関税・外国為替等審議会
第46回外国為替等分科会議事録
令和2年6月26日(金)
財務省 国際局
於 財務省第3特別会議室
本庁舎4階
1.開会
2.新型コロナウイルス感染症に対する経済・金融面での国際的な対応について
3.対内直接投資審査制度:直近の動向について
4.閉会
出席者 | |||
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委員 | 雨宮 正佳 | 財務省 | 岡村国際局長 |
伊藤 恵子 | 宮原国際局次長 | ||
小川 英治 | 有泉国際局審議官 | ||
清水 順子 | 三村副財務官 | ||
神保 寛子 | 土谷国際局審議官 | ||
杉山 晶子 | 三好国際局総務課長 | ||
高山 一郎 | 今村国際局調査課長 | ||
田村 善之 | 緒方国際機構課長 | ||
根本 直子 | 野村為替市場課長 | ||
原田 喜美枝 | 細田開発政策課長 | ||
春田 雄一 | 大場参事官 | ||
渡井 理佳子 | 米山開発機関課長 | ||
臨時委員 | 安藤 光代 | 土生外国為替室長 | |
大野 泉 | 桜田調査課企画官 | ||
大野 早苗 | 日向為替実査室長 | ||
亀坂 安紀子 | 森下国際機構課企画官 | ||
神作 裕之 | 福島資金移転対策室長 | ||
専門委員 | 井戸 清人 | 河邑国際調整室長 | |
林 信光 | 梶山地域協力企画官 | ||
渡辺 博史 | 下井資金管理室長 | ||
棚瀨資金管理専門官 | |||
田部開発企画官 | |||
近藤開発企画官 | |||
経済産業省 | 飯田貿易管理部長 |
○小川分科会長それでは、時間になりましたので、ただいまから第46回外国為替等分科会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございます。本日、11名の委員におかれましてはオンラインで御参加いただいております。
まず、本日の議事に入ります前に、委員の異動につきまして、新たに小林健委員及び三毛兼承委員が御就任されましたので、御報告申し上げます。
さて、本日も新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点を踏まえた対応を行うこととしておりまして、委員の皆様には大変御不便をおかけしておりますが、御協力のほどよろしくお願いいたします。具体的な内容につきましては今村課長より御説明を頂きます。お願いいたします。
○今村調査課長調査課長の今村でございます。私からは、新型コロナウイルス感染症への対応について御説明申し上げます。
会議室での御参加の委員の皆様、御来庁時の検温、アルコール消毒並びにマスクの御着用に御協力いただき、誠にありがとうございます。
本日のこの会議室につきましては、開催前にマイク等の備品をアルコール消毒いたしております。それから、委員のお席の間隔を通常より広めに取らせていただいております。事務局側の参加者も必要最小限にしておりまして、役所のほうもWebexで参加している人間が多数おるということでございます。
会議の進行につきましては、途中、5分間程度の休息を挟みまして換気を行わせていただきます。それから、オンラインで今回御参加の委員におかれましては、今回、外為審の分科会で初めてということでございますので、もし若干不手際等々がございましたらお許しいただければと思います。もし仮に何らかの事情で、途中でWebexでの参加が例えばディスコネクトされる等々がございましたら、事前にお伝えいたしておりますとおり、電話会議システムでも別途御参加できることになっておりますので、事前にお伝えしております電話番号にお電話いただきまして、引き続き御参加いただくということでお願いいたします。その際、資料のほうは、先ほど別途送らせていただいておりましたPDFのものを画面で御覧いただきながら御参加いただくということで、よろしくお願い申し上げます。
それから、こちらに御出席の委員の方々、大変恐縮でございますけれども、できるだけマイクに近づいて御発言いただき、Webexでの参加の方にも音声がなるべく明瞭に伝わるようにできればと思っており、よろしく御協力をお願いいたします。
以上、委員の皆様には大変御不便をおかけいたしますが、御協力のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。
○小川分科会長それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日の議題は、「新型コロナウイルス感染症に対する経済・金融面での国際的な対応について」、もう1つは「対内直接投資審査制度:直近の動向について」の2つであります。
まず、1つ目の議題の「新型コロナウイルス感染症に対する経済・金融面での国際的な対応について」につきましては、事務局より宮原次長、続いて有泉審議官から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
○宮原国際局次長小川分科会長、ありがとうございます。国際局次長、宮原でございます。御紹介いただきましたとおり、まず、私のほうからは、感染症の感染拡大の状況、世界経済の動向、それに付随しまして、G20の現在の活動状況としてアクションプランの御紹介、それから、IMFなどの国際機関のイニシアティブについて、簡単に資料に沿って御紹介を申し上げたいと思います。国際機関の世界銀行のほうにつきましては有泉審議官に譲ろうと思っております。
それでは、お手元及びスクリーンで配付をしてあると存じます配付資料の資料2を御覧いただきたいと思います。「新型コロナウイルス感染症に対する経済・金融面での国際的な対応について」というものでございます。
まず、2ページに移動していただきまして、これが現在の累積感染者数・死亡者数等のデータでございます。もう毎日のように広く報道などがされておりますので、委員の皆様も御承知の数字なり状況だと思いますけれども、一番足元では、米国、それから、ブラジル、あと、チリなどとも言われておりますが、米州大陸での感染の拡大が顕著だということで、残念ながら感染のスピードは必ずしも低下していないという状況でございます。
次に、3ページに移っていただきまして、タイムリーでございましたが、一昨日、6月24日にIMFが直近の世界経済見通し(WEO)を発表しております。この内容に沿いまして、現在の世界経済の動向ということで簡単にお話を申し上げますけれども、──すみません。この後のページに、世界銀行と、それからOECDも、やはり6月に直近の見通しを発表しております。時間の関係でこれら両機関には詳しく触れられないかもしれませんけれども、一言で申しまして、6月の世界経済見通しは、3機関とも大体似通った傾向の見通しを示しておるということでございます。もちろん、過去に例を見ないようなパンデミックを原因とする世界経済の混乱ということで、ベースとなる前提の置き方であるとか、それに基づく見通し、これには通常にも増して大きな不確実性が伴っておるということで、各国際機関とも、そこはまず留保をつけた上での見通しということになっております。
まず、IMFによるWEOでございますけれども、前回は4月にこの見通しが発表されましたが、そのときの見通しと比較しまして、ポイントといたしましては、4月の見通しよりも経済活動の落ち込み及び回復のスピードが予想より悪いと。ファクトとして、第1四半期が予想より悪かったと。それをベースに第2四半期及び年の後半などを見通した際に、4月の見通しよりも悪化するということになっております。数字といたしましては、すみません、ちょっと資料の順番がよろしくなかったのですが、後のほうに出てまいりますけれども、ポイントだけ申しますと、今年(2020年)の世界経済の成長率はマイナス4.9%との見通し、これは、4月時点の見通しと比べまして1.9%ポイントの下方修正になっております。来年(2021年)ですが、この見通しはプラス5.4%となっておりますけれども、これも4月時点の見通しと比べますとマイナス0.4%ポイントということで、見通し自体は悪化しておるということでございます。
この見通しのベースとなります前提ですが、これも報告書の中に記載されておりますが、ポイントをかいつまんで申しますと、ソーシャルディスタンスなどの措置は今年の後半にかけても継続する。それから、その結果と申しますか、回復のスピードがこれまでの想定よりもゆっくりしたペースとなるという前提。それから、2020年前半の世界的に施行されましたいわゆるロックダウンによって想定以上の経済活動への打撃が生じ、供給面の変化や倒産、失業といった形で、IMFでは、scar(傷跡)と書いてございますが、経済のある意味構造面に及ぶような傷跡が残るだろうと、これがもう1つの前提となっております。
さらに、これも通常のやり方でありますが、先ほど申しました数字のベースラインの前提以外に悲観的シナリオというものも用意しておりまして、IMFの悲観的シナリオは、感染の第2波が来て、これに対応するため感染拡大の強力な防止措置が実施される、あるいは再度実施されるというものです。これを前提にしまして、悲観的シナリオが発現しました場合には、先ほど申しましたベースラインの見通しと比べまして、例えば2021年の全世界のGDPはさらに4.9%下回るというようなことになっております。
ここで、私どもがこれらの見通しをレビューしておりまして特徴的だなと思いましたのは、1つは、4月の時点の見通しではV字形と言う方もいらっしゃいましたし、U字形と言う方もいらっしゃいましたが、いずれにしても、コロナの感染が収まった時点で世界経済はまた元の状態に回復するであろうという見通しであったわけです。ところが、今回の見通し、これはおおむね3機関とも見方は共通しておりますが、第1四半期及び現在は予想以上に悪影響が大きいということで、それを踏まえまして、コロナの感染が収まった後も経済構造に一定の不可逆的な影響が生じ、コロナの前の状況に完全に戻るということはないのではないかと、そういう見通しがにじみ出ているというところではないかと思っております。その不可逆的な変化というのは、先ほども申し上げましたが、IMFではscar(傷跡)ということで言っておりますけれども、あまりにも倒産や失業の数が多いため、これが元に戻るということは想定しにくいと。それから、供給サイドの変化が、これもコロナ前と後である種のトランスフォーメーションが起きると、そういう前提に見方を移してきたというふうに見られると思っております。
駆け足で恐縮ですが、資料に戻りますと、4ページ目は先ほど申し上げた悲観的シナリオの御説明で、5ページ目は数字でございます。恐縮ですが、後刻御覧いただければと思います。
6ページ目はOECDによる見通し、6月10日、7ページ目、8ページ目は世界銀行によります見通し、6月8日に出ております。
次の9ページは3機関を便宜的に並べて、参考の際の便宜ということにさせていただいております。
1点、IMFの報告ものということで追加で申し上げたいのは、10ページ、これは、昨日公表されました国際金融安定性報告書、GFSRと呼んでおるものでございます。これは、文字どおり金融市場の状況をサーベイ、そして分析する報告書なんですけれども、足元で顕著なのは、実体経済の悪さと、それと対比して、金融市場が3月のある意味のボトムと比較して急速に戻ってきていることです。この状況について分析が3つ述べられております。一言で申しますと、IMFの分析はマーケットで言われていることとそう遠くないわけですけれども、Fedをはじめとする中央銀行の非常に迅速かつ大規模な措置をもとに投資家のセンチメントは非常に楽観的になったと。それが金融市場の戻りの早さの一言で言えば原因であると。一方で、実体経済はConsumer Confidenceが低下しているという状況が続いておると。こういった乖離が、言葉を換えますと、投資家のセンチメントが今後の経済見通しの変化などをきっかけにまたネガティブに変化していく際にマーケットが再度急速に悪化するというリスク、これをはらんでいるだろうという、そういうことの警鐘を鳴らしておるということでございます。
例えば、この表の右側、Figure 11の緑色の表でございますけれども、価格のミスアライメントの状況をざくっと紹介しておりますが、上のほうがEquity markets(株式市場)で、真ん中の50というのが大体標準ということなんですけれども、アメリカや日本はオーバーストレッチトのほうに振れておる状況だというようなことを示しているということでございます。
続きまして、11ページ目以降はG20におけるアクションプランということでございます。これも駆け足で恐縮ですが御紹介申し上げます。
これはビデオ形式で4月に行われましたG20の財務大臣・中央銀行総裁会議で合意されました行動計画、コロナ、あるいはCOVID-19と呼んでおりますが、これのクライシスに対応するためG20が何をすべきかということをまとめたものでございます。その前の月、3月に行われましたG20首脳会議の宣言で指示されて大臣、総裁が策定した行動計画となっております。現在のこの状況を踏まえて、必ずしも財政、金融規制の分野に限らず、なすべきことは全て書き込むというような間口の広い、カバレッジの広い行動計画になっております。
大きく5つの部分に分かれておりますけれども、最初に来ておりますのは、御覧いただいていますとおり、保健医療における対応ということです。生命を救うというサブタイトルがついております。今回のクライシスは経済金融危機でありますが、その原因がパンデミックであるということで、この問題にアドレスすることが何よりも肝腎であるということで、最初に来ておるということであります。
次のピラーは、保健医療における対応に基づいて感染が終息するまでの間、経済及び財政にいかに対応していくかということでございますが、我が国の経済対策とおおむね似たような共通する項目を含む各国の経済対策が出ておりまして、そういったものの共通項をここにまとめてあるというふうに御理解いただければよろしいかと思いますが、中小企業、家計です。それから、金融包摂、ここでは個人、家計への流動性支援といったことが強調されています。それから、金融規制です。資本バッファーを有効利用して必要な金融が行き渡るようにしましょうというようなことでありますけれども、そういったことが書かれております。それから、貿易措置の話、サプライチェーンの話などでございます。
それから、次のページ、3つ目のピラーは、感染がある程度収まり経済が回復していく、そのプロセスにおいて何をすべきかということであります。恐れ入りますが、時間が足りなくなってまいりましたので、後刻御覧いただければと思います。
4番目のピラーは国際的支援ということで、これの中身は、開発途上国、新興国、貧困国、こういったところにG20が国際協調をリードして何をしていくかということが書いてある部分でございますけれども、IMFが1兆ドルの貸出能力をフルに動員してというふうな決意表明的なこと、それから、世界銀行、地域開銀に期待する措置などをまとめておるということでございます。
5番目は教訓ということであります。
次に、国際金融機関のイニシアティブについてということで、14ページ目以降でございます。私の分担といたしまして、IMFの関係を簡単に御説明申し上げます。
15ページにIMFの支援ツールの拡充ということで、これも、先ほどの行動計画のG20大臣会議と同時期のIMFC(国際通貨金融委員会)の会議で合意された内容でございます。ポイントとしましては、まず、緊急融資のツールを強力に拡充するということで、ここにRFI、RCFとございますけれども、これは、既にある仕組み、インストルメントでありますが、それのアクセスの上限、ある国が1年間に利用できるアクセスの上限をまず倍増するということです。これを決めたと。それから、それに必要な資金の確保ということで、特にRCF、これは貧困国を主な対象としたインストルメントですが、これの原資となります、2番目の丸になりますけれども、貧困削減・成長基金(PRGT)、これの資金を強化しようということであります。IMFCの機会に合わせまして、我が国も最大49億ドルの追加資金貢献を表明しておるということでございます。
それから、ちょっと戻りまして、上の丸の2番目のティレでSLL(Short-term Liquidity Line)と記載をさせていただきました。これは、テクニカルな定義は恐縮ですが横に置かせていただいて、短期流動性の供給のためのIMFの資金ツールということであります。政策が強固な国であるという前提はありますが、コンディショナリティーなしに必要なときに迅速に短期資金を供給するという、このファシリティーが新たに創設されたということでございます。
3番目は、特に貧困国、脆弱国のクライシス対応のために必要な足元の財政スペースを確保する、その助けをしてあげるという一環で、IMFに対するそれらの国の債務の返済、これをある種肩代わりするための資金、これのファンドトラストをつくりました。そこにお金を集めましょうということで、我が国も率先して1億ドルを追加拠出しておるということでございます。
16ページ目、これは全く御参考でございますが、各国の危機対応の措置の情報、データを集めたウェブをIMFが立ち上げて、Policy Trackerと称しております。恐らく、今、世界中の各国がどういう対策を取っているかということを手っ取り早く一覧するのに一番いい材料かなと思って、御紹介を申し上げたところでございます。
全く駆け足で恐縮でございますが、私の部分は以上でございます。
有泉審議官、よろしくお願いします。
○有泉審議官国際局審議官の有泉でございます。
17ページ、世銀グループの新型コロナ支援について御説明させていただきますが、7ページに世銀のGlobal Economic Prospectsというものもありますので、こちらのほうも適宜御参照いただきながらお聞きいただければと思います。
今回のコロナにつきましては、途上国への影響は非常に大きいものだと考えております。主に2つ注視しているところがございます。1つは、途上国における保健システムの脆弱性の問題というものがかなり浮き彫りになっていて、これに対する対応が必要になってきているという点。それから、経済基盤の脆弱性ということもやはりあろうかと思います。特に途上国の場合ですと、貿易、観光、商品価格、あるいは、コモディティーの価格などにかなり経済の成長などが左右されると、こういうような構造にありまして、そうした面からの対応ということが必要になってきているわけでございます。
世銀におきましては、かなり早いタイミング、3月17日でございますけれども、まず、足元の緊急支援として140億ドルのパッケージを公表しております。これは2つのパーツに主に分かれておりまして、ソブリン(途上国政府)に対する支援ということで、IBRD、IDAというところから全体として60億ドルということ。これにつきましては、まず、先ほど申し上げました保健システムの脆弱性の問題がございますので、緊急対応ということで、検査能力の向上ですとか、あるいは、スタッフの装備支援などなどについての対応が1つ。それからもう1つは、まさに感染症対策に取り組む公的機関のキャパビルの問題、ポリシーの策定支援などを行っていると、こういうことでございます。
民間サイドにつきましては、先ほど申し上げました全体の経済の構造が貿易、観光など、サプライチェーンに係るところもございますので、この維持のために資金繰り、あるいは貿易企業による支援を行おうというところと、それから、民間クリニックなどの支援を行うと。こちらはIFCということになりますけれども、この2つのパーツからになっております。
さらに、3月26日になりますが、足元だけではなくて、来年の6月まで、今後の15か月ということで、世銀グループ全体として最大1,600億ドルの支援ということがマルパス総裁の側から表明されているところでございます。
参考を簡単に書いてございますが、これは世銀やADBの信託基金を通じた日本の支援ということで、世銀については全体で1.3億ドル。こちらは、一番上のところですけれども、保健危機への備えと対応に係るマルチドナー信託基金の設立をしておりまして、日本がファウンディングドナーということで入っている形になっております。ADBのほうは1.5億ドルということで、これは4月15日、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議で表明しておりまして、これはアジア・太平洋諸国に対する支援ということで表明している状況でございます。
次でございます。19ページをちょっとおめくりいただきまして、ニューマネーの話を今させていただきましたが、今度はむしろデット(債務)のサステーナビリティーの問題が途上国のほうでどうなっているかということですが、これについては、債務支払猶予イニシアティブというものが4月にG20の財務大臣・中央銀行総裁会議、それから、パリクラブにおいて合意されております。これは、まさに最貧国の有する公的債務について支払いを一時的に猶予して、要は、債務の負担を一時的にちょっと軽減しようと、こういうものであります。参考にございますように、既にこれは対象は77か国ございますが、32か国が要請中、うち17か国は既に手続も終了しておりまして、支払いの猶予が認められていると、こういう状況になっております。このイニシアティブの非常に画期的なことは、ある種こういった国際的なイニシアティブの中で、中国が債権国として初めて入った形で合意されたというところが非常に大きな前進だろうというふうに考えております。
いろいろな折衝の過程では、中国のこだわりのポイントが幾つかありましたので、それも併せて御紹介したいと思いますが、1つは対象国でございますけども、中国は国連の定義のほうをかなり推していたのですが、これは、実はIDAの定義と国連の定義の差というのは1か国だけでございまして、これはアンゴラなんですが、アンゴラはかなり中国が深い関係にあるということで、これが入るかどうかということが1つのポイントになっていたかと思います。
それから、これは単に債務の支払いを猶予するということではなくて、次のところを御覧いただきますと、いろいろとポリシーの話が入っております。例えば、保健分野への支出を、債務の支払いを猶予した場合に、そこは増加させるというようなコミットメントですとか、それから、債務の透明性を我々はずっと主張してきたわけですけれども、債務の透明性の観点から、借入れに関する情報をIMF、世銀に開示すると。それから、3つ目として、ノンコンセッショナルな借入れというものについては原則として増やさないと。支払猶予はするけれども、こういうアクションを取ることが条件づけられたと、こういう形になっております。
対象債権者については、民間については同等の条件で参加することを要請しておりますが、今のところそういった形になっているわけではございません。それから、あわせて、MDBsの融資はどうするのかという議論があり、中国は、バイの公的債権者だけではなくて、MDBsも自分たちの債権も対象にすべきではないかということをかなり強硬に主張していたという経緯があります。ただ、他方で、MDBs側からしますと、こういったものの債務の支払いの猶予、あるいは、その先にもしかすると債務の軽減みたいな話もあり得るというような受け止めが格付会社などでされますと、要は、MDBsが依って立っていますトリプルAの格付が危険にさらされるのではないかと、こういうこともございまして、全体として、G20の議論の中では、MDBsはむしろニューマネーの供給に努めるべきだと、こういうようなことになりまして、今のところは参加の可能性を模索するということになっています。ただ、なかなか、MDBsの債権を対象にするのは難しいだろうという議論が今の大勢になっているかと思っております。
全体の支払猶予の期間は年末までという形になっております。
次のページをおめくりいただきまして、6月3日でございますけれども、G7の財務大臣声明が今の点について出ております。これは、債務の透明性と持続可能性についてフォーカスした声明になっております。最初の点は、先ほど私が申し上げたことを主に確認していくということでございますけれども、2番目の固まりを見ていただきまして、こちらは、債務の透明性及び持続可能性の促進に向けた取組ということで、債務データの公表強化、これは、偶発債務ですとか国有企業債務、担保付貸付けなどについての協働。それから、債務者の取組を国際機関がしっかり支援していこうと、こういうようなことの期待。公的債権者の取組については、昨年の日本の議長下で策定されました実務指針にのっとってしっかりと貸付け判断をしてもらうこと。それから最後に、民間債権者の取組として、これはIIFですけれども、昨年のこれも日本の議長下で策定された原則ですが、これを歓迎し、要は、民間ファイナンスの透明性向上の観点からの取組の進捗を求めるという形になっております。
次のページ、最後は参考までにつけさせていただいておりますが、これがまさに2019年の日本議長下での取組でございますけれども、こういった取組に沿った形でG7の財務大臣の声明がこれをフォローアップしたという位置づけになっておりますので、そういう意味では、昨年我々のほうでいろいろと出したものが引き続きフォローアップされ、進捗を見ていると、こういうふうにお考えいただければと思っております。
最後になります。主要国際会議の日程、23ページを御覧ください。こちらのほうの特徴でございますが、通常ですと地域開銀の総会は春先に行っているものなんですが、今回のコロナの影響を受けまして、アフリカ開銀、IDB、ADB、EBRD、全てについて秋以降に日程が延びているという点があろうかと思っております。また、G7については、当初は6月に予定しており、これはアメリカが議長国なんですが、現在、新たな日程を検討中という状況になっております。それから、現時点ではこういうふうな形で日程が置かれておりますけれども、まさに新型コロナはまだ非常に猛威を振るっているということですので、今後はこの日程、あるいは開催形式というものは変更される可能性があるものと考えております。
私のほうからは以上でございます。
○小川分科会長宮原次長、有泉審議官、ありがとうございました。
それでは、続きまして、本日オンラインで御参加いただいています日本銀行副総裁の雨宮委員より、新型コロナウイルス感染症への中央銀行による対応について御説明を頂きたいと思います。雨宮委員、よろしくお願いいたします。
○雨宮委員日本銀行の雨宮でございます。ありがとうございます。
私からは、今御紹介いただきましたとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた日本銀行の金融政策面での対応と、ドル資金供給に係る国際的な中銀間の協調について御説明申し上げたいというふうに思います。
まず、日本銀行は本年3月以降、3つの柱から構成される金融緩和の強化を進めてまいりました。3つの柱ということを御紹介いたしますと、第1の柱は企業等の資金繰り支援です。このために、CP、社債の大規模な買入れや金融機関に対する新しい資金供給オペから成る新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムを導入いたしました。第2の柱は金融市場の安定維持であります。具体的には、国債のさらなる積極的な買入れやドルオペの拡充により、円貨、外貨ともに上限を設けず潤沢に資金供給を行っております。3つ目の柱は資産市場におけるリスクプレミアムの抑制であります。このために、ETFやJ-REITの買入れを当面従来の約2倍のペースで実施できるという仕組みにいたしました。この中で、国際的な対応という観点から、ドルオペの拡充に関する中銀間の協調について、やや詳しく御説明したいと思っています。
各国中銀のドル資金供給につきましては、リーマンショック時に米国外の金融機関がドル調達難に直面したことで、その重要性が意識されるようになりました。主要6中銀間のスワップの枠組みもその際に構築されたものであります。この結果、FRBと各国中央銀行が協力してグローバルにドルを供給することが可能となり、市場の安定に大きく貢献いたしました。
本年3月、新型コロナ感染症の拡大を受けた市場の不安定化により、リーマンショック以来の水準までドルの調達プレミアムが上昇いたしました。主要6中銀は速やかに協調し、既存のスワップ網を用いたドルオペ拡充策を打ち出しました。具体的には、貸付金利を引き下げるとともに、従来の1週間ものに加えて3か月もののオペを開始し、さらに、1週間ものの実施頻度を週次から日次に引き上げ、毎日オファーするという格好にしました。この拡充の後、プレミアムは次第に縮小しておりまして、ドル調達圧力の緩和に効果があったというふうに考えております。こうした迅速な協調の背景には、リーマンショック時の金融危機当時に整備した枠組みと、この間に培ってきた中銀間のネットワークの存在があります。今回も中銀間で緊密にコミュニケーションをとり、実は、この後申し上げますけども、邦銀もドル調達ニーズが極めて大きくなっているということを前提に、日本銀行としても今回のドル調達支援策の拡充について積極的に提案してきたところであります。
3月以降のドルオペの利用状況を見ますと、実は、リーマンショックのときにはヨーロッパの金融機関の利用が最も多かったのですけども、今回は本邦金融機関がこれに替わりました。具体的には、本邦金融機関のドルオペの利用額はピーク時には2,200億ドル、23兆円に達したわけでありまして、リーマンショック時ピークの1,200億ドルを大きく上回りました。その後、ドル調達環境が安定化するにつれて減少傾向にありますが、足元でも1,500億ドル程度の残高になっています。この背景には、欧州金融機関がリーマンショックとこれに続く欧州債務危機の影響で海外ビジネスを縮小してきたのに対しまして、邦銀は海外展開を積極的に進めてきたということがあります。今般のドルオペ利用の拡大も本邦企業の海外拠点や海外企業の資金需要の増加を受けたものでありまして、日銀オペを通じたドル資金供給はグローバルな企業活動の支援にもつながっていると考えております。
直近の動きでありますけども、6月19日、関係中銀間で協議の上、7月以降は1週間もののドルオペ実施頻度を毎日オファーから週3日に減らすということを公表しました。これは、ドル資金調達環境の改善もあり、応札が減っていることを受けた調整であります。もっとも、3か月ものは引き続き毎週実施するほか、適用金利も据え置いておりまして、各国中銀とも潤沢に米ドル資金を供給し、それによりグローバルな金融市場の安定を確保していくという姿勢には変わりはございません。
私どもとしては今後とも各国中銀と緊密に連絡し、市場の状況に応じて必要な対応を行っていく方針であります。
私からは以上です。ありがとうございました。
○小川分科会長雨宮委員、ありがとうございました。
それでは、自由討議に移らせていただきたいと思います。
自由討議に際して、先ほど事務局から御説明がありましたけれども、IMFのWEOでありましたように、第2波が来た場合の悲観的なシナリオでは相当大きな悪い影響があるかもしれないというような議論がありましたが、そのあたりは第2波が来るか来ないかというところもありますけれども、経済的にどうなるかと。それから、あと、金融市場と実体経済が乖離しているという指摘もありましたけれども、そのあたりはどういうふうに調整していくのかというところも興味深い論点になるかと思います。それから、最近、アカデミアのほうでは経済政策不確実性という問題が議論されておりますけれども、雨宮委員からも御説明がありましたが、協調してドル資金を供給するというような、そういう政策の不確実性をなるべく小さくするというところは、マーケットも評価しているのではないかなと思います。
ということで、委員の皆様に御意見を頂きたいと思います。この場に御臨席されている委員の方は従前どおり名札を立てていただきたいと思います。それから、オンラインで御参加の委員の方は、事前に事務局から御案内しましたとおり、御発言の意思をシステム上の「挙手」にて事務局までお知らせいただければと思います。それでは、何か御意見を。
それでは、清水委員、お願いします。
○清水委員御説明ありがとうございました。3点ございます。
まずは、今の雨宮委員のお話にもありましたように、実体経済と特に日米の株価が乖離しているということは、私は、割と先々にクラッシュが起きるという点で非常に危うい状況にあるのではないかと危惧しております。その理由としては、1つには、やはり、国内的には特別給付金、持続化給付金といったような形で国民を対象にキャッシュが配られながらも、このような状況で誰も消費に回せないと、そういうお金が株式市場に一部流れているということが考えられますし、また、今の雨宮委員のお話にありましたように、企業に資金がちゃんと回るように世界的にドルを供給できるような体制をつくっているということは、デフォルトを下げるという面ではいいと思うんですが、どうしてもドルが世界的にだぶつき、その一部がやはり株式市場に回っているというような可能性もあるのではないかと指摘されるかと思います。その点に関して、恐らくFRBにしても日銀にしてもいろんな株式市場の機微な動きを注視されているかとは思いますが、どういった点をより注視していらっしゃるのかということについてお伺いしたいということが第1点です。
第2点は、すみません、私がいつも言っているいろいろ私の専門的なことに関わるのですが、御説明していただきました13ページの真ん中です。支援を必要としている国への国際的支援ということの3つ目のポツで、IMFのみならず、地域金融取極によって提供される手段を歓迎してございます。コロナがこういったことになる前には、IMFがいろいろ、AMRO、それから、FLAR、それとか、いろんな地域金融取極によって盤石な金融システムの安定性を図ろうというようなことをやってきたかと思います。こういう状況下で、そういうAMROをはじめとした地域金融取極で何か具体的な話をしているのかどうか。また、AMROに関しては、チェンマイもずっといろいろ、チェンマイの修正というか、チェンマイ・イニシアティブのいろいろ新しい取組ということを今まで行ってきておりますが、このような状況下でそれが止まってしまっているのか、あるいは、着実に進めているのかということが第2点です。
第3点は、特に日本政府に鑑みますと、これまで、アジアの各国を対象として円を使ったスワップというものをそれぞれの中銀と結んできたかと思います。こういったドル資金がもちろん国際金融機関では非常に逼迫するといった形でのドル資金供給等もございますが、しかし、日本企業が進出しているアジアが多いということでは、円資金、あるいは、現地通貨資金も含めた形での何らかの取組というものも、今後、この事態が長引けば長引くほど、対象や金額を少なくしてもきっちりやっていくということが重要ではないかと思いますので、そのあたりで何か新しい取組、あるいは、従来のスワップをますます進めていくというようなことについて、どのような見解をお持ちなのかということをお伺いできればと思います。
○小川分科会長時間の関係もあるので、まとめて質問を受けたいと思います。
では次に、大野泉委員、お願いいたします。
○大野(泉)委員どうもありがとうございます。大野泉です。2点コメントと、1点御質問をさせていただきます。
まず、コメントなんですけども、御説明いただきましたように、今、IMF、世界銀行、それから、アジア開発銀行等々が非常に素早い形で迅速な支援をされておりまして、私は今、JICAの研究所のほうに寄って、実際の事業には関わっておりませんけども、そういった形で協調させていただくという形で、緊急的な支援を一緒にさせていただいております。必要としております。そういった意味で、MDBsの迅速な対応というのは非常に評価したいと思います。同時に、特に途上国の場合は、健康リスクだけではなくて、自国の経済封鎖に伴うロックダウン、それから、世界的な需要の緊縮に伴いますいろんな意味でのネガティブな影響を非常に受けているので、やはり、先進国だけではなくて、途上国への御協力といったことをしっかり日本の政策の中に位置づけていただいて、マルチはもちろんですけども、二国間のODAを含めてしっかりそれを手当てしていくようなことを引き続きよろしくお願いしたいというふうに思っております。
あと、もう1つのコメントといたしましては、先進国を含めて、いろんな各国が財政の面でいろんな拡充で打っております。それは仕方がないというか、当面の対策だと思うんですけれども、そういうときに、やはり、今後伸ばしていくべき、例えば産業とか活動とか、そういったことをしっかり見据えながらお金を流していくといったことが大事だと思いますので、その辺をよろしくお願いしたいということです。特に、日本の場合は非常に財政が厳しいものですから、やはり、こういったことの施策のサステーナビリティーといったことも将来にわたりあると思いますので、その辺は、中長期的な財政の健全性、ドイツとは全然違う状況に日本は置かれているので、その辺も含めて、ぜひ特に財務省には取り組んでいただきたいというふうに思っております。
最後に1つ、これは質問なんですけども、債務削減のイニシアティブについて、たしか19ページに御説明があったと思います。その中で、この特徴として、中国が債権国として初めてこういった中に入って合意した国際イニシアティブであるというような御説明がありましたが、そうしますと、これ自体は、二国間の公的な債務について、最貧国向けの債務についての対応の原則というふうに理解しておりますけども、中国そのものも、例えば情報の世銀、IMFへの開示とか、支払猶予期間中は非譲許的な借入れをしないとか、こういったことを守るというような理解でよろしいでしょうか。この辺について教えていただければ幸いです。
○小川分科会長ありがとうございます。
それでは、亀坂委員、お願いします。
○亀坂委員既に清水委員と大野泉委員から発言したいことを大分発言されたので、手短に申し上げたいのですけども、私も、資料2の10枚目のスライドの金融市場と実体経済の乖離ということが最も気になっておりまして、例えば、日銀によるETFの購入とか、そういうものを従来の2倍とか枠組みを増やすとかいうことも、果たしてそれが本当にいいことなのかどうかとか、その時々に応じてちょっと思うことがありまして、経済学者としては、東日本大震災の直後にも感じたことなんですけど、やっぱり、中小企業の社長さんとかは、みんな助けてほしい、救済してほしいと。東日本大震災の後のほうがまだ今よりも分かりやすくて、当時も放射能汚染の問題とかいろいろ、地域によっては難しかったのですけど、地震のみから被害を受けた場合の災害の後の復興とかよりも、今度のコロナ危機、コロナ禍の後の企業の業績の見通しというものがすごく難しいと思うんですね。だから、単に今貸し付ける、単に救済すればいいというものではなくて、今は助けてほしいという声がどうしても大きくなりがちなんでしょうが、経済学者としては、果たして、それを救済してさらに債務を拡大させる結果にならないかとか、いつ貸出するのがいいのか、どう貸出したらいいのかとか、あるいは、外為法の改正絡みでも思うんですけれども、これから日本の産業として育てていくべき企業かどうかとか、そういった経済学的なロジックで判断すると同時に、今後、その企業を成長させたいのか、あるいは、日本の国としてその業界を育てていきたいかどうかという判断とかも入れていただいて、途上国の融資でもそうなんですが、今後いろいろ判断していただければ、もうちょっとさらに細かく判断していただいたほうがいいのではないかと思います。
○小川分科会長どうもありがとうございます。
それでは、今の御質問、コメントに対する回答は、休憩をこれから取りますが、休憩の後ということで、ここで一旦換気のため休憩を取ります。5分後に再開いたします。再開後、ただいまの委員からの御質問等に事務局から答えていただくということにいたします。
それでは、5分間休憩ということにいたします。
午後4時52分休憩
午後4時57分再開
○小川分科会長それでは、休憩時間の5分間が過ぎましたので、議事を再開したいと思います。
先ほど委員の方々から頂きました御質問についてお答えを頂きたいと思いますけども、まず最初に、清水委員から御質問のありました金融市場と実体経済の乖離に関する御質問については雨宮委員にお答えを頂きたいと思いますが、雨宮委員、お願いできますでしょうか。
○雨宮委員ありがとうございます。
御質問いただきました金融市場、資産価格、あるいは、さらに具体的には、株価、実体経済の乖離をどう考えるかについては、今、いろんな議論が行われておりまして、先生方は御存じかもしれませんけど、1つ面白いアネクドートを紹介すると、1か月ぐらい前にポール・クルーグマンがニューヨーク・タイムズにコラムを書きまして、クラッシングエコノミーと上昇する株価の対比をどう考えるかというコラムがありましたが、その中で彼はこれを見るときには3つ原則があると言っておりまして、その3つというのは何かというと、1、株は実体経済を反映しない、2、株は実体経済を反映しない、3、株は実体経済を反映しないと、こういう非常に皮肉っぽいようなコラムを書いていましたが、それはともかくとして、これはなかなか難しい論点があります。
今、なぜこの資産市場が強気か、あるいは上昇しているかということについては、多分恐らく3つぐらい理由があるかなと思っておりまして、1つは、先ほど清水委員から御指摘のあったような、やはり金融緩和、各国の中央銀行の大量の資金供給ということがあると思います。2つ目には、やはり経済の再開期待ですね。これがあります。先ほど御紹介のあったIMFの見通しでも、あるいは、IMF以外の国際機関の見通しでも、来年はプラス成長に戻るという見通しがございますので、そういった経済の再開期待というものが2つ目だと思います。もう1つは、これはなかなか面白いポイントなんですけども、例えば、米国の株価でも、上がっているのはNASDAQ、あるいは、GAFAといったIT銘柄が非常に強いわけでありまして、この背景にあるのは、ポストコロナをにらんだ新産業、新分野、新成長分野へのベットというようなことであろうかと思います。
こうしたことが背景にあると思うんですけども、いずれにせよ、株式市場において実体経済から乖離した過剰なリスクテイクが行われているかどうかということを判断するのは非常に難しいわけでありまして、通常であれば、例えば、リーマンショックのとき、あるいはその前のアジア通貨危機、あるいはドットコムバブル崩壊のときもそうだったのですが、いわゆるバリュエーション指標のようなものである程度判断がつくような時期もあります。しかし、今回は様々な不確実性があまりに大き過ぎて、そうしたバリュエーション指標、PERとかPBRとか、そうしたものだけでは判断しにくい状況が続くだろうと思いますので、基本的には今申し上げたような3つの要因ですね。金融政策の運営と市場の金融政策に対する見方がどう変化するのか。それから、経済の再開期待が本当に実現するのか。これはコロナ次第ということかもしれません。もう1つは、ポストコロナの成長分野への見極めがどうなるのか、本当に成長するのか。そうした実体経済の展開に沿ってチェックしていくということしかないだろうというふうに思っていますが、こうした点を踏まえて慎重に点検していきたいというふうに思っております。
以上でございます。
○小川分科会長ありがとうございます。
それでは、岡村局長からお願いいたします。
○岡村国際局長ありがとうございます。
まず最初に、清水委員からお話があって、今、雨宮委員からお答えのあった実体経済とマーケットの乖離を契機にして、亀坂委員からも同じ点の御指摘がありましたけれども、どんなふうにしてマーケットを注視しているのかというお尋ねについてです。雨宮委員からのお答えに私が付け加えられることがあるわけではないので、別の視点から申し上げます。為替は、この間、安定したレンジの中で推移しております。これは、3通貨、ドル、円、ユーロを含めまして、この危機が同じようにグローバルに訪れたことのインパクトということで、為替は相対的な通貨の価値なので、一定のレンジの中で推移しているという動きが特徴的かなと思っています。そういう中で、今、ブルネラビリティー(脆弱性)、リスクが高まっているということは全く御指摘のとおりであります。経済について幾つかのマイナス要因と不確実性が高い中で、株価が市場最高値を更新していくということの間では、やっぱり、クラッシュするようなリスクは高まっているのではないか、そのクラッシュが為替マーケットにどういうインパクトで現れてくるか、そんな視点を持って、ある意味ひやひやしながらマーケットを注視しているということが正直なところでございます。それが1点です。
次に、アジアの通貨、特に、RFA(Regional Financing Arrangements)のチェンマイの進捗とか円と現地通貨、それから、前にこの審議会でも議論していました直接交換とか、そういった点がコロナの中でどんな状況にあるのかということについてです。具体的には審議官から後程御報告させていただきますが、一言で言えば、進捗していますということでございまして、置き去りにされているというようなことではなくて、粛々と議論を進めており、これから大臣のレベルに上げて、世の中に出していけるような成果も見込める状況です。
それから、大野泉委員からお話のありましたバイでの途上国支援の点でございます。今回のコロナ危機を受けてコロナ対応の緊急円借款という制度を設けまして、リーマンショック後と同じように、0.01%、15年ということで、本来であれば無償資金の供与を有償勘定で行うということに近い形で、途上国に対してバイで支援をする制度を設けて、早急にディスバースまでいけるように進めています。引き続き注力してまいります。
また、大野泉委員から、DSSI(債務支払猶予イニシアティブ)で中国が拘束されるのかというような御指摘がありましたが、これは資料の19ページで紹介している表は、借入国側のコミットメントで、支払猶予の条件と書いてありますのは借入国の条件を示しているものであります。有泉から、中国が入って画期的な初めてのイニシアティブだという御報告をいたしました。これは、中国も参加して債務猶予を受ける、貸付国としての中国が無責任に貸し込んでいるということをどう国際社会がコロナの危機の中で牽制を続けていくかという問題意識に立って、債務の猶予を国際的な枠組みで行う中に中国も債権国として参加するという点で画期的な新しい取組であるということを申し上げたものでございました。
それから、最後に、亀坂委員からありました、本来であれば、単純に一律に延べて救済すればいいというものではない、出口戦略ということもあるし、弱いところ、あるいは、一種の淘汰ということも考えながら、効率性の追求ということも考えながら対応していくべきとのこと、おっしゃるとおりだと思います。そういう意味では、産業政策の在り方が問われるような場面なんだろうなと、そんな意識を持っております。
私からは以上です。
○小川分科会長土谷審議官、お願いします。
○土谷審議官ASEANの地域金融協力を担当しています土谷と申します。私からは、直接担当している立場としてもう少し、実際はどうなっているのかということを説明させていただきたいと思います。
私なりに整理すると大体3点あったと思うんですが、1つ目は、チェンマイの言葉で言うとオペレーショナビリティーと言っていますけれども、実際に発動申請があったときにきちんと対応できるのかと。その点で一番課題になっておりましたのはコンディショナリティーフレームワークの完成です。率直に申し上げまして、これまでのASEANプラス3ですと、大臣会合というモメンタムがないとなかなか進展しないところもあったのですけれども、このコンディショナリティーフレームワークについては、協定改正に昨年の大臣会合で合意をして各国の批准待ちという状況になってございました。このコロナの影響もあってだと私どもは受け止めておりますが、とんとん拍子で各国とも批准いたしまして、協定改正が今週、正式に発効しております。さらに、協定の下にあります細かな政省令みたいなものがあるわけですけれども、ここがなかなか厄介なところであったのですが、これも4月以降、危機が深まる中で、合意を加速しようという機運が非常に盛り上がっているところです。
2点目、清水委員から御指摘いただきましたのはチェンマイの発展の部分ですけれども、恐らく、言われておりますのは、デリンク割合の引上げと、円の使用とも関わりますが、チェンマイの世界でいう現地通貨の使用です。これはまた協定改正レベルの話になってまいりますので、今、9月の大臣会合に向けて、精力的に議論を進めているところでございます。
3点目は円の使用をどう高めていくかという話ですけれども、ツールとしましては、バイスワップと直接交換が過去の外為審でも指摘されてきたかと思います。バイスワップのほうは、たしか数年前の外為審で指摘していただいて、2018年頃には、ASEANの4か国については、円のオプションをつけることは、もう発効しているところです。直接交換につきましては、今般のコロナ禍を通じてドルの重要性が改めて確認されたところがございますので、どこまでこの直接交換に関心があるのかは半信半疑であったところもあったのですけれども、改めて、ASEANの中でもドルだけに依存しないことの重要性を認識している国もございまして、当初は停滞するかと思ったのですが、ここへ来てまた議論を再開しています。今、インドネシアと具体的な協議を行っておりますけれども、何らかの成果が得られるように、我々としても懸命に交渉してまいりたいというふうに思っています。
以上です。
○小川分科会長どうもありがとうございます。デリンクの部分について、日経新聞にちょっと数行出ていて、もう少し情報発信をして、ホームページとかに載せて、みんなに見えるようにしていただければと思います。
それでは、有泉審議官、お願いします。
○有泉審議官先ほどのDSSIについては局長のほうから話があったとおりでありまして、これは債務国側のほうで義務がかかっているということですけれども、いずれにしても、債務国側のほうからこういった情報が出てくるということについては意味があるということだと思っております。
1点、すみません、先ほど申し上げた点で、細かい点ですが、訂正がございます。20ページの公的債権者の取組について、G20の実務指針につきまして、日本の議長下で策定されたと申し上げましたが、正確には、2017年のドイツの議長下のときにこの実務指針自体は策定されたのですが、昨年、一番特徴的なのは、この実務指針に基づいて各国で自己評価をちゃんとやっているかどうかというものをセルフアセスメントさせるという意味において、去年、有意義な進捗があったということでございます。
以上でございます。
○小川分科会長どうもありがとうございました。
それでは、時間の関係もございますので、本日の2つ目の議題、「対内直接投資審査制度:直近の動向について」に移りたいと思います。
対内直接投資審査制度につきましては、これまで本分科会で大変充実した議論を行ってきたところであります。本日は、前回の分科会以降の動向につきまして、事務局より簡単に御報告を頂きたいと思います。三村副財務官、よろしくお願いいたします。
○三村副財務官三村でございます。本日はありがとうございます。資料4に基づきまして御説明を申し上げたいと存じます。
早速表紙をおめくりいただきまして、1ページ目でございます。前回の審議会以降の、まず、大きな日程でございますけれども、大変おかげさまをもちまして、改正外為法を4月30日に前回御議論いただきました中身で基本的に政省令の告示の公布をさせていただきまして、連休明けの5月8日をもちましてめでたく政省令告示まで含めまして施行をいたしてございます。昨年秋に国会で可決されました改正法の附則の中で、施行からの30日間は言わば経過期間を取りまして、30日後から改正外為法を実際には全面適用ということで、これは改正法の附則の中で定めがございましたものですから、これを受けまして、5月8日の30日後ということで今月の7日から改正外為法の全面適用が開始になっておるという、そういう大きな流れでございます。それに関連しまして、ここの日程表にもございますように、ここの間、5月8日に銘柄リストの公表をさせていただいたというお話。それから、7日の全面適用の後、6月15日と7月15日に医薬品・医療機器追加に係る改正告示というようなお話がございます。これにつきまして、2ページ目以降で簡単に御説明を申し上げたいと存じます。
まず、銘柄リストでございます。これは、過去の審議会におきましても、分科会におきましても、このようなものをつくらせていただきますということで申し上げたかと思いますが、まさしく、るる御説明申し上げてきましたように、外為法は、基本的には対内直接投資の審査付事前届出の対象になりますものを指定業種という形で、業種で告示の中で指定をしておるわけでございますが、今回の改正外為法の過程の中で、特に外国投資家の方々から、業種はもちろん告示を見れば分かるのだけれども、実際に投資をするときに、どの企業が指定業種を営んでいるのかいないのか、そこが分からないので、ぜひそこを会社ごとに分かるようにしてもらえないだろうかと。特に今回、改正外為法で、コア業種というものが指定業種の中でできますものですから、指定業種の中でもコアかコアでないかというようなことで、言わば分類も1つ増えたりもするので、そこをぜひ、少なくとも上場企業については、1社1社銘柄ごとに役所のほうから情報を示してもらえないだろうかと。これが、言わば投資に当たっての透明性を高めるという観点から、外国投資家の皆さんから非常に高い要望がございました。それを受けましてこのようなものを5月8日に、すなわち、改正外為法の施行の日に合わせましてリストの公表をさせていただいたということでございます。これにつきまして若干報道もございましたので、大きく3つ、この関連で申し上げたいと思います。
1点目は、このリストをまずどういうふうに作ったかということでございますけれども、これは3月から4月、5月にかけて作成するということで、ちょうどコロナの事態にも重なりましたものですから、なかなか物理的にも試行錯誤もあったのでございますが、基本的には3,800社の日本の上場企業全社にアンケートを送付させていただいたところでございます。具体的に指定業種はこういうものです、指定業種の中でコア業種はこういうものですということを詳しく並べました上で、御社においてそういう業種に当たるものを子会社も含めてやっておられますか、いかがですかというところを基本的にはイエス・オア・ノーでお伺いするというアンケートをお送りしてございます。ちょうどコロナというような中でもございましたので、アンケートの送付は、郵送とともに、東証さんのほうから全上場企業に発信をするシステムもございますので、そちらのほうでも送付をして、言わばダブルトラックでお送りをして、できるだけ漏れがないようにということでアンケートをお送りしてございます。
他方、前回の分科会のときには、このリストは4月の中旬ぐらいにお出しをしたいということで御報告をしたのではないかと思います。これが5月8日になっておるのですけれども、これは実は、4月に入りまして、コロナで、テレワークとかもしている中で、こんなときにアンケートをもらってもちょっとすぐには答えられないのだけどというようなお声がやはりございましたものですから、我々としてもこういう状況はよく分かりますので、5月8日の施行の日に併せてリストを出せば投資家の方々の便宜という意味にもなりますので、ぎりぎりまではぜひお時間を取らせていただこうということで、実は若干回答期限も延ばしたりいたしまして、回答期限を延ばすという御報告もまた改めて東証さんにお願いして全社に御連絡もして、そういうことで、一言で申し上げると、コロナの事情もございましたので、また、初めてのこういう調査でもございましたので、プロセスとしてはできるだけ丁寧にやろうということで、我々なりにこの状況下でプロセスとしては最大限配慮しながらアンケートをお送りしたということでございます。これがどのように情報を集めさせていただいたかということであります。
それから、2点目に、どういう基準を基に分類したのか、どういうふうにリストを作ったのかという中身の話でございます。これは、ある意味では非常に意図的に形式的な形にさせていただいております。形式的と申し上げますのは、まず、アンケートを3,800社にお送りさせていただいて、回答を頂いた方々の企業につきましては、このアンケートの回答に沿って、基本的にはそのままリストに分類をしてございます。私たちの企業はコア業種をやっていますという回答を頂いた方々はコア業種を営んでいる企業として、うちは指定業種は何もやっていませんという場合はそのような分類、うちは指定業種をやっていますが、コアではありませんと、その場合にはそのようにということで、アンケートにお答えいただいた企業につきましては、アンケートの回答をそのまま尊重するという形にさせていただいております。
他方、中には、3,800社ございますので、アンケートにお答えいただけなかった企業さんというのは、やはり当然そこはございます。こういった企業につきましては、基本的に私どものほうで事業所管省庁と連携しまして、それぞれの会社さんの定款を我々のほうで確認させていただきまして、定款の中で営む業種として指定業種に、あるいは、具体的にはその中でもコア業種に該当するようなものを定款上やる業種ということで掲載しておられるかどうかと、この定款の記載を基に分類をすると、こういう形でさせていただいております。意図的に形式的にというふうに申し上げましたのは、やはり、1つには、我々はこの考え方として、外国投資家の方が自ら投資をする場合にやるであろうことを我々が言わば役所としてまずは代わりにさせていただいて、参考情報として提供するという形で考えておりますので、基本はまずは企業に聞くだろうと。あとは、企業に聞くと同時に、自分で定款は公表されているので、それは最大限見るだろうと。それを言わば我々のほうでまず代わりにやらせていただいたという考え方でございます。
その上で、それ以上あえて中身に入りませんでしたのは、かえって非常に不透明にもなりますし、また、役所の側で、定款上同じ業種を営んでいても、こっちの企業の技術は大事だけれども、こっちはそうでもないという、技術についての価値判断というものを入れるというのはどこまでいってもよろしくありませんので、そういったことはあえてせずに、そういう意味では非常に意図的に形式的に分類をさせていただいたということでございます。
それから、このリストについて、最後の3点目でございますが、恐らく、5月8日前後に報道も出ましたので御覧になった方もおられるかもしれませんけれども、何でこんな会社がコア業種なのかとか、同じ業種なのに何か明暗が分かれているではないかと。どっちが明るくて暗いのかは分かりませんが、明暗が分かれているではないかというような御指摘がございました。なぜこのようなことが起きているのかということでございますが、理由は大きくは2つでございます。1つは、今申し上げたように、定款・アンケートを基に分類をしているということでございます。それが2点目にも絡むわけですけれども、当然、上場企業でございますので、また、子会社も含めて全体としてどんな業種を営んでいるかということでございますので、一般的に世の中で会社の名前を聞いたときにイメージする業種とはかなり異なる事業を子会社も含めますと営んでおられるケースというのは当然多々ございまして、したがいまして、表面上同じ業種に属するように見えても、子会社でどういう事業を営んでいるかによって、場合によってコア業種なり指定業種に入ったり入らなかったりというようなことが起きるですとか、あるいは、どうしてこんな業種でコア業種なのかというところも、社名とはやはり違うものを少なくとも子会社などで見ますと営んでおられるとか、そういったケースがございますものですからそういったことが生じているということでございます。さっき申し上げたように、ある意味で非常に形式的な分類を意図的にやってございますので、同業者の中で分かれているから、そこに何か役所のそれぞれの会社に対する価値判断が入っているとか、そういったことは一切ないということでございます。先ほど丁寧なプロセスをと申し上げましたが、5月8日の後も、やはりこういうコロナの状況は初めてということもございましたものですから、事後的にさらに回答を御提出いただく方、あるいは、すみません、一旦回答したのだけど、後で振り返ってみるとコロナの中で回答が不十分だったというような追加の回答も一部会社様から頂きましたものですから、6月7日の日曜日から全面適用でございましたので、その直前の営業日にはということで6月5日にもう一度追加的に頂きました回答を踏まえて更新をさせていただいて、今日に至っているというところでございます。
3ページ目は、今申し上げた事前届出の中でも何がコア業種かと。まさにこれを細かくブレークダウンしたものをアンケートの中で各社さんにお示しをして、御回答を頂いたということでございます。
次に、4ページ目。これは、さっきちょっと申し上げました6月15日、7月15日という日付に絡むものでございますが、外為法における医薬品・医療機器に関連する業種への対応についてということでございます。これは、一言で申し上げますと、今回のコロナを受けまして、いわゆるコア業種を追加させていただくという話でございます。具体的に何かということでありますけれども、いろんな字が書いてありますが、赤いところだけ御覧いただければ結構でございます。コア業種として大きく2つのものを追加するということでございます。
1つは医薬品関連で、感染症に絡んだ医薬品、あるいは、その材料を作られておるような会社、これを今回コア業種に追加したいと考えてございます。今までは実は、医薬品の中でワクチンの製造だけはコアではない指定業種という形になってございました。逆に言いますと、ワクチンもコアではないし、それから、ワクチン以外のいろんな薬はいずれも指定業種ではそもそもなかったということでございますけれども、今回、感染症に関わるようなものにつきましては、医薬品、あるいはワクチンをコア業種にしたいということでございます。
それからもう1つは、右側、医療機器関連でございます。この中で、高度管理医療機器、これは、旧薬事法の薬機法という、正式な名称はここの箱の一番上に小さい字で書かせていただきましたが、薬機法に基づきまして高度管理医療機器に分類されているような医療機器につきましてはコア業種にすると。具体的に申し上げますと、あえて私は素人的に申し上げますけれども、ざっくり言うと、基本的には体の中で使うので、何か不具合があると命に直結するような、そういう機器が高度管理医療機器であるとお考えいただければと思います。つまりは、人工呼吸器ですとか人工血管ですとかペースメーカーですとか、こういったものでございます。逆に言うと、体の外でしか使わないようなピンセットですとかレントゲンのフィルムですとか、こういったものも医療機器に広い意味では当たるわけですが、こういったものは入らないということでございます。考え方は御説明申し上げるまでもないことでございまして、やはり、コロナの中でいろいろと世界的にも、申し上げたように、ワクチンあるいはコロナの特効薬のような薬、あるいは、今申し上げたように、人工呼吸器をはじめとした機器というのは、各国とも言わば本当に大量の国民の生命に、すなわち、国家の安全そのものに関わるという問題意識が非常に出てまいりましたので、我々もそういった中でこれをコア業種に追加しようということでございます。
これは業種の追加でございますので告示の改正ということになりますが、既にパブリックコメントのほうは終了いたしまして、改正告示自体は先般6月15日に公布、施行をさせていただいたところでございます。ただ、こちらも1か月は適用期間、経過期間、周知期間を取りますので、この追加自体は1か月後の7月15日ということで、そこから告示が全面適用されるということでございます。これを受けまして、先ほど御紹介しました銘柄リスト、これも当然、コア業種が追加になりますとリストの内容は変わってまいりますので、7月15日の前に再度改訂をする予定でございます。
最後、ちょっと長くなって申し訳ありませんが、コロナの中で、じゃあ、日本以外では何をやっているのだろうかというところを簡単にここでまとめさせていただきました。基本的にはG7なんですが、アメリカは表に載せてございません。下の注1にありますように、アメリカは特に、まだ今のところ、コロナを受けて何か具体的に制度をいじったというものは、我々の知る限りございません。ただ、ほかの国はいずれも多かれ少なかれいろんなことをやっておりまして、大きく言うと3点あると思います。1つには、我々は今回の改正外為法で言わば閾値を10%から1%に下げたのですが、コロナを機に結構それをやっている国があるということでございます。フランスは昨年、実は33%から25%に閾値を引き下げていたのですが、今回、コロナのための暫定措置と言っておりますが、25%を10%に引き下げたですとか、それから、オーストラリアは、実は、株式の所有割合と実際の金額の組合せで閾値を設けていたのですが、名目額のほうの閾値は当面撤廃しますということですとか、あと、面白いのは、カナダなどは国有企業に限っては閾値を撤廃ということで、改正外為法で、我々も国有企業を少し注意深い取扱いにしたわけですけれども、そういったものがコロナを機にカナダで行われていると。これが閾値のところでございます。
それから、対象業種。今、まさしく私どもが何をやるかを申し上げましたけれども、これは、フランス、ドイツ、イタリアを御覧いただきますと、カナダやオーストラリアのもともと全ての業種を対象にしているというところ以外で指定業種制度を取っているところはいずれも、フランス、ドイツ、イタリアは足並みをそろえて保健・医療分野を追加しているということで、やはり各国とも共通の問題意識がうかがえるかと思います。
それから、審査手続のところでございます。3点目のところですけれども、ここがやはり多かれ少なかれいろんなことをやっておりまして、分かりやすいところでは、オーストラリアなどは、暫定的に審査期間を延長して、よくじっくり見られるようにすると。それから、カナダなどは、これは言わば精神論にちょっと近い話でありますが、保健・医療分野は特に慎重に審査しますというようなことを対外的に表明しております。イギリスは実は事後介入しかありませんが、現状では、事後介入制度の中で、イギリスのほうも先般、わざわざ法文を改正しまして、事後介入の際の視点として、いわゆる伝統的な安全保障ですとか金融システムの安定ということに加えまして、公衆衛生危機の観点から問題があるかないか、これも我々は審査しますということを、わざわざコロナを機にイギリスも今回宣言をしているというようなことでございまして、やはり、いずれもコロナを受けまして、改めて対内直接投資の審査制度についていろんな制度改正、暫定的なものもあれば恒久的なものもありますが、動きがあると、こういう状況でございます。
いずれも、大きな方向感としては、我々としては改正外為法とかなり同じ方向感を向いたものがいろんなところで見受けられると思っておりまして、今後とも我々としても、諸外国の動向というものも、今、G7などでもある程度お互いにこういう制度改正は何をしているのかというような情報交換をしたりもしまして、この前の大臣レベルでもそういったやり取りがございましたが、そういったG7間でのやり取りなども交えながら、引き続き我々としても諸外国の状況を注視したいと思っているところでございます。
長くなりましたが、以上でございます。
○小川分科会長三村副財務官、どうもありがとうございました。
もし御質問、御意見がございましたら、先ほどと同じ要領で御発言の意思をお知らせください。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員御説明ありがとうございました。
ちょっと医療のところで何点か御質問とコメントをしたいのですけれども、追加で業種をお示しするというのは結構簡単にできることなんですか。この場で特に議論とかはなかったと思うんですが、既にパブリックコメントを終了して公布、施行ということになっていまして、追加するのはこんなに結構簡単なことなんでしょうかということが質問の1つです。
医療とか保健が国民の安全に関わるという意味で重要だと、それは理解できるのですけれども、ここで追加されているのは医薬品と医療機器というふうになっていて、どちらかというと製造業で、ヨーロッパとか他の先進国で医療、保健と言っていると、多分サービスの医療のほうも含むということなのではないかなと思うんですね。日本の場合、医療とか保健の関係というのは、外資系企業に対する規制以前の問題で国内の規制がものすごく強いので、外資がほとんど入ってこられない状況ですので、わざわざ指定しなくてもいいということなのかもしれないですけど、諸外国は多分、サービスも含めて国民に対してしっかり医療サービスを提供するためということを考えているのかなと思うんですが、あまり日本では医薬品と機械というところしか考えていないというのはどういうことなんでしょうかということが2つ目の御質問です。
医薬品はいいとして、医療機器なんですけれども、これはここで規制をしないといけないものなんでしょうかということが若干疑問でして、というのは、外国企業の参入を促進して国内の産業の成長につなげるという基本的な考え方の基で外資の誘致ということをやってきて、競争力のある外国の医療機器メーカーが参入して日本でもっと生産をしてくれるということは、別に産業の成長にとってよいのではないかと。日本の場合はどうも、日本の製造業の会社が医療機器になかなか参入しづらい状況があるらしいのですけど、それは厚生労働省のいろんな規制があって、どうやら、簡単に技術があっても簡単には医療機器を作れないというか、技術を持っていても、医療機器を作っちゃったら、認可が下りるまでにいろんな実験や何かの検証をしないと認可が下りないとか、いろいろコストがかかるらしくて、非常に日本企業にとっても、実は技術を持っていても参入しにくい分野だと。もしかしたら、そこに、技術力もあって、諸外国で治験なんかもできるような外国の医療機器メーカーに入ってきてもらうということは、日本の産業にとってプラスの面もあるのではないかという気がするのですが、簡単にというか、単純に医療は大事だから規制するというふうに追加してしまっていいのでしょうか。その辺の議論というのは十分されたのでしょうかということが質問です。
すみません、最後です。指定業種とか銘柄リストに関して、いろいろ新聞で最初は混乱があったという記事がたくさんあったのですけど、今後それは改訂されていくのだというような形ではちょっと記事には書いてあったと思うんですが、どういうふうに改訂をしていくと考えていらっしゃるのか。今の御説明にもあったように、なるべく形式的にして、なるべく価値判断みたいなことをしないようにしたというお話があって、それはそれで理解できるわけですけど、企業にとっては、うっかり答えたら銘柄リストに入っちゃったみたいな感じで捉えている会社もあるようでして、今後、イエス、ノーの答え方を、例えば企業側がノーにしておこうみたいになってしまって、意図的にではないですが、特に子会社のビジネスに関して、あまり銘柄リストに載ってこないような答え方をしてきちゃうのではないかということを考えたりするのですが、改訂等についてどういうふうにお考えでしょうかというのが質問です。
ありがとうございました。以上です。
○小川分科会長時間の関係もあるので、続けて質問を頂きたいと思います。
神保委員、お願いします。
○神保委員神保です。御説明ありがとうございました。
6月7日からの本格施行ということで、私は外為の届出の御相談等は本当にたくさんの外国投資家の方から御質問を頂いて、あとは、届出等も実際に手元で件数がすごく増えているというふうに、申請する側からもすごく増えたなと思っているのですけれども、いろいろ実務の中では、例えば、たしか以前の御説明の中で、できるだけ問題のない投資については5営業日以内に審査を終了して通知するようにしていきますというような宣言があったので、ある程度はそこにリライをして提出しているというところもあるのですが、やっぱりかなりまだまだ慣れていない省庁さんもいらっしゃったりして、審査期間が結構読みづらいということが、今、すごく肌感覚ではあります。本当に短縮されるだろうか、やっぱり30日前に出さなくてはいけないとすると、スケジュールが大変ですと。この6月ももうちょっと株主総会が迫っているのですけれども、今から提出して間に合いますかと。いや、ちょっとこれはもう本当に間に合わないかもしれませんねみたいなことがありまして、スムーズに審査をしていただくということについては、今、できれば、どれぐらい当局のほうでは件数が増えていて、どれぐらい体制が整えられているか、ちゃんと審査できているかというふうに観察されているのかという財務省さんのほうの御感覚をお伺いしたいなというふうに思います。
もう1つは、特に役員選任については、やはり会社さんにとっては人事のことなので、ぎりぎりにならないと決まらなくて、30日前は、それはちょっと決まらないですという会社さんが多くて、ぎりぎりになると。私もぎりぎりで提出して、審査を早くしてくださいとお願いすることになってしまっているので、ここは以前の審議会でも何回も言っているのですけれども、何回かお願いしていますが、やはり、対象をできるだけ限定したり、例えば、再任する方なのに、本当になぜ必要なのかと、ちょっとクライアントにはかなり不評なところであったりするので、負担を軽減する方向での御検討を引き続きお願いしたいと思っております。
以上です。
○小川分科会長それでは、渡井委員、お願いいたします。
○渡井委員よろしくお願いいたします。渡井でございます。御説明をありがとうございました。
各国の対応のところで、アメリカについては今のところ追加的な対応は取られていない状況ということでございますが、5月に出されました規則の改正案との関係で1点お尋ねを申し上げます。
改正案は、重要な技術への対内直接投資に関する義務的な申告について、NAICSコードの分類によるのではなく、輸出に際して許可を要するかどうかに変更しているようですので、これが実現すれば、結果的に日本を含むアメリカの同盟国にとって規制の緩和につながるようにも思っております。もちろん、医療の分野では審査が厳しくなるものと思いますけれども、アメリカの規則改正の動きは、今日の前半の御説明にあったような新型コロナウイルス感染症を受けての経済状況をみて、むしろ投資を呼ぶために規則の内容を明確にしたり緩和したりしたという評価でよいのか、日本にとってどのような意味を持つのか、外為法の規制に何か影響を及ぼす可能性があるのかといった点について、お教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○小川分科会長それでは最後に、亀坂委員、お願いします。
○亀坂委員私も金融機関の方々に毎月アンケート票を送っているので、外為法改正に関してはものすごくたくさん御批判というか、いろんな御意見を頂いたわけですけれども、まず、これはだから、外為法の改正というのは、国の安全保障を脅かすような技術や情報の流出を防ぐためにやっているわけであって、金融機関の方々のためにやっているのではないわけですよね。国民のために国の安全を守る、あるいは、米国とかほかの欧米諸国がいろいろな規制をかける中で、日本が技術流出の抜け穴になってはいけないということがあって外為法の改正をしているのであって、私は昨年の秋に国会で可決・成立してよかったと思っていますし、それがあって、今度はコロナ禍のもとで医療関係の業界から技術が流出したりしないようにということで追加するということで、全面的に賛成というか。国民の安全を守るということで言うと、アメリカの例だと、米国人に限っては、ベトナム戦争の死者よりもコロナ禍のもとで亡くなった方のほうが2倍以上多いとか、そのような報道がなされているのと、医療関係の技術流出とかを守らないというのはちょっと考えにくいですよね。だから、これを業種として追加していただくのは当然でしょうし、本当に急いで追加していただきたいと思います。ですので、金融機関の方々に私は嫌われながらも言ったのですけど、外為法の改正などはあなたたちのためにやっているのではなくて、国民の安全を守るためにやっているのですから、御理解いただきたいと。金融機関の方々に対してできることは、財務省の方々がなるべく御迷惑をかけないように、御負担にならないようにと考慮して進めていただいているということを前提に御理解いただきたいということを申し上げてきたので、医療関係をここに追加していただくのは当然の流れだと私は理解しています。
○小川分科会長どうもありがとうございます。
それでは、ただいま4人の委員からコメント、御質問がありましたけれども、三村副財務官からよろしくお願いします。
○三村副財務官ありがとうございます。
まず、伊藤委員から大きく2点御質問を頂きましたが、こういう業種の追加自体は簡単にできるのかというお話でございますけれども、これは、法律的には、先ほどもちょっと申し上げましたように、指定業種の追加、修正という場合には、外為法上の告示の改正という手続でございます。そういう意味では、今回のコロナもひょっとするとそういう1つかもしれませんけれども、時にはある程度機動的に急いで対応しないといけない場合もあるということで、行政の裁量にかなり与えられているところではございまして、これまでも、御承知のように、随時業種の追加自体はなされてございまして、昨年にはIT関係を追加させていただくというようなことがございましたが、それに続いてということでございます。ただ、当然のことながら、折に触れましてこの分科会にも御報告をさせていただくのは当然でございますので、今回、7月15日の全面適用前に、この機会を頂きまして御報告をさせていただいているというところでございます。
それから、大きく2点目のところでございますけれども、中身の話として、一方で、医療の中で、諸外国はもっと医療サービスそのものも入っているのではないのかと。あるいは逆に、医療機器のほうはむしろ外の技術を入れていくというようなことも大事ではないかという御指摘であったかと存じます。まず、医療サービスのところも含めてですけれども、今回の我々のほうでの基本的な選定に当たっての考え方は、当然これは関係の省庁、いろんなところとも議論をしたわけでございますが、最後の亀坂委員の御指摘にもちょっと絡むのでございますが、我々としては、できるだけ国の安全の観点からやる規制でございますので、できるだけ国民の命に直結するものについて規制をかけると。逆に、国民の命に直結しないようなところまでやるのは、これは明らかにやり過ぎだろうという考え方を1つ掲げてございます。そういう中で、もちろん病院は広い意味ではそういうことかもしれませんけれども、まず医薬品について言えば、先ほど申し上げましたように、感染症に関係するものにすると。これは、感染症であれば、まさにコロナであるように、広範な地域の国民の多数の命にも関わりますので、国の安全ということでありますので、これはきっちりとワクチンも含めて手当てをしようと。逆に、胃薬ですとか頭痛薬とか、そういったところまで規制をかけますと、これは明らかに国民の生命に直結する話ではないと思いますし、国の安全の観点から胃薬というわけにはいかないだろうというようなところで、医薬品についても絞ったということでございます。
それから、医療機器につきましても、先ほども申し上げましたように、高度管理医療機器に絞りましたのは、やはり、不具合が起きればそれを装着される方の命に直結するような機器に絞ってちゃんとやろうと。逆に言うと、何でもかんでも命に直結しないような広い意味での医療機器を全部ここに入れるのはやり過ぎだろうというようなことで、絞り込みをさせていただいているということでございます。
その上で、他方で、医療機器の分野も含めまして、あるいは、医薬品の分野も含めまして、必要に応じて、優れた外資の技術ですとか治験、ノウハウを取り入れることはむしろ必要なことではないのかと。これは全く当然のことでございます。これはまさしく、改正外為法を初めからここでお諮りしているときから我々としても掲げておるところでございまして、ずっと国の安全に対しての適切な対応と、他方で、日本の経済の健全な発展に資する、日本にとってよい投資はどんどんウエルカムすると。このバランスをどう取るかという話だということはずっとここでも御相談申し上げてまいりましたけれども、まさにそういうところだと思っておりまして、コア業種に追加されるから今後この外資を全部排除するということでは当然ございませんで、むしろ、伊藤委員がおっしゃいましたような、日本の技術の進歩につながるようなものはどんどん入っていただいていいという前提でございます。ただ、国の安全から本当に必要になったときに何か手を打たなければいけないというケースが国の安全上生じましたときに、そもそもこの制度の網にかかっていないので手が打てませんということではいけないだろうということで、これは、先ほど御紹介申し上げたように、諸外国もやっておりますので、我々としてもこれをぜひ、網が必要なときにはかけられるようにしようということでございますが、繰り返しですけれども、日本の技術の発展につながるような、ひいては、日本の保健の発展にさらにつながるような投資を排除しようという意図は一切ないということでございます。
それから、諸外国の例を先ほどちょっと申し上げましたけれども、それぞれ細かく見ますと、一口に保健医療といいましても、何を対象にしている、していないというのはいろいろあるのでございますけれども、私どもの理解としては、必ずしもどこの国もいわゆる医療サービス、病院のようなものへの投資までを今回コアにするとかということではないのかなというふうに我々も理解しておりまして、ここは当然いろんな御意見はあり得るのでございますが、先ほど申し上げた国民の生命に直結するものに絞るという観点で、少なくとも、今回、我々としては、いわゆる病院経営のようなものにまであえて含めないような判断をしたということでございます。もちろん、これは病院でございますので、一般的に対内直投の対象になる株式会社形式のものがどれだけ日本の場合はあるのだろうかというそもそもの問題もあろうかということでございます。
それから、伊藤委員から同じく、銘柄リストの関係の御質問がございましたところでございます。まさしく今後も定期的な改訂は必要だと思っておりまして、先ほどちょっと申し上げたとおり、今回の医療に関する業種の追加に伴うものをまたいたしますが、それ以降も、特にそういった業種自体の変更がない場合も、最低でも年に1回ぐらいの改訂をやっていかなければいけないだろうというふうに思っております。基本的には、毎回毎回やり方を変えるというわけにもいきませんので、むしろ、それで、投資家にとって、透明性のための制度がかえって不透明になりますので、基本的には来年以降も同じようなアンケートをお送りさせていただいてという、先ほど御紹介申し上げたやり方でやっていくということになるだろうと思います。企業のほうの答え方というところですけれども、我々としては、意図的に形式的にと申し上げましたのは、したがって、アンケートをお受け取りいただいた企業さんにも、そういう意味では形式的にお答えを頂くという前提でお願いをしているというところでございまして、もちろん、実際にお答えをされるときの企業様の内心までを我々が推察するわけにはいきませんが、基本的には、事実に即して淡々とイエスかノーかで、非常にファクチュアルにお答えを頂けるような質問をお送りし、回答を頂くことを期待しておるということでございます。伊藤委員の関係は以上であったかと思います。
それから、神保委員のほうから、ありがとうございます。我々のほうも、先ほど頂戴したような現場でのいろんな声というものは非常に貴重でございますので、よくそれを踏まえましてしっかりやっていきたいと思います。
体制のお話がございました。御承知のとおり6月に全面適用になりまして、役所の人事異動のスケジュールは御承知のとおりでございまして、事務年度のちょうど終わり際なものですから、正直申し上げまして、6月7日をもって、例えば財務省の場合に急に人を増やしちゃったわけではないのですが。ただ、これは実は、改正外為法と併せまして、昨年来、機構・定員要求の中で手は打ってございまして、7月1日付で新たに、改正外為法を踏まえまして、投資の審査を行う投資企画審査室というものを国際局の中に改めて組織として立ち上げまして、そこではまさに改正外為法の運営を専ら担当するということで、室もきちっとつくり、その上で、若干名ではございますけれども、人もちょっと増やせればということで、これは今年度に限りませんが、今後も考えているところでございます。
それから、まさしく日数の問題、我々としてはできるだけ5営業日ということなんですが、全体として、企業様から見れば、文字どおり、この1日、2日も結構大事だと思いますので、そういう意味では、これも過去に委員の皆様方から御指摘いただいたような、例えばできるだけ届出をオンライン化できないのかとか、そういったようなところも全体として皆様方の使い勝手のよさという意味では大事だと思っておりますので、ここは、届出や報告はそれぞれ、事後報告は今でもオンラインはできることはできるわけですが、それ自体の周知でございますとか、あるいは、届出も含めて少しでもオンライン的に、一々郵送の手間がなくてもできないだろうかと。これは、コロナでテレワークの世の中でもありますので、そういったことからも、そういった面も今回をもって終わりとはせず、引き続きよく議論して、またできるところをやっていきたいというふうに考えているというところでございます。
それから、渡井委員のほうから御質問いただきました、アメリカのほうで重要技術について新しいルールが出てきたというようなところでございます。ここは、アメリカに限りませず、実はほかの国もそうなんですけれども、今日の資料では、私はコロナの中で、基本的にコロナに関連してということで御紹介いたしましたが、これは日本もそうなわけですが、アメリカもそうですけれども、各国はもともとある程度対内直投の制度自体をしっかり強化していこうという大きな流れがあり、その中でまたコロナも出てきたということでございますので、恐らく、今日のこの時点での現状は、2つの流れが入り交じっているのが、各国のいずれもそうだろうと思います。例えば、アメリカもそういう意味では言うまでもなく、FIRRMAが通って以来、CFIUSの権限強化というようなことで、ずっと大きな流れとしてはやってきている。その中でもいろんなルールが出てきているわけですけれども、これが、もともと意図はしていなかったとしても、場合によってはコロナを受けて非常にタイムリーなものになったりですとか、あるいは、もともとそういった大きな流れの中でやるべきものが、コロナを受けてまた新たな視点を加えてやっていかなきゃいけないものとか、いろんなものがあるのだろうと思います。今日は資料には入れませんでしたけれども、例えばイギリスですとかオーストラリア、あるいはヨーロッパの国々も、EU指令をヨーロッパで踏まえて、あるいは、イギリス、オーストラリアのそれぞれも、昨年ぐらいからより大きな抜本的な対内直投の制度の改正自体もやったりしておりますので、これも、もともと考えていたことにコロナでの教訓がさらに加わっていくというようなことかと思います。ですので、これは御指摘いただいたアメリカのケースに限りませんけれども、各国がそういう状況でございますので、先ほども少し申し上げましたが、我々としてもこの辺はできるだけ勉強して、これはどこまでがコロナの対応か、あるいは、コロナを離れてより一層抜本的な対応、いろんなものを見ながら、また日本としてさらに何か学ぶべきものがありやなしやというところを見ていきたいというふうに考えているところでございます。
最後に、亀坂委員、誠に力強いお言葉を頂きましてありがとうございます。我々といたしまして、まさに金融機関に無用な負担はかけないようにしつつ、しかし見るべきものは見ると。しかし、伊藤委員の御指摘にもありましたけれども、無用に外国を排除することなく、当然取り入れるべきものを取り入れながらということで運用に努めてまいりたいと思っております。
以上でございます。
○小川分科会長どうもありがとうございました。
まだ御質問、御意見があろうかと思いますが、時間が随分過ぎておりますので、これで本日の議事を終了させていただきます。
なお、今回の議事録の作成は私に一任いただければと思います。その際、発言部分を事前に御覧になりたい委員の方におかれましては、会合終了後にその旨を事務局に御連絡いただくということにいたしまして、御連絡いただきました委員の方には、議事録を案の段階で事務局より送付したいと考えております。その後、1週間程度の間に御意見がない場合には御了解いただいたものとして理解させていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○小川分科会長どうもありがとうございます。
それでは、次回の分科会につきましては、事務局と相談の上、御連絡させていただきたいと思います。
以上でございます。
○岡村国際局長小川会長、ありがとうございます。
事務年度の最後の審議会という機会だと思いますので、一言御礼を申し上げさせていただきたいと思いました。
約1年前でありますけれども、思い返すとすごく昔のような気がいたしますが、G20の大阪サミットの報告からこの事務年度の審議会が始まりまして、それから、特に今年は外為法の非常に大きな改正、そして、政省令告示、それから、今日御議論いただきました銘柄リストでありますとか、それから、コロナ対応が起こりまして、外為法関係でずっと議論を進めてきた、そういう意味ではちょっと特徴的な事務年度だったのかなと思っております。
G20の関係、外為法、そしてコロナを受けてのウィズコロナの国際的な対応及び今後の見通し、こういった点の本当に盛りだくさんの重要な事柄について活発な充実した御審議、御議論を頂きまして、本当に心から御礼を申し上げます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○小川分科会長それでは、皆様、長時間にわたりまして御出席いただきましてありがとうございました。これで議事を終わりたいと思います。
午後5時57分閉会