このページの本文へ移動

財政制度等審議会財政投融資分科会
議事要旨

令和7年3月24日
財政制度等審議会
財政投融資分科会

<今回、財務大臣から財政制度等審議会に対し、以下の議案等についての意見が求められ、当分科会に付託された。本件については、緊急に審議会の意見を聴取する必要があるが、会議を開催することが困難であるため、書面にて審議することとされた。令和7年3月24日に書面での審議を実施。>

(1)議案
  ・ 令和6年度財政融資資金運用計画の一部変更について
(2)報告事項
  ・ 産業投資を巡る足元の動向
  ・ 「官民ファンドの運営に係るガイドライン」におけるKPIについて

 【書面による意見聴取者】

翁百合分科会長
土居丈朗委員、野村浩子委員、丸田健太郎委員、家森信善委員、渡辺努委員
有吉尚哉臨時委員、岡田章裕臨時委員、工藤禎子臨時委員
冨田俊基臨時委員、山内利夫臨時委員

議事概要

  令和6年度における財政融資資金の年度越し短期貸付として、交付税及び譲与税配付金特別会計に4兆608億円、年金特別会計に1兆4,348億円の貸付けを行うこと、及び、令和6年度一般会計予備費使用についての閣議決定(令和7年2月28日)を受け、事業の実施に必要な資金を確保するため、地方公共団体に対する財政融資資金の貸付けを263億円追加することとする議案、並びに、報告事項について、書面審議により意見を聴取した。

○委員からの主な意見は以下のとおり。

  • 令和6年度財政融資資金運用計画の一部変更について
    • 交付税及び譲与税配付金特別会計に対する貸付について、息の長い償還計画の中で、適正に管理されていると感じる。今後利回りが上昇した際のシミュレーションは行う必要があると考える。

    • 各特別会計に対する貸付について、返済が適時になされ、債務残高が膨らまないように適切に管理されることを期待する。

    • 地方公共団体に対する財政融資資金の貸付について、予測のつかない災害対応のための追加は適正であると考える。
  • 産業投資を巡る足元の動向
    • 法改正による財政投融資特別会計投資勘定の運用方法の変更は、投資ポートフォリオの運用・管理にかかる一般的なプラクティスにも合致し、中長期的な視点からの、バランスの取れた産業投資の計画・実行に資するものと考える。

    • 機動的な産投出資を可能とする法改正に伴い、各産投機関における新規事業の組成段階において、財務省理財局による対応の必要が増すことになる。特に大規模な事業、民間出資比率の低い事業については、各産投機関への出資者として当該新規事業の政策的必要性と収益性の検証(査定)により傾注するべきである。

    • 産業投資機関 関係府省庁等実務者連絡会議が定期的に開催され、情報共有、ノウハウ共有がなされることを期待する。会議で共有された事柄については、可能な範囲で当分科会でも年1回程度報告されることを希望する。

    • 法改正により財政投融資特別会計投資勘定による借入れが可能となった場合には、令和6年7月の取りまとめにおいて、借入れによる資金調達が「限定的に運用されることが不可欠である。」とされたことを踏まえて、体制の整備や運用面での対応をお願いしたい。

    • 今後毎期の予算の審議の中で、財政投融資特別会計投資勘定や産業投資に関わる借入れの状況については、適切なモニタリングがされることを期待する。
  • 「官民ファンドの運営に係るガイドライン」におけるKPIについて
    • KPIについては、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会、産業投資機関 関係府省庁等実務者連絡会議のみならず、当分科会でも、共有されることが望ましいと考える。評価指標と達成度合いについて、広く情報開示をすることが、よりよい運営・運用につながると考える。

    • 官民ファンドの運営に係るガイドラインにおいて「民間資金の誘発(呼び水効果)」が政策性のKPIとされていることについて、呼び水効果の意義を浸透させることが望まれる一方で、形式的に数値を高めることを目的として本来、公的な資金を用いる必要のない場面で投資が行われるような運用につながることのないよう、考え方の精緻化が図られることを期待する。

    • 官民ファンドの運営に係るガイドラインにおけるKPIのうち、呼び水効果および累積損益の考え方について議論が検討されているとのことであるが、可能な限り簡素な算出ロジックを統一的に適用し、投資成果を分かり易く見える化することにより、上記運用方法の変更の有効性がより高まるものと考える。

    • 「官民ファンドの運営に係るガイドライン」におけるKPIについて、民間資金の誘発(呼び水効果)と累積損益の計上方法の精緻化を図ることに賛同する。ただ、これまでの官民ファンドの運営において、呼び水効果が強調される割には、累積損失の抑制が不十分であるところが散見された。呼び水効果の誘発を重んじ過ぎると、官民ファンドにとって不利でその出資先にとって有利になる形で、官民ファンドが投資収益の回収に対して緩慢になる恐れがある。国民共有の財産を原資とする産業投資として国から出資を受けた官民ファンドにおいて、そうしたことは許されず、今後は両KPIを評価する際にはこうした点に留意することを求めたい。

     

    (以上)