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関税・外国為替等審議会
第60回外国為替等分科会議事録

令和7年1月23日(木)

財務省国際局

財務省第3特別会議室
(本庁舎4階)

1.開会

2.最近の国際金融情勢等について

3.閉会

 
出席者

委員

五十嵐チカ

植田健一

片山銘人

神作裕之

木村

杉山晶子

田村善之

根本直子

原田喜美枝

和田照子

渡井理佳子

財務省

土谷国際局長

渡部国際局次長

緒方国際局審議官

梶川国際局審議官

藤井副財務官

渡邉副財務官

西方国際局調査課長

池田国際機構課長

城田地域協力課長

石田国際調整室長

木原開発政策課長

氷海開発企画官

津田開発機関課長

土生外国為替室長

恵﨑投資企画審査室長

山下対外取引管理室長

奥資金移転対策室長

山﨑大臣官房企画官

臨時委員

小枝淳子

佐藤清隆

左三川郁子

清水順子

専門委員

伊藤亜聖

伊藤由希子

玉木林太郎

信光


午後2時31分開会

○神作分科会長ただいまより第60回外国為替等分科会を開催いたします。

委員の皆様方におかれましては、御多用のところ御出席いただきまして大変ありがとうございます。本日オンラインでの御参加を含め、大勢の委員に御参加いただいております。

具体的な留意点などについて事務局より御説明をお願いいたします。

○西方調査課長本日はお忙しいところ、御参加ありがとうございます。調査課長の西方でございます。いつもお世話になっております。

私から、今日オンラインと対面のハイブリッド形式になっておりますので、会議のやり方について一言御説明させていただきます。会議室で対面で御参加の皆様におかれましては、オンラインで御参加の皆様に分かりやすいように、恐縮でございますがマイクに近づいて御発言いただきますようお願いいたします。それから、オンラインで御参加の皆様におかれましては、事前にお伝えしておりますとおり、御発言時以外はミュートにしていただきまして、万が一、途中でWebexなどがつながらないという場合には電話会議システムのほうで引き続き御参加を頂きたいと存じます。

以上、皆様には大変御不便をおかけしますけれども、よろしくお願いいたします。私からは以上でございます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

それでは、本日の議事に入りたいと存じます。本日の議題は最近の国際金融情勢等についてでございます。まず、事務局より御説明を頂いた後、意見交換の時間をお取りしたいと思います。資料を2つ御用意しておりますけれども、説明の御都合上、先に資料2から説明をしていただきます。それでは、西方調査課長、どうかよろしくお願いいたします。

○西方調査課長ありがとうございます。

資料2「対内直接投資審査制度について」から御説明をさせていただきます。

2ページ目を御覧いただきますと、外為法上の対内投資審査制度の概要についてまず御説明しております。外為法は皆様も御案内のとおり、対外取引自由を原則としつつ、対外取引に対する最小限の管理調整を行うという哲学でございますが、国の安全等から指定される一定の業種につきましては指定業種として指定をいたしまして、対内直接投資を行う場合に審査付事前届出を行うということにしております。ただ、健全な経済発展を促す観点から、投資家が経営に関与しないなど一定の基準を満たす場合には、外国政府等による取引を除きますけれども、そのほかの一般の投資については事前届出を免除するという事前届出免除制度がございます。

国の安全等を損なうリスクが高いと認められる以下の外国投資については、事前届出免除制度の対象外とする必要があるのではないかという御指摘を今頂いているところです。

1点目、外国政府との契約や外国の法令に基づいて、外国政府の情報収集活動に協力する義務が課されている投資家などからの投資、これはリスクがあるのではないか。

それから、経済安全保障推進法上の対象事業者のうち、特に外為法上の対応の必要性が高い事業者、特定社会基盤事業者であり、かつ外為法上のコア事業者に当たる事業者に対する投資についてはリスクを管理したほうがいいのではないかと。

3ページ目でございますけれども、事前届出免除制度の現行の仕組みを図解したものです。

一番右のところ、外国政府あるいは外国の国有企業が日本企業に投資する場合は、黄色で書いてありますけれども、指定業種に投資する場合は現行制度上、審査付事前届出が義務づけられている、つまり事前免除制度が使えないという扱いになっております。

一般投資家につきましては、コア以外の指定業種に投資する場合には一定の条件を満たせば免除制度が使えるということでございますが、コア業種に関しては10%以上投資しようとする場合には審査付事前届出が義務づけられておりますし、1%以上10%未満投資の場合は、上乗せ基準を満たす場合には事前届出免除制度が使えると、こういう仕組みになっているところです。

続きまして、4ページにまいりますと、今回の見直しの方向性を図解しております。

今回の見直しの方向性といたしましては、左下にございますとおり、コア事業者の中に、さらに先ほど申し上げました経済安保推進法の特定インフラ事業者に当たるような、特に重要な事業者に関して「特定コア事業者」という新しいカテゴリーをつくりまして、こちらに対しては新しい投資家のカテゴリーを設けまして、「特定外国投資家に準ずる者」というものについては特定コア事業者に投資する場合に審査付事前届出を義務付けるという形にしたいと考えております。また、特定コア以外のコア事業者に対して「準ずる者」が投資する場合には、更なる上乗せ基準を遵守する場合に限り、免除利用を可能とするということで、事前免除制度を使える場面を限定したいというふうに考えております。

4ページ目の一番右のところ、「特定外国投資家」という概念を新しく作りまして、この特定外国投資家に当たる場合には、先ほど申し上げました国営企業並みの扱いという形にして、審査付事前届出免除制度を義務付けるという形にしたいと考えております。

続きまして、5ページにいきますと、今御説明した「特定外国投資家」の定義でございます。特定外国投資家につきましては、まず①の定義として、対内直接投資によって取得した国の安全等を損なう事態を生じるおそれが大きい情報を外国政府等との契約や法令に基づき、当該外国政府等に開示することによって、当該外国政府等に協力する義務を負う組織または個人という形の定義としたいと考えております。このような協力義務を負う組織・個人がもし議決権、株主数の50%以上を占める、例えば子会社を持っている場合、あるいはこういうような義務を負っている者が役員の3分の1以上を占める関連会社がある場合、そういう子会社・関連会社も「特定外国投資家」と扱うという形にしたいと考えております。

以上の考え方を下の図でお示ししているところでございます。

6ページ目にまいりますと、「特定外国投資家に準ずる者」の説明でございます。「準ずる者」につきましては、特定外国投資家の制度を潜脱するような事態を防止する観点から、形式的には特定外国投資家の要件を満たさない投資家であっても、以下のような者を「特定外国投資家に準ずる者」と定義したいと考えております。1つ目が情報収集義務者が実質的な意思決定を掌握していると認められている場合、2つ目が設立準拠国以外の国や地域に実質的な本社があって、情報収集活動に関する当該国の法令等の影響を受ける者、3点目が情報収集義務者等との契約、または当該契約を行った者との契約、さらに同様の契約が連なる場合、いわば「数珠つなぎ」にそういう義務を負っている者が連なる場合、これによって外国政府等の情報収集活動に協力するための開示する義務を負っている者、これも「準ずる者」に当たるという形にしたいと考えております。

右下の図にありますとおり、例えば前のページの情報収集義務者に当たらない者であって、役員比率が3分の1未満、あるいは資本支配比率が50%未満だと、これは特定外国投資家に当たらないですけれども、この「準ずる者」というカテゴリーを設けることによって、特定外国投資家に当たらない場合でも一定の対応がとれるような形にしたいというところでございます。

右側に具体的な「準ずる者」に当たる例として図解しておりますのは、例えば役員が多数いる中の少数者のみが情報収集義務者に当たる場合であっても、その人たちが実際の組織の意思決定を掌握している場合、この場合には「準ずる者」に当たる、あるいは脅迫等により意思決定を少数の者が掌握している場合、これも「準ずる者」に当たるという形にしたいというように考えております。このように「準ずる者」を定義したいというように考えております。

7ページ目、「特定コア事業者」の範囲でございますが、経済安保推進法における特定社会基盤事業者で、かつ外為法上のコア業種に属する事業を営む事業者を「特定コア事業者」として整理したいと考えておりまして、特定基盤事業者というのは、推進法におきまして基幹インフラが我が国の外部から行われる役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されることを防止するための対象担当事業者で、具体的には通信・携帯業者、あるいは鉄道、それから電気とか、ガスとか、こういう事業者が含まれるというふうに考えております。

今後の予定につきましては、こちらにありますとおり、基本的に政省令の改正で対応したいというふうに考えておりますので、政省令の改正案が整い次第、パブリック・コメントを実施して、政省令の改正を公布・施行したいというように考えております。

私から資料2の説明を終わらせていただきます。

資料1について、引き続き説明をさせていただきます。

○神作分科会長それでは、これから最近の国際金融情勢について、事務局から御説明をいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○池田国際機構課長国際機構課長の池田でございます。

資料1、国際金融情勢について、ごく簡単に御説明をさせていただきます。

最初のページは昨年11月、もう2か月前になりますけれども、ブラジル議長下でのG20首脳会合の成果文書、この中から財務省、中央銀行、金融規制、こういったことに関連する事柄をピックアップしたものになります。こちらに関しましては、基本的に前回の外為審で御紹介をさせていただいたワシントンで開催されたG20財務大臣・中銀総裁会合での合意事項をそのままなぞったものということになってございます。

具体的には、MDBsのロードマップですとか、あるいは債務に関して低所得国向けの共通枠組み、ここから得られた教訓に関するG20ノートの話ですとか、あるいは国際課税における第1、第2の柱のコミットメント、こういったものが確認されていまして、こちらにつきましては、いずれのイシューもおおむね南アフリカの議長下でも引き継がれておるところでございます。

G20は12月に議長が交代いたしますので、次のページでございますけれども、既に南アフリカ議長下でのG20が始まって、ほぼ2か月が経過した状況になっております。2ページ目にありますが、こちらは昨年12月9日から10日にヨハネスブルグでG20のシェルパ、首脳の補佐官の会合及びそこのマージンで開催されたG20のシェルパと財務大臣の代理の合同会議が開催されましたけれども、そこで提示された全体の優先課題ということで4つ提示させていただいております。災害の強靱化ですとか低所得国の債務持続可能性の確保、公正なエネルギー移行、そして包摂的な成長、いずれも非常に抽象度の高いテーマでございますけれども、少なくとも財務省のトラックに関しては、南アフリカの財務省・中央銀行側は、これまでの議論の継続性ですとか、合意されたことをしっかり実施・実行に移していくということ、できるだけ合理化されたプロセスで進めたいというようなことが強調される中で、既に各作業部会での議論がキックオフされているところです。表に出ているようなステートメント等はございませんけれども、今年2月末にケープタウンでG20の財務大臣・中銀総裁会合がございますので、そこに向けて議論が進んでいくというような状況になってございます。

私からは以上です。

○氷海開発企画官開発企画官の氷海でございます。私は気候変動、環境問題等を担当しておりまして、本日私からは資料の3ページ目になりますが、昨年11月に行われました国連気候変動枠組条約の第29回締約国会合、COP29と通常呼んでおりますが、この結果について簡単に御説明をさせていただきたいと思います。

今回のCOP29は、11月11日から24日までアゼルバイジャンのバクーで開催されました。今回のCOP29で一番の主要議題として挙がりましたのが、1番に書いてございます新規合同数値目標、New Collective Quantified Goalでございます。今後の気候変動対策支援にかかる資金、「気候資金」と我々呼んでいますけれども、この目標を新たに定めようということでございまして、「新たに」と申し上げたのは、注1にございますが、実はこれまでも気候資金の数値目標はございまして、2009年のCOPにおいて決定されたものですが、先進国が途上国に対して支援を行う気候資金について、年間1,000億ドルを目標に活動してきたという経緯がございます。この目標に対して、2015年にパリ協定が発足しましたときに、2025年に先立って新たな目標を定めることを決定しておりまして、この決定に沿った形で今回のCOP29で新たな資金目標を定めたというところでございます。

その中の基本的部分を御紹介しますと、まず1つ目の●になりますが、これは民間も含めて、官民全ての関わる人、今のパリ協定も精神はそうですけれども、やはり気候変動問題といった「地球規模課題」と呼ばれるものは、全ての関係者がみんなで協力してやっていくというところが基本になりますので、その意味で民間も含めた全てのアクターに対しまして、途上国向けの気候行動に対する資金、これを2035年までに年間1.3兆ドル以上に拡大するために共に行動していきましょうと、ここの部分は要請という形になっていまして、みんなで協力してやっていきましょうと呼びかけているというのが趣旨でございます。

先ほど申し上げました今までの気候資金目標を引き継ぐ、新たな目標を定めようというところのコアな部分が2番目の●になりまして、先進国が率先する形で2035年までに少なくとも年間3,000億ドルの気候行動のための資金目標が決定されております。これは先ほど申し上げましたように今までの目標は先進国から途上国への資金の流れが目標として定められていたわけですけれども、今回は先進国だけという形ではなく、「先進国が率先する形で」とはあるものの、より関係する人が協力していこうという姿勢をここで改めて示しているということでございます。このうち、後段に書いてございますが、国際開発金融機関(MDBs)が提供する気候関連資金、この部分は今までは実は先進国が拠出をした分に相当するMDBsの気候資金だけを目標に計上していたのですが、今回はMDBsが提供する気候変動関連資金全てを目標値の中に計上可能とするという形で、明確に書いてあるところと書いていないところはありますが、その範囲を広げる形で基本的には目標を定めているというところでございます。

さらに、先進国からの流れだけでなく、南南協力といった途上国同士の協力という部分でも貢献していくことを推奨するというような形の決定も定められたところでございます。

なお、注2に書いてございますが、先ほどのMDBsに関連して申し上げますと、各MDBsはCOP29の期間中に合同で低・中所得国に対してMDBsが支援する気候資金の額を2030年までに1,850億ドルまで拡大するという発表をしておりまして、MDBsとしても今後気候資金の拡大を図っていくという決意といいますか、発表を行っているというところでございます。

今回のCOPは、今後の目標を定めたというところがまさにメインなのですが、これを踏まえ具体的にどのような形で気候変動対策を推進していくのか、という点で、もう1つ、COP29で議論されたのが2番目のところでございます。パリ協定の6条と申しますのは国際協力、要は国際的な協力によって温室効果ガスの削減を推進していこうということを定めた条文でございまして、具体的には温室効果ガスを削減するために、例えば日本とほかの国とで協力していく場合に、協力して現れた成果について、国際協力を行った国同士でどのように使っていくかというところを具体的にルールとして定めたということでございまして、これによって、具体的には国際協力によって生まれた温室効果ガスの削減効果をカーボンクレジットという形にして協力した国同士で分け合うというような仕組みを、今までは概念としてはあったのですけれども、今回具体的に行う詳細ルールを定めました。カーボンクレジットに関しては、日本はJCMという二国間協力のクレジットの枠組みを推進しておりまして、まさに今回のCOP29で議論された具体的なルール作りに日本としても経験をもとにかなり関与することができたということで、このような推進のための具体化という部分を日本も含めて一緒に今回決定できた、まさに目標の枠を決めるというところとそれを基に実際にどう進めていくかという2つの部分を決めていくことができたというのは今回のひとつの成果と考えております。

簡単ではございますが、御説明させていただきました。

○津田開発機関課長続きまして、開発機関課長の津田でございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

4ページを御覧ください。国際開発協会(IDA)の第21次増資についての御報告でございます。

1つ目の■は、多くの先生方にはおさらいになってしまいますけれども、IDAは世界銀行グループの1つの部門でございまして、低所得国支援に特化しております。その支援の内容は非常に低い金利の融資やグラントでして、通常3年に1回増資を行ってございます。増資の規模を決める会合が昨月、12月5日・6日ソウルで行われまして、過去最大となる1,000億ドル、円にして15兆から16兆円程度の規模の支援を今後、今年からの3年間行うこととなっております。このうち、IDAというのは市場調達すなわち債券発行も行っておりますし、あるいは数十年前に貸したものの返済もございますので、これらを最大限活用することでドナーからの新たな貢献は237億ドルに抑えております。

増資を通じた支援の内容でございますけれども、交渉の過程で日本から、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進、防災、債務データの透明性や債務の持続可能性を確保するための様々な取組等をしっかりやってくださいと主張して、これらが重点政策に位置づけられているところでございます。これらを踏まえまして、厳しい財政事情ではございますけれども、日本は、4,257億円、シェアにして10.5%の貢献を表明したところでございます。こちら国会での承認が条件になっておりますので、IDA加盟措置法の改正につきまして通常国会への法案提出を予定しているところでございます。

私からは以上です。

○木原開発政策課長続きまして、開発政策課長の木原と申します。

5ページ目の資料を御説明させていただきます。開発のための新しい資金動員ということで、こちらはJICAのフロントでどういうことが今政府の中で考えられているかということでございます。資料の上のほうで書かせていただいたのは、昨年7月に外務省のほうで出された有識者会議の報告、提言の抜粋になりますけれども、ブレンデッド・ファイナンスの活用ということで、特に公的資金がどうしても限りがあったりですとか、あるいは援助の世界の中でも民間のプレーヤーが出てくる、あるいはそういう資金をどうやって動員していくのかというところにより注目が集まる中で、効果的に公的資金を使って、民間が投資可能な事業性を確保するブレンデッド・ファイナンスみたいなものをもう少し注目していったらいいのではないかということが書かれています。

具体的にどんな中身が提言されているかということですけれども、1つ目の(ア)の部分はリスクテイク機能の拡充ということで、今JICAのほうでは民間向けということで海外投融資事業をやっておりますけれども、基本的にツールとしては投資・出資という2つのツールを有しているということになっておりますけれども、「例えば、」のところで出てきますけれども、それ以外に、例えば保証という枠組みを使ったりですとか、あるいはいろいろな形でいま債券発行を途上国ではされていたりしますので、グリーン債、あるいはソーシャルボンドみたいなものを買うというところで保証、あるいは債券取得、こういうものもツールとして拡充したらどうかという議論があったというのが1つ目になります。

2つ目の(イ)のほうのグラント性資金の活用は、お金を出すツールというよりはどのぐらいのリスクをとるかという部分ですけれども、これもODAであることを利用しまして、少しエクイティの中でもより劣後する部分をとったりですとか、融資の中でも他の者と比べるとリスク・リターンの関係でリスクに見合ったリターンを民間ほどは求めないと、そういう形でODAが関与していくことによって、いろいろな開発案件に民間資金がより入ってこられるようにする、そのようなツールを少しいろいろ検討したほうがいいのではないかと、そういう議論がなされていたところでございます。

こういったものを実際にやっていく上では、場合によってはJICAのほうで、事業を拡大する上でJICA法の改正みたいなものが必要になっている可能性がありますので、法改正の可能性も含めて今政府全体として検討しているというところでございます。

下のグラフにありますように、公的資金でどのぐらい民間資金が動員されているのかというOECDの統計を見ましても、まだまだ日本もできる余地があると思いますので、こういった取組を引き続きいろいろ考えていきたいと思っているところでございます。

以上です。

○西方調査課長続きまして、6ページの日豪経済対話については、オーストラリアとの経済対話が昨年11月14日に東京で開催されております。日本からは、写真のとおり財務官の三村が出席しております。

議題としては、サプライチェーンの強靱化等の経済安全保障に関する議論が多くあったと聞いております。それから、インド太平洋地域における、島嶼国支援を含む経済協力について議論したほか、対内直接投資などについても両国で共通するような関心があったということで、それぞれの状況を共有したというところでございます。地理的に近いということもありますし、多くの分野で利益を共有しており、引き続き両国間で連携をしようという話になったと聞いております。

以上でございます。

○神作分科会長御説明、どうもありがとうございました。

それでは、ただいまから意見交換に移りたいと思います。委員の皆様におかれましては、御発言の際は、御臨席の委員の方は従前どおり名札を立てていただき、また、オンラインで御参加の委員の方は事前に事務局より御案内していただきましたとおり、御発言の意思をシステム上の挙手の機能を使って事務局までお知らせいただければと思います。御臨席の委員の方から順に御発言を頂き、続いてオンラインで御参加の委員の方に御発言を頂きたいと考えております。万一順番が前後してしまったという場合には、どうか御容赦願います。

それでは、御発言のある方、よろしくお願いします。

まず植田委員、お願いいたします。

○植田委員いつも丁寧な御説明をありがとうございます。今日はあまり私からコメントはないんです。クラリフィケーションというか、気になったところだけお聞きできればと思います。

外為法上の対内直接投資審査制度、政府等という「等」というところが、1つは当然一般政府だと思われまして、地方政府とか、いわゆる公営企業、国営企業が入るということだと思われます。それから、場合によってはある国における共産党が持っているようなものも政府なのかなという感じがいたします。もう1つちょっとややこしいなと思うのは、具体例を言えば、僕は知らないのですが、例えば、制裁対象となっている国のトップが持っている個人的な会社が投資する場合はどうでしょうか。政府でもないけれど、政府要人の持っている個人的な会社というのは、実はややこしいと思うのは、制裁対象となっている国のトップだけでなく、そうでない国のトップも恐らく持っているので、そういうのはどう考えるのかなというのがちょっと気になった次第です。細かいところですみません。

それから、国際金融情勢のほうはそれほどないのですが、これもクラリフィケーションだけでして、1つは私が最近の状況についていっていないのでお聞きします。JICAの話を開発のための新しい資金動員で言われたのですが、勉強不足ですみませんが、JBICとJICAの関係は今どうなっているのか、JICAはJBICのことなのか、JBICと別にまたこういうことをやるのかという、そこのところが、多分勉強すればすぐ分かるのでしょうけど、こんがらがっていてすみません。

もう1つは、COP関連のパリ協定関係ですけども、日本政府がほかの人たちと一緒に協力して環境のためにいいことをしようというのはいいことだと思うのです。しかしその一方で、これまたアメリカのほうの状況、逆に金融機関さん、グラスゴー金融同盟からどんどん抜け出していって、むしろ環境をもとに投資することがおかしいというような状況にも向こうではなっているときに、そういうような動きは、例えば日本の金融機関もそれに従うというときに、止められるものでもないと思うのですけれども、どういった対応を考えていらっしゃるのか、それはもちろん民間業者さんの判断にお任せしますということなのかもしれませんけれども、何かコメント等あればと思います。

以上です。

○神作分科会長どうもありがとうございます。

多くの方から御発言の希望を寄せていただいておりますので、時間の関係もございますので、まとめて御質問を頂戴した後、御回答のほうもまとめてしていただくということとさせていただきます。

続きまして、渡井委員、お願いいたします。

○渡井委員ありがとうございます。私は資料2について、簡単にコメントを申し上げます。

御提案の投資審査の補強の在り方に賛成でございます。これによってリスクのない優良な投資には影響がない一方で、リスクの高い投資については事前届出の対象とすることができると思います。

2点、コメントを申し上げますが、1点目は特定外国投資家の定義の問題でございます。外国の法令に基づく情報収集活動の協力義務が問題になるということは、外国の法令の適用対象によって定義が変わり得るということであると思います。そこで現時点では適用除外となっている個人や区域があったとして、それが将来的にどうなるのか、あるいは逆に今は適用対象であってもいずれ外れることがあるかもしれませんので、そういった外国法令の適用、解釈の問題を十分に把握できるようにしておくことが必要ではないかという印象を持ちました。

2点目は投資家の属性の問題でございます。投資の段階では特定外国投資家や準ずる者に該当しないということであったとしても、それが事実ではなかった場合には実害が生じる可能性がありますので、事後のモニタリングが一層重要になるかと思います。もちろん国内の居住者である外国人個人による投資の形式をとれば、規制の対象からは外れることになります。これまで、居住の有無ではなくて国籍を要件としたらどうかということは、この場でも議論があったところですが、国際的な約束や外為法の全体の仕組みからすると、さらなる議論を要するという結論であったかと思います。そして、外国籍の日本の居住者にしても、居住者要件を本当に満たしたばかりという人もあれば、もはや日本に永住しているという人もあるかと思いますので、居住者、国籍の要件についての検討が難しいのであれば、居住者・非居住者という二者択一ではない議論を考えることも視野に入るのではないかと思いました。

最後に、外為法の仕組み自体が、事後よりは事前のチェックが中心になっているというところがあるかと思いますけれども、今回の御提案との関係では、既に行っていただいているモニタリングに加えて、さらなる充実が必要になるのではないかというように考えました。

以上でございます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、原田委員、御発言ください。

○原田委員ありがとうございます。大勢の方が手を挙げていらっしゃるそうなので、まず資料2についてのみお伺いさせていただきます。2点ございます。

まず1点目としましては、安保上の措置として対内投資審査制度を補強するというのは、とてもよく理解できるところです。それに対して海外マネーを呼び込む政策というのがありまして、海外の投資家が日本の上場企業を判断しやすい環境を整えるということで、今いろいろと制度の改正が行われているところでもあります。一番直近で言いますと、もうすぐの話ですけれども、今年4月からはプライム上場企業に限っては日英同時で開場しましょうという制度が動き出します。そうしたときに海外から資金が来るというときに、両者異なるベクトルを持っているというふうに思います。阻害されていないか、健全な投資を阻害しないということを先ほどおっしゃいましたので、本当に阻害していないかどうかというのはどこかの時点で検証のようなものができればいいのではないかなというふうに考えております。これまでのところで何か検証したような論文ですとか、そういったものがもしありまして、それを把握なさっていらっしゃるようだったら教えていただければというふうに思います。日本の個人投資家なんかだと、新NISAが始まりまして、どうも海外資産が大好きなようでして、60%以上が海外に向かっています。そうしたときに日本の株式市場の活性化というときに、海外の投資家からの日本への資金というのは非常に重要な面があるかと思いますので、ぜひともバッティングしないようにということは見ていただきたいな、考えていただきたいなというように思います。

もう1点としまして、6ページで案として挙げていただいている「準ずる者」に関してなんですけれども、更なる上乗せ基準案が2つ示されていますけれども、これはもうちょっと細かく議論する必要があるのかなというふうに考えました。といいますのは、縦軸のほうで非指定業種、コア以外の指定業種、コア業種、特定コア事業者、これは国内のことですので非常に明確で、クリアに線引きができているところだと思います。それに対して横軸に挙げてあります、特に準ずる者、ここがちょっと分かりにくい。先ほど植田先生も御質問なさったところではありますけれども、ちょっと分かりにくいということもありまして、かつ更なる上乗せ基準も少々分かりにくい面が、私があまりうまく理解できていないというのがあるかと思いますけれども、少々分かりにくいところがございまして、例えば更なる上乗せ基準の2つ目のところに「従業員を派遣しない」などと書いていますけれども、海外のファンド、例えばアクティビスト・ファンドが株主提案で役員を議案に上げるような場合、大丈夫なのでしょうか。あと、海外ファンドが純投資ということで投資をする場合に、ファンドの中の役員に1人でも6ページで言う赤色で塗られている方がいらっしゃったら、それは準ずる者に該当してしまうのか、そういったところが理解できておりませんで、何かクリアにそこは説明できるところであるということでしたら教えていただければというふうに思いました。

以上になります。ありがとうございます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、木村委員、御発言をお願いします。

○木村委員御説明どうもありがとうございました。私も外為法と、あと国際金融情勢に関して、1点ずつ申し上げたいと思います。

外為法の改正ですけど、今回の補強に関しては、その必要性、十分理解いたします。その上で2点申し上げたい。1つは、今回補強の対象となる国、具体的に特定しているわけではないと思うのですが、外交上の問題が生じないように十分配慮していただきたいというのが1つです。もう1つは、外為法で定められていますように、対外取引は自由が原則で、規制は必要最小限が基本で、これは今回の補強によっても変わらないと思いますが、最近話題になりました日鉄によるUSスチールの買収でも安全保障を理由に中止命令が出されたりして、極めて疑問の多い判断と言われていますけど、今回外為法を改正、補強するということは、あくまで事前審査を受けるということだけで、門戸を別に閉ざすわけではないので、USスチールとは全く性格が違うものと思いますが、対外取引の自由が損なわれるという、そういう誤解が広まらないように周知の徹底に努めていただきたいと思います。

それから、国際金融情勢ですけど、いろいろ御報告いただいてありがとうございました。年頭ですけど、今年は戦後80年ですが、多国間の枠組みは、今年はサミット、G6が創設されてから50年とか、あるいはWTOが設立されてから30年とか、いろいろ節目の年にあたります。そういうときにくしくもトランプ政権が誕生して、アメリカ第一主義と多国間の枠組みというのは当然相いれない概念であることは明らかだと思います。特に気がかりなのは、トランプ政権が誕生したことで戦後の世界経済の安定を支えてきた多国間の枠組みが揺さぶられると。特に今、多国間の枠組みの柱になってきたG7各国、特に欧州各国はそれぞれポピュリズムが台頭して、そういう協調を支えてきた政党、政治勢力が弱まっていると。するとトランプ政権への抵抗力も弱まってしまうのではないかということをすごく懸念しています。やっぱりここで問われるのは日本の役割だと思います。今日御説明あったように、日豪の経済対話とか、ミドルパワー同士の連携を強めていく、こういうことをされているというのは非常に心強く感じましたので、今後ともこうしたミドルパワーの結束、オーストラリア以外でも欧州、カナダ、ニュージーランドと様々ありますので、東南アジア各国、そういうところと結束を強めて、多国間の枠組みを維持していくことが大事だと思います。極めて難しい局面だと思いますけど、今後日本として、さらにこうした多国間協調の維持に向けてどのようにこれから取り組んでいくのか、改めて御方針を教えていただければと思います。

以上です。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、伊藤(亜)委員、御発言をお願いいたします。

○伊藤(亜)委員資料2についてコメントさせていただきます。

今回の制度の補強について、現状、法令に基づいて外国政府の情報収集活動等を支援し、あるいは協力することが義務づけられている企業というのは存在し、このため現実にこうしたリスクに対応することは必要であろうと考えております。その上で、実務上の幾つかの論点は残ります。

一点目、今回、届出ということになろうかと思うのですが、事前届出を仮に行わなかった場合の罰則というのはどのようなものとなるのでしょうか。特定外国投資家である場合に届出を行わない場合というのもありますし、とりわけ発生しそうだなと想像するのは、「準ずる者だとは思わなかった」というようなケースです。こういった場合にどういった対応になるのだろうかというのが一つ目です。

二点目は、今申し上げた「準ずる者」をどう特定するのだろうかということです。今回頂いている資料ですと、本社機能、あるいは意思決定者を特定し、あるいは契約関係ということになろうかと思うのですが、これをどのように調べられるのでしょうか。出資関係等ですと、例えばデータベースを使った特定作業というのは可能であろうかと思うのですが、かなり骨が折れる作業にならざるを得ないのかなというようには想像いたします。

三点目が、それと併せて、審査を行う体制について、届出があった場合、一定期間後でもよかろうと思うのですが、審査結果の概要ということが一般的に開示されるということはあり得るのでしょうか。制度自体の透明性の確保の観点からした場合に、ほかの審査制度で、類似の対応というのはあり得るのでしょうかというのが関連した質問です。

以上、もろもろ申し上げましたけれども、ほかの委員の先生がおっしゃったように、対内直接投資の少なさがむしろ長年の課題であったという観点からすると、いかに一般投資家からの投資を増やしていくのかという施策、あるいはメッセージも併せて発出していくべきであろうと私も感じております。それを踏まえた上でも、いろいろ抜け道等々あり得ると思うのですが、大枠でこういった規制を整えていく意義はあるというふうに私は考えております。

以上です。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、左三川委員、御発言ください。

○左三川委員どうもありがとうございます。ただいまの伊藤(亜)先生の御発言とほとんど重なってしまいますので、私から手短に申し上げたいと思います。資料2についてのコメントでございます。

1点目ですが、「特定外国投資家に準ずる者」というところの定義づけでございますね、ここがやはり難しくなってくる場合があるかと思います。抜け道のような方たちをどのように防ぐかといったところで、罰則規定という話もございましたけれども、そこの見極めというものをどのようにお考えでいらっしゃるのかというところはお尋ねしてみたいと思います。

2点目でございますが、もし違反をしたときの罰則規定についても教えていただければというように思います。先ほど御指定いただきました業種、産業については、ほぼ大きな企業かなというように思いましたけれども、場合によっては中小の企業なども含まれてくると思いますので、やはりモニタリングというものが重要になってくるかなというように思います。

最後になりますけれども、外国に既に進出している日本の企業、それから個人などが逆に不利益を被ったりすることのないように御配慮いただきたいと思いますし、情報収集のような形でぜひお守りいただければというふうにも思います。外為法が対外取引自由の原則を中心に考えていらっしゃるというところをぜひ強調していただければというように思います。

私からは以上です。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、玉木委員、お願いいたします。

○玉木委員ありがとうございます。2点だけ。

1つは、資料1の5ページ、開発のための新しい資金動員の章ですが、これは基本的に民間投資に公的資金をハイブリッドするということですが、民間投資をどう、民間投資に伴うバイアビリティやギャランティするときのリスク、そういったものについて、果たしてJICAにスキルがあるかどうか。世銀グループの場合は、IDA、IBRDとIFCの間では全く違うスキルが要求されて、IFCにはウォールストリート的センスの人が多数入ってきていますが、JICAの場合はかつて海投がボロボロになってしまったり、その子会社としてつくったJAIDOがあまりにもひどいので、1999年か2000年だったと思いますが、解散を余儀なくされたと。そのときの反省からも、JICAのような、いわゆる開発屋さんたちの手に負える分野ではないので、この面でのスキルの補充を十分やらないと圧力で、頼まれたから出資するとか、そういった類の話が横行して、また忘れた頃にもう1回同じようなことを繰り返す、失敗を繰り返すということになりかねないので、そのことを心配しています。かつてアジ銀でもそうでした。アジ銀でも子会社がたくさんの焦げつきを生んで、やっぱり日本にはこういうスキルが少なくともかつてはなかった、非常に乏しかったということですので、思い切った対策を講じないと、あれもこれもといって乱発することになりかねない。そして、かつては出資先などにJICA、当時のOECFからたくさんの天下りが行くというようなことがあって、余計事態をみっともないものにしていたわけですが、その点の反省をぜひお忘れなきようにお願いしたいと。これは別にお答えは要りません。

もう1点、資料2に関してなんですが、20日に出たトランプ大統領のメモランダム、America First Trade Policyを読んでいると、対内直投はもちろんのことですが、あそこで強調されていた投資についての話は対外直投で、懸念のある国、具体的には中国、香港、マカオへのストラテジックな分野の投資、特にテクノロジーの分野ですけど、それについて、どう規制するかについてのレビューを再びするということでしたが、今の外為法のこの議論では対外直投について何らかの規制をするという、そういう議論の萌芽はあるのかどうか、もし教えていただければ。

ありがとうございます。

○神作分科会長どうもありがとうございます。

続きまして、オンラインで御参加の委員の方に御発言をお願いしたいと思います。和田委員、杉山委員、五十嵐委員、根本委員、佐藤委員の順で御質問、あるいは御発言をお願いいたします。

初めに和田委員、御発言ください。

○和田委員ありがとうございます。私も対内投資審査制度の見直しの点についてコメントを申し上げたいと思います。

まずそもそも外為法の大原則で、対外投資が自由に行われることを基本として必要最小限の管理や調整を行うという考え方に基づき、健全な投資を阻害しない範囲であれば、制度見直しの大筋の方向性については賛成できるものと考えております。これはあらゆる制度の見直しの際に経済界から申し上げていることでありますけれども、やはり制度の見直しに当たっては、制度を使う立場の企業にとって予見可能性が損なわれることがないように御配慮いただきたいということは、念のため重ねて申し上げさせていただきたいと思います。既に今回の見直しにおいても、その点については意識して制度を御検討いただいているかと思いますが、引き続き細かい政省令の策定に当たって、その辺りも十分御配慮いただければと思います。

もう1つお願いしたいのは、ほかの国の法制度よりも規制が強くなり過ぎないように、我が国の企業や、あるいは日本のマーケットがほかの国に比べて劣後することがないように十分御配慮いただきたいと思っておりますし、併せて外為法以外の経済安全保障に関わる法制度との整合性もしっかり確保していただきながら制度設計を行っていただくのが大事なことかと思っております。政省令の改正が施行されるまで、期間が限られているかと思いますけれども、この制度を実際に利用する、あるいは影響を受ける関係者の意見をよく聞いていただいて、具体的な検討を進めていただくとともに、先ほど他の委員からも同様の指摘がありましたけれども、我が国としてマーケットはオープンなんだということの誤解がないように、そういうことのメッセージも含めて丁寧な周知を行っていただければと思っております。ありがとうございます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、杉山委員、御発言ください。

○杉山委員ありがとうございます。私も外為法上の対内投資審査制度の補強についての質問でございます。こちらは外国人投資家の投資を促進するためにも必要な対応であると考えております。

そこで特定外国投資家の定義でございますが、資料の5ページの2つ目の定義の②のaですが、議決権・株式数等の50%以上を占める組織とあります。組織1つではこちらの要件に該当しなかったとしても、協力的な組織と合わせて議決権の50%以上を占めるというようなケースもあろうかと考えます。もしそういうケースがあった場合には、資料6ページの特定外国投資家が実質的な意思決定を掌握していると認められる場合に該当するのかどうかについて質問いたします。

以上でございます。よろしくお願いします。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、五十嵐委員、御発言ください。

○五十嵐委員御説明ありがとうございます。私からは資料2についてのみ、幾つかコメント申し上げます。

まず、外為法上の対内直接投資に係る事前届出の免除制度は、2019年の外為法改正により事前届出の対象となる株式・議決権の取得の閾値を10%から1%に引き下げた際、海外投資家の批判的リアクションも踏まえて導入されたもので、具体的には、翌年の政省令改正により、資料3ページの図表のとおり、投資家の属性と業種に応じ、濃淡をつけた形で整理されております。コア業種に関する投資についても免除制度を利用できる外国金融機関というカテゴリーが設けられ、他方で表の一番右側に外国政府等があり、その中間に一般投資家、ソブリン・ウェルス・ファンドが位置付けられていますが、今回、我が国の安全保障に影響を及ぼし得る情報を外国政府に提供する義務を負う者、すなわち「特定外国投資家」による対内直投に関連し、事前届出の免除を受けられないカテゴリーを増やすべきではないかという制度見直しの方向性につきまして、賛同いたします。

その上で、「特定外国投資家に準ずる者」という概念の明確性については、ほかの委員からもご意見がありました。例えば、外国政府に情報提供の義務を負うような国の法人により実質的に意思決定を掌握されている法人であれば、準ずる者に該当すると理解しております。そのような者がコア業種を営む会社の株式を10%未満取得する場合、資料4ページの図表の中央部分で、「更なる上乗せ基準」を遵守すれば免除利用可能とされておりますが、このような建て付けでそもそもよいのか、若干危惧しております。縦軸のコア業種と特定コア業種の区別をどうするかにも関わりますが、日本が外国からの対内直投を歓迎する姿勢を示し、制度の透明性を高めることは重要であるものの、それは一般投資家向けにすべきアピールであって、特定外国投資家に該当する者やそれに準ずる者に対しては、そういったアピールよりむしろ、我が国の安全保障の観点から、事前審査は受けていただいた上で、しかるべき情報へのアクセスや具体的な措置の状況等をまさに審査の中で見ていく必要があるようにも思われ、この部分の取扱いにつきましては十分な検討が必要と考えております。

また、資料5ページの特定外国投資家の定義において、「外国政府等に協力する義務」と定められておりますところ、データ保護法の観点からよく議論されるガバメント・アクセスはどう位置づけられるのか、外国政府によるガバメント・アクセスが強制的に認められる場合にどの範囲でこの定義に含まれ得るのか、という辺りのご想定を教えていただければと思います。

それから、特定外国投資家については資料5ページの②のとおり、いわゆる50%ルールの概念が導入予定と存じますが、特定外国投資家に準ずる者に関しても、50%ルールが適用されるのか、その辺りの方向性もお伺いしたいと思います。

なお、先ほど申し上げた2020年の対内直接投資の事前届出制度に係る政省令の改正の中で、包括例外規定と申しますか、対内直接投資等に関する政令の3条の2、第2項第4号で、「国の安全等に係る対内直接投資等に該当するおそれが大きいもの」として、一定の「事業の継続的・安定的な実施を困難にする行為を行うことを目的とする対内直接投資等」定め、これに当たる場合には事前届出の免除制度を利用できないと定めています。端的に申し上げれば、仮に外国金融機関に該当する場合でも事前届出の免除制度を利用できない形になっているかと思うのですが、今般改正の方向性を示していただいている制度設計において、既存の包括例外規定との関係がどうなるのか、につきましても教えていただければと思います。

また、透明性の観点につきましては、現在も財務省のホームページに本邦上場会社の外為法における対内直投の事前届出該当性リストが公表されていると思いますが、海外投資家向けの英文資料の公表や充実化は、引き続きお進め頂く必要があろうかと存じます。例えば、事前届出が実際に承認されなかった例として、2008年に海外投資家による電源開発の株式の買増事例が1件だけ公表されていたかと思います。事前届出の審査結果は必ずしも公表されないと理解しており、中止命令等に至らずに一定の遵守事項が記載されることで解決するような場合もあるものと存じますが、可能な範囲で透明性を高める取組も必要かと思います。私からは以上です。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続きまして、根本委員、どうぞ御発言ください。

○根本委員ありがとうございます。気候変動に関してのところですけれど、COP29でいろいろ成果があって、ジャスト・トランジションに関するもっと具体化とか、それからカーボンクレジットに関してのルールづくりとかがあったと思うのですが、先ほど他の委員もおっしゃったアメリカの政権交代で、かなりこういうものが後退しないのか、今の点、ちょっと見通しにくいのかもしれませんけれど、お考えを伺えればと思います。あるいは、何かもう少し個々の政策でいろいろと妥協していく面があるのかというところです。

あと、先ほど植田委員もおっしゃっていた日本の金融機関などへの影響ですけれど、これも今時点で難しいのかもしれませんが、何らかの対応とかがあり得るのか、教えていただければと思います。例えばネットゼロのアライアンスですね、銀行は今それに加盟していて、取引先とのいろいろエンゲージメントなどもやっていると思うのですけど、一方、アメリカの金融機関はそれを脱退して、というのも聞くところによると反トラストみたいな形での訴訟のリスクがあるということだと思うんですね。かつて、2023年に損保会社のほうはアメリカの共和党の州からそういうウォーニングを受けて脱退したという例もあったと思うので、日本の金融機関のそういう自発的なネットゼロへの取組が影響を受けない道があるのか、もしお考えがあれば伺えたらと思いました。

以上です。

○神作分科会長どうもありがとうございました。たくさんの御質問、御意見を頂き、大変ありがとうございます。

オンラインで御参加の佐藤委員、どうぞ御発言ください。

○佐藤(清)委員ありがとうございます。私は資料1の最近の国際情勢等の中の5ページ、開発のための新しい資金動員のところに関心を持ちました。既に他の委員からもコメントがございましたが、私から幾つか質問させていただきます。

この内容を伺って、あまり詳しくなかったものですから大変興味深く情報を頂いたんですけれども、民間部門が自発的といいますか、資金を出すのが十分でないということでこうした取組がなされるのだろうと、このスライドを見て理解しました。そして、下のほうにグラフがありますけれども、民間資金の額が日本が例えば欧米諸国と比べて極端に少ないということで、これを見ると何か対策をとらなければいけないのかなと、そのように受け止めたわけですけれども、このグラフの見出しを見ると、公的資金によって動員した民間資金の額と書いておりまして、公的資金によらない形での民間資金が自発的にかなりの例えば資金も出しているのかどうかというのもよく分からないように思いましたので、ぜひその辺りの情報を頂ければと考えております。

また、公的資金によって動員された民間資金の額が、とにかく日本が少ないというのは事実だと思うのですが、アメリカやフランス、イギリスなどと比べると極端に少ないので、これは何か、リスク・リターンだけではない何らかの要因がもしかしたらあるのかもしれないというふうにも受け止められるのですけれども、そのような背後にある問題について何か情報があれば教えていただきたく思います。とりわけ日本のところを詳しく見ると、融資、資金が出ているものは大半がシンジケートローンで、シンジケートローンだけですとオランダに次いで2番目ぐらいの規模なわけです、全体枠で見ると。何か日本の特徴であるとか、そうした固有の問題、固有の事情などがあるのではあれば、ぜひ教えていただければと思います。

以上が私からの質問になります。よろしくお願いいたします。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

続いて、小枝委員から御発言の希望を頂いております。小枝委員、どうぞ御発言ください。

○小枝委員ありがとうございます。ちょうど私も佐藤委員と同じページに興味を持っておりましたので、ちょっと便乗してコメントさせていただきます。

やはり以前、日本、国のお財布に余裕がたくさんあった頃はコンセッショナルローンで金利を低くして、たくさん貸し出して大きなプロジェクトをODAで行うということがあったと思うのですけれども、今後はこういったグラント性、ODAとしてグラント性の高いエクイティ型の資金を通じた開発協力のようなことを考えていくのは非常に大事なことではないかと思いました。

あと、私、今アメリカから参加しているのですが、やはりトランプ政権でマルチラテラルなフレームワークにどのような影響があるか、先ほどほかの委員の方も議論されていたので割愛させていただきますが、これから変わっていく中、どういったマルチラテラルなフレームワークを考えていかなければいけないかということは非常に大事なこれからのテーマではないかと考えております。

以上でございます。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

それでは、ここでまとめて御回答を頂きたいと思います。適宜御回答よろしくお願いいたします。

○西方調査課長たくさんいろいろと御質問、御意見いただきましてありがとうございました。

まず外為法の対内審査について私から回答させていただきます。

資料の中で特定外国投資家のところの「等」の概念のところですが、先生御指摘のとおりの地方政府とか、国によっては政党とか、そういう概念が入ってくると存じます。

あとは、国家元首の方の持っている例えば子会社については、正直その場合場合でいろいろ変わってくるかとは思いますけれども、国家元首が仮に私的に持っている子会社というのは、今のところ国営企業とか外国政府の黄色のところには入らないというところで整理しております。ただ、それがもし意思決定を掌握していることであれば準ずる者に今後当たるかもしれないと。そこは具体的な事例を見ないとというところがございます。

渡井先生から特定外国投資家に当たる範囲について、これが要するに外国の法令の状況によっていろいろ範囲が、外国の法令自体の適用範囲が変わってくるので、そこは将来追加して入ってくる国とか地域もあるかもしれませんし、外れる地域もあるかもしれませんという御趣旨と理解いたしました。まさに御指摘のとおりでございまして、投資が行われた時点で判断するということですので、今の時点で範囲がフィックスされているということではありません。

先生方から実際の「準ずる者」に当たらないか、当たるか、非常に微妙な場面があったり、あるいは故意で逃れるような場合、これをどうしたらいいかという御指摘をたくさん頂きました。これから執行の在り方は具体的には考えていきたいというところですけれども、まずは投資家自身が、自分がどこの国でどういうビジネスをやっているのかということを一番把握しており、そのビジネスとか、国よってどういう法令が適用されるかということが決まってくるわけですので、投資家自身がまず正確な義務の有無とか状況を正しく申告し、届出をしていただきたいというのがベースです。仮にそれが故意で逃れるような話があった場合には、事前届出をすべきときにしていなかったということで無届けの扱いになる可能性があるということで、無届けに関していろいろ報告徴求等々で調査をし、その過程でそれにも従わない場合には最終的には罰則があったりもしますけれども、そういう形で命令につながっていく場合ももちろんあります。ですので、事前届出すべきところを無届けでやったということになれば、無届けとしての制裁の道に進むと思っております。

渡井先生から、居住者、非居住者で分けている現行法の法制についてもコメントいただきました。この点については法律の枠組み自体の話になりますので、先生からの御意見として今後の参考にさせていただきたいと思います。

併せて、事後モニタリング、日本の制度は事前審査に重きを置いている制度というのはおっしゃるとおりでして、今後、事後のモニタリングの在り方というのも全体の課題として認識したいと思っております。

原田先生、ほかの先生からも、今回の外為法の趣旨として、まず投資自由の原則、必要最小限のときのみ調整するという、この外為法の哲学が非常に大事だという御指摘を頂きまして、誠におっしゃるとおりです。我々としても今回その方針に変わりはないということで、内閣全体としての投資立国の柱もありますので、健全な投資を阻害しないということは非常に大事だと思いますし、いろいろと周知活動、周知徹底を、誤解のないように投資家の皆様に今回の制度も含めてやっていきたいと思っております。

海外からの投資が非常に大事だという、原田先生の御指摘も、我々もまさにそういうふうに思っております。やっていく中で健全な投資を阻害しないように十分留意して執行していきたいと思っております。

それから、「準ずる者」のところの更なる上乗せ基準について、少し分かりにくいという御指摘を頂きました。この点、例えば役員を投資家が派遣しようとする場合、あるいは投資家が自ら役員になる場合、あるいは関係者を役員として派遣する場合には、今の制度においても免除制度が使えなくなるという仕組みになっておりまして、今回の更なる上乗せ基準では、役員ではなくとも、普通の従業員とか、そのような人を派遣する場合も事前免除が使えなくなるという形にしたいと考えております。

木村先生から特定国を狙い打ちしていないということで、誠におっしゃるとおりで、我々もそういうつもりで、個別具体的に投資家の負っている義務を見ながら投資審査をするということです。そういう誤解が生じて、あるいは外交問題に発展しないように、我々も十分気をつけて、外務省あるいは関係省庁とも協調してやっていきたいというふうに思っておりますし、周知徹底の話も頂きましたので、十分気をつけたいと考えております。

伊藤(亜)先生からも「準ずる者」の実務の問題を頂きまして、基本は先ほど申し上げた通りで、投資家自身が正確に申告しながら届出をするということに基本はまず基づくでしょうが、故意で届出をしない者に対する対応というのは引き続き検討していきたいと思っております。

「準ずる者」の特定の話も伊藤(亜)先生から頂きましたけれども、まずは当人の届出をしてもらった上で、どの国でどういう事業をやっている投資家であるか、こういうことも含めて、関係省庁、事業省庁とも議論をすることになっています。その投資家の届出をきちんと関係省庁と併せて分析をするなどと、分析の体制を経済安全保障の今の枠組みの中でも強化していきたいと考えております。

透明性の確保の御指摘を併せていただきました。実は去年の夏に初めて、対内投資に関するアニュアル・リポートを公表させていただきました。こちらで初めてに近い形で公表するデータをいろいろ掲載させていただいております。例えば審査にかかる平均日数とか、中途で届出をウィズドローされた場合のケースとか、こういう件数を出したりしました。個々の個別の案件自体についてはいろいろ守秘義務の関係がありますけれども、全体としての制度の透明性を高めるというのは非常に大事だというふうに思っております。

そして、一般投資家の健全な投資家に対して、投資立国の原則をきちんとアピールするということが大事だと思っています。

左三川先生からも同じく「準ずる者」の定義の在り方、抜け道をどうするか、それからモニタリングということも御指摘いただきました。中小企業のモニタリングについては、各地方の財務局に対内投資に関する職員を増員しておりまして、中小企業を含めて、特に日本で守らなければいけない企業、これを個別訪問して、外為法の制度があります、届出が必要な場面もありますよということを周知徹底して、特に守らなければいけない企業を重点的に守るという形でやらせていただいております。

玉木委員から対外投資、おっしゃるとおりアメリカは対内投資に限らず対外投資ということで、バイデン政権のときから方針を明らかにしております。こちらについてはG7でも議論がされておりまして、やはりこういう機微な情報とか技術というものが国際平和を脅かすことがないように、きちんと考えなくてはいけないという重要性については共有されております。ただ、やり方として対外投資規制がいいのかどうかというところについては、いろいろ国際的な議論があります。対外投資に限らず、輸出管理とか、あるいは対内投資審査的なものによってもこういう技術管理というものが一応可能な面もあるかということで、アメリカと全く同じような形の措置を導入するということは、今の時点では日本としては予定しておりません。ただ、アメリカがこれからやる規制の在り方について、効果、影響をこれからも注視してまいりたいと考えております。

和田委員からも取引自由の原則、これは非常に大事だということを御指摘いただきましたし、それから外国と比べて日本の市場が劣後しないようにということ、これは我々も非常に大事だと思っておりまして、外国のいろいろな安保法制も含めて、参考にしながら考えていくということと同時に、我々としても、先ほどから繰り返しになりますけれども、投資をウェルカムするという投資自由の原則というものは十分周知したいと考えております。

杉山委員から、「準ずる者」のところ、あるいは特定外国投資家のところで、複数の組織で50%以上を管理している場合に当たるのかという御指摘を頂きました。これは「当たる」というのが我々の回答でして、複数の者が投資する企業を支配している、これも当たると考えております。

五十嵐先生から、「準ずる者」の明確化の話も頂きました。「準ずる者」についての1%以上10%未満の投資の場合の紫のところ、更なる上乗せをした上で免除利用が可能でよいのかという御指摘を頂きました。こちらについては我々としても御意見として承りたいと存じます。まさに、投資自由の原則、それから外為法が最小限の規制とか対応を旨としているということでしたので、今のところ、私たちとしては事前免除不可とするよりは、更なる上乗せ基準ということで対応したいと考えております。

併せて、五十嵐先生からガバメント・アクセスの場合に考慮するのかということを頂きました。こちらにつきましては、実は考慮しない形で「外国投資家に準ずる者」の判断をしたいと考えています。

それから、外国金融機関に該当する者が「特定外国投資家」にも当たる場合には、結論としては特定外国投資家のほうの扱いにするということです。仮にそういう協力義務を負っている者である外国の銀行が投資する場合には、基本的には図の一番右の黄色に当たって、審査付事前届出が義務づけられるという形を考えております。

処分の公表、あるいは透明性の確保ということについては、御指摘のとおり、我々としては可能な範囲で公表を含めて透明性の確保をしたいと考えております。

○恵﨑投資企画審査室長外為法の対内投資の担当をしております投資企画審査室長の恵﨑でございます。本日は様々な御質問、御意見ありがとうございます。おおむね西方から回答させていただいたところでございますけれども、若干補足させていただきます。

伊藤(亜)先生や左三川先生から御質問のありました事前届出せずに行う者、そういった抜け道をしたような投資家に対して、どのような措置が可能なのかというような御質問に関しまして、西方が御説明したとおり、そういった事前届出をせずに行った投資につきましては無届けということになりまして、罰則の対象になります。そしてまた、株式売却を含む必要な措置を命ずることができるという制度になってございます。罰則につきましては、無届けについて言いますと、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれら両方を科すことが規定されております。こういった罰金または措置命令といった制度があるというところを抑止力としつつ、先ほど話にもありました事後のモニタリングをしっかりして、執行をきちんと保ってまいりたいというように考えております。

杉山先生から御質問のありました特定外国投資家につきまして、西方が申し上げましたとおり、複数の者が50%以上を有している場合も、その50%を保有されている企業は特定外国投資家になるということでございます。こちらは同じ国に対して義務を負っている者が複数合算して50%以上になる場合は、そういった企業は特定外国投資家となるというものでございます。

五十嵐先生から、「準ずる者」についてもそういった影響力、「準ずる者」が影響力を及ぼすような、支配しているようなところもとらまえるのかという御質問がありましたけれども、そういった「準ずる者」が影響力を及ぼしている者も「準ずる者」として捕捉できるような方向で考えているところでございます。

補足としては以上でございます。

○池田国際機構課長それでは私から、根本委員、木村委員、小枝委員などから頂きましたこれからのG20、G7、この枠組みに対する新しいアメリカ政権、これへの影響や日本の対応ということについて、お答えをさせていただきます。

まず1つ目ですが、トランプ政権による影響ということですけれども、これへの対応ということですが、当たり前のことだと思いますが、しっかり先方の打ち出す中身を見ていく、公表されるものはもちろんのことですけれども、刻々と変化していく状況ですとか、こういったことを意図も含めてしっかりと把握していく、そのために人を知るということだと思います。これから先方の財務省の人事その他、いろいろと決まっていくと思いますので、しっかりと人を知り、そして中身を知るということが大事だと思います。

その上で、2つ目ですけれども、それとの関係ですが、G7、G20の枠組みそのものと、その中で議論されるイシューは分けて考えたほうがいいかなというようには思っております。といいますのも、第1次トランプ政権のときに、G7、G20は当然やっていたわけですけれども、トランプ大統領、当時は2020年、コロナが最も大変だったときにG7議長をお務めでした。かつその前の年、その4年間ですね、大統領、それから当時のムニューシン財務長官を含めて、G7、G20の会議には参加されていましたし、また、ロシアの侵攻以降にG20において特にコミュニケの発出が難しくなったわけですけれども、そういったことも特に当時ございませんでした。したがって、もちろん中身によっていろいろ是々非々があると思いますけれども、そこはこれまでもどの国も変わらないわけでありますので、また、先ほどに戻ってまいりますけれども、それぞれの課題について先方がどのような意思と、どのような目的意識を持って、何を言っているのかということをしっかりと捉えながら、それぞれ個別に対応を考えていくのだろうというように思っております。

その際に、例えばドルを中心とした現状の国際金融システムですとか、あるいはインフレなき安定した成長というのは、これはアメリカファーストにおいても極めて重要なことでありますし、それを実現する上での国際協調というのももちろん大事ですし、IMF、あるいは世銀という機関がこれにおいて大事だということも大事ですので、恐らくアメリカの国益とグローバル益というものがこういうふうに重なっているということを、バイ、あるいはマルチの場でしっかりと対話を通して理解を共有していくということが大事なのかなというように思っております。

その上で、もう1つ、委員の皆様から御指摘のありました様々な他の枠組みの活用ということでございますけれども、こちらは御紹介を申し上げた日豪のバイだけではなく、日印ですとか、日英ですとか、こういった部分での財務省の次官級での定期対話の場はございますし、あるいは大臣級でもASEAN+3ですとか、あるいは昨年始めましたけれども、日本と島嶼国の大臣級の会合、それからクアッドですとか、こういった様々なプルリ、バイの枠組みがございます。こういったものをG7、G20と重層的に絡み合わせながら、日本としてどうやって国際公共財を分厚いものにしていくか、もって、日本にとって一番大事な安定した国際金融経済環境をどうやってつくっていくかということについて、様々なレバーを使って実現していくということがますます大事になってくるのかなというように思っております。

私からは以上です。

○木原開発政策課長続きまして、開発政策課長の木原です。資料1の開発のための新しい資金動員の資料につきまして、植田先生、玉木先生、佐藤(清)先生、小枝先生からコメントいただきました。御興味を持っていただきありがとうございます。

初めに植田先生の御質問にお答えをすると、現状ですとJICAは援助機関、JBICは日本企業裨益が基本的には前提のコマーシャルベースに乗る案件をやる機関というのが今の整理でございます。JICAとは、その中でもツールとしては、グラントだけで無償資金、研修をやってあげるような技術協力、あとは実際にお金を貸す、今回お話をさせていただいたのもそれに属しますけど、有償の支援をやるという、そういうアームを持っているということになるかと思います。

その上で、頂いた御質問に幾つかお答えをすると、今のセッティングにおいて、特に海外の事例を見たときに、JBICの検討の俎上に乗っていくようなコマーシャリー・バイアブルなものと伝統的な援助の世界でやっているものとの間には、やはりそれなりに開きがあって、その間の案件をどのように政府が関与してサポートしていけるのかということを少し考えられないかというのが今回の発想だというふうに思っています。

ただ、今までできていないのはそれなりに理由がありまして、そこはまさに玉木先生がおっしゃられたところでありますけれども、やはり金融資本の活用といってもリスクをどう評価するのかというところから始まって、なかなか難しい部分があります。そういう中で必ずしもうまくいっていない事例もある中で、今後新しい一歩を踏み出していくということになるわけですけれども、それに当たっては、まさに玉木先生おっしゃられたように、どうやって日本国内のスキルセットを回して、さらに強くしていくのか、これはやっていかなければいけないということだと思いますし、現にJICAとも相談をして、そういうことを進めたいというように思っています。また、進めていく上ではリスク管理をきちっとしていくとか、あるいはいきなりフルスケールで始めるのではなくて、ラーニング・バイ・ドゥーイングのような形で少しずつ始めていくと、こういうことをやらなければいけないのだと思います。ただ、直近、足元を見ていると、ほかの国の、まさに玉木先生おっしゃられたようにIFC、MIGAという世界は昔から存在するわけですけれども、ほかのバイの支援機関ですとか、あるいは新しくできた気候関連の基金なんかもこういう支援ツールをどんどんやってきているという事例はありますので、そういうものを参考にしながら、きちんと日本としても新しい政策ツールを確保していきたいと、そういうことかと思います。

そういう中で佐藤(清)先生から幾つか、数字についても御質問いただきましたけれども、まさに佐藤(清)先生の御理解のとおり、ここはあくまで公的資金によって動員した民間資金ということですので、そもそも民民で出ていったりとかというものまではキャプチャーされているわけではないと思います。なぜ日本が少ないのかという意味で申し上げますと、そこはやはりどうしても、なかなか個別の要因まで特定できては我々もいませんけれども、そもそも日本企業がどうやって外に出ていくのかというところに対しての関心がこれからもどのぐらい続いていくのか、その中でもどうしても欧米先進国中心になってくる中で、援助をやっている中ではどうやって新興国、途上国の成長の芽、そういうものを狙いに行くところのサポートができていくのかと。いろいろな統計があると思いますけれども、例えば対外直接投資の残高などを見ると、多分残高ベースでは全体で300兆円に近いような数字があると思いますけれども、その中でアフリカ向けは1兆円ぐらいだと思います。そういうところで政府としてどんなことができるのか、きちんとリスク管理は考えながらやっていきたいというふうに思っております。

以上です。

○氷海開発企画官開発企画官の氷海でございます。

植田先生、根本先生から気候変動、特に民間金融機関の動きということで御質問を頂きました。まさにこれは今動いている話と申しますか、ホットトピックというような形で、御指摘いただきましたGFANZ、グラスゴー金融同盟という気候変動対策に一緒に取り組もうという民間金融機関のアライアンスですけども、特にトランプ大統領当選以降、一部の金融機関がそこから脱退していくというような動きがあるということ自体は我々も承知しているところですけれども、私どももそういう意味では個々の、例えばエネルギー移行支援プロジェクトといったところでGFANZの方々とコミュニケーションをとらせていただくこともあり、その中で、もちろん当然のことながら、投資の判断というのは各個別の金融機関の御判断ではありますけども、幾つかの背景はあるのかなと感じております。1つは、まさに今回のトランプ大統領就任に伴うアメリカのパリ協定からの離脱ですとか、予想はもちろんしていたことではありますけども、我々も大統領令とか確認させていただいたところでは、パリ協定の離脱とともに、例えば今までの資金コミットメントを撤回するなど、厳しい内容になっているということと、もう1つ申し上げますと、これは木村先生からも御指摘いただいたかと思うのですが、欧州の政治状況もかなり不透明さがあると。欧州は御承知のとおりで、気候変動に対してもかなり高い目標を掲げて今まで引っ張ってきたという経緯がありますので、このあたりの動きが今後どういう形になるかというところもあるかと思っております。

そういう不透明さというのは、実際どこまでそれが厳しくといいますか、どのような形で具体化されていくのかというのが、我々も実は現状いまいち見えないというところがあります。そこを今後見極めていくというのは、これは金融機関の方々も同じなのかなとは思っております。

もう1つは、根本先生から御指摘いただいているところですけども、反トラストの動きとか、訴訟リスクというところもありますし、もう1つは気候変動対策支援を行っていく上で、現地の規制ですとか、ルールですとか、そういうのが抵触してなかなか進んでいかないというような面、このようなことも一部見られますので、我々もこれまでも幾つかのプロジェクトで各国政府と話し合うというところもあったわけですが、そのような改善に向けた動きを加速していく必要があるというところはあるのかなと思います。

いずれにしても状況をもう少し見定めつつ、特に日本の金融機関の場合には、先ほど申し上げました欧州とも若干違う状況と申しますか、例えばエネルギー移行の部分では、一足飛びでなく段階的に着実にやっていこうという意思を持って進めてきたと思いますし、そういう中で、足元が不透明という部分では難しい問題だとは思いますが、状況を見極めつつ、引き続きそれぞれのプロジェクトや他の日本の取組、先ほど申し上げたカーボンクレジットもそうですし、また、エネルギー移行支援ではAZEC、アジア・ゼロエミッション共同体という取り組み、これは我々が単独でやっているのではなく経産省や環境省など他の省庁も含めて政府一体となって行っている取り組みですが、これらを進めていく中で金融機関の方々ともいろいろとお話をさせていただき、推進していくということが重要かと考えております。

ありがとうございます。

○神作分科会長よろしいでしょうか。

それでは、ここで梶川審議官から御発言があるということで、よろしくお願いいたします。

○梶川審議官外為法の担当をしております審議官の梶川と申します。投資審査制度の関係で一部補足をさせていただければと思います。

植田先生から頂いた国家指導者とか、党とかという話なんですけども、現行法において事前届出免除制度が利用できない者の中に外国の政府機関とか、外国の政党その他の政治団体といったものも入っておりまして、そういったものに当てはまるのかということを今でも検討しないといけない訳ですけれども、具体的に運用において如何に端緒を把握するかというのが大事だということはおっしゃるとおりですので、事前届出や事後届出の様式をどうするかというところも含めて適切な執行のあり方を検討していきたいと思っております。

それから、国家指導者の場合ですけれども、1つの可能性としてですけれども、個人的に投資した場合でも、例えば法令自身が公民に義務をかけている場合には、そもそも国家指導者が個人として義務がかかっているんじゃないかとかということも含めて、特定外国投資家にはまる場合もあるでしょうし、仮にそうでない場合でも、準ずる者にはまるかどうか、先ほどの課長からの説明もあったように、そういう思考回路になるのかなというようには思っております。

制度の透明性の確保の話については、正にアニュアル・リポートの公刊開始という話がありますけれども、我々は個社のことを取り扱いますので、株価に影響したりとか、いろいろなことがあり得ますので、審査に係る開示については一定の慎重な検討が必要という点は指摘したいと思います。一方で、透明性の重要性というのは我々も認識していますので、そこはよく考えていきたいというように思っております。

玉木委員からありました対外投資についてでございますけれども、G7の中でいろいろ検討している中で、1つは実際にそれを執行できるのかという、要すれば第三国を経由して投資をしたりとか、いろいろなケースがある中で、そのお金自体を追っかけられるのかという話と、あと実際に対外投資、日本もいろいろな国にやっているわけですけれども、経済的な関係に鑑みて、それをやることの効果とか、先ほど話にありましたけれども、技術移転の、そこを防ぐ取組というのを今すごく強化してやっておりまして、経産省中心に具体的にリストを定めて、それについて移転しないようにということでやっていますので、まずはそういった取組に尽力していくということではないかと思っております。

五十嵐先生から御指摘のありましたガバメント・アクセスが認められているケースでございますけれども、今回の見直しの趣旨としては、法令等で情報収集義務が義務づけられているという主体は、まさに国有企業と同じように扱うべきではないかというところで考えておりまして、まずは我々としては政府に対して義務をかけられている点に着目して考えていきたいと思っております。

それから、指定業種の事業の継続的かつ安定的な実施を困難にする行為を行うことを目的とする対内直投を行う場合は事前届出免除は対象にならないと現行制度はなっているけれども、それは今回の見直しを経ても変わらないかということなんですが、それはおっしゃるとおりでございまして、まさに事前届出免除を認めた前提が成り立たないということで、そこは現行法で事前届出免除から外しておりますので、今回も同じであるということで、一部補足させていただきたいと思います。

○神作分科会長補足の御説明、どうもありがとうございました。

オンラインで御参加の五十嵐委員、手を挙げていただいているかと思いますが、御発言ございましたらどうぞ。

○五十嵐委員御説明及び質問に対する回答、大変参考になりました。ありがとうございました。

1点だけでございます。資料2の4ページの図表の中央の紫色の部分、「特定外国投資家に準ずる者」がコア業種を営む上場会社等に投資をする場合に関しましては、事前免除利用不可として黄色にするのではなく、更なる上乗せ基準を遵守すれば免除利用可とする、外為法は投資自由の原則に基づき必要最低限のときのみ調整するものなので、というスタンスは理解いたしました。

ただ、1点気になりますのは、今後の課題になるのかもしれませんが、コア業種を営む上場会社に対する投資に関する事前届出免除制度の在り方です。例えばエネルギー事業を営む上場会社の場合、昨今の地政学リスクでありますとか、米国における予見不可能の高まりであるとか、そういったところを考えますと、見直しの必要性について引き続き慎重に見ていく必要があるかなと思っております。

例えば、アクティビストのようなファンドにつきましては、日本の金商法に類するどこかの国の法律に基づきライセンスを得ておれば、基本的には外国金融機関に該当し、仮にコア業種を営む上場会社に対する投資であったとしても、4ページの図表の水色の左から2番目の縦列の下のほうにある「従来の上乗せ基準」すら課されない、しかも10%という上限もなく投資が自由にできてしまうという建て付けになっているかと思います。

投資自由の原則、最低限の調整というところはおっしゃるとおりなのですが、外為法が目的としている「国の安全等」に関わる範囲においては、最低限の何らかの措置をとるという建て付けと理解しております。国の安全等の定義なり解釈指針が特段明示されているわけではないという理解ではあるものの、実務上は、例えば我が国経済の円滑な運営、重要インフラの機能維持なども含まれるという理解でございますので、この辺りは引き続き慎重に見ていく必要がある、と考えております。

以上です。

○神作分科会長どうもありがとうございました。ただいまの五十嵐委員の御発言についてコメントございますか。どうぞ、西方課長。

○西方調査課長手短に、もし外国金融機関が準ずる者に当たる場合には、右側の紫のほうになるということで、その点だけお答えさせていただきます。

○五十嵐委員ありがとうございます。承知いたしました。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

ほかに御発言の御希望はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、土谷局長、お願いいたします。

○土谷局長ありがとうございました。様々な貴重な意見、承りました。

我々としては、今日は2点、議論だったと思います。外為法の関係につきましては、今日伺った意見も参考にしながら、これから我々、条文の形にいたしますので、それでパブリック・コメントに付すということで、また広く御意見を伺いながら、よりすばらしい制度にしていきたいと思ってございます。

本日の意見、一番重要なところはこの制度の趣旨でございます対外取引の自由を原則としつつ、国の安全等を守るため、必要最小限の規制をする、この外為法の制度に携わる省庁が多数ございますけれども、この精神を体現しているのが財務省だと思いますので、このバランスをどのような制度改正でありましても、しっかり守れるように役割を果たしていきたいと思ってございます。

あとは、いろいろ制度改正するわけですけれども、本日様々な御指摘がございました、結局執行ですね、これをどうしていくのかというのも同じぐらい大事な話でございます。特に行政当局にとりましては、引けを取らないぐらい大事な話でございますので、いろいろリソースの問題等ございますけれども、こちらのほうについても力を入れていきたいと思っております。

大きな国際金融の話につきましては、どこに行ってもトランプ大統領に関する話がございますけれども、池田課長がサマライズしてくれたと思いますけれども、我々そういうことも念頭に置きながら、もともと国際的な場という意味では、マルチの場だけではなく、バイ、あるいはさっきミニラテラル、プルリと言いますけれども、そういう場もつくりながら、外務省とも協力しながら、いろいろやってきましたので、そういう形でネットワークを張るということはございますけれども、あとは何より、外為法の話もそうですけれども、自分自身でできることをしっかりやると。それは強靱性を高める、いろいろな意味の強靱性がございますけれども、それがこれだけ不確定な世の中になっていくと、なおさら大事になってくるのかなというように思ってございます。

よく分からない世の中になっていくかもしれませんし、これまでの秩序自体も、ある種ルールですね、変わっていく可能性もございますので、そこはフレキシブルに、守るべきものはございますけれども、そこは柔軟にいろいろ対応を考えていく必要もあるのではないかというふうに思ってございます。

総論めいて恐縮ですけれども、感想でございます。ありがとうございました。

○神作分科会長どうもありがとうございました。

それでは、これまで本日の議事を終了させていただきたいと思います。議事録の作成につきましては私に御一任いただければ、ありがたく存じます。その際、発言部分を事前に御覧になりたい委員の方におかれましては、会合終了後にその旨を事務局に御連絡いただくということとさせていただきまして、御連絡いただきました委員の方には、議事録を案の段階で事務局より送付して見ていただきたいと考えております。その後、1週間程度の間に御意見がない場合には御了解を頂いたものとして取り扱わせていただきます。

最後に、次回の分科会についてでございますけれども、事務局とも御相談の上、御連絡を改めてさせていただきます。

本日は、長時間にわたり大変有益な、活発な議論を頂き、誠にありがとうございました。これで散会いたします。

午後4時35分閉会