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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (令和4年11月24日開催) 議事録

  1. 開会
  2. 関税改正項目②
    -暫定税率等の適用期限の延長等
    -急増する輸入貨物への対応
    -加熱式たばこに係る簡易税率の新設等
    -保税蔵置場の許可手数料等に係る納付期限の緩和
  3. スマート税関の実現に向けた新たな取組
  4. 閉会

出席者
関税分科会長 森田 朗 財務省 諏訪園関税局長
委員 伊藤 恵子 山崎審議官
片山 銘人 柴田審議官
金原 壽秀 河西総務課長
河野 真理子 吉田関税課長
木村 福成 河邑参事官
坂元 龍三 濵口国際協力専門官
佐藤 英明 西川監視課長
清水 順子 小多業務課長
杉山 晶子 馬場調査課長
高橋 裕子 澤藤事務管理室長
高山 一郎 鈴木特殊関税調査室長
田村 善之 近田原産地規則室長
永沢 裕美子 荒巻税関調査室長
根本 敏則 松田経済連携室長
野原 佐和子 伊藤知的財産調査室長
三石 誠司
専門委員 阿部 克則 経済産業省 石川通商政策局通商機構部通商交渉調整官
大橋 弘 農林水産省 尾﨑輸出・国際局国際経済課長
佐々木 伸彦 水野農産局地域作物課長
末冨 純子
藤岡 博
宮島 香澄
村上 秀徳

 

午前10時00分開会

森田分科会長 定刻になりましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様方には、御多用中のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。

 本日の議題は、お手元の議事日程のとおりでございます。具体的に申し上げますと、来年度改正の検討項目といたしまして「暫定税率等の適用期限の延長等」のほか、「急増する輸入貨物への対応」、「加熱式たばこに係る簡易税率の新設等」及び「保税蔵置場の許可手数料等に係る納付期限の緩和」、これらにつきまして説明を受け、審議を行いたいと思います。

また、来年度改正の検討項目ではございませんが、「スマート税関の実現に向けた新たな取組」につきましても説明を受けたいと思います。

 それでは、まず吉田関税課長より「暫定税率等の適用期限の延長等」について御説明をお願いいたします。

吉田関税課長 資料1-1に沿いまして御説明を申し上げます。

 1ページ目を御覧ください。基本税率は、中長期的な観点から、内外価格差や真に必要な保護水準を勘案して設定される税率でございます。一方で、暫定税率は、政策上の必要性等から、適用期限を定めて基本税率を暫定的に修正するということで設定をしている税率でございます。令和5年度の改正につきましては、令和5年3月31日に適用期限が到来いたします412品目について延長等を検討する必要がございます。

 2ページ目を御覧ください。延長等の検討に当たりましては、生産者及び消費者等の間の利益調整に及ぼす影響や国際交渉との関係等を考慮しており、今年度の改正の方向性につきましては、412品目について暫定税率の適用期限を1年延長することとしたいと考えております。

 次に、3ページ目の特別緊急関税制度でございます。特別緊急関税制度は、ウルグアイ・ラウンド合意に基づいて関税化された農産品につきまして、関税化措置に伴う輸入急増時等の安全弁として、輸入数量が一定の水準を超えた場合または課税価格が一定の水準を下回った場合に、それぞれ関税率の引上げを行うものでございます。適用期限は1年間であり、毎年度、期限延長の必要性を検討しております。

 中段の「考慮すべき事項」にございますように、ウルグアイ・ラウンド合意に基づき関税化された農産品につきまして、本制度そのものが当該農産品の輸入が急増した場合等に備えて設けられた制度であることから、国際交渉の状況等を踏まえて検討する必要があると考えているところでございます。

 こうしたことから、現在協議中のWTOドーハ・ラウンド交渉や経済連携協定に係る交渉の対象となり得るものでございますところ、国際交渉の状況等を踏まえ、予断なく注視する必要があることから、適用期限を1年間延長することが適当であると考えているところでございます。

 次に、4ページ目を御覧ください。加糖調製品に係る関税の取扱いでございます。前回の分科会では委員の皆様方から活発な御議論を頂戴いたしました。加糖調製品は、TPP11発効時に糖価調整制度における調整金の対象に追加されたところでございます。調整金を原資とした価格調整により国産の砂糖の価格は加糖調製品よりも価格上昇が抑制されているものの、両者の間には依然として価格差が存在しているところでございます。こうした中、農林水産省から、加糖調製品に係る調整金収入の拡大をできるよう、暫定税率の引下げを求める要望が提出されているところでございます。

 糖価調整制度の目的は、甘味資源作物に係る農業所得の確保等を通じて国内産糖の安定的な供給確保を図ることにより国民生活の安定に寄与することとなっており、加糖調製品と国産の砂糖の価格差、需給の動向、国内産糖に係る競争力の強化の状況などを勘案した上で、加糖調製品に係る調整金を拡充する必要性の有無について検討する必要がございます。

 改正の方向性といたしまして、前回の分科会で、加糖調製品と国産の砂糖の価格差が認められることについて農林水産省から説明があったことに加えまして、全体の輸入量は近年減少しているものの、一部の品目ではTPP11加盟国からの輸入量が増加しており、今後再び輸入量が増加に転じる可能性も否定できないこと、国内産糖に係る競争力強化等に努めていること、調整金を原資とした原料糖の価格調整により国産の砂糖の価格が抑制され消費者の利益にも寄与している面があること等を総合的に勘案いたしまして、加糖調製品6品目について、令和5年度のTPP11税率の設定状況等を踏まえ、国内産糖への支援に充当する調整金の拡大が可能となるように、暫定税率を引き下げることが適当であると考えております。

 また、本件に関する取組を今後も推進していただくため、令和6年度以降につきましても、加糖調製品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の取組状況、暫定税率の引下げによる政策効果、加糖調製品と国産の砂糖に関する今後の中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的な取組等について、消費者の視点も踏まえつつ、農林水産省に検証及び報告を頂く必要があると考えております。

 なお、前回説明のございましたSAFに関する取組につきましても、ただいま申し上げました「加糖調製品と国産の砂糖に関する今後の中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的な取組」に含まれており、来年度も農林水産省から取組状況につきまして報告を頂きたいと考えております。以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等ございましたら頂きたいと存じますが、いかがでしょうか。

佐藤委員 御説明、ありがとうございました。御提案には賛成です。

 その上で1点お教えください。2ページ目の改正の方向性の412品目は、1ページ目に挙げられた412品目と同品目であると理解をいたしました。暫定税率を設定している品目の表の3段目にある砂糖類の括弧内に加糖調製品等があり、これを含めて99品目と理解をいたしましたが、最後に御提案のあった4ページの加糖調製品のうち6品目とこの412品目との関係を御説明いただけますとありがたいです。

吉田関税課長 御質問いただきまして、ありがとうございます。

 品目といたしましては412品目に入っております。後半部分において御審議いただいておりますことにつきましては、暫定税率の引下げについての論点ということで御理解いただければと思います。

佐藤委員 99品目の中に6品目が入っているとすると、改正の方向性としては、暫定税率の適用期限のことだけが2ページに書いてあり、4ページの引下げは、延長した上で引き下げる、そのような御提案でよろしいでしょうか。

吉田関税課長 そのように御理解いただければと思います。

大橋委員 この加糖調製品に関する関税の取扱いについて、事務局からも改正の方向性の米印のところで「中長期的な在り方」の中にSAFもしっかり検討することが入っているというふうにお話しいただいた点は、私もぜひその方向をしっかり検討していただきたいと思っています。国産砂糖の現行は基本的には食べるものとしてやっているわけですが、SAFということになると、燃料というか、新たな砂糖の在り方、産業としての在り方を考えるという非常に大きな構造変換にもつながると思っています。ある意味で、砂糖業界をさらに活性化させるための方策の一つとして、これは中長期的とありますけれども、ぜひ今からでもしっかり検討を進めていただいて、それが中長期的な砂糖業界の発展につながるという姿をしっかりつくっていくことが重要だと思っています。ありがとうございます。

森田分科会長 ただいまのは御意見ということでよろしいでしょうか。

大橋委員 意見です。ありがとうございます。

森田分科会長 それでは、ほかにご質問等はいかがでございましょうか。オンラインのほうもよろしいですか。ありがとうございました。

 ございませんようでしたら、続きまして、「急増する輸入貨物への対応」につきまして、小多業務課長より御説明を受けたいと思います。

小多業務課長 御指名いただきました関税局業務課長の小多章裕でございます。

 急増する輸入貨物への対応につきましては、前回の分科会において、根本委員より研究会の取りまとめという形で御提言を頂き、委員の皆様にも御議論いただきました。今回は、前回までの議論を踏まえ、改正検討項目として提示させていただくものでございます。資料2-1に沿って御説明を申し上げます。

 まず、1ページ目を御覧ください。前回の分科会のおさらいになりますが、背景となっておりますのは、越境電子商取引の利用拡大に伴う輸入申告件数の増加でございます。航空貨物では通販貨物が急増し、フルフィルメントサービスと書いておりますけれども、このFS(フルフィルメントサービス)の利用を予定した貨物の輸入も目立っておる状況でございます。このページの下半分では、通販貨物とFS利用貨物について改めて説明をしております。通販貨物とは、インターネット通販サイトを通じて海外の販売者等により販売され、国内の購入者に配送される貨物でございます。また、FS利用貨物とは、インターネット上で商取引の場を提供する事業者であるECプラットフォーム事業者等が提供するフルフィルメントサービス、これは内容としては倉庫保管あるいは配送といったことを代行するサービスでございますが、このフルフィルメントサービスを利用して国内で販売することを予定して輸入される貨物でございます。

 2ページに参ります。背景の説明を続けます。航空貨物等による不正薬物や知的財産侵害物品の密輸が多数摘発されていることや、FS利用貨物については、非居住者、すなわち本邦に住所等を有しない者が輸入実績のある国内居住者の名義を勝手に使用する、いわゆるなりすましにより輸入を行う事案が発生しております。また、輸入の時点では売買契約が成立しておらず取引価格が存在しない中にあるにもかかわらず、インボイスに記載した不当に低い価格で輸入申告をし、関税等をほ脱する事案が顕在化しております。このような背景を踏まえ、輸入貨物が急増する中、円滑な輸入を引き続き確保し、水際取締りの実効性の確保及び適正な課税を実現するために、通販貨物、FS利用貨物といった貨物の類型を考慮したリスク管理等を行っていくことが可能となるよう制度の見直しを行うことが急務となっております。

 3ページに参ります。ここから改正検討項目の内容について御説明を申し上げます。まずは輸入申告項目の追加についてであります。現行制度において貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の品名、数量、価格、その他必要な事項を申告しなければならないこととされております。現行の政令上明記されている輸入申告項目は、右側の点線の枠内に記載のとおりですが、今回改正を検討しているのはここに新たな項目を追加することでございます。

 次に、改正の必要性について御説明を申し上げます。先ほど申し上げたとおり、通販貨物の件数が急増しており、FS利用貨物の輸入も目立っている状況にあるにもかかわらず、現行の輸入申告項目では通販貨物、FS利用貨物であることが十分に把握できません。そのため、税関の審査・検査が必要な不正薬物や知的財産侵害物品等のおそれのあるハイリスク貨物を絞り込むことには限界があるという状況でございます。このため、通販貨物、FS利用貨物であることを申告情報により特定し、輸入貨物の類型を考慮したリスクに応じたメリハリのある審査・検査を実施していく必要があります。右側に移りまして、こちらはいわゆるなりすましへの対策の必要性です。取引の実態を把握している者が輸入者として確実に申告されることを求め、なりすましによる不適切な輸入が行われることを防いでいく必要があります。

 「改正の方向性」に参ります。まず左側ですが、輸入申告項目に新たに「通販貨物に該当するか否か」を追加し、通販貨物に該当する場合で、特にECプラットフォームを利用して販売した通販貨物であるときは、その「ECプラットフォームの名称」も追加することで通販貨物の識別を可能とすることとしたいと思います。また、「国内配送先」を追加し、輸入後に貨物が配送される場所に関する情報を得ることでFS利用貨物の特定を可能とすることが適当と考えております。右側については、現在、通達レベルの輸入申告項目の様式で記載を求めている「輸入者の住所及び氏名」を政令上の輸入申告項目に追加することが適当と考えているという記載でございます。

 4ページに参ります。税関事務管理人制度の見直しについてです。現行制度は、非居住者が自ら輸入者となりFS利用貨物を輸入する場合には、輸入申告等の事務を処理させるために、国内に住所等を有する者を税関事務管理人として定め、税関長に届け出ることを求めております。

 続いて、改正の必要性です。非居住者が税関事務管理人を定めず、取引実態を把握していない国内居住者に輸入の代行を依頼する場合や、輸入許可後に税関事務管理人が解任されて、税関が事後調査を行おうとするときにはもはや存在しない場合においては、税関が申告内容や取引詳細を十分に確認することができません。このため、税関事務管理人制度を見直し、税関が非居住者に適切に連絡できるようにすることで、審査や事後調査の実効性を高める必要があります。また、適切な者が税関事務管理人となることができるよう、税関への届出時に、非居住者がどのような事業を行っているか、非居住者と税関事務管理人との間の委任関係等についての情報が提供されることが必要であります。

 「改正の方向性」でありますが、まず左のほうになりますが、税関長が非居住者等に税関事務管理人を選定し届け出ることを要請し、非居住者がこの要請に応じない場合には、税関長が非居住者の国内関連者の中から税関事務管理人を指定できることとする等の規定の整備を行うことが適当と考えております。右に移ります。税関事務管理人を届け出る際の現行政令上明記されている届出項目は、下の点線の枠内に記載のとおりでありますが、これに届出者、つまりは非居住者の事業、それから届出者と税関事務管理人との関係といった項目を追加することが適当であると考えております。併せて、届出を行う際に税関事務管理人との委任関係を証する書類の提出を求めることが適当であると考えております。

 最後の5ページ目は、税関が今後、税関事務管理人を指定することにより、非居住者である販売者、つまり輸入者との連絡や申告内容の確認が可能となる具体的な場面を示した絵となっております。私からの説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

森田分科会長 御説明、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等をお願いいたします。いかがでしょうか。

佐藤委員 御説明、ありがとうございました。いずれも重要な問題で、かつ適切な御提案と考えております。賛成です。

 その上で1点教えてください。令和5年度改正でこの法改正をした上で、施行はいつとお考えでしょうか。また、制度によって違うのであれば、そのように御説明を頂戴できますと幸いです。

小多業務課長 佐藤委員、ありがとうございます。

 施行の時期につきましては、現時点において明確に決定しているというものではございません。基本的な考え方といたしましては、まず、資料で申し上げますと、3ページ目で紹介している輸入申告項目の追加に関しましては、事業者の側においても準備が必要といったような御意見もこれまで頂戴しておるところでございますので、ある程度時間を置いてしっかりと準備を進めた上で施行していくものというふうに考えております。

 一方で、税関事務管理人制度の見直しに関しましては、国税のほうで導入した制度で納税管理人制度というものがございますけれども、あちらについては施行まで9か月の準備期間を取られたと聞いております。税関事務管理人制度の今回の見直しにつきましても、全く同じかどうか分かりませんけれども、同様の考え方に基づいて施行の時期は決定していくものと考えております。

佐藤委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

末冨委員 改正の案としまして、輸入者の氏名、住所が追加で記載が要求されるようになるということですが、非居住者が税関事務管理人を任命することにより輸入者となる場合、ここで言う輸入者の氏名や住所というのは非居住者の氏名とその外国の住所になるのでしょうか。それとも、税関事務管理人の住所あるいはその併記という形になるのでしょうか。

小多業務課長 今の御質問について端的に答えを申し上げますと、非居住者の住所と氏名ということになります。

末冨委員 税関事務管理人の制度については、今ここで御説明を頂いているわけですけれども、良い点として、非居住者でも税関事務管理人を任命することによって輸入者になることが出来るという点が輸入事業の促進に寄与しているかと思います。適切な遂行のために、新たな要求が課されるというのは適切に法律を施行するために重要なことかと思いますが、同時に、この制度の非常に良い点が阻害されないような形で運用されるとありがたいと感じるところでございます。これは、質問ではなくて、コメントでございます。ありがとうございます。

宮島委員 ありがとうございます。宮島です。

 SP貨物に関しましては本当に数が増えておりまして、それはみんな実感しているところであると思います。今回の改正はもちろん適当だと思うのですけれども、逆に言うと、逃げようと思う人を追いかけるときに、本当にいろいろな人が関与するようになったときに、それを追いかけ切れるのかというところに関しては不安も残ります。今後、本当によりすごいスピードで国境が開いていくというか、いろいろな取引が行われるのではないかと思いますので、スピード感を持って、次にどんなことが起こるのか、この数で対応ができるのかということを先に先に考えていただければと思います。

 これに関しましては、まとめて発言しますけれども、スマート税関に関しましてもデジタル化のスピードが私たちが見ていても本当にすごい勢いで進んでいるので、起こったことに対して対応していくだけではちょっと追いつかなくなっているのかなという印象を持っております。できるだけ先に起こることを前倒しで考えて決めていくような形でお願いできればと思います。これは意見です。

伊藤委員 御説明、どうもありがとうございました。

 この改正に関しては基本賛成で。先ほどの宮島委員の意見とほぼ同じようなコメントになりますが、やはり今後さらに荷物が増えて、かつ、名称等も書いてもらっても、どれだけ情報を追えるのか、情報がどんどん増えたときにどこまで当局がチェックできるのかというのが私も懸念する点です。名前ですと片仮名の表記もかなりぶれがあったりします。ある程度AI等で処理はできるにしても、膨大な量の情報をどこまで追ってチェックできるかという問題がありますので、新しいテクノロジーをどんどん活用していっていただきたいということです。

 あとは、海外の税関等とも緊密に情報交換していただいて、どういった方法でこういった貨物をチェックしていくかを、どんどん先を見据えた方向で改善していただきたいと思います。

小多業務課長 宮島委員、伊藤委員、御意見と申しますか、御指摘といいますか、ありがとうございます。まさに越境ECの分野というのはどんどんと新しいビジネスモデルが生まれてくる、商流として新しく生まれてくる分野でございます。税関としてはどうしても課題というふうに捉えがちではあるのですけれども、同時に育成していくという観点も忘れないようにということでしっかりと取り組んでいくことかと思います。AIといった先端技術を活用しながら、職員の意識もしっかり高めながら今後も取り組んでまいりたいというふうに思っております。ありがとうございます。

森田分科会長 ありがとうございました。それでは、ほかにいかがでしょうか。

 特にないようでございますので、次に移りたいと思います。続きまして、「加熱式たばこに係る簡易税率の新設等」及び「保税蔵置場の許可手数料等に係る納付期限の緩和」につきまして御説明を受けたいと思います。まず、吉田関税課長からお願いいたします。

吉田関税課長 加熱式たばこに係る簡易税率の新設等につきまして御説明を申し上げます。

 1ページ目を御覧ください。入国者が携帯して輸入する貨物につきましては、携帯品に課せられる税率を旅客等が容易に知り得るようにすることで通関手続の迅速化を図るため、簡易税率が設定されております。この制度は昭和42年度に創設され、関税、内国消費税及び地方消費税の率を総合して算出した税率が設定されており、免税範囲を超える貨物について適用されております。現行の簡易税率はアルコール飲料とその他の物品について規定されており、アルコール飲料は蒸留酒が1リットル当たり300円、ワイン等が1リットル当たり200円となっており、その他の物品は一律15%となっております。簡易税率は携帯品の全部について希望しない旨を申し出た場合には適用されないほか、関税が無税または免除される貨物、犯罪に係る貨物、商業量に達する数量や高価な貨物、国内産業に対する影響等から簡易税率の適用が適当ではないとされる貨物について、適用しないこととされております。

 次に、2ページ目を御覧ください。入国者が入国の際に携帯して輸入する加熱式たばこにつきましては簡易税率の適用はないため、携帯品免税の範囲を超えるものには関税、たばこ税、消費税及び地方消費税が課されているところでございます。なお、免税範囲は個装等10個とされております。また、加熱式たばこは大別いたしますと、紙で巻いた葉たばこ等のスティックを燃焼せずに加熱して喫煙するスティック型と、カートリッジに充塡されたグリセリン等を燃焼せずに加熱して葉たばこ等が充塡された容器を経由して喫煙するリキッド型の2種類がございます。リキッド型には製造たばことみなされるカートリッジに充塡されたグリセリン等のみが包装され販売されるものを含みます。

 3ページ目を御覧ください。入国者が携帯して輸入する加熱式たばこの課税処理において、特にたばこ税額の計算方法が複雑であることから通関手続に時間を要している実態がございます。紙巻たばこであれば1件当たり1分で処理できるものが、平均で課税1件当たり10分程度の時間を要しているところでございます。また、入国者にとりましても、税額の計算方法が複雑であることに起因いたしまして、輸入の際に課される税額の予見可能性が低い状況となっているところでございます。本年10月からの新型コロナウイルス感染症に関する入国制限措置の緩和に伴い入国者の増加が予想される中、加熱式たばこに係る簡易税率を新設し、入国手続を簡素化することは、我が国の観光立国の推進にも寄与するものと考えられます。また、本年9月末をもって加熱式たばこに係るたばこ税見直しの経過措置も終了しているところでございます。

このような状況を踏まえますと、加熱式たばこに係る簡易税率を新設することが適当であると考えられます。簡易税率の水準につきましては、入国者が携帯して輸入する加熱式たばこについて行った実態調査の結果を踏まえ、1箱当たりの本数や重量が種類によって異なることに鑑み、スティック型及びリキッド型を区分して法令に規定した上で、銘柄や携帯本数、個数等を確認する実態調査によりまして算出した結果に基づき、スティック型1本当たり15円、1箱で申しますと300円、リキッド型1個当たり50円、1箱で申しますと250円の税率を規定することが適当であると考えられます。

 続きまして、3ページの下でございますが、アルコール飲料に係る簡易税率につきましては、関税、酒税、消費税及び地方消費税の率を総合して算出した水準を、入国旅客の利便のために、1リットル当たり100円刻みで設定しております。令和5年10月の酒税率の変更を踏まえて簡易税率の水準を見直す必要があるかどうか検討した結果、簡易税率の変化分が1リットル当たり100円に満たないことから、現行税率を維持することが適当であると考えているところでございます。私からは以上でございます。

森田分科会長 続きまして、小多業務課長、お願いいたします。

小多業務課長 資料4-1を御覧ください。まず、現行制度について御説明を申し上げます。保税蔵置場の許可を受けた者は、許可を受けた保税蔵置場の面積に応じて税関関係手数料令で定められた額の許可手数料を1か月ごとに毎月納付することとされております。この手数料の納付期限は、新規の許可を取った場合の許可期間の初月分については、その許可の日から10日以内とされております。また、2月目以降の分につきましては、各月の前月末日までとされております。この2月目以降の分につきまして、翌月分の手数料を納付した後に月末までの間に保税蔵置場の面積を拡張した場合には、拡張後はその手数料が増額されることになるわけでございますが、この増額分につきましては拡張した月の末日と拡張の日から10日経過日とのいずれか遅い日までとされております。これが現行制度の概要でございます。

 続いて、改正の必要性について説明します。初月分の手数料に係る納入告知書の発送等に係る事務的な処理のため、初月分の納付期限までの実質的な日数は10日より短くなっているという実態がございます。また、令和3年10月施行の郵便法の改正によりまして送達日数の繰下げ等が行われており、この納付期限までの実質的な日数がさらに短くなっておる状況でございます。右下にカレンダーのような図がありますけれども、令和5年7月1日許可の場合の納付期限の例を示しております。保税蔵置場の許可を受けた者が遠隔地にいる場合、納入告知書は納付期限である7月10日月曜日の1営業日前の7月7日金曜日に到達する可能性があります。こうした状況から、許可を受けた者から納付期限の緩和の要望が寄せられているという状況がございました。

 これを受けまして検討するに、国の歳入の納付期限については、会計法令上、20日以内が原則とされておりますので、このことを踏まえ、初月分の手数料の納付期限を現行の許可の日から10日以内とあるのを20日以内とすることが適当と考えております。2月目分の手数料や保税蔵置場の面積が拡張した場合の増額分の手数料につきましても、その許可や拡張の日が月の下旬となる場合などには納付期限までの実質的な日数が短くなります。したがって、これらについても十分な納付の期間が確保されるよう、同様の規定の整備を行う必要があると考えております。

 以上により、改正の方向性といたしましては、保税蔵置場の許可手数料等の納付期限について、初月分の納付期限を許可または承認の日から20日以内とする等の規定の整備を行うことが適当と考えております。本件についての説明は以上でございます。

森田分科会長 御説明、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見等を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤委員 御説明、どうもありがとうございました。

 手数料の納付期限の件ですけれども、諸事情は理解しますし、現時点で20日以内とすることに関しては仕方がないかなと思います。

 ただ、やはり方向性としては最初から全て手続を電子化するというのが今の流れであると思います。それに逆行するような規定の変更だという印象を強く持っています。現時点で暫定的に移行するということはよいかとも思うのですけれども、どこかに、近い将来、もう最初の時点から電子化する方向を目指すといったことを書いていただくことはできないのでしょうか。そのあたり、少し検討していただきたいというのがコメントです。

小多業務課長 伊藤委員、ありがとうございます。政府全体としてデジタル化、電子化という流れがございます。当然、税関関係の手続につきましてもデジタル化、電子化を進めていくということで順次進めていっているところでございます。本件につきましても、必要な予算的な措置等についても要求していって進めていきたいというふうには考えておるところでございますが、まずは制度的なところで10日以内を20日以内という形で適用させていただければということで提案をさせていただいておるところでございます。

伊藤委員 分かりました。しかし、これは暫定的にというような感じにはならないのでしょうか。

小多業務課長 制度的なところとしては、暫定的という形よりはこの形でやらせていただくことが、ほかの国の歳入関係の納付期限との並びという点で考えてもよろしいのではないかということで提案させていただいております。

 それと、この制度をどのような形で実施していくかというところで、デジタル化、電子化を進めていく点とは切り離して考えてもいいのではないかというふうに思っております。

伊藤委員 ただ、やはりデジタル化をより遅らせるような改正になってしまうのではないかという印象がありまして、早急にデジタル化を進めるということをどこかに言及した上で、暫定的に、その準備が整うまでの間、20日以内とするような形がよいのではないかと私は思います。御検討ください。

河野委員 御説明、ありがとうございました。

 余計な意見かもしれませんが、今回のこの保税蔵置場の制度の改正については、ほかの制度と平仄を合わせることを検討された上での改正ではないかと理解いたしました。ですので、デジタル化を進めるというのはむしろ政府全般的の問題であって、ここだけを取り上げてデジタル化するというふうに書くことがよいかどうかということに若干疑問を覚えるところでございます。個々の問題毎にデジタル化の必要性を指摘するよりも政府全体として、今の制度の中でデジタル化できるところをきちんとデジタル化していく方向の政策をとるべきというような何かの記述を付記する方が良いのではないかと感じます。また私は、この改正を暫定的とすることもはあまり積極的に賛成できません。申し訳ございませんが、私としてはこのように考えます。

森田分科会長 ありがとうございました。伊藤委員、よろしいでしょうか、そういう御意見ということです。

森田分科会長 ありがとうございました。ほかに御発言はいかがでしょうか。よろしいですか。

 ないようでございますので、最後になりますけれども、「スマート税関の実現に向けた新たな取組」につきまして、荒巻税関調査室長から御説明を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。

荒巻税関調査室長 関税局税関調査室長の荒巻でございます。よろしくお願いいたします。

 私から、スマート税関の実現に向けたアクションプラン2022について、資料5に沿って御説明をいたします。資料は大部でございますので、ポイントを絞って御説明させていただきます。

 まずは資料の1ページ目を御覧ください。2020年6月にスマート税関構想を公表して以降、同構想に掲げる様々な施策を着実に進めてきているところでございます。一方で、構想の公表以降、関税政策、税関行政に影響を与える様々な環境変化が生じておりまして、昨年12月の審議会の答申においては、税関を取り巻く環境が今後も構造的に大きく変化し続けることが予想される中、さらに多様化・複雑化する税関業務への対応について検討する必要があるとされていたところでございます。その後、有識者の御意見なども伺いながら検討を進めてまいりまして、今般、スマート税関構想の中長期ビジョンを堅持しながら新たにアクションプランを取りまとめて、これを実施していくことにより、スマート税関の実現に向けた取組を強化していくこととしたところでございます。アクションプランの構成としましては、足元の環境変化に対応していくための新規の施策、それからスマート税関構想2020からの継続施策となります。

 続きまして、資料2ページを御覧ください。こちらの左側が新たな環境変化等を整理したものでございまして、「国際的な商流・物流の変化」、「新たなニーズの出現」、「技術の進歩」、この3つに整理してございます。また、これに加えまして、顕在化している環境変化にとどまらず、今後の変化を適時に捉えていくための仕組みとしまして、「新たなニーズ・シーズの把握」という項目も設けております。そして、右側が左で整理しました変化等に対応する新規の施策について一覧でお示ししたものとなります。

 それでは、新規施策の具体的な御説明に移ります。

 3ページ目を御覧ください。こちらは「国際的な商流・物流の変化」として、越境電子商取引の拡大による輸入小口急送貨物の急増を掲げておりまして、これへの対応として、先ほど資料2で御説明した内容と重なっておりますけれども、通販貨物を特定してリスクに応じた適切な審査・検査を行うための制度改正、また、ECプラットフォーム事業者などとの連携、こうした内容を取組としてございます。

 続いて、税関における輸出取締りの適正化に向けた取組を盛り込んでおります。まず4ページ目を御覧ください。経済安全保障への対応としまして、経済安全保障情報分析センターを組織するなど部内の体制強化、また国内外の関係機関との連携によるインテリジェンス能力強化などを進めていくこととしております。次に、5ページから7ページにかけては出国旅客に対する取締り体制の検討でございます。6ページ目を御覧ください。こちらは輸出物品販売場制度につきまして、免税販売手続の完全電子化を受けて、国税当局と連携して不正事案に厳格に対応し、制度の適正執行を確保していくという内容でございます。続いて、7ページ目につきましては、マネーロンダリングへの対策として、警察との緊密な連携等により、海外への不正な現金等の携帯輸出阻止に取り組んでいくものでございます。

 続きまして、輸入に関する取組でございます。8ページ目を御覧ください。こちらでは、知的財産侵害疑義物品に係る認定手続の簡素化の対象となる権利、これを特許権等に拡大することを検討しております。次の9ページでございますが、NACCSを利用した口座納付などのキャッシュレス納付に対応していない輸入者などを対象に、関税等の納税環境の更なる整備について検討してまいります。

 資料10ページ目を御覧ください。こちらは、保税地域を活用した新たなビジネスとしましてアートフェア等の開催実績がございますけれども、経済活性化に寄与する取組として引き続きこの制度の周知を進め、保税地域の活用ニーズに対応していくこととしております。

 次に、資料11ページ目でございます。税関分野での国際協力の推進として、途上国の税関を支援する関税技術協力でございますが、こちらはアフリカや太平洋島嶼国の税関に対して政府全体の国際協力アジェンダに沿った支援に取り組んでいくこと、それから、途上国からの高度な技術協力ニーズに応じていけるような計画的な内部の人材育成、そしてコロナ禍の経験を生かしたハイブリッド型の技術協力の実施などにより、戦略的に関税技術協力を進めていくとの内容を盛り込んでおります。

 次に、貿易手続等のデジタル化への対応でございます。資料12ページ目を御覧ください。こちらは、貿易、物流分野でのDX化の進展への対応としまして、国内外の動向を注視しながら、貿易情報プラットフォームとの連携可能性を追求していくこと。それから、下段になりますけれども、輸出入申告情報など税関が保有するビッグデータの一層の利活用も進めてまいります。次に、資料13ページ目でございます。こちらは、ASEAN及びASEANの個別国との間で原産地証明書の電子化、電子的なデータ交換に向けた協議を進めておりますけれども、こちらの早期の実施に向けて取り組んでまいります。

 続きまして、密輸手口の巧妙化に対して先端技術を積極的に活用して対応していくための施策でございます。まず、資料14ページ目でございますが、先端技術を活用した検査機器などを適時かつ円滑に導入し効果的に運用していくために、そうした機器が設置される場所である空港施設や港湾施設の管理者、それから関係省庁などと連携して計画的に導入を進めていくという内容を盛り込んでおります。続いて、同じページの下段でございますが、税関検査場において、SP貨物など貨物量が増加していく中で円滑な通関を確保しながら適切な検査を行っていくために、先端技術の活用や検査工程の改善などによって、一層効率的かつ効果的な貨物検査手法の確立に取り組んでいくこととしております。続いて、資料15ページを御覧ください。X線CT装置による画像解析の高度化に向けた取組としまして、AI等の先端技術を用いて隠匿されている不正薬物を自動検知できないか、調査研究を進めていくこととしております。次に、16ページ目でございますが、来年から現場での本格的な導入を予定しておりますスマートグラスの活用を盛り込んでおります。スマートグラスについては、既に社会の様々な場面で活用が広がってきていると承知しておりますけれども、税関におきましても、輸出入申告官署の自由化によって書類審査と貨物検査が異なる税関官署で行われる場合などに、審査担当者と検査担当者が連携して検査を行うため有効と考えられるほか、ベテラン職員が離れた場所から、経験が浅い職員が検査を行う場合にこれをサポートするといったOJT目的でも有効活用できると期待されております。また、同じページの下段でございますが、水中ドローンにつきましても監視取締りにおける活用可能性を検証してまいります。

 新規施策の最後となりますが、資料17ページ目を御覧ください。関係業界団体等との継続的な意見交換により、適時適切に関税・税関行政に対するニーズを把握しまして、これに対応していくこと。それから、外国税関や民間での先端技術の活用状況などにアンテナを張っていって、我々が有効活用できそうな種(シーズ)を見つけて国内での導入を検討していく。こうしたことを積極的かつ継続的に取り組むこととしております。

 以上がアクションプランの新規施策の概要となります。

 次に、継続施策につきましては次のページ以降でございます。スマート税関構想2020の各種施策につきまして、構想発表以降の取組状況について点検作業を行いまして、その上で引き続き取り組んでいくものをこちらでまとめております。18ページ以降となります。多くの項目については、構想で定めた施策について引き続き継続していくものであったり、一層推進または強化していくものとなっております。その上で新たに追加することとした内容をこの資料の中で青字で記載しております。

 まず、20ページ目を御覧ください。Solution、利便向上策の中で、入国旅客に係る税関手続の一層のデジタル化というものがございますが、こちらはEゲートの更なる利用促進に向けた電子申告ツールの一元化に取り組むこととしております。

 次に、また少し飛びまして27ページ目を御覧ください。こちらはResilience、強靱化のパートでございますが、ドローンについては既に活用を進めておりますけれども、固定翼型のものについても取締りでの活用可能性について検討していくという内容を盛り込んでおります。

 それから、30ページになります。Technology & Talent、高度化と人材育成のパートでございますが、これまで各税関の現場でRPAを積極的に活用しておりますが、次のステップとして、今後は様々活用されてきているものについて優れたものを横展開、共有化していくことを進めていくこととしております。

 また、スマート税関構想2020のこれまでの進捗、成果につきましても次の資料33ページ以降でまとめてございます。こちらについては細かい説明は割愛させていただきますので、また適宜御覧いただければと思っております。

 以上、スマート税関の実現に向けたアクションプラン2022についての御説明とさせていただきます。

 最後になりますけれども、アクションプランの対外公表につきましては、明治5年の税関発足から150周年の記念日となります本年11月28日、来週の月曜日を予定しております。本日説明した内容につきましては11月28日の公表日までは対外秘の扱いとさせていただきたいと思っておりまして、御理解のほどよろしくお願いいたします。

 なお、対外公表資料につきましては、本日資料の3ページから17ページまでで御説明をした新規施策につきましては、18ページ以降の継続施策と同様のフォーマットといいますか、イメージで、より簡略化した内容を公表資料とさせていただきたいと思っております。

 以上で私からの御説明を終わります。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして御質問、御意見等ございましたら御発言をお願いいたします。

阿部委員 ありがとうございます。

 質問というよりは意見ということで申し上げたいと思います。経済安全保障への対応ということで御説明を頂きました。私、ぜひこの取組を進めていただきたいと思っております。この経済安全保障関係ですと、特に輸出管理等が問題になるかと思うのですが、かつて冷戦期にもそういった問題がございまして、幾つかの事例もございましたけれども、当時と比べますと、現在ではWTOやEPAのネットワークによりまして、自由貿易体制の下で冷戦期よりもかなりの貿易量の増大や貿易関係の密接化が進んでいるかと思います。ですので、そういったところではなかなか対応が難しいところではあるかと思いますけれども、できましたら、事後的な摘発というよりは未然に防止をすることによって我が国の経済安全保障の推進を実現していただけたらありがたいと思っております。何か事例が出てしまいますと国際的な影響も非常に大きいかと思います。自由貿易の促進や円滑な国際物流とのバランスをとることも極めて重要かと思いますので、大変難しい課題かと思いますが、ぜひ進めていただければと思っております。

大橋委員 このスマート税関については、既存の施策に加えて、今回新たな施策でさらに一歩進めるような取組を示していただきましたことは大変すばらしいことだと思っています。様々な技術の可能性を税関業務の中で使ってみて、それで優れたものを探していく。あるいは、シーズを税関業務の中で、ある意味、試して使いながらそれを育てていくということもやられると、結局イノベーションの活性化に関税局が積極的に関わっていくという姿も見えてくるのかなと思います。

 β版ですので、もしかするとうまくいかない取組もあると思いますが、そうしたものというのは別に行政の無謬性みたいなことではなくて、探していきながらよりよいものに税関業務を変えていく。それが柔軟な働き方――ここではResilienceの中にカテゴライズされていますけれども、そうしたものにもしっかりつなげていきながら業務の質の向上につなげていくことがすごく重要だと思っています。ぜひ引き続き取組をレビューしながら、メリハリを持って進めていただければと思っていますので、今後も期待しています。ありがとうございます。

清水委員 御説明、ありがとうございます。スマート税関については、本当にいろいろな取組をされていて、ぜひこのまま進めていただきたいと思います。

 幾つか意見があるとすれば、まずEPAの利用についてです。ここには載っておりませんが、2022年初めにアンケートをやられた結果などが税関のホームページに公開されていたと思いますが、その中でもEPAの説明会を増やしてほしいといった意見などを反映して実際にそのような施策を行っていらして、非常にいいなと思っておりました。ぜひ、利用者の方からの意見を、毎年いろいろ取り込みながら、その御意見に合った形での施策を今後も進めていただきたいと思います。

 また、ビッグデータの解析ということも入っておりました。私自身も、公募研究で税関データなどの研究を進めていることにも関わらせていただいておりますが、それとは別に、ビッグデータを分析することで、密輸防止などの税関行政にも役立てていらっしゃり、テクノロジーとの関係での研究も進めていらっしゃるのだなというのを非常に興味深く今回資料で見させていただきました。こういったビッグデータの解析が今後どのように役立っていくのかということについても今後の分科会でいろいろ御披露いただければと思います。

 最後に、このようにいろいろ取り組まれているということで、人員あるいは予算がちゃんと確保されているのかなというのが心配になりますが、その点についてもし何かありましたらおうかがいできればと思います。よろしくお願いいたします。

荒巻税関調査室長 ありがとうございました。

 まず、阿部委員の経済安全保障について、先生おっしゃるとおりかと思います。アクションプランの一つのアピールポイントとしまして、これまで輸入に税関としてはリソースを特に割いていたところ、輸出についてもしっかり力を入れていくというのが一つのメッセージというふうに我々は考えておりますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 それから、大橋委員の御意見についても、このスマート税関の取組、アクションプランも含めてでございますが、やはり今足元で取りかかったばかり、これからという内容も多数盛り込んでおります。将来的にこれが本当に物になるのかというのは必ずしも確実ではありませんけれども、積極的に取り組んでいく姿勢を示していきたい。そして、こちらのスマート税関構想2020の中でも書いてございますけれども、税関職員全体としてイノベーションのマインドを持って自ら考えて新しいものに取り組んでいくという取組でございますので、引き続きそうした意識で進めていきたいと思っております。

 また、清水委員の御意見、ありがとうございました。EPAについては、これまで説明会等をやっておりますけれども、RCEPなど、利用を考えている民間事業者としては関心が高いものでございますので、引き続き説明会などを継続してやっていきたいと思っています。

 また、ビッグデータの活用についても、これはビッグデータだけではなく、スマート税関構想、アクションプラン全体の取組についてでございますけれども、今後も適時のタイミングで審議会の場でも御報告をさせていただきたいと思っておりますし、定期的に進捗を点検してレビューしていくことを考えております。

 また、人員、予算につきましても、このアクションプランの中でやはり様々な体制の強化が必要という内容が盛り込まれております。こうした取組を着実に実施していくための人員、予算は当然重要かと我々としては考えております。ありがとうございました。

野原委員 私からは2点コメントさせていただきます。

 その前に一言。今回の御説明は、多岐にわたる課題解決に対して幅広く目を配ってスマート化を検討し、税関業務の効率化や質向上のための施策が適切に列挙されていると評価しています。これらの施策を速やかに進め、かつ、テストやモデルケースにとどまらず、実施策として各地に浸透するよう進めていただくことを期待しています。よろしくお願いします。

 その上で、1点目のコメントですが、スマート化施策の推進には専門人材の獲得を更に強化すべきと考えます。

 例えば、手荷物、貨物等のX線検査装置の開発を進め、画像検査にデータ解析、AI解析を活用することで、一部ではなく各地で悉皆調査を行う方向に進みつつあるとうかがいました。各現場で対応するための人材育成は言うまでもなく必要で、それについては施策が書かれていますが、それだけでなく、適正な検査体制を開発・企画・運営するために、最適なAI解析を開発企画できるような専門人材の獲得が重要ではないかと考えています。新たな検査装置・体制の開発・企画・運営をしていくために、デジタル技術関連の専門人材の獲得には力を入れていただきたいと思います。

 2点目は、資料の14ページ目に、空港や港湾施設との連携強化が書かれていますが、この点はスマート化技術や体制を各地に速やかに拡大していくために、基本的で、重要な点だと思うので、形式的な連絡会にならず、実質的な情報共有や連携が図れるように、ぜひ力を入れていただきたいと思います。

 専門人材の獲得、そして一般的な人材育成の件と、2点目は空港や港湾施設との連携強化を急ぎ進めていただきたいという2点です。以上、よろしくお願いします。

荒巻税関調査室長 野原委員、ありがとうございました。専門人材の獲得については、まさに我々としても重要だと考えております。内部の人材の育成のためにいろいろ研修の中でAIリテラシーを高めるような科目を設けたり、様々取り組んでおりますけれども、やはり内部の人材の育成だけではなくて、そうしたAIの知識もしくは経験などを有する者を新規採用の場でも獲得に努めていきたいと思いますし、新規だけではなくて、中途で経験ある人材を活用していくことも併せて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、資料14ページ目の空港、港湾施設等への先端技術を活用した機器等の円滑な導入、こちらは確かに委員のおっしゃるとおり当然やるべきことでございます。もちろんこれまで全くそうした連携をとっていなかったということではありませんけれども、まさに今足元で様々新しい技術、機器の導入を進めている中で、そうした機器の導入などによって、従来と機器の使い方、設置場所もしくはそれによるオペレーションが大分変わっていくようなことが起きております。そうした問題意識から従来以上に前広にしっかり関係当局との連携が重要だと考えまして、今回アクションプランの項目として盛り込んでいるということでございます。

片山委員 片山です。どうもありがとうございます。

 私も皆様と似たような意見になりますが、税関機能を強化するためには、DXや先端技術の導入が重要になると思いますが、それをきちんと使える人材の確保及び人材の育成も重要になってくると思います。岸田政権では人への投資を推奨していますので、そうしたことも加味しながら進めていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

杉山委員 ありがとうございます。

 ただいま専門人材の採用という話が出ておりましたけれども、専門人材の採用はかなりコストもかかってくると思いますので、状況に応じて、全て採用ということではなく、外部委託も検討してもよろしいのではないかと思いました。こちらは意見でございます。

荒巻税関調査室長 杉山委員、ありがとうございました。内部の人材だけでというのは非常に難しい部分、適切な人材が得られるかという点、それからコストの面もまさしくおっしゃるとおりでございまして、従来、我々システムの開発などでも、外部のベンダーであるとか、そういったところと連携をしてきております。また、機器の開発においても民間の事業者等と連携協力をして進めてきておりますので、そうした協力といったところも併せて総合的に強化していきたいと考えております。

末冨委員 アンチマネーロンダリングに寄与することについて御発言がございまして、このデジタル化がアンチマネーロンダリングに寄与することについて興味深くお話を伺いました。アンチマネーロンダリングにつきましては、日頃いろいろと検討させていただいているところではございますけれども、金融機関も、あるいはその顧客の立場でも、実行するところでジレンマがあって難しいところがあります。本件のような、社会資本のデジタル化によってアンチマネーロンダリングの場面で活動している個々のアクターの方々がその個々の取引を介在して随分と助けられる部分があるのではないかと感じました。アンチマネーロンダリング対策という意味でも税関のデジタル化というのは重要な意義があるかと思いますし、ぜひ推進していただければと思いました。

 以上、コメントでございます。ありがとうございます。

河野委員 ありがとうございます。

 13ページ、17ページ、34ページ、それから36ページを拝見していまして、国際、より具体的には様々な情報の国際的な交換、それから税関同士の協力に向けての取組が随分なされているというふうに理解いたしました。この点、密輸等については特定の犯罪者や組織があると思いますので、そういう者についての情報をきちんと交換できるようにしていただきたいと思います。また、例えば原産地証明のデジタル化も交換可能な形式の情報にして共有するということが大事になっていくと思います。この点に関して、頂いた資料はASEAN向けの需要が多いということでこの地域との関係強化を強調しておられますけれども、今後RCEPやTPP11の適用範囲が他の地域に拡大していくと、関係を強化すべき地域はASEANに限定されないと思います。こういった国際協力の強化を関連する多様な地域との関係で進めていっていただきたいと感じました。

 もう1点、27ページの海岸線等の監視取締りにおけるドローン等の導入は、日本にとってはもう不可欠な問題となっていくと思います。この点は日本の安全保障との関わりで非常に重要な施策だと思いますので、ぜひ強化の方向で頑張っていただきたいと思います。

 以上2点、コメントをさせていただきます。

森田分科会長 ほかに御発言はいかがでしょうか。ないようでございますので、ありがとうございました。

 それでは、これからのことでございますけれども、今後、当分科会におきましては、答申を取りまとめる作業に移ることとなります。次回の分科会におきまして、これまでの御審議の内容を踏まえた答申案を御提示させていただきまして、それについて御議論を賜ることとしたいと考えております。

 それでは、今日は予定より少し早く進行しておりますけれども、最後に事務局より連絡事項がございますので、吉田関税課長からお願いいたします。

吉田関税課長 当分科会の終了後に、引き続き当会場におきまして特殊関税部会を開催させていただきます。恐縮ではございますが、特殊関税部会の委員の皆様方におかれましてはそのままお待ちいただければと存じます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、次回の関税分科会の詳細につきましては、事務局と調整の上、また改めて御連絡差し上げたいと思います。

 本日は、御多用中のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございました。これで終了でございます。

午前11時13分閉会