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関税・外国為替等審議会
第62回外国為替等分科会議事録

令和7年6月26日(木)

財務省 国際局

財務省第3特別会議室
(本庁舎4階)

1.開会

2.最近の国際金融情勢について

3.対内直接投資審査制度について

4.閉会

出席者
委員

五十嵐チカ

植田健一

江藤名保子

片山銘人

神作裕之

木村

佐藤清隆

下坂朝子

根本直子

渡井理佳子

財務省

土谷国際局長

緒方国際局次長兼審議官

梶川国際局審議官

渡邉副財務官

陣田総務課長

西方調査課長

池田国際機構課長

城田地域協力課長

木原開発政策課長

土生外国為替室長

山下対外取引管理室長

恵﨑投資企画審査室長

奥資金移転対策室長

石田国際調整室長

山﨑大臣官房企画官

臨時委員

大野早苗

左三川郁子

澤田康幸

専門委員

伊藤亜聖

河野真理子


午後1時00分開会

○神作分科会長それでは、予定した時刻になりましたので、ただいまより第62回外国為替等分科会を開催いたします。

委員の皆様方におかれましては、御多用のところ御参加いただき、あるいは御出席いただき、大変ありがとうございます。本日オンラインでの御参加を含め大勢の委員の方に御参加いただいております。

具体的な留意点などにつきまして事務局より御説明をお願いいたします。

○西方調査課長調査課長の西方でございます。お忙しいところ御参加ありがとうございます。

いつもと同じで恐縮でございますけれども、本日はハイブリッド形式の開催になっております。会議室で御参加の皆様におかれましては、オンラインで御参加の皆様に音声が明瞭に伝わりますよう、できるだけマイクに近づけて御発言をお願いいたします。オンラインで御参加の方におかれましては、発言以外の場合はミュートにしていただきますようお願いします。

以上、よろしくお願いします。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

それでは、早速、本日の議事に入りたいと存じます。本日の議題は、最近の国際金融情勢、及び対内直接投資審査制度についての2点でございます。まず、事務局より御説明をいただいた後、意見交換の時間をお取りしたいと存じます。

それでは、池田国際機構課長、どうぞよろしくお願いいたします。

○池田国際機構課長国際機構課長の池田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

私から、世界経済の見通し及びG7について御紹介をさせていただきます。

まず、世界経済の見通しにつきまして、4月22日に公表されました最新のIMFの世界経済見通しの概要を御紹介する形でお話し申し上げます。

こちらにつきましては、本年1月時点と比較して、2025年は0.5%ポイント、そして2026年は0.3%ポイント低下ということで、それぞれ2.8%、3.0%という数字が世界経済のGDPの成長見通しとされています。今回に関しましては、レポートの中でも、非常に不確実性が高いので、通常ベースケースという形で数字が提示されるのですが、reference forecast(参照値)というような位置づけでGDP成長見通しが提示されました。具体的には、注1を御覧いただければと思いますが、4月4日時点で入手可能な情報で、例えば4月2日にトランプ政権が発表しました相互関税ですとか、その直後に、カナダ、そして中国が取った対抗措置に基づく予想でございます。そのほかのものといたしましては、例えば米国のトランプ政権が3月上旬に発表した鉄鋼アルミへの25%、あるいは4月3日の自動車の25%、こういったものも含まれている。他方で、それ以降にも様々な動きがありますけれども、そこは含まない数字であるということでございます。

他方で、注2に記しましたけれども、4月5日から14日の間に発表された措置、すなわち相互関税が90日間停止されて、すべからく10%になっています。それから、米国と中国がお互い関税を引き上げ続けて100%を超える形になっていまして、それが5月12日には下げられていますけれども、非常に高まった状態が仮定された場合の成長率も併せて示されたところです。それぞれ2025年は2.8%、2026年は2.9%で、reference forecastされた4月4日までに入手可能な情報とあまり変わらないものとなっていますけれども、こちらは、括弧内に記しましたが、米国の国別関税が停止された国におけるプラスの影響が、お互い非常に高い関税をかけるぞといった、その前提に基づいて、米中それぞれの成長が低下することが相殺し合ったもので想定されているということでございます。

四角の2つ目ですけれども、ほとんど全ての国で1月時点と比較して成長見通しが下方修正されています。こちらは、関税措置の直接の影響、それから貿易のつながりを通じた波及効果や不確実性が高まることによる投資あるいは消費への影響、センチメントの悪化を通じた間接的な影響が大きな要因とされています。

主要国については、こちらに並べましたけれども、例えばアメリカに関しましては、1月時点と比較して0.9%ポイント低下して1.8%の成長率が2025年に見込まれている。2026年は1.7%で、こちらも1月時点と比べると0.4%ポイント低下。インフレ率は、1月時点比で2025年2%と見通されていましたけれども、2025年中のインフレ率も3%になるという形で見通されています。日本についても、もともと今年は1.1%の成長率をIMFが1月時点で見込んでいました。これが半分ぐらいということで0.6%に下方修正されていて、2026年も同様の数字とされています。中国も大きく下方修正されました。すなわち、1月時点では4.6%とされていた数字が4%、そしてその数字が2026年も引き続き継続するということで、インフレ率も非常に低い水準とされています。

次のページにはリスクを記しております。下方リスク、上方リスクと並べましたけれども、明らかに下方リスクのほうが大きいということでございます。

列挙したものを御紹介させていただきますと、貿易措置がエスカレーションしていくことによるGDP低下とインフレ、いわゆるスタグフレーションのリスク。そして、不確実性の長期化による投資や需要の減退が第1に挙げられています。2つ目に、インフレに伴って一部の中銀が金利を高く据え置いた場合に、これが新興国・途上国の金融市場に波及するリスク。3つ目として、米国債の長期金利が既に高い状況にある中で、一層上昇圧力がかかることによって、既に高債務の下にある国の財政余力がさらに制約される。4つ目としては、経済の見通し、あるいは経済が悪化することによって分極化や社会的不満の悪化が起こる可能性。それから、いろいろとグローバル課題はあるのですけれども、それを解決するためのグローバルな国際協力が難しくなってしまう。6つ目は、移民の減少による労働力不足によって、世界全体のアウトプットが低下する可能性も指摘されています。

上方リスクとしては、貿易に関する合意がうまくいく場合、進行中の紛争が解決する場合、それから、構造改革の機運が高まったり、AIなどの新しい技術が実装されて生産性や消費が著しく上昇する場合が上方リスクとして挙げられています。

こういった認識の下で必要な政策対応としては、不確実性のかじ取りとマクロ経済的なトレードオフを緩和せよということで、第1に、安定的で予見可能な貿易環境の整備、それから国際協力の維持、こういったことが列挙されている状況です。

次のページには、今回の世界経済見通しでかなり多くの量を割いてIMFが分析しているグローバルインバランスの拡大について紹介させていただきます。レポートの中では、中国の弱い需要、米国の強い需要をはじめとする国内の不均衡、それから地政学的緊張がグローバルなインバランスに対する懸念を高めているというような指摘がございます。また、いわゆる非市場的な政策や国家の介入も外部不均衡に貢献しているという指摘もございます。

こちらに関しまして、下の左側にグラフを用意しております。上がフローとしての経常収支の不均衡の大きさをグローバルなGDPで割ったものでございます。赤がアメリカでございまして、明らかに経常赤字を大きく、かつ唯一計上しているような状況で、その他の国々・地域が経常黒字を計上している状況が見てとれます。ただ、その規模自体は近年拡大しているわけではございません。しかし、下のストックを見ていただきますと、対外純資産・負債ですけれども、国の構成は負債と資産でそれぞれ同じでございますが、やはり高止まりしている状況が見てとれます。

続きまして、ポツの2つ目に戻っていただきますと、世界のGDPに占める貿易の割合、これ自体はおおむね安定しているけれども、中身ですね。トレードのパートナーが大きく替わっていることを分析とともに示しています。右下の2つのグラフを御覧ください。上が各国の輸出先、下が各国の輸入先を表しています。そして、トランプ政権が始まる直前の2016、2017年と2023、2024年の比較をしたものでございます。それぞれ国が並んでいますけれども、例えばチャイナを御覧いただきますと、輸出先としての緑、Emerging Asiaが非常に大きく膨らんでいる一方で、輸出先としての赤、すなわちアメリカが極めて大きく減少しているということでございます。輸入についても同じような状況が見てとれます。同じようにアメリカを見てみますと、上の輸出先としては青、EUが大きく膨らんでいる一方で、下の輸入先を見てみますと中国が大きく減少している。アメリカと中国は同じようなパラレルの動きを示している状況でございます。

最後に、ヨーロッパについて、上の輸出先、そして下の輸入先を見てみますと、同様にグレー、すなわちロシアが大きく減少している状況が見てとれます。全体としてのボリュームはあまり変わっていないけれども、トレードのパートナーがこの8年ぐらいで大きく替わったようなことが指摘されています。

次のページは、先ほど軽く御紹介した各国別の成長率のアップデート状況でございます。

その次、6ページを御覧ください。IMFの最新の見通しと申し上げましたけれども、既に2か月が経過しております。その間様々な動きがございました。そういう意味では、OECDが6月3日に世界経済の見通しについて公表しています。OECDについては、前回が3月で、そして6月3日に最新版を公表しました。まず、前提を御覧いただきますと、注のところでございます。IMFについては先ほど申し上げたとおりでございます。OECDにつきましては、5月中旬時点での二国間の関税で、すなわち、相互関税は10%にされている。それから、アメリカと中国に関しましては、スイスでの協議を経て、100%を超えていたものを下げる。アメリカから中国については30%、中国から米国については10%というものが前提になっています。他方で、自動車や自動車部品は引き続き25%が維持される前提になっていますが、こちらを見てみますと、おおむねIMFの数字と変わらないものが示されております。

以上、駆け足でしたけれども、世界経済の見通しについて御説明を終え、そしてG7のほうに移りたいと思います。G7につきましては、5月20日から22日にかけてカナダのアルバータ州バンフで開催されました。その際に採択された共同声明と、併せて附属文書として公開された金融犯罪に対する行動要請のポイントの紹介をさせていただきます。

まず、世界経済についてですけれども、前回会合、すなわち世銀・IMFのワシントンでの春会合で国際機関より、すなわちIMFから指摘があったと。具体的には、貿易経済政策に係る高い不確実性が世界成長の重荷となっているとの指摘があったことを記載。これは、G7の大臣や中銀総裁としての認識というよりも、IMFがこういうことを指摘しましたという事実を書いている体裁になっております。その一方で、G7の中銀総裁・財務大臣として、経済政策の不確実性はピーク時から低下したことを認識しつつも、これをさらに引き下げていくためにG7として協働していくことが明記されています。それから、先ほど御紹介した世界的なマクロ不均衡に対する懸念を共有して、過度な不均衡に対処し、マクロ経済のファンダメンタルズを強化する必要性を強調と盛り込まれています。

為替については、従前のコミットメントが再確認されています。

2つ目の柱としましては、経済の強靱性と経済安保で、昨年のイタリア議長下で取り組んでいこうということが明記されたことを受けて、中国を念頭に、非市場的政策及び慣行が不均衡を悪化させ、過剰生産能力を助長し、そして他国の経済安保に影響を及ぼしているという認識の下で共通理解をつくっていくことの必要性が認識されました。その上で、同じルールに従わずに透明性を欠いている国々からもたらされる損害に連携して対処していこうということも合意されました。

もう1つ、経済安保の文脈で、これは新しいアイテムでございますけれども、国際的な少額貨物の大幅な増加が違法薬物や偽造品の輸入拡大、あるいは税収漏れ、国内小売業者にとっての不公平等のリスクをもたらしている可能性がある点を認識し、対処の方法を探求していこうと。こちらにつきましては、例えば日本であれば、1万円以下の輸入品に関しまして付加価値税と関税、それぞれ免除する形になっています。他のG7も、付加価値税についてはこういった免除措置がなくなっている国が多うございますけれども、関税については引き続き少額のものについては免除がある中で、ここに書かれているような問題が発生しているという認識を持って対処していこうということが明記されました。

ウクライナ支援に関しましては、毎回同様、ウクライナのマルチェンコ大臣にも参加いただいた上で、揺るぎない支援に引き続きコミット。そして、停戦の合意がなければ、さらなる制裁の拡大といった、あらゆる可能な選択肢の追求を継続するとともに、凍結しているロシアの国家資産も凍結措置を継続することを再確認しました。

そして、2番目のポツについては、復興のフェーズを念頭に、ロシアの侵略を支援した国の企業などがウクライナの復興事業から利益を得ることのないようにウクライナと協働していくことが明記されています。

次のページに関しましては途上国支援ということで、2023年の日本議長下で開始したRISEについては、エネルギー移行等に必要不可欠な製品のバリューチェーン、あるいはその上流にある重要鉱物のバリューチェーンの多様化をしていこうではないかといった取組について、対象地域を従前のアフリカから例えばラテンアメリカ地域まで拡大していこうといったことが合意されました。途上国の債務問題につきましても、従前どおり、低所得国向けの共通枠組みの実施の改善ですとか、債務データの透明性を推進するために、世界銀行において借手国と貸手国双方が債務データを共有し合い、そして突合することによってその正確性を高めていく。この取組の重要性に合意されています。世界銀行をはじめとするMDBsの機能強化についても引き続きコミットメントを再確認している状況でございます。

金融セクターに関しましては、ヘッジファンドを中心に、ノンバンクの金融仲介のリスクをしっかりと共有、そして認識できるように、データの入手可能性・利用・質を評価していこうということに合意されています。その上でグローバルな送金の改善と、こちらはG20でも議論されていることですけれども、サイバーリスクへの対応強化も取り組んでいこうということが合意されています。

最後に、今回の目玉の一つとして金融犯罪に対する行動要請が別紙で合意、そして公表されました。この内容につきましては、私の説明ではなくて、担当から説明させていただきます。

私からは以上です。

○西方調査課長続きまして、私から10ページの金融犯罪に対する行動要請についての御説明をします。カナダの議長国のリーダーシップと、それから、特に北朝鮮による暗号資産の窃取がミサイル開発等々の資源になっているのではないかということで、日本も積極的に関与して取りまとめられた文書でございます。

ポイントは、1つはマネロン対策ですね。これをきちんとやらないと、特に暗号資産を含めて、いろいろな意味で金融上のリスクが安保上のリスクにつながるのではないかということで、コミットメントは再確認したこと。

2つ目は、先ほど申し上げた北朝鮮による暗号資産窃取は結構な問題ではないかということが共有されました。これに向けて、基本的にリスクの分析あるいは情報交換をさらに進めようということが合意されたところでございます。

一番下のグループでございますけれども、マネロンが十分整備できていない途上国をきちんと支援しなければいけない。2つ目は、暗号資産もいろいろな技術が発達していまして、例えばピア・ツー・ピア、「P2P」と書いていますけれども、個人間送金、取引所を経由しないでやる、このリスクが実は高いのではないかという話。DeFiと言われている分散型金融が新たなリスクとして、きちんとこれから分析、対応しないといけないのではないかということでございます。

次の11ページでございますが、FATFという、マネロンを扱っています国際機関のアジア・パシフィック・グループ(APG)の共同議長を国際局審議官の梶川が今やっております。アジア・パシフィック・リージョンでのマネロン対策も日本がリーダーシップを取って改善に努めていこうということでございまして、実は8月下旬に東京でAPGの総会を主催することになっております。先ほど申し上げましたとおり、島嶼国とか経済安保上も大事なリージョンですので、こういうところでのマネロンリスクが高まらないように、日本としても積極的に関与する。あるいは、APGにおいても、新たな技術の暗号資産とかP2Pのリスクをきちんと啓蒙することを活動しようと考えております。

私からは、11ページ、以上でございます。

続きまして、13ページへ参ります。13ページは、アジア開発銀行の年次総会の件でございます。5月にイタリアのミラノで開催されました。ADBは、神田総裁が就任して今回が初の総会でございまして、ADBの戦略の中間見直し、あるいはこれからの重点分野について議論されました。日本からは加藤大臣が出席しまして、民間セクター支援、質の高いインフラ、防災、この日本が力を入れてきた分野、あるいは太平洋島嶼国、日本がリーダーシップを取る分野について、ADBのさらなる役割への期待、リーダーシップを日本として発揮する決意を述べたところでございます。

一番下にありますけれども、日本は2027年の記念すべき60回年次総会を愛知・名古屋で開催することになっておりますので、こちらもお知らせさせていただきます。

次はASEAN+3について、城田さん、お願いいたします。

○城田地域協力課長私からは、今紹介のありましたADB年次総会のマージンで行われてアジア関係の会議について御紹介させていただきます。

まず、14ページにございますASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議で、ASEANと日中韓の財務大臣・中央銀行が集まって毎年やっている会議ですけれども、今年はミラノで開催されております。日本からは加藤財務大臣に参加していただいております。

共同声明をまとめているので、そのポイントを御紹介いたしますと、まず、地域経済動向の見通しで、地域動向というのは例年議論する話ではあるのですが、今年は地域経済を議論する中で、各国から、これまでの地政学的な課題のほかに、米国の関税政策が大きな不確実性を生んでいるというような指摘がございました。それを踏まえて、地域経済が不確実な環境を乗り越える上では、ASEANと日中韓が集まった財務プロセスが非常に重要であり、地域の結束と連携をさらに深めていくことで乗り切っていきましょうということが確認されました。また、そういったことを背景に、WTOルールに基づいた多国間の貿易体制にコミットする姿勢も打ち出したところです。

また、ASEAN+3の会議の中では、地域金融協力を進める枠組みとなっておりますので、それらについての進捗も確認とか歓迎されているところです。

1つ目としましては、チェンマイ・イニシアティブ、地域の金融危機に対応するための仕組みですけれども、こちらについては、2023年に日本が議長国だったときに、従来想定されるような大規模な金融危機というよりも、例えばパンデミックですとか自然災害といった突発的な外生ショックに対応するための新しい緊急融資ファシリティをつくりましょうという話がなされ始めたところでした。これにつきまして2年間議論をしてきて、設立に合意するとともに、具体的にチェンマイ・イニシアティブの契約書の改訂が合意されて、それが歓迎されました。アジアは災害が多い地域ですので、新しいファシリティができると財政・金融面の強靱性が各国で上がるのではないかというので、ASEAN各国から期待されているものです。

2点目、地域金融協力の柱の2つ目でありますAMRO、ASEAN+3のマクロ経済リサーチオフィスという国際機関ですけれども、これは前の事務局長が今年5月までの任期となっておりましたので、その事務局長交代のための選挙が今年3月に実施されました。日本からその当時財務省の国際局におりました渡部康人次長を擁立しまして選挙戦を行いまして、無事に各種の選考を経て選任されることとなりました。4月の次官級会議で正式な就任が決まり、この5月の会議では新たな事務局長の就任が歓迎されるとともに、今後、ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィスが地域に果たす役割に対しての期待が合意されたところです。

次に、アジア債券市場育成イニシアティブにつきましては、今、中期ロードマップの途上にあるのですけれども、足元では債券市場の育成が順調に進んでいるということで、それが歓迎されたほか、日本がこれまた旗を振っているイニシアティブですが、災害リスクファイナンスのイニシアティブについては、今後3年間、来年2026年から2028年のイニシアティブの進め方について記したロードマップの基本コンセプトの合意に至りました。

ページをおめくりいただきまして、次の15ページの日・太平洋島嶼国財務大臣会議について御紹介させていただきます。こちらは第2回目となる会議でして、昨年に引き続き日本が共同議長となって実施されました。太平洋島嶼国につきましては、これまでの議論の中でもありますとおり、地政学的にただいま非常に重要と目されているところでして、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)などを挙げるまでもなく、日本、アメリカ、オーストラリア、中国のシーレーン上の結節点でもあり、我々に何ができるかということで財務省としても関与に努めているところです。島嶼国から12か国に参加してもらいまして、会議では、コルレス銀行関係の維持、災害リスクファイナンスの推進、国内資金動員の強化という3点について主に議論しました。これら3点は、日本の財務省として、今、太平洋島嶼国の支援の柱として考えているところです。太平洋島嶼国はいずれも島国ということで、小さい国土面積で、他国と非常に離れていて、海に囲まれている。あるいは、資源とか労働力が限られているようなことを背景に、普通にしているとなかなかビジネスが入ってきづらいような地理的な特徴がありますので、そういったところで政府の果たす役割が期待されているところです。

そうした開発課題について率直に意見交換をしたところ、議論を総括した共同議長総括を出させていただいております。中身を御紹介させていただきますと、各国から、まず、日本が世銀と一緒にやっているコルレス銀行関係プロジェクトという、各国のコルレス銀行が、やはりビジネスがなかなか続けられないので、撤退する動きがある中で、それを維持しようとするプロジェクトがあるのですけれども、それに日本が支援していることについて非常に多くの感謝が寄せられております。

また、災害リスクですとか気候変動に関する枠組みとしましては、日本としましては、昨年10月のCOPの場で、今後、気候変動に強靱な債務条項、いわゆるCRDCという条項を円借款等に付すことを検討するパイロットプログラムを開始することを公表しておりまして、それらについても歓迎の声が聞こえたところです。

国内資金動員に関しましては、例えば世界税関機構(WCO)などと連携して税関の徴税能力の向上などを図っているところですけれども、こちらについても前向きな声が多く聞かれたところです。

こうした形で、太平洋島嶼国のほうからは、日本とこの会議は非常に有意義なので今後も続けたいという声が幾つもございまして、この会議の場では、今後ともADB年次総会の機会には定期的に開催していきましょうということで合意が取れ、成果として公表しているところです。

私からは以上です。

○西方調査課長続きまして、議題の2つ目、対内直接投資審査制度について西方から引き続き御説明させていただきます。

資料は2つございまして、1つはアニュアルレポート、青い冊子でございます。もう1つは投資審査制度についてということで、まずはアニュアルレポートについて御紹介させていただきます。

アニュアルレポートは、去年の秋に初めて発行したものでございまして、投資家の皆様あるいは一般の方を含めて御理解を頂くように、透明性を上げるために作ったものでございます。今回、まさに皆様のお手元にあるのが第2号で、2024年度版、直近版で、いろいろ工夫されて、役所のパンフレットにしては分かりやすいと各方面からありがたいコメントを頂いています。

例えば4ページは歴史を書いています。対内直接投資審査制度は、歴史がございまして、戦後直後などはかなり厳しいキャピタルコントロールの一環としてやっていたものを、日本経済の発展とともにだんだん自由化してきた、それに合わせて法律の体系も変えてきたということが4ページに書いてございます。

続きまして、12ページへ参ります。以前、1月に政省令改正の御紹介をさせていただきましたが、最近の経済安保リスクに対応するために、特定外国投資家を定義して、これに対しては事前届出免除制度を使えないようにするということで一部補強したところでございますが、これについて12ページに書かせていただいております。こちらは5月から施行を始めまして、1か月たったところで、今のところ順調に施行されているところでございます。

それから、21ページへ参りますと、非常にざくっとした表でございますけれども、各国の対内直接投資審査制度を書いてございます。例えば一番下の事前届出件数を御覧いただきますと、日本は一番右下で2,903件、年間3,000件近くでございますが、ほかの国は3桁で、日本の事前届出数が突出して多いのが特徴の一つかと思われます。

24ページへ参りますと、これはまさに今申し上げました届出件数の推移でございます。2019年度に青いバーが上がっていますが、この年にサイバーセキュリティとかコンピュータソフトウエア等に係る業種を指定業種に追加した年でございまして、これが結構な件数で出てきております。それから、2020年以降、ピンクの行為時事前届出が増えております。これは、取締役とか役員が選任されるときの届出、あるいは事業を一部譲渡するときとか一部廃止するときの届出、この行為時に届出することを令和元年改正で新たに届出対象に追加したことの反映で、この年からピンクの行為時事前届出が増えてきているということで、合わせて2,903件でございます。

隣の25ページ、右上へ参りますと、まさに業種別の事前届出の割合でございます。こちらを御覧いただきますと、2019年度以降、青いサイバーセキュリティ関連業種が半分以上を占めておりまして、これが件数の多い原因の一つというところでございます。

一番最後のほうに結構データも詳しく書いておりまして、この辺もいろいろと御参考にしていただけるとありがたいと存じます。

アニュアルレポートに関しては以上でございます。

次に、対内直接投資審査制度についての横紙のほうに参ります。

1ページ目を御覧いただきますと、令和元年改正が最近のメジャーな改正でございまして、先日も御案内させていただきましたとおり、上場株式について事前審査の閾値を10%から1%に下げたことと、今申し上げた行為時事前届出制度を追加しましたので、事前審査を強化したということでございますけれども、片方で、健全な投資促進という意味で、純投資に関しては事前届出免除制度をつくったところでございまして、これを令和2年5月から施行しております。そのときの法律附則第6条には、施行後5年を経過したならば、改正法の施行状況を勘案して、必要があると認められるときは必要な措置を講ずべきとなっておりますので、こういった規定も踏まえながら、先日、この外為審に諮問をしたところでございます。

先ほど申し上げましたように、最近の取扱いとしては、下に書いてありますように、政省令改正をして、特定外国投資家に関する対応を図ったことと、指定業種は随時追加しておりますし、財務局にいろいろと調査官を新たに配置して、中小企業を実際に往訪してお話をさせていただいてアウトリーチをやっているところでございます。

続きまして、2ページ目へ参りますと、対内直接投資審査制度を考える上で2つありまして、1つは、対内直接投資促進、これは政府の政策の柱の一つでございまして、健全な対内直接投資の一層の促進を図っていくことは引き続き重要な政策課題でございます。100兆円という目標があったわけですけれども、今回引き上げられまして、2030年代前半までに150兆円を達成するという新たな目標が設定されております。

片方で、経済安全保障に関する取組でございますが、最近の地政学的なリスクの高まりを受けて、令和4年に経済安保推進法が制定されました。あるいは、国家安全保障戦略が制定され、ここで外為法の対内直接投資審査制度のさらなる強化についてうたわれております。

ですので、一番下にありますとおり、対内直接投資審査制度につきましては、国際約束との整合性、すなわち国際条約、投資協定などで内外無差別原則とか最恵国待遇の原則などが書かれておりますので、ここに留意しつつも、厳しさを増す安保リスクに対応するために、どのような形でこの投資審査制度があるべきか考える必要があるということでございます。

私から説明は以上でございます。

○神作分科会長御説明、どうもありがとうございました。

それでは、意見交換に移りたいと存じます。委員の皆様におかれましては、御発言を希望される際は、御臨席の委員の方は従前どおり名札を立てていただき、また、オンラインで御参加の委員の方は、事前に事務局より御案内差し上げましたとおり、御発言の意思をシステム上の挙手にて事務局までお知らせいただけますと幸いです。御臨席の委員の方から順に御発言いただき、次にオンラインで御参加の委員の方に御発言いただきたいと考えております。万一順番が前後してしまった場合には御容赦願います。いかがでしょうか。どなたからでも。

それでは、木村委員、どうぞ御発言ください。

○木村委員御説明、ありがとうございました。全体として、今年はトランプ政権が発足したので、当局の方々も、国際情勢、いろいろ変動というか、翻弄されて大変御苦労されていると思います。御努力に敬意を表したいと思います。

その上で、対内直接投資審査制度と国際金融情勢、それぞれに関してコメントを申し上げたいと思います。

対内直接投資審査制度は、今回、令和元年の外為法改正から5年経過し、必要なのは、改正外為法の趣旨にもございますように、この5年間で経済安全保障の確保と健全な投資の促進の両立が図られてきたかどうかという総括だと思います。私もそうなのですけど、一般の人が健全な投資の推進という場合に何を見るのかというと対内直接投資の総額ですね。これが過去5年間でどのくらいになったのかということで、過去5年間で増加して、その多くが欧米からと伺っているので、これをもって健全な投資が図られたと評価していいのかどうかということがあります。

一方で、対日投資が増えた背景としては、日本の魅力が高まったというのもあるのかもしれませんけれども、経済安全保障の観点から、相対的にアジアの中で安定している日本が、言葉は悪いかもしれないですが、消去法的に選ばれたとか、そういう複雑な要因というか、様々な理由が絡み合っていることも考えられると思います。

御説明があったように、対内直接投資の健全な増加は日本が成長型経済への移行を図るための鍵を握るものだと思いますので、対内投資審査制度についても、対内直接投資全体を俯瞰した広い観点から総括されて、その成果及び課題を報告していただければ大変参考になると思います。

それから、国際金融情勢ですが、アメリカが自国優先主義を強める中、G7はかなり厳しい状況に立たされていると感じます。御説明があったように、5月の財務大臣・中央銀行総裁会議でも共同声明の書きぶりで、例えば経済政策の不確実性をかなり遠回しに表現されるなど、かなり御苦労されたのだなという感じはします。あと、サミットを見ても、首脳宣言の取りまとめを断念されるとか、過去にないような難しい状況にあると見ております。

日本は、G7で欧米以外では唯一の参加国です。G7は為替やマクロ経済の調整で極めて有効な会議だと思っています。そこで教えていただきたいのですけれども、1つは、日本としてこのG7を今後どのように位置づけ、建て直していくというのか、そういうのにどのような役割を果たしていくのか。例えば、御報告がありましたけれども、今回ADB総会がイタリアで開かれたのはアジアと欧州の協調を深める貴重な機会になったと思います。そうしたことなど様々、日本として国際的に果たす役割がいろいろあると思いますので、どの役割を果たしていくのか御見解をお伺いできればと思います。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

本日、お二人の先生が早退されると伺っておりまして、若干順番が前後して恐縮ですけれども、ここで佐藤先生と植田先生に御発言をいただきたいと思います。オンラインで御参加の佐藤先生、御発言いただけますでしょうか。

○佐藤(清)委員私の予定を御考慮いただきまして、ありがとうございます。

私からは2点か3点ほど、国際金融情勢についてのところで感想を申し上げたいと思います。

1つは、3ページのIMF世界経済見通しの概要のところで下方リスクと上方リスクについて説明がされています。例えば下方リスクで言うと、御指摘のとおりだと思いますが、貿易政策の不確実性が今後の懸念材料だ、下方リスクだと①に書いてあります。この貿易政策の不確実性は、関税政策にとどまらず、最近では例えば中国がレアアースを輸出するのを制限しているなどと、戦略物資とか重要物資の輸出制限や供給をストップすることで、それが大きく影響するようになっていて、単に関税にとどまらずその影響がかなり深いところまで波及しているイメージがあります。ですので、そうした部分についてもやはり考慮の対象としなければいけないのではないかと感じました。

全て感想になりますが、あと、下方リスクで③のところですね。アメリカ国債の長期金利の上昇圧力のことが書かれています。これは4月、5月ぐらいから話題になったところですけれども、さらにアメリカのドルの基軸通貨体制が揺らいでいるのではないかと盛んに様々な識者の方から指摘をされています。国債の価格低下というか、長期金利の上昇というのは、アメリカ経済の本当に強い基軸通貨体制という部分を揺るがしかねない大きな問題です。あと、日本自身も、長期国債の価格が低下して金利が上昇しているところ、そこについても懸念材料ですので、こうした長期債の動向というのはこれから下方リスクの中で特に注視していかなければいけないところではないかと感じました。

その次の4ページになりますけれども、WEOのこのデータ、とりわけ右側のデータは非常に分かりやすく、重要だと思いました。このデータを見ますと、ベトナムが例として取り上げられていて非常に分かりやすいですが、ベトナムのアメリカ向け輸出が急激に増えていて、一方で、ベトナムは中国からの輸入も大きく増やしている。中国からアメリカへの直接の輸出ではなくて、迂回してアメリカに向かって財が流れている。輸出製品が流れている可能性も十分に考えられる。そうした非常に示唆的なデータだと思いました。

そこで、これは必ずしも中国系の企業ではなくて、日本の企業でアジアに展開したり中国に展開している企業がこのトランプ関税でどういう行動を取っているかということは非常に興味深い。今後を占う上で重要なところだと思います。日本企業が、例えば自動車メーカーだと、当初トランプ関税が引き上げられるときに自動車メーカーは、価格を引き上げないと宣言している企業もありました。ただ、ごく最近の日経新聞などを見ていると、日本の自動車メーカーも価格を引き上げようとしていると報告されています。こうした日本企業が関税引上げに直面して価格転嫁をどこまでできているかということも今後重要な検討材料だと思います。これは、今、自動車メーカーだけに話を絞って申し上げましたが、多分、産業によって大きく異なると思いますので、こうしたところにも目を向ける必要があるかなとこの御報告を伺って感じた次第です。

私からは以上となります。

○植田委員丁寧な御説明、いつもありがとうございます。

私も佐藤先生と同じですけれども、今の4ページ。ただ、2つ目のスライドと並んで、投資のほうがやはり気になっておりまして、4ページでも、私はどちらかというと貿易より国際投資の左側のほうが気になっております。というのも、御存じのとおり、過去数年、日本は貿易・サービス収支はむしろゼロもしくは多少赤が多い。ただし、いわゆる日本の投資収入、第一次所得収支と言われるものが多いので、カレントアカウント、経常収支は非常に黒くなって続いております。実際にもっと長いデータを私は見ているのですが、長いデータを見ると、1980年ぐらいから、特に左下のほうの対外資産残高ですが、日本はほぼ世界一ぐらいにずっとなっています。たしか今年か去年か非常に久しぶりに、30年か40年ぶりぐらいにドイツに抜かれて2番になっていますが、それでも対外資産の投資残高は非常に大きい。そこから上がってくる投資収入、第一次所得収支が非常に大きいということで、ある意味で、GDPがそれほど伸びなくても、GDPプラス対外から上がってくる投資収入が国民所得ですので、国民所得が非常に大きくなっているところですね。国民の皆様にとってはGDPよりも国民所得が大事ですから。それが消費の元になるインカム、所得なので。

そうやって考えていきますと、貿易もそうですけれども、日本にとって、貿易立国ですが、同時に国際投資立国であることは間違いないわけです。そういうような状況を基に、世界的にフリーでオープンな、いわゆる自由で開放的な国際金融投資、国際投資体制、これは貿易体制と並んで、自由で開放的な国際投資体制を堅持、世界的に守っていくことを日本はまさにリーダーになって示していくべきだし、今のようにアメリカ中心に内向きになっているところを何とかして、日本にとってもそうですけれども、世界全体にとっても自由でオープンなほうがいいわけです。前にもありましたけれども、ちょっとでも関税が高くなるといかに世界経済が落ち込むかというレポートがIMFのほうから出ていますけれども、それは投資規制も同じなわけです。そういう面から2番目のスライドのことを考えていかないと。2番目というか、3番目でしょうか。投資に関する規制の話、FDIに対する規制を考えていかないといけないということです。

つまり、日本というのはFDIにしろ間接投資にしろ世界的にトップクラスなので、そういう日本が対内直接投資をどう規制するかというのは、実は日本国のレピュテーションですよね。及び、これから日本が世界的に自由な国際投資を守っていく、そういう体制を守っていくことに対して非常にきつい対内直接投資規制をかけてしまうようになると、それは全く信憑性もなくなりますし、まさに自分で自分の首を絞めることです。

これは変な例えですけれども、コロナ禍のときと同じです。コロナ禍のとき、コロナにかかる人たちを最小化するというリスク最小化を医療従事者の人たちは考えているわけです。でも、国民生活にとっては、リスク最小化よりは、リターンとリスクをうまくバランスさせたもののほうがいいに決まっているわけです。だから、リスク最小化すれば、あのときも、完全に全員が動かないように、自宅から出ないようにするのが恐らくリスク最小化なのでしょうけれども、やはり国民はそれを必ずしもサポートしていないわけですね。

それは同じで、もしも我が国が安全保障に対するリスクを最小化することだけを考えたら、いろいろなことにバリアを。関税も高くしないといけない、投資も高くしないといけない、防衛予算をどんどん増やすことになるのでしょうけれども、それはコロナのときと同じで、リスク最小化が国民生活にとっていいわけではない。つまり、このスライドでは青いほうがやはり非常に大事で、とりわけ日本にとってはリターンがこれまで非常に大きかった。今後も自由で開かれた貿易及び国際投資体制がないと日本はやっていけない国なので、ところどころの視点を考えつつ直接投資審査制度を今後どう改善していくか考えていくべきではないかと思います。よろしくお願いいたします。

私からのコメント及び、もし何か考え方が当局の事務方のほうでございましたら教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

ここでまた会場のほうに戻りまして、渡井先生から御発言をお願いいたします。

○渡井委員ありがとうございます。渡井でございます。

私からは、対内直接投資審査制度とアニュアルレポートについて2点お尋ねを申し上げます。

1点目は、事前届出の取下げでございますけれども、内容を見直した上で改めて届出をするというケースがどの程度あるかについてお教えください。

もう1点は、経済安全保障との関係では、無届への対応が非常に重要であると思います。アニュアルレポートには、無届の背景には制度の理解不足が相当程度あるという御説明があります。悪意ではないことからしますと、例えば指定業種の理解不足などが原因かというふうに想像しておりますが、具体的に無届にはどのような事案が目立つのかお教えください。

対応としては、もちろんアニュアルレポートの公表による制度の透明性の確保なども一つであると思いますけれども、悪質なものについてどのように考えるのかということも併せてよろしくお願い申し上げます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、左三川先生、お願いいたします。

○左三川委員どうもありがとうございます。

私からは、まず1点目、最近の国際金融情勢について、コメントに近いものですけれども、させていただきます。先ほど佐藤委員からも御指摘がございましたが、3ページ目の下方リスクのところで米国債の長期金利にさらなる上昇圧力がかかる点について言及していただきましたけれども、この点は、アメリカ国債の保有状況ですね。特に国内の一部の機関投資家さん、それから金融機関さんは米国債をかなり保有されているので、もし長期金利が上昇してくると損失カット、削減のために、さらに売却していかなければいけない事態も想定されます。ですので、アメリカ国債の長期金利に上昇圧力がかかった場合のリスクについては注視していただく必要があるかというふうに考えております。これが将来的には日本国債の保有動向であったり、国内での貸出状況などにも影響します。また、それはJGB、国債の管理政策ですとか金融政策にも影響を及ぼしてくると思いますので、ぜひこの点については注視していただければと思います。

2点目の対内直接投資審査制度に関する点ですけれども、まず、この年報ですね。私どもは、試験問題などを作成する際に、こういう総括された、包括的にまとまっている冊子があるというのは大変に参考になりまして、本当に感謝申し上げたいと思います。まさにこういうものを求めていましたということで、経緯について特に勉強させていただきたいというふうに存じます。

コメントになりますけれども、本年5月の制度の改正などを踏まえまして、また、日本は他国に比べて1桁ほども事前届出件数が多いことを鑑みますと、人員を増やしていただく形での審査制度体制の強化についてもぜひ御検討いただきたいと思いました。

私からは以上でございます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、河野先生、お願いいたします。

○河野委員ありがとうございます。

私からも、対内投資審査制度につきましてコメントをさせていただきたいと思います。もう1点は御質問でございます。

先ほど来、対内直接投資を促進することは日本の経済にとって非常に重要なことであることはよく分かります。だけれども、やはり今の国際社会の流れとして、どの国も経済安全保障に関しての規制を強めているのが現実ではないかと思います。日本としては、第二次世界大戦後、これだけ自由貿易あるいは投資の自由化のための制度に貢献をし、これを重視してきた国だと思いますので、基本的な姿勢として投資の自由化を支持する。この体制をきちんと世界に向かっても支持するのだということを日本として明確にしていかなければならないと思います。

その意味で、先ほども御説明の2ページで国際約束との整合性ということを強調されましたけれども、この点はやはり常に配慮していかなければならないと思います。ただ、国際約束との整合性にきちんと留意した上で、日本として国内の経済を守っていかなければならないことも現在の国際社会では致し方ないことになりますので、やはりこの点につきましては、日本としてこれまで5年間でどれくらい現状の体制が意味があったのかということをきちんと踏まえて、その上で必要なところには国際約束との整合性を持った対策を考えていくこと、これは何よりも必要だと思います。それから、この点につきましては、できれば過去の先例とかにあまりとらわれずに、できるだけ効果的な体制をぜひ御検討いただきたいと思います。

以上がコメントでございます。

その上で1点御質問をさせていただきたいのですけれども、今日のアニュアルレポートは、昨年度も今年も拝見いたしまして、これは日本の制度の透明性を世界に示すためにとても重要であるというふうに考えます。近年、ヨーロッパ諸国もこういったアニュアルレポートをきちんと出していることに鑑みますと、日本としてとても重要な取組だと考えますので、このアニュアルレポートは英語版もございますでしょうか。すなわち、海外から日本への対内直接投資を促進するためには、日本の透明化のための試みをきちんと英語で示す必要があると存じますので、この点を伺わせていただければと思います。

○神作分科会長どうもありがとうございます。

また、オンラインに戻らせていただきます。五十嵐先生も本日早めに退出されるとお伺いしております。五十嵐先生、ここで御発言いただけますでしょうか。

○五十嵐委員ありがとうございます。私のほうからは、1つ目の資料の10ページ、マネー・ローンダリング関連のG7による行動要請の概要という点、それから対内直接投資の5年ごとの見直しについてコメントさせていただきたいと思います。

マネー・ローンダリングのところですけれども、現在、G7をはじめとする国際社会において、マネー・ローンダリング等対策に関する枠組みが急速に高度化、多様化しているという理解でおります。とりわけ暗号資産やクロスボーダー送金の分野では、国際的な規制の整合性、実効性確保の両立が喫緊の課題となっております。日本においては、犯罪収益移転防止法、それから金融庁のガイドライン、その他継続的にマネー・ローンダリング等対策の有効性の向上ということで制度の見直し、有効性の向上に関する官民連携を強化しているさなかではございますが、けさの日経の朝刊にもございましたとおり、フェンタニルの外国への不法輸出の流通経路あるいは資金の流れ等の中に日本に拠点を置いた法人が関与していた可能性があり得るというような報道もございまして、これはゆゆしき事態かと思っております。このような中、日本のマネー・ローンダリング等対策に対する国際的な信頼を維持し、制度への信頼を高めていくことが非常に重要だと思っております。

具体的には3点ございまして、資料①の10ページでも指摘されておりますが、まず1点目として、暗号資産分野における規制の実効性と国際整合性の確保でございます。FATFのトラベル・ルールは勧告16に規制がされておりますが、これは今月だったかと思いますけれども、直近でも見直しが出たところでございまして、暗号資産交換業者に対して、送金者、受取人情報の取得・共有・記録の保存等を求める取組が進められております。日本においても暗号資産交換業者は既に犯罪収益移転防止法上の特定事業者として各種の義務が課されているところでございますが、資料10ページにも記載されておりますように、ステーブルコイン、個人間で行われる取引(P2P)、分散型金融(DeFi)など、こういった匿名性の高い取引については制度上の空白と言うべき事態が生じているというふうに理解しております。こういった匿名性の高い取引を通じた不正資金の移転リスクが依然として存在しますので、日本としても引き続き国際的な関係当局、業界団体とも連携しつつ、技術的な対応、執行体制の強化を進める必要があると思っております。

2点目としまして、クロスボーダー送金の透明性の向上と相互運用性の向上につきましては、FATFに加えてFSB(金融安定理事会)も昨年12月に、クロスボーダー送金に関するデータフレームワークの整合性、相互運用性に関する勧告を公表しております。私のほうでも弁護士としてこれに関するニュースレター的なものを公表したところでございますが、各国のデータ報告の制度、あるいは金融規制に関する制度との整合性が課題になっております。特にデータの越境移転、リアルタイムでのデータの共有、情報の共有というところに制度的、技術的な障害があると理解しておりますが、FSBの勧告、データフレームワークの整合性等に関する勧告は非常に参考になると思いますので、日本においても引き続き既存のデータ保護、金融規制に関する法令等の整合性に留意しつつ、適切な情報共有、確認手続がタイムリーに行われるような制度整備を推進すべきと考えております。

3点目に、技術革新とマネー・ローンダリング等対策との両立でございます。暗号資産や中央銀行デジタル通貨(CBDC)、ステーブルコインなど、新たな決済、資金移動手段の普及に伴って、従来型の規制では十分対応し切れないリスクが顕在化しております。技術革新を阻害せず、かつ、効果的なマネロン等対策を構築していく必要があると理解しております。

続きまして、対内直投の規制に関する部分についてもコメントさせていただきたいと思います。EUでは、2024年に対内直接投資のスクリーニングレギュレーションが見直され、また、直近でもそれがさらに改正されるなど、加盟国に対して直接投資に関するスクリーニング制度の導入を義務づけ、かつ、審査対象となる投資の定義の拡大や重要分野、例えば先端半導体やバイオテクノロジー、デュアルユース品目などの設定、各加盟国間の協調メカニズムの強化などが盛り込まれています。米国では、トランプ政権下でAmerica First Investment Policyが打ち出され、国家安全保障及び経済安全保障の観点から、対内・対外投資規制の強化が進められております。この方針の中では、外国からの受動的な投資を歓迎する一方で、Foreign Advisoryと言われるような中国、ロシア、イランなどによる戦略的分野への投資を厳しく制限しています。また、同盟国からの投資についてはファストトラック制度を導入して迅速な審査と承認を可能としつつ、めり張りのある規制の枠組みが構築されていると理解しております。こうした動きは、国家安全保障と投資促進の両立を図る観点から、日本にとっても参考になると存じます。

必要な投資を阻害しないためには、投資制度の透明性が一層重要でございますので、先ほど他の委員からも発言がありましたとおり、アニュアルレポートの試みは非常に歓迎すべきと存じます。直近版の内容も拝見いたしましたが、非常に充実して、かつ、分かりやすく、昨年以上によい形で透明性の向上が図られているものと理解しております。英文版の公表について御質問がありましたが、ぜひそのあたりも強調していただきたいと思います。

安全保障上の理由から一定の非公開性、公開しない必要がある場合もあろうかとは思いますが、政府が投資家に求める遵守事項については、透明性や仕組みの整備を進めていくことが特に望ましいと考えております。日本製鉄によるUSスチール買収に関しては、米国政府との国家安全保障協定(National Security Agreement)という形で、黄金株の発行、米国内での雇用や生産の維持、社名・本社所在地の維持等について議論されました。このように、リスク低減措置が講じられていることが必要だという国際的な理解は進んでいるものと存じます。また、あわせて、執行面におきましても他国と同レベルでの執行、執行の強化も必要なのではないかというふうに考えております。

他方で、指定業種の見直しにつきまして、やはり縦割りですと見えてこない重要な業種、重要なデータや個人データを保有しているような企業などもあろうかと思いますので、ここは政府の当局間でも横串を通して、日本の全政府的に取り組んでいただく必要があろうかと考えております。

その一方、規制の対象、指定業種は拡大する一方でもありますので、例えば造園業とか真珠の養殖とか小規模な警備業などに関しては、思い切って緩和をするといった可能性も含めつつ御検討を進めていただければと思います。

以上でございます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

ここで、本日早めに退出される先生方からただいま頂戴いたしました御質問やコメントも含めこれまでのご質問等に対して、財務省の側から御回答ないしはコメントを頂戴できればと存じますけれども、よろしいでしょうか。

○池田国際機構課長ありがとうございます。

まず、佐藤先生、それから左三川先生からも御指摘いただきました米国の金利上昇のリスクをしっかり注視すべきという御指摘は全くそのとおりと思います。注視をしっかりしていきたいと考えていますけれども、金融機関あるいはマーケットへの影響と併せてアメリカの財政赤字の問題に関しましては、国際的なマクロの不均衡の根っこの原因の一つでもあろうという認識の下で、例えば米国の財政赤字、あるいは借入れを通じた過剰な消費は、中国の過剰な貯蓄、国内の消費低迷、この背景にある構造問題ですね。社会保障の未整備、こういったことと併せてしっかりと取り組んでいかなければならないことであろうという認識を持っています。

こういった課題解決を各国が進めることが各国にとっても意味のあることであります。また、グローバル経済全体にとっても意味のあることですので、IMF等に率直な分析と政策提言を議論の土台として提供するようにということを促しながら、日本としても議論に貢献していきたいというふうに考えています。

また、佐藤先生からもう1つ御指摘のありました、ベトナムを中心とする貿易パターンの多様な変化、そういう中での日本企業の行動変容、それから価格転嫁の状況、こういったミクロの動向についても注視が必要だと思います。特に東南アジア地域に関しましては、こういった動きもありますので、トランプ政権による相互関税の税率がカンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムで非常に高い形で課され得る状況にあると考えていますので、日本企業の行動、東南アジア地域の国々のマクロ経済、それから金融市場の動向と併せてしっかり注視して、必要であれば共同しながら対策を取っていく必要があろうと考えております。

それから、植田先生から御指摘のありましたとおり、日本は貿易立国というよりも投資立国であると。そして、所得収支で経常収支黒字の多くの部分を稼いでいる状況にあるという認識は全くそのとおりであります。あわせて、そういった所得収支の中でも海外の再投資がかなり多くの部分を示していて、日本への還流が課題であるという問題意識も持っています。同時に、先ほども対内審査制度の見直しの中でバランスということが一つのテーマになりましたけれども、経済安保とのバランスも非常に大事なポイントになっております。例えば、日本としては、これは2023年の議長国のときに立ち上げたイニシアティブでありますけれども、直接投資に関して、より一層、more、より現地経済に貢献する形でbetterという2つと併せてsafer、より安全な直投をしっかりやっていかなくてはいけないのだということをアフリカや東南アジア地域の当局にも認識を持っていただいた上で、必要な対策を整えるようなイニシアティブをOECDと共に立ち上げています。したがいまして、経済安保の観点からもsafeと言える。しかもそのときに、しっかりルールに基づいて、透明で予見可能性のあるルールをしっかり持っていくことが大事なのだということを国際的社会の中で一つのパーセプションとして、認識として流布ないし定着させていくことも重要だと考えております。

それから、木村委員から非常に重要な御指摘を頂きました。G7が大変厳しい状況にある中で日本としてどういうリーダーシップを発揮していくのかということに関しまして、木村委員からも御指摘がありましたとおり、G7は我々は極めて重要だと思っています。世界に占めるG7のGDPの割合が下がってきている。したがって、その影響力が低下してきているのではないかという御指摘もよくありますけれども、他方で、例えば金融資本市場、為替を見てきたときには圧倒的に大きなプレゼンス、影響力がございます。そして、責任もございます。やはり価値観、信頼関係を共有しているグループでもあります。私も長いこと、G7、そしてG20、いろいろ議論に耳を傾けてまいりましたけれども、G7の議論というのは非常に率直で、何かを読み上げることでもなくて、けんけんごうごうで、他方で笑いも起こるようなやり取りが非常に密に交わされている会議体でございます。そういう中で日本はアジア唯一の参加国でありますので、日本にとっても世界にとっても重要な枠組みであることは間違いない。そういうG7がこれから先、一層効果的であるために重要なことに関しまして、いろいろな考え方はあると思いますけれども、私としては3つ。

1つは、ドグマティックになり過ぎない。2つ目に、共同できるイシューをしっかり見極めていく。そして、それを前進させるために、議題の設定と橋渡しをしていく。橋渡しというときには、もちろんアメリカとヨーロッパの橋渡しもあろうかと思いますけれども、G7がG7で固まっていくような実態あるいは認識を持たれないように、新興国あるいは低所得国との橋渡しも日本がしっかりしていくことが大事だと考え、そしてそれを実践してきている次第です。

その1つの事例に、先ほど御紹介しましたけれども、RISEがございます。こちらについては、佐藤先生からも御指摘のあった、レアアースの金融に見られるような重要鉱物の経済安保リスクを減らすだけではなくて、そういった鉱物が採れる低所得国が、単に自分のところで採れたものをどこかに輸出してしまう、あるいは売ってしまうことで終わらせるのではなくて、そこの土地でしっかりと付加価値のある加工・精錬、さらには製品の製造までできるような支援をしていくことによってウィン・ウィンの関係をつくっていくのだということで、2023年の日本議長年で立ち上げましたけれども、これがしっかりと裾野を広げながら続いていること。

あるいは、先ほど申し上げた金融犯罪、Call To Actionの中で北朝鮮の問題がしっかり入ってきた。これもやはり日本がG7の中のメンバーであることの証左である。その結果、こういった極めて重要な論点がアクションとして含まれていること。ほかにも対中政策であるとかグローバルタックスであるとか、様々な共同できる案件がございます。G7の首脳宣言に関しましても、今回は発出見送りという形での報道が多うございますけれども、実はイシューごとに共同声明あるいは共同のロードマップが出ております。AI、量子、移民、国境を超えた抑圧、重要鉱物、山火事対策、そして中東問題、こういうことで7つもの非常にコンサイスなaction-orientedな文書も出ていますので、先ほど申し上げましたとおり、ドグマティックになり過ぎず、共同できるイシューをしっかりと見極めて、そして橋渡しをしながらリードしていくようなことで日本としては取り組んでいくことが重要だというふうに考えております。

○西方調査課長私から対内投資審査制度について御説明させていただきます。

まず、木村委員、植田先生から、対内直接投資自体の重要性を御指摘いただきまして、誠におっしゃるとおりです。我々も、まず外為法の原則の一つが対内投資原則自由でございますし、その重要性を認識しつつ、対内直接投資審査制度の在り方を考える必要があると思います。

木村委員から御指摘ありましたとおり、結果として対日投資は上がってきているわけですけれども、これの分析は、いろいろな要因があってもちろん難しいところはあります。おっしゃったとおり、こういう地形学的な緊張の高まりによって、むしろ日本マーケットの安全性とか信頼性が再評価されて投資が来ている、リスクの高い国からお金を引き上げて日本に投資する動きももちろんあると思います。投資環境の整備というのは日本国政府全体で引き続き整備する必要があると思っております。植田先生からも御指摘いただいたとおり、国際投資によって立って日本経済が発展してきたことは非常に重要でございますし、我々としても制度の在り方を考える上で投資家の皆様とのコミュニケーションを非常に大事にしたいというふうに思っております。

その一環で言いますと、河野先生と五十嵐先生からアニュアルレポートについてお褒めの言葉を頂き、今年のバージョアップも非常に分かりやすいと御指摘いただきまして、ありがとうございました。

これを英語でも出しておりまして、海外当局とコミュニケーションすると、海外当局からも、これは非常にいいねということで、彼らが日本の制度を知るきっかけにもなっているかと思って、これはぜひ続けていきたいと思っております。政省令改正の際も、英語で海外の投資家に直接、ビデオ会議あるいは対面で説明をしていることで、海外投資家に対するコミュニケーションも非常に大事だと思っております。

左三川委員と五十嵐委員から執行の重要性を御指摘いただきました。おっしゃったとおり、事前届出件数が非常に多いものですからきちんと届出を審査する体制は非常に大事でございます。今までも人数を増やしておりますけれども、引き続き審査体制の強化が必要だと思いますので、ぜひ引き続き応援をよろしくお願いいたします。

五十嵐委員あるいは河野委員から、海外の投資審査制度の強化の流れを御指摘いただきまして、我々もこれは非常に重要だと思っております。この5年間で外国の制度もいろいろと変わってきているところもあるので、こういう点もいろいろと見ながら我々の制度の在り方を考える必要があると考えております。

五十嵐委員から、審査を強めるべきところは強めるかもしれないけれども、リスクが低いところについてはメリハリを持って、例えば指定業種を少し減らす余地がないかどうか、そういう点についても検討するようにという御指摘を頂きまして、この点も参考にさせていただきまして今後の在り方を考えたいと思っております。

それから、横串で取り組むべきテーマもあるだろうということで、おっしゃるとおりでございまして、省庁縦割りで何か見落としているものはないか、この点についても考えたいと思います。

渡井先生から、取下げについてと無届について御質問いただいた点は、恵﨑からお願いいたします。

○恵﨑投資企画審査室長投資室長の恵﨑でございます。渡井先生から御質問いただいた点につきまして御回答させていただきます。

まず、取下げの中で内訳が分からないかという御質問だったかと思いますけれども、取り下げるケースというのは様々ございまして、届出書の記載に不備があった、誤りがあった場合に一旦取り下げるとか、また、届出後に国の安全等を損なうリスクの有無について当局が詳細な内容を確認している中で、取り下げた上で、内容を精査した上で改めて出てくるものもあれば、そのまま取引が取りやめになるケースもございます。そのため、そういった内訳につきまして今手元でお示しできる件数は持っていない点、御容赦いただければと思いますけれども、様々な取下げの事由があるということでございます。

無届につきましても御質問いただきました。無届につきましては、アニュアルレポートに記載させていただきましたとおり、その多くが制度の不知によるものでございまして、そもそも外国投資家自身が投資をする際に届出が必要だということを知らないですとか、または指定業種に当たると思っていなかったとか、株の取得ではなくて、役員選任の同意など行為時にも届出を求めているわけですけれども、そういった行為時の届出の必要性などを知らなかったようなことが挙げられるかと思っております。また、内部管理の中で周知徹底されておらず、届出が漏れていたケースもございます。こういったケースが多くございますけれども、改善策といたしましては、我々、先ほど執行体制の話もございましたが、地方支分部局の財務局を活用しながら、様々な場面でのアウトリーチ活動、説明会などを精力的に実施してきております。また、個別の企業訪問等の機会なども利用して制度周知を引き続きやっていきたいと考えております。

悪質なものに対する対応ももちろん強化してまいりたいと考えておりまして、このあたりは関係省庁との連携も強化しながら取り組んでいきたいと考えております。

○西方調査課長あと、五十嵐委員からマネー・ローンダリングのG7の宣言について御質問いただきましたので、山﨑から回答させていただきます。

○山﨑大臣官房企画官ありがとうございます。マネロン等を担当しております山﨑と申します。

五十嵐委員の御指摘、誠にありがとうございます。いずれも御指摘のとおりということでございます。

3点ございますけれども、まず、マネロンに関しましては、委員御指摘のとおり、国内のマネロン体制の強化、信頼を得ることが大事。これは各省連携して次期相互審査に向けて、今準備を進めておるところでございます。その上で、池田もまさに申し上げたとおり、G7のような同志国と連携してしっかりと、金融犯罪について国際的な社会で日本はリーダーシップを取っていくことを我々は非常に重視しております。さらに、マネロン対策は、御案内のとおり、グローバルにループホールがありますとなかなかうまくいきませんので、アジア・太平洋島嶼国も含めてしっかりと体制を整えていく意味で、梶川がAPGの共同議長として国際社会の下でいろいろ取組を進めていることが総論としてはございます。

また、環境変化への対応、特に金融新技術の面では非常に日進月歩で進んでおりますので、そのリスクとオポチュニティをしっかりと見ていくことが重要であるということでございます。

委員御指摘の3点について簡単にコメントいたしますと、1点目、VA/VASPs(暗号資産)、トラベル・ルールということで、非常に重要でございます。日本は、暗号資産の規制等においては世界をリードしてきた実績がございますので、これを踏まえつつ、まさに委員御指摘の匿名性の高い空白、これがP2PだったりDeFiであったりということにならないように、まずは暗号資産に関するグローバルな基準遵守や監督の実施が重要なわけですけれども、こういった空白部分をしっかり埋めていく取組を日本としてもリードしていく所存でございます。

2点目、クロスボーダー決済ですが、これはFATFとFSBのお話が出ました。FATFはやはりマネロンの専門家で、FSBはどちらかというと金融監督の専門家、金融安定のマンデートを持っていますのでそれぞれの視点に焦点を当てがちなのですが、G20の下で、cheaper、faster、more accessible、さらにtransparency、マネロン対策も含めということで、要は政策課題がますます複合化、高度化しております。そういったところで両方カバーする財務省としても、委員御指摘のようなデータ当局なども含めまして議論を進めていくことをこれからしっかりとやっていきたいと考えております。

3点目、これは技術革新とマネロンの話で、冒頭申し上げたとおりですが、例えばCBDCなども含めまして、まだ見ぬユースケースも含めて、想像力をたくましくして政策当局としてしっかり対応していきたいと考えておりますので、引き続き御指導いただければと思います。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

ただいま財務省側から頂きましたコメントおよび回答について何か追加の御質問等ございますか。よろしいでしょうか。

それでは、質問あるいは御意見に戻らせていただきます。澤田先生、お待たせしました。どうか御発言ください。

○澤田委員どうもありがとうございます。澤田でございます。非常に詳細な、しかしながら簡潔なまとめをシェアしていただきまして、大変勉強になりました。

私のほうは、スライドの3枚目になるかと思いますけれども、コメントを2つとオープン・クエスチョンみたいなのを1つ申し上げたいと思うんです。

現在の米中関税紛争は、直接の経済的なインパクトもあるのですけれども、ここで掲げられている不確実性があることそのものが消費マインドを冷え込ませて投資も減らす。中国のポートフォリオ投資も、データを見ますと減っていることが分かります。それから、不確実性については、いろいろなテキストマイニングで一種のビッグデータを使って指標をつくって、不確実性が増えると投資、消費にどういう影響を与えるかというクオンティテイティブなアナリシスもできるのですけれども、もう明らかに不確実性があること自体、どうなるか分からないこと自体が悪影響を及ぼすところがあって、池田課長から、不確実性をどうかじ取りするか。G7でも共同することが盛り込まれているというのは、一般論としては非常に正しいとは思うのですが、具体的にどうやったらいいのかというところが質問です。

多国間、米中の、あるいはアメリカと各国のバイラテラルなネゴシエーションが進んでいかないと不確実性は解消しないのか。もちろんWTOはなかなか難しいところはあるのですけれども、RCEPとかTPPとか、先ほど挙がりましたFOIPとかIPEF、いろいろなフレームワークがあり、中国のほうも、あまり盛り上がっていませんけれども、Belt and Road Initiativeみたいなのもあるので、何か具体的に不確実性を減らしていくことができないのかと少し考えて、G7の場でも、あるいは政策の場で、何か少しアイデアが出ているのであれば教えていただきたいというのが第1のコメント、それから質問です。

あと、これは巨大な経済リスクの一種ですが、コロナも世界経済全体に与えた巨大リスクでした。これは自然災害の一部と学術的には定義されますけれども、あとは紛争のリスクもあるということです。それから、日本で非常に深刻になりましたけれども、福島の原発事故のような技術的災害もあって、大きく分けると、技術的災害、自然災害、3番目は経済的なリスクということで、これはデット・クライシスのリスクみたいなのもあります。あとは、小規模なテロから大規模な紛争、戦争リスクという大きな4つぐらいのリスクがある。先ほどASEAN+3のお話もありましたけれども、例えば自然災害について言えば、リージョナルですが、CMIMの中に緊急融資ファシリティを入れるとか、あるいはMDBもいろいろなファシリティを持っています。それから、太平洋島嶼国も災害基金があり、カリブ海にも災害基金があり、最近ASEANでも災害基金ができたということで、非常にかっちりした道筋というか。もちろん今後どういうふうにそれを伸ばしていくかということがあるとはいえ、割ときちんとした枠組みみたいなのができて、不確実性をとにかく下げることはある程度できているかなというふうには思うわけです。ただ、貿易リスクについて、あるいは広く経済リスクについてはなかなか難しいところがあるのかな。

それに関連して、複合することもありますね。津波が起きて原発被害を被るようなこともあります。それから、ロシアのウクライナ侵攻でcommodity priceが上がって、サザンアフリカの国が非常に大きな実質的価格ショックに直面して、それが経済危機のトリガーになり得るというように、複合することもあります。

全体として、巨大災害を前提として、事前にそれぞれいろいろな施策を考えておく。それから、連動性、複合性も考えつつ、大きな枠組みで世界全体として共同する。G7、G20、世界全体で協力する。そのようなことを考える必要があるのかなと思うんです。その辺について、日本政府は個々のパーツについては非常に大きな貢献もあると思うのですけれども、2030年の防災会議もありますし、日本政府全体として、一つの災害にかかわらず、全体の地球規模のリスクを日本政府としてどう対処していくかという指針のようなもの、あるいは中長期戦略のものがあれば教えていただきたい。ないとすれば、先ほどにも関わりますけれども、どうすればいいのか。何か手がかりになるようなことがあれば教えていただきたいというのが1つです。

もう1つは、最近の韓国、台湾、シンガポールですね。半導体の輸出、電子機器の輸出のデータを見ますと、2023年はマイナスだったのですけれども、去年2024年に急速に回復しております。これは先ほどの3枚目にあった上方リスク、楽観的なAI技術見通しに関わりますが、もうこれが既にかなり出ていると思うんですね。そうすると、おのずとAI技術の生産が急拡大して輸出も拡大する。そうすれば、おのずと民間企業は、テック企業にしろ、通信事業者にしろ、データセンターの運営企業にしろ、データセンター等に巨大なインフラ投資をしようということになるわけです。アメリカですと、エコノミストマガジンに出ていた数字ですけれども、去年は60兆円ぐらいデータセンターインフラに投資したということです。これが後半の対内直接投資に関わるんです。

あと、半導体について言えば、デザインとファブリケーション、パッケージで3つぐらいの工程があって、それを専門メーカーが分業していて、アジアはそれぞれどこが強いかみたいなことがあって、切磋琢磨しているところです。今後、急激にさらに半導体需要が増えて生産が増えるとなれば、いかに日本に投資を呼び込むかということになると思います。TSMCは熊本に投資しましたけれども、一説によると、水が豊富で非常にいいと。もちろん、いろいろな政治的あるいは社会経済的な問題が少ないようなこともあるとは思います。

そういうことで、日本は結構こういうチャンスに直面しているのではないかと思いまして、後半のお話で、かなり精緻な対応といいますか、バランスが必要だと。もちろん経済安全保障を担保することは最優先ですけれども、それと同時に、かなり積極的に対内投資を促進することは重要なのかなと思いました。これは最近のアジアにおけるAI需要を踏まえてのコメントです。

以上です。ありがとうございます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

それでは、ここでオンラインで御参加いただいております根本委員、大野委員、江藤委員、伊藤委員の順番に御発言をお願いしたいと思います。

まず、根本委員から御発言をお願いいたします。

○根本委員ありがとうございます。

かなり今までの議論でカバーされているので短くしたいのですけれども。1つは、世界経済情勢の中で、私も暗号資産の問題に非常に関心を持っていまして、その中でノンバンクの金融仲介という話があり、澤田先生も今おっしゃった金融不均衡とも関わる問題かなと思いました。それに関して日本が非常にリーダーシップを取っていらっしゃることを聞いて、心強く思いました。アメリカでは今、政権自体がすごく暗号資産振興に取り組んでいるので、それもあって資産流入が活発化した面もあるかなと思うのですけれども、各国の協調とともに規制の大きな分断についてのリスクをぜひ今後も皆さんに周知させていただきたいと思いました。

あと、対内直接投資ですけれども、今までのところは比較的健全な対内直接投資とか、自由な取引と安全な投資をうまくバランスを取っていらっしゃったとは思います。ただ、日本の審査件数がかなり突出して多いこともあって、本当にリスクの非常に濃いところに資源を投下していらっしゃるのか。ほかの委員の御指摘もありましたけれども、例えば業種の選定も今のものがいいのかとか幅広い目で見直していただければと思います。例えば無届に関しても、周知されていくことは非常に重要だと思うのですけれども、一方で、多少ペナルティを厳しくするとか、そういうことで規律を保つこともあるのかなと思ったりしました。

質問としては、件数の高いところで、先ほど人を増やされるというお話があったんですけれども、例えばAI活用などはどうお考えなのか。今年3月ですか、金融庁のほうでAIのディスカッションペーパーを出していて、Reg Techというのか、政府が活用する例もあるとか、海外においてもちょっと増えてきているとか。情報が外に出ない形でやっていて、データ分析とかいろいろな質問への対応とか、モニタリングに使うこともあるので、そういうものも御検討の範囲になるのかなというのが1つです。

もう1つ、アニュアルレポートのスレッシュホールドで1%というところですけれども、日本の株主提案の最低保有が1%というお話がありました。そこともリンクされているということだったのですけれども、今、日本は、御承知のように、株主提案がかなり乱発というのか、多様化、必要がなく提案する場合もあり、見直される可能性もあると思うのですが、そういうことが影響するのかというのが質問です。

○大野委員ありがとうございます。大野です。

私も、もう既に御発言された方々と重複する内容がありますので、簡潔に感想を述べさせていただきたいと思います。

まずは、対内直接投資の件に関しましてですが、先ほど根本委員からの御発言とも重複するのですけれども、事前審査の届出件数が我が国は非常に突出していて、マンパワーの制約の問題がないのかというところについて伺えればと思います。

経済安全保障上の措置という目的以外に、もう1つ、対日直接投資の拡大という2本立ての目的がありまして、不確実性が高まっている中で政策目標どおりに拡大していくかどうか分からないわけですけれども、地政学リスク等が相対的に低い日本が投資対象として選択されるような可能性もあり得るのかな。そうした場合に、目的どおりに対日直接投資の件数が増えていきますと、それと併せて事前届出件数も増えていく可能性もあるかと思います。審査基準の厳格化を行わなくても、対日直接投資が思惑どおりに拡大していくことがあるのでしたら、審査の件数も増えていくこともありますので、そういった状況に対応できる体制づくりが求められているのかなとも思いました。ですので、その辺りについて少し感想を持ったということです。

そして、国際金融情勢に関しても何点か感想を述べさせていただきたいと思います。これも根本委員が既に御指摘されたことではありますけれども、債務国の債務に関するデータもしくはノンバンクの投資活動に関して、より精緻なデータの入手を構築されていかれるようなことが書かれていたかと思いますが、このあたりについてはこれまで信頼性のあるデータの確保が非常に大きな課題でもあったかと思いますので、その取組についてどうぞよろしくお願いいたします。

あと、澤田先生から激甚災害というようなお話がございました。既に国際協調の枠組みが構築されているようにもお話を伺いましたけれども、この分野に関して、民間企業でも様々な取組がなされているかと思います。まずは保険会社が自然災害等に関して既に膨大なデータ、知見を確保しているかと思いますし、激甚災害に対しての対応と保険を組み合わせたセットでの対応も新たに各会社で検討されているようなところかと思いますので、官民での協働といったところも今後進めていく必要もあるのではないかというような関心を持ちました。

もう1点ですが、国際金融情勢のスライドの4ページ目辺りでしたでしょうか。国際収支の不均衡のグラフがございました。この中で、米国が大きな対外赤字国である。この状況は長らく変わらないわけですけれども、対GDP比での経常赤字の額がさほど増えているわけでもないというのが現状のところであるかと思います。一方、対外純資産、対外純債務で見てみますと、アメリカの対外純債務は拡大する傾向にあることが示されております。これの大きな理由というのは、他の国に対してアメリカの、特に巨大テック企業の株価が上昇する、もしくは米ドルが増価することによる時価の変動が大きいかと思いますので、アメリカで対外純債務が拡大しているというのは、むしろアメリカの健全な経済を反映している結果というような言い方もできるのかな。逆に、基軸通貨としてのドルへの信頼が揺らぐ、もしくは巨大テック企業の株価が下落するような局面になっていきますと、米国の対外純債務はむしろ改善していく方向になっていくのかなと思っております。

ですので、現状、米国の対外純債務は非常に膨大な金額にはなっているのですが、ここ数年のトレンドといいますか、拡大していること自体についてはさほど懸念する事態であるということはないのかなという印象を持っております。ただし、貿易赤字のところで、トランプ政権の中で、貿易赤字が取引相手国の閉鎖的な不平等な取引慣行によるものといった話にすり替えられて様々な議論を沸き立てていったことと同様に、対外純債務の拡大が変な方向に議論が発展することのないように注視する必要はあるのかなと感じております。

長くなりましたが、以上です。

○江藤委員ありがとうございます。江藤でございます。もう既に様々な御議論があり、またG7に関しての質問は重複するところがありますのでコンパクトに、マネー・ローンダリングのAPG協力のところでお話しさせていただければと思います。御質問1点、コメント1点です。

まず、こちらが日本のアジア・太平洋島嶼国に対する戦略的コミュニケーションの中でどのように位置づける議論として捉えておられるのか教えていただきたいと思います。というのは、非常に重要な試みというか、取組であり、また双方にとって意味のあることだと思うんです。同時に、何らかの形づけにして外交的資本として使うことができる部分だと思いますので、このことをただ一つ真面目にやるべきことをやっておられるだけではなくて、うまく活用することによって、日本のアジア・太平洋における成果の一つとしてうたい上げるという効果ももたらすものであると思います。この点について位置づけがどうなっているのか教えていただければ幸いです。

それに関連して、コメントといたしましては、実は私、中国を研究している身としましては、このところ非常に増えている議論の中の一つに、日本が言っているルールに基づく国際秩序というのは中国を排除する排他性の強い議論だという理論武装があります。これは非常に強い警戒感ですね。国際秩序をどう組み替えるのかということを真面目に世界が考えるようになっていく中で、中国のポジション取りの対象として日本にターゲットがやや当てられている部分がある。例えば、その中では、日本がこれまで取り組んできた法整備支援、これは本当に評価されるべきところだと思いますが、それは、日本型、西側型の法制度を普及させることによって彼我の差をつけるものだと。我々側と向こう側という差をつける取り込み策の一環であるという、こちらとしてはちょっとうがった見方だと思いますけれども、戦略論の中に位置づけて議論をすることがやや過剰に行われているところです。

これを日本側が戦略論で切り返す必要は必ずしもないと個人的には思いますけれども、しかし、この中国の議論にほかのグローバルサウス諸国が巻き込まれないように当初からアピールをうまくしていく必要性もあると思いますので、今回のAPG協力についてもそうした御検討もしていただけると非常によろしいのかなと思った次第です。

○伊藤(亜)委員伊藤亜聖です。ありがとうございました。2点ございます。

1点目は、IMFの景気予測のところで、ささいな点ですけれども、AIの技術がポジティブな要因として位置づけられている部分があるんです。付加価値、あるいは先ほど澤田先生がおっしゃったような投資ではそうですけれども、労働市場に与える影響に関してはかなり経済学者の意見も割れているところかと思います。労働市場あるいは労働分配率に与える影響などを考えるとかなり微妙なところではないかという気はしております。実際にテックカンパニーの数千人規模でのレイオフが始まっている状況かと思います。それが1点目の小さな質問です。

2点目は、対内投資に関するレポートを大変興味深く拝読しました。とりわけ無届の案件に関する調査までされていることがこの制度自身の実効性を非常に担保しているというふうに感じました。その上で、今回、このレポートでも、他国、主要国との対比において、3,000件という数字をお示しいただいていて、多いなという感じもするのですけれども、他国の場合は条件も違うこともあるので、実際問題、3,000件というのが多いのか少ないのかということですね。これは非常に難しい質問になってしまうのですけれども、実際に届けられるべき案件の数を仮に分母に置いた場合にどういう関係になっているのか。肌感覚でもいいのですけれども、もし可能であればお伺いしてみたいと思いました。

以上です。ありがとうございました。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

それでは、ここでまとめて後半に頂きました御質問やコメントに対して財務省側からの御回答をお願いいたします。

○池田国際機構課長ありがとうございます。

最初に、澤田先生から御指摘いただきました不確実性への対応についてお答えいたします。御指摘のとおり、不確実性というのは4月以降のG7、G20等でバズワードということで非常に多くの国々の代表が言及し、また、不確実性は経済活動にとって最大の敵であるというような認識を我々も持っております。そういう中で、具体的にどうやって減らしていくのかということに関しましては、まずもって米国との関税交渉をしっかり挑んでいく。そして、確実性のある関税政策、貿易政策に落ち着かせていく。そういう観点からは、G7、それからバイの面会でも、アメリカに対して直接、今の措置というのは不確実性を高めていくので非常に懸念しているというようなことは申し上げています。その上で、今精力的に誠実に交渉しているわけですけれども、その際に、単に関税を下げろとか、あるいは、今やっていることはけしからんということではなくて、アメリカはどういうところからこういうような政策が出てきているのかについてしっかり把握した上で、寄り添った形で向き合っていくことが必要なのだろうと思います。

その観点から、例えば、今回のWEOではアメリカの歴史的な実効関税率の推移も示されています。21世紀に入ってからアメリカの実効関税率は3%程度でずっと推移していまして、これはグローバルに見ても極めて低い数字であるというふうに言えると思います。そして、4月2日に25%にぽんと上がって、それは1930年のかの有名なスムート=ホーリー法のときの20%を上回る数字であるということで、非常に高い形で今提示されているわけですけれども、彼らから言わせると、我々がずっと下げてきているのに、ほかの国は十分に下げてきていないじゃないか。その結果、製造業の流出が起こっているではないかというような問題意識があるわけです。そういう意味では、我々は、報復関税という形で一緒に合わせて上げるということではなくて、一緒に下げていくようなことを、恐らくアメリカに対しても、あるいはグローバルにも訴えていくことが大事であろうと考えます。

その上で、もう1つ、先ほど私から申し上げたことと重なりますけれども、関税ないし貿易の紛争というのは現象であって、その根っこにある原因は何かというと、やはりそれぞれの国の経済構造のゆがみにあろうと考えます。中国であれば過剰な貯蓄あるいは過少な消費でありますし、アメリカはその逆ということがありますので、こういったものを持続的に正していくために、それぞれの政策協調あるいは政策対話をやっていくことが大事かなと考えています。

最後に、これは2番目の御質問とも重なるのですけれども、不確実性のない世界は、これからも、あるいはこれまでも恐らくないのだろうと思うんですね。いずれにしても何か起こるので、そういうことを前提に、どうやって強靱性を高めていくかが極めて大事なイシューになってまいります。先ほど城田から、ASEAN+3の取組の中でチェンマイの機能強化、具体的には、MDBsと連携してRapid Financing Facilityの導入ですとか、あるいはDisaster Risk Financingを整えていく、こういったことを御紹介いたしました。例えばIMFの議論の中でも、我々、この春以降、IMF改革について日本としての提案を提示しながら議論をリードしていますけれども、様々な国際収支の危機といってもいろいろな種類がございます。短期、中期、長期、それから外生的な要因によるもの、構造的な要因によるもの、小さな島国、低所得国、こういったいろいろなパターンを想定して、全てのスペクトラムに対応できるようなグローバル・ファイナンシャル・セーフティネットを整えていく。その中で、例えばチェンマイのようなリージョナルなセーフティネットと連携をしっかりしていくことが重要であることを訴えております。

あわせて、MDBsの文脈でも、先ほど申し上げたCDRFとかPCRAFIといったような、東南アジアあるいは太平洋島嶼国をカバーする保険のメカニズムと併せて、バイのJICAの円借款の中でCRDC(Climate Resilient Debt Clause)をパイロットとして入れておるような取組も始めております。これは島嶼国とかモルディブ、ブータン、14か国を対象に、新規の円借款において、何か大きな災害が起こったときに債務の支払いを一旦停止するようなことも入れております。こういった様々な取組を進めていくことが大事かなと思っております。

それから、国際収支の不均衡に関しまして大野委員から重要な御指摘を頂きました。国際収支が均衡することが必ずしもいいわけではないですし、あるいは、不均衡がどこまでも広がってもよくないということで、どこまでが健全な不均衡で、あるいは持続不可能な不均衡なのか。こういったことに関しましては、IMFの分析をしっかりと利用しながら客観的な議論を進めていくことが重要かなと考えております。

最後に、AIに関してですけれども、AIのリスクとオポチュニティ、両方あるというのは御指摘のとおりかと思います。これについてもG7で議論をしていまして、日本としても、例えば金融セクターに与えるボラティリティを高める影響も指摘をしています。一方で、日本のような人口減少社会において労働力不足を補い得る存在としてのAIの活用策について今後議論を深めていきたいというような問題提起もしているところです。

○西方調査課長APGの点は審議官の梶川からお願いします。

○梶川審議官江藤委員からございましたAPGの戦略的な活用と視点という話でございます。私、共同議長を務めさせていただいておりまして、APGというのは、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、中国、インドと、ある意味、太平洋島嶼国を取り巻く大国が皆入っております。そんな中で、日本の共同議長としては、まさに先ほどの優先事項②、太平洋島嶼国等の支援ということで積極的にやっているところでございます。

コルレス銀行の撤退という話がさっきありましたけれども、まさにそういう話が太平洋島嶼国にとっては一番痛い話として出てきています。その要因は、主に2点でして、マネロン対策が不十分で、銀行にとってのリスクが大きい点と、あと規模の経済というものがある。ここは世銀のプロジェクトとAPGの取組と両方とも相まって関係するところがあるのですけれども、そこは世銀のプロジェクトについても、先ほど、日本は積極的に支援をしていく姿勢を取っています。APGにおいても、共同議長のhigh-level visits等を通じて太平洋諸国のハイレベルなマネロン対策の強化を働きかけています。この前フィジーにも行ってきまして、別途、フィジーでは、マネロン対策のワークショップも開催しました。

結局、APGは中国も含んだ形でおりますので、そこは透明性を持ってやりつつも、もちろん、どちらの帽子をかぶっているかというのは意識しなければいけないのですけれども、やはりそこは日本としても支援できることをしっかりやっていくということで、特に太平洋島嶼国については優先順位を高くしてやっているところでございまして、それは引き続きやっていきたいと思っているところでございます。

○西方調査課長最後に、私から。対内審査で御質問いただきました点、特に大野委員、伊藤委員からも、件数が多いという御指摘を頂きました。先ほど最初にグラフを出しましたけれども、行為時届出となりますと、例えば役員が交代する際は役員1人につき1件届け出る形になっていますので、3,000件といっても簡単な届出も結構たくさんあるということです。アニュアルレポートの27ページの一番上に平均審査期間が書いてありまして、1件当たり8.2営業日で、比較的簡単なものについては素早くお返しすることをやっています。ただ、これには事前届出の取下げの部分は含まれていませんで、難しい案件については、取下げしたりして少し時間を長めに取って投資家と交渉することをやっております。

おっしゃるとおり、日本の場合は指定業種が非常に広いところもあったり、役員交代についても1つずつ取っていることもありますので、件数が大きく膨らんでいるところがあります。先生から御指摘いただきましたとおり、リスクベースで、根本先生から頂いたとおり、リスクの高いものにリソースを割くことにしたいと思います。そういう意味で、根本先生からAIの活用についての御質問を頂いております。これは非常に重要な指摘と思っておりまして、我々もほかの分野の使い方を見ながら勉強したいと思っております。

○恵﨑投資企画審査室長1点補足させていただきます。お配りしておりますアニュアルレポートですけれども、明日ホームページで公表させていただく予定でございます。英語版につきましても最終調整中でして、少し英語版はタイミングが遅れるかもしれませんけれども、近いうちに併せて公表できればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

時間の押しているところ恐縮ですけれども、1点、根本先生から御質問があった1%基準について、私が承知していることを申し上げさせていただきたいと思います。

根本先生御指摘のとおり、株主提案権の閾値が日本の場合にはかなり低いのではないかという意見があって、改正すべきであるという御提案があることも承知しております。しかし、1%基準を下げるべきであるという議論ではなく、日本の株主提案権は、1%または300単位のいずれかの閾値を超える場合に行使できるということになっていて、300単位の要件を利用して株主提案権が行使されていることがあり、実際上はかなり少額の投資でも株主提案権の行使が可能になっており、なかには濫用的なものもある点に対する批判があると理解しております。したがって、私が現在承知している限りでは、おっしゃるとおり、株主提案権についての行使要件の見直しという議論はありますけれども、専ら1%基準のほうではなくて300単位のほうにフォーカスが当たっていると理解しております。御参考になればと思い申し上げさせていただきました。

それでは、本日の会を終える前に土谷局長からぜひお話をお願いいたします。

○土谷局長委員の皆様、ちょっと時間を超過しておりますけれども、手短に。

1年間を通じましていろいろな御意見、アドバイスを頂戴して、ありがとうございました。

私ども、この1年は、アメリカの新政権発足以来、少し世の中のパラダイムが変わりまして、それに追われてきたと。2月、対カナダ、メキシコから始まりまして、特に4月以降、これはまた全然違う世界に飛び込んでいくなという感じで、まだ何の答えもないのですけれども、やっていると。

澤田委員ですか、不確実性がキーワードですけれども、ほかの自然災害の不確実性と違うのは、政権の意図として不確実性を追求しているところがございます。まさに人為的なものでございますので、当面いろいろな要因があって、アメリカ政権は、関税について言えば、今のところ各国ともアメリカに対しての報復は行わない。途上国はまたいろいろ行動が分かれるかもしれませんけれども、アメリカ以外の国に対してどれだけ保護貿易的な措置を取ることについて我慢できるか。そういう形で、今取りあえずは微妙な均衡にありますけれども、率直に申し上げまして、いろいろな交渉を頑張っております。各国ともやっていますけれども、アメリカ政権がどういう形で対応していくかということは分からないわけでございまして、そこの不確実性を前提にある程度行動していかざるを得ないというぐらいの気持ちで引き続き臨んでいくしかないと思っております。

あと、今、皆さんずっと貿易の話をしているわけでございますが、たしか植田委員が投資の話もしていました。もともとアメリカ政権は投資についても新たなパラダイムをつくりたいということで、バイデン政権もいろいろやっていたわけです。恐らく今の米政権の中で、端的に言うと、貿易赤字が重要だという中で投資の話はバックバーナーに落ちているということでございます。そういうところからしても、政策選択においても非常にuncertaintyがあるので、そのあたりを残念ながら覚悟して、懐を深くして、構えを広くして対応していかなくてはいけないというふうに思っております。

今事務年度は我々これで終わりますし、また新たな体制で来事務年度に臨んでいくわけでございます。

本日はいろいろとありがとうございました。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

本日も大変活発な御議論を頂き、ありがとうございました。これで本日の議事を終わらせていただきたいと思いますけれども、対内直接投資審査制度につきましては諮問を頂いておりますので、今後も本外為分科会にて議論を続けてまいります。引き続き闊達な御議論をお願いいたします。

また、議事録の作成は、これまでどおり私に御一任いただければと存じます。その際、発言部分を事前に御覧になりたい委員の方におかれましては、会議終了後その旨を事務局に御連絡いただくこととさせていただき、御連絡いただきました委員の方には議事録を案の段階で事務局より送付していただくことを考えております。その後1週間程度の間に御意見がない場合には御了解いただいたものと取り扱わせていただきます。

次回の分科会につきましては、事務局と御相談の上、御連絡させていただきます。

本日は、長時間にわたり、また時間を若干オーバーいたしまして大変申し訳ありませんでした。御参加いただき、誠にありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします

午後3時08分閉会