平成27年2月
財務省
一 政府保有株式の処分
政府は、その保有する株式会社日本政策投資銀行(以下「会社」という。)の株式について、会社の目的の達成に与える影響及び市場の動向を踏まえつつその縮減を図り、できる限り早期にその全部を処分することとする。
(附則第2条関係)
二 危機対応業務
1.危機対応業務を行う責務
会社は、その目的を達成するため、当分の間、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害等による被害に対処するための資金を必要とする者に対し円滑に資金が供給されるよう、下記二4、二5等に定めるところにより、危機対応業務を行う責務を有することとする。
(附則第2条の7関係)
2.株式の政府保有
政府は、当分の間、会社による危機対応業務の適確な実施を確保する観点から、会社の発行済株式の総数の3分の1を超える株式を保有していなければならないこととする。
(附則第2条の8関係)
3.政府の出資
政府は、当分の間、会社による危機対応業務の適確な実施のために必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、会社に出資することができることとする。
(附則第2条の9関係)
4.業務の実施
会社は、本店その他の財務大臣が指定する営業所において、天災その他のやむを得ない理由により臨時に危機対応業務の全部又は一部を休止する場合を除き、危機対応業務を休止し、又は廃止してはならないこととする。
(附則第2条の10関係)
5.事業計画の特則等
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(1) 会社は、財務省令で定めるところにより、第17条の事業計画に危機対応業務の実施方針を記載しなければならないこととする。
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(2) 会社は、財務省令で定めるところにより、第21条の事業報告書に上記(1)の実施方針に基づく危機対応業務の実施状況を記載しなければならないこととする。
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(3) 会社の定款には、危機対応業務の適確な実施に関する事項を記載し、又は記録しなければならないこととする。
(附則第2条の11関係)
三 特定投資業務
1.定義等
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(1) 会社は、その目的を達成するため、特定投資業務を行うこととする。
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(2) 「特定投資業務」とは、我が国の事業者が、その有する経営資源を有効に活用し、新事業開拓又は異分野連携等の経営の革新を行うことにより、生産性又は収益性を向上させることを目指して行う事業活動等に対する資金の出資等の資金供給の業務のうち、地域経済の自立的発展に資する地域の特性を生かした事業活動の活性化又は我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展に資する我が国の企業の競争力の強化並びに金融機関等による資金供給の促進に特に寄与すると認められる業務であって、平成32年度末までに資金供給の対象等を決定するもの及びこれに附帯する業務をいうこととする。
(附則第2条の12関係)
2.株式の政府保有
政府は、会社が特定投資業務を完了するまでの間、会社による特定投資業務の適確な実施を確保する観点から、会社の発行済株式の総数の2分の1以上に当たる株式を保有していなければならないこととする。
(附則第2条の13関係)
3.政府の出資
政府は、平成32年度末までの間、会社による特定投資業務の適確な実施のために必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、会社に出資することができることとする。
(附則第2条の14関係)
4.一般の金融機関が行う金融等の補完又は奨励
会社は、特定投資業務を行うに当たっては、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励することを旨とすることとする。
(附則第2条の15関係)
5.特定投資指針
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(1) 財務大臣は、会社が特定投資業務を行うに当たって従うべき指針を定め、これを公表することとする。
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(2) 特定投資指針は、特定投資業務による資金供給の対象等を決定するに当たって従うべき基準、特定投資業務に関する財務の適正な管理に関する事項、特定投資業務の実施状況について評価及び監視を行うための体制に関する事項等について定めることとする。
(附則第2条の16関係)
6.特定投資業務規程
会社は、財務省令で定める特定投資業務の実施に関する事項について、特定投資指針に即して、特定投資業務に関する規程を定め、財務大臣の認可を受けなければならないこととする。
(附則第2条の17関係)
7.事業計画の特則等
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(1) 会社は、財務省令で定めるところにより、特定投資業務を完了するまでの間、第17条の事業計画に特定投資業務の実施方針を記載しなければならないこととする。
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(2) 会社は、財務省令で定めるところにより、特定投資業務を完了した日を含む事業年度までの各事業年度に係る第21条の事業報告書に上記(1)の実施方針に基づく特定投資業務の実施状況を記載しなければならないこととする。
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(3) 会社の定款には、特定投資業務を完了するまでの間、特定投資業務の適確な実施に関する事項を記載し、又は記録しなければならないこととする。
(附則第2条の18関係)
8.業務の完了
会社は、経済情勢、特定投資業務による資金供給の対象となった事業者の事業の状況その他の事情を考慮しつつ、平成37年度末までに、特定投資業務において保有する全ての有価証券及び債権の譲渡その他の処分を行い、特定投資業務を完了するように努めなければならないこととする。
(附則第2条の20関係)
四 その他
1.適正な競争関係の確保
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(1) 会社は、当分の間、その業務を行うに当たっては、他の事業者との間の適正な競争関係を阻害することのないよう特に配慮しなければならないこととする。
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(2) 会社は、財務省令で定めるところにより、当分の間、第17条の事業計画に他の事業者との間の適正な競争関係の確保に係る方針を記載しなければならないこととする。
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(3) 会社は、財務省令で定めるところにより、当分の間、第21条の事業報告書に上記(2)の方針に基づく業務の実施状況を記載しなければならないこととする。
(附則第2条の21関係)
2.危機対応業務及び特定投資業務に関する計算
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(1) 会社は、危機対応準備金を設け、上記二3により政府が出資した金額をもってこれに充てることとする。
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(2) 会社は、特定投資準備金を設け、上記三3により政府が出資した金額及び会社が剰余金等の額を減少した金額をもってこれに充てるとともに、特定投資剰余金を設け、毎事業年度の特定投資業務に係る損益計算上生じた利益又は損失の金額を計上することとする。
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(3) 会社は、危機対応業務の適確な実施のために必要な財政基盤が十分に確保されるに至ったと認める場合には、危機対応準備金の額の全部又は一部に相当する金額を国庫に納付することとする。
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(4) 会社は、特定投資業務の実施状況及び財務状況を勘案し、特定投資業務を適確に実施するために必要がないと認める場合には、特定投資準備金又は特定投資剰余金の額の全部又は一部を減少することができることとする。この場合においては、当該減少額のうち国庫に帰属すべき額に相当する金額として財務省令で定めるところにより算定した額を国庫に納付することとする。
(附則第2条の22~第2条の30関係)
五 附則
1.施行期日
この法律は、公布の日から施行することとする。
(改正法附則第1条関係)
2.経過措置
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(1) 会社は、当分の間、危機対応業務に係る資産の増加に応じて必要となる資本の額として財務省令で定めるところにより計算した金額を限り、この法律による改正前の株式会社日本政策投資銀行法附則第2条の3の規定により交付された国債の償還を請求することができることとする。
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(2) その他所要の経過措置を整備することとする。
(改正法附則第2条~第6条関係)
3.簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律の一部改正
上記一の政府の保有する株式を処分する時期の変更に伴う簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律(平成18年法律第47号)の所要の規定の整備を行うこととする。
(改正法附則第7条、第8条関係)
4.検討
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(1) 危機対応業務
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政府は、この法律の施行後適当な時期において、指定金融機関に係る制度の運用の状況、会社による危機対応業務の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害等による被害に対処するための資金を必要とする者に対し円滑に資金が供給されることを確保する観点から、会社による危機対応業務の在り方及びこれを踏まえた会社に対する国の関与の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとする。
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政府は、上記の検討の結果、会社の株式の保有に関する義務その他の会社による危機対応業務の適確な実施を確保するための措置を継続する必要がないと認めるときは、速やかに、当該措置を廃止するために必要な法制上の措置を講ずることとする。
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(2) 特定投資業務
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政府は、この法律の施行後適当な時期において、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資の状況、会社による特定投資業務の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、我が国経済の持続的な成長に資する長期資金等の供給の一層の促進を図る観点から、会社による特定投資業務の在り方及びこれを踏まえた会社に対する国の関与の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとする。
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(3) 政府は、上記(1)及び(2)の検討を行うに当たっては、一般の金融機関を代表する者その他の関係者の意見を聴かなければならないこととする。
(改正法附則第9条、第10条関係)