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財政制度等審議会財政制度分科会
議事録

令和元年12月11日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政制度分科会議事次第

令和元年12月11日(水)13:58~16:00
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開会

  • 2.経済対策における財政投融資について

    • 質疑・応答

  • 3.令和元年度財政投融資計画補正等

    • (議案第1号)令和元年度財政投融資計画補正

    • (議案第2号)令和元年度財政投融資資金運用計画の一部変更

    • (議案第3号)令和元年度の財政融資資金の融通条件の改定

    • 質疑・応答

  • 4.令和2年度財政投融資計画の編成上の論点

    • (株)産業革新投資機構

    • 質疑・応答

  • 5.閉会

配付資料

  • 資料1財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料 経済対策における財政投融資

  • 資料2財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料

    独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構各高速道路株式会社

  • 資料3財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料 成田国際空港株式会社

    議案第1号令和元年度財政投融資計画補正

    議案第2号令和元年度財政投融資資金運用計画の一部変更

    議案第3号令和元年度の財政融資資金の融通条件の改定

    議案関係説明資料議案第1号及び第2号関係

  • 資料4財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料株式会社産業革新投資機構

  • 資料5財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料

出席者

分科会長

池尾和人

藤川財務副大臣

可部理財局長

鑓水理財局次長

嶋田総務課長

湯下財政投融資総括課長

柳町管理課長

柴田計画官

大関計画官

堀納資金企画室長

山本財政投融資企画官

百合

高田

渡部賢一

臨時委員

土居丈朗

中里

冨田俊基

冨山和彦

専門委員

川村雄介


13時58分開会

池尾分科会長それでは定刻より少し前ですが、出席予定の委員の方等、全員お揃いになりましたので、ただいまから財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたします。

本日は大きく3つの議題について御議論をお願いします。最初に今般の経済対策における財政投融資について御審議いただいて、その後、本年度令和元年度財政投融資計画補正等について、最後に3番目として来年度令和2年度財政投融資計画の編成上の論点について御審議をお願いいたします。

本日は藤川財務副大臣に御出席いただいておりますので、開催に当たりまして、藤川財務副大臣から御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。

藤川財務副大臣皆さん、こんにちは。財政制度等審議会財政投融資分科会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。委員の皆様方におかれましては、令和2年度財投編成における数々の論点におきまして活発に御議論いただきまして、誠にありがとうございます。

今月5日、「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」を閣議決定いたしました。本経済対策は災害からの復旧・復興と安全・安心の確保、経済の下振れリスクを乗り越えようとするものへの重点支援、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上を3つの柱とし、15か月予算の考え方の下、今年度補正予算と来年度予算の臨時・特別の措置等を適切に組み合わせ、財政投融資の3.8兆円を含む13兆円規模の思い切った財政政策を講ずるものでございます。今般の財政投融資の措置は現下の低金利状況を活かしたインフラ強化や企業の海外リスク対応、生産性向上に向けた取組など、民間だけでは十分に対応できない長期融資やリスクの高い分野に対する資金需要の高まりに対応するものでございます。

本日、本経済対策における令和元年度財投計画の補正等について皆様に御議論いただきますが、忌憚のない御意見を賜りますことを心からお願いを申し上げ、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

池尾分科会長 〕どうもありがとうございました。なお、本日は藤川副大臣、事務局等においてやむなく途中退席される場合もありますので、あらかじめ御了承お願いいたします。

それでは議事次第に沿って、まず、「経済対策における財政投融資」について御議論いただきたいと思います。湯下財政投融資総括課長より、御説明をお願いいたします。

湯下財政投融資総括課長湯下でございます。よろしくお願いいたします。まず、資料1が総合経済対策についての資料でございます。そして資料2がその中の道路の部分でございます。そして最後の資料3が成田空港の部分でございます。簡単には最初に触れさせていただきますが、道路の部分と成田の部分は別途、私から説明させていただきまして、国交省の方もいらっしゃっておりますので、いろいろ御議論いただければと思っております。

まず、資料1からでございます。1ページ目をお開きいただきますと、最初に概要についてと今回御説明する機関が全部載っております。

では1ページおめくりいただいて、2ページをお開きください。経済対策における財政投融資の概要、2枚ございます。まず全体といたしましては、今回の経済対策での財政投融資規模は約3.8兆円、右上にございます。うち元年度、本日審議をいただきます部分は元年度補正追加分約1.5兆円でございます。

2ページ目でございます。これまでも何回もやってきておりますが、日本高速道路保有・債務返済機構、各高速道路会社へ財政投融資で1兆6,700億円、補正分が5,500億円、2年度要求が1兆1,200億円でございます。生産性向上のための新名神高速道路の6車線化の整備の加速、また、安全性・信頼性等の向上のための暫定2車線の4車線化というようなことを行いますが、詳しくは資料2で後ほど御説明させていただきます。

続きまして右側、成田空港でございます。成田空港の機能強化ということで、B滑走路の延伸及びC滑走路の新設で、令和2年度要求で4,000億円いただいております。こちらの方は後ほど資料3で詳しく御説明させていただきたいと思っております。

右下でございますが、なにわ筋線、1,148億円は関西国際空港及び大阪南部と大阪都心を直結させるものでございます。また、北港テクノポート線、18億円は大阪・関西万博の会場である夢洲への交通円滑化を図るための臨港鉄道の整備でございます。

続きまして1ページおめくりください。2番目の柱といたしましてDBJとJBICがそれぞれございます。まず左側の日本政策投資銀行でございますが、安全・安心のためのインフラ強化や生産性向上に向けた取組、企業の海外リスク対応に必要な資金需要に対応するために5,000億円、左下にございますように、無電柱化を含む送配電網の整備、世界レベルのホテル等の宿泊施設等を含む都市再開発、物流機能高度化等の生産性向上といったことを行っていきます。また、5Gに関する基地局整備、海外展開企業の生産拠点再配置等の海外リスク対応というようなことを行っていきます。

右側が国際協力銀行でございますが、海外発の経済の下方リスクが顕在化する場合に備え、日本企業の海外展開を後押しする観点から、日本企業による海外M&Aやグローバル・バリューチェーンの再編等及び質の高いインフラ整備を支援していきます。こちらは18カ月の措置でございます。外為特会と協力して行うということでございます。以上が全体像となります。

次ページ以降がそれぞれの施策でございますが、4ページは高速道路でございますので飛ばしていただいて、成田空港、なにわ筋線となります。9ページをおめくりください。

9ページでございます。日本政策金融公庫、国民・中小・農林部分、及び沖縄振興開発金融公庫でございます。まず、国民・中小部分でございますが、災害からの復旧・復興の加速で400億円、グローバル・バリューチェーンが中小・国民の部分で150億円、また、キャッシュレス導入企業の資金繰り支援で100億円ということでございます。また、農林関係でございますが、災害がいろいろございましたので、農林漁業者の再建支援で100億円、また農林水産業の成長産業化と輸出力強化の加速で、もちろんこの中には食品加工業者も含まれますが、念頭に置いておりますのは農業者でございまして、そういった方々の海外展開等を目的とした設備投資等に100億円でございます。さらに左下にございます沖縄振興開発金融公庫が30億円、民間金融機関と協調しつつ、インバウンドを誘致するための宿泊施設等の整備に必要な資金ということでございます。

次のページでございます。こちらはツーステップ・ローン制度の創設でございます。5Gに関しまして安全・安心等の認可基準を満たす5G関連計画を満たすものについては、ツーステップ・ローン制度というものを新しく用意させていただくということでございます。

また1ページお進みいただきまして、東京オリンピック・パラリンピック後における地域活性化や都市の国際競争力強化につながる都市再開発計画の推進ということで、都市再生機構に573億円。また1枚お進みいただきまして、政府保証債を発行してメザニン支援を行うものが民間都市開発推進機構で50億円ということでございます。

以上、概略を御説明させていただきましたが、続きまして資料2を御覧ください。こちらが今回、日本高速道路保有・債務返済機構及び各高速道路会社へ財政投融資を措置することに関する資料でございます。まず1ページ目、目次を御覧ください。高速道路事業の概要、また経済対策に伴います元年度補正、2年度改要求の概要、そして編成上の論点として政策的意義をまず御紹介して、そのあと編成上の論点としまして償還確実性という構成になっております。

2枚お進みいただきまして3ページ目でございます。こちらは有料道路事業のスキームでございます。また1ページお進みいただきまして、累次の閣議決定文を御紹介させていただいております。一番下の総合経済対策、先般12月5日に閣議決定されたものでは、成長力を強化する物流ネットワークの強化等のための高速道路等の整備、各高速道路会社等へ財政投融資を実施というようなことが決定されております。

次のページ、5ページ目でございます。高速道路を巡る最近の状況ということで、「高速道路における安全・安心基本計画」が9月に国土交通省で作成された資料ですが、このような多様な課題に対してさまざまな施策で現在対応しているところでございます。

続きまして、今回の要求の概要でございます。7ページ目を御覧ください。要求の概要でございます。こちらは道路機構に対して超長期の財政融資を行い、防災・減災対策や生産性向上のための事業を実施し、引き続き高速道路ネットワークの整備を加速する、ということでございます。また、各高速道路株式会社が実施する高速道路の更新事業等に対しての財政融資も行います。ここの要求を御覧いただきますと、補正分が5,500億円、そして2年度分の改要求額が1兆1,200億円、もともとございました要求と合わせますと1兆2,400億円でございます。下の、生産性向上のための6車線化、安全性・信頼性等の向上のための暫定2車線の4車線化といったものが要求の内容となっております。

続きまして、政策的意義でございます。9ページ目を御覧ください。こちらに過去に財政融資で措置してきたものの概要が書かれております。

次のページでございます。整備の必要性でございます。先ほど来、御説明していることに加えまして、さらに老朽化が進む道路の更新事業が喫緊の課題ということで、必要性として加えさせていただいております。右下にございますように、かなり老朽化している部分がございます。

次のページは参考でございますが、先ほど申し上げました暫定2車線の4車線化について、特に優先的に整備する区間をお示しさせていただいております。

続きまして、償還確実性でございます。13ページ、道路機構及び高速道路会社の料金収入等の推移を示させていただいています。リーマン・ショック後、若干減ったところはございますが、足元、機構も会社も順調に回復して推移しているところでございます。

また、これらを踏まえまして、次のページ、償還見通しでございますが、各道路会社の債務、今回新しく加わりますが、これは資産とともに道路機構へ承継されるということでございますので、償還確実性につきましては道路機構の債務償還計画を見ることが必要であると考えております。したがいまして、下の図でございますが、この償還計画は、今回、道路機構及び道路会社に対して融資を行った場合、どうなるのかということを仮定計算させていただいておりますが、令和47年までに返済可能なものとなっております。

次のページは、参考までに道路機構の財務状況でございます。

続きまして、資料3を御覧ください。成田国際空港株式会社でございます。こちらも同様の構成になっておりまして、3ページ目を御覧ください。こちらは成田国際空港の概要でございます。

また4ページ目、施策のところですが、成田空港につきましても首都圏空港の機能強化ということで、成田国際空港株式会社等への財政投融資を実施ということが閣議決定されております。

次のページにお進みください。現在の状況でございますが、首都圏空港(成田空港・羽田空港)は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや2030年の訪日外国人旅行者6,000万人目標の実現を目指しまして、機能強化を行っております。最終的には両空港合わせて100万回という体制を整える計画になっております。

7ページ目、要求の概要でございます。B滑走路の延伸及びC滑走路の新設で総事業費約5,000億円の財源として、財政投融資を4,000億円要求いただいております。

続きまして9ページ目、政策的意義でございます。成田国際空港の位置付け、これは御承知のとおり、我が国における人の移動・物流にとって重要なインフラとなっております。

さらに1枚お進みいただきまして、拡大する需要への対応でございますが、今回の計画のように年間発着容量を30万回から50万回まで拡大した場合、旅客数や貨物取扱量が大きく増加することになります。

続きまして、償還確実性の確認でございます。12ページを御覧ください。こちらもリーマン・ショックそして東日本大震災といったところで一旦下がったところはございますが、現状でございますが、単体でも、さらに連結を加えましても好調な推移を示しております。また、そういった状況を踏まえまして、13ページでございますが、こちらは財政投融資を借りた場合・借りない場合を比較しておりますが、30年お貸しし、30年後の償還は達成されるということで、なおかつ財投なしの場合よりも残高の減少ペースは速く、着陸料等を通じて国民にも裨益するものと考えております。

最後のページでございますが、これは参考までに財務諸表をつけております。

私からの説明は以上でございます。

池尾分科会長どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの説明を踏まえて、委員の皆様から御意見、御質問等をいただきたいと思いますが、テーマに関連しますので、国土交通省の担当部局の方々にもお越しいただいておりますので、直接御質問いただいても結構です。よろしくお願いします。それではどなたからでも結構です。では、中里委員。

中里委員どうも御説明ありがとうございました。道路の関係で幾つか確認をさせていただきたいと思います。確か平成13年に特殊法人等整理合理化計画というのができて、それから18年経って、今、この場にこういう形で議論があって、思えば遠くへ来たもんだという感慨をまず持ちます。

その上でなのですけれども、今回の枠組みの大きなポイントは、道路機構さんではなくて、道路会社さんに直接財政投融資を入れる形になるわけですね。これまでも例えば東海環状であるとか圏央道について、道路機構さんにまずお金を入れて、それで整備をしていく枠組みで30年度に措置されてきたと思うのですけれども、今回、こういう形で道路会社に直接入れることになった経緯とか、あるいはそのメリットについて御説明いただきたいと思います。以上です。

池尾分科会長関連しますか。では川村委員、先にお願いします。

川村委員今の関連で、直接道路会社に入れるといった場合に、従来は機構に入れるということで、全体の財政のガバナンスが担保されていたものがあるかと思うのですが、直接行った場合、その点はどういうふうに考えたらいいのか、質問させていただきます。

池尾分科会長どなたからお答えいただきましょう。まず課長から。

湯下財政投融資総括課長まず、今回の措置でございますが、基本的に道路改革の考え方は無駄な道路はつくらないことと、コストを削減することが大きな趣旨だと理解しております。今回それを踏まえまして道路機構や道路会社ということになってきたわけですが、その大きな目的は今回におきましても引き続き堅持するということでございます。会社につきましても彼らのALM上、どういうふうにコスト削減をしていったらいいのかということで長期で一部財政融資を借りたほうがコスト削減に資するというお考えから御要求をいただいております。

なお、申し上げますと、今回の償還確実性のところで御説明させていただいておりますように、結局、道路が完成いたしますと、道路機構のほうに資産・債務ともに移ります。ですので私どもから見ても、きちんと移されたものの償還確実性をきっちり見ていくことが大事なことだと考えていますし、そこはしっかり見ていきたいと考えております。

今の川村委員へのお答えの前半部分はそこでございまして、まず私どものガバナンスというのは、基本は実際にお返しいただく道路機構に対するガバナンスをしっかり見ていくことは従来から変わらないと考えております。さらにその上で、道路会社は全然関係ないのかという御質問かと思いますけれども、それにつきましては、道路会社の設立法である高速道路株式会社法におきまして、道路会社は国土交通大臣が監督する、毎年度の事業計画や社債の発行等について国土交通大臣の認可が必要という形で、まず主務大臣のガバナンスがきくという上で、さらに国土交通大臣が道路会社の事業計画や社債の認可を行う場合におきましては、同法におきまして財務大臣との協議が必要となっております。そういったところから、その協議が来た場合には私どもとしてもしっかり見ていきたいと考えております。

池尾分科会長以上でよろしいですかね。それでは……。

中里委員すみません。今のお答えで概略分かったのですけれども、今のところでガバナンスがきちんと確保できることは理解しました。その上でなのですけれども、今まで道路機構に入れて道路会社で使うというやり方でやっていたのと、直に道路会社に入れるということの間でどう差があるのか。つまりメリットがどこにあるのかということについて説明していただきたいんです。

湯下財政投融資総括課長基本的な考え方は、長期の資金が入り、コストが削減するということで、これまで利差分を利用していろいろ活用しましょうというスキームだったわけですけれども、そこは変わりません。その上で、それぞれの道路会社・道路機構が今保有している資産・債務のALMの観点から、今回いろいろ長さを多様化した形で道路機構・道路会社のそれぞれのニーズに応じた長さの資金の御要求があり、私どももそれに対応していくと。当然のことながら、私どももそれに合わせた形で財投債を発行して、それぞれのALMを合わせていきたいと考えております。

池尾分科会長どうもありがとうございました。満期構造等についてカスタマイズするから、対象ごとにとりあえず入れるという、そういうことですよね。

湯下財政投融資総括課長そのとおりでございます。

池尾分科会長それでは高田委員、お願いします。

高田委員御説明どうもありがとうございました。最初に藤川財務副大臣からお話がございましたように、今回の経済対策は、私は今の非常に不確実性が高い状況の中で非常に時宜を得たものではないかと思っておりますし、また、今回の対応でインフラ強化、それから海外への対応といったところも、今の日本の課題に対して非常に重要なものではないかと思います。また、現在の低金利を活用といったところも非常に重要なテーマではないかと思います。

そういう中で、私もお聞きしたかったのが、今回、全体財政投融資3.8兆円ということで、今回御説明いただいた部分がその中の御説明ということなのですけれども、こうした重要な状況の中で、やはり市場なり国民に対してのメッセージ性というのでしょうか、こうしたものがどのような状況になっているのかと、また額としてもというところが私はもう少し明確になってもいいのかなと思っております。そういう意味からしますと、今回の対応で従来この対応がなかりせば、どのぐらいの財政投融資のマクロ的な状況になっているのかということ、また、今御説明もございましたけれども、ファンディングがどのような状況で行われ、そのマッチング状況がどういうふうな形で行われるのかといったところに関して、今の場でなくても結構なのですけれども、いずれある程度御説明いただけないものかと思っております。もしくはそういうメッセージも世の中に対して必要なのではないかとも思っておりましたので。具体的な点は今、いろいろ御説明いただいたわけでありますけれども、全体の枠組というのでしょうか、そうしたところの少しまとめみたいなところをもう少し分かりやすく国民に対しても御説明いただけるとありがたいと、そのような点でございます。

池尾分科会長ありがとうございました。仕上がりの財政投融資の規模のグラフとかはなかったでしたか。

湯下財政投融資総括課長後ほどちょっと御説明させていただきたかったのですけれども。

池尾分科会長議案のほうですか?

湯下財政投融資総括課長議案第1号及び第2号関係の議案説明資料の5ページをお開きください。ここに財政投融資計画額のフローがございます。今回の経済対策の措置を踏まえまして、元年度の弾力・補正後は14.6兆円、そしてこの金額はどう見るかと申し上げますと、平成30年の弾力追加後1.5兆円、これよりは若干少ない金額ではありますけれども、それなりの額ということでございます。

池尾分科会長とりあえずそういうことで、また追加のいろいろなことは御説明いただくということで。どうぞ。

可部理財局長補足でございますけれども、今回の経済対策における財政支出全体13.2兆円のうち、今お話がございましたように財投が3.8兆円ということでございますけれども、このことに伴う経済に与えるGDP押し上げ効果も今回の対策で明らかにしております。13.2兆円の中で予算等で行っている部分でおおむね1.4%の実質GDP押し上げ効果があることに加えて、「これに含まれない成長の基盤となるインフラの構築等により促進される国内投資額」、これが財政投融資の部分のことなのですけれども、この国内投資額が現在の名目GDP比でおおむね0.7%程度とされております。事業の実施が単年度でなくて何年かかかるということから、分けて記載しておりますけれども、今回の財投を活用した対策により、中期的に0.7%のGDP押し上げ効果があるということでございます。

池尾分科会長ありがとうございました。それでは続きまして土居委員、お願いいたします。

土居委員1点コメントと1点質問がございます。経済対策、今、御説明があったように財政投融資を有効活用するということは、財政規律を維持する観点からも大事なことではないかと私は思っております。2025年度の基礎的財政収支の黒字化目標を達成しなければならないわけで、基礎的財政収支をできるだけ悪化させないようにする意味においても、財政投融資を活用することでその経済効果を生かしながら償還確実性を担保する形で財政規律を維持していくことはとても大事なことではないかと思います。それがまず1点目のコメントであります。

2点目ですけれども、資料2の10ページに、暫定2車線の考え方について、国土交通省で今年の9月に「高速道路における安全・安心基本計画」を策定されたということで、特にこの中でも大きい優先整備区間を選定されたということで、11ページにその暫定2車線区間1,600キロのうち880キロを優先整備区間とされたということが書かれているわけであります。今般の、これは経済対策で講じられた財政投融資の措置ということでありますけれども、この優先整備区間に充てられる財政投融資は、優先整備区間880キロのどのぐらいの部分に該当するものなのかを教えていただきたいと思います。

池尾分科会長これは道路局の方からお願いします。

国土交通省道路局山本高速道路課長道路局の高速道路課長でございます。今お話がありました11ページの優先整備区間はいろいろな観点から、例えば事故の発生状況でありますとか渋滞の状況だとか、あるいは災害時にネットワークの代替性があるのかどうか、そういう観点から評価して、今後おおむね10年から15年程度で優先的に整備していく区間を選び出したものでございます。この中から、今お話がありましたように今回の財政投融資を活用させていただいて、この中の一部の区間を実施していく形になるわけでございます。そのパーセンテージについては、今、7ページに要求を出させていただいておりますけれども、上のほうに表がありますが、ここのBの欄、ここで機構8,600という数字がございます。ここの機構8,600の中からこれで出てくる投資余力、低金利分を活用してということになりますので、もちろんこの4車線化、あるいはもう少し大都市圏の環状道路に充てる部分もこれからまた精査していきたいと思っておりますけれども、イメージからしますと、昨年財投をお借りして約100キロ弱でございました。ですからほぼ同じオーダーぐらいになっていくのかなと。具体の箇所をこれから選んでまいりますので、どれぐらいの事業費がかさむのかというところも精査した上で、それについては今年度末までに決めていきたいと思ってございます。おおむね、この優先整備区間の1割程度かなと思ってございます。

池尾分科会長よろしいですか。それでは渡部委員、お願いします。

渡部委員ありがとうございます。感想というか質問というか。資料2の13ページに道路機構の貸付料収入で、その計画額と実績額という折れ線グラフがあります。感想といいますか、実績が計画額を数年、5年ですか、にわたって何千億も上回っているのが続いています。償還の確実性を唄うためなのか、例えば次の14ページの折れ線グラフも計画に比して債務残高が減っていっています、さらに減りますよということを言って、償還は確実だということをおっしゃりたいのかもしれないのですけれども、計画と実績がこんなに違う、1,000億円、2,000億円も違って、その上で財投で低金利を活用して財投資金を使うという、そこまでの必要はないのではないかと。もう少し、計画を正しいというか、そんなに狂わない計画をつくられてやったほうが、より大きな意味で償還の確実性が担保できるのかなと思います。当然いろいろ経済事象は変わるので1年ぐらい計画と実績の数字が乖離するのはあるのですけれども、これは5年ぐらい続けてずっと、この数字が正しいとすればですが、続いているわけです。これはやはり一民間としては不思議な図だなという気がいたしました。

池尾分科会長それでは実績と計画の乖離に関して、背景とか主な原因とかについて、私はちょっと思ったのですけれども、こういう状況だと高速道路の料金を引き下げろという声は起こってこないのだろうかという気もしたので、ちょっとそのあたりを御説明いただけますか。

国土交通省道路局山本高速道路課長この実績と計画の乖離でございますけれども、どうしてこんなかなり大きい差が出ているのかということに関して言えば、一番大きいのはやはり今の低金利の状況でございます。債務の返済計画上は4%で将来金利を設定しております。これは道路公団民営化をした際に、債務の確実な償還をしていかないといけないこともございまして、その当時の過去の金利の状況も見て、比較的安全側の4%で設定してきたことがありまして、今、非常に低金利ですので、この足元で非常に実績がいい状態になっているということでございます。

それで、この足元で発生したものについては、例えば今、高速道路のインターチェンジでスマートインターチェンジと申しておりますけれども、いろいろな投資をしております。あるいは道路の建設をするに当たって、当初予定していた建設費よりも若干コストが上がったようなケース、そういったものの事業費増にも対応してきている状況でございます。あと、料金のお話もありましたけれども、平成26年ぐらいに全国的な料金の見直しをしています。その時に料金の割引もこうした金利も一部活用させていただいておりますので、こういった発生した余裕分については必要な投資あるいは利用者への還元、そうした形で足元では調整をさせてきていただいているところでございます。

乖離が出るので例えば金利を見直してもっと低く設定すればいいじゃないかという御議論も確かにあるのかもしれませんけれども、リーマン・ショックのような時もあったり、あるいは逆に金利が将来的に逆振れするリスクもあるものですから、債務の確実な償還という観点から、比較的高いといいますか、安全側を見て4%で設定をさせていただいているところでございます。

池尾分科会長ちょっと確認なんですけれども、利払いコストが想定よりも低いという話はもちろん理解できるのですけれども、このグラフは貸付料収入のグラフということではないのですか。

国土交通省道路局山本高速道路課長これはそうですね。そういう意味では、貸付料収入ということになりますと、貸付料というのは料金収入から管理費を引いたものが貸付料として会社から機構に参りますので、このリーマン・ショック前後で実績値が上振れしているというのは、まさしくこれは景気が非常によくなっているところでございます。ただ、先ほど申し上げたような機構と会社トータルで見て、余力が発生したところを御説明した次第でございます。

池尾分科会長それでは翁委員、お願いします。

翁委員資料1で、日本政策投資銀行のインフラ強化や生産性向上に向けた取組への対応で、想定する事業が幾つか書いてありますけれども、これは大体どのぐらいの配分で、どういう内容になっているのかということを教えていただきたいのと、その次のページのJBICにつきましても、日本企業のM&Aやグローバル・バリューチェーンの再編、質の高いインフラ整備と書いてございますが、具体的にはどういうものを想定して、今、考えておられるのか、その内容について教えていただければと思います。

柴田計画官まずDBJでございますけれども、全体で今回の対策補正で5,000億円と書いてございます。あくまでこれは具体的な制度ごとに分かれているわけではございませんので、正式に幾ら幾らと枠があるというようなものではないのですけれども、一応DBJの中で想定している規模で申し上げますと、下に4つ箱がございますが一番左側、送電網整備関係が大体1,700億円程度、同じ箱の中でその次にあります鉄道の安心・安全、バリアフリー化が大体1,200億円程度と聞いていますので、左の箱全体で3,000億円弱程度。2番目の都市再開発が大体全体で1,000億円程度、3つ目の5G等々が大体600億円程度、一番最後の海外関係が大体500億円程度ということで、トータルすると約5,000億円程度という数字になるということで、現時点では想定していると伺っております。

それからJBICに関しましては、全体の規模としてはまず財投から1.5年間のファシリティで1兆円というのを想定しておりまして、ほぼ同額を外為資金からも1兆円入れる予定になっているということで、国から合わせて2兆円と。それとほぼ同額を民間からも引っ張ってくるということで、事業規模は4兆円ぐらいをトータルとして想定していることになっております。資料で下に写真が3つほど、これは例えばということで過去にやっている案件の写真を載せてございますけれども、具体的にこれらの分野の中で特にどういうことをやっていくかということは現時点では想定されているものはまだなく、これから考えていくことになっておりますので、具体的には申し上げられる段階ではないということを御理解いただきたいと思います。

池尾分科会長 〕どうもありがとうございます。冨山委員。

冨山委員ありがとうございます。今のDBJのやつをもう一回出してもらえますか。これでちょっと感想というかコメントなんですけれども、JBICのやつはまだほわっとしているのでコメントのしようがないので、DBJのほうだけちょっと思ったのですけれども、これ、それぞれに実は真面目にやるとすごくビジョナリーの大きな話なんですよね。ただ、ここで出される金額って、私も電力会社の役員をやっているので分かるんですけれども、千何百億円って投資規模で言ってしまうと大した金額ではないんですよ。送配電網に使っているこれは。

何が言いたいかというと、これそれぞれに別に反対するものではないのですが、要はより大きなフレームワークとして政策的に多分ビジョンがあって、やっていくことがあって、その一部というのであれば理解ができるわけで。ですので、もちろん一つのきっかけとしてこういう話は私も反対しませんけれども、要は地中化とかああいう話も1カ所やったからといってあまり意味がないので。で、当然これは後で料金にもはね返ってくる問題にもなりますから、今日は副大臣もいらっしゃるので、要はより大きなフレームワークでこういうことを長期的にやっていくビジョンが私は大事なのかなと思っております。これは単なるコメントです。

それから、先ほどの道路と空港の話なんですが、これは2つとも私、当事者として関わってきた領域で中身を知っているので、そういう意味で言いやすいことと言いにくいことがあるのですが。道路機構の話に関して先ほど渡部委員から質問もありましたけれども、やはり収入は好調なんですね。先ほど国交省からあったように収入は好調で、私自身はどちらかというと、むしろ実績に近いぐらいいくような感じで思っていました。もう4年ぐらい前に役員を辞めましたけれども。これの背景は景気というものもありますし、あとやはり物流系の利用者もすごい勢いで増えていて、要は道路というのが、それこそ今ネットの時代になって、むしろインフラ的需要度が増しているのが背景にあるので、ある意味でしかるべしというか、正しく上振れしているのだと私は理解しています。

その脈絡で申し上げると、やはりこの傾向は今後も続くと私自身は思っていますので、だとすると業績的には償還可能性のことは実は私はほとんど心配していなくて。むしろ先ほど座長からあったように、この後、要はいい感じでいったときに、将来的に場合によっては民間でもいろいろなものが借りられてしまうとかそういうことはきっと起きてくるし、前倒し償還という議論もあるので、いざという時のために長期でここで借りてしまうというのは間違っていないと思いますけれども、今後の財務運営の柔軟性というか、その辺どう考えておられるのか、もしコメントがあったら教えていただきたいと思っております。

池尾分科会長では、それをお願いできますか。

国土交通省道路局山本高速道路課長今お話があったように、実績と計画、適時適切に見直していくことは大切なことなのだろうと思います。確かに今、上振れをしているところもあるのですけれども、何というんでしょうか、民営化をして10年は経っていますけれども、債務が40兆円当初あったのが30兆円ぐらい、10兆円減ってきています。ただ、まだ30兆円の債務が残っている段階なものですから、債務の確実な償還と将来のリスクをよく考えながら、今後、例えば交通量をどう見ていくのか、あるいは今お話があったような料金の水準をどうしていくのか、あるいは料金の徴収期間のあり方をどうしていくのか、そういったものは我々の中でも有識者ともいろいろ議論しながら、今後しっかり検討していきたいと思ってございます。

可部理財局長1点目のDBJについて、大きなフレームワークの中で考えるべきとの御指摘があり、全くそのとおりだと思っております。今回、千葉の送電網で鉄塔が倒れたりいたしまして、そうしたことの修復あるいは無電柱化を含めて、御紹介したように1,700億円規模でDBJから全国の電力各社に融資をすることとしております。無電柱化の全体像というのは、御案内のとおり、今回の国土強靱化計画の中で3年間で2,400キロやるという大きな絵があって、その中で単年度で800キロやることとしております。これは、国費の負担分もあれば、電力会社の負担分もあり、トータルでそういうことになるわけですけれども、800キロ分の予算のほうは国全体で一般会計のほうで対応いたします。

ここで出てくるのは電力会社負担の分についてDBJが融資を行うということなのですが、全国の電力会社から、現在、需要としてこれだけ融資が必要であるというのが上がってきたのを足元合計したものが1,700億円ということで、今回1,700億円になっております。したがって、大きなフレームワークで考えなければいけないというのは、委員御指摘のとおりだと思っておりまして、その中で足元の需要として今回の融資額が計上されているという姿になっております。

池尾分科会長ありがとうございました。では冨田委員。

冨田委員ありがとうございます。これまで審議の中でいろいろ明らかになってきたと思うのですが、2点だけちょっと質問。

一つは道路機構ですけれども、これまで既に政保債を財政融資に換えるという形で2兆5,000億円実施したわけです。今回また新たにということなのですが、それは説明として、これまである計画を前倒しでやるのか、それはタイミングが低金利の今がいいという捉え方なのか、そこを御説明いただきたいです。冨山委員御指摘のように、確かに物流のニーズは非常にあって、料金収入が上がっていることは今日お示しいただいた資料でも明らかなのですけれども、それはどうかということなんです。どちらに重点を置いてプレゼンテーションなさるかということが一つ。

関連してなのですけれども、先ほども御質問があった計画と実績の貸付料の収入の乖離なのですけれども、この計画はいつおつくりになったかですね。前回政保債を財融に換えるときもこれは議論をさせていただいた覚えがあるのですけれども、ある意味非常に保守的な見通しで、ほかの政府の見通しは大体見通しに比べて実績のほうが低いのが通例のようなのですけれども、これはその逆なのですけれども、そういう意味で、いつこれをおつくりになったかということをお聞きしたい。

もう一点はJBICでございます。JBICもファイナンスの観点からいうと、これまではデュレーションギャップを埋めるために、政保外債をここで議論してまいりまして、外為特会の融資にかえて、政保外債の発行をどんどん進めてきたように思うわけですけれども、今回の対策は資料では8ページでありますけれども、外為特会の貸付けというのが矢印で出ております。これについてどういうふうに考えたらいいのか。多分資金調達コストがドルベースで見てこのほうが低いということなのでしょうけれども、これまでのプレゼンというか考え方とは大分違うので、やはり一つそれは違いを一応どう説明するかということをお聞きしたい。

それから、本邦企業の海外展開は非常に大事なことで、ここで邦銀等の融資も入るので、多分事業規模はかなり大きなものが想定できると思うのですけれども、それについても御説明いただきたい。

池尾分科会長前半の点については道路局の方からお願いします。

国土交通省道路局山本高速道路課長まず最初に御質問のありました今回の財政融資で実施する事業がもともと予定されていた事業なのか、それとも新規で追加される事業なのかということでございますけれども、機構のほうでお借りする部分については、この財政投融資をお借りすることに借換えで出てくる金利分で投資余力が出るということでございますので、もともと高速道路会社で予定はされていなかった事業について新たに今回の財投をお借りすることで投資ができるということでございます。ですから、新名神の6車線化あるいは4車線化、これは今までの事業計画の中には入っていなかった事業が今回の財政融資をお借りすることで新たな投資ができるということでございます。というのが1点目でございます。

国土交通省道路局総務課渡瀬高速道路経営管理室長2点目についてですけれども、道路機構の貸付料収入について、計画枠につきましては毎年度の年度初めの協定時点での計画ということで、先ほど申しましたとおり実績が上振れしていることにつきましては、会社の料金収入が好景気に伴って増加しているということで、それに伴って会社から入る貸付料収入も実績として計画よりも多く出ているというような現状がございます。

池尾分科会長計画、それぞれ年度初めに。

国土交通省道路局総務課渡瀬高速道路経営管理室長年度初めに立てた計画でございます。

池尾分科会長後半のJBIC関係について手短に御説明ください。

柴田計画官JBICの資金調達の関係ですけれども、ここにございますとおり、基本的に今回の対策の分、財投で1兆円で、このうち令和元年度補正分で2,500億円ということですけれども、基本的には政府保証外債で調達することにしております。もちろんコスト面も考えて、基本的にはこれまでのJBICの全体としての資金調達の方向性と同じような対応をしていくということだと思っております。

今回、外為特会の貸付けということで新たな資金調達の手法が入ってきているということでございますけれども、基本的には外為特会からの貸付けは比較的短期のもので借りていくということだと承知しておりまして、その外為特会からの貸付けで償還が来た部分は同じように外為の資金で借り換えていく仕組みとなっており、借換リスクがないため、この部分についてはデュレーションのマッチングを考慮する必要はないと聞いているところでございます。

池尾分科会長それではまだまだ議論されたい点が残っているかもしれませんが、ちょっと時間の関係もありますので、「経済政策における財政投融資」についてという論点に関しましては、一応以上ということにさせていただきたいと思います。いつも申し上げておりますように、追加で御質問等ありましたら、事務局を通じてお願いしたいと思います。

それでは国土交通省の方、御苦労さまでした。御退席をお願いします。

(国土交通省退席)

池尾分科会長それでは、ただいまの議論の続きということになりますが、「令和元年度財政投融資計画補正」3案につきまして、湯下財政投融資総括課長より御説明をお願いいたします。

湯下財政投融資総括課長まず議案第1号、令和元年度財政投融資計画補正、そして議案第2号、令和元年度財政融資資金運用計画の一部変更、及び議案第3号、令和元年度の財政融資資金の融通条件の改定につきまして、議案関係説明資料で御説明したいと考えております。

まず概要でございますが、大宗は今御説明した中のものでございます。青枠のところを御覧いただきたいと思いますが、経済対策における財政投融資3.8兆円のうち、令和元年度において財政投融資計画補正として追加する額は、財政融資資金1兆1,953億円、産業投資350億円、政府保証2,200億円の合計1兆4,503億円でございます。

次のページ以降、具体的な施策につきましては先ほどの説明と重複いたしますので割愛させていただきますが、5ページ目をお開きください。先ほど若干触れさせていただきましたが、今回の補正を踏まえまして、補正・弾力追加後の令和元年度の合計は14.6兆円、昨年度が15.1兆円でございます。ただ、今般の補正追加を受けまして、今後、地方公共団体における財政融資の弾力追加が想定されていきます。その場合には補正予算成立後でございますので、従前の例ですと2月ぐらいになろうかと思いますが、持ち回りで御審議をお願いすることとなると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

簡単ではございますが、私からの説明は以上でございます。

池尾分科会長それでは、これは議案ですので、委員の皆様方から承認をいただかなくてはいけないわけですが、まずその前提として御質問等ございましたら。議案の内容の確認をちょっとしていただいたほうがいいのではないのかな。

湯下財政投融資総括課長議案第1号をお開きくださいませ。今現在御説明した機関の財政融資及び産業投資、政府保証のそれぞれの金額が明記されているものでございます。

続きましてページをおめくりいただきまして、議案第2号でございます。こちらのほうは今御説明した部分のうち、財政融資資金の部分を抜き出したもので、財政融資資金運用計画というものでございます。

さらにページをおめくりいただきまして、議案第3号でございますが、こちらは融通条件でございます。こちらは基本的に金額が補正追加後の金額となっております。

また次のページ、6ポツ目でございますが、先ほど申し上げましたように日本高速道路保有・債務返済機構につきましては期限の柔軟化も行っておりますので、これまで40年1本だったものが、40年、30年となっております。

以上でございます。

池尾分科会長御質問ございますでしょうか。特に御意見、御質問等ございませんようでしたら、議案3つまとめて御承認いただけるでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

池尾分科会長どうもありがとうございました。それでは、「令和元年度財政投融資計画補正」等3案について、本分科会として了承とさせていただきます。どうもありがとうございました。

それでは続きまして、産業革新投資機構の「令和2年度財政投融資計画の編成上の論点」について御審議いただきたいと思いますが、産業革新投資機構及び経済産業省担当部局の方が入室されますので、しばらくお待ちください。

(産業革新投資機構、経済産業省入室)

池尾分科会長よろしいですかね。それでは産業革新投資機構について、柴田計画官及び経済産業省担当部局の方より、要求の概要及び編成上の論点の御説明をお願いしたいと思います。それでは計画官からお願いします。

柴田計画官よろしくお願いします。それでは右肩に資料4と書いてある資料を御覧いただきたいと思います。表紙と目次をめくっていただきまして1ページでございます。産業革新投資機構、JICでございますけれども、この機関につきましては本年8月末の要求段階では事項要求となっておりましたものが、今回具体的な計数の要求として提出されましたので、今回御審議をいただくということでございます。

1ページの上の四角に書いてありますとおり、昨年の9月に産業競争力強化法改正によりまして、それまでございました産業革新機構を改組する形で発足しております。下に絵がございますけれども、右側を御覧いただきますと、産業革新投資機構がございまして、今までの産業革新機構との違い、特徴的な点を申し上げると、経済産業大臣の認可を受けたファンドを通して、ここでは認可ファンド等と書いてありますけれども、こうしたところを通じてリスクマネーを供給していく、原則としてそういうやり方でやっていく点に大きな特徴があるものと考えております。

続きまして2ページでございます。今回提出されました要求の概要でございます。計数を並べておりますけれども、事業規模としては令和2年度要求3,300億円を想定しておりまして、そのために必要な額として産業投資1,000億円の要求となっております。この要求の金額の考え方につきましては、後ほど経済産業省から御説明いただきたいと思っております。

続きまして3ページでございます。編成上の論点ということで大きく2点掲げさせていただいております。まず1点目、JICにおける適切なガバナンスということで、2つ目の丸にございますとおり、今回新しい体制が発足しましたので、そうした新体制のもと、政策性・収益性の確保に向けたガバナンス体制を構築するとともに、今後の認可ファンドの組成に当たっては適切にガバナンスやモニタリングを図っていく必要があるのではないかというのが1点目でございます。

2点目が要求における事業規模等ということで、こちらも2つ目の丸を御覧いただきますと、今回要求にありますJICが想定している投資分野や事業規模等は、我が国の産業競争力強化につながるリスクマネー供給として適切なものとなっているか。また、今後、認可ファンドを組成するに当たってはいかに民間資金を呼び込むかといった視点も重要ではないかということで、論点として掲げさせていただいております。こうした論点も踏まえて、この後、経済産業省から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

池尾分科会長ではお願いします。

経済産業省中原審議官経済産業省でございます。資料5に基づきましてJICの設立の経緯から御説明申し上げたいと存じます。1ページをお開きください。JICにつきましては昨年9月、産業競争力強化法に基づきまして、オープンイノベーションを通じた産業競争力の強化と民間投資の拡大という政策目的を実現するために、前身の株式会社産業革新機構を改組する形で設立されました。運営期間は2034年3月末までとされております。基本的には、これまで産業革新機構が行ってきましたように、国が一つ一つの投資案件についての認可を行った上での直接投資ではなく、国による一定のガバナンスのもとで、ファンド・オブ・ファンズ形式による投資を行うことを想定してございます。JICがファンドに対して投資を行うタイミングで認可を行いますものの、以降のプロセスについては基本的に投資のプロに任せるということで、投資のプロの力を最大限生かしながら、政策目標と収益目標の同時達成を目指すことを志向しております。また、その同時期に、産業革新機構から新設分割を行う形で株式会社INCJを設立しました。運営期間は2025年3月末までになりまして、産業革新機構による既存投資案件のバリューアップに注力することとしております。

2ページを御覧いただければと思います。昨年12月に民間御出身の取締役9名が御退任されました以降、JICの運営体制等の再構築のために、昨年12月から4回にわたりましてJICについての第三者諮問会合を開催し、今年3月26日に「今後の産業革新投資機構(JIC)の運営体制等について」という報告書が取りまとめられまして、その基本的な考え方が公表されております。この基本的な考え方を踏まえまして、人材サーチ会社も活用しまして、およそ150名超の候補者の中からJICの経営者に求められる資質・能力を持つと思われる候補者を絞り込みまして、その候補者の方との複数回にわたる面談を実施するとともに、詳細なリファレンスを得るなどしまして、新しい経営陣の選定を進めてまいりました。こうしたプロセスを経て、昨日12月10日に開催されました臨時株主総会におきまして新たに取締役7名、監査役1名が正式に選任されました。具体的には次のページを御覧いただきたいと思いますけれども、これによりまして、既に就任していた取締役2名、監査役1名を合わせ、取締役9名、監査役2名の新しい経営陣のもとで船出ということに体制が整ったわけでございます。

まず3ページを御覧いただければと存じますけれども、昨日の臨時株主総会に引き続いて行われました取締役会におきまして、各取締役の役職についても決定をいたしております。それぞれの方のお役職、その名前、簡単な略歴をここに一覧としております。

4ページと5ページでは新たに選任された方々の略歴を載せております。この場で全ての方を御紹介することはいたしませんけれども、例えば新たに代表取締役社長CEOに就任されました横尾敬介氏はみずほ証券の社長・会長を歴任されまして、同友会でも副代表幹事・専務理事を務められ、企業トップとしての豊富なマネジメントの経験をお持ちであることに加えまして、御自身もVC・PE等の8つのファンドの立ち上げに関わってこられまして、投資関連の幅広いネットワークを構築されてございます。

また、JICの投資活動のかなめとなる最高投資責任者、いわゆるCIOに就任されました久村様は、東京海上アセットマネジメントにおきましてプライベート・エクイティ・ファンド部長として活躍された方でございまして、東京海上においてもそうしたPEファンドの投資部門を創設された御経験をお持ちでございます。

このほか、社外取締役に就任された方々も、榊原様をはじめ、国内外の産業に関する豊かな識見と幅広い人脈をお持ちの方、あるいは複数の資産運用会社の経営者の経験あるいはM&A、事業再編、投資実務といったことについての深い御知見と経験をお持ちの方といったことでございまして、社内の取締役を支えるとともに、執行体制を適切に監督する方々に御就任いただいたのではないかと思ってございます。今後、JICがこの新しい経営陣のもとでリスクマネー供給を通じたオープンイノベーションを通した新産業の創出というミッションを達成していけるよう、経産省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。

6ページを御覧いただければと存じます。令和2年度の今回の産投要求額の考え方について御説明をいたします。今年8月末の概算要求のタイミングでは、JICの新しい経営陣が未定でありましたことから、財務省に対しては要求額を明示せず、事項要求をさせていただいたところでございましたが、今般新たに新しい経営陣が決定しまして、JICが本格的に活動を始める道筋が整ったことから、先日、財務省に対しまして1,000億円の産業投資を要求させていただいたところでございます。

ファンド・オブ・ファンズをベースとして活動するJICが、今後具体的にどのようなファンドを組成していくかという点につきましては、今後JICにおいて新経営陣のもとで具体的な検討が行われることになると思っておりますけれども、産業競争力強化法に基づき定められた投資基準、それから先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今年3月に取りまとめられた「今後の産業革新投資機構(JIC)の運営体制等について」というその基本的な考え方で示されております投資テーマのうち、過去産業革新機構が行ってきたベンチャー・グロース、それからSociety5.0などの成長分野等での事業再編、海外企業とのオープンイノベーションについては、引き続き政策的対応への要請があると考えております。

令和2年度におきましては、産業革新機構における支援実績を参考とし、少なくともINCJと同程度の投資が可能となるよう要求額を算定しまして、1,000億円を要求することといたしました。1,000億円の考え方については資料に書いているとおりでございますけれども、産業革新機構における支援実績をもとに、政策的な要請がある投資テーマであるベンチャー・グロース、成長分野での事業再編、それから海外企業とのオープンイノベーションについての事業規模を想定しました。

具体的にはベンチャー・グロースと海外の企業とのオープンイノベーション、1つ目と3つ目でございますけれども、そこについては、これまでの平均支援額としてそれぞれ約300億円、それから約400億円を見込んでおります。また事業再編につきましては、投資の性質上、規模の大きな案件が来ても対応できるように構えておくことが重要であることから、過去最大の事業規模を参考に、事業規模を2,300億円と見込んでございます。

これらを合計しまして、3,000億円なわけでございますけれども、これらの合計額にJICの立ち上げ準備のために1年間、JICの活動が実質的に行われてこなかったという中で、主にベンチャー分野を中心に投資案件の相談が寄せられていることを勘案しまして、全体の1割である300億円を上乗せし、令和2年度の事業規模を3,300億円と算定しております。このうち、産業革新機構における総投資額に占める産業投資の割合が約3割であるということを踏まえまして、3,300億円の3割ということで1,000億円の産業投資を要求させていただいているところでございます。

なお、JICにおきましては、投資基準に明記されておりますとおり、本来市場から退出すべき者の救済を目的とする資金供給は行わないという方針であることを付言させていただきます。

7ページを御覧ください。JICの組織運営等についてでございます。財務省のプレゼンテーションの中でJICにおける適切なガバナンス等についての論点の御提示がありました。まず、産業競争力強化法に立ち戻ってガバナンスの大枠を御説明しますと、JICは法律上、産業競争力強化法に基づきまして、予算、人事などの重要な意思決定を行う場合には経産大臣の認可を得なければならないとされているほか、その投資活動についても経済産業大臣の監督は及ぶ仕組みとなっております。法律におけるJICの投資活動のガバナンスの考え方は、国によるガバナンスのもとで任せるべきところは投資の専門家に任せることを可能とする仕組みということでございます。

具体的にJICはファンド・オブ・ファンズとしまして、ファンドに対する投資・監督を行うことを主たる業務としていくことを想定しておりまして、経済産業大臣はJICがファンドへの投資を行う際の投資基準を定めるとともに、個別の特定資金供給、ファンドの認可を行うわけではございますけれども、産業革新機構の時とは異なりまして、当該ファンドから具体的な案件への投資については、投資の専門家の御判断に任せる仕組みとなってございます。

投資活動の強化につきましては、この産業競争力強化法におきましては、経済産業大臣が毎事業年度、JICの業務実績について評価を行うとされている一方で、個別の認可ファンドの活動についてはJICがまずは第一義的に評価を行う責任を負ってございます。こうした法制上で明確になっております国とJICの役割分担のもとで、過度な国による投資活動への関与を回避しつつ、一方で国によるガバナンスを適切に働かせ、こうした適切な役割分担の中で、官民ファンドとしてのJICの活動の適正性を担保していきたいと考えております。

さらに各論的なことを申し上げますと、こうした基本的な枠組みのもとでJICは事業を行っていくことになりますが、特にJICの認可ファンドのガバナンスについては新しい経営陣のもとで、個々のファンドの設計とあわせて今後具体的な制度設計が行われていくことになると思っております。その際は、こうした法律の趣旨を踏まえたガバナンス体制を構築することはもちろんのこと、3月に取りまとめた基本的な考え方、「今後の産業革新投資機構の運営体制等について」のところで記載された内容についても十分踏まえた対応がなされると思っております。

財務省が御提示いただいた論点につきましては、今御説明した中で相当程度お答え申し上げているところではございますけれども、3月の文書の中では、例えばJICの投資が民間投資の呼び水となることへの期待ですとか、あるいは政策性と収益性の確保に向けまして認可ファンドごとに政策目的と収益目標を設定すること、定量的・定性的なモニタリング指標やKPIを設定するといったことが記載されているところでございます。いずれにいたしましても、新しい経営陣のもとで具体的な制度設計はこれからということではございますけれども、さまざまな御意見を拝聴しながら、リスクマネー供給を通じたオープンイノベーションによる新産業の創出という政策目的と収益目的の同時作成に向けまして、法制に求められた適切な役割分担のもとでJICとともにしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。以上でございます。

池尾分科会長どうもありがとうございました。それでは、ただいまの説明を受けて、委員の皆様から御意見、御質問を伺いたいと思いますので、それでは川村委員からお願いします。

川村委員いろいろお疲れさまでございます。御説明ありがとうございました。私からは、これで言うと6ページになります、産投要求額の考え方のところで1,000億円という金額の水準感はいろいろな考え方があろうかと思うのですが、ドタ勘的に言ってこのぐらいなのだろうとは思うんです。ただそこで、資料を見ると、令和2年度の事業規模が3,000億円で、1年間スリープしていた間がざっくり1割でしょう。それを乗せて、INCJ時代の割合が3割というのを考えて1,000億円ではないかと。何というか、この1,000億円ありきで逆算したようなイメージも出てきてしまうんですね。

そもそも、今おっしゃったように、多分国民の目線から見ると直接投資だったINCJが、今度はファンド・オブ・ファンズで間接投資になって、より選球眼のすぐれているはずの民間のプロに委ねて、それを経産省が間接的に、枠組だけをつくって、個別のことは口を出さないでいると。いわばプロに任せて泳ぐ範囲を増やしたという、大分ファンドの性格というか機構の性格が変わっているわけです。そういう中で、1,000億円というものの導き出す根拠として、いま一つすとんと落ちないので、もう少しリジッドに御説明いただけないか、とお聞きしたいというのが1点目です。

もう一つ、2点目は、同じページで想定される投資テーマというベンチャー・グロース、事業再編、海外と、こういう分け方をしていますが、従前の例に倣っても、この事業再編は大規模なかつ非常にエッジのきいた成長分野に係る事業再編というのは言わずもがなではあるものの、従前のいろいろな実績を考えると、本当にそうなのか。むしろこれはゾンビ企業とまでは言わないけれども、何かターンアラウンドばかりやっていて、そのエグジットでもうけるところだけで収益を上げて、そういうファンドなのですか、それは民間じゃないのですかという、一番最初にこの官民ファンドというものが世の中に登場することの根っこの議論があったと思うのですけれども、それとの誤解がくれぐれもないようにしていただきたい。

ここの表をみると、ベンチャー・グロースと事業再編と海外というのは一応報告書の中でも便宜的にこう書いてありますけれども、これは分野と機能がごっちゃになっているわけですよね。事業再編の中もいろいろな事業再編があるわけなので、海外についてもいろいろなものがあるわけで。ジオグラフィカルな分け方と業務分野の分け方と産業特性、この3つのものが並列に並んでしまっているので、むしろ今回のJICの合目的性に照らした対外的な説明をされたほうがいいのではないかと。この事業再編が2,300億円と、この中では非常に大きい額なわけですけれども、これが今後の1,000億円の中でどんなふうにこれからの活動の中で、仮に今のページで合わせるとしたらベンチャー・グロース、事業再編、海外というのはどんな感じになっているのかということも、ちょっとお聞かせ願えればと思います。

池尾分科会長ただいまの川村委員の御質問に直接関連した御意見とか御質問はございますか。よろしいですか。それではお答えをお願いしたいと思います。

経済産業省中原審議官お答え申し上げます。川村先生から最初から導き出した感があるという御感想を頂戴したこと自体につきましては、じくじたるものがございますけれども。一応、ここの基本的な考え方は、まだJICも船出をこれからせんとするところでございますので、まずはINCJにおける支援実績を参考としまして、少なくともINCJと同程度の投資が可能となるようにということで、そうしたところから過去の実績等々を踏まえまして、いわば論理的にというのもちょっと僭越かもしれませんけれども、1,000億円というものを導き出したというようなことでございます。

それから、ゾンビ企業等々への支援というようなところにつきましては、もともと産業競争力強化法でこうした産業革新機構等々をつくったときにはまさに先生御指摘のようにオープンイノベーションを推進していくとか、あるいは私も御説明しましたようにSociety5.0のような成長分野に投資をしていくんだというような考え方でつくってございまして、もちろんゾンビ企業というものが何をするかというところは明らかではないのですけれども、JICにおきましても投資基準に明記されているとおり、本来市場から退出すべき者の救済を目的とする資金供給は行わないという方針でございまして、そうした旨は現経営陣からも大きく報道されているところでもございますので、したがってそうした趣旨を踏まえながら、私どももしっかりと監督運営に努めてまいりたいと考えてございます。

池尾分科会長どうぞ。

川村委員1,000億円にこだわるようですけれども、今、苦衷の御説明を頂戴したと思うので、どちらかというと、これはデマンドサイドの数字というよりも、サプライサイドの推定だなという印象を持ちます。つまり、実際にどのぐらいニーズがあって、もちろんこれはニーズを掘り起こすというか広げるという機能を持っているので、単純にサプライかデマンドとは言えないにしても、やはりこれだけの官民ファンドに対してこの分野でこのくらいのニーズがあるんだよというような、マーケットからのニーズはこれだけあるし、誘発するためにはこれだけ必要だみたいな、この場ではもう結構ですので、今後ぜひそちらのデマンドサイドの裏づけなどもうまく数字を合わせていただければいいなと思います。

池尾分科会長どうもありがとうございました。査定サイドも今の川村委員の御意見をちゃんと踏まえて対応をお願いするということで。それでは冨山さん。

冨山委員1年前の経緯もあるので、ちょっと安心させるために一言言います。とにかくようやく新体制ができて本当によかったと思っています。それから、全体の基本的な理念として政策性と収益性が明確に2本立ったということも私もよかったと思っているので、ぜひ頑張ってもらいたいと思っています。

それで1点、質問というよりはコメントなのですけれども、これは特に認可ファンドの、もともとこれは報酬体系でもめてしまった案件なので、認可ファンドの側の報酬体系に関しては、これは本当にフルにやはり自由度を持たせてあげないと、実際に本当に市場のプロは雇えないので、そこは明確にしていったほうがいいと思います。どうせまた何かいろいろ情報が出るとどこかの新聞社が騒ぐので、その時にじたばたしないためにも、官邸含めてちゃんと調整しておくことをお勧めします。

もう1点、ちょっと老婆心ながらなのですけれども、一応、前の体制、私も含めてではありますけれども、そのメンバーはやはりこのリスク投資の世界では相当隠然たる影響力を国内外で持っている人たちなので。ですので一応何らかの形で和解しておいたほうがいいですよ。インクルージョンしていたほうが、変なところで、要は僕らが別に足を引っ張らなくても、周りが忖度でいろいろ気を遣っちゃったりするということは、やはりシリコンバレーでもすごく影響力のある人たちなので、みんな、心が狭い人たちではないので、国を思う気持ちは皆一緒ですので、その辺はうまくやってもらったほうがいいのかなと思っています。

それから、この後の進め方というか実際の案件の積み上げなのですが、これは先ほどの川村さんのお話ともちょっとかぶりますけれども、私も基本的にはやはりグロースキャピタルというのがメーンになるんだと思うんです。そこにこそ本当の政策意義があると思うので、そこで頑張ってもらいたいというのは私も同じ感じです。政策的な意味合いで。その一方で、いわゆるグロースキャピタルの世界は世界的な今の趨勢で言ってしまうと、例のビジョン・ファンドの趨勢でお分かりのとおり、やや調整期にこの後入る可能性が高いと専門家が見ています。

そういった意味合いで言ってしまうと、この後の案件積み上げペースなりのタイミングはすごく大事で、ここで逆に功を急いで慌てて下手に案件を積み上げてしまうと、いわゆる高値づかみで後でクラッシュしたときに相当厳しい展開になるので、これはまだ残りの期間が長いですから、そこは当然プロがやっていれば、その人たちはそういうふうに考えると思うので、その辺はあまり短期的に数字を積み上げることにはこだわられずに、むしろしかるべき人材・体制の整備と、それからタイミングは十分に見計らって動くようにされたほうが、私は今のタイミングで。逆に言うと、クラッシュした後はすごくチャンスですから。そういった意味合いで言ってしまうと、その辺はあまり短期的な数字の積み上げにこだわらないほうが私はいいような。要するに消化することが目的ではないので、そこはぜひ心していただければと思います。とりあえず私からは安心させるという意味で、そういうことです。

池尾分科会長貴重なコメントありがとうございました。それでは冨田委員、お願いします。

冨田委員認可ファンドの認可基準というものが、私はやはり明示される必要があると思うんです。お話を聞いていると、これ、昨日からですか、新しくできたJICは、それまでに議論されていたJICを認可ファンド的なものとしてたくさん持っているようなイメージで捉えられるのではないか。だから認可ファンドとして考え方が参考の2として挙げられているのですけれども、どういう基準で経産大臣は認可ファンドを認可するのかということをあらかじめ基準みたいなものがないと、一体どうなのか。その時々の必要でつくるのかとか。あるいはここの参考の2にあるようなもの、特定の項目ごとに認可ファンドができるのかとか、そこらをちょっとお話しいただきたいと思うんです。ちょっとというか、きっちりとお話しいただきたい。

池尾分科会長関連する質問はございませんね。ではお願いします。

経済産業省中原審議官先生御指摘のとおり、認可ファンドの投資基準につきましては、産業競争力強化法103条でございまして、そこで内容を決定しなければいけないということで、その後、投資基準は既に公表されております。それから認可の水準自体も法律の中で明らかにされておりまして、その意味では中身は公表されているところでございます。

それで投資基準の具体的な内容で申しますと、基本的な考え方ですとか事業分野ですとか、あるいはそうした特定資金供給、いわゆる認可ファンドに投資をする際の基本的な事項ですとか、その際に対象となる投資事業者に求められる事項とか、民間投資ファンドとの補完状況等々、そういったことが詳しく書かれた上で公表している状況に現在のところなってございます。

冨田委員つまり、これ、認可基準が具体的にどうでということが、やはりこの場合一番大事だと思うのです。新しくできるJIC自体は認可ファンドの上に乗っかっているわけですから。だから、それをもう少しきっちりとお示しいただきたいということなのですけれども。

池尾分科会長それは後で資料を事務局通じて出してもらうということかと思いますが、今、概略をちょっと口頭で説明していただけないですか。

経済産業省中原審議官投資基準、株式会社産業革新投資機構基準におきましては、産業競争力強化法では特定資金供給と言っております。その内容等を決定するに際して、機構が従うべき基準を記載してございまして、例えば基本的な考え方として、リスクマネーの好循環創出に資すること、我が国産業の競争力強化への貢献があること、それから事業分野としまして我が国産業の競争力の強化に寄与する活動を支援する特定事業者に特に重点的に資金供給をすべきこと、その中ではSociety5.0に向けた新規産業の創造の推進ですとか、ユニコーンベンチャーの創出、産業や組織の枠を超えた事業再編等の促進ということが記載されてございます。それから、すみません、これは法律上のことわりで恐縮なのですけれども、特定資金供給というのはいわゆる認可ファンドへの出資のことですが、それを実施すべき事業分野の選定に関するその他の事項として、本来市場から退出すべき者の救済を目的とする資金供給は行わないこと、政策的支援の必要性が認められない分野は原則として対象としないこと、環境変化を踏まえた見直しを適宜実施すること、それからESG、SDGsなどの社会全体に及ぼす影響にも配慮すること、ということでございます。

そうしたファンド等への具体的な内容等に関する基本的事項としまして、政策課題に迅速に対応するためファンド組成に主体的に関与すること、リスクマネー供給のエコシステム確立のため共同GPやLP出資も積極的に実施していくこと、ファンド投資の全体の管理について投資全体との規模との関係で適正規模とすること、機構以外のLP出資等の確保に努めること、事業分野に過度に陥ることがないようバランスを踏まえた資金供給を行うこと、長期収益性が確保されるようリスク管理を徹底すること、対象となる特定の投資事業者に関する事項といったものの記載もございます。

それ以外に、民間ファンドとの補完とか協調、連携を推進していくこと、国内の民間投資ファンド等のみでは通常実現しがたい事業活動を後押し、リスクマネー供給の先導役となること、国内外のファンドや業界団体とのネットワークを構築していくこと、特定投資事業者の有価証券等の処分についてですとか、あるいは人材の育成・活用、その他の資金供給以外の支援の決定を行うべきこと、それからその他機構が努めるべき事項として、責任ある投資機構体制の整備ですとか、事業活動の実施状況に関する外部有識者等からの意見聴取、投資内容・実績の開示。こういったことが基準の中で定められているということでございます。で、これは公表しております。

池尾分科会長ありがとうございました。では土居委員、お願いします。

土居委員今の関連なのですけれども、先ほど川村委員からも1,000億円の話がありまして、かつての産業革新機構のときは直接投資なので、案件が組成されて、それで産業投資から組成された案件との見合いの計画で盛り込まれた分の出資が行って、それで使い残せば使い残しと。使い残しというか、その年度に案件が組成されなければ資金としては産業投資にとどまっているということだったわけです。

ここから一つの質問なのですけれども、今回はファンド・オブ・ファンズで直接JICが企業等に投資するというわけではなくて、認可ファンドに投資することになりますと、産業投資からの出資はどの時点で実施されるのかということをちょっと確認したい。つまり、年度が始まると1,000億円がもう計画で認められているということで、いきなりもう年度が始まればJICに1,000億円が行ってしまうということですと、ガバナンスがききにくくなる点では問題があるのではないかと思うのですけれども。認可ファンドにファンドを組成することでしっかり案件もできたということで、認可ファンドにJICが出資することが固まった段階で出資を産業投資からするということなのかという、タイミングについてどうなっているかをちょっとお伺いしたいですけれども。

池尾分科会長お願いします。

柴田計画官基本的には、認可ファンドができて、そこから資金を流していくということなのですけれども、認可ファンドが立ち上がった段階で産投から相応の必要な資金を入れていくという、タイミングとしてはそういう形になろうかと思っています。

土居委員その意味では冨田委員の問題意識も私は非常に重要で、認可ファンドがしかるべき当初財政投融資の考え方ともそぐうようなところでしっかり役割を果たすことを見定めながら、理財局からもその認可ファンドでよいのかということの確認をし、そして産業投資からJICに投資をするという形で、ガバナンスを理財局からもぜひきかせていただきたいと思います。

それからもう一つ、これはむしろ御担当者にお伺いしたいところですけれども、結局、経産省の資料の1ページにもありますように、運営期間は2034年3月末までということで、もともとできたときに15年と言っているわけですが、今年度は事実上休眠状態だったので、残り2020年度が始まって実質13年しかないということで、直接投資をしていた産業革新機構時ならば、組成した案件を運営期間内にしっかりエグジットさせて回収することは比較的コントロールは容易だと思うのですけれども、認可ファンドを通じて間接的にエグジットする企業をコントロールすることになると、利害が対立した場合にどうするのだと。つまり、JICとしては34年3月までだと言っているのだけれども、認可ファンドとしては、いやそんなに時限を区切られてもというふうに言い出さないとも限らないと。これから新体制で頑張っていただきたいという時期に、いきなり店じまいの話をするというのも変なのですが、しかし運営期間は法律で定められているわけでありますから、それはしっかりと見定めていただかなければならないわけでして、間接的な投資になったことによって、運営期間との関係はどういうふうになっているのかと。JICが認可ファンドに対してガバナンスをきかせるときに、運営期間をどういうふうに意識しながら投資なりを意思決定していかれるのかというところのガバナンスについてお伺いしたいと思います。

池尾分科会長はい。

経済産業省中原審議官これは本日、資料でも公開されておりますし、制度的にも明らかなとおり、運営期間は法定の期間として外生的に定まっているわけでございまして、そのもとでそれぞれの認可ファンド、ファンド・オブ・ファンズがファンド組成していくということですので、そうした外生的な要件を織り込んだ形でそれぞれの認可ファンドが動き出すというふうに、合理的にそういうふうに関係当事者の間でファンドは形成されていくのを期待しているところでございます。

産業革新投資機構齋藤取締役すみません、ちょっと事実関係にも係る部分ですので、機構側から若干発言させていただいてよろしゅうございますでしょうか。

池尾分科会長はい、結構です。お願いします。

産業革新投資機構齋藤取締役まず、今の論点を先に申し上げてしまうと、旧産業革新機構時代も、私どもLP出資と呼んでおりますけれども、ファンドに対して出資をする形での投資も行っております。今度の新しいJICではむしろ認可ファンドを組成して、そのファンドに出資をするのが基本形になっていくということで、いわば主従が逆転する部分はございますけれども、ファンドへの投資は実は旧機構時代もやっておりました。

その上で申し上げますならば、私ども機構の存続期間は法律上決まっておりますので、基本的には私どもが認可ファンドを組成する段階、認可ファンドを設定する段階で、そのファンドの運用期間が私どもの機構の存続期間の中におさまっていくようなファンドを組成して認可をいただいていくと。そういうことでやっていくのが基本だろうと思っております。

それから1つ前の土居先生の御質問で、産投出資をどういうふうに機構に入れていただくかというところなのですけれども、これは旧産業革新機構、それから昨年名前が変わった今の産業革新投資機構も形式的には株式会社でございます。したがいまして、政府から出資をいただくためには、株主総会を開催して第三者割当増資の決議を行うというような手続が必要になります。したがいまして、案件組成の都度、一定額ずつを入れていただくような運営の仕方は実はあまり現実的ではない。そういう意味では、旧産業革新機構時代も産投のほうで出資として予算上手当てがされたものについては、具体的な案件が組成されているか否かとは多少切り離して、株式会社の資本を手厚くするという意味で全額を入れてきていただいているというのが、これまでの産投の入れ方でございます。

私どもの機構は政府、それから一部民間の株主さんがいらっしゃいますけれども、そこから出資をしていただいた額プラス、政府保証を認めいただいていますので、政府保証で資金調達した額、これが全体として私どもの投資の原資になります。そういう意味では、一般のファンドですと基本的には出資を募って、その出資をしていただいたお金だけで投資をするわけでございますけれども、私ども、政府保証つきの借り入れでいわばレバレッジをかけたような形で投資活動をやっているところでございます。そういう意味では、機構の立場からいたしますれば、できるだけ自己資本に当たる部分、出資のところを手厚くしておいていただけるとありがたいところはございますので、そういった私どもの機構の運営の仕方もぜひ御配慮いただければと思う次第でございます。

池尾分科会長それでは高田委員、お願いします。

高田委員御説明どうもありがとうございました。また、これまで1年間、こういうリスクマネーの供給は非常に重要であったところが一旦止まっていたということが、こういう形で成立になったことは非常に国民の側から見ても安心感があることではないかと思いますし、また期待も大きいのではないかと思います。

その上でちょっとお聞きしたかったのが、これまで産業革新機構、INCJということの中で直接の投資でやってきたわけでありますが、今回こういう形でファンド・オブ・ファンズ的に対応すると。目的として長期、大企業の成長資金をというような状況の中で、リスクテーク、リスクマネーをオープンイノベーションを通じてというような大きな旗印があるわけでありますけれども、その違いというのでしょうか、この性格にどういう違いがあらわれるのかというところはやはり知りたい方も多いのではないかと思います。もちろん10年間対応してきた中で局面が変わったのだというような御指摘なのかもしれませんけれども、どういう今回の中での位置づけ、もしくはそういう目的に対応した違いが出てくる、もしくはこういうメリットがあるのかというようなところをちょっと御指摘いただければという点がございます。

それから、今回の場合は認可ファンドということになるわけでありますけれども、先ほどまでいろいろ基準がどうかとかいう議論もありましたが、私自身はこういう認可ファンドがどういうポートフォリオ的な位置づけになっているのかなと。もちろん、ベンチャー・グロースのところ、事業再編が何千億という形での金額なりがあるわけでありますけれども、それぞれファンドごとに一つの性格づけみたいなものを与えるのか、その辺の状況がどうなっているのかといったところをちょっとお話を伺いたいと思った次第です。

それからもう一つが、民間資金の呼び込みというところが重要な状況としてあるわけでありますけれども、この辺について具体的にどのようにお考えであられるのかいうこと。

最後になりますけれども、私は今回のJICというのは官民ファンドの中でも非常にポートフォリオというものが生かせる、これまでもその後出てきた官民ファンドの分野ごとにというところから比べますと、非常にポートフォリオ的にこういうリスクマネーに対処しやすい部分があるのではないかとは思います。そういう意味での一つのモデルケースになっていると思うのですが。そのほかの官民ファンドとの連携みたいなものが今後あり得るのかどうかといった点についてもちょっとお話を伺えればということでございます。以上でございます。

池尾分科会長ではお願いします。

経済産業省中原審議官まず、ファンド・オブ・ファンズ形式をとっていくことについての環境変化、あるいはそのメリットということでございますけれども、さらにオープンイノベーションを推進していく観点からいったときに、1点目として、より専門性に特化したような投資を可能にしていこうということでございまして、こうした形式を採用することで、それぞれの投資対象に特化した人のチームづくりが可能になると考えております。

それから2点目に、当該分野に特化した民間資金の呼び込みということで、最後の御質問とも絡むと思いますけれども、専門性のあるファンドに民間資金を呼び込んで、それぞれに民間資金を呼び込みまして、大規模な認可ファンドを組成していくことも可能になると思ってございます。

それから最後に、民間の皆様との適切な役割分担という観点で、民間に任せるべき分野は民間に任せつつ、民間出資の状況や政策に応じて認可ファンドの組成や出資を行うことができるのではないかということでございます。

それから、ファンドごとのポートフォリオをどうするかというのは、今後またJICの新しい経営陣の皆様も含めた中でポートフォリオが適切につくられていくのだと思っておりまして、そうしたJICの活動を全体としてどう評価していくかというようなことで、私たちとしても適切な関与を今後考えていきたいと思ってございます。

それから、民間資金の呼び込みの点につきましては、先ほどのところで少し御説明を申し上げましたけれども、認可ファンドからの投資に際しましても、INCJでこれまで実施されてこられましたように、民間の出資者との協調出資も実施されていくということだと思いますし、何よりも、先ほど申し上げましたように、ファンド・オブ・ファンズ形式をとっておるわけでございますから、そうしたものを呼び込みやすいというような観点になっているのではないかと思っております。

それから、他の官民ファンドとの関係でございますけれども、官民ファンドはそもそもが我が国で十分な民間資金がリスクマネーとして供給されていない現状に鑑みまして、成長戦略とか地域の活性化とか新たな産業の創出といった政策的な意義のあるものに限定して、それぞれの政策目的に資するように投資活動を行っていると理解しております。INCJの支援決定に対しましても、他の官民ファンドの投資と重複したり、あるいは官民ファンドによる過剰な投資がなされないような事前調整を行っているわけでございまして、そうした中で、先生が御指摘のような適切な連携というようなものもできるかどうか、引き続きそうした実務を踏襲しながら、御指摘のようなものが最大発揮されるような形に努めてまいりたいと考えてございます。

池尾分科会長では再び川村委員、お願いします。

川村委員すみません。いろいろありがとうございます。ちょっと運用体制というか人員というか、その辺について教えていただければと思うのですが。JICがファンド・オブ・ファンズだと言われるゆえんは、いわば幾つかできる認可ファンドの全体ポートフォリオを見ていくのがJICの仕事であると、こういうことになると思うんですね。その場合に、JICのCIOを筆頭に求められる機能というのは、幾つかある複数の認可ファンドのバランスとか、運用金額とか、これを全体ポートフォリオとしてどう管理し、戦略を策定していくかという能力、ということになるのだと思うんです。

他方で、各認可ファンド、特にGPの場合には中心になるリードマネジャーたちがいる。そうすると、全体ポートフォリオを見る立場のCIOと、特に直接投資の場合の認可ファンドの運用というか投資に関してのCIOの権能というか関わりはどんなふうになるのかという点について教えていただきたい。

それから、基本的にこれは3つぐらい考えられるのだけれども、GPが中心で、LPも場合によってはあるという御説明になっていると思うのですが、現実問題として、従前の直接投資でやっていた場合と、認可ファンドでやっていた場合と、運用の実態はどの程度違うものなのか。例えばいろいろな分野がありますといっても、従前でいけば直接投資であれば、基本的に投資先は単一のことが多かったと思うのですが、複数になる場合ももちろんあった。そうなると、結構認可ファンドと運用の実態としては似ているところがあるのではないか。そこは従前はINCJは直接投資だったけれども今度はファンド・オブ・ファンズで認可ファンドだからというと全く違うように思えるのだけれども、大きく違うのは全体ポートフォリオを管理するCIO以下の機能というのはどうなるのかということが一つあるけれども、認可ファンドのレベル、実際の運用のレベルから見るとそんなに変わらないのではないかという点をどういうふうに考えたらいいのか、という点。

それともう一つは、特に私は個人的にはLP出資はできるだけ避けていただきたいと思っていて、というのは、大体官民ファンドは結構民間のファンドからマネジメントフィーをとられているケースが多くて、平気で2%ぐらい払ってしまっている。これは財投の立場から言えば、そんな民間に2%の手数料を払うために産業投資を出しているのではなくて、直接に、直接という意味は認可ファンドでも形態は別としてちゃんと国のいわば政策に基づいて運用してくださいね、何もそこに民に差別することはないよねというのが本質的な部分なので、できるだけLPは避けていただきたいと思うのですが。今度LPなんかもある程度出てきてしまった場合、現実ほかの官民ファンドはかなりLPをやっていますので、出てきた場合に、先ほど申し上げました全体ポートフォリオを見る中でCIOもこのLP出資の是非も当然判断するわけですよね。そういう理解でよろしいかと思うのですが。

あと、総じて、これから人も採用していくとかいろいろあると思うのですが、今度のJICの特にファンドマネジメント、ポートフォリオ管理に当たるスタッフ数とか組織の状況というのはどんな感じなんでしょうか。今の段階で確定している部分というか、見えている部分を教えていただければと思います。

池尾分科会長ちょっと時間が迫ってきていますので。

翁委員関連で。

池尾分科会長関連で、では先に翁委員。

翁委員すみません。今回すごく時間をかけてしっかりとした体制で改めて再スタートということで、お話しいただいたようなガバナンスでやっていただくので非常に、今度こそぜひ頑張っていただきたいと思っているのですけれども。

一つお伺いしたいのは、ちょっとスタッフのことが出たのですが、以前INCJに勤めて……、以前というか産業革新機構にいらっしゃった人材、人たちは今、どういう状況になっていて、今後どういうふうに新しいJICのほうで御活躍されるのか、エコシステムという観点から見て、こういう人たちというのは今、どういうふうな展望になっているのかについても、ちょっとお伺いしたいと思っております。

池尾分科会長それでは手短にお願いいたします。

産業革新投資機構齋藤取締役それでは現場の話ですので、機構の側からお答えをさせていただきます。川村先生がおっしゃったように、JICはファンド・オブ・ファンズになると。そこは旧機構とはもちろん変わる部分でございますけれども、1つ下のレイヤー、すなわち認可ファンドのところを見れば、そこで個別案件をやっていくわけですから、そこと今までの機構との共通性がある。そこは全くおっしゃるとおりだと思います。その上で、ファンド・オブ・ファンズたるJICのCIOはまさにおっしゃったとおり全体のポートフォリオ、複数のファンドを管理する役割を担っていくわけですし、今回お迎えした久村さんという方、東京海上アセットでまさに東京海上のそういったLP出資、複数のLP出資の全体をマネージされていた方でございますので、そういう意味では私ども機構としても極めて適任の方にお越しいただけたのではないかと思っている次第でございます。

その上で、LP出資をできるだけ避けてほしいというお話がございましたけれども、一つは旧機構時代、LP出資をしておりましたのは、旧機構ができたのはもう10年以上前でございますので、当時まだ日本のベンチャーキャピタルはあまり育っていなかった、そうした中で量的補完をするという政策的な意義のもとでLP出資をしていたわけでございますけれども、そこから十数年たって状況が変わっておりますので、そこはもちろん今の状況で何をやるべきかということを考えていく必要があるだろうと思っております。

それから、旧INCJ、旧産業革新機構の場合には機構がお金を出すところは個別に経産大臣の意見を聞くというたてつけだったのに対して、今回は認可ファンドという形で、ファンドにお金を出す場合にそのファンドが認可を受けることになっていますので、もし既にある民間のファンドに私どもがLP出資をしようとすると、その民間のファンドに認可ファンドになってもらわないといけませんので、そこのところでもってかなり民間からすると運用の自由度がそがれる部分が出てきますので、現実問題として民間のファンドが私どもからのLP出資を望むかどうかというような論点もあろうかと思っております。

その上で、私ども、今まで産業革新機構としてはまさに個別案件に投資をする活動をしてまいりましたので、その意味では複数のファンドをマネージするというようなことは基本的にやってきておりませんので、そうしたところの人材については、フロント側についても、それからミドルオフィス、バックオフィス側についてもむしろ基本的にはこれから手当てをしていかなくてはいけない部分だと思っております。

その上で、翁先生の御質問にお答えするところでございますけれども、従前の産業革新機構でまさに個別の投資案件に従事してくれていたスタッフについては、現在は身分上は一旦JICの職員として引き継いでおりますけれども、INCJに出向することで従前の案件に引き続き従事してもらっております。私ども、昨年来、機構の側でいろいろとちょっとごたごたしたりもしましたけれども、旧産業革新機構時代からのフロントの職員、基本的にほぼやめずに引き続き活動してもらっております。彼らの知見あるいはネットワークはJICの認可ファンドの活動においても非常に貴重な財産になると思っておりますので、認可ファンドができれば、そちらのほうでも活躍してもらう場がつくれればいいなと思っている次第でございます。

池尾分科会長ありがとうございました。

それではそろそろ時間になりましたので、このあたりで質疑を一応終了としたいと思います。それで追加で御質問されたいこととか、こういう資料を出してほしいとかいう御要望がありましたら、事務局を通じてお出しください。後日対応させていただきます。

それでは、産業革新投資機構及び経済産業省担当部局の皆様、どうもありがとうございました。御退席をお願いいたします。

(産業革新投資機構、経済産業省退室)

池尾分科会長それでは予定の時間となりましたので、本日の議事は終了したいと思いますが、先ほども申しましたように、何かございましたら、事務局までお寄せいただければと思います。

また、本日の議事内容につきましては、別途、事務局より記者レクを行う予定でいます。議事録につきましては、いつもどおり、委員の皆様の御了解をいただいた後、財務省ホームページに掲載いたします。

本日は御多用の中御参集いただき、御熱心に御議論いただきまして、まことにありがとうございました。これにて散会とさせていただきます。

16時00分閉会