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関税・外国為替等審議会 関税分科会(令和7年5月14日開催)議事録

  1. 開会
  2. 関税分科会長の選任
  3. 関税分科会長代理の指名
  4. 部会に属すべき委員の指名、企画部会長及び特殊関税部会長の指名
  5. 最近の関税政策と税関行政を巡る状況
  6. 少額貨物の輸入状況等について、不当廉売関税にかかる迂回防止について
  7. 閉会

出席者
委員 阿部 克則 財務省 高村関税局長
植田 健一 内野審議官
内山 智裕 中澤審議官
江藤 名保子 吉田総務課長
片山 銘人 大関関税課長
木村 旬 仲監視課長
木村 福成 藤中業務課長
国松 麻季 酒井調査課長
古城 佳子 坂本事務管理室長
杉山 晶子 藤岡特殊関税調査室長
高橋 裕子 平田原産地規則室長
田邊 國昭 近田税関調査室長
樽井 功 香川経済連携室長
手塚 広一郎 金山知的財産調査室長
樋口 容子
安永 竜夫
下坂 朝子
専門委員 河野 真理子
佐藤 英明
末冨 純子
松島 浩道
若江 雅子

 

午後3時28分開会

大関関税課長 それでは、定刻より少し早いですが、皆様おそろいになられましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 関税分科会の事務局を担当しております関税局関税課長の大関でございます。分科会長の選任までの間、議事進行を務めさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会の委員名簿は資料1のとおりとなっております。また、本日の議題は議事日程のとおりでございます。

 それでは、まず分科会長の選任をお願いしたいと存じます。分科会長につきましては、関税・外国為替等審議会の規則等について定めた政令の規定によりまして、互選により選任することとされております。早速ではございますが、どなたか分科会長を御推薦いただけますでしょうか。

 高橋委員、お願いいたします。

高橋委員 私は、木村福成委員を推薦したいと思います。木村委員は、国際経済学の分野で大変多くの実績を上げられています。また、日本国際経済学会会長も務められ、政府の研究会などで座長も経験されております。また、令和3年3月からは関税分科会委員として関税率及び関税制度の改正に関する答申の取りまとめに御尽力なさっています。その幅広い知識と御経験から関税分科会長は木村委員がふさわしいと存じます。

大関関税課長 ただいま高橋委員より木村福成委員を推薦する御提案がございましたが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

大関関税課長 ありがとうございます。皆様方の御賛同を得ましたので、分科会長は木村福成委員にお願いしたいと存じます。木村分科会長におかれましては、恐縮ですが、こちらの会長席にお移り願います。

(木村(福)分科会長着席)

大関関税課長 それでは、以後の議事進行を木村分科会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

木村(福)分科会長 木村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 分科会長を務めさせていただくことになりました。委員の皆様方の御協力をいただきまして、円滑な分科会の運営に努めてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 早速でございますが、分科会長代理、部会に属すべき委員及び部会長の指名につきまして、大関関税課長より説明をお願いいたします。

大関関税課長 それでは、私から、分科会長代理、部会に属すべき委員及び部会長の指名につきまして御説明いたします。

 まず、分科会長代理につきましては、政令の規定によりまして、分科会長が指名することとされております。また、本分科会には、政令の規定に沿って分科会の決定に基づき、企画部会と特殊関税部会が設けられております。部会に属すべき委員及び部会長につきましても、政令の規定によりまして、分科会長が指名することとされております。

 分科会長代理、企画部会、特殊関税部会に属すべき委員、企画部会長及び特殊関税部会長につきまして、木村分科会長より指名をお願いしたいと存じます。

木村(福)分科会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局から名簿案を配付させていただきます。オンラインで御参加の委員の皆様へは事務局から画面を共有させていただきます。よろしくお願いします。

(名簿案配付)

木村(福)分科会長 よろしいでしょうか。

 ただいま配付させていただきました名簿案のとおり、各部会に所属すべき委員を指名させていただくとともに、分科会長代理及び企画部会長を田邊國昭委員、特殊関税部会長を阿部克則委員、それぞれの委員にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、今後の審議の参考として、「最近の関税政策と税関行政を巡る状況」について、吉田総務課長より説明を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。

吉田総務課長 総務課長の吉田でございます。よろしくお願いいたします。

 私からは、「最近の関税政策と税関行政を巡る状況」につきまして御説明を申し上げます。お手元の資料3を御覧いただければと存じます。

 まず、令和7年度関税改正の概要について御説明をいたします。3ページと4ページを御覧ください。関税定率法等の一部を改正する法律は、昨年12月にいただきました関税改正の答申を踏まえ、政府において法律化したものでございます。

 1つ目が暫定税率等の適用期限の延長等です。暫定税率(411品目)及び特別緊急関税制度の適用期限を1年延長するとともに、加糖調製品(5品目)の暫定税率を引き下げました。また、給食用脱脂粉乳の対象に、児童福祉法上に新設されました乳児等通園支援事業において提供されるものを追加し、暫定無税を適用いたしました。沖縄における選択課税制度については、令和8年度末まで延長いたしました。最後に、特別特恵関税については、適用対象外となるまでの期間をLDC卒業後1年以内から3年以内に延長いたしました。

 続きまして、2つ目が個別品目の関税率の見直しでございます。鉱工業品4品目につきまして、LiBOBは暫定税率を無税、1,6-ヘキサンジオール等については基本税率を無税といたしました。

 3つ目が納税環境の整備といたしまして、内国税の改正に合わせ、一部重加算税の加重措置の適用対象を見直しております。

 これらは、一部を除き、本年4月より施行しております。

 5ページを御覧ください。ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、ロシアへの関税の最恵国待遇を撤回しておりますが、ウクライナ侵略が継続中であること等を踏まえ、令和8年3月末まで期間を延長することといたしました。

 6ページと7ページを御覧ください。令和7年度関税改正法案の審議におきまして、暫定税率の必要性や減収規模等について質疑が行われ、衆参両院で附帯決議をいただきました。こうした指摘も踏まえつつ、本年秋以降の分科会におきましては、令和8年度関税改正に向けて御議論いただけるよう、物資所管省庁と協力し、しっかりと資料をお示ししてまいりたいと考えております。

 続いて、最近の税関行政・関税制度について御説明いたします。

 9ページを御覧ください。こちらは長期の貿易額の推移となっております。近年は、コロナ禍による減少から回復し、輸出入ともに増加しております。貿易赤字は、2024年は5兆4,712億円となっており、2年連続で減少しています。

 10ページを御覧ください。日米中の輸出入相手国を示しております。まず、日本は中国、米国、EUが主な輸出入相手国であり、米国はEU、メキシコ、中国、カナダとの輸出入が約6割を占めております。また、中国の輸出相手国の1位は米国、次いでEUとなっております。

 次に、11ページを御覧ください。日本の品目別輸出入動向です。米国との関係では、輸出品目は自動車、自動車の部分品、原動機といった工業品が中心です。

 12ページを御覧ください。越境電子商取引の拡大に伴い輸入許可件数が大幅に増加しています。2024年には航空貨物の輸入許可件数が2019年比約4.2倍、海上貨物についても2019年比約3.1倍と増加しています。また、入国者数についても、円安等の影響による訪日外国人旅行者数の増加等により、2024年は前年比約1.5倍と増加しております。こうした中、2023年度の税関における収入額は、関税は青色部分の約0.9兆円、消費税及び地方消費税は白色部分の約10.8兆円、全体で約13.1兆円となっております。

 13ページを御覧ください。2024年の訪日外国人旅行者数はコロナ禍前の2019年比で約116%となっており、今後も増加が見込まれます。これに対応するため、税関検査場電子申告ゲート、いわゆるEゲートを7大空港に、QRコード読取端末を全ての税関空港に配備しております。また、先月から税関手続と入管手続を1台で同時に行うことができる共同キオスクを一部空港で本格運用しており、今後、主要空港への配備拡大を検討して参ります。

 14ページを御覧ください。こちらは消費税法の関係でございますが、税関業務に関する大きな流れとして御紹介をいたします。令和7年度の税制改正大綱において、外国人旅行者向けの免税制度については、購入品の国内での横流し等の不正に対応するため、購入時点ではなく、出国時に税関において持ち出しが確認された場合に免税販売が成立するリファンド方式に見直されることとなりました。これを受けた法令改正に伴い、新制度は令和8年11月1日から開始されることとなっております。リファンド方式のイメージ図のうち、税関は右側のほうですが、③旅券確認、④検査、⑤税関確認情報の提供を担当するため、空港等の混雑防止等の観点も踏まえ、空海港関係事業者との調整やオペレーションの検討を行っております。

 15ページを御覧ください。令和6年における不正薬物の押収量は初めて2年連続で2トンを超えました。特に大麻については、摘発件数が過去最高を記録し、押収量も大幅に増加しております。

 次に、16ページを御覧ください。金密輸入の摘発は、平成30年4月の罰則強化を含む取組等により大幅に減少したものの、訪日外国人旅行者数の急増や金価格の高騰等を受け再び増加傾向にあることから、水際取締りを一層強化しているところでございます。

 17ページを御覧ください。令和6年の知的財産侵害物品の輸入差止件数は3万3,000件を超え、過去最多を更新いたしました。また、令和4年10月に改正関税法等が施行され、海外の事業者が郵送等により国内に持ち込む模倣品は、個人使用目的でも税関の水際取締りの対象となりました。以降、輸入差止件数は増加した一方で、輸入者が争う旨の申出を行った件数は大きく減少しており、制度改正の効果が見られます。

 18ページを御覧ください。大阪・関西万博のテロ対策として、昨年4月の第6回大阪・関西万博テロ対策等分科会において、2025年日本国際博覧会におけるセキュリティ・安全安心の確保に向けた取組要綱が策定され、会場やその周辺地域等における警戒警備の徹底などを行うこととなりました。税関においては、長期にわたる開催期間を通じ、全国的にテロ対策を強化すべく、集中的な人員投入や輸入貨物等の検査強化、巡回強化などの取組を実施しています。

 19ページを御覧ください。経済安全保障上の脅威に対応するため、関税局・税関においても、政府全体の方針を踏まえ、輸出管理の厳格化に努める必要がございます。具体的には、軍事転用のおそれのある製品や技術等の流出につながる不正輸出の防止の観点から、情報の収集・分析、いわゆるインテリジェンス能力の強化及び適正通関の確保、体制強化、民間事業者との連携や、規制対象物品の輸出実績の把握等の取組を進めております。

 20ページを御覧ください。不当廉売関税制度とは、不当廉売された輸入貨物に対し、同種の貨物を生産する本邦の産業を保護するため、割増関税を賦課する、WTO協定で認められた制度でございます。下の表のとおり、近年、不当廉売関税の発動は増加傾向にあります。

 続いて、21ページを御覧ください。令和7年度の税関の定員及び予算については、増員及び増額が認められたところでございます。

 22ページを御覧ください。関税局では、2020年6月に税関行政の中長期ビジョン「スマート税関構想2020」を公表いたしました。また、その後の税関を取り巻く環境の変化やニーズに対応し、スマート税関を構想にとどめず実現するため、2022年11月には「スマート税関の実現に向けたアクションプラン2022」を策定いたしました。各施策については、工程表を定期的に更新しつつ進捗管理を行っており、本年6月にも更新したものを公表する予定です。

 続いて、国際関係です。

 24ページを御覧ください。日本は現在21のEPA等を署名または発効済みです。直近では、CPTPP、日EUやRCEPといった、いわゆるメガEPAが相次いで締結され、EPAのネットワークは拡大しております。2022年1月のRCEP協定発効後は、EPA等が発効済みの国との貿易額が日本の総貿易額の約8割を占めております。

 25ページを御覧ください。主な動きのあるEPAを掲載しています。バングラデシュとは、昨年5月に交渉を開始し、5回の交渉会合を実施。トルコとは、2014年に交渉を開始し、17回の交渉会合を実施。UAEとは、昨年9月に交渉開始を決定・公表し、本年2月に第2回交渉会合を実施しました。また、GCCとは、長期間にわたり交渉が中断していたため、昨年新たに交渉をし直すことで合意し、12月に第1回交渉会合を実施いたしました。一般見直しを予定しているインドネシアについては、昨年8月に改正議定書に署名し、現在、両国において発効に向けた国内手続を進めております。

 26ページを御覧ください。EPA適用額は年々増加し、2024年は14兆円を超えました。EPA別では2022年1月に発効したRCEPが全体の35.5%を占め、最も大きくなっております。

 27ページを御覧ください。RCEP発効後、EPA利用のさらなる拡大が見込まれる一方で、メリットの不透明さや専門家の不足等の理由から、特に輸出において国内企業が積極的なEPA利用に踏み切れない実態があると指摘されています。国内企業のEPA利用を推進するに当たっての課題と対応策を検討する目的で、昨年6月に有識者勉強会を立ち上げ、当該勉強会は本年1月に報告書を公表いたしました。報告書の提言を受け、日本通関業連合会がEPA関税認定アドバイザー制度の創設に向け準備を進めており、関税局・税関としても可能な限り支援してまいります。

 28ページを御覧ください。米国のトランプ政権による関税措置の概要をまとめております。品目別では、通商拡大法232条を根拠に、安全保障上の理由から、3月12日より鉄鋼とアルミニウムに、4月3日より自動車に、5月3日より自動車部品に25%の追加関税が課されています。また、相互関税については、4月5日より、一部の国を除くほぼ全ての国について、国際緊急経済権限法に基づき、大多数の品目に対して10%の追加関税が賦課されております。既に追加関税の対象となっている鉄鋼、アルミニウム、自動車、自動車部品や、現在、追加関税の賦課に向けて調査中の品目等は対象外となっています。

 なお、日本を含め、米国側の貿易赤字が大きい国に対して、先ほど述べた10%のベースライン関税にさらに上乗せした個別の追加関税が発表されていましたが、こちらは、中国を除き、4月10日から90日間適用が停止されることとなりました。

 中国に対しては、フェンタニルの流入等を防ぐためとして、2月4日から10%の追加関税、3月4日からはさらに10%引き上げられ、20%の追加関税が課されています。その後、中国に対する相互関税は最終的に125%に引き上げられましたが、先般の米中経済貿易協議の結果、共同声明が発出され、5月14日、互いに追加関税率を115%引き下げることとなりました。また、5月2日より、800ドル以下の少額貨物の輸入に対するデミニミスルールの適用が停止されています。

 カナダ及びメキシコに対しても、フェンタニルの流入等を防ぐためとして、3月4日より原則25%の追加関税が課されましたが、USMCAの対象品目は追加関税の対象外となっています。

 さらに、銅や木材等に対しても、通商拡大法232条に基づく調査が実施されています。

 29ページを御覧ください。こちらは米国の貿易赤字の推移です。2010年代頃までは日本が上位3か国に入っていましたが、近年は中国、メキシコ、ベトナムの順に米国の赤字額が大きい状況となっています。

 私からの説明は以上となります。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございます。

 ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等いただきたいと存じます。いかがでしょうか。

 植田委員、お願いします。

植田委員 いつも非常に詳細な御説明をどうもありがとうございます。大変参考になります。

 単なるコメントで、私の勉強不足で、本当は自分で作ればいいのかもしれませんけれども。資料のところで、10ページ、11ページの輸出入の相手国とか品目別輸出入動向、非常に分かりやすい図で、ぱっと見て分かりやすく助かるのですけれども、特に品目別の対米国、対世界とかに関しても、最近言われているのは、デジタルサービス収支がかなり赤いだとか、もしくはインバウンドで旅行収支が多分黒くなっていると思うんですけれども、そういったサービスの品目も入れていただければ大変分かりやすいかなと思って、お願いです。財だけに注目するのであれば話は別ですけれども、財・サービスと合わせて書くのであれば、その辺の注意書きも入れていただけると助かります。多分サービスも入っていますか。国際収支統計上は財・サービスを合わせてのトレード・バランスだと思いますので、サービスも入れた数字があればと思います。その辺が気になっているところです。もちろん自分で調べればいいのですけれども、もしできましたらという要望です。よろしくお願いいたします。

吉田総務課長 御指摘、ありがとうございます。

 あくまでもこちらは貿易統計で整理をさせていただきました。御指摘の点は国際収支の方になってくると思いますので、所管としては国際局になってまいります。御指摘も踏まえて、また検討してまいりたいと存じます。

木村(福)分科会長 ありがとうございます。

 それでは、木村委員、お願いします。

木村(旬)委員 御説明、ありがとうございました。

 私からコメントになるのかもしれませんけれども、アメリカの関税措置に関して申し上げたいと思っています。今回のアメリカの関税措置はWTOルールに抵触するおそれも高いですし、相互関税の税率も根拠が不明で、政府として見直しを申し入れたということは至極妥当なことだと思っております。

 当面はこの政府の交渉を見守っていくことになりますけれども、留意すべきは、今回のアメリカの関税措置が一時的な影響にとどまらずに、今年たまたま戦後80年ですけど、国際社会が戦後80年間築き上げてきた国際経済秩序と自由貿易体制を根底から覆すおそれがあるということです。アメリカと中国が関税引下げで昨日おととい合意しましたけど、世界首位と2位の経済大国が関税をいきなり100%以上にお互い引き上げて、しかも一転して今度は100%以上引き下げる。こういう世界はどう考えても異常としか言いようがないですね。

 この分科会は、これから様々な、諮問を受けて日本の関税政策に関して議論することになりますが、その議論の土台となる国際秩序が大きく揺らいでいる。こういう事態を踏まえて、今後、審議会としてこれからどういうふうに議論していくべきかということが問われているかと思います。立派な諸先生方が多いので私から申し上げるのも口幅ったいのですけど、これから、資源が乏しくて人口も減っていく日本にとって、多国間協調と自由貿易は貿易立国にとって不可欠なので、これをしっかり守っていく。そういうメッセージがにじみ出るような審議会の議論にしていくことが必要ではないかと。これはちょっと感想めいたことですけど、そういうようなことを御報告を伺っていて思いました。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございます。御意見ということですけれども、何かお答えになりますか。よろしいですか。

 承っておきます。どうもありがとうございます。

 それでは、阿部委員、お願いします。

阿部委員 ありがとうございます。私から、金の密輸入取締りについてお伺いしたいと存じます。先ほど御説明がありましたように、一度、罰則強化等の取組、それからコロナ等もあって摘発件数等減ったところですけれども、最近増えてきています。

木村(福)分科会長 16ページですね。

阿部委員 はい、16ページの図でございますけれども、また輸出量も増えているという御説明があったと思います。金につきましても、輸出時に消費税の還付対象になっているかと思いますけれども、年度ごと、どのくらいの消費税還付が金の輸出についてされているか、もし数字がありましたら教えていただければと思います。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございます。どなたかお答えになりますか。あるいは、また後で調べていただくということでもよいかと思いますが。

藤中業務課長 御質問、ありがとうございます。手元に確認できる資料がございませんので、確認させていただきたいと思います。

阿部委員 ありがとうございます。質問の趣旨としまして、全部、密輸入された金が輸出されているということではもちろんないと思うのですけども、仮に密輸入された金について輸出されて、そのときに消費税が還付されていることになりますと還付金詐取のようなものに相当するかと思いますので、その趣旨でお伺いしたところでございます。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございます。

 それでは、片山委員、お願いします。

片山委員 私からも米国の関税措置について、直接の担当ではないかもしれませんが、やはり大きな影響があると思いますので、意見を述べさせていただきます。WTO協定の基本原則尊重と多国間枠組みでの連携を強化して、ルールに基づく公正な貿易体制の堅持に向けた主導的な役割を政府のほうに発揮していただきたいと思います。

 特に、製造業の中小企業を中心に経営や雇用に影響が及ぶと思いますので、そういったところに対して資金繰りの支援などもお願いしたいと思います。ぜひとも財務当局からの働きかけをお願いしたいと思います。

木村(福)分科会長 ありがとうございます。大切な御意見をいただいたと思います。

 それでは、古城委員、お願いします。

古城委員 27ページのところです。皆さん御指摘のように、アメリカの関税政策は非常に乱暴なことが行われていますので、地域の貿易協定、EPAの重要性は以前よりも高まっていると思います。EPAがあまり利用されていないということは以前から問題だと伺っています。27ページにある報告書も出されたということで、この報告書の内容をある程度実現するために、できるだけ利用が簡便にできるような取組に結びついているのかどうかについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

香川経済連携室長 どうもありがとうございます。経済連携室長の香川でございます。

 御指摘の点、EPAという関税を下げるオプションをきちんと使っていただくことがますます重要になっているのかなと思います。報告書に書いてある内容は、EPAが使われていないというよりは、中小企業がちょっと受け身になっている。輸入者から言われたら使うのですが、積極的に戦略的に使っていない。そこについては関税ルールの専門家が必要だということで、今回、日本通関業連合会が通関士という関税手続の専門家に対して、追加的なEPAの養成講座を提供することでEPA関税認定アドバイザーの認定を実施する準備をやっております。

 現状どうなっているかということについては、税関としましても、セミナーですとか、地域の税関においてHSとか原産地のルールについては説明しながら、EPA支援もしていまして、それは一定程度EPA利用に結びついているとは思いますが、完璧に足りているかといいますとそうではないので、官民で連携しながらやっていきたいと思っております。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございます。

 安永委員、お願いします。

安永委員 24ページのEPAの現状に関しまして、冒頭、土田政務官からもお話がありましたとおり、EPAを全世界的に、多国間も含めて拡大していただいていることに関して日本貿易会を代表して謝意を申し上げたいと思います。一方で、FTAでなくEPAであるということの意義は、単にto/from Japanの貿易だけでなく、出資を含めた当該地域における日本企業の直接投資、それを通じた現地での経済活動をいかに応援するかというところにあります。貿易統計においてto/from Japanの貿易額におけるEPA締結済・交渉中の国との貿易額が占める割合は8割ということではありますが、だから我が国のEPAは全世界をほぼカバーできているとは言い切れません。実際のところは、これから伸びていくアフリカは現時点で数値として現れていませんし、貿易よりも投資を通じて仕事をしている南米のような地域との間では、まだEPAの交渉すら始まっていないのが現実です。一方で、EUや韓国はそういう地域と既にEPA等を合意済または交渉開始しているという事実を考えると、to/from Japanの貿易額の数値のみで国際的な経済活動を見ていくというのはもはや今の時代に適していないように思います。

 我が国は貿易立国であることも事実ですが、今や投資立国でもあり、貿易収支のみならず、経常収支全てを含めた形の経済アクティビティを見ていくことが必要だと思います。例えば、トランプ政権との交渉においても、米国からみたto/from Japanの貿易収支が赤字である点のみならず、日本が投資した米国におけるビジネスアセットがどれだけ米国で収入を生んでいるか、輸出に貢献しているか、雇用を作っているか、といったあたりまで踏み込んで考えていくことが必要ではないかと思います。

木村(福)分科会長 ありがとうございます。いろいろ省庁の中の仕組み、どの部分をカバーしているかというのはあると思うのですけど、今おっしゃったように、投資、それから企業活動全体と結びついたところで議論するというのも確かに言われるとおりだと思いますので、それも視野に入れながら活動を考えていくということかなと思います。

香川経済連携室長 御指摘、大変ありがとうございました。おっしゃるとおり、FTAではなくてEPAということで、例えば投資章ですとかビジネス環境整備とかの章も日本政府としてはマーケットアクセスという貿易にプラスして、そちらも同じようにバランスを取りながら、重要視しながらやっています。

 この資料は、確かに「我が国におけるEPA等の貿易の現状」と書けばいいのかもしれないですけれども、御指摘の点については大変ありがとうございます。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございます。

 それでは、江藤委員、お願いします。

江藤委員 大変詳細な御説明、ありがとうございました。中国研究としての視点から御質問を2点させていただければと思います。

 まず20ページのダンピングに関するところですけれども、1つには、他国がアンチダンピング調査や補助金調査というものを非常に政治的、恣意的に行っている部分がある中で、特定の産業が政治的メッセージ、あるいは経済的威圧と呼ばれる圧力を受ける可能性がある。こうした外からの威圧行為に対しての対応をどのようにお考えなのかということを質問させてください。

 それから中国の過剰生産の問題で、すでに「デフレの輸出」とも呼ばれるように、対米輸出が滞る分も含めて廉価な製品が周辺諸国に流れるだろうと考えられています。とりわけ東南アジアが懸念されているところですが、日本はその対象になり得ることを想定しているか。それに加えてこれから中国は科学技術力の高い製品に力を入れていくとの方針を示していますので、これがIoTなどデータに付随する問題として浮上しております。これらの経済安全保障としてリンクする懸念において、関税に関わる何らかの対応策というのは考えられるのかどうか。もし何かあれば教えていただければ幸いです。

木村(福)分科会長 ありがとうございます。特殊関税の関係でしょうか。

藤岡特殊関税調査室長 特殊関税調査室の藤岡と申します。

 まず、1つ目のダンピングについてですけれども、我が国はこれまでアンチダンピング関税を打たれてきたことが多くて、不当廉売関税制度の活用というのはまだまだ少ない状況でございます。現在は、中国の過剰生産問題などを背景に、新興国の台頭を受けて、不当廉売関税制度というものを活用しつつある状況で、申請者からの相談、それから申請が増えつつある状況、発動が増加する状況でございます。ただ、アンチダンピング関税というのはWTO協定で認められた制度でありまして、公正に調査を行って発動をしている状況ではございます。

大関関税課長 2つ目も関連していると思いますけれども、過剰生産に対して日本としてどのように対応していくかという御質問かと思います。今、特殊関税調査室長から御説明したような、まずアンチダンピング関税という制度、WTO協定上認められている制度でございますので、原則としては事業者からの申請を受けてということになりますけれども、そういったものの活用を進めてまいります。今申し上げましたように相談など増えてきておりますので、こういったものに対応していくことが考えられようかと思います。

 それから、WTOの制度上はほかにもセーフガードといったような措置などもございます。そういった国際的に認められた制度を我が国としても活用していくことが考えられると思います。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございました。取りあえずよろしいでしょうか。大きな問題なので、まだ多分出てくると思いますが。

 末冨委員、お願いします。

末冨委員 詳細な御説明、ありがとうございます。2点ほど教えていただければと思います。

 1点目は、最近の関税政策の中に具体的な言及は見当たらなかったのですが、おそらくは適正な通関業務の確保というところに含まれていると思いますが、これまでの関税関係の改正という中で、輸入者について、輸入品に対する一定の権限を有するような人を輸入者とすべきだという最近の改正があったと記憶しております。例えば所有権があるとか、あるいは輸入品を扱う、加工を行うとか販売を行うとかいう権限がないと輸入者になれないというような改正があったことによって、現場はかなり変更を要したり対応したりということがあったかと思います。その運用状況について具体的な記述がないので、お分かりになる限りで構いませんので、例えば円滑に進んでいるのか、あるいは課題があるとか、お分かりになりましたら教えていただければと思います。

 2点目は、経済安全保障上の対応ということで、輸出事後調査部門を強化しているという点についてです。税関においては、輸入事後調査はこれまでも行われてきて、関税あるいは輸入消費税の確保という意味からそのインセンティブも大きいところかと思いますが、輸出事後調査については、特に輸出税等がないので、どちらかというと輸出規制上のコンプライアンスの徹底が中心になると思いますが、輸入事後調査を担当される部門とは違う部門で対応されているのか、及び、運用として積極的に輸出事後調査を行っていらっしゃるのかということについて教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

酒井調査課長 調査課長の酒井でございます。

 先に輸出事後調査の御質問についてお答えをさせていただきます。輸入と輸出で部門をはっきり分けて、輸出事後調査部門により対応させていただいております。委員の御指摘のとおり、もちろん税という部分で取るようなものはないのですけれども、先ほどの迂回輸出でありますとか、一部の国に対して、特に先端技術ですね、例えば半導体に関連するものですとかが、最悪の場合には、軍事転用されるということになると非常によくないということで、税関としてはまず物を見ることがございますけれども、基本的には、規制がかかっている、あるいは制裁対象となっているような品目を中心に、まずそういった品目であるのかどうか、それから、先ほどの迂回の話との関連では、輸出先を偽装といいますか、本来の輸出先ではないところで申告してくることもございますので、そういったことにも注意しながら審査しております。事後的にということですので、実際に輸出されたものについて調べるわけですけれども、やみくもにやっているのではなくて、外為法を所掌する経産省等の関係機関とも連携しながら、不審点があるような者を中心に調査をしている状況でございます。

末冨委員 大変よくわかりました。ありがとうございます。

藤中業務課長 業務課長の藤中と申します。

 1点目の委員御指摘の点は、恐らく税関事務管理人制度というものについてなのかなと思っておりまして、御指摘のように、令和5年度関税改正で対応したものでございます。税関事務管理人制度と申しますのは、日本に居住しない非居住者が、日本に輸入する際の輸入申告の税関手続ですとか、税関からの通知、問合せの対応をする代理人として税関事務管理人というものを定める制度でして、これは従来からございます。ただ、これを悪用と申しますか、そうした税関からの対応を受けても答えられない、全く無関係の方を勝手に税関事務管理人と定めて、いわゆる成り済まして輸入をする事例が近年顕在化していたと。

 その背景にありますのは、一部のECプラットフォーマーが提供しておりますフルフィルメントサービス、こちらはEC事業者が商品の受注ですとか在庫管理ですとか梱包、発送、代金の引渡しをまるっと、こうしたサービスをECプラットフォーマーが商品を作る製造者に対して有償で代理で行う。こういったフルフィルメントサービスというものが令和3年、4年あたりから増えてきていたと。このフルフィルメントサービスを舞台にして、税関事務管理人を悪用して成り済まして輸入を行う。こういった課題が顕在化していた状況がございまして、令和5年度関税改正におきまして、税関事務管理人を定める際、税関に対する届出をする際に厳格に輸入者との関係を確認するとか、そうした厳格な手続を措置したものがございます。こちらについては令和5年10月から施行しておりまして、この改正した内容に基づいて税関においては適切に執行している状況となってございますけれども、引き続きそうした成り済ましですとかが生じないように鋭意取り組んでまいりたいというふうに思います。ありがとうございます。

末冨委員 大変よく分かりました。ありがとうございます。

木村(福)分科会長 質疑応答、どうもありがとうございました。

 少々時間が押しておりますので、もしなければ次に進ませていただきます。

 次の議題ですけれども、「少額貨物の輸入状況等について」、「不当廉売関税にかかる迂回防止について」、大関関税課長から続けて説明を受けたいと思います。よろしくお願いします。

大関関税課長 関税課長の大関でございます。

 まず、資料4-1の「少額貨物の輸入状況等について」御説明いたします。

 資料の1ページを御覧ください。少額貨物に関する税関を取り巻く状況についてでございます。令和6年の輸入許可件数は約1億9,000万件と輸入件数の増加が継続している中で、特に課税価格1万円以下の少額貨物については輸入許可件数の約9割を占めているところでございます。こうした貨物の増加を背景に、不正薬物の押収量や知的財産侵害物品の差止件数が増加傾向にある中、水際取締り上の懸念が増大している状況となっております。

 2ページ目を御覧ください。越境電子商取引の市場拡大に伴い、内外事業者の課税の公平性の確保等に関する問題が顕在化しております。こうした状況を受け、少額免税制度の見直しを含め、当該取引に係る適正な消費税の課税の在り方について、政府税調等で検討が行われております。具体的には、昨年11月の政府税調専門家会合において、消費税に係る少額輸入免税制度について、「国内外の事業者間のイコールフッティングを図る観点から見直しを行うべきか」との論点が提起されました。昨日開催された専門家会合におきましても、消費税に係る少額輸入免税制度を見直す場合の課題等について紹介され、通関実務への影響等も含め議論されました。

 このように、課税の観点から通関実務に大きく影響する議論がなされていることも踏まえまして、前のページで御説明した水際取締りの観点も含めた、少額貨物の輸入急増により生じる様々な課題への対応について、委員の皆様の御知見をいただきながらワーキンググループにおいて集中的に議論させていただきたいと考えているところでございます。

 続きまして、資料4-2の「不当廉売関税にかかる迂回防止について」御説明いたします。

 1ページ目を御覧ください。不当廉売関税は、不当廉売、いわゆるダンピングされた輸入貨物に対して、同種の貨物を生産する国内産業を保護するために課す割増関税でございます。課税要件が満たされるときは、対象国・対象産品等を指定して、不当廉売差額、すなわちダンピング・マージンの範囲内で割増関税を課すことができることとなっております。

 2ページを御覧ください。今申し上げましたとおり、不当廉売関税は、対象国・対象産品を指定して課税するものでございます。不当廉売関税の課税命令に服するべき者が課税を免れるため、貨物の供給国や品目を変えて、課税命令が示す課税範囲から形式的に外れるようにするものの、実質的には課税命令前と同等の商業行為を行う、いわゆる迂回の問題が存在しております。この迂回を防止する制度の創設について、経済産業省からの要望を受け、昨年、当分科会で御審議いただいた結果、下にございますように、様々な事項の精査・検討を十分に行い、有識者や関係者等の意見も踏まえ、実効性のある制度を創設することが重要であるとして、早期の制度創設を念頭に、引き続き精査・検討を継続することが適当であるとの答申をいただきました。この答申以降、関係省庁でも議論を行っておりますが、様々な論点につきまして、委員の皆様の御知見をいただきながらワーキンググループにおいて集中的に議論を行ってまいりたいと考えております。

 私からの説明は以上でございます。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございます。

 これ、2点ともまだこれから議論していきたいということでありますけれども、今の時点でもし御質問、御意見等ございましたらいただきたいと思います。

手塚委員 私の背景が国際物流というところにございまして、関税の話はえてして公平性であるとか税の在り方みたいな議論になりがちであるのですけども、通関業を含めて、より貨物がスムーズに流れるということは国際的な競争力から見ても非常に重要な点かと思います。なおかつ、少額の貨物ということで、少額な貨物に一個一個の手続を踏んでいくことになると恐らく現場の中でも相当なコストがかかることも予想されますので、そういったことも踏まえながらその枠組みというのはつくっていくべきかなと考えます。

 以上、コメントです。

木村(福)分科会長 これは多分プラスの面とマイナスの面と両方あって、どこかでバランスを取っていかなければいけないと思いますけれども、大事な御指摘をいただいたと思います。ありがとうございます。

 植田委員、お願いします。

植田委員 不当廉売のほうですけども、いつも非常に問題になっていると思うのですが、いわゆる本邦の産業を保護する必要性、これはどこから出てくるのかという議論をしっかりやらないといけなくて、少なくとも経済学者の間、経済学の知見で言えば、ほとんどの産業は保護する必要性がないはずなんですよね。もちろん幼稚産業保護論というのは昔ありましたけれども、幼稚産業というのは、あくまでも新しい技術が出てきて、これから育てないといけないような産業で、さっき出てきたようなダンピングの対象がこれから育てないといけないような産業なのか。逆に言えば、原油とかであれば、安く売ってくれれば安く売ってくれるだけいいわけです、我々が作っていないものですので。それから、コロナワクチンのときも、安く売ってくれればそれだけ助かったわけです、我々が作っていないものについては。つまり、消費者のことを考えたら安ければ安いほどいいわけなので、本当に保護する必要というのは何なのか。単なる政治的な要求なのかを見極めないといけないと思います。

 今、全世界からのトランプ大統領に対しての怒りは多分そこでしょう。保護主義であると。つまり、ちゃんとした議論がなされずに、政治的な関係で、これらを保護しないといけないんだというだけで保護しようとしているようなものに対して、我々は保護主義と言うのですけれども、それはやはりなくしていかないといけない。まさに日本こそ姿勢を正してそういうことをなくしていかないと、世界的なオープンな貿易というのは生まれない。日本というのはまさにオープンな貿易の下で初めて成り立っているような国なわけだから、そこは日本はしっかりと姿勢を正して、本邦の産業を保護する必要性は何か、しっかりと説明ができるものなのか、特に経済学的な知見に照らして、理論的、実証的にしっかり言えるものなのかを、確かめた上でやっていかないといけないと思うのですね。そうでない限り、結局、トランプ大統領と同じようなことを日本がやっていることになってしまって、他国からは保護主義にしか見えなくなってしまうと思うのです。そういうことをしっかりと今後議論していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

中澤審議官 植田先生、どうもありがとうございます。担当審議官の中澤と申します。

 アンチダンピング、あと相殺関税といったところにつきましては、どちらかといえば、国内生産の保護という観点よりは、公正な競争環境の整備という視点が重要だと認識をしておるところでございます。ダンピングによってマーケットを荒らす、結果的に国内産業を駆逐した挙げ句に、例えば値段を上げていくとか、そういうことが想定されるということでこの制度があると思っております。ですので、御懸念の点は当然認識しながら、公正な競争環境の整備、それに励んでいくことだと認識をしているところでございます。

木村(福)分科会長 ありがとうございます。しっかり議論していくというのはそのとおりだと思いますので、よろしくお願いします。

 河野委員、お願いします。

河野委員 今お答えがあったのでコメントするべきかどうか迷ったのですが、やはり発言させていただきます。先ほどの議論にもありましたように、戦後80年築いてきた自由貿易の体制がどういう意味を持つのかということを日本としては改めて考えなければならない事態に対応するために公正な自由貿易を確保することの重要性を改めて考えなければならないと思います。

 そうした検討において、何を保護すべきかを改めて問わなければならないと思います。かつてのような幼稚産業ですとか脆弱な産業を保護するだけではなくて、国にとって、あるいは社会的に重要な利益というものを守らなければいけないという観点も今の国際社会では生まれてきていると感じます。ですので、幼稚産業あるいは脆弱な産業を保護するという視点に限定せず、何を保護利益とするかを現代的な視点で再検討すべきだと思います。日本のように資源がない国々にとっての社会的な保護利益というものは考えなければいけないということを考慮すべきではないかと感じます。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございます。ということで、この2つはいろいろ議論しないといけないということであります。私も非常にナイーブな自由貿易論者でございますけれども、昨今の状況はいろいろ変わってきておりますので、議論が必要だと思います。

 末冨委員、お願いします。

末冨委員 ありがとうございます。不当廉売の迂回防止について1点だけ短くコメントさせていただきます。昨今では、いわゆるtrade remedyの法制に対しても迂回が蔓延している状況にあって、本来であれば、迂回というのは、法律の趣旨から考えれば、対象になるというのが通常の適用でしょうが、それが蔓延していることによって、各国が、迂回についてもきちんと罰しますよということを明言する形で、迂回に対しても厳しい体制を取るというのが昨今の傾向であると認識しております。そういう現状に照らすと、今回、迂回防止について特別に検討されることには、ほかの法域とのバランスを取り、日本が抜け道にならないようにするためには非常に重要な意義があると思います。

木村(福)分科会長 どうもありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。ネットで参加されている先生方もよろしいですかね。

 それでは、今日は時間が十分ありませんので、この2つはしっかりみんなで議論したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それぞれのテーマごとにワーキンググループを設けて集中的に議論するということであります。少額貨物に関するワーキンググループについては田邊委員、それから不当廉売関税の迂回防止に関するワーキンググループについては阿部委員を座長として議論を進めていただき、分科会に報告していただきたいと思います。

 また、ワーキンググループについては、関税分科会委員は全員参加可能とする。必要に応じて民間事業者等も呼ぶ形としたいというふうに考えております。

 以上、御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

木村(福)分科会長 では、そういうことでよろしくお願いいたします。

 ワーキンググループの詳細につきましては、事務局と調整の上、別途御連絡をさせていただきます。

 その他、本日の議題について追加の御意見等ありましたら事務局のほうに御連絡ください。

 最後に、事務局より連絡事項がございますので、大関関税課長より説明をお願いします。

大関関税課長 本分科会における議事録の取扱いにつきましてでございます。議事録の取扱いにつきましては、当審議会議事規則第5条の規定により、原則公開とされております。本日御発言いただきました委員の方には、議事録案がまとまりました段階で御発言部分を事務局から送付させていただきます。送付後1週間程度の間に御意見などがない場合には、恐縮でございますが、御了解いただいたものとさせていただきたいと存じます。

 議事録の取扱いにつきましては、今後ともこの扱いで進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

木村(福)分科会長 それでは、以上をもちまして本日の議事を終了させていただきたいと存じます。

 本日は、御多用中のところ御出席賜りまして、誠にありがとうございました。

午後4時32分閉会