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所得税法等の一部を改正する法律案要綱

 

消費税率の引上げに伴う対応、デフレ脱却と経済再生の実現、国際的な租税回避への効果的な対応等の観点から、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除制度の拡充、環境性能に優れた自動車に対する自動車重量税の軽減措置の見直し、揮発油税及び地方揮発油税の税率の変更、試験研究を行った場合の税額控除制度の見直し、個人の事業用資産についての相続税及び贈与税の納税猶予制度の創設、過大支払利子税制及び移転価格税制の見直し、納税環境の整備、租税特別措置の見直し等所要の措置を講ずることとし、次により所得税法等の一部を改正することとする。

一 所得税法の一部改正(第1条関係)

  • 1 居住者の仮想通貨につき事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年12月31日において有する仮想通貨の価額は、その者が仮想通貨について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかった場合等には、一定の方法により評価した金額)とするほか、仮想通貨を棚卸資産の範囲から除外することとする。(所得税法第2条、第48条の2関係)

  • 2 居住者が納付する森林環境税及び森林環境税に係る延滞金の額は、必要経費に算入しないこととする。(所得税法第45条関係)

  • 3 株式交換等に係る譲渡所得等の特例の対象となる株式に、株式交換完全親法人との間にその株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある法人の株式以外の資産が交付されない場合のその法人の株式を加えることとする。(所得税法第57条の4関係)

  • 4 居住者の配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書若しくは従たる給与についての扶養控除等申告書又は公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある者として給与等又は公的年金等に係る源泉徴収の規定の適用を受けている場合(当該配偶者が、その年分の所得税につき年末調整の適用を受けた者である場合又は確定申告書の提出をし、若しくは決定を受けた者である場合を除く。)には、その居住者は、確定申告において配偶者特別控除の適用を受けることができないこととする。(所得税法第83条の2関係)

  • (注)上記の改正は、平成32年分以後の所得税について適用する。(附則第5条関係)

  • 5 確定申告書の記載事項及び添付書類について、次の措置を講ずることとする。

    • (1) その年において支払を受けるべき給与等で年末調整の適用を受けたものを有する居住者が確定申告書を提出する場合には、当該確定申告書の記載事項のうち一定のものについては、一定の簡便な記載によることができる。(所得税法第120条、第122条、第125条、第127条関係)

    • (注)上記の改正は、平成31年分以後の確定申告書を平成31年4月1日以後に提出する場合について適用する。(附則第6条関係)

    • (2) 給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票については、確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際提示することを要しない。(所得税法第120条関係)

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に確定申告書を提出する場合について適用する。(附則第6条関係)

  • 6 遺産分割等があった場合の修正申告の特例について、遺留分制度の見直しに伴う所要の措置を講ずることとする。(所得税法第151条の6関係)

  • 7 集団投資信託の収益の分配に係る源泉徴収税額から控除することとされているその集団投資信託の信託財産について納付した所得税の額について、当該所得税の課せられた収益を分配するとしたならば当該収益の分配につき所得税を徴収されるべきこととなるものに対応する部分(収益調整金のみに対応する部分を除く。)の額に限ることとする。(所得税法第176条、第180条の2関係)

  • (注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払われる収益の分配について適用する。(附則第9条関係)

  • 8 給与所得者の扶養控除等申告書若しくは従たる給与についての扶養控除等申告書又は公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(以下「扶養控除等申告書等」という。)を提出した居住者(以下「対象居住者」という。)の当該扶養控除等申告書等に源泉控除対象配偶者である旨の記載がされた配偶者(以下「対象配偶者」という。)が、当該対象居住者を、当該対象配偶者の提出した扶養控除等申告書等に記載された源泉控除対象配偶者として給与等又は公的年金等に係る源泉徴収の規定の適用を受ける場合には、当該対象配偶者は当該対象居住者の提出した扶養控除等申告書等に源泉控除対象配偶者である旨の記載がされていないものとして、給与等又は公的年金等に係る源泉徴収の規定を適用するほか、所要の措置を講ずることとする。(所得税法第186条の2、第190条、第203条の4、別表第2~別表第4関係)

  • (注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払うべき給与等又は公的年金等について適用する。(附則第10条、第11条関係)

  • 9 公的年金等(公的年金等の受給者の扶養親族等申告書(以下「扶養親族等申告書」という。)の提出をすることができないものを除く。以下同じ。)の源泉徴収について、次の見直しを行うこととする。(所得税法第203条の3、第203条の6関係)

    • (1) 公的年金等の支払を受ける居住者で当該公的年金等について扶養親族等申告書を提出していないものに対し、当該公的年金等の支払者が支払う当該公的年金等について源泉徴収すべき税額は、当該公的年金等の金額から公的年金等控除及び基礎控除に対応する控除の月割額(その月割額が最低保障額に満たない場合には、最低保障額)に当該公的年金等の金額に係る月数を乗じて計算した金額を控除した残額に、5%の税率を乗じて計算する。

    • (2) 公的年金等の支払を受ける居住者が提出する扶養親族等申告書については、その者の押印に代えて、その者の自署によることができる。

    • (3) 扶養親族等申告書の記載事項から、同一生計配偶者又は扶養親族のうちに同居特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者がある場合のその人数を除外する。

    • (注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に支払うべき公的年金等について適用する。(附則第11条関係)

  • 10 存続都道府県中央会から組織変更をした農業協同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により引き続きその名称中に農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、所得税法別表第一に掲げる法人とみなすこととする。(所得税法附則第36条関係)

  • 11 その他所要の規定の整備を行うこととする。

二 法人税法の一部改正(第2条関係)

  • 1 残余財産の確定の日の属する事業年度に係る特別法人事業税の額は、その事業年度の損金の額に算入することとする。(法人税法第62条の5関係)

  • 2 特定公益法人等が普通法人に移行する場合の所得の金額の計算について、対象となる法人を特定公益法人等から公益法人等とした上、公益法人等が協同組合等に移行する場合についても対象とすることとする。(法人税法第64条の4関係)

  • 3 特定普通法人等が公益法人等に移行する場合に解散及び設立があったものとする措置等について、対象となる法人を特定普通法人等から普通法人又は協同組合等とすることとする。(法人税法第10条の3、第52条関係)

  • 4 仮想通貨の譲渡損益及び評価方法等について、次のとおり整備を行うこととする。(法人税法第2条、第61条、第61条の6、第61条の8関係)

    • (1) 法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益は、一定の場合を除き、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。

    • (2) 法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち活発な市場が存在する仮想通貨の評価額は時価法により評価した金額とし、その評価益又は評価損をその事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。

    • (3) 法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨信用取引は、事業年度末に決済したものとみなして計算した利益の額又は損失の額に相当する金額をその事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。

    • (4) 仮想通貨について、棚卸資産の範囲から除外するほか所要の整備を行う。

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用する。なお、同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、その有する仮想通貨及び未決済の仮想通貨信用取引につき確定した決算において評価益又は評価損を収益又は損失として経理していない場合等には、上記(2)及び(3)を適用しないことができる等の経過措置を講ずる。(附則第12条、第19条関係)

  • 5 新たに設立された内国法人である普通法人等が提出することとされている届出書等について、設立の時における貸借対照表等の添付を要しないこととする。(法人税法第148条、第149条関係)

  • 6 合併、分割及び株式交換に係る適格要件並びに被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益の計上を繰り延べる要件のうち、対価に関する要件について、対象となる合併等の対価に合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある法人の株式以外の資産が交付されない場合のその法人の株式を加えることとする。(法人税法第2条、第61条の2関係)

  • 7 法人が連結親法人又は連結親法人となる法人との間に完全支配関係を有することとなり、連結納税への加入時期の特例の適用を受ける場合に提出することとされている書類について、提出すべき法人を連結親法人又は連結親法人となる法人とすることとする。(法人税法第14条関係)

  • 8 連結子法人の本店等所在地に異動があった場合に提出することとされている届出書について、提出すべき法人をその連結子法人(現行:連結親法人)とした上、連結親法人の納税地の所轄税務署長への提出を要しないこととする。(法人税法第20条関係)

  • 9 役員給与の損金不算入制度における業績連動給与の手続に係る要件のうち報酬委員会における決定の手続について、次の見直しを行うこととする。(法人税法第34条関係)

    • (1) 業務執行役員が報酬委員会の委員でないこととの要件を除外する。

    • (2) 報酬委員会の委員の過半数が独立社外取締役であること及び報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が業績連動給与の決定に係る報酬委員会の決議に賛成していることとの要件を加える。

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に終了する手続に係る給与について適用する。なお、平成32年3月31日以前に終了する手続に係る給与については、現行の手続による業績連動給与の損金算入を認める経過措置を講ずる。(附則第17条関係)

  • 10 存続都道府県中央会から組織変更をした農業協同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により引き続きその名称中に農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、法人税法別表第二に掲げる法人とみなすこととする。(法人税法附則第19条の2関係)

  • 11 その他所要の規定の整備を行うこととする。

三 相続税法の一部改正(第3条関係)

  • 1 特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合には、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなすこととする。(相続税法第4条関係)

  • 2 相続人が支払うべき特別寄与料の額を、当該相続人に係る相続税の課税価格から控除することとする。(相続税法第13条、第21条の15関係)

  • 3 相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢を18歳未満(現行:20歳未満)に引き下げることとする。(相続税法第19条の3関係)

    • (注)上記の改正は、平成34年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用する。(附則第23条関係)

  • 4 相続時精算課税制度における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げることとする。(相続税法第21条の9関係)

    • (注)上記の改正は、平成34年4月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。(附則第23条関係)

  • 5 相続税における配偶者居住権等の評価額を次のとおりとすることとする。(相続税法第23条の2関係)

    • (1) 配偶者居住権

      建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-配偶者居住権の存続年数)/残存耐用年数×配偶者居住権の存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

    • (2) 配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」という。)

      建物の時価-配偶者居住権の価額

    • (3) 配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利

      土地等の時価-土地等の時価×配偶者居住権の存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

    • (4) 居住建物の敷地

      土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額

  • 6 上記1の事由が生じたため新たに相続税の申告義務が生じた者は、当該事由が生じたことを知った日から10月以内に相続税の申告書を提出しなければならないこととする。(相続税法第29条関係)

  • 7 更正の請求の特則等の対象に上記1の事由を加えるとともに、遺留分制度の見直しに伴う所要の措置を講ずることとする。(相続税法第31条、第32条、第35条関係)

四 地価税法の一部改正(第4条関係)

  • 1 遺留分制度の見直しに伴う所要の措置を講ずることとする。(地価税法第26条関係)

  • 2 その他所要の規定の整備を行うこととする。

五 登録免許税法の一部改正(第5条関係)

  • 1 配偶者居住権の設定の登記について、建物の価額に対し1,000分の2の税率により登録免許税を課税することとする。(登録免許税法第17条、別表第1関係)

  • 2 その他所要の規定の整備を行うこととする。

六 消費税法の一部改正(第6条関係)

  • 1 臨時販売場に係る届出制度を次のとおり創設することとする。(消費税法第8条関係)

    • (1) 7月以内の期間を定めた臨時販売場を設置しようとする事業者(既に輸出物品販売場の許可を受けている事業者に限る。)で下記(2)の承認を受けた者が、その設置日の前日までにその設置期間等を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その臨時販売場を輸出物品販売場とみなす。

    • (2) 上記(1)の適用を受けようとする事業者は、あらかじめその納税地を所轄する税務署長の承認を受けなければならないこととする。

    • (注1)上記の臨時販売場に係る届出制度の創設に伴い、外航クルーズ船が寄港する港湾における輸出物品販売場に係る届出制度を廃止する。

    • (注2)上記の改正は、平成31年7月1日から施行する。(附則第1条関係)

  • 2 金地金等の課税仕入れについて、次の見直しを行うこととする。(消費税法第30条関係)

    • (1) 金又は白金の地金の課税仕入れについて、当該課税仕入れの相手方の本人確認書類(住民票の写しその他のものをいう。)の保存を仕入税額控除の要件に加える。

    • (2) 事業者が行った課税仕入れに係る資産が消費税を納付しないで保税地域から引き取られた課税貨物に係るものである場合(当該事業者が、当該消費税が納付されていないことを知っていた場合に限る。)には、仕入税額控除制度を適用できないこととする。

    • (注)上記(1)の改正は平成31年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、上記(2)の改正は同年4月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、それぞれ適用する。(附則第25条関係)

  • 3 存続都道府県中央会から組織変更をした農業協同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により引き続きその名称中に農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、消費税法別表第三に掲げる法人とみなすこととする。(消費税法附則第19条の3関係)

  • 4 その他所要の規定の整備を行うこととする。

七 揮発油税法の一部改正(第7条関係)

  • 揮発油税の税率を1キロリットルにつき24,000円(現行:24,300円)に引き下げることとする。(揮発油税法第9条関係)

  • (注)上記の改正は、平成46年4月1日から施行する。(附則第1条関係)

八 地方揮発油税法の一部改正(第8条関係)

  • 1 地方揮発油税の税率を1キロリットルにつき4,700円(現行:4,400円)に引き上げることとする。(地方揮発油税法第4条関係)

  • (注)上記の改正は、平成46年4月1日から施行する。(附則第1条関係)

  • 2 その他所要の規定の整備を行うこととする。

九 印紙税法の一部改正(第9条関係)

  • 1 存続都道府県中央会から組織変更をした農業協同組合連合会のうち、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律附則の規定により引き続きその名称中に農業協同組合中央会という文字を用いることができるものについて、印紙税法別表第二に掲げる者とみなすこととする。(印紙税法附則第9条の2関係)

  • 2 その他所要の規定の整備を行うこととする。

十 国税通則法の一部改正(第10条関係)

  • 1 国税当局による情報照会の仕組みについて、次のとおり整備を行うこととする。

    • (1) 所轄国税局長が特定事業者等へ報告を求める措置について、次のとおり講ずる。(国税通則法第74条の7の2関係)

      • 1 所轄国税局長は、特定取引(電子情報処理組織を使用して行われる取引その他の取引のうちこの規定による処分によらなければこれらの取引を行う者を特定することが困難である取引をいう。以下同じ。)の相手方となり、又は特定取引の場を提供する事業者(特別の法律により設立された法人を含む。)又は官公署(以下「特定事業者等」という。)に、特定取引者(特定取引を行う者をいい、下記2イに該当する場合にあっては、1,000万円の課税標準を生じ得る取引金額を超える特定取引を行う者に限る。以下同じ。)の氏名又は名称、住所又は居所及び個人番号又は法人番号につき、特定取引者の範囲を定め、60日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して定める日までに、報告することを求めることができることとする。

      • 2 上記1の処分は、国税に関する調査について必要がある場合において、次のいずれかに該当するときに限り、することができることとする。

        • イ 特定取引者が行う特定取引と同種の取引を行う者に対する国税に関する過去の調査において、当該取引に係る課税標準が1,000万円を超える者のうち半数を超える数の者について、当該取引に係る課税標準等又は税額等につき更正決定等をすべきと認められている場合

        • ロ 特定取引者がその行う特定取引に係る物品又は役務を用いることにより課税標準等又は税額等について国税に関する法律の規定に違反する事実を生じさせることが推測される場合

        • ハ 特定取引者が行う特定取引の態様が経済的必要性の観点から通常の場合にはとられない不合理なものであることから、当該特定取引者が当該特定取引に係る課税標準等又は税額等について国税に関する法律の規定に違反する事実を生じさせることが推測される場合

      • 3 所轄国税局長は、上記1の処分をしようとする場合には、あらかじめ、国税庁長官の承認を受けなければならないこととする。

      • 4 上記1の処分は、所轄国税局長が、特定事業者等に対し、報告を求める事項等を書面で通知することにより行うこととする。

      • 5 所轄国税局長は、上記1の処分をするに当たっては、特定事業者等の事務負担に配慮しなければならないこととする。

    • (注)上記の改正は、平成32年1月1日以後に国税庁長官の承認を受けてする報告の求めについて適用する。(附則第27条関係)

    • (2) 国税庁等の当該職員は、事業者(特別の法律により設立された法人を含む。)に、国税に関する調査に関し参考となるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができることを法令上明確化する。(国税通則法第74条の12関係)

    • (注)上記の改正は、平成32年1月1日から施行する。(附則第1条関係)

  • 2 個人番号又は法人番号(以下「番号」という。)が付された証券口座に係る加入者の情報を税務上効率的に利用できる措置について、次のとおり講ずることとする。

    • (1) 口座管理機関は、当該口座管理機関の加入者の氏名又は名称及び住所又は居所その他社債等に関する事項を当該加入者の番号により検索することができる状態で管理しなければならないこととする。(国税通則法第74条の13の3関係)

    • (2) 振替機関は、当該振替機関又はその下位機関の加入者の氏名又は名称及び住所又は居所その他株式等に関する事項を当該加入者の番号により検索することができる状態で管理しなければならないこととするとともに、調書を提出すべき者(株式等の発行者又は口座管理機関に限る。)から当該加入者(当該株式等についての権利を有する者又は当該口座管理機関の加入者に限る。)の番号その他の事項の提供を求められたときは、これらの事項を提供するものとする。(国税通則法第74条の13の4関係)

    • (注)上記の改正は、平成32年4月1日から施行する。(附則第1条関係)

  • 3 その他所要の規定の整備を行うこととする。

十一 租税特別措置法の一部改正(第11条関係)

  • 1 個人所得課税

    • (1) 特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等の特例について、次の措置を講ずることとする。(租税特別措置法第29条の2関係)

      • 1 適用対象者の範囲に、中小企業等経営強化法に規定する認定新規中小企業者等が同法に規定する認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画に従って行う社外高度人材活用新事業分野開拓に従事する社外高度人材で、取締役及び使用人等以外の者(当該認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画の実施時期の開始等の日から新株予約権の行使の日まで引き続き居住者であること等の要件を満たす者に限る。以下「特定従事者」という。)を加える。

      • 2 特定従事者が本特例の適用を受けて取得をした株式を相続等により取得をした個人は、承継特例適用者に該当しないこととする。

      • 3 特定従事者が、本特例の適用を受けて取得をした株式の譲渡等をするまでに国外転出をする場合には、当該国外転出の時に、当該株式に係る新株予約権の行使の日における当該株式の価額に相当する金額等により当該株式の譲渡があったものとみなして、所得税を課する。

      • 4 その他所要の措置を講ずる。

    • (注)上記の改正は、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律の施行の日以後に行われる付与決議に基づき締結される契約により与えられる特定新株予約権に係る株式について適用する。(附則第33条関係)

    • (2) 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象に、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の規定により行われた裁定に係る裁定申請書に記載された事業を行う事業者に対する次に掲げる土地等の譲渡(当該裁定後に行われるものに限る。)で、当該譲渡に係る土地等が当該事業の用に供されるものを加えることとする。(租税特別措置法第31条の2関係)

      • 1 当該裁定申請書に記載された特定所有者不明土地又はその土地の上に存する権利

      • 2 当該裁定申請書に添付された事業計画書に係る計画に記載がされた特定所有者不明土地以外の土地又はその土地の上に存する権利(一定の事業に該当する場合におけるものを除く。)

    • (注)上記の改正は、平成31年6月1日以後に行う優良住宅地等のための譲渡に該当する譲渡について適用する。(附則第34条関係)

    • (3) 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する土地収用法の特例の規定に基づいて資産が収用され、補償金を取得する場合には、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等を適用することとする。(租税特別措置法第33条関係)

    • (注)上記の改正は、平成31年6月1日以後に資産が収用され、補償金を取得する場合について適用する。(附則第34条関係)

    • (4) 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除について、次の措置を講ずることとする。(租税特別措置法第34条、第65条の3、第68条の74関係)

      • 1 適用対象に、重要文化財、史跡、名勝又は天然記念物として指定された土地が文化財保護法に規定する文化財保存活用支援団体(一定のものに限る。)に買い取られる一定の場合を加える。

      • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に行う土地等の譲渡について適用する。(附則第34条、第55条、第72条関係)

      • 2 適用対象に、農業経営基盤強化促進法の農用地利用規程の特例の規定により定められた農用地利用規程に係る農用地利用改善事業の実施区域内にある農用地が、当該農用地の所有者等の申出に基づき農地中間管理機構(一定のものに限る。)に買い取られる場合を加える。

      • (注)上記の改正は、農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律の施行の日以後に行う土地等の譲渡について適用する。(附則第34条、第55条、第72条関係)

    • (5) 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の適用対象から、農用地区域内にある農用地が農業経営基盤強化促進法の協議に基づき農地利用集積円滑化団体に買い取られる場合を除外することとする。(租税特別措置法第34条の2、第65条の4、第68条の75関係)

    • (注)農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日前に行った土地等の譲渡については、なお従前の例による。(附則第34条、第55条、第72条関係)

    • (6) 居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除の特例について、適用対象となる被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の範囲に、被相続人の居住の用に供することができない一定の事由(以下「特定事由」という。)により相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかった場合(一定の要件を満たす場合に限る。)における当該特定事由により居住の用に供されなくなる直前に当該被相続人の居住の用に供されていた家屋及び当該家屋の敷地の用に供されていた土地等を追加するとともに、その適用期限を4年延長することとする。(租税特別措置法第35条関係)

    • (注)上記の改正は、個人が平成31年4月1日以後に行う対象譲渡について適用する。(附則第34条関係)

    • (7) 一般株式等の譲渡所得に係る収入金額とみなして課税する事由から、次に掲げるものを除外することとする。(租税特別措置法第37条の10関係)

      • 1 法人の株主等がその法人の合併により合併法人との間にその合併法人の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある法人の株式以外の資産が交付されない場合のその法人の合併

      • 2 法人の株主等がその法人の分割により分割承継法人との間にその分割承継法人の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある法人の株式以外の資産が交付されない場合のその法人の分割

    • (8) 特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等の適用対象となる特定株式の範囲から、内国法人のうち認可金融商品取引業協会の規則においてその事業の成長発展が見込まれるものとして指定を受けている株式を発行する等の要件を満たす株式会社により発行される株式を除外することとする。(旧租税特別措置法第37条の13関係)

    • (9) 特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等及び特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の適用対象となる沖縄振興特別措置法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第37条の13関係)

    • (10) 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置について、次の措置を講ずることとする。(租税特別措置法第37条の14関係)

      • 1 非課税口座を開設している居住者等が一時的な出国により居住者等に該当しないこととなる場合について、次の措置を講ずる。

        • イ 帰国をした後再び当該非課税口座において非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入れを行わせようとする居住者等で、これらの者に係る給与等の支払をする者からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して出国をするものが、その出国の日の前日までに、当該非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に、引き続き本措置の適用を受けようとする旨その他の事項を記載した届出書(以下「継続適用届出書」という。)の提出をした場合には、その者は、引き続き居住者等に該当する者とみなして、本措置を適用する。この場合において、当該継続適用届出書の提出をした者が出国をした日からその者に係る帰国届出書の提出があった日までの間に取得をした上場株式等は、当該非課税口座に設けられた非課税管理勘定又は累積投資勘定に受け入れることができないこととする。

        • ロ 継続適用届出書の提出をした者が帰国をした後再び非課税口座において非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入れを行わせようとする場合には、その者は、当該継続適用届出書の提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日までに、当該継続適用届出書の提出をした金融商品取引業者等の営業所の長に、帰国をした旨、帰国をした年月日、当該非課税口座において非課税上場株式等管理契約又は非課税累積投資契約に基づく上場株式等の受入れを行わせようとする旨その他の事項を記載した届出書(以下「帰国届出書」という。)の提出をしなければならないこととする。

        • ハ 継続適用届出書の提出をした者が当該提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日までに当該帰国届出書の提出をしなかった場合には、その者は同日に非課税口座廃止届出書を当該継続適用届出書の提出をした金融商品取引業者等の営業所の長に提出したものとみなす。

        • ニ 出国の日の属する年分の所得税につき、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用を受ける居住者は、継続適用届出書の提出をすることができないこととする。

      • 2 居住者等が非課税口座を開設することができる年齢要件をその年1月1日において18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。

    • (注1)上記1の改正は、平成31年4月1日以後に出国をする居住者等について適用する。(附則第37条関係)

    • (注2)上記2の改正は、平成35年1月1日以後に開設される非課税口座について適用する。(附則第37条関係)

    • (11) 未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置について、居住者等が未成年者口座の開設並びに非課税管理勘定及び継続管理勘定の設定をすることができる年齢要件をその年1月1日において18歳未満(現行:20歳未満)に引き下げることとする。(租税特別措置法第9条の9、第37条の14の2関係)

    • (注)上記の改正は、平成35年1月1日以後に開設される未成年者口座及び同日以後に設けられる非課税管理勘定について適用する。(附則第38条関係)

    • (12) 国等に対して重要文化財を譲渡した場合の譲渡所得の非課税措置の適用対象に、重要文化財を文化財保護法に規定する文化財保存活用支援団体(一定のものに限る。)に譲渡した一定の場合を加えることとする。(租税特別措置法第40条の2関係)

    • (注) 上記の改正は、平成31年4月1日以後に行う資産の譲渡について適用する。(附則第40条関係)

    • (13) 債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例について、債務処理計画が平成28年4月1日以後に策定されたものである場合において、同日前に株式会社地域経済活性化支援機構法の再生支援決定等の対象となった法人に該当しないものであることとの要件を満たすときは、その法人が金融機関から受けた事業資金の貸付けについてその貸付けに係る債務の弁済の負担を軽減するため平成28年3月31日までの間に条件の変更が行われていることとの要件を不要とした上、その適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第40条の3の2関係)

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に行う贈与について適用する。(附則第41条関係)

    • (14) 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、次の措置を講ずることとする。(租税特別措置法第41条、第41条の2、第41条の2の2関係)

      • 1 個人が、住宅の新築取得等(住宅の取得等又は認定住宅の新築等をいう。以下同じ。)で特別特定取得に該当するものをし、かつ、当該住宅の新築取得等をした家屋を平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、次に掲げる当該住宅の新築取得等をした家屋の区分に応じそれぞれ次に定める金額を適用年の11年目から13年目までの各年における住宅借入金等特別税額控除額として、本税額控除の適用ができる。

        • イ 一般の住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅以外の住宅) 次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額

          • (イ)特別特定住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)に1%を乗じて計算した金額

          • (ロ)当該住宅の取得等で特別特定取得に該当するものに係る対価の額又は費用の額から当該住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額(以下「消費税額等相当額」という。)を控除した残額として一定の金額(4,000万円を限度)に2%を乗じて計算した金額を3で除して計算した金額

        • ロ 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅 次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額

          • (イ)認定特別特定住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)に1%を乗じて計算した金額

          • (ロ)当該認定住宅の新築等で特別特定取得に該当するものに係る対価の額から当該認定住宅の新築等に係る対価の額に含まれる消費税額等相当額を控除した残額として一定の金額(5,000万円を限度)に2%を乗じて計算した金額を3で除して計算した金額

      • 2 特別特定取得とは、当該住宅の新築取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等相当額が、当該住宅の新築取得等に係る課税資産の譲渡等につき社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律第3条の規定による改正後の消費税法第29条に規定する税率により課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額の合計額に相当する額である場合における当該住宅の新築取得等をいう。

      • 3 二以上の住宅の新築取得等に係る住宅借入金等の金額を有する場合の控除額の計算の調整措置、年末調整に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、所要の措置を講ずる。

    • (15) 次の給付金等については、所得税を課さないこととする。(租税特別措置法第41条の8関係)

      • 1 児童扶養手当法による児童扶養手当の支給を受ける者等に対して給付される一定の給付金

      • 2 児童養護施設に入所している者等に対して都道府県等が行う金銭の貸付けに係る債務の免除を受けた場合の当該免除により受ける経済的な利益の価額

    • (16) 政治活動に関する寄附をした場合の寄附金控除の特例又は所得税額の特別控除の適用期限を5年延長することとする。(租税特別措置法第41条の18関係)

    • (17) 保険年金の保険金受取人等に係る更正の請求の特例を廃止することとする。(旧租税特別措置法第41条の20の2関係)

  • 2 法人課税

    • (1) 中小企業者等の法人税率の特例について、適用対象から普通法人のうち適用除外事業者に該当するものを除外した上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第42条の3の2、第68条の8関係)

    • (2) 試験研究を行った場合の特別税額控除制度について、次のとおり見直しを行うこととする。(租税特別措置法第10条、第42条の4、第68条の9関係)

      • 1 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度について、次のとおりとする。

        • イ 特別税額控除割合を次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める 割合(100分の10を上限とする。)とする。

          • (イ)増減試験研究費割合が100分の8を超える場合 100分の9.9に、その増減試験研究費割合から100分の8を控除した割合に0.3を乗じて計算した割合を加算した割合

          • (ロ)増減試験研究費割合が100分の8以下である場合 100分の9.9から、100分の8からその増減試験研究費割合を減算した割合に0.175を乗じて計算した割合を減算した割合(100分の6を下限とする。)

          • (ハ)当該事業年度が設立事業年度である場合又は比較試験研究費の額が零である場合 100分の8.5

        • ロ 次に掲げる要件を満たす一定の法人の特別税額控除の適用を受けることができる上限額を当期の法人税額の100分の40(現行:100分の25)相当額とする。

          • (イ)適用を受ける事業年度が法人の設立の日から同日以後10年を経過する日までの期間内の日を含む事業年度に該当すること。

          • (ロ)適用を受ける事業年度終了の時において純損失等の金額があること。

        • ハ 特別税額控除割合(上記イ及び下記ニ(イ))の上限を100分の14とする措置の適用期限を2年延長する。

        • ニ 試験研究費割合が100分の10を超える場合の措置について、次のとおり改組した上、その適用期限を2年延長する。

          • (イ)特別税額控除割合を、上記イ(イ)から(ハ)までにより算出した割合とその算出した割合に控除割増率(その試験研究費割合から100分の10を控除した割合に0.5 を乗じて計算した割合(100分の10を上限とする。)をいう。)を乗じて計算した割合とを合計した割合(100分の10を上限とする。)とする。

          • (ロ)特別税額控除の適用を受けることができる上限額に、当期の税額にその試験研究費割合から100分の10を控除した割合に2を乗じて計算した割合(100分の10を上限とする。)を乗じて計算した金額を上乗せする。

      • 2 中小企業技術基盤強化税制について、増減試験研究費割合が100分の5を超える場合の措置を増減試験研究費割合が100分の8を超える場合の措置に見直した上、その適用期限を2年延長する。また、上記1ニ(イ)と同様の措置を講ずる。

      • 3 特別試験研究費の額に係る特別税額控除制度について、次の見直しを行う。

        • イ 対象となる特別試験研究費の額のうち、委託研究に係る試験研究費の額の委託先を国の試験研究機関、大学その他の者(現行:国の試験研究機関、大学又は中小企業者)とする。

        • ロ 共同研究又は委託研究であって革新的なものに係る一定の試験研究費の額の特別税額控除割合を100分の25とする。

        • ハ 特別税額控除の適用を受けることができる上限額を当期の税額の100分の10(現行:100分の5)相当額に引き上げる。

      • 4 平均売上金額の100分の10相当額を超える試験研究費に係る特別税額控除制度を廃止する。

      • 5 設立事業年度から分割又は現物出資による設立の日を含む事業年度を除く。

    • (3) 中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度について、適用対象となる中小企業者を一定の中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)とした上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第10条の3、第42条の6、第68条の11関係)

    • (4) 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第10条の4、第42条の11の2、第68条の14の3関係)

      • 1 平成31年4月1日以後に地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の承認を受けた事業者がその承認地域経済牽引事業(地域の成長発展の基盤強化に著しく資する一定のものに限る。)の用に供した機械装置及び器具備品について、償却割合を100分の50(現行:100分の40)に、特別税額控除割合を100分の5(現行:100分の4)に、それぞれ引き上げる。

      • 2 一の特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械等の取得価額の合計額の上限を80億円(現行:100億円)に引き下げる。

    • (5) 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第10条の5の2、第42条の12の3、第68条の15の4関係)

      • 1 対象設備を、認定経営革新等支援機関等が資産の取得に係る計画の実施その他の取組が特定中小企業者等の経営の改善に特に資することについて確認をした旨の記載がある経営改善指導助言書類に記載されたものに限定する。

      • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に取得等をする経営改善設備について適用する。ただし、特定中小企業者等が、同日前に経営改善指導助言書類の交付を受け、同日から同年9月30日までの間にその経営改善指導助言書類に係る経営改善設備の取得等をする場合には、上記の確認をした旨の記載がある経営改善指導助言書類に係る経営改善設備とみなすこととする。(附則第31条、第51条、第68条関係)

      • 2 適用対象となる中小企業者を上記(3)の制度の中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)とする。

    • (6) 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度について、適用対象となる中小企業者を上記(3)の制度の中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)とした上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第10条の5の3、第42条の12の4、第68条の15の5関係)

    • (7) 船舶の特別償却制度について、対象となる外航船舶につき、特定先進船舶(海上運送法の認定先進船舶導入等計画(先進船舶の導入に関するものに限る。)に記載された先進船舶のうち環境への負荷の低減に著しく資する一定のものをいう。)を加えるとともに、償却割合を次のとおりとする。(租税特別措置法第11条、第43条、第68条の16関係)

      • 1 特定先進船舶

        • イ 日本船舶 100分の20

        • ロ 日本船舶以外のもの 100分の18

      • 2 特定先進船舶以外のもの

        • イ 日本船舶 100分の17(現行:100分の18)

        • ロ 日本船舶以外のもの 100分の15(現行:100分の16)

    • (8) 被災代替資産等の特別償却制度について、償却割合の上乗せ措置の対象となる中小企業者を上記(3)の制度の中小企業者とすることとする。(租税特別措置法第43条の3、第68条の18関係)

    • (9) 特定事業継続力強化設備等の特別償却制度の創設

      青色申告書を提出する事業者で中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)又はこれに準ずる一定の法人であるもののうち中小企業等経営強化法の認定を受けた同法の中小企業者に該当するもの(以下「特定中小企業者等」という。)が、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律の施行の日から平成33年3月31日までの間に、その認定に係る事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画(以下「認定事業継続力強化計画等」という。)に係る事業継続力強化設備等としてその認定事業継続力強化計画等に記載された機械装置及び器具備品並びに建物附属設備(一定の規模のものに限る。)の取得等をして、その特定中小企業者等の事業の用に供した場合には、その取得価額の100分の20相当額の特別償却ができることとする。(租税特別措置法第11条の4、第44条の2、第68条の20関係)

    • (10) 特定地域における工業用機械等の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第12条、第45条、第68条の27関係)

      • 1 半島振興対策実施地域に係る措置、離島振興対策実施地域に係る措置及び奄美群島に係る措置について、中小規模法人のうち適用除外事業者に該当するものにあっては、対象資産を新設又は増設により取得等をしたものに限定する。

      • 2  振興山村に係る措置について、適用対象から中小企業者のうち適用除外事業者に該当するものを除外する。

    • (11) 医療用機器の特別償却制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第12条の2、第45条の2、第68条の29関係)

      • 1 青色申告書を提出する事業者で医療保健業を営むものが、平成31年4月1日から平成33年3月31日までの間に、器具備品(医療用の機械装置を含む。)及びソフトウエア(一定の規模のものに限る。)のうち、医療従事者の勤務時間の短縮その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるために必要な一定のものの取得等をして、その事業者の営む医療保健業の用に供した場合には、その取得価額の100分の15相当額の特別償却ができる。

      • 2 青色申告書を提出する事業者で医療保健業を営むものが、平成31年4月1日から平成33年3月31日までの間に、医療法の医療計画に係る構想区域等内において、病院用又は診療所用の建物等のうちその構想区域等に係る協議の場における協議に基づく病床の機能の分化及び連携の推進に係る一定のものの取得等をして、その事業者の営む医療保健業の用に供した場合には、その取得価額の100分の8相当額の特別償却ができる。

    • (12) 特定都市再生建築物等の割増償却制度について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第14条、第47条の2、第68条の35関係)

      • 1 都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、都市再生緊急整備地域のうち特定都市再生緊急整備地域以外の地域内において行われる都市再生事業により整備される建築物の償却割合を100分の25(現行:100分の30)に引き下げる。

      • 2 雨水貯留利用施設に係る措置を除外する。

    • (13) 土地の譲渡等がある場合の特別税率の適用除外措置(優良住宅地等のための譲渡等に係る適用除外措置)の適用対象に、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の規定により行われた裁定に係る裁定申請書に記載された事業を行う事業者に対する次に掲げる土地等の譲渡(その裁定後に行われるものに限る。)で、その譲渡に係る土地等がその事業の用に供されるものを加えることとする。(租税特別措置法第62条の3、第68条の68関係)

      • 1 その裁定申請書に記載された特定所有者不明土地又はその土地の上に存する権利

      • 2 その裁定申請書に添付された事業計画書に係る計画に記載がされた特定所有者不明土地以外の土地又はその土地の上に存する権利(一定の事業に該当する場合におけるものを除く。)

    • (14) 投資法人に係る課税の特例について、他の法人の発行済株式の総数等の100分の50以上を有していないこととの要件につき、投資法人が匿名組合契約等に基づく出資をしている場合には、次の割合のいずれもが100分の50以上でないこととの要件とすることとする。(租税特別措置法第67条の15関係)

      • 1 投資法人が有している他の法人の株式の数等(匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者の事業であってその匿名組合契約等の目的である事業に係る財産である当該他の法人の株式の数等のうち、その匿名組合契約等に基づく出資の金額に対応する部分の数等として一定の方法により計算した数等を含む。)が当該他の法人の発行済株式の総数等のうちに占める割合

      • 2 投資法人の匿名組合契約等に基づく出資の金額がその金額及びその匿名組合契約等に基づいて出資を受けている者のその匿名組合契約等とその目的である事業を同じくする他の匿名組合契約等に基づいて受けている出資の金額の合計額のうちに占める割合

    • (15) 農業協同組合等の合併に係る課税の特例について、適用対象から全国の区域を地区とする農業協同組合連合会とその会員たる農業協同組合連合会との合併を除外した上、その適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第68条の2関係)

    • (16) 課税所得の範囲の変更等の場合の特例について、特定普通法人等が公益法人等に移行する場合に解散及び設立があったものとする措置の対象となる法人を特定普通法人等から普通法人又は協同組合等とすることとする。(租税特別措置法第68条の3の4関係)

    • (17) 探鉱準備金又は海外探鉱準備金制度の適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第22条、第58条、第68条の61関係)

    • (18) 次に掲げる租税特別措置の適用期限を2年延長することとする。

      • 1 沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の特別税額控除(租税特別措置法第42条の9、第68条の13関係)

      • 2 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却(租税特別措置法第44条、第68条の19関係)

      • 3 共同利用施設の特別償却(租税特別措置法第44条の3、第68条の24関係)

      • 4 事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却(租税特別措置法第13条の2、第46条の2、第68条の33関係)

      • 5 沖縄の認定法人の課税の特例(租税特別措置法第60条、第68条の63関係)

    • (19) 次に掲げる租税特別措置について、所要の経過措置を講じた上、廃止することとする。

      • 1 公害防止用設備の特別償却(旧租税特別措置法第11条、第43条、第68条の16関係)

      • 2 自動車教習用貨物自動車の特別償却(旧租税特別措置法第11条、第43条、第68条の16関係)

      • 3 新事業開拓事業者投資損失準備金(旧租税特別措置法第55条の2、第68条の43の2関係)

      • 4 中小企業等の貸倒引当金の特例における公益法人等又は協同組合等の繰入限度額に係る割増措置(旧租税特別措置法第57条の9、第68条の59関係)

      • 5 中小企業者の事業再生に伴い特定の組合財産に係る債務免除等がある場合の評価損益等の特例(旧租税特別措置法第67条の5の2、第68条の102の3関係)

  • 3 国際課税

    • (1) 振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権につき支払を受ける剰余金の配当及び償還差益については、平成34年3月31日までに発行されるものに限り、振替社債等の利子等の課税の特例における振替社債等に含めることとする。(租税特別措置法第5条の3関係)

    • (2) 平成32年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会に参加等をする非居住者及び外国法人に係る課税の特例を次のとおり創設することとする。(租税特別措置法第41条の23、第67条の16の2関係)

      • 1 平成32年に開催される東京オリンピック競技大会若しくは東京パラリンピック競技大会(以下1において「大会」という。)に参加をし、又は大会関連業務(大会の円滑な準備又は運営に関する業務をいう。以下同じ。)に係る勤務その他の人的役務の提供を行う一定の非居住者の一定の国内源泉所得(平成31年4月1日から平成32年12月31日までの間における当該参加又は当該提供に係るものに限る。)については、所得税を課さない。

      • 2 大会関連業務を行う一定の外国法人が支払を受ける一定の使用料(平成31年4月1日から平成32年12月31日までの間において行われる業務に係るものに限る。)については、当該使用料が当該外国法人の恒久的施設帰属所得に該当するものである場合には所得税の課税対象外とし、当該使用料が当該外国法人の恒久的施設帰属所得に該当するものでない場合には所得税を課さない。

      • 3 恒久的施設を有する外国法人のうち、大会関連業務を行う一定の外国法人の平成31年4月1日から平成32年12月31日までの間に開始する各事業年度の一定の恒久的施設帰属所得については、法人税を課さない。

      • 4 その他所要の措置を講ずる。

    • (3) 特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第42条の2、第67条の17関係)

      • 1 非課税の対象となる債券現先取引の範囲に、特定金融機関等(一定の金融機関等に限る。)との間で行われる次に掲げる債券に係る債券現先取引を加える。

        • イ 外国が発行し、又は保証する一定の債券

        • ロ 外国法人が発行する一定の債券(イに掲げる債券を除く。)

      • 2 外国投資信託の受託者である特定外国法人が当該外国投資信託の信託財産につき支払を受ける債券現先取引に係る利子については、当該外国投資信託が適格外国証券投資信託である場合に限り、本非課税措置を適用する。

      • 3 その他所要の措置を講ずる。

    • (注)上記の改正は、特定外国法人が、平成31年4月1日以後に開始する振替国債等に係る特定債券現先取引につき支払を受ける利子等について適用する。(附則第47条、第60条関係)

    • (4) 国外関連者との取引に係る課税の特例等について、次の見直しを行うこととする。

      • 1 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置の導入等(租税特別措置法第66条の4、第68条の88関係)

        • イ 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置

          法人が国外関連者との間で行った特定無形資産国外関連取引(国外関連取引のうち、特定無形資産(国外関連取引を行った時において評価することが困難な無形資産をいう。ロにおいて同じ。)の譲渡等をいう。以下同じ。)について、当該特定無形資産国外関連取引の対価の額を算定するための前提となった事項(当該特定無形資産国外関連取引を行った時に当該法人が予測したものに限る。ロにおいて同じ。)についてその内容と相違する事実が判明した場合には、税務署長は、当該特定無形資産国外関連取引の内容及び当該特定無形資産国外関連取引の当事者が果たす機能その他の事情(当該相違する事実及びその相違することとなった事由の発生の可能性を含む。)を勘案して、当該特定無形資産国外関連取引が独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って行われるとした場合に当該特定無形資産国外関連取引につき支払われるべき対価の額を算定するための最も適切な方法により算定した金額を独立企業間価格とみなして、当該法人の当該事業年度の所得の金額又は欠損金額につき更正又は決定をすることができる。ただし、当該特定無形資産国外関連取引の対価の額と独立企業間価格とみなされる金額とが著しく相違しない一定の場合に該当するときは、この限りでない。

        • ロ 特定無形資産国外関連取引に係る価格調整措置に係る適用免除

          税務職員が次の(イ)又は(ロ)に掲げる場合に該当することを明らかにする書類の提出等を求めた場合において、その提出等を求めた日から60日(その求めた書類が同時文書化対象国外関連取引に係る一定の書類に該当する場合には、45日)を超えない一定の日までにその書類の提出等があるときは、本措置は適用しない。

          • (イ)法人が特定無形資産国外関連取引に係る次に掲げる事項の全てを記載した書類を作成し、又は取得している場合

            • a 特定無形資産国外関連取引の対価の額を算定するための前提となった事項

            • b 特定無形資産国外関連取引の対価の額を算定するための前提となった事項についてその内容と相違する事実が判明した場合におけるその相違することとなった事由(以下「相違事由」という。)が災害その他これに類するものであるために当該特定無形資産国外関連取引を行った時にその発生を予測することが困難であったこと、又は相違事由の発生の可能性を勘案して当該特定無形資産国外関連取引の対価の額を算定していたこと。

          • (ロ)特定無形資産国外関連取引に係る判定期間(非関連者から受ける特定無形資産の使用等による収入が最初に生じた日を含む事業年度開始の日から5年を経過する日までの期間をいう。ロにおいて同じ。)に当該特定無形資産の使用等により生ずることが予測された利益の額と当該判定期間に当該特定無形資産の使用等により生じた利益の額とが著しく相違しない場合

        • ただし、上記(ロ)に掲げる場合に該当するときは、判定期間を経過する日後において、本措置は適用しない。

        • ハ 更正期間等の延長

          国外関連者との取引に係る課税の特例に係る法人税の更正をすることができる期間及び更正の請求をすることができる期間を7年(現行:6年)に延長する。

        • ニ その他所要の措置を講ずる。

      • (注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用する。(附則第56条、第73条関係)

      • 2 外国法人等の内部取引に係る課税の特例及び内国法人等の国外所得金額の計算の特例について、上記1と同様の見直しを行う。(租税特別措置法第40条の3の3、第41条の19の5、第66条の4の3、第67条の18、第68条の107の2関係)

      • (注)上記の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税及び平成33年分以後の所得税について適用する。(附則第42条、第45条、第56条、第61条、第77条関係)

    • (5) 関連者等に係る純支払利子等の課税の特例について、次の見直しを行うこととする。(租税特別措置法第66条の5の2、第66条の5の3、第68条の89の2、第68条の89の3関係)

      • 1 対象となる純支払利子等の額

        その事業年度における対象支払利子等の額(支払利子等の額のうち対象外支払利子等の額以外の金額をいう。以下同じ。)の合計額からこれに対応するものとして計算した受取利子等の額の合計額(以下「控除対象受取利子等合計額」という。)を控除した残額(以下「対象純支払利子等の額」という。)を本特例の対象とする。

      • 2 対象外支払利子等の額

        上記1の「対象外支払利子等の額」は、次に掲げる支払利子等の区分に応じそれぞれ次に定める金額とする。

        • イ 支払利子等を受ける者において我が国の課税所得に含まれる支払利子等(ニに掲げる支払利子等を除く。イにおいて同じ。) 当該課税所得に含まれる支払利子等の額

        • ロ 一定の公共法人に対する支払利子等(ニに掲げる支払利子等を除く。ロにおいて同じ。) 当該公共法人に対する支払利子等の額

        • ハ 特定債券現先取引等に係る支払利子等(ロ及びニに掲げる支払利子等を除く。ハにおいて同じ。) 当該特定債券現先取引等に係る支払利子等の額のうち一定の金額

        • ニ 法人が発行した債券(その取得をした者が実質的に多数でないものを除く。)に係る支払利子等で非関連者に対するもの(以下「特定債券利子等」という。) 債券の銘柄ごとに次に掲げるいずれかの金額

          • (イ)その支払若しくは交付の時に源泉徴収が行われ、又はその特定債券利子等を受ける者において我が国の課税所得に含まれる特定債券利子等の額と一定の公共法人に対する特定債券利子等の額との合計額

          • (ロ)(イ)に掲げる金額に相当する金額として計算した金額

      • 3 損金不算入額

        その事業年度における対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%(現行:50%)に相当する金額を超える場合には、その超える部分の金額に相当する金額は、損金の額に算入しない。

      • 4 適用免除基準

        次のいずれかに該当する場合には、本特例を適用しない。

        • イ その事業年度における対象純支払利子等の額が2,000万円以下(現行:1,000万円以下)であること。

        • ロ 内国法人及び当該内国法人との間に発行済株式等の50%超を直接又は間接に保有する等の関係のある一定の内国法人のその事業年度における(イ)に掲げる金額が(ロ)に掲げる金額の20%に相当する金額を超えないこと。

          • (イ)対象純支払利子等の額の合計額から対象純受取利子等の額(控除対象受取利子等合計額から対象支払利子等の額の合計額を控除した残額をいう。)の合計額を控除した残額

          • (ロ)(イ)に掲げる金額と比較するための基準すべき所得の金額として計算した金額

      • 5 超過利子額の損金算入

        • イ その事業年度における対象純支払利子等の額が調整所得金額の20%(現行:50%)に相当する金額に満たない場合において、前7年以内に開始した事業年度に本特例の適用により損金不算入とされた金額(以下「超過利子額」という。)があるときは、その対象純支払利子等の額と調整所得金額の20%(現行:50%)に相当する金額との差額を限度として、当該超過利子額に相当する金額を損金の額に算入する。 

        • ロ 上記イの損金算入について、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書(現行:確定申告書等)に損金の額に算入される金額等を記載した書類の添付がある場合に限り、適用を受けることができることとする等の見直しを行う。

      • 6 その他所要の措置を講ずる。

      • 7 連結法人の関連者等に係る純支払利子等の課税の特例について、上記4ロを除き、上記と同様の見直しを行う。

    • (注1)上記(5ロを除く。)の改正は、平成32年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用する。(附則第57条、第74条関係)

    • (注2)上記5ロの改正は、平成32年4月1日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税について適用する。(附則第57条、第74条関係)

    • (6) 内国法人等の外国関係会社に係る所得等の課税の特例について、次の見直しを行うこととする。(租税特別措置法第40条の4、第40条の5、第40条の7、第40条の8、第66条の6~第66条の8、第66条の9の2~第66条の9の4、第68条の90~第68条の92、第68条の93の2~第68条の93の4関係)

      • 1 特定外国関係会社(固定施設を有しておらず、かつ、事業の管理、支配及び運営を自ら行っていないものに限る。)の範囲から次の外国関係会社を除外する。

        • イ 外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その収入金額のうちに占める当該株式等に係る剰余金の配当等の額の割合が著しく高いこと等の一定の要件に該当するもの

        • ロ 特定子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営が行われていること、当該管理支配会社がその本店所在地国で行う事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしていること、その収入金額のうちに占める当該株式等に係る剰余金の配当等の額及び当該株式等の譲渡に係る対価の額の割合が著しく高いこと等の一定の要件に該当するもの

        • ハ その本店所在地国にある不動産の保有、その本店所在地国における石油その他の天然資源の探鉱、開発若しくは採取又はその本店所在地国の社会資本の整備に関する事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしている外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営が行われていること等の一定の要件に該当するもの

      • 2 特定外国関係会社の範囲に次のいずれにも該当する外国関係会社を加える。

        • イ 各事業年度の非関連者等収入保険料の合計額の収入保険料の合計額に対する割合が10%未満であること。

        • ロ 各事業年度の非関連者等支払再保険料合計額の関連者等収入保険料の合計額に対する割合が50%未満であること。

      • 3 イに掲げる金額からロに掲げる金額を減算した金額について、部分対象外国関係会社(外国金融子会社等に該当するものを除く。)に係る部分合算課税の対象となる特定所得の金額に加える。

        • イ 収入保険料の合計額から支払った再保険料の合計額を控除した残額

        • ロ 支払保険金の額の合計額から収入した再保険金の額の合計額を控除した残額

      • 4 内国法人が合算課税の対象となった外国法人等から受ける剰余金の配当等に係る二重課税調整について、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書(現行:確定申告書等)に益金の額に算入されない剰余金の配当等の額等を記載した書類の添付がある場合に限り、適用を受けることができることとする等の見直しを行う。

      • 5 特殊関係株主等である内国法人等に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例について所要の改正を行う。

      • 6 その他所要の措置を講ずる。

    • (注1)上記1の改正は、内国法人等の平成31年4月1日以後に終了する事業年度等に係る課税対象金額等(外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度に係る適用対象金額、部分適用対象金額及び金融子会社等部分適用対象金額に係るものに限る。)について適用する。(附則第43条、第58条、第75条関係)

    • (注2)上記2及び3の改正は、外国関係会社の平成31年4月1日以後に開始する事業年度に係る適用対象金額、部分適用対象金額及び金融子会社等部分適用対象金額について適用する。(附則第43条、第58条、第75条関係)

    • (注3)上記4の改正は、平成31年4月1日以後に確定申告書等の提出期限が到来する法人税について適用する。(附則第58条、第75条関係)

    • (7) 合併等に係る適格要件及び被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益の計上を繰り延べる要件の改正に伴い、次の措置を講ずることとする。(租税特別措置法第37条の14の3、第37条の14の4、第68条の2の3、第68条の3、第68条の109の2関係)

      • 1 企業グループ内の一定の内国法人間で行われる合併等のうち、合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人(特定軽課税外国法人又は特定軽課税外国法人の親法人である外国法人に限る。)の株式を対価とするものは、適格要件を満たさない。

      • 2 個人又は法人が、適格合併等に該当しない合併等により合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人(特定軽課税外国法人又は特定軽課税外国法人の親法人である外国法人に限る。)の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡損益を計上する。

      • 3 非居住者株主が合併等により合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡損益を計上する。

  • 4 資産課税

    • (1) 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直しを行うこととする。(租税特別措置法第69条の4関係)

      • 1 特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等(一定の規模以上の事業を行っていた被相続人等の当該事業の用に供されたものを除く。)を除外する。

      • 2 被相続人が個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予制度に係る贈与をしていた場合又は被相続人から相続若しくは遺贈により財産を取得した者が個人の事業用資産についての相続税の納税猶予制度の適用を受ける場合には、当該被相続人に係る特定事業用宅地等については、本特例の適用を受けることができない。

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に相続又は遺贈により取得する宅地等に係る相続税について適用する。ただし、同日前から事業の用に供されている宅地等については、上記1の改正は適用しないこととする。(附則第79条関係)

    • (2) 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第70条の2の2関係)

      • 1 信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、当該信託等により取得した信託受益権等については、本措置の適用を受けることができない。

      • 2 信託等をした日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合(その死亡の日において次のいずれかに該当する場合を除く。)において、受贈者が当該贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等について本措置の適用を受けたことがあるときは、その死亡の日における管理残額を、当該受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなす。

        • イ 当該受贈者が23歳未満である場合

        • ロ 当該受贈者が学校等に在学している場合

        • ハ 当該受贈者が雇用保険法に規定する教育訓練を受けている場合

      • 3 教育資金管理契約の終了事由について、受贈者が30歳に達した場合においても、その達した日において上記2ロ又はハのいずれかに該当するときは教育資金管理契約は終了しないものとし、その達した日の翌日以後については、その年において上記2ロ又はハのいずれかに該当する期間がなかった場合におけるその年12月31日又は当該受贈者が40歳に達する日のいずれか早い日に教育資金管理契約が終了するものとする。

    • (注)上記1及び2の改正は平成31年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権等に係る贈与税について適用し、上記3の改正は同年7月1日から適用する。(附則第79条関係)

    • (3) 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、当該信託等により取得した信託受益権等については本措置の適用を受けることができないこととした上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第70条の2の3関係)

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権等に係る贈与税について適用する。(附則第79条関係)

    • (4) 次に掲げる制度における受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げることとする。(租税特別措置法第70条の2の5、第70条の2の6、第70条の2の8、第70条の7、第70条の7の5関係)

      • 1 直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例

      • 2 相続時精算課税適用者の特例

      • 3 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度

    • (注)上記の改正は、平成34年4月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税について適用する。(附則第79条関係)

    • (5) 特例受贈事業用資産を贈与により取得した特例事業受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人以外の者(その年1月1日において20歳以上(平成34年4月1日以後は、18歳以上)である者に限る。)であり、かつ、その贈与者がその年1月1日において60歳以上の者である場合には、相続時精算課税の適用を受けることができることとする。(租税特別措置法第70条の2の7関係)

    • (6) 農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予を適用している場合の特定貸付けの特例について、特定貸付けの範囲から農地利用集積円滑化事業のための貸付けを除外することとする。(租税特別措置法第70条の4の2、第70条の6の2関係)

    • (7) 個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予制度を次のとおり創設することとする。(租税特別措置法第70条の6の8~第70条の6の10関係)

      • 1 贈与税の納税猶予

        特定事業用資産を有していた者が特例事業受贈者に当該特定事業用資産の全ての贈与(平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間の贈与で、最初の本制度の適用に係る贈与及び当該贈与の日から1年以内の贈与に限る。)をした場合には、担保の提供を条件に、当該特例事業受贈者が納付すべき贈与税額のうち、特例受贈事業用資産の課税価格(贈与とともに事業に係る債務を引き受けた場合には、特例受贈事業用資産の価額から当該債務の金額を控除した額)に対応する贈与税の納税を猶予する。

      • 2 猶予税額の免除

        • イ 次に掲げる場合には、猶予税額の全額を免除する。

          • (イ)特例事業受贈者又は贈与者が死亡した場合

          • (ロ)贈与税の申告期限から5年経過後に、次の後継者へ特例受贈事業用資産を贈与し、当該後継者が当該特例受贈事業用資産について本制度の適用を受ける場合

          • (ハ)一定のやむを得ない理由が生じたため特例事業受贈者が事業を継続することができなくなった場合

        • ロ 次に掲げる場合には、猶予税額の一部を免除する。

          • (イ)特別関係者以外の者に対し特例受贈事業用資産を一括して譲渡等する場合

          • (ロ)民事再生計画の認可決定等があった場合

          • (ハ)特例事業受贈者の事業の継続が困難な一定の事由が生じた場合において、特例受贈事業用資産の全部の譲渡等をしたとき又は特例受贈事業用資産に係る事業の廃止をしたとき

      • 3 猶予税額の納付

        • イ 特例事業受贈者が特例受贈事業用資産に係る事業を廃止した場合等には、猶予税額の全額を納付する。

        • ロ 特例事業受贈者が特例受贈事業用資産の譲渡等をした場合には、その譲渡等をした部分に対応する猶予税額を納付する。

      • (注)上記3により、猶予税額の全部又は一部を納付する場合には、その納付税額について贈与税の申告期限からの利子税を併せて納付する。

      • 4 その他

        • イ 特例事業受贈者は、贈与税の申告期限において、青色申告の承認を受けていなければならない。

        • ロ 特例事業受贈者は、贈与税の申告期限から3年毎に、継続届出書を税務署長に提出しなければならない。

        • ハ 特例事業受贈者が贈与税の申告期限から5年経過後に特例受贈事業用資産の全てを現物出資し、会社を設立した場合には、納税猶予を継続する。

        • ニ その他所要の措置を講ずる。

    • (注1)相続税の納税猶予制度についても同様とする。なお、被相続人から相続又は遺贈により特定事業用宅地等を取得した者が小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受ける場合には、相続税の納税猶予制度の適用を受けることができない。

    • (注2)上記の改正は、平成31年1月1日以後に贈与又は相続若しくは遺贈により取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用する。(附則第79条関係)

    • (8) 次に掲げる租税特別措置の適用期限を2年延長することとする。

      • 1 土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第72条関係)

      • 2 利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第77条関係)

      • 3 信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第78条関係)

      • 4 農業競争力強化支援法に規定する認定事業再編計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第80条関係)

      • 5 認定民間都市再生事業計画に基づき建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第83条関係)

      • 6 特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第83条の2の2関係)

      • 7 特例事業者等が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第83条の3関係)

    • (9) 次に掲げる租税特別措置の適用期限を3年延長することとする。

      • 1 金融機能の強化のための特別措置に関する法律に規定する経営強化計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第80条の2関係)

      • 2 特定の社債的受益権に係る特定目的信託の終了に伴い信託財産を買い戻した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置(租税特別措置法第83条の4関係)

      • 3 特定の学資としての資金の貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置(租税特別措置法第91条の3関係)

  • 5 消費課税

    • (1) 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置について、平成31年10月1日以後の特例税率を、ウイスキー及びブランデーについては1キロリットルにつき800,000円(現行:600,000円)に、スピリッツについては1キロリットルにつき500,000円(現行:400,000円)に、リキュールについては1キロリットルにつき400,000円(現行:300,000円)に、それぞれ引き上げることとする。(租税特別措置法第87条の3関係)

    • (2) 入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長した上、平成31年10月1日以後の特例税率を1,000本につき12,500円(現行:12,000円)に引き上げることとする。(租税特別措置法第88条の2関係)

    • (3) 揮発油税の特例税率を1キロリットルにつき48,300円(現行:48,600円)に引き下げ、地方揮発油税の特例税率を1キロリットルにつき5,500円(現行:5,200円)に引き上げることとする。(租税特別措置法第88条の8関係)

    • (注)上記の改正は、平成46年4月1日から施行する。(附則第1条関係)

    • (4) 沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の適用対象に、下地島と沖縄県以外の本邦の地域(離島振興法に規定する離島振興対策実施地域に含まれる離島等を除く。)との間を航行する航空機を加えることとする。(租税特別措置法第90条の8の2関係)

    • (5) 自動車重量税の免税等の特例措置について、燃費性能に関する要件の見直し等を行った上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第90条の12関係)

    • (6) 公共交通移動等円滑化基準に適合した乗合自動車等に係る自動車重量税の免税措置の適用対象に、一般貸切旅客自動車運送事業者がその事業の用に供するノンステップバス及びリフト付きバスを加えることとする。(租税特別措置法第90条の13関係)

  • 6 その他

    特別還付金の支給制度を廃止することとする。(旧租税特別措置法第97条の2関係)

  • 7 その他所要の税制の整備を行うこととする。

十二 外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律の一部改正(第12条関係)

  • 1 金融口座情報の自動的な提供のための報告制度を次のとおり整備することとする。(外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律第41条の2、第47条関係)

    • (1) 報告金融機関等は、その年の12月31日において、当該報告金融機関等との間でその営業所等を通じて特定取引を行った者が報告対象契約を締結している場合には、その報告対象契約ごとに、特定対象者の氏名又は名称、住所又は本店等の所在地及び特定居住地国、当該報告対象契約に係る資産の価額、当該資産の運用、保有又は譲渡による収入金額その他一定の事項(以下「報告事項」という。)を、その年の翌年4月30日までに、電子情報処理組織を使用する方法又は光ディスク等の記録用の媒体を提出する方法により、当該報告金融機関等の本店等の所在地の所轄税務署長に提供しなければならない。

    • (2) 税務職員は、報告事項の提供に関する調査について必要があるときは、当該報告事項の提供をする義務がある者に質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めることができる。

    • (3) 報告事項の提供義務に対する違反行為等について所要の罰則を規定する。

    • (4) その他所要の措置を講ずる。

    • (注)上記(3)の改正は、平成31年4月1日以後にした違反行為について適用する。(附則第115条関係)

  • 2 その他所要の規定の整備を行うこととする。

十三 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の一部改正(第13条関係)

  • 1 配当等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例等について、次の措置を講ずることとする。(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律第3条、第3条の2、第3条の3、第4条、第6条の2関係)

    • (1) 相手国居住者等配当等について、その対象となる所得の範囲に譲渡収益(資産の譲渡により生ずる収益で所得税法の施行地にその源泉があるものをいい、配当等に含まれるものを除く。)を加えた上、その範囲は相手国居住者等に係る相手国等との間の租税条約の規定において当該相手国居住者等の所得として取り扱われる範囲とする。

    • (2) 配当等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例等の適用対象となる相手国団体配当等、第三国団体配当等、特定配当等その他の一定の所得の範囲について所要の改正を行う。

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に相手国居住者等が支払を受けるべき相手国居住者等配当等について適用する。(附則第85条関係)

  • 2 相手国等の相手国等転出時課税の規定の適用を受けた居住者が、当該適用に係る資産等の譲渡等をした場合において、当該相手国等との間の租税条約の規定において当該譲渡等による所得について課する所得税の課税標準又は所得税の額の計算に当たって当該適用を受けたことを考慮するものとされているときは、当該資産等については外国転出時課税の規定の適用を受けた場合の譲渡所得等の特例における外国転出時課税の規定の適用を受けた有価証券等とみなして、所得税法その他所得税に関する法令の規定を適用することとする。(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律第5条の2関係)

  • (注)上記の改正は、居住者が平成31年4月1日以後に譲渡等をする資産等について適用する。(附則第85条関係)

  • 3 その他所要の規定の整備を行うこととする。

十四 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律の一部改正(第14条関係)

  • 1 新たに業務を開始した個人について、その業務の開始の日以後2月を経過する日までに電磁的記録による保存等の承認の申請書を提出することができることとする。(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第6条関係)

  • (注)上記の改正は、平成31年9月30日以後に提出する申請書について適用する。(附則第86条関係)

  • 2 その他所要の規定の整備を行うこととする。

十五 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部改正(第15条関係)

  • 1 個人所得課税

    • (1) 東日本大震災復興特別区域法に規定する特定地方公共団体との間に完全支配関係がある内国法人が発行する振替社債等のうち利益連動債(地方公共団体が債務保証をしないものに限る。)に該当するものに係る利子等の非課税措置は、適用期限の到来をもって廃止することとする。(旧東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第10条関係)

    • (2) 一定の避難解除区域等内にある土地等が、帰還環境整備推進法人(一定のものに限る。)が行う帰還環境整備事業計画に記載された特定公益的施設又は特定公共施設のうち一定のものの整備に関する事業の用に供するために買い取られる場合には、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除を適用することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第11条の6、第18条の10、第26条の10関係)

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に行う土地等の譲渡について適用する。(附則第90条、第95条、第98条関係)

    • (3) 帰還環境整備推進法人(一定のものに限る。)に対し一定の避難解除区域等内にある土地等の譲渡をした場合において、当該譲渡に係る土地等が当該帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された適正な形状、面積等を備えた一団の土地とするための一定の事業の用に供されるものであるときは、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を適用することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第11条の6関係)

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に行う土地等の譲渡について適用する。(附則第90条関係)

    • (4) 被災居住用財産に係る譲渡期限の延長等の特例の適用対象に、その有する家屋でその居住の用に供していたものが警戒区域設定指示等が行われた日において当該警戒区域設定指示等の対象区域内に所在し、当該警戒区域設定指示等が行われたことによって居住の用に供することができなくなった個人が、当該居住の用に供することができなくなった家屋又は当該家屋及び当該家屋の敷地の用に供されている土地等の譲渡をした場合等を加えるとともに、譲渡期限の要件を3年延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第11条の7関係)

    • (5) 被災した法人について債務処理計画が策定された場合の課税の特例について、内国法人が平成28年4月1日以後に株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の支援決定の対象となった法人である場合において、同日前に株式会社地域経済活性化支援機構法の再生支援決定等の対象となった法人に該当しないものであることとの要件を満たすときは、当該内国法人が金融機関から受けた事業資金の貸付けについてその貸付けに係る債務の弁済の負担を軽減するため平成28年3月31日までの間に条件の変更が行われていることとの要件を不要とした上、その適用期限を3年延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第12条の3関係)

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に債務処理に関する計画に基づき内国法人に資産を贈与する場合について適用する。(附則第92条関係)

    • (6) 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例について、次の措置を講ずることとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第13条の2関係)

      • 1 住宅被災者が、住宅の新築取得等で特別特定取得に該当するもの(以下「住宅の特別特定再取得等」という。)をし、かつ、当該住宅の特別特定再取得等をした家屋を平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額を適用年の11年目から13年目までの各年における住宅借入金等特別税額控除額として、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用ができる。

        • イ 再建特別特定住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)に1.2%を乗じて計算した金額

        • ロ 当該住宅の特別特定再取得等に係る対価の額又は費用の額から当該住宅の特別特定再取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額(以下「消費税額等相当額」という。)を控除した残額として一定の金額(5,000万円を限度)に2%を乗じて計算した金額を3で除して計算した金額

      • 2 特別特定取得とは、当該住宅の新築取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等相当額が、当該住宅の新築取得等に係る課税資産の譲渡等につき社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律第3条の規定による改正後の消費税法第29条に規定する税率により課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額の合計額に相当する額である場合における当該住宅の新築取得等をいう。

      • 3 二以上の住宅の再取得等又は住宅の特別特定再取得等に係る住宅借入金等の金額を有する場合の控除額の計算について、所要の調整措置を講ずる。

  • 2 法人課税

    • (1) 復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度のうち復興産業集積区域に係る措置について、復興産業集積区域(東日本大震災復興特別区域法の東日本大震災により多数の被災者が離職を余儀なくされ、又は生産活動の基盤に著しい被害を受けた地域を含む市町村の区域に限る。)内において産業集積事業等の用に供した機械装置、建物等及び構築物につき、償却割合及び特別税額控除割合を引き上げる措置の適用期限を2年延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第10条、第17条の2、第25条の2関係)

    • (2) 企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度について、避難指示の全てが解除された日等のうちいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等につき、適用期間の末日をそのいずれか遅い日から7年(現行:5年)を経過する日とすることとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第10条の2、第17条の2の2、第25条の2の2関係)

    • (3) 避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度について、避難指示が解除された日のうちいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等につき、適用期間の末日をそのいずれか遅い日から7年(現行:5年)を経過する日とすることとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第10条の2の2、第17条の2の3、第25条の2の3関係)

    • (4) 復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の特別税額控除制度について、復興産業集積区域(東日本大震災復興特別区域法の東日本大震災により多数の被災者が離職を余儀なくされ、又は生産活動の基盤に著しい被害を受けた地域を含む市町村の区域に限る。)内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に対して支給する給与等の額につき、特別税額控除割合を引き上げる措置の適用期限を2年延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第10条の3、第17条の3、第25条の3関係)

    • (5) 企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の特別税額控除制度について、避難指示の全てが解除された日等のうちいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等につき、福島県知事の認定を受ける期間の末日をそのいずれか遅い日から7年(現行:3年)を経過する日とすることとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第10条の3の2、第17条の3の2、第25条の3の2関係)

    • (6) 避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の特別税額控除制度について、避難指示が解除された日のうちいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等につき、福島県知事の確認を受ける期間の末日をそのいずれか遅い日から7年(現行:3年)を経過する日とすることとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第10条の3の3、第17条の3の3、第25条の3の3関係)

    • (7) 復興産業集積区域における開発研究用資産の特別償却制度等について、中小企業者等に限り、復興産業集積区域(東日本大震災復興特別区域法の東日本大震災により多数の被災者が離職を余儀なくされ、又は生産活動の基盤に著しい被害を受けた地域を含む市町村の区域に限る。)内において開発研究の用に供した開発研究用資産につき、償却割合を引き上げる措置の適用期限を2年延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第10条の5、第17条の5、第25条の5関係)

    • (8) 被災代替資産等の特別償却制度について、償却割合の上乗せ措置の対象となる中小企業者を中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度の中小企業者とした上、その適用期限を2年延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第11条、第18条、第26条関係)

    • (9) 帰還環境整備推進法人(一定のものに限る。)に対し一定の避難解除区域等内にある土地等の譲渡をした場合において、その譲渡に係る土地等がその帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された適正な形状、面積等を備えた一団の土地とするための一定の事業の用に供されるものであるときは、土地の譲渡等がある場合の特別税率の適用除外措置(優良住宅地等のための譲渡等に係る適用除外措置)を適用することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第18条の10、第26条の10関係)

  • 3 資産課税

    • (1) 農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度における特例適用農地等の買換え特例について、福島復興再生特別措置法に規定する特定復興再生拠点区域復興再生計画に記載された事業、東日本大震災復興特別区域法に規定する復興整備計画に記載された事業その他一定の事業の用に供するために譲渡をした一定の市町村の避難解除区域等内に所在する特例適用農地等に係る代替農地等(一定の市町村の避難解除区域等内に所在するものに限る。)の取得期限は、当該特例適用農地等の所在する市町村内の避難指示区域に係る避難指示の全てが解除された日から5年(現行:譲渡があった日から1年)を経過する日とすることとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第38条の2の2関係)

    • (注)上記の改正は、平成31年4月1日以後に特例適用農地等を譲渡する場合について適用する。(附則第99条関係)

    • (2) 福島復興再生特別措置法に規定する帰還環境整備推進法人のうち一定のものが、平成31年4月1日から平成34年3月31日までの間に、同法に規定する帰還環境整備事業計画に記載された同法に規定する特定公益的施設若しくは特定公共施設のうち一定のものを整備する事業又は適正な形状、面積等を備えた一団の土地とするための一定の事業の用に供するために同法に規定する避難解除区域等内に所在する不動産を取得した場合における当該不動産の所有権等の移転登記等に対する登録免許税の税率を、次のとおり軽減する措置を講ずることとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第40条の4関係)

      • 1 所有権の移転登記 1,000分の10(本則1,000分の20)

      • 2 地上権等の設定登記等 1,000分の5(本則1,000分の10)

    • (3) 金融機能の強化のための特別措置に関する法律に規定する変更後の経営強化計画に基づき行う登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を3年延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第41条の2関係)

  • 4 消費課税

    • (1) 被災自動車等に係る自動車重量税の還付措置の適用期限を2年延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第45条関係)

    • (2) 被災自動車等の使用者であった者が取得する自動車に係る自動車重量税の免税措置の適用期限を平成33年3月31日まで延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第46条関係)

  • 5 その他所要の規定の整備を行うこととする。

十六 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正(第16条関係)

  • 1 平成28年1月1日前に特定口座又は非課税口座を開設した居住者等が、平成31年1月1日以後最初に上場株式等の配当等の支払を受ける日等までに、当該特定口座又は非課税口座を開設している金融商品取引業者等の営業所の長に行うこととされている個人番号又は法人番号の告知について、次の措置を講ずることとする。(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第8条関係)

    • (1) 告知期限を3年延長する。

    • (2) 金融商品取引業者等の営業所の長が番号未告知者の個人番号を振替機関から提供を受けて確認した場合には、当該番号未告知者から当該金融商品取引業者等の営業所の長に個人番号の告知があったものとみなし、当該番号未告知者は当該金融商品取引業者等の営業所の長の告知事項の確認を受けたものとみなす。

    • (注)上記(2)の改正は、平成32年4月1日から施行する。(附則第1条関係)

  • 2 平成28年1月1日前に本人口座又は本人証券口座を開設した居住者等が、平成31年1月1日以後最初に国外送金等をする日等までに、当該本人口座又は本人証券口座を開設している金融機関等の営業所等の長に行うこととされている個人番号又は法人番号の告知について、次の措置を講ずることとする。(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第25条関係)

    • (1) 告知期限を3年延長する。

    • (2) 金融機関等の営業所等の長が番号未告知者の個人番号を振替機関から提供を受けて確認した場合には、当該番号未告知者から当該金融機関等の営業所等の長に個人番号の告知があったものとみなし、当該番号未告知者は当該金融機関等の営業所等の長の告知事項の確認を受けたものとみなす。

    • (注)上記(2)の改正は、平成32年4月1日から施行する。(附則第1条関係)

十七 その他(附則関係)

この法律は、別段の定めがあるものを除き、平成31年4月1日から施行することとする。(附則第1条関係)