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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (令和2年11月30日開催) 議事録

  1. 開会
  2. 令和3年度関税改正検討項目(2)
  3. 海外の事業者を仕出人とする模倣品の水際取締りの強化について
  4. 閉会

出席者
関税分科会長森田 朗財務省田島関税局長
関税分科会長代理根本 敏則源新審議官
委員浦田 秀次郎小宮審議官
金原 壽秀渡部総務課長
河野 真理子中澤関税課長
工藤 操河西参事官
古城 佳子加藤参事官
佐藤 英明福田監視課長
清水 順子奈良井業務課長
杉山 晶子米山調査課長
高山 一郎鈴木事務管理室長
田村 善之加藤特殊関税調査室長
春田 雄一松田原産地規則室長
古谷 由紀子鈴木税関調査室長
三石 誠司井田経済連携室長
専門委員阿部 克則石川知的財産調査室長
大橋 弘近田関税分類調査官
国松 麻季農林水産省福島大臣官房国際部国際経済課長
佐々木 伸彦農林水産省小林政策統括官付地域作物課長
末冨 純子農林水産省金子政策統括官付地域作物課課長補佐
宮島 香澄経済産業省内田通商政策局通商機構部参事官
村上 秀徳特許庁猪俣総務部総務課制度審議室長

 

午後1時00分開会

森田分科会長 時間も参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様方には、御多用中のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと存じますが、本日の議題はお手元の議事日程にあるとおりでございます。

 具体的には、来年度改正の検討項目といたしまして、「暫定税率等の適用期限の到来」のほか、「HS条約の改正に伴う関税率表の改正」、「通関時における関税等の納付手段の多様化」及び「納税環境整備」についての御説明を受けまして、審議を行いたいと思います。また、来年度改正の検討項目ではございませんが、「海外事業者を仕出人とする模倣品の水際取締りの強化」につきましても御説明を受けたいと考えております。

 それでは、まず「暫定税率等の適用期限の到来」についてでございますが、前回、加糖調製品について委員の皆様より様々な御意見を頂いたことを踏まえまして、農林水産省より再び補足説明を受けたいと思います。それでは、小林課長、お願いいたします。

小林政策統括官付地域作物課長(農林水産省) 前回11月9日の加糖調製品をめぐる動向等の議論の際には委員の皆様には活発に御議論を頂きまして、ありがとうございました。

 暫定税率の引下げの必要性を御理解いただくため、補足説明の機会を頂きました。前回に引き続き説明させていただきます。農水省で砂糖を担当しております地域作物課長の小林でございます。よろしくお願いいたします。

 早速1ページ目を御覧下さい。前回の御審議で根本委員から、輸入原料糖からの調整金、国費への充当、輸入加糖調製品の関税割当制度及び輸入加糖調製品からの調整金の各仕組みについて、それぞれどのような効果や波及効果があるのかという御指摘を頂きましたので、整理をさせていただきました。

 まず、資料1ページの上段でございますけれども、輸入原料糖からの調整金として糖価調整制度の説明がございます。この制度は、国内産の原料糖と輸入原料糖では大きな価格差がありますので、安い輸入原料糖のユーザーから調整金を徴収し、それを財源としてダイレクトに国内産の原料糖との価格調整を機動的に実施する制度として機能しております。この価格調整につきましては、この調整金を財源とした交付金の交付という形で、さとうきび、てん菜と国内産の原料糖の生産・製造を支えるものとなっております。具体的な政策手段を御覧いただきますと、この輸入原料糖からの調整金は輸入量に応じて徴収しておりまして、毎年約500億円程度の収入となっているところでございます。こちらを財源といたしまして、生産者、それから製糖工場への交付金を交付しておりまして、生産者に対しては毎年400億円程度、製糖工場については毎年200億円程度交付しております。このほか、上記では埋まらない生産・製造コスト差として国費で毎年100億円程度支援をしているところでございます。右側の効果でございますけれども、この結果、安い輸入原料糖と高い国内産の原料糖の価格差が調整され、交付金の交付という形で国内産の原料糖の安定的な供給の実現を図るものでございます。その波及効果でございますけれども、代替作物の乏しい沖縄・鹿児島の南西諸島や北海道の輪作地域の経済・雇用の維持、そして精製糖企業等関連産業の発展、国内産の原料糖の安定供給の確保を通じて国民生活の安定に寄与することを目的とした制度でございます。

 次に、その下の段の関税割当制度でございます。こちらは、TPP11交渉等の結果、約10万トンの関税割当枠を初めて設定いたしました。これは、枠内は無調整金、それから関税も削減されるものでございます。効果としては、関税削減分――例えばソルビトール調製品ではキロ当たり20円程度の削減となりまして、ユーザー等の調達コストの低下、それから消費者への小売価格の低下という波及効果をもたらすものと考えております。

 その下段の輸入加糖調製品からの調整金、これが今回の御審議を頂く本題に当たるところでございますけれども、この加糖調製品からの調整金を財源とすることで、国内の砂糖価格の低下を生じさせ、国産の砂糖の競争力を高めることを目的としたものでございます。効果でございますけれども、平成30年から令和元年ではキロ当たり5円程度の引下げ効果がございまして、原材料としての砂糖のユーザー調達価格を下げて、これが消費者の小売価格等にも反映されるものと考えております。これは、安い加糖調製品から国内の砂糖への回帰を促すことで糖価調整制度の安定的な運営につながる効果があるものと考えております。

 本制度の「中長期的なあり方」ということで一番下段に示しておりますけれども、まず、輸入加糖調製品から調整金を徴収しまして、国内の砂糖との価格差を縮小することを通じて糖価調整制度の安定的な運営を図る、これが1つの長期的な在り方の目標としております。2つ目でございますけれども、輸入加糖調製品と国内の砂糖の価格差の縮小を通じて国内の砂糖需要の確保、菓子類等の加工食品を通じた国内外の需要の拡大を図っていく必要があると考えております。また、産地におきまして競争力を高めていく観点からも、省力化ですとか機械化、単収向上の取組、製糖工場におきましても自動化設備等の省力化、こういった取組を行うことによって生産・製造コストの削減に取り組んでいくことを推進していく考えでございます。

 また、前回、工藤委員からの御指摘にもございましたけれども、政策立案や制度の運営におきまして、生産者のみならず、消費者やユーザーのニーズも踏まえることは非常に大切なことだと考えておりますので、甘味に関する情報交換等も行うことを通じまして国内の原料糖の安定供給の確保が図れるよう努めていきたいと考えているところでございます。

 続いて、2ページでございます。前回、需要構造の変化に関する御意見も頂いておりましたので、砂糖と加糖調製品における需要構造の変化について御説明いたします。まず、左上のグラフでございますけれども、平成元年からの甘味全体の動向をグラフにしたものでございます。棒グラフにつきましては、下から砂糖、異性化糖、加糖調製品の供給量の推移を示しております。このうち緑色で示している異性化糖というものは、コーンスターチを原料としたブドウ糖と果糖との混合液糖でございまして、主に清涼飲料の原料となるものですが、これは近年横ばいで推移しております。その一方で、青色で示してある輸入加糖調製品につきましては、平成元年には約9万トンと率にしてわずか3%程度のシェアでございましたけれども、近年は50万トン台に増加しまして、17%にシェアを大きく伸ばしているところでございます。一方で、赤い部分でございますが、砂糖につきましては、平成元年には約257万トンで76%のシェアがございましたけれども、近年では約85万トンと減少しまして、シェアも57%と前年の58%からまた1%シェアは低下しておりまして、安価な加糖調製品が国内の砂糖需要を代替していると考えているところでございます。

 それから、囲みの中の2つ目のポツにございますけれども、特に砂糖の最大の仕向先は菓子類でございまして、これが26%を占めてございます。右上に示したユーザーの調査結果を見ましても、加糖調製品の用途といたしましては菓子類に主に使われているということでございまして、両者が競合していると言えるかと思います。また、その下の資料につきましては、加糖調製品の使用理由ということでユーザーに調査したものでございますけれども、ほぼ全てのユーザーの方が加糖調製品をコストを抑えるために使用していると回答しておりまして、砂糖と加糖調製品の競合が価格に重きを置いたものであるということが言え、輸入加糖調製品の優位性は高いものと考えているところでございます。一方で、国内の砂糖につきましては、価格が下がれば使いたいというユーザーの声も存在しておりまして、国内の砂糖の価格を引き下げることができればこうしたユーザーの声に応えて輸入加糖調製品の需要を奪還できるのではないかと考えているところでございます。

 このように、中長期的にも、コロナ下でも輸入加糖調製品は砂糖と代替関係がございまして、輸入加糖調製品が構造的に需要シェアを拡大している状況にございます。特に令和元砂糖年度につきましては、甘味需要が大幅な減少となる中で、砂糖は大幅に需要を減らしているところでございます。一方で、安い輸入加糖調製品の相対的な市場優位性は非常に高まっていると言えますので、国内の砂糖との価格差の是正を早急に行うべく、暫定税率の引下げが必要な状況と考えているところでございます。

 続きまして、3ページでございます。前回、伊藤委員から、砂糖と輸入加糖調製品の価格差について御意見を頂きました。前回は過去10年のトレンドを口頭で御説明させていただきましたけれども、可能なものについてもっと長期の30年程度で示してほしいと御意見を頂きましたので、整理をさせていただきました。国内の砂糖と輸入加糖調製品の価格差を長期的に見ますと、現在と同水準か、海外の原料糖相場が高いときにはそれ以上の価格差と、以前から大きな価格差が存在していることがお分かりいただけるかと思います。また、砂糖の総需要が減少する中では輸入原料糖は大きく減少している状況にございまして、その一方で、国内産の原料糖の生産は30年前に比べますと約10万トン程度減少している状況でございます。

 続きまして、4ページに移らせていただきます。前回、佐藤委員から、制度全体の調整金の収入と交付金としての支出の状況についての御質問を頂きました。これにつきましては、左上の図にありますとおり、調整金収入につきましては450億から500億円程度となっております。また、国費につきましては100億円程度となっておりまして、これらを財源としまして、ALICから交付金としてさとうきび生産者へ200億円程度、てん菜生産者へ国庫納付金として200億円程度と、生産者合計で約400億円程度が交付金として交付されているところでございます。工場では、さとうきびを原料とする甘しゃ糖工場へ100億円、てん菜糖工場へ100億円程度、工場合計で200億円程度となっているところでございます。

 前回、根本委員から御指摘を頂きました交付金については、左下の表でございますけれども、10アール当たりだけではなくて、1戸当たり、原料1キロ当たりの交付金額も示してほしいと御意見を頂きましたので、その推移をお示ししているところでございます。

 また、村上委員から、製糖工場における製造コスト削減の御指摘を頂きました。これにつきましては、資料右側のとおり、製糖工場は豊凶に応じて操業率が変化している状況がお分かりいただけるかと思います。それによりまして製造コストも増減している状況にあります。このため、特に省力化に向けた自動化設備の導入、また、人員配置の最適化という取組を引き続き推進することによって、コストの削減につながるように対応していきたいと考えているところでございます。

 続きまして、5ページでございます。前回、根本委員から、ほかの農産物の状況や1経営体当たりの収入状況についてどうなっているのか示してほしいという御意見を頂きました。

 まず、他の農産物の状況でございますけれども、諸外国と比べ生産条件に格差があり非常に生産条件が不利である農産品を対象としまして、その生産費と販売価格の差額に該当する分を交付金として直接交付しているものがございます。こちらにつきましては、品目によって生産費や販売価格が異なっておりますので、それに応じて差額を埋める交付金の水準も品目ごとに異なっている状況にございます。

 また、農家経営の収入等の状況は、その下の表にさせていただきましたけれども、さとうきびとか、てん菜を主に作りながら他の作物も生産し経営しているさとうきび作経営、てん菜作経営、それぞれの経営の状況を調査した統計がございますので、その統計結果の内容を示させていただいているところでございます。特に下のてん菜作経営におきましては、麦類とか大豆、ばれいしょ、こういったものの輪作体系の中でてん菜も作付けている経営状況になっているところでございます。このため、さとうきび作経営に比べますとてん菜作経営は規模が大きく、収入及び経営費は畑の規模や豊凶に応じて異なってくることになっております。

 私からの説明は以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら御発言をお願いいたします。

金原委員 輸入加糖調製品と砂糖は競合しない、価格差を埋める施策は必要ないのではないかという発言がございましたけれども、先ほど農水省から説明がありましたように、もともとこの加糖調製品に関わる問題については、TPP11の交渉では、砂糖の制度そのものは守っていただけましたけれども、加糖調製品については、関税割当ての設定、それから税率の削減・撤廃となったことで、これら砂糖と競合する加糖調製品が入りやすくなる、これが砂糖の需要と代替されれば、砂糖制度そのものが成り立たなくなってしまう、安定的に生産農家が交付金による支援を受けられなくなるかもしれないという生産農家の不安も大きかったので、我々生産者団体を含めた砂糖業界が一体となって政府に加糖調製品対策を求めた経緯がございます。

 そういうことを前置きに頂いて、輸入加糖調製品と砂糖の需要代替は、先ほども説明がありましたけれども、輸入加糖調製品が伸びているところはもちろんありますが、全体が減っている中でも砂糖が負けていることは先ほどのデータどおりであります。砂糖の需要が奪われないためには、価格差を埋めて砂糖の競争力を高めるという考えで、財務省の理解も得て、政府一体となって意義ある対策を講じるということで、これはTPP対策として制度改正を行ったものとの認識でございます。

 新型コロナの影響によって国内の砂糖需要の急速な減少で、安い輸入加糖調製品が砂糖需要をより代替している結果となる以上、対策の必要性がますます高まっている、このように感じております。価格差を埋めるためのこの措置は引き続きしっかり取っていただくべきだと考えております。

 更に申しますと、南大東島の製糖工場の煙突には「さとうきびは島を守り島は国土を守る」という文字が掲げられております。各委員においては、さとうきびやてん菜の農家、そこに立地する製糖工場が沖縄・鹿児島南西諸島、北海道の砂糖産地の地域経済、そして雇用を守っていることはもちろん、島嶼ということもあって、国土も守っていることをぜひ忘れないで議論を頂ければと思います。

浦田委員 1つ質問させていただきたいと思います。補助金ですけれども、10アール当たりとか、あるいは1戸当たりという形で補助金が供与されていると思います。さとうきび農家やてん菜農家には非常に生産的な農家もあれば、あまり生産的でない非効率な農家もあると思いますが、そういった違いにかかわらず、補助金は単位当たりで供与されているのでしょうか。

 それに関連してですけれども、そもそも生産的な農家とあまり生産的でない農家との格差といいますか、そのばらつきは非常に大きいものなのでしょうか。効率的な生産農家の生産を拡大してもらう、非効率な農家の生産は、厳しいかもしれないですけれども、農家から撤退していただいて、国が補償する、つまり、より効率的な生産を実現するような形で政策を打つというのが一つの考え方としてあると思いますが、いかがでしょうか。御意見を伺えればありがたいと思います。

森田分科会長 ありがとうございました。

 では、先ほどのを含めまして農水省からお答えいただけますか。お願いいたします。

小林政策統括官付地域作物課長(農林水産省) まず、金原委員から、加糖調製品の暫定税率を引き下げることによって砂糖の価格を引き下げて糖価調整制度の安定を図る必要性について御意見を頂きました。我々の考え方としては、輸入加糖調製品と国内で製造される原料糖の製造コストを見ますと価格に非常な開きがあるということで、これを埋めていかない限りはどんどん輸入加糖調製品との競争に負けてしまうことも考えられますので、ここは、国産砂糖の製造コストを非常に抑えることにつながるように、きちっと輸入加糖調製品から調整金を取って、それで価格差をできるだけなくしていく、完全になくすことはなかなか難しいですけれども、できるだけその価格差を縮めていって、国内の砂糖もきちっとユーザーの方に選択していただける状況をつくっていって、より公正な競争が図れるように努力をしていくことだと考えております。

 また、浦田先生から御意見を頂きましたが、現在の交付金の単価につきましては、その交付金の単価を算定する際には標準的なコストということで算定させていただいておりますので、生産者の方が収益を上げるために、このコストを下回るような、例えば規模拡大をやっていただきますとか、さらに独自のコスト削限に努めていただきますとか、単収を上げる努力をしていただきますと、必然的に手元に残る収益が増えていく仕組みになっています。これは、全ての農家につきまして標準的なコストを原則としまして単価を設定しているところでございます。

 生産のばらつきでございますけれども、さとうきびにつきましては、前回お示しした資料では、規模的に平均値で1.28ヘクタールと示させていただいておりますが、多くの農家の方は0.5〜1ヘクタールぐらいという方が非常に多い、さとうきびでは非常に零細経営が多いということでございます。一方で、てん菜につきましては、いろいろほかの品目も含めて4品目での輪作あるいは3輪作でやられているということでございますので、1経営体の規模としては30ヘクタールぐらいとなっております。その中で、てん菜の作付規模だけを見ますと7〜10ヘクタールになっています。前回の資料では平均的に7.8ヘクタールと示させていただきましたけれども、それが平均的な姿に近いと考えているところでございます。

 あわせて、効率的な生産をやる者にもっと支援すべきではないかということでございますけれども、まさに今この仕組みが、そういうコストを抑える努力をしてもらうことで手元に残る収益が上がっていく仕組みなので、そういった努力を促す仕組みとしては今機能しているのではないかと考えているところでございます。

三石委員 前回の農水省の説明にも多少触れられていたのですが、今回の説明で制度と内容自体は非常によく分かりました。私はこの委員を何年か務めさせていただいており、毎年見てきたのですが、農水省の農業センサスでも示されましたように、日本の農家の高齢化はものすごい勢いで進んでいます。砂糖、特に甘味資源の生産というのは、高齢化もかなり進んでいるし、それに加えて地域的にも北や南と厳しいところにあります。さらに、先ほど御意見がありましたとおり、離島や国境に近いという特殊な政治的要素も絡んできます。したがいまして、単純にオペレーションのレベルでの関税の対応、これはこの分科会で構わないと思うのですが、恐らく今後を考えたときに、離島や国境地域の農業をどうしていくのかという非常に大きく、かつ大事な議論をしっかりやっていかないと、オペレーションのレベルだけでは済まなくなると思います。その議論はこの分科会の範疇を超えますので、ぜひ、農水省さんなり財務省さんなり、担当の部門で、将来にわたり、こうした限界地域、特に離島や国境地域での農業をどのようにしていくのかということについて安全保障の面も含め、しっかりと議論をし、準備していただきたい。これは要望であり、意見でもあります。

森田分科会長 ありがとうございました。これは要望、御意見ということでございますが、よろしいですか。

小林政策統括官付地域作物課長(農林水産省) 先生の御指摘は、まさに甘味資源の政策を考える上では非常に重要な視点だと思っておりますので、よく受け止めて対応してまいりたいと思います。

春田委員 丁寧な御説明、ありがとうございます。制度や内容の資料が先ほど出ましたけれども、非常に分かりやすい説明だったと思っております。今回の政策効果の検証につきまして、前向きに捉えていきたいと思っておりますが、今後のことでいくつか要望させていただきたいと思っております。

 国内産業を保護していく、関税の役割というのはそういう意味であると理解しております。今回の調整金もですが、それぞれの在り方を整理していく必要があるのではないかというふうに思っております。政策効果の検証もですけれども、そういう点を分析して、どういった在り方で国内産業を保護していくのかというのは1つ考えなくてはいけない問題かなと思っております。

 また、先ほども話があったとおり、これからの砂糖産業も含めた農業全体の生産性向上、国際競争力を強化していく、こういった視点でこういった政策効果の分析も引き続きお願いしたいと思います。

 加えて、1ページ目の下段に「中長期的なあり方」を整理してありますけれども、その中で特に4番目の、消費者の関心も踏まえつつ、砂糖に関する正確な情報提供の実施ということは、透明性や公平性、誰もがこれを見て納得できるような制度にしていかなくてはいけないと思いますので、引き続きそのことも含めよろしくお願いしたいと思います。

森田分科会長 ありがとうございます。御意見ということでよろしゅうございますね。

 ほかにいかがでございますか。よろしいですか。

 それでは、どうもありがとうございました。特にこれ以上御質問がないようでしたら、続きまして次の議題に入りたいと思います。「暫定税率等の適用期限の到来」及び「HS条約の改正に伴う関税率表の改正について」でございます。これにつきましては、中澤課長から御説明をお願いいたします。

中澤関税課長 関税課長、中澤でございます。

 まず、資料1−1の1ページを御覧下さい。上段に基本税率と暫定税率の基本的位置付けなどを記載しているところでございます。基本税率が長期的な観点から内外価格差、真に必要な保護水準を勘案して設定されている税率であるのに対しまして、暫定税率は、政策上の必要性等から、適用期限を区切って基本税率を暫定的に修正する税率でございます。そして、暫定税率の水準及び必要性について常に見直していくものとされているところでございます。こうした観点から適用期間を1年間とし、毎年度の関税改正におきまして期限の延長を行ってきているものでございます。令和2年度現在におきまして暫定税率を設定している品目は、下段の表の一番下を見ていただきますと416品目でございます。この適用期限が来年3月31日に到来いたしますので、その取扱いについて検討するものでございます。

 続きまして、2ページ目を御覧いただきたいと思います。検討に際しましては、暫定税率を延長する必要があるのか、延長する場合には適用期限を何年とするのか、基本税率化する必要があるのかどうか、そういった観点から検討する必要があるかと思っております。また、検討に当たって考慮すべき事項を中段にまとめているところでございます。例えば、生産者及び消費者等の間の利益調整に及ぼす影響につきましては、関税率は国内の生産者と消費者、需要者との間の利益調整の側面がございます。そのため、この水準を変更しようとする場合には、当然それらの両者に与える影響を十分考慮していく必要があるのではないかと考えております。また、関税割当品目がございますが、これは、一定の輸入数量を超える枠外の輸入に対して高い税率を適用する一方、国内生産者の保護に必要な水準として、枠内と枠外を分けまして、一定の輸入数量の枠内の輸入については無税または低税率の暫定税率を適用して、消費者への安価な輸入品の供給も同時に確保する仕組みでございます。したがいまして、暫定税率の延長を考える場合にはこうした関税割当制度の必要性も踏まえる必要があるのではないかと考えているところでございます。

 続きまして、国際交渉との関係でございます。例えばウルグアイ・ラウンド合意に基づく関税割当品目、国家貿易品目につきましては、一定の輸入数量に限って無税もしくは低税率での市場アクセス機会を提供することを国際的に約束していることに留意する必要があるかと思います。

 続きまして、調整金等の関係でございます。前回、今回と2回の分科会におきまして、加糖調製品につきまして農水省の報告を基に御議論いただいたところでございますが、ほかにも、関税と調整金を合わせた水準で、国際的にこれだけの国境水準を定めますということで譲許している品目がございます。これらの品目につきましては関税部分の水準を暫定税率によって設定しております。したがいまして、調整金とも併せて考える必要があるものでございます。

 また、関係国との協議結果に基づく税率の引下げ措置の履行に及ぼす影響でございますが、ウルグアイ・ラウンド合意をする際に、ウルグアイ・ラウンド全体ではなくて、特に関係が深い国との協議の結果、暫定税率として低い税率を適用した品目が幾つかございます。そうした協議の結果、現在の暫定税率が決められているところがございまして、それを仮に廃止もしくは修正しようとなりますと、その約束をした関係国と改めて協議をする必要が生じるものがございます。

 最後でございますが、産業政策上の必要性や国際市況につきましては、産業政策上の要請や内外価格差の状況に応じて暫定税率が設定されている品目は、その時々の情勢を踏まえた上で暫定税率の修正について判断をする必要がございます。

 基本税率化の適否についても幾つか留意点がございます。長年にわたって暫定税率を設定しまして、これが定着している場合には、これを基本税率化、すなわち、暫定税率は廃止して同水準の基本税率を設定することも考えることができるわけでございますが、その際、それまで長年暫定税率とされてきた経緯等を考慮する必要があると考えているところでございます。

 また、関税割当制度につきましては、無税または低税率を適用される輸入数量を限定する国境措置でございますけれども、過去の本審議会におきましても、過度の輸入抑制効果や産業の合理化の阻害など弊害が生じないよう常に見直しを行って、一般の税率形態への移行の可能性も検討すべきと位置付けられている経緯もございます。

 このような経緯を踏まえ、この制度を維持する品目につきましては、この枠内税率等を基本税率とすることは適当ではなく、これまで暫定税率として設定をし、それぞれの情勢に応じましてその暫定税率を修正するという扱いをしてきたところでございます。また、適用期限でございますが、これまで政策上の必要性や直近の市況等に基づき暫定税率の要否を判断するという趣旨から延長期間を1年としてきておりますけれども、この経緯を考慮する必要があるのではないかと考えております。

 以上申し上げましたが、この考え方自身は基本的に以前から変わっておらず、この考えに沿って、全品目につきまして関係省庁とも協議をして検討を行ってまいりました。その結果、暫定税率の適用期限を1年延長することが適当ではないかと考えているところでございます。

 続きまして、3ページ目、特別緊急関税等の取扱いでございます。特別緊急関税制度につきましては、ウルグアイ・ラウンド合意に基づきまして関税化された農産品の輸入数量が一定の水準を超えた場合に、または課税価格が一定の水準を下回った場合に、それぞれ関税率の引上げを行うものでございます。スペシャルセーフガードもくしはSSGと呼んでおりますこの制度につきましては、対象品目に係る暫定税率の延長と同様に適用期間を1年間として、毎年度の改正におきましてその期限の延長の当否について検討し、延長してきているところでございます。中段の「考慮すべき事項」のところを御覧いただきたいと思います。このSSGにつきましては、ウルグアイ・ラウンド合意に基づき関税化された農産品につきまして、関税化の代償に、農産品の輸入急増時等の安全弁として設けられた制度でございます。SSGに係る品目は現在協議中のWTOドーハ・ラウンド交渉や、足元で進められております経済連携協定に係る交渉の対象となり得るものでございますところ、国際交渉の状況等を踏まえ、予断なく注視する必要があると考えているところでございます。

 改正の方向性としましては、国際交渉の状況を予断なく注視する必要があることなどから、本制度についても適用期限を1年延長することが適当ではないかと考えているところでございます。

 続きまして、4ページ目を御覧下さい。加糖調製品につきましては、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、TPP11発効時に糖価調整制度における調整金の対象に追加されたところでございます。TPP11発効に伴いまして加糖調製品に係る調整金により、実質的に国産の砂糖の価格は低減したところでございますが、農水省からの説明にもありましたように、両者の間には依然として価格差が存在している状況でございます。こうした状況の中、加糖調製品に係る調整金収入を拡大できるよう、令和3年度のTPP11税率の設定状況を踏まえた暫定税率の引下げを求める改正要望が農水省から提出されています。「考慮すべき事項」の中段に書いておりますように、糖価調整制度の目的は、甘味資源作物に係る農業所得の確保、また、国内産糖の製造事業の経営安定等を通じて国内産糖の安定的な供給の確保を図ることにより、国民生活の安定に寄与することでございます。したがいまして、加糖調製品と国産の砂糖の価格差、需給の動向、国内産糖に係る競争力の強化の状況などを勘案した上で、加糖調製品に係る調整金を拡充する必要性の有無について検討すべきであると考えているところでございます。

 下段の改正の方向性を御覧いただきたいと思います。加糖調製品と国産の砂糖の価格差が認められることは農水省の説明があったとおりでございます。また、国産の砂糖の需要量が減少する中においても加糖調製品の輸入量の減少幅が相対的に小さいことなども総合的に勘案いたしまして、加糖調製品のうち6品目につきましては、令和3年度のTPP11税率の設定状況などを踏まえまして、国内産糖への支援に充当する調整金の拡大が可能となるよう、暫定税率を引き下げることが適当と考えております。

 なお、その下の※印を御覧いただきたいと思いますが、令和4年度以降の暫定税率の取扱いにつきましては、その時々のTPP11税率などの設定状況を踏まえ、また、加糖調製品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の状況、さらには暫定税率の引下げによる政策効果について農林水産省に検証を求める必要があると考えております。また、分科会での御議論を踏まえると、加糖調製品と国産の砂糖に関する今後の中長期的な在り方、その実現に向けた具体的な取組などについても、消費者の視点を踏まえた上で農水省に説明を頂く必要があるというふうに考えているところでございます。

 続きまして、資料2−1、HS条約の改正に応じた関税率表の改正でございます。

 1ページ目を御覧下さい。まず、上段を御覧いただきたいと思いますが、HS条約と申しておりますけれども、正式名称は「International Convention on the Harmonized Commodity Description and Coding System」でございまして、日本語では「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」となっております。これは全世界ベースで分類の基準を定めている条約でございまして、技術革新による新商品の登場、また国際貿易の態様の変化などに対応するため、最近では5年に1回改正を行ってきているものでございます。また、締約国は、我が国も含めまして、自国の関税率表及び統計品目表をこのHS品目表に適合させる義務を持っているところでございます。

 続きまして、中段を御覧下さい。昨年、令和元年6月のWCO総会において採択されましたHS品目表の改正案が本年1月に締約国に受諾されておりまして、令和4年(2022年)1月1日から適用することになっております。

 主な内容は2ページ目を御覧いただきたいと思います。左には、新商品の分類明確化として、加熱式たばこの例を御紹介しております。真ん中は、FAOからの要請として食用昆虫の例を掲げているところでございます。また、右のところでは、テロ対策としてのドローンを紹介しております。ドローンは今まで「デジタルカメラ」もしくは「ヘリコプター」に分類されておりましたけれども、改正後は「無人航空機」として分類されるものでございます。ほかにも貿易額の少ない品目の中には統廃合されるものがございます。例えば地球儀でございますとか一眼レフカメラ、留守番電話装置など、現在は号や項が立っておりますけれども、これを廃止して、ほかのものと統合するというものでございます。

 全体といたしましては、項の数が1,222から1,228に増加、また号の数が5,387から5,612に増加するとのことでございます。やや技術的な話で恐縮でございますが、このHS品目表の改正に応じまして、定率法及び暫定法の表の分類の表記を若干変更しようというものでございます。

 私からは以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら御発言をお願いいたします。

清水委員 丁寧な御説明、ありがとうございます。

 毎回この暫定税率の適用のときに申し上げているかと思いますが、暫定ということですので、近年、TPP11、それからRCEPなど大規模なマルチの貿易交渉が済んだ中で、今後想定されている大きな交渉はアメリカ以外にないということになりますと、こういった暫定税率を交渉の1つの材料として使うこともなくなるかと思います。その意味では、基本税率の改定にどのように結び付けていくのかということをお考えいただければと思います。

 また、1つ質問ですが、資料の3ページで、令和元年度に特別緊急関税制度が計28回発動されたということで、内訳が数量ベース8回、価格ベース20回となっております。これについて、この発動の数字というのは例年どおりなのか、あるいは多いのか少ないのかといったことについて御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

中澤関税課長 清水先生、ありがとうございます。御指摘のとおり、今RCEPが進展している中で、第1回目の資料の中でも、FTAもしくはEPA、RCEPの貿易の占める量が7割を超える水準に来ているという紹介もあったところでございます。暫定税率の必要性の理由が、先ほど説明しましたように国際的な約束でございますので、まさにその点をよく注意しながら検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。

 2点目としまして、特別緊急関税制度の発動実績が令和元年度は数量ベース8回、価格ベース20回ということでございますが、数量ベースでは、平成28年が1件、平成29年が3件でございまして、令和元年の回数は多いと評価できるかと思っております。

価格ベースの数字については、後ほどお伝えいたします。

森田分科会長 では、ほかにいかがでしょうか。特にございませんか。

 それでは、続きまして、「通関時における関税等の納付手段の多様化」及び「納税環境整備」につきまして御説明を承りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

福田監視課長 監視課長の福田でございます。

 資料3−1の1ページ目、「通関時における関税等の納付手段の多様化」についてという資料を御覧下さい。まず、上の段になりますが、現行制度でございます。税関手続におきましてはキャッシュレス納付が可能となっておりまして、具体的には、商業貨物等の通関におきましては、現金納付のほか、オンライン・リアルタイム口座振替方式やマルチペイメントネットワーク方式(ATM、インターネットバンキング等による方式)によるキャッシュレス納付が可能となっているところでございます。ただし、本邦に入国する旅客等の携帯品などにつきましては、商業貨物の通関よりも簡易な通関手続、具体的には旅具通関の手続の利用が可能となっており、この場合におきましては、関税、消費税等の納付につきましては現金納付となっているところでございます。

 次に、「改正の必要性」とございますが、通関時にクレジットカードやスマートフォンを利用した小口のキャッシュレス納付も可能とすれば納付手段を一層多様化することができます。こうした規定の整備によりまして、旅客等の輸入者等にとっての利便性が向上し、通関時のさらなる円滑化が実現されるとともに、新型コロナウイルス予防の観点から今後高まるであろう非接触型のキャッシュレス決済のニーズに対応することが可能となります。また、行政手続のデジタル化にも資することとなります。

 最後に「改正の方向性」でございます。さらなる納付手段の多様化の観点から、あらゆる貨物の通関時にキャッシュレス納付が可能となるよう、クレジットカードやスマートフォンを利用した小口のキャッシュレス納付に係る規定を整備することを考えているところでございます。今後、キャッシュレス納付に関するシステム開発を進め、令和3年度中に旅具通関において導入を図り、商業貨物等の通関につきましても順次、納付手段を一層多様化させていきたいと考えているところでございます。

 私からは以上になります。

米山調査課長 調査課長の米山でございます。資料4−1を用いまして、電子帳簿等保存制度の見直しについて御説明いたします。

 まず、資料1ページの背景の1つ目のポツにありますとおり、関税法では、業として輸出入する方々には、貨物の品名、数量、価格などを記載した帳簿を備え付け、かつ、輸出入取引に関して作成したり受け取ったりした書類のうち、輸出入申告の際に税関に提出していないものは保存しなければならないこととされております。また、これらの帳簿書類につきましては、電子帳簿保存法の規定を関税法で準用しまして電子的に保存することが可能となっておりますが、所定の要件を満たして事前に税関長の承認を受ける必要があり、その承認件数は現状で150件程度にとどまっております。したがいまして、現状では多くの輸出入者の方々が紙のまま保存したり、電子帳簿を紙に印刷して保存している状況でございます。

 次に、背景の2つ目のポツですが、経済社会のデジタル化を踏まえまして、内国税におきましては帳簿書類を電子的に保存する際の手続見直しを行う予定としており、具体的には、電子帳簿保存法を改正して令和4年1月1日以後に適用する予定としております。こうした状況を踏まえまして、背景の3つ目のポツですが、関税におきましても、電子的保存に係る負担の削減を図るとともに、税関による事後調査が円滑に実施されるための適切な帳簿書類の保存を推進する観点から、内国税の見直しと同様に、関税関係の帳簿書類を電子的に保存する際の手続見直しを行う必要があると考えております。

 見直しの方向性としましては、まず、ページの下半分に記載しております保存制度に係る手続の簡素化を進める方向でございます。具体的には、輸出入者の方々が電子的に作成した帳簿書類を電子データのまま保存する制度として、現行では、ここの青い部分に記載してございます一つ目から三つ目までの手続・要件を規定しております。一方で、事務負担の削減やペーパーレス化の推進とともに、信頼性の高い現行の電子帳簿にインセンティブを設けることで記帳水準の向上を図る観点から、右のオレンジ色部分にそれぞれ書いてある改正の方向性で見直しを行っていきたいと考えております。

 まず、一つ目といたしましては、現行の事前承認制度を廃止する方向でございます。次に、二つ目及び三つ目といたしまして、電子帳簿の承認対象としては、現行では青い部分二つ目の括弧内のイとロに記載していますように、訂正履歴を残すことやモニター備付けなどの要件を求めておりますが、これらの要件を満たさない場合は、三つ目に記載してあるとおり、紙を印刷して保存する必要がございます。これらに関する改正の方向性としては、二つ目の右のオレンジ色の部分にあるとおり、現行の要件を満たして電子保存し、その旨を届け出た者につきましては、その帳簿に関連して過少申告があった場合には過少申告加算税の税率を5%軽減する方向でございます。ただし、※印に記載しているとおり、帳簿と書類の紐付けは必要であり、修正・更正に重加算税が含まれている場合には軽減しないこととしております。さらには、三つ目のオレンジ色の部分でございますが、モニターなどの備付け要件のみを満たす電子帳簿につきましては、この5%軽減の対象にはならないものの、電子データのまま保存することを可能とすることとして、現行のように紙を印刷して保存することは不要と考えております。

 2ページを御覧ください。次に、スキャナ保存制度の要件緩和などでございます。まず、書類をスキャナで読み取って電子的に保存するためには、一つ目のとおり、現行では税関長の事前の承認を必要としておりますが、この承認制度を廃止する方向でございます。

 次に、スキャナ保存の要件としては、現行では、二つ目の青い部分に記載しているように、書類に受領者が自署することや、入力時期や改ざんされていないことを証明するタイムスタンプを2か月や3日以内といった期限内に付与したり、紙の原本とスキャンした画像とが同一である旨を別の者がチェックする体制を求めております。これらの要件に関しましては、資料の右の「改正の方向性」の欄に書いてあるとおり、自署の廃止、タイムスタンプ付与までの期間の統一や、一定の場合はタイムスタンプを不要、また同一性チェックは不要とする方向でございます。

 また、三つ目といたしましては、現行の要件だけでは会社ぐるみの改ざんなどの不正行為を十分に抑止できないおそれも指摘されているところでございますが、この指摘に対しましては、右のオレンジ色の改正の方向性として、不正が把握されたときは重加算税を10%加重とし、後ほど御説明する電子取引に係るデータ保存制度につきましても同様とする方向でございます。

 資料をおめくりいただきまして、最後の3ページを御覧ください。最後に、電子取引に係るデータ保存制度の要件見直し等を御説明いたします。データ保存制度の検索要件といたしましては、現行では、青色部分に記載のある一つ目から三つ目の要件を規定しておりますが、これらの要件につきましては、事務負担の削減やデータ保存方法の適正化を図る観点から、一つ目の要件について緩和する見直しを行う方向で考えております。この緩和は、直前のページで御説明したスキャナ保存制度についても同様の方向で考えております。これまで御説明させていただいた内容は、内国税における見直しと同様でございますが、適用時期につきましても内国税と同様に令和4年1月1日以後に適用することが適当ではないかと考えております。

 なお、10月下旬に開催いたしました関税分科会冒頭の関税局長挨拶でも申し上げましたとおり、関税局におきましては、より迅速かつ円滑な通関の実現に寄与することは日本の国益にかなうという考えを持って、産業界や関係業界の方々から忌憚のない御意見を伺えるような関係をつくっていくことを重要視しているところでございます。本日御説明いたしました帳簿や書類の電子的保存の簡素化につきましても、関係業界の方々との対話の中でいろいろ御意見、御要望を伺っているところでございまして、これらの電子化、簡素化を推進していきたいと考えておりますことを最後に付言させていただきます。

 私からの説明は以上です。

森田分科会長 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見等ございましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。

佐藤委員 御説明、ありがとうございました。納税環境整備の点について幾つか質問があります。

 政府税調の専門家会合にも出ておりましたが、大きな問題意識として、内国税のほうは、そもそも電子申告というものが使われる割合が少ない、電子商取引の慣行がない、紙ベースで中小企業の多くはやり取りをしている。その中で、それをどういうふうにデジタルの方向へ持っていくかということであったと理解をしております。これに対して、税関はNACCSというシステムを持っておられて、デジタル化としては最も先進的な官庁の1つというように認識をしております。そこで質問ですが、NACCSを使ってこれまで行われてきたデジタル化と、今回御提案になっている納税環境整備というのはどのような関係にあるのでしょうか。例えば、NACCSを使って種々の申告等をしているということは、それを帳簿にしていることが多いでしょうから、電子帳簿保存制度に係る見直しというのは非常に要望が高いものかなとも理解します。他方で、スキャナ保存制度というのは、領収書などを中小企業等がスキャン保存するようなイメージですと、そもそも電子データでやり取りをしているはずの税関の行政についてどれだけの影響があるのだろうかとの疑問を持ちます。そこで、NACCSとこの納税環境整備の御提案との関係について御認識を伺えればというのが第1点です。

 第2点は各論に入りますが、電子帳簿保存制度に係る手続の簡素化で、訂正等の履歴が残るということを要件にしないとしますと、これは当然、執行上大きな問題が起こると思いますが、この執行上の問題についてはどのように御対応になるのか。簡単に言えば、訂正履歴が残らないわけですから、ある種の改ざん等は当然あり得るということだと思いますので、その点について、例えばデジタルフォレンジックというものを現場でももっと使うといった見通しを持っておられれば、それを伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

米山調査課長 佐藤委員、御質問、ありがとうございます。

 まず1点目のNACCSと今回御説明した改正に関する関係でございますが、私の説明の中でも申しましたけれども、NACCSを使って輸出入申告した際に、PDFなり電子データなり税関に1回提出していただいた情報に関しましてはそもそも税関もNACCSのデータを見られるわけですので輸出入者の方に保存していただく必要はございません。さはさりとて、例えば輸出入者の方々と外国の企業との間のやり取りなどは全てが税関に申告のときに提出されるわけではなく、そういう中に若干申告内容との齟齬が発生するような情報もあるわけで、こちらは実際調査に行ったら分かるわけでございます。そういうような情報を今までは紙に印刷したりして保存していただいたものを、今後は今回御説明したような内容で保存しておいていただければいいということでございますので、より一層、輸出入者の方々の情報の保存に関するコストが減ると考えておりますし、私どもも調査の効率性が上がるようにいろいろと内部で工夫していきたいと思っているところでございます。

 もう1点の帳簿につきましての改ざん等でございますが、これは紙の世界でもやろうと思ったらできないわけではないのですけれども、私どもでよく反面調査と呼んでおりまして、いろいろな会社や関係者からの情報を総合的に見まして、税関に事後調査のときに提出された書類やデータが正しいかどうか、これを見るのが私たちのプロの技でございます。ここに関しましては、現行、私どもが承認しているのは150者程度で数が少ないのですけれども、これからさらに経験を伸ばしていきたいと思います。また、委員がおっしゃられたデジタルフォレンジックに関しましては、税関は、事後調査を主な目的とはせずに、今のところは薬物の密輸調査などで活用しており、かなり高い能力を有していると自負しております。税関自体にはそういう能力もあるということで、これが行政の一般的な調査で使えるかどうかというのはまた別の論点ではございますけれども、特に悪意のあるようなものは犯則調査という中でもデジタルフォレンジックなどの最新技術は活用していきたいと考えているところでございます。

宮島委員 関税局では、今後の関税の在り方などもまとめられて、次の時代に向かって進んでらっしゃると思っております。そのような中で関税等の納付手段の多様化との説明については「あれ、キャッシュレスってまだだっけ?」という感想を正直持ちます。と申しますのは、ちょうど1年前の今頃、私たちも含めて、キャッシュレスをどのぐらい盛り上げようかということで様々な議論がありました。去年あれだけキャッシュレスの話があって、買い物を全部キャッシュレスにしようと思っていたところ「関税は現金納付だったんだ」と思ったわけです。しかも海外から帰ってくるときは、カードはあるけど自分の手元に日本円がないという方も今まで多かったと思います。私もここに参加していますから責任があると思いますが、ここへの気づきが若干遅いのではないかという気もしてしまうのですが、何か理由があったのでしょうか。

 それとともに、今データ活用などの分野はすごく動いていて、かつ、コロナでいろいろな仕組みがものすごい勢いで動いている中、どれもこれも本当に追いつけないぐらいだと思いますが、それを少しでも先取りして変えていかなければ日本は置いていかれるなという危機感も強いと思います。ですので、このキャッシュレスに関しては御質問と、私もここは気がつくべきであったのだという反省を込めて、どういう状況だったのかお伺いしたいと思います。

福田監視課長 監視課長の福田でございます。御指摘、どうもありがとうございます。

 まさにキャッシュレスの時代で早めに対応していくべきだと、おっしゃるとおりだと思います。我々、小口のキャッシュレス納付にも対応していきたいと思うのですが、ただ、今までの認識等について少し申し上げさせていただきます。税関におきましては、先ほど申し上げたように、オンラインとリアルタイムの口座振替方式とかマルチペイメントとかで、基本的にお付き合いさせていただく方は業者の方が多くて、継続的で、かつ大口の方々を相手にしておりまして、実はキャッシュレス納付は今まで我々は進んでいるというふうに認識していました。関税、内国消費税の件数ベースのキャッシュレス納付の割合は88%であったと認識しておりました。

 ただ、御指摘のように、残るところをどうするのかという問題もございます。旅具通関は簡単に通関手続ができるようになっております。そして、大きな空港に行くと税関の窓口の近くに、銀行やATMの機械を置いたり、便利なように、これまでもやっていたところではあります。実際に関税等を払う人は、全体の旅客のうちのごく限られた割合の人ですが、今お話があったように大きく世の中が変わっている中で、少し遅れたかもしれませんが、今回クレジットカードあるいはスマホの決済といった形で、いわゆる小口のキャッシュレス納付を旅具通関でも使えるようにしていきたいということで、今後しっかりと取り組んでまいります。

宮島委員 分かりました。数が少なかったということが一番の理由だと理解しました。本当に世の中の状況は変わっておりまして、これは次の模倣品の水際取締りもそうですが、物事のやり取りですとか普通の利便性というものが変わっていることに関して、私たちも含めて、よりビビッドに反応してやるようにしていただきたい。私たちも気づきたいと思います。よろしくお願いします。

森田分科会長 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。御質問はありませんか。

 それでは、ないようでございますので、最後になりますけれども、「海外事業者を仕出人とする模倣品の水際取締りの強化」につきまして御説明をお願いいたします。

石川知的財産調査室長 知的財産調査室長の石川でございます。資料5を用いまして、海外の事業者を仕出人とする模倣品の水際取締りの強化について御説明いたします。

 本件についての御説明の流れでございますが、まず私から税関における知的財産侵害物品の水際取締りに関する制度と取締りの状況について御説明させていただきまして、続いて特許庁から、模倣品の越境取引に関する商標法上の規制の導入に向けた検討状況について説明していただきます。その後、最後に特許庁における対応を受けての関税局としての対応の方向性について私から御説明させていただきます。

 それでは、資料の1ページを御覧ください。最初に、税関における知的財産侵害物品の水際取締りに関する制度について御説明いたします。関税法では、輸出してはならない貨物及び輸入してはならない貨物が定められており、税関では、これらの貨物の密輸を阻止するための水際取締りを実施しております。関税法に定める輸入してはならない貨物は、資料の右側に記載のとおりでございますが、麻薬等の不正薬物、拳銃等と並んで、特許権、実用新案権、意匠権、商標権等の知的財産を侵害する物品についても輸入してはならない貨物とされています。

 2ページを御覧ください。水際取締りに関する手続について御説明いたします。上に記載しておりますとおり、関税法では、税関長は、輸入されようとする貨物のうちに知的財産侵害物品に該当する貨物があると思料するときは、知的財産侵害物品に該当するか否かを認定するための手続を執らなければならない旨が定められておりまして、この手続を認定手続と呼んでおります。また、下に記載しておりますとおり、関税法では、税関長は、知的財産侵害物品に該当する貨物で輸入されようとするものを没収して廃棄することができる旨が定められておりまして、また、この没収は認定手続を経た後でなければすることができないこととされております。

 3ページを御覧ください。知的財産侵害物品の認定手続の流れについて御説明いたします。右上に記載しておりますが、税関に対し、貨物については輸入申告、郵便物については郵便事業者から郵便物の提示がなされた後、税関による審査・検査が実施されますが、その際に知的財産を侵害する疑いのある貨物を発見した場合、権利者及び輸入者に対し、認定手続を執る旨、及び当該貨物が知的財産侵害物品に該当するか否かについて、証拠・意見を提出することができる旨を通知いたします。その後、権利者及び輸入者から証拠・意見の提出を受け、知的財産侵害物品に該当するか否かを認定いたします。また、左側に記載しておりますが、輸入差止申立てが受理された貨物の認定手続につきましては簡素化手続が設けられております。ただいま簡素化手続の対象は輸入差止申立てが受理された貨物と説明いたしましたが、この輸入差止申立てとは、左下に記載しておりますとおり、各知的財産権者が自己の知的財産権を侵害すると認める貨物に関し、税関長に対し、当該貨物が輸入されようとする場合は当該貨物について認定手続を執るべきことを申し立てることができるものでございます。税関では、この輸入差止申立てによって提出された識別ポイントなどに基づきまして、知的財産侵害物品の水際取締りを実施しております。

 話を簡素化手続に戻しますと、この簡素化手続を適用する場合には、認定手続を執る旨を通知する際、輸入者に対し、争う意思がある場合には10執務日以内にその旨を書面で提出すべき旨を通知いたします。輸入者が争う意思を示す場合には通常の認定手続のプロセスに戻りますが、輸入者が争う意思を示さない場合には、権利者及び輸入者に対して証拠や意見の提出の機会を与えることなく、直ちに税関が知的財産侵害物品に該当するか否かを認定いたします。認定手続の結果、知的財産侵害物品に該当しない場合には当該貨物の輸入が許可され、知的財産侵害物品に該当する場合には、先ほど御説明いたしましたとおり、当該貨物を没収することができることになっております。

 4ページを御覧ください。こちらは輸入差止件数と輸入差止点数の推移をお示ししたものでございます。まず、差止件数と差止点数について御説明いたしますと、差止件数は、税関が差し止めた知的財産侵害物品が含まれていた輸入申告または郵便物の数となっております。差止点数は税関が差し止めた知的財産侵害物品の数になります。例えば1件の輸入申告または郵便物に20点の知的財産侵害物品が含まれていた場合は1件、20点ということになります。グラフにつきまして、折れ線グラフが件数、棒グラフが点数をお示ししております。左上の囲み部分に記載のとおり、令和元年は20年前の平成11年と比較して、点数は横ばいとなっておりますが、件数は大きく増加しており、輸入差止貨物が小口化している傾向が見られます。

 5ページを御覧ください。こちらは輸入差止件数について例年変わらない特徴をお示ししております。知的財産別の件数は、商標権侵害物品が令和元年には構成比96.3%と前年に引き続き全体の大半を占めております。品目別の件数は、令和元年にはバッグ類、衣類、靴類が多くなっておりますが、これは例年変わらない特徴でございます。輸送形態別の件数は、郵便物が令和元年には構成比88.1%と大半を占めており、これも例年と変わらない特徴となっております。

 6ページを御覧ください。近年、輸入差止貨物の小口化が進んでいる背景としましては越境電子商取引の進展が挙げられます。この図は、越境電子商取引による模倣品販売のイメージをお示ししたものでございます。越境電子商取引の進展に伴い、インターネットでの注文により、中国等の模倣品業者から模倣品が直接個人に送付されてくる販売形態が増加しております。この形態での販売は主に小口の貨物となっておりまして、バッグ類、衣類、靴類などの模倣品が個人宛てに直接送付されてきます。このような流通環境の変化により、個人使用目的での輸入が増加しております。

 7ページを御覧ください。こちらは先ほど御説明いたしました認定手続の簡素化手続におきまして、輸入者から争う旨の申出がなされた件数をグラフでお示ししたものでございます。簡素化手続を導入した平成19年以降、認定手続開始件数の約9割は簡素化手続によるものでございまして、その大半は商標権に関するものです。簡素化手続における輸入者からの争う旨の申出は増加傾向にありまして、平成29年と平成30年には年5,000件を超え、令和元年においても4,500件を超える状況となっております。また、争う旨の申出後に提出される輸入者からの意見書は、そのほとんどが個人使用目的であるという主張となっております。個人使用目的による模倣品の輸入は商標権等の侵害に該当しないとされていることから、認定手続の結果、輸入を許可しているものが多くあります。輸入者が個人使用目的であることを主張するものの中には、個人使用目的で輸入されるものだけでなく、個人使用目的を仮装して輸入しようとするものもあることから、税関においては個人使用目的を仮装して輸入される模倣品の取締りに努め、個人使用目的ではないと認められる場合には認定手続による差止めや犯則事件として処分をしておりますが、個人使用目的を仮装した事実を明らかにすることには大変な事務コストをかけて対応しているところでございます。

 ここまで御説明いたしましたように、近年は、知的財産侵害疑義物品として認定手続を開始しても、商標権等を侵害する貨物ではないと認定し、差止めとならずに輸入許可となる貨物が増加しておりまして、模倣品の輸入増加に対応するための対策が必要な状況となっております。

 ここまで税関における知的財産侵害物品の水際取締りの制度と取締りの状況につきまして御説明させていただきました。

 続いて、特許庁から御説明をお願いいたします。

猪俣総務部総務課制度審議室長(特許庁) 特許庁の猪俣でございます。本件につきましては、特許庁では、産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会におきまして、田村教授に小委員長になっていただきまして、御議論、御審議いただいているところでございます。

 8ページ目を御覧ください。商標の定義と商標権の侵害について記載しております。商標とは、いわゆるマークのうち、業として商品を譲渡などする者すなわち事業者がその商品などについて使用するものでございます。したがいまして、事業者に該当しない者すなわち個人が使用するマークについては商標とはならないという定義となっております。したがいまして、下のほうに書いておりますけれども、事業者が行為主体となって、権原なく登録商標を使用又は侵害とみなす行為をした場合には商標権侵害となりますが、個人が行為主体となる場合には、商標の使用などに該当せず、商標権侵害とならないということでございます。例えば、使用の一形態であります標章を付した商品の輸入は、個人による場合は侵害とならないという状況でございます。

 9ページ目を御覧ください。模倣品の越境取引の変化と商標権侵害でございます。従来では、模倣品の越境取引については、下の図にございますように、日本におきまして国内の事業者が存在しておりました。この場合は、この国内の事業者が輸入、譲渡あるいは引渡しなどを行っておりましたら、現行法上では商標権の侵害となる行為として取締りがなされるところでございます。近年では、eコマースの発展、国際貨物の配送料金の低下などによりまして、海外事業者が国内の個人に対し、国内の事業者を経由しないで、模倣品を直接販売・送付するケースが急増しているところでございます。この場合、繰り返しになりますけれども、事業者に該当しない個人につきましては、輸入行為が商標権の侵害とならない状況でございます。

 10ページ目を御覧ください。過去の検討経緯でございます。模倣品の越境取引の問題につきましては、平成16年、商標制度小委員会におきまして、国内の個人の行為(輸入・所持)に着目しまして規制の検討が行われましたが、個人の行為を商標法で規制することにつきましては、産業財産権法の制度趣旨または法体系への影響を踏まえまして慎重に検討すべきとの意見が多く、改正は見送られた経緯がございます。下のほうにありますとおり、個人の行為を商標法で規制することにつきましては、引き続き慎重な検討が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

 11ページ目を御覧ください。欧米の規制状況との比較でございます。個人使用目的によります模倣品の輸入は税関で差し止められるか、でございます。アメリカにつきましては規制対象ということで、ハンドキャリーにつきましても数量などの制限を超える場合には差止め対象となっております。EUにつきましても規制対象なのですが、備考に書いておりますとおり、以前から争いがありました。ただ、2014年に欧州連合司法裁判所の判決におきまして、個人使用によります模倣品の輸入事案につきまして、EU域外の販売業者の行為に商標権侵害などが成立するものとして、税関の差止め対象とすることを認めたところでございます。これについて調べましたところ、判決を踏まえて、EU域内の者が個人として使用する場合であっても、EU域外の事業者が模倣品をEU域内に宛てて送付した場合については、このEU域外の事業者の行為に商標権侵害が成立すると解釈し、税関の差止め対象となったということでございます。日本につきましては、先ほど申し上げたとおり、個人の輸入する模倣品については商標権侵害物品に該当しないため、税関の差止め対象とならないという状況でございます。こうした状況を踏まえて、EUのように、「業として」行われる海外の事業者の行為に着目して規制を行うことはできないかということでございます。

 12ページが現在、商標制度小委員会で検討、審議いただいております商標法改正の検討でございます。近年の越境取引の変化、模倣品の流入増加を踏まえまして、何らかの措置を講じるべきである。そして、過去の検討に照らしますと、個人の行為を商標法で規制することについては、商標法の制度趣旨や法体系に影響を与えるものであり、慎重な検討が必要であろうと考えております。一方で、裁判例を見ましても、海外の事業者の行為につきまして、現行の商標法では、商標権の侵害に該当するかどうかについては明らかになっていないところでございます。こうした状況を踏まえまして、法改正によりまして、海外の事業者が国内の者に模倣品を直接送付する行為を新たに商標権の侵害と位置付けることとして、「業として」という要件を維持しながら模倣品の流入に歯止めをかけたいということでございます。下の図にございますとおり、海外におります事業者の方が日本に模倣品を直接送付したりする行為を、事業者向け、個人向けを問わずに商標権侵害の対象とするところでございます。その下の※印に書いておりますけれども、今回法改正としたとしても、商標法上、個人の輸入者に対して罰則をかけるものではございません。また、同様の問題で、先ほどもありましたとおり、商標権の侵害物品が現行の差止めでも大半ではありますけれども、ほかの産業財産権との関係でも生じ得ることでありますので、特許権、実用新案権、意匠権といった産業財産権四法の改正も検討しておるところでございます。今後、審議会などで、ほかの産業財産権、すなわち特許権、実用新案権、意匠権で固有の懸念がないかどうかの検討も頂きまして、どのように行っていくか検討していきたいというふうに考えております。

 特許庁からは以上でございます。

石川知的財産調査室長 それでは、13ページを御覧ください。ただいま特許庁から説明がございました商標法等の改正の方向性を踏まえた関税局における対応について、これまでの説明と重なるところもございますが、御説明させていただきます。

 まず、現行制度ですが、商標権等の知的財産権を侵害する物品は、関税法上の輸入してはならない貨物として税関の水際取締りの対象となっており、また、関税法上の知的財産権侵害物品の範囲は、各知的財産法において輸入行為等が規制されている知的財産権侵害物品の範囲と同一となっております。なお、※印に記載がありますとおり、商標法等においては、商標等の個人使用は侵害行為に該当しないことから、模倣品の個人輸入者等は罰則の対象となっておりません。

 続いて、取り巻く状況でございますが、越境電子商取引の進展に伴い、海外事業者と日本国内の個人との間の直接取引による模倣品の輸入が増加しているところ、個人使用目的の模倣品は、商標権等を侵害する物品に該当しないことから、税関での取締対象となっておりません。また、参考に記載があるとおり、近年、税関の認定手続において模倣品を輸入しようとする者からの個人使用目的の主張が増加しております。

 14ページを御覧ください。こうした状況に対応するための政府の方針でございますが、知財推進計画2020において、財務省・経済産業省の両省が、増加が顕著な模倣品の個人使用目的の輸入については、権利者等の被害状況等及び諸外国における制度整備を含めた運用状況を踏まえ、具体的な対応の方向性について引き続き検討することとされております。この方針を踏まえた特許庁における対応については、先ほど説明がありましたとおり、商標法等において、海外事業者が国内の者に模倣品を直接送付する行為を商標権等の侵害行為と位置付け、当該侵害に係る物品を取締対象とすることが検討されております。

 最後に、特許庁における対応を受けての関税局としての対応の方向性でございますが、現在検討されている商標法等の改正がされた場合には、当該侵害に係る物品を関税法に基づく税関での輸入差止めや没収等の水際取締りの対象とすることについて引き続き検討を行うというものでございます。

 本件についての御説明は以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御発言ございましたら、どうぞお願いいたします。

古谷委員 ありがとうございます。古谷です。幾つかあります。

 まず1点目ですけれども、模倣品に関して、個人使用目的の申出が増加しているということですが、どれぐらい申出をして、個人使用と認められているのか。ほとんどなのか。例えば仮装というのが証明できないということで、ほとんどであるかのようなニュアンスで受け止めたのですが、それはどれぐらいなのかというところをお聞きしたいと思っております。

 2点目ですけれども、申出の背景として、流通環境が変わったということを挙げられておりましたが、個人の使用の実態であるとか意識とか、そういった変化は見てとれるのかどうかというのがもし分かるようであれば教えていただきたい。

 3点目ですけれども、対策としてハードとソフトとあると思うんですが、まずソフトから申しますと、個人に対して罰則を科すことができないということになりますと、啓発や教育になろうかと思います。消費者啓発・教育というのはいろいろな多様な分野がありまして、なかなか体系的になされていないのではないかという懸念もございますので、状況が分かれば教えていただきたいです。

 最後になりますけれども、ソフトで難しいということで、今回も法律などの改正とかも踏まえてされているのだと思います。個人に対して現状では罰則等は科されないということですけれども、今後そこは視野に入れて引き続き検討していくということでいいのかどうか確認をしたいと思います。よろしくお願いいたします。

石川知的財産調査室長 御質問、ありがとうございます。知的財産調査室長でございます。

 まず1点目、模倣品の輸入について争う旨の申出があった場合に、個人使用と認めているのがほとんどなのかどうかという御質問につきましては私から御説明させていただきます。実際に争う旨の申出の大半は個人使用目的が理由になっておりますけれども、先ほどお話がございましたとおり、そのほとんどが個人使用目的であるという理由を認めて輸入を許可しているのが実際のところでございます。

猪俣総務部総務課制度審議室長(特許庁) 続きまして、特許庁でございます。

 まず、模倣品の購入に対する消費者の意識でございますけれども、平成16年以降、内閣府の知的財産に関する特別世論調査というものがございます。その中で、模倣品などについて、「「ニセモノ」購入についての認識」という調査がございました。回答として、「どんな理由でも購入すべきでない」というのが平成16年の約40%から、直近で言いますと平成26年ですけれども、約52%ということで、10年間で12%増加しているというのがございます。

 次に、消費者に関するキャンペーン、周知でございますけれども、特許庁のほうで毎年、模倣品の撲滅キャンペーンで、CMなど様々な広報、媒体を通じて、模倣品を買わないというようなキャンペーンをさせていただいているところでございます。今後も、こうした改正についてもし仮になされれば、これら内容についても周知をさせていただきながら、引き続き、模倣品を買わない、撲滅するキャンペーン、周知を進めていきたいと思っています。

 最後に、個人への罰則についてでございます。これについては、先ほど申し上げた過去の検討において「業として」という要件を取り除くことには慎重な意見が多数であったこともございますので、現時点におきましては視野には入っていない状況でございますけれども、今後、さらなるこうした改正も仮にできましたら、その状況も踏まえつつ、中長期的には議論としてあり得ると思っているところでございます。

石川知的財産調査室長 先ほどの私からの説明につきまして少し補足をさせていただきたいと思います。先ほど、争う旨の申出があったもののほとんどについて個人使用目的を認めて輸入を許可しているとお話ししました。それは事実でございますけれども、認定手続開始件数という一番大きな分母から見ますと、8割ほどはそもそも争う旨の申出がなされず、そのほとんどについて侵害の認定をしております。残りの2割ほどが争う旨の申出がなされ、そのほとんどのものについて個人使用目的を認めて輸入が許可されていることになりますので、全体の中では、今申し上げたような割合になるということでございます。補足して御説明させていただきました。

佐藤委員 輸入者からの争う旨の申出があった場合に、税関長で、「それでもなおかつ侵害物品である」という判断をした場合、その判断に不服がある輸入者は審査請求をされるわけですが、そうなると、私も所属しております関税等不服審査会の担当分科会で審議をする、こういう運びになっております。そこに所属しております経験上申し上げますと、個人使用の申出で主張がなされると、それを不合理であるとして退けるのは極めて困難であり、担当の部署の方々が努力をしてくださいますが、審査請求人の主張を認容するという例もあります。

 比較的近年の例で、詳しいことは申し上げられませんが、海外にある実家に置いていたものを家族から送ってもらったんだという主張がされ、その主張を不合理と退けるには至らなかったという例があります。

 そういうような例もあったということを背景に2点のお願いですが、中長期的にはとおっしゃいました特許庁の御関連では、やはりこういう事例が現実にあるということを御認識いただければと考えております。特に今お答えを強いるようなことではありませんので、情報提供です。

 それから、今後の関税局の対応をお考えになるに当たりましては、12ページのスライドを見ると、下側の海外事業者から直送された個人の送り先は、先ほどのように実家である、事業者ではないというような主張をして争うことが今後当然予想されるわけですので、事業者であるかないかということをどのように認定し、誰がそれを主張する必要があるのかという問題についても、ぜひ制度の使い勝手がよくなるように御検討を進めていただければと思います。

 私からは2点のお願いでした。

猪俣総務部総務課制度審議室長(特許庁) 特許庁でございます。しっかりと頂いた意見を踏まえまして、特許庁内でも考えていきたいというふうに思っております。

石川知的財産調査室長 2点目につきましては私からお答えさせていただきます。関税法における具体的な対応につきましては現在検討中でございますが、商標法が先ほど御説明があった内容で改正された場合には、海外の事業者から日本国内の個人に直接送付された模倣品を税関により水際で差し止めることとなると考えられます。この際、商標権侵害に該当するか否かを決定する税関の認定手続におきまして、先ほど先生からお話がございましたとおり、海外から日本国内の個人に模倣品を直接送付する仕出人が事業者に該当するか否か、これを税関で判別することは実務上困難な場合もあるといった論点がございますので、こうした点も含めて効果的な運用を確保するよう、現在検討を進めているところでございます。ただいまの御指摘も踏まえて引き続き検討していきたいと考えております。

田村委員 田村です。先ほども御紹介がありましたとおり、私は特許庁の商標制度小委員会で委員長を務めております。今御紹介がありましたように、商標法改正の方向性はこちらの方向でと今月まとめたばかりでございます。

 また、今御説明いただき、皆さんに御議論いただきましたように、この問題は、1つは、個人を偽装した事業者が輸入しているのではかもしれないが、それがなかなか把握できないという問題です。もう1つは、そもそも仮に個人だったとしても、その個人に対して大量に営利で直接送付してもうけている事業者が大きな不利益を商標権者に与えているという問題です。そうしたビジネスモデルが今はとても無視し得ない状況になっていることを踏まえまして、改正の方向性がまとまったということでございます。こちらに平仄を合わせて、税関でも規制ができるようになれば、商標制度小委員長としては大変うれしく思うところでございます。

 今御指摘のありました偽装問題ですけれども、今回の商標法の改正及びそれに即した関税法の改正がなされた場合、受け手の個人を偽装する、事業者が利用する行為については実体法での歯止めがかけられることになるかと思いますが、他方で、送り手の事業者が個人だと言われたときには、今回そちらのほうには改正が及びませんので、まだ問題が残っているということで対応が必要だということはよく分かりました。また、そういった事例を佐藤委員から今教わりまして、勉強するとともに今後も考えていこうと思います。

 私からは以上です。

根本委員 確認ですけれども、12ページで、越境取引・個人輸入というのは、海外の事業者に注文を出して、そこから直接送られてくる。そういうイメージだと思いますが6枚目のスライドを見ると、注文を出す相手が国内の事業者となっています。誰から買っているのか、という点からすると、これは海外の事業者から買っているのではなくて、日本の国内の小売事業者から買っていて、その人が海外の倉庫から送るようなイメージとなっており、少し誤解を受ける感じがします。あくまで、越境取引という概念は、海外の小売事業者に注文を出した場合という定義になるのではないでしょうか。

猪俣総務部総務課制度審議室長(特許庁) 特許庁でございます。あくまで、今回の新たな商標法上の規制対象としては、海外の事業者が国内の者に直接送付する行為を規制対象としたいというふうに思っているところでございます。

根本委員 そうしますと、この図は誤解が生じるような図になっていませんか。小売事業者がどこにいるかということが問題かと思います。

猪俣総務部総務課制度審議室長(特許庁) 今回の規制については、例えば、12ページ目で申し上げますと、灰色の方が国内の小売事業者で、そこから個人に対して譲渡・引渡しをすれば、当然それは現行法上でも対象となっておりますが、今回の法改正の検討では、海外におられる事業者の方が日本に送付する場合ということでございます。

森田分科会長 国内ショッピングモール・オークションというのが何なのか、確かにそこの定義が少し曖昧な感じがいたしますが、海外の業者が日本で、例えばサイトを運営している場合だと特許庁の説明にある話になるかと思います。

石川知的財産調査室長 私から少し補足させていただきますと、サイト自体は日本の会社が運営している場合もあるかと思いますが、実際に出品している事業者が海外の事業者である場合を想定しております。今回、商標法について検討されている規制のスキームに該当するのは、出品している業者が海外に所在している者、そこが対象になってくるものと承知しています。確かにこの絵はその点が少し分かりづらいものになっていると、御指摘を頂きまして感じたところでございますので、必要があれば、今後この資料を使うときには訂正して使っていきたいと考えております。

佐々木委員 御説明、ありがとうございます。

 現行法の解釈によっては、もはや海外のeコマースサイトから模倣品を輸入する行為を差し止めることはできないということで、新しく立法によってこれを解決しようという動きだと理解いたしましたが、海外の事業者が違法であるとしても、実際にその海外の事業者を規制することはできないと思うので、この法改正というのは、実際は税関において差し止めることをほとんど唯一の目的とした法改正になるという理解でよろしいでしょうかというのが1つです。

 次は、発効のメカニズムが実際にどうなっていくのかということです。これは、真正の権利者が何らかの格好で税関に、こういうものが入ってきそうなので差し止めてくれというような通報があって初めて動き出す。こういうふうなことが想定されているんでしょうか。また、全体のスケジュール、商標法の改正と関税の実際の差止めに至るまでの法改正のプロセスというのはどういうスケジュールが予定されているか。これについて教えていただければありがたいと思います。

猪俣総務部総務課制度審議室長(特許庁) まず、特許庁でございます。今回、商標法の侵害行為で言いますと、いわゆる侵害としては、罰則や民事責任にも対応することも対象にはなりますけれども、おっしゃるとおり、海外の事業者については、例えば罰則を適用するということはなかなか難しいかと思います。他方、先ほどおっしゃっていただきましたとおり、国内におきまして水際で差し止めることができるということが効果としてあろうかと思っております。

 実際の法改正のスケジュールでございますけれども、まだ現在審議途上でございますので全く分かりません。可能でしたら、次期通常国会での改正というものも検討として入っておりますけれども、現時点で決まっているものではございませんし、法施行日についても、いつ頃になるかというのも現在まだ何ら決まっているものはございません。

石川知的財産調査室長 関税法の改正のタイミングについてでございますが、今後、商標法等が改正されまして、海外の事業者から国内の者に直接送付される模倣品が商標権等の侵害物品として位置付けられた場合には、改正商標法の施行に合わせて税関における水際取締りが適切に実施できるよう、そうした模倣品を関税法における輸入してはならない貨物として位置付けること等について検討を進めているところでございます。

 今般の商標法の改正につきましては、これまで規制の対象となっていなかった個人の輸入者に広く影響するものでございますので、改正商標法の施行まで十分な周知期間が必要となるものと承知しているところでございます。

 また、税関で差し止めるものについて、申立てがあったものが対象になるのかという点でございますけれども、輸入差止申立てで識別ポイントを権利者の方が出されますので、その識別ポイントに基づいて差止めを行っていくことが中心になってくるものではございますが、差止申立てがないものであっても、税関がこれは侵害疑義があるのではないかと判断するものについても取締りは行っていくことになると考えております。

森田分科会長 ありがとうございました。

 それでは、ほかに御発言はございますでしょうか。この件、よろしいでしょうか。

 それでは、以上で議題は終わりましたが、先ほどの清水委員からの御質問についてまだお答えが十分でなかったと思いますので、この点について中澤課長から回答願います。

中澤関税課長 先ほどSSGの発動実績について御質問を頂いた件の回答でございます。まず、数量ベースにつきましては、平成28年1件、平成29年3件、平成30年4件で、先ほどの令和元年が8件でございます。一方、価格ベースにつきましては、平成28年が32件、平成29年が14件、平成30年が13件で、令和元年が20件となっているところでございます。

森田分科会長 清水委員、よろしゅうございますか。

清水委員 ありがとうございました。

森田分科会長 それでは、特にもう御発言がないようでございますので、これで終了させていただきます。

 本日をもちまして、令和3年度関税改正検討項目につきましては、委員の皆様に一通りの御審議を賜りましたので、今後、当分科会におきましては答申を取りまとめる作業に移ることになります。次回の分科会におきまして、これまでの御審議の内容を踏まえた答申案を御提示させていただきまして御議論を賜ることにしたいと考えております。

 なお、次回の関税分科会の開催につきましては12月10日(木曜日)午前10時開始を予定しております。詳細につきましては、事務局と調整の上、別途御連絡を差し上げるつもりでございます。

 それでは、本日は、御多用中のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございました。これで終了とさせていただきます。

午後2時43分閉会

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