このページの本文へ移動

関税・外国為替等審議会 関税分科会 (令和3年4月13日開催) 議事録

  1. 開会
  2. 関税分科会長の選任
  3. 関税分科会長代理の指名
  4. 部会に属すべき委員等の指名、企画部会長及び特殊関税部会長の指名
  5. 最近の関税政策と税関行政を巡る状況
  6. 閉会

出席者
委員伊藤 恵子財務省田島関税局長
金原 壽秀源新審議官
河野 真理子小宮審議官
木村 福成渡部総務課長
古城 佳子中澤関税課長
斎藤 保河西参事官
坂元 龍三加藤参事官
佐藤 英明福田監視課長
清水 順子奈良井業務課長
高橋 裕子米山調査課長
高山 一郎鈴木事務管理室長
田村 善之加藤特殊関税調査室長
永沢 裕美子松田原産地規則室長
根本 敏則鈴木税関調査室長
野原 佐和子井田経済連携室長
春田 雄一石川知的財産調査室長
三石 誠司
森田 朗
専門委員阿部 克則
大橋 弘
佐々木 伸彦
末冨 純子
藤岡 博
宮島 香澄
村上 秀徳

 

午前10時18分開会

中澤関税課長 ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 私は、関税分科会の事務局を担当しております関税局関税課長の中澤でございます。分科会長の選任までの間、議事進行を務めさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 本分科会の委員名簿は資料1のとおりでございます。また、本日の議題は議事日程のとおりでございます。

 それでは、委員改選後初めての関税分科会でございますので、分科会長の選任をお願いしたいと存じます。

 分科会長につきましては、関税・外国為替等審議会令第6条第5項の規定によりまして、互選により選任することとされているところでございます。早速でございますが、どなたか分科会長を御推薦いただけますでしょうか。

 古城委員、よろしくお願いいたします。

古城委員 ありがとうございます。古城と申します。

 私は、先ほど総会で関税・外国為替等審議会の会長代理に選任されました森田朗委員を推薦したいと存じます。森田委員は、行政学の分野で大変多くの実績を上げられているとともに様々な審議会に参加してきておられ、また、平成27年4月以降は関税分科会長として、関税率及び関税制度の改正に関する答申書の取りまとめに御尽力いただいております。その幅広い知識及びこうした御経験を考え合わせますと、関税分科会長は森田委員がふさわしいと存じます。

中澤関税課長 ありがとうございます。

 ただいま古城委員より森田朗委員を推薦する御提案がございましたが、いかがでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

中澤関税課長 ありがとうございます。皆様方の御賛同を得ましたので、分科会長は森田委員にお願いしたいと存じます。森田分科会長におかれましては、恐縮でございますが、こちらの会長席にお移りいただければと思います。よろしくお願いいたします。

(森田分科会長着席)

森田分科会長 ただいま分科会長に御指名いただきました森田でございます。引き続き分科会長を務めさせていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様方の御協力を頂きまして円滑な分科会の運営に努めてまいりたいと存じますので、重ねてよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、早速でございますが、分科会長代理、部会に属すべき委員及び部会長の指名につきまして、中澤関税課長より御説明をお願いいたします。

中澤関税課長 それでは、私から分科会長代理、部会に属すべき委員及び部会長の指名につきまして御説明いたします。

 まず、分科会長代理につきましては、関税・外国為替等審議会令第6条第7項の規定によりまして、分科会長が指名することとされております。また、部会に属すべき委員及び部会長につきましても、関税・外国為替等審議会令第7条第2項及び第3項の規定によりまして、分科会長が指名することとされております。

 分科会長代理、企画部会、特殊関税部会に属すべき委員、企画部会長及び特殊関税部会長につきましては、森田分科会長より指名をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局から名簿案を配付させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(名簿案配付)

森田分科会長 皆さん、お手元に届きましたでしょうか。

 ただいま配付させていただきました名簿案のとおり、各部会に所属すべき委員を指名させていただくとともに、分科会長代理を根本敏則委員、企画部会長を河野真理子委員、特殊関税部会長を佐藤英明委員、それぞれの委員にお願いしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、今後の審議の参考といたしまして、「最近の関税政策と税関行政を巡る状況」につきまして、渡部総務課長より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

渡部総務課長

 資料3を画面上で御覧いただければと思います。まず、令和3年度関税改正の概要でございます。3ページから4ページをご覧ください。年末に頂きました答申を踏まえまして法案が3月31日国会に成立いたしました。施行日ですが、一部を除き4月1日より施行されてございます。ありがとうございます。

 6ページ、輸出入の最近の動向でございます。対世界輸出額の伸び率は回復傾向にございます。特に青い折れ線グラフで示しております対中国については、典型的なのは左の輸出でございますが、8か月連続のプラスとなっております。

 7ページです。これは税関における主要業務量の推移に関係する指標でございまして、長期的な増加トレンドを示しております。

 8ページは直近の数字でございます。左が入国者、一番右が輸入許可件数で、コロナ禍においては「人の動きが止まり、物が大きく動く」といわれておりますが、典型的に現れてございます。特に2020年の数字、入国者、船舶・航空機入港数は大幅減少した一方、国際航空貨物輸入許可件数は約4,200万件から約6,500万件と、これまでも増えておりましたが、対前年比1.5倍超、4年前比では約2.6倍と激増してございます。航空貨物の急増に対応するため、税関では職員を機動的に配置転換等したほか、ターゲッティング情報や最新鋭機器の活用を通じて効果的な取締りに努めてございます。

 9ページ、10ページと税関におけるコロナへの対応の一例でございます。旅客との接触を軽減するため、Eゲート等の機器を活用・推進しているほか、フェイスシールド等感染防止策の徹底、あるいはリモート会議システム活用等を税関としても実施してございます。

 10ページ、マスクや防護服などの物資について迅速通関を実施しております。加えて、今年2月以降輸入されておりますワクチンでございますが、予備審査制度の活用を推奨することで、厚労省所管の薬機法に基づく承認等の確認を行い、貨物到着後、輸入許可が即時に可能となる体制を構築してございます。

 11ページ、7月の東京オリンピック・パラリンピックでございます。政府の方針に基づき、テロ対策など水際対策の強化、特に大会関係の物品が多くなってきますので、円滑な通関とテロ対策の両立に努めてございます。

 12ページ、13ページと今年度の税関の定員・予算でございます。定員についてはプラス150人となり、7年連続で3桁の増でございます。予算につきましては、システム関係予算がデジタル庁等に計上されましたが、これを除きますとほぼ前年と同じ水準となってございます。

 治安対策経費といたしましては、13ページでございますが、新たな国際郵便物の検査に対してAIを活用したエックス線画像識別機能を導入するための経費など、新たな機器導入にも配意してございます。

 14ページでございます。スマート税関です。昨年の分科会において有益な御意見をたくさん頂きました。そのときに局長の田島からもKPIを可能な限り設ける旨を申し上げてございます。現在その方針に沿いまして作業を進めつつ、可能なものは前倒しの形で実施しております。例えば税関チャットボット、これは本年2月から運用を開始しましたし、早期導入を目指してドローンの飛行実証も前倒しして実施してございます。

 15ページです。国内にて美術品の国際的なオークションを開催しようという動きが出てきておりますので、税関の通達改正を行いまして、保税地域でオークション等を開催する手続を明確にしました。この改正は、国際物流の活性化や新たなビジネスチャンスにつながると考えてございます。今年3月に初めての事例として、東京国際フォーラムの一部が保税展示場の許可を受けてアートフェア東京が開催されてございます。

 16ページです。令和2年における不正薬物押収量、これは5年連続で1トンを超えるということで、過去3番目でございます。特にまたMDMA、大麻樹脂等の押収量が足元で増加しておりますので、これを注視してございます。

 17ページ、金の密輸取締りでございます。平成30年の罰則強化もあり、密輸の摘発件数、押収量はともに大幅減少しておりますが、他方、右下に写真で示しているように隠匿手口が巧妙な事案も散見されます。金価格も高い水準になっておりますことから、引き続き厳格対応が必要と考えております。

 18、19ページは知財侵害物品の取締りでございます。これも分科会で御議論いただいておりました。海外事業者が模倣品を国内に持ち込む行為を商標権等の侵害と位置づける法案が国会に提出されております。御答申いただきましたとおり改正が行われた後、水際取締りを実施するため必要な制度改正について、当分科会において御審議いただきたいと考えてございます。

 20ページでございます。AEO制度につきまして、近年、事業者数の伸びが緩やかになっておりますところ、一層の利用拡大に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

 21ページです。令和元年度の関税収入は0.9兆円でございます。消費税等も含めた税関における収納額は約9.2兆円になっております。令和2年度は、輸入額の減少などから、関税収入等は1割程度の減少を見込んでございます。

 続きまして、国際関係、23ページをご覧ください。RCEP協定は、8年にわたる交渉を経て、昨年11月署名、現在、国会審議中でございます。

 詳細な内容につきましては、次の24、25ページにルール分野等をお示ししておりますが、RCEP協定により、我が国貿易総額に占めるEPAの割合は8割前後となりました。引き続き、税関・関税局としては事業者への説明会を開催するなど、EPAの利活用を促進してまいりたいと考えてございます。

 26ページ、WTOの新事務局長に3月1日、ナイジェリアのオコンジョ=イウェアラ氏が就任されております。就任時から取り組むべき分野を明確に意欲的に示されておりまして、今年11月末の閣僚会議に向けた作業の方向性の提案がなされたところでございます。

 27ページ、3月末にWTOの世界貿易見通しが更新されております。2021年以降の貿易総額は、昨年比でプラスに転じるものの、コロナ危機前のトレンドを下回るとのメッセージが示されてございます。

 28ページ、29ページ、アメリカの動きでございます。バイデン政権の通商政策の基本方針として、中国の不公正な貿易慣行への対処を念頭に、同盟国やWTOとの連携を掲げてございます。

 29ページ、3月18日ですが、USTRの法律顧問として、中国のWTO提訴を担当した経験のあるキャサリン・タイ氏が新しい米国通商代表に就任してございます。

 30ページ、英国のTPP11加入に向けた動きです。2月1日、英国からTPP11への加入申請の正式通報がございました。日本は本年のTPP委員会の議長国でございますので、プロセスを円滑に進めていきたいと考えてございます。

 31ページ、WCO(世界税関機構)の最近の取組でございます。具体例といたしましては、WTOとの共同声明発表など関係国際機関との連携強化、ワクチンの問題、また偽造医薬品等の国際取締りオペレーションなど、コロナの下での円滑な貿易に向けた取組を実施してございます。

 最後に、32ページ、3月上旬に米国産牛肉の輸入量が令和2年度の基準数量を超過いたしまして、日米貿易協定に基づく牛肉セーフガードを発動いたしております。3月18日から4月16日まで、米国産牛肉の関税率は25.8%から38.5%への引上げとなってございます。

 大変駆け足になりましたが、説明は以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございます。

 ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。

河野委員 お時間のない中、質問させていただき、申し訳ございません。

 いろいろな御説明をありがとうございました。コロナ禍での国際経済関係の進展、特に関税をめぐる関係に様々な動きがあることがよく分かる御説明で、大変感謝いたしております。3点伺わせていただきたいと思います。

 まず、第1点目でございますが、23ページから24ページにかけてRCEPについての御説明を頂きました。RCEPが採択されたことはとてもすばらしいことだと思っておりますけれども、片や、例えばRCEP、TPP、さらにASEANの国々に関しましては加えて日ASEANと、それから二国間のFTA、EPAも締結されている状況だと理解しております。これに対して、日・中・韓の3か国のFTAに関しましては、交渉の努力がなされているものの、なかなか進展が見られないと聞いております。今回のRCEPの締結を受けて、日・中・韓の3か国のFTAの位置づけをどのようにお考えなのか。この点をまず伺わせていただきたいと思います。

 続きまして、2つ目は、28ページから29ページにかけての米国の新政権の方針についてでございます。先ほどWTO改革について米国の新政権が積極的であるという御説明がございました。特に上級委員会の指名に関して、特にこの上級委員会が機能不全となっている状況について米国がどのような考えを持っているのか。この点、できれば伺わせていただきたいと思います。

 最後に、30ページの英国のTPP11の加入でございます。英国のTPP11というのは、ヨーロッパからTPPに入る国が出てきたという意味で新しい動きではないかと感じます。これをきっかけにして、現状のTPPの域を超えた新しい地域からのTPPへの関心というものが見られるのかどうなのか。この点について伺わせていただきたいと思います。

 以上3点でございます。

森田分科会長 ありがとうございます。

 質問のある方が何人かいらっしゃいます。時間が限られておりますので、質問を伺って、それからまとめて御回答いただければと思います。

清水委員 御説明、ありがとうございました。私からは2点御確認させていただきたいと思います。

 まず、AEO制度につきましてですが、通関業者のAEO事業者数が近年伸びているかと思います。先ほど最初のほうで御説明いただいたように、コロナ禍でも航空貨物が非常に増えているというお話もございました。この通関業者がAEO事業者になることによって、そういった航空貨物の審査なども迅速に行われるようになっているのかどうかについて御質問させていただきたいと思います。

 2番目がRCEPです。先ほども河野委員から御質問がありましたが、企業はASEANの国が二か国間、それから日ASEAN、RCEP、TPP11、それに従来のWTOというたくさんの協定がある中で、原産地規則や関税率をいろいろ違うというところから選んでいくことになるかと思います。以前JETROさんが実施されていたと思いますが、FTA、EPAをなぜ使わないのかといったアンケートの中に、やはりいろいろな協定があるとそれらが複雑で、もし電子化されていて選べるようなシステムがあると非常に分かりやすいといった御意見がありました。この件は何回か申し上げているのですが、RCEPを機にそのあたりの話を具体的に今進めていらっしゃるのかどうかということについて御質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

阿部委員 ありがとうございます。私からは資料の28ページに関してですけれども、最近アメリカ、それからEUで炭素国境調整に関する措置についていろいろな動きがあると私も把握しております。今、我が国の関心は、我が国からの輸出品がアメリカやEUでどのような扱いを受けるかというところにまずは目が向いているかと思いますが、我が国も、我が国に対する輸入品に対してこういった措置を取るかどうかということも当然視野に入ってくるかと思います。関税局におかれましては、少し前になりますけれども、私も参加させていただいて、こういった措置の可能性について検討したところでございますので、この点については引き続き検討していただければと思います。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、回答をお願いいたします。

井田経済連携室長 ありがとうございます。経済連携室長をしております井田でございます。

 河野委員、それから清水委員からRCEP、EPAに関して御質問いただきました。2問頂いておりますので、こちらに関してお答え申し上げたいと思います。

 RCEPに関しましては、先ほど御説明にもありましたとおり、現在国会で御審議いただいているところでございます。RCEPは、中国、韓国を含む、日本にとって初めてのEPAでございますので、まずはこのRCEPの発効を急ぐということで取り組んでいるところでございます。RCEPは15か国参加してございますけれども、全ての国で早期の発効を目指すということで国内手続を進めているというふうに承知しているところでございます。

 日中韓FTAについては、ルール面を含めてRCEPを相当程度超える高いスタンダードの協定としていくことが重要であるというふうに認識しているところでございます。ただ、いずれにいたしましても、先ほど申し上げました、まずRCEPの発効のほうに尽力をしていきたいというふうに取り組んでいるところでございます。

 あと、清水委員から御質問いただきました、たくさんのEPAが発効していて、その利用に関して複雑になってきているという話でございます。これは以前にも審議会でそのような御指摘を頂いておりまして、我々としましても、EPAの中身について情報をとにかく出して皆さんに御理解していただくことがまずは先決であろうというふうに考えて取り組んできているところでございます。例えば新規でEPAが発効したときには、その中身について説明会を広く行いまして、貿易関係者をはじめ皆さんに御理解をしていただいて、活用していただくようにしていただくと。

 また、ホームページ等でも情報発信に力を入れておりまして、例えばEPAによって原産地規則が違うということがございます。これは、それぞれのEPAの原産地規則の検索ができるような機能もホームページにつくってございます。あと、各国の譲許表もデータとしてダウンロードできるようなものも設置してございます。また、EPAに関しての簡単な御説明をパンフレットとか動画も最近作りまして、これもホームページ上に掲載してございますので、広く皆様にそれを御覧いただければというふうに思っているところでございます。

河西参事官 ありがとうございます。第一参事官室で参事官をしております河西と申します。河野先生から頂戴しました2問の質問、そして阿部先生から頂きました1問、炭素国境調整措置についての御質問に対してお答えさせていただきます。

 河野先生から2つ頂戴いたしまして、まず上級委員会についてのアメリカの政権についての立ち位置のようなお話を頂戴しました。こちらにつきましては、3月18日にUSTRのキャサリン・タイ氏が着任したばかりということ、あと、アメリカの政権全体のプライオリティがまだコロナ対策ですとか国内対策に目が向いている状況ですので、必ずしも上級委員会問題についてのアメリカ・バイデン政権の立ち位置といったものは明らかになっていない状況でございます。

 他方で、バイデン政権は、基本的に同盟国と連携することの重要性を指摘していますので、今後、アメリカだけで何か取り組むというよりは、日本も含めたいろんな同盟国とも協議しながら進めていきたいということかと思います。日本としてもアメリカと協調しながらWTO改革にきちんと取り組んでいくというのが重要だと考えております。

 あと、先生から英国のTPPに関連しまして、TPPについての日本政府の考え方についての御質問を頂戴いたしました。日本政府の基本的な考え方というのは、まず、TPPというのは、ハイスタンダードでバランスの取れた、いろんなルール面を含めた21世紀型の通商ルールであって、それを世界に広めていくという意義がある。ですので、英国もそうですけれども、様々な国・地域から関心表明がなされるということはTPP11の価値の高さが評価されているということなので、歓迎されるべきことなのだろうと思っております。

 他方で、TPP11は、市場アクセスだけではなくて、ルール面ですとかそういったものも高いレベルの内容となっておりますので、関心表明を行っているエコノミーが本当に高いレベルを満たす用意ができているのかどうかについてはしっかり見極めていかなければいけないと考えております。日本は、先ほど説明にもございましたように、現在TPP委員会の議長国ですので、新規加入に関心を示す国の動向を注視しながら、その戦略的観点も含めてきちんと対応していかなければいけないと思っております。

 最後に、3点目として阿部先生から炭素国境調整措置について頂戴いたしました。炭素国境調整措置は、まさに気候変動についてグローバルな関心が高まっている中で、EUが導入を検討していて、6月にも青写真が公表されるのではないかなど様々な報道もなされている状況でございます。日本政府におきましても、産業界との色々な調整等もございますので、政府の中では、経産省、環境省を中心に勉強会の形で今検討を進めております。例えば経産省の勉強会でございますと、炭素国境調整措置について、WTO協定との整合が前提であるとか、あるいは製品単位当たりの炭素排出量についてやはり国際的なルールを策定して、それを適用していくことが重要なのではないか、そういった問題意識が示されているところでございます。現時点ではEUの動向も含めてまだ明らかとなっていない状況でございますけれども、経産省の勉強会でも示されているように、諸外国の検討状況や議論の動向を注視して、財務省としてもしっかりその状況把握にきちんと努めていきたいと思っております。

奈良井業務課長 業務課長をしています奈良井でございます。

 清水委員からの御質問で、AEO通関業者が増えているということで、増加している航空貨物等について審査の迅速化に資するものになっているかということでございます。AEO制度は、御案内のとおり、セキュリティの確保と迅速通関を両立していくということでございます。特にAEO通関業者は申告する官署を自由に選べるといった制度を利用できます。そういった利便性の点も含めまして、通関業者のほうから見ましても税関としましても、セキュリティを確保しながら迅速通関を実現するという点で一定の効果を持てるのではないかというふうには見ております。

 ただ、我々としましてサプライチェーン全体としてそういった政策目的を実現していきたいというふうにも考えていますので、通関業者、これはやはり通関業者間でのいわばレピュテーションのようなことで積極的にAEOを取っていただいている面があるようでございますけれども、加えて輸入者についてもAEOに参加していただきたいと思っていますので、そういった面の利用者拡大にも引き続き取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

森田分科会長 ありがとうございました。河野委員、清水委員、阿部委員、よろしいでしょうか。

 それでは、さらにと申し上げたいところですが、この後に外国為替等分科会が予定されており、時間も限られておりますので、本日の質疑はこれくらいにさせていただきまして、さらに御質問がある方は事務局に直接お尋ねいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、最後に事務局から連絡事項がございますので、中澤関税課長より御説明をお願いいたします。

中澤関税課長 本分科会における議事録の取扱いにつきましては、当審議会議事規則第5条の規定によりまして原則公開とされております。本日御発言いただきました委員の皆様には、議事録案がまとまりました段階で御発言部分を事務局から送付させていただきます。送付後1週間程度の間に御意見などがない場合には、恐縮でございますけれども、御了解いただいたものとしたいと存じます。

 議事録の取扱いにつきましては、今後ともこの扱いで進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 当分科会の終了後に、引き続きこの会場におきまして外国為替等分科会が開催される予定となっておりますので、外国為替等分科会に所属されている委員の皆様におかれましては、そのままお待ちいただければと思います。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。

 本日は短い時間でございましたけれども、以上をもちまして全ての議事を終了させていただきたいと存じます。

 次回の関税分科会の開催につきましては、事務局と調整の上、別途御連絡をさせていただきます。

 本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

午前10時50分開会