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関税・外国為替等審議会
第39回外国為替等分科会議事録

平成30年12月7日(金)

財務省 国際局

於 財務省第3特別会議室
本庁舎4階


○小川分科会長 それでは、時間になりましたので、ただいまより第39回外国為替等分科会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 本日の議題は、事務局から「国際経済・金融の課題への取組」について報告いただいた後、質疑、自由討議の時間をおとりしたいと考えております。
 それでは、議題「国際経済・金融の課題への取組」に移らせていただきたいと思います。
 岡村次長、宮原審議官、三村副財務官の順番に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○岡村国際局次長 次長の岡村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、資料に沿いまして、説明させていただきます。
 お手元の資料2をおめくりいただき、3ページに目次がございます。私からはG20における議論という部分を、御紹介させていただきたいと思います。
 おめくりいただいて、5ページにございます、先般ブエノスアイレスで行われましたG20首脳会合のポイントについて御報告させていただきたいと思います。本ページにおきまして、大きく2点記載しております。
 1つ目は、「最大の成果は、首脳宣言の採択そのもの」というタイトルをつけており、2つ目は、12月1日付というのがオフィシャルな議長国引継ぎのタイミングでありまして、2019年の議長国としての日本のビジョンやプライオリティについて現時点で考えていることを麻生大臣から表明してきたという、大きく2つの点がポイントであるということでございます。
 1つ目に戻っていただき、首脳宣言の採択そのものというところの下に記載いたしました通り、米中間の貿易摩擦というか、緊張というか、“trade war”と言われるような地合いでございましたので、その直前のAPECで、首脳宣言の採択すらできなかったこともあり、そこから迎えたG20の場であることから、かなり緊張感の高い環境でございました。
 結果としてハイライトされておりますところは、マル2の前半部分に書きました「保護主義との闘い」という、去年のハンブルク宣言にあった文言が落ちています。落ちているということで、「保護主義との闘い」という当たり前の価値としていたことについてまで記載ができなかったのか、そんな合意もできなかったのか、大変な失敗なんじゃないか、そんなにまでしてエンプティな合意を優先したのか、というような論調が、むしろ中心かと思います。しかし、それはちょっと違いますので、現場にいた者として、その辺のことを、ここで御報告したいと存じます。
 この「保護主義との闘い」という文言は、ハンブルク宣言において、原文では“to fight protectionism including all unfair trade practices”、「全ての不公正な貿易慣行を含む保護主義との闘い」となっておりました。この不公正な貿易慣行というのは、ハンブルク宣言のときから、特に、中国を念頭に置いたものでございました。このハンブルク宣言には中国も合意しているわけであります。その“unfair trade practices”について、中国は、別に自分だけが名指しされたものではないという認識のもとに、これに合意してきたという背景がありましたが、今回の議論では、中国はやっぱりこれが自分に向けられていることを認識し、「全ての不公正な貿易慣行」が含まれているprotectionismには反対だという立場でありました。
 一方、アメリカは、自分の国が保護主義だと自己定義していないものですから、アメリカは「保護主義についての闘い」を記載することには問題ないが、記載する場合には中国に対するメッセージである“including all unfair trade practices”と一緒でなければならないというスタンスでございました。あるいは、もう少し言葉を足して、知的財産権の侵害や本日の議題にもあります、投資安全保障といった内容をもう少しはっきり書いて、そういうものについての闘いであることを表したいということがありまして、「保護主義との闘い」という文言を落とすかどうかではなくて、そういう様々な前提を含んだ保護主義というふうに書き込むか、あるいは、そういう書き込みをしないかということが、むしろ議論でありました。その結果として、折り合いはつかずに、ご覧いただいているような両落ちの形で決着したということであります。
 ただ、そうすると全くの後退だけなのかというと、若干の解説になりますが、その次の「多角的貿易体制の貢献の認識」というマル2の後半部分ですけれども、もともとアメリカは、WTOから離脱するというようなことまで言っていた、そのような交渉スタンスだったわけでありまして、マルティラテラリズムという言葉自体は入っていないのですが、多角的貿易体制というWTOを意味するものの「貢献の認識」と、それから、WTOについては、これまでハンブルク宣言では「機能改善」というところでとまっていたものを、今回、「リフォーム」ということを明示できたことは、1つの前進だろうということであります。  こうした経緯もあり、終わった後の麻生大臣の記者会見で、「首脳宣言を採択したということに価値がある」と表明いたしました。この思いとしては、エンプティな合意を最優先で認めたというよりは、一定の前進の要素も含んだ合意を、厳しい環境の中で、世の中に示せたということに値打ちがあるということでございます。
 2つ目のポイントとして、会合の中では、総理から議長国としての概括的な抱負等をご発言いただき、麻生大臣からは、財務大臣会合において、より具体的なビジョンとプライオリティを表明しており、その後の記者会見でも、大臣からビジョンとプライオリティについての発表をしております。
 おめくりいただき、6ページです。首脳宣言そのものを資料3という形で、お手元にお配りさせていただいております。貿易の話はシェルパ(首脳の補佐役)が交渉の当事者でありましたところ、むしろ財務トラックの関係で、これまでの議論を踏まえ、来年にかけて日本が議長国としてやっていきたいと思っているようなことを今回のdeclaration にある程度位置づけてcontinuity を確保するということも、私どもの主眼でありましたので、その辺の達成状況も御報告させていただきたいと思います。
 マル1のところですけれども、世界経済(パラグラフ4)と書いておりますが、成長は強固であるけれども、金融上の脆弱性、特に新興国から資本流出を念頭に置いたものです。それから、地政学上の懸念、イランや北朝鮮も含めて、“geopolitical concerns”ということで、このリスクが、7月の前回会合に比べて、部分的に顕在化しているものがあり、下向きの圧力があるというのが、現在の経済情勢の認識でありました。
 その上で、先ほどの貿易の話ですけれども、“trade tension”という論点をどのように財務トラックのパラグラフで扱うかということですが、結論は、リスクという認識からは切り離して、別の文で、“note current trade issues”、「現在の貿易上の問題に留意する」というニュートラルに近い表現となりました。
 それから、為替につきましては、既存のコミットメントをそのまま踏襲する形で、再確認するということであります。
 マル3のIMFのパラグラフを一旦飛ばしますが、マル2マル4マル5というのは質の高いインフラ投資、低所得国における債務問題、国際課税という、これまで財務トラックで議論してきた話が入っており、3点とも、来年の日本議長のプライオリティとして考えているところでございます。
 その上で、マル3IMF(パラ23)ですけれども、ここは“further strengthening the global financial safety net with a strong, quota-based, and adequately resourced IMF at its centre”、IMFがグローバル金融セーフティーネットの中心にあるというような表現が、ずっと踏襲されてきたところであります。
 今回、結論としては残っておりますけれども、交渉の過程において、アメリカは、IMFがグローバル金融セーフティーネットのセンターである、ということについて、強いreservation を示し、ここである程度の議論がございました。
 背景は、IMFのクォータ増資です。第15次クォータ増資レビューというのが、締切りが来年の春会合、“no later than”秋の総会ということで、最終締切りが、来年秋ということになっています。
 クォータ増資については、わずかな増資でも、日中のシェアが逆転する現状であり、現在のアメリカの中国に対する考え方、あるいはスタンスを前提とすれば、日中逆転は受け入れられず、したがって、少額であってもクォータ増資は“political red line”だというのが、アメリカの明らかにしているスタンスであります。そうすると、増資に反対するアメリカとしては、IMFは金融セーフティーネットの中心にあるということについて、ある意味、難癖をつけたような形でありまして、それでこの文言を復活させるための条件闘争のような形になりました。
 その後の交渉では、RFA(Regional Financing Arrangements)ですから、チェンマイ・イニシアティブとかユーロのEMS(Europian Monetary System)といったものが、“global financial safety net”の要素として役割を拡大してきており、IMFの重要性というのは、それがなかった状況に比べれば、相対的には小さくなっているはずであるということで、RFAの重要性が増加したということを一緒に記載することで仮の決着をしたところでありました。さらに、それがシェルパの貿易交渉や貿易に関するいろいろなネゴシエーションの中でevolveしていって結論に至るのですが、IMFの機能や役割のうち、特にアメリカが望むような機能や役割を、ここに記載するということとセットで“IMF at its centre”という文言が残るという決着になりました。
 そのアメリカが望むIMFの機能や役割というのが債務問題、つまり新興ドナー国や民間を念頭に置いて、マル4低所得国における債務問題のところに記載されている、貸し手は貸し込まないこと、借り手は無理に借りないための能力構築、それから、民間の貸し手も巻き込むということを、IMFのパラグラフにも書くということになりました。そういう意味では、仕上がりだけを見ると、同じことが2カ所に書いてあるじゃないかというredundantな印象を受けると思うのですけれども、そういう仕上がりになった、その背景は今申し上げたような状況がございます。
 我々交渉当事者の気持ちとしては、債務問題の重要性をハイライトできるような文言を2カ所に入れたというのが仕上がりでございます。
 おめくりいただいて、7ページ以降が来年の話で、日本議長下の財務トラックのプライオリティを、今回表明したものに沿って、簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 まず、この3本の柱立てですけれども、その背景にありますのは、財務トラックでやるG20の今日的役割というのは、やはり成長のための基盤づくりであるということで、これをオーバーアーチングなターゲットとして今回の議長国のアジェンダセッティングをしようと考えました。
 それで、柱のほうのローマ数字の、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲですけれども、Ⅰ.世界経済のリスクと課題は、いつも実施しておりますが、それを議論するのが1つ目。そして、Ⅱ.成長力強化のために、具体的にどんなツールで考えていくかということが2つ目。Ⅲ.今、技術革新やグローバル化という構造変化があるので、それにどう対応していくかというのが3つ目。そんな3本で、成長のための基盤を議論していこうということであります。
 それぞれの中身ですけれども、(A)リスクのサーベイランス、これは先ほど申し上げましたように、危機の芽を事前に摘むということで議論することとなります。次に、(B)グローバル・インバランスと(C)高齢化ということを、あえて特出しさせていただいています。
 グローバル・インバランスは、excessiveなグローバル・インバランスというのが金融危機の、あるいは、世界経済危機の“root cause”の1つだったということで、ずっとやってきた問題について、G20の活動の原点に回帰するということでございます。特に、今の文脈では二国間の、あるいは貿易の問題と捉える政治的向きが強いものですから、このexcessiveなグローバル・インバランスという問題を、多国間の、マクロポリシーの結果であるマクロバランスの問題だという意味で捉え直すということが原点回帰と申し上げたことの意味でございます。より具体的に申し上げれば、例えば、所得収支やサービス貿易収支、それから、この後に出てきます、高齢化や貯蓄投資バランスに影響を与えるような構造要因についての分析を深めて、議論をしようじゃないかということで、“back to the basic”という視点の提示であります。
 それから、今ちょっと申しました高齢化ですけれども、これは“long standing issue”でありますが、G20で、様々な分野への影響を包括的に議論するということは、これまで、実は行っていないので、それを、あえて表に出して、マクロポリシーへのインプリケーションや、労働供給や、もっと言えば金融包摂といった点を議論しようということでございます。
 G20の中には、例えば今度トロイカ(議長国団)に入るサウジアラビアのように、若い世代の人口が多い国というのもあるのでちょっと心配したのですけれども、遅かれ早かれ直面する課題ということで、準備は早く始めたほうがいいというように、非常にポジティブに受けとめられているというのがこれまでのところの一般的な印象であります。
 次に、成長力強化のための具体的な取組ということで、(D)質高インフラ投資というのは、特に民間資金の動員、雇用の創出、能力構築や技術移転といった成長の基盤づくりという観点——成長の基盤であり、また原動力でもあるというような観点から、質の高いインフラ投資について取り上げていきたいと考えております。
 (E)のところですけれども、自然災害に対するレジリエンスの強化と言っていますが、insuranceすなわち保険原理を導入した災害リスクファイナンシングのスキームが、太平洋島嶼国やカリブ海で既にできております。そして現在、東南アジアにこれを展開している最中ということがあります。そういう意味での災害リスクファイナンスについての新たな手法を普及していくことを目指しています。
 それから、(F)途上国における“Universal Health Coverage”の強化ということで、これは経済成長の基盤づくりという文脈では、人的資本への投資も重要となるという考え方が基礎になっておりますが、この点について、UHC達成に向けた保健財政制度デザインは財政へのインパクトが特に大きいところです。マクロ経済へのインパクト、財政インパクトが特に大きいので、これは財務トラックの仕事だろうということで位置づけております。
 (G)低所得国の債務の透明性及び債務の持続可能性——先ほど申し上げました、無理な貸し込みをしないとか、借り手側の借り倒れの防止というようなこと、それから、民間の債権者の巻き込みといったようなことでありまして、これをプライオリティといたしました。
 Ⅲ.技術革新・グローバル化に一言ずつ申し上げます。(H)国際租税の話、特にデジタル化に伴う課税原則の見直しということで、OECDを中心に行っています、コンセンサスベースのロングタームソリューションを目指す取組です。デジタル課税は、2020年が締切りとなっていますが、2020年のG20議長国であるサウジアラビアが、必ずしもこの税制についての知見や意欲が大きくないということもあって、2019年中になるべく進めて、出来れば、最終結論のアウトラインが見えるようなものまで到達できればという目標を設定しております。これまでの文言では、2019年にアップデートするということになっていますので、そのアップデートの中身をかなり深いものにしていこうというふうなターゲットであります。
 また、(I)金融規制のアジェンダで、金融市場の分断回避の国際的連携・協力。最後ですけれども、(J)技術革新の機会と課題ということで、これはいろいろ議論してきましたFintechについて、課題の部分というのは、暗号資産の規制上の問題というのが念頭にありますが、機会のほうは、仮想通貨の基礎になっている分散型台帳技術といった技術は、規制面というよりは、さまざまな機会があるので、そういう機会と課題の両面にバランスのとれた議論をしていきたいというような思いでございます。
 あと、8ページに、今後のスケジュールがございます。
 キックオフとして1月に代理会合が東京でありまして、例年のことでありますが、4月の春会合の機会に大臣会合があり、これはコミュニケをここで出すということではなく、中間段階で、それぞれの場での議論の進捗をチェックするようなイメージであります。
 その後は、6月の8、9日が大臣会合・福岡、28、29日が首脳会議・大阪というスケジュールでございます。
 以上でございます。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございました。
 それでは、宮原審議官お願いいたします。

 

○宮原審議官 開発担当の審議官、宮原でございます。よろしくお願いいたします。
 できるだけ手短に済ませたいと存じますが、お配りした資料の中の14ページ、15ページが、私の担当、世界銀行グループの増資ということでございます。
 14ページは、世銀グループの概要ということで、もう委員の皆様、相当御承知のことも多いかと思いますので、恐縮ですが、飛ばさせていただきまして、15ページを御覧いただきたいと思います。世銀グループ(IBRD・IFC)の増資ということであります。
 この両機関について、今年4月の開発委員会という世銀の株主総会のような会議で、増資を行うことについて合意がなされました。
 両機関の増資を行うのは、2010年以来でありますから、8年ぶりということになります。
 上のほうに、やや小さい字で書いてございますが、増資の目的は、SDGsの達成に向けて必要となってくる資金需要に応えるということが1つ目の目的で、それから、新興国、途上国の発言力の強化のためということが、もう1つの目的としてございます。
 世銀は、国連とは違いまして、1国1票ではなく、出資した額に応じて投票権、すなわち発言力が与えられますので、発言力の調整を行うときには、増資——選択増資と呼んでおりますが、これが必要になってくるということで、資金需要に応ずるための一般増資と、投票権調整のための選択増資と、あわせて行ったということでございます。
 今回の増資の議論におきましては、日本、それから、非常に近い距離で協調して行動したのがアメリカだったわけですけれども、ポイントは、2番目の丸にございますが、所得水準の高い途上国がIBRD支援から卒業することを促していくことでございます。
 それから、先ほどの新興国、途上国の発言力に関しまして、投票権シェアの急激な変動を抑えるべきということ、それから、過去のIDAという低所得国への譲許的な融資等を行っている世銀グループの機関でございますが、ここへの、これまでの資金貢献を踏まえた投票権の調整を行うべきという主張をいたしました。
 結果といたしまして、合意内容のポイントを御紹介させていただきます。まず、卒業というところでございます。これは端的に申しまして、念頭にあるのは、やはり中国でございます。中国は、一方では、国際社会の大プレーヤーとして、いろいろなところで大きな発言をし、行動もしておりますけれども、まだ世界銀行から融資、その他支援を受けている国でありまして、やはり、これはもうそろそろ中国というのは、世銀のような途上国支援の機関からサポートを受ける立場を卒業すべきであろうということでございます。
 そういう意味で、卒業を促していくための政策を、この増資を合意するに当たってどうするかということで、各種いろいろ議論いたしましたが、結論といたしましては、ここに小さなポツが3つ書いてございます。
 1つは、融資量の割合を、中国といったもう卒業してもいいというレベルの所得水準になった国に対し、全体で現状、約40%の融資を振り向けておりますけれども、これを2030年までに約30%まで引き下げるということを、世銀側と合意いたしました。
 それから次に、そういう国々への支援について、どういう分野に支援するかということでありますけれども、環境分野など、国際公共財の分野に重点化するということでございます。例えば、気候変動対策、あるいは環境対策に資するような支援など、こういうことに重点化していき、逆に言えば、国内の対策、いわゆる、オーソドックスな開発目的の資金支援は減らしていって、むしろ、卒業間近の国々でありますから、自分たちで資金調達できるでしょうという考え方でございます。
 それから、3つ目に、返済期限の長い借入にかかる金利を引上げるということで、これも解釈をつけて申し上げますと、当初は、中国が主に念頭でありましたけれども、卒業できそうな国、すなわち、所得水準の高い国というのは、もう多くの場合、国際金融市場、資本市場で、自分たちで資金調達もできるような国なのでしょうから、世銀から資金を引き続き借りるとしても、その分ちょっと高い金利を払ってくださいという議論をしていたのですけれども、現実には、なかなか卒業対象国のほうから根強い抵抗もありまして、ある種合意して落ち着いたところが、返済期限の長い借入について、これは金利を少し上げていくということで、これも間接的に卒業を促していく政策になるだろうということで、主にこういう内容で合意したということでございます。
 右側、投票権シェアのほうであります。2つ目の目的の関係であります。
 基本的に世銀の投票権は、国の経済規模に見合うようにというのが考え方の基本でありますけれども、冒頭申し上げましたように、それ以外にも、過去、世銀グループに各国が行ってきた貢献、これの度合いをきちんと反映させましょうといった中で、とりわけ圧倒的に重要だと思いますのは、IDAへの過去の資金貢献でありまして、これをきちんと世銀の投票権にも反映させましょうという議論をいたしました。
 結果、表にございますように、アメリカが若干低下、日本も若干低下、中国は1.3ポイント程度の上昇というような結果になっております。中国は、経済規模だけで見れば、もちろん日本より高いシェアに来るような国になってしまっているわけですけれども、そこは、過去の世銀グループへの貢献をきちんと反映させる等の主張を日米でいたしまして、こういう結果に落ち着いたということでございます。
 IFCは、皆様御高承のとおり、世銀グループの中で、民間セクターを支援することで開発を支援していく目的の、融資先が民間企業という機関でございます。しかしながら、ここも近年、やはりODAには限界があり、民間セクターの資金をどう開発に導入していくかということが、主要課題になって久しいという状況でありますので、それに見合って、IFCの役割において必要となる資金量も増えるということで、IFCの増資にも合意が得られたということでございます。
 日本としましては、次の通常国会以降、増資に応じて、払込みをしていくために必要な法律の手当をお願いしていきたいと思っているところでございます。
 以上であります。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、引き続きまして、三村副財務官お願いいたします

 

○三村副財務官 副財務官の三村でございます。
 私のほうからは、同じ資料ですが、残りの部分の御説明を申し上げます。
 初めに、中国の関係でございます。お手元の資料の18ページでございます。
 既に多々報道が出ており、御存じの部分が多いかと存じますが、10月25日から27日の安倍総理訪中の際に、日中首脳会談が行われております。日本の総理の7年ぶりの公式訪問ということで、報道でも非常に注目を集めましたが、金融協力の関係でも、非常に大きな成果が得られたというところでございます。
 真ん中の太字のところに書いてございますけれども、日中双方が5月の首脳合意を踏まえて、日本における人民元クリアリング銀行の指定、並びに日中の中銀間における通貨スワップ取極の締結・発効に至ったことを歓迎するということで、2つの具体的な成果が得られたというところでございます。
 5月の首脳合意を踏まえてと申し上げたように、参考のところにございますが、本年5月に李克強首相が訪日した際に、日中首脳会談を実施しまして、2つ目の丸にありますように、クリアリング銀行の指定、通貨スワップ取極の締結のための作業を早期に完了させるということで合意しておりました。
 8月末にも、日中財務対話において、まず、速やかに作業を進めようとしておりましたけれども、それが10月の首脳会談の際に、めでたくゴールに至ったということでございます。
 人民元クリアリング銀行のほうは、19ページに、簡単に、その内容を改めて御紹介申し上げておりますけれども、オフショア市場で人民元決済を行うために、中国側が各国に指定している決済銀行であり、これができれば、東京でも人民元の流動性が高まって、オフショア市場の発展ということになりますし、日本から中国への投資の活性化にも繋がるということでございまして、この首脳会談の機会をとらえまして、10月26日に、日本で初めての人民元クリアリング銀行ということで、中国銀行の東京支店が指定されたということでございます。
 ちなみに、10月の日中首脳会談の際には、邦銀の人民元クリアリング銀行への指定を早期に実現させるということも、合意の中に入ってございますので、今回、まず、中国銀行東京支店が指定されましたけれども、今後、邦銀がさらに人民元クリアリング銀行に指定されることも期待される状況になっているというのが、人民元クリアリング銀行の関係でございます。
 それから、20ページに、日中通貨スワップ取極の概要を載せてございます。同じく、この首脳会談の機会をとらえまして、10月26日に、日中の中央銀行の間で、引出限度額2,000億元・3.4兆円というスワップ取極を締結したということでございます。
 また、一部報道などで、この通貨スワップにより、危機のときに、日本が中国を援助するのかというような論調があったりいたしますけれども、これは、後ほど出てまいりますASEAN諸国やインドなどと結んでおります、いわゆる危機のときに、短期の流動性を外貨で供給するという、危機対応型の通貨スワップとは性質の異なるものでございまして、基本的には、お互いに相手の国で活動する自国の企業の活動を支えるというのが最大の目的であります。日本側から見ますと、中国で日系企業が活動されており、当然、中国にいらっしゃる邦銀の出先のほうから、人民元建ての融資ですとか、決済サービスを受けたりしながら、企業活動をされているわけですけれども、例えば、何か不測の事態があって、中国で活動している邦銀が人民元不足となって、日系企業の人民元の様々なニーズに、すぐに応えられないというようなことが生じてはいけませんので、仮にそういった不測の事態が生じたときには、このスワップ取極の枠組みを生かして、日銀から人民元をきちんと供給できるようにするということで、結果的に、当然中国でビジネスをされる日系の金融機関ももとより、その先にいらっしゃる日系企業の皆様方にとって、安定的に人民元が供給されるので、中国で安定的なビジネスができるということを企図したものでございます。したがいまして、交換される通貨もドルではなくて、お互いに人民元・円ということで、それぞれが自分の国の事業のために現地通貨を供給し合う。こういう枠組みに合意したというのが、この10月26日でございます。
 以上2つが、10月の日中首脳会談での最も大きな成果でございます。
 21ページは、RQFIIの概要を載せてございますが、こちらのほうは10月といいますよりは、5月の李克強首相の来日の際に、既に合意されたものでございます。本日は時間の関係もございますので、説明は割愛させていただきます。
 22ページですけれども、今、申し上げたようなことで、10月に人民元クリアリング銀行ができ、人民元建ての通貨スワップの取極も締結され、また説明は飛ばしましたが、5月にはRQFIIの付与もなされたということで、おそらく各国とも、中国との金融協力というときに、この3つが、まさに主要なメニューということで、この表にも御覧いただけますように、その3つのメニューにつきまして、日本は他のG7ですとか、アジアの主要国に比べますと、メニューが揃うのが遅れた状況でございましたけれども、ようやくこの10月の日中首脳会談をもって、日本も他の主要国並みに、この3つの大きなメニューが、いずれもそろう格好になったというのが、中国との金融協力の状況でございます。
 次に、ASEANでございます。24ページでございます。
 こちらのほうは、前回の分科会の前までさかのぼりますが、5月にマニラで、ASEAN+3の財務大臣・中央銀行総裁会議が開かれたということでございます。そこで、幾つかの成果がございましたけれども、その中でも特に大きなもので、また年末、年明けに向けて作業が進むものとして、本日は、先般5月に合意してございます、チェンマイ・イニシアティブの包括的な契約書の見直しについて、こちらの中身を簡単に御紹介申し上げます。
 おめくりいただき、25ページでございますけれども、もともとチェンマイ・イニシアティブは御承知のように、最初、立ち上がりましてからマルチ化しましたり、あるいは規模を倍増したり、様々な機能強化を図ってきた経緯がございます。こういった形で、随時見直しをしてきている中で、5月のASEAN+3におきましては、改めてこのチェンマイ・イニシアティブにつきまして、包括的な契約書の見直しをしようということで、その見直し事項について合意が得られたということでございます。
 25ページの資料にも幾つか書いておりますけれども、特に大きいのは、この1番目のところでございまして、そこにも書かれておりますが、チェンマイ・イニシアティブを使って、仮にドルの借入をする場合に、スワップの更新回数ですとか、あるいは、ディスバースのスケジュール、借入期間とか、こういったものをもう少し柔軟にして、IMFと一緒の協調支援、つまりIMFの借入のスケジュール等とあわせやすいようにして、IMFとの協調支援を実施しやすくしましょうとしております。そういう形で、更新回数とか、ディスバースのスケジュール等々を柔軟にできるように契約書を見直しましょうということに合意したというのが、1つ目でございます。
 それから、2番目、3番目に、コンディショナリティの話を記載しておりますけれども、当然借入をするに当たりまして、ただ無条件で借入をするわけではなく、コンディショナリティが入ってくるわけでございますけれども、これも、例えばIMFとリンクする形で実施するのであれば、IMFとチェンマイ・イニシアティブサイドとで、きちんとコンディショナリティの内容について、互いに調整したり、情報共有したりというのが当然必要だろうと思われますので、そういった手続を、きちんとこの契約書、あるいは運用ガイドラインの中に書いていこうということに合意いたしまして、これを今、まさしく契約書の見直しということで、作業中という段階でございます。
 年内には、この契約書の文言を確定させまして、正式にはまた来年、ASEAN+3財務大臣中央銀行総裁会合が開かれますので、そのときに、正式に契約書の包括的見直しに合意できるよう、関係者間で作業を進めているというのが現状でございます。
 それから、1枚おめくりいただきまして、26ページでございます。
 今、マルチのチェンマイ・イニシアティブにつきまして申し上げましたけれども、こちらはASEAN諸国との間で結んでおります二国間の通貨スワップ取極、いわゆるBSA(Bilateral Swap Arrangement)と呼んでいるものでございます。これは、先ほどの中国との通貨スワップと違いまして、仮に危機が起きたときに、短期の外貨流動性をお互いに提供するという危機対応型のBSAでございますけれども、こちらも随時、ASEAN各国との間で、更改を進めてございます。
 前回の分科会以降ということで申し上げますと、赤い枠で囲っておりますインドネシアとタイでございますけれども、それぞれ7月及び10月に更改しまして、ポイントとしては、ちょっと見づらくて恐縮ですが、一応下線を引いておりますけれども、使用通貨のところを御覧いただきますと、従来は相手との間で、現地通貨であるバーツなりルピアとドルとの間の交換ということだったのですけれども、今回、改めてドルだけではなくて、円との交換も可能になったというところが、一番大きなポイントでございます。
 昨年5月、横浜でASEAN+3を開催しましたときに、日本からこのBSAで、交換対象の通貨に、ドルに加えて円を追加することを、日本側からも提案したのですけれども、その提案を受けて、BSAの締結相手である、こういったASEANの国々からも賛同を得まして、使用通貨に円を加えるという形の更改が行われているということでございます。
 シンガポールやフィリピンも右にございますように、円が交換対象通貨に入っておりますので、これでASEAN各国、BSAを結んでいる4つ、いずれも円との交換も可能な枠組みになったというのがBSAの関係でございます。
 それから、駆け足で恐縮ですが、27ページと28ページに、同じこのASEAN相手の様々な取組の一種延長とも申すことができますものを、御紹介いたします。本年9月、東南アジアの金融資本市場の発展・深化に向けた研究会というものを立ち上げさせていただきまして、今いろいろと勉強させていただいております。
 ASEANとの関係で、ASEANの域内の貯蓄を域内の様々な投資、ひいては域内経済の発展につなげていけるように、まずは、アジアの債券市場を育成しようということから、アジア債券市場育成イニシアチブ(ABMI)の枠組みで、ASEAN+3にて、いろいろな取組をこれまでも実施してきたところでございますけれども、その結果、もちろん、ある程度債券市場、ASEANの金融資本市場、発展、拡大は見られているわけでございますが、他方で、域内の貯蓄が十分に、効率的に活用できていないのではないか。特に、このASEAN各国、あるいはアジア諸国、経済も発展する中で、質の高いインフラ投資への需要もどんどん増えている中で、なかなかそのインフラ投資への長期の資金提供というものが、域内のお金ではうまく実施できていないのではないか。これらが、我々の基本的な問題意識でございます。
 そういう中で、むしろ28ページを御覧いただいたほうがいいかもしれませんが、今、申し上げたようなことを、さらに掘り下げていくと何が問題かということで、大きく2つあると考えております。1つは、域内で貯蓄を吸い上げまして、その域内で投資する年金とか生命保険のような、いわゆる長期で、かつ現地の通貨で安定的な投資をするような長期の機関投資家の存在というのが、まだASEAN諸国、東南アジア諸国において十分に発達するに至っていないのではないかという、いわば資金の提供者、供給サイドの問題が1つあるのではないか。
 それからもう1つは、資金の投資対象の問題として、仮にそういう長期の目線で投資しようという人がいたとしても、実際に長期で安定的に投資できるような対象があるかと見たときに、まだ、東南アジア諸国に、そういう投資の対象となるような長い目で見て収益性のある、バンカブルな質の高いインフラ投資の案件というものが、まだ十分足りていない部分もあるのではないか。
 あるいは、今こういう年金、保険をはじめ、長期の機関投資家に加え、環境、ガバナンス、社会的配慮とか、いわゆるESGに配慮した投資を行うという機関投資家も、当然増えているわけですけれども、そうしたESGの観点も念頭に置いて投資対象を見たときに、まだ投資対象たり得る事業が、十分東南アジアで発展しきれていないのではないか。こういったような問題意識があるということでございまして、現在この研究会の中で、保険や年金といった長期安定的な域内の投資家、機関投資家をどういうふうに育てていくことができるのだろうか、あるいは、その方々の投資対象となる、こういう長期の安定的な投資対象をどのように育てていく余地があるのだろうか、といった問題意識を持ちながら、この研究会の議論を始めているということでございます。
 これまで9月と11月の2回にわたりまして、既に研究会を開催しておりますけれども、この28ページの資料の下のところにもございますように、小川分科会長をはじめ、奥田委員や両清水委員にも御参加いただき、今、いろいろと御指導、御示唆もいただきながら研究を進めているのが現状でございます。
 以上、研究会の御紹介でございます。
 それから、30ページ以降、インドでございます。
 インドとの関係、こちらも先般、日印首脳会談が開かれまして、その際に、日印の通貨スワップ取極というものを、改めて結ぶ方向で基本合意してございます。
 もう30ページの細かい経緯は割愛いたしますけれども、2008年以降、インドとの間では、何度かにわたりまして、この通貨スワップの取極というのを締結しており、そのために金額も、その時々の状況の中で、少しずつ増えてきたわけでございますけれども、その後、2015年12月以降、しばらく両国間の通貨スワップ取極は失効しておりましたが、先般の日印首脳会談の機会をとらえまして、10月29日に総額750億ドルで、通貨スワップ取極を締結するということで、基本合意に至ったということでございます。
 この日印首脳会談では、通貨スワップ取極、これもASEANと同じ、いわゆる危機対応型の通貨スワップ取極でございますが、これと並びまして、もう1つ、金融市場の安定等に資するべく、この30ページで言いますと、4つ目の丸のところにもございますが、インド側の金融規制(対外商業借入(ECB))の緩和に合意したというのが、金融関係では、先般の首脳会談での大きなアウトカムということになってございます。
 対外商業借入規制のほうは、31ページに御紹介させていただいておりますが、もともとインド政府がマクロプルーデンスの観点から、インド国内の企業が外貨建てで借入をすれば為替リスクがあり、その為替リスクをきちんとヘッジしてもらわないといけないという考え方で、インド企業が海外から外貨建ての借入を行う際に、借入期間によっては禁止したり、場合によっては、ヘッジを義務付けたりしているというのがこの対外商業借入規制でございます。
 従来は、真ん中の表のところを御覧いただくとよろしいかもしれませんが、平均借入期間が5年から10年の間は、借入は可能であるが100%為替ヘッジをしろという規制であり、5年未満の借入は不可ということになっておりました。しかし、100%為替ヘッジですと、ヘッジに結構コストがかかるものですから、その手数料まで含めて考えますと、インドの企業にしてみると、わざわざ外国から借りてヘッジのコストまで払うのであれば、むしろ国内で借りたほうがいいということになってしまいまして、この規制導入以降、なかなか日本も含めて、外国の銀行からインドに、インフラ等で貸付をするということがかなり細ってしまい、やりにくい状態になってしまったのが現状でございました。
 そこで、今般の首脳会談の中で、日本側からも問題意識を提示したのですけれども、最終的にインド側におきまして、この規制を改めまして、下のところに、黄色で囲っていますが、従来この100%為替ヘッジが義務付けられていた5年から10年の部分がヘッジ不要ということになり、それから、5年未満は、今まで借入不可ということだったのですが、3年から5年の部分については、70%為替ヘッジをすれば借入していいということで、ここの部分の規制が少し緩和されたということでございます。
 我々としても、これによりまして、邦銀を含めた外国の銀行が、インドのインフラ案件に貸出をしやすい状況になるのではないかと考えております。それによってインドにも、長期安定的な資本流入が促進される結果になるのではないかということで、我々としてはこういった規制緩和で、言ってみれば、win-winの関係になっていくことを期待しているというところでございます。
 その後、32ページは、今、申し上げたことが日印共同声明に入っているということですので、飛ばしまして、最後の投資と安全保障の項目についても、私のほうから続けて御説明させていただければと存じます。
 34ページは、外為法の対内直接投資についての審査体制がどうなっているかということのおさらいでございます。
 御承知の部分も多いかと存じますが、外為法上、外国投資家は国内の企業に対して対内直接投資をする際に、一部の業種につきましては、事前届出が必要ということになってございます。
 その事前届出の対象業種は、1つ目のポツのところに並べておりますように、「国の安全」「公の秩序」「公衆の安全」「我が国経済の円滑な運営」という4つの観点から、それぞれ告示に列挙しております。該当する業種において、対内直接投資の事前届出があった際には、財務大臣とそれぞれの業種の所管大臣が、今、申し上げた国の安全や、公衆の安全等の観点から審査を行いまして、必要があれば投資の中止、変更といった勧告や命令ができるというのが審査体制でございます。
 そして、仮に変更や中止の勧告を行う場合には、それに先立ちまして、外為分科会の外資特別部会におきまして、御意見を頂戴しながら、そういった判断をするというのが、この外為法上の対内直接投資についての、いわゆる審査付事前届出制度の基本的な制度の体系フローでございます。
 この審査付事前届出制度について、これも御存じの部分も多いかと存じますが、35ページを御覧いただいたほうがいいかと思うのですけれども、昨年、審査付事前届出制度に関連しまして、2つ改正を加えてございます。
 1つは、左側のマル1のところですけれども、これは従来、非上場株式が、ある外国投資家から別の外国投資家に譲渡されるような場合というのは、もともと外国投資家が株式を持っているので、最初に外国の投資家が非上場株式を購入する時点で審査しているとして、審査の対象にしていなかったところです。
 昨今の情勢を鑑みますと、例えば、国の安全に係る軍事転用可能な汎用品の製造業といったものになりますと、もともと取得した外国投資家は問題なかったけれども、それが外国投資家の属性によっては、国の安全保障上問題だということも当然あり得るわけですので、審査対象とすることが適切であろうということで、こうした外国投資家間の譲渡であっても、国の安全に関係する場合には、審査付事前届出の対象に加えるようにしたというのが、1つ目の改正点でございます。
 それから、2つ目の改善点は、右側のマル2事後的な措置と書いてございますが、先ほど申し上げたように、届出があり、審査をして、もし本当に必要なら変更や中止の勧告命令ということになるわけですが、従来、本来届出しなければいけないのに届出されなかったり、届出の中に虚偽の内容があったり、あるいは、変更や中止命令を出したけれども従わなかったというようなことがあった場合、もともと刑事罰を科す規則にはなっておりましたが、刑事罰だけを科しても、企業を買収してしまったものの原状回復ができるわけではございませんので、そういう原状回復の手段がなかったということでございます。
 これについても、今回、事後的に原状回復を命ずることができるようにするということで、赤い字で「新設」の下に「措置命令」と書いてございますが、無届けとか虚偽届出というような事象があった場合に、そういった投資家に対して、必要があれば、事後的にその株式を売却せよというような措置命令ができる制度を新たに導入し、事後介入もできるような原状回復の手段を、新たに外為法に盛り込んだというのが昨年の大きな改正点でございます。
 日本は審査付対内直接投資のスクリーニングのシステムを、昨年も含めて随時見直ししてきておりますが、36ページ以降、諸外国でもそういった対内直接投資の審査システムについて、様々な議論、特に強化する方向での議論が進んでいるというのが、36ページ以降の話でございます。
 36ページ、37ページは、アメリカの状況でございます。これも結構日本でも注目されておりますが、アメリカの場合には、対内直接投資は対米外国投資委員会(CFIUS)が審査する形式となっております。この委員会はアメリカの財務省が議長になっており、関係各省庁がメンバーに入っている省庁横断的なものでございます。
 この8月に、外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)という法律が大統領の署名を経て成立いたしまして、今後18カ月以内に発効され、CFIUSの権限が大幅に強化されることが見込まれているということでございます。
 例えば、主なポイントの1つ目のところにございますけれども、従来は審査対象が、アメリカの企業の支配権を取得するような、合併や買収に限られていたものを、例えば、アメリカの軍事施設、港、空港といったものに近接した不動産の取得・リース等も審査の対象となること、あるいは、支配権の取得ではなくても、重要インフラや重要技術を持っているアメリカ企業への投資で、非公開の技術情報にアクセスできるといったものや、あるいは取締役会に参加して、重要な技術に関連する意思決定に関与できるといったものは、広くこのCFIUSの審査対象に加えることになったということでございます。
 その中でも国有企業等がそういう投資を行う場合には、もともとアメリカは事後介入を原則にしておりましたけれども、そういう国有企業等が行う場合には、事前に必ず申告することを義務付けるとか、こういった規定が新たにアメリカでは加わったということで、当然これもアメリカの場合には、中国を念頭に置いているというお話でございますけれども、こういった形で、アメリカの場合には、かなり審査の対象、あるいは枠組みが広がる形で、今後CFIUSの権限が強化される見通しであるということでございます。
 そして、38ページ、39ページは、中身を割愛いたしますが、実は、欧州でも同じような状況になってございまして、そもそもEUの場合には、まだこういう審査のスキーム自体を持っていない国もEUメンバーの中には半分ぐらい残っているのですが、それについて、穴があってはいけないということで、EUで規則をつくろうという動きがございます。あるいは、そういうEUの規則を見ながらも、イギリスやフランスやドイツも、それぞれ微妙に違う形でありますが、それぞれに対内直接投資のスクリーニングシステムを持っており、それぞれ業種を広げるとか、あるいは金額基準を下げるとか、様々な形でイギリスやフランス、ドイツも、それぞれに足元規制の強化をしている、あるいは、今強化しようとしている状況にあるというのが対内直接投資の関係でございまして、我々としても、こういった他の先進国の状況を見ながら、また引き続き、日本におけるこういう対内直接投資のスキームについても、これで足りるのか、足りないとすれば、どこをどうしていくのかということを、まだ考えなければいけないという問題意識を足元で持っているという状況でございます。
 駆け足で恐縮ですが、私からは以上でございます。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございました。詳細に御説明いただきました。
 それでは、これから委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思いますが、皆さん関心のあるトピックがたくさんあるため、一通り皆さんの御質問、御意見を集めて、まとめてお答えいただくという形をとりたいと思います。
 それでは、清水委員お願いします。

 

○清水委員 非常に詳細な説明をありがとうございました。
 質問は3点ございます。まず、7ページのG20財務トラックのプライオリティについて、グローバル・インバランスの問題を今回取り入れたということは、非常に興味深いことだと思っております。特に日本がG20の議長国を担うにあたって、グローバル・インバランスを入れてきたという背景には、多分いろいろなものがあるのではないかと思います。例えば、保護主義への牽制だったり、為替の対応であったり、そういうことを、この問題の中に含んでいると思っているのですが、そのあたりをどのように考えられておられるのでしょうか。
 それから、例えばIMFのレポートによりますと、先進国間のグローバル・インバランスが顕著であり、日本、中国以外に、ドイツが黒字国として指摘されています。そこで、グローバル・インバランスに対しての欧州の対応、考え等はどのようになっているのでしょうか。
 そして、構造問題として考えていく場合に、日本が黒字を減らすためには金融政策の正常化が必要になりますし、マルチで考えた場合には、実効為替レートで見ると、今の日本円というのはかなり円安レベルにあるということが指摘されていますので、うまく取り扱わないと日本が苦しい立場になるのではないかといったことも含めて、どのようなスタンスでいらっしゃるのかお聞きしたいと思います。
 次に、グローバルセーフティーネットについてですが、こちらは、先ほどブエノスアイレスサミットの中で、IMFのセーフティーネットのグローバルセンターとしての役割に加えて、米国はむしろそこに、RFAの役割を重視した形で考えていきたいというようなことをおっしゃっていたと思うのですが、日本は今、ASEANを中心に、アジア各国とBSAを積極的に結んでいます。今後、日本としてRFAの拡充とBSAへの積極的な関与、どちらをより中心に考えていくのでしょうか。
 最後に、人民元のクリアリングバンクにつきまして、これはようやく開設して、非常に喜ばしいことだと思っております。10月26日に、中国銀行がクリアリングバンクとして成立したということで、まだ日数は経っておりませんが、例えば、このクリアリングバンクができたことによって、円と人民元の直接交換の取引が増えているなど、もしそういう情報がございましたらお願いいたします。
 以上です。

 

○小川分科会長 それでは、引き続き、御質問、コメントをいただきたいと思います。
 小枝委員、お願いします。

 

○小枝委員 私は特に質問ではなく、コメントを1つ申し上げたいと思います。
 6ページに、首脳会合のポイントがあったのですけれども、やはり質の高いインフラというのは、例えば、低所得国における債務問題を考える上でも大事なポイントだと思って伺っておりました。低所得国は何かと申し上げると、資本が足りない国であり、そうすると、そこでインフラの役割というのは非常に大きく、長期的な成長につながらないようなインフラ、ノウハウが学べないようなインフラを、ただ単に大量に提供するということによるひずみ、例えば、途上国自体も安い金利でなるべくたくさん借りて、そのままロールオーバーしたり、それから“debt cancellation”を期待したり、そういうような歪んだインセンティブが生まれてしまうおそれがあるので、質の高いインフラというのは、他のポイントを考える上でも、大事なポイントだと思いました。
 以上、コメントです。

 

○小川分科会長 それでは、河野委員お願いします。

 

○河野委員 御説明ありがとうございました。2点伺いたいと思います。
 まず、1点目です。5ページ目で、先ほどの御説明、中国と米国の対応を中心に御説明いただきました。保護主義については、各国の首脳がどう考えているのかとは別に、特に欧州諸国の人々の間である種の保護主義のような潮流が出てきていると思います。そういう欧州の社会事情というのが、欧州各国の、特に首脳の対応、あるいは各国政府の対応に、どの程度影響を与えているのか。あるいは、首脳レベル、政府レベルでは、やはりWTOを中心とする多国間の自由貿易体制への志向がまだ生きているのかを伺えればと思います。
 それから、15ページの世銀グループの卒業の点についての質問です。先ほどの御説明で、環境分野など国際公共財にかかわるものに重点化するので、通常の計画については支援をできる限り少なくするというふうに御説明されたと思います、特に中国の場合には、通常の計画でも環境対策が十分でないものとか、あるいは、通常のプロジェクトであるからこそ、足りない環境政策のところに、実は資金を使ってほしいというようなプロジェクトがあるような気がいたします。そういうプロジェクトに関して、この考え方がどのように位置づけられ、どのような形の配慮がなされるのかという点について、ちょっと細かい点で恐縮ですけれども、お教えいただければと思います。ありがとうございます。

 

○小川分科会長 それでは、亀坂委員お願いします。

 

○亀坂委員 まず、来年のG20の開催ですけれども、G7等の中でも、先進国の中で唯一の長期安定政権に日本の安倍政権がなりつつあるので、ぜひ日本のプレゼンスを高めていただきたいと思っています。
 今、御説明いただいて感じたのが、来年のG20の開催を待たずに、既にいろいろな形で日本のプレゼンスを高めていただいているように思いました。私が一番関心を持ったのは日中金融協力なのですけれども、2014年、15年と日中関係が冷え切ったころに、中国政府の国際会議にお招きいただいて、財務省の方々にも御相談した上で、日中金融協力についてしゃべってくれと、中国政府の向こうの担当者から言われて、頑張って発表はしたものの、日中関係は本当に冷え切っていて、22ページにもあるとおり、特に人民元国際化等をテーマにすると、本当に日本は、2014年とか15年の段階では、遅れをとってしまっておりましたので、ここに来て、大分日中関係をよくしていただいたと感じました。
 それに対して、先ほどの御説明で、新聞などの一部のメディアの報道では、勘違いした報道があって、何で中国を助けるのかという報道もなされていたということが、ちょっと気になったのですけれども、私はたまたま、そういった日中金融協力でしゃべらなくてはいけない立場に置かれて勉強したのですが、あまりにも国際情勢をきちんと理解している学者がこのところ少ないように感じております。学者が、政策に関する分析をもっとできるようになったらいいというふうに、普段から思っています。
 それに関連して、8ページ、G20開催に関連して何かセミナーを開かれるとか、あとは別途、この分科会関係者でも研究会を立ち上げていらっしゃるということだったのですけれども、もっともっと情報発信していただき、学者の理解を深めるような、あるいは、メディアでもそうですけれども、今何が起きているかとか、これはどんな意味があるのかというのを、私がメディアに聞かれても、正確に答える自信がないということもあるので、情報発信の機会を増やしていただけないかと思うことがあります。
 特に今、思っているのは、たまたま昨年秋に日本経済学会という、多分学会としては日本で最も大きな規模の学会ですけれども、その大会を青山学院大学で大会運営委員長として開催する立場にあって、そのとき個別に内閣府の方々と公正取引委員会の方々から問い合わせがあって、公正取引委員会で今何をしているかとか、内閣府でどんなことをされているかという特別セッションを設けられないかという問い合わせがありました。それまでは、個別に学会事務局に問い合わせがあったら、こちらで考えるというシステムでしたけれども、来年度からは、学会サイドが、それを公募する形に変更いたしました。
 来年の春の東京の武蔵大学での学会には、企画セッションという形で、いろいろな方から一般公募でセッションを企画していただく機会が設けられているのですが、8ページの日程を見ると、ちょうど武蔵大学の大会が6月8日、9日で、よりにもよってという感じでG20の会議とぶつかっているのですが、秋以降も機会があるでしょうし、日本経済学会ですと、社会保障とか財政の問題とか、経済学に関連すれば何でも取り上げられますので、ぜひ財務省の他の局の方とか、研究所の方から、そういったセッションを企画していただいたらいかがかと思いました。
 あともう1つ、長くなって申しわけないのですけれども、外為法の改正絡みもちょっと気になりまして、スライドの35ページです。米国等と比べて、35ページの事後的な措置、株式売却等の措置命令を新設していただいたのは非常にいいと思うのですけれども、やはりアメリカの例と比べると、非常に緩いように感じまして、これは強化していただいたほうがよいのではないかと感じました。
 以上です。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、奥田委員お願いいたします。

 

○奥田委員 既にいろいろな論点は出ていますので、1つお伺いしたいと思います。
 高齢化の課題というのを、G20で取り上げられるということです。先ほどからずっと聞いているのですが、何となくイメージがつかみにくい。確かに、他の国もやがて高齢化するというのは事実ですけれども、頂いた資料を見てみると2050年と書いてありまして、30年先の話で、ほかの国は切迫感がないのではないか。
 要するに、ここで取り上げる意味というのが、いまひとつ私にはよくわからないのですが、他の議題と何か関連性があるのか、それから、グローバル・インバランス中の一因なのかもしれませんけれども、何かそういうふうなことと関係があるのかとか、ちょっとその具体的イメージと、他のテーマとの関連性がもしあれば、御説明いただきたいと思います。
 それで、同じことですが、このテーマは1回限りなのでしょうか。それとも、将来も何らかの形で継続されてくるようなものなのでしょうか。そこをちょっとお伺いしたいです。
 もう1つは、これは全くテクニカルな質問で、チェンマイ・イニシアティブの契約内容の見直しの中で、チェンマイ・イニシアティブの発動時におけるメディアの情報発信の強化というのがあるのですけれども、これはどうしてこういうふうなものが出てきたのかが、ちょっとよくわからないのですが、背景が何かあれば教えていただきたいと思います。
 以上です。

 

○小川分科会長 それでは、伊藤委員、お願いいたします。

 

○伊藤委員 御説明どうもありがとうございました。
 私からは1点コメントですが、外国からの直接投資に関連してですけれども、少し規制強化方向に進んでいるということで、それ自体は賛成ですが、昨日も中国のファーウェイの事件というか、報道があったとおり、国家安全保障上の理由で規制というところが、基準もよくわからないところがありますし、逆に、国家安全保障上の理由なので、あんまり具体的にどうしてだということを言えない部分もあるのかもしれないのですが、各国がそういう理由で、どんどんいろいろと規制するということは、非常に世界の経済活動を縮小させるという懸念を持っています。
 だからといって、今の日本のような、緩いようなものがいいという意味ではないのですけれども、非常に技術も発達して、判定や審査が難しくなっている状況にあると思います。特に日本の場合、審査主体というところ、財務大臣及び事業所管大臣と書いてあって、実際どういう方たちが、どういう形で審査しているのかというのが私自身もよくわからないという状況です。
 今の通信技術、デジタル技術の発達ということを考えると、省庁横断的に専門家も入れた、非常に慎重かつ深い審査が必要なのではないかと思いまして、米国のような投資委員会的なものをしっかり組織するべきなのか、その辺はちょっとまだよくわからないのですが、どういう形で審査するかというところも含めて、今後より議論していただきたいと思います。
 以上です。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。長谷川委員お願いいたします。

 

○長谷川委員 2点お伺いしたいのですが、1つは世銀グループの増資に関連してです。やはり今回の合意を見ていて、中国について、日本政府は卒業を促していくという話ですけれども、投票権シェアがこれだけふえている中で、いまだに卒業していないということにすごく強い違和感を持ちます。
 今回の合意の中で、卒業を促していく方向で融資量の割合を減らすなど、いろいろ書いてありますけれども、今後の見通しとして、本当に卒業していくことになるのかどうなのか。その辺について、中国側がどういう見方をしているのかも含めてお伺いできればというのが1点です。
 もう1点は、投資と安全保障に絡む話です。お話にあったように、アメリカでも欧州でもかなり規制を強化する方向でやっているということですが、これも当然のことながら中国を念頭に置いてということだと思いますけれども、別にそれを明示しているわけでもありませんし、規制を強化するということで、場合によっては、日本もいろいろ対象に含まれる可能性もあると思います。実際、アメリカの場合は、安全保障を理由にして、日本の鉄鋼だとかアルミニウムに対して関税をかけたりしているわけで、そういうことを踏まえたときに、どういう対応がいいのかと考えると、やはり先進国同士で情報を共有しながら、連携をどれだけとれるのかというところが重要になってくると思います。
 アメリカの今回の法改正の絡みの主なポイントの3つ目のところに、外国政府との情報共有という話があって、同盟国と情報の共有ができることを新規に規定するというふうに書いています。同盟国と書いていますけれども、具体的に日本政府として、アメリカ政府とこの辺について議論しているのかどうか、あるいは、これに日本として対応するためには、法改正その他、多分必要だと思うのですけれども、その辺についての今の考え方はどうなのかについて伺えないでしょうか。

 

○小川分科会長 ほかよろしいでしょうか。
 ちょっと時間が迫っておりますが、私から1つ。日中の通貨スワップの取極について、ASEAN諸国と締結している危機対応型ではないということですが、具体的に想定されるのは、中国の人民元のインターバンクなど何かのマーケットで、人民銀行が信用割当をして日系企業にお金を貸してくれないというような状況があるというふうに言われておりますけれども、そういう状況の中で、中国で危機が起きたときに発動するということが想定されます。そのとき、日本サイドから中国でそういう危機になっているから、通貨スワップをやりましょうというふうに言って、中国で、いや、こっちは大丈夫ですよと言われたときにどうするのか。要するに、リクエストするのが日本サイドであるが、起こっている事象は中国のマーケットで起きているという時に、これはどのように発動できるのかというところをお伺いしたいと思います。
 それでは、まとめてお願いいたします。

 

○武内国際局長 いろいろ有意義な御指摘と御質問ありがとうございます。手短になってしまいますけれども、順番にお答えいたします。
 グローバル・インバランスの背景については、トランプ大統領が念頭にあって、二国間貿易に着目しているところに対して、グローバルな観点で考える必要があるという問題意識と、それから昨今、アメリカの金利が上がり始めたときに、やはり貿易収支のみならず、経常収支が弱いところが狙われてきているという問題意識がございます。そういう意味では、今日的な課題であるとともに、他方で前々からの根深い、一番根源的な問題としてのグローバル・インバランスの問題があって、資源の最適配分を妨げるのではないかとか、アメリカの場合は、一番グローバル・インバランスが問題なのですけれども、基軸通貨を持っているものですから、ファイナンス的に問題ないのですが、赤字国のファイナンスの問題も出てくるだろうということで取り上げたいと思っています。
 他"方で、ドイツが快く思わないのかといったら、もちろんドイツも、自分ところの黒字が標的となるのかといって、ある程度警戒しますし、日本についても、気をつけないと為替の話に飛んでいくという御指摘もありましたけれども、現実問題としてなかなか、この問題は取り上げますけれども、国ごとに、何かを成果にするという、そこまでの議論にはならないと思います。
 むしろ、グローバル・インバランスに関するセミナーを予定していますけれども、もう一回グローバル・インバランスが、そもそもの問題であるということを共通認識として育むことで、それなりの目的を果たせると思っております。
 それから、グローバルセーフティーネットについて、IMFがセンター、これは揺るがないと思いますけれども、リージョナルなものとバイラテラルなスワップの優先順位について御質問をいただきました。私どもとすれば、きちんと経済状況を見て、様々な国が助け合うという意味では、リージョナルなものも大事だと思いますけれども、それをバックアップするという意味では、バイのスワップの機動的な面もあるでしょうから、バイのスワップをないがしろにしてはいけないと思っていますので、中途半端な答えですけれども、どっちも大事というのが答えになると思います。
 また、人民元のクリアリング銀行について、円と人民元、取扱いは増えているのかという御質問もいただきました。これについては、まだ始まったばかりですので、もう少し様子を見させていただいて、また機会を改めて、御報告させていただけたらと思っております。
 河野委員から、欧州の一部でも生じている保護主義の動きについてお話をいただきました。一応政府レベルでは、そういう雰囲気をヨーロッパから感じることはまだありません。やはりWTOの意義を認識していますし、それをどうやって改革していくのかということについては、日本と並んで欧州も推進力の役割を果たしてくれているというふうに考えております。
 世銀の卒業について、環境プロジェクトでなければ中国にお金を出さないということなのかという御質問については、後で宮原審議官のほうからお答えいたします。
 亀坂委員から、情報発信をきちんとやるようにという御意見を頂戴しました。これは大変ありがたい御提言で、我々も機会があれば、伺ってお話させていただきたいと思いますので、ぜひ、御提案や御案内をいただければ、はせ参じたいと思っております。
 また、外為法の改正について、アメリカに比べると、まだまだ緩いのではないのかというような御指摘もありましたけれども、問題は、その外為法が原則自由というところから始まっている法律なので、規制をどう埋め込めるのかというのは、おのずから限界があると思うので、その辺は、長谷川委員のほうからも御指摘ありましたけれども、やはり、どうバランスをとるのかというところが、すごく難しい問題だと思っております。
 情報公開の話も、まさにおっしゃるように、きちんとやろうと思えば、法律改正も必要となりえますし、これから先、これは財務省だけの話ではなくて、関係各所とともに、どこまで何をやるのかという議論を始めているところですので、もう少し長い目で見ていただけたらと思っております。
 それから、高齢化の課題というのは切迫感はあるのかということですけれども、いずれはこの課題に直面するということで、各国ともこの議題を取り上げることは、先程次長から話がありましたが、ポジティブな反応があります。他方で、これもきちんとしたもの、立派なものを堂々とつくるというわけではなく、シンポジウムなり、セミナーなりで日本の知見をシェアするということで、1つの役割を果たせるのかなと思っています。
 逆に言うと、日本が議長であるときに高齢化に触れないわけにはいかないのではないかということで取り上げたものでございまして、次の議長はサウジアラビアという若い世代が多いわけですけれども、サウジアラビアのときには高齢化のテーマというのは、なかなか取り上げてくれないのではないかというふうに思っているところでございます。
 また、対内直接投資について、審査基準が曖昧で、うまく使いこなせるのかという御指摘もありました。おっしゃるとおりで、実は安易にアメリカがやっていることについて我々が歓迎すると、日本の企業は、例えば中国の企業に少し出資したような場合とか、ペナルティーがあって、日本の企業が制裁を受けてしまうとか、ブーメランのように返ってくるところがあるので、本当にそういう意味では、情報交換を密にしなければいけませんし、実際、我々はアメリカの財務当局やCFIUS担当当局と話をしております。
 関連して、ちゃんとした基準で、専門家が適切に判断するのかという御指摘もいただきました。それにつきましては、改めて申し上げたいと思ったのですけれども、34ページを御覧いただくと、外国投資家が何かしようとして、刑事罰に至るまでには、外為分科会の外資特別部会の意見を聴取ということでございますので、皆様方のお力もお借りすることになっておりますので、きちんと議論してまいりたいと思っております。
 以上でございます。あとは、世銀の関係で宮原審議官のほうからお願いします。

 

○宮原審議官 やや先ほどの説明は、言葉足らずだったかもしれません。恐れ入ります。
 河野委員の御質問に関しましては、国際公共財と申しますのは、要するに、そのプロジェクトをやって開発が進む結果、その良い影響が、国内にとどまらず、周辺の国あるいは世界に影響が及ぶようなプロジェクトというイメージで、国際公共財等という文言を使っております。
 ですから、例えば環境のプロジェクトであっても、ちょっと前に、中国からのPM2.5の問題などございましたけれども、中国の環境汚染対策のプロジェクトが進むことで、日本や周辺の国の環境改善にも資するというようなプロジェクトであれば、これは世銀の増資のコンテクストで議論された、重点化していく方向のプロジェクトに包含されると思っております。
 その他、国際公共財にどんなものがあるかというのは、詳細に申し上げる時間もございませんけれども、そういうイメージで御理解いただければと思っております。
 それから、長谷川委員に、今、中国はどう考えているのかというご質問で、2点あると思います。1つは、中国政府自身が、直ちに卒業したいと思っていないというのが、率直な現状でございます。一方で、増資時の合意を、世銀と相手国との協力の計画に落としこんでいく作業が始まっております。
 中国についても当然これが始まっておりまして、当初は、卒業を念頭に置いて、中国と世銀の協力の計画や中身を変えていくということには、ややreluctantという感じがあったようですが、最近は、支援分野の重点化、それから、新規融資の量を削減する方向性に了解した上で、どこまでできるかということを、以前より建設的に議論するようになっているという状況のようでございます。

○小川分科会長 武内局長、お願いいたします。

 

○武内局長 すみません、2点ほど補足させてください。
 日中スワップについて、どのようなタイミングで発動するかについて、後で雨宮委員のほうからお願いいたします。
 もう1つ、奥田委員からチェンマイ・イニシアティブの情報発信の強化について御質問をいただきましたけれども、これはよくチェンマイ・イニシアティブの議論をしているときに、ASEAN諸国の方々から、どんな状況で、どこまでの危機のときにチェンマイ・イニシアティブが発動されるのかについて、きちんとした説明がないまま実施しようとすると、あらぬ臆測を呼ぶ可能性があるという意見がございます。ですから、もう少しチェンマイ・イニシアティブとはどういうもので、仮にこういうことがあったとしても、それはどの程度の深刻さのものかということを含めて、きちんと情報発信してほしいというリクエストがあり、ある意味、チェンマイ・イニシアティブの理解をもう少し深めてほしいという要望から、みんなでやっていこうとなっているものでございます。

 

○小川分科会長 雨宮委員、お願いします。

 

○雨宮委員 小川委員から御質問のあった、日中スワップの発動についてですけれども、その背景については、経済情勢、市場動向、あるいは金融環境で変動が生じるということで、個別の企業、あるいは銀行の資金繰りに支障をきたす可能性はいろいろありますので、特定しているわけではないということです。
 その上で、個別の資金繰りという単独の問題ではなくて、資金繰りの問題がそれぞれの経済に対して、どういうインプリケーションを持つかということを総合的に判断していくことがポイントになるということで、そのために、日頃からお互いの金融経済情勢や市場動向について、日本銀行と人民銀行の間で密接な意見交換を重ねていく、情報分析を重ねていく、その上で判断するということになろうか思います。

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 それでは、時間を過ぎておりますので、これで終わりたいと思いますが、今回の議事録の作成は、私に一任いただければと思います。その際、発言部分を事前に御覧になりたい委員の方におかれましては、会合終了後に、その旨を事務局に御連絡いただくということにいたしまして、御連絡いただきました委員の方には議事録を案の段階で事務局より送付したいと考えております。その後、1週間程度の間に御意見がない場合には、御了解いただいたものとして理解させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

(異議なし)

 

○小川分科会長 どうもありがとうございます。
 次回の分科会につきましては、事務局と相談の上、御連絡させていただきたいと思います。
 以上で終わりたいと思います。
 本日は長い時間にわたりまして御出席いただきまして、ありがとうございました。

 

午後0時05分閉会