「デフレ脱却・経済再生」の実現、地方創生への取組、経済再生と財政健全化の両立、国境を越えた取引等に係る課税の国際的調和、震災からの復興支援等の観点から、法人税率の引下げ、欠損金繰越控除制度の見直し、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・拡充、未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の創設、地方創生に取り組むための投資促進税制の創設、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設、消費税率引上げの施行日の変更、国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し、福島再開投資等準備金制度の創設、納税環境の整備、租税特別措置の見直し等所要の措置を講ずることとし、次により所得税法等の一部を改正することとする。
一 所得税法の一部改正(第1条関係)
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1 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例を次のとおり創設することとする。(所得税法第60条の2~第60条の4、第95条の2、第137条の2、第137条の3、第151条の2、第153条の2~第153条の5、第166条の2関係)
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(1) 特例の概要
国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう。以下同じ。)をする居住者が、所得税法に規定する有価証券若しくは匿名組合契約の出資の持分(以下「有価証券等」という。)を有する場合又は決済していないデリバティブ取引、信用取引若しくは発行日取引(以下「未決済デリバティブ取引等」という。)に係る契約を締結している場合には、その者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、当該国外転出の時に、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額により当該有価証券等の譲渡又は当該未決済デリバティブ取引等の決済があったものとみなす。
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当該国外転出の日の属する年分の確定申告書の提出時までに納税管理人の届出をした場合、納税管理人の届出をしないで当該国外転出をした日以後に当該年分の確定申告書を提出する場合又は当該年分の所得税につき決定がされる場合 当該国外転出の時における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして算出した利益の額若しくは損失の額
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上記に掲げる場合以外の場合 当該国外転出の予定日の3月前の日における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして算出した利益の額若しくは損失の額
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(2) 特例の対象者
特例は、次の及びに掲げる要件を満たす居住者について、適用する。
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国外転出をする時における上記(1)又はに定める金額の合計額が1億円 以上である者
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国外転出の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間として一定の期間の合計が5年超である者
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(3) 国外転出後5年を経過する日までに帰国等をした場合の取扱い
特例の適用を受けるべき者が、その国外転出の日から5年を経過する日までに帰国等をした場合において、その者が当該国外転出の時において有していた有価証券等又は契約を締結していた未決済デリバティブ取引等で当該国外転出の時以後引き続き有しているもの又は決済をしていないものについては、上記(1)による譲渡又は決済がなかったものとすることができる。
ただし、当該帰国等の日までの間に、当該有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る所得の計算につきその計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠蔽又は仮装があった場合には、その隠蔽又は仮装があった事実に基づく当該所得については、この限りでない。
この取扱いは、帰国等の日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより適用を受けることができる。
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(4) 納税猶予
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国外転出をする居住者でその国外転出の時において有する有価証券等又は契約を締結している未決済デリバティブ取引等につき本特例の適用を受けたものが、当該国外転出の日の属する年分の確定申告書に納税猶予を受けようとする旨の記載をした場合には、当該国外転出の日の属する年分の所得税のうち本特例により当該有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとされた所得に係るものについては、当該国外転出の日から5年を経過する日(同日前に帰国等をする場合には、同日とその者の帰国等の日から4月を経過する日のいずれか早い日)まで、その納税を猶予する。
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この納税猶予は、国外転出の時までに納税管理人の届出をし、かつ、その所得税に係る確定申告期限までに納税猶予分の所得税額に相当する担保を供した場合に、適用する。
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納税猶予に係る期限は、届出により国外転出の日から10年を経過する日までとすることができる。この場合における上記(3)の取扱いは、国外転出の日から10年を経過する日までに帰国をした場合等に適用することができる。
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納税猶予を受ける者は、国外転出の日の属する年分の所得税に係る確定申告期限から納税猶予に係る期限までの間の各年の12月31日における当該納税猶予に係る有価証券等の所有及び未決済デリバティブ取引等に係る契約に関する届出書を、同日の属する年の翌年3月15日までに、税務署長に提出しなければならない。当該届出書を提出期限までに提出しなかった場合には、その提出期限から4月を経過する日をもって、納税猶予に係る期限とする。
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納税猶予に係る期限の到来により所得税を納付する場合には、当該納税猶予がされた期間に係る利子税を納付する義務が生ずる。
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(5) 納税猶予に係る期限までに有価証券等の譲渡等があった場合
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本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予に係る期限までに、本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした場合には、その納税猶予に係る所得税のうち当該譲渡又は決済等があった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る部分については、その譲渡又は決済等があった日から4月を経過する日をもって納税猶予に係る期限とする。
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本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予に係る期限までに、本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る契約の譲渡又は決済等をした場合において、その譲渡又は決済等に係る譲渡価額又は利益の額が国外転出の時に課税が行われた額を下回るとき等は、その譲渡又は決済等があった日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出の日の属する年分の所得金額又は所得税額の減額をすることができる。
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(6) 納税猶予に係る期限が到来した場合の取扱い
本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予に係る期限の到来に伴いその納税猶予に係る所得税の納付をする場合において、その期限が到来した日における有価証券等の価額又は未決済デリバティブ取引等の決済による利益の額が本特例の対象となった金額を下回るとき等は、その到来の日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出の日の属する年分の所得金額又は所得税額の減額をすることができる。
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(7) 二重課税の調整
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居住者が本特例に相当する外国の法令の規定(以下「外国転出時課税の規定」という。)の適用を受けた有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済をした場合における事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その外国転出時課税の規定により課される外国所得税の額の計算において収入金額に算入することとされた金額を当該有価証券等の取得に要した金額とし、又は当該未決済デリバティブ取引等の決済損益額から当該外国所得税の額の計算において算出された利益の額の減算等をする。
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本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予に係る期限までに本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る契約の譲渡又は決済等をした場合において、その所得に係る外国所得税を納付することとなるとき(当該外国所得税に関する法令において、当該外国所得税の額の計算に当たって本特例の適用を受けたことを考慮しないものとされている場合に限る。)は、当該外国所得税を納付することとなる日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、当該外国所得税の額のうち当該有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る契約の譲渡又は決済等により生ずる所得に対応する部分の金額として計算した金額は、その者が国外転出の日の属する年において納付することとなるものとみなして、外国税額控除を適用することができる。
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(8) 贈与、相続又は遺贈により非居住者に有価証券等が移転する場合
次に掲げる要件を満たす居住者が有する有価証券等又は締結している未決済デリバティブ取引等に係る契約が、贈与、相続又は遺贈(以下「贈与等」という。)により非居住者に移転した場合には、その居住者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、その贈与等の時に、その時における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして算出した利益の額若しくは損失の額により、当該有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとみなす。
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その贈与等の時において有している有価証券等及び契約を締結している未決済デリバティブ取引等のその贈与等の時における有価証券等の価額並びに未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして算出した利益の額又は損失の額の合計額が1億円以上である者
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その贈与等の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間として一定の期間の合計が5年超である者
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(9) その他所要の措置を講ずる。
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(注1)上記((7)を除く。)の改正は、平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同日以後の贈与等について適用する。(附則第7条、第8条関係)
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(注2)上記(7)の改正は、平成27年7月1日以後に国外転出に相当する事由等が生ずる場合について適用する。(附則第9条関係)
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2 非居住者である親族に係る障害者控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は扶養控除の適用について、次の措置を講ずることとする。(所得税法第120条、第185条、第187条、第190条、第194条、第195条、第195条の2、第203条の3、第203条の5、別表第2~別表第4関係)
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(1) 確定申告において、非居住者である親族に係る障害者控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は扶養控除の適用を受ける居住者は、これらの控除に係る非居住者である親族がその居住者の親族に該当する旨を証する書類及びその非居住者である親族がその居住者と生計を一にすることを明らかにする書類を確定申告書に添付等しなければならない。
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(2) 給与等又は公的年金等に係る源泉徴収税額の計算において非居住者である親族に係る配偶者控除、扶養控除又は障害者控除に相当する控除の適用を受ける居住者はこれらの控除に係る非居住者である親族がその居住者の親族に該当する旨を証する書類を提出等しなければならないこととするほか、給与所得者の扶養控除等申告書等の記載事項及び給与所得の源泉徴収税額表等について、所要の整備を行う。
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(3) 給与等の年末調整において、非居住者である親族に係る障害者控除、配偶者控除、扶養控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする居住者は、これらの控除に係る非居住者である親族がその居住者と生計を一にすることを明らかにする書類等を提出等しなければならないこととするほか、給与所得者の配偶者特別控除申告書等の記載事項について、所要の整備を行う。
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(注)上記の改正は、平成28年分以後の所得税について適用する。(附則第10条、第12条、第13条関係)
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3 配当所得となる配当等の範囲に、投資法人の出資総額等の減少に伴う金銭の分配のうち一定のものを加えることとする。(所得税法第24条、第25条関係)
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(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用する。(附則第4条、第5条関係)
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4 利子等又は配当等の受領者の本人確認の方法について、本人確認書類を提示する方法に代えて、その受領者である個人の署名用電子証明書その他の電磁的記録を送信する方法によることができることとする。(所得税法第10条、第224条、第224条の3~第224条の6関係)
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(注)上記の改正は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「番号利用法整備法」という。)附則第3号に掲げる規定の施行の日以後に支払の確定する利子等又は配当等について適用する。(附則第3条、第15条~第19条関係)
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5 個人が納付する不当景品類及び不当表示防止法の課徴金及び延滞金の額は、必要経費に算入しないこととする。(所得税法第45条関係)
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(注)上記の改正は、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律の施行の日以後に行われた行為に係る課徴金及び延滞金について適用する。(附則第6条関係)
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6 非居住者の恒久的施設と事業場等との間で、国内不動産の譲渡所得又は貸付対価等の国内源泉所得を生ずべき資産の当該恒久的施設による取得又は譲渡に相当する内部取引があった場合には、当該内部取引は、その資産の内部取引の直前の価額とされる一定の金額により行われたものとして、当該非居住者の恒久的施設帰属所得に係る所得の金額を計算することとする。(所得税法第165条の5の2関係)
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(注)上記の改正は、平成29年分以後の所得税について適用する。(附則第11条関係)
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7 その他所要の規定の整備を行うこととする。
二 法人税法の一部改正(第2条関係)
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1 法人税の税率を次のとおりとする。
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(1) 各事業年度の所得に対する税率について、普通法人の税率を23.9%(現行25.5%)とする。(法人税法第66条、第143条関係)
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(2) 各連結事業年度の連結所得に対する税率について、普通法人である連結親法人の税率を23.9%(現行25.5%)とする。(法人税法第81条の12関係)
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(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用する。(附則第21条関係)
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2 欠損金の繰越控除制度について、次のとおり見直しを行うこととする。(法人税法第57条、第58条、第81条の9関係)
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(1) 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の100分の50(現行100分の80)相当額とする。
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(注)平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度における控除限度額は、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の100分の65相当額とする。(附則第27条、第30条関係)
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(2) 法人について生じた次に掲げる事実の区分に応じそれぞれ次に定める各事業年度(その事実が生じた日以後にその法人の株式が金融商品取引所に上場されたことその他のその法人の事業の再生が図られたと認められる事由が生じた場合には、その事由が生じた日のうち最も早い日以後に終了する事業年度を除く。)の所得に係る欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額とする。
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更生手続開始の決定があったこと その更生手続開始の決定の日から更生計画認可の決定の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度
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再生手続開始の決定があったこと その再生手続開始の決定の日から再生計画認可の決定の日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度
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再生手続開始の決定があったことに準ずる事実 その事実が生じた日から同日の翌日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度
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上記からまでの事実に準ずる事実 その事実が生じた日から同日の翌日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度
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(3) 法人の設立の日から同日以後7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度(その法人の株式が金融商品取引所に上場されたこと等の事由が生じた場合には、その事由が生じた日のうち最も早い日以後に終了する事業年度を除く。)の所得に係る欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額とする。
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(4) 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を10年(現行9年)に延長する。
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(注)上記(4)の改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額について適用する。(附則第27条、第30条関係)
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3 受取配当等の益金不算入制度について、次のとおり見直しを行うこととする。(法人税法第23条、第24条、第81条の4関係)
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(1) 益金不算入の対象となる配当等の額の範囲から公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配の額を除外する。
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(2) 完全子法人株式等を除き、益金不算入の対象となる株式等及び益金不算入割合を次のとおりとする。
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法人が他の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の1を超える数又は金額の株式等を有する場合におけるその株式等 100分の100
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完全子法人株式等、の株式等及びの株式等以外の株式等 100分の50
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法人が他の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の100分の5以下に相当する数又は金額の株式等を有する場合におけるその株式等 100分の20
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(3) 法人が支払う負債の利子があるときの益金不算入額の計算について、株式等の配当等の額からその株式等に係る負債の利子の額を控除して計算する株式等を、上記(2)の株式等とする。
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(4) 投資法人の出資総額等の減少に伴う金銭の分配の額のうち一定のものについては、配当等の額とする。
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(注)上記(4)の改正は、平成27年4月1日以後に受ける金銭の分配の額について適用する。(附則第23条、第25条関係)
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4 内国法人が外国子会社から受ける剰余金の配当等の額で、その剰余金の配当等の額の全部又は一部が当該外国子会社の本店所在地国等の法令において当該外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入することとされている剰余金の配当等の額に該当する場合におけるその剰余金の配当等の額を、外国子会社配当益金不算入制度の適用対象から除外することとする。(法人税法第23条の2関係)
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(注)上記の改正は、原則として、内国法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度において外国子会社から受ける剰余金の配当等の額について適用する。(附則第24条関係)
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5 青色申告制度について、次のとおり見直しを行うこととする。(法人税法第121条、第127条関係)
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(1) 連結納税の承認を受けている法人は、退職年金等積立金に対する法人税に係る申告書を青色申告書により提出することができる。
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(2) 法人につき連結納税の承認が取り消された場合には、税務署長はその法人の青色申告の承認も取り消すことを明確化する。
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6 法人が納付する不当景品類及び不当表示防止法の課徴金及び延滞金の額は、損金の額に算入しないこととする。(法人税法第55条関係)
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(注)上記の改正は、不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律の施行の日以後に行われた行為に係る課徴金及び延滞金について適用する。(附則第26条関係)
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7 退職年金等積立金に対する法人税について、次のとおり見直しを行うこととする。(法人税法第84条関係)
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(1) 退職年金業務等の範囲に、次に掲げる業務を加える。
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国家公務員共済組合法の退職等年金給付の事業に関する業務
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地方公務員等共済組合法の退職等年金給付組合積立金の積立ての業務
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地方公務員等共済組合法の退職等年金給付調整積立金の管理及び運用に関する事務に係る業務
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日本私立学校振興・共済事業団法の退職等年金給付の業務
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(2) 退職年金等積立金額の範囲に、次に掲げる金額を加える。
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上記(1)の業務を行う国家公務員共済組合連合会の退職等年金給付積立金の額
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上記(1)の業務を行う地方公務員共済組合及び市町村連合会の退職等年金給付組合積立金の額
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上記(1)の業務を行う地方公務員共済組合連合会の退職等年金給付調整積立金の額
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上記(1)の業務を行う日本私立学校振興・共済事業団の退職等年金給付の経理に係る勘定に属する積立金の額
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8 外国法人が設立されたものとみなして欠損金の繰越控除制度等を適用することとされる場合から外国法人を合併法人とする適格合併により被合併法人である他の外国法人から恒久的施設の移転を受けた場合等を除外することとする。(法人税法第10条の3関係)
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(注)上記の改正は、恒久的施設を有しない外国法人が平成28年4月1日以後に恒久的施設を有することとなる場合について適用する。(附則第22条関係)
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9 外国銀行等の資本に係る負債の利子の損金算入制度により損金の額に算入される金額は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に記載された金額を限度とすることとする。(法人税法第142条の5関係)
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10 外国法人の恒久的施設と本店等との間で、国内不動産の譲渡所得又は貸付対価等の国内源泉所得を生ずべき資産の当該恒久的施設による取得又は譲渡に相当する内部取引があった場合には、当該内部取引は、その資産の内部取引の直前の帳簿価額に相当する金額により行われたものとして、当該外国法人の恒久的施設帰属所得に係る所得の金額を計算することとする。(法人税法第142条の9関係)
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11 恒久的施設を有する外国法人が恒久的施設を有しない外国法人になった日の翌日の属する事業年度については、法人税の中間申告書の提出を要しないこととする。(法人税法第144条の3関係)
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(注)上記9から11までの改正は、外国法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用する。(附則第32条関係)
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12 外国法人である普通法人が恒久的施設を有することとなった場合等において、国内源泉所得に係る所得の金額の全部につき租税条約等の規定により法人税を課さないこととされるときは、外国普通法人となった旨の届出書の提出を要しないこととする。(法人税法第149条関係)
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13 外国法人である人格のない社団等が特定国内源泉所得を有することとなった場合において、当該特定国内源泉所得に係る所得の金額の全部につき租税条約等の規定により法人税を課さないこととされるときは、収益事業開始の届出書の提出を要しないこととする。(法人税法第150条関係)
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(注)上記12及び13の改正は、平成28年4月1日以後にこれらの届出書を提出することとなる場合について適用する。(附則第33条関係)
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14 その他所要の規定の整備を行うこととする。
三 相続税法の一部改正(第3条関係)
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1 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設に伴い、次の措置を講ずることとする。(相続税法第1条の3、第1条の4、第14条、第32条関係)
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(1) 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例に係る納税猶予の期限の延長を受ける個人が死亡した場合又は財産の贈与をした場合には、相続税又は贈与税の納税義務の判定に際しては、当該個人は、相続若しくは遺贈又は贈与前5年以内のいずれかの時において国内に住所を有していたものとみなす。
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(2) 贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例に係る納税猶予の適用を受ける者から贈与により財産を取得した受贈者又は当該納税猶予の適用を受ける相続人が死亡した場合又は財産の贈与をした場合には、相続税又は贈与税の納税義務の判定に際しては、当該受贈者又は相続人は、相続若しくは遺贈又は贈与前5年以内のいずれかの時において国内に住所を有していたものとみなす。ただし、当該受贈者又は相続人が当該譲渡所得等の特例に係る贈与又は相続若しくは遺贈前5年以内に国内に住所を有していたことがない場合は、この限りでない。
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(3) その他所要の措置を講ずる。
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(注)上記の改正は、平成27年7月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。(附則第34条関係)
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2 保険会社等の営業所等は、生命保険契約等の契約者が死亡したことに伴い契約者の変更の手続を行った場合には、当該変更の効力が生じた日の属する年の翌年1月31日までに、一定の事項を記載した調書を当該調書を作成した営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととする。(相続税法第59条関係)
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(注)上記の改正は、平成30年1月1日以後に変更の効力が生ずる場合について適用する。(附則第34条関係)
四 消費税法の一部改正(第4条関係)
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1 国境を越えた役務の提供等に対する課税について、次のとおり見直すこととする。
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(1) 課税対象
資産の譲渡等のうち次に掲げる資産の譲渡等(以下「特定資産の譲渡等」という。)を課税対象から除くとともに、事業者が事業として他の者から受けた特定資産の譲渡等(以下「特定仕入れ」という。)を加える。(消費税法第2条、第4条関係)
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国外事業者が行う電気通信利用役務の提供(資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる役務の提供をいう。以下同じ。)のうち、当該電気通信利用役務の提供に係る役務の性質等から当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるもの(以下「事業者向け電気通信利用役務の提供」という。)
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資産の譲渡等のうち、国外事業者が行う演劇等の役務の提供(以下「特定役務の提供」という。)
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(2) 内外判定基準(消費税法第4条関係)
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電気通信利用役務の提供が国内で行われたかどうかの判定は、当該電気通信利用役務の提供を受ける者の住所等又は本店等の所在地で行う。
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特定仕入れが国内で行われたかどうかの判定は、当該特定仕入れとして他の者から受けた役務の提供につき、当該役務の提供が国内で行われたかどうかの判定による。
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(3) 納税義務者
課税資産の譲渡等のうち特定資産の譲渡等を納税義務の対象から除くとともに、特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)を行った事業者に納税義務を課する。(消費税法第5条関係)
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(4) 特定課税仕入れに係る消費税の課税標準
特定課税仕入れに係る消費税の課税標準は、特定課税仕入れに係る支払対価の額とする。(消費税法第28条関係)
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(5) 仕入控除税額の計算
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課税標準額に対する消費税額から控除する課税仕入れ等の税額は、特定課税仕入れに係る消費税額を含めて計算した金額とする。(消費税法第30条関係)
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課税売上割合は、特定資産の譲渡等の対価の額を含めずに計算した割合とする。(消費税法第30条関係)
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中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例(簡易課税制度)の適用を受ける事業者の仕入控除税額は、次に掲げる金額の合計額とする。(消費税法第37条関係)
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イ 課税資産の譲渡等に係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額にみなし仕入率を乗じて計算した金額
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ロ 特定課税仕入れに係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額
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(6) 特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除
事業者が国内において行った特定課税仕入れにつき、値引き又は割戻しを受けたことにより、当該特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、当該特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間における特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額の合計額を控除する。(消費税法第38条の2関係)
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(7) 特定資産の譲渡等を行う事業者の義務
国内において特定資産の譲渡等を行う事業者は、当該特定資産の譲渡等に際し、あらかじめ、当該特定資産の譲渡等に係る特定課税仕入れを行う事業者が消費税を納める義務がある旨を表示しなければならない。(消費税法第62条関係)
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(8) 小規模事業者の納税義務の免除の特例に関する経過措置(附則第36条関係)
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平成27年10月1日(以下「新消費税法適用日」という。)の属する課税期間において、当該課税期間の基準期間又は特定期間の初日から改正後の制度が施行されていたものとして計算した基準期間における課税売上高又は特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるときは、新消費税法適用日から当該課税期間の末日までの間に行う課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、小規模事業者の納税義務の免除の特例を適用しない。
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新消費税法適用日の翌日以後に開始する課税期間に係る基準期間における課税売上高又は特定期間における課税売上高については、当該基準期間又は当該特定期間の初日が新消費税法適用日前であるときは、当該基準期間又は当該特定期間の初日から改正後の制度が施行されていたものとして計算する。
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上記又はの課税期間に係る基準期間又は特定期間において電気通信利用役務の提供を行っていた事業者が、基準期間における課税売上高又は特定期間における課税売上高を計算することにつき困難な事情があるときは、一定の簡便な方法による計算を認める。
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(9) 国外事業者から受けた電気通信利用役務の提供に係る税額控除に関する経過措置
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新消費税法適用日以後に行う課税仕入れのうち、国外事業者から受けた電気通信利用役務の提供(事業者向け電気通信利用役務の提供に該当するものを除く。以下同じ。)に係るものについては、当分の間、仕入税額控除制度は適用しない。ただし、下記による登録を受けた事業者(以下「登録国外事業者」という。)に該当するものから受けた場合には、当該登録国外事業者の登録番号等が記載された請求書等の保存等を要件として、仕入税額控除制度の適用を認める。(附則第38条関係)
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登録国外事業者制度(附則第39条関係)
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イ 電気通信利用役務の提供を行い、又は行おうとする国外事業者は、その納税地を所轄する税務署長を経由して国税庁長官に申請書を提出し、国税庁長官の登録を受けることができる。
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ロ 国税庁長官は、国外事業者登録簿に氏名、登録番号及び登録年月日等を登載して登録を行い、当該国外事業者登録簿に登載された事項を速やかに公表しなければならない。
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ハ 国外事業者が国内において行う電気通信利用役務の提供に係る事務所等を国内に有しないこと、又は消費税に関する税務代理人がないことその他一定の要件に該当する場合には、国税庁長官は登録を拒否することができる。
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ニ 登録国外事業者が国外事業者に該当しなくなったことその他一定の要件に該当する場合には、国税庁長官は登録を取り消すことができる。
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ホ 登録国外事業者が、登録を受けた日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間中に国内において行う課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、小規模事業者の納税義務の免除の特例を適用しない。
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(10) 特定課税仕入れに関する経過措置
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国内において特定課税仕入れを行う事業者の新消費税法適用日を含む課税期間以後の各課税期間(簡易課税制度の適用を受ける課税期間を除く。)において、課税売上割合が100分の95以上である場合には、当分の間、当該課税期間中に国内において行った特定課税仕入れはなかったものとして、改正後の制度を適用する。(附則第42条関係)
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中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例(簡易課税制度)を受ける課税期間における仕入控除税額の計算については、当分の間、当該課税期間中に国内において行った特定課税仕入れはなかったものとして、改正後の制度を適用する。(附則第44条関係)
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(11) その他所要の措置を講ずる。
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(注)上記の改正は、特定役務の提供に係る部分を除き、新消費税法適用日以後に行われる資産の譲渡等、課税仕入れ及び保税地域から引き取られる課税貨物について適用し、特定役務の提供に係る部分については、平成28年4月1日以後に行われる資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用する。(附則第35条、第48条関係)
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2 輸出物品販売場制度の見直し(消費税法第8条関係)
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(1) 国内及び国内以外の地域にわたって行われる旅客の輸送の用に供される船舶に乗船する旅客に対し、物品を譲渡するために期間を定めて販売場を設置しようとする事業者(既に輸出物品販売場の許可を受けている事業者に限る。)が、あらかじめ当該販売場(以下「臨時販売場」という。)を設置しようとする港湾施設につきその納税地を所轄する税務署長の承認を受けている場合において、当該臨時販売場を設置する日の前日までに、その設置期間等を記載した届出書を当該税務署長に提出したときは、当該期間に限り、当該臨時販売場を輸出物品販売場とみなすこととする。
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(2) その他所要の措置を講ずることとする。
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3 消費税が非課税とされる社会福祉事業等の範囲から、生活困窮者自立支援法に基づく認定生活困窮者就労訓練事業のうち生産活動としての作業に基づき行われる資産の譲渡等を除外することとする。(消費税法別表第一関係)
五 たばこ税法の一部改正(第5条関係)
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1 専売納付金制度下において三級品とされていた紙巻たばこ(以下「紙巻たばこ三級品」という。)に係るたばこ税の特例税率(現行2,517円/千本)を廃止することとする。(たばこ税法附則第2条関係)
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(注)上記の改正は、平成28年4月1日から施行する。(附則第1条関係)
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2 次の税率改正の日以後の紙巻たばこ三級品に係るたばこ税の税率について、それぞれ次の税率とする措置を講ずることとする。(附則第50条関係)
税率改正の日 平成28年4月1日 平成29年4月1日 平成30年4月1日 平成31年4月1日 税率
(千本当たり)2,950円 3,383円 4,032円 5,302円 -
3 その他
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(1) 上記の税率改正の日において、製造たばこの製造場又は保税地域以外の場所で、紙巻たばこ三級品を販売のため一定数量以上を所持する製造たばこの製造者又は販売業者に対して、たばこ税の手持品課税を行うこととする。(附則第52条関係)
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(2) その他所要の措置を講ずることとする。
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六 国税通則法の一部改正(第6条関係)
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1 法人税に係る純損失等の金額に係る更正について、その請求期間及び期間制限を10年(現行9年)に延長することとする。(国税通則法第23条、第70条関係)
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(注)上記の改正は、法人の平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる純損失等の金額について適用する。(附則第53条関係)
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2 無申告加算税の不適用制度について、その適用対象となる期限後申告書の提出期限を法定申告期限から1月以内(現行2週間以内)に延長することとする。(国税通則法第66条関係)
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(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用する。(附則第53条関係)
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3 国外転出等特例の適用がある場合(納税管理人の届出及び税務代理権限証書の提出がある場合その他の一定の場合を除く。)の所得税について、その更正決定等の期間制限を7年とすることとする。(国税通則法第70条関係)
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(注)上記の改正は、平成27年7月1日から施行する。(附則第1条関係)
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4 税務調査手続について、次のとおり見直しを行うこととする。
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(1) 税務代理人が数人ある場合の調査の事前通知について、納税義務者が代表する税務代理人を定めた場合として一定の場合に該当するときは、これらの税務代理人への通知は、当該代表する税務代理人に対してすれば足りる。(国税通則法第74条の9関係)
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(注)上記の改正は、平成27年7月1日以後にされる事前通知について適用する。(附則第53条関係)
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(2) 調査(以下「前回調査」という。)の終了後においても新たに得られた情報に照らし非違があると認めるときに行うことができる質問検査等(以下「再調査」という。)について、その前回調査の範囲を実地の調査に限る。(国税通則法第74条の11関係)
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(注)上記の改正は、平成27年4月1日以後に行う前回調査(同日前から引き続き行われているものを除く。)の終了後に行う再調査について適用する。(附則第53条関係)
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5 その他所要の規定の整備を行うこととする。
七 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の一部改正(第7条関係)
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1 非居住者に係る金融口座情報の報告制度を次のとおり整備することとする。(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律第10条の5~第10条の9、第13条関係)
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(1) 特定取引を行う者の届出書の提出
平成29年1月1日以後に報告金融機関等との間でその営業所等を通じて特定取引を行う者は、特定対象者の氏名又は名称、住所又は本店等の所在地、居住地国その他一定の事項を記載した届出書を、その特定取引を行う際、当該報告金融機関等の営業所等の長に提出しなければならない。この場合において、当該報告金融機関等の営業所等の長は、当該届出書に記載されている事項を確認しなければならない。
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(2) 報告金融機関等の特定手続
報告金融機関等は、平成28年12月31日以前に特定取引を行った者で同日において当該特定取引に係る契約を締結しているものにつき、平成30年12月31日までに、当該報告金融機関等の保有する特定対象者の住所その他の情報に基づき当該特定対象者の住所等所在地国と認められる国又は地域を特定しなければならない。
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(3) 報告金融機関等の報告事項の提供
報告金融機関等は、その年の12月31日において、当該報告金融機関等との間でその営業所等を通じて特定取引を行った者が報告対象契約を締結している場合には、特定対象者の氏名又は名称、住所又は本店等の所在地、特定居住地国及び当該報告対象契約に係る資産の価額、当該資産の運用、保有又は譲渡による収入金額その他一定の事項(以下「報告事項」という。)を、その年の翌年4月30日までに、電子情報処理組織を使用する方法又は光ディスク等を提出する方法により、当該報告金融機関等の本店等の所在地の所轄税務署長に提供しなければならない。
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(4) その他
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税務職員は、報告事項の提供に関する調査について必要があるときは、当該報告事項の提供をする義務がある者に質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めることができる。
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届出書の提出義務及び報告事項の提供義務に対する違反行為等について所要の罰則を規定する。
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その他所要の措置を講ずる。
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(注1)上記((4)を除く。)の改正は、平成29年1月1日から施行する。(附則第1条関係)
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(注2)上記(4)の改正は、平成29年1月1日以後にした違反行為について適用する。(附則第1条、第130条関係)
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2 その他所要の規定の整備を行うこととする。
八 租税特別措置法の一部改正(第8条関係)
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1 個人所得課税
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(1) 未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置を次のように創設することとする。(租税特別措置法第9条の9、第37条の14の2関係)
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非課税措置の概要
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イ 金融商品取引業者等の営業所に未成年者口座を開設している居住者等が、次に掲げる未成年者口座内上場株式等の区分に応じそれぞれ次に定める期間内に支払を受けるべき当該未成年者口座内上場株式等の配当等(当該金融商品取引業者等が支払の取扱者であるものに限る。)及び当該期間内に売委託等の方法により譲渡した当該未成年者口座内上場株式等の譲渡所得等については、所得税を課さない。
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(イ) 非課税管理勘定に係る未成年者口座内上場株式等当該非課税管理勘定を設けた日から同日の属する年の1月1日以後5年を経過する日までの間
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(ロ) 継続管理勘定に係る未成年者口座内上場株式等当該継続管理勘定を設けた日からその未成年者口座を開設した者がその年1月1日において20歳である年の前年12月31日までの間
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ロ 非課税管理勘定は、平成28年から平成35年までの各年(当該未成年者口座を開設している者が、その年1月1日において20歳未満である年及び出生した日の属する年に限る。)に設けることができることとし、毎年80万円を上限に、新たに取得した上場株式等及び同一の未成年者口座の他の年分の非課税管理勘定から移管される上場株式等を受け入れることができる。
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ハ 継続管理勘定は、平成36年から平成40年までの各年(当該未成年者口座を開設している者がその年1月1日において20歳未満である年に限る。)に設けることができることとし、毎年80万円を上限に、同一の未成年者口座の非課税管理勘定から移管される上場株式等を受け入れることができる。
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(注)上記ロ及びハの80万円の上限は、新たに取得した上場株式等についてはその取得対価の額により、非課税管理勘定から移管がされる上場株式等についてはその移管の時の価額(時価)により判定する。
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未成年者口座
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イ 未成年者口座とは、居住者等(その年1月1日において20歳未満である者及びその年に出生した者に限る。)が、金融商品取引業者等の営業所の長に対し、本特例の適用を受ける旨その他一定の事項を記載した未成年者口座開設届出書に未成年者非課税適用確認書又は未成年者口座廃止通知書を添付して提出することにより平成28年から平成35年までの間に開設した口座(1人につき1口座に限る。)をいう。
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ロ 未成年者口座で管理されている上場株式等につき支払を受ける配当等及び当該上場株式等を譲渡した場合におけるその譲渡の対価に係る金銭その他の資産については、一定のものを除き、課税未成年者口座において管理されなければならない。
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ハ 未成年者口座を開設した居住者等は、当該未成年者口座を開設した日からその居住者等がその年3月31日において18歳である年(以下「基準年」という。)の前年12月31日までの間は、当該未成年者口座内の上場株式等を課税未成年者口座以外の口座に移管等をすることはできない。ただし、当該居住者等が、災害、疾病その他のやむを得ない事由(以下「災害等事由」という。)に基因して当該未成年者口座及び課税未成年者口座内の上場株式等及び預貯金等の全てを払い出す場合は、この限りでない。
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課税未成年者口座
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イ 課税未成年者口座とは、居住者等が未成年者口座を開設している金融商品取引業者等の営業所又は当該金融商品取引業者等の関連会社の営業所に開設した特定口座、預貯金口座又は預り金の管理口座をいう。
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ロ 課税未成年者口座内の上場株式等及び預貯金等は、当該課税未成年者口座を開設した居住者等の基準年の前年12月31日までは、当該課税未成年者口座から払い出すことはできない。ただし、その預貯金等を未成年者口座若しくは課税未成年者口座における上場株式等の取得のために払い出す場合、又は当該居住者等の災害等事由に基因して当該課税未成年者口座及び未成年者口座内の上場株式等及び預貯金等の全てを払い出す場合は、この限りでない。
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払出制限について要件違反があった場合の取扱い
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イ 未成年者口座及び課税未成年者口座を開設した居住者等の基準年の前年12月31日までに、契約不履行等事由(これらの口座内の上場株式等又は預貯金等をこれらの口座から払い出したこと(災害等事由に基因する払出しを除く。)又はこれらの口座を廃止したことをいう。以下同じ。)が生じた場合には、当該契約不履行等事由が生じたことによる未成年者口座の廃止の際、上場株式等の譲渡又は配当等の支払があったものとして、次の金額に対して15%の税率により源泉徴収を行う。
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(イ) 次に掲げる金額の合計額から、当該未成年者口座を設定した日から当該未成年者口座を廃止した日までの間に当該未成年者口座において取得した上場株式等の取得対価の額等の合計額を控除した金額
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a 当該未成年者口座を設定した日から当該廃止の日までの間に、当該未成年者口座において行われた上場株式等の譲渡に係る譲渡対価の額及び当該未成年者口座から課税未成年者口座に移管がされた当該移管の時における上場株式等の価額(時価)の合計額
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b 当該廃止の日において当該未成年者口座において有する上場株式等の価額(時価)の合計額
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(ロ) 当該未成年者口座を設定した日から契約不履行等事由が生じた時までの間に当該未成年者口座において支払を受けるべき上場株式等の配当等の額の合計額
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(注)上記(イ)の譲渡所得の金額の計算上損失が生じた場合には、その生じた損失の金額はなかったものとみなす。また、上記(ロ)の配当所得の金額から控除することもできない。
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ロ 上記イにより源泉徴収された未成年者口座内上場株式等に係る譲渡所得等の金額は、確定申告不要制度を適用できる。
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年間取引報告書の税務署長への提出
金融商品取引業者等は、未成年者口座において処理された未成年者口座内上場株式等の配当等の額及び譲渡の対価の額その他の事項について報告書を作成し、これを翌年1月31日までに、税務署長に提出しなければならない。
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(注)上記の制度は、平成28年1月1日以後に未成年者口座の開設の申込みがされ、同年4月1日から当該未成年者口座に受け入れる上場株式等について適用する。ただし、これらの日が、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律附則第1条第4号に定める日前となる場合には、同日からとする。(附則第70条関係)
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(2) 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置について、次の措置を講ずることとする。(租税特別措置法第37条の14関係)
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非課税口座に設けられる各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる上場株式等の取得対価の額の限度額を、120万円(現行:100万円)に引き上げる。
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金融商品取引業者等の営業所に開設されている未成年者口座の非課税管理勘定において管理されていた上場株式等は、同一の金融商品取引業者等の営業所に開設されている非課税口座に移管できることとする。
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居住者等が平成29年から平成35年までの各年(その年1月1日においてその居住者等が20歳である年に限る。)の1月1日において未成年者口座を開設している場合には、同日以後は、当該未成年者口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所に当該居住者等の非課税口座が開設されたものとみなすこととする。
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非課税適用確認書の交付申請書の記載事項等の金融商品取引業者等の営業所の長から所轄税務署長への提供方法について、光ディスク等を提出する方法を廃止し、電子情報処理組織(e-Tax)を使用する方法に一本化する。
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(注1)上記及びの改正は、平成28年1月1日以後に設けられる非課税管理勘定について適用する。(附則第69条関係)
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(注2)上記の改正は、平成27年4月1日以後に提供する申請事項等について適用する。(附則第69条関係)
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(3) 次に掲げる住宅取得等に係る措置について適用期限(平成29年12月31日)を平成31年6月30日まで1年6月延長することとする。
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住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(租税特別措置法第41条関係)
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特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例(租税特別措置法第41条の3の2関係)
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既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除(租税特別措置法第41条の19の2関係)
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既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除(租税特別措置法第41条の19の3関係)
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認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除(租税特別措置法第41条の19の4関係)
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(4) 山林所得に係る森林計画特別控除について、山林の伐採又は譲渡に係る収入金額が2,000万円を超える者の2,000万円を超える部分(現行:3,000万円を超える者の3,000万円を超える部分)の控除率を10%とした上、その適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第30条の2関係)
(注)上記の改正は、平成28年分以後の所得税について適用する。(附則第66条関係)
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(5) 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象に、国家戦略特別区域法の認定区域計画に定められている特定事業又はその特定事業の実施に伴い必要となる施設を整備する事業(これらの事業のうち、産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に特に資するものとして一定のものに限る。)を行う者に対する土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等がこれらの事業の用に供されるものを加えることとする。(租税特別措置法第31条の2関係)
(注)上記の改正は、国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日以後に行う優良住宅地等のための譲渡に該当する譲渡について適用する。(附則第67条関係)
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(6) 特定の民間住宅地造成事業のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除の適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第34条の2、第65条の4、第68条の75関係)
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(7) 上場株式等に係る配当所得等及び譲渡所得等の課税の特例等の対象となる上場株式等の範囲について、次の措置を講ずることとする。(租税特別措置法第8条の4、第8条の5、第9条の3、第9条の3の2、第37条の11関係)
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上場株式等の範囲に、特定受益証券発行信託の受益権で一定の公募により発行されたものを加える。
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発行する社債が特定公社債となる金融商品取引業を行う法人の範囲から、第一種少額電子募集取扱業者を除外する。
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(8) 特定口座開設届出書等の提出をする場合等の本人確認の方法について、本人確認書類を提示する方法に代えて、その提出者の署名用電子証明書その他の電磁的記録を送信する方法によることができることとする。(租税特別措置法第37条の11の3、第37条の14関係)
(注)上記の改正は、番号利用法整備法附則第3号に掲げる規定の施行の日以後に特定口座開設届出書を提出する場合等について適用する。(附則第68条、第69条関係)
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(9) 市町村又は特別区から給付される次の給付金については、所得税を課さないこととする。(租税特別措置法第41条の8関係)
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住民基本台帳に記録されている者のうち平成27年度分の市町村民税が課されていないもの等に対して給付される一定の給付金
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児童手当法による児童手当の支給を受ける者等に対して給付される一定の給付金
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(10) 特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の適用対象となる特定新規株式の範囲に、国家戦略特別区域法に規定する一定の株式会社により発行される株式で国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律附則第1条第1号に掲げる規定の施行の日から平成30年3月31日までの間に発行されるものを加えることとする。(租税特別措置法第41条の19関係)
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2 法人課税
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(1) 試験研究を行った場合の特別税額控除制度について、次のとおり見直しを行うこととする。(租税特別措置法第10条、第42条の4、第68条の9関係)
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試験研究費の総額に係る特別税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制について、特別税額控除の適用を受けることができる限度額を当期の税額の100分の25(現行100分の20)相当額に引き上げる。
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特別試験研究費の額に係る特別税額控除制度について、青色申告書を提出する事業者の各事業年度において特別試験研究費の額がある場合には、次の金額の合計額の特別税額控除ができる措置とする。ただし、特別税額控除額については、当期の税額の100分の5相当額を限度とする。
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イ 特別試験研究費の額のうち特別試験研究機関等と共同して行う試験研究又は特別試験研究機関等に委託する試験研究に係る試験研究費の額の100分の30相当額
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ロ 特別試験研究費の額のうち上記イ以外のものの100分の20相当額
なお、この措置の対象となる特別試験研究費の額には、試験研究費の総額に係る特別税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制における特別税額控除額の計算の基礎となった特別試験研究費の額を含めないこととする。
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特別試験研究費の額の対象となる試験研究の範囲を見直す。
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繰越税額控除限度超過額に係る特別税額控除制度及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る特別税額控除制度等を廃止する。
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(2) エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度におけるその取得価額から普通償却限度額を控除した金額まで特別償却(即時償却)ができる措置について、対象資産から太陽光の利用に資する機械その他の減価償却資産を除外した上、その適用期限を1年延長することとする。(租税特別措置法第10条の2、第42条の5、第68条の10関係)
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(3) 国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は特別税額控除制度について、継続的に実施されることが確保される一定の特定事業の用に供する建物等を貸付けの用に供した場合を特定事業の用に供した場合に加えることとする。(租税特別措置法第42条の10、第68条の14関係)
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(4) 地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度の創設(租税特別措置法第10条の4、第42条の12、第68条の15の2関係)
青色申告書を提出する事業者で地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から平成30年3月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画について認定を受けたものが、その認定の日から2年以内に、地方活力向上地域内において、その認定を受けた地方活力向上地域特定業務施設整備計画に記載された地域再生法の特定業務施設に該当する建物等及び構築物で、一定の規模以上のものの取得等をして、その事業の用に供した場合には、その取得価額の100分の15(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、100分の25)相当額の特別償却とその認定の日が次の期間のいずれに含まれるかに応じそれぞれ次の金額の特別税額控除との選択適用ができることとする。ただし、特別税額控除額については、当期の税額の100分の20相当額を限度とする。
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地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から平成29年3月31日までの期間 その取得価額の100分の4(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、100分の7)相当額
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平成29年4月1日から平成30年3月31日までの期間 その取得価額の100分の2(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画が移転型計画である場合には、100分の4)相当額
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(5) 雇用者の数が増加した場合の特別税額控除制度について、次のとおり見直しを行うこととする。(租税特別措置法第10条の5、第42条の12の2、第68条の15の3関係)
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青色申告書を提出する事業者で地域再生法の認定事業者であるものが、地域再生法の一部を改正する法律の施行の日から平成30年3月31日までの間に地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定を受けた場合のその認定を受けた日から2年以内の日を含む事業年度において、現行措置の適用要件のうち基準雇用者割合が100分の10以上であることとの要件以外の要件を満たす場合で一定の事業を行っているときは、20万円(現行措置の適用要件の全てを満たす場合には、50万円)に地方事業所基準雇用者数(その地方活力向上地域特定業務施設整備計画に従って地方活力向上地域において整備した地域再生法の特定業務施設のみをその事業者の事業所とみなした場合における基準雇用者数をいい、基準雇用者数を上限とする。)を乗じて計算した金額の特別税額控除ができる措置を講ずる。ただし、特別税額控除額については、現行措置及び上記(4)の特別税額控除措置と合計して当期の税額の100分の30相当額を限度とする。
(注)上記の措置の適用を受ける場合には、現行措置の特別税額控除額の計算の基礎となる基準雇用者数から、この措置の特別税額控除額の計算の基礎となる地方事業所基準雇用者数を控除する。
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青色申告書を提出する事業者で地域再生法の認定事業者であるもののうち上記の措置の適用を受ける又は受けたものが、上記の事業年度のうちその適用を受ける事業年度以後の各事業年度(基準雇用者数又は地方事業所基準雇用者数が零に満たない事業年度以後の事業年度を除く。)において一定の事業を行っている場合には、30万円に地方事業所特別基準雇用者数(一定の集中地域から特定業務施設を地方活力向上地域に移転して整備する事業に関する地方活力向上地域特定業務施設整備計画について認定を受けた事業者の当期以前の各事業年度のうち、その認定を受けた日以後に終了する各事業年度のその地方活力向上地域特定業務施設整備計画に従って地方活力向上地域に移転して整備した特定業務施設のみをその事業者の事業所とみなした場合における基準雇用者数の合計数)を乗じて計算した金額の特別税額控除ができる措置を講ずる。ただし、特別税額控除額については、現行措置及び上記の措置並びに上記(4)の特別税額控除措置と合計して当期の税額の100分の30相当額を限度とする。
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(6) 特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度について、対象となる事業者から認定経営革新等支援機関等を除外し、対象設備を経営の改善に資する資産に限定した上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第10条の5の2、第42条の12の3、第68条の15の4関係)
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(7) 雇用者給与等支給額が増加した場合の特別税額控除制度について、雇用者給与等支給増加額に係る要件である基準雇用者給与等支給額に対する割合につき次の事業者の区分に応じ次の見直しを行うこととする。(租税特別措置法第10条の5の3、第42条の12の4、第68条の15の5関係)
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中小企業者等 平成28年4月1日以後に開始する適用年度について、100分の3以上(現行100分の5以上)とする。
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上記以外の事業者 平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する適用年度について、100分の4以上(現行100分の5以上)とする。
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(8) 船舶の特別償却制度について、対象船舶の要件の見直しに伴い、償却割合が100分の18となる外航船舶を事業の経営の合理化及び環境への負荷の低減に資する外航船舶で日本船舶に該当するものとすることとする。(租税特別措置法第11条、第43条、第68条の16関係)
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(9) 関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度について、対象資産を新設又は増設により取得等をしたものに限定した上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第44条、第68条の19関係)
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(10) 共同利用施設の特別償却制度について、対象資産を一定の規模のものに限定した上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第44条の3、第68条の24関係)
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(11) 特定信頼性向上設備等の特別償却制度における特定信頼性向上設備に係る措置について、償却割合を100分の10(現行100分の15)に引き下げた上、その適用期限を平成28年5月31日まで延長することとする。(租税特別措置法第44条の5、第68条の26関係)
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(12) 特定地域における工業用機械等の特別償却制度について、次のとおり見直しを行うこととする。(租税特別措置法第12条、第45条、第68条の27関係)
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振興山村に係る措置について、山村振興法の改正に伴い、青色申告書を提出する中小企業者が、一定の期間内に、振興山村として指定された地区のうち産業の振興のための取組が積極的に促進される地区においてその地区内で生産されたものを原料等とする製造業等の事業の用に供する一定の設備の取得等をする場合に、その取得等をした設備をその地区内においてその事業の用に供したときは、その設備を構成するもののうち産業振興機械等につき、5年間、普通償却限度額の100分の24(建物等及び構築物については、100分の36)相当額の割増償却ができる措置に改組する。
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半島振興対策実施地域に係る措置について、半島振興法の改正に伴い、半島振興対策実施地域のうち産業の振興のための取組が積極的に促進される地区に係る措置とした上、その適用期限を2年延長する。
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離島振興対策実施地域に係る措置及び奄美群島に係る措置について、その適用期限を2年延長する。
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(13) 医療用機器等の特別償却制度について、対象資産から医療の安全の確保に資する機械装置及び器具備品を除外した上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第12条の2、第45条の2、第68条の29関係)
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(14) 次世代育成支援対策に係る基準適合認定を受けた場合の建物等の割増償却制度について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第13条の2、第46条の2、第68条の33関係)
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対象資産を一般事業主行動計画に記載された建物、建物附属設備、車両運搬具及び器具備品で、次世代育成支援対策に資する一定のものとする。
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償却割合(現行100分の32)について、次の資産の区分に応じそれぞれ次の割合とする。
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イ 建物及び建物附属設備 100分の24(その一般事業主行動計画が常時雇用する労働者数100人以下の一般事業主により届出をされたものである場合には、100分の32)
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ロ 車両運搬具及び器具備品 100分の18(その一般事業主行動計画が常時雇用する労働者数100人以下の一般事業主により届出をされたものである場合には、100分の24)
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青色申告書を提出する事業者が、次世代育成支援対策推進法の特例基準適合認定を受けた場合には、その特例基準適合認定を受けた日以後3年以内に終了する各事業年度終了の日において有する対象資産で事業の用に供されているものについて、その普通償却限度額の100分の15(車両運搬具及び器具備品については、100分の12)相当額の割増償却ができる措置を講ずる。
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(15) 特定再開発建築物等の割増償却制度について、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第14条の2、第47条の2、第68条の35関係)
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都市再開発法の市街地再開発事業によって建築される建築物に係る措置を除外する。
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都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、都市再生緊急整備地域のうち特定都市再生緊急整備地域以外の地域内において行われる都市再生事業により整備される建築物の償却割合を100分の30(現行100分の40)に引き下げる。
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雨水貯留浸透利用施設に係る措置について、下水道法の改正に伴い、対象区域を同法の浸水被害対策区域とし、対象施設から雨水の地下への浸透を図るための構築物を除外する。
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(16) 使用済燃料再処理準備金制度について、適格分割又は適格現物出資により準備金を引き継ぐ等の措置を講ずることとする。(租税特別措置法第57条の3、第68条の53関係)
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(17) 原子力発電施設解体準備金制度について、適格分割又は適格現物出資により準備金を引き継ぐ等の措置を講ずることとする。(租税特別措置法第57条の4、第68条の54関係)
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(18) 農業経営基盤強化準備金制度について、対象となる事業者から農業生産法人以外の特定農業法人を除外し、対象となる事業者に認定新規就農者である個人を加えた上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第24条の2、第61条の2、第68条の64関係)
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(19) 農用地等を取得した場合の課税の特例について、対象となる特定農業用機械等を機械装置、器具備品、一定の農業用施設である建物等、構築物及びソフトウエアとすることとする。(租税特別措置法第24条の3、第61条の3、第68条の65関係)
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(20) 土地の譲渡等がある場合の特別税率の適用除外措置(優良住宅地等のための譲渡等に係る適用除外措置)について、国家戦略特別区域法の認定区域計画に定められている特定事業又はその特定事業の実施に伴い必要となる施設を整備する事業(これらの事業のうち、産業の国際競争力の強化又は国際的な経済活動の拠点の形成に特に資するものとして一定のものに限る。)を行う者に対する土地等の譲渡で、その譲渡に係る土地等がこれらの事業の用に供されるものを加えることとする。(租税特別措置法第62条の3関係)
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(21) 換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例について、完全支配関係がある法人の間で譲渡された譲渡損益調整資産についてその譲渡の後に土地区画整理法の換地処分、第一種市街地再開発事業の権利変換等があったことにより本特例の適用を受ける場合には、その譲渡損益調整資産の譲渡利益額を引き続き計上しないこととする。(租税特別措置法第65条、第68条の72関係)
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(22) 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例における長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物、機械装置等への買換えについて、次のとおり見直しを行った上、その適用期限を平成29年3月31日まで延長することとする。(租税特別措置法第37条~第37条の4、第65条の7~第65条の9、第68条の78~第68条の80関係)
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買換資産から機械装置を除外する。
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地域再生法の集中地域以外の地域から集中地域への買換えに係る課税の繰延べ割合を100分の75(特定業務施設の集積の程度が特に著しく高い集中地域への買換えの場合には、100分の70)(現行100分の80)に引き下げる。
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(23) 特定株式投資信託の収益の分配に係る受取配当等の益金不算入等の特例について、受取配当等の益金不算入制度の見直しに伴い、外国株価指数連動型特定株式投資信託以外の特定株式投資信託の収益の分配の額についてその受益権を非支配目的株式等として、その収益の分配の額の100分の20相当額を益金不算入とする措置とすることとする。(租税特別措置法第67条の6、第68条の103関係)
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(24) 青色申告書を提出する法人で保険業を行うものの各事業年度において、その保有する非支配目的株式等につき支払を受ける配当等の額がある場合には、その非支配目的株式等に係る配当等の額については、その配当等の額の100分の40(本則100分の20)相当額を益金不算入とする措置を講ずることとする。(租税特別措置法第67条の7、第68条の104関係)
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(25) 技術研究組合の所得の計算の特例の適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第66条の10、第68条の94関係)
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(26) 次に掲げる租税特別措置の適用期限を2年延長することとする。
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中小企業者等の法人税率の特例(租税特別措置法第42条の3の2、第68条の8関係)
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倉庫用建物等の割増償却制度(租税特別措置法第15条、第48条、第68条の36関係)
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中小企業等の貸倒引当金の特例における公益法人等又は協同組合等の繰入限度額に係る割増措置(租税特別措置法第57条の9、第68条の59関係)
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(27) 次に掲げる租税特別措置について、所要の経過措置を講じた上、廃止することとする。
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試験研究を行った場合の特別税額控除制度の特例(旧租税特別措置法第10条の2、第42条の4の2、第68条の9の2関係)
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国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却又は特別税額控除制度(旧租税特別措置法第10条の5の2、第42条の12の2、第68条の15の3関係)
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特定農産加工品生産設備等の特別償却制度における新用途米穀加工品等製造設備に係る措置(旧租税特別措置法第11条の3、第44条の4、第68条の25関係)
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支援事業所取引金額が増加した場合の3年以内取得資産の割増償却制度(旧租税特別措置法第13条の2、第46条の2、第68条の32関係)
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認定研究開発事業法人等の課税の特例(旧租税特別措置法第61条、第68条の63の3関係)
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損害保険会社の受取配当等の益金不算入等の特例(旧租税特別措置法第67条の7、第68条の104関係)
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(28) 特定目的会社、投資法人、特定目的信託に係る受託法人及び特定投資信託に係る受託法人に対する法人税に関する法令の規定の適用についての調整規定を各制度において規定すること等の所要の整備を行うこととする。(租税特別措置法第61条の4、第62条の3、第66条の13、第67条の14、第67条の15、第68条の3の2、第68条の3の3関係)
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3 国際課税
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(1) 外国特定目的信託の受託法人の運用財産等に係る利子等の課税の特例について、所要の措置を講じた上、廃止することとする。(租税特別措置法第9条の4関係)
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(注)外国特定目的信託の受託法人が平成28年4月1日前に支払を受けるべき特定国内源泉所得については、なお従前の例による。(附則第55条関係)
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(2) 店頭デリバティブ取引の証拠金に係る利子の非課税制度を次のとおり創設することとする。(租税特別措置法第42条関係)
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外国金融機関等が、国内金融機関等との間で平成30年3月31日までに行う店頭デリバティブ取引に係る証拠金で一定の要件を満たすものにつき、当該国内金融機関等から支払を受ける利子について、所得税を非課税とする。
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外国金融機関等が平成30年3月31日までに行う店頭デリバティブ取引に基づく相手方の債務を金融商品取引清算機関が負担した場合に当該金融商品取引清算機関に対して預託する一定の証拠金又は国内金融機関等が同日までに行う店頭デリバティブ取引に基づく相手方の債務を外国金融商品取引清算機関が負担した場合に当該国内金融機関等に対して預託する証拠金につき、当該外国金融機関等又は当該外国金融商品取引清算機関が支払を受ける利子について、所得税を非課税とする。
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非課税措置の適用手続等について、所要の措置を講ずる。
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(注)上記の改正は、平成27年7月1日から施行する。(附則第1条関係)
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(3) 内国法人等の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例等について、次のとおり見直しを行うこととする。(租税特別措置法第40条の4、第40条の7、第66条の6、第66条の8、第66条の9の2、第66条の9の4、第68条の90、第68条の92、第68条の93の2、第68条の93の4関係)
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適用除外基準の適用がある旨を記載した書面の添付がない確定申告書の提出があり、又はその適用がある旨を明らかにする資料等の保存がない場合においても、税務署長がその添付又は保存がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該書面及び資料等の提出があった場合に限り、適用除外基準を適用することができる。
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(注)上記の改正は、特定外国子会社等の平成27年4月1日以後に開始する事業年度の適用対象金額又は部分適用対象金額につき適用除外基準を適用する場合について適用する。(附則第71条、第83条、第94条関係)
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内国法人が外国子会社から受ける損金算入配当等の額(その受ける剰余金の配当等の額の全部又は一部が当該外国子会社の本店所在地国等の法令において当該外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入することとされている剰余金の配当等の額に該当する場合におけるその剰余金の配当等の額をいう。)がある場合には、その損金算入配当等の額のうち当該内国法人の損金算入配当等の額を受ける日を含む事業年度及び当該事業年度開始の日前10年以内に開始した各事業年度において益金の額に算入された当該外国子会社に係る課税対象金額の合計額に達するまでの金額は、益金の額に算入しない。
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(注)上記の改正は、内国法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度において外国子会社から受ける剰余金の配当等の額について適用する。(附則第83条、第94条関係)
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特殊関係株主等である内国法人等に係る特定外国法人に係る所得の課税の特例について所要の改正を行う。
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その他所要の措置を講ずる。
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4 資産課税
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(1) 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、非課税限度額を次のとおりとした上、その適用期限を平成31年6月30日まで延長することとする。(租税特別措置法第70条の2関係)
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住宅用家屋の新築等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額が、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律第3条の規定による改正後の消費税法第29条に規定する税率により課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額の合計額に相当する額である場合
住宅用家屋の新築等に係る
契約の締結期間省エネルギー性・耐震性・
バリアフリー性を備えた
住宅用家屋左記以外の
住宅用家屋平成28年10月~平成29年9月 3,000万円 2,500万円 平成29年10月~平成30年9月 1,500万円 1,000万円 平成30年10月~平成31年6月 1,200万円 700万円 -
上記以外の場合
住宅用家屋の新築等に係る
契約の締結期間省エネルギー性・耐震性・
バリアフリー性を備えた
住宅用家屋左記以外の
住宅用家屋~平成27年12月 1,500万円 1,000万円 平成28年1月~平成29年9月 1,200万円 700万円 平成29年10月~平成30年9月 1,000万円 500万円 平成30年10月~平成31年6月 800万円 300万円
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(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得をする住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。(附則第97条関係)
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(2) 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、教育資金の支払に充てた金銭の額が一定の金額以下のものについては、領収書等に代え、支払の事実を記載した一定の書類を取扱金融機関に提出することができることとした上、その適用期限を平成31年3月31日まで延長 することとする。(租税特別措置法第70条の2の2関係)
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(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に提出する書類について適用する。(附則第97条関係)
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(3) 次のとおり直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置を創設することとする。(租税特別措置法第70条の2の3関係)
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平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に、個人(結婚・子育て資金管理契約を締結する日において20歳以上50歳未満の者に限る。以下「受贈者」という。)が、その直系尊属と信託会社との間の結婚・子育て資金管理契約に基づき信託受益権を取得した場合、その直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭を結婚・子育て資金管理契約に基づき銀行等の営業所等において預金若しくは貯金として預入をした場合又は結婚・子育て資金管理契約に基づきその直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭若しくはこれに類するもの(以下「金銭等」という。)で金融商品取引業者の営業所等において有価証券を購入した場合には、当該信託受益権、金銭又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税の課税価格に算入しない。
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この特例の適用を受けようとする受贈者は、結婚・子育て資金非課税申告書を取扱金融機関の営業所等を経由し、信託等がされる日までに、当該受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
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この特例の適用を受ける受贈者は、結婚・子育て資金の支払に充てた金銭に係る領収書等を取扱金融機関の営業所等に提出しなければならない。
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取扱金融機関の営業所等は、上記により受贈者から提出を受けた領収書等により払い出した金銭が結婚・子育て資金の支払に充てられたことを確認し、その支払の金額及び年月日を記録するとともに、当該領収書等を受領した日から結婚・子育て資金管理契約が終了した日の属する年の翌年3月15日後6年を経過する日までの間、一定の方法により当該領収書等及び当該記録を保存しなければならない。
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信託等がされた日から結婚・子育て資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、当該死亡した日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(結婚・子育て資金のうち、結婚に関するものについては、300万円を限度とする。において同じ。)を控除した残額については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、相続税法その他相続税に関する法令の規定を適用する。この場合において、当該残額に対応する相続税額については相続税額の2割加算の対象としない。
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結婚・子育て資金管理契約は、次に掲げる事由の区分に応じそれぞれ次に定める日のいずれか早い日に終了するものとする。
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イ 受贈者が50歳に達したこと 当該受贈者が50歳に達した日
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ロ 受贈者が死亡したこと 当該受贈者が死亡した日
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ハ 結婚・子育て資金管理契約に係る信託財産の価額が零となった場合等において受贈者と取扱金融機関との間でこれらの結婚・子育て資金管理契約を終了させる合意があったこと 当該結婚・子育て資金管理契約が当該合意に基づき終了する日
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上記イ又はハに掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合において、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額(上記により相続又は遺贈により取得したものとみなされた額を含む。)を控除した残額があるときは、当該残額については、当該結婚・子育て資金管理契約に係る受贈者の上記イ又はハに定める日の属する年の贈与税の課税価格に算入する。
なお、上記ロに掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合には、当該残額については、贈与税の課税価格に算入しない。
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その他所要の措置を講ずる。
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(4) 特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例について、その適用期限を平成31年6月30日まで延長することとする。(租税特別措置法第70条の3関係)
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(5) 非上場株式等に係る贈与税及び相続税の納税猶予制度について、次の見直しを行うこととする。(租税特別措置法第70条の7~第70条の7の4関係)
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経営贈与承継期間の末日の翌日(経営贈与承継期間内に経営承継受贈者が認定贈与承継会社の代表権を有しないこととなった場合(一定のやむを得ない理由がある場合に限る。)には、その有しないこととなった日)以後に、当該経営承継受贈者が特例受贈非上場株式等の贈与をし、その贈与を受けた者が非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度の適用を受けるときは、当該経営承継受贈者の猶予中贈与税額のうち、その贈与を受けた者が当該納税猶予制度の適用を受ける特例受贈非上場株式等に対応する額を免除する。
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経営承継期間内に経営承継相続人等が認定承継会社の代表権を有しないこととなった場合(一定のやむを得ない理由がある場合に限る。)において、その有しないこととなった日以後に、当該経営承継相続人等が特例非上場株式等の贈与をし、その贈与を受けた者が非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度の適用を受けるときは、当該経営承継相続人等の猶予中相続税額のうち、その贈与を受けた者が当該納税猶予制度の適用を受ける特例受贈非上場株式等に対応する額を免除する。
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その他所要の措置を講ずる。
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(6) 構造改革特別区域法に規定する公社管理道路運営権者が国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律附則第1条第2号に定める日から平成29年3月31日までの間に受ける認定公社管理道路運営事業に係る公共施設等運営権の設定登録に対する登録免許税の税率を、1,000分の0.5(本則1,000分の1)に軽減する措置を講ずることとする。(租税特別措置法第82条関係)
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(7) 認定民間都市再生事業計画に基づき建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、都市再生緊急整備地域内で特定民間都市再生事業の用に供する建築物の建築をした場合の軽減税率を1,000分の3.5(現行1,000分の3)に引き上げた上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第83条関係)
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(8) 特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる不動産の範囲に倉庫及びその敷地を加えた上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第83条の2関係)
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(9) 次に掲げる租税特別措置の適用期限を2年延長することとする。
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土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第72条関係)
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住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第72条の2、第73条、第75条関係)
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利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第77条関係)
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信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第78条関係)
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特例事業者が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第83条の3関係)
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(10) 会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置は、適用期限の到来をもって廃止することとする。(旧租税特別措置法第81条関係)
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5 消費課税
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(1) 入国者が輸入するウイスキー等に係る酒税の税率の特例措置の適用期限を1年延長することとする。(租税特別措置法第87条の5関係)
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(2) 入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長することとする。(租税特別措置法第88条の2関係)
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(3) 沖縄発電用特定石炭等に係る石油石炭税の免税措置の適用期限を5年延長することとする。(租税特別措置法第90条の4の3関係)
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(4) 自動車重量税の免税等の特例措置について、燃費性能に関する要件の見直し等を行った上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第90条の12関係)
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(注)上記の改正により自動車重量税の免税等の特例措置の対象外となる検査自動車について平成29年4月30日までに初めて自動車検査証の交付を受ける場合には、当該自動車検査証の交付に係る自動車重量税については、自動車重量税率の特例措置は適用しないこととする経過措置を講ずる。(附則第99条関係)
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(5) 公共交通移動等円滑化基準に適合した乗合自動車等に係る自動車重量税の免税措置の適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第90条の13関係)
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(6) 衝突被害軽減制動制御装置を装備した乗合自動車等に係る自動車重量税率の特例措置について、対象となる装置に車両安定性制御装置を加える等の見直しを行った上、その適用期限を3年延長することとする。(租税特別措置法第90条の14関係)
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6 その他所要の税制の整備を行うこととする。
九 税理士法の一部改正(第9条関係)
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1 税理士が数人ある場合の調査の通知について、租税の申告書を提出した者が代表する税理士を定めた場合として一定の場合に該当するときは、これらの税理士への調査の通知は、当該代表する税理士に対してすれば足りることとする。(税理士法第34条関係)
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(注)上記の改正は、平成27年7月1日以後にされる調査の通知について適用する。(附則第100条関係)
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2 その他所要の規定の整備を行うこととする。
十 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律の一部改正(第10条関係)
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1 合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関等が、合衆国軍隊の用に供するために国内において行った特定課税仕入れについては、消費税を免除することとする。(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例に関する法律第7条関係)
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2 その他所要の規定の整備を行うこととする。
(注)上記の改正は、平成27年10月1日以後に行う特定課税仕入れについて適用する。
十一 内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の一部改正(第11条関係)
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1 国外送金等に係る告知書を提出する者等の本人確認の方法について、本人確認書類を提示する方法に代えて、その提出者である個人の署名用電子証明書その他の電磁的記録を送信する方法によることができることとする。(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第3条、第4条の2関係)
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(注)上記の改正は、番号利用法整備法附則第3号に掲げる規定の施行の日以後に告知書を提出する場合について適用する。(附則第101条関係)
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2 財産債務明細書の提出制度を見直し、財産債務調書の提出制度を次のとおり創設することとする。
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(1) 財産債務調書の提出
所得税の確定申告書を提出すべき者は、その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日においてその価額の合計額が3億円以上の財産又は1億円以上の国外転出特例対象財産を有する場合には、その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した調書(以下「財産債務調書」という。)を、翌年の3月15日までに、所轄税務署長に提出しなければならない。(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条の2関係)
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(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用する。(附則第101条関係)
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(2) 過少申告加算税等の特例
財産若しくは債務に係る所得税(以下「財産債務に係る所得税」という。)又は財産に対する相続税について修正申告等があった場合の過少申告加算税又は無申告加算税について、次の措置を講ずる。(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条の3関係)
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財産債務調書の提出がある場合の過少申告加算税等の軽減
財産債務に係る所得税又は財産に対する相続税について修正申告等があった場合において、提出された財産債務調書に当該修正申告等の基因となる財産又は債務についての記載があるときは、過少申告加算税又は無申告加算税の額は、通常課されるこれらの加算税額から当該過少申告加算税又は無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(当該修正申告等の基因となる財産又は債務に係るものに限る。において同じ。)の100分の5に相当する金額を控除した金額とする。
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財産債務調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重
財産債務に係る所得税について修正申告等があった場合において、財産債務調書の提出がないとき、又は提出された財産債務調書に当該修正申告等の基因となる財産若しくは債務についての記載がないとき(記載が不十分と認められるときを含む。)は、過少申告加算税又は無申告加算税の額は、通常課されるこれらの加算税額に、当該過少申告加算税又は無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額の100分の5に相当する金額を加算した金額とする。
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(注)上記の改正は、平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書に係る財産債務に係る所得税又は財産に対する相続税について適用する。(附則第101条関係)
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(3) その他所要の規定の整備を行うこととする。
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十二 一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律の一部改正(第12条関係)
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1 紙巻たばこ三級品に係るたばこ特別税の特例税率(現行389円/千本)を廃止することとする。(一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律第8条関係)
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(注)上記の改正は、平成28年4月1日から施行する。(附則第1条関係)
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2 次の税率改正の日以後の紙巻たばこ三級品に係るたばこ特別税の税率について、それぞれ次の税率とする措置を講ずることとする。(附則第103条関係)
税率改正の日 平成28年4月1日 平成29年4月1日 平成30年4月1日 平成31年4月1日 税率
(千本当たり)456円 523円 624円 820円 -
3 その他
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(1) 上記の税率改正の日において、製造たばこの製造場又は保税地域以外の場所で、紙巻たばこ三級品を販売のため所持する製造たばこの製造者又は販売業者のうち、たばこ税の手持品課税の適用を受ける者に対して、たばこ特別税の手持品課税を行うこととする。(附則第105条関係)
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(2) その他所要の措置を講ずることとする。
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十三 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部改正(第13条関係)
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1 個人所得課税
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(1) 東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例について適用期限(平成29年12月31日)を平成31年6月30日まで1年6月延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第13条の2関係)
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(2) その他所要の規定の整備を行うこととする。
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2 法人課税
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(1) 福島再開投資等準備金制度の創設
福島復興再生特別措置法の改正に伴い、避難解除等区域復興再生推進事業実施計画の認定を受けた事業者が、その認定に係る避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業を実施するために必要な資金の調達に要する期間(以下「積立期間」という。)内の日を含む各事業年度において、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に係る避難解除等区域復興再生推進事業の用に供する施設又は設備の新設、増設、更新又は修繕に要する費用の支出に充てるため、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載されたその支出に充てるために積み立てる資金の総額の2分の1相当額以下の金額を福島再開投資等準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できる措置を講ずる。
この準備金は、企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却制度の適用を受ける場合にはその適用を受ける特定機械装置等の特別償却実施額に相当する金額を取り崩すほか、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日を含む事業年度の翌事業年度から3年間でその2年を経過する日を含む事業年度終了の時における準備金残高の均等額を取り崩して、益金算入する。
上記に伴い、福島再開投資等準備金を積み立てている事業者の積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日が、その避難解除等区域復興再生推進事業実施計画に記載された避難解除等区域復興再生推進事業に係る事務所等の所在する避難解除区域等に係る企業立地促進計画の提出のあった日又は避難指示の全てが解除された日のいずれか遅い日以後5年を経過する日より後である場合には、その事業者に係る企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は特別税額控除制度の適用期間の末日は、その積立期間の末日の翌日以後2年を経過する日とする。ただし、その5年を経過する日後に取得等をした特定機械装置等については、一定の規模以上のものに限り、同制度を適用できることとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第11条の3の2、第18条の8、第26条の8関係)
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(2) その他所要の規定の整備を行うこととする。
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3 資産課税
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(1) 東日本大震災の被災者が直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、非課税限度額を次のとおりとした上、その適用期限を平成31年6月30日まで延長することとする。(東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第38条の2関係)
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住宅用家屋の新築等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額が、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律第3条の規定による改正後の消費税法第29条に規定する税率により課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額の合計額に相当する額である場合
住宅用家屋の新築等に係る
契約の締結期間省エネルギー性・耐震性・
バリアフリー性を備えた
住宅用家屋左記以外の
住宅用家屋平成28年10月~平成29年9月 3,000万円 2,500万円 平成29年10月~平成31年6月 1,500万円 1,000万円 -
上記以外の場合
住宅用家屋の新築等に係る
契約の締結期間省エネルギー性・耐震性・
バリアフリー性を備えた
住宅用家屋左記以外の
住宅用家屋~平成31年6月 1,500万円 1,000万円
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(注)上記の改正は、平成27年1月1日以後に贈与により取得をする住宅取得等資金に係る贈与税について適用する。(附則第110条関係)
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十四 東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部改正
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1 復興特別所得税について、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設に伴う所要の整備を行うこととする。(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法第18条、第20条の2、第21条関係)
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2 その他所要の規定の整備を行うこととする。
十五 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正(第15条関係)
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1 番号利用法整備法附則第3号に掲げる規定の施行の日前に特定口座開設届出書を提出して特定口座を開設した者が、その特定口座を開設している金融商品取引業者等の営業所の長にその者の個人番号を告知する場合には、個人番号カード等を提示する方法に代えて、その者の署名用電子証明書その他の電磁的記録を送信する方法によることができることとする。(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第8条、第25条関係)
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2 その他所要の規定の整備を行うこととする。
十六 所得税法等の一部を改正する法律(平成22年法律第6号)の一部改正(第16条関係)
特定目的会社に係る課税の特例について、平成22年4月1日前に設立された特定目的会社のうち平成27年3月31日までに業務開始届出をしていないものに対して、同年4月1日以後に終了する事業年度について、特定出資に係る国内募集割合要件を適用することとする。(所得税法等の一部を改正する法律附則第96条関係)
十七 経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第114号)の一部改正(第17条関係)
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1 平成24年4月1日前に更生手続開始の決定があったこと等の事実が生じた場合の欠損金の繰越し等に関する経過措置を廃止することとする。(経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律附則第14条、第22条関係)
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2 その他所要の規定の整備を行うこととする。
十八 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成24年法律第68号)の一部改正(第18条関係)
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1 消費税率の7.8%への引上げの施行日を平成29年4月1日とすることとする。(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第1条関係)
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2 附則第18条第3項(景気判断条項)を削除することとする。(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第18条関係)
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3 その他所要の規定の整備を行うこととする。
十九 所得税法等の一部を改正する法律(平成26年法律第10号)の一部改正(第19条関係)
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1 給与等に係る源泉徴収税額の計算において非居住者である親族に係る扶養控除等に相当する控除の適用を受ける居住者は一定の書類を提出等しなければならないこととすることに伴い、給与所得の源泉徴収税額表等の改正規定について、所要の規定の整備を行うこととする。(所得税法等の一部を改正する法律第2条関係)
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2 その他所要の規定の整備を行うこととする。
二十 施行期日
この法律は、別段の定めがあるものを除き、平成27年4月1日から施行することとする。(附則第1条関係)