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関税・外国為替等審議会 関税分科会(令和8年6月23日開催)議事録

  1. 開会
  2. 急増する少額輸入貨物への対応に関するワーキンググループ中間とりまとめ及び当審議会答申を踏まえた取組状況
    ・水際取締り上の課題等
    ・少額輸入貨物に係る簡易税率の状況
    ・少額輸入貨物をめぐる主要国の取組
  3. 税関中長期構想2030
  4. 閉会

出席者
関税分科会長代理 古城 佳子 財務省 寺岡関税局長
委員 阿部 克則 廣光審議官
植田 健一 中澤審議官
木村 旬 大関総務課長
国松 麻季 三浦関税課長
下坂 朝子 高橋参事官
杉山 晶子 井田監視課長
高橋 裕子 藤中業務課長
田村 善之 坂本事務管理室長
樽井 功 近田特殊関税調査室長
手塚 広一郎 中尾原産地規則室長
中島 宏 香川税関調査室長
野原 佐和子 平田経済連携室長
樋口 容子 金山知的財産調査室長
山口 博臣
臨時委員 清水 順子
専門委員 河野 真理子
佐藤 英明
末冨 純子
松島 浩道
若江 雅子

 

午後1時30分開会
古城分科会長代理 それでは、時間も参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様には、御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。

 まず、議事に入ります前に、2名の委員の交代がございましたので、私から紹介させていただきます。

 田邊委員の御退任に伴い、新たに東京大学大学院法学政治学研究科教授、城山英明委員が任命されております。

 続いて、安永委員に代わって、新たに日本貿易会会長、岡藤正広委員が任命されております。

 また、田邊委員の御退任に伴い、分科会長代理及び企画部会長につきましては、木村(福)分科会長より私、古城が御指名をいただきました。本日は木村(福)分科会長が御不在のため、議事進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。

 本日の議題はお手元の議事日程のとおりでございます。

 まず、議題(1)として、「急増する少額輸入貨物への対応に関するワーキンググループ中間とりまとめ及び当審議会答申を踏まえた取組状況」について、事務局からの3つの資料についての説明の後に、委員の皆様から御質問、御意見等をいただきたいと思います。

 それでは、藤中業務課長より説明をお願いいたします。

藤中業務課長 業務課長の藤中です。よろしくお願いします。

 昨年、急増する少額輸入貨物への対応に関するワーキンググループを開催いたしまして、水際取締り上の課題、そして、課税制度上の課題について御議論をいただきました。本日はそこでの議論を踏まえて、現状について御報告したいと思います。

 資料をめくっていただいて、1ページ目でございます。少額輸入貨物の現状ですけれども、2025年の輸入許可件数は約2億2,700万件となり、6年間で約5倍まで増えてきております。このうち、1万円以下の少額貨物は全体の9割以上を占める、こうした状況となっております。右側は品目について見たものですけれども、衣類や化粧品、家庭用品などが多い状況となっております。

 次のスライドでございます。貨物量が大きく増える中で、貨物を扱う保税業者、そして、通関業者の業務運営が重要となってきております。真ん中、青枠で囲んでおりますけれども、本年3月の国会におきまして関税改正を行いまして、保税業者に対する業務改善命令の新設等を行ってございます。また、税関がこうした事業者に対する適時・適切なフォローを行えるよう、税関の体制の整備も行ってきているところでございます。今後につきましてもこうした取組を継続していきたいと考えてございます。

 次のスライドです。貨物につきまして、例えば、申告項目が少ない簡易な通関手続ですとか、あるいは、貨物到着前に審査終了、もしくは要検査の区分が事前に通知される迅速な通関手続、こうした制度がございますけれども、誰でもこうした制度を利用できる状態が事業者のコンプライアンス意識を下げている、こうした課題が明らかとなりました。したがいまして、このページの青枠で囲んでおりますけれども、不適正な輸入申告を繰り返し行う等の事業者に対しては、こうした簡易・迅速な通関手続の利用制限、これを本年4月から導入してございます。また、AEO事業者については、コンプライアンスに優れているということで、こうした制限措置の対象外としておりまして、AEOの魅力向上にもつなげているところでございます。今後につきましては、適正な業務運営に取り組む事業者とそうでない事業者の差別化をより図っていく観点から、航空貨物についての事前情報の提供の導入ですとか、あるいは、マニフェスト申告の利用をAEO事業者に限定するとか、こうした取組についても検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 次のスライドでございます。通販貨物のやり取りにおきましては、プラットフォーム事業者との連携の重要性が増してきているところでございます。我々財務省関税局・税関といたしまして、大手プラットフォーム事業者との意見交換の場を設置したところでございまして、こうした場を通じて意見交換を図っていきたいと思いますし、同時に、少額貨物、通販貨物に関する政府内の連携、具体的には、消費者行政を行っている消費者庁ですとか、製造業を所管する経済産業省ですとか、そうしたところとの情報共有、意見交換も引き続き進めていきたいと、このように考えてございます。

 次のスライドでございます。こちらは課税制度上の課題への対応ということで、本年3月に成立しました関税法等改正におきまして、まず1点目として、消費税に係る少額免税制度の見直しを行いました。2点目として、個人用に使う貨物について適用されております課税価格決定の特例、いわゆる0.6掛け、これについても廃止を行うことといたしました。いずれの制度も施行は令和10年4月を予定しておりまして、この施行に向けて、システム面、そして、事業者との連携強化、これを引き続き進めていきたいと考えてございます。

 次のスライドでございます。通販貨物は国際郵便を通じても輸入をされてございまして、水際取締り面、そして、課税面の双方で対応が求められているところでございます。財務省関税局、日本郵便、そして、日本郵便を所管する総務省、この3者での会合を断続的に開催しているところでございまして、国際郵便を用いた越境EC貨物についての対応、これについての検討を引き続き進めていきたいというふうに考えてございます。

 次のスライドでございます。輸入者を代理・代行して適切な通関手続を行う通関業者の役割は、輸入許可件数が増加する中、国際物流におけるインフラとしての重要性が高まってきていると認識してございます。適正な業務運営の確保のために、労務費等の通関業務料金への適切な転嫁が必要な状況にあることもありまして、真ん中、青枠でございますけれども、本年3月に閣議決定いたしました総合物流施策大綱におきまして、今回、初めて通関業者に関する事項を掲載いたしました。また、財務省関税局・税関から、荷主に対しまして、通関業者との取引に関する配慮に関する周知、これを継続的に行っているところでございまして、荷主の優越的地位を利用した立替払いの課題ですとか、コスト上昇分の通関料金への反映の必要性等について、引き続き荷主に対しても周知を行っていきたいというふうに考えてございます。

 私からの説明は以上になります。

古城分科会長代理 ありがとうございました。

 続きまして、三浦関税課長より説明をお願いします。

三浦関税課長 三浦です。資料1-2につきまして御報告申し上げます。昨年の本審議会の答申におきまして引き続きの検討事項としていただきました、「少額輸入貨物に係る簡易税率の状況」についてでございます。

 1ページを御覧くださいますと、囲みの1点目の制度概要といたしましては、課税価格の合計額が20万円以下の輸入貨物について、一般の関税率に代わって、7区分の簡易税率が原則として適用されるというものであります。一般の関税率の場合は数千ある輸入統計品目から品目を特定する必要がありますけれども、その負担が減るということになります。2点目としまして、2つ目の丸ですけれども、ニット製衣類や革製品等は簡易税率の適用から除外され、通常の関税率が適用されるというものであります。

 おめくりいただきまして、2ページ目に簡易税率の制度導入の経緯についてまとめてまいりました。囲みの一番上は、平成5年に導入されたというところであります。当時、外国郵便物や小口急送貨物の輸入が急増していたという状況があったということや、関税額が少ない一方で、事業者の方々の納税事務の負担などが大きく、これらの貨物を利用して社会悪物品が持ち込まれる例というものが増加していたという状況があって、事務負担を軽減しつつ水際取締りを強化すべく、少額輸入貨物に係る簡易税率制度が創設されたというものでありました。導入当時については、課税価格の合計額が10万円以下の輸入貨物を対象に6区分の簡易税率が設定されていたというものであります。2つ目の囲みを御覧いただきますと、1995年のウルグアイ・ラウンド合意で、一般の関税率の水準が低下したことについて記しております。そこで、これを受けて平成14年に、簡易税率の水準が一般の関税率並みになるように税率水準が見直されたというものであります。3つ目の囲みで、その後、平成26年に、適用対象額を課税価格の合計額10万円以下から20万円以下まで拡大されたというものであります。

 次のページを御覧いただきますと、適用状況につきまして、昨年も御覧いただきましたが、令和6年度のデータでアップデートを行ってまいりました。このスライドの左側の3つの棒グラフを御覧いただきますと、一番上の棒グラフに示されておりますように、簡易税率が適用された割合というものが全体の0.9%と、1%に満たない程度であるということ。他方で、緑色の部分を御覧いただきますと、EPA税率、経済連携協定に基づく税率ですけれども、これが全体の6割以上を占めているという状況がございます。また、2つ目の棒グラフを御覧いただきますと、ニット製衣類等を含む簡易税率適用除外品目の申告が全体の3割超となっているという状況で、そもそも簡易税率が使えない申告も多いという状況を御覧いただけます。3つ目の棒グラフを御覧いただきますと、水色の部分で、簡易税率が適用されなかった輸入申告の約9割が、実際に適用された税率が簡易税率よりも低い状況であったという実態でございます。これは、平成14年に税率水準を見直して以降、数多くのEPAが発効したということによって、簡易税率の税率水準よりもEPA税率のほうが低くなってきたという背景が考えられるというものであります。

 最後に、見直しの方向性のページでございます。囲みの一番上のところでありますけれども、昨年の御答申にも沿って、通関業者の業務の御負担や、税関の事務の効率化、それから、貿易の円滑化と適正・公平な関税等の徴収の両立を実現するという観点から、現在のEPA税率等を踏まえた税率の水準の見直しや、国内産業に対する影響を踏まえた適用除外品目の見直し等が必要と考えておりまして、改正に向けまして、今後、関係者の方々と調整をしてまいりたいというものであります。

 簡単ですが、説明は以上でございます。

古城分科会長代理 ありがとうございました。

 続きまして、高橋参事官より説明をお願いいたします。

高橋参事官(国際交渉担当) 国際交渉担当の参事官をしております高橋と申します。よろしくお願いします。

 本日は私から、「少額輸入貨物をめぐる主要国の取組」について紹介させていただきます。

 まず、1枚目ですけれども、欧米主要国でも、越境Eコマースの拡大に伴う貨物量の増大により、従来型の税関実務では対応が困難となっております。こうした状況を受け、EU、英国、米国では、適正課税による公正な競争の確保と消費者の安心・安全の確保等を目的として制度改革が進められております。G7においてもこうした観点から、越境Eコマース由来の小口貨物の急増が課題として共有されておりまして、関係当局間の連携強化や民間事業者を含めた対応の重要性が御覧のように指摘されました。

 次のページを御覧ください。次に、主要国の取組の方向性でございます。各国に共通するポイントは大きく3つに整理されます。

 第1に、課税やリスク管理の前提となる情報の取得の強化です。EUや英国では、プラットフォーム事業者等に、販売時にリアルタイムで商品や取引に係るデータの提出を求める方向で検討が進んでいます。また、EUや米国では、リスク管理等の観点で、プラットフォーム事業者等や製造者による固有番号である製品識別コードが活用されています。

 第2に、増大するデータを処理・活用するためのシステム整備です。多様かつ膨大な情報を処理する観点で、EU税関データ・ハブの構築のほか、各国ではデータシステムの強化が行われています。

 第3に、民間事業者の責任の明確化です。後述します関税デミニミス廃止に伴うプラットフォーム事業者への義務転換のほか、例えばEUでは、AEO制度の階層化等の取組が進められております。

 次のページを御覧ください。また、特に、こちらの関税の少額免税制度、いわゆるデミニミスの見直しについて、各国でも重要な動きがございます。EUは2026年7月に廃止することになっていまして、暫定的に固定関税を導入した上で、2028年7月以降、将来的にはデータ・ハブを前提とした通常の関税体系に移行予定です。英国でも2029年3月までに関税デミニミスを廃止する方針を発表しておりまして、足元では、パブコメを経て、具体的な制度運用について検討が進められております。米国は既に、昨年8月に関税デミニミスを廃止しまして、通常の関税体系へ移行しております。EUと英国では納税義務主体についても見直しが進んでおりまして、域外のプラットフォーム事業者や販売者に納税義務の責任を転嫁する方向が示されております。また、関税デミニミスの見直しと並行して、少額輸入貨物に係る通関処理やリスク管理の強化に係るコストを賄うため、関税とは別に手数料の導入を検討する動きがございます。一番下なんですけれども、例えばEUでは、2026年11月までに、1小包当たり2ユーロの手数料を徴収予定、域内の特定倉庫を経由する場合には手数料を0.5ユーロに軽減する制度を導入する方向です。

 次のページを御覧ください。こちらは御参考でして、申し上げたような関税のデミニミス等をめぐる米国、EU、英国の取組のタイムラインをお示ししておりますので、併せて御参照いただければと思います。

 以上です。ありがとうございました。

古城分科会長代理 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの説明に関して、御質問、御意見等をいただきたいと存じます。いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

下坂委員 すみません。恐れ入ります。オンラインからも発言してもよろしいでしょうか。

古城分科会長代理 もちろんです。下坂委員、どうぞ。

下坂委員 オンラインから失礼いたします。下坂でございます。本日は御説明ありがとうございます。

 私からは、ただいま御説明いただきました資料1-1と、資料1-3について一言申し上げたいと思います。

 まず、資料1-1についても、通関業者の適正な業務運営を確保するための環境整備に向け、対応の方向性を示していただいたことに感謝申し上げます。資料1-1の7ページにございますとおり、荷主の優越的地位を利用した立替払いについては、既に税関から周知を行っていただいているものと承知しております。一方で、事業者からは、依然として無償の立替えが広く行われているとの声も寄せられております。通関業者の健全な事業運営の観点から、周知の継続に加え、公正取引委員会との連携を進めていただきたいと思います。

 次に、資料1-3につきまして申し上げます。こちらは、関税に係る少額免税制度に関する検討の一環として海外の制度、事実関係を整理いただいたものと受け止めております。本制度につきまして、今後御検討を進める際には、昨年秋の急増する少額輸入貨物への対応に関するワーキンググループ中間とりまとめにおける記載を踏まえ、制度に関係する業界、企業の声をよく聞いていただきながら進めていただきますようお願い申し上げます。

古城分科会長代理 ありがとうございます。

 それでは、藤中業務課長、よろしくお願いします。

藤中業務課長 業務課長の藤中です。御意見をありがとうございます。

 1点目の通関業者を取り巻く環境についてのコメントについては、周知に加えまして、公正取引委員会との連携の重要性を御指摘いただきました。まさにおっしゃるとおりだと思います。不公正な取引に関する情報を得た場合は、強力かつ迅速に連携を深めていきたいというふうに思っております。

 2点目につきまして、今後、通関に関する制度を見直す際には事業者の声を十分に考慮してほしいと、こういう御意見を頂戴しました。我々も、絵に描いた餅ではなく、実際にオペレーショナルな制度、効率のいい制度を実現していく上では、事業者の皆様との協力が不可欠だというふうに思っておりますので、様々なチャンネルを通じて、事業者の皆様の御意見、これを踏まえながら制度設計について検討してまいりたいと思います。

 改めまして、御意見をありがとうございました。

古城分科会長代理 下坂委員、よろしいでしょうか。

下坂委員 はい。

古城分科会長代理 それでは、続きまして、河野委員、どうぞ。

河野委員 ありがとうございます。

 1点だけ、資料1-1の2ページにつきまして、保税の業務運営についての制度を強化しておられるということで、保税のこの制度はやはり使いやすくしていただいて、日本における加工貿易とか、付加価値をつけることに大変に資するというふうに考えておりますけれども、使いやすくした分、不正も出てくるようでは困るので、このようにしてきちんと取り締まっていただいたり、それから、取組を支援していただくという形での指導をしていただくということは大変有意義だと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

古城分科会長代理 井田課長のほうからよろしくお願いします。

井田監視課長 監視課長、井田でございます。河野委員、常々保税についていろいろ御助言をいただきまして、ありがとうございます。

 今おっしゃったとおり、前に保税の在り方を見直したときに3本柱を掲げまして、保税制度の手続の簡素化と、より一層の活用をしていただく策、それから、3つ目は取締りの強化ということで、今おっしゃったことはまさに3つ目の取締りの強化ということで、今回、関税法の改正をさせていただいたところでございます。6月1日の施行でございまして、例えば、保税業務規則に関しては、既に許可を得ている者については9月末までに整理をするようにと。移行期間に今は入っているところでございますけれども。そういったように、制度をしっかり実施していただくということで、税関では今、保税業者に対して、改正前から説明会を行ったり、今もいろいろご相談をお受けしたりということで、ちゃんと実行していただくようにということの支援を行っているところでございます。あわせて、保税制度の活用による経済活性化等、こちらのほうも、3本柱を同時に力を入れてやっているところでございます。

 以上でございます。

古城分科会長代理 ほかにございますか。

 末冨委員、どうぞ。

末冨委員 ありがとうございます。

 1点だけ確認をさせていただければと思います。「少額輸入貨物をめぐる主要国の取組」の中では、主要国のEUとか、英国とか、米国が廃止の方向で進んでいるのに対しまして、少額輸入貨物に関する簡易税率の状況の検討においては、これまでの経緯で、適用範囲が拡大したり、あるいは、EPA税率との比較の観点から、より適切な税率などを目指した運営の改善ということを検討していらっしゃるというふうに、2つを並行して御報告いただいたのですけれども、方向性としては、俯瞰して検討を行うと御報告いただきまして、そのようにこれまでの答申の内容からも理解しております。そういうことからすると、日本の方向性としては、現段階では廃止という結論に飛びつくのではなくて、少額免税の制度そのものの改善なども踏まえた形での見直しをなさるという方向性なのかということを教えていただければと思います。

三浦関税課長 末冨委員、ありがとうございます。

 昨年の御議論にもありましたことの少し振り返り的になるかもしれません。関税の少額免税制度を廃止した場合には、関税の国内産業保護の機能が高まるということにつながるほか、また、国内の事業者の間の競争上の不均衡の是正ですと、課税の中立性が確保されるという良い側面があろうかと思います。その一方で、関税が、物ですとか、原産地によって適用される税率が異なるということがありますものですから、少額免税制度を廃止した場合には、輸入許可件数の9割以上を占める課税価格の合計額1万円以下の貨物について、物の種類を確認したり、それから、適用される関税率を確定するといった業務が通関業者の皆様や税関においても発生するということになってまいりますので、消費者の方々の利便性を損なわないように配慮しなければいけないのかなと思っております。これらの観点を踏まえて、少額免税制度の見直しについて引き続きの検討を行っていきたいと思っております。したがって、委員の仰せのとおり、結論にとびつくことなく、しっかりと検討してまいりたいなと思っております。

末冨委員 ありがとうございます。

古城分科会長代理 それでは、続きまして、植田委員、どうぞ。

植田委員 それほど大きな問題ではないかもしれませんけれども、簡易税率の適用除外品目についてです。資料1-2の3ページでしょうか。主な適用除外品目の申告数別に大きなところからニット製衣類、革製品、履物というふうに書かれています。要は、ECでたくさんの安いものが大量に入ってくるようになってということもあって、いろいろ簡易税率を考えて、どうしようかということだと思うんです。しかし、同時に、既に適用除外になっているものでも多くのものが入ってきているので、恐らく税関全体の効率性とかいうものも考えながら、適用除外品目そのものをそろそろ見直すというふうに大きな流れとしてあると思います。そういうことも考えながら、今は適用除外になっているものも、何らかの簡素化した関税になるのかと思うんですけれども、少額輸入貨物に係る簡易税率の方向に動くということも考えられたほうがいいのではないかと思います。

 以上です。

古城分科会長代理 お願いします。

三浦関税課長 植田委員、三浦です。御指摘、また、御教示をありがとうございます。

 適用除外品目について、例えば、輸入の申告の欄数が多いといった場合は簡易税率の対象とするといった考え方も十分あり得ると思っておりますので、そうしたことも考えながら検討してまいりたいなというふうに考えております。

植田委員 ありがとうございます。

古城分科会長代理 ほかにございますでしょうか。

 それでは、ほかに御質問がございませんようでしたら、続きまして、「税関中長期構想2030」につきまして、香川税関調査室長より説明をお願いいたします。

香川税関調査室長 税関調査室長をしてございます香川と申します。

 私のほうからは、税関中長期構想2030の策定及び公表について御説明を申し上げます。

 資料最後のページからご説明します。昨年秋にも簡単に御紹介させていただきましたが、関税局・税関におきましては、税関行政を取り巻く環境の変化を見据えまして、2020年に第1次中長期ビジョンとしてスマート税関構想2020を、さらに、2022年にスマート税関の実現に向けたアクションプラン2022を公表いたしました。こちらに基づいて、様々な施策を五、六年にわたりまして実施してきたところでございます。こちらのスマート税関構想2020でございますが、環境の変化等を踏まえて見直すということにもなってございました。したがいまして、目下の環境変化や課題を踏まえまして、今般、こちらの全体を見直しまして税関中長期構想2030を策定いたしましたので、その御説明をさせていただければと思います。

 では、資料は、1枚目まで戻っていただけますでしょうか。現在、税関を取り巻く環境でございますが、訪日外国人旅行客の急増、及びEコマースの拡大等によります輸入貨物の急増など、大きな変化がございます。また、経済安全保障対応の重要性の高まりですとか、国際犯罪組織の多国籍ネットワーク化、犯罪巧妙化など、急激に変化し、極めて厳しい状況だと考えてございます。水際取締り機関としての税関が対応すべき課題が拡大してございますが、日本税関における物理的・人的な処理能力は限界に近づいているとも言えると思ってございます。したがいまして、今般、こうした変化や課題に限られた人員で実効性のある取締りを行うということで、税関の第2次中長期ビジョンである税関中長期構想2030を策定いたしました。概要でございますが、訪日外国人旅行者と貨物の急増に対応するため、AI等の最先端技術を活用し、税関の取締り手法や体制についての抜本的な変革を進め、次世代型の組織を構築する、こちらを柱としてございます。2030年に向けて、経済活性化に資する一層迅速な物流と人流及び安心・安全な社会のための国境での検査強化を同時に実現するために、様々な施策を実現していきたいと考えてございます。主なものをここに3つ載せてございます。まず、入国旅客の税関申告の完全電子化、2つ目は、Eコマース関係でございますが、全航空小口貨物の徹底検査、3つ目は、税関業務へのAIの戦略的活用に向けたデジタル基盤整備とサイバーセキュリティ対策でございます。

 次のページで主な施策を図解させていただいてございます。今、上の3つについては言及いたしましたが、後で詳細なポンチ絵で説明したいと思いますので、下の3つをまず説明させていただければと思います。

 左側の下ですけれども、海上コンテナ貨物でございますが、密輸の巧妙化等に対応するために、迅速な通関及び検査強化を図る必要があると考えてございます。そのため、コンテナターミナルにコンテナが着きますけれども、その中や近くなどの物流の動線上に大型X線検査装置を増配備し、かつ、AIを使いながら検査を実施していくということが必要だと考えてございます。

 1つ飛びまして、右側の下でございます。経済安全保障リスクへの対応も大きな課題と考えてございます。インテリジェンス能力の高度化に加えまして、水際取締りのための体制強化を通じまして、輸出ですとか、出国時の取締りを強化する必要があると考えてございます。

 また、真ん中の下でございますけれども、これらの施策を実施するためには、我々だけではかなり困難ということで、官民一体となった国際物流のリスク管理が必要と考えてございます。AEOのような我々にとって信頼を置けるパートナーとの協力関係を強化しながら国際物流全体のリスク管理を行う、また、そのためのインセンティブの強化が必要と考えてございます。

 次のページをお願いします。先ほどの6つのうちの一番上の左側にございました空港の体制でございます。訪日外国人旅行者6,000万人に対応した空港の検査体制の実現が必須と考えてございます。現在、紙で申告している者と、QRコードで電子申告をしている者がございます。2030年に向けてこちらを完全電子申告にしたいと考えてございます。これに基づき、現在の有人の検査台を前提とした対応から、電子申告ゲート中心の体制へ移行できると考えてございます。あわせまして、関税の納付手続等の簡素化も進めていきたいと思います。こちらによりましてウォークスルーでの入国を実現したいと考えてございます。

 一方で、安心・安全ということで、税関検査の高度化・効率化も併せて進めていく必要があると考えてございます。X線CTスキャンなどの高性能な検査機器の拡充ですとか、その画像をAIで解析していく、また、事前にいただく情報等はリスク分析をしてございますが、そちらへAIを活用し、精緻化・高度化をさらに進めていきたいと思っております。

 これを支えているのは税関の職員でございますが、空港の職場ですが、24時間、深夜、早朝、土日を問わず勤務する、かなり厳しい職場環境でもございます。また、お客様をお相手するということで、対人の対応も必要になります。持続可能な体制の構築が、6,000万人に対応していくためには必須と考えてございます。例えば、仮眠室について、カプセルタイプにしていくとか、浴室設備の整備等をしていく、これにより勤務環境の改善が必須と考えます。また、処遇改善を図るために、手当の増額等の要求も考えていきたいと思ってございます。これによって、空港の税関の職場をより魅力的な、持続可能なものにしていくことが必要と考えてございます。

 次のページでございます。先ほど来議論をいただいてございますけれども、越境Eコマースの拡大により航空貨物が急増してございます。現在の税関の検査設備や人員では、正直申し上げますと、急増した、かつ膨大な輸入貨物を限定して検査せざるを得ない状況でございます。それによりまして、不正薬物、金の密輸、また、健康を脅かすような物品の流入阻止が難しくなってございますし、将来も課題となると考えてございます。このため、現在の検査のやり方を抜本的に改正する必要があります。下に3つ書いてございますが、まず1つ目、大規模空港に航空貨物検査センターを設置することで、物流動線上で全ての航空小口貨物を流して、オートメーションで迅速かつ集中的なX線検査を行う体制にしていきたいと考えてございます。また、X線検査画像ですとか、また、輸入申告など、いろいろな情報がございますが、こちらは、AIを活用してリスク分析を高度化することで、より厳重な検査をする貨物の抽出を精緻化したいと考えてございます。また、これらの膨大な貨物を取り扱うためには、税関のみならず、官民連携が必須と考えてございます。3つ目ですが、一定の要件を満たす信頼できるパートナーに関しては、自社施設でのX線検査などで御協力いただければと思ってございます。

 次のページでございます。こちらは、大変申し訳ないですけれども、資料として送付させていただきましたが、紙媒体での配付が間に合わなかったことから、画面のところで説明させていただければと思います。税関でございますが、今申し上げたとおり、輸出入申告ですとか、今は画像のデータもございまして、非常にAIとの親和性が高い業務かと考えてございます。したがいまして、2030年には、通関ですとか、監視取締り、情報分析など、あらゆる税関業務でAIなどの先端技術を活用した業務運営を目指すということをこちらで記載させていただいてございます。これに向けまして、まず、令和7年度補正予算をいただきまして、AIの実証実験を実施してございます。

 下の箱の左側でございますが、簡単にちょっと一例を御紹介させていただきます。「実証実験」と書いてあるところですが、外部照会対応というところでございます。現在、関税率を決める税番コード(HSコード)ですとか、原産地に係る外部からの照会がございます。事前教示と呼んでいる業務ですが、非常に大切な業務でございます。こちらについては、現在、過去の事例ですとか、法令、また、原産地とかですと、EPAの条文等を調べながら、間違いのないように回答を申し上げているところでございます。こちらはAIを使うことで、かつ、AIエージェントで人間がやっている確認作業をやっていくことで、かなり処理時間が短縮できると。ひいては、利用者、申請者の方の利便性向上につながるのではないかと考えてございます。その他、X線画像解析ですとか、下にございますが、輸入実績の中から不審な点を見つけていくというビッグデータ解析も現在進めているところでございます。

 令和9年度以降は、これをあらゆる分野に拡大していきたいと考えてございます。こちらによりまして、今、閉域(クローズド)の環境で作っている税関のAIを税関のネットワークとつなげ、あらゆる業務で使えるようにしたいと考えてございますし、そのためのデジタル環境の整備をしていきたいと考えてございます。これによりまして、AIは業務を高度に処理して補助しまして、税関職員はそれに基づいて判断・決定するということで、業務の質が向上すると考えてございます。

 では、次のページをお願いいたします。税関中長期構想2030ですけれども、資料2-2のほうで本文も配付させていただいてございます。29ページにわたる大部のものですので、簡単に最後に内容だけ、こちらのポンチ絵で御紹介いたしますと、「4つの変革と具体的な施策」という形で書いてございます。1つ目は、まず、モノ・ヒトの国境管理の高度化・強化。隣は国内外パートナーとの協働強化。こちらには、AEO等との連携強化ですとか、保税業者、通関業者、また、EPA関税認定アドバイザー等の支援を含んでございます。

 次のページをお願いいたします。最後の3つ目ですけれども、こちらはAIの活用、残りは人材と次世代型組織ということでございます。労働力人口の減少が見込まれる中、税関が魅力的な組織であるということが必須だと考えてございます。例えば、高度専門人材の採用ですとか、育成の強化、また、税関官署の非常駐化ですとか、統廃合、業務の集約、バーチャルオフィスの活用など、職場環境も改善しながら魅力的な職場も併せてつくっていくことが、今回の税関中長期構想2030の大きな柱だと思ってございます。

 以上、説明をさせていただきました。こちらは2030年に向けて全国税関で進めていきたいと思いますが、そのためには、民間事業者の方ですとか、パートナーの方といろいろ意見交換をしながら段階的に進めていくことが必須と考えてございます。また、諸外国の例とかも勉強しながら、常に変化をしながら、我々が国民の皆様からの信頼に20年後もずっと応えていけるような次世代型の税関の組織をつくっていくということを目指していきたいと思っております。

 私からの説明は以上でございます。

古城分科会長代理 ありがとうございました。

 ただいまの説明について御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。

 では、オンラインの野原委員、どうぞ。

野原委員 ありがとうございます。

 私から3点コメントをさせていただきたいと思います。

 その前に、今回の戦略、構想はよく検討されていると思います。単純な業務改善ではなく、税関組織の根本的な改革で、人間中心にやってきた業務をAI、データ中心のプラットフォームに基づく形に変革していく大変革で、高く評価できると考えます。ただ、非常に難題が多く、しかも喫緊の課題ばかりで、それに対してどのようにお考えかを教えていただきたいと思います。

 まず1点目は、高度IT人材やAI人材の獲得競争についてです。民間でも、データサイエンス等、先端技術の専門人材は奪い合いの状況です。優秀な人材を適時適切に獲得し、育成していくのかについて、考え方および具体的施策を教えていただきたいということが1点目です。

 2点目ですけれども、急増する越境ECへの対策としてプラットフォーム事業者との連携について、ワーキンググループで検討されましたが、主要な連携先には海外事業者が多いので、交渉がなかなか難しいと思いますし、プラットフォーム事業者にとってかなり負担が大きい連携だとも思います。課題解決を加速するために、どのように取り組んでいこうと思われているかを教えてください。

 3点目ですが、戦略実現までの移行期間をどのようにケアしていくかについてです。現場の業務内容の変化、あるいは、今後ますます進む越境ECの増大等の環境変化への対応等、移行期間をどのように耐えしのぐのかについて、具体的な対策やロードマップがあれば教えてください。

 以上の3点です。よろしくお願いします。

古城分科会長代理 それでは、香川室長、お願いいたします。

香川税関調査室長 野原委員、3点の御質問をどうもありがとうございました。

 会議の外の工事の音が混じってしまいまして、確認させていただきたいのですけれども、まず1点目でございますが、高度人材をどのように獲得していくか。2つ目は、プラットフォーム事業者は海外にいるので、そういった海外にいる事業者とどうやって連携していくか。3番目は、2030年に向けた大変革には時間がかかるのですけれども、その移行期間を課題が満載の中でどうやって耐えていくか、という御質問だと思いますが、そちらで合っておりますでしょうか。

野原委員 そのとおりです。その3点です。よろしくお願いします。

香川税関調査室長 ありがとうございます。

 まず、1番と3番からお答えをさせていただきます。

 高度人材の件ですが、委員御指摘のとおりでございまして、特にデータサイエンスとか、AIなどの専門知識をお持ちの方の獲得は、官公庁のみならず、民間企業の皆様の中でも非常に大きな課題でございます。税関の業務は非常にデータが多く、輸出入申告データのみならず、X線などの画像、監視カメラなどのビデオのデータなどがございます。こちらを使って水際取締りの高度化に貢献したいという方もいらっしゃいますので、そういったことで御関心のある方になるべくアプローチをしていく。例えば大学ですとか、そういったところにアプローチをしていくということや、あとは、現在、官民連携で大学の先生にアドバイスをいただいたり、大学のほうに派遣をさせていただいたり、また、実証実験などは官民が一緒にやってございます。そういった形で周りの職員の育成にもつなげていくという方法もあるのかなと思ってございます。

 3番目でございます。こちらは本当に御指摘のとおりでございまして、課題がある中で、設備が必要であったり、時間がかかります。そこで、今回のやり方としては、先行実施というものをやっていきたいと思ってございます。例えば、どこかの税関においては土地があるということでしたら、先に税関検査センターを建てさせていただくなり、誰かの場所をお借りして、まず実施しながら、評価して、次の事例につなげていきながら全国の税関で進めていくということが必須かなと思ってございますので、そういった先行実施のやり方を使いながら進めていければと思います。

 2番のEコマースのプラットフォーム事業者の件は業務課長でしょうか。

古城分科会長代理 藤中課長、お願いいたします。

藤中業務課長 業務課長の藤中です。

 プラットフォーム事業者をはじめとした海外事業者との連携の在り方ですけれども、先ほどの私から説明を申し上げた資料でも少し触れさせていただきましたが、プラットフォーム事業者との意見交換の場というものを、これまでのコネクションとかも使いながら、セットアップしていまして、第1回を実は今週行うのですけれども、そこには国内外のプラットフォーム事業者、約10者に対してお声がけをしてございます。その中には、海外のプラットフォーマーで、日本に拠点がある事業者さんもいらっしゃれば、海外からオンライン参加の事業者の方もいらっしゃいます。そういった機会を通じて、日本当局のプラットフォーマーとの連携強化についての我々の考え方を伝えていきたいと思いますし、彼らの意見ですとか、彼らから見えている課題、これについても我々の理解を深めていきたいと思っております。今後も海外へ実際に出張したり、あるいは、国際会議で顔を合わせる場面、こうした機会を捉まえて、プラットフォーマーをはじめとする海外の事業者との連携も強化を進めていきたいと思っております。

 以上でございます。

古城分科会長代理 よろしいでしょうか。

野原委員 よく分かりました。

古城分科会長代理 それでは次に、下坂委員、どうぞ。

下坂委員 懇切な御説明をありがとうございました。

 私からは、物流の効率化という観点から一言御意見を申し上げたいと思います。物流の持続可能性確保に向けては、制度面の改善を通じた物流効率化が不可欠でございます。税関制度の運用面からも、ぜひ物流の効率化に資する取組を進めていただければと思います。本年3月に閣議決定をされました総合物流施策大綱では、物流の効率化に向けまして、一貫パレチゼーションを推進するとして、レンタルパレットの活用目標が掲げられております。この目標を実現するためにも、再輸入・輸出免税制度におけるレンタルパレットの取扱いについて、ぜひ見直しを御検討いただきたいと思います。具体的には、レンタルパレットである通い容器につきまして、個体ごとの管理ではなく、総量管理による運用を可能とすることを通達などで明確化していただければと思います。これにより、レンタルパレットの再輸入に係る関税負担が減り、レンタルパレットのさらなる普及を後押しし、ひいては物流の効率化に貢献することになると考えております。

古城分科会長代理 では、藤中課長、お願いします。

藤中業務課長 ありがとうございます。レンタルパレットの通い容器についての御意見、御要望というふうに承りました。詳細な運用の状況をこちらでも確認いたしまして、検討して、また、この事業者さんとも意見交換をしていければなと思います。現時点でイエス・ノーを言えなくて申し訳ございません。

 以上でございます。

下坂委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

古城分科会長代理 それでは次に、清水委員、お願いします。

清水委員 御説明ありがとうございます。

 私は、電子申告によるウォークスルーでの入国の実現について2点質問させていただきます。

 まず、入国手続きは外国人だけでなく、日本人も対象になると思います。私自身も電子申告ができたときに利用をさせていただいたのですが、海外から戻ってきてすぐに携帯で表示できず、長蛇の列になって、結果的に紙申告のほうが早く通るといった状況が数年間続いていたかと思います。「端末の大幅な拡充」でそれが解決できるのでしょうか。また、日本人の観光客の中には高齢者もかなりいらっしゃいます。こういった方々を全て電子申告にするのは若干難しいのではないかと思うのですが、その点についてどうお考えでしょうか。

 2点目は、密輸対策です。電子申告でウォークスルーにすること自体は利便性の向上につながる一方、昨今のように薬物や金などの密輸が増加する中、密輸者が虚偽の情報で電子申告をして、ウォークスルーをしてしまうという可能性は否定できないと思います。その点について、ウォークスルーでうまく対応できるのかどうかについてお聞かせください。よろしくお願いいたします。

古城分科会長代理 それでは、井田課長、お願いいたします。

井田監視課長 清水委員、御質問をいただきありがとうございます。監視課長、井田でございます。

 資料の3ページを御覧いただきたいと思います。今回、先ほど香川からも御説明をいたしましたけれども、3本の柱がございまして、1つ目は入国旅客の利便性向上、2つ目は検査の高度化・効率化、3つ目は職場の魅力向上でございまして、今、2つ御質問をいただいたかと思います。1つは、電子申告に対応できない方をどのようにサポートしていくかという話、もう1つは、ウォークスルーに偏ってしまったときに、密輸のリスクにどう対応していくのかということだったと思います。

 まず、2つ目のほうから御説明をさせていただきたいと思います。先ほど申し上げた3本の柱のうちの1つ目は利便性向上、2つ目は検査機器の活用による取締りの高度化・効率化ということで、迅速な入国と厳格な取締りということの両方を目指していくという方針でやってございます。ウォークスルーのほうは、先ほど申し上げたほうでございますが、取締り検査の高度化・効率化ということであれば、ここに書いてありますX線CTスキャン、AIを活用した画像解析、それから、監視カメラやリスク分析ということ。現在も既に着手しているものではございますけれども、先端技術を活用して、より稼働を大きくして、取締りを高度化していこうということを考えてございますので、当然、旅客の利便を考えながらも、取締りのほうもしっかりやっていくということを目指してやっているところでございます。

 1つ目の御質問の、高齢者であるとか、電子申告に対応できない方をどうするのかという議論。これは、我々も電子申告、完全電子化という議論をしているときに、当然ここは議題になりまして、どのように対応するものかと。もちろん、例えば今の入国というのは、スマホを使ってQRコードを出して、それで電子申告ゲートを通っていただくのですけれども、端的に申し上げると、例えばスマホを持っていない方もおられるでしょうし、高齢者などでは、こういったものになじんでいない方もたくさんおられるということは当然考えております。完全電子化と申し上げておりますけれども、当然、人間が受け付ける窓口も残すつもりでございます。そういった方々に対応できるような支援をするということ、これも同時に考えていきたいと思っております。

 以上でございます。

清水委員 ありがとうございました。

古城分科会長代理それでは次に、樋口委員、お願いいたします。

樋口委員 樋口です。よろしくお願いします。

 私からは2点なんですけれども、先ほどからの御質問とかぶるかもしれないですが、入国旅客の税関申告の完全電子化という点で、地方空港などで、人材もまだそれほど充実していないような空港の地方では、こういうことをやったときに、例えばトラブルなどがあったときに、これに完全に対処できるのかというあたりはどういうふうに考えておられるのかということです。

 それから、全ての航空小口貨物の徹底検査の箇所なんですが、先ほども御質問がありましたし、御回答もあったと思うんですが、いろいろ今問題になっている麻薬であるとか、金であるとか、フェイクの商品などについてもここで管理を徹底できるのかということを少し御質問させていただきたいと思います。もちろん、不特定のものに対しては徹底検査をするということがあるのですが、そこをスルーされる危険性はないのかというあたりはいかがでしょうか。

 以上です。よろしくお願いします。

井田監視課長 監視課長の井田でございます。

 今、2つ御質問をいただきまして、1つ目は入国旅客に関する質問、2つ目は航空小口貨物に関する御質問であったと思いますが、そういった理解でよろしいでしょうか。

樋口委員 そうです。

井田監視課長 それでは、私は、1つ目の入国旅客のほうの話について申し上げたいと思います。税関の体制として、例えば地方空港をどうするのかというお話であったかと思います。現状を申し上げますと、成田、羽田、関空、千歳、中部、福岡、それから、那覇、これらを7大空港と申し上げております。この7大空港で、今、全入国者の95%程度が日本に入ってきているという状況でございまして、ここで申し上げているウォークスルー等々というものも、まずは、この7大空港のほうをしっかり整備していこうというところで進めているところでございます。それと同時に、7大空港以外の地方空港も、入国者数が多い空港はございますので、そちらのほうも、多いほうから順に優先的に整備をしていくということを考えております。当然、電子化をすると、旅客の方々もそれに慣れていただく必要がありますし、それを扱う税関職員もそれに慣れていく必要があると。7大空港のほうは既に電子申告ゲートを導入して、時期がたっておりまして、この数を増やしていくという状況でございますので、職員の練度を上げていきたいと思っております。また、地方空港に関しましても、地方空港の職員を大空港に例えば呼んで、研修をしたりということを今やっておりまして、全ての空港に関する税関職員の練度を上げていくということは同時に行っていきたいと思っております。

樋口委員 はい、よく分かりました。どうぞよろしくお願いいたします。

井田監視課長 ありがとうございます。

古城分科会長代理 では、香川室長、お願いします。

香川税関調査室長 御質問ありがとうございます。

 私のほうからは、航空小口貨物の徹底検査についての御質問にお答えいたします。新しいやり方で、麻薬ですとか、知的財産侵害物品等の流入を止められるのかという御質問をいただきました。こちらについては、現在は膨大な貨物の中から一部を検査しています。それはリスクに応じて検査をしている状況なのですけれども、今後増えていく中では、これを全部X線で見ることができれば、今、樋口委員がおっしゃいました、不正薬物が中に入っているとか、そういったこともX線検査で把握していけると考えています。さらに、不正なものが入っているとか、ちょっと不純な見え方をしているとか、そういったところも今、AIを使って開発していますので、人間の目とAIを合わせる形で、今よりよい水際取締りを実施できると思ってございます。

 以上でございます。

樋口委員 ありがとうございました。

古城分科会長代理 それでは、末冨委員を最後にさせていただきたいと思います。それでは、末冨委員、どうぞ。

末冨委員 ありがとうございます。

 1点だけ。中長期構想のスライドで、画面だけで御説明いただいた資料の中に、事前教示などにおいてAIを活用して適切な対応をするというようなプランがあるということを御紹介いただきましたが、すばらしい計画ではないかなと思います。窓口ごとに対応が異なってしまったり、あるいは違う回答が窓口ごとに出るような状況があるとすると、輸入者においてもとまどいを覚えたりすることもあるかと思いますので、そういう意味では、AIを活用されることによって、全国の税関が同じような情報を基に判断をされるというような状況になるということは望ましいことだと思います。また、その情報の中には、例えば事前教示の場合には、関税分類、評価額、あるいは原産地についての事例があるかと思いますけれども、関税分類の場合などには、WCOの議論などもデータの中に入っていれば、ひいては法域ごとの不均衡なども是正するようなことができるのではないかと思います。そういう意味では、事前教示などにおいてAIを活用されるということは非常にいいアイデアであると考えます。これを、さらには、税関におかれて日頃行っていらっしゃるような非公式な相談や、非公式な協議などにも活用していただけると、税関のサービスの向上にもつながるのではないかと考えました。他方、AIが幾ら活用されたところで、残ってしまうような争点ですとか、あるいは、根本的な争いで、なかなか解決しないようなものが残る可能性は依然としてあるかと思います。そういう意味では、最初の御質問に戻りますが、高度な人材獲得という課題は、幾らAIを導入したところで、やはり残ることにはなるかと思いますので、そちらの課題への取組も引き続き併せて行っていただければと思います。

 以上でございます。

古城分科会長代理 香川室長、お願いします。

香川税関調査室長 末冨委員、御意見をどうもありがとうございました。

 おっしゃるとおり、外部照会関係にはAIは非常に親和性が高いと思ってございます。今、9税関で同じになるように一生懸命いろいろ丁寧に調べている結果、やはり時間がかかっているところが、非常に早くなるということは見込まれると思っています。また、我々は、AIがやるべきところと、職員がやるべきところを、きちんと実証実験等を通じて判断しながら、より効率的、効果的に職員を投入していくということができるようになると考えてございますので、進めていきたいと思います。どうもありがとうございました。

古城分科会長代理 それでは、オンラインで御参加の山口委員、どうぞ。

山口委員 ありがとうございます。連合の山口です。

 先ほど御説明いただいた中長期構想の中で、1点だけ発言をさせていただければと思います。お示しいただいたとおり、今後、訪日外国人旅行者のさらなる増加や、輸入貨物の急増で、税関に携わる方々の負荷が増すということを踏まえて、パワーポイントの資料の3ページに「持続可能な体制の構築」として、処遇改善や、職場環境の改善ということが掲げられておりましたので、ぜひ予算を獲得して、こうしたことに反映いただければなというふうに思います。

 私からは以上です。

古城分科会長代理 それでは、御意見として承っておくことでよろしいでしょうか。

山口委員 はい。

古城分科会長代理 貴重な御意見をどうもありがとうございました。

 それでは、質疑応答につきましては以上とさせていただきます。

 続きまして、寺岡関税局長から一言お願いいたします。

寺岡関税局長 本日も熱心な御議論をありがとうございました。

 昨年御審議いただきました少額輸入貨物対策、それから、AD関税の迂回対策につきましては、改正法が3月末に成立して、既に4月から施行されておりまして、改めて委員の皆様にはお礼を申し上げたいと思います。

 本日も少額輸入貨物問題につきまして御議論をいただきました。この問題については、恐らく、越境ECの利用から考えれば、どんどん増大する一方で、様々な問題も顕在化するなり、深刻化することは明らかなので、やはり議論をきちんと続けていきたいという思いがございます。本日紹介しました各国の取組も参考にしながら、昨年末の答申に沿って、簡易税率と関税の少額免税制度につきましては、まさに課税制度全体を俯瞰しながら、しっかりと検討を進めていきたいと思ってございます。

 税関中長期構想2030につきましては、まさに我々の構想でございますので、委員の方々の様々な実践的な意見も賜りたいと思ってございますし、実施をしていく際には、例えば、御指摘もいただいたように、部分的には利便性が下がるとか、かえって時間がかかるとか、相当いろいろな課題が生じるものだというふうに予想してございます。恐らく2つありまして、1つはやはり、明確なメッセージを今回は打ち出す必要があったのではないかということで、かなり大胆にということができるのかどうかはよく分かりませんけども、空港の税関の現場は完全に電子化をすると。それから、御議論をいただいてきました小口貨物につきましては全量検査をすると。それから、最後の点でも、これまでは技術を使っていますという御紹介であったと思うんですが、そうではなくて、そのやり方も抜本的に変えて、主要の業務はデジタル、AIが行い、それを職員が判断するということで、そこもむしろ、機械と人の関係で言えば、人が主になるような機械の使い方を全面的にしていくのだというメッセージにしたいというふうに御理解いただければと思ってございます。それは2つあると思っていまして、1つは世の中全体に対するメッセージとして、税関は変わっていくということであり、我々内部の職員についても、税関は変わっていく、進化する職場なのであるということが、やはり魅力的な職場、特に若い方々にとって相当大きなメッセージになるということを目指しているものでございます。そして、先ほど申し上げたように、部分的には様々な課題が生じると思っているのですが、我々が直面している課題は、そうした部分的な課題よりもはるかに大きいのかなと考えてございまして、今後の物流や人流の増大の中で、迅速な通関、御指摘にありました経済の円滑な発展、日本経済をきちんと発展させていくということと、社会の安全・安心をその中で守っていくということを続けることは相当大きな課題に今後はなると思いますし、そういう意味で思い切った施策と申し上げましたが、先々を見据えたプロアクティブな対応のようであって、内情は、必要に迫られて、ここまで構想として打ち出すしかないのではないかなと、そういう思いの中でやってございます。引き続き御議論を賜りたいと思いますし、ぜひこの構想についても具体的な御意見を賜りたいと思います。どうもありがとうございました。

古城分科会長代理 どうもありがとうございました。

 最後に、事務局より連絡事項がございますので、三浦関税課長より説明をお願いいたします。

三浦関税課長 本分科会における議事録の取扱いにつきましてであります。議事規則によりまして、原則公開とされております。本日御発言いただいた委員の皆様方に御発言部分を事務局から御送付申し上げまして、1週間程度の間で御意見が特になければ、恐れ入りますが、御了解いただいたものとさせていただきたいと存じます。

 また、この分科会の終了後にこの会場におきまして特殊関税部会を開催させていただきますので、恐れ入りますが、特殊関税部会の委員の先生方におかれましてはそのままお待ちいただければと存じます。

古城分科会長代理 ありがとうございます。

 それでは、以上をもちまして本日の関税分科会を終了いたしたいと存じます。

 次回の関税分科会の開催につきましては、事務局と調整の上、別途御連絡を差し上げます。

 本日は御多用のところ御出席賜りまして、誠にありがとうございました。

木村(福)分科会長 ありがとうございました。

 では、以上をもちまして、本日の議事を終了いたします。

午後2時45分閉会