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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (令和5年10月5日開催) 議事録

  1. 開会
  2. 最近の関税政策と税関行政を巡る状況
  3. 国際コンテナ戦略港湾政策について
  4. 閉会

出席者
関税分科会長 森田 朗 財務省 江島関税局長
委員 植田 健一 山崎審議官
河野 真理子 内野審議官
木村 旬 奈良井総務課長
木村 福成 吉田関税課長
古城 佳子 仲参事官
佐藤 基嗣 志賀参事官
杉山 晶子 馬場監視課長
高橋 裕子 箭野業務課長
田邊 國昭 大関調査課長
田村 善之 澤藤事務管理室長
永沢 裕美子 濵口特殊関税調査室長
根本 敏則 坂本原産地規則室長
野原 佐和子 近田税関調査室長
三石 誠司 香川経済連携室長
臨時委員 清水 順子 伊藤知的財産調査室長兼認定事業者調整官
専門委員 石黒 憲彦 国土交通省 澤田港湾局港湾経済課長
大橋 弘
佐藤 英明
末冨 純子
藤岡 博
宮島 香澄
村上 秀德

 

午前10時00分開会

森田分科会長 おはようございます。時間もまいりましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様には、御多用のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

 本日は、まず議事に入ります前に、先日委員の交代がございましたので、私から御紹介させていただきます。

 先日の金原委員の御退任に伴いまして、新たに全国農業協同組合中央会副会長理事、樽井功委員が任命されております。本日、樽井委員は御欠席でいらっしゃいます。

 また、事務局の構成につきましては本年7月に人事異動がございましたところ、お手元の座席表をもって御紹介に代えさせていただきたいと存じます。

 続きまして、7月に新たに着任されました江島関税局長から一言御挨拶をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

江島関税局長 皆さん、おはようございます。江島でございます。

 委員の皆様方におかれましては、日頃より関税政策、そして税関行政に対して格別の御指導、御協力を賜りまして心より感謝申し上げます。冒頭、一言御挨拶申し上げます。

 近年、コロナ禍やロシアのウクライナ侵略、またデジタル化の進展やAIをはじめとする技術革新などにより、内外の経済・社会構造は急速に変化して、関税局・税関を取り巻く環境も大きく変化しております。

 まず、越境電子商取引の利用拡大に伴って輸入貨物が急増しておりまして、職員数が限られる中、これまで以上に効果的・効率的な水際取締りが重要となっております。

 また、コロナ禍で大きく落ち込んでおりました入国者数も回復傾向にございまして、今後のさらなる増加も考えられる中、本年末まで続くG7関係閣僚会合や2025年の大阪・関西万博に向けて、引き続きテロ対策にも万全を期す必要がございます。

 さらにロシア等に対する経済制裁の実効性確保や経済安保上の脅威への対応として、輸出面を中心に厳格な水際取締りが求められております。

 このように環境が大きく変化する中にあっても、円滑な物流・人流の確保と、水際取締りの間の的確なバランスを見い出していくことが税関に求められております。昨年、税関発足150周年を迎えましたけれども、変化に柔軟に対応する姿勢を持ちながら、次の50年、100年に向けて着実に歩んでまいりたいと考えております。

 本日は、今後の御審議に向けまして、最近の関税政策と税関行政を巡る状況等につきまして私どもから御説明申し上げます。皆様方から貴重な御意見をいただきながら、引き続き様々な課題の解決に向けて取り組んでまいりたいと思っておりますので、何とぞ忌憚のない御審議を賜りますようお願い申し上げます。本日はよろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。本日の議題は、お手元の議事日程のとおりでございます。

 まず、今後の審議の参考といたしまして、「最近の関税政策と税関行政を巡る状況」について、奈良井総務課長から御説明をお願いいたします。

奈良井総務課長 奈良井でございます。よろしくお願いいたします。

 私から、資料1の「最近の関税政策と税関行政を巡る状況」について御説明をいたします。

 2ページ目を御覧ください。輸出入の最近の動向ですが、輸出額は2021年以降、前年同月比で増加傾向でしたが、ここ数か月は横ばいとなっております。輸入額は、エネルギー資源の輸入増等により2021年半ば以降に急増しましたが、ここ数か月は前年同月比で減少傾向となっています。輸出額から輸入額を差し引いた赤字額は、2022年と比較して足元では縮小傾向となっております。

 3ページ目を御覧ください。税関における主要業務量の推移ですが、越境電子商取引の拡大に伴い、輸入許可件数はここ数年で大幅に増加をしております。2022年の航空貨物の輸入許可件数は2018年の約2.8倍、海上貨物は約2.9倍となっております。

 入国者数については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に落ち込みましたが、現在は回復傾向にあるところです。

 令和4年度の税関における収入額のうち、関税はこのグラフの青色の1.0兆円、消費税及び地方消費税は白色の11.7兆円、全体として14.2兆円となっており、この金額は租税及び印紙収入の約18.5%に相当いたします。

 4ページ目を御覧ください。急増する輸入貨物への対応として、令和5年度関税改正において、税関長が税関事務管理人を指定できる規定の整備や輸入申告項目の追加などを措置したところです。今後も増加傾向が続くことを見据え、引き続き制度の周知、SP業者やEC運営事業者との協力といった取組を行ってまいります。

 また、近隣アジア諸国からの通販貨物の増加を受けて海上小口貨物の輸入が急増をしていることから、申告項目を一部省略するなど運用面での簡易な取扱いについて検討をしております。

 5ページ目を御覧ください。昨年10月の水際措置緩和以降、入国者数の増加が継続しており、また、国際線の運行の再開も本格化しております。足元では本年8月の入国者数がコロナ禍前の2019年同月の約75%まで回復をしております。引き続き入国者数の増加に対応するため、税関検査場電子申告ゲート(Eゲート)等の機器の積極的な活用や職員の再配置等により、迅速な通関と厳格な取締りの両立を図ることとしております。

 6ページ目を御覧ください。G7広島サミットなどの重要イベントが開催される際には、警察当局等の関係機関と連携しながら水際取締りの警戒レベルを上げて対応することにより、安全な開催に寄与しております。引き続き関係機関と連携してテロ対策を検討・推進することとしており、本年10月以降に開催される重要イベントに対して厳格な取締りを実施するとともに、来年以降に開催される重要イベントに対しても、長期の開催期間や多数の外国人観光客の訪日を踏まえて対応を検討してまいります。

 7ページ目を御覧ください。令和4年における不正薬物の押収量は、7年連続で1トンを超えております。本年上半期においても不正薬物の押収量は高水準で推移をし、特に覚醒剤の摘発が顕著となっております。覚醒剤については、航空貨物及び国際郵便物からの摘発は依然として高水準で推移しており、また海上貨物からの摘発も増加しております。また、航空機旅客からの摘発については昨年10月の入国規制の緩和以降、増加をしております。

 8ページ目を御覧ください。知的財産侵害物品の取締りの状況ですが、令和4年の輸入差止件数は2万6,000件を超え、高水準で推移をしております。

 こうした状況への対応として、昨年10月に改正関税法等が施行され、海外の事業者が郵送等により国内に持ち込む商標権又は意匠権を侵害する模倣品は、個人使用目的であっても取締りの対象となっております。施行から本年6月までの当該物品の輸入差止件数は前年同期と比較して26.5%増、輸入者が侵害の該非を争う旨の申出は67.2%減となっています。

 また、権利者の事務負担軽減等の観点から、令和5年度関税改正により、知的財産侵害物品の認定手続における簡素化手続の対象を拡大しており、本年10月から施行をしております。

 9ページ目を御覧ください。金密輸入取締りに対する取組でございます。平成30年の罰則強化を含む取組等により摘発は大幅に減少をしたものの、金の価格が高止まりしており、また、昨年10月の水際措置緩和以降、密輸リスクの高まりが懸念をされております。巧妙隠匿事案の摘発が散見されることから、関係機関との連携や検査機器の活用等により、引き続き厳格に対応する必要があると考えております。

 10ページ目を御覧ください。ロシア等に対する経済制裁について、G7等と連携しつつ、外為法に基づき、ロシア等の軍事関連団体に対する輸出禁止措置、ロシアに対する半導体、乗用自動車等の輸出禁止措置、上限価格を超える価格で取引されるロシア産原油・石油製品等の輸入禁止措置等を順次実施しております。

 また、昨年よりロシアに対する関税の最恵国待遇を撤回する措置を講じてまいりましたが、本年3月の政令改正により当該措置の期限を来年3月末まで延長しております。

 これらの措置の適切な執行のため、関税局として他省庁と連携してG7等と第三国迂回等による制裁逃れに係る情報共有を行っているほか、税関では輸出入貨物について外為法に基づく経済産業大臣の承認が必要か否かの確認を行うなど、厳格な水際取締りを実施してまいります。

 11ページ目を御覧ください。安全保障の裾野が経済・技術分野に急速に拡大しているところ、経済安全保障上の脅威への対処が政府全体の重要な政策課題となっており、本年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」においても、その重要性や体制整備の必要性等が謳われております。

 関税局・税関としても政府全体の方針を踏まえて取組を進める必要があり、具体的には「軍事転用のおそれのある製品や技術等の流出につながる不正輸出の防止」の観点から、情報の収集・分析の強化、適正通関の確保、体制強化、民間事業者との連携、規制対象物品の輸出実績の把握等に取り組んでおります。

 12ページ目を御覧ください。保税地域においては、関税等の徴収を留保したまま外国貨物の保管、加工、展示等が可能となっております。保税地域の特性を様々な分野において活用することで経済活性化への寄与が期待されることから、業界団体への制度紹介やガイドラインの作成等により、保税制度のニーズの掘り起こしに取り組んでおります。

 特に、アート関係で新たに保税地域の活用についてのニーズがあったことを踏まえ、保税地域でアートフェア等を開催する際の要件を明確化したことで、制度の活用が図られております。

 13ページ目を御覧ください。近年、輸入貨物の急増や物流業界の人手不足等、保税制度を取り巻く国際物流の動向が大きく変化をしております。また、煩雑な手続の解消をはじめ、保税制度に対するニーズや課題の声が寄せられております。こうした状況に対応するため、保税制度のあり方について検討を行うこととしております。

 検討に先立ち、まずは事業者のニーズや課題を幅広く把握するため、保税制度に関するアンケート等を実施しております。対応の方向性として、適正な水際取締りを維持しつつ、多様なニーズに対応し、貿易円滑化を図るための保税制度の在り方について、①利用者の視点から見た煩雑な手続の解消、②効果的な検査・取締りの実施、③保税制度の潜在的なニーズの発掘の3つの柱に基づき検討することとしております。

 14ページ目を御覧ください。2020年6月に世界最先端の税関を目指して「スマート税関構想2020」を取りまとめた上で公表しました。

 15ページ目を御覧ください。スマート税関構想を取りまとめた後も、内外のダイナミックな構造変化の流れを受けて、税関を取り巻く環境は大きく変化をしております。こうした環境変化に対応するとともに、構想に留めることなくスマート税関を実現するため、昨年11月に「スマート税関の実現に向けたアクションプラン2022」を策定し、新規施策及び継続施策について新たに工程表を作成し、本年6月に公表したところです。

 16ページ目を御覧ください。こちらは御参考でございますが、本年3月にも開催をいたしましたが、来年3月11日に学生の皆様を対象とした国際物流と貿易の未来を考える「学生フォーラム」を開催いたします。税関ホームページに特設ページを設置しておりますので、御関心のある方はそちらを御確認いただければと存じます。

 続きまして、国際関係でございます。18ページ目を御覧ください。日本は現在、21の経済連携協定を署名又は発効済みでありまして、昨年1月にRCEP協定が発効したことにより、日本の貿易総額に占めるEPAが発効済みの国との貿易額の割合は約8割となっております。最近の特徴としては、CPTPP、日EUやRCEPといったいわゆるメガEPAが相次いで締結され、EPAのネットワークが大きく拡大したことが挙げられます。

 19ページ目を御覧ください。英国のCPTPP加入に向け、2021年9月末から我が国が議長を務める加入作業部会を開催し、本年7月に加入議定書が署名されました。本議定書については、今後の国会において提出される見込みでございます。

 なお、加入議定書の内容については、現行の法律に基づいて実施することが可能であるため、関税関係法の改正は不要でございまして、政令改正で対応することとしております。

 20ページ目を御覧ください。昨年5月、米国が提唱するインド太平洋経済枠組み「IPEF」の立ち上げが発表されました。IPEFには現時点で14か国が参加しております。貿易、サプライチェーン、クリーンな経済、公正な経済の4つの柱について、協力枠組みを構築すべく議論しております。ただし、貿易の柱については、関税率に係る交渉は含まれておりません。

 これらのうち、特に関税局・税関に関連するのが、貿易の柱、中でも貿易円滑化章です。IPEFが我が国の国益に資する枠組みとなるよう、関係省庁とともにしっかり議論をしてまいります。

 21ページ目を御覧ください。現在、日イスラエルEPA及び日バングラデシュEPAの交渉開始に向けて、また、日GCC・FTAの交渉再開に向けて動きがあるところです。

 日イスラエルEPA、日バングラデシュEPAについては、昨年にそれぞれ外交関係樹立70周年、50周年を迎えたことを契機に、共同研究を立ち上げることで一致し、本年に入ってから計3回の共同研究を行っております。

 また、日GCC・FTAについては、2009年に交渉が中断していたものの、本年7月に岸田総理の中東歴訪中にGCC事務局長の表敬を受け、2024年、来年中の交渉再開と、それに向けた事前協議の開始で一致をしております。

 22ページ目を御覧ください。EPAの利用機会のさらなる拡大が見込まれる中で、EPAがより一層活用されるような取組が必要と考えております。税関ホームページの利便性の向上や動画コンテンツ等の充実を通じたさらなる情報発信の強化、説明会の開催、輸出者支援のための相談窓口の設置など、引き続きEPAの利活用の促進に向けた取組を続けてまいります。

 23ページ目を御覧ください。我が国が締結するEPAの原産地証明手続のうち、紙の原産地証明書の提出を求める第三者証明制度について、産業界から、日本からの輸出をより円滑に行えるようにする観点から、特にEPAの利用が多いASEAN各国において、原産地証明書がPDFで受理されること、加えて、将来的にはPDFによる受理よりもさらに迅速かつ安全なやり取りが可能となるよう、原産地証明書のデータ交換を実現することへの期待があります。

 これに関して、インドネシアとの間で本年6月に運用を開始いたしました。また、タイ・ASEANとの間では原産地証明書のデータ交換に向けた協議を行っており、データ交換に必要なシステムの開発を進めております。引き続き必要な検証等を行い、早期のデータ交換の開始を目指してまいります。

 24ページ目を御覧ください。諸外国の税関当局との間において、社会悪物品の密輸の防止、知的財産侵害物品の水際取締り等を目的とした国際約束である税関相互支援協定等を結んでおります。41か国・地域と枠組みを構築しており、直近では本年6月にボリビアとの間で相互支援協定が発効しました。

 25ページ目を御覧ください。WCOは、世界185か国・地域からなる税関関連の国際機関で、国際標準の策定、密輸・テロ対策の推進や税関分野の技術協力等を実施しております。

 最近の動きとしては、本年6月の総会において次期事務総局長選挙が実施され、御厨事務総局長の後任として、米国のイアン・サンダース氏が選出されました。日本として引き続きWCOの活動へ積極的に貢献するため、新たな事務総局長とも密接に連携してまいりたいと考えております。

 26ページ目を御覧ください。WCOでは、密輸情報の交換などを行うための地域情報連絡事務所、RILOが世界12か所に設置されておりますが、来年1月からアジア・大洋州地域の事務所の日本ホストが決定され、東京に事務所を設置いたします。これにより、情報収集ネットワークが強化されること、インテリジェンス分野の日本のプレゼンスが向上することといった効果が期待でき、効果的・効率的な取締りが可能となります。情報の拠点(ハブ)として機能すべく、税関分野における国際協力の推進等に引き続き取り組んでまいります。

 27ページ目を御覧ください。関税技術協力については、対象国の貿易円滑化や水際取締りの能力向上等が図られ、それが日本にも裨益することを目指しているものでございます。令和4年度には一部事業についてオンラインを活用しながら、受入研修を21件、専門家派遣を46件実施いたしました。今後もJICAやWCOと連携し、日系企業の利便性向上・競争力確保への寄与を視野に、我が国と結びつきの強いASEAN諸国への支援に重点を置きつつ、各地域の特性に応じた支援を実施してまいります。

 29ページ目を御覧ください。令和6年度関税改正の主な要望ですが、詳細は次回以降の分科会で御説明いたしますので、ここでは簡単に御紹介をさせていただきます。

 まず、暫定税率と特別緊急関税制度については、適用期限の1年延長等の要望、加糖調製品5品目については併せて暫定税率の引下げの要望が出されております。

 令和3年度関税改正により措置していたポリ塩化ビニル製使い捨て手袋の暫定無税については、延長要望の提出がないことから、元の税率に戻すことについて検討する必要がございます。

 次に、沖縄の特定免税店制度について適用期限の3年延長の要望が出されております。

 また、ルイボスティーの原料であるルイボスについて、HS委員会の決定による分類変更に伴い、税細分を新設した上で、現行と同じ水準の関税率を設定してほしいとの要望が出されています。

 最後に、AEO制度における特例輸入者が行う特例申告納期限延長に係る担保について、その取扱いを緩和することを検討しております。

 これらについて次回以降の分科会で御審議いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 私からの説明は以上となります。

森田分科会長 御説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に限らず、関税政策・税関行政につきまして幅広く御質問、御意見等をいただきたいと思いますので、どうぞ発言を希望される方は挙手をお願いいたします。

 では、木村福成委員、どうぞ。

木村(福)委員 どうもありがとうございます。2点コメントといいますか、お願いをしたいと思います。

 1点目は、御説明のうち特に4ページ目の急増する輸入貨物の対応で、これは貿易の新しい形態がすごく大きくなってきており、いろいろな管理の面も大変になると思いますので、ぜひともこういう貿易がますます円滑に進んでいくようにいろいろな措置を取っていただけたらと思います。特に今御説明にあった海上小口貨物の輸入は、近隣アジア諸国からのものが増えていると書いてありますけど、こういうデータなんかも極めて重要なものであり、またいろいろ国際関係を考えるときにも大事なデータになりますので、差支えのないところからそういうものも提供していただけるとありがたいなと思います。

 2点目は、11ページ目の経済安全保障の話ですけれども、私は最近この話ばかりやっております。ここに書かれている民間事業者との連携、それから規制対象物品の輸出実績の把握はとても重要なので、もちろん安全保障の話ですからしっかりやらなければいけないということは全く合意します。それから安全保障が関係しているからいろいろ出せない情報やデータもあるだろうということもよく分かりますけれども、ただ、やはり、大体数量的にどのくらいのものがそもそも輸出管理に当たっていて、それによってどのくらい実際に貿易に影響が出ているのかというようなことが本当に直接的にはなかなか計測できないことになっております。私はアウトサイダーとしてやれることはいろいろやっておりますけど、輸出管理でかぶせている網と貿易品目をマッチングすると物すごく多くのところが全部カバーされてしまっており、実は貿易管理というのはやられているのでしょうが、相当狭いところでやられているだろうということは想像できますけれども、実際どのように実態として動いているのかはとても重要だと思っております。これは学術的な関心だけではなくて、民間企業から見て、要するに境目がはっきりしていないということになりますといろいろな不確実性が出てきて、それが経済活動をスローダウンさせてしまうということもあると思いますので、やはり差支えのないところから、一体どのくらいの実際の管理が行われていて、それがどういう影響をもたらしたのかということをやはり知らしめて、バランスの取れた政策あるいは企業戦略をつくれるような状況というのをつくっていくということはとても大事だと思っております。そういうことですので、今後ともぜひよろしくお願いいたしたいというのが2点目でございます。以上です。

森田分科会長 ありがとうございました。これは事務局のほうからお答えはありますか。

箭野業務課長 業務課長の箭野でございます。

 ご質問を2点頂戴したうちの急増する輸入貨物への対応についてです。海上小口貨物の話につきましては、これから制度設計をしっかりとやっていくという段階でございますので、委員から御指摘をいただいたようなところも踏まえまして、制度設計を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

大関調査課長 調査課長の大関でございます。

 経済安全保障につきまして、委員から御指摘のありました民間事業者との連携、実態の把握、影響を踏まえた政策の執行は非常に重要な点だと私も考えております。経済安全保障という性格上、なかなかできるところと、できないところはあるかもしれませんけれども、委員の御指摘を踏まえて引き続き取り組んでまいりたいと考えております。ありがとうございます。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

木村(福)委員 ありがとうございます。

森田分科会長 それでは、5人の方に順番に御発言いただきたいので、まずは木村旬委員からどうぞお願いいたします。

木村(旬)委員 本日は御説明ありがとうございました。この最近の関税政策と税関行政に関して一つ二つ申し上げたいと思います。要するにコロナの5類移行いわゆるポストコロナ対応と思いますが、税関行政は物と人の流れの対応が難しくなっているなと感じます。

 まず、物の流れは、御説明であったようにコロナで非接触型のネット通販が急拡大し、輸入貨物が高止まりしています。一方、人の流れはコロナで大幅に制限されていた入国者数がかなり回復していて、要は輸入貨物も入国者数もともに増加して高止まりするという事態になっているという傾向が読み取れると思います。コロナのときの税関行政は、輸入貨物が急増しても入国者数の減で浮いた人員などを輸入貨物に充てれば対応できたでしょうが、今は限られた人員などで高止まりする輸入貨物と入国者の対応を両方しなければならない難しい対応に迫られていると思います。ここで気になるのは、入国者数は要するにインバウンドですけれども、そのインバウンドは輸出でも自動車に次ぐ柱とも言われていて、今後の日本の経済を支える上で重要な柱になっていると思います。その入国者数の回復に対応できる税関行政が必要になると思います。その際に、いわゆる利用者の利便性から、迅速な通関と厳格な検査との両立が求められるということになると思いますけど、ここで伺いたいのは5類移行後の税関・通関対応というんですかね、利用者の利便性を損なわれるような通関対応になってしまった場合、つまり通関が停滞することになると今後のインバウンドにも差し障る支障が出るおそれがあるのではないかと思います。そうなると日本経済全体にも影響が出るのではないかと思いますので、コロナの5類移行後の通関対応に関して支障や停滞が生じないか、あるいは今後の対応について改めてお伺いしたいというのが1点です。

 2点目は、経済連携の話です。CPTPPにイギリスが加盟したというのは、自由貿易に逆風が吹く中で、環太平洋地域や世界全体の貿易・経済のさらなる成長発展の足がかりと言いますか、それにつながり得るものとして非常に評価できると思います。問題は、離脱したアメリカがどうするかということですが、アメリカは御説明にあったとおりIPEFに力を入れていて、来月のAPECに合わせてIPEF全体の合意を目指しているとも言われています。アメリカがトランプ時代と異なってアジア太平洋地域の経済連携の枠組みの構築に踏み出していることは良いのですが、説明にもあったように関税率の引下げが入っていないことはやはり経済連携の枠組みでは物足りないというか、重要な要素が欠落しているのではないかなと思います。こういうIPEFが固定してしまうのが、果たしてアジア太平洋の枠組みにとって良いことなのかなという気もします。今後のアジア太平洋地域のCPTPPに関してアメリカへの復帰を働きかけることが日本にとっても大事なことだと思いますが、ここは外務省や経産省のマターになると思いますが、見通しなどを含めてどのようになっているのかということを教えていただければと思います。以上です。

馬場監視課長 監視課長の馬場でございます。御指摘いただきましてありがとうございます。

最初の点について、私からお答えしたいと思います。委員おっしゃられるとおり、コロナ以降インバウンドが徐々に回復しております。そこについて税関のミッションであるところの適正通関あるいは円滑化というところの両立を図っていくというのがまさに直面する大きな課題であると認識しております。今後どのように対応していくかというところでございますけれども、特に空港においては先ほど事務局から簡単に御説明をしておるところでございますが、電子化あるいは検査機器を使ってより効率化を図っていくことが一つあるかと思います。また、空港において、CIQの関係省庁との連携で、特にシステムにおいての効率性をさらに目指していかなくてはいけないと考えておりまして、現在関係省庁と検討を開始しているというところでございます。私からは以上です。

森田分科会長 仲参事官、どうぞお願いいたします。

仲参事官(国際交渉担当) 国際交渉を担当しております参事官の仲でございます。御指摘ありがとうございます。

アメリカのCPTPPへの加入ですが、もちろん当初、アメリカも中に入って議論を行って、最終的には離脱ということになりました。今残る加盟国で発効して、アメリカの加入については、特に日本は引き続き働きかけを行っているというところですが、現状のアメリカの情勢を見ますと、来年大統領選も待っており、なかなかそのような決断に至るかどうか確定的なことは申し上げられないところです。引き続き外務省等が中心になってだと思いますけれども、働きかけは継続していくのかなと考えております。

 続いて、IPEFについてです。アジア太平洋地域で考えましたら、IPEFに限らず様々な枠組みで地域連携を進化させようという取組が今行われております。その一環として、自由貿易体制の中でいかに地域の中での貿易を円滑化していくのかといったことも含めて、IPEFの枠組みで行われているものと承知しています。柱は貿易に限らず、サプライチェーン、クリーンな経済、公正な経済となっていますが、このいずれの柱も含めまして地域内での連携を深めていくものだと考えております。これは一概に否定されるものではなくて、着実に進めていくことが大事なのかなと考えております。委員からも御指摘ありましたけれども、11月のAPECで一定の成果を出すことを目指すとされており、議論も急ピッチで行われているという状況です。日本としても域内の自由貿易あるいは円滑化が進むことは大事だと考えておりますし、関税局にとってみれば特に貿易円滑化のところが重要になってくるかなと思いますので、その目的に向けて我々としても貢献していきたいと考えております。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

 たくさんの方が発言を希望されておりますので、なるべく簡潔にお願いしたいと思います。続きまして河野委員、お願いいたします。

河野委員 ありがとうございます。私からは2点、なるたけ簡潔に申し上げます。

 まず、1点目は、13ページ目の保税制度に関してでございます。特に保税制度に関する事業者アンケートの最後の質問項目例の(2)で、これから保税地域を使いたいという人たちが潜在的にいるかもしれないと思います。特に東南アジアからの荷物を日本に集貨して、それに付加価値をつけて日本から出すかが重要だと考えます。これは基幹航路を日本に呼ぶための大きな基礎になると考えますので、創意工夫につながるような保税制度というものを少し御検討いただければ大変ありがたいと考えております。

 それから、第2点目でございます。18ページと22ページについてです。現在我が国が締結しておりますEPAが非常に多くなり、かなりの貿易の量を占めていることは事実です。その分、様々なEPAが重複的に同じ国の間でも適用される可能性が出ていると理解をしております。特に22ページに関して感じたところでございますが、EPAの利用促進に向けた取組の中で重複的に適用されるEPAのうち、どれを使うことにどのようなメリットがあるのか、またどれを使うことが有利なのかということを、紛争解決制度も含めてぜひ一般の方々にも分かるように周知していただければありがたいと思います。以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございます。では、馬場監視課長、どうぞお願いいたします。

馬場監視課長 河野委員、ありがとうございます。

 最初に御指摘いただきました保税制度についてでございます。先月9月22日にアンケートの回答を締め切りまして、2,200超というかなりの回答をいただきまして、まずは集計した結果を見ていきたいと思っております。ただ、このアンケートの中身のみに限らず、いろいろなところからヒアリングは併せて実施しながら検討を進めていきたいと考えております。まさに委員の御指摘も踏まえながら引き続き検討していきたいと考えております。

香川経済連携室長 経済連携室長の香川でございます。

2点目の質問についてお答えいたします。河野委員御指摘のとおり、EPAは今21本ございまして、重複しているところは確かにございます。例えばマレーシアでしたら、日マレーシア、日ASEAN、RCEPとCPTPPという状況になっております。各EPAでは、関税も即時撤廃の場合もございますけれども、ステージングといって段階的に引き下げられている場合もございます。そうしますと、現在または来年、どの税率が適用されるかが分からないと利用者もすごく迷ってしまうと思いますので、そちらについて当室でステージング表という形でホームページでも公表してございますし、また全国の税関においてもそちらを使いながら、どの税率が有利ですと説明してございます。

 また、紛争解決制度についてもいろいろな差異が確かにございます。例えば原産地証明制度での事後確認の事例とか、いろいろな経験や事例を集めてセミナー等で提供はしておりますので、さらに情報の提供に努力をしていきたいと考えております。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

 それでは、植田委員、どうぞお願いいたします。

植田委員 できるだけ簡潔にいたします。

 私は、目先のことというよりも、中長期的なパースペクティブと言いますか、方向性が気になるところでコメントが2つあります。

 1つは、目先では輸入禁止措置とかいろいろやられていますけれども、場合によってはうまく迂回されてうまくいかなかったり、もしくはオーバーにやり過ぎたりというのもあるかもしれません。ただ、いずれにしても、どこから来てどこに行くのかというのが分かっていないといけないということで、原産地証明が重要になってくると思います。これはEPAだけでなくていろいろな制裁措置などについても原産地証明は当然重要になってくると思います。それで、今はどうもアドホックにいろいろやられているようですが、せっかくWCOという世界的な機構があるので、何とかしてこの原産地証明を世界的に標準化していくことを呼びかけられないものかと思います。もう既にやられているのかもしれませんが、方向性としてはそうすべきではないかなというのが1つです。

 もう一つは、保税制度についてですが、単に保税地域に置いておくといろいろと便利ということだけではなくて、例えば東京は金融センターを目指しているというようなこともありまして、昔で言えば、例えば大阪には江戸時代には、堂島の米問屋があり米取引市場が盛んになったということもありますので、ぜひこの辺は、例えば商品取引所などと連携して、金融センターの機能と一体化していくような方向性で考えていけたらいいのではないかなと思っております。以上です。

森田分科会長 ありがとうございます。これについては御意見ということですので、それで承ってもよろしゅうございますでしょうか。

植田委員 特にあればお願いいたします。

森田分科会長 では、どうぞお願いいたします。

志賀参事官(国際協力担当) 関税局で国際協力を担当しております参事官の志賀と申します。

 WCOにおける原産地証明書の議論でございますが、実は昨年、WCOにおきまして、全メンバーに対して原産地証明書の電子化の実態に対する質問票による調査が行われまして、本年取りまとめられて公表されました。本年度におきましても、WCOの年度というのは実は夏に始まりますが、同様の調査がまた組み込まれております。そのため、標準化の議論というところにはまだ至っておりませんが、今後そのような議論が行われる場合には我が国としても積極的に参画していきたいと思っております。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

 それでは、一応私が把握した順番になりますが、オンラインで佐藤基嗣委員、お願いできますか。

佐藤(基)委員 関経連から参加しております、パナソニックの佐藤でございます。御説明ありがとうございました。

 まず、スマート税関構想について、このデジタル化の推進という形で、我々利用者の利便性が上がるということにおいては本当にありがたい取組だと思っています。特にこの原産地証明に関して、理想は電子化ということになると思いますが、当然これは相手国あっての話なので、交渉に時間がかかるということの中で考えますと、現実的には、我々実務的な視点で考えると、PDFによる受理であってもかなりメリットは出せると思っておりますので、ステップを刻みながらでもとにかく前に行くという進め方をしていただけたら大変ありがたいと思っております。これはお願いです。

 EPAに関して、2点質問があります。1点目は、CPTPPについても、加盟が増えることは産業界としても当然多国間の経済活動が活発になるので歓迎いたします。特にこのCPTPPについては、イギリスは承認されましたけれども、中国と台湾が正式に加入申請をしており、特に中国に関しては、国有企業の存在であるとか、電子取引とか、人権問題とかいろいろ課題がたくさんある中で、今の進捗状況はどのような状況でしょうか。これは現段階で言える範囲で、支障のない範囲で御教示いただけたらありがたいと思います。

 2点目は、先ほどの御質問に少し重なりますけれども、アメリカがCPTPPへの復帰はもうほぼ望みにくい、IPEFに集中するという意向を出しております。その一方で、関税に関する議論も含めてのマーケットアクセスはこの対象にならないということの中で、かつ、4つの柱の中でモジュール単位で選択できるかと思います。具体的にインドが例えば貿易を含んでいないというようなプラットフォームになったときに、アメリカはこのCPTPPに入らない代わりにIPEFで一体何を目指しているのか、そのことが日本の産業界にとってどんな影響があるとお考えなのかを教えていただければありがたいと思います。以上です。

森田分科会長 ありがとうございます。それでは、お願いいたします。

坂本原産地規則室長 原産地規則室長の坂本と申します。

 1点目の原産地証明書の電子化よりもPDFでの提出を進めていただけないかというご意見に関して、お答えいたします。現在我が国ではRCEP協定、日タイ、日マレーシア、日ベトナム、日ASEANのうちマレーシア及びベトナム向け、日インドの各EPAに基づく原産地証明書について、日本からPDFファイルで発給しており、また相手国からのPDFの原産地証明書が受け入れられているという現状にございます。引き続き経産省とも連携しながら拡大に努めてまいりたいと考えております。私からは以上です。

佐藤(基)委員 すみません、PDFを優先ということではなくて、電子式ができない場合にPDFを代替案としてぜひ進めていただきたいという意味です。よろしくお願いします。

坂本原産地規則室長 はい、承知しました。

森田分科会長 ありがとうございました。それでは、お願いいたします。

仲参事官(国際交渉担当) IPEFについて何を目指しているのか、アメリカの考えについて御質問がありました。安全保障を含めていろいろな枠組みがあると先ほど申し上げましたけれども、自由貿易体制ということに絡んで、アジア太平洋地域でのアメリカの強いコミットメントを示したいというのがIPEFを進めていく一番の理由だと思います。確かに関税率についての議論はないのですが、それ以外にも自由貿易体制に重要になってくる案件、サプライチェーン、クリーンな経済、公正な経済もあります。柱1の貿易においても、競争性あるいは我々今関わっております貿易円滑化といったところで、他にもCPTPP等も含め様々な水準がございますけれども、高い水準での貿易の円滑化、例えば電子化や港湾等での円滑化も含めて議論が行われているところでございます。

 具体的な経済界への影響はなかなか申し上げづらいところではございますけれども、税率以外でも、域内での加盟国間での貿易の円滑化あるいは貿易やサプライチェーンの強靱化も含めて企図されておりますので、経済の深化といった点ではよい影響があるのかなと思います。自由貿易という観点での深化が行われていくものではないかと私は考えております。

森田分科会長 続いてどうぞお願いいたします。

内野審議官 恐れ入ります。渉外担当の審議官の内野と申します。

 CPTPPの加盟国の見通しについては、非常にセンシティビティーが高いものでございますので迂闊なことは申し上げられません。CPTPP自体が、全加盟国のコンセンサスがなければ新規加盟は認められないということは御理解いただければと思います。各国濃淡がある中でコンセンサスが取れるかどうかということから、見通しは推測をしていくしかなかろうというのが私の認識でございます。

 それから、IPEFについては、やはり経済安全保障と絡んだ思惑を感じるような内容でございまして、この部分についてはむしろ巨大なマーケットのある国がここの中の枠組みに入れないような柱があるとしますと、それは日本企業にとってはチャンスという部分もあるということは巷間で言われていることかと認識しております。ありがとうございます。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

 それでは、次に杉山委員、お願いいたします。

杉山委員 ありがとうございます。これまでほかの委員から御質問と回答がありましたので、重複するところもあるかもしれませんが、私もIPEFについて質問がございます。こちらに日本が参加することによるメリットを得るための戦略的な施策などがあれば御教示いただければと思った次第でございます。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 お願いいたします。

内野審議官 戦略的な視点ということで申しますと、先ほど申し上げました、やはりIPEFは経済安全保障的な観点が含まれておるということでございまして、やはりアメリカの、殊に民主党的な価値を重視したものが前面に出てきておるわけでございます。これはむしろ日本のような非常に先進的でかつ自由な民主的な体制の国家にとってはむしろハードルが低いと申しますか、当然このようなことを認識して政府や企業も動いておるような国家におきましてはある意味で優位性があるんだろうということで、積極的にコミットをしながら、ただ、我々が譲るべきではないところは譲らないという形で、もろもろの折衝が行われるところでございます。ありがとうございます。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

杉山委員 ありがとうございます。

森田分科会長 ありがとうございます。

 それでは、清水委員、お願いいたします。

清水委員 私からは2点ございます。

 まず最初、4ページ目に輸入申告項目の見直しがございます。こちらに関して今回行われたのは個人の輸入を対象としたのかと思います。私は、税関の輸出入申告データを使った公募研究の第1号をやらせていただいております。貴重なデータを使わせていただき、本当にありがとうございます。その成果の論文も、財総研に今3本ぐらい出ています。実は、サプライチェーンの中で企業内貿易かどうかというのを私の研究では行いました。この輸出入申告データの項目の中には、輸出相手国・輸入相手国の住所などを書く項目はありますが、それが企業内貿易であるかどうかという申告項目はございません。今後の原産地証明の電子化などを考慮するに当たりましても、実は、フランスを例に輸送用機器で分類してみたら、7割以上が企業内貿易でした。したがって、企業内貿易をちゃんと認識することにより、原産地証明なども含めた手続の簡素化、例えば、事前に書類を提出するなどのことができるのではないかと考えております。同時に、TSMCのように外資の大きな製造業が日本に進出してきています。そういう意味では、外資の製造業にとってもこの輸出申告がやりやすいこと、そしてまた彼らが外資・外国と企業内貿易をするときにもある程度簡素化ができるということは、日本をサプライチェーンの拠点にする上でも非常に重要な政策だと思っております。その点についてぜひ御検討いただきたいというのが第1点です。

 第2点は、インバウンドに関してです。消費税収入が増えている、というグラフがあったと思います。私の懸念は、これだけ中国人の方も含めて大きな買い物をしていらっしゃる方が非常に多いというのは実感していますが、彼らが20万円の上限をちゃんと本当にきちんと消費税を払っているのだろうか、それがちゃんと徴収できているのかをぜひお聞きしたいところです。本来であれば、インバウンドが増えて、その分の消費税の収入というのがもっと増えてもいいのではないのかなと思いますのと、今後も含めてその辺りをきっちり徴収していただきたいです。還付に関しては、既に中国に関してはWeChat Payで税金が還付されています。そういったものを使って、今度はWeChat Payで徴収するということも考えても良いのかと思います。その辺り何かありましたらよろしくお願いいたします。

吉田関税課長 関税課長の吉田でございます。

まず1点目につきまして、清水委員におかれましては共同研究の関係で様々に税関データをお使いいただいて、研究成果を上げていただき本当にありがとうございます。

 御指摘いただきました点につきまして、昨年度御審議いただきまして見直しを行いましたのは、どちらかといいますと小口貨物の急増に対応するためということで、小口貨物を購入する個人に着目した改正でございました。確かに御指摘のとおり、企業間の取引における通関の迅速化というのも非常に大事な点でございますので、今後様々な御意見をいただきながら、関係各課と連携し、見直すべきところは改善するという方針で取組を進めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

森田分科会長 ありがとうございました。続きまして、ではお答えをお願いいたします。

馬場監視課長 監視課長の馬場でございます。

 委員御指摘の2点目、インバウンド、消費税の徴収の観点でございます。税関においては、特に旅行者が購入したものについて免税枠があります。それから、その免税を今度は出国して帰るときに税関の水際において確認するという制度、いわゆる輸販制度の関係もございます。実際、委員御指摘の点もございますけれども、やはりその制度の中で悪用しているようなケースというのも散見されるというところがありまして、ここは関係省庁は、省内で主税局や国税庁ともこういった点について課題があるというところは非常に認識しておりまして、今現在、関係省庁と検討を開始しているというところでございます。

森田分科会長 よろしいですか。

 それでは、宮島委員、お願いいたします。

宮島委員 ありがとうございます。重なっている質問につきましてはやめますので、追加で1点だけです。

 小口貨物の輸入などが増えていることもあって、やっぱり目に見えて物すごく忙しくなっているのではないかと思います。これに対してDX化やいろいろな対応していると思いますけれども、現実問題として今、人材・人手の逼迫感は大丈夫なのでしょうかという御質問です。と言いますのは、これは本当に個人や業者の経験なので、その人だけかもしれませんけど、例えば海外にオーダーをしたときに、それに対して業者から、これに関しては関税がかかるかもしれませんみたいな、そういう案内があります。一般の人から見ると、同じものを買った同じ条件のときに、関税がかかる場合もあるけどかからない場合もあるというのは、関税に対する信頼感にちょっと疑念が生まれるというあまりよくない状況なのかなと思います。それが言ってみれば、きちんとフォローできて、その業者や個人の誤解だったらいいんですけれども、人手が足りなくて何かそこに足りない部分があるかどうか。それから、日本の労働人口は想像を超えたレベルで減っているので、今のデジタル化やDX化とかそういった対応で本当に足りるのかどうか。実はここは、もっと増やせばいいと思っても、それに対する人材がこれ以上は採れないというようなことも今後十分考えられると思いまして、その作業と人材とルールというところに関して今どのような状況なのか伺いたいと思います。

森田分科会長 税関に関して、どうぞお願いいたします。

箭野業務課長 業務課長の箭野でございます。

 人手の件でございますが、私の立場としては足りているというふうに申し上げるしかないのですが、やはり実際の現場において、非常に工夫をしながら、苦労しながらやっているという実態は御認識をいただければと思います。

 もう一つ、税関に対する業者等からのお問合わせの件に関しては、おそらくは大部分の場合においては業者が保険をかけて言っておられる事例であろうというふうに思っております。ちなみに、我々が税率について明確にお答えができない場合というのは、大抵の場合が、それが何に当たるかの分類がよく分からないという場合でございます。例えば、「おもちゃ」というふうに問い合わせを受けても様々な分類がございますので、対象となる貨物について一々細かいことをお聞きしないと、これは税がかかります、かかりませんということが言えないものでございますから、そういった確認の作業において、手戻りが発生するという事例はあるだろうと推測されます。

森田分科会長 ありがとうございます。

 それでは、オンラインで参加されております末冨委員、お願いいたします。

末冨委員 ありがとうございます。簡潔に、コメントを2点と、質問を1点させていただければと思います。

 まずコメントの1点目ですが、保税地域のことについて、迅速にまた詳細に御検討いただいてありがとうございます。前回、関税分科会でコメントをさせていただいたところですけども、迅速に御対応いただいて、またアンケート等について多くの企業の関心があるということですので、今後ますますの発展につながるのではないかと思いまして期待をしております。これはコメントの1点目。

 2点目ですが、国家安全保障の関係のお話がございました。日頃企業の対応を拝見しておりますと、企業にとっては大変な負担になっています。該当品目に当たるかどうか、あるいは許可が必要かどうか等々は基本的に輸出者の責任ということになっていますので、相当な負担になっている中でその判断を行い、なおかつ手続を行うという中で、多くの企業が努力していらっしゃるというふうに感じているところでございます。その法の執行に当たっては、もちろん管理の強化に伴う厳格な執行も重要ですが、貿易円滑も重要なテーマであるかと思いますので、貿易の円滑化という大きなテーマが阻害されるようなことのない法の執行が行われることが企業活動あるいは経済にとって重要なところかと思います。この観点を提起させていただければと思っております。

 最後に質問です。今も多くの方が御質問されていた輸入申告項目の追加、税関事務管理人制度の見直しという輸入貨物への対応の点ですけれども、関税法上は輸入申告者と所有権者は必ずしも概念としてリンクしているものではないと理解しております。今回その輸入申告者の意義を明確にされるということで、できる限り、例えば所有権者と輸入者という概念を近づけるというか、明確にするという御趣旨かなと考えております。しかしながら、必ずしも全ての輸入において輸入者が所有権を取得するわけではなくて、例えば委託販売や委託製造というようなものもかなりの取引が行われておりますから、その場合は輸入申告者と所有権者が一致するものではなく、今回の改正においても処分権者が申告すれば足りると理解をしております。

 それでお尋ねしたいのは、通関業務だけを受託した人がある場合に、輸入申告のときに所有権者あるいは処分権者を申告する必要があるのかと理解していますけれども、その場合に、輸入通関業務だけを委託された人は自ら輸入申告者になれるのか、それとも全くなれなくなってしまうのか。今年10月1日施行の改正前は、通関業務だけを委託した人も輸入申告者になれることがあったと思いますが、改正後は通関業務だけ受託した人は輸入申告者にもう一切なれなくなってしまうのか。例えば処分権者や所有権者を明らかにしても輸入申告者になれないのかというところを1点お尋ねしたいと思います。もし輸入申告者になれないとすると、依然として通関業務だけを受託される方は業務として行われる方も含めてたくさんいらっしゃると思いますが、その場合はいわゆる輸入申告者のために手続を行う限りにおいて、いわゆる代理というか、代行というか、行うというような形になるのかということを教えていただければと思います。最後に、その場合に輸入消費税と関税の支払いは通関業務だけを請け負った人が輸入申告者のために支払うということができるのかということについて教えていただければと思います。

 この改正で少し詳細のところがなかなか分かりにくいところがございましたので、教えていただければ幸いでございます。

箭野業務課長 業務課長でございます。

 ご質問の輸入者と通関業者の立ち位置ということでございますけれども、通関業者というのは、いわゆる輸入の手続の代理というのが基本的な彼らの仕事になります。ご質問に課税関係の話がありましたが、関税を支払う義務があるのはいわゆる代理業をやった通関業者ではなくて、輸入者ということになります。

 あと、輸入業者と通関業者が兼ねられるのかという御質問があったかと思いますけれども、今回の改正は、結局、貨物に関して誰が責任を負うのかを明確にしたいというものでございます。一般的に税関では、輸入の申告に何か問題があったときに、誰に連絡を取ればいいのかというところになるわけですけれども、まず我々税関は通関業者の方に連絡を取らせていただきます。通関業者がしっかりとその輸入者との関係ができているのであれば、通関業者から輸入者に連絡を取っていただいて、我々は、通関業者を通じてその貨物をどういうふうに取り扱えばいいのかということについて御相談ができるということになるわけです。ただ、輸入者が単なる輸入代行者であるというふうになってしまうと、その輸入代行者は輸入について責任を負っているというふうに、書類上はあくまでそういう形に見えてしまうわけで、申告書の上では貨物をめぐる関係者が我々のほうからはよく分からないという世界になってしまいます。そういった不便というか、不明確になっているところをしっかりと整理しようというのが今回の制度改正の趣旨であると御理解いただければと思います。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

 それでは、時間が大分押しておりますので、永沢委員、それから古城委員でおしまいということにさせていただきます。

永沢委員 ありがとうございます。私は、8ページ目のコピー品の水際取締りにつきまして2点お伺いしたいと思います。質問の1点目でございますが、こちらにグラフが出ておりまして、輸入差止件数は26.5%増ということですけれども、先ほど御説明があったかもしれませんが、これは個人使用目的で輸入されるものも規制対象になったことによってこれだけが増えたのかということを確認させてください。

それから、去年の秋に、個人使用目的の輸入も対象になりますという広報活動をかなり目にしたと記憶しております。それが功を奏しているのかどうか、その後、継続的にどのように行われているのかについてお伺いしたいと思います。ECモールでCtoCやCに近いBとCとの取引が増えてきております。水際で止めるだけではなく、そもそも持ち込ませないということを徹底すべきだと思いますが、その辺の周知の取組状況につきまして、2点目の質問としてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 お願いいたします。

伊藤知的財産調査室長兼認定事業者調整官 知的財産調査室長の伊藤でございます。

 まず、最初にいただいた御質問についてですが、昨年10月から本年6月の改正法の施行後9か月の状況で、模倣品の輸入差止件数が、委員からもお話をいただきましたとおり、前年同期比で26.5%ほど増加したところです。この差止件数の増加ですけれども、これが直ちに制度改正の効果と言えるかどうかについては、様々な要素がございますので、今後の経過も踏まえて判断する必要があると考えております。他方で、争う旨の申出の件数は、対前年同期比で大きく減少をしたところです。これは、法改正によって個人使用目的の模倣品であっても輸入ができなくなったということから、相当数の輸入者が争うことを断念したものと受け止めておりまして、このことが差止件数の増加の一因になったと考えられます。したがいまして、これまで税関で止められなかったような模倣品の流入が水際で阻止できているものとして、制度改正の効果が現れていると考えております。

 2つ目の御質問、広報活動についてです。関税局・税関においては、新たな制度を導入して水際で差し止めるということについて、特許庁においては、新たにこうしたものも知的財産侵害物品に当たるということについて広報に取り組んでおります。それから消費者庁や国民生活センターにおいては、こうした取引については気をつけるようにといった一般の方々への周知広報を行っております。こうした関係省庁・機関等と連携をして、知的財産侵害物品が国内に流入しないよう、特にネットやSNSを通じた広報、それからEC事業者の協力を得た周知広報も含めて総合的に取り組んでおりまして、引き続きこうした取組を進めてまいりたいと考えております。

森田分科会長 それでは、古城委員、どうぞお願いいたします。

古城委員 ありがとうございます。1点コメントと、1点質問があります。

 1つは、EPAが貿易総額の8割も占めるというので、やはりこれを活用されないと非常にもったいないので、利用促進をされているということでした。それについて原産地証明がやはりいろいろネックになっているというお話がありました。私もこれは標準化できないのかと思っておりましたので、先ほど御質問があったやり取りで了解しました。WCOで新しいアジェンダになるかもしれないというようなことだとしますと、WCOの御厨事務局長が御退任ということでありますけれども、引き続き日本がある程度リーディングロールを取るような形で、その議論がありましたら引っ張っていっていただきたいと思います。

 それから、質問ですが、ASEANと原産地証明書の電子化について重点を置きながら進めていくというお話でしたけれども、日本とインドネシアについては今年6月に運用を開始しているという御説明でした。これはどのぐらいの速度でほかの国に波及といいますか、運用開始が広がっていくと予測されているのか、よろしければお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 どなたかお願いいたします。

坂本原産地規則室長 原産地規則室長の坂本でございます。

 WCOでの標準化の議論について、先ほど志賀参事官からもお答えしましたけれども、まだアジェンダになっていませんが、もし議論が開始されるようになりましたら日本として積極的に貢献していきたいと考えております。

 2点目のコメントにありました原産地証明書の電子化について、ASEANとの協議と今後の広がりということに関しての質問でございました。まずは現在協議中のタイとASEANの2か国・地域との間でしっかりとデータ交換の枠組みを構築していきたいと考えております。その上で、対象となる国や協定を増やすことに関しては、利用者のニーズや関係省庁との調整なども踏まえて今後検討していきたいと考えております。私からは以上でございます。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

 たくさんの御質問をいただきまして、ありがとうございました。まだ御質問、御意見があるかもしれませんけれども、時間の関係もございますのでこれくらいにさせていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、国土交通省から「国際コンテナ戦略港湾政策について」につきまして御報告をお願いしたいと思います。澤田港湾経済課長、お願いいたします。

澤田港湾局港湾経済課長(国土交通省) ただいま御紹介いただきました、国土交通省港湾局で港湾経済課長をしております澤田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。では、座って御説明させていただきます。

 まず初めに、関税分科会委員の皆様方におかれましては、とん税・特別とん税の特例措置に関しまして御理解を賜り、誠にありがとうございます。昨年の関税分科会でも、特例措置実施後の状況も含め国際コンテナ戦略港湾政策の取組状況を御報告させていただきましたが、本年もコロナ後のコンテナ物流の動向の変化や最新の取組状況などについて御説明申し上げます。

 それでは、お手元の資料2「国際コンテナ戦略港湾政策について」をおめくりいただきまして、1ページ目を御覧ください。最近の国際海上コンテナ物流の動向について御説明申し上げます。1990年は神戸港や横浜港の取扱量が世界でも上位にございましたが、中国をはじめアジア主要港の取扱貨物量が急激に増加し、2022年実績では日本で最もコンテナ取扱量が多い東京港が46位、日本の港湾の取扱貨物量も増加はしているものの、アジア主要港に比べれば相対的に伸びが小さい状況となっております。

 2ページ目を御覧ください。左側の図は、アジアから米国向けの輸出コンテナ貨物量を示したものです。中国が突出して多く、日本は2013年以降おおむね横ばいではあるものの、ベトナムやタイなどの貨物量が年々増加しており、日本の順位は低下してきております。右側の図は、米国からアジアへの輸入コンテナ貨物量を示したものです。近年、ベトナム、タイ、マレーシアが増加しておりますが、日本はそのような中で中国に次いで第2位を維持しているという状況でございます。米国向けの輸出については東南アジア発の貨物の存在感が高まっておりますが、日本も堅調な需要があることが見て取れます。米国からの輸入については、消費地として日本に底堅い需要があることが見て取れるところでございます。

 3ページ目については割愛させていただきます。

 4ページ目を御覧ください。2000年代の半ばからコンテナ船の大型化が急速に進んでいるところでございます。現在就航している世界の最大の大型船は、20フィートコンテナを2万4,000個以上積むことができ、アジアと欧州を結ぶ航路に投入されております。2万4,000TEU級の場合、水深が18メートル必要であり、日本では横浜港の南本牧コンテナターミナルのみが水深18メートルの岸壁を保有しております。

 5ページ目を御覧ください。岸壁水深がおおむね18メートル必要となる1万4,000TEU級以上の大型船の投入隻数が増加傾向にございます。2023年~2025年に竣工予定のコンテナ船のうち、15%が1万4,000TEU級以上の船型となっております。コンテナ船の大型化・超大型化に伴いまして、ますます寄港地が絞られていくことが想定されるところでございます。

 6ページ目を御覧ください。ここからは、コロナ禍における国際海上コンテナ輸送の需給逼迫の影響等について御説明申し上げます。御案内のとおり、コンテナ輸送の需給逼迫により、2020年夏頃から北米西海岸での港湾混雑やコンテナ船の慢性的な運航遅延が発生いたしました。これにより世界的に海上コンテナ輸送のスペースが不足し、海上運賃が高騰するなど、世界の海上コンテナ輸送が大きく混乱いたしました。現在は北米西岸港湾の滞船──船の渋滞は解消しておりまして、運航スケジュールもおおむね正常化したところでございます。海上運賃もコロナ前の水準に戻っているところです。

 7ページ目を御覧ください。コンテナ船の定時率や平均遅延日数のデータからも、輸送混乱が落ち着いてきていることが見て取れるところでございます。

 8ページ目を御覧ください。左側のグラフは、コンテナ輸送需給の逼迫下におきまして、運航スケジュールの混乱などにより、釜山港や上海港でも北米航路の寄港数が減少いたしました。京浜港、阪神港の寄港数の減少度合いは、釜山港や上海港と比較して大きくなっております。これは、船社において運航スケジュール遅延を回復するため寄港地の絞込みが行われた結果、相対的に貨物量が少ない日本が抜港──港をスキップすることの対象となったことによるものでございます。右側のグラフを御覧いただきますと、コンテナ輸送需給の逼迫が緩和いたしました2022年末頃からは、日本の港湾における北米航路の寄港数が回復傾向にあることが御理解いただけると思います。

 9ページ目を御覧ください。需給が逼迫している状況下におきましては、船舶の運航スケジュールの遅延などにより、日本発北米西岸向け貨物のリードタイムが増加いたしました。特に、日本の地方港から国際戦略港湾を経由した場合に比べ、釜山港経由のリードタイムが大きく増加しております。お示ししているのは一例ではございますが、その差は最大で50日程度に達しております。荷主企業からは、もっとリードタイムが大きくなった例も聞いているところでございます。

 10ページ目を御覧ください。北米東岸につきましても同様の傾向にあることがお分かりいただけると思います。

 11ページ目を御覧ください。北米東岸向け航路につきましては2021年半ばから日本に寄港する航路がなくなっておりましたが、2023年3月から横浜港に新たに寄港することとなったところでございます。この航路は、内航コンテナ航路網で国内の各港から貨物を集貨しており、一部の港では釜山港経由に比較してリードタイムが短縮しております。このように、北米向けや中南米向けの輸送については、日本の地理的状況からリードタイムの優位性が発揮できると考えているところでございます。

 12ページ目につきましては、国際海上コンテナ輸送の需給逼迫を受けた荷主等のコメントを掲載してございますが、説明は割愛させていただきます。

 13ページ目を御覧ください。ここからは、国際コンテナ戦略港湾政策の取組状況について御説明申し上げます。御承知のとおり、アジアの貨物量の増大やコンテナ船の大型化による寄港地の集約によって、相対的に貨物量が少ない日本の港が選択されない、または選択されにくい状況となっております。しかしながら、日本に寄港する基幹航路がなくなると、日本企業のサプライチェーンに影響を及ぼし、立地環境が悪化するものと考えられます。このような事態を回避すべく、コンテナ船の寄港地として日本が選択されるよう、貨物を集める「集貨」、貨物を創り出す「創貨」、そして「競争力強化」の三本柱で取組を進めているところでございます。

 14ページ目を御覧ください。とん税・特別とん税の特例措置は、入出港コストの低減により大型コンテナ船の寄港を促すものであり、国際コンテナ戦略港湾政策において重要な取組の一つとなっております。北米・欧州方面の基幹航路に就航する大型コンテナ船に対しまして、2020年10月から本特例措置を認めていただいているところでございます。これにより、北米・欧州航路のコンテナ船の入出港コストについて、近隣諸国の主要港である釜山港・上海港と比較して遜色のない水準に低減されており、これら港湾との競争環境を確保する上でも重要な特例措置となっているところでございます。

 15ページ目を御覧ください。国際コンテナ戦略港湾政策の実施後、コロナ前までは寄港回数をおおむね維持していたところでございますが、今般のコンテナ輸送需給逼迫の影響もあり、2021年、2022年におきまして、基幹航路の日本への寄港回数が減少いたしました。ただし、国際コンテナ戦略港湾に寄港する北米航路の船型は大型化の傾向にございまして、需給逼迫下においても、とん税・特別とん税の特例措置も相まって大型船の寄港について一定の需要があるものと認識しているところでございます。

 16ページ目を御覧ください。国際コンテナ戦略港湾に基幹航路を寄港させている主要なコンテナ船社から、特例措置に関するコメントをいただいております。総じて、船舶が大型化する中で基幹航路の日本寄港を維持するためには輸送コストや港湾コストの低減が重要課題であり、本特例措置の継続が強く求められている状況にございます。

 17ページ目を御覧ください。とん税・特別とん税以外の入出港コストについても、これまで港湾管理者による入港料の軽減や水先料の軽減に取り組んできたところでございます。今年度からの新たな取組といたしまして、2万TEU超となる超大型コンテナ船が入港する際に、追加的に必要となるタグボートの費用を船会社に支援する制度を港湾運営会社が創設いたしました。

 18ページ目を御覧ください。ここからは、入出港コスト以外の主な取組状況や成果について御説明申し上げます。国内の地方港から戦略港湾に寄港、集貨するための内航コンテナ航路を「国際フィーダー航路」と呼んでおります。この国際フィーダー航路については、国内各地にネットワークの拡大が進んでいるところです。

 19ページ目を御覧ください。日本海側は、地理的な面から、これまで国際フィーダー航路の開設は難しいとされていた地域でございます。しかしながら、昨年、国際フィーダー航路が初めて開設され、日本海側の港湾における輸送ルートの選択肢が広がったところでございます。

 20ページ目を御覧ください。国際フィーダー航路は、航路網の拡充に備えて船舶の大型化も進んでおり、着実に競争力の強化が図られております。今年の6月には、これまで最大となる1,000TEU級のコンテナ船が国際フィーダー航路に投入され、8月には2隻目の1,000TEU級の船舶が投入されました。1,000TEU級の船舶は日韓航路と同程度の船型であり、釜山港フィーダーに対して国際フィーダー航路の競争環境が整ってきたものと認識しております。

 21ページ目を御覧ください。日本に寄港する基幹航路の船型については、特に中南米航路の船型大型化が進展しております。現在、アジアと中南米を結ぶ航路の中で最大級となる1万5,000TEU級のコンテナ船が日本に配船されているところでございます。船会社によりますと、今後も中南米航路の大型化は続く見込みであり、引き続き戦略港湾での受入れ環境をしっかり整えてまいるつもりでございます。

 22ページ目を御覧ください。需給逼迫のところでも言及いたしましたが、北米東岸向け航路については2021年半ばから日本に寄港する航路がなくなっておりましたが、今年3月から横浜港に新たに寄港することとなりました。基幹航路の寄港に必要な貨物量の確保という観点では、国際フィーダー航路により国内地方港から横浜港に貨物を集める体制が構築されていたことで、この航路の新規寄港につながった側面もございます。

 23ページ目を御覧ください。コンテナターミナル自体の生産性向上に加え、労働環境の改善も見据え、「AIターミナル」と称してデジタルトランスフォーメーションの取組を推進しているところでございます。例えば、荷役機械の遠隔操作化や、2024年問題も見据え、コンテナターミナルのゲート前混雑の解消に向けた予約搬入システム「CONPAS」などの導入を促進しております。

 24ページ目を御覧ください。港湾労働者の確保が課題となる中で、さらなる生産性向上や労働環境改善に向けた新たな技術開発を推進するための支援制度を本年度に創設し、取組を進めているところです。

 25ページ目を御覧ください。国際コンテナ戦略港湾政策については、コロナ禍の国際海上コンテナ輸送の需給逼迫をはじめ、コンテナ物流を取り巻く情勢変化を踏まえ、本年2月に有識者・関係団体等で構成する検討委員会を新たに設置して、施策の見直しに取り組んでいるところです。6月に中間取りまとめを行うまでの検討の過程で、基幹航路を拡充するためには戦略港湾にさらに貨物を集める必要があるという多くの御指摘を頂戴しており、今後の取組として、東南アジア等からの広域集貨や国際トランシップ貨物を円滑に取り扱えるようにするためのコンテナターミナルの一体利用といった取組に注力する必要があると考えているところでございます。

 26ページ目を御覧ください。本年7月に、名古屋港におきましてシステム障害が発生いたしました。名古屋港は5つコンテナターミナルがございますが、これらを名古屋港統一ターミナルシステムという1つのシステムで動かしているところでございます。このシステムが、不正プログラム、いわゆるランサムウェアに感染いたしまして、名古屋港の搬出入が2日半にわたって止まり、物流に大きな混乱を生ずる事態が発生いたしました。これを受けまして国土交通省では、情報セキリュティ対策のガイドラインを参考に必要な対策を講じるよう注意喚起を実施するとともに、今回のシステム障害に鑑みまして、コンテナターミナルの運営に関する基幹的な情報システムに必要な情報セキリュティ対策などについて整理・検討を行う、有識者等からなる「コンテナターミナルにおける情報セキュリティ対策等検討委員会」を設置いたしました。7月31日に第1回の検討会を開催し、9月29日に第2回の検討会を開催し、その際、緊急に実施すべきセキリュティ対策等についての取りまとめを行ったところでございます。その取りまとめの内容につきましては27ページ目に記載がございますので、お目通しいただければと思います。

 最後になりますが、コロナ禍のコンテナ物流の混乱がおおむね収束し、我が国の基幹航路の寄港回数やコンテナ貨物量も回復傾向にございます。本年に入り、北米東岸航路が約2年ぶりに日本寄港を開始するなど、日本における基幹航路の動向にもよい意味で変化の兆しが見られるところです。国土交通省といたしましては、関税分科会での御議論も踏まえつつ、関係省庁とも連携し、我が国産業の競争力強化に向けた国際コンテナ戦略港湾政策に着実に取り組んでまいりたいと考えております。先生方の御指導、御鞭撻のほど、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

森田分科会長 御説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの報告につきまして御質問、御意見をいただきたいと思いますが、予定より大体30分ぐらい遅れておりますので、簡潔にお願いいたします。

 植田委員、どうぞお願いいたします。

植田委員 どうも御丁寧な御説明をありがとうございます。非常にやはり心配なことは、8ページ目を見てみますと、やはり上海・釜山港に比べると京浜・阪神港というのは非常に取扱いが少なくなって、寄港地ではなくなってきているということです。京浜・阪神港は、どんどん抜港されているということで、飛ばされているというイメージだと思います。それで、13ページ目を見ますと、そうした中で、この国際コンテナ戦略港湾政策というのは、一番上に平成22年(2010年)に策定されて京浜港と阪神港を選定と書いてございますけれども、このままずっとここでやるということなのでしょうか。というのも、いろいろ話を聞いていますと、釜山港の強みというのは、いろいろなページに書いてありますけれども、中国の各所からも集貨しているし、日本海側の日本の港からも集貨しているということですので、京浜港や阪神港はちょっとその辺に対抗するにはやっぱり立地的に弱いのではないかと思います。本当に戦略を考えるのであれば、どうやって釜山港に対抗するかというのを考えないといけないと思います。最後のほうにも出てきましたけれども、東南アジアからも集貨するということを総合的に考えれば、どう見ても九州の北部辺りにむしろ重点的にお金を使って整備するべきであって、どうしてこれは京浜港と阪神港なのかというのが全くよく分からないなというのが私のイメージです。もちろん地価も高いですし、途中書いてありましたけれども横浜港はかなり狭くなっているというようなイメージもありますので、どこが良いかというのは私は分かりませんけれども、地形的に考えて、釜山港とかに対抗するのに、日本海の各港からも集貨してアジアからも集貨するのであれば、やはり九州辺りではないかなというのが私のイメージですが、いかがでしょうか。そういう議論はしないのかというのも質問でございます。

森田分科会長 どういたしましょうか。まとめてお答えいただければと思いますので、続けて河野委員、ご質問をお願いいたします。

河野委員 ありがとうございます。短くですけれどもコメントをさせていただきたいと思います。これまで日本の港湾は地方自治の象徴のような役割を果たしてきたと思います。確かに地方経済にとっての非常に重要な役割は、否定できません。とはいえ、先ほど御説明のありましたような日本国内からの集貨ということを考えますと、やはり国の戦略として日本の国内の港からの集貨をどのように確保するのかを検討する必要があると思います。また、先ほどの1つ目の議題で出ました保税地域の活用ということも、「創貨」につながるわけですから、国の戦略としてどういうふうに日本で貨物に付加価値をつけるのかを考えなければならないと考えております。国土交通省だけではなくて日本全体として、すなわちこれだけ輸入に依存している国として、国家としての安全保障の一貫として港の機能を考えていくかということをぜひ検討していただきたいですし、そのためには何よりも省庁間の連携が大事だと思います。財務省が担う役割はとても大きいと感じておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

森田分科会長 ありがとうございました。

 では、続けて野原委員、杉山委員も御発言いただけますか。

野原委員 野原です。ありがとうございます。私からは、1点コメントをさせていただきたいと思います。

 今日は、国際コンテナ戦略について大変包括的な説明をいただいてありがとうございます。私は数年前まで国交省港湾分科会の委員をしていましたので、このコンテナ戦略についても繰り返し行われた議論に参加しました。この戦略にはすべての課題を解決できる名案がなく、厳しい状況ではありますが、細かい施策を積み上げて努力をされているのだと理解しています。

 関税分科会ですので、とん税についてコメントします。資料11ページの通り、釜山港との大型コンテナ船競争という点では、横浜、清水、名古屋、大阪、神戸、広島の港からフィーダー船で集貨し、横浜港から大型の国際基幹航路で北米方面に向かうという戦略かと思いますので、赤い線のフィーダー船と青い線の大型国際コンテナ船にとってとん税の割引率が高くなるように設定するという誘導戦略が有効だと思います。一方で、19ページの通り、日本海国際フィーダー航路によって、釜山トランシップから神戸港利用への転換を促すためには、その航路に対して使いやすいとん税の設定をするというのも有効ではないかと思います。このように、目的を明確にしたとん税の特別措置の在り方を検討するというのが改善策ではないかと思います。14ページ目の通り、とん税は基本的にトン当たりで料金がかかりますので、大型船ほど金額が非常に大きくなります。特別措置の内容については、「都度納付」「一時納付」の各々の税額を検討するだけでなく、国際フィーダー航路を活用した横浜港への集貨に対して、また横浜からの大型国際コンテナ船をターゲットにした割引の仕方を検討するなど、柔軟な内容を検討してはどうかと思います。

 より目的を明確にして、ターゲットとしている船にとって有効に働くように、国交省と関税局とで特別措置の改正案を検討されてはいかがでしょうか。

 以上、コメントですが、もし何か御回答いただければそれもよろしくお願いします。以上です。

森田分科会長 ありがとうございました。幾つか御質問が出ておりますので、この辺りで、澤田課長から最初の植田委員の御質問に回答をお願いいたします。

澤田港湾局港湾経済課長(国土交通省) 植田先生、御質問くださいましてありがとうございました。もともとこの国際コンテナ戦略港湾は、選択と集中により日本の港湾の国際競争力を強化するというために、公募によりまして平成22年に京浜港と阪神港を選定させていただいたところでございます。横浜港は、特に首都圏に集積する産業の輸出拠点、そして消費を支える輸入拠点としても大きな役割を担っているところと考えておりますし、また、東日本全域を後背圏として、広域からの貨物の集約拠点としての役割を有しているところでございます。加えまして、横浜港は北米や中南米方面との輸送について地理的にリードタイム上の優位性を持っていると考えております。そうした中、国際基幹航路の大型船の受入れや貨物の積替えに対応したインフラ整備に加えまして、とん税の特例措置をはじめとするソフト面の環境整備についてもこれまで取り組んできているところでございます。なお、横浜港を含む京浜港においては、国内地方港から広域集貨網の構築にこれまで長年にわたって取り組んできた結果、一定程度のネットワークも既に形成されているところでございます。仮にほかの場所に新たにコンテナの拠点港を設置するとなった場合には、新たなインフラ整備に加えましてこうした集貨のネットワークもまた新たに構築する必要があるなど、非常にハードルが高いのではないかと考えているところでございます。

森田分科会長 とん税についてお願いいたします。

吉田関税課長 関税課長の吉田でございます。

 とん税について御質問いただいたところでございます。入港コストということで申しますと、とん税以外にも様々な経費がある中でございまして、その中でどういった在り方が望ましいのかというのを議論することは大切なことでございます。その上で、御指摘をいただきましたとおり、どういった施策を講じれば効果的かというのを議論するのは非常に大事なことでございます。現在講じている措置の考え方でございますが、これは当時の議論を振り返りますと、北米航路等につきましてはアジアの航路に比べますと入港回数が少ないということで、既に1年間まとめて払うことによって減免措置を講じているわけでございますが、バランスをきちんと整えようということで、比較的回数が少ない北米航路とアジアの定期船とのバランスを取る観点からこのような措置を講じたという議論があったと承知しております。そのように、様々な措置を講じる上ではきめ細かく議論した上で対応していく必要があろうかと思います。御指摘いただき、ありがとうございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして杉山委員、それから清水委員、根本委員の順番でお願いいたします。

杉山委員 ありがとうございます。私からは3点質問がございます。

 1点目は、資料14ページ目のとん税・特別とん税のところでございますが、特別措置の効果は現在までどのように評価されているのでしょうかということです。

 2点目は、一時納付の利用は増加しているのでしょうかということです。

 3点目は、都度納付を選択したとしても、例えば2度目以降は税金を軽減するといったような措置は制度上検討が可能なのでしょうかということの、以上3点でございます。よろしくお願いします。

吉田関税課長 御質問いただいた3点のうち後ろから、制度設計する上ではシンプルな制度にしておくということがまず大事かと思いますので、現在の制度の形を基本に考えていく必要がございます。あまり複雑にしますと制度の運用の観点が少しあろうかと思いますので、現在の制度を前提にしながら、引き続き見直す点があれば見直していくということかと思います。

 2点目の一時納付の利用の増加につきましては、現状でございますが、それほど大きな変化はここ数年で見ても見られないところでございます。少し十分なお答えになっておらず、恐縮でございます。

 すみません、恐縮でございますが1点目は。

森田分科会長 すみません、ではもう一度1点目の御質問をお願いいたします。

杉山委員 1点目は、この特別措置が導入されてしばらく経つわけですけれども、これまでの特別措置の効果というのはどのように評価されているでしょうかということです。

澤田港湾局港湾経済課長(国土交通省) 杉山委員、御質問くださいましてありがとうございます。我々としましては、このとん税や特別とん税の特例措置に加えまして、様々な制度が相まって船会社は日本の港湾を選んでくださっていると考えております。そのため、これらの制度があるおかげで、今まさに船会社が日本の港湾に寄港してくださって、さらに船舶の大型化が図られている。そういう中で、一定程度の効果というものが発揮されていると考えているところでございます。

森田分科会長 よろしいでしょうか。

杉山委員 はい。ありがとうございます。

森田分科会長 では、清水委員、どうぞお願いいたします。

清水委員 本日の御説明ありがとうございます。説明資料ないしアンケート調査を読ませていただきますと、都度納付におけるとん税に関してもやはり下げていただけるとありがたいみたいなコメントが散見されております。また、日本の荷主のコメントの中でも、釜山港の利用はいろいろなコストがあるというようなことも書かれています。したがいまして、とん税を下げるということは、そのとん税収入が少なくはなりますが、一方で日本企業のメリットが多いということも考えられると、この間は、都度納付におけるとん税はそのままで、1年間分をまとめて払う一時納付の減額が行われておりますが、都度納付におけるとん税に関してもこういったコメントをいただいたことを反映して、今後下げるというような御予定はあるのかどうかということをお聞きしたいと思います。

吉田関税課長 とん税につきましては、現在講じている措置を維持しているわけでございますが、その効果なども踏まえながら、今、澤田港湾経済課長からも御説明がございましたとおり、港湾政策全体としてどういった方策を取るのが効果的なのかという観点も踏まえながら検討して、その中でとん税の議論等があればそういう議論が行われていくということになろうかと思います。

森田分科会長 よろしいですか。

 では、根本委員、どうぞお願いいたします。

根本委員 ありがとうございます。10年前にこの国際コンテナ戦略港湾政策が立案されたということですけれども、見直しがやはり必要になっているのかなという気がします。現在見直しをされているということで、そういうのに期待したいわけですけれども、やはり一番の問題は、その評価指標として欧州航路・北米航路の寄港数というのを評価指標にしているというのが合わなくなってきているということだと思います。コンテナ船が物すごく大きくなって2万TEUを超えているということですから、一度に下ろす・積む貨物がないと船社はなかなか寄ってもらえないということはあると思います。ただ、御説明の中で、北米の東ですか、パナマ運河を通れる1万TEUちょっとの船が日本に来るようになったとか、東南アジアの航路もどんどん大きい船が東南アジアから来ているということも聞いております。ですから、日本の実力に合ったそのような船が増え、そしてそれは日本の荷主にとっても非常にメリットのあることなので、そういうことを評価するような仕組み、それに対応した港湾の整備というのを考えていったらいかがでしょうか。以上です。

森田分科会長 ありがとうございます。コメントでございますが、澤田課長、どうぞお願いいたします。

澤田港湾局港湾経済課長(国土交通省) 根本委員、貴重なコメントをありがとうございます。まさにこのような欧州航路、それから北米航路の寄港数というところを見てまいりましたけれども、今委員がおっしゃられましたように、どんどん船が大型化する中で、このコンテナの取扱量というところも重要になってきていると思っているところでございます。いずれにしても、選ばれるか選ばれないかというところは、やはり様々な要件がある中で貨物量があるというところも非常に大きな要素になっていると思っておりますので、我々としてはしっかりそれに対応できるような政策というものを取っていきたいと思っております。ありがとうございました。

森田分科会長 ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、時間も大分たっておりますので、この辺りで質問、御発言は終わりにさせていただきたいと思います。

 それでは、最後になりますけれども、事務局から連絡事項がございますので、吉田関税課長より説明をお願いいたします。

吉田関税課長 本分科会における議事録の取扱いにつきましては、当審議会議事規則第5条の規定によりまして原則公開とされております。本日御発言いただきました委員の方には、議事録案がまとまりました段階で御発言部分を事務局から送付をさせていただきます。送付をさせていただきました後、1週間程度の間に御意見などがない場合には、恐縮ではございますが御了解いただいたものとさせていただきたいと存じます。議事録の取扱いにつきましては今後ともこの扱いで進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 また、当分科会の終了後、引き続きこの会場におきまして特殊関税部会を開催させていただきます。恐縮ではございますが、特殊関税部会の委員の方々におかれましては、そのままお待ちいただければと存じます。

 以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 以上をもちまして本日の関税分科会を終了いたしたいと存じます。本日は大変活発な御発言をありがとうございました。予定よりも大分時間が遅くなりましたけれども、この後、引き続き特殊関税部会の開催がございます。

 次回の関税分科会の開催につきましては、11月7日(火曜日)の10時開始を予定しております。詳細につきましては事務局と調整の上、別途御連絡を差し上げたいと思います。

 それでは、本日は、御多用のところ御出席賜りまして誠にありがとうございました。これで終了とさせていただきます。

午前11時56分閉会