関税定率法等の一部を改正する法律案
最近における内外の経済情勢等に対応するため、次により、関税率等について所要
の改正を行うとともに、税関における水際取締りの強化、貿易円滑化のための税関手
続の改善等を図るための所要の改正を行うこととする。
1.暫定税率の適用期限の延長等
平成28年3月31日に適用期限が到来する暫定税率並びに特別緊急関税制度及び牛
肉又は豚肉に係る関税の緊急措置(牛肉の発動基準数量の算出基礎の特例を含
む。)について、これらの適用期限を1年延長することとする。(関税暫定措置法
第2条及び第7条の3~第7条の6等関係)
2.個別品目の関税率の見直し
学校等給食用の脱脂粉乳に対する関税の減税措置の対象に、学校教育法に定める
義務教育学校を追加するとともに、バイオETBE製造用バイオエタノールについ
て暫定税率を設定し無税とする等所要の改正を行うこととする。(関税定率法別表
並びに関税暫定措置法別表第1及び別表第1の3関係)
3.税関における水際取締りの強化
不正競争防止法に規定する営業秘密侵害品を関税法上の輸出してはならない貨物
及び輸入してはならない貨物に追加することとする。(関税法第69条の2及び第69
条の11等関係)
4.輸出入申告官署の自由化等
(1) 輸出し、又は輸入しようとする貨物が置かれている場所を所轄する税関官署に
対して輸出申告又は輸入申告を行う原則は維持しつつ、認定事業者(AEO)の
うち輸出者、輸入者又は通関業者等については、いずれかの税関官署に対して輸
出申告又は輸入申告を行うことを可能とすることとする。(関税法第67条の3及
び第67条の19等関係)
(2) 通関業者の業務を各税関の管轄区域内に制限する規定を廃止するとともに、昨
今の通関手続を取り巻く環境の変化等に対応するため、通関業制度について所要
の見直しを行うこととする。(通関業法第9条等関係)
5.関税率表の品目分類に関する調整
「商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約」(HS条約)
附属書の品目表の改正に伴い、関税率表の品目分類に関する所要の改正を行うこと
とする。(関税定率法別表、付表第1及び付表第2並びに関税暫定措置法別表第
1、別表第1の3及び別表第2~別表第5関係)
6.納税環境の整備等
(1) 郵便又は信書便により納税申告書等が提出された場合の提出時期について発信
主義を適用することとする。(関税法第6条の3関係)
(2) 延滞税の免除に係る規定の新設及び延滞税の計算日数の見直しを行うこととす
る。(関税法第12条及び附則第4項関係)
(3) 調査通知が行われたときから更正があるべきことを予知したときまでの間に修
正申告等が行われた場合における過少申告加算税及び無申告加算税について、そ
の割合の見直しを行うこととする。(関税法第12条の2~第12条の4関係)
(4) 修正申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に無申告加算税
又は重加算税を課されたことがあるときは、その修正申告等に基づき課する無申
告加算税又は重加算税の割合の見直しを行うこととする。(関税法第12条の3及
び第12条の4関係)
(5) 行政不服審査法の改正を踏まえ、関税等不服審査会への諮問事項を追加するこ
ととする。(関税法第91条等関係)
7.その他
その他所要の規定の整備を行うこととする。
8.施行期日
この法律は、別段の定めがある場合を除き、平成28年4月1日から施行すること
とする。