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  1. 開会
  2. 中華人民共和国産及び台湾産ニッケル系ステンレス冷延鋼帯・冷延鋼板に対する不当廉売関税の課税に関する調査の開始
  3. 大韓民国産及び中華人民共和国産溶融亜鉛めっき鋼帯・鋼板に対する不当廉売関税の課税に関する調査の開始
  4. 大韓民国産及び台湾産ビスフェノールAに対する不当廉売関税の課税に関する調査の開始
  5. 大韓民国産炭酸二カリウムに対する不当廉売関税の課税期間の延長に関する調査の開始
  6. 閉会

出席者
特殊関税部会長 阿部 克則 財務省 寺岡関税局長
委員 内山 智裕 廣光審議官
片山 銘人 中澤審議官
木村 福成 大関総務課長
古城 佳子 三浦関税課長
杉山 晶子 井田監視課長
高橋 裕子 藤中業務課長
田邊 國昭 近田特殊関税調査室長
田村 善之 経済産業省 森井貿易経済安全保障局貿易管理部特殊関税等調査室長
手塚 広一郎 久森製造産業局金属課企画官
野原 佐和子 菊池製造産業局素材産業課企画官
専門委員 河野 真理子 外務省 大嶋経済局国際貿易課課長補佐
末冨 純子
松島 浩道
若江 雅子

 

本稿は、令和7年10月3日の関税・外国為替等審議会 関税分科会 特殊関税部会の議事録です。

 

午後5時30分開会

阿部部会長 それでは、時間となりましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会特殊関税部会を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、関税分科会に引き続き御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 特殊関税部会長の阿部でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。本日の議題は議事日程のとおりでございます。

 中華人民共和国産及び台湾産ニッケル系ステンレス冷延鋼帯及び冷延鋼板に対する不当廉売関税の課税に関する調査の開始ほか3件につきまして、近田特殊関税調査室長より説明をお願いいたします。

近田特殊関税調査室長 ありがとうございます。特殊関税調査室長の近田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回、新規案件3件と延長案件1件、計4件の不当廉売関税調査に関して、法令及び不当廉売関税に関する手続等についてのガイドラインの規定に従って、調査開始に至った事情を御説明いたします。

 なお、今回は委員の皆様に何らかの御判断をお願いするものではございません。

 それでは、お手元の資料に沿いまして御説明を申し上げます。

 まず、資料1でございますが、中国及び台湾産ニッケル系ステンレス冷延鋼帯・冷延鋼板に対する調査の開始について御説明をいたします。

 資料1、1ページ目、貨物の概要を御覧ください。以下、調査対象貨物を「ニッケル系ステンレス」と呼びますが、ニッケル系ステンレスは、鉄に10.5%以上のクロムを含有し、ニッケルの含有量が全重量の0.6%を超える合金鋼になります。丸めたものが鋼帯、板状のものが鋼板となります。機能性、意匠性に優れており、建築や家電・精密機器等、様々な利用をされております。輸入量の推移を資料の下段にお示ししてございます。中国及び台湾からの輸入が増加傾向にあり、また、輸入量全体に占める割合も大きくなっております。

 続きまして、2ページ目、調査開始の概要を御覧ください。今回の課税申請については、本年5月に国内生産者(4者)から申請がなされたものです。不当廉売関税の課税の求めを受けて調査を開始するに当たっては、不当廉売された貨物が本邦に輸入されている事実、及び、その輸入が本邦の産業に実質的な損害等を与える事実という2つの要素について十分な証拠が示されていることが必要となります。

 まず、1点目の不当廉売された貨物が本邦に輸入されている事実につきましては、申請書の内容によりますと、中国及び台湾産ニッケル系ステンレスの本邦への輸出価格は正常価格を下回っており、その不当廉売差額率はそれぞれ、中国産が20~50%、台湾産が3~20%の間と算出されております。

 次に、2点目の不当廉売輸入が本邦の産業に実質的な損害等を与えている事実につきましては、不当廉売された貨物の輸入量が増加する一方、本邦産品の国内販売量及び市場占拠率が減少していること。不当廉売された貨物の国内販売価格が本邦産品の価格を大幅に下回っているため、本邦産品の販売量は大幅に減少し、また、輸入品を引き合いに値下げを余儀なくされることで、本邦産業は製造原価の上昇に見合った価格設定を妨げられている状況であり、その結果、本邦産業は営業利益の減少など実質的な損害が生じていることが挙げられており、さらに、中国及び台湾は十分な余剰生産能力を有していることから、今後も輸入量が増加する可能性が高く、また、中国及び台湾産の国内販売価格は下落傾向が続いているため、本邦産品の販売価格も引下げを余儀なくされることが想定されることから、追加的な不当廉売輸入による実質的な損害が生じるおそれがあるとされております。

 これらの内容を調査当局として精査いたしました結果、調査の開始のための十分な証拠があり、また必要があると判断したことから、中国及び台湾産ニッケル系ステンレスに対する不当廉売関税の課税に関する調査を本年7月22日に開始し、その旨を官報において告示、同日公表いたしました。

 3ページ目を御覧ください。調査手続の今後の大まかな流れをお示ししてございます。左から2つ目のボックスでございますが、本年7月22日に調査を開始し、利害関係者に対して質問状等を送付し、既に回答を受領して分析等を進めております。調査開始日以降に記載してある日付は、それぞれの手続の回答期限となっております。調査は原則として1年以内に終了することとされておりますが、最大半年間の延長が認められております。今後、必要に応じ、現地調査等の調査手続を進めてまいります。調査の結果、仮の決定・暫定措置を含め、課税の必要性が認められた場合には、改めて当部会にお諮りし、御審議をお願いしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、資料2でございます。資料2の韓国及び中国産溶融亜鉛めっき鋼帯・鋼板に対する調査の開始について御説明いたします。

 1ページ目、貨物の概要を御覧ください。以下、対象貨物を「溶融亜鉛めっき」と呼びますが、溶融亜鉛めっきは鉄等の薄板製品等の表面に高温で溶かした亜鉛をめっきした鋼帯及び鋼板になります。用途といたしましては、ガードレールや住宅、フェンス等の建材や冷蔵庫等の電気機器の部品等に利用されます。輸入量の推移を資料の下段にお示ししております。韓国及び中国からの輸入が全輸入量の大半を占め、増加傾向を示しております。

 続きまして、2ページ目、調査開始の概要を御覧ください。今回の課税申請については、本年4月に国内生産者(4者)から申請がなされたものです。

 まず、先ほどの案件と同様、2つの要素のうち1点目の不当廉売された貨物が本邦に輸入されている事実につきましては、申請書の内容によりますと、韓国及び中国産溶融亜鉛めっきの本邦への輸出価格は正常価格よりも低くなっており、その不当廉売差額率はそれぞれ、韓国産が10~20%、中国産が30~40%の間と算出されております。

 次に、2点目の不当廉売関税が本邦の産業に実質的な損害等を与えている事実につきましては、不当廉売された貨物の輸入量が増加する一方、本邦産品の国内販売量及び市場占拠率は減少していること、不当廉売された貨物の国内販売価格が本邦産品の価格を大幅に下回っているため、本邦産品は、輸入品を引き合いに値下げを要求されたり、コスト上昇に応じた値上げを拒否された結果として販売価格の引下げを余儀なくされたりしている状況であり、その結果、本邦産品は営業利益の減少など実質的な損害が生じていることが挙げられております。

 これらの内容を調査当局として精査いたしました結果、調査開始のための十分な証拠があり、また、必要があると判断いたしましたことから、韓国及び中国産溶融亜鉛めっきに対する不当廉売関税の課税に関する調査を本年8月13日に開始し、その旨を官報において告示、また同日公表いたしました。

 続いて、3ページ目を御覧ください。先ほどと詳細は重複いたしますので割愛申し上げますが、本年8月13日に調査を開始しており、原則1年以内に調査を終了することとしております。

 続きまして、資料3の韓国及び台湾産ビスフェノールAに対する調査の開始について御説明申し上げます。

 1ページ目を御覧ください。対象貨物のビスフェノールAは、フェノールとアセトンから生成される有機化成品で、形状は白色の固体になります。用途といたしましては、建材や車のヘッドランプ等に用いられるポリカーボネート樹脂や、車や船舶の塗料、飲料用缶内面塗料等に用いられるエポキシ樹脂の原料となります。輸入量の推移を資料の下段にお示ししております。韓国及び台湾からの輸入が全輸入量のほぼ全てを占め、輸入量自体も増加傾向を示しております。

 続いて、2ページ目を御覧ください。今回の課税申請については、本年6月に国内生産者(2者)から申請がなされたものです。

 まず、1点目の不当廉売された貨物が本邦に輸入されている事実につきましては、申請書の内容によりますと、韓国及び台湾産ビスフェノールAの本邦への輸出価格は正常価格よりも低くなっており、その不当廉売差額率はそれぞれ、韓国産が30~40%、台湾産が40~50%の間と算出されております。

 次に、2点目の不当廉売輸入が本邦の産業に実質的な損害等を与えている事実につきましては、不当廉売された貨物の輸入量が増加する一方、本邦産品の国内販売量及び市場占拠率は減少していること。不当廉売された貨物の国内販売価格が本邦産品の価格を下回っており、本邦の産業は国内販売価格の引下げを余儀なくされ、製造原価の上昇に見合った価格設定が妨げられており、その結果、本邦産業は営業利益の減少など実質的な損害が生じていることが挙げられております。

 これらの内容を調査当局として精査いたしました結果、調査開始のための十分な証拠があり、また、必要があると判断いたしましたことから、韓国及び台湾産ビスフェノールAに対する不当廉売関税の課税に関する調査を本年8月20日に開始し、その旨を官報において告示、同日公表をいたしました。

 続きまして、3ページ目、こちらも詳細は先ほどと同様でございますが、8月20日に調査を開始いたしまして、原則1年以内に調査を終了することといたしております。

 続きまして、資料4にお進みいただきたく存じます。資料4の韓国産炭酸二カリウムに対する延長調査の開始について御説明申し上げます。

 1ページ目、課税状況を御覧ください。先ほどまで御説明の新規調査3件と異なりまして、本件は令和3年に不当廉売関税の課税決定が行われ、令和8年6月まで30.8%の不当廉売関税が課されている、現在課税中の案件でございます。

 炭酸二カリウムですが、白色の粉末または無色の液体で、中華麺に添加するかんすいの原料や、液晶パネルなどのガラス類の原料等に利用されます。輸入量の推移を資料の下段にお示ししております。韓国からの輸入は、不当廉売関税の課税を開始した令和3年の翌年には減少したものの、その後は若干の増加傾向を示しております。

 続いて、2ページ目を御覧ください。今回の課税申請については、国内生産者(1者)から課税期間の延長を求める申請がなされたものです。不当廉売関税の課税期間の延長の求めを受けて調査を開始するに当たりましては、不当廉売された貨物の輸入及び当該輸入の本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が、課税期間の満了後に継続し、または再発するおそれがあることについて、十分な証拠が示されていることが必要となります。

 申請書の内容によりますと、まず、不当廉売された貨物が本邦に輸入されている事実が課税期間の満了後に継続するおそれといたしまして、韓国産品の本邦向け輸出価格が引き続き正常価格を下回っており、不当廉売が継続しており、また、不当廉売関税の課税中にもかかわらず、韓国産品の輸入量は増加傾向にあること。韓国供給者の生産能力は韓国国内の需要量を大幅に超過しており、当該供給者の余剰生産能力が輸出に向けられていることが挙げられております。

 次に、本邦の産業に与える実質的な損害等の事実が不当廉売関税の課税期間の満了後に再発するおそれといたしまして、不当廉売関税の課税により本邦産業への損害は抑えられている一方で、先ほど御説明いたしましたとおり、韓国供給者は不当廉売を継続しており、かつ、韓国産品は不当廉売関税を課された現状でもなお本邦において価格競争力を有しているため、輸入量は増加傾向にあること。そのため、現在においても、申請者は本邦の販売先との価格交渉において安価な韓国産品を引き合いに出されており、販売価格を下げたり、販売価格を下げない場合にはシェアを奪われたりすることが生じていること。これらを踏まえると、仮に課税期間が満了した場合、本邦産品はさらに不利な立場に置かれることが挙げられております。

 これらの内容を調査当局として精査いたしました結果、調査開始のための十分な証拠があり、また、必要があると判断いたしましたことから、韓国産炭酸二カリウムに対する不当廉売関税の課税期間延長に関する調査を本年8月20日に開始し、その旨を官報において告示、同日公表いたしました。

 3ページ目でございますが、先ほどとほぼ同様でございます。本年8月20日に調査を開始しており、新規の調査案件と同様、原則1年以内に調査を終了することとしております。

 私からの説明は以上でございます。ありがとうございます。

阿部部会長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見等を頂きたいと存じます。いかがでしょうか。

 末冨委員、よろしくお願いいたします。

末冨委員 ありがとうございます。1点だけ教えていただければ、あるいは確認させていただければと思うんですが、大韓民国産炭酸二カリウムに対する延長の調査の開始についてですけれども、延長することについて、積極的に反対意見というか、延長すべきではないというふうに意見を言った、あるいは申請した利害関係人、反対に、延長が必要であるというふうに積極的に意見を言われた利害関係人あるいは当事者について教えていただけますでしょうか。

近田特殊関税調査室長 申請者以外にも様々な利害関係人がいらっしゃいますので、それら利害関係者等から今様々な御意見の提出を頂戴しているところです。今後の調査の中で、それらの様々な観点からの御意見を併せながら、延長の必要性について判断していくものになると存じます。

末冨委員 今の調査開始を決定された時点では、特にそういうような意見についてはまだ認識していらっしゃらないということでよろしいですか。

近田特殊関税調査室長 おっしゃるとおりでございます。

末冨委員 ありがとうございます。

阿部部会長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。オンラインで御参加の委員もよろしいでしょうか。

 ほかに御質問等ございませんようでしたら、以上をもちまして本日の特殊関税部会を終了いたします。

 本日は、御多用のところ、御出席賜りまして誠にありがとうございました。

午後5時50分閉会