このページの本文へ移動

ダウンロード(PDF:98KB)

財政制度等審議会財政投融資分科会
議事要旨

1.日時
  令和6年4月19日(金) 14:26~15:57

2.場所
  財務省第3特別会議室(本庁舎4階)/ オンライン

3.出席者(敬称略)
  [委員]
  翁百合、土居丈朗、野村浩子、丸田健太郎、家森信善
  [臨時委員]
  有吉尚哉、岡田章裕、工藤禎子、冨田俊基、山内利夫
   
  [財務省]
  奥理財局長ほか

4.議題
 ○財政投融資の現状と課題について
 ○(報告事項)今後の進め方(案)

5.議事経過

(1)議題について、事務局より説明が行われた。

(2)委員からの主な意見等は以下のとおり。
○財政投融資の現状と課題について

  • 財政投融資の重要性、役割への期待は高まっている。他方、本当にふさわしい政策に財政投融資がしっかり対応し、財政投融資という手段がうまく組み合わせてできているか議論する必要がある。
  • 平成26年、令和元年の報告書の考え方に沿って運営されており、内容としては今後も引き続き合致するところは多分にあると思うが、さらに加えて、コロナ後の時代の変化にどう対応していくのか考えなければいけない。
  • 財政融資は長期・固定・低利という特徴を持ち、長期的に安定的なキャッシュフローが見込めるインフラ整備などに資するデット性の資金の原資として適していた。足元では規模を大きく縮小しているが、例えばスタートアップ支援などはソフトな社会資本整備であり、財投のこうした目的は引き続き維持しつつ経済構造の変革に対応していく必要がある。
  • コロナや地震などの危機時においては、財政投融資の機動性が発揮され役割は果たせたと考える一方で、それらの結果や分析を取りまとめ、次の危機に備えた準備をすることが重要である。
  • パーパス・ミッション・ビジョン・バリューという考え方を財政投融資に当てはめた場合、今後検討する必要があるのはビジョンとバリュー。ビジョンとしては、10年先の財政投融資の在り方を改めて考える時期に来ているものと考えている。バリューについては、財政投融資に関係する者がどのような意識を持って関わっていくかという行動規範であるが、機動性、公正性、民間的な意識の3点が財政投融資の中での大切なバリューではないかと考えている。
  • 一般会計においては、コロナ禍後、GX、子育て支援、防衛財源など財政出動が必要なものについて、複雑な枠組みの中で、国民負担について理解を求めながら対応している状況。財政投融資についても、時代認識のもとで役割の拡充が求められるが、財政投融資のスキームについて工夫をする必要がどこまであるのか。仕上がりとして数字が大きく増えていくことをイメージするのか、これまでの財投改革の延長上で比較的モデレートに拡充していくのか、その判断は難しい。
  • 経済成長が期待できるような分野については、渡し切りの補助金ではなく、融資や出資によるファイナンスの範囲を今後広げていかないといけないのではないか。そうすることで、経済成長のみならず、財政健全化にも繋がっていくことになる。
  • 産業投資、及びそれに関連する財政融資について、地政学リスク、GX、スタートアップといったテーマで、戦略的に民間が負えないリスクを負っていくことの重要性が高まっている。国の財政に限りがある中で、上場企業は多額の現金を抱えており、財政投融資を呼び水として産業構造の変化に使っていく必要がある。
  • 民間だけではリスクが取れない分野において、財投機関がファイナンスの先行事例を作ること、適切なリスクシェアリングに参加することは極めて重要であり、分野を見極めながら、産業投資の規模や対象分野を拡大することは肯定されるべきである。一方で、各財投機関のガバナンス能力の向上は一層図られるべきであり、財投機関の集約・連携強化によるノウハウやリソースの共通化も選択肢の1つだと考える。
  • 財投規模は改革以降縮減してきたが、これは資金調達の改革というよりも、民業補完と償還確実性という改革理念の下で各財投機関の個々の事業を見直したことによる。国による産業支援の必要性は高まっているが、財投は金融であり、受益者負担による回収を無視、軽視してはならない。
  • エクイティ資金は、ポートフォリオ全体でリスク管理することが重要。ただし、大型投資案件については、分散投資によるリスク管理の範囲を超え、財投機関のみならず、出資者である投資勘定にも大きな影響を与えるため、直接個別的な管理も必要となってくる。出資者としてどのようなガバナンスを確保すべきか検討する必要がある。
  • 官民ファンドは、適切に運営されている機関がある一方で、課題の多い機関も見受けられる。人材のマネジメントを含めノウハウの横展開やノウハウを共有するプラットフォームの機能強化が必要であることに加え、機関の統廃合についても聖域を設けず考えていく必要がある。
  • 大学ファンドは、非常に特殊な財投運用先であり、今後も分科会として報告を求め、モニタリングしていく必要がある。
  • 地方公共団体向けの融資者として財務省や財務局が実施しているコンサルティング機能は、情報の乏しい小さな地方公共団体には非常に有益な取組であるため、関わる職員の育成や確保といった強化が必要である。

       

      (注)本議事要旨は、今後字句等の修正があり得ることを念のため申し添えます。

       

      問い合わせ先

      財務省理財局財政投融資総括課調査係

      電話 代表03(3581)4111  内線2578