関税・外国為替等審議会
第53回外国為替等分科会議事録
令和5年3月9日(木)
財務省 国際局
於 財務省第3特別会議室
(本庁舎4階)
1.開会
2.最近の国際金融情勢について
3.閉会
出席者 | |||
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委員 |
伊藤恵子 |
財務省 |
三村国際局長 |
片山銘人 |
土谷国際局次長 |
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亀坂安紀子 |
矢作国際局審議官 |
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河野真理子 |
内野国際局審議官 |
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神作裕之 |
緒方副財務官 |
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斎藤保 |
藤井国際局総務課長 |
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清水順子 |
野村国際局調査課長 |
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神保寛子 |
木原国際機構課長 |
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杉山晶子 |
陣田地域協力課長 |
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高山一郎 |
松本為替市場課長 |
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田村善之 |
飯塚開発政策課長 |
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原田喜美枝 |
土生外国為替室長 |
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渡井理佳子 |
武士俣調査課企画官 |
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臨時委員 |
植田健一 |
山下国際投資企画官 |
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小林淳子 |
石崎国際機構課企画官 |
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佐藤清隆 |
髙橋投資企画審査室長 |
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澤田康幸 |
髙木資金移転対策室長 |
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専門委員 |
玉木林太郎 |
中西地域協力企画官 |
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林信光 |
久永開発企画官 |
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池田国際調整室長 |
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川本資金管理室長 |
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棚瀨資金管理専門官 |
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経済産業省 |
猪狩貿易管理部長 |
午後3時00分開会
○清水分科会長それでは、時間になりましたので、ただいまより第53回外国為替等分科会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。本日、オンラインでの参加を含め、20名の委員に御参加いただいております。
さて、本日も新型コロナウイルスの感染拡大の防止の観点を踏まえた対応を行うこととしており、御協力のほどよろしくお願いいたします。具体的な留意点などについて、事務局より説明をお願いいたします。
○野村調査課長調査課長の野村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議でございますけれども、前回と同じく会議室参加とオンライン参加のハイブリッド形式ということでございます。そういう形式ということでございますので、まず会議室での御参加をいただいております委員の皆様におかれましては、オンラインで御参加の方にも音声が明瞭に伝わりますよう、できるだけマイクに近づいて御発言をお願いできればと思っております。また、オンラインで御参加の委員の皆様におかれましては、事前にお伝えしておりますとおり、御発言時以外につきましては、ミュートにしていただきますようお願いいたします。また、途中で万一Webexがつながらないなどなど問題がございましたら、電話会議システムで引き続き御参加いただきますようお願いいたします。
以上、委員の皆様には御不便をおかけいたしますけれども、御協力のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。
○清水分科会長それでは、本日の議事に入りたいと存じます。本日の議題は、最近の国際金融情勢についてです。
まず、事務局より説明の後、意見交換の時間をお取りしたいと思います。
それでは、木原国際機構課長、よろしくお願いいたします。
○木原国際機構課長ありがとうございます。国際機構課長の木原でございます。
お手元の資料、資料2「最近の国際金融情勢について」という資料に基づいて御説明をさせていただきます。スライド右下の番号で言うと1番、4つ項目が並んでおりますけれども、1.の総論の部分をまず私のほうから御説明を申し上げます。
2ページ目、スライド番号の2番に移っていただきまして、このスライドはIMFのWorld Economic Outlookのアップデートの概要でございます。公表されたのが1月の末でございますので、既に1月以上たっているということと、あとは、4月の半ばにまたアップデート版が出されるという状況のものでございますけれども、1月末の時点の見通しとしては、2022年10月時点と比べると、僅かでありますけど2023年プラス2.9%の見通しになっていて、24年も10月時点と比べると若干の下方修正でありますけれども、プラス3.1の成長が見込まれていたということで、世界経済全体としては一部リセッションの懸念のようなものが昨年の後半特に言われておりましたけれども、そういう事態は避けられそうであった、というのがこの時点の見通しということかと思います。
各国の見通しについて、アメリカは内需の反発が引き続き続くということで、2023年は1.4%、上方改定が10月時点からある。ただし、利上げの影響がタイムラグも伴って出てくるので、24年については少し下がってくるような見通しであったということかと思います。
ヨーロッパのほうは、やはり冬場のエネルギー価格の懸念されていた高騰がなかったという中で、2023年の見通しが同じように引き上げられています。
中国は、12月に大きなコロナ政策の転換もあった中で、2023年は5%以上の成長が見込まれています。
日本は、そういう意味では欧米のような金融引締めというものがない中で、政策的サポートが引き続き続くという前提の下で、23年は1.8%の見通しということになっていますので、この時点の見通しでは、欧州やアメリカよりも少なくとも2023年については成長率が高いような見通しになっていたということでございます。
3つ目の丸がインフレの見通しでございますが、2022年が8.8、23年が6.6、24年が4.3%というのが1月の末の見通しです。この時点ですと、どちらかというと、各国主要中銀の金融政策の見通しと比べて、マーケットの見通しのほうがより楽観的。
具体的には、例えば引締めから緩和に転じるタイミング、あるいは引き締めのペースについて市場のほうがより緩和的な方向で見ている印象が強かったということかと思いますけれども、直近のデータは、CPI、雇用、いずれもより強いものが引き続き続いているということかと思いますので、足元、この3月、あるいは4月に向けてIMFの見通しが、4月はどうなるかまだ分かりませんけれども、少しマーケットのエクスペクテーションのほうが中央銀行のほうに合わさってきた。あるいは、それに伴って中央銀行のほうのスタンスがよりホーキッシュなほうに動いているような可能性があるというのが足元の状況かなと思います。
リスクのほうは、上方リスク、下方リスクいずれも書いてありますが、上方リスクのほうは、やはりペントアップデマンドみたいなものが予想より強いのではないかということ。下方リスクのほうは、中国経済がどうなるか。ウクライナの戦争、債務問題、あとはインフレが予想以上にテムパーシステントになる可能性、このようなものが挙げられていたということでございます。
おめくりいただきまして、次の右下3ページ目のスライドでございますけれども、政策対応としては、やはり一番初めに出てくるのは、グローバルなディスインフレの確保というふうに書いてありますけれども、インフレ率をきちんと下げていくような取組が引き続き必要であって、特に中央銀行のほうでコミュニケーションもきちんと取りながらやっていくと。
あわせて、財政政策のスタンスも、全体としては中央銀行の引締め的な方向と整合的なものである必要があるというのがメッセージでございます。それ以外には、コロナ対策、フィナンシャルスタビリティ・金融安定性の確保、あとは特に債務の持続可能性の回復、こういうものがハイライトされています。
脆弱層の支援については、特に食料、エネルギー価格の高騰みたいなものが引き続き高止まりしているという状況の中で、的を絞った一時的な支援というのが大事だというのが、従来から強調されているところでございます。
スライドの下のほうは、多国間レベル、マルチの場でどういうことができるかということで、パンデミックの抑制ですとか、あとは、後ほどG7、G20の文脈でも御紹介させていただきますけれども、債務問題の対応、国際貿易のフラグメンテーションみたいなものにきちんと対処する必要がある。あわせて、IMFのような、あるいは世銀のサポートでもあると思いますけど、国際的なセーフティネットの確保、あとはグリーントランジションみたいなものをきちんと進めていくということが大事だということが書かれてございます。
4ページ目は計数表ですので、御説明は割愛をさせていただきまして、5ページ目からでございます。
5ページは、2023年の1月から日本がG7の議長国となって、1年間財務トラックにおいてどういうプライオリティでやっていくのかということを我々のほうで準備をして、2月に公表しています。英語版ですと、もう少し詳細なものが公表されております。
大きく3つの柱でプライオリティをやっていくんだということを書かせていただいておりまして、1つ目の柱は、足元の課題への対応ということで、去年1年間非常に重要視されていた課題がウクライナ支援、あるいは対ロシアの金融制裁ということでございますけれども、こういうものは引き続き日本としてやっていくということ。
2つ目は、世界経済の動向ということで、これはG7のファイナンストラックのブレッド&バターみたいな取組でありますけれども、足元の世界経済をモニターしながらきちっとできることをやっていく、あるいは発するべきメッセージをG7として発していくというのを引き続きやっていく。
あとは、どうしても脆弱国への支援、特にロシアの戦争を受けて一番大きな影響が出ているのは脆弱国、あるいは脆弱層ということになってくると思いますので、そういう中で、債務問題、あるいはMDBs改革を通じた脆弱国への支援の強化に、きちんと日本としても取り組んでいくというのを1つ目の柱の中に入れております。
2つ目の世界経済の強靭化というのは、よりストラクチャルな問題として幾つか、従来から取り組んでいるものが多くございますけれども挙げております。1つ目は、やはり気候変動の問題にきちんと取り組んでいくということで、緩和政策、あるいは災害リスクファイナンスみたいなものの適応の部分も含めてやっていく。あとは、サステナビリティ開示ということで、人的資本のようなものも含めて、民間も含めた取組を促していくということがございます。
保健につきましては、パンデミックの予防・備え・対応(PPR)というふうに言っておりますけれども、そういうものを引き続き強化しながら、特に将来パンデミックが発生したときに迅速に資金手当てができるような、サージファイナンスというふうに言っておりますけど、そういうメカニズムが検討できないかどうか。あるいはG20の枠組みでは、日本が主導して財保連携枠組をつくってきましたけれども、そういうものをきちんと引き続き制度化・具体化をやっていくということが挙げられております。
その下の経済安保は、少し日本議長国下で新しく柱を立てながら議論していくような課題でございますけれども、やはり地政学的リスクというものが非常に強く認識される中で、貿易・投資、あるいは決済、そういうもののフローがどんどん変わっていくのではないかという中で、効率性といろんな意味での強靱性というものをどういうふうに両立させていったらいいのかという議論を少ししたいと考えております。
具体的にどの部分に着目するかという意味では、1つは、グリーントランジションを進める上で、サプライチェーンが現状どういうリスクを抱えているかということをきちんと見ていこうということ。あとは、途上国のほうで基幹インフラを、FDIなんかを受け入れながら整備していくわけですけれども、そういうものにどういう地政学的リスクがあるのか。先進国として、新興途上国に対して、基幹インフラを経済リスク、地政学的リスクに対応しながら、考慮しながらどういうふうに整備していったらいいか、どういうアプローチ、あるいは支援ができるのかということについて、少し議論を深めたいというふうに思っております。
金融デジタル化のほうは、仮想通貨の問題ですとか、あるいはCBDCですとか、いろんな形でデジタル化が進む中で金融システムの安定性・健全性、あるいはここも経済安全保障も含むいろんなリスクへの対応をきちんと進めていくということでございます。
国際課税は、2本の柱の合意というのが既にあって、その詳細を詰める、あるいはそれを実施に移していくというフェーズにありますけれども、そういうものをきちんと進めていきます。
3.は3つ目の柱になりますけれども、多様な価値を踏まえた経済政策ということで、これは少し抽象度の高い、あるいはそもそも経済政策はどうあるべきだという、大所高所の議論をG7の下でしてみようという試みでございます。デジタル化があったり、気候変動の問題が取り上げられたり、あるいは格差の問題という新しい課題が最近出てくる中で、GDPだけで測る経済成長ではなくて、少しより多様な価値を踏まえた経済政策というものをやっていく必要があるんじゃないか。
そういうことをやっていくことが、G7の中で重視している価値である民主主義ですとか、市場経済というものに対して国民の信頼を得ていく、信頼を維持していくという意味でも大事ではないかという中で、多様な価値を踏まえて実際の経済政策をどういうふうに進めていったらいいかということを少し大臣・総裁レベルも含めて率直な意見交換をしてもらったらどうかというのが、この3つ目の柱でございます。
おめくりいただきまして、次のスライドが、こういうプライオリティを念頭に置きながら、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議の1回目を2月23日にG20、インドのベンガルールのマージンになりますけれども、開催をしております。そのときに発出された声明のポイントがこちらでございます。
タイミングとしては、昨年の2月24日にロシアがウクライナに侵攻した中で、ちょうど1年目の節目を迎えるタイミングの1日前になりますけど、そういうタイミングでのG7でした。ウエートとしては、声明の中でもやはりロシアに対する非難、加えてウクライナに対する継続的なサポートを前面に出した声明となっています。
1つ目のポツで、まさに1年を迎える前日にウクライナに対する支援、あるいはロシの侵略戦争並びにそれに起因する人命の損失、財産の破壊を非難、ということで書いておりまして、特に財務トラックでは、2023年について財政経済支援の短期のほうのコミットメントをきちっとやっていくんだということが首脳のほうからタスクアウトされておりますので、そのコミットメントが390億米ドルに増加されたということでございます。この中には、日本の支援として55億ドルというものも含まれています。
その次の丸がIMFですが、IMFに対しては、今月末までにIMFプログラムをきちんと進めていって、IMFとしてもきちんとウクライナの経済回復をサポートしながら、対外的な安定性を確保していくような取組を促すということ。
その次の丸で、世銀グループもきちんと取り組んでいくということが書かれておりまして、その下の丸、ウクライナの重要インフラの修復・復旧及び復興ということで、こちらのほうは、今、足元でIMFがやっているような短期の支援というよりは少し先の復旧・復興を見据えた取組ということになりますが、ドナー調整プラットフォームというものが立ち上がっておりますので、そういうものを活用しながらきちんと進めていくということでございます。
そこから2つのポツが制裁の関係になりますけれども、1つは協調した経済的措置についてきちんと引き続きやっていくんだということで、その次の丸に書いてありますけど、ロシア原産の石油製品に対して上限価格を課したということで、プライス・キャップは12月にまず原油のほうをやり、引き続いて2月に石油関連製品についても上限価格を課しながら、きちんとロシアの侵略戦争の負の経済的波及効果を抑えながら、ただし、ロシアが侵略戦争から利益を得ることは防止する取組を引き続きやっていく。そういうものが成果を上げつつあるというふうなメッセージを出しております。
最後、下から2つ目の丸が、そういう中での世界経済の認識として、やはりロシアの戦争が世界経済の課題を悪化させている。そういう中で柔軟に機動的に対応していくことが必要であるということ。
あとは、特に低・中所得国への支援をG7としても重視していく。そういうものをG20のアジェンダに貢献しながらやっていくんだというメッセージをG7の声明の中で出しております。
おめくりいただきまして、次のスライド番号7のほうが、G7の翌日から2日間にわたって開催されたインドの議長国になってから初めての、第1回目のG20財務大臣・中央銀行総裁会議の成果文書のポイントでございます。
タイトルにありますように、いわゆるコミュニケ、共同声明ではなくて議長総括・成果文書という名前になっております。その理由、議長総括になった背景として、初めの2つのチェックで書かれておりますけれども、ウクライナの戦争に関するパラは2つございましたが、内容としては、昨年の秋のG20のバリの首脳宣言と同じ文言を使っておりますけれども、それについてロシアと中国が合意をしなかった。逆に申し上げると、ロシアと中国を除く全てのメンバーが合意したということでございます。そういうことによって議長総括になっております。
他方で、その下に書かれているそれ以外のパラについては、全てのG20が合意した文書ということでございまして、個々の論点については引き続きG20として対話を継続していて、一定の成果が出ているということかと思います。
世界経済の見通しについては、上と重なる部分も多いですけれども、見通し自体は緩やかに改善しているけれども、インフレを含めて下方リスクが引き続き根強いという認識が共有されております。
次のMDBsの部分は、貧困削減等への焦点を維持しつつ、国境を越えた課題に関連する支援の需要増加を踏まえた進化が必要ということで、国境を越えた課題、いわゆるグローバルパブリックグッズと言われるような気候変動ですとかパンデミックというものについては、個々の国だけの対応を考えていると、どうしても支援がグローバルな広がりを持って考えるときよりもウエートとしては低くなってしまう可能性があるんじゃないか。そういうような問題意識も踏まえながら、MDBsがグローバルパブリックグッズについてもきちんと取り組む必要があるというメッセージを出しています。
それと関連しつつ、将来的なMDBsのあるべき姿というものを検討するために、インドが議長国として主導して専門家グループを立ち上げるということになっていまして、これが今年の夏秋に向けて報告書を出してきて、将来のMDBsの検討も進めていくような形になります。
IMFのほうは、SDRチャネリングというものがきちんと進展しているということが書かれております。
債務は、今回、1つG20の議論の中で進展があった部分だと思っておりまして、債務のセクションの一番下の米印に書かせていただいておりますけれども、昨年10月のG20の議長声明においては、1メンバーが異なる見解、特にMDBs等が債務救済に参加することの重要性を強調ということで、全メンバーの合意ではなかったわけですけれども、今回2月の会議では、この債務のパラも含めて全メンバーが合意をできたということでございます。
そういう中でポイントとして書かれているのは、やはりインド議長国の下で、低所得国・中所得国の債務問題を緊急性を持って取り組んでいくという認識を共有した上で、G20として進めてきた共通枠組をきちんとザンビア、エチオピア、ガーナという個別国の取組の中でも迅速に進めていく。あとは、中進国になりますので共通枠組の対象ではないですけれども、スリランカの債務状況、こういうものをきちんとやっていく必要がある。
さらに、債務の透明性向上ということで、国際金融機関に対して各国が債権データを共有するような取組をきちんと進めていくというメッセージも確認されているところでございます。
それから、インフラ投資ですと、将来の都市への投資をインドが非常に重視していくという中で、原則を策定していくことに合意ができたりですとか、国際保健も、先ほど申し上げたようなサージファイナンス・メカニズムも含めてきちんと、あるいは財務・保健合同タスクフォースの連携を強化していくということが確認されたりですとか、国際課税については2本の柱、迅速な実施に引き続きコミットをしていくということ。
金融セクターについては、暗号資産について特に潜在的なリスクを軽減するためにいろいろな取組を進めていく。あとは、特にインドとしては、フィナンシャルスタビリティだけではなくて、マクロ経済の観点からもどういう影響があるのかということをきちんと考えていかなきゃいけないというメッセージが出されているところでございます。
私のほうからは以上になります。
○陣田地域協力課長続きまして、アジア地域金融協力につきまして、地域協力課長の陣田より説明申し上げます。
資料の10ページを御覧ください。まず、ASEAN+3の財務大臣・中央銀行総裁会議です。メンバーは、ASEANの10か国と日中韓でございまして、共同議長制で財務トラックは動いております。ASEANと日中韓からそれぞれ1か国が出る。今年はインドネシアとともに日本が共同議長ということで、是非成果を目指して取組を進めたいと思っております。
経緯を簡単に申し上げますと、1997年のアジア通貨危機を契機としまして、アジアの自助・金融セーフティネットを構築していこうという動きがあり、これを踏まえまして、1999年から財務大臣会議、それから2012年から中銀総裁も含めて会議が開催されています。
これまで20年強にわたり取り組んでいますが、大きく3つの柱がございます。1つ目がCMIM、これは危機時に流動性を供給するメカニズムです。次に、CMIMを支えるサーベイランスの機関としましてAMRO(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office)というものがシンガポールにございます。それから第3の柱がABMIで、これは現地通貨建ての債券市場を育成していこうという取組です。
この金融協力をさらに発展させようということで、新しい議題を日本から提案しております。1つ目が、自然災害リスクに対する財務強靱性の向上。アジア地域は非常に自然災害に対して脆弱かつ頻繁に起きるため、このようなリスクへの対応について保険等のファイナンス手法を活用しながら各国が協力をしていこうというものです。
2つ目の新しい課題としましては、金融デジタル化が域内にもたらす影響、特にそれによって金融協力をどうしていくかということについて提言を作成中です。
1枚めくりまして、11ページです。これまでの主な流れです。ASEAN+3は日本がもともと設立時に議論を主導してきたわけでございますが、ここ10年ぐらい、例えば2011年は日本とインドネシアが共同議長でしたけれども、この際にAMROを設立したほか、CMIMの実務ガイドラインを策定しました。2014年には日本、ミャンマーの共同議長下でCMIMの規模を倍増しました。
では、今年、2023年の共同議長としての優先課題について、12ページを御覧ください。先ほど申し上げました従来からの3本柱のうち、CMIMにつきましてはこれまでのところ発動実績がない。実績がない理由は幾つかありますけれども、1つは、マクロ経済政策が健全であって比較的問題なかったという見方もできますが、一方で、CMIMについては使い勝手が悪く、改善の余地があるんじゃないかということで、現在日本が提案しておりますのが、例えばパンデミックや自然災害といった緊急時に対応するための新たなファシリティを検討してはどうか。あるいは資金構造を見直すことによって、より強靭なregional financing arrangementをつくってはどうかということを提案しております。これは非常に大きな話でございますので、中長期的な検討を今から始めようではないかということを提言しているところです。
それから、AMROについては、設立してから10年がたちまして、今後2030年に向けて足元のいろいろな環境の変化を踏まえて戦略をつくろうということで、昨年末に新戦略をつくっております。これを踏まえまして、サーベイランスやリサーチ機能を強化して、よりASEAN+3の金融協力に対して貢献をしていこうと。
また、ABMIについては、新中期ロードマップというものを作成中です。これまでのABMIの取組によってどれだけアジア債券市場が育成されたかということを調査しておりまして、これまでのところ、非常に成果が出ていると。今後、この取組を単に続けるだけでなく、さらに付加価値をつけた取組をしていこうということで、例えばESG債の発行支援等を通じてサステナブル・ファイナンスを促進していこう。あるいはデータの標準化やブロック・チェーン技術を使った債券決済の円滑化を図っていこうということで、こういう取組を通じたGX・DXの推進、グリーン・デジタルに関連した施策を重点的にやっていこうということを現在検討しています。
それから、先ほど申し上げました新しい議題ですけれども、災害リスクファイナンスはこれまでワーキンググループでやってきたものですけれども、これを格上げしてASEAN+3全体で取り組んでいこうということで、包括的なアクションプランを現在作成中です。このアクションプランでは、例えば新しい保険商品をつくるとか、あるいは保険商品に限らず、いわゆる大災害債券のCATボンド、あるいはCATボンドをさらに発展させたレジリエンスボンドという新たなリスク・トランスファー、金融リスクの移転策などを通じて、地域の災害リスクファイナンスを進めていく。また、これらの知見共有を進めていく。さらに、保険、あるいは災害リスク対応に当たってはデータが重要になりますので、データの活用やリスクモデルの開発などを進めていくことを考えております。
最後に、金融デジタル化がRFAに及ぼす影響について、金融デジタル化が進むことによって機会がもたらされる一方、チャレンジもあり、特にチャレンジに対してしっかり対応する必要があり、例えば、サーベイランス、あるいはリスクの分析についてより精緻化していこう、あるいはこの知見を生かして、特に遅れている国、例えばラオスやカンボジアといった国に対して技術協力を進めていこうといった提言をまとめたレポートを現在作成中です。こうした取組を次の大臣会合の成果とすることを目指して進めているところです。
13ページ以降は参考資料になります。以上でございます。
○野村調査課長それでは続きまして、ロシア・ウクライナ情勢につきまして、調査課長、野村のほうから御説明させていただければと思います。
お手元の資料の3.ロシア・ウクライナ情勢でございます。こちらをおめくりいただきまして、20ページのスライドでございます。
ウクライナ情勢をめぐりましては、我が国がこれまで取ってまいりました各種の制裁措置、特に金融分野での制裁措置を中心にまとめたものでございます。我が国といたしましても、ロシアの今回の違法な戦争行為に対しまして、G7をはじめとする国際社会と連携して、これまで各種の厳しい制裁を課してきているところでございます。中身につきましては、特に本日は前回の外為分科会以降新しく追加的にやった措置を中心に御説明させていただければと思います。
まず、金融分野の措置の中での1つ目でございますけれども、今回新たに、ちょうどロシアのウクライナ侵攻から1年たって、そして各種の追加的な措置をやる中の1つとしまして、ロシアのロスバンク(Rosbank)という銀行に対する追加での資産凍結措置を行ったところでございます。
それから、新しい話として追加的にやったものとしましては、最後の7.でございますけれども、こちらは、前回の分科会におきまして私のほうから、ロシア産の原油、そして石油製品に対する取引上限価格を設定するプライス・キャップというものを導入するということで中身を説明させていただいたところでございますけれども、実際にプライス・キャップの措置につきまして、当初の予定どおりに昨年12月にロシア産の原油に対するプライス・キャップ、これは具体的には60ドルでございますけれども、それを導入・実施したところでございますし、また石油製品につきましても、今年の2月6日にプライス・キャップ(上限価格)を設定するという形で、予定どおり制裁措置を発動したところでございます。
では、このプライス・キャップの措置というものがどの程度の効果を出しているのかというのを説明するのが次のスライドでございます。1枚おめくりいただきまして、そもそもプライス・キャップというものはどういうものなのかということについてでございますけれども、こちらはロシア産の原油、そして石油製品につきまして、上限価格を超える取引での海上の輸送等に対する西側諸国のサービスの提供を禁止するというものでございます。
例えば現在、原油でございますと60ドルという価格を設定しているところでございますけれども、60ドルを超える原油の海上輸送を行う船に対しまして、西側の例えば保険会社が保険を提供しないとか、そういう形で事実上一定価格以上でロシアが原油を売れないようにするという措置でございます。同様な措置を12月の原油に続きまして石油製品につきましても今年の2月に導入をしたところでございます。
その効果につきまして一番端的に分かりやすいのが、右側の青いチャートを御覧いただければと思っております。こちらの青いチャートは何を示しているかといいますと、ロシア産原油の一般的な価格指標はウラルと呼んでいますけど、ウラルと国際価格ブレントとの比較でございますけれども、こちらの青いチャートは、国際価格に対してどれぐらいウラルが割安で売られているかというものを示すチャートでございます。
ロシアの侵攻以降様々な制裁があるという中で、ロシアのウラルが国際価格ブレントに対して割安での取引ということになっておったところでございますけれども、12月5日のプライス・キャップの原油に対する措置が発動されたところが右側の赤い点線で示されております。このタイミングで示されておりますけれども、まさにこれを導入するという前後あたりから割引率がずるずると上がってきているということで、さらにロシアの原油が国際価格に対して割安で取り引きされつつあるということが見て取れるところでございます。
そうしたことを裏付けるということになりますけれども、左側の真ん中の辺りに「効果1」と「効果2」とございます。2のほうを御覧いただければと思いますけれども、実際にロシア財務省の発表によりますと、本年1月の石油や天然ガスによる歳入というものが前年比46%下落しているということを彼ら自身が認めているという状況でございます。
また、年末時点でございますけれども、ロシアの財務大臣自身が、ロシアの財政状況につきまして財政需要が拡大する可能性があると。来年のリスク――今年につきましては、その価格のリスクとG7等による価格制限であるということで、彼ら自身の発言からもプライス・キャップの効果というものが見て取れるのかなというふうに思っているところでございます。
では、プライス・キャップを超えてロシア経済全体に対してどのような影響が出ているというのが次のスライドでございます。こちらは幾つかのデータを紹介させていただいているところでございますけれども、特に注目いただければと思っておりますのが、上の一番左端の財政収支のところでございます。ロシアは基本的には産油国ということで、非常に健全な財政状況をこれまで続けてきたところでございますけれども、2022年の数字につきましては、2020年はコロナの影響でややイレギュラーな数字が出ておりますけれども、2022年、コロナからの回復基調にあるにもかかわらずロシアの財政収支は大幅に悪化している。GDP比でマイナス2.3%ということで、大幅な悪化を記録しているというところでございます。
この背景でございますけれども、基本的には戦争をやっているという中で財政の支出ですね、戦費等のための支出の拡大と同時に、やはり先ほど申し上げましたけれども、重要な収入源でございます石油、天然ガス収入が大幅に落ち込んでいるという中で、ロシアの財政が非常に苦しくなってきているということが言えるかと思っております。
また、実体経済につきましても、右側のチャートでございますけれども、鉱工業生産、あるいは小売売上高というもので示させていただいているところでございます。こちらは、侵攻が始まって制裁をするという中でがっくり落ち込んでいるというところでございます。その後、それに対して何とか対応しよう、適応しようとして、ロシアのほうでもいろいろと努力はしているところだと思いますけれども、ここのチャートを見ていきますと、なかなかその努力の成果というものが見えない。つまり、制裁の効果というのは剥落していないのではないかというふうに見ているところでございます。
また、同じようなことが右側の下の段で、ロシア国内の物価の推移ということも御覧いただければ分かると思いますけれども、制裁が発動されている中でロシア物価がぴょんと飛び上がった。その後横ばい状態でございましたけれども、また足元上がってきているという中で、こちらの効果についても比較的継続しているのかなというふうに見ているところでございます。
それから、下のほうの真ん中です。自動車の生産台数の推移でございますけど、2022年の数字はがっくり落ち込んでいるというところでございます。ちなみに、落ち込んだ数字というのは、旧ソ連崩壊後最少の数字というところまで落ち込んでいるという状況でございます。そうした姿からも、ロシアの経済情勢というものは厳しい状況が続いているのかなというふうに見ているところでございます。
続きまして、ウクライナ支援につきまして。
○飯塚開発政策課長ウクライナ支援以降は、政策課長の飯塚が若干御説明いたします。
まず、日本のウクライナ向け財政支援でございますけれども、先ほど木原課長からの説明がございましたように、G7の下では、ロシア、ウクライナについて主要な議題となっております。その囲みの中ですけれども、2022年12月12日、まだドイツの議長下ですけれども、G7首脳声明において、短期的な財政支援については財務トラックに特別な責任を持たせるという確認がございました。
その後ですけれども、初めての日本議長下でのG7財務大臣会合において、2023年にG7各国機関が390億ドルの財政・経済支援にコミットするということでありまして、そのうち日本は、2023年の支援としまして55億ドルを実施予定でございます。その下、55億ドルの内訳ですけれども、世界銀行を通じた財政支援グラント、こちらは補正予算で既に確保しておりまして、5億ドルと。あと、世界銀行への信用補完を通じた財政支援融資ということで、後ほど御説明しますけれども、50億ドル。こちらは国会の承認が必要となっております。
1ページをめくりいただきまして、開発支援をめぐる状況ということであります。
もう1ページ目おめくりいただきまして、まずは国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の概要ということでありまして、国際通貨基金(IMF)と国際復興開発銀行の世界銀行に関するものですけれども、私どものほうでは世銀加盟措置法ということで呼ばせていただいております。
今回の改正は、ウクライナの復旧・復興を目的とした基金などの世界銀行の加盟国の復興または開発を支援するために、世界銀行に設置される基金に対して、我が国からの国債による拠出を可能する等の措置を講ずるものでございます。
ウクライナの復旧・復興支援、あと公衆衛生危機といったことが国際的な喫緊の課題となっておりまして、世界銀行においてウクライナの復旧・復興支援を目的とした基金の設立が進められております。特にロシアによるウクライナ侵略が開始されて以降、世界銀行はドナー各国からのサポートも得ながら様々な形でウクライナ支援を実施してきておりますけれども、ウクライナの復旧・復興に向けた財政ニーズがかなり増える中で、世界銀行の与信集中リスク管理の観点から、自己勘定でウクライナへの与信をこれ以上増やすことは困難な状況となっております。
こうした状況に対応するために、ウクライナの復旧・復興のための新たな基金を設けて、基金がウクライナの信用力を補完するといったことを通じて世銀が信用枠の拡大を可能とするというものでございます。
日本が基金に国債を拠出しまして、万が一ウクライナ政府から世界銀行への返済が滞った場合には、拠出した国債の現金償還が行われるということになるんです
けれども、世銀の融資は基本的には優先弁済権を持っていて、ほかの債権者に優先して支払いを受ける権利を持っておりますので、こうしたリスクというのは基本的には想定されずに実際の財政支出は伴うことはなくて、ウクライナへの膨大な資金需要に応えることが可能となる仕組みでございます。
もう1ページをおめくりください。2点目は、株式会社国際協力銀行(JBIC)の法律に関するものになります。
もう1ページおめくりください。法律の趣旨ですけれども、ロシアによるウクライナの侵攻ですとか、新興国の台頭といった国際情勢の変化を踏まえまして、JBICの機能強化をしまして、日本の産業の国際競争力の維持・向上のためのサプライチェーン強靱化とスタートアップ推進、あとウクライナの復興支援の3点を行うものでございます。
1点目は、日本の産業の国際競争力向上に関するサプライチェーン支援ということであります。そのうち3つ施策がございまして、その1点目が、日本の産業競争力の維持・向上に資するサプライチェーン等を支える外国企業の支援になります。
JBICですけれども、基本的には法律上一般の金融機関を補完するということが書かれておりまして、青い点線の中にありますように、基本的には民間銀行との協調融資ということを行っております。また、案件の組成の早い段階で民間金融機関と議論・相談するということを通じて、そういった民業補完を徹底していく。法律の改正の段階でも、私どもも民間金融機関の意見交換をしまして、そういった意見を踏まえて対応しております。
この図のうち白抜きが現行でもできるところ、赤い矢印で示されている部分が今回の法案で対応できるという部分でございます。サプライチェーンの構築、あとロシアの侵略等を受けた再編成が起こる中で複層化している日本企業のサプライチェーンの中には外国企業も入ってくるということが想定されますので、そうした企業にJBICが融資できるようにして日本企業のサプライチェーンを強化するというのが、この施策の狙いでございます。対象は省令で定めていくことになりますけれども、半導体ですとか、蓄電池の製造といったものを想定しております。
もう1ページおめくりください。次が輸入金融でございます。JBICが輸入の支援を行う際に、一番下の白い矢印になりますけれども、現行では日本の国境を直接またぐ取引しか支援できないんですけれども、その上の2つにありますように、例えば南米から鉱物を北米にある日系企業に加工のために送るといった取引も支援できるようにするものでございます。
もう1ページおめくりください。3点目は、国内の大企業――この大企業というのは中堅・中小企業以外の企業という意味でありますけれども、大企業を経由した海外事業向け融資でございます。JBICの融資は、原則海外にある日系企業に直接行うことになっています。現在、海外事業への融資は、中堅・中小企業は国内企業を通じて行うことができるんですけれども、国内大企業は、例外的に例えば資源の確保とかといったものについてのみ行うことができるようになっているところ、サプライチェーン強靱化に係る海外事業への融資も国内経由でできるようにするものでございます。
もう1ページおめくりください。次は、デジタル・グリーンなどの成長分野を見据えたスタートアップ企業の支援でございます。現在、国内企業が海外事業資金を必要とする場合には、JBICが出資で資金支援することは認められておりません。資金を受けるためには海外に拠点を立ち上げてもらう必要があります。
設立から10年未満のスタートアップ企業から、こうした負担が大きいということで、海外事業向けの資金を国内で調達するというニーズがございます。今般の法改正では、中堅・中小企業も含めてJBICによる出資及び社債の取得を可能としております。JBICは、ほかの例えば官民ファンドなどと共同してJBICの強みを生かして、例えば外国当局との連携とか、あと、財務面でのアドバイスを主として行うということを我々は期待しております。
もう1ページおめくりください。関連しまして、JBICには、一般業務勘定というものの別に、特別業務勘定という勘定全体としての収支相償原則、支出に見合った収益を得てもらうということは求めるけれども、勘定内の個別の案件の償還確実性までは求めないといったことによって、インフラ投資を現行後押しする勘定を前回の法改正のときにつくりました。
その対象分野としまして、現行のインフラと同じように、投資をする当初はかなり不確実性があるけれども、政策的に後押しをする分野としまして、資源開発ですとか、新技術の事業化、スタートアップへの出資等を加えることとしております。
もう1ページおめくりください。最後になりますけれども、国際協調によるウクライナ復興支援への参画ということであります。ウクライナに対しては、国際金融機関による融資が支援の主なツールとなっております。国際機関の中でも、EBRDとかIFCといった主として民間セクターへの融資にJBICが保証できるようにして、日本がウクライナ支援に貢献できるようにするものでございます。
こうしたものについてリスク管理がしっかりできるのかということは指摘されておりますけれども、JBICはもちろん金融機関として、信用リスクだとか、流動性リスクだとか、そういうリスク管理をしっかりしていますし、こういった案件自体、EBRDとかIFCに聞きますと、基本的には数10億円ぐらいの規模の案件であると。あと、私どもとしましても、四半期のレポートを求めるとか、きちんと意見交換とルールを通じて監督をしていくということとしております。
以上になります。
○野村調査課長それでは、続きまして、最後のトピックでございますけども、サプライチェーン保全等のための外為法上のコア業種の追加につきまして御説明させていただきます。
外為法上の対内直接投資についての事前の届出を求める業種の指定の話でございます。既にこれまでも何度か外為分科会の中でも御説明させていただいておりますが、外国投資家等による我が国企業の株式の取得等につきまして、原則は自由でございますけれども、国の安全等の観点から必要最小限の規制をするという観点におきまして、幾つかの業種につきましては事前の届出を求めて審査を行うという仕組みを導入しているところでございます。
この事前届出の審査の仕組みでございますけれども、その対象となる業種につきまして今回見直しを行いまして、幾つか追加したいと考えているところでございます。まず背景といたしまして、昨年成立いたしました経済安全保障推進法がございます。こちらの法律に基づきまして、我が国の安全等を確保するために安定供給を確保することが必要な特定重要物資というものが指定をされているところでございます。
具体的には、1枚スライドをおめくりいただきますと、こちらのスライドの右側の上に赤いところで囲ませていただいております11の物資が、経済安全保障推進法の特定重要物資として指定をされているところでございます。
これらの物資というのは具体的にどういう形で絞り込まれたのかということでございますけれども、これにつきましては、もう1枚おめくりいただきまして、11の物資を絞り込む際の考え方をこちらに示させていただいているところでございます。こちらに書かせていただいているとおりでございますけれども、こうした物資につきましては、非常に厳しい要件を課して限定的に選んできているというものでございます。
考え方といたしましては、やはり国民の生存にとって必要不可欠である。あるいは、広く国民生活または経済活動が依拠しているという観点で、我が国として安定供給を確保することが必要であるということ。加えて、その供給について我が国が既に外部に大きく依存している、あるいは今後依存するおそれがある。さらに、外部からの行われる行為によって、その安定供給が途絶する可能性もあるものであるということ。そうした要件に合致するものについて、特定重要物資という形で絞り込みが行われているところでございます。
今回の外為法上の指定業種の見直しを行うに当たりまして、経済安全保障推進法に基づきます11種の特定重要物資をどのような形で反映するかということを中心に今回見直しを行ったところでございます。
2枚前のスライドにお戻りいただければと思いますが、今回の11の特定重要物資につきまして、実は既に11のうち3つの物資、具体的に申し上げますと、航空機の部品ですとか、クラウドプログラム、あるいは抗菌性物資製剤といったものにつきましては、既に実はコア業種の中で製造業等が指定をされております。そうでない業種につきまして、今回外為法上も国の安全等の観点から必要な規制を行うべきかあらためて検討を行い、関係省庁等とも議論を重ねてきたところでございますけれども、結論といたしましては、こちらに書かせていただいております9つの業種のうち、金属3Dプリンター以外の8つにつきまして、先ほどの11のうち既に指定されている3つを除いた8つがここに当てはまるところでございますけれども、これらの8つの物資の製造業等につきましては、やはり外為法上も国の安全等の観点から必要最小限の規制として事前届出を求めるべきであろうという結論に至ったところでございます。そこで、こちらの8つの物資につきまして、外為法上のコア業種の指定に追加したいと思っているところでございます。
また、あわせまして、金属3Dプリンターの製造業等につきましては、こちらも既にいろいろな形でニュース等に出ているところでございますけれども、最近こうした金属3Dプリンターを活用することで武器の製造というものまで可能になってきているという状況がございます。そうしたものについて、我が国の技術等が外国の支配下に置かれるということについては、やはり国の安全等を脅かす危険性があるであろうということで、今回の見直しに併せまして、こちらにつきましてもコア業種に指定をしたいというふうに考えているところでございます。
こうした結果、結論としては、経済安全保障推進法の11の特定重要物資のうち、既に指定されている外為法上のコア業種に指定されております3物資以外の8つの物資につきましても、その製造業等は外為法上のコア業種に指定追加をしていきたいと考えております。そして、そのための手続といたしまして、本日からパブリックコメントを開始したところでございます。そういうこともありまして、本日、ここの場で紹介させていただきました。
私からは以上でございます。
○清水分科会長ありがとうございました。
それでは、意見交換に移りたいと思います。委員の皆様におかれましては、御発言の際は、御臨席の委員の方は従前どおり名札を立てていただき、オンラインで御参加の委員の方は、事前に事務局より御案内しましたとおり、御発言の意思をシステム上の挙手にて事務局までお知らせいただければと思います。
それでは、植田先生、お願いいたします。
○植田委員いつも丁寧な発表、御説明、ありがとうございます。
気になったことが幾つかありまして、1つが、アジアのところに2つ小さなコメント、もう1つがJBICのところに2つ小さなコメント、最後に、今日からパブコメになると言われた最後のところに1つだけ疑問点です。
まず、アジアのところなんですが、1つ目、順番的に言いますと、私が思ったのは、CMIMとかAMROの件というのは、まさに書いていただいたとおり、基本的にはいざという場合の流動性の供給ということです。非常に短期な資金をいざという場合に助けてあげるという形で始まって、今でもそうだと思いますし、そのように説明されたと思いますが、そことESGとかグリーンというのは、若干ちょっと話が違うのかなと。ESGとかグリーンというと、もうちょっと中長期的にいろんな各国が対応していく問題のような気がしまして、そうだとすると、感覚的には、AMRO、CMIMというよりは、ADBとかそういうところの話ではないかと思いまして、そこが1つ質問です。
もう1つは、デジタルのほうですね。さらっと書いてありますけれども、アジア各国でも、デジタル通貨の仕組みができつつある中で、どうやってリスクを考えていくかというようなことがさらっと書いてありますけれども、やはり1年前に我々が危惧していたのは、4月だから1年前ぐらい前ですね。いわゆるロシアに対するSWIFTからの排除、利用停止とか外準の凍結とかいうところで、もしかしたらオルタナティブなものがわっと広がってきてしまって、ドルの基軸通貨体制そのものに変調を来すのではないかなんていうことをたしか話していた記憶があるんです。
それはまさに、私も最近の学会なんかで見てみますと、それこそBISがバックについたMブリッジ・プロジェクト、これは中国、香港、タイ、UAEのデジタル通貨のプロジェクトが始まっています。まさにSWIFT外し、ドル外しみたいなプロジェクトだと思います。もう1つは、それ以外にもプロジェクト・ダンバーでしたか、サウジ、シンガポール、オーストラリア、南アフリカでも始まっていまして、そういうようなまさにSWIFT外し。あとは、インドとロシアの間のインド/ルピー建ての貿易が始まるかのように聞いております。
そういう形で、戦後ずっと行われてきたドルの基軸通貨体制の中で、日本もその主要な一員となって今まで恩恵を受けていたわけなんですが、それがどうもやっぱり変調を来していく中で、日本としてはまさにそういう新しいところに入っていない。
入っていないのは当然で、逆に言うと、まさに今までどおりのドルとか、IMFとか、そういうのを中心としたところを守るほうのG7側に立っているというのが事実なんですけども、その中でどう考えていくべきかというのをそろそろしっかりと考えていく必要があるのかなと。もちろん今すぐに答えが出る問題ではないんですけれども、そういうような問題を今、直接的にIMFとか、AMROとかは関係はないんですけれども、感じた次第です。もし何かお考え等がございましたらお聞かせいただければと思います。
JBICのほうなんですが、JBICはたくさんいろんなことをやられているようでございまして、1つ、JBICのうほうで、特に日本とか日系企業に関するサプライチェーンを、特に外国におけるサプライチェーンも強固なものにしていくというところの手伝いをするという意味で、確かにそういうところに対する売掛金とか輸出輸入をするときに何らかの保険を日本の企業につけると。そういうところで拡大するという話が1つありまして、そこは全くそのとおりだとある意味では思います。
それがたしか2枚目の話だと認識しているんですが、2枚目というのは29ページで、ただしそうではなくて、1枚目の話は28ページは、日本企業に対する保証ではなくて、外国企業に直接事業開発等の金融を支援するということですね。私、実は別のほうで国内の中小企業向けの補助金なんかもばらまきじゃないかと思っていろいろ批判しているんですが、それはともかくとして、外国企業に直接に出すというのも何かおかしな話だなと思っています。
例えば外国企業が何か開発を、何でもいいんですが、新しい半導体を開発したり、電池を開発したときに、例えば2~3年後に今度ロシアとか中国に輸出をし始めないか。それを止める権利は多分JBICにないと思うんですけれども、そういうような問題もあります。日本企業に出している分にはまだ話は分かるんですけど、外国企業を直に対象にしていいものかどうかというのは非常に疑問が残ります。
それから、ウクライナは、多分資料への書き忘れかどうか私も分かりませんけども、33ページの国際金融機関がウクライナの民間セクターに復興支援のために貸付けするときにJBICが保証すると書かれています。これは当然ウクライナ支援の1つとして決して悪いことではないと思っているんですが、JBICだけが保証するという理解でよろしいんでしょうか。それとも、他国のアメリカとか、イギリスとか、G7各国の似たようなところと共同でやっぱり保証するという話なのか、JBICだけが保証するという話なのか。JBICだけというと、悪いことはないんですけど、日本だけやるのも変だなという気がいたしております。
最後は単なる質問なんですけど、今日からパブリックコメントになったというところの指定業種ですよね。FDIに関する指定業種のところで、いろいろとお話を伺って、いろんな理由で選んだということなんですが、どうしても肥料というものを選んだ理由が軍事、安全保障とどう結びつくかいまいち分かりませんので、もし理由がありましたら教えていただければと思います。以上です。
○清水分科会長ありがとうございます。
それでは、時間の関係もございますので、まとめて質問を受けたいと思います。
原田委員、お願いいたします。
○原田委員ありがとうございます。ウクライナ向け財政支援に関して意見とJBICの業務の拡大について、それから、最後に御説明いただいた経済安保推進法で加えられた業種に関する件で、それぞれの意見といいますか、質問もございます。
まず、ページで言いますと、飯塚さんに御説明いただいた23ページになります。26ページでも構わないんですけれども、財政支援55億ドルを実施する予定であると。5億ドルは既に補正予算で確保できていて、50億ドル分を日本政府からは、26ページの下のほうに書いてありますように拠出国債で提供するということになっていると。
拠出国債はかなり特殊なものでして、使われると、払い込まれると残高が減るという普通国債とは全然異なるものでありまして、非常に例外的な扱いなのかなというふうに思うんですけれども、ドル建てで拠出国債の形で発行する。期中は円建てで時価評価されるのかなと思うんですけれども、しっかり使われ方を見ていてほしいなと思うところであります。ちょっと要望のようなものになります。
非常に特殊な拠出国債という形。今までも世銀に対してこういう形での拠出というのはあったのだろうと思うんですけれども、それがウクライナ向けということで、今までの形なのかどうかというところも含めて教えていただきたいなというふうにも思いました。
それから、JBICの業務が大分増えてきているということについて、先ほど植田先生は、28ページの直接外国企業を支援することについてはいかがなものかという疑問を呈されましたが、私も、そこのところについては少々業務がいきなり拡大しているという点も含めて気になりました。
そして、31ページのところで、先ほど御説明いただいたときには、官民ファンドと協調してやるのもどうかみたいなお話で御説明いただいたんですけれども、官民ファンドと協調というのはあまり望ましくないのではないかと思います。スタートアップ支援は悪くはないと思うんですけれども、ここに来て官民ファンドの業務は大分曲がり角にというか、累積の損失を拡大している官民ファンドが多いですので、責任の所在を明確にするという点からも、官民ファンドとの協調というのは極力控えめにして、JBICとして、官民ファンドがやってうまくいっていない分野に入っていくことのリスクをしっかりと認識していただいて、独自にやっていただく方向性のほうがよいのではないかというふうに思いました。
そして、植田先生がおっしゃっていた33ページのJBICは、ウクライナの民間セクターへの復興支援のための貸付けを保証する。これについて、ほかの外国の政府系の機関などが同じようなことをやっているのかということについても教えてください。
そして、最後になりますが、外為法上のコア業種の追加で御説明いただいたところで、36ページのところになりますけれども、赤枠で囲ってあるところは御説明いただいたんですけれども、ブルーで囲まれているところ、認定を受けた事業者への支援、この支援というのはどうしてここで支援が必要なんだろうと。公庫のツーステップローンとか、どうしてここで新たに入ってこなきゃいけないものなのかというところが分かりませんで、ここは御説明もいただいていないところなので、御説明いただければと思いました。
以上になります。よろしくお願いいたします。
○清水分科会長ありがとうございました。
それでは、河野先生、お願いいたします。
○河野委員御説明ありがとうございます。2点御質問させていただきたいと思います。
まず5ページですけれども、特にロシアへの制裁措置に関しての御説明なのですけれども、基本的に先進国、G7に出てくるような国に関しては、恐らく制裁措置を一致団結して取っていると思うのですけれども、アジアやアフリカの国は必ずしも今回の制裁に積極的ではないと。本来、制裁はやはりこういうふうに一部の国が取るのだけでは特に経済制裁が不十分と言われる中で、もちろん先ほど別のページの御説明のように、ロシア経済に大きな影響が出ていることは重々分かりますけれども、こういったアジアやアフリカの国々に対してどういうふうな対応をしておられるのか、あるいは何が必要と考えておられるのかを少し御説明いただければというふうに思います。
それから、第2点は、先ほど来原田先生も、それから植田先生の御質問しておられるので、私がさらに御質問するのは申し訳ないんですが、29ページの外国企業向けの支援という部分で、恐らく日本との関係というのは、真ん中の図の国外の「引取」というので日本との関係を説明されるのだろうと思うんですけれども、まずこの図の1つ目の質問は、ここで言う日系企業というのをどのように定義されるのか。つまり、日本との関わりがあるということをどういう基準で認定されるのかを伺いたいです。
それから、「引取」という矢印の部分の関係を、外国企業Bと日系企業Dといった関係をどういう基準で認定されるのか。この点を教えていただきたいと思います。少なくとも外国企業Aから輸入で日本企業へというのですと比較的日本との関係が分かりやすい、あるいは基準を設けやすいと思うんですけれども、全て外国で行われる経済活動についてどのような基準でその関係を認定されるのか、この点を教えていただきたいと思います。ありがとうございます。
○清水分科会長ありがとうございました。
それでは、オンラインで佐藤委員、よろしくお願いいたします。
○佐藤委員私からは、基本的に1つだけ。植田先生の2つ目のコメントに対して私からも補足させていただきたく思います。植田先生の御意見は、賛同するところが多いと思いました。アジア諸国は自国通貨建て、あるいは現地通貨建ての取引や決済を促進しようと取り組んできていて、たしか2年前のこの外為審でも、日本とインドネシアとのLCSFの設立がなされたという説明があったと記憶しています。
日本はアジアでの取引を活発に行っています。アジア諸国が過度のドル依存を脱却しようとしていて、アジア域内通貨同士で取引や決済を行おうとしている場合、日本がそこにどう関わっていくかが非常に重要な政策課題だと思います。これは植田先生がおっしゃったとおりだと思います。日本とインドネシアとのLCSFの設立のすぐ後だったと思うのですが、今度は中国とインドネシアがLCSFを結んだと私は記憶しています。それが間違いなければ、やはり日本と中国のどちらが、アジアの域内での決済、あるいはデジタル通貨を絡めた決済でイニシアチブを取れるかが非常に重要になると思います。政策的にはそのような観点からもぜひお考えいただきたいと思います。
私からは以上です。
○清水分科会長それでは、神保委員、お願いいたします。
○神保委員ありがとうございます。コア業種の追加に関連して少し御質問があります。今回、サプライチェーンの強靭化で特定重要物資として指定されたものの関連事業を指定されるということですが、例えば輸入に限定されていたり、肥料というのは輸入しかされていないから輸入業なのかどうか。なぜ広くないのかなというのが疑問に1つは思いました。
あともう1つは、サプライチェーンの関連のものが追加されたということですが、全体像のページで言うと、基幹インフラですとか、先端的重要技術ですとか、経済安保の推進法のカバーしていきたいところというのはほかにも広がりがあるのですが、(2)(3)のほうについてはどのような整理となっているのかというところは興味があり、教えていただきたいと思います。
それと、結構、今回新たにコア業種で追加されるところは、重要な産業だよねという理解をしつつも今まで対象ではなかった。全く事前業種でもなかった。何の規制もなかったものが突然ぽんとコア業種ですというふうに指定されるのは、投資家側であったり、日本の会社にとっても、かなり今後の対応が大変になられるのではないかなという予想はしていて、例えば海外のファンドの資金が入った状態でこういった事業に対する投資がなされている事例はあるのですが、既に行われている投資活動や事業活動が、この新たな規制によって制約されるようになるということについてはちょっと危惧を持っております。
もちろん、日本におけるサプライチェーンが弱まるような活動があれば、それはちょっと問題ではあるんですが、基本的には事業に魅力を感じて投資をしてきてくれている海外からの投資というのは、規制しつつもウエルカムだというメッセージというのは出していただきたいなというふうに思いました。以上です。
○清水分科会長ありがとうございます。
今の神保委員の最後のところは私も御質問させていただきたかったところですが、やはり円安の状況で、海外が日本の投資家の目として向けているときに、こういった重要な業種で規制を強めるというような判断に取られてしまうのはとても残念だと思います。あくまで事前届出を求めているのであって、ぜひ投資はしてほしいというようなスタンスが分かるような形で、これはいずれ英語で公表されることになるかと思いますが、その際にはぜひ注意していただきたいなと思いました。
それから、オンラインで澤田委員、お願いいたします。
○澤田委員どうもありがとうございます。私のほうからは質問1点とコメント1点ということで、質問のほうなんですけれども、G7、G20のサージファイナンス、それからASEAN+3のABMIにも関わることなんです。中長期的な世界的な課題として、高齢化、人口動態変化、特に先進国、アジアの中所得国はそういう課題があるわけなんですが、韓国のTFRが0.78になったという数字も最近出てきましたし、それから、少し前ですけれども中国が人口減に転じたということで、先進国に到達する前に超高齢化が進んで、かなりの経済・社会に対するストレスになるということが目に見えているという感じがするんです。
そこで、日本政府も長らく展開してきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)、あるいは社会保障、社会保険、介護保険、そういった仕組みをきちんと、全てのユニバーサルサービスとして構築するというのは非常に重要だと思うんですが、今日の御説明の中でも、非常に国際保健分野ではパンデミック対応と次のパンデミックへの備えということで、それはそれで非常に重要だとは思うんですけれども、高齢化、人口動態変化のような中長期的な課題がちょっとクラウドアウトされているような印象も持ちました。その辺りの議論はどうかということをお伺いしたいというのが質問です。
ちょっと後ろ向きの話に聞こえるわけなんですけど、実のところは、年金基金の膨大なリソースが先進国に既にあり、日本にも既にあり、アジアもかなりそうしたまとまった資産を持つという状況ですので、それをいかに気候ファイナンスとか、あるいはパンデミック、ウクライナ戦争からの復興にうまくどうやって使えるかという面もありますので、そういう意味で、ABMIのようなキャピタルマーケットを域内できちんと整備して、アジアにもきちんと資金が流れるということは非常に重要だろうというふうに思います。
ということで、前向きの部分もかなりあると思いますし、ほかのイシューとのクロスカッティングな側面もあって、補完性もあるということだと思うんですが、高齢化についての議論がどうなっているのかというのが質問させていただきたい点です。
それから、コメントは、ASEAN+3の場でTRFを新しい議題として展開されるというのは、非常にすばらしいことだと思います。若干経済学者としてのポジショントークではあるんですけれども、災害リスクに係るデータの利活用は、ぜひ日本を含めた研究者にもアクセスできるように、ちょっとそういうようなところをお考えいただければということです。
マイクロクレジットは、バングラデシュのムハマド・ユヌス教授とグラミン銀行が2006年にノーベル平和賞を取りましたけれども、その後、マイクロファイナンスという非常に貧困層向けのインクルーシブな保険。特に農民向けの健康保険、これはindex base risktransfer productとか言われるんですけど、インデックス型保険とか言われるものがありまして、ここ20年ぐらいは非常に研究が進んだということがあります。
それから、カリブのクリフという国の保険基金もインデックス型になっていて、太平洋島諸国でもインデックス型のリスクプーリングスキームというのが、ピクラフィー(PCRAFI)ですかね、そういうのも日本政府はかなりサポートされて展開されたということは承知していますので、ASEAN+3の場でさらにそれを推し進めるということになれば、当然例えばチャウプライ川のリスクモデルをつくるというようなかなりテクニカルな話にもなりますし、実際に保険をデザインしてやってみて、みんな買ってくれるのかというようなところもかなり実践的なイシューが出てくると思いますので、ぜひそういうところに研究者も来られるような形で、そのようなことを頭の片隅に置いておいていただければというふうに思います。それがコメントです。以上です。
○清水分科会長ありがとうございました。
それでは、渡井委員、お願いいたします。
○渡井委員ありがとうございます。私も、コア業種の追加について1点お尋ねをさせていただきます。外為法との関係で言えば、ここに挙がっている領域の中には、国の安全だけではなく、公の秩序や公衆の安全についてもオーバーラップする部分があるように思いますけれども、先ほどから議論になっている肥料の点を含めて、国の安全の問題として位置づけた理由や経緯について、確認をさせていただければと思います。
以上でございます。
○清水分科会長ありがとうございました。
それでは、事務局のほうから回答をお願いいたします。
○陣田地域協力課長それでは、アジア関係につきまして、地域協力課長からお答えいたします。
まず、植田委員の御質問でございます。ESG債、それからグリーン債の話でございますけれども、私が説明を申し上げましたのはABMIの文脈でございまして、委員御指摘のとおり、CMIMは基本的に短期流動性の問題への対応です。一方で、ABMIは、ドル等の外貨を海外から短期で借り入れるという二重のミスマッチを解消するために、自国通貨建てで長期の資金調達ができるようにするため、現地通貨建ての債券発行を推進しようという取組です。こちらについてはまさにADBが事務局的な機能を果しておりまして、そういう意味では、開発金融に近い分野とも言えます。
ただ、一方で、このグリーンの関係、あるいは気候変動の関係につきましては、マクロ経済の安定にも影響し得るということで、IMFなどは既に取組を進めていますけれども、マクロ経済、金融の安定への貢献において役割を担うAMROとしても当然関心を持たずにはいられないということで、AMROにつきましては、チェンマイイニシアティブの機能というよりは、リサーチなどを通じて各国のマクロ経済に対してアドバイスをするという観点で貢献しこうとしています。
それから、先ほど佐藤委員からございましたように、インドネシアとの間で現地通貨の利用促進に取り組んでおります。インドネシアと日本の間で取引を行う場合に、例えば為替ヘッジがしやすいように規制緩和をインドネシアに行ってもらい、これによって両者間の直接取引の流動性を高めるという取組がございます。これまで日本は円の国際化ということで、円の利便性向上に取り組んできましたけれども、今インドネシアでやっているような取組を例えばほかの国との間でも進めていく、そういうことを通じてより円の利便性を高めていく。
御指摘がございましたMブリッジ等々についても、後ほど補足がございますけれども、我々も当然関心を持って見ております。ただ、今、まさにASEANで課題になっておりますのは、クロスボーダーの取引をより円滑にしよう、アフォーダブルな取引にしようということで、例えばQRコードを使ったリテールの決済を円滑化することによって、例えば海外に行った労働者や旅行者の決済をよりやりやすくしようと取り組んでいると承知しております。これにつきましても、日本とアジアの関係は重要ですから関与していくべきだろうということで、今積極的に議論に関わっているところでございます。
また、澤田委員からございました、ABMI、それから高齢化の話ですが、例えばAMROにおきましても、高齢化はマクロ経済・金融の安定に将来影響し得るため、当然リサーチの対象の1つの項目に入っております。
それから、年金については、まさに日本の年金がアジアに投資するということがございますので、ABMIの取組におきまして、例えば、データや開示について、ESG債の基準がばらばらですので、なるべくその基準を標準化したり、開示情報を多くして投資がちゃんとESGに沿った使われ方をしているかということを分かるようにして投資をしやすくしようといった取組を進めたいと考えております。
私からは以上でございます。
○野村調査課長調査課長の野村でございます。
私も、制裁関係、あるいは対内直接投資の関係、特に肥料の関係でいろいろと御質問をいただいておりますので、私のほうから関連するものにお答えさせていただきたいと思います。
まず、植田先生からの御指摘の2つ目の話だったと思いますけれども、多分ロシア制裁との関係が御念頭にあるのだと思っております。SWIFTから排除したですとか、あるいは外準を資産凍結したですとか、こんなことをやっていると、結局ドル基軸通貨体制自体を崩すことになるんだから、日本にとっては、それをどうやって守っていくかということも考えなきゃいけないんじゃないのかという御指摘だったと思っております。
正直申し上げますと、制裁は結局返り血を浴びるという部分では、常につきまとう悩みの1つでございます。今回に限らずですけれども、従前、北朝鮮やイランに対し制裁を課したときとか、これもやっぱり同じような形で、制裁すると結局ドルの魅力を自分で掘り崩すことになるんじゃないのかという議論は当然あったわけでございます。
ただ、1つここで大事な点として申し上げなきゃいけないことがあるとすると、そもそも経済制裁を課すというのは、滅多なことでやらないわけでございまして、やはり経済制裁を課すというのはそれなりの理由があった上でやるものでございます。それは何かといいますと、そうした不利益を短期間の間とはいえ甘受してでもより排除したい大きな害悪があるからこそ、我々はそれをやるというふうに思っております。
言い方が正しいかどうかよく分かりませんけれども、肉を切らせて骨を断つという言葉もございますけれども、短期的にそういう強い制裁措置を何とか発動することによって、返り血も浴びるかもしれないけれども、それで大きな害悪を取り除いて、そうしたことが発生する以前の姿に早く戻していこうという考え方が裏にあるのだと思っております。そういう中で今回の制裁措置もやっているものだと思っておりますので、まずは強い薬を使うことによって現下の大きな課題というものを早く解決していきたいなというふうに思っているところでございます。これが1点目。
それから、肥料の輸入業をコア業種に追加する点につき、御質問がございました。これはいろいろな形でほかの先生からも御指摘がございましたけれども、実は日本は肥料はほとんど輸入に頼っております。日本の食料自給率は38%ぐらいですけれども、それも実は外国の肥料頼みという数字でございます。
そうした中で、今回の経済安全保障推進法の中にも書かれておりますけれども、国民の生存そのものに関わるような物資の安定供給を確保していくというのは、政府としての当然の務めであろうと考えております。
ただ、それを確保することが必要だというだけではなくて、それが今、実は海外に依存し、しかも場合によっては日本への安定供給が確保できなくなるかもしれない場合は、今回特定重要物資に指定するという仕組みになっているところ、肥料の原料をよく見てみますと、実は中国、あるいはロシア、ベラルーシというような特定の国に偏った形で今我々は依存しているという状況になっているところでございます。
そういう中において、そうした特定の国に依存しているという状態が現実にあるとして、そういう中で我々が国民の生存そのものを守っていくために、肥料をどうやって確保していくかということを考えたときには、これは特定重要物資として指定し、そして、その備蓄を官民挙げてしっかりと進めていく。そのための措置を政府として打っていくことは大事だ、そういう判断に至ったものと理解しているところでございます。
それから、肥料の関係で幾つかございましたけれども、そもそも輸入だけなのは何でという御質問があったかと思います。肥料は事実上日本国内にない肥料原料を海外から輸入しているわけでございますけれども、基本的には、輸入しましたリン酸ですとか塩化カリというものを混ぜてまくという形で食べ物が育っていくという仕組みになっているところでございます。そういう中で、我が国にとって守るべきはやはり輸入業であろうと。それをしっかり確保してきてくれる輸入業こそ守るべきだと考えているところでございます。
それから、今回の肥料も含めたコアの指定につきまして、これは国の安全なのかという御質問があったと思いますけれども、それにつきましても、今、肥料の例で申し上げましたけれども、やはり国民の生存そのものに関わるような大事な物資の安定供給を確保するということは、やはり国の安全に該当するであろうというふうに私どもとしては考えているというところでございます。そういう中で外為法としても、今回のコア業種にそういうことも踏まえて追加させていただいているというところでございます。
それから、経済安全保障推進法との関係で神保先生から御質問がございました。経済安全保障推進法の全体像4つの柱の中で、今回は(1)との関係ということでございましたけれども、(2)(3)との関係はどうなっているのかという御質問をいただきました。実は(2)(3)については、制度の施行がまさにこれから組み立ててやっていくというものだというふうに理解したところでございます。
そういう中で、我々との間でのこれからいろいろな調整等はあろうかと思うところでございますけれども、他方で、既に基幹インフラですとか、あるいは先端的な重要技術につきましては、外為法上も指定業種に入っているものもございます。
今回の特定重要物資は11ございましたけれども、既に3つ入っておったところでございますので、どこからどこまでカバーするのかという話については、これからまさに経済安全保障推進法の施行が進んでいく中で我々としてもしっかりとそこは調整、対応していきたいと考えております。
それから、今回のコアの業種は非常に大事なものばかりですねと。他方で、何もないところからいきなりコアということになってしまったりすると、非常に投資家にとってもサプライズでしょうという話があったかと思います。
そこにつきまして、やはりしっかりと外部投資家への説明は必要ですねという御指摘だったと思いますが、それはまさにそのとおりだと思っておるところでございまして、こうした制度を変更する際にはしっかりと周知徹底を図っていきたいと考えております。また、今回、私どもの方で今進めている作業でございますけれども、対内直投の規制について、財務省のホームページ上に、英語で外国投資家にも分かりやすいような形で情報を整理したハブのようなものをしっかりと作って、透明性の高い制度の運用を心がけていきたいと考えております。 それから、既存投資との関係でございますけれども、当然ながら、既存投資に遡及適用ということではなく、これからの将来的な規制という形で、今回の措置は考えているところでございます。
また、清水先生からも、投資は基本的にはやっぱりウエルカムなんだというところ、それは当然の話だと思っております。それがまさに外為法の精神にも表れておりまして、投資は原則自由なんだという中で、我が国としても投資は歓迎すると。ただ、外国の投資家の影響下に置かれることで我が国の安全にとって問題が起きるような場合について、例外的に最小限の規制を課していくだけなんですという基本的な精神というものは誤解されることのないように十分意識して、制度を運用していきたいと考えております。
それから、これは原田先生からの御質問でしたけれども、今回の経済安全保障推進法の資料の中で青い枠をつけたところについての支援の必要性ということでございます。これについては、青いところの支援の措置というものは、外為法に基づくものではございませんでして、今回は経済安全保障推進法に基づいて行われる支援というものでございますけれども、私どものほうで理解している範囲で申し上げますと、今回の支援というものは、まさにこうした特定の重要物資につきまして、これを我が国として安定供給を確保するために備蓄をするとか、あるいは官民挙げて物資の確保のために行うことについて、民間事業者において計画が策定されると。それが認定された場合には、そういうものに対していろいろなメニューで支援していく。そういう制度だと理解しているところでございます。
それから、河野先生から制裁の関係で御質問をいただいたと思います。以前もやっているんだけども、ほかはやっていないところがあるよねと。そうすると、制裁の効果をちゃんと上げていくためには、そうした制裁をやっていない国との関係も大事じゃないかという話だったと思っております。
これはまさにおっしゃるとおりだと思っておりまして、制裁はやっぱりみんなでやらないと、どれかが抜け道になってしまうと、結局抜け道になるやつがもうけたりするようなこともあったりしてはいけないということもあって、以前、北朝鮮の制裁を担当していたときにも、常に世界中に目を光らせて、誰か制裁破りをやっていないかということを監視していくというものはあったかと思います。
ただ、これは国連の安保理決議に基づいてやっているということで、グローバルに当然中国やロシアも含めてやっていくという中でやっておったことでございますけれども、今回ロシアがやったという中で、安保理決議というものは残念ながら取れてはいないという状況でございます。そうはいっても、我々としてはそうした事態を見逃すわけにはいかないという中で、G7としては厳しい制裁をやってきているところでございます。
制裁の効果を十分に上げていく上で、これはやっぱりG7以外の国にもしっかりと理解を得ながら協力をしてもらうような働きかけというものはやっぱり欠かせないのだと思っております。今回のロシアのウクライナ侵攻1年というタイミングでG7の財務大臣・中央銀行総裁会議、そしてG7の首脳会議も行われているところでございますけれども、そこでの合意事項におきましても、制裁の効果というものは、制裁の履行をしっかり確保していくという中で、制裁の迂回ですとか、制裁措置から逃れようとするような迂回ルートをつくるですとか、そういったものへの対策をこれからしっかりやっていかなきゃいけないということが確認されているところでございます。
そういう確認を受けまして、我々としましても、しっかりとまずはG7として足並みをそろえつつ、我々がやっている制裁の輪をさらに広げていくという観点から、他の国へのアプローチというものをしっかりやっていく必要があるなというふうに受け止めているところでございます。
私の関係の質問は多分以上だと思います。ありがとうございます。
○木原国際機構課長続きまして、国際機構課長のほうから、4点御説明を追加で申し上げます。
1点目は、今、野村のほうから話がありましたが、河野先生がおっしゃられた制裁の文脈で、迂回みたいなものにきちんと対応していかなきゃいけない、そういう議論をしていかなきゃいけないというのは、まさにG7の首脳宣言でも確認されていますし、そういう議論をしていくということだと思います。あとは、例えばプライス・キャップの文脈ですと、EU、G7に加えてオーストラリアが入っており、そういった取組は続けていくということだと思います。
それ以外に、G7とかG20の文脈で我々が大事だと思っていることは、2つありまして、1つはやはり、世界経済について、特にロシアは先進国のせいであるというナラティブを言いがちでありますけれども、こういうものをきちんと明示的に否定をしていく。
世界経済の一番のリスクはまさにロシアの戦争であって、ロシアが戦争をやめること自体が一番重要なことだということを、きちんとG20なりの場で主張をして、それが国際的な議論になるように仲間を増やしていくということが大事だと思っています。
それとあわせて、アジア、アフリカの国々ということで河野先生から言及がありましたけれども、実際に今そういう国々が戦争の悪影響を受けていることは現実としてございますので、そういう国々に対して債務の問題、あるいは食料確保の高騰というような部分できちんとサポートしていく。そういうものをG20の枠組みを使いながら、日本が、あるいはG7も主導して議論を進めていくということは大事なんだろうというふうに思っているところでございます。
2点目は、澤田先生のほうから、保健の関係で高齢化、あるいはその文脈の中でUHCなものをどういうふうに議論していくんだろうかという御質問がありました。どうしても短い資料の中で、どちらかというと今はパンデミック対応みたいなところに、引き続きウエートがあるということは事実かもしれませんけれども、例えばもう少し長めの英語の我々が準備したG7のプライオリティですと、引き続きUHCが大事だというものはきちんと書かせていただいておりますし、これからG20の文脈で財保の連携の議論が引き続き続いていく中では、UHCの部分も含めてきちんと対応していくということは、我々としても引き続き重要だと思っております。
3点目は、植田先生のほうから、ドル基軸通貨体制とCBDC、あるいはいろいろな取組の関係とか、制裁の文脈は既に野村のほうから話がありましたけれども、我々としては、G7のほうでもCBDCはあるべき原則というのを1年半ぐらい前につくって出しておりますけれども、いろんなきちっとしたスタンダードをCBDCの文脈でもそうですし、いろんな仮想通貨の文脈、これはFATFですとかFSBの議論も絡んできますけれども、質の高いグローバルスタンダードをきちっとつくって、エンフォースしていく。それによっていろいろなリスクをなくしていくというのが大事だということで、その議論をきちんとやらなきゃいけないと思っているということが1つ。
あとは、どうしても途上国のほうでもこういうデジタル技術を使って、まさにCBDCの文脈でもいろんな取組をやろうという中で、そういう国々が高いスタンダードの下でいろいろな新しい技術を導入していく。これをちゃんとサポートしていくということが大事だというふうに思っていますので、IMFのほうで新しい信託基金を設立して、こういうデジタル技術、CBDCも含めて途上国が新しい技術を採用する上でのベストプラクティスをつくったりですとか、TAを強化したりですとか、そういうことは日本としても重視をしてやっていきたいと思っています。
最後、4点目は肥料の関係で、すみません、野村課長から話があったものの補足になりますが、肥料は、G20の去年の文脈でも、もちろん食糧として小麦、トウモロコシ、大豆の供給が減ったというのがありますけれども、肥料の供給が途絶えたことによって、特に途上国は非常に大きな懸念をG20の中でも示していました。議長国のインドネシアもそうでしたし、アフリカの国にとっても、やはり肥料の供給が途絶えるというのは、食糧の供給が途絶えるのと同じくらい重要な課題としてあったということがありますので、これは御参考として付け加えさせていただきます。
以上です。
○飯塚開発政策課長国会に提出している二法案について、開発政策課長のほうからお答えいたします。
まず、世銀加盟措置法でございますけれども、拠出国債についてお問合せがございました。拠出国債は、今でも世界銀行の下にある基金、地球環境保全のためということに限定されているんですけども、そういう基金に対しては今でも拠出国債を拠出することができておりまして、拠出もしております。ドル建てでの拠出国債ということですけれども、ドル建てで出資国債の例がございまして、IFCに対してドル建てで出資国債をやっているという例がございます。
次は、JBIC法です。まずJBIC法の一番初めの施策ですけれども、こちらにつきましては、外国企業に対して融資と保証ということが想定されています。JBIC法の規制もありますけれども、あくまでも日本の産業の国際競争力の維持・向上に資するというものでありますので、それをしっかりJBICと見ていくということになると思います。
JBICのほうから今想定している案件としてどういうのがあるかと聞くと、例えばレアメタルなんかで特定の国、南アとかに今ほとんど依存していますと。ずっと依存しているというような状態はよくないので、例えば使用済みのスクラップからレアメタルを回収するといったものをサプライチェーンに加えたいという場合に、日本企業がないとそこは外国企業に頼らざるを得ないとか、例えば半導体の中で蛍石なんかはほとんど中国に依存しています。メキシコなんかで蛍石が出てくるという話がございますので、例えばメキシコから調達すると。そういった場合には、やはり外国企業にサプライチェーンの一部を頼らなきゃいけないという例がございまして、あくまでも日本の国際競争力の維持・向上に資するという観点から必要な部分において、外国企業に対する融資とかを活用するということになります。
ただ、これは、JBICと話していますと補助金ではないんですよという話を受けます。補助金ですと、一定の要件を満たすと申請すれば必ずもらえるというものなんですけれども、JBICは、マネットマンデートを広げたとしても、やっぱりリスクとリターン、あと信用リスクとかいろいろ見て、割に合わないものに対しては融資しませんので、そこは違うところかなというふうに思います。ただ、JBICと目線を合わせて、どういったものが外国企業の対象になるのかというのは、目線を合わせていこうというふうに考えております。
その次ですけれども、輸入金融ですが、輸入金融で想定されるのはどういうものかというお問合せがございました。法文的には出資外国法人等ということでありまして、我が国の法人等の出資に係る外国の法人等を言うということになっております。ただ、出資すれば何でも取引できるのかというとそこは違いまして、先ほど申し上げましたとおり、日本企業の国際競争力の維持・向上に資するのかという観点で、あくまでもそこに資するものに対する融資を行うということになってまいります。
ですので、1円でも日系企業Dにお金が入っていれば、BとDの間の取引をJBICが輸入金融をつけるのかというと、そこは違いますということになると思います。ただ、そこにつきましても、JBICとかビジネスの目線からすると当たり前だと思うんですけれども、しっかり監督する当局としましても、目線を合わせて必要に応じて審査目線などを設定していくということになると思います。
3点目、スタートアップですけれども、官民ファンドと申し上げましたけれども、私が申し上げたかったのは、あくまでもJBICの強みを発揮して、JBICの強みというのは、例えば外国の当局ですとか、外国のECAといった機関との連携とか、パイプラインとか、あと財務におけるアドバイス能力とか、そういったものを通じてしっかりとスタートアップ企業を支援していただくことを想定しておりますということを申し上げました。政府としましては、かなり野心的な目標を掲げてスタートアップを支援しておりますので、そこはいろんな例えば税制などもやっていますし、そういったいろんなツールと併用して、JBICも支援していくということを考えております。
あとは、保証ですけれども、これはほかの国もやっているんですかというのは、イギリスがやっている例がございます。イギリスがいわゆる政府系金融機関を通じてかというところは定かではないんですけれども、イギリスも世界銀行等に対して保証をつけることを通じてウクライナの支援をしているということがございます。
私からは以上でございます。
○三村国際局長国際局長の三村でございます。
皆様、年度末も近づきつつあり、大変お忙しい中、2時間という長時間にわたりましてお時間を頂戴いたしまして、物理参加の先生方、またオンライン参加の先生方、誠にありがとうございます。
いろんな意見を頂戴いたしまして、本日御紹介しましたものは、特にG7議長として今年日本が何をやっていくかとか、今通常国会にどういう法案を出すかというようなものが中心だったわけでございますけれども、当然、議長国として何をやるかとか、どんな法案を出すかというところで、担当局長の思いを反映している部分も多々ございますし、また、コア業種の指定という話につきましては、委員の方々も御承知の方が多いと思いますけれども、そもそもコア業種をつくるときの外為法改正の陣頭指揮をしておりましたのが私でございますので、この制度の製造物責任も負っておりますので、逐一担当課長から申し上げましたけれども、先生方から共通するような大きなところで頂戴したものについて、私自身がどういう思いでやっておるかというところを中心に、やや雑駁になるかもしれませんけれども、お話を申し上げます。
まず最初に、植田先生ですとか、佐藤先生からもいただきました決済の問題は、まさしくドルをはじめとして、G7のいわゆる伝統的な基軸通貨、そしてSWIFTを使ったシステムがどんどん掘り崩されているのではないか、どう考えるのかという問題ですけれども、私自身は、これは2つの方向から掘り崩されていると思っております。1つは、いずれも御指摘をいただいているんですが、先生方から御指摘をいただいたいわゆるドルから人民元ですとか、あるいはそれぞれの国の自国通貨建てというように、西側のドルとかユーロや円からそれぞれの国のほかの通貨へ移行、法定通貨の中で自国通貨に、あるいは地域通貨に移行という流れ。あともう1つは、そもそも法定通貨の枠を飛び出して、暗号資産といったところに移行という流れ。この大きな2つの方面からどちらからも掘り崩されようとしているという状況だと思います。
それについてどういうふうに取り組むかというところで、当然我々の強みを宣伝する部分と、それから相手の弱みを指摘する部分と、そういう意味でのオフェンスの政策とディフェンスの政策と両方を、それぞれG7ですとか、ASEAN+3とか、場合によってはG20とか、いろんな場でトータルとして一応全体を見ながらやっているつもりであるということでございます。
まず1つは、我々の強みのほうで言うと、もともとリブラとかああいうたぐいの話が出てきたのも、結局既存の決済システム、特に国境をまたがった国際の決済、送金のシステムが費用もかかるし、時間もかかるし、参加できない人も多いし、不便過ぎるじゃないかというところから始まっているわけですので、根本的には、まずは既存のSWIFTも含めてですけど、こういったクロスボーダーの送金決済システムの利便性、スピードも含めてこれを高めないことにはこの流れは止められないので、まずはこれをどう強めていくかというところがあるのだと思います。
これは、既にリブラが出て以降、まさにそういう反省の下に、G20、あるいはG20からのタスクアウトを受けてFSB等々でやっておりますので、これを引き続きやるということだと思いますし、日本も含めてG7各国もCBDCなんかの研究も引き続きやっておりますのも、そういう観点だというふうに思ってございます。
それから、これはASEAN+3の世界にもつながるわけですが、CBDCなんかも、もちろん中国をはじめとしてよその技術というのもあるんですが、日本もこの部分というのは技術がないわけではございません。御承知の先生方も多いですが、例えばカンボジアのCBDCなんかは日本企業の技術を使ってやっておりますので、そういったところの周知なども兼ねながら、例えばASEAN+3でもこういったデジタル化みたいな議論を言っているというところでございます。
他方で、当然、攻めに対しまして相手方の問題点というところもあるわけでして、これは、先ほど木原課長から申し上げたG7の議論にも絡むわけですけれども、当然こういう決済は、デジタル通貨であっても、暗号資産であってもそうですし、当然ほかのSWIFT以外のいろんな現地通貨も含めたような新しい決済システムもそうですけれども、そういったものを安易にやりますと、それこそ資本流出が急に生じてしまうですとか、あるいはデータプライバシーの問題ですとか、場合によっては個人情報の問題、サイバーセキュリティの問題ですとか、いろんな問題が出てくるわけです。
当然こういったものを導入するに当たっては利便性だけにとらわれてはいけなくて、必ず便利な面とマイナス面があるわけなので、マイナス面の対応も必要ですよねということの中で、今申し上げたようなサイバーセキュリティですとか、デジタルプライバシーですとか、あるいは金融資本市場への影響ですとか、こういったところをやっぱりしっかりと議論して、そこにグローバルスタンダードがないと、一部弱いとクロスボーダーなのでほかの人もみんな迷惑をしますよねと。だから、一緒にやりましょうよということをいかに呼びかけていくかということで、結果的にはそういうものを満たさないものに一部の国がナイーブに流れることを防ぐことにもなります。
これは、CBDCの世界であろうと、あるいはより広い暗号資産の世界であろうとやっているということでございますので、時間の関係で今日一つ一つは申し上げておりませんけれども、CBDCもそういうことでIMFを巻き込みながら、途上国にテクニカルアシスタンスをやるという話ですとか、あるいは、暗号資産でもいわゆるP2Pとか、そういうたぐいの取引というのは危ないんじゃありませんか、テロ資金対策の観点からFATFで何かやらなくていいんですかとか、そういったいろんな議論をしているということです。
そうはいいましても、当然この制裁の中でSWIFTからどんどん中国、CIPSに流れているではないかとか、人民元の取引は現にロシアでは激増しているではないかというものは当然あるわけですので、100%封じられるわけはないんですけれども、今申し上げたような一応暗号資産との関係、他通貨との関係を見ながら、オフェンス、ディフェンス両面を見ながら、できるだけ総合的に抜けがないようにということの中で、ASEAN+3とG7、幸い今年は両方我が国が議長なものですから、そういう論点を提示している、こんな状況かと思います。
以上が決済の関係でございます。
それから、コア業種の関係でございますけれども、先ほど御説明として、もともとやや経緯に従って正直に申し上げたところがありまして、経済安保推進法上特定重要物資が指定をされる中で、それをきっかけに改めて見直しをした結果ということで御説明をしたものですから、ひょっとすると、経済安保推進法で指定されたからそのままコア業種になりますというような感じに聞こえてしまっているかもしれないんですけれども、明示的にそこは違うということを意識しながらやっております。
先ほど原田先生から御質問いただいたことに絡むんですけれども、経済安保推進法は、もともと特定重要物資に指定をすれば、備蓄とかそういったものをやるためのインフラですとか、いろんな投資をするために国が支援措置を講じる。その支援の対象として指定されておるのが特定重要物資でございます。
それに対しまして我々のコア業種のほうは、今日も先生方から気をつけるべきというお話をいただきましたように、対外的に本来自由であるべき直接投資に規制をかける方でございますから、支援する対象ではなく規制する対象を指定するわけですから、当然これはより謙抑的でなければいけないのは大前提ということでございます。
渡井先生から全部国の安全なのかという話がございましたけれども、特にこれはコア業種かつ特定取得ということですので、外為法の法文上は公の秩序などは入っておりませんで、より謙抑的に、国の安全ということで説明できない限りはコア業種にはしないという形で外為法上も整理をしておりますので、そういう観点で一つ一つ相当精査して、相当議論をしたというところでございます。
皆様方からまさに御指摘をいただいた、先ほど野村からも説明しました肥料についても、おっしゃるように、肥料の輸入業をコア業種に追加するのはなぜだ、というふうに思うのはよく分かるのですが、先ほども御説明があり、資料にも入れておりますが、対象はまさにリン酸ナトリウムと塩化カリウムのみでございまして、ほかの例えば鶏ふんとか、そういうオーガニックな肥料は入っていないわけでして、まさしくこの2つでございます。
これは、今日グラフはお示ししておりませんけれども、塩化カリウムは、御承知のようにロシアとベラルーシが世界的に占めるシェアが多いわけでございますし、リン酸ナトリウムに至っては、特定の国がほぼ日本の輸入の過半を占めているという状況でございます。したがって、根本的な産地がものすごくそういった国に偏っているというものにまずは絞ったというところでございます。
それから、輸入業と申し上げているので、輸入するだけだったら国の安全じゃないじゃないかと。実はまさに私も最初のイニシャルリアクションでは調査課にそんなふうに言ってしまったんですけれども、これはむしろ備蓄というふうにお考えいただいた方がよろしいところがあります。
先ほどの委員の御質問につきましては、製造業の方は、基本的には物資を混ぜればできますので特別な技術は要らなくて、現にできる業者が、どうも我々が調べますと、国内にも何千社とある。したがって、1社、2社買われたところで代替は幾らでも見つけられるんですが、輸入のほうは、結局輸入するそのことよりも、平時から輸入をしてある程度備蓄をしておいてもらう。それから、ある程度のロットがありませんと、供給元が集中している中で簡単に新参者が行ってぱっと買えるものでもありません。
「この会社が買われたら、別の会社が出ていって輸入すればいいじゃないか」というほどどうも簡単なことではなくて、平時のうちから一定程度のマーケット、要は最終的な卸先を用意していて、そこで日頃から権益を確保して、平時からきちんと場合によっては在庫みたいなことも管理してくれる。
そういう大手の業者がちゃんといないと、実は結構危ないというところまで相当議論をいたしまして、基本的には謙抑的にやらなければいけませんので、論理的には製造業まで入れたほうが多分通りはいいんですが、必要のないところにこんな規制をかけてはいけませんので、そこはやらずに輸入業に絞ろうと。こういったような考え方で一つ一つをやっておるというところでございます。
それから、法案の関係で幾つか申し上げますけれども、JBIC法、外国企業のところでいろいろお話をいただきました。先ほどちょっと飯塚からも御説明をしましたけれども、基本的にはイメージをしておりますのは、当然、日本の企業のサプライチェーンといいましても、例えばいろんな会社、いろんな国に納入している中で、たまたまワン・オブ・ゼムで日本の会社にも部品を納入していましたというだけで支援するのかというと、多分そういうことにはならないわけでございます。
他方におきまして、わざわざ日本企業のために専ら専担で例えばテーラーメイドの部品をつくっているですとか、あるいは日本のために新たなレアアースを納入するために新しく設備投資をするですとか、そういった形でJBICの支援がかなり具体的にひもづけができる、日本企業のサプライチェーンにひもづけができるというものについては、これはやはり支援をしてあげる必要があるのではないか。基本的にはそういう発想でございます。
先ほどの経済安保の話にも絡みますけれども、サプライチェーンで外国企業を支援したら、かえってその国への依存度が高まって、経済安保上かえってリスクをつくっては元も子もありませんので、実は法案をお通しいただいた暁には、今申し上げたような、逆にこれが他国への依存度を高めることにならないのか。あるいは本当にこれは単に抽象的に日本の産業の競争力の維持ということではなくてもう少し具体的に、日本の企業のサプライチェーンにこういう形で役立つということの具体的なひもづけができるような案件なのかといったようなところは、JBICに融資基準といいますか、審査基準という形でしっかりとつくってもらい、我々は監督官庁として
それをしっかりと見るということは考えているというところでございます。
それから、保証の話も御質問があったかと思います。先ほど申し上げたイギリスなんかは既に保証していたという例もあるんですが、さらに申し上げますと、これはまだあまり表にはなっていない部分はあるんですが、当然世界銀行に限らず、ほかの開発金融機関もウクライナ向けに自前で取れるリスクはいっぱいいっぱいになっている中で、ほかの世銀以外のところからも例えば何か加盟国が保証してくれないのかというようなところが正直言って来ております。
そのときに、もちろん国が直接保証するやり方もあるんですが、我々としては、例えば民間セクター向けに専らやっている機関であれば、融資をするといっても政府に保証をするわけではありませんで、むしろJBICの場合が想定しているのはプロジェクト物でございますので、個別のプロジェクトを見て、そのキャッシュフローなどを判断しながら、これは保証しても大丈夫かどうかというのをチェックしてもらうということですので、逆に、世銀加盟措置法のほうは、世銀が貸すものに、政府への保証を融資するだけですから我々が直接やればいいんですが、個別のプロジェクトをチェックするというのを我々役人がやるというのもおかしな話ですので、むしろJBICにそういう個別のプロジェクトの目利き力を生かして保証してもらう。
ただ、当然それはJBICだけがやるわけではなくて、まずはその手前で世界銀行グループですとか、欧州復興開発銀行ですとか、そういった人たちも、直接貸すのは彼らですから、当然彼らも自分でしっかりとそういうチェックもしているという中で、実際には個別のプロジェクトごとですと、これはJBICだけ出てくるというものはあるかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、加盟国全体の保証をしてくれというような話も来ておりますので、恐らくは実際に動き出せば、ほかの国の例えば似たような機関で保証をつけるところが出てくるということも当然出てこようかと思います。
最後に、澤田先生がおっしゃっておりました保健の関係、UHCという話でございます。私も政策課長をやっている頃からこの数年UHCを相当やっておりましたけれども、私は2つ今思っておりまして、1つは、今回、確かにG7の中であまりUHCというのがキーワードになっていないので寂しいという御指摘だと思うんですけれども、1つは、いいことか悪いことか、コロナがありましたので、UHCの重要性ということ自体は相当程度G7でもG20でも人口に膾炙してございまして、今や、幸いにしてUHCの重要性ですとか、パンデミックへのPPRの重要性ですとか、こういったものは、我々が6~7年前に言い出した頃は、何で財務トラックで君たちそんなことを言っているのという雰囲気だったんですが、今は全くそういうことがなくなって、相当人口に膾炙してきたので、ある種言わずもがなになっている部分はございます。
ただ、その上で、まさに澤田委員からも御紹介がありましたように、例えば高齢化になるに伴って、感染症とは別のそれこそ糖尿病ですが、いわゆる非感染症みたいな新たな保健リスクもあるだろうというのは全くそのとおりですので、実際にG7の中で、我々のほうは、これはUHCのディスアグリケーションと言っておりますが、何かといいますと、要はコロナなんかでも、人口構成によって、高齢者が多いのか、若者や子どもが多いのか、それによっても感染の重症度は変わりましたよねと。
ことほどさように、一口にUHCといっても、高齢化した社会なのか、若者が多い社会なのか、人口構成とか社会構造によっても具体的に取るべきUHCの取組は違いますので、もはやUHCの重要性はみんな共有しましたので、これからはむしろ具体的にそれぞれの国がUHCというときに何をするべきなのか。これはone-size-fits-allではないはずですので、そういった精緻な取組をやっていかなきゃいけないよねということを実はG7の中でも言い始めておるんですが、これは非常にハイレベルなテーマなものですから、ちょっとすぐには、5月の新潟までに具体的な成果が出るという話ではなかなかないものですから、本日、実は御紹介はせずにおりましたけれども、そういった議論もしているということでございます。
まさに文字どおり非常に雑駁になりましたけれども、御指摘いただいたようなことも日々思いながら、また、今日いろんな貴重な御指摘をいただきましたのでまたさらに考えながら、これからのさらなるASEAN+3、G7の議長、あるいはその他の取組を続けてまいりたいと思いますので、引き続き御指導いただければ幸いでございます。ありがとうございます。
○清水分科会長ありがとうございました。
まだ御質問、御意見などもあろうかと思いますが、時間の関係もございますので、これで本日の議事を終了とさせていただきます。
なお、今回の議事録の作成は、私に一任いただければと存じます。その際、発言部分を事前に御覧になりたい委員の方におかれましては、会合終了後にその旨を事務局に御連絡いただくということにいたしまして、御連絡いただきました委員の方には議事録を案の段階で事務局より送付したいと考えております。その後、1週間程度の間に御意見がない場合には御了承いただいたものとさせていただきます。
本日は、長時間にわたり御出席賜りまして、ありがとうございました。これで終わりにいたします。
午後5時01分閉会