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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和2年11月20日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和2年11月20日(金)14:00~15:47
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開

  • 2.令和3年度財政投融資計画の編成上の論点

    • 1地方公共団体

      質疑・応答

    • 2官民ファンド

      質疑・応答

  • 3.閉

配付資料

資料1説明資料(地方公共団体)
資料2-1説明資料(官民ファンド)
資料2-2

官民ファンドの投資計画に対する進捗状況等
(経済産業省、(株)海外需要開拓支援機構)

資料2-3

官民ファンドの投資計画に対する進捗状況等
(国土交通省、(株)海外交通・都市開発事業支援機構)

資料2-4

官民ファンドの投資計画に対する進捗状況等
(総務省、(株)海外通信・放送・郵便事業支援機構)

資料2-5

官民ファンドの投資計画に対する進捗状況等
(農林水産省、(株)農林漁業成長産業化支援機構)

出席者

分科会長

池尾和人

伊藤財務副大臣

大鹿理財局長

窪田理財局次長

湯下総務課長

関口財政投融資総括課長

石川管理課長

小澤計画官

大関計画官

堀納資金企画室長

笠原財政投融資企画官

百合

高田

渡部賢一

臨時委員

冨田俊基

中里

林田晃雄

原田喜美枝

専門委員

川村雄介

工藤禎子

家森信善


14時00分開会

〔池尾分科会長〕それでは予定の時間となりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたします。

本日は、令和3年度財政投融資計画の編成上の論点として、地方公共団体、それからもう1つ、官民ファンドについてご審議いただきます。また、前回に引き続きまして、伊藤財務副大臣にもご出席いただいております。ただし、国会開会中ということもあり、伊藤財務副大臣、事務局側については、やむなく途中退席という場合もありますので、あらかじめご了承をお願いいたします。

それでは、まず地方公共団体について、大関計画官より要求の概要及び編成上の論点について、説明をお願いしたいと思います。

それでは、よろしくお願いします。

〔大関計画官〕計画官の大関でございます。よろしくお願いいたします。

地方公共団体向け財政融資について、ご説明いたします。資料1の1ページをご覧ください。この目次に沿いまして、地方公共団体向け財政融資の現状と基本的考え方、令和3年度要求の概要、編成上の論点の順番でご説明させていただきます。

まず、資料の3ページをご覧ください。こちらは地方公共団体向け財政融資の現状と基本的考え方でございます。このスライドは地方債計画の推移を資金別に示したものでございます。大枠の傾向といたしましては、総額、それから財政融資資金のいずれもほぼ段階的に規模が縮小いたしまして、近年は横ばいとなっております。

続いて4ページでございますが、こちらは地方向け財政融資資金の推移を事業別にお示ししたものでございます。令和元年度及び2年度におきましては、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に基づき新設されました防災・減災・国土強靱化緊急対策事業に積極的に対応することとしましたため、少し増加しております。また、その下の緑の部分でございますが、こちらは臨時財政対策債でございます。こちらについては一貫して財政融資資金の引受けを減少させてきております。これらを除いたところについては、近年は同水準で推移している状況でございます。

続いて5ページをご覧ください。こちらのスライドは臨時財政対策債を除いた財政融資資金の事業別の貸付割合の推移を示したものでございます。近年の貸付けにつきまして、平成20年度と比較いたしますと、災害復旧事業の割合が3倍になっております。それから昨年度から新たに計上されました国土強靱化緊急対策事業が全体の10%強を占めているという状況でございます。

続いて、6ページをご覧ください。こちらのスライドでは事業区分ごとの財政融資資金の事業内シェアの推移を示しております。災害復旧事業につきましては、財政融資資金で100%引き受けています。それから辺地及び過疎対策事業も87.2%とその大宗を財政融資資金で引き受けているという状況にございます。また、国土強靱化事業債については5割強、上下水道や教育・福祉施設等整備事業については3割強を引き受けておりまして、財政融資資金が大きな役割を果たしている分野でございます。一方で、地方単独事業につきましては、0.5%とほとんど引き受けていない現状となっております。

これらの現状を踏まえた上で、7ページに検討に当たっての基本的な考え方をまとめさせていただいております。読み上げますと、財政融資資金は段階的に縮減することとされているが、地方公共団体の課題やニーズを踏まえ、災害復旧など国が責任を持って対応すべき分野に引き続き積極的に対応するとともに、国の政策と密接な関係のある分野にも対応していくべきではないか、という考え方でございます。こちらは下段にあります法律や平成26年度の財投分科会の報告書を踏まえたものでございまして、地方向け財政融資の基本スタンスとしております。2点目でございますが、こちらも読み上げさせていただきますと、令和3年度においては新型コロナウイルス感染症による地方財政への影響を踏まえつつ、引き続き民間等資金の補完としての役割を果たしていくべきではないかとしております。こちらについては、現下の新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、税収減などに伴う地方の財源不足などが想定されていることを踏まえまして、編成に当たってはその点への留意も必要ではないかということでございます。

次のページ以降では、こうした考え方に基づきまして編成上の論点について検討してまいりたいと思います。資料の9ページをご覧ください。総務省から提出された地方公共団体の財投要求の概要でございます。こちらは、9月末の段階の地方財政収支の仮試算を踏まえた令和3年度地方債計画案に基づいて要求がなされております。この表の上段に、事業計画実施に必要な資金の合計額という欄がございますが、こちらが令和3年度の地方債計画案の規模となっておりまして、令和3年度要求では15兆4,004億円と前年度から3兆6,668億円の増加となっております。その増加分はほぼ全て臨時財政対策債によるものでございます。新型コロナウイルス感染症の影響により、地方税等の大幅な減収が見込まれることから、仮試算におきまして、臨時財政対策債が令和2年度の3.1兆円から3.7兆円増の6.8兆円計上されているということでございます。財政融資資金の要求額は4兆2,494億円となっておりまして、前年度比1兆3,168億円の増加となっております。なお、例年同様、地方債計画は年末の国の予算編成の状況や地方財政対策を踏まえて最終的な決定を行うこととされておりまして、今後の国の予算編成の内容、それから地方財政を巡る動向などに対応して所要の修正が行われる予定とされております。それから東日本大震災分に係る地方債計画につきましては、所要額の全額を公的資金により確保することとされておりまして、これから年末にかけて別途要求されることとなっております。

次の10ページは地方債計画額と、そのうち財政融資資金の額について、要求ベースと決定ベースの推移をお示ししたものでございます。

続きまして、11ページから13ページにつきましては、参考資料として、令和3年度地方債計画案、それから令和3年度地方財政収支の仮試算に関する資料をつけてございますが、説明は省略させていただきます。

以上が地方公共団体に係る令和3年度要求の概要のご説明となります。

14ページ目からは編成上の論点となります。まず、1点目の論点は防災・減災・国土強靱化等に資する事業への配分についてでございまして、防災・減災や地域インフラなどの国土強靱化対策についての関与の在り方について、ご議論いただければと考えております。

15ページをご覧ください。まず、防災・減災・国土強靱化対策関連事業についてでございます。先ほどの基本的考え方のご説明の中でも触れましたが、防災・減災・国土強靱化3か年緊急対策に基づき措置された国土強靱化債につきまして、令和2年度におきましても、昨年度に引き続き積極的に財政融資資金を配分したところでございます。具体的にはスライドの真ん中あたりの青い枠で囲っておりますのが、防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債でございますけれども、対象は3か年緊急対策に基づく防災のための重要インフラ等の機能維持等を目的とした国直轄・補助事業でございまして、令和2年度計画におきましては、全体の55%に当たる2,628億円を引き受けております。このほかに、財政融資資金の貸付対象とはなっておりませんが、地方単独事業としてこのスライドの緑の枠の2事業がございます。3か年緊急対策に併せて創設された緊急自然災害防止対策事業と東日本大震災を教訓として制度化された緊急防災・減災事業でございまして、令和2年度におきましては、それぞれ3,000億円、5,000億円が計上されております。

続いて、16ページをご覧ください。豪雨災害などの災害が頻発する中におきまして、国土強靱化への対応として重要な要素となっております上下水道等の地域インフラの維持・更新等の強化についてでございます。上下水道事業は人口減少社会や節水型社会になっていることを背景に、スライドの左にありますとおり、2000年をピークに今後、需要水量が減少していく見通しでございまして、これに伴って料金収入の減少も見込まれております。それからスライドの中ほどから右側には上下水道事業について、それぞれ設備投資の推移と更新投資の状況が分かる資料をお示ししております。中ほどの上のグラフですが、水道事業の設備投資額を示しておりまして、赤い矢印よりも左の部分については、耐用年数の40年を経過しているという状況です。右側のグラフは施設の老朽化と更新需要の増加について示したものです。水道事業では過去の設備投資の更新時期が到来し、更新需要が増大してきている状況にございますが、管路経年化率が右肩上がりで伸びているという一方で、管路更新率は1%にも届かず、更新が進んでいないという状況が伺えます。また、下段の下水道につきましても、耐用年数を超過した管路が年々増加するなど、将来の更新費用の増加が見込まれておりまして、更新投資を含む改良費の割合が上昇しつつあるということですが、その水準は3割程度にとどまっているということでございます。このように施設・設備の老朽化の進行に伴い、維持管理・更新費の増大が今後の大きな課題と考えられるところです。

こうしたことを踏まえまして、17ページでございますが、防災・減災・国土強靱化等に資する事業への配分についてという論点でございます。読み上げますと、まず1点目ですが、近年頻繁に発生する自然災害等に対応するために必要な防災・減災に資する事業については、引き続き積極的に財政融資資金を措置すべきではないか。その際、地方単独事業であっても、防災・減災に資する事業など、国として重点的に資源配分すべき事業については、財政融資資金の貸付対象として検討すべきではないか、としております。続いて、2点目は広域化等の経営基盤強化と併せた国土強靱化の取組みの加速化・深化のため、上下水道等の地域のライフラインとなる公営企業債に対し財政融資資金を積極的に措置することで、着実な改修・更新を支援することとしてはどうか、としております。これらはスライドの下に囲ってあります「経済財政運営と改革の基本方針2020」ですとか、当分科会でのこれまでの議論を踏まえたものでございます。

続いて、次のページに進んでいただきまして、2つ目の論点は臨時財政対策債への配分についてでございます。19ページをご覧ください。まず、臨時財政対策債の発行状況及び財政融資における引受割合の推移の資料でございます。臨時財政対策債の引受けのうち、財政融資資金が占める割合については一貫として減少させてきているというところでございます。

続いて20ページでございますが、令和3年度の地方財政収支の仮試算によれば、新型コロナウイルス感染症に起因する地方税の減収等により、リーマンショック時と同様に地方財源不足額及び臨時財政対策債計画額が大幅に増加する見込みとなっております。この結果、3年ぶりに臨時財政対策債の折半分が計上される見通しとなっているところでございます。

21ページでございます。臨時財政対策債への配分につきましては、まず1点目として、臨時財政対策債については、赤字補塡の性格を有することを踏まえ、抑制的な関与を基本としているとした上で、現下のコロナウイルス感染症による地方財政への影響については、資金調達能力の低い地方公共団体の存在や、一方で民業補完といった観点にも留意し、対応すべきではないか、とさせていただいております。

私からの説明は以上でございます。忌憚のないご意見を頂けると幸いです。よろしくお願いいたします。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

それでは、ただいまの大関計画官の説明を踏まえまして、委員の皆様方からご意見、ご質問をお願いしたいと思います。挙手ボタンを確認しながら指名いたしますので、そのままお待ちください。ご発言の際に資料を引用される場合は、資料番号と当該ページをおっしゃってください。

それでは、よろしくお願いします。なお、要求側の方々にご質問いただいても結構ですので、よろしくお願いします。

じゃあ、冨田委員、お願いできますか。冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕2点ございまして、1点目は臨時財政対策債についてです。20ページで令和3年度仮試算というのをご紹介いただきました。その場合に本年度の税収不足が国、地方、見込まれるわけですけれども、これについては何か試算はございませんか。折半分で幾らとか、あと地方債の減収についてはどのような見込みなのかということについてです。

2点目は公営企業債について、今日、上下水道債についてお話がございました。この中で金額が大きいのは下水道債なんですけれども、これについて、公営企業は基本は独立採算なんですが、各地方の一般会計から赤字補塡のために基準外繰出金というのも行われております。お聞きしたいことは、償還確実性を担保するために地方債、この公営企業債の発行に当たって、どのようなことを考慮し、発行体と交渉されているのかについて、財融資金とそれからもし今日ご出席であれば、地方金融機構についても同じことをお伺いしたいという、以上2点でございます。

〔池尾分科会長〕よろしくお願いします。

〔大関計画官〕1点目の地方税収の見込みなどですけれども、要求の段階、9月末の段階で、総務省において行われた地方財政の仮試算の資料、その説明を飛ばしてしまって申し訳ないんですけれども、資料の13ページに9月の時点のものですが、地方財政についての見通しを示したものがございます。地方税等につきましては、令和3年度39.9兆円ということで、2年度から3.6兆円の減という見込みとなっています。地方債については、12.9兆円ということで、2年度から3.7兆円の増といったような見通しを置いているというところでございます。ただ、これから実際の税収の動向ですとか、地財の折衝などなされていく中で、こうした、実際どの程度地方債を発行するのかといったことも含めて予算編成過程で検討がなされていくことになります。

それから2点目の上下水道についてでございますけれども、資料の17ページの論点の中でも掲げさせておりますが、ご指摘のとおり、やはり公営企業、特に下水道の経営基盤は非常に課題となっていると思いまして、そうした経営基盤を強化することと併せた国土強靱化の取組みを加速していくことが大事だと考えております。ここの2つ目の丸にありますように、広域化等の取組みを行っているような公営企業に優先的に配分することをこれまでも取り組んでおりますが、そういったことを引き続き今後も考えていきたいと思っております。

ご質問に対する答えとしては、以上となります。

〔総務省坂越自治財政局地方債課長〕お答えいたします。

償還確実性についてでございますが、幾つかあるんですけれども、1点目は計画官から説明があったとおり、広域化を図って基準外繰り出しをなるべく少なくして、経営基盤を強化するという取組みを、総務省なり国交省なり連携して進める中において、機構においても同様の観点で取組みを促すように、地方支援という形でいろいろ助言をしているところでございます。それから償還確実性に関して、機構の制度ではございませんけれども、ご指摘のありました下水道につきましては、交付税措置率が非常に高い措置率になっておりますので、その意味では、償還確実性はほかの地方債よりも高いと考えております。機構固有の審査になりますけれども、これは総務省と連携してということになるんですが、貸付審査の観点からいいますと、財政健全化指標が公営企業に関しては資金不足比率でキャッシュフローを見るものなんですけれども、それで測ることにしておりますので、その資金不足比率が健全化指標の一定の水準の範囲内に入っているかどうかをよくチェックしておりまして、同意等基準上も収支相償性があるものについて起債を認めるということに同意するということになっておりますので、その収支相償性が図られているかどうかを資金不足比率なども踏まえながらチェックさせていただいて、起債協議の中でチェックさせていただいておりまして、それに基づき、貸し手としても、機構のほうでも貸付審査を行っているということで、総務省と連携してそこは償還確実性をしっかり見ていることとなると考えております。

以上です。

〔池尾分科会長〕よろしいでしょうか。

〔冨田委員〕あと、1点目の本年度における税収不足とそれから臨財債は先ほどの13ページにはないわけですよね。令和2年度は当初ベースですね。今年度の臨財債の増発というのはまだ分からないんですか。

〔総務省坂越自治財政局地方債課長〕総務省でございますが、お答えさせていただいてよろしいでしょうか。

今年度は、参考に言いますとリーマンのときは9月15日にリーマンショックが発生しまして、年度途中だったので2か年にわたって地方税が落ち込んで、その2か年分で5兆円落ちたんですが、今年度は当初からコロナの影響が出ておりますので、そこまでの規模いくかどうか分からないですが、大幅な落ち込みになることはもう間違いないと見ておりまして、その場合に、年度途中の地方税の減収に対応するのは、臨財債ではなくて減収補塡債という制度がございまして、そちらで対応することになるんですが、既存の減収補塡債ですと、法人関係税しか対象になっていませんで、今、もう全国のいろいろな自治体からかなり強い要望として、地方消費税をはじめとして消費課税全般が大幅に落ち込んでおりますので、消費課税に対して減収補塡債が発行できるようにという要望を頂いておりまして、総務省で検討しているわけですが、そういう対応になっていて、減収補塡債は結局大幅な発行増になるということが例年と違う要素として挙げられると考えております。とりわけ例年は基本的に減収補塡債は県分しか発行しないんですが、今年度は市町村分はコロナの影響を受けて非常に税収が落ち込んでいて、市町村のほうでも大幅な発行があるだろうと見込まれているというのも例年と違うところになっております。

以上です。

〔池尾分科会長〕それでは引き続き、中里委員、お願いします。

〔中里委員〕ご説明ありがとうございます。これ、一般会計のほうが決まらないとなかなか話ができなくて、お答えいただくほうも大変だと思いますが、無理を承知で質問させていただきます。説明資料を見ると、数字が基本的に全部横置きになっていて、臨財債のところだけ増えているわけですね。財政収支の仮試算のところを見ても、結局、地方税が落ちて、その落ちた分を臨財債などで埋めていると。全体の歳出規模、歳入規模は大体横ばいであると理解しています。そうした中で、臨財債については発行を抑制する、それから財政融資についてもなるべく抑制していくということが基本的な方針としてあることは理解しているんですけれども、そうした中で、例えば個別の事業に対して融資をする際には、財務局の皆さんが非常に丁寧に細かくそれぞれの事業の施設についてまで細かく点検をして、その上で貸付けをしているわけですよね。臨財債ではそれがなかなかできにくいことは確かなんですけれども、赤字地方債だから貸すのがいけないという話ではなく、やはりきちんと審査をし、チェックをするというところがないといけないんだと思うんです。それをどういう形でされているのかということをまず確認したいんです。臨財債はそれぞれの団体の財政状況、赤字の状況に応じて、比例的に配分しているわけじゃないので、そこもなかなかきついとは思うんですが、貸付けの際に、例えばそれぞれの貸付先の財政状況などについてどのようなコメントされているのかということを伺いたいと思います。

それからもう1つ、12ページのところに、各資金別の配分が出ていますが、地方機構と財政融資の貸付について令和2年と3年を比べると、比例的に増えているんじゃなくて、財政融資のほうが非常に大きく増えているわけですね。この考え方の整理はどうなっているのでしょう。つまり例えば国の責任が大きいので、要するにそこを埋めるので、こういう形で財政融資でたくさん手当をするということになっているのか、それともほかの要因によるのかということ。つまり、財政融資と地方金融機構の資金の増加の状況について、どのような考え方の整理をされているのかを伺いたいと思います。

以上です。どうもありがとうございます。

〔池尾分科会長〕じゃあ、回答をお願いします。

〔大関計画官〕では、私、理財局から1点目の質問についてご回答いたします。臨財債の貸付けに当たって、財務局においてどのような審査をしているのかということですが、つまり貸し手として、借り手である地方公共団体についての財務の健全性をどう確認しているのかということだと思います。ご案内のとおり、財融資金については確実かつ有利な運用が義務づけられておりますので、その償還確実性を確認するという観点で臨んでおりまして、借り手である地方公共団体の債務償還能力と資金繰り状況について、財務状況把握を実施してございまして、その貸付けに当たりましては、財務状況把握の結果を活用して財務の健全性を確認することを行ってございます。

2点目については、これは要求の話になるので、総務省からお答えいただければと思います。

〔総務省坂越自治財政局地方債課長〕総務省でございます。

この要求の金額の違いですけれども、すべからく臨財債の積算が背景となります。臨財債にどれだけ増額充当するかということでもこの違いが出てくるわけですが、計画官から説明があったとおり、総務省で概算要求時に出しています仮試算と、リーマンのときなどを参考に、税収の大幅な落ち込みの中で臨財債が大幅に増額になるということ、それから自治体がコロナに一生懸命対応する中で、基金もこれまでにないぐらい、もう基金が枯渇している状況にある中で、非常に財源に苦慮しつつ、コロナに対応しなければいけないという自治体の置かれた状況がございます。それに対応するために、財政面でも不安を抱えないようにしっかり対応する必要があるということを背景に、来年度臨財債が大幅に増えることについても、しっかりと対応する必要があると考えております。ご案内のとおりですけれども、臨財債は交付税の増額の代替措置という位置づけですので、本来、交付税の増額のほうがいいんですけれども、それに代わるものということなので、国の責任としてしっかりと対応する必要があると考えておりまして、その資金面での現れとして、公的資金によって臨時財政対策債をできる限り引き受ける必要があるのではないかと考えております。これは普段であれば、そういうことは必要ないと思って、縮減にこれまで努めてきたところでございますけれども、もうこの非常事態という中で、コロナにしっかりと市町村、県が対応しなくちゃいけないということを踏まえますと、非常な特別な対応として、そういう公的資金の増額確保が必要と考えておりまして、その際に、では財融資金と機構資金、何で引き受けるかということになるんですけれども、地方公共団体金融機構資金でもできる限り引き受けるという数字で5,000億円が限度ではないかということで、4,827億円の増額ということでやっております。

財政融資資金のほうは、そういう先ほど言いました非常事態ということで、リーマン時のときに、もう大幅に財政融資資金のほうで引受額を増やしていただいたんですが、それも参考に、当時財政融資資金で30%臨財債について引き受けていただいたということを踏まえまして、今回も30%できれば引き受けていただきたいという考え方で計算して、この率をはじいているということになります。

以上です。

〔中里委員〕ありがとうございます。

コロナの対応が大変な中で、税収も減っているのでこういう形で公的資金がクッションとしての役割を果たしていくことは大事で、そのことは理解しております。これからも大枠として基本的なことをきちんと押さえながら、効率的な事業の実施に努めていただきたいと思います。

以上です。どうもありがとうございました。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

質疑の時間はそもそも限られておりますので、質問も回答も簡潔にできるだけお願いします。時間的余裕がそんなにあるわけじゃないので、よろしくお願いします。

それでは、原田委員、お願いします。

〔原田委員〕ありがとうございます。

15ページから17ページにかけての内容の関連について、お伺いと意見があります。まず、15ページ、防災・減災・国土強靱化の対策事業ということで、緊急にやっていらっしゃるんですが、比率で見ても非常に大きいものですので、精査して実施していただきたいというのがまずあります。堤防を造ったけれども災害で壊れてしまって、災害復旧事業も実施するというようなことにならないようにしていただきたい、といった意見になります。

防災とありますが、防災という言葉に紛れて防災じゃないものが含まれないようにしていただきたい、ということも考えました。ちょっと内容が分からないんですけれども、16ページのところで上下水道の維持・更新のことが出ておりまして、17ページに防災・減災と一緒に上下水道の維持・更新の話も入っておりまして、この関連がよく分かっておりません。地方財政法では公営企業の経費の財源の起債というのは別に問題ないんですけれども、それぞれは問題ないんですが、上下水道の維持・更新に、この防災・減災事業の運営の一部が回るという理解でよろしいのでしょうか。これが質問になります。先ほど冨田委員もおっしゃいましたように、上下水道は、今までも実地監査ということで、財投の分科会でも何度も何度も毎年お伺いしていただいているところです。損益実績だけでなく、債務の残高ですとか、中長期的な観点から、財務分析はやっていただいているところですが、独立採算という名目はありますけれども、なかなか難しく、実際は半分以上が赤字という状況は、過去10年以上、ほとんど変わっていないと思うんです。今までスナップショット的に区切って現状こういうふうに損益実績は分布していますというような散布図を頂いていましたけれども、改善しているかどうかということは、私どもには全くもって知らされていないままここに至っていると思っています。今後は貸付対象になったところがどれだけ経営改善をしているのかといったところも教えていただければという要望になります。

時間もないかと思いますので、取りあえずこの辺にとどめておきます。

〔池尾分科会長〕いかがですか。

〔大関計画官〕ご質問ありがとうございます。

公営企業と国土強靱化の取組みの関連が分かりにくいというご指摘だったと思いますが、下水道につきましては、まさに豪雨災害が激甚化している中で非常に国土強靱化、防災あるいは減災といった観点からも重要な施設だと考えておりまして、そういう意味で国土強靱化の取組みの一貫として公営企業による設備、維持・更新投資といったものを支援していくことが重要であろうと考えているということでございます。あくまで公営企業債に対しそういう措置をするとここにも書かせていただきましたけれども、公営企業債として起債されたものに対して、しっかりと精査をした上で貸付けを行うということでありまして、冨田委員にお答えしたのと同じような内容の繰り返しになりますけれども、広域化等の経営基盤強化といったものを合わせて行った上での国土強靱化といった取組みを加速化するために私どもとしても積極的に対応していきたいと考えているということでございます。

それから貸付先に対しての経営についてしっかりチェックすることについては、これまでも実地監査で公営企業に対して行ってまいっておりますので、引き続き取り組んでいきたいと考えております。ご指摘、どうもありがとうございます。

以上です。

〔池尾分科会長〕じゃあ、工藤委員、お願いします。

〔工藤委員〕ありがとうございます。

2点コメントをさせていただきます。公営企業債への財政融資につきまして、単純に資金支援を積極化するだけでは、公営企業自らが効率化を志向するインセンティブがなくなるおそれもあると思います。既にやっていただいているというお話でしたが、水道であれば広域化等、公営企業の効率化への努力や工夫を前提として、必要なファイナンスを行う等、ディシプリンを利かせていくということが必要だと考えています。また、効率化という観点では、PFIなどを通じた民間資金の積極的な活用について引き続きご検討をお願いします。民間では取ることが難しい公のリスクは公的資金が取っていく、等の工夫があれば、それぞれの役割に応じたリスク分担ができ、民間資金の導入も進んで、財投を通じた支援にメリハリが効くのではないかと思います。

2点目、臨財債について、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた柔軟化という方向性に異論はございませんが、コロナによって加速あるいは顕在化した中長期的、構造的な要因による支出なのか、また一時的な支出なのか、こういったことについてはよく検討した上で支援をしていただかなければ、今回を契機に抑制方針だったはずの臨財債に関する規律が緩んでしまうおそれがあると考えており、この点は運営上、ご留意をお願いしたいと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。よろしいでしょうか。

じゃあ、高田委員、お願いします。

〔高田委員〕ご説明いただきまして、どうもありがとうございました。

私のほうは論点1と22について簡単にコメントをさせていただきたいと思います。まず論点1、今、ご説明いただきました資料の17ページのところなんですけれども、今のこの防災・減災に関する事業については、引き続き財政融資資金を措置すべきではないかといったところは私もそう考えております。また、地方単独事業であってもこの防災それから減災に関する事業については、国としても重点的に資源配分すべきところについては、財政融資資金の貸付対象として検討すべきではないかというところも私も同様に考えております。それから上下水道等の地域のライフラインとなる公営企業債についてですけれども、財政融資資金を積極的に措置するということは重要だとは、私も思っているんですけれども、先ほどの工藤委員のご意見とも重なるんですけれども、やっぱり効率化というのが重要ではないかと思っておりまして、そもそも地域のところで今のままでもなかなか成り立ちにくいというところもあるわけでありますから、できるだけ効率化をするというインセンティブ付けを同時に行う、また必要なところはそうした民間のところも活用し、両方で対応しながら行うことがやっぱり必要なのではないかと思います。

それから論点2でございまして、臨時財政対策債の配分についてですけれども、そもそもこの赤字補塡の性格を有するということを踏まえれば、抑制的な対応をするというのは基本なんだろうと思います。ただ、当然のことながらこれだけのコロナウイルス感染症という状況でございますから、やはりまさにこういったときこそ公的機能を活用するという部分はありますので、それなりに柔軟に対応するのは、私は必要ではないかと思います。ただ、一方で、もともとこうした部分については赤字補塡という状況のものがコロナの前からこういう状況が続いていました。またコロナがなくても赤字補塡の状況が続いていた可能性も十分強いわけであります。となりますと、こうしたものをある程度のコロナだということで対応するにいたしましても、構造改革というんでしょうか、事業構造をある程度変える。また変えることによって効率性を保つ、もしくは単に元のままにするというよりはある程度改善をしていくという姿勢を一緒に取るということがやっぱり重要ではないかと思っておりまして、そういうことに対してのモニタリングは常に行っていく必要があると思います。

私の意見は、以上でございます。

〔池尾分科会長〕じゃあ、ご意見いただいたということで、先に進ませていただきます。

川村委員、お願いします。

〔川村委員〕ありがとうございます。

論点は2つとも結論、方向性について異論はないし、この措置でやむを得ないと思います。ただ、まず論点1について、5ページから7ページにかけてのデータの中で、例えばこれは項目別に5ページで見ると防災・減災から公共事業、辺地・過疎、下水道となっていますが、これを地域別に、これらを全部合算して、リ・アロケートした場合、どんな感じになるんだろうか。つまり、これは先ほど工藤委員や高田委員もおっしゃったように、やっぱりきっちり精査して見る必要がある中で、項目が違うけれども実はダブっている。特定のある地域じゃ、鼻緒は違うんだけれども中身が一緒だみたいなのはないのか。その辺はどう考えたらいいのかというのが1に関する質問です。

それからもう1つ、臨財債についても、これは危機でやむを得ないのかもしれないんですが、抑制的と書かれているとおりなんですけれども、これはそもそも始まったときにはたしか3年間ぐらいの時限的な措置から始まってきているかと理解しているんですけれども、ここ数年、臨財債の新規発行はなくて、分科会でもそんなに大きく問題視されなかったと思うんですが、ここへ来てまた見ると、もともと時限的に始まったものが恒久的な制度というと変ですけれども、そんなものになっちゃったのかどうか。その場合にそもそもの地方財政は当面なかなか回復が見込めない、ましてやコロナという中で、例えば制度的に交付税の原資であるもともとの税金からの分配割合だとか、そういう言わば制度の地方財政に対する国の支援という根っこの議論というのをぼちぼち始める必要がありはしないのか、その辺の萌芽っていうのはないのか。この辺が質問です。

ありがとうございます。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

いかがですか。

〔大関計画官〕地域別についてでございますけれども、ちょっと手元にデータの用意がありませんけれども、各自治体において必要な事業について起債をしようという場合、その適債性については公的資金を供与する際には総務省に対して同意協議がなされ、それから財務省にも協議が参ります。そういったような手続きで行っておりまして、それぞれの事業の適債性、まさにそれが適当かどうか、その企業債を充てるにふさわしい事業かどうかということはきちんと確認がなされていると考えております。ただ、地域別にどういう事業が多いとか、そういったことは地域性もあるでしょうし、災害などですとどこの地域で被害が大きかったとか、いろいろあると思いますので、そこはちょっとまた可能であれば分析など今後してみたいとは考えております。

2点目の地方財政については私からお答えするのはなかなか難しいといいますか。

〔川村委員〕ちょっと大き過ぎる質問なので、問題意識と捉えていただいて結構です。

〔池尾分科会長〕答えにくい質問をされたという感じで、私も聞いていましたけれども。恒久的な制度にはしないという方向性で取り組んでいきたいと。

それでは、時間が押しているんですけれども、林田委員、お願いします。

〔林田委員〕ありがとうございます。

それでは時間がないので、質問はやめて一方通行のコメントだけにします。臨財債ですけれども、コロナ禍という特殊な状況の中で、金額がある程度出るというのはやむを得ないと思っています。ただ、編成上の論点2にもありますように、抑制的に対応していただきたいと思います。特に非常時だから、お金が足りないんだから仕方がないんじゃないかという、いわゆる言い値でお金を出していくということにくれぐれもならないように、しっかりと査定をしていただきたいと思っています。特に20ページのグラフを見ると分かりますけれども、リーマンショックの後もなかなか残高が下がりませんでした。コロナの場合は一時的なショックがあったリーマンよりもさらに影響が長期化する可能性があるということですので、多年度にわたって残高が膨らみやすいんだというリスクをしっかり認識して、気をつけて対応していただきたいと思います。

それから上下水道の地域インフラの維持・更新についてなんですけれども、地域の生活を守るという観点では大変重要なことだとは思いますが、ただ一方で、先ほどちょっと原田委員からも質問がありましたが、これは果たして国土強靱化というカテゴリーに入るのかと。先ほどのご説明では氾濫等の危険がというお話でしたけれども、都会の内水氾濫で下水道がいろいろ役目を果たすというのは分かるんですが、田舎の下水道でそういう役目を果たしているのか、あるいは上水道はどういう関係があるのか。何か拡大解釈というか国土強靱化ならいっぱいお金を出せるということがあって、ちょっと言葉をきつく言えば、それに便乗しているのではないかという気がちょっとしてしまいました。それから全てのこういったインフラをかつての規模と同じように戻すというのは現実的ではないと思います。人口の減少に関連して、料金の収入の低下ということがありましたけれども、それと同時にやはり設備のコンパクト化、コンパクトシティーのような考え方。その辺りについてもしっかりと視野に入れて対応していただきたいと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、最後になりますが、渡部委員、お願いします。

〔渡部委員〕時間の制約上、簡潔に1点だけ質問で、論点2ですから、21ページの資料の日本語の問題なんですが、パラグラフ2つ目の一方で民業補完といった観点にも留意しという記述があるわけですけれども、これは何か具体的に起きている事象というのか、こういうことを想定というか念頭に置いてこの文章を入れているという、何か例えばこういうことなんですというのを説明していただければ分かりやすいなと思います。この1点に絞ります。

以上です。

〔池尾分科会長〕いかがでしょうか。

〔大関計画官〕民業補完というのは、財投はやはり民業補完としての位置づけであるというものが基本的にあるということがあります。それと、地方銀行などの民間金融機関においても地方債については引受けを行うというビジネスチャンスといったものがあると、そういったことも地銀などの一部からは聞こえてくるところでもありますので、そういったような観点にも留意する必要があるということを念頭に置いてございます。

以上でございます。

〔渡部委員〕そうですか。分かりました。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、地方公共団体についての質疑はこの辺りで終了したいと思います。

ここで地方公共団体関係者の皆様方にはご退席いただきます。どうも誠にありがとうございました。

(地方公共団体関係者 退席)

((株)海外需要開拓支援機構(CJ)、(株)海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)、(株)海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)、(株)農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE) 着席)

〔池尾分科会長〕次に、官民ファンドについてご質疑いただきます。

まずは官民ファンドに係る論点に関わりまして、笠原企画官から説明をいただいた後、投資計画に対する進捗状況について、7月の分科会で報告を行ったA-FIVEを除く3つのファンドの各ご担当者の方より順にご報告いただきます。

委員の皆様からのご質問、ご意見については、全ての説明終了後にご対応いただきたいと思います。

それでは、笠原企画官からご説明をお願いします。

〔笠原財政投融資企画官〕企画官の笠原でございます。よろしくお願いいたします。

私から、資料2-1に基づきまして、内容についてご説明させていただきます。2ページをご覧ください。こちらで論点を整理してございますけれども、青囲みの中ですが、まず1つとしまして、これまでの累積損失の大きい4ファンドのうち、A-FIVEを除いた3ファンドにつきまして、投資計画の進捗に応じた適切な判断・管理がなされているかの確認という点が1点ございます。

それからもう1つ、次の矢印、一番下でございますが、新型コロナウイルス感染症拡大が短期的・中長期的な投資環境に影響を及ぼし得ることから、これらを踏まえた今後の投資方針等の見直しの検討状況についてもご議論いただければと思っております。なおこの点はこの後、各ファンドの主務省から個別にご説明をさせていただきます。

続きまして、資料3ページ以降でございますけれども、こちらが冒頭の論点につきましてのご議論の前提となる事実関係を並べてございます。まず最初のところでございますが、投資実績・累積損益の状況でございますけれども、こちら、この3ファンドにつきまして、まず産投が出資している官民ファンドは、全体では累積損益はプラスとなっておりますけれども、当該3ファンドについてはそれぞれ累積損失が生じておりまして、具体的には令和元年度末時点における累積損失は資料の一番右側に書いてございます数字のとおりでございます。

続きまして、次の4ページでございますが、こちらも投資計画の進捗につきましてでございます。こちら、改革工程表2018に基づき、直近では来年3月期において、各官民ファンド及び監督官庁は数値目標・計画等実績との乖離を検証し、乖離が認められる場合には改善目標・計画を策定・公表することとなってございます。この点、赤囲みしてございますけれども、本年9月末時点での投資額の状況は記載のとおりでございまして、それぞれ3ファンド目標の投資額に対して、右側の実績となっております。このうち、CJ、JICTに関しては目標値を超えており、JOINについては目標値を下回っているということでございます。

続きまして、5ページでございます。こちら、累積の実投融資額の推移でございます。比較といたしまして、3ファンド以外に分野横断的に投資を行う(株)日本政策投資銀行(DBJ)の特定投資業務や(株)INCJを記載しておりますが、こちらは諸条件が異なりますので単純な比較が難しいわけでございますけれども、今回3ファンドの中では残りの2つに比べて実投融資額が積み上がっていないというような状況になってございます。また、特にJICTにつきましては、支援決定件数も6件に留まっているということでございます。

続きまして、ポートフォリオの構成の状況でございます。見ていただきますと、下にあります特にJICTでございますけれども、JICTにつきましては、1つの投資案件への投資額の割合が大きく、投資分野も特定のものに偏っているという傾向が見られるということでございます。

続きまして、資料7ページでございますけれども、こちらは収益の関係の説明の資料でございます。JOINとJICTに関しましては、現時点で実質的なExit済みの案件がございませんので比較は難しいのでございますけれども、CJにつきましては令和2年9月末時点でのExit済みの件数9件における収益の実績値は投資計画の実行により最終的に見込むIRRとして設定されています4.9%を、大きく下回るマイナス13.47%ということになってございます。

続きまして、経費の状況でございます。3ファンドにつきましては、いずれも出資残高に占める経費の割合、経費率はおおむね低下傾向にございますが、こちらも単純比較は難しいのですけれども、DBJそれからINCJに比べれば依然として高い水準にあると見られるところでございます。それからJICTにつきましては、経費率については他の2ファンドと同等の水準となっておりますけれども、案件1件当たりの平均の経費と見た場合には、約8億円程度と相対的に高水準となっているところでございます。

最後にご議論を踏まえた上で、今後の進め方でございますけれども、下の青囲みのところに記載のとおり、ちょっと整理をさせていただいてございます。各ファンド及び主務省において以下の2点の対応をまず行ってはどうかということでございます。まず1つ目でございますけれども、改革工程表に基づき、令和3年3月期において、各ファンドより主務省は策定・公表された数値目標・計画と実績との乖離を検証し、乖離が認められる場合には同年5月までに新型コロナウイルス感染拡大の影響も踏まえた改善目標・計画を策定・公表する。さらに各ファンド及び主務省は、今後とも計画の進捗状況を厳しく検証し、仮に改善目標・計画の達成が図られなければ、速やかに組織の在り方も含め抜本的な見直しを行う。このような対応とともに、財務省においても出資者として当該対応状況の確認を行っていくということでどうか、というふうに記載をさせていただいております。

以上でございます。

〔池尾分科会長〕それでは、次に4機構から順に説明をお願いしておきますが、引き続き、時間の確保の観点から、できるだけ説明は簡潔に短くお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

まずはCJからお願いします。

〔経済産業省商務・サービスグループ山本政策統括調整官〕新型コロナウイルス感染症によるCJの投資環境への影響につきまして、まずは短期的な側面からご説明を申し上げていきたいと思います。

資料2-2、3ページをご覧いただければと存じます。CJの既存の投資案件については、世界的な人の移動の制限等によりまして、特に店舗型案件やインバウンド関連案件で事業計画の遅れ等の影響が出てきているものもございます。例えば、ここに記載の日本の商材を前面に出した商業施設を新規出店いたします「寧波阪急商業有限公司」におきましては、新型コロナの影響で有力テナント群の出店計画見直し等がございまして、この秋に予定していた開業予定時期を見直し、来年4月とせざるを得なくなったと承知しています。一方で、プラスの影響が生じている案件もございまして、例えば北米における酒類のサブスクリプション販売事業におきましては、巣篭り需要によりニーズが拡大しているといったこともございます。CJでは、既存の投資案件につきまして、足下の状況を適時に把握・分析し、リスクが高まっている案件につきましては、財務基盤強化等の対応策の検討、事業計画の変更、減損の要否や事業継続の妥当性等につきまして、随時しっかりと判断しておりまして、昨年度決算で減損処理を行った投資案件はあったものの、それ以外の案件で減損に該当するものや事業を中断すべきものは現時点においては出ておりません。新規の投資案件につきましては、店舗型案件やインバウンド関連案件の組成は当面慎重に見極めていく必要があるかと存じますけれども、今年度、上半期の投資実績は目安で約54億円に対し104億円となっておりまして、現在の状況におきましても政策性及び収益性の面から意義のある案件が積み上がっていることから現時点で影響は限定的と考えてございます。

続きまして、中長期的な側面でございます。新型コロナの影響によりまして、CJの主な支援対象分野は厳しい状況に直面しており、また消費行動の変容やデジタルシフトといった市場環境の変化が進むことが考えられます。こうした状況の中で、既存の投資先企業では例えばEC事業の強化など、環境変化も見据えた事業戦略や計画の見直しを進めておりまして、機構としても中長期的な戦略や事業性を精査しつつ、追加の成長資金の拠出を含めて必要な支援を講じてきているところであります。新規投資につきましては、新型コロナウイルスが終息し、回復していく過程におきまして、これらの分野の事業者が反転攻勢に出る際の販路開拓や発信力強化などに資するプレーヤー、ポスト・コロナ時代に適応した新たな価値の創造につなげる事業への投資に注力してまいりたいと考えます。

投資計画、投資方針の見直しの必要性についてでありますけれども、こうした状況、足元と今後の投資環境の状況を踏まえて、日本企業の海外需要開拓の支援というCJの役割や投資方針は大きく変わるものではないと考えます。改革工程表に基づく投資計画につきましては、第1に政策性、収益性の面から意義のある投資案件が積み上がっておりまして、上半期の投資計画と実績の乖離は認められないこと、第2に各案件で市場環境の変化も見据えた事業戦略・計画の見直しや必要な支援を講じてきており、各案件の投資回収見込みなど投資計画の前提条件に大きな変化は見られないことから、現時点で見直す必要があるとは考えておりません。

最後に一言付言させていただきたいと存じます。先ほどの官民ファンドに係る論点のご説明におきまして、DBJやINCJの投資実績や経費率との比較がございましたが、これらのファンドとは予算規模や政策目的、投資対象等が大きく異なっておりますため、単純に横並びで比較するには適さないと考えておりますので、ご理解いただきたいと存じます。

ご説明は以上でございます。ありがとうございました。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、引き続き、JOINの方、お願いします。

〔国土交通省瓦林国際統括官〕国土交通省でございます。

それでは、資料2-3に沿いまして、JOINに関しまして昨年4月の改革工程表2018を踏まえた投資計画の進捗状況についてご説明いたします。

1ページをご覧ください。本計画では今年度の上半期に59億円、年間計画では147億円の投資を行うことになっておりましたが、先ほどご紹介いただきましたとおり、上半期の実績は約33億円となりました。この乖離でございますが、これは上半期に出資を予定していた都市開発の案件が現地の新型コロナウイルス感染拡大の影響で出資が下半期にずれ込んだためでございます。下半期に入りまして、10月に無事計画どおり、実施されました。年間の目標も達成できる見通しとなってございます。

一番下のマルで記載してございますが、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴い、インフラ整備案件の一時的な中断・見直し、政府の整備方針及び民間企業の投資方針への影響が出てございますが、一方におきまして、各国とも持続的成長のためのインフラ整備の重要性は変わっておりませんで、今後はむしろ公衆衛生への意識の向上などによりまして、スマートシティでありますとかあるいは非接触型、デジタル化した公共交通サービスなどの新たな需要も高まってくるものと考えてございます。私どもとしましては、これら新たな需要もしっかり取り込みながら、他の公的機関とも協調して積極的に我が国事業者の海外展開への支援を進めてまいります。この新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえた今後の運営方針につきましては、次ページからJOINから説明いたします。

〔海外交通・都市開発事業支援機構稲川専務取締役〕JOINの稲川でございます。

そうしましたら3ページをご覧いただけますでしょうか。まず、短期的な影響ですけれども、既存事業において、感染拡大の影響が出ていないか、共同出資者であるパートナー企業とか現地の事業会社等にヒアリングを行いまして、定期的に事業の進捗状況、そして影響の状況を確認しております。操業中の事業では感染拡大に伴う現地での移動制限を受けて、旅客輸送や都市開発の一部の事業で売上・収入の減少が見られます。また一部の建設中の事業においては本邦の事業者の一時帰国、経済活動の自粛等によって工期の遅延またそれに伴う工事費の増加等が見込まれております。現状、パートナー企業等から追加支援を要望する声は上がっておりませんけれども、事業の収益性や継続性について引き続き注視するとともに、支援要請がありました場合には支援を検討したいと考えております。

次に中長期的な投資環境ですけれども、感染拡大に起因する投資リスクの拡大や経済活動の自粛に収束が見られておりませんけれども、これまで同様、インフラ整備の重要性に変わりはございません。特に各国の厳しい財政事情等から民間活用型の交通・都市開発事業への志向は高まっておりまして、我が国事業者への長期にわたる継続的な支援が今後ますます求められるものと考えております。また、アフターコロナの時代において発生するであろう、先ほどちょっとご説明がありましたけれども、新たなニーズにも積極的に対応して、計画期間内の累積損失解消に向けて着実な収益の確保に努めてまいる所存でございます。

最後に今後の投資方針の見直しの必要性についてですが、今年度の投資予定額を鑑み、今後も継続して投資計画以上の出資を見込んでいること、加えまして、今後アフターコロナの時代において、従来とは異なるニーズも取り込んで支援を行っていく予定であることといったことから現時点において投資方針を見直す必要はないと考えております。なお、投資計画期間内の累積損失解消の可能性については、現地のおける感染拡大の今後の見通し、それに伴う建設の遅延、売上・収入の減少等がキャッシュフローにどのような影響を与えるかといった影響も踏まえまして、定期的に国土交通省とともに検証してまいります。

以上でございます。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

じゃあ、JICTの方、お願いできますか。

〔総務省巻口国際戦略局長〕JICTの投資計画を踏まえた推進状況につきまして、まずは総務省から概要をご説明申し上げます。

資料2-4でございます。1ページ目ですが、昨年4月に策定・公表しました投資計画の進捗状況につきまして、JICTの今年度上半期の投資実績は62億円となっております。これから実は新型コロナウイルス感染症の拡大により、昨年度に投資決定されたものが昨年度末までにできずに今期に繰り越されたものがございまして、その金額を除きますと、今年度の実績の投資金額は13億円でございます。当該投資は既存案件の事業進捗に応じた追加融資ということでございまして、今年上半期の目標の14億円からは若干下振れしているものでございますが、着実に実績を積み上げてきていると考えております。今年度末に向けまして、45億円の投資を目指すことにしておりますところ、現在、複数案件について支援決定に向けた調整を進めており、これらの案件への投資を実行することにより、目標を達成する見通しでございます。総務省としましては、引き続き投資計画を上回る実績を積み重ねていけるよう支援を行ってまいります。

引き続き、JICTからご説明をいたします。

〔海外通信・放送・郵便事業支援機構大道常務取締役〕JICTでございます。

続きまして、コロナウイルス感染症の影響等につきまして、参考資料の3ページ目に基づいてご説明を簡単にいたします。JICTではこれまでも出資先企業の取締役会等への弊社社員の出席や機構内のモニタリング会議の実施などにより、各新案件の最新の経営状況や今後の動向及び課題の把握に努めてきております。足元でのコロナウイルス感染症の影響につきましては、出資先企業の取締役会が延期になるといった意思決定の遅延やあるいは現地企業に派遣されていた日本職員の帰国などにより、少し案件のグリップ力が低下するなどの影響が生じております。現時点では共同出資者等からの追加支援の要望は出てきていない状況ではございますが、そのような要望が出てきた場合には、弊社の事業委員会等の場において、必要な意思決定を迅速に行ってまいる所存でございます。このような状況下ではございますが、先ほど総務省からもございましたとおり、今年度末時点での投資目標は達成する見通しであることから、現時点では改革工程表に基づく改善計画、目標等の見直しは予定してございません。

最後になりますが、ご案内のとおり、情報通信分野におけるコロナ禍の影響はネガティブなものばかりではなく、テレワークの普及等により通信トラフィックの増大が加速している状況でございまして、海外においても情報通信インフラの整備に対する需要は今後一層拡大していくことが予想されております。こういった機会を確実に成果につなげていけるよう、今後とも案件形成に向けて情報収集と迅速な意思決定に努めてまいる所存でございます。

以上でございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、以上のご説明を受けて、委員の皆様方からご意見、ご質問をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。A-FIVEを含めて、要求側の方々に質問していただいても結構ですので、お願いします。

それでは、工藤委員、お願いします。

〔工藤委員〕ありがとうございます。

既にコロナの影響を受けて、財務基盤強化を目的とした追加の支援を行っているケースも出てきている状況ではないかと思っています。こうした追加支援はコロナ以前に計画していた投資とは質が異なるものであると考えており、現時点では投資計画の見直しを行わないということですが、今後、投資計画にどのような影響を与えるかという点はきめ細かく検証する必要があると思います。政策機関なのでコロナの影響を受けた出資先への追加支援が増えていくということもあるかと思いますが、だからこそ改めて政策性や政策効果の検証が重要になります。コロナ禍で収益性が悪化する懸念が高まれば、継続支援すべき理由を厳しく問われることになると思います。国策上、重要なインフラへの支援であるとか、国内民間企業への波及効果が見込めるといった部分はしっかりとアピールしていくようお願い致します。当然のことではありますが、このような理由に乏しい場合や収益性の目線をどうしてもクリアできない場合には、影響が大きくなる前に撤退ということもご検討いただけないかと考えています。

また、最後に、これまでも申し上げていることですが、官民ファンド全体でのリソースマネジメントを通じた効率化については引き続きご検討をお願いします。今回、経費分析をつけていただきありがとうございます。今回のご説明でも分かりましたが、やはり年間経費対比でまだ案件が少ないかなと感じています。そもそも政策性と収益性が重なる領域は限定的で、案件組成は難しいと思いますし、足元では民間ファンドの待機資金も相応に積み上がっており、官民ファンドの投資対象となる案件というのもますます限られてくる可能性もあると思っています。そうした中長期的、構造的な課題を踏まえれば、間接部門を官民ファンドあるいは性質の近い政策金融機関で共有するなど、効率化の必要性は増しているのではないかと思っています。ファンドごとの役割や省庁の垣根もあって難しいことは承知していますが、引き続き、ご検討をいただければと思います。よろしくお願いします。

以上です。

〔池尾分科会長〕では、以上でコメントを頂いたということで、先に進めますが、林田委員、お願いします。

〔林田委員〕ありがとうございます。

資料を見させていただいた印象なんですけれども、各ファンドはやはり執行割合でありますとか累損のデータを見る限り、極めて厳しい状況にあると思っています。さらにコロナ感染の世界的拡大という1年前には全く想定されなかった厳しい環境下であると。短期的にも中長期的にもなかなか厳しい見通しはご説明いただきました。ピンチをチャンスに変えたいという意欲、希望もあるし、そういう部分もあるかとは思いますけれども、平時に立てた計画どおりに今後も事業が進められると、投資計画を見直す必要はないという説明をされているのがどうも状況の説明とその結論がうまく結びつかないというか、ちょっと納得感がないなというのが率直な印象です。今すぐここでというのは難しいかもしれませんけれども、各ファンドには財投計画策定の過程において、説得力のある説明をしていただきたいと思っています。むろん財政当局においてはそれぞれの実現性に十分着目して要求内容を精査するということです。

2つ目、これは最後ですが、今後の進め方にあります、資料2-1で9ページ目ですけれども、「各ファンド及び主務省は、今後とも計画の進捗状況を厳しく検証し」と。これは改善計画が来年5月につくられた、それを見て、厳しく検証すると。その達成が図られなければ速やかに見直しを行う、という立てつけのようですが、要するに来年5月にできた計画を、さらに何年もかけて見て、その上で何か抜本的な見直しを行うのか、そこは割と近く見直しを決断するのか、この辺の何か構えみたいなものをちょっとお聞きできればと思います。2つ目は質問です。

以上です。

〔池尾分科会長〕2つ目はどなたかに聞くということじゃなくて……。

〔林田委員〕財務省の資料だと思いますので、理財局だと思います。

〔池尾分科会長〕理財にまずはお伺いしますか。いかがですか。

〔笠原財政投融資企画官〕お答えいたします。

改善目標を立てた場合の達成が図られないかどうかというところでございますけれども、一義的にはこれまでも改革工程表に基づいて、各年度ごとにこのようなチェック・検証というフェーズになっておりますので、想定としましては、改善計画につきましても1年後というのが1つの目安かなと思っております。

〔池尾分科会長〕当年度は何とか計画が実現されそうだということで、抜本的なB&Sモデルの見直しを先送りするというのがいかがなものかというのが林田委員のご意見だと思いますが、私もそういう意見はあると感じています。これだけ大きな変化が起こっているんだから、やっぱり最終的なB&Sモデルの見直しを書いたというふうに考えますので、よろしく努力のほど、お願いいたしたいと思います。

それでは、川村委員、お願いします。

〔川村委員〕ありがとうございます。

意見、感想と質問です。意見、感想というのは各ファンドともコロナはなかなか厳しいけれども計画を変える必要はなくいきますと、大変力強いと言いたいところなんですが、今、ほとんどの民間会社で計画が去年と同じままいっているところってあるのかなと思うんですね。うがってみると予算だから計画が今までどおりじゃないともらえないからみたいな、何となく本能的な動きがあるような気もちょっとして、それはいろいろ審議の過程で考えていかなきゃいかんかなというこれが感想です。

もう1つ、質問のほうは、これは個別になってしまうんですけれども、JICTさんが特定の社に4分の3のパートナーになっておられる。これはそういうこともあると思うので、それ自体が別に悪いという意味では全くないんですけれども、ただ、これはやはり財投資源を原資にしている、公金を原資にしている以上、説明を外部から求められたときに、ちゃんと説明できるかということは十分ご留意いただきたいと思いますし、我々は個別案件についてどうのこうの言う立場ではないので、いいとか悪いとかじゃないんですけれども、これは偶然なのか、また特に分野もほとんど通信しかやっていない。これ多分放送ってミャンマーかなと思うんですけれども、このほとんど通信で、かつ75%が特定社との共同投資になっていた。それって、今後もこんな形になっちゃうんですか。それとももっとばらけるんですか。その辺の見通しはどうかということはお聞きしたいところです。

以上です。

〔池尾分科会長〕じゃあ、JICTの方、お願いします。

〔総務省巻口国際戦略局長〕総務省からお答えいたします。JICTは法律におきまして通信・放送・郵便の3分野を対象として支援を行うことにしております。現在、ご指摘のとおり、通信分野が4件、放送分野1件の5件の支援を実施しているところでございますが、このような前提の中で、これまで企業から特に通信分野に関する相談が多く寄せられているということは事実だろうと。それに基づいている結果と承知をしております。支援の決定につきましては、国内事業者から相談を受けた上で、事業の継続性あるいは収益性といったものを総合的に判断しているものでございまして、通信分野が多くなっている現状については、JICTの活用主体である国内事業者のニーズを反映したという結果になっていると認識をしております。一方で、通信分野の中でも光ケーブル案件が3件と多くなっているということもある、これについてはまたさらなる改善の余地はあると考えております。我が国として競争力を高めていくべき重要な分野である、例えば5Gの通信であるとか、あるいはさらに今後も需要が伸びていく、コロナの下でもさらに伸びが見込まれると思われるデータセンターといったもので、より多角的な分野への支援ができるような体制・整備を進めていく必要があると思います。

また、個別の企業にというところでございますが、JICT自身は広く国内事業者から相談を受けているところでございます。これも設立から時間がたってかなり相談も増えてきていると聞いているところでございますが、総務省告示で定めている支援基準に基づいて事業の継続性、収益性を判断しているということなのでございますが、結果として現時点では国外において海外企業と競争できる基盤を有する一部の企業への支援が多くなっていることは事実と受け止めております。設立以降、各種セミナーあるいは政府主催の会合などへの参加を通じて、積極的に広報活動、JICTとしての広報活動を行ってきておりまして、その結果として、国内事業者からの知名度というのも徐々に向上してきていると認識しておりまして、官民ファンドの在り方としまして、より幅広い関係企業に裨益するという体制を整備することは重要だと考えておりますので、総務省、JICTで連携しまして、JICTの支援活動において、関係する企業、支援する企業の拡大に努めてまいりたいと考えております。

〔池尾分科会長〕ほかに、今のことに関連して何かありますか。

〔川村委員〕すみません。何か質問の答えが用意されていたみたいな印象なんですけれども、もう1つ気になるのが、この個別案件になっちゃいますけれども、この香港・グアム間の光海底ケーブルって、こういうのはまさにカントリーリスク的なことはこの3ファンドとも共通して海外がありますので、こういうものに対して対応というのはどういう感じになるんでしょう。つまり何を言いたいかというと、この支援決定を考えていたときの香港の事情と昨今では大分変わって、結構悩ましいと思うんですけれども、これは海外案件の各ファンドともそうだと思うんですが、その場合のリスク管理体制とか対応ってどうなっているんでしょう。

〔海外通信・放送・郵便事業支援機構大道常務取締役〕JICTでございます。

まさにご指摘のとおりで、米中の対立の中でこの海底ケーブル案件というのは私どもの中でも非常に注視をしなきゃいけない案件ということで、モニタリングをきちっとやっていっている最中でございます。ご指摘の案件については、米中関係等の国際情勢も含めまして、事業を取り巻く環境について、総務省様のご尽力も含めて、ご協力を仰ぎながら今後の対応について、私ども、一出資者でありますけれども、あとレンダーさんとか実際の事業をやっているパートナーの企業もありますので、その間で今、本当に協議を毎日のように行っているところでございまして、この案件をどうしていくのかというのを今ここでちょっとお話しするのは非常に難しいという状況ではございますが、私どもとしては非常に高いプライオリティを持って注視をしているというところでありますので、その辺りはご理解いただけますと幸いでございます。

以上でございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、家森委員、お願いできますか。

〔家森委員〕ありがとうございます。

1つだけです。CJが創設されたときに地方創生の観点からすごく期待をしていたんです。例えば日本酒を海外に輸出するっていうようなことで、日本のいろいろなものを海外で販売できるネットワークができるのかなというふうに期待していたところです。今回、案件の詳細は分かりませんが、9件がこれまでにExitした段階で、大幅な損失が発生しているということで、金融的にはまず失敗だったということなんですが、政策目標的に例えばこれがあった結果として日本のいいものがどのように売れるようになったのかというのを、今日でなくて結構なので教えてください。資料でいえば5ページのところにいろいろなポートフォリオの基本情報で、こんなことを目指してやっているというのが書いてあるので、それがExitしたものについて、どういうふうになったかをまた教えていただければという要望です。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

それでは後日回答いただくということでよろしくお願いします。

続きまして、翁委員お願いします。

〔翁委員〕翁でございます。

ご説明ありがとうございました。私も林田委員や池尾座長がおっしゃったことと同じでございますけれども、これだけ大きな激変がありながら、投資方針を見直す必要がないということについては、やや違和感を持っておりまして、やっていらっしゃるんだろうと思うんですけれども、それぞれ投資されているものについての精査をして、やはりウィズコロナ、アフターコロナに向けて、相当投資計画をもう一遍見直して、しっかりとビジネスモデルを検討する必要が出てきているのではないかとも思います。ですので、ぜひその点は事業再生などが必要になってくる場合には、そういった人材も補強してしっかりとご対応いただきたいなということが1つ目でございます。

それからもう1つはこの3ファンド全て共通いたしますけれども、海外の案件が多ございますので、そういたしますと、やはり現地に行くことが難しいという状況で、デューデリジェンスがどこまでしっかりできているのかなということについても少し不安を持っております。そういった意味で、一つ一つの案件の精査が今、難しい状況かと思いますけれども、しっかりこれに取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。

以上でございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。ご意見ということでよろしいですか。

〔翁委員〕結構です。

〔池尾分科会長〕じゃ高田委員、お願いします。

〔高田委員〕ご説明いただきまして、どうもありがとうございました。また、CJ、JOIN、JICTの方々のご説明も、どうもありがとうございました。

今回のこのいろいろなモニタリングということなんだと思うんですけれども、当然のことながら、国として、出資者の立場としてこれだけ与信の管理を行うというのは非常に重要なことでもあると思いますし、また資料2-1にありますように、今後の進め方におきましても、この出資者としての様々な確認を行っていくというのは私は基本的には妥当なことだと思います。ただ、このコロナ禍において、世の中全体、もちろん日本でもありグローバルにも資本不足になっているという状況が多いんだろうと思います。そういう中からいいますと、まさに公的なこうした機能というんでしょうか、資本を供給する機能を実は発揮する場でもあるんだろうと思います。またグローバルで見ても、投資の機会が生じている非常にいい機会と見ることもできるんだろうと思います。そういう意味で考えますと、一定のモニタリングは必要でもあるわけでありますし、また、当然環境に対する変化ということに対応した見直しは必要なのでありますけれども、やはり長い目で見た基本としてのこうした投資というんでしょうか、投資への基本がブレないような形で本来行うという姿勢もやっぱり私は必要なのではないかなと思うところでございます。特に多くの案件がインフラでありますとか、そういう中長期の論点というところでもありますので、そういう視点に立ってあくまでもそういうぶれをなくさないような形で中長期的な視点に立って、あるべき姿をというような発想もやっぱり重要で私はあるのではないかと思います。しかも国内で考えますとこれだけコロナという形の中で、国としても資本性の融資と、もしくは資本性の資金供給というものを相当拡大している中でもありますので、そういう中で今回、官民ファンドというものをどう位置づけたらいいのかというような発想も必要であります。単に官民ファンドのところだけでどうかという部分均衡的な状況というものでもないのかなと思います。むしろ、国民経済的な発想というものもやっぱり必要な部分もあるのではないかなと思う次第でございます。

ただ、先ほど理財局の資料の中で、ちょうどこちらの資料2-1の8ページのところに出資における経費率の比較というものがございました。こちらのところ、私もたまたま今年になってからこのA-FIVEの検証の作業に入らせていただきましたけれども、やはりなかなか件数ができにくい中で、どうしても経費率が多くなってしまうといったところの問題がやっぱりあったのも事実であります。となりますと、長い目で見て、足元の収支状況ということだけではなくて、やっぱり全体の在り方というもの、またどうしても、恐らく部分、部分というところで、ポートフォリオが組みにくいという部分もありますので、そういう意味ではより広い、幅を広げてと申しましょうか、窓口が広げられるような形で対応できるようなそういう枠組みというものもやっぱりいずれは必要だと考えておりますので、そういう長い目で見た今後の在り方というものも考えていく必要が同時にあると思う次第でございます。

私は基本的に意見ということで結構でございます。どうもありがとうございました。

〔池尾分科会長〕高田委員の意見も別に見直しが必要じゃないという話じゃなくて、積極的に見直すべきだというご意見ですよね。

〔高田委員〕そうですね。同時にということだと思います。基本のところに投資をしながらも全体の枠組みは。

〔池尾分科会長〕大きな発想についてはぶれないで、その上で見直していくということで。

〔高田委員〕そうですね。

〔池尾分科会長〕じゃあ、中里委員、お願いします。

〔中里委員〕どうもありがとうございます。

資料2-1の4ページのところ、投資計画の状況のことについて、意見というか要望を1つだけお話しさせてください。この目標というのは結局のところ、なかなか実績が出にくい先について、それぞれの機構さんにおいて目標を立てていただいたものだと理解しています。ただし、それは林田委員から先ほどお話がありましたように、平時の、要するにコロナ前の目標なんですね。今、いろいろな形で投資対象としている先についてもなかなか先が見通しにくいし、下振れのリスクが高まっている中で、これをそのまま延長して、目標どおりに進めようとしていこうとすると、数字を積み上げるような形で投資案件の組成がなされてしまい、かえって問題が生じてしまうことになると思うんです。ですから、ダウンサイドのリスクというのを必ずきちんと認識して、もちろん前向きな投資は大事なんですけれども、そのことを踏まえて、柔軟な対応をしていっていただきたいなと思います。

以上です。どうもありがとうございました。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

では、次、渡部委員、お願いします。

〔渡部委員〕すみません、渡部です。

意見ということでいいんですけれども、皆さんもおっしゃっているんですが、ウィズコロナなのかアフターコロナなのかということで、環境は大分変わってきているということと、先ほどどなたかもおっしゃった地経学ないし地政学上のリスクもかなり変化していると。またフェーズとしても資金不足から資本不足とで動いている中で、やはり今のままいくぞ、頑張るぞじゃなくて、適宜モデルは変えていくべきだろうなと思います。その中で、理財局さん、財務省さんのファンド・オブ・ファンズの運営者としての力量、働きに大きく期待したいと思います。

以上、意見でございます。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。出資者として、どこまでできるかという問題ですね。

〔渡部委員〕はい。

〔池尾分科会長〕じゃあ、ほかにご質問、ご意見等ございませんか。

じゃあ、冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕ありがとうございます。

コロナの問題で長期的に計画を見直すべきだというのはそのとおりだと思うのですけれども、今日頂いたお題というか、論点に関する具体的状況という4ページを見ると、来年3月期において、計画と実績の乖離を検証しというそこら辺のところは多分今日のテーマだと思うんですね。大きく言えば皆さんが言っているとおり、今のコロナの状況に対して見直すべきだと思うのですが、このように捉えたときに、私が聞きたかったのはコロナの状況の中において、新しい案件をつくっていくときに、いろいろな支障も生じたと思うのです。直接お会いできないとか、出資公募先に対して。そのときにどういうアプローチを取られて、少なくとも今期の目標をどうやって達成しようとされているのかをまず足元のことをお聞きするのかなと思っていたんですけれども、その点ちょっとお聞きしてよろしいでしょうか。

〔池尾分科会長〕各ファンドごとになりますか、それは。

〔冨田委員〕そうですね。ファンドごとに簡潔に。

〔池尾分科会長〕じゃあ、CJの方、いかがでしょうか、今の質問に関して。

〔海外需要開拓支援機構加藤専務取締役〕ありがとうございます。CJでございます。

このコロナの環境下におきまして、我々の投資、実際に行った案件に関しましては、コロナ以前から検討していたものでしたので、幸いにして完全にオンラインでデューデリジェンス等行って実行し切ったというのはまだ案件として存在しておりません。ただし、今後も案件発掘、案件実行、それから案件の管理におきまして、積極的にオーバーコミュニケートというか、コミュニケーションを密にして、オンラインツールを駆使してやっていくということが1つと、それから現地のアドバイザー、現地のエキスパート等の助けも借りまして、必ずしも画面の中だけではない情報も積極的に取りつつ、こういう状況であるからこそ、より緊密にポートフォリオを関係先と連携を取って、関係者と意見交換、情報交換を行っていくという形で補完をしつつやっていくという体制を敷いております。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

じゃあ、JOINの方、いかがでしょうか。

〔海外交通・都市開発事業支援機構稲川専務取締役〕まず、今期というか、来年、令和2年3月末の目標に対してという話で申し上げますと、私ども147億円の目標に対して、現時点で146億9,000万円まで今、来ていますので、あと1,000万円ということで、こちらについては、目標は達成をすることで見込んでおります。おっしゃるように、私ども対象は全て海外でございますので、海外渡航の制限とかいったものは影響を受けておりますけれども、先ほどクールジャパンのほうから話があったのと我々も似ているんですけれども、やっぱりオンライン、ズームとか、そういったものを使って現地の情報をできるだけこちらのほうで仕入れたり、あとはその間に入っているコンサルではないんですけれども、そういうアドバイザーのようなところにもいろいろなお願いをして、情報を収集したり。それと私ども幾つか、今までに15件ですけれども、海外の企業、大手企業ないしは海外の政府系の機関とMOU、覚書を締結していろいろな情報交換をしていますので、そういうネットワークも使って、現地の情報、現地の経済的な情報ないしは実際のビジネスについての情報収集を今、図っているところでございます。

以上です。

〔池尾分科会長〕JICTの方、いかがでしょうか。

〔海外通信・放送・郵便事業支援機構大道常務取締役〕JICTも同じようなところがございますけれども、現在、今年度末までに先ほどもご説明を少ししておりますが、複数案件についてできるようにということで、調整を進めておるところです。私どもも海外でということになりますので、パートナー企業さんに海外の拠点がある場合はそちらの拠点の皆様と密に連携を取るということをやっておりますし、あともともと長い関係で付き合いのあるパートナーの方に関しては、非常に人間関係も全て把握はできているとか、そういうような状況になっていますので、コミュニケーションを密にすることで今年度は何とかやっていけるかなと思ってございます。ただ、コロナウイルスの関係は長期的に長引いていくということになると、なかなか現地に実際に行けないとかというところがやはり出てくるということになりますので、その辺りはどういう対策を取っていくかというのは検討しないといけないと思っておりますが、少なくともやはりオンラインツールをよく対応することで、当面はしのぐしかないかなと思ってございます。

以上でございます。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。いかがでしょうか。

〔冨田委員〕すみません。ありがとうございました。

〔池尾分科会長〕それでは、そろそろ質疑はこの辺りで終了したいと思いますが、どうしてもとかいう方おられなければ終了したいと思います。

本日、回答がなかった事項につきましては、後日、事務局経由で、回答させていただくということで、4つの官民ファンド及び関係省庁の担当部局の皆様にはご退出いただきたいと思います。誠にありがとうございました。

(CJ、JOIN、JICT、A-FIVE 退席)

〔冨田委員〕会長、すみません、1点よろしいですか。

〔池尾分科会長〕どうぞ。

〔冨田委員〕先ほどの地方の臨財債のことですけれども、川村委員が言われたことにちょっと。ちょっとどころか随分と疑義があるります。ちょっとよろしいですか。資料の中にもあったのですが、資料1の20ページで、臨財債の発行のところをご覧いただきますと、令和元年度と今年度の当初、それから平成19年度、20年度は臨財債ゼロですね。発行していないのです。しかも令和2年度については借換え分を償還しています。残高も減らしているのです。何を言いたいかというと、これだけではなしに、地方は毎年、基金をどんどん積み上げていまして、プライマリー収支も黒字なんですよ。だから先ほど川村委員が言われた根本のところで、地方交付税の在り方を考えなきゃいかんというお話ですだけれども、そうではなしに、ここにあるような形で、つまりこの背景には一般財源総額実質同水準ルールというのがあって、それでもって歳出の抑制を続けてきております。しかも、その過程で基金をどんどん地方は積み上げてきていて、決して何か構造的に地方の臨財債が積み上がる構造になっているわけではないのです。現実がこうなっているということでありますので、川村委員がおっしゃったことに疑問があるのです。これが言いたかったんです。

〔池尾分科会長〕はい。もらっておきます。というか、ここで論争するっていうわけにもいかないので。

〔冨田委員〕論争っていう話ではなく、事実認識についての話です。

〔池尾分科会長〕冨田委員からそういう指摘があったということで、善処させていただきます。

それでは、予定の時間となりましたので、本日の議事はここまでといたします。

各委員より頂戴いたしましたご意見等につきましては、今後の財投計画の策定に活用していただければと思いますので、事務局の方、よろしくお願いします。

それからご議論いただきました内容のほか、追加の意見、ご質問がございましたら、いつでも、いつも申し上げていますが、事務局までお寄せください。

本日の議事内容につきましては、この後、事務局から記者レクを行います。議事録につきましては、委員の皆様方のご了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

最後に次回の開催日程ですが、後日、事務局から連絡させていただきます。

本日はご多用中のところ、誠にありがとうございました。それではこれにて閉会とさせていただきたいと思います。ご苦労さまでした。

15時47分閉会