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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (令和5年4月10日開催) 議事録

  1. 開会
  2. 関税分科会長の選任
  3. 関税分科会長代理の指名
  4. 部会に属すべき委員等の指名、企画部会長及び特殊関税部会長の指名
  5. 最近の関税政策と税関行政を巡る状況
  6. 閉会

出席者
委員 伊藤 恵子 財務省 諏訪園関税局長
植田 健一 山崎審議官
片山 銘人 柴田審議官
金原 壽秀 河西総務課長
河野 真理子 吉田関税課長
木村 旬 河邑参事官
木村 福成 志賀参事官
古城 佳子 西川監視課長
佐藤 基嗣 小多業務課長
杉山 晶子 馬場調査課長
高橋 裕子 澤藤事務管理室長
田邊 國昭 鈴木特殊関税調査室長
田村 善之 近田原産地規則室長
永沢 裕美子 荒巻税関調査室長
根本 敏則 松田経済連携室長
野原 佐和子 伊藤知的財産調査室長
森田 朗
和田 照子
専門委員 阿部 克則
石黒 憲彦
大橋 弘
国松 麻季
末冨 純子
藤岡 博
宮島 香澄

 

午前11時17分開会

吉田関税課長 ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 私は、関税分科会の事務局を担当しております関税局関税課長の吉田でございます。分科会長選任までの間、議事進行を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本分科会の委員名簿は資料1のとおりとなってございます。また、本日の議題は議事日程のとおりでございます。

 それでは、委員改選後初めての関税分科会でございますので、分科会長の選任をお願いしたいと存じます。

 分科会長につきましては、関税・外国為替等審議会令第6条第5項の規定によりまして、互選により選任することとされております。早速ではございますが、どなたか分科会長を御推薦いただけますでしょうか。

 古城委員、お願いいたします。

古城委員 私は、先ほど総会で関税・外国為替等審議会の会長に選任されました森田朗委員を推薦したいと存じます。森田委員は、行政学の分野で大変多くの実績を上げられているとともに、様々な審議会に参加してきており、また、平成27年4月以降は、関税分科会長として関税率及び関税制度の改正に関する答申書の取りまとめに御尽力いただいております。その幅広い知識及びこうした御経験を考え合わせますと、関税分科会長は森田委員がふさわしいと存じます。

吉田関税課長 ありがとうございます。

 ただいま古城委員より森田朗委員を推薦する御提案がございましたが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

吉田関税課長 皆様方の御賛同を得ましたので、分科会長は森田委員にお願いしたいと存じます。森田分科会長におかれましては、恐縮ではございますが、こちらの会長席にお移りいただければと存じます。

(森田分科会長着席)

吉田関税課長 それでは、以後の議事進行を森田分科会長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 皆さん、おはようございます。森田でございます。

 ただいま分科会長に選任していただきました。これから務めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様方の御協力をいただきまして、これからの分科会の円滑な運営に努めてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速ではございますが、分科会長代理、部会に属すべき委員及び部会長の指名につきまして、吉田関税課長より御説明をお願いいたします。

吉田関税課長 それでは、私から、分科会長代理、部会に属すべき委員及び部会長の指名につきまして御説明を申し上げます。

 まず、分科会長代理につきましては、関税・外国為替等審議会令第6条第7項の規定によりまして、分科会長が指名することとされております。また、部会に属すべき委員及び部会長につきましても、関税・外国為替等審議会令第7条第2項及び第3項の規定によりまして、分科会長が指名することとされております。

 分科会長代理、企画部会、特殊関税部会に属すべき委員、企画部会長及び特殊関税部会長につきまして、森田分科会長より指名をお願いしたいと存じます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局から名簿案を配付させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(名簿案配付)

森田分科会長 お手元に届きましたでしょうか。

 ただいま配付させていただきました名簿案のとおり、各部会に所属すべき委員を指名させていただくとともに、分科会長代理及び企画部会長を根本敏則委員、特殊関税部会長を河野真理子委員、それぞれの委員にお願いしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは続きまして、今後の審議の参考といたしまして、「最近の関税政策と税関行政を巡る状況」につきまして、河西総務課長から御説明をお願いいたします。

河西総務課長 ありがとうございます。総務課長の河西でございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、資料3に沿いまして御説明をさせていただきます。

 まず、2ページ目と3ページ目は、令和5年度関税改正の概要でございます。昨年秋に関税分科会において御審議をいただき、関税・外国為替等審議会答申としてとりまとめていただいた内容を踏まえた関税定率法等の一部を改正する法律が3月30日に国会で成立し、一部を除き4月1日より施行されております。

 改めて、昨年秋の委員の皆様の御審議にお礼申し上げます。

 続きまして、5ページ目をご覧ください。日本の輸出入の最近の動向でございます。

 まず、輸出額は、足元、本年2月に対前年同月比で6.5%増となるなど、価格の上昇によりプラスが継続している一方、輸出数量の伸びは、中国向けの自動車等の減少等によりマイナスで推移している状況でございます。

 一方、輸入額は、足元直近の2月に対前年同月比で8.3%増と、25か月連続でプラスとなっております。引き続き資源価格の高騰などの影響がありますが、昨年の秋をピークに、資源価格が下落に転じているということもあり、伸び率そのものは鈍化傾向にございます。

 2022年の貿易赤字は、過去最高の19.9兆円となっておりますが、足元では輸入の伸び率の鈍化に伴い、貿易赤字そのものは、2月で見ますと縮小しております。資源価格の動向やサプライチェーンの動向など、日本の貿易をめぐる様々な状況につきまして、引き続き注視してまいります。

 続きまして、6ページ目をご覧ください。こちらはインバウンドの回復状況でございます。昨年10月の水際措置の緩和後、コロナ感染拡大以前と比較いたしまして、下の左側の図にございますように、5割を若干上回る程度まで回復をしております。また、本年1月に、本邦船社の国際クルーズ船が約3年ぶりに入港して、3月以降、外国船社の国際クルーズ船が入港を再開しております。水際措置の段階的な緩和を踏まえ、今後さらなるインバウンドの回復が見込まれる中、引き続き迅速な通関と厳格な水際取締りに努めてまいりたいと思っております。

 続きまして、7ページ目をご覧ください。G7広島サミット及び関係閣僚会合への対応でございますけれども、今月から全国各地で閣僚会合が開催されております。関税局、税関といたしましては、設置をいたしました対策本部を中心に、水際取締りの警戒レベルを上げて対応しております。半年以上の長期間にわたる対応となりますが、緊張感を持ってしっかりと対応してまいります。

 続きまして、8ページ目は、急増する輸入貨物への対応でございます。越境電子商取引、越境ECの拡大に伴いまして、右側でございますが、令和4年における航空貨物の輸入許可件数が1億件を超すなど、依然として増加傾向にございます。

 この対応につきましては、令和5年度関税改正で、例えば税関長が税関事務管理人を指定できる規定の整備などを措置いたしました。

 輸入貨物の増加傾向が今後も継続することを見据え、引き続き多面的な取組を行ってまいります。

 続きまして9ページ目をご覧ください。ロシア等に対する経済制裁につきましては、G7各国と連携をしながら、外為法により輸出禁止措置などを実施しております。

 昨年の12月以降では、上限価格を超える価格で取引されるロシア産原油の輸入禁止措置を実施するなどしております。

 また、ロシアに対する関税における最恵国待遇の撤回につきましては、本年3月に政令改正を行いまして、その期間を令和6年3月31日まで延長する対応をいたしました。外為法を踏まえた輸出禁止措置の実施も併せまして、税関当局としても、他の政府関係機関と連携しながらしっかりと対応してまいります。

 続きまして、10ページ目をご覧ください。令和5年度の税関の定員につきましては、先ほども申しました輸入貨物の急増ですとか、あるいは経済安保への取組などにしっかり対応すべく、対前年度比で104名の純増を確保しております。

 また、予算につきましても、水際取締り対策として、X線検査装置などの取締・検査機器等の配備に係る経費などを計上しております。引き続き令和5年度における人員、予算を活用しながら、効率的、効果的な税関行政のさらなる実現に向けてしっかりと対応してまいります。

 続きまして、11ページ目をご覧ください。令和4年における不正薬物の押収量につきましては、7年連続で引き続き1トンを超え、依然として深刻な状況となっております。航空貨物や国際郵便物からの摘発件数につきましては、依然として高水準で推移しているほか、足元では、水際措置の緩和に伴い、航空機の入国旅客が増えておりますが、それに伴い航空機旅客による密輸が増加をしておりまして、警戒が必要な状況でございます。不正薬物に対する厳格な検査と迅速な通関を両立するために、最先端技術の積極的な活用も含めてしっかりと対応してまいります。

 続きまして、12ページ目をご覧ください。令和4年の知的財産侵害物品の輸入差止件数は、2万6,000件を超え、引き続き高水準で推移をしております。

 令和4年度改正に盛り込まれ、昨年10月に施行しております改正、すなわち海外の事業者が郵送等により国内に持ち込む模倣品について、個人使用目的であっても取締りの対象といたしました。その効果を見てみますと、右側の図でございますけれども、改正後の3か月間で輸入差止件数は前年同四半期ベースで見ますと2割増となるなど、改正の効果が表れているものと考えております。

 また加えまして、令和5年度改正として、本年3月の政令改正で簡素化手続の対象に特許権等を追加したところでございます。本年10月の施行に向けまして、権利者への周知などをしっかりと実施しまいります。

 続きまして、13ページ目をご覧ください。昨年11月の税関発足150周年を機に、スマート税関構想2020の策定後の新たな環境変化に対応するために、スマート税関の実現に向けたアクションプラン2022を公表いたしました。スマート税関構想の施策につきましては、工程表に基づいた進捗管理を行っており、アクションプラン2022に係る新規施策につきましても工程表を作成する予定にしております。

 14ページ目は、主な税関発足150周年事業の実施状況についての御紹介でございます。これまで税関が果たしてきた役割や意義につきまして、国民の皆様のさらなる御理解をいただくように様々な事業を企画、運営してまいりました。

 続きまして15ページ目は、貿易統計における貿易取引通貨別比率の公表内容の拡充についてでございます。左の図にございますように、現在におきましては、関税局では、貿易取引通貨別比率といたしまして、米国、EU、アジア等との貿易取引で使用された主要通貨の割合を公表しております。今般、個者の営業上の秘密等が判別されないように適切に配意した上で、税関データのさらなる利活用を図る観点から、右の図にございますように、公表の対象国・地域を拡充することとしております。

 次の16ページ目に、拡充版のサンプルを掲載させていただいております。現在、令和5年7月に、令和5年上半期分を税関ホームページに掲載するため準備を進めております。

 続きまして、17ページ目をご覧ください。こちらの輸出物品販売場制度は外国人旅行者等が免税店で通常生活の用に供する物品を国外に持ち出す、輸出するために購入する場合に、その消費税が免除されるというものでございます。税関では、外国人旅行者等が出国をする際に、免税購入品と購入記録情報との確認を行いまして、輸出しないことが明らかになった場合には、免除された消費税を徴収しております。

 令和4年度の執行実績は、20.7億円、315件の賦課決定を行い、うち20億円、126件が滞納となっております。

 執行上の問題点としましては、税関当局として、検査体制の強化を図っているものの、外国人旅行者の出国便につきまして、例えばダミーの予約が複数入っていたり、あるいは搭乗手続の締切り間際にチェックイン手続を行ったりすることなどにより、税関のチェックを免れ捕捉ができない購入者も存在しているところでございます。

 また、賦課決定を行ったとしても滞納となっている事例も多数ございまして、引き続き国税当局等とも密接に連携の上、厳正な対応が必要な状況でございます。

 18ページ目及び19ページ目に、さきの衆議院財務金融委員会の模様を掲載させていただいております。関税局長から税関の執行について答弁をさせていただき、委員からは、諸外国で導入済みのリファンド方式を検討すべきとの指摘がございました。関税局としても、こうした国会でのやり取りも踏まえ、関係当局とも引き続きしっかりと議論をしていきたいと思っております。

 続きまして、国際関係でございます。

 21ページ目をご覧ください。過去5年間のEPA税率を適用した輸入額の推移について、2018年のCPTPP、いわゆるTPP11の発効以降、日EU・EPA、RCEPの発効に伴い年々増加し、2022年では13兆円を超えております。特にRCEPが占める割合が約31%と最も多くなっている状況でございます。

 また、品目別で見ますと、肉類が最も多く9.8%、そして、プラスチック製品、衣類と続いておりますが、比較的、各品目に分散する形で利活用されている状況でございます。引き続きEPAの適切かつ円滑な実施に努めてまいります。

 続きまして、22ページ目は、原産地証明書のデータ交換に係る協議の状況でございます。産業界からのニーズも踏まえ、2021年から、インドネシア、タイ、ASEANとの間で原産地証明書のデータ交換に向けた協議を開始し、システムの開発などを進めております。

 早期のデータ交換の開始を目指しており、このうち日インドネシアEPAにつきましては、本年6月の運用を目指しており、今2国間で作業を加速化させて進めているところでございます。

 また、これに加え、タイ、ASEANとの協議も継続しており、原産地証明書のデータ交換の実現に向けまして、さらに取組を続けてまいります。

 続きまして、23ページ目をご覧ください。英国のCPTPP加入につきましては、英国からの2021年2月の加入申請以降、累次の交渉を経まして、本年3月31日に交渉が実質的に妥結した旨の閣僚声明が発出されました。今後加入議定書等の作業を進めていく予定になっており、関税制度を所管する財務省といたしましても、早期の署名を目指しまして、関係省庁と連携の上、取り組んでまいりたいと思っております。

 24ページ目をご覧ください。国会承認のために手続が進められている日豪円滑化協定と日米宇宙枠組協定におきましては、特定の輸出入に係る関税等の免除規定が設けられております。両協定が国会で承認をされた際には、関税関係の政令改正が必要となりますので、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 最後に25ページ目をご覧ください。WCO-UPU合同グローバルカンファレンスの概要についての御紹介でございます。UPUは万国郵便連合の略でございます。

 Eコマースの拡大に伴い、郵便物の急増と適正、迅速な通関が世界的な課題となる中、税関関係、そして郵便関係、それぞれの国際機関であるWCOとUPUのトップを日本人が務めているということで、両機関の協力関係が加速化しております。

 その一環といたしまして、税関当局及び郵便事業体が協力して、事前の電子情報の活用や安心安全な国際郵便物流の確保を推進すべく、初となる合同カンファレンスの開催に向けて調整が進んでおります。本年6月に東京で開催をされる予定ということで、厳格な水際取締りと迅速な通関の実現に向け、郵便事業体との連携もしっかり進めてまいりたいと考えております。

 駆け足になって恐縮でございますが、私の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたら御発言をお願いいたします。

 それでは、伊藤委員、植田委員、そして、オンラインで末冨委員の順でお願いいたします。その後、木村委員、お願いいたします。

伊藤委員 伊藤恵子です。御説明どうもありがとうございました。

 先ほどイギリスがCPTPPに加入が決まったというお話がありまして、この後、多分中国や台湾等に対してどう対応していくかという議論が進んでいくと思います。これに関連しまして、1点コメントさせていただきます。

 現状いろいろと国際関係は難しい状況で、アメリカが近い将来TPPに復帰するのはなかなか見込めないと思いますので、非常に難しい問題になっているかと思います。ただ、日本はTPPの中では一番経済規模も大きい国でありますし、アジアの国々にとって、中国、台湾との貿易というのは非常に重要であり、日本がリーダーシップを取ってこの件に関して様々な国々と緊密なコミュニケーションを取っていくというところ、頑張ってリーダーシップを取っていただきたいと思っています。これ以上に世界経済の分断が進まないように、ぜひ政府、また財務省やその他政府の関係の皆様方で努力をお願いしたいと強く希望しています。よろしくお願いいたします。以上です。

森田分科会長 ありがとうございました。それでは、植田委員、お願いいたします。

植田委員 植田でございます。よろしくお願いいたします。

 私は、ただ単にコメントといいますか、要望になりますけれども、15ページ目の貿易統計における貿易取引通貨別比率の公表内容の拡充についての非常に細かいところです。1つは、細かい注の2です。一番下に、これは「貿易統計計上データのうち、貿易取引通貨が判明するデータにより作成」と書いてあるということは、判明されていないデータが当然あると思います。恐らく全体像を示すには、判明されている比率自体が幾つかというのもどこかに公表していただければと思います。

 それからもう一つは、この取引通貨の外為のほうで見たケースですと、かなり米ドルが使われているという話がありますが、この貿易の統計ですと、米ドルが使われている比率がそれに比べるとかなり少なくて、円とかがかなり使われていたり、ユーロとかがあります。ここで、データを取ってくる対象となっているところは何かをどこかで注意書きのように取っていただければと思います。

 私も正確なところは分かりませんが、多分輸出業者とか輸入業者からデータを取っているかと思います。輸出入業者は恐らく銀行を通じて決済をしますが、日本の銀行が他国の銀行と実際に決済するときにはドルでやりますけれども、日本の銀行と貿易関係の業者の間は円でやっていたりする場合には、確かにここには円の比率が増えるかと思います。本当に日本から出てくるところは、多分銀行の段階で出てくるので、そこでもまた違う比率が出てくるかのような気がしておりまして、その辺を正確に注意書きが分かるような形と言いますか、どういうところからこのデータが出てきたのかというところを注意して書いていただければと思います。以上です。

森田分科会長 ありがとうございました。この点について、事務局からお願いいたします。

吉田関税課長 貿易取引通貨別比率について御指摘をいただきました。まず、注意書きについては検討させていただきます。それから、こちらに記載しておりますのは、いわゆる申告に当たってのインボイス等に記載されたものでございます。確かにおっしゃるとおり、インボイス等に記載された通貨で、そのまま決済通貨になるかというと、必ずしも結びついているわけではないケースもあろうかと思いますけれども、あくまでも申告ベースで拾った数字ではございます。傾向はつかめるのではないかと考えております。

森田分科会長 よろしいでしょうか。それでは、オンラインでお入りの末冨委員、お願いいたします。

末冨委員 スマート税関構想についてお話をいただきました。これは従前より御説明いただいている大変すばらしい構想かと考えております。その中で保税地域の活用という項目がございまして、これも非常に重要な項目だと感じております。この保税地域の活用については、各国とも非常に重要性を認識しつつ、有効に保税地域を活用することを考え、それについてのアピールをしているところかと思います。また、企業や、あるいは輸出入者についても、各国の保税地域の活用ということを念頭に置いてサプライチェーンを検討しているところかと思います。

 その中において、サプライチェーンの中で日本に在庫を持つことで日本市場への迅速な物の分配とか物流ということを念頭に、あるいは日本からの迅速な各国に向けての輸出ということを考えている企業も少なくありません、しかしながら、実際には資格要件、報告義務、費用ということを勘案したときに、なかなか利用のほうに踏み切ることが難しいという状況にあるかと思います。場合によっては、それによって日本の保税地域に在庫を持つことを諦めざるを得ないような場合も散見されます。

 この要件等々が緩やかになり過ぎると、密輸の温床になるということがあるかと思いますので、その点を考慮して、資格要件や報告義務や費用について、ある程度の高いハードルが設けられているかと思います。反対に、今後の国際競争力を勘案すると、より使いやすい、あるいは迅速に利用できるような観点も重要なのではないかと日頃感じているところでございます。このようなことも念頭に置いて、この新たなニーズの出現について御対応いただければと思いまして、コメントさせていただきます。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。これは、事務局からお願いいたします。

西川監視課長 監視課長の西川と申します。末冨委員、御意見どうもありがとうございました。我々としましては、スマート税関構想でも掲げておりますように、この保税地域、特に今まで使われていなかった分野、今新たな分野として、主に美術品、アートの分野で活用が始まっているんですけれども、そういった分野でもいろいろと使っていただきたいと思っております。我々としても、より使い勝手のいい制度というものにしていかないといけないと思っておりまして、今委員から御指摘があったことも含めまして、いろいろと検討させていただきたいと思っております。また、諸外国の制度はどのようになっているかということも、少し海外の現地に行って調査するなりして少し勉強しまして、どういった仕組みがいいのかということはよく考えていきたいと思っています。引き続きいろいろと御意見をいただければと思っております。どうもありがとうございます。

森田分科会長 ありがとうございました。それでは、続きまして木村委員、お願いいたします。

木村(旬)委員 木村旬と申します。今回から加わりますので、よろしくお願いいたします。

 私も英国のCPTPPの加入に関連してお伺いします。これ自体はすごくよかったと思います。米中対立とか、ウクライナ危機とかで、世界的に保護主義とかブロック化という憂慮すべき流れになっている中で、こういう自由貿易の連携を広げる。特に今回初めてアジア太平洋域外からの加入ということになりましたので、そういう意味で大変意義のある加入だということだと思います。

 ただし、経済圏としては、どうしてもまだ小さいです。世界のGDPに占める比率は13%から15%ということですから、そんなに大きく変わるわけではない。特にこれは国民の実感が一番大事だと思うのですが、最近は物価が上がっており、その分関税引下げの効果というのが多くの国民になかなか実感できないというのが正直なところではないでしょうか。そこがすごく残念で、国民が自由貿易のメリットを実感できるには、できるだけ経済圏を大きく広げて、特に米国とか中国という大国の加入がこれから大きな鍵を握るのではないかと思います。CPTPPは、もともとFTAAPの道筋として位置づけられているわけですから、経済安全保障ということで環境が厳しいことは重々承知していますけれども、資源が乏しくて人口も減少していく日本にとっては、そのルールベースの経済圏の拡大というのは重要な意味を持ちますので、この米国、中国というのは、米国の復帰も含めて、今後交渉に関してぜひ進めていただきたいと思います。

 特に米国は復帰がなかなか難しいと言われていて、IPEFに力を入れていますけれども、IPEFというのは市場の開放がなかなか伴わないと言われているので、CPTPPとIPEFとRCEPと、3つの貿易圏に入っている日本の今後の果たす役割というのは大きいと思いますので、こうした観点から、今後これがどうなっていくのかという見通しを含めて、日本としての方針を簡単にコメントいただければ幸いだと思います。以上です。

森田分科会長 コメントありがとうございました。他に御質問等はございませんか。よろしいでしょうか。

 それでは、時間も参りましたので、本日はここまでとさせていただきたいと思いますが、さらに追加の御意見等がございましたら、事務局まで御連絡いただきたいと思います。

 最後に、事務局から連絡事項がございますので、吉田関税課長から御説明をお願いいたします。

吉田関税課長 本分科会における議事録の取扱いにつきましては、当審議会議事規則第5条の規定によりまして、原則公開とされております。本日御発言いただきました委員の方には、議事録案がまとまりました段階で御発言部分を事務局から送付させていただきます。送付後、1週間程度の間に御意見などがない場合には、恐縮ではございますが、御了解いただいたものとさせていただきたいと存じます。

 議事録の取扱いにつきましては、今後ともこの扱いで進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、本日の議事を終了させていただきたいと存じます。

 次回の関税分科会の開催につきましては、事務局と調整の上、別途御連絡をいたします。

 本日は、御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございました。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

午前11時52分閉会