現在位置 : トップページ > 財務省について > 審議会・研究会等 > 財政制度等審議会 > 財政制度等審議会財政投融資分科会 > 議事要旨等 > 議事録 > 財政投融資分科会(令和元年5月24日開催)議事録

財政投融資分科会(令和元年5月24日開催)議事録

ダウンロード(PDF:349KB)

財政制度等審議会財政投融資分科会
議事録

令和元年5月24日
財政制度等審議会


財政制度等審議会財政投融資分科会議事次第

令和元年5月24日(金)13:57〜15:53
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)

  • 1.開

  • 2.産業投資の管理運営について
    質疑・応答

  • 3.閉

配付資料

資料1

財政制度等審議会財政投融資分科会説明資料
産業投資の管理運営について3

配付資料1今後の産業投資について(論点整理)
配布資料2今後の産業投資について(たたき台)

出席者(敬称略)

分科会長

池尾和人

可部理財局長

古谷理財局次長

橋本財政投融資総括課長

金森管理課長

湯下計画官

若原計画官

谷内資金企画室長

山本財政投融資企画官

委員

翁 百合

高田創

渡部賢一

臨時委員

土居丈朗

冨田俊基

冨山和彦

林田晃雄

原田喜美枝

専門委員

川村雄介

工藤禎子


13時57分開会

〔池尾分科会長〕それでは、定刻よりまだ少し早いのですが、出席予定の委員の方が全員お揃いになりましたので、ただいまから、財政制度等審議会財政投融資分科会を開催いたしたいと思います。

本日は、産業投資の報告書のとりまとめに向けて、委員の皆様から御意見を賜りたいと思っております。前回は時間の制限が厳し過ぎて、十分に議論していただけなかったので、今回はそういうことがないように、十分に時間をとったつもりですので、よろしくお願いしたいと思います。

それで、いただいた御意見を踏まえて、次回6月に報告書をとりまとめたいと予定しております。よろしくお願いします。

それでは、論点等につきまして、まず山本企画官から御説明をお願いしたいと思います。

〔山本財政投融資企画官〕企画官の山本です。よろしくお願いします。

私から、まず最初に資料1の産業投資の管理運営について3について御説明いたします。

1ページでございます。こちらは、平成26年に財投分科会でとりまとめいただきました報告書の抜粋でございます。記載のとおり、産業投資のポートフォリオについて御指摘をいただいているところでございます。また、今年4月の分科会でも、ポートフォリオについては御議論をいただいたところでございます。

2枚お進みいただきまして、3ページを御覧ください。1.産業投資の全体のポートフォリオでございます。記載のとおり、融資業務等のリスクバッファは6割程度、官民ファンドが13%、資本性劣後ローン等が9%といった状況になっております。

続きまして、2枚お進みいただきまして5ページ、2.(1)国内外別の投資状況を御覧ください。官民ファンドの投資状況です。先ほどの産投全体のポートフォリオのうち、官民ファンドの部分を国内向けと海外向けとで分類したものでございます。

1枚お進みいただきまして6ページ、2.(2)の1投資の分野(官民ファンド全体)を御覧ください。左側の円グラフは、官民ファンドの投資について、投資分野別に分類をしたものでございます。右側の円グラフは民間の状況として、御参考で載せておりまして、2017年度と2018年度2年間につきまして、民間によるエクイティ投資の状況について、Bloombergのデータより集計をしたものでございます。

続いて、7ページを御覧ください。2.(2)2投資の分野(国内外別)です。先ほどの投資分野別のものを、国内向けと海外向けに分けてそれぞれ集計したものでございます。

続きまして、8ページを御覧ください。想定投資年数でございます。官民ファンド全体の投資につきまして、想定投資年数によって分類したものでございます。

次のページ、9ページを御覧ください。想定投資年数を国内外別で分けたものでございます。ポートフォリオは以上でございます。

続きまして、10ページを御覧ください。ここからは、主な政策金融機関等の概況についてでございます。これから御紹介する資料自体は、過去のこれまでの分科会で御紹介済みのものでございますが、投資の直接の原資以外の産業投資の状況についての御説明ということで、再度御紹介いたします。

1枚お進みいただき11ページを御覧ください。3.1日本政策投資銀行(DBJ)の業務概況でございます。DBJは一般業務として、産業投資をリスクバッファとして融資業務等を行っております。

1枚お進みいただきまして12ページを御覧ください。国際協力銀行(JBIC)の業務概況でございます。近年の事業規模の推移を示したものでございます。

次のページ、13ページを御覧ください。近年、事業規模が大きく伸びておりますが、その背景といたしましては、投資金融の拡大によるものがほとんどというような状況となっております。

1枚お進みいただき14ページ、日本政策金融公庫(日本公庫)の資本性劣後ローンの業務概況でございます。

1枚お進みいただきまして15ページ、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の業務概況でございます。JOGMECの業務のうちオレンジ色で塗ってある部分が、産業投資の対象という形になっております。

続きまして、2枚お進みいただきまして17ページを御覧ください。こちらから、今度は産投機関の設置根拠法、それから支援基準でございます。今回の産投の管理運営の議論におきまして、産投機関の設置根拠法や支援基準の話が出ておりますので、その具体例の紹介でございます。今、御覧いただいておりますものは、海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)の設置根拠法の抜粋でございます。

1枚お進みいただき18ページを御覧ください。こちらは、JICTの支援基準ということで、所管大臣である総務大臣が定めたものでございます。

資料1についての説明は以上でございます。

続きまして、残り2つの資料、配付資料1、今後の産業投資について(論点整理)、それから、配布資料2、今後の産業投資について(たたき台)についてでございます。産投の管理運営につきましては、6月のとりまとめに向け、今年3月、4月の分科会で一連の御議論をいただいておりますが、この一連の議論を踏まえ、とりまとめに際して論点として取り上げるべきではないかと考えられる論点を事務局で整理したものが、配付資料1の論点整理でございます。この論点整理にある各論点に対する考え方を事務局で整理し、報告書の形にしたのがたたき台という資料になっております。

これから私からは、配付資料1の論点整理について説明をさせていただきます。たたき台につきましては、現状、まだ報告書案と言えるほどかっちりしたものではなく、その前段階のレベルですので、内容自体の説明は省略し、論点整理との対応関係を御紹介するのにとどめさせていただきたいと思います。

それでは、配付資料1の論点整理を御覧ください。1枚お進みいただきまして1ページでございます。箇条書きで記載がございますが、箇条書きのうち四角で囲ってあるものと囲っていないものがございます。囲っているものが、今回取り上げるべき論点と考えるものでございます。

この論点整理の全体構成として、大きく3部構成でございます。まずここは第1部として、T.産業投資の制度等でございまして、これはたたき台で言いますと1ページから3ページが対応しています。この産業投資の制度等では、産業投資について基本的な事実関係、整理を記載し、その上で、産投の意義を囲みのように考えてはどうかというのを、論点として挙げております。

論点整理の2ページを御覧ください。第2部としてU.産業投資の役割・課題でございます。1.ということで、近年における民間投資の状況と課題がございます。これは、たたき台で言いますと4ページから6ページが対応しております。ここでは、近年の民間投資の状況・課題を整理しておりまして、新事業の創出、オープンイノベーションの推進、海外展開支援について記載をしております。

続いて2.産業投資の役割を御覧ください。これは、たたき台で言いますと7ページから8ページが対応しております。この産業投資の役割のところでは、先ほどの、1.近年における状況と課題で挙げられた課題への適切な対応を図る観点から、新事業創出のための資金供給、オープンイノベーションの推進等につながる資金供給、海外展開支援への対応といったものを、役割として挙げております。

論点整理の3ページに参りまして、今後とも民間との深度ある対話を踏まえて、市場の失敗が生じている領域を的確に捉え、戦略的かつ機動的に産投を活用していく必要があるのではないかという論点を記載しております。また、あわせて危機時における役割についても記載しております。

同じく論点整理3ページの、今度は3.産業投資の執行上の課題でございます。これは、たたき台の9ページから10ページでございます。産投の使途の状況、執行状況を踏まえた課題を記載したものでございます。

続いて4.産業投資のガバナンスに係る基本的な考え方です。たたき台の11ページから13ページが対応いたします。まず(1)では、政策性のガバナンスについての論点を挙げておりまして、(2)では、収益性のガバナンスについての論点を、この3ページから次のページ、論点整理4ページにかけて記載してございます。

続いて4ページの(3)では、ドイツの民間資金増加のための取組、イギリスの機関一元化による効率化、人材集約化の動きを踏まえ、日本でもそういう取組を参考にしていくべきではないかという論点を掲げております。

続いて、論点整理の5ページを御覧ください。産業投資の基本原則(プリンシプル)でございます。たたき台の14ページが対応いたします。産投の管理運営の基本原則ということで、4つの原則にまとめております。

続いて、論点整理の6ページを御覧ください。第3部として、V.管理運営に係る具体的取組でございます。まず最初に、1.産業投資のポートフォリオです。たたき台でいきますと15ページから20ページが対応しております。産業投資のポートフォリオの全体状況は、今日、最初に御説明した資料1のとおりでございますが、ここでは、そういったものを踏まえて全体の状況を把握し、産業投資の運営の検討や産業投資の収益・リスク管理に活用することが考えられないかという論点を記載してございます。

続きまして、2.投資の直接の原資としての産業投資のガバナンスでございます。最初に(1)産業投資のガバナンスに係る状況、(2)出資条件についてです。たたき台で言いますと21ページから22ページでございます。(1)、(2)では、民間の例も参考に、予め出資時に機関との間で出資条件を明確化することで一定の目標を定め、適切なガバナンスを確保することはどうかという論点を示してございます。

続きまして、(3)政策性に係るガバナンスのあり方でございます。たたき台の22ページから25ページが対応します。基本的なあり方についての考え方を記載した上で、次のページ、7ページにおきましては、エコシステム構築の観点を取り上げてございます。フランスでの取組を参考に、機関・関係省庁に対して検討を求めていく必要があるのではないかという論点を示してございます。

そして、政策性に係るガバナンスの方策でございます。まず、適切な枠組みの設計ということで、投資基準等の枠組みの設計への対応、投資基準等に規定されていない事項は出資条件で設定する、情勢変化等を踏まえた投資基準等の見直しということを論点として挙げております。

実行面での対応につきましては、KPI等も踏まえつつ、必要な管理を行い、また、実地監査等を通じて運営等の確認をし、必要に応じて改善を求めることを論点として挙げております。

続きまして、論点整理の8ページでございます。(4)収益性に係るガバナンスのあり方のうち、まず、@.基本的なガバナンスのあり方でございます。たたき台でいきますと25ページから26ページが対応いたします。ここでは、少なくとも資本コストを上回る累積損益水準の確保が必要とした上で、さらに、機関の業務の特性や収益のボラティリティ、民間資金の誘発、民間株主の要求水準などを踏まえて、適切な収益目標の設定が考えられないかといった論点、また、損益分配の方針も必要ではないか、さらに、機関・主務省が客観的に検証可能な投資計画・目標を設定した上で、予め出資時に収益性の水準等について、定量的に明確化すべきではないかといった論点、さらには、フォローアップの仕組みが必要ではないかという論点を示してございます。

続きまして、A.収益構造を踏まえたガバナンスでございます。たたき台の26ページから28ページが対応いたします。ガバナンスに際しては、損益のJカーブを踏まえるべきではないかという論点を示しております。その上で、収益性に課題が生じた場合のガバナンスということで、投資計画・目標と実績に乖離が生じている場合には、主務省・機関は検証可能な改善計画・目標を策定・公表し、それが達成されない場合には、抜本的対応を図る必要があります。その上で、政府(出資者)としては、機関・主務省に対して適切な対応を図るように促すべきではないかという論点を示してございます。

続きまして、論点整理の9ページでございます。3.投資の直接の原資以外の産業投資でございます。たたき台の29ページから30ページが対応します。本日最初に御説明した資料1で概況を取り上げました、政策金融機関等への出資についてでございます。過去に行った出資が、社会情勢の変化等により活用されなくなっている場合もあり得ることから、ガバナンスの方策として、定期的に既往出資の使用状況等について機関から報告を受け、毎年の財投計画編成過程において、既往出資の取扱いを検討してはどうかという論点を示しております。

私からは以上でございます。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの山本企画官の説明を踏まえて、委員の皆様方から御意見、御質問をいただきたいと思います。今から100分ぐらい時間がありますので、十分に議論していただければと思います。全体に関して、まず御意見あればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

では、渡部委員。

〔渡部委員〕全般にということで、質問というより意見です。たたき台の方はよくまだ読めていないのですが、全体に主語が分かりづらい。ですから、この全体を管理というか、している人は誰か。時々主務官庁とその機関が云々というのが入ったりするんですが、誰がというのは、政府でもいいんですが、誰がというのをきっちりされたらいいのではないかというのが全体としての印象です。あえてぼかしているわけでもないんでしょうが、そこがふわふわっと流れて、どこか途中で英語も入っていましたけど、英語にならない日本語、要するに主語が抜けているなという感じを受けました。

それから、もう一点。英語のプリンシプルのところもそうなんですけれども、we willでも、weって誰だというのがはっきりしない。それはここの人たちなのか、その機関の人なのか、主務官庁の人なのか、責任と権限をはっきりさせたほうがいいのではないかなと思います。そういう意味では、ポートフォリオ云々の議論もあったわけですけれども、全体のポートフォリオを見るのは誰なのか、例えばここの人たちとか、はっきりさせるべきだと思います。

それから、当然、資料編にもありましたけれども、全体としてのファンドというか、毀損しないようにという意味は、何打数何安打で、必ずしも数量的には全てがうまくいかない部分もあるけれども、合計としてきっちり運営はしていこうというのが入っているわけですから、ここの人たちは、単純にレビューとか、レビューも最後のほうに入っていましたけれども、他へのアドバイスという機能も、権限というか、裏表で責任ですけれども、というのがやはりしっかり入ったほうがいいような気がいたしました。以上、三点が全体への意見です。

あとは、若干質問ですが、論点整理の2ページになるんでしょうか。上の1の丸3つ目の最後、海外事業ですけれども、地場金融機関って何でしたっけ。定義がいまいち分かりません。これは単純な質問です。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。その地場金融機関のところだけ御説明いただけますかね。どうぞ。

〔山本財政投融資企画官〕地場金融機関は、日本企業が海外に出るのにネットワークがないといけないという話で、海外の地元の金融機関と、そういう意味合いで使っております。

〔渡部委員〕現地銀行ということですね。

〔山本財政投融資企画官〕はい、そういうことです。

〔池尾分科会長〕そうですね。「現地の金融機関」のほうがよろしいかなと思いますね。

それでは、冨山委員、お願いします。

〔冨山委員〕ありがとうございました。全体としてかなり大事なまとめになっているので、大変結構なことだと思っています。

個別に言うと、今の論点整理の5ページ目のプリンシプルのところですね。これ、極めて実は重要なプリンシプルが並んでいると私は思っていて、裏返して言ってしまうと、特に官民ファンドに関しては、このプリンシプルが多くの場合、きちんと守られてはないと私は思っています。あるいは、守られなくなるような干渉を、役所がしてしまったりとかということさえある。

渡部委員の脈絡で言うと、ガバナンスをする側、株主であり、主務官庁である側、それから、当然やっている側の取締役なり、あるいはやっている執行部なり、これが共通に守るべきプリンシプルなので、そこは今、渡部さんが言われたように明確にしておいたほうがいいと思います。ある意味でこれは、役所も縛るプリンシプルなので、そういうふうに思います。

それから、やはりとりわけ気になっているのは、この2つ目の資本コストの問題でありまして、これはそもそもこういった産業投資、特に産業投資の中で一番純化された産業投資が、ひょっとすると官民ファンドなのですけれども、要はエクイティ・ファンドですから、逆に言ってしまうと、定常的に出てくるようないわゆる市場補完型の産投の世界というのは、むしろ常設機関ですよね。だからDBJとかJBICが担っているわけでありまして、したがって、こういう非常設型のプロジェクト型の官民ファンドというのは、本質的によりシャープに、要は市場の創造であったり市場の代替ということを果たしていくわけなので、その中でこの4原則はより厳格に守らなければいけないですし、あるいは、この2つ目の問題、資本コストの問題をどう考えるかというのも、私はかなりクリアにしたほうがいいと思います。

少なくともリスク投資の世界における資本コストというのは、いわゆるWACCの議論とはちょっと違っているはずで、投資をしている投資領域のリスク、すなわちベータ値に反映、要はリフレクトされた資本コストであるべきなんですよね。

これ、実は産業再生機構でも議論があったんですけど、要は、実質的には政府保証債で調達しているので、金利が0.0何%とかになってしまうから、損しなきゃいいじゃないかということを言い出す人が出てきます。それでもし、ビジネススクールで、コーポレート・ファイナンスで答えを書くと、これは、Dです。あり得ないわけで、資本コストというのは、あくまでも投資している先の事業、資産が持っているベータ、要するにリスクに伴って決まってくる話なので、したがって、例えばわりと大きな会社の投資であれば、普通マーケット、多分、マーケット・リスクプレミアムは今7%ぐらいのはずなので、それが資本コストなんですよ。これがどうも理解されていないケースが、私は多過ぎると思うんです。

ちなみに産業再生機構では、マーケットの長期のアベレージのリスクプレミアム7%を使っていました。これをディスカウントレートで使っていました。これを割るものはやらなかったです。

ここでも出てくるのが、政策性とのトレードオフをどうするんだという議論なのですが、これは、たたき台のほうの1ページ目、政策性と収益性の集合論のベン図がありまして、この重なっている部分が産業投資が活躍する部分であって、要は、政策性は認められるけれども収益性が認められないものは、本来一般会計で、補助金、助成金でやるべき世界なんですね。正々堂々と税金でやればいいんです。逆に、収益性があって政策性がない領域は、普通に民間企業がやる世界ですから、政府機関が出てくる必要は全くないわけです。

ということは、こういう政策が意味がある、特に官民ファンドが意味あるのは、要するに、本来政策性があって本来収益性があるべきところにおいて、何らかの事情で市場の機能が欠落している。それは、未成熟なせいで欠落しているという、これから市場を創造しなければいけないケースか、金融危機みたいな、要は危機が起きてしまって市場機能が死んでしまったので、機能しないというときの代替ですよね。だとすると、そういう案件は両立するんです。もっと言ってしまうと、両立しないんだったら、逆に言うと市場代替になっていないということなので、やらないほうがいいんです。ということなんですね。

問題は、恐らく、金融危機みたいなときは、明らかにここに案件がばーっと浮かび上がるんですけれども、今みたいな平時において存在している官民ファンドの多くは、実はやってみないと分からないんですよ、ここに案件があるかどうかというのは。あらかじめこれは検証のしようがないので、あるのではないかと思ってやってみましたというケースが多くて、やってみた結果として当てはまる案件がないんだったら、それは途中で解散したほうがいいです。案件を積み上げるというのは、これは予算消化ではないのだから、何もしないほうがいいです。案件が積み上がらないほうが健全です。ということなんですよ。

そろそろもうこれ10年近く経ってきたので、私は、今ある官民ファンドについてこういったレビューをこのベン図に合わせて見たときに、この中央の共通集合の部分にあるような案件が本当にあったのか、なかったのか、あるいは今後もっと増える見込みがあるのかないのか、この観点から、やめるべきものはやめたほうがいいです。

でないと、結果的に赤字案件が積み上がるでしょう。何らかの政策目的は達成できたと言ってみたって、ファンドという形で赤字が積み上がる。だから、結果的に回り回って、だったら最初から一般会計で、補助金でやっておけばよかったということになるんです。

なので、このベン図はものすごく重要な概念整理で、こういった政策の意味が持っているのは、いわゆる狭義の政策性と、実は収益性も広義の政策性に入るんですよ、市場補完・市場代替なんだから。この2つの条件をクリアしたところでしか、やはりこういった政策は発動してはいけないんですよ。

そうすると、これはまた実はもう一つ次に要件が出てきて、先ほどのプリンシプルのところに戻りますけれども、「資本コストを上回る適切な収益を確保するため、優れたプロフェッショナルな投資組織であることを目指す」と書いてありますね。この優れたプロフェッショナルということはとても意味が大きくて、この2つをクリアできる優れたプロフェッショナルな組織でなければいけないんです。ということは、当該担当組織を担っている、それは取締役であり、あるいは当該CEOだかCIOだかの人たちは、ある種、政策遂行者としても優れたプロフェッショナルであって、なおかつ民間の投資、要するにインベスターとしても優れたプロフェッショナルでなければいけないんです。1人で無理だったら、複数でやらなければいけないんです。

じゃあ、今、存在している官民ファンドで、民間から見ても超一流と思えるような投資実務家をCIOとかCEOに抱えていて、なおかつその人が政策人として超一流である人、この両方の要件が重なっている人間をちゃんと持っている組織は幾つあるんですか。これ、すごい要件、厳しいですよ。

自分のことになってしまうのであまり言いたくないけれども、たまたま運よく産業再生機構のときは、条件がそろったんです。案件もいっぱいあったし、たまたま、ちょっと自分を脇において言ってしまうと、当時のメンバーは非常に優秀で、この両面において見識があって、然るべき経験と実績のある人間が、あのときたまたま集められたんです。この2つの条件がクリアされて初めてうまくいくんです。

残念ながらこの2つは実は明確にアンド条件で、一部の人は、制度とか仕組みを担保すれば人の問題はクリアできるというのは、これは無理です。そんなに簡単ではありません。制度的担保があって、なおかつ一流の人材がそこに張りついて初めてうまくいく政策なので、結論がすごくナローパスです。ぼちぼちもう10年経ったので、もうナローパスであるということを素直に認めて、今後それをどうしていくかということを、私は、これは財務省の枠を超えてきちんと議論したほうがいいと思います。

この1ページ目のベン図ですね、集合論、ここはくどいようですけど、僕の知っている限り、ほとんどの官民ファンドにおいては、この概念は共有されていないです。政策性がクリアされているのだから収益性は犠牲にしていいという議論が、現場では結構まかり通っています。僕はあれはおかしいと思う。あるいは、その政策性をちゃんと満たそうと思ったら、収益性のある案件なんかないみたいなことを言う人がいます。なかったらやめればいいんです。

ここはそろそろクリアにしないと。非常にいい資料を作ってくれているので、ひょっとすると、これは財務省以外の役所、あるいは今、官民ファンド幹事会って、内閣官房でやっていますね。絶対これ、共有したほうがいいですよ。ひょっとしたら、そのレベルでちゃんと共有して、このプリンシプルに厳格に則って全ての官民ファンドのレビューをもう1回やって、それで、だめなものはやめる、あるいはどこかとくっつける、そういうことをやったほうがいいと私は思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

じゃあ、土居委員、お願いできますか。

〔土居委員〕さて、今、冨山委員がおっしゃった点、最後のポイントは非常に重要なポイントだと私も思いまして、一言付言をしてから、別の論点に移りたいと思います。公共経済学というか財政学というか、そちらの観点からすると、まさにその政策性と収益性というところの重なり合いというものにある種の整理が必要だと思っていて、特に収益性については、この分科会でも何回か申し上げたことがあるのですけれども、いわゆる公益性という普通の日本語ですね、学術的な専門用語という意味ではなくて、国語辞典にも載っているような意味の公益性という名を借りて、多少収益率が低くてもやむを得ないという言いわけが、比較的この世界では通っていると。

それが、冨山委員のおっしゃり方で言えば先ほどの御意見のとおりですし、私なりの言い方で言えば、結局、公共財という、これは学術的な専門用語ですが、それには2つの性質があって、1つは非排除性。つまり、対価を払わない人でも便益は受けられるという性質を1つ帯びていると。特に今申し上げたいのはこちらのほうですが、もう一つは非競合性ですが、非排除性があるがゆえに、便益をもたらした相手方からは対価を取れないと。取らなくても公益性があるのだから、これは標準的な日本語の公益性ですが、そのプロジェクトなりその事業に意義があるというある種の言いわけを、今までは受け入れてきたというところがあると。

けれども、今回、産業投資の話でここで議論しているのは、非排除性、つまり、プロジェクトや事業を起こしたことによって便益を受けたであろう人から、必ずしも直接的に対価が得られない、これによって収益率が下がるということを言いわけにするということは、やめたほうがいいのではないかということは、別の言葉で表現した冨山委員のおっしゃっていることと全く同じことを、私もあえて重ねて申し上げたいと思うわけです。対価が取れないから仕方がないというのは、いわゆる公益性という日本語で表現されるような話だったりするので、それはそれでやってはいけないということではないけれども、とにかくここでは、今日議題になっている案件では、それを言いわけにしてしまうと何でもありになってしまうということなので、やはり収益性というものを、何らかの定量的なものを示しながら、1つ線を引いていくということが大事なのではないか。

そういう意味では、配付資料1の8ページですね、基本的なガバナンスのあり方という中の収益性に係るところでありまして、ここの四角にあるところで、3つ目の丸にもありますけれども、「予め出資時に政府との間で定量的に明確にすべきである」と。「ではないか」というよりかは、むしろ「すべきである」と思いますし、しかもこの「予め」という事前性が極めて重要であると。事前に示しておいて一定のコミットメントをするということが、こういう観点からも大事になってきて、さらには、フォローアップというのがこの次の丸にありますけれども、収益性の検証、フォローアップを適切に行う仕組みを、私は必要とすると思います。

それから、あと1点、ちょっと超越的なところになってくるのかもしれないのですが、同じ配付資料1の2ページの産業投資の役割のところで、内容自体に全く異議はないのですけれども、いつの時点の産業投資の役割というものを意識してここで記しているかというところが、特に配布資料2のたたき台のほうでは文章になっているのだけれども、少し分かりにくいところがあると思います。

例えば、配布資料2の7ページが同じ該当部分ですけれども、2の(1)の1、現下の産業投資の課題と書いてあって、これは今の話であると。将来の産業投資について書いているということでは必ずしもないと理解をすることができる、そういう表現ではないかと思うわけですが、かといって、これを、あくまでも今の話であって、将来の話ではないとまで言い切るのかどうなのかということかなと思います。全てが全て将来も起こり得るから、この@、A、Bというのは、今も課題ではあるけれども将来も課題になり得るということだからここに書いているとは、今のところ節のタイトルからすると、そう読まなくていいというか、そう読めなくていいということなのかもしれませんけれども、いつの時点の話かということは、文章の中にはあまり明確には書いていないと。タイトルの1「現下の」という文言だけで、今のお話だなということが分かるのだけれども、かつ、@、A、Bというのは、確かに今このお話が課題になっているなということも分かるんですけれども、では、なぜ今、産業投資についてこういう議論をしているのかというと、全て今の話ばかりというわけではない。将来も似たようなことが産業投資に求められる役割としてあったならば、そのときにはどう振る舞えばいいかということも、ある意味で、今、一定の議論をして、将来に対してよりよいメッセージを発していくということも、この議論の中に入っているのではないかと私は思っています。

先ほどの収益性という話も当然そうで、今、走っている官民ファンドに限りそういう話をしているということではないというつもりでやっていて、また、全く予見できませんけれども、5年後、10年後に似たような話がもし産業投資にあったならば、そのときにはここでの議論が役に立つような形で、5年後、10年後に新たな産業投資の役割として果たしてほしいというつもりも、私自身は持っています。もちろん予見できませんが、そういうつもりで議論に加わらせていただいているということなので、今だけの話に限って言っているということなのか、それとも、将来もし似たようなものがあった場合には、それは当然として、将来にも同じようなメッセージを、ここでした議論から発していくということなのかというところの、ある一定の書き分けというんですかね、それは少し意識していただいたほうがいいのかなと思います。

例えば、配布資料2の8ページの(2)の危機時における役割というのは、「産業投資は、今後も」と書いてある。ということは、少なくともこの(2)というのは、「今後も」ということを言っているということだから、これは今後もあるんだなということを意識した上でこの文章があるということが明確に分かる文章になっていますし、私もそういうつもりで、その書き方でいいのではないかと思うわけでありまして、ここ以外のところでも、「今後も」というものなのか、それとも今だけという話なのか、それとも、今後はそれがあると確定的には言えないけれども、もし似たようなものが今後もあった場合には似たような対応するということなのかというところは、少し書き分けていただきたいなと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕どうぞ。

〔橋本財政投融資総括課長〕今の点について、土居委員御指摘のとおり、このたたき台の7ページの2.の(1)のところで、現下の産業投資の課題というものと今後についてというところ、書き分けがやや不十分かと思いますので、直させていただきたいと思います。

その上で、ここでの趣旨は、まず1のところで、足元の産業投資の課題、3分野をやっているというのを御説明した上で、2のところで、近年、その3分野について産投を行ってきたと。その分野、非常に近い未来においては、同様の分野中心にやっていくということだろうとは思いますが、その分野の内容においても、見直すべきは見直さなければいけないと思いますし、少し中期的に考えた場合には、この分野そのものというのも、投資すべき分野としてふさわしくなくなっていく可能性もあろうかと思いますので、この文章をとりまとめたことで将来の業務が硬直的にならないように、常に見直していかなければいけないという趣旨で、2の2行目以下、今後、国際的な競争環境の中で日本経済の成長力強化等を図るためには、対話を行い、そういった資金供給の状況等を的確に捉えて、戦略的に資金の供給を行っていく必要があるということで、見直していかなければいけないとの必要性を述べたものであります。しかし、冒頭申し上げたとおり、書きぶりにおいて、委員御指摘のとおり不足している部分があるかと思いますので、その趣旨が明確になるように修正したいと思います。

〔池尾分科会長〕多くの委員から発言の希望が出ていますが、まずは林田委員。

〔林田委員〕ありがとうございます。簡潔に申し上げます。

まず、5ページにあるプリンシプル、冨山委員などからも重要だというお話が出ましたが、私も、新たな試みとしてプリンシプルを示したのは、適切な対応ではないかと考えています。プリンシプルというのは、金融庁などでも流行っているわけですけれども、守るべき大原則を示した上で、手とり足とり面倒見ることはないけれども、原則を守れない場合には、当事者が、ここで言えば官民ファンドなど産業投資の対象機関であったり、主務省であったりすると思いますけれども、そこが自ら適切な管理運営を行うということを求めるものでありまして、何かこれだけ見ると、ごく当たり前のことが書いてあるようですけれども、しっかり守るのは実は難しい。実は厳しい規律を要求しているのだと理解しております。そういった位置づけというつもりで、これに提案されているのかどうかというのを、念のため確認しておきたいと思います。

それから、産業投資のガバナンスに関して、資料6ページですが、「予め一定の目標等が定められていなければ、投資実行後における適切な管理は困難」、ここも、ほかの委員から御指摘ありましたとおり、非常に重要な観点であろうかと思います。このあたりが曖昧になっていることが、幾つかの官民ファンドがにっちもさっちもいかないという、年数ばかりが過ぎている原因になっているのではないかと思いますので、特に言及したいと思います。

それから、8ページですが、これも他の委員から御指摘ありましたが、「改善計画・目標を策定・公表し、達成されない場合にあっては、抜本的対応を図る必要」があるということであります。その具体的な方策として、4ページに海外の例などがありまして、複数の機関の一元化などが紹介されています。

確かに一元化というのも1つの方策ではあろうかと思いますけれども、収益の見通しが立たない機関を幾ら寄せ集めたところで、問題は解決しないと思います。場合によっては退場ないし廃止といったこともあり得るというニュアンスを、どこかで出したほうがいいのではないかと思いましたので、御指摘したいと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。どうぞ。

〔橋本財政投融資総括課長〕冒頭のプリンシプルの御指摘については、委員御指摘のような考え方で御提案させていただいております。

〔池尾分科会長〕では、冨田委員、お願いします。

〔冨田委員〕この報告全体の構成についてなのですが、最初に産投の基本的な役割があって、その次にやはり課題というのが書かれていて、それで、海外の事例も含めて具体的な枠組みを示そうということで、基本的にはこの方向だと思います。しかもタイトルが「今後の産業投資について」というふうになっていますが、よくこういう報告ですと、「あり方について」という形で、何かもやもやとしているんですけれども、やはり具体的、緊急に答えが求められている状況を考えると、この「産業投資について」という題でいいのではないかと思うんです。

申し上げたい点は、今こういう報告を出すと、先般いろいろ報道されたことで、また経済的なインセンティブな話をどう考えるかというようなことを期待する向きもあろうかと思うのですけれども、それは、やはり産業投資の基本的な役割というところに戻って考えようという精神をやはり全体に生かすことが大事だと思うんです。

7ページで、先ほど、産業投資の課題ということが言われたんですけど、ここは恐らく、「役割」のほうがすっきりしていて、課題というか、我々が報告を作る、書くということの意味は、次の3番のところに執行上の課題とありますけれども、そこを課題として、執行だけではなしに、現在の民間投資の状況、それを誘発する役割を担ってきたかどうかということについて、やはりそれがまだ乏しいのではないかという意識、それと、その背景にある執行状況ということで、それはここに書かれてあるように、足元は累損が出ているんだけれど、それをどういうふうに考えるかという、後のほうでより長期的な視点を指摘する点という形で、できていると思います。

ガバナンスの基本的な考え方のところで、海外の紹介があるんですけれども、そこの大事なところは、先ほど林田委員が言われたことと違う意味での一元化だと思うんですね。非常に重要な指摘だと私は思うんです。これは、国によって違いますけれども、基本的には融資と出資の一元化といったことによって、どのように対象企業に応えていくかという、先ほどの冨山さんのお話でいくと、常設機関か非常設機関かということだろうと思うのですけれども、そういう観点を踏まえた形になっていて、出張の報告でこれ、川村委員からお話を聞いたんですけれども、BPIフランスの話とか、あるいは分野の一元化を図ったのは、カー・エフ・ヴェー・キャピタルのお話だったと思うんです。それから、去年は翁委員から、イギリスのブリティッシュ・ビジネス・バンクで、出資も融資も、それから保証も一元化するという形のお話を伺いました。

我々のところは、じゃあ、なぜ出資が円滑に出なかったかということで、冨山委員からもお話があったんですけれども、私は前から、設置法と、それから投資基準がどうなっているかということに、それがなかなかお示しいただけなかったんですけれども、今日出てきたんですけれども、やはりかなり限定的だと思うんですね、1つの機構についてですね。

なぜそういうことを申し上げるかというと、出資の成果が、その企業の成長を通じて、そして日本経済の発展に寄与するというのは、これ、当たり前の流れなんですね。だから、出資して、その企業が成長せずに、日本経済にマイナスを与えるなんて、あり得ないんです。ということは、成長戦略の中における、成長戦略という言葉が適切かどうかは別にして、企業の、ここで書いてある産業投資の目的でいいですよ。日本産業の開発及び貿易の振興と、今だと海外投資の拡充といったことでしょう。それは、やはり基本的にそういう役割が経済の成長をもたらして、それが公益的な役割を満たすわけですから、政策領域と、それから収益とはかなり僕は合致点があると思うんですね。そうじゃないものはやらなければいいわけですから、つまり、収益の出ないことはやらなければいいというこれまでのお話なわけです。

では、なぜこれまで、ここでも何回も皆さん指摘をされたわけですけれども、産投出資はたくさん行うんだけれど、産投機関ではなかなかそれが実行されない。そこに、こうした設置法とか投資基準の問題というのが制約要因になっているのではないかというのが私の類推であったわけでして、それが、やはり今日お示しのものは、ここの法律に書かれているように、極めて特定なものになっていると思うんですね。もう少しこれから外れた場合に投資対象とするかどうかということとか、そういう判断が、やはりどうしたって躊躇されてしまうのではないかと思うからなんです。ということで、もう少し機動的、弾力的にできるような枠組みということも考え、それが多分、ヨーロッパの国々における一元化の流れなのではないかと思うんです。

私、2011年にイギリスとフランスに出張いたしました。そのときは、イギリスは、内閣が保守党に変わってから間もない頃でして、まだ前政権のブラウン政権の政策を引き継いでいて、そのときの投資の対象というのは2つの領域に分かれておりまして、翁委員が行かれる7年前であったんですけれども、それは、環境イノベーションファンドと未来技術ファンドというのになっていたんですね。だから、縦割りというか、非常に狭い領域を設定していて、それではやはりなかなか役割を発揮できないのではないかということも、恐らくあったと思うんですね。それで、バンクという形で、出資も融資も統合していくという形になったのではないかと類推するわけです。そういう点がやはり参考になるのではないかなと、私は思います。

あと、幾つかあるのですけれども、民業補完ということがどういうものかということを、もう少し捉えておく必要があろうと思うのです。改革工程表の中には民業補完というのが、もう虫眼鏡で見なければだめなくらい小さい字で出てくるんですけれども、後のところではあまり出てこなくて、もちろん官民ファンドなので、当然、民業補完が前提で実行されるということだと思うんです。もしそれがそうだとすれば、これまで官民ファンドによって、どれだけ民間の出資が誘発されたかという統計もお示しいただければ、より説得的なのではないかと思いますので、それは資料としてつけていただくことをお願いいたします。

以上です。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

では、翁委員、お願いします。

〔翁委員〕何点かあるのですが、論点整理の3ページの下のところから、産業投資のガバナンスに係る基本的な考え方というのが紹介されているんですけれども、たたき台のほうを読めば、そういうことかと分かるのですが、私は、個別案件の投資は機関が決めるということは非常に重要だと思っております。ここでもいろんな議論があったんですけれども、これに対して主務省は監督するだけでありまして、この書きぶりだと、何か個別案件について主務省も判断するような書き方になっていて、もしこれが出るとすると、論点整理であるとしても違和感があります。

4の産業投資のガバナンスの(1)のところで、「個別案件は機関及び主務省が適切に判断」と書いてあるのですが、誤解を招くのではないかなと思っております。たたき台のほうを読むと、政策性については機関が主体的に判断すると書いてありますし、プリンシプルのほうでもそういうふうに書いてあります。ですけれども、これはとても重要な点だと思っていますので、個別案件の決定はあくまでも機関が行う、けれども、それは監督当局が監視するんだということは、ぜひ全体としてそろえていただきたいなというのが1つ目でございます。

それから、論点整理の4ページのところの、機関の収益性に課題が生じた場合の対応についても、「予め枠組みを構築しておくことは必要ではないか」ということは本当にそのとおりで、先ほどから皆様、御意見があるわけでございます。恐らく、収益性について、累損がすごく大きくて、もうここはこのまま放置しておくと非常に大きな問題があるということに加えて、政策性についても、やはり状況が変わってくれば、もうここ必要ないねということは当然あることなので、収益性だけでなく、20年とかそういう長いものもございますので、政策性についても、必要性がなくなった場合にはもうなくしていいというようなこともきちんと入れておく必要があるのではないかなということが、まずこのガバナンスのところで申し上げたいことです。

それから、2つ目は、先ほど冨田先生もおっしゃったのですが、産業投資会計としてやはり見なければいけないのは、乱立の問題がすごく大きいと思っています。やはり個々の機関とか個々の監督機関というか、例えば経産省とか農水省とか、そういったところは、官民ファンド全体からみた効率性まで目が届かないわけです。例えば、JBICが出しているのに同じようなことを他の機関がやるのかとか、今度もまた鉄道関係で官民ファンドが出てきますけれども、そういったところについて、産投としてポートフォリオを見る上では、やはり同じような機関がすごく多いということについて、非常に非効率が生じているのではないかという意味でのガバナンスを、もっと働かせる必要があるのではないかと思います。限界はあるにせよ、そういう視点が非常に重要なのではないかと思っております。

ですから、そういう類似の新しい組織が出てくること自体もあまり望ましくないと思っておりますが、やはり少し慎重に見ていく必要があると思いますし、もちろん、あと一元化とか効率化ということを進めていくことが重要ではないかと思っております。

それから、3つ目、最後なんですが、先ほどのベン図は私もとても重要だと思っておりまして、これを定着していくことが非常に重要だと思っています。その点で、この右側の収益性の、民間ができるのではないかというところは少し書き加えていただいて、市場の失敗があるかとか、民間でできないかとか、そういう民業補完性というのをチェックするということは書いていただいているんですけれども、民間との収益性の違いというのは、調達コストの違いは官民ファンドに有利に働き、すごく大きいので、機関としてどのぐらいの収益を考えるかというところに、その視点も少し書いておいたらどうかなと思います。

以上でございます。

〔池尾分科会長〕ちょっと、すみません。政策性と収益性の両立という話なのですけれども、はなから収益性があるような分野であれば、政策性があろうがなかろうが民間がやるはずだし、民間にやってもらえばいいわけですよね。民間がやることに政策性というか、公共性がないなどと思うのは間違っているわけで、だから、はなから収益性がある分野は民間に任せておけばいい。だけど、本来的には収益性があるんだけれども、何らかの市場の失敗というか、むしろコーディネーション・フェイリアとか言ったほうがいいと思いますけど、そういうことがあって、本来あるはずの収益性が実現されていないようなことをやるというのが、ここの共通部分の趣旨だと思うんです。

では、どういうコーディネーション・フェイリアが考えられるかということで、この報告書の中では、例えばエコシステムの話を取り上げていて、エコシステムが構築されていないから、本来あるべき収益性が実現されていない。だから、そのエコシステムの形成に寄与することによって、収益性も実現しながら政策性が達成できると。そういうところが産業投資の存在意義なんだという理解になるのだと思うんです。

それで、あまり私がしゃべるといけないですけれども、教科書的には、財政投融資というのは金融的手法を使った財政政策と説明してきたんですね。財務省がやっているのだから財政政策なんだけれども、金融的な手法を使っていると。財政政策には、補助金とかそういう別の手法だって当然あるのだけれども、金融的手法を使ったほうが効果的というか、そういうところでやるんだということです。だから、この産業投資に関しても、ファンドという手法を使うことに意義があるという、そういうところをやるんだという、そういう理解だと、個人的には思っています。どうもすみませんでした。

では、高田委員、お願いします。

〔高田委員〕どうもありがとうございます。今回のこのとりまとめの中で、過去からのいろいろな制度を見上げながら、役割、そして課題、そしてこれからの取組ということでおまとめになられた大変な御努力に、大変敬意を表したいなと思っております。

それから、私自身も、先月からこちらの場に加わらせていただいたということもありまして、まだまだ理解が足りないところもあるのですが、ただ、私自身この問題を、こういう審議会ではないところからいろいろ拝見させていただいてきたという点からすると、どうもこの産業投資というのでしょうか、また、場合によっては官民ファンドと言ってもいいですが、さまざまな議論の中で、世の中の議論というのが、どうもかなり同床異夢になっているのではないかなというイメージをすごく感じます。それは、考えてみると、この非常に長い歴史の中での位置づけというのでしょうか、その辺についてのコンセンサスというものがなかなか得られていないという部分が、やはりあるのではないのかなとも思うのです。

考えてまいりますと、先ほど池尾先生もおっしゃったように、そもそもこの歴史の部分がたたき台の中にもございますけれども、長い戦後の歴史、日本経済の歴史の中で、先ほど池尾先生は金融的手法を使った財政政策という形でおっしゃったんですけれども、確かに金利が非常に高い状況で、しかも企業が資金不足であるといったような状況の中においては、普通に融資をするということだけでかなりのメリットが得られましたし、財政的な、補助金と同じような形という部分もあったのだと思います。

しかしながら、その状況というものが、これだけ企業が大変な余剰になってくると、しかもマイナス金利になってくるということになってまいりますと、通常の融資といいましょうか、デットの世界では、全く金融手法的な財政政策にならなくなってしまいます。となると、結局これは、エクイティのところで対応していくしかなくなってしまうというような状況になってきたという部分も、やはり大きいのだろうと思います。

それから、もう一つ歴史的な観点で申し上げますと、現在、多くの方がイメージしている部分というものは、考えてみると、かなり有事の態勢の中で生じた現象というものも、やはり多かったのではないかと思うのです。では、有事は何かということになるんですが、この歴史の中の前半部分にもあるのですが、結局、バブル崩壊という90年代以降の資産デフレというのでしょうか、そういう状況の中で、要はキャピタルが不足してしまったということだと思うのです。この消失たるや大変な状況でありまして、私もいろいろ、書籍などでも試算したことがあるのですが、第二次世界大戦のときの国富の消失度合と同じぐらいでもありますので、なかなか目には見えないんですけれども、大変な消失になってしまったわけです。

これが90年代、2000年代を通じてあったんですが、同時に、そうした資産デフレというものに加えて、ちょうどリーマンショックですとか、さまざまな世界的な危機という中での流動性不足というのでしょうか、そうした状況の中で作られた公的な機関というのでしょうか、というようなものもそれなりに意義があったということではあると思います。ただ、現状の意味づけということを考えてみると、そういう、幸か不幸か有事の状況ではもうかなりなくなってきた。普通の、昔には戻れないんですけれども、少なくとも資産デフレは直りました、流動性不足もなくなってきた、となってまいりますと、要は平時の状況の中であるべき姿は何なのかということも、やはり考えていかなければいけない状況になってきたと思います。

この平時ということでありますと、日本にとっては危機から普通の状態になったということでありますが、グローバルトレンドで考えてまいりますと、大変な潮流の世界的な状況の中にあると思います。しかも、これは何十年、何百年に一度というくらいの世界的なトレンドであるというような状況の中で、そういうものにどういうふうにやって世界的に対応するのかとの視点も重要です。しかも、世界で1番と2番の国というのは、アメリカにしては産軍一体ともいうべき構造で、あれだけの対応を、もちろん民間ではあるのですが、国家としても対応しています。一方で中国のところは、これは批判の対象にはなるわけではありますけれども、国としての大変な国家資本主義的な、新重商主義的な状況になってきています。しかも、日本はそういうグローバスな状況に対応していかざるを得ない部分というものもあるのです。このグローバルトレンド状況の中で、今のあるべき姿、この官と民というのでしょうか、これをもう1回整理していく歴史的な側面というのでしょうか、そういうパースペクティブみたいなものも必要なのではないかと思います。

そういうような大きなビックピクチャーを考えた上で、その後で、今現状あるようなさまざまな官民ファンドでありますとか、もしくはその機関がどうであるべきなのかというようなことをもう一度考えていくということも、やはり重要ではないかなと思っております。せっかくこれだけの作業を皆様方で、しかも、これから新しいあるべき姿を国民に示していくということを考えますと、ある程度前半部分のところでは、ビッグピクチャーを描きながら対応していくということも、やはり必要なのではないのかなと思います。

その上で、個別の機関のところのガバナンスがどうであるのかというのは、もちろん考えていく必要もあるんだろうと思うのです。ただ、それも、先ほど申しましたように、危機の状況というような、有事の状況の中での対応策、もしくは機関と、それから、ある程度平時の状況になった中での個別戦、局地戦のところで対応するのかとは異なります。場合によってはビッグピクチャーの中で、ソブリン・ウエルス・ファンド的な考え方みたいなものがあるのかどうかとか、そんなような点も含めた対応というものもやはり必要です。先ほど翁委員からも御発言がありましたように、場合によっては全体でのガバナンスと、もしくはこれだけいろんなものがある中でのフレキシビリティーというのでしょうか、全体を見た上でのポートフォリオというのでしょうか、こうしたものが機動的に対応できるやり方みたいなものも、やはり考えておく必要があるのではないのかなと思っております。その辺のところを、今後、将来的なこのピクチャーの中に、なかなか、今回すぐにここだけでまとめるということは難しいとは思いますけれども、そういう方向づけみたいなものを、せっかくこれだけ皆様方のなさったところでもありますので、あってもいいのではないのかなと、そんな印象を受けたということでございます。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

それでは、工藤委員、お願いします。

〔工藤委員〕ありがとうございます。今回、産業投資全体のポートフォリオをお示しいただいたことは、非常に意義深いと思っております。これに、例えばスタートアップ向けの投資であれば、民間のベンチャーキャピタルの投資金額や内訳についてもあわせて分析し、日本国として、国がお金を出していかなければいけない分野はどこなのか、またどこでお金が余ってしまっているのか、ということを、定期的に確認していくことが必要ではないかと思います。

例えば、お示しいただいた資料では、内国法人の国内関連事業向け出資において、IT関連の出資残高が3割と、比較的大きなウエイトだったわけですが、この分野というのは民間のVCでもお金が出やすい分野です。もちろん出資しているステージというのも見ながら考えていかなければいけないと思いますが、ここについてはもう一度全体を俯瞰して考えてみてはどうかと思います。

また、こういった定期的なモニタリングの前提となる、日本国として支援すべき分野というのは、やはり日本国がどういう方向に向いていくのか、政策がどうなっていくのかということとあわせて、定期的に見直していくべきではないかなと思っております。

これは前回も申し上げたのですが、やはりそれぞれの産業が本当に根づくまでには時間がかかります。そのなかで、それぞれのステージに適切なお金が出ているかということを、いま一度見直していくべき時ではないかと思っております。補助金は出したものの、その後の支援がなく、結局は商業ベースに至らないものもあれば、先ほど冨山先生から、産業投資が一般会計で対応するような案件を支援しているというお話もございましたが、逆に補助金のメニューがないからそのような結果になっている場合もあるのかもしれません。その辺をしっかりと分けて見ていくべきなのではないかと思っております。

各省庁が官民ファンドをはじめとする産投機関を所管している意義というのは、こうした支援メニューの政策的な連続性を確保するという側面もあるはずだと思っております。各省庁だけではなく、省庁横断ということも必要だと思いますが、やはりストーリー性のある政策パッケージというのを作っていくことも重要ではないかと思います。

その1つの例として、子細に入って恐縮ですが、論点整理の2ページのところに、資金供給が必要な分野として、長期・大規模資本が必要なレーター段階の企業が挙げられておりますが、ここで言うレーター段階というのは、大規模なIPOを控えた企業を指すのか、ポストIPOの企業まで含むのか、それによって状況が異なると思いますので、きっちりとした定義をなさっていただきたいと思います。

IPO前のレーター期の企業であれば、確かにINCJなどの官民ファンドは、投資割合が比較的少なくて、シード・アーリーに行っていると思いますけれども、それはやはり企業が成長するにつれて民間調達がしやすくなる、VCのお金が集まりやすくなるということなのだと思います。実際、大規模なIPOを計画する段階であれば、ラストラウンドとしてのエクイティ調達も比較的容易になるはずです。

また、ポストIPOの企業について、確かに日本では、上場後の企業の成長が弱いという課題があると思います。しかし、これは資金だけの問題ではなくて、そもそもその企業の成長戦略の問題であったり、企業の上場支援を専門とするCFOが、上場後に会社からいなくなってしまう等、様々な要因があるわけでございまして、その辺りの分析もしっかりと行うべきだと思います。また、上場企業なので、出資というよりも、政策金融機関による融資や保証のほうが適切ということもあると思います。いずれにせよ慎重な検討が必要だと思います。

また、今回、産業投資のプリンシプルについてまとめていただいているわけですが、産業投資全般について、民間が出せないから産業投資で支援するという二者択一的な発想ではなくて、どうすれば民間資金を誘発する枠組みをつくれるかという考え方が基本であるべきではないかと思っています。具体的には、産業投資での支援を検討する場合に、どのように民間に移行していけるのかというストーリーが必要だと思っております。そういう意味では、たたき台で御紹介されていたドイツの事例のように、産投機関の業務の仕組みとして民間資金割合を増加していくように設計することなども、参考になるのではないかと思います。日本でも、例えばDBJの特定投資業務などは、民間との共同投資や、案件に対する民間シニアローンの呼込みという形で、うまく民間資金の呼び水となっている面があり、参考になるのではないかと思います。

産投の意義については、先ほど冨山先生がおっしゃっていたとおりだと思いますが、やはり金融危機などでマーケットが機能していない場合、また事業の創成期でなかなか民間ではリスクがとれない場合、そして、民間だけではお金が足りない場合の支援にあると思います。

それでは、産業投資の収益性の基準をどう設定するのかということでございますが、先ほど分科会長もおっしゃっていたように、民間の場合、公共性の有無に関わらず収益性があればお金を出します。それを踏まえれば、産業投資の場合には、やはり民間と同じレベルではない何かというのがあると私は思っておりますので、ここで明らかにしていかなければいけないと考えております。

また、官民ファンドの創成に私自身が深く関わったわけではございませんが、外から見ていると、今の官民ファンドがうまくいかない理由は、やはり支援すべき案件を作れていないということだと思っております。結果として、十分な収益性の見込めない案件に手を出してしまったり、無理やり投資したりしているようにも見えてしまいます。元来、官民ファンドは、官民の様々な力を呼び込んで、日本としての総合力を発揮していくためのプラットフォーム的な役割が期待されているのではないかと思います。まだお金が生かし切れていない分野については、お金以外の政策パッケージが必要であって、やはり一番の問題はこうしたパッケージを活用するなどして案件を作れていないというところにあるように感じます。

官民ファンドについては、投資が順調なケースもあるとは思いますが、やはり全体で、政策パッケージとあわせて、今後どのように進めていくのかということを見直すタイミングに来ていると感じておりますので、ぜひ丁寧に議論して参りたいと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

それでは、原田委員、お願いします。

〔原田委員〕たたき台のとりまとめ、ありがとうございます。産業投資のガバナンスですので、今の主眼はもちろん官民ファンドにあって、たたき台のほうでも恐らく9割以上は、官民ファンドを主体に考えて作られている面があるかと思うのですけれども、官民ファンドにつきましては幹事会などもあり、運営の検証があります。官民ファンドだけでなく、独法ですとか政策金融機関への今までの出資というものもありまして、さりげなく、この論点整理にもたたき台にも入れていただいています。既往出資の取扱いをどう評価するかですとか、そういった視点での議論も、もう少し充実させていただければいいなというが1つあります。

例えば、たたき台の2ページに、出資の残高及び交付金・配当金の状況ということで、ストックの表を入れていただいておりまして、これを見ますと、政策金融機関、官民ファンド、そして独法等という分類になっておりまして、出資の残高は積み上がっています。ですが、納付がないというところは、特に右列のほう、ずらずらとあります。ここに挙がっている独法の中でも、もうそろそろ独法ではなくなるところもありますので、それまでに、この借りたお金をどう返す計画があるのかというところについて、明言していただければと考えます。多分、今まではそういう議論がなかったのかもしれないのですけれども、産業投資からの資金を受けたところの納付計画というものがあっていいのではないでしょうか。ガバナンスとして今回挙がっているのは、政策性の要件、政策効果が出ているかということと、あと収益性について、損益の状況がどうなっているかということで、この主な2つの点があるわけですけれども、既往出資についても政策効果があったかということ、損益の状況、恐らく、返ってきていないので赤字なんですけれども、今後どういう返済の計画があるのかといったことですとか、そういう点についても、ぜひこのたたき台の中に盛り込んでいただき、うやむやにしないでいただきたいと思います。

配付資料1の一番最後のページですと、「検討することとしてはどうか」という、既往出資の取扱いについても検討してはどうかと書いてあります。ですが、たたき台のほうの一番最後を見ますと、「既往出資についても、同様のガバナンスの方策を講じることが必要である」と書いていただいていて、こっちのほうが絶対いいと思うんですけれども、もう今は借りていないからといって、このガバナンスの議論から外す必要は全くないと思いますので、しかも解散するところもありますので、具体名は挙げませんけれども、会計検査院から各種指摘を受けたところもあったかと思いますので、出資をしている側からしてみれば、収益性がどうだったかということも知りたいですし、政策性の観点からどうだったかということも知りたいですけれども、過去指摘されたことに対する対応がどうだったかということも、あわせて聞いてみてもいいかと思います。

官民ファンドに加えて、プラスアルファの出資先についてもガバナンスをしっかり機能させていただきたいということで申し上げました。

〔池尾分科会長〕ありがとうございます。ただ、既存機関については、産投出資に焦点を当てているわけでは必ずしもないですけど、政策コスト分析というのを毎年やってきているというのがありますので、今回の報告書であまり大きく取り上げるというのはできないかもしれませんので、検討していただくということで。

〔原田委員〕はい。

〔池尾分科会長〕それでは、川村委員、お願いいたします。

〔川村委員〕ありがとうございます。大変労作で、よくまとまっておられると思いますし、また、今日、私が一応このくくりでは最後の発言だと思うんですけれども、皆さんの意見を伺っていると、大体目線、問題意識はほぼ一緒なのかなという感じで、概ねいいなと思うのですが、その上で2つ、3つ念のため的なところなのですが、何人かの委員の皆さんの無意識の御発言の中で、現状の官民ファンドがうまくいっていない、あるいは案件がないのではないかとか、それから、今、原田委員からもあった会計検査院の指摘、この辺はよく整理して、現状をきっちりもう1回見る必要があると思うんですね。

つまり、もし財投分科会としてうまくいっていないという判断をするのであれば、それはもう巻き戻して、できるだけ早く清算撤退すべきということに、結論ははっきりするわけですね。私はそうじゃなくて、ただ、いろいろ課題がはっきりしてきたという中で、それがもう1回修正、軌道修正というべきなのか、言い方は難しいですけれども、もとの長期、ここでいう政策、まさに一番ポイントなのは、たたき台にある1ページのこのベン図が全てを物語っているわけですが、これで行けると。ただ、行くためにはこうしなければならないよということで、産投のあり方というのに係らしめてこういう報告を出すんだというのが私の認識なので、いわゆる現状が、それこそ新聞は全部うまくいっていないと書きますし、その理由は大損しているということだし、新聞は1つの見方でそういうことなんだと思うんですけど、じゃあ、財投のところでは、それはもう少し正確な認識と議論をしていく必要があるのではないかと思います。

例えば案件がないのかあるのか、これも実は非常に悩ましくて、案件がないのではなくて、実は案件はたくさんあるんだけれども、選ぶに当たって下手を打っていると、そういうことかもしれないわけですね。この辺はやはり、先ほど、主務官庁があまり口出すなというのは当たり前の話で、これは各機関がまず権限と責任と両方持って、最終的には彼らの権限と責任でやるのは当然なのでありますけれども、主務官庁やお金の窓口になっている理財局がそれなりに見るという必要もあるだろうし、また、もう1回Jカーブに沿ってどうなのかということは、この財投分科会からの問題提起で、全ファンドにそういう指示に近い要請が出ているという経緯もあって、ここが何も動かなかったら、恐らく、今のままで来ているわけですよね。そういう意味で、私はこの分科会は大変大きな機能を果たしているし、重要だと思うし、それを推し進めていただきたいと思うんです。

それで、先ほどのこの一番重要だろうと思った、これはもう冨山委員以来ずっと指摘されているたたき台の1ページで、私なりの現状で、じゃあ、おまえはうまくいっている、うまくいっていないを含めて、現状をどう考えているの、どう見ているのかということになると思うんです。

このベン図の、実は政策性と収益性が混じって産業投資で、理念とか、書いてあるのはこのとおりなんですが、私は、どうもこの収益性と政策性が伸びたり縮んだりすることによって、結果として、産業投資がものすごく大きいようになってしまっている部分もあるのではないか。これ、当たり前の話ですけど、この政策性を内側に向けて、収益性を内側に向けると、産業投資のエリアは大きくなるわけですよね。

それから、もう一つ、現実問題、非常にナローパスのところの投資案件を見つけるというのは、ものすごい能力と経験と才覚が必要な世界で、そういうファンドマネジャーは残念ながら少ないという中で、世の中的に、おまえら損している、累損がひどいということが非難され続けると、どういうことが起こるかというと、当然、収益性を追おうとするんですね。収益性を追おうとすると、本来、民間がやっている。もうかるからやるので、別にそこに産投を出す必要がないような案件にまで、無理やり損を埋めようという行動に出ていってしまう。それは本来、この官民ファンドがやるべき話ではない。

最近、あまり聞かれなくなった言葉ですけど、やはり民業圧迫で、まず民優先というところに入ってしまっているところがありはしないか、よく今後検証していく必要があるんだと思うんです。その結果、もし行き過ぎたというか、変な形でゆがんだ、ベン図になっているとすれば、それは修正しなければいけないというのは当然だと思うんです。

示唆的だなと思っているのは、産投の管理運営について、資料1のいろんなデータがあるときに、このデータの例えば6ページですかね、官民ファンド全体の投資分野って6ページの左下にあって、これ、その他を除くと分野的に11なんですけれども、官民ファンドって今14か15あるわけです。そうすると、単純に言うとダブりがあるわけですよね、恐らく。これはかねてから言われています。そうすると、そういった、分野的にはグラフで分けると10か11なのに、官民ファンドが14か15あるということは、どこか重なっているんだろう。その重なりが、有益で意味がある重なりならいいんだけれども、そうなのかということを含めて、先ほどのベン図とあわせ考えたときに、今後、本当に不要なものだったら、それは償却しなければいけないし、ただ、もし何かの形でくっつけることによってシナジーを生むんだったら、くっつければいい。それともう一つは、オーバーヘッドがものすごくかさんでいるファンド運用であれば、そこのコストはできるだけ縮めなければいけない。次の問題意識はそっちになるのではないかなという思いです。

以上です。

〔池尾分科会長〕ありがとうございました。

それでは、渡部委員、お願いします。

〔渡部委員〕ありがとうございます。2周目ということで、簡潔に2点だけ。

1つは言葉上で、冨山委員からもありました資本コストという言葉、定義が、箇所によって全部違うので、直したほうが、恥ずかしくないように訂正したほうがいいような気がします。

それから2つ目は、ここに関わる当該全体を見られている方、それから、いわゆる主務官庁の方、あるいは当該機関、あるいはそこで働く執行をやっている人たちにとって、予見可能性を高めるという意味において、それぞれ最初に申し上げたように、責任と権限は何だというのと、そのときにKPIはどれだと。あらかじめそれをできるだけ決めておく。それから、重要なのは、このことは事前の許可をとれと、認可というか、あるいはこのことは事後報告でいいというのを、項目ごとに決めておく。当然、決めたものは、事情変更でお互いまた運営していく方法を変えるのは構わないですが。運営という意味では、執行だけではなくて管理する人も含めて、事前許可、事後報告を項目毎にはっきり決めておくべきでしょう。

それから、全体について言えば、目的はまさに産業投資ですから、イノベーティブというか、イノベーションを進めていく、あるいは海外展開を含めた日本経済全体の利益、バリューを高めていくためのエコシステムができ上がるまでというか、それを補助するものなのかということなので、そういうのを各関係者にはっきり自分は何をする人なのか、どの物差しでどうされるんだと、これは事前だ、これは事後だというのをはっきりすると、余分な混乱は減ると思います。それで、大きなレビューの中で、さらに進める場合、ここはもうやめていこうという場合もきっちり議論がなされるというような、大変だと思うんですけれども、それを最初にきっちり決めたほうが、後は楽なような気がいたします。

以上です。

〔池尾分科会長〕では、冨山委員、お願いします。

〔冨山委員〕ありがとうございます。皆さんにいただいたコメントをちょっとリフレクトして幾つかコメントがあって、まず、冨田委員の言われた、実は政策効果と収益効果は同じではないかと、これは私は全くアグリーでありまして、これ、本来、産業投資なので、うまくいったらもうからなきゃおかしいんですよ。その脈略で言ってしまうと、先ほど何かで、民間が投資をするのに一番いいのは、儲けてみせることなんです。

また自慢話になってしまいますけれども、産業再生機構の前と後で、再生ファンドは増えているんです、僕らが解散した後に。プライベート・エクイティ・ファンドも増えているんです。既存のプライベート・エクイティ・ファンドは、もっと大きくなっています。要は、「ああ、何だ、儲かるんじゃん」と皆思った。政府機関がやってでさえ儲かると皆思ったので入ってきたわけで、一番いいのはとにかく儲けてみせることです。もうこれに尽きます。だって市場経済というのは、基本的に儲かるぞというインセンティブで動いているのだから、誰も、政府がやって大損したところに入ってこないですよ。

だから、今幾つかのファンドが、それはA−FIVEもあるしクールジャパン機構も、いろいろあります。多分、彼らの最大の使命は、儲けてみせることです。そうしたら、放っておいたって、民間の人は自分で入っていきます。だから、極めて収益性はそういう意味でも大事だということなんですね。これが1つ。

それから、先ほどおっしゃっていた、池尾先生のコーディネーション・フェイリアに関して申し上げると、要は、こういうファンドをやる人たちは、このコーディネーション・フェイリアを、自分たちが政府系機関であること、あるいは日の丸をてこにしてクリアできれば、儲けられると思ってやるんですよ。ということは、結局、やはり儲けることが目的なんです。儲けられると思っているからやっているんです。同じなんです、だから。結局、収益性はやはり収益性なんです。ただ、現状のコーディネーション・フェイリアがある中で、民間の1プレイヤーがやっても儲からないでしょう。

だけれども、例えば強力な債権者調整機能を持っている、コーディネーション機能を持った機関として産業再生機構が入っていけば、僕らは儲かると思ってやっていたんですよ。これかなり自信満々で、僕らは、絶対儲かると思ってやっていました。それで、やっぱり儲かったんですよ。それだけの話なんです。だから、やはり儲かるという自信がないのであれば、やらないほうがいいです。というのは裏返して言うと、コーディネーション・フェイリアを自分は解消できる自信がないということなのだから。要するにプラットフォーマーとしてコーディネーション・フェイリアを解消できたら、プラットフォームは一番儲かりますから。だから、実はこの問題はトレードオフではないのです。実際にやってみると分かりますけど、全然トレードオフではありません。だから、やはり収益性はマストなのです。

あえて言えば、そこで求める資本コストのレベルが、民間のいわゆるプライベート・エクイティ・ファンドだったら15%だったものを、僕らは7%にしました。そこの調整はしました。そのほうがコーディネーションしやすいと思ったから。だけれども、国債金利でいいと思ったことは、一度たりともありません。そういうことなんです。これが実務なんです。

くどいようですが、この原理原則は僕はあらゆる官民ファンドで共通だと思っているので、ここはせっかく今日すばらしい議論があったので、ちゃんとテークノートしていただいて、先ほど渡部委員からありましたけれど、資本コストとは何ぞやというのはちゃんと共有しておかないと、これ、非常に多くの人は国債金利だと思ってしまう人がいますが、それでは完全にそれこそ民業圧迫も甚だしくなってしまうので、資本コストゼロでプライベート・エクイティ投資をやってしまったら、これはもう大変ですよね、民間の人は全部ビジネスがなくなってしまうので。これが1つ。

それからもう1点、先ほど高田委員が言われた話。実は高田委員の言われたポイントを意識して、JICはソブリン・ウエルス・モデルでやろうとしたんです。ただし、ここで僕らがぶつかった壁は非常にクリアで、このソブリン・ウエルス・モデルで今出ているような諸問題に対応しようと思うと、必然的にグローバルなリスクキャピタルをやるということなんです。これはもうCICだろうがGICだろうが共通の、ノルウエー投資公社もみんなそうです。要はグローバルなリスクキャピタル・プレイヤーになるということが必然的に求められるんですね。そうすると、それを前提に組織やインセンティブを構築しない限りは、グローバルのリスクキャピタル・ゲームでは戦えません。

だから、高田委員が言われたようなことを、私は全く背景としては共有しているので、やるのであれば、今回はちゃんと、政策意義というものを議論したほうがいいと僕は思っています。

それからもう1点、同じような意味合いにおいて、不確実性が高まっているときにもう一つ考えておかなければいけないのは、緊急時、またリーマンショックのような緊急事態が発生したときの、いわゆるデット性資金の流動性の問題と同時に、実はあのときもそうだったんですけれども、エクイティ・ドライアウト、エクイティの喪失が起きるんですよ。このエクイティの喪失に対して、ある種アージェントにエクイティ供給をどうするかという、要はポケットをどうしておくかという議論も実はあります。

アメリカのような政策決定プロセスの国であれば、あっという間にTARPを作るんです。もうものの数カ月でTARPで70兆円用意してしまうのです。日本の政策決定プロセスにおいて、ものの数カ月でTARP70兆円を国会で通せますかという問題があって、そこは実は私はずっと前からどうするんだろうなと、要はリーマンショックのように。

この手のポケットは別に普段使う必要はないのです。普段は休眠でよくて、一定の条件で発動したときに、要はあのとき、エルピーダ向けに中途半端なものを作って、結局あれ、うまくいかなかったんですけれども、要するに今リスクが高まっている、まさに渡部委員も言われていましたけど、極めてリスクが高まっている中で、それに対していざというときにどうするかというのは、これはまたちょっと、先ほどの高田委員の脈絡で言ってしまうと、今度は違った意味でもう一つ考えておかなければいけないわけで、あのときは、これも皆さん御案内のように、ソブリン・ウエルス・ファンドは実は世界中で活躍したんですよね。これは、GICも、テマセクも随分出していましたね。いろんなところに緊急性の資金を出していましたね。じゃあ、次回、また海外のソブリン・ウエルスにお金を出してもらうんですかということがやはりあるわけで、それは本来、日本はキャピタルがある国なので、あまり計算することではないと僕は思うので、これまたちょっと財投の枠を超えてしまいますけれども、これは、だから政府全体として、僕はどこかでこの議論をしておいたほうがいいような気がちょっとしております。

以上、大きく2点、細かくは3点を申し上げたいと思います。

〔池尾分科会長〕冨田委員。

〔冨田委員〕何点か指摘をさせていただきたいのは、まず、先ほども申し上げた点なのですけれども、官民ファンドというか、民間の出資の呼び水・補完という役割が基本なんだというところを、やはりもっと基本から認識していただきたいと思うんですね。それは、幾つかのところでそうじゃない表現が出てくるので申し上げるんですけれども、例えばたたき台15ページの産業投資のポートフォリオのところです。ここでは、産業投資のポートフォリオを見ることがいかに大事かということが書かれているのだけど、それはそうじゃなしに、やはり民間の投資がどうであって、それを踏まえた上で、産業投資のポートフォリオはどうなっているかということを見ることが大事だとか、そういうことだと思うんです。何かもう絶対的に産業投資のポートフォリオが大事だという書き方になっているんだけど、そういうふうにしていただきたい。

だから、具体的には、下から5行目ぐらいのところですね。「投資分野の状況を把握し」、この場合の投資分野は多分、産業投資のことだと思うのですけれども、言いたいことは、民間投資の状況を把握して、それで、民間と深度のある対話も行いながら云々、それで、産業投資のポートフォリオを検討していくことが考えられるのではないかとか、そういう表現のほうがいいと思うんです。だから、多分こういう表現になってしまうのは、民間投資の誘発効果とか、そういうのをあまりお考えではない中で書かれたのではないかなと思われてしまうのではないかということです。

それから、あと、先ほど来もJカーブという言葉がよく指摘されるんですけれども、僕なんかはJカーブというと、結局、70年代、80年代の日本経済でいつも議論になっていた、為替レートが貿易収支に与える影響の言葉なんですよ。だから、ここで使うとすれば、損益の、あるいは累積損益のJ型カーブとか、何かそういうふうにしないと、Jカーブはあまりにもテクタムとして定着しているので、そういう表現がいいかなと思います。

それから、適切という言葉が何回もいろんなところに出てきてしまうのですが、例えば一番大事なところは、28ページの図のすぐ上にある「出資金保全の観点から出資者としての適切な対応が必要となることに留意して」と書いてあるのですが、ほかの箇所でも適切ばかり出てくるのですけれども、ここはだから、「厳正な対応」とか、そういうことだと思うのです、使う言葉としては。きっちりやるんだと、国として、出資者として、という意味合いを込めることが大事なのではないかと。

それから、一番最後のところで、先ほど原田委員も指摘されたところで、違う意味なんですけれども、付け足しで、さらになお書きで、「投資の直接の原資としての既往出資についても、同様のガバナンスの方策を講じることが必要である」というふうにして、財投計画の編成過程において、産投出資の既往出資について届けを出してもらって、我々、ここで精査するんだということが書かれているわけですけれども、これをもっと前の段階で、つまりここは、いわゆるリスクバッファとしての出資のところの議論なので、少し前のところに入るのではないかな、入れたほうが分かりやすいのではないか。だから、産投出資の中の、ここの表現でいくと、投資の直接の原資のところですね。その中にこれを埋め込むということのほうが、分かりやすいのではないかと思います。

以上です。

〔池尾分科会長〕どうもありがとうございました。

資本コストなのですけれども、資本コストを定義していないんですよね。それは、ちょっと事前に私も申し上げたんだけれども。それで、資本コストというのは、本来的には資金を出す側がこういうプロジェクトに資金を出す限り、最低限これぐらいの期待リターンがないとやっていられないよねと、資金なんか出せないよねという、投資家側の期待リターンですよね。投資家側の期待リターンは、当然、投資するプロジェクトのリスクに応じて変わるはずで、リスクというかベータですけど、ベータが大きければ高いものを最低限要求することになるだろうと、そういう話なのですが、産投の場合の金を出す投資家というのは政府なので、そこはちょっと違うところがあり得て、先ほどの話ですけれども、15%が7%になるぐらいの違いは起こり得るということだとは思うのですけれども、だから、この議論を始める前の私の個人の問題意識としても、だから、産業投資の資本コストって一体どう考えておけばいいんだという、そこをやはりもうちょっと今回、踏み込まないと、委員の方々もやはりこれではちょっと不足だなという感じだと思うので、検討していただくということと、それからもう一つ、プリンシプルですね。これ、非常に意欲的な試みだと思いますので、事務局で非常に意欲的な試みとして用意していただいたのですが、この場で委員の皆様方から、ぜひプリンシプルというものについての御意見を伺いたいと思うんですね。

1番目は、先ほどから出ている話と関連で、民間の挑戦を促すというのが基本としてスタンスであると。民間の挑戦を促して、それで、全体としての産業開発、貿易振興を図るんだという、これがまさに原則のうちの1番の原則だということなのですが、ここではエコシステムという具体例だけが出ているんですが、先ほども議論しましたように、一般論として言うと、何らかの市場の失敗というか、協調の失敗というか、何か悪い均衡に陥っていて、民間だけではその悪い均衡から這い出られないときに、何かショックを与えてちゃんと問題を解消してやるという、そういうことが役割の一番基本で、だから、個々の官民ファンドに関しても、いかなるコーディネーネーション・フェイリアを自分たちはターゲットにしているのかということを、自覚的に、明示的に示してもらう必要があるわけです。

かつてのように、メーンバンク同士がお互いに貸し合っていて、それですくんでしまっているというふうな悪い均衡を破壊するという。

〔冨山委員〕あのケースはナッシュ均衡とレモン、経済学的にこの2つ。僕ら、明確に意識していましたから。今言われた、多分、銀行との関係でいうと、それはある種のナッシュ均衡が起きてしまっていて、あと、不良債権の売買ということで典型的なレモンですから、レモンの問題、この2つはやっぱり明確に意識していました。だから、この2つをどうクリアするということは、随分議論した記憶があるので、すごく大事な点なので、そこはぜひ入れたほうがいいですね。どういうコーディネーション・フェイリアをクリアしようとしているのかということは、賛成です。

〔池尾分科会長〕イノベーションを促進するということで言うと、エコシステムの形成というのができていないというのが、大きなターゲットとして目指すべき点だということだと思うんですね。資本コストの話もありますが、プリンシプルの点について何か、いかがでしょうか。これ、一番最初に渡部委員から主語がはっきりしない、weって誰なんだという話がありましたが、3番目のプリンシプルは何かはっきりしているんですよね、出資者としてやると言っているから。ここの主語とほかの3つの主語は、必ずしも同じではない感じもするので、ちょっとそこも調整しなきゃいけない。

〔冨山委員〕確かに。

〔池尾分科会長〕英文は、ちゃんとネイティブチェックをしてもらったのかどうか。よく分からない。

〔冨田委員〕we willだからね。

〔冨山委員〕weが誰かですよね。Who is we……、Who are weか。

〔橋本財政投融資総括課長〕作った意図としては、これは、産投の基本原則なので、私どものということなのですが、御意見いただいたとおり、例えば1番目、2番目というのは、我々が出資して各機関に行動を促している以上、各機関においてもそういったものを意識していただく必要があるかと思いますので、ちょっとどういう整理ができるのか検討させていただきます。

〔池尾分科会長〕どうぞ。

〔冨田委員〕資本コストの関係なのですけれども、これの一番最初のところですね。一番最初と申しますのは、たたき台の最初のパラグラフの最後なのですけれども、「産業投資は、既往出資の投資収益等を再投資に回し、原則として税負担を伴わずに」という、この原則として税負担を伴わないということが基本なわけです。だから、損は出すなということなのです、トータルでですよ。だから、資本コストとして、納税者として、国民としてはそういうことを認識しているわけですよね。だから、各機関がIRRを幾らに設定するかという話とは別に、資本コストの概念は、ここの原則として税負担を伴わないようにやるということなんです。

ところが、これまで失敗があったわけですよね。それを踏まえて新たな仕組みがスタートしたわけですけれども、そうしたことから、この原則として税負担を伴わない、原則という言葉があまりにもよく使われるので、この表現では弱いようにも私は思うのですけれども、「仕組みとなっている」というのは「仕組みでなければならない」とか、そういうことだと思うんですね。

「再投資に回し」というのも、それはそういう仕組みなんだけれども、トータルで損を出すなよというふうな書き方のほうがいいと思うんですね。再投資に回しているのだからという意味合いになってしまうので、「再投資に回す仕組みではあるが、原則として税負担を伴わずに資金供給を行う仕組みでなければならない」とか、何か表現の仕方というか、まさに資本コストをどういうふうに考えるかということは、ここに出ていると思うんですよね。

〔池尾分科会長〕どうぞ。

〔冨山委員〕これは、実際に自分でやっていて思うんですけれども、結局、資本コストって機会費用ですよね。なぜ僕らが7%にしたかというと、ざっくり7%にしたわけではなくて、要は、ああいうエクイティキャピタル投資をしたときのマーケットの長期平均のリスクフレームレートが7%なんですよ。ということは、機会費用的に考えると、7%で回ったら、実は超過収益はゼロなんですよ。要するに国民資産を預かってリスク投資をしている以上は、機会費用、そのゼロのポイントというのが、国民負担が僕らから言わせるとゼロなんですよ。もしこれがとんとんだったら、その分本当は国民に返した方がいいんですよ。国民に返して、自分で勝手に東京ストックエクスチェンジに投資してもらったほうがいいわけで、それをどこに設定するかというのは、我々は、少なくともエクイティ投資である以上は、コストというのは、いわゆるPL上のマイナスではなくて、機会費用だと考えます。だから、根拠なく7%にしたわけではなくて、要するに民間のプライベート・エクイティ・ファンドの15%というのは、7%に対して8%のレントをあげますということを投資家に約束したんです。僕らはそういう考えです。

〔冨田委員〕私が言ったのも機会費用の概念で、その場合、国民からすると機会費用とは何かというと、これまでの収益であれ財政支出であれ、それらは国債の償還に充てれば、それが充てるかどうかの選択なわけですね。あるいは国債を発行するか、つまり財政支出として使うのか、償還するか。そうすると、国債の金利なんですよ。

〔池尾分科会長〕いや、税負担だけが国民負担なのかということで、要するにリスクのあるプロジェクトに投資をする限り、リスクを国民に負わせているという側面があるわけです。

〔冨田委員〕それを、だから、各機関はその認識でもってIRRを何%かに設定するのだけれども、全体として、国民全体としたら、確実に戻ってこいよという話なんですよ。

〔冨山委員〕それは僕は違うと思う。

〔橋本財政投融資総括課長〕ここの書きぶり、元々の我々の表現が言葉足らずであって、ここで「原則として」と記載させていただいているのは、補正予算などで、一般会計からの財源繰入れをしていることがあるという意味合いにおいて、「原則として税負担を伴わずに」と書いています。

〔冨山委員〕それは分かります。

〔橋本財政投融資総括課長〕ということであって、収益性を損なうということが例外的にあり得るということをここで示しているわけではない。ですから、収益性のところは、2番目のところで収益性の要件として、国の財政資金をもって行う投資であり、投資である以上、収益性が必要ということで、ここに例外を認めているということではありません。

〔池尾分科会長〕資本コストについての考え方を事務局でもう1回まとめていただいて、それを、なかなか難しいと思いますが、各委員のところに持っていっていただいて、こんなふうな考え方でよろしいでしょうかと、全然違うことを言う委員どうしがいたらなかなか大変ですけど、ちょっと調整していただけますか。

〔橋本財政投融資総括課長〕はい、承知いたしました。

〔池尾分科会長〕そろそろ予定している時間が迫ってきておりますが、追加で御発言の希望がおありの方がおられればお願いしたいと思いますけど、いかがでしょうか。

事務局からよろしいですか。

それでは、少し早く始めましたので、早く終わらせていただきたいと思いますが、ちょっと最後に申し上げておかなければいけないことがございますので、すみません。議事はこれまでとしたいと思いますが、追加で御意見がありましたら、私宛てでもいいのですが、事務局に追加で御意見をいただくということでお願いしたいのですが、次回に報告書をまとめたいという都合がありますので、追加の御意見、御質問等ございましたら、申しわけありませんが、今月末までに事務局にお寄せいただければと思います。本日出していただいた御意見と追加の御意見があれば、それらを踏まえて、次回6月14日に報告書のとりまとめを行いたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

なお、本日御審議いただいた各種資料は、報告書のとりまとめに向けた検討途上のものであるため、記者レク及び資料公表は今回は行わないということでお願いします。議事録につきましては、皆様に御確認いただくとともに、報告書がとりまとめられた後に財務省ホームページに掲載いたします。

繰り返しになりますが、次回の分科会は6月14日で、議題としては産業投資の報告書のとりまとめに加えて、定例の報告がございまして、財政融資資金等の実地監査についての報告をいただいて、御審議をいただく予定となっております。

以上です。

それでは、本日は、御多用中のところ御参集いただきまして、まことにありがとうございました。また、御熱心に議論いただきましてありがとうございました。

それでは、これで散会とさせていただきます。

15時53分閉会

財務省の政策