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関税・外国為替等審議会
第42回外国為替等分科会議事録

令和元年8月22日(木)

財務省 国際局

於 財務省第3特別会議室
本庁舎4階

 
1.開会
2.「G20サミット、G7財務大臣・中央銀行総裁会議の結果等について」事務局報告
3.「対内直接投資審査制度について」事務局報告
4.質疑応答
5.閉会

出席者
委員伊藤 恵子財務省岡村国際局長
 小川 英治 宮原国際局次長
 奥田 英信 有泉国際局審議官
 清水 順子 土谷国際局審議官
 神保 寛子 三好国際局総務課長
 杉山 晶子 今村国際局調査課長
 高山 一郎 緒方国際機構課長
 田村 善之梶川地域協力課長
 原田 喜美枝 野村為替市場課長
 春田 雄一 細田開発政策課長
 渡井 理佳子 大場参事官
臨時委員安藤 光代 米山開発機関課長
 伊藤 隆敏 土生外国為替室長
 大野 早苗 日向為替実査室長
 亀坂 安紀子 河邑国際調整室長
 神作 裕之 桜田調査課企画官
専門委員井戸 清人 近藤開発企画官
 植田 健一 田部開発企画官
  経済産業省鮫島制度審議室長



○小川分科会長 それでは、時間になりましたので、ただいまより第42回外国為替等分科会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、お礼申し上げます。
 まず、本日の議事に入ります前に、前回の分科会から新たに田村善之委員が御就任されましたので御報告申し上げます。田村委員から一言お願いいたします。

 

○田村委員 田村でございます。知的財産法を専攻しております。よろしくお願いします。

 

○小川分科会長 よろしくお願いいたします。
 事務局側に人事異動がございましたので、岡村新局長より一言御挨拶をいただきたいと思います。

 

○岡村国際局長 今回の異動で国際局長を拝命いたしました岡村でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 小川会長から御挨拶というありがたいお言葉をいただきましたけれども、今年度の審議会といたしましては御案内のように第3回でございますし、そういう意味では、4月に立ち上げて活動中に役所の異動があったというタイミングでございます。
 それから、私自身、前職は国際局次長として、この場でも4月のIMF世銀の春会合でありますとか、G20の福岡の御報告をさせていただいたという者でございますので、改めての決意表明というか、抱負といったものを、どなたからも御期待いただいている地合いでないことは重々認識しておりますので、本当に一言だけ。
 いろいろ国際情勢の激しい動きがある中で諸事多難というのが本当に実情だと思います。そういう中で、委員の皆様方から引き続き貴重なインプットをいただきたいと存じておりますので、その点のお願いだけを申し上げまして、挨拶とさせていただきます。
 続いて、事務局側の新体制につきまして、本当にごく簡単に自己紹介という形でさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○宮原次長 それでは、人数も多うございますので、恐縮ですが、座ったまま失礼いたします。今回の人事異動で国際局次長を拝命いたしました宮原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 担当は、前岡村次長の時分と基本変わっておりません。G7、G20、それからIMF及びそれを含むグローバルなマクロ経済の関係、外国為替、マーケットと資金管理、日米の二国間の経済・財政の話などを若干やっております。よろしくお願いいたします。

 

○土谷審議官 審議官に就任いたしました土谷と申します。私のほうは、アジアの関係を中心に担当させていただくことになります。具体的にはASEAN+3とか、ASEAN+3とのバイの関係になります。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○野村為替市場課長 それでは、座ったまま失礼させていただきます。為替市場課長を拝命いたしました野村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○大場参事官 国際局参事官の大場でございます。開発金融を担当しております。今年は2年目になります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

○土生外国為替室長 外国為替室長の土生と申します。本日議題となっています対内直接投資の実際の審査をはじめとしました外為法の企画立案、審査等の業務をやっております。よろしくお願いします。

 

○日向為替実査室長 外国為替検査を担当しております為替実査室長の日向でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○桜田調査課企画官 調査課企画官の桜田と申します。土生室長とともに対内直接投資の規制の調査と諸外国の規制の調査、企画立案等を行っております。よろしくお願いいたします。

 

○鮫島経済産業省制度審議室長 経済産業省から、対内直接投資制度につきまして実際の審査を受け付ける省庁の1つとして制度見直しに参画させていただいております。よろしくお願いいたします。

 

○今村調査課長 調査課長の今村でございます。外為審の事務局を担当させていただいております。よろしくお願いいたします。

 

○有泉審議官 審議官の有泉でございます。金融庁から異動になりまして、開発関係を主として担当することになっております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○三好総務課長 総務課長の三好でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○梶川地域協力課長 2年目になりますが、地域協力課長の梶川です。よろしくお願いいたします。私は、ASEAN+3の金融協力を担当しております。よろしくお願いします。

 

○細田開発政策課長 今回の異動で開発政策課長になりました細田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○米山開発機関課長 開発機関課長の米山でございます。よろしくお願いいたします。

 

○近藤開発企画官 開発企画官を拝命しました近藤と申します。よろしくお願いいたします。

 

○田部開発企画官 地域協力課、国際機構課の開発企画官を拝命いたしました田部と申します。よろしくお願いいたします。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 本日の議題は2つあります。最初に、事務局から「G20サミット、G7財務大臣・中央銀行総裁会議の結果等」について御報告をお願いいたします。その後、質疑、自由討議の時間をとりたいと思います。続きまして、事務局より「対内直接投資審査制度」について報告していただき、再び質疑、自由討議の時間をとりたいと思います。
 それでは、まず議題「G20サミット、G7財務大臣・中央銀行総裁会議の結果等」に移らせていただきたいと思います。
 それでは、宮原次長、よろしくお願いいたします。

 

○宮原次長 小川座長、ありがとうございます。
 それでは、お手元にお配りいたしました資料と、画面にも映写させていただいておりますが、それに沿いましてかいつまんで御説明を申し上げたいと思います。
 横長のポンチ絵風の資料に成果を首脳宣言からの抜粋というような形でまとめたものがございますので、こちらを御覧いただければと思います。「G20大阪サミット(6月28・29日)の首脳宣言のポイント」という横長でございます。
 大阪サミットに先立ちます福岡での財務大臣・中央銀行総裁会議が6月8日、9日にございまして、その次の週でしたか、ちょうどタイミングよく外為審の分科会で福岡の成果を御説明申し上げたと記憶しております。
 大阪サミットの財務トラックの議論がどうであったかということを一言で申しますと、首尾よくと申しますか、G20の財務大臣・中銀総裁が合意された中身の特にコアのエッセンスの部分を首脳宣言の中にも盛り込むことができ、G20の首脳の皆さんに確認をいただけたということで、まずは財務を担当する20カ国の担当として当初の目的を果たせたのかなと、そういう大阪サミットでございました。
 具体的なポイントをかいつまんで申し上げますと、まず2ページ、世界経済。これは、同じくお配りしております首脳宣言のパラの4-8で以下のようなポイントが確認されたということでございます。
 世界経済は足元で安定しており、年後半より回復との基調判断。これは福岡の際の基調判断を確認したということであります。ただ、これは後で出てまいりますが、その後、いわゆる米中の貿易関係が一層緊張したこと、それに伴ってマーケットの動きも大きかったことがありまして、ベースになっておりますIMFの世界経済見通しが一部改定されました。それを受けまして、この次の月、すなわち7月のG7の財務大臣会議におきましては、「年後半より」というところが落ちまして、「来年に向けて」回復していくであろうという判断に微妙に変更されております。リスクは依然として下方に傾斜しているので要注意ということ。
 何よりも貿易と地政(ジオグラフィ)をめぐる緊張が増大してきたということであります。この短い一文でございますが、福岡の財務大臣のコミュニケでも舞台裏では相当苦労してやっとこの一言が入ったというものでございます。貿易というのは本来は貿易大臣会議で議論し、認識を統一していただくのが望ましい姿なのかもしれませんが、今年のG20では実はそこがうまくいかず、むしろ財務大臣の福岡の会議で貿易をめぐる緊張が増えていますねという、半ば当たり前のことですが、これが文字の上で確認できたということで、それをもって首脳宣言にもインプットが叶ったということでございます。
 為替については、既存のコミットメントを再確認ということで、必要があれば、後でまたここは戻ってまいります。
 経常収支の評価については、サービス貿易・所得収支を含む全ての構成要素に着目。これは日本のG20、財務トラックの柱の1つとしてこの1月以降やってきたことでございますけれども、要は経常収支を評価する際に、貿易の赤字、黒字にのみ着目していては、現下の国際経済の構造に鑑みた場合、もはや意味のある議論ができないのではないか。サービス収支や所得収支を含めて、総合的に経常収支の動向やその原因の分析をしていくべき、ということをG20で問題提起いたしまして、各国の理解、賛同を得たというところでございます。
 次に、高齢化を含む人口動態の変化。これも福岡で財務大臣の合意した内容を首脳の皆さんにも御紹介して、そのエンドースを受けたということでございます。
 次の柱としましては、質の高いインフラ投資。パラグラフの13に出てまいりますけれども、これも財務大臣が合意した内容を首脳においてやはりエンドース、承認いただいたというものであります。
 ポイントは、その下、括弧内、※印の後に「開放性」「透明性」「経済性」「債務持続可能性」の諸要素と書いてございますけれども、こういったものがインフラ投資の質を高めていく上で重要であるということを、G20の首脳レベルでもきちんと確認できたということは、大きな成果であったと思っております。
 特に債務持続可能性は、6月の分科会の際にも御説明を申し上げましたけれども、新興国、途上国で債務のレベルが非常に上がってきていて、相当な注意が必要な状況になっているという認識が世界で広まっている中で、インフラ投資は、個別のプロジェクト、個別の取引ですけれども、やはりインフラ投資を行うに非常に大きな金額の投資、借りる側から見れば借り入れが発生する。そういうものがマクロのレベルで債務の持続可能性にどういう影響を及ぼすのか。そのようなペースで借り続けて大丈夫なのかということも念頭に置きながら、インフラ投資計画をつくっていくべきだということをG20で確認をし、これを今後借入国の新興国、途上国に広めていきたいと思っておりますけれども、そういうある種ミクロの投資の話とマクロの債務の話をリンクして考えるというベースが、今回のG20の合意において、手前みそですが、初めて確立できたと考えておるところであります。
 それから、IMFの話は従来どおりの目標を確認したということであります。
 それから、低所得国における債務問題。もう一回ここで債務が出てまいりますけれども、インフラ投資は重要な一部ですが、それ以外にも債務累積の原因はありまして、そういうものを全部含めまして、債務の透明性・持続可能性を確保していくべきで、そのために債務国及び公的民間債権者双方による協働をしていくということであります。
 これも6月に御説明した内容でございますけれども、まず借り入れる側、債務国がきちっと自分たちのバランスシートの負債の側を具体的に把握できていなければいけない。それがスタート地点なわけでして、そのためのデータの整備、それからいわゆる能力強化をやっていきましょうという点ですね。それには、IMFや世界銀行、それからバイラテラルのドナーなどが一致協力していく。
 貸す側も、ソブリンの公的債権者だけではもはや足りなくて、民間の債権者もやはり問題意識を同じくして、債務累積の問題に対処していくべきと。具体的には透明性を高めること、持続可能性への配慮、こういうことを民間の債権者も一緒に考えていってくださいということを呼びかけたということでございます。
 3ページに移っていただきまして、時間の関係もございますので、省略致しましたら、あらかじめお詫びをいたします。
 国際課税(パラ16)の件であります。これはG7・G20で長年、2013年からずっとやってきている話でありますけれども、経済の電子化に伴う課税上の課題などに対応して、2つの柱から成る作業計画を今回G20として承認しました。作業計画の目指すところは、2020年、来年でありますけれども、来年までにコンセンサスに基づく解決策の取り組みを強化ということです。
 2つの柱は、後でも出てまいりますけれども、1つはまさにここに書いてございます経済の電子化に伴う課題です。いわゆるGAFAのような、要するに活動のベースを必ずしも所得の発生する各国に持っていないけれども、実際非常に大きな所得を上げている。そういう企業の所得に対する課税は、どこの国がどういう配分で行うのが一番適正なのかという議論ですね。これが1つの柱。
 もう一つの柱は、これまでもずっとやってきておる移転価格税制で、これが十分国際経済の実態に対応していないことへの対応。移転価格税制の現状の短所をどうやって克服していくのか。いわゆる軽課税国、あるいは無課税国で上がっている所得に適正な課税をしていくためにはどうするのかという話がございます。
 次に、金融セクターにつきまして暗号資産の話。ここに「新たなリスクへの警戒を継続」ということで、「新たなリスク」と書かせていただきました。コミュニケにも出ておりますけれども、これは一言で申し上げるとリブラを念頭に置いた話であります。リブラについてフェイスブックがホワイトペーパーという目論見書のようなものを出しましたのが6月18日。
 これは福岡の財務大臣会合の後でありますが、大阪サミットの直前ということで、ホワイトペーパーを一覧した上で、これはいろいろなリスクがあるねということを各国当局は迅速に感じておりまして、きちっと警戒していかなければいけないということで、これは福岡からのある種変更点でございます。FSBなどにまずは分析と助言を求めているということであります。
 それから、市場の分断への取り組みを歓迎。これは今年の1月から営々と積み上げてきた仕事の成果ということであります。
 それから、マネーロンダリング、テロ資金対策。これも引き続きと申しますか、より力を入れてやっていきましょうということを首脳で確認したと。
 国連安保理決議2462号を歓迎と。これは、いわゆる国別に安保理が何か議論をし、対処するということよりも、グローバルにテロ資金対策を強化していくべしということを確認した決議ということのようでございます。
 自然災害に対する強靱性、リスクファイナンス。
 最後、MDBsの増資ですが、これも首脳宣言で触れていただくことができました。IDAの増資、アフリカ開発基金の増資を成功させましょう、世銀本体のIBRD、それからIFCの増資は合意されていますけれども、これを早く実施していきましょう、ということですね。
 最後に、途上国のUHCファイナンス。これも財務トラックの議題としてずっと日本議長が取り組んでまいったことですけれども、財務大臣と中央銀行総裁でまとめましたUHCファイナンスの強化に関する文章を、大阪の機会に、次のページが実はそうですが、財務大臣・保健大臣の合同セッションというものを設けまして、そこで福岡での合意文書をさらにステークホルダーを広げて議論をし、それがうまくいきましたねということを首脳に確認いただいたということであります。
 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを実現するための保健財政をつくっていくために、保健大臣の努力だけでは足りないので、財務大臣が計画のところからしっかり関与しましょう、一緒にやっていくべきですということを確認したということであります。
 次の4ページ目が今申し上げました合同セッションであります。G20初の試みということで、議長の日本は麻生副総理・財務大臣と根本厚労大臣に共同議長を務めていただきまして、G20各国及び招待国から22人の財務大臣、それから保健大臣も、全ての国とは残念ながらまいりませんでしたけれども、15カ国から大臣御自身が御参加いただいたということで、事務局から見ますと、想定外の出席率と成功であったなというふうにちょっとほっとしたところでございます。議論の概要は先ほど口頭で申しましたような内容でございますので、割愛をさせていただきます。
 それから、1枚めくっていただきまして、今度はG7でございます。これも最近の進展の御報告という意味でございますが、先月17、18日とフランスのシャンティイ、パリの郊外でありますが、ここで財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されました。
 あえてポイントだけを抽出しますと、世界経済の評価、それからステーブルコインへの対応と国際課税のフォローアップ、こういったことが議論だったというふうに理解しております。
 世界経済については、G20福岡・大阪での評価をおおむね確認。おおむねと申しますのは、先ほどのIMFの見通しに基づく世界経済の今後の見通しの部分が、若干回復のタイミングが後ろにずれたということを確認したということであります。2020年に向けて緩やかに回復と。貿易をめぐる緊張は引き続き大きなリスクというところは、よりインテンシブに議論するG7でありますが、ここは確認をしたということであります。
 失礼しました。ちょっと順番が逆になりましたが、G7の7月の会議は、コミュニケは出ておりません。本日の御紹介の元になる文書は、議長であるフランスが出しました議長総括、チェアーズサマリーという文書であります。
 ステーブルコインについても、すみません、お読みいただければと思いますけれども、要は非常に革新的なアイデアであって、例えば途上国などを念頭に置けば、送金のコストを下げるなど大きなメリットも予想されるけれども、一方で、いろいろな金融規制、金融システムの安定性、消費者保護、マネロン、テロ資金、いろいろなフロントでリスクが予想されますねと。そういった規制上のあるいはシステミックな懸念にきちっと対処していくことが重要だと。リブラが仮に稼働を開始するとして、サービスの開始の前にはそういった規制上の対応、政策上の対応がとられていなければいけませんねということをG7の大臣・中銀総裁が確認したということであります。マネロン規制などを含む最高水準の規制を課すことが必要と。
 それから、リブラはフェイスブックの利用者がベースとなり得るという想定ですので、利用者の桁が違ってくる。こういったもので、かつ利便性のよい通貨、暗号資産が、通貨のように振る舞うようになった際に、いわゆるオーソドックスな通貨主権や国際通貨システムにどういう影響が及ぶのだろうかという、ここも考えなければいけませんねというようなことでございます。
 具体的には今、G7の中で、中銀、それから金融監督当局、財政当局が一緒になりまして、リブラ等のステーブルコインを分析する作業部会が立ち上がっておりまして、これの最終報告を10月のIMF世銀の年次総会に提出をいただくということになっております。
 それとあわせてFSB、これはむしろG20サイドと言えると思いますが、G20サイドのFSBも、同じくリブラを含むステーブルコインの与えるリスク、影響と対応策についての検討を開始しておりまして、FSBからも同様に何らかの報告を10月にもらうということになってございます。
 次の国際租税は、G20の先ほど御紹介申し上げた作業計画を支持するということで、具体的に第1の柱、国際課税原則の見直しにつきまして、新たな課税権を決めるために必要な参照すべき基準を議論し、OECDがさらに検討を深めるということを慫慂した。
 それから第2の柱として、軽課税国への利益移転の問題に関して、最低実効税率といったものを考えていきましょう、目的とするところは、企業の公平な税負担であるということでございます。
 議長国のフランスは、当初相当意欲的な成果をつくるべくやっておりましたけれども、先生方御承知のとおりかもしれませんが、やはり税金の問題でありますし、それぞれの国が自分の企業の所得と納税額に直接影響する話でありますので、なかなか今のタイミングで意欲的な、具体的な成果をG7として出すというところまではまいりませんで、考え方をしっかり確認したというところでシャンティイは終わっております。
 最後に1枚、ビアリッツ・サミットの概要ということを、全く御参考でございますがお付けしております。今週の土曜日から来週の月曜日まで、フランスのビアリッツで首脳会議が行われる予定でございます。日本からは安倍総理が出席であります。
 フランス議長が定めたアジェンダとしましては、全体テーマとして「不平等との闘い」ということになっております。重点項目として、ごらんのようなジェンダー、保健、労働、教育・開発における機会の平等など、それから気候変動・環境、安保・テロ、デジタル化とAIへの対応、それからアフリカというようなことでございます。
 ややまとまりのない御説明になってしまいましたが、ここで終わります。ありがとうございました。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいま御報告いただきました内容に対して、委員の皆さんから御質問、御意見をいただきたいと思いますが、御質問、御意見ある方は名札を立てていただければ。では、植田委員、お願いします

 

○植田委員 一言だけ意見を述べさせていただきます。
 ステーブルコインのところというか、リブラの件ですけども、恐らく世界各国で大勢の人が使うようになってくるときに、いざ運用主体がつぶれそうになったときにどうするか。Too systemic to failというか、Too effect to failの問題がかなり大きいと思うのですが、その場合、ステーブルであろうが、ステーブルでなかろうが、どちらにしても問題は起きると思うので、必ずしもステーブルに限った話にするべきではないですし、恐らくリブラに関しても、国際金融上では、いわゆるステーブルというのは固定相場ですけれども、変動相場制をいつ何時とるかというのは全くわからない状況でもあるので、そこをそもそも規制できるのかという問題もありまして、リブラに限らずもうちょっと大きな枠組みで考えたほうがいいんじゃないかと思います。

 

○小川分科会長 それでは、続けて伊藤委員、お願いいたします。

 

○伊藤(隆)委員 今、リブラの話が出たのでリブラの話からいきますけれども、概要は多分100%準備金を積んだステーブルコインであるというようなことだと思うのですけれども、そうするといわゆるナローバンクのようなことになって、価値は各国のバスケット通貨の国債で準備しているということであれば、多分向こうは絶対安全であるという主張をする。
   今でもステーブルコインはあるわけで、テザーのような1コイン1ドル、100%バックしていますと言うけど、みんな「本当かな」というふうに言っているということで、大体歴史上、そういうナローバンクで儲かったことはないので、必ずどこかで100%準備を95%準備とか90%準備に落としてくるだろう。
 それはナローバンク、あるいはカレンシーボードと同じ議論ができるので、そういう意味で安全性というのをどこかが規制するか、監督するかわかりませんけれども、それをするというのは当然だと思うのですね。ただ、それをどこがやるのかという問題はありますけれども、これはやっぱりかなり懸念を持たざるを得ない。最初はいいけれども、どこかでおかしなことが起きると思います。それが1点。
 2点目は、質の高いインフラ投資のところで債務持続可能性の話ですけれども、これも念頭に置いているのは明らかですが、できればやっぱりパリクラブ、公的債務を払えなくなったときに債務削減をみんなで一緒にやりましょうという仕組みに中国を引きずり込むというのが多分一番真っ当なやり方で、ただ、中国はOECD加盟ではないということを言うので、そこをOECDではないけれども、こんなに貸し込んでいるから、パリクラブに入りなさいということを主張できるかどうかというところだと思うのですね。
 中国の一部の省は完全に高所得国で、内陸のほうは低開発かもしれないけれども、OECDレベルのことをやっているので、OECDへの加入、パリクラブへの加入、債務国が返済困難な場合には債務削減への参加と、このぐらいはOECDが一致団結して中国に突きつけてもいいのではないかというふうに思っています。以上です。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、清水委員からも御意見をいただいて、その後まとめていただきたいと思います。

 

○清水委員 御説明ありがとうございました。為替についてですが、大阪G20では既存のコミットメントを再確認ということでしたが、その後米国が中国を為替操作国に認定するなど動きも見られていること。それから、今後のアメリカの金融政策を考慮すると、日本の円高傾向というのが強まる可能性もあるとなると、今後の日本の為替介入も含めた対策に対して、現状どのような考えをお持ちであるかということをお聞きしたいと思います。

 

○小川分科会長 それでは、ここで植田委員と伊藤委員と清水委員の御質問、御意見について、お願いしたいと思います。

 

○岡村国際局長 私からお答えという、おこがましいことでもないですけれども、ちょっとお話しさせていただければと思います。
 第一に、リブラ、ステーブルコインについての話がございました。植田先生がおっしゃられたように、価値がステーブルであるか、ステーブルでないかということを超えた両方に共通する問題というのがありまして、それは伊藤先生がおっしゃられた安全性とか監督、規制をしっかりしましょうということです。ステーブルコインが、従来のより広いクリプトアセッツと違うところは、既存の貨幣――リブラであれば通貨バスケットですけれども――と、伊藤先生がおっしゃられたように1対1で価値のバック資産を設けるということであります。クリプトアセッツに共通するマネロンやテロ対策資金とか、匿名性とか安全性をどう確保するか、規制上どういうふうにやるかというのは共通して、リブラであるからといって、価値をバックしたからといって解消される問題ではないので、その点というのは十分見ていかなきゃいけないということだろうと思います。
 もう1点、ステーブルコインがビット・コインなどそれまでのクリプトアセッツと違うのは、マイニングによって価値創造しないという点です。つまり、もともとマイニングによって価値創造するという本質的な新規性をステーブルコインは放棄しているというか、価値を既存貨幣に紐付けるという違う原理に拠って立っているということだろうと思います。
 それから第二に、伊藤先生からありました債務持続可能性、パリクラブへの中国の参加の問題点。問題意識はlong standing issueでございまして、今現状は、見方によってはむしろ悪くなっているというのは、中国はアドホックメンバーというステータスでパリクラブに参加しています。パリクラブ事務局であるフランスが特にAIIBのころですけれども、中国へのエンゲージメントを強めるということにヨーロッパが傾斜した時期がございましたけれども、そのときにアドホックメンバーになった。
 アドホックメンバーというのは準会員の名称でありまして、中国が選択的にセッションに参加するということで、自分の情報を出さないでパリクラブでの議論の情報を取り得るという、ある意味でのいいとこ取りが可能な、中国に有利な状況になっています。これについての問題意識が最近高まって、むしろギブ・アンド・テイクにしなければならないということで、具体的にはセッションの構成をうまく工夫して、中国がステイクを持っていて、パリクラブの議論の情報を欲しいと思うセッションに対しては、中国が自分の情報を提供するのであれば参加を認めるけれども、そうでない限りにおいては、そのセッションへの参加を認めないという、運営上ギブ・アンド・テイクを担保するアプローチで取り組んでいこうというのが今の足元の動きでございます。
 ただ、パリクラブでのリスケが最近ないということもあり、中国がリスケ会合の場に参加したことは一度もないというのが現状であります。中国に国際社会のルールの遵守をしっかりと求めていくこと、今後進めていきたい問題意識というのは、まさにその点にございます。
 第三に、為替の話でございますけれども、まず清水先生からお話がありました為替条項の話も含めました為替の話というのは、いずれにしても日米の財務省同士で行うということですから、茂木大臣とライトハイザー通商代表が今やっている日米の貿易協議の中で為替の話というのは視野に入っておりません。
 それからもう1点、中国をcurrency manipulatorに指定したというのは、現在の2015年貿易円滑化・貿易執行法ではなくてその成立前からあった1988年通商法です。1988年通商法というのは、大幅な経常黒字と大幅な対米貿易黒字があって、為替操作をしていると判断できる国を米政府の裁量で指定できるという規定となっていて、これを用いて裁量的な判断で為替操作国に指定したのではないかということが1点。  
 最後に、為替については必要なときにはしっかりと対応する方針に変わりはありません。その上で、金融政策と為替との関係について色々と報道されていることはありますが、これについて2点申し上げます。1点は、中央銀行の独立性が重要であるということ。2点目は、金融政策は国内目的で行うものであって、為替をターゲットとしないというのがG7、G20の確立した合意であることで、少なくとも通貨当局間ではそういう問題意識を共有しているというのが、今の状況でございます。

 

○小川分科会長 有泉審議官、お願いします。

 

○有泉審議官 前職の仕事の関係なので一言だけ補足させていただきます。先ほどステーブルコインの話がありまして、私は金融庁でそちらを担当していましたが、伊藤先生がおっしゃられたステーブルかどうかということで、これは実物資産が裏にあり、一種のMMF的な、要は投資したものを国債などに投資するという枠組みなわけですが、例えばビジネスモデル上、この協会がプロフィッタブルなのかという問題が実は一方であって、いわゆるインカムゲインをオペレーションに当てると言っていますけれども、本当にこうしたビジネスモデルが持続可能なのかが実はよくわからないところがあります。
 本当に協会のサステイナビリティが問題になった場合には、当然当局からするとこれが破綻したらどうなるかというふうに発想するわけですけれども、各国からすると裏の資産がどこにあるかが結構重要になってきますね。この裏腹は、リブラを持っている人がいる国が一番影響を受けるわけですけれども、そのときに裏の資産がどこにあるのか。
 それは自国にあったほうがいいということになってくるはずですから、そうすると、ある種のリングフェンスといいますか、その資産はできるだけ自分のところで囲い込もうというインセンティブが働くわけで、ここのところは今後リブラの話が進んでいくといずれ問題になってくる論点だろうと思っています。

 

○宮原次長 ということで、リブラのお答えは申し上げていますが、最初の植田先生の御質問で、リブラの枠組みに限らずやっていくべきだろうというところでは、G7のワーキンググループ(作業部会)はそういう前提でやっておりまして、10月に何らか予定どおり報告書ができますれば、適宜のタイミングでまた先生方に御報告申し上げたいと思いますが、リブラに限らずステーブルコイン全般ということでやっております。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、次の議事に移る前にお二人。原田委員からどうぞ。

 

○原田委員 新たなリスクというふうにして、先ほどからリブラの御説明、質問がありますけれども、リブラだけでなく、ほかのクリプトアセットといいますか、クリプトカレンシー、仮想通貨といいますか、マイニングスルーしていないですとか、違いはありますけれども、マネロン対策という面では共通するものがあるかと思っておりますし、今後の懸念材料としても非常に大きなものがあるのではないかと考えるところであります。
 マネロンという点でいえば、現実の大手ではなく、地銀さんですとか、信金ですとか、そういう小さいところの国際送金などで、FATFが日本の金融機関のチェックは甘いということを複数回警告するなどありましたので、そういうことを考えますと、電子の世界でも、日本の対応といいますか、マネロン対策は今後どうなっていくのかというところは非常に気になるところです。
 1つ教えていただきたいと思うことがありまして、クリプトカレンシーですけれども、今は利益が出ていたら確定申告の対象になっているかと思いますけれども、もし把握していらっしゃるようでしたら教えていただければ、後日でも構わないんですが、どのくらいクリプトカレンシーの利益が申告されていて、把握されているのかといったようなことですとか、マネロン対策が今現状どうなっているのかとか、そういうところをいずれお教えいただければなと思って、ちょっと質問させていただきました。

 

○小川分科会長  それでは、続けて春田委員、お願いいたします。

 

○春田委員 丁寧な説明ありがとうございます。私のほうからは、国際租税の関係でちょっと御意見させていただければというふうに思います。話にあったとおり、G20で承認された作業計画のもとということで、2つの柱、国際課税原則の見直しや租税回避国への対応等々を踏まえて、そういった解決策を2020年までに採択するということでありますけれども、なかなかプラットフォーマーの関係する米国であるとか、それから欧州でも租税回避国等々も含めると、簡単に2020年までに採択することができるのか。あと1年で本当に具体的な解決策が出てくるのかというのは少し懸念をしているところであります。
 そういったところをちょっと踏まえると、やはり日本の国内においても、デジタル市場に関して十分に課税できていないという現状がありますので、国際的なこういった動きももちろん重要だと思いますけれども、これと並行して、やはり日本国内、日本単独という言い方が正しいかどうかわかりませんけれども、もっとこういったデジタル課税に関して検討を喫緊に進めるべきじゃないのかと思っているところであります。そういったところを少し見解でもいただければなと思います。よろしくお願いいたします。

 

○小川分科会長 それでは、亀坂委員も手が挙がっておりましたので、お願いします。

 

○亀坂委員 資料2の6枚目に一番関心があり、ステーブルコインと国際租税のところ、さっきの中国の途上国への融資にも関心があるんですけれども、日本はOECDのBEPSプロジェクトとかで国際租税でも中心的な役割を財務省の方々を中心に果たされているので、OECDとかに中国を取り込むのも一つの手なんでしょうけれども、取り込むのが難しくていろいろ対策を練られているということであれば、やっぱり単純に日本のプレゼンスを今後も高めるというか、BEPSとかは完全に日本主導で進められているようですし、ステーブルコインのリブラもマネロン規制とかになるとやっぱりそれにかかわってくることなので、日本が割と主導的な立場でいろんなことを進めたりすることは、これまでもされているけれども、今まで以上にされることで対策を練るとか、そういったことで可能なのかなと思いました。
 あと、私は、OECDというと、個人的に連絡をとるのはほとんどウエルビーイングの人たちで、ウエルビーイングの担当の人とその上の人たちは、日本は全然協力してくれなくて、どうにかならないのみたいな感じで言われていて、OECDはすごい縦割りとは聞いていますけれども、ほかのところでもOECDでやっているプロジェクトで日本のプレゼンスを高めて、日本の発言力を全体として国際社会で高めていくというようなことは可能なのかなと思って、質問させていただきました。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、今3人の委員からいただきましたコメント、質問に対してお答えをお願いしたいと思います。

 

○岡村国際局長 私から簡単に申し上げます。まずステーブルコイン、クリプトアセッツの話で、マネロン対策は大事だと。特に日本のマネロン対策は大事だというお話をいただきました。今、FATFでの対日第4次審査に向けて大わらわで準備をしておりますので、その点の状況などと、それからまた、あわせてお話がございました利益についての申告をどの程度把握しているのかということについて、どの程度の情報を私どもが取得できるのかということも含めて、何ができるかも含めて宿題にさせていただければと思います。
 それから、国際課税の話を春田先生からいただきました。まず場としては、OECDを中心とした130カ国のインクルーシブ・フレームワークでかなり議論が精力的に進んでおりまして、2020年までというときにファイナルな答えができるかということはまだクエスチョンマークなのが正直なところでございますけれども、年のかわり目ですね、2019年から2020年のかなり早い段階のところで、ゴールのイメージが湧くような姿を示せるのではないか。あるいはおぼろげかもしれないけれども、少なくとも終着点に向けた姿が示せるのではないかというのが今の足元の状況でございますので、レッツ・ホープということであります。
 それから、あわせてこのお話は亀坂先生からありましたけれども、日本発のイニシアティブで、浅川前財務官が租税委員会の議長を5年以上やって、そこからスタートしたBEPSプロジェクトの発展した姿であります。それが日本発のイニシアティブであるということは国際的に認知されているという大変ありがたい状況にあります。今、デジタル経済に対する課税というのをヨーロッパでは、ロング・ターム・ソリューションを目指しつつも売上税方式でしびれを切らせて国内でユニラテラルに課税をするというような動きがございます。
 これは、日本発と申し上げました国際社会が解決策を希求しているものとはちょっと反するような話なので、国際的な合意に基づく理想的な解を目指していくというのが、むしろ日本発のイニシアティブであるというような視点を大事に考えてはどうかなというのが私の個人としての考えでございます。
 最後に、国際租税のことに限らず、縦割りのOECDの中でほかの分野でも日本のプレゼンスを高めるような努力というのは、今、神作先生がいらっしゃいますので、コーポレート・ガバナンスについては、割と日本がOECDのコーポレート・ガバナンス・コミッティでも共同して話を進めていくというようなことで、今、コーポレート・ガバナンス・コミッティの議長は日本でありますので、そういった動きなども大事にしていきたいと考えております。以上です。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、時間の関係もございますので、次の議題に移りたいと思います。
 次は、議題「対内直接投資審査制度」につきまして、今村調査課長から御報告をよろしくお願いいたします。

 

○今村調査課長 調査課長の今村でございます。
 私のほうからは、資料番号で申し上げますと6番、横長の資料でございます。こちらの資料に沿って御説明させていただきたいと思います。もし委員の先生で画面でご覧になる場合は、大変恐縮ですけれども、画面の左下にフォルダのアイコンがございまして、そのアイコンをクリックしていただきますと、資料番号1から6まで出てまいります。その資料の6というものをおあけいただきますと、横長の資料が画面に出てくるということでございます。
 まずページをめくっていきまして、3ページ目でございます。対内直接投資制度につきましては、4月の分科会でも諸外国の動向、それから業種の追加に関しまして御説明を差し上げた際に、若干基本的な審査の概要のフローというのを御説明させていただきましたけれども、今回改めて、半分は御参考程度ですけれども、こういった資料をつけさせていただいております。  
 基本的には、外為法は対外取引原則自由でございます。その考え方のもと、「国の安全」「公の秩序」「公衆の安全」「我が国経済の円滑な運営」の観点から、一部業種のみに対して事前届け出を義務づけているということでございます。
 真ん中のほうの青い字と横に業種が書いているところがございますけれども、4月に御報告させていただきました業種の追加は、1の「国の安全」の中の一番右にありますサイバーセキュリティ関連を追加させていただく。その際、いろいろ議論を頂戴いたしまして、その後政府部内での手続をいたしまして、8月1日よりこちらのほうが追加されて実施されているということでございます。
 おめくりいただきまして、4ページ目になりますけれども、こちらも4月と同様の資料で大変恐縮ですけれども、こういったサイバーセキュリティ関連業種が追加されて、8月1日から適用済みというふうになっております。  こちらがまず御報告でございます。
 今日の本題でございますけれども、5ページに移動していただきまして、実は対内直接投資審査制度を少しファインチューンしようと我々は今考えているということでございます。その御説明の前に若干おさらいとなって大変恐縮ですけれども、対内直接投資というのは今どういう形になっているのかということを法律上の立て付けに沿って御説明させていただきたいと思います。
 まず、対内直接投資等といいますのは、いわゆる規制といった意味での定義でございまして、IMFのBOPマニュアルとはまた別のものでございます。外為法の第26条第2項におきまして、1号から6号に具体的に定義しております。それから7号に前各号に準ずる行為として政令で定めるものとして、対内直投を定義しているということでございます。
 こちらでごらんいただきたいのが第3号でございます。上場会社の発行済株式総数の10%以上の取得と。括弧にありますが、「特別の関係者が所有する株式数を合算」する。特別の関係者といいますのは、下のほうの米印で恐縮ですけれども、親会社とか役員、親族、それから株式取得前に共同して議決権等を行使することを合意しているものを含めたものを合算する。これで10%以上になったものを対内直投としているわけですけれども、先生方御案内のように、昨今、企業金融の動向で種類株の発行、特に議決権のない株式の発行というものが増えているというふうに承知しております。
 そういたしますと、株式総数での10%というものと議決権での10%というものに相当の乖離が出てくる。具体的に申しますと、発行済株式総数では実は10%以下でも、議決権で言うと10%以上持ち得るという状況が出ている。他方で、外為法は会社の支配というものに注目した形で規制をかけているわけですけれども、そういたしますと、やっぱり議決権というものをうまく捉えられない形のままでいるということになりますと、外為法の趣旨がきちんと執行できないのではないか。そういう考え方、問題意識を持っているということでございます。
 おめくりいただきまして、6ページでございますけれども、こちらが今回いわゆる政令におきまして新たに対内直投として位置づけたいと考えているものでございます。
 下のほうのポンチ絵をごらんいただければと思いますけれども、ポンチ絵は3つほどケースが並んでいますが、真ん中のケース①は、企業Aが単体で少ない株式、例えば9%ぐらいで多くの議決権(10%以上)を取得する場合です。それが外国投資家である場合も対内直投として位置づける。これを政令に追加するということでございます。
 それから、左のケース②でございますけれども、他の株主から議決権行使を受任して合計して10%を超える場合、こちらも同様に今回対内直投として位置づけるということを考えております。
 それから、右側のケース③でございますけれども、こちらはケース②と似ていますけれども、ケース②でありましたような議決権の受任とか委任という行為はないけれども、外国株主同士で議決権行使について同意するもので、結果的に10%以上超えるものを対内直投と位置づける。
 先ほどはややちょっと駆け足で恐縮いたしますけれども、現行の法制度におきましても、取得前に10%を超える形で同意した上で取得する際は、実は現行の法律でも対内直投の対象となっているわけですけれども、今回議決権に着目したということで、先ほど申しましたもののある意味エクステンションという形で、今回取得後の議決権の行使という場面でも同様なことを対内直投として位置づけることを考えているということでございます。
 この上の説明のうちの3つ目のポツですけれども、現在、本政令案につきましてはパブリックコメントを実施中でございます。期間が8月24日までとなっているところでございます。
 次におめくりいただきまして、この後はそれぞれのケース①、ケース②、ケース③につきまして、数値例等々を用いまして簡単に御説明したものでございます。
 若干繰り返しになってしまいますので、本当にごく簡単にだけ触れさせていただきますと、例えばケース①は、外国投資家が単独で総議決権10%以上取得する場合でございます。下の例でございますけれども、とある会社が普通株を100株、それから種類株を10株、合計で発行済株式としては110株発行しているということになります。その中で外国投資家が今、赤い雲マークの10株を取得しようと。現行では株式数に着目しておりますので、パーセンテージといたしましては110分の10ということで9.1%、これは現行の制度では対内直投には当たりません。
 他方で、議決権で見ますと、下のほうになりますけれども、議決権は110株のうち100しかございませんので、100分の10ということで、当該投資家は10%を持つということになります。こちらは、10%分の議決権を持って会社に支配力を10%分だけ影響を及ぼし得るということで、今回はこうしたケースも対内直投として捉えるということでございます。
 おめくりいただきましてページの8ですが、こちらは委任、受任の関係でございます。特に上場会社、左のほうですけれども、外国投資家が委任状の勧誘を行いまして、議決権行使を受任する。それが10%以上になる場合は今回対象になるということでございます。
 駆け足で恐縮ですけれども、次のページ9でございます。こちらは先ほどの例に似てはおりますけれども、ただ、議決権行使の委任、受任の関係がないけれども、議決権行使意思について外国投資家同士で合意する場合、それが10%を超える場合、下の緑の「追加」というところでございますけれども、5%の外国投資家、それから6%の外国投資家、合わせて11%、これも対内直投に該当する。
 その上の「現行」のほうは、先ほど申し上げましたように、現行でも合意に基づく株式の取得が10%を超える場合は対象になっているわけですけれども、今回は議決権に着目したということで、それを議決権のほうに少し敷衍する形での改正でございます。
 最後になりますけれども、10ページをごらんいただきまして、スケジュールでございます。先ほど申し上げましたとおり、パブリックコメントを8月24日に終了した後、現在のところ、あまり御意見は頂戴していないというふうに承知しております。その後、9月に閣議決定、それから10月に施行というスケジュールを考えているということでございます。
 簡単ではございますが、私からは以上でございます。

 

○小川分科会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告について、御質問、御意見ございましたらお願いいたします。奥田委員、お願いいたします。

 

○奥田委員 御説明どうもありがとうございました。
 1点お伺いしたいでのですが、新しく追加されるケースの中で同意というケースがありますが、どこまで同意と認定できるかが難しいことかと思います。それで、具体的に既に何かの形で問題になったようなことがあるのかということと、少し技術的な話になりますけれども、もし同意ということを含める場合、どの範囲までを同意とするのかという、その辺もし情報があれば教えていただきたいと思います。

 

○小川分科会長 それでは、まとめてお答えをいただきたいと思います。
 では、神作委員、お願いします。

 

○神作委員 ありがとうございます。私は、意見と、それから1点御質問と申しますか、教えていただきたいことがございます。
 発行済株式総数の基準から議決権基準に変えるという点につきましては、支配的な影響力の行使の可能性に着目するということになりますと、当然発行済株式総数ではなくて、議決権に着目するということになろうかと思います。
 既に会社法では、子会社の概念ですとか、あるいは相互保有のように支配的な影響力を行使する場合の基準としては議決権基準に切りかえておりますので、そのような意味で、この改正の方向性というのは会社法の考え方にも合致しているということを申し上げさせていただきたいと思います。
 また、先ほど委員から御質問もございました合意についてですけれども、これも既に日本では、金融商品取引法において公開買い付け規制の共同保有者の概念ですとか、あるいは大量保有報告の特別関係者、既にこういった合意の概念というのは導入されておりますので、そういった議論を参考にして考えていくということだと思います。
 支配的な影響力の行使を問題にするのであれば、こういった合意も含めて広くカバーする。ちなみに、これは私の個人的な意見ですけれども、ここで言う合意というのは、いわゆる狭い意味の契約だけではなくて、ジェントルマンルールのようなものも含まれるというような、広く解釈していくことになるのではないかというふうに思っております。
 1点御質問と申しますか、お尋ねしたいことは、議決権に着目されておりますけれども、議決権以外にもさまざまな株主の権利がございまして、例えば株主提案権のようなものがあります。したがって、会社法もそうなのですけれども、議決権に限定せずに、議決権を含む場合、いわゆる法学上共益権というふうに申しておりますけれども、英語ですとコントロールライツ、こういった支配的な影響力を及ぼし得るような権利は、議決権に限らず包括的に視野に入れるような政令の改正をしていただけると大変結構なのではないかと思いますが、その点についてどのように捉えられているのかということをお尋ねしたいと存じます。

 

○小川分科会長 続けて、神保委員、お願いいたします。

 

○神保委員 神保です。弁護士として実務でいろいろ届け出等をさせていただく中で、確かにこれまで株式数の基準であったところが議決権基準になるということで、我々弁護士としても、今、神作先生がおっしゃったように、比較的そのほうが実態に合った届け出になるのではないかというふうに思っております。
 一方で、確かに必要なものについて規制をかけるという必要性があるとは思うものの、ある程度届け出というのは形式的に判断ができたほうが実務家としてはやりやすいというところがありますので、例えば先ほどの同意の取得についてもどういったものが該当するのかというのは明確に示していただけるとありがたいと思っております。
 あともう一つ、2点質問したいなと思っている点は、こうやって8月の改正も含めて届け出の対象が広がる中で、届け出ができている、届け出を行っている当事者と、届け出の懈怠の事例というのが恐らくまだまだたくさんあるのではないかと思いますけれども、そういった無届けのような状態が生じていないかというのは、行政側ではどういうふうにウォッチをされているのか。そういったものに対して例えばフォローをしたり、届出を要請するというようなことはどういう活動をとられているかというところを伺いたいと思います。
 もう一つは、冒頭に対内直接投資の制度についてはファインチューンをしていきたいとお伺いしました。恐らく重要性や緊急性の高いものから始めていらっしゃると思いますけれども、今後、例えばほかにもこういう問題があると思っているので、こういう方向で検討しているというようなところがおありであれば教えていただきたいなと思います。

 

○小川分科会長 ありがとうございます。それでは、渡井委員、お願いします。

 

○渡井委員 御説明をありがとうございました。既に御議論に出ておりますように、これまで以上にモニタリングが重要になってくるという印象を持ちました。
 その上で1つお尋ねでございますが、新たに届け出義務の対象になる行為について、虚偽の届け出といった違反があった場合には措置命令の対象となり得ると思いますが、このときに議決権を停止するという対応はあり得るのかどうかということについてお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○小川分科会長 それでは、植田委員、お願いします。

 

 

○植田委員 御説明ありがとうございました。経済学者ですので、その立場からコメントを差し上げますと、やはり最初に今村課長がおっしゃったように、原則自由にしている意味というのは、金融取引、経済取引は原則自由であることが、やはりいろんな意味で日本の経済にとっても、世界の経済にとってもよいということがありますので、それをやっているのだと。
 安全保障が大事というのはよくわかるのですが、その安全保障が大事というところで規制をかけてくるというのもわかるのですが、最初にこの話が出てきた多分二、三年前のときから私は言っていると思いますけども、やみくもにどんどん規制をかけていくと、どんどんいつの間にか何もできなくなってしまうという懸念を非常に持っていまして、例えばグレーゾーンでもやるのか、ちょっとでも危なさそうだったらとめるのかなど、どのように運用するのかがやっぱり大事ですね。
 その点で、1つはどれだけ透明性を持ってやるのか、それから迅速に手続をどのくらいできるのか。迅速性とか透明性をいかに確保していくかというところが大事だと思います。
それからもう一つは、これはちょっとややこしいのですが、日本人と外国人の違いをやはり問題にしているのでしょうか。例えば、場合によっては全く同じ株主総会での議題が同じようなものが出てくるとして、1つのケースは、外国人が10%賛成、日本人の投資家が40%賛成で、過半数50%になります。このときは外国人が10%いるので、その前に何とか阻止しようとするのかもしれませんけど、逆に外国人投資家が9%議決権を持っていて、日本人投資家が41%賛成して、これも50%になるのですが、この場合は外国人投資家が9%しかいないので、同じ議題でもそれならいいのかという話もあって、一体外国人だからいけないのというのか、何をもっていけないというのがよくわからない。
 それもひっくるめて透明性とか、何をもって黒いと言うのか、何をもってだめなのかというのをしっかりと運用に気をつけないといけないと思うのですが、その辺の担保というか、場合によってはもちろん裁判沙汰にもなると思われますので、その辺までひっくるめて、どのように運用していく姿勢なのかというのをちょっとお聞きできればと思います。

 

○小川分科会長 それでは、亀坂委員、お願いします。

 

○亀坂委員 私はまず、今回御提案いただいていることは100%以上賛成ですけれども、100%以上賛成ということの意味は、今では大企業だと1%台の所有でもかなりの圧力を持っていろんなことを企業に発言している。それで、今10%で区切りを設けている。カットオフ・ラインを今までは議決権も関係なく、全体の発行済株式総数の10%以上としていたのが、議決権を考慮して10%以上ですね。10%というカットオフ・ライン自体を本当は下げるべきじゃないかと私は個人的には思っているところです。
   あと、外為法の中で、外国投資家と書いてありますけれども、私の理解では、居住、非居住で分けているので、6カ月以上居住していたら、外国人であっても日本人と同じことができます。
 参考資料として12枚目から14枚目までにいろいろとまとめていただいていますけれども、日本はアメリカと比較してとてつもなく緩いというか、かなり原則自由という立場に立っているのではないかと私は思っております。
 先ほど神作先生がおっしゃっていたことに関係しますけれども、フランスでは、悪意がある投資家は株式が欲しいのではなくて、安全保障上の技術が欲しいので、一部の事業を取得しようとするというケースが結構ありまして、それでフランスは株式とかの取得にかかわらず、一部の事業の取得に関しても既に規制をかけているというふうに理解しています。従って、今回の政令改正を反映しても、日本は欧米諸国と比べるとかなり自由というのが私の印象です。

 

○小川分科会長 安藤委員、お願いします。

 

○安藤委員 1つ質問をさせていただきたいのですけれど、制度の変更がこれからということなので実際にはわからないと思いますが、今回の制度変更でどれぐらい届出が増えるのでしょうか。例えば今までの統計のとり方等を考えると何割ぐらい増えそうだとか、何%ぐらい増えそうだとか、その辺のイメージがあれば教えていただきたい。
 あと、特に統計を使う側としては、時系列で比較をするときにそこでどれぐらい違うのかということを把握した上で統計を見る必要があると思っております。例えば、対内直接投資の届出が増えた場合、対内直接投資の定義が変わったことによる変化なのか、実際の対内直接投資自体が本当に増えているからなのかという解釈にもかかわってくるかと思いますので、少し様子を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○小川分科会長 それでは、岡村局長、お答えをお願いします。

 

○岡村国際局長 冒頭私から、私でわかるアバウトな話を申し上げて、それで、あと詰めた話を今村課長からお答えさせていただければと思います。
 運用の姿勢についてということでは、全くおっしゃるとおりで、透明性、それから迅速性、透明性のコロラリーというか発展系として、やっぱり予見可能性ということで、事前に類型化してお示しすべき点を明確に事前に定義した上でプラクティスを確立していくということが非常に重要だと思っております。それが1点。
 それから、今後の制度についての立法論を含めた方向性みたいな話について、今申し上げられることをちょっと申し上げておこうかと思います。この資料は政令改正の御説明という立て付けにしておりますが、これでエンド・オブ・ザ・ストーリーでないという問題意識は、参考資料としてつけさせていただいたところから酌んでいただきたいというのが最初の点でございます。
 アメリカのFIRRMA法の御紹介をさせていただいております。それで、検討の着眼点みたいなものが何点かあると思いますし、全く網羅的な話ではございませんけれども、1つは、神作先生からのお話もありましたコントロール・ライト、今で言えば議決権閾値で10%ということですけれども、それをどういう形で会社に対する支配権を捉えていくということが妥当かという論点。
 それから、健全な投資ですね。善意の投資家、健全な投資というものを、むしろ投資は促進するという原則なので、そこに不要な、安保の観点は大事だけれども、chilling effectが強いという過剰規制になるのをどうやって回避するか。そのためには、一つ危険のない行為というのを事前にこの対象から類型的に外形的基準で外すというようなことがどういうふうに実務上できるかというような論点。
 それから3つ目は、より制度の構築としては、事前の規制と事後の措置、これをどういう形で組み合わせるかといった論点が、これだけではないと申し上げましたけれども、そんなことの検討を進めていきたいというふうに思っております。

 

○今村調査課長 私のほうからは、幾つか御質問いただいたことに全てカバーできているかわかりませんが、お答えしたいと思います。
 まず奥田先生の同意をどういうふうに捉えるのかということですが、これは実際本当に難しい問題でございまして、この3つのケースの中でもなかなか一番大変と思っているところでございます。具体例といたしましては、実際のところ、例えばとある株主なり株主を代表する代理人が、特定の同じ会社での外国投資家の方と同意をしたと。それを明示的に表明して会社側に影響力を行使しようとする、そういうケースは実際出てきております。その場合は、先方から同意をしたという事実が明らかにされているということで、これは明らかに対象とできるのであろうかなと思います。
 他方、それ以外のものをどう捉えるかというのは非常に難しい問題と思っておりまして、そういう意味で今回の手当てで全部を拾えるのかというと私も自信はないですけれども、他方、先ほど申し上げました最初の例のようなものをやっぱり放置しておくわけにはいかないということで、今回政令で手当てさせていただいたということでございます。
 それから、神作先生の今後の改革の方向性は、岡村からもありましたとおりで、若干補足ですけれども、対内直投の類型として何を含めるべきなのかというのは、現状のもので十分なのか、それとも何かを加えるべきか、もしくはそれを加えたら今度は逆に行き過ぎるのではないかという観点も含めてちょっとまた検討をしていきたいと思っておりまして、神作先生の御意見もぜひ参考にさせていただきたいと思います。
 それから、神保先生からの御質問で、無届けをどういうふうにウォッチしているのかということですけれども、実際上あまり手の内を明かすようなことは申し上げられませんけれども、各所管省庁においていろいろなルートを通じて見ていると。実際投資家が失念しているケースを発見して、ただ、悪意のない場合がありますので、そういったものには代理人を通じて周知して出していただいていると。神保先生のような方には関係ない話かもしれませんけれども、そういうことをやっているということでございますので、政令改正を対応したものにつきましても、同様な形でやっていくのかなというふうに思っているということでございます。
 それから、渡井先生から、措置命令の中で議決権の停止ができるか。こちらは私の理解が浅くて恐縮ですけれども、実際、例のTCIの際にそういう議論があったと思います。TCIがそういう提案をした際に、ただ、議決権停止をどういうふうに法律的に担保ができるのかというのは、やっぱり非常に難しいところがあったということで、当方としてはなかなかそれをもって認めるのは難しいという一つの理由になったかと思いますので、ここはちょっとなかなか法律的には難しい論点が当時あったかと思っておりますが、引き続き研究をしたいと思っております。
 それから、植田先生からありましたように、透明性の観点から、運用に恣意性があってはならないということはおっしゃるとおりでございまして、先ほど期間のお話がありましたけれども、例えば本当に問題のないものをグリーンフィールド案件といいますけれども、既存の株主で事業をやっているところに入るのではなくて、1から100%出すものというのは、審査期間は30日となっておりますけれども、実際は5営業日でやっております。
それで、5営業日で審査が終わっているものが大体8割から9割ぐらいございます。何をもって審査期間を短縮するかという点もホームページ上で公開しおりまして、そういった面では一定の透明性や期間の短縮は努力させていただいているのかなというふうに思っております。
 それから、亀坂先生のおっしゃられる欧米との比較ですけれども、岡村からありましたように、欧米の制度をよく見ながら、投資の自由と、それから日本がループホールになってしまわないことのバランスを取った形できちんと制度改正することは重要かなと思っております。
 それから最後、安藤先生でございますけれども、今回の政令改正で届け出がどれぐらい増えるのかということですが、実際上申し訳ございません、今のところ数字はないですけれども、今後この運用をするに当たりまして、実際の届け出がどれぐらい増えたのかということは、運用後に分析できるのではないかと思っております。そういった形で何かお示しできるものがあれば、お示しさせていただくことで御容赦いただければというふうに思っております。
 私からは以上です。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございました。
 まだ御質問、御意見があろうと思いますけれども、時間の関係もありますので、これで本日の議事を終わりたいと思います。
 なお、今回の議事録の作成は私に一任いただければと存じます。その際、発言部分を事前にごらんになりたい委員の方におかれましては、会合終了後にその旨を事務局に御連絡いただくということにいたしまして、御連絡いただきました委員の方には、議事録を案の段階で事務局より送付したいと考えております。その後、1週間程度の間に御意見がない場合には、御了解いただいたものと理解させていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 次回の分科会につきましては、事務局と相談の上御連絡させていただきたいと存じます。
 以上で分科会を終えたいと思います。本日は御参加いただきまして、ありがとうございました。

 

午前11時34分閉会