このページの本文へ移動

関税・外国為替等審議会 関税分科会 (令和3年11月29日開催) 議事録

  1. 開会
  2. 令和4年度関税改正検討項目(2)
    - 暫定税率等の適用期限の到来
    - 沖縄に係る関税制度上の特例措置
    - 通い容器に係る免税手続の簡素化の対象の拡大
  3. 国際バルク戦略港湾政策等について
  4. 閉会

出席者
関税分科会長 森田 朗 財務省 阪田関税局長
委員 片山 銘人 小宮審議官
金原 壽秀 中澤総務課長
河野 真理子 河西関税課長
木村 福成 福島参事官
古城 佳子 加藤参事官
斎藤 保 米山監視課長
坂元 龍三 小多業務課長
佐藤 英明 松田調査課長
清水 順子 荒巻税関調査室長
杉山 晶子 鈴木事務管理室長
高橋 裕子 井田経済連携室長
高山 一郎 近田原産地規則室長
田村 善之 松田特殊関税調査室長
根本 敏則 内閣府 武藤政策統括官(沖縄政策担当)企画担当企画官
野原 佐和子 農林水産省 尾﨑輸出・国際局国際経済課長
専門委員 阿部 克則 水野農産局地域作物課長
大橋 弘 宮本農産局園芸作物課園芸流通加工対策室長
国松 麻季 経済産業省 石川通商政策局通商機構部通商交渉調整官
佐々木 伸彦 国土交通省 西尾港湾局産業港湾課長
末冨 純子
藤岡 博
宮島 香澄
村上 秀徳

 

午後1時00分開会

森田分科会長 時間も参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様方には、御多用中のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。

 本日の議題は、お手元の議事日程のとおりでございます。具体的に申し上げますと、「暫定税率等の適用期限の到来」、「沖縄に係る関税制度上の特例措置」及び「通い容器に係る免税手続の簡素化の対象の拡大」、これらにつきまして説明を受けまして審議を行いたいと思います。また、第1回における三石委員からの御提案を受けまして、「国際バルク戦略港湾政策等」につきまして国土交通省より説明を受けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず河西関税課長より、「暫定税率等の適用期限の到来」について御説明を受けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

河西関税課長 ありがとうございます。それでは、関税課長より御説明をさせていただきます。

 まず、資料1-1でございます。おめくりいただきまして、1ページでございます。基本税率は、中長期的な観点から、内外価格差や真に必要な保護水準を勘案して設定されるものでございます。一方で、暫定税率は、政策上の必要性等から、適用期限を定めて基本税率を暫定的に修正するということで設定をしているものでございます。令和4年度の改正につきましては、令和4年3月31日に適用期限が到来いたします417品目について延長等を検討する必要がございます。

 次に、2ページでございます。検討に当たりましては、生産者及び消費者等の間の利益調整に及ぼす影響や国際交渉の影響などを考慮しておりますけれども、今年度改正の方向性につきましては、一番下で3点にまとめさせていただいております。まず、412品目につきまして暫定税率の適用期限を1年延長することとしたい。2点目といたしまして、たまねぎについては暫定税率の水準を基本税率に移行する。そして、3点目といたしまして、ノルマルパラフィンにつきましては暫定税率を廃止することとしたいと考えております。

 詳細は3ページ以降で御説明をさせていただきます。

 まず、3ページのたまねぎでございます。たまねぎにつきましては、国内生産量が約135万トンで、生鮮野菜の総輸入量の約3割を占める重要な生鮮野菜となっております。たまねぎにつきましては、豊凶の差による価格変動が大きく、輸入量の多い品目であることから、低価格時には関税を課す一方、高価格時には、輸入を容易にするために、消費者の負担軽減の観点から、関税を無税とするスライド関税を採用してまいりました。たまねぎの最大の輸入相手国は中国でございますけれども、これまで国際交渉を見極めるという観点からRCEP協定の交渉の動向を見極めてきたところでございまして、今回RCEP協定交渉の結果、現行の暫定税率の枠組みを維持する形で中国と合意に至ることとなったところでございます。

 こうしたことから、考慮すべき事項にございますように、国際交渉の観点から現行の無税点価格を引き上げる可能性が乏しい状況となったことや、たまねぎ農家の保護の観点からは無税点価格を引き下げる可能性も極めて低いということを踏まえまして、制度を安定化させる観点から、今般、令和4年度改正として、スライド関税に係る現行の暫定税率を廃止して、当該税率の水準を基本税率に移行することとしたいと考えております。

 次に、4ページのノルマルパラフィンでございます。ノルマルパラフィンは、工業用の高級アルコールやアルキルベンゼンの原料として使用されるもので、最終的には合成洗剤等の原料となるものでございます。

 ノルマルパラフィンにつきましては、考慮すべき事項にございますように、昭和60年当時は国内供給だけではまかない切れない不足分があるということで輸入に依存する供給体制だったことから、暫定税率を無税に設定いたしましてこれまで延長してきているところでございます。今般、物資所管省庁である経済産業省より、2019年にアルキルベンゼンの国内生産が終了したことにより、原料であるノルマルパラフィンの国内需要が大きく減少し供給過剰となっており、無税として輸入をあえて促進する必要はなくなったことなどを踏まえまして、暫定税率を廃止したいとの要望があったところでございます。

 改正の方向性でございますけれども、生産者、消費者等の利害調整及び産業政策の観点からは、ノルマルパラフィンにつきましては、国内供給が過剰となり、輸入を促進する必要がなくなったことに加えまして、ノルマルパラフィンの国内供給量に占める輸入の割合はそもそも限定的であることや、RCEP協定が発効すれば現在ノルマルパラフィンの輸入先となっている中国、韓国からの関税は無税とされておりますので、ノルマルパラフィンのユーザー及び消費者への影響は限定的ということも踏まえまして、暫定税率を廃止することとしたいと考えております。

 続きまして、5ページの特別緊急関税制度でございます。特別緊急関税制度は、ウルグアイ・ラウンド合意に基づいて関税化された農産品につきまして、関税化措置に伴う輸入急増時等の安全弁として、輸入数量が一定の水準を超えた場合または課税価格が一定の水準を下回った場合に、それぞれ関税率の引上げを行うものでございます。

 中段の考慮すべき事項にございますように、ウルグアイ・ラウンド合意に基づき関税化された農産品につきまして、本制度そのものが当該農産品の輸入が急増した場合等に備えて設けられた制度であることから、国際交渉の状況などを踏まえて検討する必要があると考えているところでございます。

 こうしたことから、現在協議中のWTOドーハ・ラウンド交渉を含め経済連携協定に係る交渉の対象となり得るものでございますところ、国際交渉の状況等を踏まえ、予断なく注視する必要があることから、適用期限を1年間延長することが適当であると考えているところでございます。

 次に、6ページの加糖調製品でございます。加糖調製品につきましては、前回の第2回分科会に農水省から説明を頂きまして、委員の先生方に活発な御議論を頂戴いたしました。加糖調製品につきましては、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、TPP11発効時に糖価調整制度における調整金の対象に追加されたところでございます。TPP11発効に伴いまして加糖調製品に係る調整金により実質的に国産の砂糖の価格は低減したところでございますけれども、前回農水省からの御説明がありましたが、加糖調整品と国産の砂糖の間には依然として価格差が存在しているという状況でございます。こうした状況の中、農水省からは、加糖調製品に係る調整金収入の拡大をできるように、令和4年度のTPP11税率の設定状況等を踏まえた暫定税率の引下げを求める要望が提出されているところでございます。

 次に、考慮すべき事項でございますけれども、糖価調整制度の目的は、甘味資源作物に係る農業所得の確保等を通じて国内産糖の安定的な供給確保を図ることにより国民生活の安定に寄与することとなっております。したがいまして、加糖調製品と国産の砂糖の価格差、あるいは需給の動向、そして国内産糖に係る競争力の強化の状況などを勘案した上で、加糖調製品に係る調整金を拡充する必要性の有無について検討すべきであると考えているところでございます。

 一番下の改正の方向性でございますけれども、加糖調製品と国産の砂糖の価格差が認められることについては農水省から御説明があったところでございますけれども、それに加えまして、加糖調製品全体の輸入量は減少している一方で、一部の品目ではTPP11加盟国からの輸入量が増加しており、今後再び加糖調製品の輸入量が増加傾向に転じる可能性も否定できないことや、甘味資源作物の生産費削減を含む国内産糖に係る競争力強化に努めていること、加えて、暫定税率の引下げは、国産の砂糖の価格の引下げ要因の一端を担っていること等を総合的に勘案しまして、改正の方向性といたしましては、加糖調製品6品目につきまして、令和4年度のTPP11税率の設定状況等を踏まえ、国内産糖への支援に充当する調整金の拡大が可能となるように、暫定税率を引き下げることが適当であると考えております。

 他方で、下の米印にございますように、令和5年度以降につきましては、引き続き加糖調製品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の取組状況、暫定税率の引下げによる政策効果等について農水省に検証を求める必要があるとともに、さらに加糖調製品と国産の砂糖に関する今後の中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的な取組については、昨年の分科会答申を踏まえまして農水省において御検討いただき、前回の分科会で御説明いただきましたけれども、今年についてはそうした取組を更に前進させるため、引き続き消費者の視点を踏まえつつ、農水省からそうした取組についてフォローアップの上、報告を頂く必要があるというふうに考えております。

 私からの御説明は以上でございます。

森田分科会長 御説明、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等を頂きたいと思いますので、挙手ないしオンラインの方は事務局へお知らせいただければと思います。いかがでございましょうか。

佐藤委員 慶應義塾の佐藤です。

 6ページ目について意見を申し上げます。今年度このような御提案があって、これを認めることには異議はございません。そして、改正の方向性の四角の米印の内容についても賛成であります。

 と同時に、今後もこういう同種の御提案があるのであれば、この調整金は使途が決まっているわけですから、どれぐらいの増収見込みがあり、これまでと違うどういう使途に使われるのかという、いわば毎年度ごとの御提案、御説明を頂きたいというように私は考えております。

森田分科会長 ありがとうございました。

 これにつきまして、事務局はよろしいでしょうか。

河西関税課長 先生からは毎年の検証をきちんと行うようにということで御意見いただきました。これまでもやってきましたけれども、大変重要な点かと思いますので、先生からの御指摘を踏まえまして、きちんと引き続き農水省とも御報告できるように議論並びに調整をしていきたいというふうに思っております。ありがとうございます。

大橋委員 ありがとうございます。同じく6ページ目の加糖調製品の件ですが、私も今回の結論についてはこれにて結構と思っています。

 他方で、来年以降の課題として考えてみたときに、これまでのような食用だけに注目した形での需要開拓がどれほどできるだろうか。あるいは、業界の活性化を考えてみたときに、どこまでこれが効果的だろうかということは若干の懸念を持っています。

 国産の航空バイオ燃料など、SAFと言われていますけれども、そうしたことに関するさとうきび等のニーズは非常にあるところでございまして、そうしたところへもっと大きく政策議論を転換すべきではないかということも感じます。これは恐らく農水省だけでできない話で、これまでの実証実験は多分全く参考にならないと思うのですけれども、他府省との連携の中で国益にかなう形で政策の方向性を大きく考える時期に来ているのではないかと思います。このためには、農水省を中心として、業界としっかり対話をして、目指すべきビジネスモデルを共有すること、また、規模拡大に手を打つことが重要だと思います。業界として、やはり担い手が集まるような業界の活性化のためにもっともっと知恵を絞るべきではないかと私は考えます。

宮島委員 今日の御提案に関しては、特に異論はございません。

 ただ、一般の目線からすると、たまねぎの暫定税率の無税点価格は42年間変更がなかったと聞くと、42年というのは大分昔なので、少しびっくりするところはあります。暫定税率が暫定のまま前提が古くなったものも、特に税制ではありましたので、問題意識を持つことが必要かと思います。一方で、関税の場合には、国際交渉や世の中の変化に対応しやすいというところで暫定税率があるということに関しては非常に理解しております。ただ、全体400品目以上ある中に何となく漫然と単純延長しているものがないかということはやはりしっかり見ていただきたいと思います。

 例えば今回の加糖調製品については、TPPがあって、このようにしっかりとした議論がされて、農水省でもしっかりと先行きに関しまして示されつつあると思うのですけれども、ほかのものに関しても、何となくふらふらしてどっちになるか分からないけど、取りあえず暫定というよりは、その分野が持っている問題意識に関して、ちゃんとその現場、生産者も含めて意識しながらやっていく必要があると思います。必ずしもどちらかに振らなければいけないということではないのですけれども、暫定に置いておくことで関係者が先を見通しにくくなるといったことがないように、400以上ありますが一つ一つについてやはりしっかりと毎年見直しをしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見、御発言ございますでしょうか。6ページの加糖調製品に関する御意見が多かったものですから、農水省からも御発言をお願いいたします。

水野農産局地域作物課長(農林水産省) 農水省地域作物課長の水野でございます。大橋先生、ありがとうございます。

 大橋先生には、8月に農林水産省で行った甘味資源部会で、さとうきびのバイオジェット燃料への活用について、将来的に砂糖に代わるバックアッププランとして検討すべきではないかという御意見を賜っているところでございます。少し状況を申し上げますと、さとうきびとてん菜をバイオエタノールに活用するということについて過去に事業を展開したのですけれども、なかなか収益が合わずに頓挫したという実態がございます。ただ、今見ると、世界的に燃料価格は上昇していますし、SDGsの取組などもかなり関心を持たれていることも我々も承知してございますので、おっしゃった将来的なバックアッププランということも踏まえて、これは我々としても真剣に考えていかなければいけない問題だと認識しております。

 また、先生からも御紹介いただいて、航空業界に対してどういったアプローチができるかということなども国土交通省とも意見を交換させていただいています。あとは、砂糖のメーカーというのは各商社系統になっていますので商社と話したり、同じように精製糖企業の担当者と話したり、いろいろしているところです。技術的にはもうお分かりのとおり、エネルギーを作ることは可能ですけれども、問題はコストをどうするかに尽きてしまうということでございます。いずれにしても、こういった問題をどこかでブレークスルーできないかどうかということは引き続き我々としても考えていかなければいけないというふうに認識してございますので、引き続き先生の御指導を賜りながら、国土交通省等の関係省庁と一緒になって議論を進めていきたいというふうに思っているところでございます。引き続き御指導を賜れればと思います。よろしくお願いします。

森田分科会長 ありがとうございました。これに関連して、大橋委員、よろしいでしょうか。

大橋委員 ぜひ引き続き御検討をよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

河西関税課長 大橋先生と宮島先生、貴重な御意見、ありがとうございました。

 大橋先生の御発言は、中長期的な視点で、制度全体をより持続的なものにすべきではないかという問題意識での大事な御指摘かと思います。農水省から今御説明がありましたように、足元においてはいろいろ課題があるようではございますけれども、より持続的な制度にすべきという問題意識は全員が同じ方向を向いているベクトルかと思います。今後の課題として、農水省とそうした方向性についてぜひ議論をさせていただきたいと思います。大事な御指摘、ありがとうございました。

 また、宮島先生から、暫定税率について、ただ漫然と見直すようなことがないようにという御指摘を頂きました。たまねぎにつきましては、先生もおっしゃっていただいたように、まさに国際交渉の戦略としての観点があったことも踏まえまして、慎重な検討が必要であったということでございます。あと、ノルマルパラフィンの説明でもありましたように、やはり産業をめぐる状況もいろいろと変わるものでございますから、機動的な対応が必要であるということもありまして、毎年きちんとそれぞれも品目について検証した上で暫定税率を延長させていただいているところでございますけれども、先生がおっしゃるように、まさに漫然とということではないように、関係省庁とは引き続き毎年きちんと検証しながら、そのときそのときで適切な対応を考えていきたいと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。

森田分科会長 ほかに御発言はいかがでしょうか。ございませんか。

 それでは、続きまして「沖縄に係る関税制度上の特例措置」につきまして御説明をお願いいたします。

武藤政策統括官(沖縄政策担当)企画担当企画官(内閣府) 内閣府沖縄政策担当でございます。本日は、お忙しい中、御説明の機会を頂きまして、ありがとうございます。

 スライドの1でございますけれども、今回、沖縄振興の根拠法でございます沖縄振興特別措置法が10年のちょうど期限を迎えるタイミングでございまして、まずはその経緯について御説明させていただきたいと思います。

 スライドの2でございますけれども、上段にございますように、沖縄の歴史的事情や地理的事情、社会的事情を踏まえまして、昭和47年の本土復帰以降、沖縄振興特別措置法等によりまして沖縄振興に係る各種の特別措置を国の責務として行ってきております。中段の右側にありますけれども、その中で、地域特区制度をはじめ各種の税制優遇措置等もずっと講じてきたところでございます。下段にございますように、沖縄振興特別措置法はこれまで10年ごとに延長されておりまして、現在第5次の計画となっております。来年5月には復帰50年を迎えるということで、第6次計画となる予定でございます。

 スライドの3でございますけれども、現在の沖縄振興特別措置法の体系につきましては御覧のような体系になっておりまして、第2章で沖縄振興基本方針を国が定めまして、それに基づいて県が沖縄振興計画を策定して、それに基づいて振興を実施しております。左側にありますように、第3章の「産業の振興」に沖縄型特定免税店制度や国際物流拠点産業集積地域というものがございまして、こちらで関税につきましても優遇措置を講じていただいております。

 スライド4をお願いいたします。期限後の沖縄振興に関するこれまでの検討経緯につきましてですけれども、来年3月に沖振法が期限を迎えることに当たりまして、これまで現行の沖縄振興計画の検証作業を行ってきております。そういった総点検の結果や沖縄振興審議会の意見具申等を踏まえまして、8月に内閣府が「沖縄振興策の検討の基本方向」を出しまして、それに基づいて法制、税制、予算について各種の要望・調整を行っているところでございます。その中で税制に関しましては、13の税制について必要な見直しの上、延長を要望しております。

 スライド5以降でございますけれども、関税に関する今回の具体的な要望についてでございます。

 おめくりいただきまして、スライドの6でございますが、1つ目が特定免税店制度の延長でございます。現在、沖縄地区税関長の承認を受けた小売業者から購入しまして、沖縄県外へ持ち出す輸入品の関税につきまして、20万円を上限に免除いただいております。最近のEコマースへの対応のため、オンラインも今回対象としつつ、2年間の延長をお願いしたいと考えております。

 スライドの7でございますが、2つ目が沖縄の国際物流拠点産業集積地域についてでございます。現在、同地域内の認定事業者について、手数料軽減であるとか選択課税を認めていただいております。この地域につきましては当初2年間で要望しておりましたが、今回、地域・特区制度全体におきまして事業認定制度等を設けてその効果検証を行うといったことを趣旨として、関係各所におきまして3年の延長としていただけるようにお願いをしているところでございます。関税につきましても、税制改正の要望を踏まえた効果検証等のために、ぜひ3年間の延長ということでお願いをしたいと思っております。また、後で説明いたしますが、今回、地域の拡充をお願いしたいと考えておるところでございます。

 スライドの8でございますが、国際物流地域の特例措置の具体的な内容についてでございます。1つ目が、上にあります保税地域の許可手数料の軽減でございます。保税蔵置場等の手数料につきまして、現在2分の1相当額としていただいております。下にあります選択課税制度につきましては、保税工場内で製造される外国貨物を原料とします製品について、原料課税か製品課税かを輸入者の選択を認めていただいているといった制度になっております。

 スライドの9でございますが、国際物流地域の対象の拡大についてでございます。内閣府といたしましては、対象地域を現在のうるま・沖縄地区、右下にあります赤枠内からそれぞれ市内全域への拡充を要望しているところでございますが、対象地域の拡充につきましては、現在行っております政府内の調整を経まして、今後、与党税制調査会等で御議論いただく予定となっておりますので、その過程で拡充地域が沖縄市、うるま市の一部地域になる可能性がございます。あわせて申し添えておきます。

 次のスライド10以下につきましては、参照条文等の参考資料でございますので、説明は省略させていただきたいと思います。

 概要は以上でございます。何とぞ御理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、続きまして河西関税課長からお願いいたします。

河西関税課長 ありがとうございます。関税課長でございます。

 それでは、財務省の資料2-2で御説明をさせていただきます。

 ページをおめくりいただきまして、1ページ目でございますけれども、今内閣府から御説明がありましたように、沖縄関連では、現在、関税法令における対応といたしまして、特定免税店制度と選択課税制度につきまして措置を講じているところでございます。特定免税店制度につきましては、先ほど御説明がありましたように、沖縄の市中または空港の免税店におきまして、沖縄から本土に移動する旅客向けに販売される物品について、20万円の範囲内で関税を免除する制度でございます。旅客は、免税店の店舗内で免税品を購入し、空港やクルーズターミナルで引渡しを受けるというものでございまして、現在はインターネットでの事前購入はできない状況でございます。

 検討でございますけれども、内閣府及び経産省からは、制度の2年延長及びインターネットでの免税品の事前購入につきまして、購入物品の引渡しについては空港等で行う現行制度を維持することを前提にインターネットでの事前購入を可能とすることについて要望が出されているところでございます。特定免税店制度につきましては、その創設以降、沖縄の観光振興、雇用促進に一定の効果があったと考えられます。また、インターネットの事前購入につきましても、インターネットでの販売形態が足元で普及する中で、こうした事前購入が可能となれば観光旅客の利便性向上にもつながると考えられます。加えて、参考でございますけれども、成田・羽田空港内の免税店においても既に可能となっているところでございます。

 改正の方向性といたしましては、こうした上記の状況を踏まえますと、特定免税店制度が沖縄振興特別措置法に基づく税制上の特例措置の一環であること等に鑑みまして、同法に係る来年度以降の法的措置が講じられることを前提に、適用期限を2年延長する、また、観光旅客の利便性向上を図るために、空港等で購入物品の引渡しを行うとの現行制度を維持した上で、インターネットでの免税品の事前購入を可能とすることが適当ではないかと考えているところでございます。

 次に、2ページ目の選択課税制度等でございます。こちら、特定免税店制度と同様に本年度末に期限が到来するものでございますけれども、制度の内容につきましては、沖縄振興特別措置法に基づきまして、具体的には、国際物流拠点産業集積地域の保税工場におきまして、外国貨物を原料として製造される製品について、原則である原料課税か、もしくは製品課税かを選択できる制度でございます。また、物流地域における関税上の対応といたしましては、これに加えまして、国際物流拠点産業集積地域の保税蔵置場等の許可手数料等についても現在2分の1に軽減されているところでございます。

 検討でございますけれども、内閣府、経産省からは、選択課税及び許可手数料の軽減につきまして3年の延長のほか、仮に物流地域の一部が拡大される場合には、その拡大地域においてもこれらの制度の適用を認めることについて要望が出されているところでございます。2つ目のポツでございますけれども、選択課税制度につきましては、物流地域における企業誘致等の観点から一つの魅力となっていると考えられます。また、今後、制度の利用が見込まれていることや物流地域の一部が拡大される場合には、選択課税制度や許可手数料の軽減を活用することができた場合には、今後、物流地域におけるさらなる産業の集積が期待されるかと思います。

 こうしたことを踏まえまして、改正の方向性でございますけれども、選択課税制度及び保税蔵置場に係る許可手数料の軽減につきましては、沖縄振興特別措置法に基づく物流地域の税制上の特例措置の一環であることに鑑みまして、沖縄振興特別措置法に係る法的措置が講じられることを前提に、適用期限を3年延長するほか、物流地域の一部が拡大される場合には、拡大地域においてもこれらの制度の適用を認めることが適当ではないかと考えているところでございます。

 私からは以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明につきまして御発言がございましたら挙手をお願いいたします。よろしいでしょうか。

 特に御質問はないようでございますので、続きまして、「通い容器に係る免税手続の簡素化の対象の拡大」につきまして、小多業務課長から御説明を受けたいと思います。よろしくお願いいたします。

小多業務課長 業務課長の小多でございます。

 私からは、資料3-1を用いまして、「通い容器に係る免税手続の簡素化の対象の拡大」について説明いたします。

 そもそも通い容器とは何かということで、資料右下に一例として写真を付しております。こちらの写真にあるものは一辺1メートル程度のものでございます。ただ、用途に応じまして様々なサイズのものがありまして、素材についても金属製、プラスチック製、木製と様々でございます。こういった容器を輸出入に際して貨物の運送のために繰り返し使用する。これが通い容器というものでございます。

 その通い容器に係る現行の制度についてまず御説明申し上げます。この通い容器も輸入される貨物となる場合には、本来は関税、消費税が課されるところですが、関税定率法等の規定により、輸出されたものが再輸入される場合には再輸入免税の、また、我が国に輸入される通い容器でその輸入の日から1年以内に再輸出される予定のものについては再輸出免税の対象となっております。さらに、環境問題への対処などの観点から、通い容器の利用を後押ししようということで、平成24年に一部の提出書類を不要とするといった手続の簡素化を実施しております。ただし、この簡素な手続が利用できるのは、輸出入双方のAEOの承認を受けている者が扱う通い容器に限定され、かつ、少し小さい字になりますが、米印2のところに記載している、いわゆる特例申告貨物に該当する場合に限定されております。

 中段に移ります。このような現行制度を運用する中で、通い容器の取引において輸入者と輸出者が異なる場合があるということが分かってまいりました。例えば、輸入時はメーカーが、輸出時は商社が通関するといった具合です。この場合、今の制度では、簡素な手続の利用はできません。しかしながら、輸入者と輸出者が異なっていたとしても、それぞれがAEO事業者としての承認を受けている者であるならば、貨物のセキュリティ管理、法令遵守の体制が整備されていると認められる者でありますから、特段制限する必要はないのではないかと考えることができます。

 これらを踏まえまして、下段の改正の方向性に移りますが、まず、通い容器の輸入者と輸出者が異なっていたとしても、それぞれがAEO輸入者、AEO輸出者の承認を受けている場合には、これも簡素な手続の利用を可能としてはどうかと考えられます。一番下の部分にイメージ図をつけておりますので、御参照いただければ幸いです。また、この際、AEO輸入者の扱うものであるということでありますから、対象となる貨物を従来の特例申告貨物に限定することなく、通常の輸入申告貨物に広げても差し支えないのではないかと考えられます。なお、こちらは通達事項になりますけれども、通い容器の輸出入状況の管理については、これを一貫してAEO輸入者に委ねることとしてはどうかと考えております。

 説明は以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御発言がございましたらお願いいたします。

末冨委員 今の通い容器の免税手続の簡素化についての御説明、ありがとうございました。輸入者と輸出者が異なる場合にもということでしたけれども、異なる場合でも、物については同じもので、輸出者と輸入者が異なるということかと理解いたしました。自主管理はAEO輸入者に委ねるということですが、この輸入者と輸出者が同じ物を扱っていることについての検証、手続というのもこの自主管理に委ねられるということでしょうか。同一の物を扱っている輸出者と輸入者の関連性について当局が検証されるのか、それとも、その点も自主管理に委ねられるのかということについて確認をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

小多業務課長 末冨委員、ありがとうございます。今の点でございますけれども、輸出者、輸入者の異なる場合がありまして、今回、AEO輸入者に自主管理を委ねることにいたしますけれども、今おっしゃった同一のものであるという点につきましてもAEO輸入者における自主管理のうちに含まれるということでございます。

 ただ、AEO事業者でございますので、当局との間で定期的にその状況というものを確認させていただくことがございますので、そういった形で制度の実効性は担保されていくものというふうに承知しております。

末冨委員 AEOのシステムに対する信頼を基本とした制度になっていると理解させていただきました。どうもありがとうございました。

森田分科会長 ありがとうございました。

 ほかに御発言はいかがでしょうか。ございませんか。

 ないようでしたら、最後になりますけれども、国土交通省より、「国際バルク戦略港政策等」につきまして御説明を頂きたいと思います。

西尾港湾局産業港湾課長(国土交通省) 国土交通省港湾局産業港湾課長の西尾でございます。10月8日の分科会におきまして三石委員より、コンテナ以外の海上輸送全般についてお話があったとお聞きしておりまして、今日は当方よりその概況と国交省が進めます国際バルク戦略港湾について簡単に御説明いたします。

 まず、1ページ目をお開きください。こちらは世界の海上輸送貿易量の推移を品目別に示したものでございます。一番右の2019年を見ていただきますと、世界の貿易量は約120億トンになりますが、このうちコンテナは19億トンでありまして、残る100億トン、全体の84%ぐらいになりますが、こちらのほうはコンテナ以外の貨物となっております。中でも穀物、鉄鉱石、石炭、これが全体の約3割を占めておりまして、この国際バルク戦略港湾政策というのはこの3品目に着目いたしまして、その効率的な輸送を実現するために進めている政策でございます。

 2ページ目を御覧ください。こちらは、穀物、鉄鉱石、石炭等のドライバルクを輸送する船舶の隻数をサイズ別に棒グラフで示しております。海上輸送量、貿易量の増大、スケールメリットの追求を背景に大型化が進んでおります。例えば赤い色で塗っていますが、6万トン以上の船舶の割合で見ますと、2000年には26%でしたが、2020年にはその割合が37%ということで船舶の大型化が進んでいる状況でございます。

 3ページ目をお開きいただきますと、こうした動きに対応するために、国交省では、左下にありますが、平成23年に国際バルク戦略港湾というものを、3品目で9グループ選定しておりまして、大型船が入港できる港湾の拠点的な整備、企業間連携を通じて大型船による大量一括輸送を実現する取組を進めております。

 次に、4ページを御覧ください。国際バルク戦略港湾の事例を御紹介したいと思います。こちらは釧路港の例でございますが、こちらでは水深14メートルの大水深岸壁を整備することで大型船が満載で入港することが可能となりまして、飼料用のとうもろこしの輸入元である北米に一番近い港湾といたしまして、畜産などの地域経済の振興に大きな役割を果たしているところでございます。

 5ページ目をお開きいただきたいと思いますが、具体的にその効果といたしまして約210億円の民間投資が行われております。新規の雇用としても110人増加しております。また、1隻当たり荷下ろしする量が従来と比べまして約1.7倍となりまして、これに伴い輸送コストが低減し、輸送の日数も短縮し、飼料の安定供給につながるといった効果が出ているところでございます。

 続きまして、6ページ以降は、バルク港湾政策ではないのですが、最近カーボンニュートラルということで進めている政策について少しだけ御紹介したいと思います。2050年カーボンニュートラルの実現に向けまして、国交省ではカーボンニュートラルポートの形成を進めております。我が国のCO2排出量のうち、発電所、鉄鋼、化学工業等から約6割を排出しております。その事業所の多くは港湾・臨海部に立地しております。このため、港湾を中心に脱炭素化の取組を進めることが我が国の脱炭素化に効果的であると考えております。詳細については時間の関係もありますので割愛いたしますけれども、中身としては、今後、水素ですとか燃料アンモニア、そういった脱炭素燃料の受入れの環境を港で整えていく。また、港の中の港湾オペレーション、荷役機械等の脱炭素化を進める。さらには、港湾周辺の火力発電所等と連携いたしまして、港湾地域全体で面的な脱炭素化に取り組む。そういったことを計画してございます。

 簡単でございますが、以上で説明を終わらせていただきます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきましての御発言がございましたらお願いいたします。

大橋委員 今の御説明は基本的に国際的な港湾政策を推進する上でのハードの話をしていただいたと思いますが、ソフトも非常に重要ではないかと思っています。とりわけ港湾管理あるいは整備の主体というものをどう考えていくのかという点ですけれど、特に国際港湾みたいな議論をする際には現行よりも広域的な主体で担ったほうがいいのではないかと思います。また、カーボンニュートラルの話をしていただきましたけど、これもやはり広域主体に対して水素を提供しないと、一自治体だと規模の経済性が全くなくなってしまうので。こういう観点からも、やはり広域主体での管理あるいは整備というものをしっかり考えていく必要があるのではないかというふうに強く感じますので、コメントとして申し上げます。ありがとうございます。

森田分科会長 ありがとうございました。これにつきましては、国交省、いかがでしょうか。

西尾港湾局産業港湾課長(国土交通省) ありがとうございます。

 まさに国際バルク戦略港湾というのは、1港のターミナルを整備して、ここだけがコストが下がるということではなくて、例えば、1つ大きな岸壁を整備し大型船から貨物を一部荷揚げしますと、船舶の喫水が上がりまして、その次に寄る港からは浅い水深の港にも入港ができるということで、拠点的な整備をすることによって、その裨益効果がより多くの他港にも及ぶというようなことも考えております。そういった意味で、広域的な観点での効果といったものもこの政策は期待しているところでございます。

 さらに、カーボンニュートラルにつきまして、これも日本全体で進めるという政策になっております。ただ、水素とかアンモニアというのはどこの港でも受け入れるということではなくて、こちらのほうも拠点的に受け入れながら全体として最適化を図っていきたい、そういうふうに考えております。

坂元委員 関経連から出席させていただいております坂元でございます。御説明、ありがとうございました。

 カーボンニュートラルについての取組というのは、今、企業は非常に関心を持っている課題の1つであります。まず、企業は、脱炭素への活動というのはScope1を中心とした活動体制を整備しつつあるところですけれども、将来的にはScope2、Scope3、今回のいろいろな輸入とかに関係する船舶や、あるいは港湾設備が発生させる炭素に対する評価というのはScope3のほうに多分含まれるのだと思うのですが、将来的なイメージとして、このScope3のカーボンプライシングへつなげるような情報の把握というのは、どういうふうな形で企業に対しては提供されていくのか。その辺の何かイメージが分かりましたら。具体的なことは今後だと思いますが、その状況が分かりましたら教えていただけたらと思います。

西尾港湾局産業港湾課長(国土交通省) ありがとうございます。まさにカーボンニュートラルポートを進めていくに当たりまして、どう進めていくかという道筋をしっかり詰める必要があると思っております。そうした観点で、現在、国交省では、有識者の先生方にも入っていただきまして、カーボンニュートラルポートの方向性、それから、この計画自体をつくる際のマニュアルというものを作っているところでございます。これは関係する民間事業者さんなどの御意見を頂きながら、また各港でも個別の検討をさせていただいております。予定では年内に一定のものをお示しできるというふうに考えておりますので、そういったものも御参考いただきながら、全国の港でカーボンニュートラルポートの形成を推進していきたいと考えております。

森田分科会長 大橋委員、さらに御発言ということでございましょうか。

大橋委員 すみません。私のコメントが少し勘違いされていたので、もう一回申し上げます。港湾管理について、隣接地域の複数の自治体が一体となって管理する在り方というのを検討すべきではないかと申し上げていまして、これは80年代に外貿埠頭施設みたいな感じのことをやられていたと思いますけど、そうしたことを申し上げていたということでございます。ありがとうございます。

森田分科会長 これは国交省に対するコメントということでよろしゅうございますね。御発言はございますか。よろしいですか。

 それでは、他に質問等ないようでございますので、以上とさせていただきます。

 本日をもちまして令和4年度関税改正検討項目につきまして委員の皆様に一通りの御審議を賜りましたので、今後、当分科会におきましては答申を取りまとめる作業に移ることになります。次回の分科会におきまして、これまでの御審議の内容を踏まえた答申案を御提示させていただき、それについて御議論賜ることにしたいと考えております。

 なお、次回の関税分科会の開催につきましては12月9日(木曜日)10時開始を予定しております。詳細につきましては、また事務局と調整の上、別途御連絡を差し上げたいと思っております。

本日は、御多用中のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

午後1時49分閉会