- 開会
- 令和8年度における関税率及び関税制度の改正等
- 閉会
| 出席者 | |||
| 関税分科会長 | 木村 福成 | 財務省 | 寺岡関税局長 |
| 委員 | 阿部 克則 | 廣光審議官 | |
| 植田 健一 | 中澤審議官 | ||
| 木村 旬 | 大関総務課長 | ||
| 古城 佳子 | 三浦関税課長 | ||
| 下坂 朝子 | 高橋参事官 | ||
| 高橋 裕子 | 井田監視課長 | ||
| 樽井 功 | 坂本事務管理室長 | ||
| 手塚 広一郎 | 近田特殊関税調査室長 | ||
| 山口 博臣 | 中尾原産地規則室長 | ||
| 臨時委員 | 大橋 弘 | 平田経済連携室長 | |
| 清水 順子 | 金山知的財産調査室長 | ||
| 専門委員 | 石黒 憲彦 | 経済産業省 | 谷査恵子通商政策局国際経済部通商交渉調整官 |
| 河野 真理子 | 農林水産省 | 近藤信輸出・国際局国際経済課長 | |
| 佐藤 英明 | |||
| 末冨 純子 | |||
| 松島 浩道 | |||
| 午後5時00分開会 |
委員の皆様方には、御多用のところ御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。
令和8年度における関税率及び関税制度の改正につきまして、答申案の審議を行いたいと思います。
本年10月以降本日も含め4回にわたり本分科会を開催いたしまして、委員の皆様に御審議をいただいてきたところであり、御審議いただいた内容を取りまとめたものが本日事務局より御説明いたします答申案でございます。
それでは、事務局より説明を受けたいと思います。その後、答申案について御意見等を頂ければと思います。よろしくお願いします。
○三浦関税課長 お願いいたします。資料は1と2がございまして、1のほうが対外的な説明に使用させていただこうと思っているもので、本日は資料2のほうをおめくりいただいたものから御覧願おうと存じます。
1ページ目が、Ⅰ.諸情勢ということで、段落が5つぐらいあります。冒頭の段落で、我が国の多角的自由貿易体制における役割の重要性を記した上で、2つ目の段落で、通商政策、安全保障の環境の変化や、一部の非市場的政策に基づく過剰生産能力によるひずみとリスク等大きな変化も踏まえて、関税政策・税関行政の不断の見直しを図り的確に遂行する必要があるということを記載しております。
3段落目におきましては、ワーキンググループで御議論も賜りました越境ECの拡大を背景とした輸入許可件数の急増や、外国人入国者数の急回復等によりまして、迅速な通関に対するニーズが高まる中、薬物や金、知財侵害物品などの流入・密輸リスクの増大も見られるというところでございます。
これらに対処するため、国際物流において、インフラとしての役割を果たされている通関業者及び保税業者の適正な業務運営を確保し、経済制裁の実効性確保や不正輸出等の防止及び水際取締り能力の強化に取り組むことが重要であるとしてございます。
そのため、職員の人的資本のさらなる向上を基礎に、機器の適正な配備や体制の整備、充実に加えまして、貿易関係者等への情報提供や、WCOや国内外の関係機関、事業者等との連携、税関手続の一層のデジタル化などの政策に取り組む必要がございます。スマート税関アクションプランをアップグレードさせ、推進し、より質の高い業務運営を目指すことが重要としてございます。
最後の段落で、急速に変化するこうした情勢に即した適切な関税率の設定・関税制度の整備等を通じまして、税関に対する社会的要請である安全・安心、適正・公平な課税、貿易の円滑化の着実な遂行を図る観点から、次のページからの内容の改正を行うことが適当であるとしてございます。
おめくりくださいますと、2ページ目からⅡ.令和8年度関税改正についての考え方といたしまして、まず、1.が暫定税率等の適用期限の延長等についてでございます。
(1)で、暫定税率は、政策上の必要性等から、適用期限を定めて基本税率を暫定的に修正する税率である。大半は農水産品が対象で、低い暫定税率を関税割当制度と組み合わせて設定することで、国民経済の健全な発展に資するものとされております。暫定税率の必要性と水準については常に見直しを行い、期限の延長に際しては、国内の生産者、消費者ともに及ぼす影響、国際交渉との関係、産業政策上の必要性等を考慮する必要がございます。
この考え方に沿って、今年度末である令和8年3月末に適用期限が到来する412品目について、これを22の品目群に分けて精査、検討を行った結果を御覧いただきました。その結果としまして、箇条書き1点目の石化製品製造用のナフサ、灯油、軽油の8品目については、今後中長期的に関税率の見直しを行う必要が認められないため、暫定税率の適用期限を延長せず、基本税率に移行する一方で、その他404品目については暫定税率の必要性と合理性が認められたことから、適用期限を来年度末の令和9年3月末まで延長することが適当であるとしてございます。
なおといたしまして、適用期限については、機動的対応のため1年間としておりますものの、長期間同水準で継続されているような場合には暫定税率を廃止し、同水準の基本税率を設定するなどの不断の見直しを図っていくとともに、延長する場合には適用期限の妥当性を説明する必要があるとしてございます。
(2)の特別緊急関税制度である特別セーフガードにつきましても、国際交渉の状況等を踏まえ、今年度末に到来する適用期限を来年度末まで延長することが適当としてございます。
(3)が加糖調製品の5品目につきましてでございます。CPTPPで関税割当の枠内税率を段階的に引き下げる措置がされております。
3ページに移りまして、その枠外の輸入及びCPTPP以外の国から輸入された加糖調製品につきましては、WTO税率を下回る暫定税率を設定しており、これらの税率の差分は調整金として調整されており、当該調整金が国内産糖への支援に充てられております。
10行目あたり、箇条書きの1点目に、今後加糖調製品の輸入が増え、国内産糖への影響が生じ得ることや、2点目の消費者の利益を勘案し、調整金の拡大が可能となるように、8年度のCPTPP税率等を踏まえまして、暫定税率の引下げを行うことが適当としてございます。
最後の、「他方」から始まる段落で、今後農水省に対しまして、価格及び需給の動向や、国内産糖に係る競争力強化の取組、暫定税率の引下げによる政策効果について、消費者の視点も踏まえて検証・報告を求めつつ、食料の安定的な供給等における砂糖及び加糖調製品の位置づけを踏まえた関連制度の今後の在り方、具体的取組の進捗等もお求めをしていくことが適当としてございます。
続く(4)は、石化製品用ナフサ、灯油、軽油でございます。国産品だけでは国内需要を約4割しか賄えず、不足分を輸入する現在の構造が今後も継続すると見込まれまして、内外価格差は生じていないという中において、箇条書きの1点目で、揮発油等を精製する川上の石油精製企業保護の必要性が薄れる一方で、川下の石油化学企業の原料の安価な調達を支援し、国内産業を保護すること、また2点目で、消費者等の利益を確保するという必要性を踏まえまして、関税率を無税とする必要性が中長期的に継続すると見込まれるため、暫定税率を廃止しまして、基本税率による無税の水準の維持が適当としてございます。
4ページ目に移っていただきますと、(5)が航空機部分品についてでございます。国産困難なものは輸入に依存しているため、免税輸入を通じてコスト軽減に資するべく、本年度末に適用期限が到来する航空機部分品等免税制度について、その適用期限を11年3月末まで3年間延長することが適当であるとしてございます。
続きまして、(6)の繊維・革産業につきまして、国産の材料を一旦輸出して海外で加工した後、再び輸入することに関して、国産材料の利用促進と生産コストの削減を図るため、今年度末に適用期限が到来する加工再輸入減税制度について、適用期限を11年3月末まで3年間延長することが適当としてございます。
2.が急増する少額輸入貨物への対応として、ワーキンググループで詳細に御議論を賜りました。改めまして、急増する少額輸入貨物の令和6年度の輸入許可件数につきましては約1億9,000万件と、コロナ禍前の約4.1倍と大幅に増加をしております。
また、中国・韓国を原産地とする少額輸入貨物が大きく増加をしておりまして、特に課税価格の合計額が1万円以下の少額輸入貨物の全輸入許可件数に占める割合が約9割を占め、その増加が顕著となっております。
下から10行目あたりで、越境ECの健全な発展を阻害しない形で輸入貨物の急増に対応し、安全・安心、適正・公平な課税、貿易円滑化を実現すべく、箇条書き1点目で、国際物流において必要不可欠なインフラである通関業者及び保税業者の適正な業務運営を確保することや、国外事業者、国内事業者との間で競争上の不均衡を是正することが適当としてございます。
次の5ページの(1)からが保税業者関係でございます。4行目から御覧いただきますと、保税業者は、保税地域において、税関の輸入許可前の外国貨物を適正に管理する役割を担っておられます。
8行目あたりで、高い意識を持ってコンプライアンス体制整備を図る保税業者もおられる一方で、新規参入も続くという中において、特に通販貨物を扱う保税業者において、不適正な貨物管理が疑われる事案が散見されております。
税関の保税業者に対する監督をより実効性のあるきめ細やかなものとするために、①を御覧くださいますと、保税業者が適正な貨物管理を行うための体制等を規定した規則を定めることの法定化及び保税業者に対する業務改善命令の新設、②で、保税地域から貨物を搬出する際の確認義務の創設が適当であるとしてございます。
6ページ目を御覧くださいますと、(2)が課税価格決定の特例についてでございます。改めましてですが、本特例は、個人使用貨物に限り課税価格を海外小売価格に0.6を掛けた価格とする特例でありまして、当時珍しかった海外旅行の土産物等を念頭に昭和55年に法制化されたもので、国籍等を問わず適用可能なものでございます。
4つ目の段落で、昭和55年当時から入国者数も10倍になるなど海外旅行が一般化したことでありますとか、インターネットの普及によって環境が大きく変化したということで、本特例の立法趣旨の前提が消失・変容しているという状況がございます。
またさらに、箇条書き2つ目で、国外事業者と国内事業者の間の競争上の不均衡が顕在化していることや、本特例を利用した国内での再販売等が目的と見受けられる事例も発生していることなどの課題を踏まえまして、時代に即した見直しとして、本特例を廃止することが適当であるとしてございます。
3.の不当廉売関税に係る迂回防止につきまして、これもワーキンググループで詳細に御議論いただきましたが、改めまして4行目のところから、不当廉売関税の迂回の問題としまして、不当廉売関税の課税を免れるために、貨物の供給国や品目を変えることによって課税対象から形式的に外れるようにしつつ、実質的には同等の商業行為が行われるということで、不当廉売関税措置の効果が減じられているという疑いがございます。
おめくりをいただきまして、7ページで、こうした迂回に対する迅速な救済及び抑止ということを可能とし、そして、不当廉売関税の実効性を高めつつ、WTO協定の目的等に沿った形で制度設計が適当と御議論をいただきました。
具体的には、このワーキンググループの取りまとめに基づきまして、箇条書きの1点目でありますけれども、対象となる迂回行為を第三国迂回等の3類型としつつ、迂回防止調査は利害関係者の意見の表明の機会等を確保しつつ、課税対象としない合理的な経済活動を行う者についての調査も含めまして、原則10か月以内で調査を実施し、迂回の事実及び損害等の事実が認められる場合、迂回された輸入貨物に対しても、原措置と同等の割増関税を課することなどを骨子とすることとしてございます。
4つ目は、犯則調査・処分に関する手続のデジタル化でございます。本年の5月に公布された刑事訴訟法の改正法を踏まえまして、税関におきましても、刑事手続と同様に犯則調査・処分に係る手続の円滑化・迅速化を図るとともに、関与する国民の負担軽減を図る必要があるということから、(1)の、電磁的記録提供命令の創設、おめくりくださいますと、(2)で捜索・差押え許可状等の請求等及び告発の電子化、(3)で差押目録等・調書の電子化のための規定を設けることが適当としてございます。
おめくりくださいまして、9ページが引き続き検討すべき事項ということで、Ⅲでございます。
ワーキンググループの中間取りまとめで御指摘をくださいましたように、少額輸入貨物に関連する課税制度全体の見直しというのが通関業者や税関の負担を減らすことにつながり、貿易の円滑化と適正・公平な課税の両立を実現する観点から、極めて重要であるとしてございます。
通関実務への影響は相互に関連することから、残る検討課題である関税の少額免税制度や少額輸入貨物に係る簡易税率につきまして、課税制度全体を俯瞰した検討を行うことが適当としてございます。
まず、少額輸入貨物に係る簡易税率につきましては、箇条書きの1つ目で、現行の水準を定めた平成14年度改正以降、多くのEPA等が発効して、簡易税率よりもEPA税率の税率水準のほうが低くなったことや、適用除外品目の割合が多くなっていることを背景として、利用率が低い状況にあるということから、本制度の目的である貿易円滑化の機能を回復すべく、税率水準や適用除外品目の見直しを検討することが適当としてございます。
続きまして、関税の少額免税制度につきましては、まずは簡易税率の見直し等の納税事務全体の見直しを行いつつ、諸外国の動向や国内の消費税の少額免税制度の見直し後の納税事務の状況を見定めながら、本制度に係る検討を継続することが適当としてございます。
説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○木村(福)分科会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局より御説明のありました答申案につきまして、御意見等を頂ければと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、この答申案を採択するということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
それでは、令和8年度における関税率及び関税制度の改正につきましては、これで採択されたということにさせていただきます。
本分科会として答申どおり決定することとし、これをもって関税・外国為替等審議会としての答申といたしたいと思います。
それでは、寺岡関税局長から一言お願いいたします。
○寺岡局長 関税局長の寺岡でございます。
委員の皆様方には、日頃より私どもの関税行政及び税関行政について御指導、御協力を賜っておりまして、感謝申し上げたいと思います。
今回の関税分科会では、迂回防止ワーキンググループが計2回、少額輸入貨物ワーキンググループが計4回、分科会は本日も含めて計4回、精力的に御議論いただき、本日取りまとめをいただくことができました。委員の皆様方には、集中的な御検討を頂きまして、改めて感謝を申し上げたいと思ってございます。
世界的な通商政策を含めた国際情勢といいますか、それから、国内の経済社会も大変大きく変動する中で、関税局、税関も、これまでにない様々な課題を抱えており、こうした点について、今回多角的な視点から御議論いただいたものと思ってございます。
私どもの行政は、経済を円滑にしていくために迅速な通関をしていくということと、もう一つは、安全・安心な社会を守るために、厳格な水際管理をしていくということ、それから、適正・公平な関税の徴収を行うこと、さらには、関税率の議論で言えば、国内産業、消費者の利益も配慮しながら、適切に守っていくということだと思ってございまして、そうしたバランスを取りながら行政を運営していくことの課題はますます難しいものになっていくのかなと思う中で、今回も様々な視点から十分に御議論いただいて、大変重要な政策につながる御提言を頂いたと考えてございます。どうもありがとうございました。
まさに迂回防止の問題、それから、少額貨物の問題も含めて、今後これで解決したというわけではなく、残された課題も御指摘を頂いていますように、議論を深めていかなければならないのかなと思ってございますので、ぜひとも引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
○木村(福)分科会長 ありがとうございました。
なお、答申の提出のタイミングにつきましてですが、私に御一任いただき、事務局と調整の上、財務大臣に提出させていただくこととさせていただきたいと思います。
これにて本年の関税分科会における令和8年度関税改正等の議論が一通り終了したこととなります。これまで御審議いただきました委員の皆様の御支援、御協力に感謝いたしますとともに、重ねて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
会議を終了するに当たりまして、事務局より連絡事項がございますのでお願いいたします。
○三浦関税課長 事務局です。
本日席上配付いたしました資料につきましては、答申の最終的な提出・公表がまだということでございますので、会議後回収させていただきたいと存じます。御退席いただく際には、席上に残していただけますようにお願いを申し上げます。
答申の提出・公表のタイミングにつきまして、後日事務局から委員の皆様方にお知らせをさせていただきたいと存じます。
以上です。
○木村(福)分科会長 ありがとうございました。
では、以上をもちまして、本日の議事を終了いたします。
| 午後5時20分閉会 |

