関税・外国為替等審議会
第45外国為替等分科会議事録
令和2年3月18日(水)
財務省 国際局
於 財務省第3特別会議室
本庁舎4階
1.開会
2.「改正外為法の関連政省令・告示改正案について」事務局報告
3.閉会
出席者 | |||
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委員 | 伊藤 恵子 | 財務省 | 岡村国際局長 |
小川 英治 | 三村大臣官房参事官 | ||
奥田 英信 | 三好国際局総務課長 | ||
河野 真理子 | 今村国際局調査課長 | ||
清水 順子 | 土生外国為替室長 | ||
神保 寛子 | 桜田調査課企画官 | ||
杉山 晶子 | 経済産業省 | 飯田貿易管理部長 | |
高山 一郎 | |||
田村 善之 | |||
根本 直子 | |||
原田 喜美枝 | |||
春田 雄一 | |||
渡井 理佳子 | |||
臨時委員 | 安藤 光代 | ||
亀坂 安紀子 | |||
神作 裕之 | | ||
専門委員 | 井戸 清人 | | |
植田 健一 | |||
林 信光 |
○小川分科会長 ただいまより第45回外国為替等分科会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございます。本日、神作委員、植田委員におかれましては電話を通じて御参加いただいております。
さて、本日は新型コロナウイルスの感染拡大の防止の観点からの対応を行うこととしておりまして、委員の皆様には大変御不便をおかけしております。御協力のほどよろしくお願いいたします。具体的内容については今村課長より御説明を頂きます。
○今村調査課長 調査課長の今村でございます。私からは、新型コロナウイルス感染症への対応について御説明を申し上げます。
既に委員の先生方には入り口での検温、アルコール消毒並びにマスクの御着用に御協力を頂いております。感謝申し上げます。
本日のこの会議室につきましては、開催前にマイク等の備品を全てアルコール消毒いたしております。また、委員のお席の間隔も通常より広く取らせていただいております。それから、事務局側の参加者も必要最小限に限定しているというところでございます。
会議の進行につきましては、途中、5分間程度の休息を挟みまして換気を行わせていただきたく存じます。また、電話で御参加の神作委員、それから、植田委員に音声が明瞭に伝わりますよう、できるだけマイクに近づいて御発言いただければというふうに存じます。
委員の皆様には大変御不便をおかけいたしますが、御協力のほど何とぞよろしくお願い申し上げます。
○小川分科会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
事務局より「改正外為法の関連政省令・告示改正案について」御報告いただき、その後、質疑、自由討議の時間のお取りしたいと思います。
三村副財務官より御報告をよろしくお願いいたします。
○三村副財務官 恐れ入ります。副財務官、三村でございます。マスクも着用しておりますので、お聞き苦しいところがあれば恐縮でございますけれども、できるだけ聞こえやすいようにというふうに思っております。
恐縮でございますけれども、お手元のパソコン上に載せております資料の中の資料2「改正外為法の関連政省令・告示改正案について」ということで、壁上の画面にも出しておりますけれども、これに沿って御説明を申し上げたいというふうに存じます。
早速でございますが、まず、1ページ目、2ページ目、こちらは従来の外為法の改めてのおさらいということでございますけれども、これまでに御説明申し上げましたとおり、外為法の法律自体は昨年の11月に既に国会で可決、成立をいたしてございます。健全な投資を促進することと、他方で、欧米で安全保障の観点から対内直接投資の新制度をしっかりと強化するという流れもある中で、この両方のバランスを取ると。健全な投資は一層促進する。他方で、国の安全等を損ない得るものには適切に対応できるようにすると。このめり張りのある制度設計を目指してきているというところでございます。
次の2ページでございますけれども、こちらにございますのは、その際、法律の中で導入させていただいた制度の骨格でございます。これも復習でございますけれども、1つには、健全な投資、問題のない投資を促進するという観点から、株式取得時の事前届出を免除するという取得時事前届出免除制度を導入するということが、法律の中に盛り込まれた1つ目の柱でございます。
もう1つ目は、逆に、国の安全等を損なうおそれのある投資にはきちっと対応するという観点でございまして、この観点から事前届出の対象を見直すということで、1つは、上場会社の株式の取得時事前届出が必要となります閾値を現行(改正前)の10%から1%に引き下げるということ。それから、株式の取得した後でございますけれども、取得後に役員に就任する等々の行為をやる場合に改めて事前届出が必要になるという、このような行為時の事前届出の制度を新たに設けているというところでございます。
その上で、本日のメインの議題でございます昨年の法律改正を受けましての政省令告示の改正でございます。基本的には、今申し上げました中で、特に、事前届出免除制度、これの詳細設計をどうするかというところが、この政省令告示の最大の眼目というところでございます。
おめくりいただきまして、3ページ目でございます。こちらは、株式取得時の事前届出免除制度につきまして、政省令告示の中で何を盛り込んでおるかというところを整理したものでございます。投資家属性に応じまして、大きく3つの類型にこの免除制度を分けるということにいたしてございます。
一番左側、これは外国の金融機関の皆様方でございます。これは既に法改正のときから今までにも御説明を申し上げておりますけれども、外国金融機関の場合には、基本的に金融機関として諸外国の監督当局の規制、監督を受けている中で、金融機関の業務の一環としてこういった株式の取得を行うというふうに考えられますので、こういった金融機関につきましては、基本的には、1%の閾値を超えましても幅広くあらゆる業種について免除が受けられるようにする、こういう包括免除の対象にすると。これが外国の金融機関でございます。
逆に、一番右側の類型、言わばその対極でございますけれども、外為法違反で過去に実際に処分を受けた前歴のある方、それから国有企業、これは、後ほど申し上げますように一部認証を受けた者は除くということですが、一般的な国有企業、こちらにつきましては、逆に申し上げますと、潜在的に違反の可能性が高い、あるいは、純粋に経済目的で投資をするということではない可能性もあるということで、ここはむしろ国の安全の観点からしっかりと見なければいけないと考えられる投資家類型でございますので、こちらにつきましては基本的に免除は利用できないということですので、新たな閾値であります1%以上はすべからく事前届出をしていただくと。こちらも今までに御説明を申し上げているとおりでございます。
その上で、今回の政省令告示の中で最大の制度設計の工夫のしどころといいますか、眼目になりましたのは真ん中でございます。数の上では恐らく大半を占めるであろう一般投資家の方々でございます。先ほどちょっと申し上げました、いわゆる国有企業の中でも、物によってはあまり問題のない、むしろ日本のマーケットの積極検討を頂くべきソブリン・ウエルス・ファンドですとか公的年金基金、こういった方々もおられます。こういった方々も含めまして、これらの大多数の投資家の方々にどのような免除制度を提供させていただくかというところが政省令告示の最大の眼目だったということでございます。これにつきましては、真ん中の表にもございますように、結論としまして、政省令告示の中では、改正前と同じ閾値といえば閾値なんですが、10%というところに1つの言わば免除を受けるに当たっての閾値を設けまして、特に、国の安全の観点から非常に機微な業種、いわゆる武器の製造業でございますとか、そういったものでございます。後ほど具体的な中身を申し上げますが、国の安全の観点から、事前届出の対象業種の中でも特にコアな業種、こちらについて、投資をしていただきます際には、10%を超えて株式取得をする場合には、これは免除の対象外ということで、すべからく届出をしていただくと。他方、右下の斜線を引いてある部分でございますけれども、1%から10%の範囲内、この部分につきましては、コア以外の業種に比べまして若干の上乗せをした基準、この上乗せ基準をお守りいただくのであれば、これは、コアの業種に対する投資であっても免除の制度をお使いいただけるようにすると。こういうような制度設計を今回、政省令告示の中で提示しておるというところでございます。
考え方といたしまして、当然のことながら、投資家の皆様方、外国投資家の皆様方からもいろんな意見を伺いましたし、あるいは、前回の外為審で御説明した際にも委員の皆様方から御意見を頂戴しましたけれども、やはり、金融機関以外の一般投資家であっても、日本でそれなりのコアの業種も含めて、かなり大きな規模で投資をしてくださっている、しかも、日本にとってむしろ歓迎すべき投資家という方もいらっしゃるはずで、そういった方々がコアの業種についてはすべからく免除が受けられないというようなことだと、非常に健全な投資、あるいは、日本のマーケットに対する副作用が多いのではないかと、こういうようなお声が多々ございます。それから、発行体の皆様方からも、あまりコアな業種というようなことで数が限られますと、これまで、逆にコア業種になることによってかえって空売りの対象になったりですとか、あるいはサイバーアタックを受けたりですとか、そういう思わぬ副作用もあるのではないかと。
こういったいろんなお声がある中で、我々としましては、今申し上げたような制度設計にさせていただきますことで、国の安全の観点から必要なコア業種についてはしっかりと上乗せ基準を守っていただくことで、国の安全の観点からは守るべきものは守る。一方で、逆に、その基準をお守りいただければ、一般の投資家の方はコア業種につきましても免除を受けていただけるということで、健全な投資を行おうという外国投資家の皆様方に副作用が極力ないようにすると。こういうことでのバランスを取るべく制度設計をしたのが今回の政省令告示というところでございます。
4ページ目に移りまして、今申し上げた制度でございますけれども、表になっております部分は、今るる御説明申し上げましたことを改めて表で比較対照の形で整理したものでございますが、先ほど上乗せ基準ということを申し上げましたので、改めまして、免除を受けるに当たっての基準は何なのかというところを、このスライドでは御紹介申し上げたいと思います。
一般の指定業種の場合でございますけれども、これは、昨年来御説明を申し上げておりますように、基本的に、免除を受けていただくためには、左下の免除基準とあるところですが、3つの基準をお守りいただくということでございます。外国投資家の方が免除を受ける場合は、自らあるいは密接関係者の方が投資先企業の役員には就任をしないということをお約束いただくと。それから、2点目として、投資先の企業の指定業種に属するくだんの事業、これの譲渡ですとか廃止というものを株主総会に自ら提案するということはしないということ。それから、指定業種に関連する事業についての非公開の技術情報にアクセスをしないと。これが一般的に全ての指定業種に当てはまる免除の3基準ということでございます。
今3つと申し上げました内容も昨年来変えてはございませんけれども、若干表現等々を御覧いただきますと、今まで、事業の譲渡廃止の場合でございますとか、機微な技術情報へのアクセスというところで、どこまでのものが免除の対象になるのかならないのかというところが必ずしも明確ではないというお声も投資家の皆様方からございましたので、ここは、我々はもともとそういう意向ではあったわけですが、あくまで事業の譲渡、廃止というのはくだんの指定業種に関わる事業、これの譲渡の廃止を提案する場合なのであって、投資先の企業であっても、そもそも指定業種でないような事業の譲渡とか廃止とか、これは別に免除基準と何も関係なく自由にやっていただけますというようなことでありますとか、それから、非公開の技術情報といっても、これはまた、指定業種の事業と全く関わりのない情報であれば別に何ら制約はかかりませんといったところは、今回改めて政省令告示の書きぶりの中でも明確化をさせていただいたというところでございます。
<それから、その上で、コアな業種、先ほど申し上げた、特に国の安全の観点からより一層注意をする。したがって、1%から10%の範囲内につきまして上乗せ基準つきで免除が受けられるという業種につきましての上乗せ基準でございます。
右下にございます2つを考えておりまして、1つは、コア業種に係る事業につきまして、何か重要な意思決定を行うような委員会に参加をしないということでございます。委員会の名称自体はいろんな形があろうと思います。経営戦略委員会ですとか、いろんな委員会があると思いますが、これもまさに、当のコア業種に係る経営判断といいますか、事業戦略、こういったものを決定するような委員会に自らメンバーとして参加して、そこの意思決定をリードする、あるいは参画をするということは控えていただくと。
それから、もう1つ目の上乗せ基準でございますけれども、これも、あくまでコア業種に関連してというところを明確にいたしておりますが、それに関連して、取締役会ですとかメンバーの皆様方に期限を付して、かつ、書面でこういうことをしろ、ああいうことについて回答しろ、そういった回答、行動を求めるような提案を行わないということでございます。ここのポイントは2つでございまして、期限を付してというところ、それから、書面でというところでございます。したがいまして、仮にコア業種に関するお話だとしましても、別に書面を渡して期限を付してという形ではなく、一般的に投資先の役員の方々との対話の中で何か意見を言っていただくですとか、あるいは、むしろ先方の求めに応じて考えを述べるですとか、そういった類いのことまで何ら規制をする趣旨ではないというところで、できるだけ我々としては、コーポレートガバナンスの観点も当然ございますので、できるだけ過不足のない形で基準を設けようということで、このような形を今回は取っておるというところでございます。
以上が最大のポイントでございますので、次以降は少し駆け足で御説明を申し上げます。
次のページ、ソブリン・ウエルス・ファンドや公的年金基金の取扱いというところでございます。先ほど申し上げましたように、通常の国有企業はやはり国有企業ということですので、何らかむしろ純粋な経済目的以外で投資をなされる可能性もあるということで、一般的には免除が受けられないという形で整理をしておるわけでございますが、他方で、先ほども少し申し上げましたように、形式上国有企業等という概念に該当いたしましても、中には、ソブリン・ウエルス・ファンドですとか公的年金基金などで、むしろ通常の機関投資家として純粋に経済目的、収益目的で投資をしていただいていて、むしろ日本のマーケットにとって非常によいお客様というような方々も当然おられるわけでございます。こういった方々が国有企業である、それに該当し得るというだけで一切免除が使えないということになっても、これはまた本末転倒でございますので、こういった方々をどのように扱うかというところでございます。これにつきまして、政省令告示の中では、最終的に私ども財務省のほうでこういったSWFの皆様方から個別に申請を頂戴いたしまして、それで、我々のほうでも言わば審査をさせていただいて、個別に認証を差し上げる。認証を差し上げた場合には、その認証を受けられた方々、公的年金基金、SWFにつきましては一般投資家並みの免除を御利用いただけると。このような制度を今回採用しようということでございます。
その認証でございますけれども、真ん中の矢尻にございますように、私どものほうで相手方のSWF等から情報を得まして、その投資形態あるいは投資目的が、まずはそもそも純粋に投資目的、収益目的であるかどうかというところを確認させていただくということ。それからあとは、投資の意思決定に当たりまして、言わば意思判断のプロセス、ガバナンスのプロセスということでございますが、これがきちっと外国政府から独立して行われているかどうかと。こういったところを個別に一つ一つ申請を頂きますごとに確認させていただきまして、これは当然、実際の過去の日本市場における投資のトラックレコードですとか、そういったことを見ながらということになろうかと思いますけれども、あるいは、当然、定款その他の書類も見せていただきながらということになろうかと思いますが、これをやらせていただいた上で問題がなければ、先方のSWF等といわゆる確認書(MOU)のようなものを締結するということでございます。このMOUを締結したところには認証を差し上げることで、一般投資家並みの免除を受けていただけるようにすると。こういうことでございます。
前回も少し、この点は御紹介している中で御質問もあったかのように記憶しておりますけれども、MOU自体を締結しますという事実は、3つ目の矢尻にございますように、安易に公表をしないということを考えてございます。当然、どことどういうMOUを結んだか、結ばないかということを語りますと、特にMOUを結ばなかった方々との関係ではレピュテーションにも関わるということになりますので、我々としてはそこは非公表にするということでございますけれども、眼目としては、先方とMOUを締結すると認証が受けられて、免除が受けられるということでございます。したがいまして、逆に、我々がMOUを締結しなければ、認証は受けられず、免除も受けられず、国有企業としてすべからく届出は出していただかなければいけないと。こういう形でSWFや公的年金基金につきましては整理をさせていただこうという考え方でございます。
それから、6ページでございます。こちらから先は政省令告示でございますので、当然のことながら、制度を御利用いただくマーケットの関係者の方々から見ますと、もろもろのいろんな定義につきまして不明確な点がありますと、それ自体が投資を阻害するというようなことにもなりますので、また、逆に、出していただくべき手続がなされないというような効果にもなりますので、先ほど来出ておりますようないろいろなもろもろの定義を政省令告示の中でそれぞれ明確にさせていただくことにしたということでございます。
6ページ目は外国金融機関の定義でございます。先ほど申し上げましたように、外国金融機関は誰もが包括免除を受けられるということでございますが、これ自体はかなりシンプルな定義にしておりまして、日本の業法、あるいは、日本以外のいずれかの国におきまして日本の業法に準ずるような法令に基づいて規制、監督を受けている証券会社、銀行、保険会社、運用会社等々のいわゆる金融機関に該当するような方であれば、これはすべからく外国金融機関として包括免除の対象になりますという形にさせていただいておるということでございます。法令の中身を一つ一ついわゆる同等性評価的なことまでやろうということは思っておりませんで、金融機関として何らかの規制、監督を受けていれば、これは属性も明らかでございますし、いざとなれば我々は監督当局を通じても情報を得られるということで、ここはすべからく包括免除の対象にしようということでございます。
それから、次の7ページのところ、密接関係者の定義でございます。先ほど申し上げましたように、一般的に免除をお使いいただく場合の要件の1つとしまして、外国投資家の方、自らはもとよりでございますが、その密接関係者の方も役員には就任しないようにしていただくということが3つの基準のうちの1つとしてございます。では、密接関係者というのはそもそも誰なのかということでございまして、これも、我々も昨年来、たくさんの外国投資家の方に御説明を申し上げる中で、ここは必ず定義を明らかにしてくれというふうに言われておったところでございます。
表を御覧いただきますとかなりごちゃごちゃとした印象をお受けになるかもしれませんけれども、基本的なポイントは、ちょっと小さい字で恐縮でございますが、(注2)と(注3)のところでございまして、端的に申し上げますと、1つは、(注2)のところといいますのは、今でも、改正前の外為法におきましても、実は密接関係者の定義というものは別のところにございまして、これは、投資家と密接関係者の方は、株式の閾値を超えているかどうかを判断するときに、密接関係者であればちゃんと合算して計算しますという規定がもともとございますので、そういう意味で、外為法の既存の定義として密接関係者の定義をしている部分がもともとあるというのが(注2)のところでございます。
それから、(注3)は、これはもう御存じの委員の方も多いかと存じますけれども、今、東証のガイドラインの中で独立役員になれる方、あるいはなれない方の定義というものがお示しをされております。当たり前ですが、株主と何らかの利益相反が生じるような方であれば、これは独立役員にはなれませんよということなのでございますけれども、今回我々がこの政省令告示の中で密接関係者の定義を行うに当たりましては、基本的に今の2つを取りまして、既存の外為法の定義における密接関係者の定義、それから、東証のガイドラインにおける独立役員になれない方の定義、これを基本的には援用しまして密接関係者を定義したということでございます。つまり、ポイントは、外国投資家に制度をお使いいただくに当たりまして、何かこの制度だけのために全く新しい概念を入れるということを基本的に控えまして、既存の外為法なり東証ガイドラインの定義によるようにしたということでございます。
こちらの(注4)にございますように、国有企業等々の場合はその国の政府等々も駄目ですということで、これは、国有企業独自のものは入れてはございますけれども、一般の民間の投資家の方にとりましては、既存のルールで密接関係者の定義の範囲というのは分かるという形でございます。
それから、次の8ページのところ、これはもう1つの免除の基準の関連でございます。先ほど申し上げましたように、指定業種に絡みまして非公開の技術情報にはアクセスをしないということが免除に当たっての定義ということになってございますけれど、アクセスする、あるいは、非公開の技術関連情報というのはそもそも何なのかということでございます。これも定義をしておりまして、細かい内容は少し割愛をいたしますけれども、基本的には、ポイントは、技術そのものを取得することはもとよりでございますが、技術の管理の仕方でありますとか、そういったことについて例えば緩めてくれというような提案も、これは間接的に技術にアクセスすることと実態として同じ効果を持ちますので、そういったことはやめてくださいということでございます。
他方、真ん中の(注)にございますように、投資先の会社のほうから自発的にその情報を提供してくるような場合、これは、結果として情報に接するといたしましても、これをアクセスしたであろう、基準違反だと言うのは問題になりますので、そういった投資先のほうから自発的、能動的に提供したようなケースは基準違反にはなりませんということを明確化したということでございます。
それから、これも外国の投資家から時々質問を受けておりましたので書いてございますが、当然のことながら、これはあくまでも、業種についての機微な技術の情報にアクセスをするということがポイントでございますので、米印のところにございますような、例えば、一般的な発表前の当期の財務情報でございますとか、あるいは、役員の皆様方の報酬等々でございますとか、こういったものは確かに機微かもしれませんし、場合によっては非公表かもしれませんが、この本件の制度における国の安全、あるいは、国の安全に関わる技術という観点とは特別に関係のない情報というふうに判断をいたしまして、こういったものにアクセスをすることは、別に本件で基準においてお控えいただくような技術情報へのアクセスには当たらないというところ、ここも今回は明確化をさせていただいておるところでございます。
それから、次の9ページ目でございます。最初に事前届出免除制度の大枠を御説明申し上げましたときに、コア業種とコア業種以外ということを申し上げました。コア業種であれば、免除を受けられる範囲が10%というシーリングと、それから、上乗せ基準が係ってくるということでございますので、コアなのかノンコアなのかというところがその限りについて意味を持ってくるわけでございますが、9ページ目のところは、コア業種には何が当たるのかというところでございます。若干見づらい表で恐縮でございますが、当然、改正前でも事前届出の制度というのはあるわけでございますので、従来の事前届出の対象の業種はこういう業種ですよということは告示で指定をしてございます。これが真ん中にございます指定業種(155業種)というものでございます。日本全体では、日本標準産業分類によりますと1,500業種ぐらいあるということでございますので、ざっくりとその1割ぐらいを、改正前の外為法におきましても指定業種として、事前届出制度の対象になり得る業種ということで指定しておるということでございます。今回、当然、指定業種(155業種)全体の集合体というものは特に広がったりすることはないわけでございますけれども、逆に、今回の制度改正に伴いまして、この指定業種(155業種)が、今後はコア業種とコア以外の業種に分かれていくということになるわけでございます。いずれも事前届出制度の対象にはなるけれども、コアかコアでないかによって、10%の閾値の要否ですとか上乗せ基準の要否が変わってくるということでございます。これは、155業種につきまして、今回、告示の改正案の中で、155業種中何がコアで何がコアでないのかということを改めて整理し、明確に規定をしておるということでございます。
何がコアになるかというところ、こちらは上のところにも細かく書いてございますが、次のスライド、10ページのスライドのほうにより詳しく書いてございます。御覧いただきまして、従来から使用例ということで申し上げてきたような、例えば武器の製造でございますとか原子力関連、こういったものは当然入るわけでございます。それ以外にも、航空機ですとか軍事転用可能な汎用品といったようなものはすべからくコア業種になるであろうということで整理をしてございます。
他方、これは昨年来申し上げてきたことですが、電力でございますとか通信のような、こういった主要インフラ、これも今回はコア業種に入れてございますが、昨年にも既に申し上げたような記憶がございますが、例えば電力などにつきまして、あるいは通信につきまして、規模を問わずあらゆる小規模のものまで含めまして全部コアだということも、これはまた国の安全という観点からもツーマッチでございますし、当然、投資をできるだけ円滑にという観点からも、そこは過度ではないかということにもなりますので、電力あるいはサイバーセキュリティ以下のところは、細かくいろいろと括弧書きの中で書いてございますが、考え方としては、電力だから全部コア業種だというような形にはしませんで、それぞれに一定の規模以上、あるいは、例えば一定の送配電のネットワークというような、そういう非常にインフラネットワークとして欠かせない枢要な施設を持っている会社、こういったような規模でございますとか持っている施設、そういった内容に注目をしまして、本当に国の安全に関わるインフラネットワークという観点で重要な会社に限ってコア業種に載ってくるような形で整理をさせていただいておるということでございます。
それから、もう1点、ここでポイントになりますのは、一つ一つ御覧いただくしかないのですが、最大出力5万キロワット以上とか、それぞれ括弧書きで、水道であれば5万人超とか、いろんなことが書いてございますが、これのポイントは、今回、ここに書いてある基準は、外為法のために何か本邦初で導入する基準というわけにはなってございません。それぞれに有事の対処法でございますとか、あるいは、場合によっては、ガスの場合ですとガスの事業法でございますとか、そういったそれぞれの既存の法律の中で存在している基準をここでは引用いたしまして、したがいまして、関連の業者さん、あるいは投資家の方から見れば、既存の法律の中にある基準ということですので、どの会社が該当するかしないかということもできるだけ分かりやすく、できるだけ外為法の今回の制度だけのために何か新しい基準を導入するということを避けるべく、それぞれの関連する法律の中から、コアかコアでないかのところの境目の基準をつくらせていただいておるということでございます。
11ページ目でございます。何がコアかというのは、業種別には今回お示ししております告示案の中で、そういう意味で、今申し上げたような形で全て明記をしてございます。その上で、ただ、外国投資家の皆様方からは、何がコア業種かということが分かっても、実際に個々の企業を見たときに、どの企業がそのコア業種をやっているのか、やっていないのか、あるいは、ノンコアの指定業種をやっているのか、やっていないのか、特にこれは外国投資家から見ると分からないと。10%であれば滅多に抵触しないからいいのだけど、1%だとちょくちょく超えるかもしれない中で、外国投資家にとって、毎回毎回日本語の定款を調べて、それで届出の要否を判断しろというのは非常に手間がかかると、こういうお声があったということでございます。
それに応えまして、これは今現在作成中でございますけれども、日本のマーケットの上場企業は3,700社強ございますが、こちらの一つ一つにつきまして、今現在、ここの表にあるようなイメージ図のリストを作成中であるということでございます。どのようなリストかということでございますが、今後の日本の上場企業、そもそも指定業種ではない、したがって、事前届出制度のそもそも範囲の外にいるという会社、それから、いわゆる指定業種を営んでおられる中でコア以外の業種だけをやっておられる会社、それから、コア業種を営んでおられる会社、この3つに分かれるわけでございます。このどれに当たるかによって、そもそも届出の制度の対象になるのかならないのか、それから、なるとして、上乗せ基準ですとか、そういったものがかかってくるのかこないのかということが変わってくるということでございます。このリストは、上場企業全てにつきまして①、②、③のどれに当たるのかということが、下のようなイメージで端的に分かるようにすると。こういうリストを今、作成しようとしているというところでございます。これも過去に御説明を申し上げたことがあるような気がいたしますけれども、ここでの1つのポイントは、何ゆえにそれぞれの会社が①なのか、②なのか、③なのか、特にコアの③なのかという、その理由等々はあえてお示しをせず、単純にどの分類に属するかだけをこのリストの中では書こうと思っているということでございます。したがいまして、何かこのリストによりまして、この会社はこんな業種でこんな事業もやっているのか、こんな技術を持っているのかというようなことは、このリストで別に分かることにはならないわけでございますが、他方において、外国投資家の方からすれば、このリストを確認すれば、届出が必要なのか、必要でないのか、あるいは、免除を受けるときにどういう基準が必要なのかということが、ある種容易に想像がつくということでございます。
大体、以上が今現在の政省令告示の内容、あるいは、今現在やっておる作業ということでございます。
12ページ以降は既に今までに御説明をしているものでございまして、12ページ目は、最初に少し申し上げた、株式を取得した後の行為時、でも、役員に就任する、あるいは、その事業の譲渡廃止の提案をするという場合に届出が必要になりますというところにつきまして、今回、これも政省令告示の中で細かなところを明確化しましたというお話でございます。
それから、13ページ目、これは外国投資家の範囲で、すみません、ここはちょっと1点申し上げておいたほうがいいかと思いますが、今回、外国投資家の範囲というものも一連の制度改正の中で改正することにいたしてございます。現状は、ブルーのところを御覧いただくとよろしいわけですが、今の外為法ですと、外国投資家(非居住者)の方と、その方から見た孫会社までが外国投資家の定義ということでございまして、逆に言いますと、ここでオレンジで塗ってありますようなひ孫会社以下でございますとか、あるいは子会社から見た甥会社でございますとか、こういったものはいかに実態的に、株式支配の関係からいきますと、外国投資家の方の言わばコントロールが利くように見える会社であっても、外国投資家の定義から外れているというのが現状でございました。これもまた、それならば、会社をもう1枚かませればすぐ外国投資家の定義から外れてしまうのかというところもございますので、ここも今回、定義の見直しをさせていただいたということでございます。ただ、見直しといいましても、これも何か全く新しい定義を導入するということではございませんで、端的に言いますと、今の会社法にあります子会社の定義、これをそのまま我々の外為法においても援用すると、こういう形にしております。ですので、今後は、単純に会社法上子会社にされるようなものであれば、すべからく外国投資家になりますということでございます。ですので、これも、マーケットの皆様から見ましても、制度は変わりますけれども、従来の子会社、会社法上の範囲で御判断は容認いただけるかなということでございます。
それから、14ページ、15ページ、これは投資組合の扱いのお話でございますけれども、過去に御説明を申し上げたかと思いますので、割愛をいたします。
それから、16ページ以降、これは新しいものではございませんけれども、今るる御説明申し上げましたことは、かなり制度がややこしい部分も正直あろうかと存じます。特に、外国投資家の方々にしますと、細かい内容もいいのだけど、結局自分はどうなるのかというお話も当然あろうかと思いますので、できるだけ制度の前提をお分かりいただくにこしたことはないのですが、ポイント、制度の全体を十分分からずとも、このフローチャートをたどれば、自分は届出が要るのか要らないのか、あるいは、要らないとしたら何をやればいいのかがお分かりいただけるような、そういうフローチャートをそれぞれの場面ごとに、16ページ目から19ページ目まででございますけれども、作らせていただいておるというところでございます。ですので、投資家の方々は、このフローチャートをたどっていただけると、かなり自分がどういう位置づけになるのかがお分かりいただけるのではないかと期待をしております。
最後、20ページ目でございます。長くなりまして恐縮でございます。今後のスケジュールでございます。今回の政省令と、それから告示案でございますけれども、先週の13日(金曜日)の深夜にパブリックコメントにかけさせていただいておりまして、現在、30日間のパブコメ期間、4月12日までということになりますが、30日間のパブコメ期間の最中、始まったところというところでございます。パブコメを終えますと、今のところ4月の下旬と思っておりますが、パブコメにつきまして当然精査をさせていただいて、もちろん、仮に何かさらなる政省令告示の見直しを要するような御意見を頂きますれば、当然それも必要に応じて対応させていただきまして、政令の閣議決定、政令につきましては閣議決定が必要でございますので、4月下旬にはそれをさせていただき、先ほど御紹介しました銘柄ごとのリスト、①、②、③というリストでございますが、これもこのタイミングぐらいで表に公表したいというふうに思ってございます。これを踏まえまして、具体的には、連休の前後に政省令告示の公布をいたしまして、公布後しばらくして、ゴールデンウイーク明けぐらいには政省令の告示、それと、法律も併せまして施行をさせていただきたいと考えてございます。昨年秋に答申を頂きました改正法の附則の中で、この一連の改正法は、実際に施行してから30日後に改正後の内容がフル適用になるという規定が、言わば経過規定として入ってございます。したがいまして、5月の連休明けぐらい、5月の上旬に施行に至りますれば、それから30日後ということで、6月の上旬には改正後の内容がフル適用ということになりますので、来る株式総会のハイシーズンには間に合うという、このような日程感で今後は進めたいと考えているという次第でございます。
長くなりまして恐縮でございます。私からの御説明は以上でございます
○小川分科会長 ありがとうございました。
岡村国際局長から何かあればお願いします。
○岡村国際局長 小川先生、ありがとうございます。
三村副財務官から一気通貫で非常に詳細な説明をしてもらいましたので、中身の点について、私が何か追加したり補足するようなことはありませんが、ちょっと鳥の眼で、全体像的なことを短く申し上げて、休憩を挟んだ後、御審議、御意見を賜りたいと存じます。
審議会で累次にわたり御意見を頂戴いたしまして、それから、法律案を国会で審議いただいておりますので、それらを踏まえて、市場関係者、特に海外の投資家にも御意見を賜ってということをずっと続けて、また、政府の内部でもいろいろ意見交換をしながら、今回、1つの案をまとめております。これを先生方にお示しして、併せて、パブリックコメントに付すというところまで来ているという状況でございます。もともとこれは、最初の資料で説明がありましたし、法律のときにも話をしておりましたが、投資促進の大原則、加えて、コーポレートガバナンスを強化するという潮流があると。この投資の自由・促進ということと、それから、国際的な動きも踏まえて、国の安全などのために必要最小限の規制を速やかにしなければならないということ。この両者のバランスをどう取るかがポイントでございました。
それで、今回導入する取得時事前届出免除制度、これについて、制度の具体的な設計は政省令以下に委任されておりますものですから、通常の政省令、下位規範の議論のような用語の定義や概念範囲の明確化といったもの、――もちろん、こういった点も今回の政省令の中に随分たくさん含まれていまして、それらを明確にお示しするということも1つの眼目なんですが、それに加えて、――具体的な新しい制度の設計をどうするかということ、特に冒頭申し上げました2つの要請――「投資自由」と「国の安全等のための必要最小限の規制」――をどうバランスを取るかということを、どう制度に落とし込んでいくかということが眼目だったわけであります。
そこで、具体的に2点ありまして、1つは、業種で区分して、それで、審査付事前届出という規制の法体系であるということを前提にしてどうバランスを取るかと。その答えが、今回、私どもは赤の色を薄めたオレンジという言葉で言っていますが、オレンジ免除。一般投資家の方々に、ほとんどの投資につきまして、銘柄にかかわらず免除の利用を可能とすると。その一方で、コア業種というものを、むしろ不自然に絞り込むことなく、国の安全等の観点からより注意が必要だというものをコア業種として過不足なく指定するということ。それを組み合わせることができたというオレンジ免除の制度というのが、業種で区分して審査付事前届出に付すという法体系下でバランスを取るということの1つの答えであります。
それで、あともう1つの点というのは、アメリカの法体系のようにホワイト国を指定するとか、ホワイト投資家を一般的な制度として指定するということではない、特定国を対象としない日本の法体系を前提として、いかにバランスを取るかということの一定の答えが、包括免除制度。即ち金融機関等に包括的に免除を利用可能にするということと、それから、ソブリン・ウエルス・ファンドや公的年金基金について、個別にMOUを締結することによって免除の利用資格を認証するという制度であります。
この2つの点が、今回の法律から政省令を具体化するというところで、いかに両者の要請のバランスを取ってきたかということについてのお答えだったということ、それだけ最後に追加して申し上げておきたいと存じます。ありがとうございました。
○小川分科会長 ありがとうございました。
それでは、ここで一旦換気のための休憩を取りたいと思います。5分後に再開いたします。
午後3時42分休憩
午後3時47分再開
○小川分科会長 それでは、議事を再開したいと思います。
質疑、自由討議に入らせていただきたいと思います。御質問や御意見等がございましたら、御臨席の委員におかれましては従前どおり名札を立てていただきたいと思います。それから、電話で御参加の委員におかれましては、事前に事務局より御案内いたしましたとおり、御発言の意思をメールにて事務局までお知らせいただければと思います。
それでは、亀坂委員、お願いします。
○亀坂委員 御説明ありがとうございました。本当にとても多くの労力をされてこの改正案を御準備いただいたのではないかと推察いたします。
そのような中で、大枠は私は賛成で、正直言って、これ以上のことはこの短期間でできなかったのではないかと。あるいは、今の日本の政府内の体制からして、これ以上のことはできなかったのかなと思います。できる限りの最大限の対応を考えてくださったと理解しています。
それが前提の上であえてコメントをさせていただきますと、資料2の、まず3ページなんですが、ここが一番気になったのですが、3ページの包括免除なんですが、私は研究の関係でいろんな国を訪問して、いろんな金融機関の方々のところを訪問したり、あるいは、現在も海外からいらっしゃった様々な金融機関の方と接触する機会があるのですが、外国金融機関を全て包括免除とすると、やはり、国によって金融機関の実態というのはかなり異なるように思っていまして、包括免除をかけざるを得なかったのかなと思うんですけれども、こうしてしまうとやっぱりちょっと緩いのではないかというふうに思いました。
あと、一般免除のほうも、上乗せ基準はやはり気になります。これで、そもそもの改正の目的が、日本が軍事転用可能な技術の流出だとか情報の流出から守れて、諸外国から見ても、日本がそれらの技術情報の流出とか情報の抜け穴になっていないと見えるかというと、やっぱりどうしても限界があると思うんですね。
この間、去年の夏からなんですけども、9月ぐらいからなんですが、様々な外国金融機関の方とかから私も個別に問合せを受けまして、上場企業ばかり負担で、非上場企業はやっぱり甘いのではないかということが言われて、先ほど13ページのほうで外国投資家の範囲とかも説明していただいたのですけど、そもそも論として、外国投資家を非居住者とするというところから、やっぱり大分、金融機関の方々からも、非上場企業は買いやすくて、上場企業に対して弊害があるのではないかということをずっと言われ続けてきました。
ですので、今回の改正は私は全面的に賛成で、これ以上は今の日本の体制ではできないと。できるぎりぎりのところまで対応していただいたと理解するのですが、今日も日経新聞を見ていたら非常に気になる記事がありまして、日経新聞の朝刊の4面なんですけども、「NSC、経済安保を幅広く」という。それで、デジタル通貨とかが出ているのですが。本来はこういったところから、より安全保障を専門とする政府内の部署でこういった問題を引き続き検討していただいて、昨年の夏の時点で、これまでも何度か申し上げましたけれども、私はたまたま外為審の委員と経済産業省の産業構造審議会安全保障貿易管理小委員会の委員を兼ねさせていただいていて、そこでの議論も非公開でなされていたわけですが、非公開でなされていた中で、報告書自体は、前々回の外為審の分科会が終わった当日の夜にそちらの小委員会の報告書自体もホームページ上に公開されたわけですけれども、そこでの議論では、外為法改正では限界があると。どうやっても過不足なくといっても過不足は生じてしまうと。外為法は経済法で原則自由なので、本来であれば、政府内の体制が整うようであれば新法で対応して、外国投資家の定義のところとか、そういった根本的なところから見直して体制づくりをして、日本版のCFIUSを設置して対応すべきだという意見が出ていたんですね。特に、前々回での外為審ではまだ非公開の情報で、しかも、報告書でさえ公表されていなかったので、そういった発言はできなかったわけですけれども、私も本来はそうすべきだというふうに、去年の7月以降、経産省のほうの小委員会の委員として議論に参加させていただいて思いました。
ですので、体制が整うようであれば、今せっかくこの案を御提示いただいて、こんなことを言うのは本当に失礼なことかもしれないですけれども、大変恐縮ながら本音のところで意見を述べさせていただくと、本来は外為法は経済法なんです。原則自由なわけですから、安全保障に特化した新法が必要だと。専門部署も必要だと。そうでないと、欧米諸外国から見て十分対策を練っている国ではないとみなされてしまって、そっちの悪影響が今度は出てくるのではないかと思っております。
以上です。
○小川分科会長 ありがとうございます。
たくさんの方から名札が挙がっていますので、まず、今、名札を挙げていらっしゃる委員の方々には挙げた順番に当てていきたいと思いますので、御発言をお願いしたいと思います。
それから、申し上げるのを失念したのですが、本日御欠席の鈴木委員からの意見書が提出されております。画面上で御確認いただければと思います。
それでは、清水委員、お願いいたします。
○清水委員 御説明ありがとうございました。
5ページ目のソブリン・ウエルス・ファンドと公的年金基金の取扱いということについて、これは、前回私も御質問をさせていただいて、こういった結果を公表するのかどうかみたいなことに関して非常にきちっとした案で御対応いただきまして、誠にありがとうございます。これに関しては一般免除ということで、包括には至らないが、一般免除をMOUを使って付与することで、なるべく相手に対して不便にならないようにという御配慮をした取扱いになっているかと思います。
もし差し支えなければ、こういうことを決める間に、恐らく幾つかのソブリン・ウエルス・ファンドだったり年金基金にヒアリングをなされたかと思いますが、そこでの御意見なり御感想とか、こういうことをするよと言ったときの相手の反応みたいなものが分かれば教えていただければと思います。
また、やはり、個々にMOUを結ぶというのはかなりの手間がかかるということで、特に、年金基金はアメリカなどにはたくさんあると思いますし、そういった中で、もしこれに見合わない基準みたいなものがあるとすれば、それはどういったことなのか。公開はしないにしても、この場で何かクライテリアのようなものを決めていらっしゃるのであれば、それについてもお教え願えればと思いました。
○小川分科会長 続いて、神保委員、お願いいたします。
○神保委員 御説明いただいてありがとうございます。今回公表された案を拝見しまして、私は、コア業種については思ったよりも少し広めなのかなというふうに感じましたけれども、それと、上乗せ基準による追加のコア業種についても、上乗せ基準を遵守する投資家については免除されるというところで、うまくバランスが取られているのかなというふうに感じました。
1つ御質問と、あと、2つは意見というか、ちょっと細かいところ、いつも細かいところで恐縮なんですけれども、質問としては、上乗せ基準の守るべき基準のところで、コア業種に関して取締役会等に対して書面で期限を聞いて要求をしないというところなんですが、ここは、例えば、何となくここの記載だけを見ると、アクティビストファンドがターゲットになっているのかなというところはあるものの、もう少し広く見ると、事業会社で、発行会社との間に事業取引があるような会社の場合には、通常の事業の中でコア業種に該当する事業の取引の中で書面で社長宛てに行動を求める、執行役員宛てに書面を出すということは結構普通にあるのではないかという気がしておりまして、1点目の上乗せ基準は重要な意思決定権限というふうに、重要なものという限定があるのですけれども、2つ目の基準については、重要性であるとか、そういったところを問わない基準になったというふうに理解するのがいいのでしょうかというところが御質問でございます。
2つ目は外国投資家の定義のところなんですが、ここは、御質問なんですけれども、半分質問なんですが、外国投資家の法26条の定義は、議決権の50%以上だというふうなところが法律で決まっているので、今、資料では、会社法の子会社とされる限り全て外国投資家というふうに言われているのですが、会社法上の実質基準で40%台なんだけれども、契約等を通じて子会社支配がされているという会社が会社法上は子会社なんですが、そういった会社自体は該当しなくて、そこを通じて50%以上を持っていると該当するというふうに読んでいるので、少しミスリーディングな記載になってしまっていて、読んだ方が勘違いをしてしまうので、ここは修正を頂いたほうがいいのではないかというふうに、私の理解で正しければ、そういうふうに思ったというところです。
あともう1つは、外国投資家が広がったこととの関連なんですが、前回の審議会のときにも少し申し上げたのですけれども、既存の居住者の外国投資家で、結構大きな企業グループさんがあったりしますが、そういった場合に、子会社に一番上の会社の従業員の方が役員で派遣されているというのはすごくよく行われていることで、拝見して、既に事前審査を経て取得した議決権が50%以上ある場合はということで除外を設けていただいて、考慮いただいたなというふうに思ったのですけれども、やはり、ちょっとまだ足りないかなというふうに思っています。なので、例えば、居住者が外国投資家で、外国投資家になる前から保有している子会社ですとか、一度取得した後に指定業種として届出をして、指定業種が拡大したことによって指定業種に当たることになってしまった場合とか、オーガニックに事業成長を行ったことによって拡大した場合というのがキャッチされないのですけれども、そういった場合も免除がされるようなきっかけになるような制度を設けていただくと、多分財務省さんにも無駄なものがいっぱい届かないのではないか。多分あまり見てもしようがないものがたくさんあるのかなというふうに思っているので、限定されるような制度をちょっと御検討いただきたいなというふうに思いました。
○小川分科会長 ありがとうございます。
それでは、渡井委員、お願いします。
○渡井委員 御説明をありがとうございました。私も、安全保障への対応と同時に、外国投資家の負担にも考慮がなされた御提案であると考えております。
その上で、2点ほど確認のためにお尋ねしたいと思います。まず1点目は、今後は英語による申請やオンラインでの申請が課題になるという報道も見られたところでございますけれども、外国投資家からすれば要望の多いところですので、これらについての見通しがもしおありでしたらお聞かせください。
2点目は、コーポレートガバナンスの強化にも配慮されたという御説明を頂きましたが、機関投資家としましては、その責任を果たすために、投資先の状況について的確に把握する必要があるものと存じます。この点に関して、今回の御提案が日本版のスチュワードシップコードの在り方に影響を与えるということがあり得るのかどうか、お教えいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
○小川分科会長 それでは、奥田委員、お願いします。
○奥田委員 どうもありがとうございます。
まず最初に、先ほど亀坂委員がおっしゃったことに同意です。同じような意見なので、ここでは時間が無駄だから繰り返しませんが、同じ意見だということを最初に申し上げたいと思います。
それから、2つ目ですけれども、本来、外為法を工夫していろいろ適用していくというところにやっぱり限界はあるのだろうと思うんですね。そういう意味で、ここから先を言うと繰り返しになっちゃいますけど、亀坂委員の御意見というものは非常に大切だと思います。
外為法で1回、以前にイギリスのファンドの電源開発の出資問題で議論があったのですが、たまたまそのとき私はその中の委員をやっていたのですけれども、そのときはいろんな方から意見を頂いて、経済効率性から言うと認めたほうがいいのではないかという意見がたくさんありました。ただし、そのときに問題になったのは経済効率性の問題ではなくて、日本の送配電のシステムが、電源開発が抜けてしまうと維持できないと。だからそこのところは守らなきゃいけないんだという議論でした。それを外為法で防いだという形になっているんですね。本来は外為法を使っているものではないのではないかと思うんですけれども、何でこういうことが起こっちゃったかというと、送配電のシステムというものを、かなり遅れた制度を使っていたので、こんなことが起こったのではないかと思います。ですから、亀坂委員の意見をもう一度言うと、同時に、それから、外為法に過度な負担がかからないように制度設計をあらゆる面で前広にやっておくということがとても大事ではないかと思います。そうでないと、結局外為法で防ぐような形になってしまうので、いろんな制度設計が必ずしも進んでいると思いませんので、その辺を早めに整備しておくことが過度な負担をかけないコツではないかと思います。
以上です。
○小川分科会長 次に、原田委員、お願いします。
○原田委員 御説明ありがとうございました。
スケジュール感を最後のページで御説明いただきまして、そこから解釈するに、経過措置は設けられないで、改正後フルに適用開始ということであろうというふうに理解いたしました。そうしますと、多々寄せられてきた懸念を払拭するということについても今後継続して行っていただいて、今はパブコメ期間中でありますけれども、パブコメ期間に上がってきたパブコメについては全てに対応していただいて、準備を入念にしていただければということをお願いしたいと思いました。
今日御説明いただきました中では、事前届出の企業については、今、リストを作成中であるというふうにお話を伺いました。ちょっと考えてみますと、届出が必要となる場合に関することについては、今日はほとんど御説明いただかなかったなというふうに思いました。以前のこの分科会ですと、事前審査にかかる日数は5営業日であるというふうに御説明いただいたように記憶しているのですけれども、株の取引は買った2営業日後に受渡となりますので、3日間のギャップは残ります。たとえば、これは多分、事前届出をしなきゃいけない人たちにとってみれば、残る懸念であろうかと思いますし、似たような懸念はまだまだ残っているのではないかと思います。事前届出の企業のリストについても今、作成していらっしゃっているところとお伺いしています。以前は財務省内の方々で対応していらっしゃるのかと思っていたのですが、外注していらっしゃると聞きました。そういうところについてももう少し透明性を高めていただければというふうに感じました。繰り返しになりますけれども、懸念を払拭していただいて、投資の促進に結びつくような準備をしていただきたいということになります。
○小川分科会長 それでは、根本委員、お願いします。
○根元委員 ありがとうございます。
今回、拝見して、投資の促進、コーポレートガバナンスにも配慮されて、非常にバランスの取れた結論になっているかと思いますし、産業界の方など、いろいろとヒアリングを重ねられたということを感じます。ただ、プロセスとして、法令の前にもう少し他方面の意見を、聞いていらっしゃるかもしれませんが、私がちょっと見えていないのかもしれませんけど、聞かれると、もう少し円滑なコミュニケーションがあったのかなというふうに思いました。
1つ質問としては、今回、すごく予見可能性が高められていると思うんですけど、免除基準の役員というところですね。この定義というのは、すみません、見落としているのかもしれないですけど、会社法等の、あるいは、スチュワードシップコードの定義も執行役員を入れるとかがあると思うんですが、どういうものなのか、そこを教えていただければと思います。
○小川分科会長 それでは、河野委員、お願いします。
○河野委員 ありがとうございます。1つだけ御質問をさせていただきたいと思います。
今回、特に10月、11月の時点ではコア業種とコア業種でないものの区別がなされていなかったものが、その区別が入るということで、より投資の自由化のほうに重点が行ったと思うんですけれども、ただ、やはり、この問題というのは国際社会で今、大事になっていることは事実であって、どういうふうに投資の自由化を確保しつつ国の安全保障を守っていくかということは、どの国も非常に苦労している部分だと思います。特に、国の安全保障、あるいは、国の安全向上というのは何なのかというところが時代によってどんどん、しかもものすごく早く変わっていっていると思います。そうすると、コア業種とそうでないものとの区別を比較的きちんと見直していくようなプロセスを取るべきであって、ですので、今回、今の時点では今日見せていただいた区別で結構かと思うのですけれども、でも、それはやはり、どういう形にせよ、この区別というのを見直していくようなプロセスが必要になってくると思います。ですので、この点は今回も非常に苦労されたと思うのですけれども、この区別をどういうふうに見直していかれるのか。私自身は、この区別というのが決して固定的になってはいけなくて、もし安全保障というものに新たな側面が出てきたときに、特に、今、恐らく国際社会で問題になっているのはサイバーセキュリティだと思いますが、この点をどういうスタイルで見直していかれるのか、この点を少し伺わせていただければと思います。
○小川分科会長 それでは、最後になりましたが、植田委員、お願いいたします。
○植田委員 非常に御丁寧な御説明を、事務局の方々、どうもありがとうございました。
前からこの審議会に参加させていただきまして、今回は以前と比べて非常に明確になってまいりまして、すごく感謝いたします。特に、国の安全ということと、国際金融都市、国際経済の都市促進、それから、コーポレートガバナンスを確保するという面、うまくバランスが取れているかと思います。さらに細かいところは、皆さんもおっしゃっていますように、パブリックコメント等を通されまして、より実務家の方々の御意見を聞いていただければと思うので、私からは特に細かいところはございません。
ただ、一言、安全保障というところに関して、私の意見を少々述べさせていただければと思います。
もちろん、1番目といたしましては、外為審で安全保障を話すべきかということは確かにあるんですね。それが1つです。ただ、もし何かあるとするならば、やはり、国際経済、国際金融のシステムということを考えるこの外為審という場では、そもそも現在のシステムがどこから来たのかと考えることが必要かと思います。それはやはり、第二次大戦の後のブレトン・ウッズ会議の場で、できる限り1930年代の反省に立って、国際経済の自由な取引、貿易、それから、投資の自由な取引を実現しようというところから始まっているわけです。それはどういうことかというと、専門の方々がいらっしゃいますので、皆さんにはあまり意味のないことかもしれませんが、一言で申し上げれば、1930年代、世界恐慌のあおりを受けて各国が内に籠もってしまって、貿易のバリア、それから、国際金融取引に関する規制をどんどん高めて非難し合って、近隣窮乏化政策をしまくって、その結果、経済の関連性が諸外国と薄まったところに、ほかの国と国との経済関係が薄まったところに、じゃあ戦争にというふうになってしまったわけです。
つまり、1つ目は、国際経済をできるだけ自由にしておくことで世界経済全体の経済成長を高めるべきだということが当然あるのですが、もう1つは、安全保障の面から、それ自体も安全保障なんですが、もしも外国との間の経済的な連関が薄まってしまえば、戦争をしてもいいということになりかねないわけですよね。これは、経済的な貿易とか投資が非常に密に行われていたら、戦争をすることのコストというのは甚大になるわけですから、それだけでも非常に抑止力が出るわけです。これが分かっていたからこそ、第二次大戦後にできる限り自由で開かれた貿易と国際金融体制をつくろうとしてきた歴史があるわけですよね。
それを考えてみますと、これはやはり、今日示されましたとおり、できる限り機微な技術というのは守らないといけないですけれども、それ以外のところはできる限り国際的な取引を自由に促進するというところと、コーポレートガバナンスに気をつけるという、そういう観点に立って、今回、政省令の改正案を出していただいたこと、非常に感謝いたします。よろしくお願いいたします。
○小川分科会長 ありがとうございました。
ただいま9人の委員から御質問、御意見がありましたが、財務省側からお答えを頂ければと思います。
○三村副財務官 多岐にわたる御意見を誠にありがとうございます。御発言、御質問いただきました順に、まず、私のほうからお答えを申し上げたいと思います。
まず、亀坂委員のほうから、今回、コア業種について、上乗せ基準の上で、どこの免除が出てきているかというところが、逆に諸外国から見て抜け穴にならないかというところ。これはまさしく、外為法の2つの目的のバランスをどの辺で取るのがさじ加減として一番いいのかというところなので、いろんな見方はあるところだと我々も思いますけれども、我々としましては、先ほど申し上げましたように、少なくともコア業種の場合には、10%を超えれば、これは基準を守る、守らないという話は抜きにして、これはすべからく届出を頂くということにもなっておるわけでございまして、この10%自体も、もちろんアメリカですとか、より低い基準の国もありますが、少なくとも10%以上のところでは、すべからく届出をコア業種については求めるようにしているというようなところも含めまして、それから、10%を切るところは上乗せ基準もあるという中で、そこでぎりぎり国の安全の観点から見るべきものを押さえられるのではないかということでのぎりぎりの制度設計ということが、担当者としての実感というところでございます。
その上で、非上場の場合はどうかというところは、申し訳ありません。今回は非上場のところは閾値の変更ということがなかったものですから、きちっと御説明を申し上げていない部分があって大変恐縮なんですが、非上場会社の場合には、改正前の外為法から、これは、およそ1株でも株を買う場合にはすべからく事前届出が要るという形になってございまして、これは今回の改正によっても変わるところはございませんので、そういう意味では、非上場会社の場合には、1株でも買えば基本的には届出の対象になるということでございます。
17ページのところに、恐縮でございますが、非上場会社の場合のフローチャートを載せてございますけれども、先ほど説明を割愛してしまいましたが、今回の法改正では、1株からも届出が原則必要だというところは変わりませんで、かつ、ここはもともと、そういう意味では、今の法律でも1株以上はすべからく届出を取っておりますものですから、特に非上場会社でコア業種の場合は、これはすべからく届出を頂くということにしておりまして、ノンコア業種の場合だけ、基準をお守りいただければ、今回新たに導入する免除の対象になるという形でございますので、外国で我々が議論をしていましても、特に、機微な技術を持っているのは、意外にそういうベンチャーみたいな非上場のところもあるんだよというお話も当然ある中で、少なくとも我々は、非上場のコアについては、これは1株でも持てばす"べからく免除なしで届出というところですので、そこは、完全ではないかもしれませんが、一定程度抑えは利いているかなというふうに我々としては思っているというところでございます。
亀坂委員、あるいは、ほかの委員からも頂きましたけれども、そもそも外為法でどこまでやるのかというところは、これは今まで過去にも議論を頂きましたが、当然我々も外為法だけで全てできているということではないということは認識をしてございます。御指摘いただいたことのほかにも、土地の取得はどうするのかという話でありますとか、人材の流出はどうするのかというような話は過去にも御議論いただいたこともあろうかと思いますが、当然、外為法だけで全部ができているというところでもありませんし、本当にこういうものをやるのに外為法がツールとして、制度で考えて最適なのかと、いろんな御意見があろうかというところだと思いますけれども、我々としては、これまでも外為法を使って、この制度がある中で、外為法だけで全部はできないから外為法でやらないということもまた本末転倒かと思いますので、まずは、外為法の所管省庁として、外為法でできる限りのことは、他方で投資の過剰規制にならないようにバランスに配慮しつつ、今回やらせていただいてはということでの一連の取組であるということで、御理解を頂ければ幸いでございます。
それから、清水委員からお話がございました、ソブリン・ウエルス・ファンドですとか公的年金基金とどんなやり取りをしてきたのかというところで、個別具体的なところは御勘弁いただきたいと思いますが、当然、世界の幾つかの主立ったソブリン・ウエルス・ファンドといわれるところでございますとか、公的年金基金といわれるようなところとお話をしてございます。
大体こういう制度を考えているよというようなことを申し上げますと、私の印象としましては、当然そういったところは、投資先について、実際に役員を派遣しようですとか提案しようということは、通常、御承知のようにやっておりませんので、むしろ、非常に資金量もある中で幅広く日本の株式銘柄に投資をしている中で、投資規模が大きいからおのずと1%を超える者も出てくるというようなケースが通常ですので、我々の印象としましては、そういった方々は基準を守る上でも何か実態上負荷があまりかかりませんので、この基準を守れば免除が受けられるならまあいいやという、平たく言えばそういう反応を頂いているのかなというふうに思っております。
当然、個々のMOUを結ぶので、手間がかかるのは事実ではございますけれども、ここは、我々としまして、基本的にMOUに盛り込む内容というのは、おのずとある程度どこのどんなSWFでも共通している部分がございますので、一種我々のほうでMOUのひな形のようなものも作った上で、あとは、もちろん個別にファインチューニングがあるところはあるかもしれませんが、基本的には、ある程度ひな形の中でできるだけ決まれば、審査をさせていただくにおいて、もちろん個別にしっかり審査はしますけれども、ある程度定型的に審査ができるようにということで、効率化を図りながらやっていくのかなというふうに思ってございます。なかなかどういう場合に見合わないのかというところは申し上げにくいところがあるのですが、当然その国のいろんな制度を全体的に見ながらということなんですが、なかなかある種、最後は、お察しのとおり、いろんな配慮があると思いますので、そこのところは、逆に言いますと、そういうものがあるがゆえになかなか一般化して基準を申し上げにくいだけに、個別の認証というような形で対応すると。逆に言うとそういう制度にしておるというところでございます。
それから、神保委員のほうからのお話のところでございますけれども、外国投資家の定義というところでございます。恐縮でございます。確かにちょっとミスリーディングということだったのかもしれませんが、私どもの意図としましては、これは、基本的に会社法上の子会社の定義を文字どおり取るということでございますので、13ページのスライドの下のところにありますようないわゆる50%超に限らずとも、40%超で、かつ、何らかの実質基準に該当するものも含めまして、外国の投資家に入れてくるという内容で政省令告示も組んでおるのでございますが、上の例としまして50%以上というふうに書いてしまいましたので、ちょっとミスリーディングかもしれませんけれども、意図としては、文字どおり、会社法上の子会社をそのまま踏襲するということが、私どもの今回導入しようとしている内容であるというところでございます。
居住者外国投資家については前回も御質疑を頂きまして、そこは、おっしゃるように、いろいろ個別具体的な事情としては出てくるかもしれません。ここは引き続きパブコメ等々でも意見が出るかもしれませんので、また何か意見が出てくれば、それもよく検討したいというふうに考えてございます。
それから、渡井委員から、英語の申請、あるいは、オンラインでの申請はどうなるのかというところでお話を頂戴いたしました。現状で申し上げますと、英語につきましては、私ども国際局だけであればいいのですが、実態上、各省庁の事業所官省庁の各担当部局も含めての審査ということになりますものですから、今すぐに英文でというところまではなかなか至っていないのが正直、現状ではございます。
一方のオンラインでございますが、これは、事前届出のほうも、もともとかつてはオンラインの制度があったものが、非常に利用の頻度が少なかったものですから、税金を使ってやるにはコストが見合わないというようなことで、その後廃止してしまった経緯があるのでございますが、ここは今後のニーズを見ながら、かつてやっていたことでございますので、今後のニーズが本当にあるのであれば、もちろん役所のシステムでございますので、予算を要求し、予算が取れて、それからというようなことですので、今日決めて明日というわけにはいきませんけれども、今後のこととして排除しているわけではございません。ただ、1点重要なことは、今回はまさに事前届出の免除の制度を導入するわけでございますので、かなりの方は免除になる中で、今回免除を受けた方が免除後に事後報告を出してこられるという場合、これは、報告につきましては、実は今でもオンラインで申請するというシステムがございますので、かなり主流になるでありましょう免除を受ける方が免除を受けられた後に事後報告を出してこられる際はオンラインで出していただけるということでございますので、数の上では今まで以上にかなりの部分はオンラインでの対応は潜在的には可能になるはずであるということが我々の認識でございます。
それから、スチュワードシップコードへの影響というところ、同じく渡井委員からお話を頂きましたけれども、まさしくスチュワードシップコードであれ、コーポレートガバナンスコードであれ、できるだけその精神に反するような副作用をもたらさないということが我々の大きな発想でございますので、フローチャートの中で、例えば19ページでございますけれども、実際の株式の名義人と、それから、実際の議決権の行使の判断をする人との食い違いがある場合にどういうふうな形になるのかというようなところも、できるだけそういったスチュワードシップコードのいろんな考え方も念頭に置きながら、実質的な御判断を頂く方には実質的に届出をしていただく、あるいは、届出が免除になるかどうかを判断するというようなことで、できるだけそこは、スチュワードシップコードあるいはコーポレートガバナンスコードの基本に立ち返りながら制度設計をというふうに心がけてきたつもりでございます。
それから、奥田委員のほうから、制度設計のところでいろいろとお話を伺いました。特に、過度な負担がかからないように、できるだけ制度設計を柔軟に、また、しっかりとというお話でございます。ここは全く御指摘のとおりでございまして、我々としてもそのように今回もやってきたつもりでございますけれども、引き続きそのように対応していくというふうに考えてございます。
それから、原田委員のほうから、パブリックコメントを出した後、引き続き投資家の皆様方へよく説明を、あるいは、質問にもよくお答えするようにというお話を頂戴してございます。これも今までも昨年来相当外国投資家の皆様方とやっておりますが、当然今後もやっていくつもりでございまして、今日、パソコンの中には配付資料として入れてございますが、本日御説明した資料の英文の資料も、全く同じ内容のものを我々のホームページ上に掲載してございます。それから、通常はあまりやらないのですけれども、パブコメを出すに当たりまして、パブコメの提出要領というものも、意見を出すための様式も含めました英文も作りまして、これもホームページに掲載してございます。もちろん、それをやったから、あとは来るのを待っているというつもりもございませんで、コロナのサインもございますものですから、1月にやりましたような、ニューヨーク、ロンドンに私が自ら行って説明するわけにはいかないのですけれども、それも含めて、できるだけいろんな手段を使いながらしっかりと御説明をさせていただければというふうに考えてございます。
それから、先ほどの届出のところで、5営業日というお話、これは基本的に考え方は変わってございません。審査の観点で特に問題がなければ、そこは5営業日以内にできるだけ速やかに届出をさせていただくというところは変わっておりませんし、あと、本日、資料に入れてございませんけれども、届出の頻度でございますとか、事後報告の頻度も、前から申し上げていますように、株を買い増しするために何かが必要になるということがないような制度設計にもさせていただいているというところでございます。経過措置的なところは、おっしゃいますように、基本的には公布、施行の後30日がたちますと適用ということでございますけれども、例えば、金融機関がITシステムを用意する必要があるとか、そういったようなところでまさに経過期間が必要だというようなお話は我々も認識をしてございます。ここは、外為法上の事前届出は基本的には半年間有効ということなものですから、我々から今、金融機関のほうには、金融庁も併せて、仮にそういうシステム設計等が必要な場合には、まさに5月の頭に公布、施行がされますと、その後は30日間ありますので、この間にも早めに半年間分の届出を出していただいて、そこで我々のほうで早めに、顧客の皆様方に対しまして問題がなければ審査をお通ししますので、それをやることで、半年間言わば時間を買っていただいて、その中でシステム対応等もスムーズにできますようにというような形のことも、実は個別にはお話を申し上げておりまして、実際の規定とまた別に、運用面でもできるだけスムーズな対応というものをやっていただけるようにということを考えているという次第でございます。
それから、原田委員からご指摘のあったリストの作成については、外注に出しているのは、あくまで各上場企業へのアンケートを出すという作業そのものは外注に出しておりますけれども、当然、判断自体を外注に出すということではございませんので、我々のほうで事業所管省庁の皆様方と、最終的にはそのアンケートの結果で、各上場企業の定款がどうなっているのかといったことも拝見をしながら、判断を分類させていただくということでございます。
それから、根本委員のほうから、役員の定義のところについて御質問を頂きました。基本的に、いわゆる会社法上の取締役会のメンバーになるというところを我々としてはイメージしてございますので、執行役員の方は、むしろ会社法上では従業員という方かなというふうに思いますので、そういった方はここでいうところの役員の定義には入らないというのが基本的な整理でございます。
それから、河野委員から、コアとコア以外の区分けをある程度機能的に見直すべきではないかというお話を頂戴してございます。これは全くおっしゃるとおりでございまして、当然、世の中の技術の進展等々に応じまして何がコアで何がコアでないかということは変わってきますので、これは随時変えていくべきでございまして、また、現にこれまでも変えてきておるところでございます。お話にございましたサイバーセキュリティは、まさに告示の改正をした上で新しく指定業種に入ってきたというところでございますけれども、当然これは、もちろん加えていくものも当然でございますが、場合によっては削除するものも含めて、そのときの状況に応じてということはおっしゃるとおりでございます。当然、コア業種だけではなくて、個別の銘柄のリストのほうも、これまで、それぞれの会社につきまして、昔はこういう事業をやっていなかったものをやるようになったですとか、あるいは、その逆も当然あるわけでございますので、そういう意味で、銘柄のリストのほうも時とともに随時の見直しが必要なことも認識をしておりますので、このところは、業種のリストであれ、あるいは銘柄のリストであれ、随時更新をし、また、見直していくべきものということで我々として認識をしておるところでございます。
最後に、植田委員のほうから非常に歴史的な観点からの御指摘を頂戴しましたけれども、まさしく我々としましても、委員の御指摘のところも含めまして、この2つの法の目的のバランスは、基本的にはずっとそれのみに腐心をしてきたと言ってもいいような状況でございますが、そのような中で、今回の御説明申し上げておる政省令告示に至っているというところでございます。
すみません、完璧に網羅的ではなかったかもしれませんけれども、御質問いただきましたことについての、まず、私からの御回答でございます。
○桜田調査課企画官 すみません、事務方から若干だけ補足させていただきます。企画官の桜田と申します。
神保委員から御指摘いただきました、子会社を通じて50%以上というところですけれども、御指摘いただいたとおりでございまして、資料上、分かりやすさを追求するあまり、若干ミスリーディングなところがあったかと思います。こちらについては、記載の適否も含めて再度検討したいと思っております。
それから、根本委員から御質問いただきました役員の範囲でございますが、若干資料上分かりにくいのですけども、7ページの密接関係者の定義のところで、冒頭の左上のところ、取締役及び監査役の選任における関係者の範囲ということで、ここでいう役員というのは取締役と監査役のみを想定しておりまして、三村から申し上げましたとおり、執行役とか、そういった者は入らないということでございます。
以上になります。
○岡村国際局長 私から、重複することは申し上げませんが、2点コメントと申しますか、お答えをさせていただければと思います。
1つは、亀坂委員、奥田委員、また、前回、前々回からも御意見を頂いていました、外為法でできるもの、できないものというのはあるでしょうということで、私はこれまでの審議会でも申し上げましたが、外為法でできないことはいっぱいあります。それで、外為法を直して、これでもう終わりというようなお話ではもちろんありませんで、ただ、今の状況からすれば、外為法の守備範囲で手の届くところで必要な対応を早急にしようという、三村が申し上げたとおりの状況でございます。したがって、経済安全保障について引き続き検討せよ、場合によっては、総合安全保障立法、そして、その立法をしてつくった制度の執行を担う体制、これが必要ではないかという問題提起というのは、私どもも大変重く受け止めております。今、内閣官房での検討も緒に就いたという状況でございますので、これがとんとんと目に見える形で結果ができていけばよろしいのですが、必ずしもそういうことでもなく、時間を要するのかもしれません。それを待っているということではなくて、今回、外為法の改正で手の届くところに手をつけたということでございます。それが1点です。
それから、2点目。これからの外為法の政省令の具体化、施行に向けてということのプロセスですけれども、パブリックコメントを出しまして、今日、原田委員からもまた植田委員からも御指摘ありましたが、懸念も含め、実務家、専門家の方々からの御意見と申しますか、手がついていないかもしれないけどこういう点に問題があるぞという御指摘を頂きたいと考えております。それを反映するための時間も確保させていただいております。パブリックコメント期間が終わってすぐに、もうそのまま変更しないで原案どおりという日程しか不可能だというようなスケジュールを組んでいるわけではございません。そういう意味では、実務家の方から、あるいは、こうした点に懸念が残っているのではないかという御意見をむしろ出していただいて、それを取り入れて最終化に向けて進めていきたいと思っております。
○小川分科会長 どうもありがとうございました。
時間が随分過ぎておりますので、御質問、御意見はほかにあろうかと思いますが、時間の関係もございますので、これで本日の議事を終了させていただきたいと思います。
なお、今回の議事録の作成は私に一任いただければと存じます。その際、発言部分を事前に御覧になりたい委員の方におかれましては、会合終了後にその旨を事務局に御連絡いただくということにいたしまして、御連絡いただきました委員の方には、議事録を案の段階で事務局より送付したいと考えております。その後、1週間程度の間に御意見がない場合には御了解いただいたものとして理解させていただきたいと存じますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
○小川分科会長 どうもありがとうございます。
次回の分科会につきましては、事務局と相談の上御連絡させていただきたいと思います。
以上で会議を終わりたいと思います。本日は長時間にわたりまして御出席いただきましてありがとうございました。
午後4時40分閉会