして、林田委員から、資料の6ページ目の試算が国際機関の推計では安直ではないかと。我々も、必要な総投資額というのはいろんな試算の仕方があろうと考えてございますけれども、現時点で、我が国で今後カーボンニュートラルに向けて必要とされるという総投資額が幾らなのかということについては、積み上げではなかなか難しいということもあって、今回こういうご説明を準備したと承知してございます。また、いずれにいたしましても、民間企業あるいは民間投資の実態といったものを踏まえますと、特に今、いろんな投資の話が進んでおるわけですけれども、その投資の多くは、太陽光発電とか風力発電といった一部のFIT事業にかなり集中的に投資されているわけですが、それ以外の今後を見据えた投資がやっぱり過少ではないかという問題意識がありますので、ここのところを埋めていきたいということでございます。あまり説明になっていないかもしれませんが、今のところ、できる範囲で推計をしたということで、ご説明をさせていただきたいと思っています。

次に、償還確実性についてでございます。まず現行のファンドにつきましては、先ほど原田計画官からもお話がありましたけれども、少なくとも37件の投資を行いまして、Exitを行った9件については、投資額以上の回収ができていると考えてございます。全般的に投資規模がやはり小さいというところもありまして、事業コストを賄っていないではないかというご指摘はあろうかと思います。今後、収益性確保のために、一定、規模は必要だろうと思っていまして、収益性を高めるためにも、一定のガバナンスを利かせて確保してまいりたいと考えています。具体的には、環境省が、政策的意義あるいは民業補完原則、それから収益性確保やそのほかの機関との連携の観点を踏まえて支援基準といったものを策定いたしまして、これに基づいた投資を新ファンドが行う。その際に、当然専門家が専門的知見から、投資実務あるいは会計法務、技術等に精通した各専門家から構成する委員会で支援決定をするというふうに、ガバナンスのメカニズムをつくっていきたいと考えてございます。それから、投資案件の状況については、きちっと環境省も定期的に報告を求め、必要に応じて外部からの専門的知見による助言も含めてバリューアップを図ってまいりたいと考えているところでございます。いずれにいたしましても、環境省がきちっと監督しながら適切に支援してまいる所存でございます。

呼び水効果につきましては、お手元の資料の幾つかに、事業例ごとということでしたら、9ページ目にも書いてございます。従前のグリーンファイナンス推進機構は大体、1の出資に対して事業規模10ぐらいのことで、9倍から10倍程度の呼び水効果がございました。今度、当然、事業を大きくしていくということもありますので、同じようにいくかというと、なかなか難しいかもしれませんが、民間投資4倍ぐらいですから、200億円の投資に対して1,000億円ぐらいの事業規模が見込めるのではないかと想定はしております。これも、具体的に事業があるわけではないので、そのような規模で運営していくということを念頭に置いているというご説明になろうかと思います。

次です。野村先生のご質問も、ほぼ、今までのご質問と同様ですが、DBJとのすみ分けについて若干補足してご説明をしていきたいと思ってございます。DBJは、どちらかというと、大企業でございますとか、そういったものを中心に投資されているのかなと思ってございます。我々も当然、こういったところと連携を図っていくところでございますけれども、どちらかというと地場のもの、こういったところを中心に、環境中心のものとして、きちっとやっていける、具体的には脱炭素化に特化した専門的知見を持っている機構であるとか、超長期のリスクを取れるということが強みになっていくのかなと思ってございますし、具体的にはDBJさんとは中堅・中小が行うような再エネのサービス、あるいは森林、資源循環分野の脱炭素化といったところを当ファンドが積極的に支援するなど、必要に応じて、すみ分けしてまいりたいと考えているところでございます。

簡単でございますが、以上です。

〔翁分科会長〕あと四名の方がご発言をご希望ですので、続けてお願いいたします。まず高田委員、お願いいたします。

〔高田委員〕ご説明、どうもありがとうございました。脱炭素ということでの趣旨は極めて妥当だと思いますし、それから今回の経済対策の中でも非常に重要な位置づけのところだろうと思います。

これまでの先生方の議論のところと重なる部分も多いのですけれども、やっぱり現行の地域脱炭素投資促進ファンド事業との関係というのでしょうか、より広い分野での呼び水効果を発揮ということにあるのですけれども、やはり新しいということになりますと、収支の状況ですとか、またその広がり、投資リターンのイメージというのでしょうか、この辺がもう少し分かるといいと思います。特に収支面は出ないにしても、社会的にどのような効果があるのかとか、その辺は、国民に説明する上ではもう少し詳しい議論があってもいいのではないかなとは思いました。

それから、これもご議論があったのですけれども、他の官民ファンド、特にDBJさんとの関係というのでしょうか。先ほども環境省の方からのご説明もありまして、すみ分けはあるということだと思うのですが、やっぱりどうしても細分化してまいりますと、リスクテイクが困難になりやすいという特徴があると思いますので、かなり連携といいましょうか、また場合によっては、かなりどこかにまとめて対応するとか、そういう方向性というものも今後は出てくるのではないかなと思っております。今回はこういう対応にしても、これから長い目で見て、この議論というのは単にこの十年、二十年というだけにとどまらず、2050年というか、非常に長い視野でというようなご質問、ご指摘もあったものですから、そういう中で、これからも制度の見直しというのでしょうか、こうしたところはあるべきなのではないかなと思いました。以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは工藤委員、お願いいたします。

〔工藤委員〕ありがとうございます。ウェブから失礼いたします。

金融として、日々いろいろなお客様と、企業のお客様と接しておりまして、カーボンニュートラル実現に向けては、まだ本邦内でも企業規模や地域によって非常に温度差があると感じております。特に、地域の脱炭素化に向けては、やはり力強いリーダーシップ、政策支援が必要でありまして、地域脱炭素化ロードマップの下でこうしたファンドが設立されるということには一定の意義があるとは考えております。他方、カーボンニュートラル実現に向けた投資の全体観について、2点のコメントと、1点質問させていただきたいと思います。

1点目は、諸外国を見ますと、脱炭素化に向けて国として、米国では8年間で2兆ドルの投資、欧州では10年間で官民1兆ユーロの投資と、カーボンニュートラルに向けた中長期的かつ大規模な投資計画を策定している状況です。

一方、日本では、NEDOにて2兆円のグリーンイノベーション基金が設立され、このほか、DBJや、今回、環境省さん、それぞれ200億円のファンドが設立されるなど、少しずつ投資が値上がっておりますが、それぞれが独立した動きのようにも見えまして、政府による投資の全体像が見えにくい状況だと思います。今後、カーボンニュートラルに必要な投資に対する我が国における政府支援の全体像を俯瞰しつつ、その中での産業投資はどのような役割を果たすのかについて整理していくことが重要ではないかと思います。そうした全体像なしに単発的に支援を、今回のファンドがということではないのですけれども、設立していくと、結果として機能の重複や投資の無駄が発生して、政府支援を活用したい民間の事業者に混乱も招くのではないかと思っておりまして、財務省だけではなく、これはぜひ省庁横断で、資金を出すということのほかの政策をセットでご検討いただきたいなと思うところです。

2点目は、呼び水効果というお話がありましたのですけれども、民間の資金を導入するということが呼び水効果の意味だとは思うのですが、そのほかに、やはり1つのプロセスをやって、地域にぽつっと太陽光プロジェクト、今までなかったところにできましたということで終わらないように、例えばそれを横展開していく仕組みでありますとか波及効果を、1つの投資をすることによって、そこから幾つもの事業が生まれていくようなことというのを、もっと仕組みとして考えられないのかなと思います。例えばドイツでは、こういった脱炭素というかエネルギー対策のところでは、他方、都市のユーティリティーであるスタットドルチェの話が結構よく出てくるのですけれども、例えばこういった事業体みたいな、核になるところに、こういうファンドが投資して、そこを核にして、いろんな地方でのプロジェクトを進めていくというようなことも、本来であれば検討できるのではないかと思います。

コメントは以上でございまして、2点、質問は、今回、エネルギー特会からの切替えということで、趣旨としては、より広いものをキャッチできるように、何でもキャッチできるようにということで理解しているのですが、エネルギー特会は、もう、こういったファンドに使われなくなるということなのでしょうか。エネルギー特会と財投が併存してファンドの資金を供給するということも、それぞれ使途別にあるのではないかと思いましたのですが、その辺の事実関係と、もし背景がありましたら、ご教示賜れればと思います。

以上です。ありがとうございました。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕私からは、2点の意見と1つの質問をさせていただきたいと思います。

今ご説明がありまして、資料で言えば7ページなのですけれども、新ファンドで脱炭素ドミノを強力に実現していくということは、それはそれとして意義があると思うのですけれども、それに加えて、上に乗っているエネ特からの交付金、それから地方創生推進交付金、この2つが上に載っていて、それぞれの役割というものをしっかり役割分担を意識しながら政策を講じていただきたいと思うわけです。

そういうことを想定していないとは思うのですけれども、新ファンドで投資した先で営んでいる事業に、こういう交付金が入ってきて、何とか収支は黒字を維持できて、出資も回収できるということになると、もともと事業を営んで、民間の資金で、その出資に対しての配当を返していただくというようなことなのだけれども、そこに税金が混じっている。税金が元手となっているお金が混じっているというようなことになると、何のために出資したのかというところについては、役割が不透明になっているなと思いますので、これから始められるということのようでありますから、税金を投じるところは税金を投じるということで、それはそれとして、しっかり役割を果たしていただくとともに、出資するところは、極力、民間の自律的な運営によって、そこでビジネスが展開されて、その収益によって、新ファンドに対しての配当で還元するということが期待されるわけなので、そういう役割分担をお願いしたいと思います。

それが1点目で、2点目は、今、工藤委員がおっしゃった点で、確かに欧米でグリーンに対する政策の関与を深めているということに対して、我が国では必ずしもそこまではいっていないという面はあると思います。ただ、私が思うには、規模ありきではないと。規模が日本では劣っているということだからといって、日本で駄目なのかというと、決してそうではないと思っていて、規模ありきではないというところは、どういうところに今、日本の問題があるかというと、民間のイノベーションの意欲、それからリスクテイクが不足しているというところが根本問題としてあって、欧米は相当な民間のイノベーション意欲やリスクテイクがあるのだけれども、日本にはそれがそもそも感じられないというところが、根本問題にあるので、そこはやっぱり政策で刺激するのももちろん大事なのだけれども、いや、まずは民間が自立して、そういうところに意欲やリスクテイクを発揮していただかないといけないと。政府のせいにしないでくれということは、そもそもの問題としてあると思います。

それに加えて、後での今日の議論になるかもしれませんけれども、過去の官民ファンドにおける投資遂行能力に対する疑義というのがあって、だから、お金を幾ら政府がどんと積んだところで、本当にそれで欧米に伍するようなものが、グリーンの分野でできるのかというところに対しては、規模が大きければ、それでアメリカやヨーロッパに対抗できるのだとは単純に言えないというところがあるので、規模は小さくてもいいから、とにかく実を上げられるような仕組みというものをつくっていくということが、このファンドにおいて実現できるとすれば、規模は小さいかもしれないけれども、それなりの意義があるというようなところになるのではないかと思います。

最後に質問なのですけれども、これは12ページにありますけれども、地域脱炭素投資促進ファンド事業が既にあって、今のところ、毀損はしていないということは、それはそれでいいと思うのですけれども、このファンドの基金、ちょうど左上にあるわけですけれども、この基金は新ファンドで引き継ぐのかどうか。統合するのか、それとも区分経理して別立てにするということなのかというところは、どのようなスキームをお考えになっておられるのかと。当然ながら、補助金で造成された基金ということではあるのだけれども、これはこれとして、ちゃんと、毀損しなければ、しっかり国庫に戻していただくことも将来的には考えなくてはいけないわけなので、補助金だから渡し切りで、あとなくなってもいいというわけでは決してないので、この基金はこの基金として大切にしていただくとともに、今後、産業投資から出資するものについても、個々の案件が一個一個、全部毀損してはいけないとは思いませんけれども、全体として、きちんと、ゆくゆくは累積の黒字化していただくということになるようにしていただきたい。

1つ、質問です。以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。では続きまして原田委員、お願いいたします。

〔原田委員〕ありがとうございます。時間が限られていますし、冨田委員から、簡潔にというチャットもありましたので、簡潔にというのは全員が意識するべきことだと思いますので、本当に簡潔に意見を述べます。

新環境ファンドの立ち位置についてなのですけれども、先ほどから、土居委員、野村委員などおっしゃっていますけれども、民業補完に徹するということは忘れずにいていただきたいと思います。民間も積極的に参入しているところであろうと思いますし、民業の補完ということを忘れずにお願いいたします。そして、工藤委員、土居委員も質問なさった、現行ファンドのエネルギー需給勘定から切り離すという形で新ファンドができて、そこに産投を活用するというふうに理解しておりますけれども、旧ファンドでの案件をどう引き継ぐのかといったところについて明らかにしていただきたいと思いました。補助金がストップして、代わりに産投が入るというふうな理解をしております。エネルギー需給勘定のほうとは完全に切り離されると理解しております。この理解で合っているかどうかの確認をさせてください。

以上になります。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは江川委員、お願いします。

〔江川委員〕どうもありがとうございます。

規模が小さくても産投の意義があるという土居委員のご発言に賛同いたします。一方、諸外国に比べて規模が小さいという意味の危機感という点では、工藤委員と同意見でございます。ですから、今回のこの意義というのは、本当に呼び水となって、民間からより多くの投資が起こることがとても大切なので、それに関して2点申し上げたいと思います。

1点目は、日本の再生可能エネルギーは、いろいろな自然環境の状況により、安定的に大量につくれないというところが大きな問題なのですが、一方で送配電網の問題が非常に大きいと理解しています。そちらのほうの政策、これは経産省だと思いますが、しっかり併せてやっていただきたいと思います。

それから2点目は、再生可能エネルギーに関して、規制緩和をしっかりやっていただきたいと思います。例えば日本は地熱発電に関して非常に大きなポテンシャルがあると思いますけれども、観光資源ということで、国立公園とか温泉とか、そういったところとの問題があると聞いています。エネルギー問題というのは日本にとって非常に重要な問題なので、規制緩和も併せてしっかり整えていただきたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは冨田委員、お願いいたします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。

2点。1点は現行ファンドについてですけれども、累積損についてはご説明があったのですけれども、政策効果についてです。1つはCO2の削減、年間128万トンなどという数字だけは出ているのですけれども、これを全体的にどう評価するかというか、それと同時に現行ファンドの出資時の目的削減量をきちんと設定されていたかどうか。それから、政策効果では、地域再生の効果ということをどういうふうに計られているのかということであります。

2点目は、そうした政策効果も踏まえての議論なのですけれども、エネ特から産投に出資元が変更すると、出資先は大きく拡大するように思うのです。それで、今はやっぱり、脱炭素は国家的な大事業なので、運輸から、それから家庭やオフィスから、産業から、いろんなところで脱炭素の事業があるわけですけれども、これら全体のトータル量に占める割合とか、大きな設計を最初から持って動こうとされているのか。それとも、言っては悪いけど、成り行きで進められようとしているのか。その辺を聞きたいということです。

それから、呼び水効果については、先ほど環境省のご説明の中で、今、これまでは現行10倍だったのだけれども、4倍ぐらいのことを言っておられたのだけど、そうだとすると、式の上で、やっぱり事前に設計しておく必要があるのではないかということ。

その2点をよろしくお願いします。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは、環境省から、簡潔にお答えをお願いいたします。

〔環境省白石大臣官房審議官〕すみません。たくさん質問を頂きました。

まず、工藤委員のご質問で、今後、エネ特から振り替えるということで、エネ特は使わないのかというようなお話。これは、先ほど財務省からもご説明がありましたとおり、対象がかなり広がるということでございます。そういうことで、ファンドとしての事業は、今後は、この要求が認められ、制度改正がなされた後は、基本的には産投を中心にやっていきまして、エネ特のファンド事業というのは、その段階で新規のものはやらないということでございます。なお、エネ特の財源に関しては、先ほどご説明いたしましたけれども、3ページの左側ですが、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金ということで、自治体への交付金等の財源に充てるということで、引き続き、全体としての脱炭素の事業には向けていきたいということでございます。

土居先生からご質問いただきました、従前の旧勘定の引継ぎについてでございます。今までの事業の資産につきましては、新ファンドが設立されて以降、新ファンドに移行するということにしてございます。これは、現行グリーンファンドのBS上は、負債は未払金と預り金のみでございまして、何というか、負債勘定は移管する債務はございませんけれども、資産について引継ぎをし、なおかつ厳格な区分経理を行うことによりまして、基金事業が終了した後は適切に国庫に返還するということにさせていただくということで、区分経理で区分勘定の下で管理をしていくということでございます。

それから、江川先生からお話がございました、再エネ、送配電網、まさにご指摘のとおりでございまして、これは我々の所管ではなくて資源エネルギー庁さんの所管ではございますけれども、今、経産省、環境省が手に手を取り合って脱炭素化を進めてございまして、1つはやっぱり、我々は再エネをこれから主力電源化ということで導入していく上で必要なのは、送配電網の強化も当然やっていかなくてはいけないということですが、非常に時間単位で変動性が高いものでございますので、そういうことも考えると、極力、地産地消というのですか、エネルギーを生んだところで極力使う仕組み、ですからマイクログリッドの普及だとか、あるいは家庭単位で蓄電池を置くとか、そのような目配りも当然必要なので、そういうことと、それから送配電網の強化というものを並行しながらやっていくという取組が必要になってくるのかなと思ってございます。

地熱発電についてのご質問がございました。環境省も国立公園を所管している部局でございますので、人ごとではございません。資源エネルギー庁と一緒に、資源探査の段階から、いろんなポテンシャルに関して協働しながら探査をして、何としてでも地熱発電を倍増していくというような目標に向けて、今、取組を進めたいと考えてございます。

それから、エネ特から産投への振替の趣旨でございますけれども、これはやはり、これから2050年のカーボンニュートラルというものを見据えた上で、単にエネルギー起源のCO2だけでは、もうウイングが狭過ぎて、とてもカーボンニュートラルという段階に至らないと思っています。エネルギー起源だけではない、例えばバイオマスでありますとか吸収源でありますとか、様々な取組を物すごく広げていかなくてはいけないというところがございまして、どちらかというと再エネの投資だけを今まではやってまいりましたけれども、社会基盤全体を変えるような投資にウイングを拡大していかないと、2050年の脱炭素化がおぼつかないのではないかと考えているというのが、端的なご説明でございます。

呼び水効果について、厳しいご指摘を頂きました。正直申し上げまして、プロジェクトによって、随伴する呼び水は額が変わってくると思いますが、ここはもう少し制度設計をさらに進めて、きちっとご説明できるように、また投資基準等を設定する際の1つの考え方のようなものも含めて検討してまいりたいと考えてございます。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。原田計画官は何かございますでしょうか。

〔原田計画官〕ありがとうございます。

今、白石審議官からご説明いただいたとおり、エネ特の話につきましては、今ある事業というのがありますから、そこはエネ特で見ているための最小限のということで、完全にそこの分はエネ特で見るということなのですが、基本的には新しいファンドに引き継ぐということになります。勘定も別々ということになります。少し最後はもうけが出るという、先ほどの数字がありましたから、そこは国庫に戻すということになっていくかと思います。

それから、すみ分けの話から、幾つか、呼び水効果という話がありました。呼び水は2つ段階があると思っていまして、呼び水のとき、まず最初の出資の段階に、半分以上、民間が入ってくるということを求めていくということになる仕組みになっていると私は理解しておりまして、さらにDBJとの関係なのですけれども、まずは地方、それから中堅といったところの新しいファンドの対象になっていって、DBJが大企業というすみ分けからスタートしていくと私は理解しているのですが、これが地方ということになりますと、地方、粒々の1つの案件は小さいですけれども、参考になる地方というのは非常にたくさんあるということになりまして、波及効果という意味では非常に大きくなるというポテンシャルがあると考えてございます。このような説明を私も環境省側から受けているところでございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕では、簡潔にお願いいたします。

〔環境省大臣官房波戸本環境経済課長〕環境省でございます。今、原田計画官からありましたように、地方の横展開ということでありますと、環境省にも環境事務所がございまして、加えて財務局の知見もお借りしながら、そういうことも含めて横展開していきたいと思っていますので、そういうふうに考えています。以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。委員の皆様から大変貴重なご指摘をたくさん頂いたと思います。ぜひ今後参考にしてご対応いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、ここで環境省の皆様にはご退席いただきます。どうもありがとうございました。

(環境省、グリーンファイナンス推進機構退席)

(CJ、JOIN、JICT、A-FIVE着席)

〔翁分科会長〕それでは、皆様お入りいただきましたので、次に官民ファンドについてご審議いただきます。

まず官民ファンドに係る論点につきまして笠原企画官からご説明いただいた後、投資計画に対する進捗状況などにつきまして、6月の分科会にて報告を行ったA-FIVEを除く3つのファンドの各ご担当の方より順にご報告を頂きます。

委員の皆様からのご意見、ご質問については、これら全ての説明終了後にご対応をお願いいたします。それでは、まず笠原企画官からご説明をお願いいたします。

〔笠原財政投融資企画官〕企画官、笠原でございます。よろしくお願いします。お時間が過ぎておりますので簡潔にご説明いたします。

資料2-1、2ページをご覧いただければと思います。下の青囲みに、今回の論点を2つ設定してございます。まず最初の論点1でございますけれども、改革工程表に基づく投資計画・改善計画についての進捗状況のご確認ということで、今回は令和3年9月末時点での進捗の確認ということでございます。論点2つ目でございますけれども、前回6月の分科会において、各ファンドから今後の投資方針、投資の実行・リスク管理体制、ガバナンス等の考え方について、今後の対応についてご説明をさせていただきました。その後の具体的な取組・進展について各主務省からご説明いただいた後、その内容についてご確認いただければというのが2点目でございます。

2つおめくりいただきまして、資料の4ページをご覧ください。論点1につきまして、こちらに、令和3年9月末時点での実績というものを、赤囲みのところでまとめてございます。見ていただきますと、今回は期間の中間地点ということですので、累積損失については対象外となってございます。投資額につきまして、クールジャパンのほうを見ていただきますと、今回、目標値を達成。他方で、JOIN、JICTにつきましては、現状では未達となってございます。ただ、令和3年度末での投資額というのは達成見込みだと伺っております。なお、A-FIVEにつきましては、既に令和3年度以降、新規投資を行わないということになってございます。

続きまして、次のページ、論点2をご覧ください。この後、各主務省より進展についてご説明いたしますが、事務局から論点として幾つか設定させていただいております。まず、クールジャパンのところでございますが、経費について、人件費の合理化や調査費等、幅広く行われているか。さらに、ウィズコロナ・ポストコロナの業務形態の変化を踏まえ、例えば調査等のリモート化等による調査費・旅費の削減、それからオフィスの在り方、フルリモートという形の業務もありますので、在り方の見直しについても取り組むべきではないか。もう1点が、案件形成、投資先のバリューアップ、組織マネジメント・ガバナンスの強化に向け、体制面・運用面でどのような取組を行っているか。

JOINにつきましては、累積損失の解消や新たなインフラニーズ、例えばスマートシティやMaaS等でございますけれども、これを含めた案件の増加・多様化を念頭に、例えば①リスク管理体制の強化、ガバナンスの強化、②ポートフォリオマネジメントによる収益基盤の強化・安定化といった点で、今の取組が適切なものかどうか。2つ目といたしまして、ブラウンフィールド案件、ポストコロナの新たなインフラニーズへの投資について、今後の見通しや課題は何か。

JICTにつきましては、案件数の積み上げや、ポートフォリオの偏りの改善に加えて、今回ご説明をこの後させていただきますけれども、投資対象の拡大やファンドへのLP投資に取り組む上で、例えば①組織リソースの制約の下、個々のビジネス分野に精通した人材の確保、それから②案件発掘または協業のネットワークの強化、これらの点について、体制面・運用面での取組が適切なものかどうか。このように設定しております。

最後、2つ飛びまして、7ページをご覧いただければと思います。今後の進め方でございますが、大きく2つございます。最初の塊は、前回6月のときと同じ内容になってございますので、ご説明は割愛させていただきます。

2つ目でございますが、「併せて」とあります。累積損失の解消に加えて、今後具体化される「新しい資本主義」に照らして、官民ファンドが期待される政策的役割の達成に向けて、各ファンドが取り組むべき今後の投資方針、投資実行・リスク管理体制、ガバナンス等について、本分科会での指摘や着眼点等を踏まえ、また、これらをファンド間でも横展開しつつ、引き続きその取組状況の確認を行っていく。このような形で整理させていただいております。

説明は以上になります。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは、クールジャパンからよろしくお願いいたします。

〔経済産業省商務・サービスグループ田中政策統括調整官〕よろしくお願いします。経済産業省の商務・サービスグループ、政策統括調整官の田中でございます。クールジャパン機構につきまして、資料2-2に基づいてご説明申し上げます。

資料2-2の1ページ目でございます。一番下の青枠内をご覧いただければと思います。まず1つ目の丸で、投資の進捗状況についてご説明申し上げます。2021年前半でございますが、まず政策性・収益性の面で意義のある案件組成に取り組んでいまして、9月末までの投資額は82億円となっております。これは、今年の5月に策定いたしました改善計画に基づきます、2021年度上半期の投資目標額であります40億円を上回ったものとなっております。また、今年度末の投資計画額は、上の表にもございますが、134億円となっております。これにつきましても既に投資決定を致しまして、まだ投資を実行していない投資実行待ちの案件もございますので、現時点では、その達成は十分に可能であると見込んでおります。

次に、2つ目の丸でございます。改善計画の実現を確実なものとするための取組について、簡単にご説明します。今年の6月には新たな役員を選任いたしまして、政策性・収益性の面で意義のある投資案件の組成などに資するガバナンスの強化や適切な人材確保・効率的な組織運営による組織力向上を図っております。また、テレワークの推進によるオフィス規模の縮小・賃料削減、オンライン会議の活用などにより着実にコスト削減の取組を進めてまいりたいと思います。

続きまして、クールジャパン機構から、コロナ禍における投資案件の状況も含めまして、これまでの投資活動についてご説明いたします。

〔海外需要開拓支援機構頼高常務執行役員兼CIO〕クールジャパン機構、CIOの頼高です。資料2ページ目を用いまして、クールジャパン機構の投資活動についてご説明いたします。

まず、クールジャパン機構の設立初期についてでございますけれども、案件組成や投資決定を手探りで進める中、日本文化を発信し、日本独自の商品サービスを売り込むという、政策的意義を重視するあまり、結果として収益が上がらず、現在の累積損失につながってしまっている案件があると考えております。この要因を分析しますと、まず海外現地企業との協働の薄さ等によるマーケット情報の不足、あるいは海外現地ならではの商慣行、法規制への対応や理解の不足、そして新規事業の不確実性の高さであると考えております。

こうした設立当初の課題や経験を踏まえつつ、18年7月に、現地パートナー重視、あるいはキャッシュフロー重視などの5つの投資方針を策定し、案件組成に取り組んできたところでございます。当該方針の策定以降、支援決定額・出資実行額が増加するなど、案件組成が活発化しております。また、バリューアップ専門チームの新設による投資先の支援、さらには、プラットフォーム性のある投資先企業と事業者とのマッチングを行うことで、海外展開を行う地方・中小企業が着実に増加するなど、企業価値の向上や政策効果の拡大につながっております。

また、資料にはございませんけれども、ご参考までに最近の取組をご紹介いたしますと、まず投資方針策定後の投資先の売上高でございますけれども、新型コロナの感染拡大状況の影響を受けて推移しておりましたが、直近では、コロナ前の19年と同等の水準まで回復しつつあります。また、投資案件の1例としまして、中国で日本酒の卸売を行うEMW社は、新型コロナの影響を受ける中でも、EC事業を強化するとともに、比較的回復の速い中国での需要を取り込みまして、20年下期以降は業績が回復し、21年以降も引き続き堅調な業績を維持しております。

また、直近の支援決定案件の1例をご紹介させていただきます。日本初の新素材を活用したものづくりを世界のファッション・アパレル市場に発信しますSpiber社に対して、18年の支援決定に続きまして、米国での量産化に向けた成長資金の提供等の追加支援を行うべく、総額110億円の出資を決定しております。このSpiber社でございますけれども、こちらの新素材、持続可能な新世代基幹素材として大変注目されております。ESG投資、SDGの取組推進への寄与が期待されるとともに、日本で数少ないユニコーン企業であります。今後の事業面での成長も期待される投資先でございます。引き続き、改善計画の達成に向けて、政策性・収益性の面で意義のある投資案件の組成に取り組んでまいります。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは、JOINからお願いいたします。

〔国土交通省山上国際統括官〕国土交通省国際統括官の山上でございます。

それでは、JOINの改革工程表2018を踏まえた投資計画の進捗状況についてご説明申し上げます。

資料2-3をご覧ください。1ページでございます。改革工程表2018を踏まえた投資計画におきましては、2021年度の上半期に60億円、年間計画では149億円の投資を行うこととなっておりますが、上半期の実績は約20億円となってございます。この乖離の要因につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりまして、案件の形成に時間を要する傾向があり、2021年度上半期の支援決定を目指していた案件が下半期にずれ込む見通しとなったためでございます。しかしながら、支援決定済案件の資金拠出予定額を含めますと、年間の目標を達成できる見込みでございます。

一番下の丸のところで記載してございますが、新型コロナウイルス感染拡大による投資リスクの拡大や経済活動の抑制が見られるものの、世界の持続的成長に向けたインフラ整備の重要性に変わりはなく、アフターコロナの時代における新たなビジネス機会も捉えた案件形成を推進しまして、投資計画を着実に達成してまいりたいと考えてございます。

それでは、次のページにて、今後の投資方針・対応等の進捗状況を、機構からご説明申し上げます。

〔海外交通・都市開発事業支援機構稲川専務取締役〕JOINの稲川でございます。資料に沿って、6月の分科会で提示いたしました、今後の投資方針・対応等の進捗状況等についてご説明いたします。

まず、2ページをご覧ください。新型コロナウイルス感染症、世界各地の自然災害、政情不安など、海外インフラ展開を取り巻く環境は変化しております。リスクマネジメントの観点からは、我が国事業者の支援ニーズに応えつつ、ポートフォリオ全体のバランスを考慮した案件形成に取り組んでいるところでございます。

そこで、当社の事業推進部を分野別グループに再編いたしまして、インフラ関係企業とのネットワークの強化に努めております。また、海外の政府機関・有力企業、在外公館などの我が国の海外拠点及び海外展開に関心のある我が国自治体との協力関係の構築を進め、情報収集機能の向上にも努めております。これらのネットワークを活用して良好な案件形成を促進するとともに、多角的な情報を基に、個々の投資案件の事業リスクや投資先の経営課題をよりきめ細かくモニタリングして、収益基盤の強化、リスク管理の強化を図ってまいります。

これらの取組を実効的なものとするため、今後は、3段目、一番下の丸に記載しております観点から検討を行うことを考えております。まず、案件形成に当たりましては、プロジェクトに内在するリスクが発現する場合の当社全体の収益に及ぼす影響等について、より留意した投資判断を行うための体制強化を検討いたします。さらに、事業環境の変化や事業の進捗に伴い、既存の投資案件のリスクが高まる場合のJOINの対応、例えば追加支援等の審査の厳格化や事業改善に向けた経営支援の在り方等についても検討を行います。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは、JICTのご説明をお願いします。

〔総務省田原国際戦略局長〕総務省国際戦略局長の田原でございます。JICTの投資計画の進捗状況について、総務省からご説明申し上げたいと思います。

資料2-4に従ってご説明させていただきます。まず1ページ目でございますが、今年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の流行等を受けて、案件組成に向けた交渉に時間を要しているなどということもございまして、9月末現在で計画値に達していないということで、まだ新規の投資には至っておりません。しかしながら、下半期に向けて、ICTインフラ整備・運営事業等、複数案件の投資を具体的に検討して調整しているところでございますので、本年度末時点におきましては投資計画額を達成できるものと考えている次第でございます。

下段のほう、内部体制の強化等については、また後述させていただきますけれども、総務省としても、確実に投資計画を上回る実績を積み上げていけるように適切に監督していきたいと考えております。

2ページ目に行っていただければと思います。続いて、JICT法施行後5年をめどとした検討状況についてご説明させていただきます。6月の会議でもご報告させていただいておりますとおり、有識者・日本企業へのヒアリング等を踏まえまして、その後、省内のタスクフォースを中心に検討を進めてきたところでございます。必要な対応について取りまとめを行いまして、取りまとめ結果について間もなく公表予定としているところでございます。

主な論点といたしましては、ハードインフラを伴わない事業に対する支援の拡充、ファンドへのLP投資による外部知見の活用、それらと並行したJICTの投資態勢強化及びエコシステム構築がございます。

まず、①の部分になりますけれども、ハードインフラ整備を伴わない事業、ICTサービス事業と申しておりますけれども、こちらに対する支援についてご説明させていただきます。背景といたしまして、近年の社会のデジタル化、技術進展等に伴いまして、個人情報などのデータが持つ社会的影響力が増大しているという中で、ICTサービス事業はハードインフラ事業と同様に各国政府の規制領域になりつつあるという状況でございます。このような情勢の中、こうしたものを理由として、企業にとってリスクが高まっているということでございます。海外の市場への過小投資が生じやすい状況となっている中で、ハードインフラ事業と同様に、政府とよく連携した形で、民業補完としての投資やハンズオン支援などを行っていくことが必要ということで、我が国のこうしたICTサービス事業への投資のリスク軽減を図って新規投資を誘発することが、JICTに求められる役割であるということから、ハードインフラ整備を伴わないICTサービス事業への支援を可能としていくことが適当と考えているところでございます。

次のページをお願いいたします。3ページ目でございます。ファンドへのLP投資の関係でございます。地方・中堅・中小企業などを含む一部の日本企業等々にヒアリングをしてきたところでございますけれども、投資判断等に必要な現地動向に関する情報やノウハウ等が足りないということ、あるいは現地顧客基盤を有する海外ICT企業のマッチング等が障壁となっているという状況がいろいろ分かってきております。

このような企業さんにとって、経験や体力のある国内外の企業を中心として、まずはマイナー出資者として事業に参画することで、海外展開に必要な知見やネットワークを蓄積するようなステップが必要であるということから、JICTとしても、ほかの機関と同様に、ファンドへのLP投資も視野に取り組んでいくことが適当であると考えているところでございます。

続いて4ページ目の、態勢強化、外部連携についてご説明させていただきます。JICTにおいては、今回の検討により明らかになった諸課題を解決し、設立趣旨を達成するべく、本年6月以降、新体制において、経営執行体制の強化、及びリスク管理機能や案件発掘機能などの投資態勢の強化に取り組んできているところでございます。既にモニタリング、ソーシング手法の見直しに着手しているところでございますけれども、このほか、ICTサービス事業への投資などに係る目利き人材の確保ですとか、金融機関と連携したエコシステムの構築についても取り組むということで、JICTを軸とした日本企業への支援態勢を一層強化していきたいと考えているところでございます。

説明は以上でございます。

〔翁分科会長〕どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明を踏まえまして、委員の皆様からご意見やご質問をお願いいたします。

今日は、A-FIVE、農水省にも来ていただいておりますので、要求側の方々にご質問いただいても結構でございます。それでは、まず冨田委員、お願いいたします。

冨田委員、どうぞお願いいたします。

〔冨田委員〕ご説明がなかったですけれど、A-FIVE、出資累計400億円に対して累損が100億円以上あるとのことでした。そして、民間出資について誘発されたのが549億円と、資料2-5で書いてあるのですけれども、民間出資者のほうの累損はどうだったのかということ、また、累損が出たことに対して民間出資の反応がどうだったのか。

それから、政策の効果ですけれども、A-FIVEはこれまで累損まで出してやったわけですけれども、出資先で累計2,200人ほどの雇用の増加とご説明があるのですけれども、これは累損の発生した出資先の雇用も含めてなのでしょうか。どういう数字なのか。それで、心配いたしますのは、コロナ禍の中で路頭に迷われたり、そういうことはなかったのでしょうか。そういうことはあまり農水省の方は考えられないのですかという質問です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。農水省からすぐお答えは可能ですか。

では、ちょっと後ほどということで。それでは渡部委員、お願いいたします。

〔渡部委員〕ありがとうございます。各機関ではなくて、資料2-1、理財局さんがまとめられた資料の6ページです。(参考)官民ファンドの事業プロセスに関する主な着眼点。このページは、個別の官民ファンドさんを横串で整理されようとされておられるわけで、大変良いと思います。特にこの中で、真ん中のガバナンス等に書かれていますが、やはり投資領域に精通した職員が確保されているかどうかが重要だと思います。また、下から2行目のインセンティブ。パフォーマンスにふさわしい役職員の報酬、反映される枠組みができているか。このとおりだと思います。とにかくプロフェッショナルが確保されているかどうか。これが全て重要で、言葉を選ばずに申し上げれば、ガバナンス以前の問題で、きっちりもうかることができていますか、そういう人をいかに確保できているかが全てみそだと思います。それから初めていろんなことがあるわけで。

そういう意味で、来年3月にまたレビュー、総括をされるわけですから、それに向けて、かなり時間がたったもの、始めようとするもの、いろいろあるわけですが、この辺りを強化するという意味で、インセンティブのところも、どういうモチベーション、角度を高くつけるとか、あるいは駄目ならご苦労さまでしたというのをはっきりつくるとか、それをもう少しきっちり、理財局さんのペーパーとすれば強く出されたほうが、次のレビューのときに役に立つのではないかという気がいたします。とにかくプロフェッショナルをこれから集めますとか、どこかと連携しますとか、民間において連携すると事業会社が発表するということは、できていないと言うのと同じように私どもは理解します。その意味で、連携云々というのは、言葉上はきれいですけれども、実際、AさんとBさんが連携して仕事を一生懸命やりますというのは、両方やらないという意味にも時々通じますので、誰がどのようにしっかりやって、それは、いい子、悪い子をしっかり決めていくというのをやっていくことが、全部に効いて肝要だなという気がします。ここの表現をもう少し鋭角的にされてもいいのではないかというのが私の意見です。

以上です。

〔翁分科会長〕貴重なご指摘をありがとうございます。それでは江川委員、お願いいたします。

〔江川委員〕ご説明どうもありがとうございました。2点ご質問です。

1点目は、ちょっと厳しい話になるかと思いますが、官民ファンド、いろいろ難しい問題はあると思うのですけれども、国民の税金を使ってやっているのに、残念ながら危機感が少し薄いような印象を受けます。例えば、管理コストを削減するためにバックオフィス業務を統合してはどうかとか、重複もあるからファンドの統合も考えたらどうかとか、そういう話はもう二、三年前から何度も多くの委員が申し上げたり、私自身も申しているのですけれども、あまりその検討が進んでいないような印象を受けます。その辺りの理由や背景を教えてください。それが1点目です。

それから2点目は、先ほど、クールジャパンのSpiberという会社に対する投資のお話がありました。いろいろなところでニュースにも取り上げられている会社ですし、私もよく知っていて、ベンチャーキャピタルから問題なく資金調達ができていて、上場も視野に入っていると聞いています。それから、クールジャパンと同じようなタイミングでカーライルというPEファンドが、300億円以上、投資したというような話も聞いております。そもそも官民ファンドというのは民間がサポートしにくいような事業をサポートすると理解していたので、違和感があったのですけれども、今回、クールジャパンがこのタイミングでSpiberに投資するのが、どういう意義があったのかというのを教えてください。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは林田委員、お願いいたします。

〔林田委員〕ありがとうございます。

現状、官民ファンドに関しては、投資計画や改善計画の進捗を、しばらく様子を見るしかないのかなと。コロナ禍でもあり、いろいろ逆風もありますが。そして、新型コロナについては、短期的な影響はいろいろあって、例えばクールジャパンでいえば、旅費の削減とか調査費の削減をやりましたとか、あるいはJOINですか、組成案件に時間を要したという影響は出ているようですけれども、やはりコロナというのは、ポストコロナになったからといって、全て全部、元へ戻るという性質のものでは多分ないのかなと。事業環境が変わっていくということだと思いますので、この官民ファンドの事業の持続可能性に関わるような中長期的な影響に関する点についても、今日挙げていただいたような当面の影響だけでなくて、そうした構造的な影響についても少し掘り下げたウオッチをしていただいて、時期を見て、当分科会にもご説明を頂いたらありがたいなと思っています。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕ご説明ありがとうございました。実は今日の資料ではなくて、10月の分科会での資料に、財投要求の令和4年度の要求の数字がありまして、その金額というのは、今日ご説明があった3ファンドとも、令和3年度の計画額よりも多いものを要求されておられるということなのですけれども、それぞれの機関にお伺いしたいわけですけれども、今年度でも、先ほどご説明があったように、ほぼ計画的にできたとか、上半期はまだ影響があったのだけれども、下半期で何とか予定どおりにしたいなどとおっしゃっていた、その計画額を上回る要求をされているわけですけれども、どういう見込みがあって要求されているのかというところをお伺いしたいと思います。

それから、あとは2つ、コメントを簡単に。確かに、先ほど理財局から説明がありましたように、ファンドの進捗状況を確認するということは極めて大事なことで、この分科会でも重要なイッシューであると思います。確かに、A-FIVEは残高機関というか、新規要求されていないようでありますけれども、残り3機関は来年度も要求されておられるので、ある意味で、分科会で審議されているということなのかもしれませんけれども、引き続き新規要求がなかったとしても、残高機関になったとしても、こういう進捗状況を絶えずこの分科会で精査するということをお願いしたいと思います。

それからもう一つは、「新しい資本主義」という、岸田内閣での新しいキーフレーズが出てきたわけですけれども、悪乗りをしないようにということを各官民ファンドには申し上げたいと。確かに、新しい役割が新内閣によってあるということは分かりますけれども、だからといって、新しく、いろいろなものに乗り出せるといって、やけどをしないようにしていただきたいと思います。あくまでも、一件一件の組成する案件が全て毀損してはいけないとは言いませんけれども、全体としての収益を確保できるようにしていただきたい。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは高田委員、お願いいたします。

〔高田委員〕お役所の方々と、それから各機関の官民ファンドのご説明、どうもありがとうございました。

こういうコロナ禍の状況でもありますので、特に海外との関係が、なかなかいろんな意味で困難な状況があると思います。ただし、こうしたときこそ、政府のリスクが取れる資金の特性というのでしょうか、長期の視点でもって投資ができるというような本分に立ち返って、そういう意味での投資を着々と進めていただきたいなと思います。

それから、「新しい資本主義」という、政府のいろんな議論がある中で、政府の補完による新しい時代の経済というのでしょうか。これを官民でというのは非常に重要なテーマでもあると思いますので、そういう点を重視していただければと思います。

それから、私もたまたま、A-FIVEに対する農水省の検証の作業にも参加させていただいたのですけれども、そのとき非常に感じましたのは、政策分野のいろんな縦割りというのでしょうか、また政策というようなこともございまして、投資に対する運営経費をなかなか賄うことができなかったという部分が大きくて、その辺はなかなか投資が進んでいないという部分がやっぱり多かったと思います。また、ポートフォリオの分散が効きにくいという部分が大きかったかと思います。

当然のことながら、理財局のお作りになった資料の中に経費の分析等もございまして、経費の例えばオフィスでありますとか人件費でありますとかという部分は、私も非常に重要だとは思うのですけれども、そういったところで萎縮するのではなくて、逆に拡大志向的に、投資がいかに伸びるのかというようなところに立ち返っていかないと、なかなかこの部分というのはうまくいかないということなのではないかと私は非常に感じています。そういう意味では、できるだけ、これはどこの官民ファンドにしてもそうなのですけれども、制約を除いて、もしくは場合によっては縦割り的なものも減らしながら、少なくとも趣旨にかなうような形での投資を拡大させるということが、やはり官民ファンド、特に政府の資金という、長い資金を生かした中での重要なところなのではないかと思います。

たまたま、私の場合は、総務省さんからのJICTに対するヒアリングも頂きましたので、その関連で申し上げますと、そういう観点から言えば、先ほどご説明もございましたように、ハードインフラだけではなくてICTでありますとか、そういう面も含めての広がり、それからLP投資も含めたネットワークというのでしょうか、こうしたものを広げていくというようなことも含めての対応というのは、1つのあるべき姿だとは私は思っております。そういう点からしますと、ほかのところなどもそうなのですけれども、今後、場合によっては様々なものを、制約みたいなものを取り外しながら対応していくということが、当初の枠組みとは多少離れるにしても、今後の対応がやっぱり必要なのではないかと思います。

それから、先ほど江川委員からございましたように、場合によっては、今後については、ある程度、合理化というか共通化できるようなところのバックオフィスというか、そういったところなどについては、共同化みたいなものがやっぱり必要になってくる可能性もあるのではないかなと思います。いずれにしましても、どうしてもこれだけ各分野ごとになっている中での制約があるわけなので、そういったところの専門性というものを考えつつも、共同で対応できるなどというようなことも含めながら、これも長い視野になろうかと思いますので、単に我々もモニタリングだけではなくて、仕組みみたいなものもどうしていったらいいのかというようなことも建設的に考えていくことが必要ではないかなと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは野村委員、お願いいたします。

〔野村委員〕1点コメントで、1点質問です。

先ほど何人かの委員の方から言及がありましたが、「新しい資本主義」の中で官民ファンドをどう考えるかということですが、私の理解では、これまでの株主第一主義からステークホルダー主義への転換を目指そうというものではないかと理解しております。そういう中では、やはり多様なステークホルダーにとってプラスになるという視点をさらに重視していこうという中で、官が民をサポートしていくという重要性が増していると思います。もちろん、土居委員がくぎを刺されたように、それを、何というか、調子に乗ってはいけないわけですけれども、官民ファンドの役割というのをもう一度、ステークホルダー主義というところから問い直す時期なのかと思っております。

それから質問です。幾つかのファンドで、今後、アフターコロナを見据えてというコメントがありましたが、林田委員がおっしゃるように、ではアフターコロナ、構造改革した後、どうなのかということを、そろそろお伺いしたい。アフターコロナの新しい価値観とか生活様式が少し見えてきたところで、どんな新たなニーズを感じていて、どんなビジネス機会を感じているのかということについて、先ほどそれについてコメントがあったJOINさんと、あとクールジャパンさんに、時間も限られているので、できたらその2つのファンドにお伺いしたいと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは原田委員、お願いします。

〔原田委員〕ありがとうございます。

官民ファンドの収益構造に関する指標ですとか、いろいろ経費の数字ですとか、挙げていただいていて、モニタリングできる体制は整っていると思います。ですが、皆さんおっしゃるところは同じですけれども、ガバナンスがどう機能しているか、どう実施されているかということについては、数字には表しにくいところではありますけれども、その点について、もう少し踏み込んで書いていただくことがあってもいいのではないかと感じております。この点について、何か具体的に挙げていただけることがあればと思います。先ほど田中さんの説明でも、ガバナンス強化とおっしゃっておられましたけれども、適切に機能しているのかということは分かりませんし、クールジャパンでは役員の入替えもありましたので、どういう形で責任が全うされているのかというところについてはお伺いしたいなというところです。

JICTにつきましても、資料2-4の4ページ目にありましたが、経営執行体制の強化と書いてありますけれども、それ以上のことは何も書いてありませんし、資料2-1の論点のところでも、ガバナンスがどうなっているのかということは、質問事項、論点として挙がっていますけれども、どこからも、具体的にどうしていますということがお示しいただけていないように思いました。

コロナという予期せぬことはありますけれども、大分、状況としては厳しい、投資実績が計画を下回っているという状況で、先ほど江川委員もおっしゃっていましたが、もう何年も前から、実績を伴わないのだったら縮小ということを考えようという議論が再三ありました。ですが、あまりまだそこのところが危機感を持って語られていないように思いました。その点とガバナンスについて、もうちょっと具体的な言葉でお示しいただければというお願いになります。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは工藤委員、お願いいたします。

〔工藤委員〕ありがとうございます。

今もお話がありましたが、政策的な意義のある必要な支援というのは粘り強く継続していただきたいと思う一方で、ファンドとして可能な範囲での効率化を行う努力というのもしっかり続けていただくことが重要だと思っております。お話がありましたが、バックオフィスの統合など、以前からお話しさせていただいているかと思うのですけれども、今回、クールジャパン機構では、足元で人件費や家賃などの減少が確認でき、着実にコスト削減の取組を進めているとお話しいただいて、そこは理解いたしました。累積損失の大きいファンドについては、投資計画の達成状況だけではなく、コスト削減の取組についてもしっかり検証していく必要があると思っています。比較的順調に回っている官民ファンドと、設立後の経過年数をそろえて、投資規模やコストを横比較してみるというようなことも、1つのペースになるのではないかと思います。

また、今回コストが低下している、費用、経費が低下しているということのお話があったわけですけれども、コロナ禍も受けた行動制限等に伴う一過性のものではないということも確認いただきながら、持続的なコスト削減になっているかという点も注意して見ていく必要があろうと思います。

以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは家森委員、お願いいたします。

〔家森委員〕ありがとうございます。

海外交通・都市開発事業支援機構の資料の2ページの最後のところで、案件組成に当たって、内在するリスクが発現する場合に備えて検討すると書いているのですけれども、やはりこういうリスクというのは、ポストコロナを見ると、検討ではなくて具体的にどうするかということを、もう決めていただく必要があるのではないのかなと思いますということです。

それから、もう一つは、6ページに、今回の案件、上期の案件で、多分、機構が考えられているような感じの海外での交通網の交通に関することというので、どんぴしゃ的な仕事をされているように、私には素人的には見えるのですけれども、これについて、呼び水として、49.8%とか33.2%と書いているということは、例えば55億円出資されているということは、日本の民間が50億円ぐらい出した程度の事業規模なのか、もっと大きな、さらにキャピタル以外でも出ていて、大きくなっているのかというところなど、民間呼び水効果的な政策効果がどうなっているのかも教えていただきたいと思いました。

以上です。

〔翁分科会長〕それでは、いろいろな質問、意見が出ましたけれども、ご回答をお願いします。まずA-FIVE、それからクールジャパン、JOINと、ご発表いただいた順にお願いいたしたいと思います。

それでは、まず、A-FIVE関連からお願いいたします。

〔農林漁業成長産業化支援機構高橋取締役専務〕A-FIVEの専務の高橋でございます。冨田委員から3点ご質問がありましたので、順次お答えさせていただきます。

1点目は、A-FIVEの投資と併せて誘発された民間の投融資について、どの程度、傷んでいるのか、把握しているのかというご質問だったかと思います。民間投融資額の大半はサブファンド出資ですので、私どもの出資と合わせて、同額を民間出資する仕組みのものが大半でございますけれども、それぞれの評価なり減損処理といったものにつきましては、それぞれのサブファンドで判断するという性格のものでもございますので、私どものほうでそれを累計したような数字は持ち合わせていないのが現状でございます。

2点目は、雇用の効果について、出資先での雇用について、破綻したようなところも含んでいるのかというご質問だったかと思います。この雇用人数については、これまでの出資先の累計でございますので、残念ながらそういう、経営が不振に至ってしまったようなところの状況の雇用数も含んだ数字となってございます。

3点目、コロナの影響はどうなのかということだったかと思います。コロナにつきましては、私どもの出資先も、この経済状況の中で、同じように厳しい状況がございますけれども、いろんな金融的な政策支援であったり、あるいは私どもも、直接お金は出せませんけれども、いろいろなツールの提供といった経営支援の形でフォローしておりまして、幸いというか、コロナ禍で、そういう意味で破綻に至った出資先というのはございませんので、直ちにコロナの影響が出ているわけではないといった感じかと受け止めてございます。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。冨田委員、何かコメントがありましたらお願いします。

〔冨田委員〕それでは、民間でどれだけロスが出たとか、それについての民間出資者の評価とかは伺っておられないということなのでしょうか。

〔農林漁業成長産業化支援機構高橋取締役専務〕お答えいたします。直接、個々の具体について話を聞いているというわけではございませんけれども、当然、出資先の、例えば破綻があって、出資を引き上げる決定などをするときは、私どもの出資分と合わせて、サブファンド出資分についても意思決定がされますので、例えば経営破綻したところは、私どもが回収できないのであれば、サブファンドも回収できないという意味で、そこで共通の認識が立ちますので、そういう意味での破綻先の評価と、先ほど数字の額としては把握しておりませんというお話を致しましたけれども、出資先がどういう状況かということについては、私どもと、併せて出資している地銀なりと、基本的に同じ目線で見ているということだと考えております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕よろしいですか。それでは、クールジャパンから順番にご回答をご説明いたします。

〔経済産業省商務・サービスグループ田中政策統括調整官〕経済産業省です。

まず、クールジャパンについてご説明いたします。複数の委員の方々からご指摘いただきました、アフターコロナを見据えて中長期的な価値観、どういったニーズに応えていくのかというご指摘がございました。クールジャパン政策そのものを再構築していくということで、今年の7月に戦略が出ていまして、そこにおきましてもご指摘いただいたように、社会の価値観、人々の価値観の変化に対応していくこと、具体的には、自然、エコ、SDGsといった流れに向けて対応していくことというのが1つ。もう一つは、例えば輸出からインバウンドへの好循環の構築といったこともご指摘されています。例えば、日本の製品を輸出することによって、海外の方々の関心を高め、それが日本へインバウンドを誘発するというようなこともご指摘を受けていますので、こういったことに資する事業に我々は取り組んでまいりたいと考えております。

もう一点、ガバナンスの点についてもう少し何か言えないのかというご指摘がございました。組織ガバナンスといたしましては、ご説明しました、今年の6月に新しい役員を選任いたしまして、既存の案件のバリューアップもちゃんとできる、経営や投資に精通した新たな役員をお迎えした次第でございます。加えて、そういう観点からは、やっぱりバリューアップというのは重要でございまして、CJ機構の中にバリューアップ専門チームというのをつくり、新しいところのみならず、既存のやつについてしっかり見ていってバリューアップしていくということもやっておるところでございます。

もう一点、Spiberについてご指摘がございますので、それはクールジャパンからご説明申し上げます。

〔海外需要開拓支援機構頼高常務執行役員兼CIO〕Spiber社への官民ファンドの投資の意義ということでご質問いただきました。Spiber社は、まず我々は18年に投資をしております。既存投資家としての、まずフォロー投資ということになります。

それで、今回、米国の量産化というステージで数百億円の調達規模になりました。この中で、日本の、本来であればベンチャーキャピタルさんも含めて、投資候補としてはあるかもしれませんが、100億円単位で投資をする機関投資家というのは、残念ながら、なかなかいない中で、Spiber社さんからも、リード投資家として検討していただきたいというお話があり、我々も呼び水効果の一つとして、本件、さらにまた、数少ないユニコーンの日本のベンチャーとして期待されているところでございます。こういったことも考えまして、官民ファンドだから取れるリスクであり、官民ファンドの存在意義・投資の意味だということで、投資をさせていただいたという次第でございます。

〔翁分科会長〕土居委員から要求額についてのご質問もありまして、そこについてもお願いします。

〔経済産業省商務・サービスグループ田中政策統括調整官〕すみません。基本的には、投資予定の案件がどれだけ見込まれるか、そのニーズの資金ニーズがどれだけ集まっているかを踏まえまして、財務省に要求させていただいております。これから査定でございますけれども、ちゃんとした計画、我々が改善計画をつくったものがございますので、それを実現するだけの予算はお認めいただければと思います。以上です。

〔翁分科会長〕それでは、次に、JOINですね。よろしくお願いいたします。

〔国土交通省山上国際統括官〕JOINの関係でございます。まず、国土交通省から、財投要求についての考え方をお答えいたしまして、後ほどJOINから、JOINに対して行われた質問に対してお答えいたしたいと思います。

財投要求でございますが、令和4年度の財投要求については、令和3年度の計画額と比較しまして、約2割増の要求をさせていただいております。資料2-3の1ページのグラフをご覧ください。平成29年度に155億円、30年度に236億円、そして元年度に389億円の投資を実行いたしました。令和2年度こそ、コロナ禍の影響で156億円という投資額になっていますが、コロナ禍が終息に向かえば投資も回復すると考えてございます。また、交通・都市開発のインフラの需要につきましては、成長中の東南アジア、南アジアをはじめ、大変旺盛なものがございまして、今後、大変急速な需要の伸びが期待されています。それに加え、現在、新しい海外展開戦略で打ち出しているデジタル技術を活用したインフラの海外展開、あるいはカーボンニュートラルの関係にも注力しようとしてございます。先ほどご示唆いただきましたように、今回、北米の高精度デジタル道路地図整備事業を支援決定しましたが、この事業はまさに自動運転に必須のデジタルのインフラということで支援してございます。現在、JOINに対しては、交通・都市開発を合わせまして、年間100件程度の相談をいただいており、民間企業のご要請も大変重要なものがございます。したがって、そうした状況を踏まえ、かつ個別の投資案件の積み上げで見積もりまして、現在の要求額にさせていただいているということでございます。

〔海外交通・都市開発事業支援機構稲川専務取締役〕続きまして、ほかの質問に関して、回答申し上げます。

まず、アフターコロナを見据えて、我々にどういう新たなビジネスが生まれるかということですけれども、既に起こっている変化としては、通販等の利用者が増加しておりまして、それに伴う物流インフラ、それに対するニーズというのは、もう既に出てきております。今後どんなことが起こるだろうかということで、我々が今考えて期待しているところとしましては、密の回避や自動化、あとは、そういったものを遠隔操作などということが、今後進められる中でのスマートシティというような都市づくりとか、あとは非接触型の公共交通サービス、これは先ほど財務省の方からもお話がありましたけれど、MaaSとか、そうした取組が加速していくのではないかということ。さらには、日本もそうですけれども、テレワークがこれからも継続して行われるという前提になりますと、地方での都市開発とか交通インフラの整備といったものに関するニーズも高まってくるのではないか。さらに、感染拡大がこれから継続的に起こるということであれば、より公衆衛生を意識した施設などの建設、例えば下水道の処理とかそうしたもの、そういったところにも我々の新たなビジネスの機会があるのではないかと考えております。

2つ目、ガバナンスに関してですけれども、ガバナンスはいろいろなデフィニションがあるかと思うのですけれども、我々JOINの中では、この1年の間で、コーポレートガバナンスグループというグループ、あまり大きな所帯ではないので少人数ですけれども、社内のガバナンスを見直すことを専門にやるメンバーを抽出して、そこでガバナンスの見直しを行っています。さらに、社長直下に経営会議というものを設置しまして、ほぼ隔週で、社内でいろいろな、特にガバナンスとか経営全般の課題について、比較的ざっくばらんに議論して、社内のガバナンスの強化を図っております。

あと、内在リスクが発現する場合の体制の強化ということでございますけれども、JOINは設立してほぼ7年が経ち、約30件の投資件数、ポートフォリオになってまいりました。そうした状況を踏まえ、より全社的なポートフォリオ管理をどう強化していくかということ、また支援事業のリスク管理をどう強化していくか、現在、チームを立ち上げて、社内で検討しているところでございます。

最後に、6ページの呼び水効果に関して、これはご質問のとおり、JOINが北米の高精度デジタル道路地図整備事業への支援決定額が55億円であり、出資割合が50%弱ですので、呼び水として同水準、若干プラスアルファの呼び水効果を見ております。

以上でございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは、最後にJICTですね。よろしくお願いいたします。

〔総務省田原国際戦略局長〕JICT関係で、まず令和4年度財投要求の関係で、総務省からご説明させていただきます。

令和4年度の要求枠でございますけれども、令和3年度に比べれば大きなものになってございますけれども、それまでの令和元年・2年程度の投資は必要になるだろうということと、あと個別の案件、インフラ整備を伴うものについては、一件一件の案件が大きくなる傾向がございます。それで、幾つかそういった案件についても既に調整中のもの等ございますけれども、それが成案になれば、一つ一つの案件、100億円オーダーになってくるということで、そういうものを踏まえると、この程度の額は必要になると。さらに、投資範囲の拡大ということで、インフラ整備を伴わないICTサービス事業ですとか、LP投資というものを考えて調整している中で、この程度の額は必要であるということで要求させていただいているところでございます。補足及びこのほかについては、JICTの大島社長からお願いいたします。

〔海外通信・放送・郵便事業支援機構大島代表取締役社長〕ありがとうございます。JICTのファンド社長に6月末に就任いたしました大島でございます。よろしくお願いいたします。

原田委員からのご質問で、経営体制ガバナンス強化ということに関してでありますけれども、設立後5年余がたったというところで、全面的に見直しを致しまして、先ほどのお話と同様ではありますけれども、私どもも経営会議を設置して、全社的な課題に会社として取り組むという体制を既に整備済みでございます。投資とモニタリングにつきましては、投資の取上げ時の戦略会議、またモニタリング会議等につきまして、これは実際の金融機関等での経験も踏まえて、実効性のある投資判断とモニタリングの体制を整えてございます。

それから第2にリスク管理体制につきましては、全てのポートフォリオをもう一度見直しまして、バランスシート全体でのリスク・エクスポージャーの状況を試算するということで、案件投資力が十分であることを確認するというようなことも行っております。加えまして、資料ですと4ページ目にございますけれども、下段にあるような、エコシステム等のビジネスモデルイメージも抱きながら、ソーシング、案件発掘の体制を強化しているところでございます。こちらに関しては、システム等を既に導入済みのセールスフォース等も使いながら、広く案件の発掘活動を把握するとともに、金融機関あるいは総務省はじめ社外とも連携しながら、協働するような機会も伺いながら、さらに、我々がサポートできる領域を広げていきたい。このような取組を既に行っておるところでございます。

以上、私からの補足になります。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。土居委員。

〔土居委員〕すみません、追加で。

ご説明、どうもありがとうございました。財投要求についてのご説明は必ずしもそれで全部納得したと言うつもりはないのですけれども、精査に当たって、理財局におかれては、投資計画よりも上回る要求がある場合は、そもそも今日、それぞれ3機関から出てきた投資計画でも、一応、Jカーブというか、累積損益はいずれ黒字になるということであるならば、無理して投資するという必要があるのかどうかということ。それから、逆の場合もあって、投資計画どおりにすればJカーブで、いずれ黒字になるけれども、無理して投資しなくてもいいのに要求してくるということであってはいけませんので、投資規模と、それから今後の累積損益の見通しというものを、うまく整合性が取れるような形で財投計画を立てていただきたいと思います。以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。今、土居委員のご指摘もありましたし、今日、様々な委員のご指摘がありましたので、ぜひそれを活かしてやっていただきたいと思いますが、また、あと共同化とかシステムの統合の議論はずっと出ているんですよね。これは財務省としてしか横断的に見えないわけですので、そこはしっかり、ちょっとまたご検討いただきたいと思うのですが、もし企画官から何かございましたらお願いいたします。

〔笠原財政投融資企画官〕今、触れていただきました共同化という話につきまして、これまでもいろいろご議論いただいているのは承知しておりますので、今後、ポストコロナで、また投資対象とかいろいろ新しい動きもございます。それを踏まえた上で、どういう役割分担があるのか、その辺りをちょっと、議論を詰めさせていただければと思っております。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは、今日のところでは、この辺りで、官民ファンドについては質疑を終了したいと思います。

4つの官民ファンド及び、その関係省庁の担当部局の皆様、どうもありがとうございました。ご退出いただければと思います。

すみません。まだもう一つ、大きなものが残っていて、このまま続けさせていただきますが、少し延長させていただきます。もし次がおありの方、手を挙げるときに、ちょっとありますということを言っていただければ、優先的に指名させていただきますので。20分ぐらいオーバーするかもしれませんが、よろしくお願いいたします。それでは関口さんから。

(CJ、JOIN、JICT、A-FIVE退席)

〔翁分科会長〕よろしいですか。令和3年度財政投融資計画補正等につきまして、ご説明を課長からお願いいたします。

〔関口財政投融資総括課長〕総括課長の関口でございます。手短にご説明します。議案の第1号から第3号までございますので、議案関係説明資料に沿ってご説明させていただきたいと思います。

資料の1ページ目をご覧いただければと思います。令和3年度補正予算における財政投融資計画の追加について、先週金曜日の11月19日に閣議決定されました「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づきまして、科学技術立国の実現に向けた積極的な投資を促進するとともに、防災・減災、国土強靱化の推進を図ることとしまして、財政融資9,200億円、政府保証21億円の合計9,221億円を追加することとしてございます。具体的な内容は、後ほどご説明させていただきます。

2ページ目をご覧いただければと思います。令和3年度当初計画額40兆9,056億円に、今回9,221億円を追加しまして、補正後の計画額は41兆8,277億円となります。

3ページ目をご覧ください。計画額の推移でございます。一番右端でございますけれども、今申し上げたとおり、令和3年度では40.9兆円に0.9兆円を加えまして、合計で41.8兆円の計画額となっております。なお、ご参考までですけれども、足元の財政投融資計画の実行状況を申し上げますと、令和2年度では計画額に対して最終的に38.1%の実行率でございました。令和3年度におきましては、新型コロナウイルス感染症関連融資の資金需要に落ち着きが見られることなどによりまして、9月末時点では8.9%の実行率となっているところでございます。

4ページ目をご覧ください。各計画の具体的な内容でございます。資料左側でございますが、イノベーション関連等の推進ということで、風力発電ですとか物流機能高度化といったことを支援するために、日本政策投資銀行に対して措置します財政融資6,000億円の内数で対応することとしてございます。続いて右側でございますけれども、空港における脱炭素化の推進としまして、新関西国際空港株式会社に対して財政融資200億円、中部国際空港株式会社に政府保証21億円を措置することとしてございます。これは、先月10月に閣議決定されました地球温暖化対策計画におきまして、幅広い事業分野や家庭において、2030年度までのストックベースでの100%LED化が目標とされてございます。国土交通省におきましても、2030年度までに、航空灯火LEDの導入率100%を目指すこととしてございまして、現時点で導入率が低い関西国際空港、大阪国際空港、中部国際空港において取組を進めるための措置でございます。

なお、法律上、財政融資が、民間出資のある会社には出すことはできないということになっていますので、政府が100%株式を保有してございます新関西国際空港株式会社に対しては財政融資を出すことができますけれども、民間出資が入ってございます中部国際空港株式会社に対しては、政府保証のみが措置できることとなってございます。

5ページ目をご覧ください。防災・減災、国土強靱化の観点から、現下の低金利状況を活かすこととしまして、資料左側でございますけれども、高速道路の暫定2車線の4車線化を実施するために、日本高速道路保有・債務返済機構に財政融資3,000億円を措置するとともに、資料右側になりますが、送配電網の整備ですとか、高架橋等の耐震整備などを支援するために、日本政策投資銀行に対して措置する財政融資6,000億円の内数により対応することとしてございます。以上が補正の内容でございます。

続きまして、今回の補正の内容ではございませんけれども、経済対策に盛り込まれた財政投融資に関するものを、ご参考として紹介いたします。7ページをご覧ください。いわゆる大学ファンドでございますけれども、経済対策に盛り込まれた内容を資料右側に記載してございます。下線部のところのみご紹介させていただきますと、一番上ですが、世界最高水準の研究大学を形成するためと目的を明確にさせていただいてございます。それから、財政融資資金の償還確実性の担保の観点から、償還期には過去の大きな市場変動にも耐えられる水準の安定的な財務基盤の形成を目指すとさせていただいております。それから、本ファンドの支援に当たっては、参画大学における自己収入の確実な増加とファンドへの資金拠出を慫慂する仕組みとし、世界トップ大学並みの事業成長を図る。将来的には、政府出資などの資金から移行を図り、参画大学が自らの資金で大学固有基金の運用を行うことを目指すとさせていただいています。さらに、下に注釈がございまして、大学ファンドの財務の健全性を確保しつつ、安定的・継続的な支援の仕組みを構築する。政府の会議体を通じて国の資金が政策目的に沿って適切に使われているか確認し、大学への支援額の決定等を行う。続きまして、大学からの資金を払い戻す場合には、要件を満たした上で、大学ファンドの安定的な財務基盤を確保しつつ段階的に行うといったことが盛り込まれているところでございます。大学ファンドにつきましては、本日は経済対策における記述の紹介だけにとどめさせていただいて、後日、分科会においてご議論いただく場を設けたいと思ってございます。

それから、続いて8ページ目をご覧いただければと思います。経済安全保障にも直結します重要基盤である先端半導体の安定的な国内生産を促進するための金融支援が盛り込まれてございまして、具体的には、日本政策金融公庫を通じて長期・低利の融資を実施することとしまして、今後、経済産業省などの関係省庁において法改正など所要の手続を行った上で、日本政策金融公庫に新たなツーステップ・ローン制度が創設される見込みとなってございます。

以上が説明でございまして、今申し上げたような補正に関する内容を、議案第1号から第3号に反映してございます。議案第1号が、財政投融資計画の補正でございまして、原資別・機関別に一覧にしたものでございます。続いて議案第2号が、財政融資資金のみを抜き出した財政融資資金運用計画でございまして、今回の補正追加見合いの変更についてお諮りするものでございます。続いて議案第3号が融通条件の変更でございまして、当初計画に計上していない新関西国際空港株式会社への融通条件を追加するものとなってございます。

私からの説明は以上であります。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは、ご説明を踏まえまして、委員の皆様から本議案についてご意見がございましたらお願いいたします。林田委員、お願いいたします。

〔林田委員〕ありがとうございます。議案関係説明資料の4ページですか。ここに、例えば風力発電等の再生可能エネルギーのプロジェクトというのが挙がっていて、もともと9,000億円の財政融資を6,000億円積み増しするという、非常に大きな積み増しになっています。ここに成長分野の資金需要に対応するとありますけれども、例えば、風力発電などの再生エネプロジェクトというのはどういう形で日本経済の成長に資するのかというところが、簡易な説明資料は結構なのですが、その辺りがよく分からないなと。別に再生エネルギーというのを敵視しているわけでもないし、伸ばせるものなら伸ばしたほうがいいとは思っていますが、例えば政府が期待している洋上風力などはまだ実証実験の段階を出ておりません。それに陸上風力・太陽光といったものはFITもあって、適地が非常に不足していると。それに、景観の問題でありますとか土砂崩れの危険が起きるとか、いろいろな問題があって、むしろ迷惑施設というふうに受け取られ始めていると。そうそう大きく伸ばせる状況にはない。それが、さらりと成長分野と書かれていることに少し戸惑いを感じています。イノベーション・グリーン・デジタルといった成長分野と書いてありますけれども、こうしたキーワードを並べて、それすなわち成長分野ですよと短絡的に結びつけていると取られても仕方がないので、こういったところはしっかりと肉づけをして、分かるように説明してほしい。何か、ポンチ絵とか、風力発電の風車の写真を張りつけて、それっぽさを出すというのではなくて、もう少し、資料を作るなら、分かるように作っていただきたいというのが1点です。

それから、先ほど説明のあったLED、空港ですけれども、これが科学技術立国の実現というものに入っているのはどうにも理解できないと。これは、資料を以前頂いたときに事務局に説明を求めましたが、その説明は、大まかに言いますと、温暖化対策を講じて成長につなげるのは喫緊の課題ですねと。それはそのとおり。あと、グリーン関連施設は科学技術立国実現に資する施策ですと。それもそのとおりです。しかし、既に汎用化しているLED照明を導入する、それに付け替えるということが、今後の科学技術立国の実現にどう結びつくのかと。新たな技術革新の呼び水になるのかというと、とてもそうは思えないと。むしろ、消費電力を削減しCO2削減につなげるという環境政策の分野に割り当てるべき施策ではないかと私は思います。

何を細かいことかと思われる方もいると思いますけれども、大事なことなので申し上げます。補正予算というものは、えてして、いろいろな政策を各省から寄せ集め、規模を確保するという、やや乱暴な編成になることが多いということです。財政に関しては、危機に乗じて何でもありの風潮になるという、これは厳に戒めるべきだと思っています。貴重な財源を使う以上、財政当局は、要求側が適正な項目で要求をしているのかをしっかり見定める必要があると思います。先ほど私が受けたような納得感の薄い説明で、要求側の主張を擁護するようなことでは、私としては甚だ残念です。

昔のことを言いますと、大蔵省時代から、財務省は厳しい査定を通じて、霞が関の最強官庁と呼ばれました。先輩の主計局の人は、記者レクで整備新幹線の要求に対して、こんなものを通したら、戦艦大和などと並ぶ昭和の3大ばか査定になると公言して、当時の新幹線推進の政治家から大いにたたかれたという方もいました。何もそこまで言う必要はありませんけれども、コロナ禍の中、何でもありという風潮が広がりつつある中で、今こそ賢い支出が求められていると思います。実務面でその番人役を務めるのは財務省の官僚の方々をおいてないと思います。ですから、雑な要求であるとか、先ほど土居委員がおっしゃられた悪乗り、便乗要求、エビデンスに基づかない政策といったものについて、毅然としてはねつけるという覚悟を持って職務に当たっていただきたいというお願いをしたいと思います。以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございました。それでは冨田委員、お願いいたします。

〔冨田委員〕今の林田委員のご意見なのですけれども、私も、もっともな点もあると思うのですけれども、今の脱炭素の問題は極めて大きな長期的な課題もあって、国際的な課題で、我が国は、先般、閣議決定されました「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」の中で大きく打ち出されています。それで確かに、もっと詳細な財投としての要求についてどう考えるかというのがあってしかるべきだとは思うのですけれども、これについてそれほど大きな違和感はなくて、確かに、施策として科学技術立国の実現という中に区分けされているのですけれども、脱炭素ということでの大きなくくりだと思うのです。だから、それほど私には、林田委員の持たれているような強い違和感はございません。

〔林田委員〕それについて。

〔翁分科会長〕どうぞ。手短にお願いします。

〔林田委員〕別に反論というわけではないのですが、私も脱炭素は必要だと思います。ただ、政策をやる以上は、しっかりとしたカテゴリーで交通整理をして、それをちゃんと分かるように説明する資料を作って、国民の納得を得ながらやっていかなくてはいけないのかなと。それが、やっぱり財政をいたずらに膨張させることを防ぐ、1つの踏むべき手続ではないのかなというので、あえて申し上げました。本意としては、そういうことです。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは原田委員、お願いします。

〔原田委員〕ありがとうございます。時間も大幅に延長していますので、1点だけ、手短にお伺いします。

日本公庫の特定事業等促進円滑化業務を通じてのツーステップ・ローンについてなのですけれども、公庫には、複数の分野でツーステップ・ローンがありますけれども、今回の業務については、公庫の融資分野にそぐわないように感じております。国民・中小・零細ではないというイメージです。ですので、今回は例外と考えてよろしいのでしょうかということをちょっとお伺いさせてください。そして、長期・低利とありますけれども、今の時点でどのくらいの期間でどのくらいの金利なのかというのが分かっているようでしたら、それについても教えていただければと思います。お願いいたします。以上です。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは土居委員、お願いいたします。

〔土居委員〕今、林田委員の、それから冨田委員のご発言に触発されて言うのですが、時間がないので手短に申し上げますと、経済対策という話になると、何かと国債を増発して、その規模を大きくすることが勇ましいというような風潮があるという点は、林田委員と全く同じ危惧を持っています。その際に、今回は少なかったのですけれども、何かと真水という妙な日本語が横行します。いや、真水というのは、財政投資を含んでいない、一般会計、それから地方自治体の歳出のことを指すらしいのですが、本当に経済政策の効果ということを考えれば、財投債で出して事業を営んでも、建設国債で事業を営んでも、結局のところは、国債を発行して事業を営むという意味では全く同じである。そこに、林田委員がおっしゃったような、主計局なりの厳しい査定というものは結構ですけれど、そういうものが働くという面もあるし、いや、理財局として、償還確実性という別のアングルからの査定というのも働くということで、それぞれの役割というのがしっかりあると。それを混同してもらいたくない。いや、財務省の方はそれは混同していないと思うのですが、政治家が、真水とかそういうことにこだわるがゆえに、とにかく真水が多ければそれでいいみたいな、財政投融資では駄目なんだみたいなことを言う時期があったので、今回はそれほど規模も大きくないからというのはあるんですけど、財政投融資でたくさん経済対策を出したときに、一般会計のほうが、それほど収支が傷まなくてよかったというのはあるのだけれども、財政投融資は財政投融資で、利用者負担を求めるということ、それから償還確実性を求めるという意味において、事業の規律を持たせる意味で非常に大事な機能を持っているわけなので、真水という言葉に惑わされずに、建設国債・財政投融資をうまく役割分担をして経済対策をやっていただきたいと思います。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは、原田計画官、関口課長からご説明、ご回答をお願いいたします。

〔原田計画官〕私からは、原田委員の公庫のツーステップ・ローンの話ですね。何で公庫からなのかという話なのですけれども、このように目的を定めてツーステップ・ローンを出して、指定金融機関、これは指定金融機関がどこになるか決まっていませんけれども、政投銀なり、ほかの金融機関なりになりますが、指定金融機関から事業者に貸付けていくと。つまり貸付けに係る個別の判定は指定金融機関が行うのであり、公庫はツーステップ・ローンをそのまま貸付けるという機能を有することになります。ということで、おっしゃるとおり、もともと公庫の機能ではないので、法律を整備して、指定金融機関を定めて、指定金融機関にツーステップ・ローンを回していくという業務を増やすということになっています。この半導体だけではなく、ほかのエネルギーの分野でも造船の分野でも、こうしたものを一つ一つ立法して、ツーステップ・ローンをやらせていくというのが今までもございました。

それで、長期かどうか、その金利条件としては、金利は財投金利で、貸付期間は5年以上ということになってございます。

この件に関して私からご説明いたしました。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。それでは関口課長、お願いします。

〔関口財政投融資総括課長〕頂いたご意見はそのとおりだと思いますので、よく肝に銘じて、しっかり対応していきたいと思います。ありがとうございます。

〔翁分科会長〕ありがとうございます。この議題についての審議はここまでとしたいと思います。

令和3年度財政投融資計画補正等3案について、本分科会として了承することについていかがでございますでしょうか。よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

〔翁分科会長〕ありがとうございます。今までの意見をきちんと踏まえて、今後もお願いしたいと思います。

本日の議事はここまでといたします。そして、ご議論いただいた内容のほかに追加のご意見、ご質問がございましたら事務局までお寄せください。

本日の議事内容につきましては、別途事務局より記者レクを行います。

議事録については、委員の皆様のご了解を頂いた後、財務省ホームページに掲載いたします。次回の開催日程は、後日事務局よりご連絡いたします。

本日も不手際で、また遅れてしまいましたが、本当にどうもありがとうございました。

それでは、これで閉会いたします。ありがとうございました。

15時49分閉会