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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (令和4年12月15日開催) 議事録

  1. 開会
  2. 関税改正項目③
    -納税環境の整備について
  3. 令和5年度における関税率及び関税制度の改正等
  4. 閉会

出席者
関税分科会長 森田 朗 財務省 諏訪園関税局長
委員 伊藤 恵子 山崎審議官
片山 銘人 柴田審議官
金原 壽秀 河西総務課長
河野 真理子 吉田関税課長
木村 福成 河邑参事官
國分 文也 志賀参事官
古城 佳子 西川監視課長
坂元 龍三 小多業務課長
佐藤 英明 馬場調査課長
清水 順子 澤藤事務管理室長
杉山 晶子 鈴木特殊関税調査室長
高橋 裕子 近田原産地規則室長
田村 善之 荒巻税関調査室長
永沢 裕美子 松田経済連携室長
根本 敏則 伊藤知的財産調査室長
野原 佐和子 経済産業省 川原通商政策局通商機構部参事官補佐
専門委員 阿部 克則 農林水産省 中尾輸出・国際局国際経済課国際交渉官
大橋 弘
佐々木 伸彦
末冨 純子
藤岡 博
宮島 香澄

 

午前10時00分開会

森田分科会長 皆様おはようございます。時間が参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様方には、御多用中のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。

 令和5年度改正検討項目のうち、追加的に御審議いただく必要が生じたものといたしまして、「納税環境の整備について」があるということでございます。まず、それについて御審議いただいた上で、令和5年度における関税率及び関税制度の改正等に係る答申案について、御意見を頂きたいと存じます。

 それでは、「納税環境の整備について」につきまして御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

吉田関税課長 関税課長の吉田でございます。よろしくお願いいたします。

 資料1-1に沿って御説明を申し上げます。

 納税環境の整備につきましては、加算税制度の見直しと関税関係帳簿書類の電子保存制度の見直しがございます。これらは、内国税で改正が検討されている事項を踏まえ、関税においても同様の改正が必要か、検討を行うものでございます。

 まず、1ページ目の加算税制度の見直しについてでございます。

 無申告加算税制度の現行制度の概要につきまして御説明申し上げますと、内国税においては、期限後の納税申告や税務署長による税額等の決定があった場合等に、納税額の15%、その納税額が50万円を超える部分は20%に相当する無申告加算税を課すこととしており、関税も同様の制度となっているところでございます。

 この無申告加算税制度につきましては、内国税において高額な無申告に対する無申告加算税の割合の引上げを検討しているところでございます。具体的には、改正の必要性に記載してございますとおり、善良な納税者の公平感を特に損なうおそれのある無申告行為を未然に抑止する観点から、納税額が300万円を超える場合には、それを社会通念に照らして申告義務を認識していなかったとは言い難い規模の高額な無申告であると捉え、300万円を超える部分に係る無申告加算税の割合を20%から30%に引き上げることを検討しているところでございます。

 関税につきましても、輸入者による適正な申告を確保する観点から、内国税と同様の改正を行うことが適当と考えられます。

 このため、改正の方向性といたしまして、内国税の改正の状況を踏まえ、納税額が300万円を超える部分に係る関税の無申告加算税の割合を20%から30%に引き上げることが適当ではないかと考えてございます。

 次に、2ページ目、一定期間繰り返し行われる無申告行為に対する無申告加算税等の加重措置の整備でございます。

 改正の必要性といたしまして、内国税においては、繰り返し行われる悪質な無申告行為を未然に抑止し、自主的な申告を促し、納税コンプライアンスを高める観点から、前年及び前々年の国税について無申告加算税等を課される者が行う更なる無申告行為、つまり連続3年目以降の無申告行為に対して課される無申告加算税等を10%加重する措置を検討しているところでございます。

 関税につきましても、輸入者による適正な申告を確保する観点から、内国税と同様の改正を行うことが適当と考えられます。

 このため、改正の方向性といたしまして、内国税の改正の状況を踏まえ、前年及び前々年の関税について無申告加算税等を課される者が行う更なる無申告行為に対して課される無申告加算税等を10%加重する措置を整備することが適当ではないかと考えているところでございます。

 3ページ目を御覧ください。関税関係帳簿書類の電子保存制度の見直しの1点目、帳簿の代用とする輸入許可書等の電子保存規定の明確化について御説明を申し上げます。

 現行制度の概要でございますが、関税法上、輸入業者は、帳簿、書類のほか、電子メール等でやり取りされる取引情報の電磁的記録等について、改ざん防止措置等の所定の要件に従って保存することが義務付けられているところでございます。帳簿には、貨物の品名・数量・価格、輸入許可年月日等を記載する必要がございますが、これらが記載された輸入許可書等を代わりに保存することで、帳簿への記載を省略することができます。この帳簿の代用は、NACCSから送信される輸入許可通知の電磁的記録を保存することによっても可能となっております。

 改正の必要性といたしましては、現在、帳簿の代用とする輸入許可通知の電磁的記録の保存については、当該通知を輸入業者が電子的に受領する点を踏まえ、通達により、同じく電子的に受領する取引情報の電磁的記録の保存と同じ要件に従うべき旨を規定しているところでございますが、適用関係の更なる明確化を図ることが適当と考えているところでございます。

 このため、改正の方向性に記載のとおり、関税法における帳簿の代用とする輸入許可通知等の電磁的記録の保存に関し、取引情報の電磁的記録の保存と同じ保存要件が適用されることを政令上明確化することが適当ではないかと考えているところでございます。

 また、2点目でございます。スキャナ保存制度の見直しにつきましては、内国税において、書類をスキャナで読み取って電子保存する場合に求められる要件の緩和を検討しているところでございます。この検討結果を踏まえて、関税法においてスキャナ保存する場合に求められる要件についても緩和を実施することが適当ではないかと考えているところでございます。

 以上でございます。

森田分科会長 御説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等頂きたいと思いますが、いかがでございましょうか。

佐藤委員 ありがとうございます。御提案には賛成です。

 その上で2つお伺いします。関税の場合は、関税の納付が輸入許可の条件になっている関係で、無申告は非常に少ないのではないかと考えますが、その理解で正しいでしょうか。もしこの理解が正しいのであれば、今回の改正は、いわば内国税並びの念のための改正という位置づけになろうかと考えますが、そのような理解でよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

吉田関税課長 御質問ありがとうございます。

 先生御指摘のとおり、関税におきましては、関税を納付した後に輸入許可という順番になってございます。過去の事例を確認いたしましたところ、該当する可能性がある事例としては、手続を失念していたとか、そういうケースは考えられるところでございますが、確かに先生の御指摘のとおり、通常、関税の場合ですと、なかなかそういうケースは生じにくいのかと思っております。これまでも関税につきましては国税と基本的には横並びということで制度設計をしているところでございますので、今回もそのように対応したいと考えております。

佐藤委員 御説明ありがとうございました。承知いたしましたし、内国税並びにすることには賛成です。

森田分科会長 ほかにいかがでしょうか。特に御質問ございませんか。

 ないようですので、これまでの御審議の内容を踏まえ、令和5年度における関税率及び関税制度の改正等につきまして、答申案の審議に移りたいと思います。

 本年10月以降、本日も含めまして4回にわたり本分科会を開催いたしまして、委員の皆様に御審議を頂いてきたところでございます。御審議頂いた内容を取りまとめたものが本日事務局より御説明いたします答申案でございます。

 それでは、この答申案につきまして事務局から説明を受けたいと思います。その後、答申案について御意見などを伺いたいと思います。

吉田関税課長 それでは、答申案の概要について御説明をさせていただきます。お手元の資料2が答申案の内容をまとめた資料となってございますので、こちらの資料を基にポイントを御説明させていただきます。

 まず、1ページ目を御覧ください。今回の答申案につきましては、令和5年度関税改正を巡る諸情勢、そして令和5年度関税改正についての考え方で構成をされております。

 次に、2ページ目を御覧ください。

 まずⅠ令和5年度関税改正を巡る諸情勢でございます。

 1点目、税関を取り巻く環境の変化とそれに伴う課題につきましては、越境ECの利用拡大に伴い、輸入申告件数が近年急増しているところでございます。また、入国者数が落ち込んでいたものの、水際対策の緩和に伴い、入国者数は回復傾向にあり、来年にはG7広島サミットが予定されていること等を踏まえ、テロ対策を推進していく必要がございます。さらに、ロシア等に対する経済制裁の実効性の確保や経済安全保障上の脅威への対処等のため、輸出面を中心とした水際取締りにも重点的に取り組むことが必要であるとしております。

 次に、2点目でございます。財務省及び税関における環境変化への対応等につきましては、税関の使命である「安全・安心な社会の実現」「適正かつ公平な関税等の賦課・徴収」「貿易円滑化の推進」を着実に果たしていく必要があり、このために国内外の関係機関・関係事業者等との連携を強化すること、税関の体制を整備・充実すること、先端技術を活用した取締・検査機器を適正に配備すること、税関手続の一層のデジタル化を図ることなど、「スマート税関の実現に向けたアクションプラン2022」に掲げられた施策を着実に実施し、業務の一層の高度化・効率化を進めていくことが重要であるとしております。

 3点目といたしまして、経済連携協定等に係る取組みにつきましては、近年、大型のEPAが発効し、我が国の貿易総額に占めるEPA等が発効済の国・地域との貿易額の割合は約8割となっており、貿易関係者等へのきめ細やかな情報提供など一層の利用促進に取り組むとともに、これらの協定を前提とした関税政策の検討や関税制度・執行体制の整備を引き続き進めていくことが重要であるとしております。

 次に、3ページ目を御覧ください。Ⅱ令和5年度関税改正についての考え方でございます。

 まず、暫定税率等の適用期限の延長等につきましては、令和5年3月31日に適用期限が到来する412品目に係る暫定税率につきまして、その期限を令和6年3月31日まで延長すること、特別緊急関税制度につきましても、国際交渉の状況等を踏まえ、令和5年3月31日に到来する適用期限を令和6年3月31日まで延長することが適当としております。

 次に、4ページ目を御覧ください。加糖調製品6品目につきましては、調整金の拡大が可能となるよう、令和5年度のTPP11税率の設定状況等を踏まえ、暫定税率を引き下げることが適当とした上で、「※」にございますとおり、加糖調製品に係る暫定税率の検討に当たっては、毎年度、加糖調製品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の取組状況、暫定税率の引下げによる政策効果、加糖調製品と国産の砂糖に関する今後の中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的取組等について、消費者の視点も踏まえつつ、農林水産省に検証及び報告を求めることが適当としております。

 5ページ目を御覧ください。航空機部分品等免税制度につきましては、国産困難な航空機部分品等の免税輸入を通じて、コスト軽減に資するものとなっている点を踏まえ、その適用期限を令和8年3月31日まで3年間延長することが適当としております。

 加工再輸入減税制度につきましては、国産の材料を一旦輸出して海外で加工した後、再び輸入することで、国産材料の利用促進と生産コストの削減による産業全体の活性化及び競争力の強化を図っている点を踏まえ、その適用期限を令和8年3月31日まで3年間延長することが適当としております。

 6ページ目を御覧ください。プロポリス原塊及びセルラーバンブーパネルにつきましては、HS委員会における分類決定を受けて分類変更を行う必要がございますが、分類変更による過度な税負担を避ける必要があること等から、移行先において税細分を新設した上で、現行と同じ水準の関税率を設定することが適当としております。

 7ページ目を御覧ください。越境ECの拡大に伴い、輸入申告件数が年々増加しておりますが、こうした中、航空貨物等による不正薬物や知的財産侵害物品の密輸が増加し、FS利用貨物については、なりすましにより輸入を行う事案が発生するとともに、関税等をほ脱する事案が顕在化していることを記述しているところでございます。

 8ページ目を御覧ください。以上申し上げました急増する輸入貨物への対応といたしまして、まず輸入申告項目に「通販貨物に該当するか否か」、ECプラットフォームを利用して販売した通販貨物の場合は「ECプラットフォームの名称」及び「国内配送先」を追加すること、また、現在、輸入申告書の様式で記載を求めている「輸入者の住所及び氏名」を政令上の輸入申告項目に追加することが適当としております。

 9ページ目を御覧ください。税関事務管理人制度の見直しにつきましては、まず①といたしまして、税関事務管理人の届出がない場合、税関長が非居住者に対し、期限を指定して税関事務管理人の届出を求めること、次に②といたしまして、期限までに届出がない場合に、税関長が一定の国内関連者を、特定事項を処理させる税関事務管理人として指定することを可能とする等の規定の整備を行うことが適当としております。

 また、税関事務管理人の届出項目に「届出者(非居住者)の事業」、「届出者(非居住者)と税関事務管理人との関係」等を追加するとともに、非居住者に対して税関事務管理人との委任関係を証する書類の提出を求めることが適当としております。

 10ページ目を御覧ください。知的財産侵害物品の認定手続につきましては、権利者の事務負担軽減等の観点から、簡素化手続の対象に特許権、実用新案権、意匠権及び保護対象営業秘密を追加することが適当としております。

 11ページ目を御覧ください。加熱式たばこにつきましては、迅速通関等の観点から、簡易税率を新設することが適当とし、水準については、課税対象としてスティック型及びリキッド型を区分して法令に規定した上で、スティック型は1本当たり15円、リキッド型は1個当たり50円とすることが適当としております。

 アルコール飲料に係る簡易税率の取扱いにつきましては、現行の水準を維持することが適当としております。

 12ページ目を御覧ください。植物防疫法の改正に伴う保税関連の規定の整備につきましては、港又は飛行場の植物防疫所等に置かれる中古農機等を政令上の「保税地域外に置くことができる貨物」に追加することが適当としております。

 13ページ目を御覧ください。保税蔵置場の許可手数料等に係る納付期限の緩和につきましては、手数料の納付のための十分な期間を確保する観点から、国の歳入の納付期限の原則を踏まえ、初月分の納付期限を許可の日から20日以内とする等の規定の整備を行うことが適当としております。

 14ページ目を御覧ください。納税環境の整備につきましては、内国税の改正の状況を踏まえ、関税の加算税制度についても、輸入者による適正な申告を確保する観点から、納税額が300万円を超える部分に係る関税の無申告加算税の割合を20%から30%に引き上げるとともに、前年及び前々年の関税について無申告加算税等を課される者が行う更なる無申告行為に対して課される無申告加算税等を10%加重する措置を整備することが適当としております。

 最後に、15ページ目を御覧ください。関税関係帳簿書類の電子保存制度の見直しにつきましては、関税関係帳簿の代用とする輸入許可通知等の電磁的記録の保存について、通達で規定している、改ざん防止措置等の保存要件に従うべき旨を、明確化の観点から政令に規定するとともに、内国税の改正の状況を踏まえ、関税関係書類をスキャナ保存する場合において求められる保存要件等を緩和することが適当としております。

 私からは以上でございます。

森田分科会長 御説明ありがとうございました。

 ただいま事務局から説明のありました答申案につきまして、御意見を承りたいと思います。どなたからでも結構でございますが、いかがでしょうか。

 御意見はないということでございます。この答申案に御異議がないということでございますので、令和5年度における関税率及び関税制度の改正等につきましては、本分科会として答申案どおり決定することとし、これをもって関税・外国為替等審議会としての答申といたしたいと存じます。

 なお、答申の提出のタイミングにつきましては、私に御一任いただき、事務局と調整の上、財務大臣に提出させていただくこととさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、これにて本年の関税分科会における令和5年度関税改正等の議論が一通り終了したこととなります。これまで御審議いただきました委員の皆様方の御支援、御協力に感謝いたしますとともに、重ねて御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして本日の議事を終了したいと思いますが、本日の議事以外のことでも構いませんので、何か御意見、御発言がございましたらお願いいたします。

 御意見はないようでございますので、本日の議事を終了いたします。

 なお、会議を終了するに当たりまして、事務局から連絡事項がございますので、お願いいたします。

吉田関税課長 本日席上配付いたしました資料につきましては、答申の最終的な提出・公表がまだであることから、会議後回収させていただきたいと思いますので、御退席いただく際には席上に残していただきますよう、よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。

 これまで御審議いただきました委員の皆様方の御支援、御協力に改めて感謝いたしますとともに、御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

 これにて終了いたします。

午前10時22分閉会