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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (令和元年12月12日開催) 議事録

  1. 開会
  2. 令和2年度関税改正検討項目(3)
    • 納税環境の整備について
  3. 令和2年度における関税率及び関税制度の改正等
  4. 閉会

出席者
関税分科会長森田 朗財務省藤川財務副大臣
関税分科会長代理根本 敏則中江関税局長
委員金原 壽秀山名審議官
河野 真理子小宮審議官
工藤 操渡部総務課長
古城 佳子高橋関税課長
佐藤 英明河西参事官
清水 順子有利監視課長
杉山 晶子芹生業務課長
高山 一郎福田調査課長
田村 善之田中事務管理室長
中村 邦晴加藤特殊関税調査室長
春田 雄一井田原産地規則室長
古谷 由紀子鈴木税関調査室長
専門委員国松 麻季酒井経済連携室長
末冨 純子坂田知的財産調査室長
藤岡 博福山企画官
宮島 香澄農林水産省阿部大臣官房国際部国際経済課国際交渉官
村上 秀徳経済産業省藤澤通商政策局通商機構部参事官補佐
国土交通省谷口国土交通省港湾局港湾経済課長

 

午前10時00分開会

森田分科会長 おはようございます。時間もまいりましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様方には、御多用中のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、早速ですが、本日の議事に入らせていただきたいと存じます。令和2年度関税改正検討項目のうち、追加的に御審議いただく必要が生じたものとして、「納税環境の整備について」があるとのことでございます。

 まず、それにつきまして御審議いただいた上で、令和2年度における関税率及び関税制度の改正等に係る答申案について御意見をいただきたいと存じます。

 それでは、「納税環境の整備について」につきまして、御説明を受けたいと思います。

 関税課長、よろしくお願いいたします。

高橋関税課長 関税課長の高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、資料1-1について御説明させていただきます。

 こちらは、納税環境整備に係る内国税の規定が改正されることに伴いまして、同様の改正を、関税関係法においても行うといった趣旨の改正でございます。

 それでは、1ページを御覧ください。

 無申告加算税の賦課決定の期間制限でございます。

 上段に背景といたしまして、内国税における改正内容を記載いたしております。内国税においては、納税申告をせずに、税務署長の決定を受けた後に行う修正申告書の提出、又は期限後申告書の提出、これらが加算税の賦課決定の期間制限、こちらは、法定申告期限から原則5年でございますけれども、この期間制限の終了間際に行われる場合に、この期間制限内に無申告加算税の賦課決定ができず、当該加算税を賦課できない事案が生じているところでございます。

 そのため、賦課決定をすることができなくなる日前3月以内にされた(1)の修正申告書の提出又は(2)の期限後申告書の提出がされた日から3月を経過する日まで、無申告加算税の賦課決定を可能とするための国税通則法の改正が検討されております。

 続いて、中段に、この点に関する関税における規定について記載しております。

 関税の加算税の賦課決定の期間制限は、原則として法定納期限等から5年でございますが、関税においても、納税申告をせずに税関長の決定が行われる場合、この決定の後、無申告加算税の賦課決定の期間制限が終了する間際に、修正申告書の提出がされる場合があり得るところでございます。

 また、AEO輸入者等が行う特例申告につきましては、特例申告書の提出期限を超えて、無申告加算税の賦課決定の期間制限の終了間際に、期限後特例申告書の提出がされる場合があり得るというところでございます。

 このように、関税におきましても、内国税と同様の事案が生じますことから、下段の改正の方向性に記載しておりますように、関税における無申告加算税の賦課決定の期間制限につきまして、内国税と同様の見直しを行うこととしたいと考えてございます。

 続きまして、次の2ページを御覧ください。

 還付加算金及び延滞税の特例基準割合でございます。

 上段の背景に記載しておりますように、内国税におきましては、現下の市中金利の実勢を踏まえ、租税特別措置法における還付加算金及び納税の猶予等の場合の延滞税の特例基準割合、これは※印に記載しておりますように、前々年の10月~前年9月の各月の短期貸付けの平均利率の合計を12で除して計算した割合である貸出約定平均金利に1%を加えたものでございますが、この特例基準割合の引下げ、具体的には、その表にありますように、「貸出約定平均金利+1%」を「貸出約定平均金利+0.5%」に引き下げることなどが検討されております。

 関税における規定でございますけれども、関税法における還付加算金及び延滞税の特例基準割合については、租税特別措置法に規定する特例基準割合とされているところでございます。

 したがいまして、改正の方向性に記載しておりますように、還付加算金及び延滞税に係る特例基準割合の規定につきまして、内国税と同様の見直しを行うこととしたいと考えてございます。

 続きまして、3ページを御覧ください。

 外国当局等に対する情報提供要請を行った場合の更正決定等の期間制限でございます。

 背景に記載しておりますように、内国税におきましては、税務当局が、納税者の国外取引等について外国当局に情報提供の要請を行う場合、その回答に相当の期間を要し、更正決定等の期間制限(原則5年)を徒過する場合もあるため、当該要請から3年間、更正決定等を可能とするための国税通則法の改正が検討されております。

 関税における規定でございますけれども、関税におきましても、税関が外国の税関当局等に対して情報提供の要請を行う場合、その回答に相当の期間を要し、更正決定等の期間制限(原則5年)を徒過する場合もあり得るところでございます。

 したがいまして、外国の税関当局等に対する情報提供の要請を行った場合の更正決定等の期間制限について、内国税と同様の見直しを行うこととしたいと考えてございます。

 説明は以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見ございましたら御発言をお願いいたします。

 佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 御説明ありがとうございました。スライドの2ページ、納税環境の整備(2)について御質問を申し上げます。

 見直しの概要で、左側の現行のところを御覧いただくとわかりますように、還付加算金と納税の猶予等の場合の特例基準割合は、延滞税のいわゆる一階部分にあたる特例基準割合と一致しております。このつくりは、特例基準割合をつくったとき以来、内国税もこの形になっており、古くさかのぼれば、国税通則法をつくったときからこういう形になっているわけですが、今回の改正で還付加算金と納税の猶予、ほかに、内国税は利子税もですが、その部分の割合と延滞税の特例基準割合のところが乖離するということになる点については、どのような整理をなさっているのか伺いたいと思います。よろしくお願いします。

高橋関税課長 御質問は、延滞税について、納税の猶予等については「貸出約定平均金利+1%」のところを改正を予定しているけれども、それ以外の延滞税については改正されないという御趣旨でございましょうか。こちらにつきましては、今回見直しを行うもの以外の通常の延滞税につきましては、遅延利息としての性格、あるいは、滞納を防止する機能、回収リスクの観点から、その水準を維持するといったような、内国税の方では、そういう整理になっていると承知いたしております。

森田分科会長 よろしゅうございますか。ほかにいかがでしょうか。

 御質問等ございませんようでしたら、これまでの御審議の内容を踏まえまして、令和2年度における関税率及び関税制度の改正等につきまして、答申案の審議を行いたいと思います。

 本年10月以降、本日も含め4回にわたり本分科会を開催いたしました。そして委員の皆様に御審議をいただいておりましたところでありますが、御審議いただいた内容を取りまとめたものが、本日事務局より御説明いたします答申案でございます。

 それでは、事務局から説明を受けたいと思います。その後で、答申案について御意見などございましたら、御発言をお願いしたいと思います。

 それでは、お願いいたします。

高橋関税課長 続きまして、答申案でございますけれども、答申案そのものは、資料3として、文章のものをお示ししております。御説明は、資料2のパワーポイントの資料に基づきまして、答申案の内容を御説明させていただきます。

 それでは、1ページを御覧ください。

 こちらに、答申案の概要ということで、全体の構成を示しております。

 Iが令和2年度関税改正を巡る諸情勢、IIが具体的な改正内容でございまして、暫定税率等の適用期限の延長等、個別品目の関税率の見直し、国際コンテナ戦略港湾政策に係るとん税及び特別とん税の特例措置の創設、納税環境の整備、その他といった項目から構成されております。

 順次御説明させていただきます。

 次の2ページを御覧ください。

 令和2年度関税改正を巡る諸情勢でございます。

 平成の30年余りの間、社会や経済のグローバル化やICT化を背景に、関税政策や税関行政を取り巻く環境は大きく変化し、貿易量、輸出入申告件数、訪日外国人旅行者数、経済連携協定数などは増加したところでございます。

 財務省及び税関は、令和の時代においても環境変化に的確に対応し、適切な関税率の設定・関税制度の整備等を行うとともに、税関の使命を着実に果たしていく必要があるといたしまして、税関の3つの使命に即して、今後の課題等を記述いたしております。

 「安全・安心な社会の実現」という観点では、来年は東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が予定されており、迅速な通関及びテロ対策や覚醒剤等の密輸阻止を両立する水際取締りを行う必要があること、税関の体制の整備・充実、先端技術を活用した検査機器の導入、事前情報等の活用を一層進めていくことが重要であることを記述いたしております。

 「適正かつ公平な関税等の賦課・徴収」という観点では、本年1月には国際観光旅客税法が、10月には消費税率引上げと軽減税率税度が実施され、徴収機関としての税関の役割が一層重要性を増しており、金の密輸阻止にも引き続き努めていくことが求められるとしております。

 「貿易円滑化の推進」の観点では、TPP11や日EU経済連携協定等に続き、来年1月の日米貿易協定の発効後には、貿易総額に占める協定の発効済・署名済の国・地域との貿易額の割合が半分以上となること、我が国は自由で公正な経済秩序の構築を進めており、経済連携協定の一層の利用促進にも取り組むべきであること、国際環境の変化等を踏まえ、適時に関税制度を整備していくことが重要であることを記述いたしております。

 次の3ページ以降に、これまで分科会で御審議いただいた内容につきまして、検討結果をまとめております。順次御説明いたします。

 (1)暫定税率の適用期限でございますが、令和2年3月31日に適用期限が到来する416品目について、国内生産者・消費者等に及ぼす影響、国際交渉との関係、産業政策上の必要性等を考慮し、暫定税率の適用期限を1年延長することが適当としております。

 (2)特別緊急関税制度につきましては、対象品目が国際交渉の対象となり得るものであり、国際交渉の状況を予断なく注視する必要があること、引き続き国内産業を保護する必要があることから、令和2年3月31日に到来する適用期限を1年延長することが適当としております。

 (3)牛肉及び豚肉に係る関税の緊急措置につきましては、現在、我が国に輸入される牛肉及び豚肉の99%超はEPA締約国産又は米国産であり、EPA締約国産の牛肉及び豚肉については、各EPAに設けられたセーフガードの対象となっていること、来年1月の日米貿易協定の発効後には、米国産の牛肉及び豚肉についても同協定のセーフガードの適用対象となり、本措置の適用対象が実質的になくなることから、措置しないことが適当といたしております。

 続きまして、4ページの加糖調製品に係る暫定税率でございますが、下段にありますように、加糖調製品のうち6品目(ココアの調製品、ミルクの調製品等)につきまして、国内産糖への支援に充当する調整金の拡大が可能となるよう、令和2年度のTPP11税率の設定状況等を踏まえ、暫定税率を引き下げることが適当とするとともに、加糖調製品に係る暫定税率の検討に当たっては、毎年度、加糖調製品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の取組状況等について農林水産省に説明を求め、検証することが適当といたしております。

 続きまして、5ページの(5)航空機部分品等の免税制度につきましては、航空宇宙産業の状況及びコスト軽減に資するものとなっている点を踏まえまして、その適用期限を令和5年3月31日まで3年間延長することが適当といたしております。

 (6)加工再輸入減税制度につきましては、繊維・皮革産業の状況及び本制度が国産材料の利用促進と産業全体の活性化に資するものとなっている点を踏まえまして、その適用期限を令和5年3月31日まで3年間延長することが適当といたしております。

 (7)沖縄に係る関税制度上の特例措置であります、特定免税店制度につきましては、沖縄の観光振興及び雇用促進に一定の効果があること等に鑑み、沖縄振興特別措置法の適用期限である令和4年3月31日まで2年間延長することが適当としております。

 続いて、6ページは、個別品目の関税率の見直しでございます。

 輸入や国内生産の状況等を踏まえつつ、国内産業の競争力強化等の観点から、資料に掲載している5品目、自動車安全部品用イグナイター、CHDM、3,5-DMP、アルキルベンゼン、リバーレースについて、基本税率を無税とすることが適当としております。

 続いて、7ページと8ページは、とん税及び特別とん税の特例措置の創設でございます。

 7ページ上段は、とん税及び特別とん税の現行制度の概要、下段は諸外国のとん税制度でございます。いずれも、これまで御覧いただいている内容ですので、御説明は省略させていただきます。

 続きまして、8ページでございますが、上段に国際コンテナ戦略港湾政策を推進するため、国土交通省が、港湾法改正法案を先の臨時国会に提出して、成立したこと、さらに、コンテナ貨物定期船の入港回数と税負担の状況につきまして、韓国・中国等を結ぶ近距離航路の場合、年間の平均入港回数は10回を超えている一方、欧州・北米航路のコンテナ貨物定期船の場合、長期間にわたる航海により、同一船舶の入港回数が少なくなるため、年間の平均入港回数がそれぞれ4回、5.2回となっており、一時納付の利用に際し、両航路の間で、コンテナ貨物定期船の積載量1トン当たりの税負担は約2倍の開きとなっていることを記載いたしております。

 8ページの下段ですけれども、こうした状況に着目し、両航路間の一時納付に係る税負担を同程度のものとし、もって、国際戦略港湾である京浜港、阪神港、名古屋港及び四日市港の競争力を高めるため、欧州・北米航路のコンテナ貨物定期船に係るとん税及び特別とん税の一時納付の税率について、特例措置として、当分の間、現行の1トン当たり108円から54円(とん税24円、特別とん税30円)に軽減することが適当であること、さらに、特例措置の効果の検証に当たっては、国土交通省は、国際コンテナ戦略港湾政策の実施状況等について年1回程度点検を行うことから、毎年度、国土交通省に説明を求め、検証を行っていくことが適当であることを記載いたしております。

 なお、資料7ページの右上の表に、とん税及び特別とん税の収入額は、総額で約230億円、コンテナ貨物定期船に係るとん税・特別とん税収入は、そのうち約38.9億円と記載いたしておりますけれども、今般の特例措置の創設による減収見込み額の試算額、これは現時点での粗い試算でありまして、精査が必要でございますけれども、御参考までに申し上げますと、とん税・特別とん税合わせて約4.8億円といった数字でございます。

 続きまして、9ページは、先ほど御説明させていただきました納税環境の整備でございますので、説明は割愛させていただきます。

 最後、10ページの5.その他の(1)入国者が携帯又は別送するアルコール飲料に係る簡易税率の取扱いでございます。

 入国者が携帯又は別送して輸入するアルコール飲料につきましては、税関手続の簡素化及び迅速化を目的として、関税、酒税、内国消費税及び地方消費税の率を総合したものを基礎として算出した簡易税率を適用しており、入国者の利便のため、100円刻みで設定しているところでございます。

 令和2年10月に酒税率の見直しが行われることから、アルコール飲料に対して適用される簡易税率の水準について検討した結果、現行の水準を維持することが適当といたしております。

 (2)入港手続の対象船舶等の見直しでございます。

 現状においては、入港手続が必要となっております自衛隊の船舶及び航空機につきまして、自衛隊の任務や海外活動の現状に鑑みまして、外国の軍艦、海上保安庁の船舶等と同様に、公用船等として指定し、入港手続の対象から除外することが適当といたしております。

 令和2年度関税改正の答申案につきまして、事務局として説明させていただきました。説明は以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明にありました答申案につきまして、御意見などございましたら、御発言をお願いいたします。

 御意見はございませんか。

 佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 意見が2点ございます。1点目は、今回の改正等に係る今後の検証の問題です。答申案において、これは資料3の別紙の方で文章になっています。2ページの最後から3ページにかけて、「また、」という段落で、「加糖調製品に係る暫定税率の検討に当たっては、毎年度、加糖調製品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の取組状況等について農林水産省に説明を求め、検証することが適当である」との文章であります。

 今後もTPP11税率に変更があり得ると思いますが、その場合に、今年度と同様の状況が出てまいりますので、この点の検証について、ぜひしっかりとしていくことが必要だと考えます。

 また、とん税及び特別とん税の特例措置については、年間経費のうち、港費の占める割合が数%であるということも踏まえて、その効果については、不断の検証が必要となるという発言を、前回申し上げたところであります。

 今回の資料でも、5ページの4.のすぐ上の「さらに、」という段落にありますが、「とん税及び特別とん税の特例措置の効果を検証していくとともに、曳船料等の入出港に係る費用についても不断の見直しが必要である」ということであって、「毎年度、国土交通省に説明を求め、検証を行っていくことが適当である」との記載であります。

 この点も賛成でありまして、この検証は、ぜひ毎年度しっかりとしていく必要があると考えております。

 第2点目は、先ほど御質問申し上げました納税環境の整備の点で、この(2)還付加算金及び延滞税の特例基準割合に関しては、内国税の改正が検討されているということであり、関税がそれと違う形になることが適当ではないということを十分理解しておりますので、反対は申し上げません。しかし、理論的な観点から申し上げますと、先ほど申し上げたような延滞税の基本的な部分の税率と、この割合が乖離するということは適切ではないと考えております。2点とも意見です。

森田分科会長 ありがとうございました。貴重な御意見だということで、事務局よろしくお願いいたします。

 ほかに、いかがでしょうか。

 国松委員、どうぞ。

国松委員 ありがとうございます。意見が2点ございます。いずれも、諸情勢、総論に係るところでございます。

 まず、1点目は、利用促進でございます。こうした検討の成果により締結されたEPAなどの利用を産業界に広く促進していくとともに、広く国民に周知することは非常に重要だと考えますので、ぜひ具体化をよろしくお願いいたします。

 2点目は、RCEPでございます。これも大きく残っている課題でございまして、最後のメガFTAと認識しておりますので、ぜひとも前進させるように、来年度以降もよろしくお願いいたします。

 以上です。

森田分科会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 河野委員、どうぞ。

河野委員 ありがとうございます。先ほど、佐藤委員がおっしゃいました、5ページのとん税の検証ですが、国際コンテナ戦略港湾をどうするかということについては、税金だけではない要素がたくさんございますので、その検証の仕方につきまして、工夫が必要だと思います。特に1年に1回検証するとなりますと、どうしても税額をこれだけ下げるとどういう結果になるか、そういう議論になりがちだと思います。とん税の導入が直接的に数字にどれだけ影響があるかということに加えて、何らかの形で日本の戦略的な港湾の維持、強化に必要な他の要素も考慮する視点から、検証の仕方をぜひ工夫していただきたく存じます。よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ただいまの御意見もありがとうございました。

 それでは、ほかにいかがでしょうか。

 清水委員、どうぞ。

清水委員 先ほど、利用促進のことを言っていただいたと思いますが、このEPAに関しましては、マルチなもの、それから、バイなもの併せてカバー率が5割を超えるという状況になってきましたので、これが今後どのように使われていくのか、あるいは、これが導入されたことによって、貿易にどのような影響が出ているのかということに関しても、すぐとは言いませんが、適宜検証していくということが重要になるかと思います。

 また、その利用の仕方は、AEO制度、あるいは、NACCSを使った貿易の実務面においていろいろ大幅な改善が必要とされる場面もあるかと思いますので、そういった実務面での検証というのも、すぐとは言いませんが、2~3年タームで行っていただくと、よりよろしいのではないかと思います。

森田分科会長 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。

 それでは、御意見ございましたけれども、答申そのものについて修正、その他の御発言はなかったと思いますので、御異議がないということで、令和2年度における関税率及び関税制度の改正等につきましては、本分科会として答申案どおり決定することとしたいと思います。よろしゅうございますか。

〔「異議なし」の声あり〕

森田分科会長 ありがとうございました。

 これをもちまして、関税・外国為替等審議会としての答申といたしたいと存じます。

 それでは、間もなく、藤川財務副大臣がお見えになりますので、しばらくこのままお待ちください。

〔藤川財務副大臣入室〕

森田分科会長 藤川財務副大臣がお見えになりましたので、これから答申書を手交させていただきたいと存じます。

 平成31年4月8日に諮問いただきました関税率及び関税制度の改正につきまして、本審議会の意見を取りまとめましたので、答申書をお渡しいたします。

〔答申書手交〕

森田分科会長 よろしくお願いいたします。

藤川財務副大臣 御苦労さまでございます。

森田分科会長 それでは、藤川財務副大臣から御挨拶を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

藤川財務副大臣 改めましておはようございます。財務副大臣の藤川でございます。

 森田関税分科会長はじめ、委員の皆様方におかれましては、本日は、御多忙のところ御出席を賜り、心からお礼を申し上げます。誠にありがとうございます。

 ただいま令和2年度における関税率及び関税制度の改正等について答申をいただきました。委員の皆様には、改正の検討項目について、これまで熱心に御審議をいただき、厚く心から御礼を申し上げます。

 本日の答申では、暫定税率等の適用期限の延長、個別品目の関税率の見直し、とん税及び特別とん税の特例措置の創設等についての御提言をいただきました。

 私どもといたしましては、いただきました答申を十分に尊重し、令和2年度の法令改正作業を進めてまいります。

 最後になりますが、委員の皆様の御尽力に重ねて感謝を申し上げますとともに、今後とも、関税政策や税関行政について御指導を賜りますことをお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。

 ありがとうございました。

森田分科会長 どうもありがとうございました。

 それでは、プレスの方は、ここで御退席いただけますでしょうか。

 御挨拶いただきましたが、藤川財務副大臣は、ここで退席になられます。本日はありがとうございました。

〔藤川財務副大臣退室〕

森田分科会長 財務大臣から諮問を頂戴いたしました関税率及び関税制度の改正等につきまして、本日、本審議会におきまして答申を取りまとめることができましたのは、ひとえに委員の皆様方の御尽力のおかげでございます。

 政府におかれましても、答申の内容を的確に令和2年度の関税改正に反映していただきますようにお願い申し上げたいと思います。

 これまで審議いただきました委員の皆様方の御支援、御協力に感謝いたしますとともに、重ねて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、関税分科会の会長といたしまして、私が常々考えていることでございますけれども、この制度は海外の状況がどうなっているかということが、非常に重要な要素になっているかと思います。

 そこで、海外における関税制度や税関行政につきまして、調査する機会を設けたいと思っております。これは、来年度の予算が認められればということでございますけれども、春先にも何名かの審議会委員の方に、海外の税関へ出張していただき、調査をしていただきたいと考えておりまして、この件につきましても、決定いたしましたら事務局を通じてお知らせしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、最後になりますけれども、関税局のほうから伝達事項がございますので、よろしくお願いいたします。

鈴木税関調査室長 税関調査室長の鈴木と申します。

 現在、関税局においては、税関行政の中長期ビジョンについて検討しております。

 税関行政を取り巻く環境については、中長期的に考えますと、今後も、貿易の拡大、訪日外国人旅行者の増大、AI等先端技術の進展等、世の中は大きく変化していくことが考えられます。

 そのような中にあっても、税関業務の一層の高度化・効率化を進めるとともに、利用者への一層の利便性向上を図り、適切に税関の使命を果たしていく必要があると考えております。

 また、関税局、そして税関の職員一人一人が業務改善を考え、将来像について考える文化を醸成していきたいと考えております。

 このためには、予想される環境の変化を見据え、AI等先端技術を活用してデータ解析や情報収集を行い、税関の審査・検査の高度化・効率化を図るなど、税関の執行上の課題に対応するために必要な施策を、税関行政の中長期ビジョンとして検討し、それらを着実に進めていくことが重要と考えております。

 検討に当たりましては、各方面の方々から幅広く意見を伺いたいと考えており、当分科会からも、お手数ではありますが森田分科会長をはじめ、若干名の委員にお集まりいただき、中長期ビジョンのたたき台について、御意見を頂戴したいと考えております。御意見を伺うメンバーにつきましては、森田分科会長に御相談させていただきたいと存じます。

 また、内容がある程度まとまりましたら、委員の皆様にも御意見をいただいた後、最終的には関税局作成の中長期ビジョンとして公表することとしたいと考えております。

 以上でございます。

中江関税局長 将来の大きな変化に対応するため、今、室長のほうから申し上げましたように、AI等の先端技術を税関の現場へ積極的に導入・活用しつつ、20年後、30年後も国民の期待に応えられるよう、世界最先端の税関を目指していくことが重要と考えております。どうぞ、御協力方よろしくお願いいたします。

森田分科会長 ありがとうございました。今日、モノの流れであるとか、ヒトの流れなど、世の中が急速に変わっていると思います。その中で、中長期ビジョンを検討されるということは非常に重要だと思いますし、ぜひ御検討いただきたいと思います。私も微力ですけれども、協力させていただきたいと思っております。

 それでは、以上をもちまして、本日の議事は終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

午前10時39分閉会