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財政制度等審議会財政投融資分科会
議事要旨

令和2年5月26日
財政制度等審議会
財政投融資分科会

<今回、財務大臣から財政制度等審議会に対し、以下の議案についての意見が求められ、当分科会に付託された。本件については、分科会長により、緊急に審議会の議決を経ることが必要であるが、会議を開催することが困難であるため、書面にて審議することとされた。令和2年5月26日に書面での審議を実施。>

    議案
  • 議案第1号 令和2年度財政投融資計画補正
  • 議案第2号 令和2年度財政融資資金運用計画の一部変更
  • 議案第3号 令和2年度の財政融資資金の融通条件の改定
  • 議案第4号 令和2年度及び令和3年度における財政融資資金の地方公共団体に対する運用

 【書面による意見聴取者】

池尾和人分科会長
翁百合委員、高田創委員、野村浩子委員、渡部賢一委員
江川雅子臨時委員、土居丈朗臨時委員、冨田俊基臨時委員、冨山和彦臨時委員、
中里透臨時委員、林田晃雄臨時委員、原田喜美枝臨時委員
川村雄介専門委員、工藤禎子専門委員、家森信善専門委員

議事概要


○事務局より、中小・小規模事業者や中堅・大企業等の資金繰りのため、実質無利子・無担保融資を含む、融資規模の拡充や資本性資金の活用など、金融機能の強化に向けた対応を行うこととし、令和2年度財政投融資計画及び令和2年度財政融資資金運用計画に、それぞれ39兆4,258億円及び32兆8,258億円の追加を行い、財政融資資金の融通条件を改定することとするとともに、令和2年度及び令和3年度における財政融資資金の地方公共団体に対する運用のうち、地方財政法附則第33条の5の12の規定に基づく地方債については、1年以内の運用を行うことができることとする議案について、書面審議により意見を聴取し、原案のとおり了承された。

○委員からの意見は以下のとおり。

  • 必要性は認めるが、国家財政の持続性に危惧を覚える。
  • 経営難に陥っている各社に、情報がわかりやすく迅速にいきわたり、速やかな手続きがなされるようお願いしたい。
  • 新型コロナウイルス感染症患者の治療、他の病気の患者を断っている、などの理由で経営が苦しくなっている医療機関が多いと聞いているので、それらの医療機関の支援も積極的に行うべき。
  • 今般の補正予算に関連し、一般会計で手当てされる地方への交付金については、感染状況、支援を必要とするセクターなどは地域ごとにかなり異なるので、地方公共団体の判断・裁量を大きくして資金が有効に活用されるようにすべきである。
  • 財投機関を通じ、中小事業者や中堅・大企業に対し、大規模な資金繰り支援を行うことは妥当と考える。医療・福祉事業者や農林事業者も支援対象に加えたことは、目配りの行き届いた対応だと評価したい。
  • 1次補正の段階ですら、殺到する申込みに対する対応が十分に行き届いていないとの声も聞く。対象や金額を拡大して、十分対応できるのか。混乱を避けるため、手続きの簡素化、事務処理体制の強化など、円滑な融資実行へ向けた工夫をお願いしたい。
  • 危機対応業務を拡充し、金融支援を促す目的で、指定金融機関が資本性劣後ローンを実施することは、中小事業者や企業の財務基盤を安定させ、資金調達を円滑にする点で、適切な対応と考える。
  • いわゆる「ゾンビ企業」の延命につながるような事態は、極力避けるべき。危機に直面する中で厳密な審査を行うことは大きな困難を伴うと思うが、コロナショックが収束さえすれば事業が持続的に成長すると見込める事業者、企業をできる限り優先し、劣後ローンを実施するよう努めていただきたい。
  • 未曾有の危機に直面した事業者等を支援するため、地方税の徴収を猶予し、その減収分を一時的に補填する地方債について、財政融資で引き受けることは、臨時、異例の措置として適切な対応と考える。
  • 福祉医療機構の医療関係融資では、新型コロナウイルス感染症の影響を柔軟に捉えて対応すべき。
  • 資本性劣後ローンの供与にあたっては、借り手の正確な理解を確認のうえ、モラルハザードが発生しないよう特段の配意をお願いしたい。

 

(以上)