東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号。以下「復興財源確保法」という。)附則第17条第1項の規定を踏まえ、東日本大震災復興特別会計を設置することとし、その目的、管理及び経理等について定めることとする。
1 総則
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(1)設置
東日本大震災復興特別会計を設置することとする。(第2条関係)
2 各特別会計
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(1)東日本大震災復興特別会計から必要な金額を繰り入れて復興費用の支出を行う交付税及び譲与税配付金特別会計等の歳入規定に、東日本大震災復興特別会計からの繰入金を追加することとする。(第23条、第88条、第99条、第162条、第201条、原始附則第65条の2、第231条関係)
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(2)東日本大震災復興特別会計から繰入れを行うことに伴い、所要の規定の整備を行うこととする。(第105条、第198条、第204条関係)
3 東日本大震災復興特別会計
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(1)目的(第222条関係)
東日本大震災復興特別会計は、東日本大震災からの復興に係る国の資金の流れの透明化を図るとともに復興債の償還を適切に管理するため、復興事業に関する経理を明確にすることを目的とすることとする。
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(2)管理(第223条関係)
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東日本大震災復興特別会計は、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣が、法令で定めるところに従い、管理することとする。
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東日本大震災復興特別会計の管理に関する事務は、政令で定めるところにより、復興に関する事業を統括する復興庁の長である内閣総理大臣(内閣総理大臣から委任を受けた場合には復興大臣)が同会計全体の計算整理に関するものを行い、その他のものについては所掌事務の区分に応じ所管大臣の全部又は一部が行うこととする。
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(3)歳入及び歳出(第224条関係)
東日本大震災復興特別会計の歳入は、復興特別所得税及び復興特別法人税の収入、一般会計からの繰入金、復興債の発行収入金等とし、東日本大震災復興特別会計の歳出は、復興事業に要する費用、各特別会計への繰入金、復興債の償還金及び利子、復興債の発行及び償還に関する諸費等とすることとする。
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(4)歳入歳出予算の区分の特例(第226条関係)
東日本大震災復興特別会計の歳入歳出予算は、歳入にあってはその性質に従って款及び項に、歳出にあってはその支出に関係のある部局等の組織の別に区分し、その部局等内においては、その目的に従ってこれを項に区分しなければならないこととする。
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(5)一般会計からの繰入れの特例(第227条関係)
復興費用及び復興債の償還費用に充てるために必要がある場合には、復興財源確保法第2条の規定により確保するものとされた財源の範囲内で、毎会計年度、予算で定める金額を限り、一般会計から東日本大震災復興特別会計に繰り入れることができることとする。
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(6)復興債の発行(第228条関係)
復興財源確保法第69条第4項の規定により行う復興債の発行は、東日本大震災復興特別会計の負担において行うこととする。
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(7)他の特別会計への繰入れ(第229条関係)
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各特別会計における復興費用の支出に必要な金額は、毎会計年度、東日本大震災復興特別会計から各特別会計に繰り入れなければならないこととする。
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復興債の償還金(借換国債を発行した場合においては、当該借換国債の収入をもって充てられる部分を除く。)及び利子並びに発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、東日本大震災復興特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れなければならないこととする。
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(8)剰余金の処理の特例(第230条関係)
東日本大震災復興特別会計において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合には、剰余金の処理に係る第8条第2項の規定は、適用しないこととする。
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(9)東日本大震災復興特別会計からの繰入金の過不足の調整(第231条関係)
各特別会計において、毎会計年度東日本大震災復興特別会計から受け入れた金額が、当該年度における第229条第1項の規定による繰入金として東日本大震災復興特別会計から受け入れるべき金額に対して超過し、又は不足する場合における調整について規定することとする。
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(10)一時借入金の借換え(第233条関係)
東日本大震災復興特別会計において、歳入不足のために一時借入金を償還することができない場合には、その償還することができない金額を限り、同会計の負担において、一時借入金の借換えをすることができることとする。また、この借り換えた一時借入金は、その借換えをしたときから、一年内に償還しなければならないこととする。
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(11)歳入歳出予定計算書等の添付書類の特例(第225条、第232条関係)
東日本大震災復興特別会計においては、歳入歳出予定計算書等に積立金明細表等の書類を添付することを要しないこととする。
4 附則関係
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(1)施行期日(附則第1条関係)
この法律は、平成24年4月1日から施行し、平成24年度の予算から適用することとする。
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(2)東日本大震災復興特別会計の廃止等(附則第2条関係)
東日本大震災復興特別会計は、復興庁が廃止されたときは、別に法律で定めるところにより、廃止するものとし、政府は、東日本大震災復興特別会計が廃止されるときは、復興事業の進捗状況等を踏まえ、復興事業に関する経理の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとする。
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(3)権利義務の帰属等に関する経過措置(附則第3条、第4条関係)
この法律の施行の際一般会計に所属する権利義務であって、次に掲げるものは、東日本大震災復興特別会計に帰属することとする。
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平成23年度の一般会計補正予算(第3号)に計上された費用のうち、復興財源確保法第69条第5項の規定により国会の議決を受けた復興費用に関する権利義務(繰り越して使用することとされたものに関する権利義務を除く。)
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財政法第15条第1項又は第2項の規定により国が負担した債務のうち復興事業に関するもの(当該債務を負担する行為により支出すべき費用について繰り越して使用することとされたものに関する債務を除く。)
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国が東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成23年法律第40号)第143条第1項の規定により同法の規定に基づく補助金の交付その他の財政援助を行った場合に、当該財政援助に係る額に相当する額の限度において原子力事業者に対して求償する権利
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国が平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律(平成23年法律第91号)第3条第1項の規定による仮払金を支払った場合に取得する特定原子力損害の賠償請求権
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平成23年度に一般会計において発行した復興債に関する権利義務(復興財源確保法第70条の規定により行われる復興債の発行は、一般会計の負担において行うこととし、当該公債に関する権利義務は、平成24年7月1日において、東日本大震災復興特別会計に帰属することとする。)
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(4)平成23年度の一般会計補正予算(第3号)に係る経過措置(附則第5条~第7条関係)
平成23年度の一般会計補正予算(第3号)に計上された復興費用に関する経費に係る調整について規定することとする。
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(5)その他、関係法律について所要の改正を行うこととする。(附則第8条~第11条関係)