このページの本文へ移動

株式会社国際協力銀行法案要綱

株式会社国際協力銀行法案要綱

我が国の産業の国際競争力の維持又は向上を図るために重要な海外の案件に対する民間企業の取組をより有効に支援するため、株式会社日本政策金融公庫の部門である国際協力銀行について、その機能を強化し同公庫から独立した政策金融機関とするため、次により株式会社国際協力銀行法を制定することとする。

一 総則

  • 1.株式会社国際協力銀行(以下「会社」という。)は、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得を促進し、我が国の産業の国際競争力の維持及び向上を図り、並びに地球温暖化の防止等の地球環境の保全を目的とする海外における事業を促進するための金融の機能を担うとともに、国際金融秩序の混乱の防止又はその被害への対処に必要な金融を行い、もって我が国及び国際経済社会の健全な発展に寄与することを目的とすることとする。

    (第1条関係)

  • 2.政府は、常時、会社の発行済株式の総数を保有していなければならないこととする。

    (第3条関係)

  • 3.政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、会社に出資することができることとする。

    (第4条関係)

  • 4.会社でない者は、その名称中に国際協力銀行という文字を用いてはならないこととする。

    (第5条関係)

二 役員及び職員

  • 1.会社の役員等の選任及び解任の決議は、財務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じないこととする。

    (第6条関係)

  • 2.役員等の欠格条項、兼職禁止及び秘密保持義務等について所要の規定を整備することとする。

    (第7条~第10条関係)

三 業務

  • 1.会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行うこととする。

    • (1) 設備の輸出等のために必要な資金の貸付け等を行うこととする。

    • (2) 重要物資の輸入等が確実かつ適時に行われるために必要な資金の貸付け等を行うこととする。

    • (3) 我が国の法人等、外国政府等又は出資外国法人等が海外において行う事業に直接又は間接に充てられる資金の貸付け等を行うこととする。

    • (4) 外国政府等、外国金融機関等若しくは国際通貨基金その他の国際機関に対して、その海外で行う事業等に必要な長期資金又は当該外国の国際収支の均衡等を図るために必要な資金の貸付け等を行うこととする。

    • (5) 外国の政府等において輸入その他の対外取引を行うことが著しく困難であり、かつ、緊急の必要があると認められる場合において、国際通貨基金等が経済支援金の供与を行うまでの間、当該輸入その他の対外取引の円滑化を図るために必要な短期資金を貸し付けることとする。

    • (6) 海外で事業を行う者に対して当該事業に必要な資金を出資することとする。

    • (7) (1)から(6)までに掲げる業務に関連して必要な調査を行うこととする。

    • (8) 会社の行う業務の利用者に対して、その業務に関連する情報の提供を行うこととする。

    • (9) (1)から(8)までに掲げる業務に附帯する業務を行うこととする。

    (第11条関係)

  • 2.上記1に掲げる業務のうち、次に掲げるものについて、会社が行うことができる業務の範囲に係る規定を整備することとする。

    • (1) 上記1の(1)に掲げる業務のうち、開発途上地域以外の地域を仕向地とする設備の輸出等に係るもの及び我が国の法人等に対する資金に係るもの

    • (2) 上記1の(2)に掲げる業務のうち、我が国にとって重要な資源の海外における開発及び取得の促進のために行うもの以外のもの

    • (3) 上記1の(3)に掲げる業務のうち、短期資金に係るもの、我が国の法人等が海外において行う事業に必要な資金を貸し付けるもの、我が国の法人等に対する貸付けであって、中小企業者等以外のものに対するもの及び開発途上地域以外の地域における事業に係るもの

    • (4) 上記1の(5)の規定による外国の政府等に対する貸付け

    • (5) 上記1の(1)から(4)までに掲げる業務のうち、我が国の法人等以外の者の債務に係る債務の保証等及び公社債等の取得

    • (6) 上記1の(1)から(4)までに掲げる業務のうち、貸付け又は譲り受けようとする貸付債権に係る貸付けが協調融資である場合に限るもの

    • (7) 上記1の(7)に掲げる業務

    (第12条関係)

  • 3.1の(1)から(6)までの規定による資金の貸付け等は、当該貸付けに係る資金の償還等が確実であると認められる場合に限り、行うことができるものとし、貸付金の利率等は、会社の収入がその支出を償うに足るように、銀行等の取引の通常の条件等を勘案して定めることとする。

    (第13条関係)

  • 4.会社は、その業務の一部を他の法人に委託することができることとする。

    (第14条関係)

四 財務及び会計

  • 1.予算及び決算

    • (1) 会社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わることとする。

    • (2) 会社は、毎事業年度、収入及び支出の予算を作成し、これを財務大臣に提出しなければならないものとし、閣議の決定を経て、内閣はその予算を国の予算とともに国会に提出しなければならないものとすることその他所要の規定を整備することとする。

    • (3) 会社の予算の国会の議決に関しては、国の予算の議決の例によるものとし、予備費、補正予算及び暫定予算に関する規定その他所要の規定を整備することとする。

    • (4) 会社は、毎事業年度終了後三月以内に、貸借対照表等及び事業報告書を財務大臣に提出しなければならないこととする。

    • (5) 会社は、毎事業年度の決算報告書を作成し、財務大臣に提出しなければならないものとし、会計検査院の検査を経て、内閣はその決算報告書を国の歳入歳出決算とともに国会に提出しなければならないものとすることその他所要の規定を整備することとする。

    • (6) 会社は、年度内に支払の原因となる行為をし、避け難い事故のため年度内に支払を終わらなかった支出金に係る支出予算は、財務大臣の承認を受けて、翌年度に繰り越して使用することができることとする。

    • (7) 会社は、毎事業年度の決算において計上した剰余金の額が零を上回るときは、当該剰余金のうち政令で定める基準により計算した額を準備金として政令で定める額となるまで積み立て、なお残余があるときは、その残余の額を当該事業年度終了後三月以内に国庫に納付しなければならないものとし、毎事業年度の決算において計上した剰余金の額が零を下回るときは、前項の準備金を当該剰余金の額が零となるまで取り崩して整理しなければならないこととする。

    (第15条~第31条関係)

  • 2.借入金、社債の発行等

    • (1) 政府は、会社に対して資金の貸付けをすることができることとする。

    • (2) 会社がその業務を行うために必要な資金の財源に充てるために行う資金の借入れの現在額及び会社が発行する社債の元本に係る債務の現在額の合計額は、会社の資本金及び準備金の額の合計額の十倍に相当する額を超えることとなってはならないものとし、会社が行う資金の貸付け等の現在額の合計額は、会社の資本金及び準備金の額の合計額の十一倍を超えることとなってはならないこととする。

    • (3) 会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有することとする。

    • (4) 政府は、予算をもって定める金額の範囲内において、会社の社債に係る債務について、保証契約をすることができることとする。

    • (5) 会社は、業務上の余裕金を所定の資産以外の資産に運用してはならないこととする。

    (第32条~36条関係)

五 雑則及び罰則

  • 1.財務大臣は、この法律の定めるところに従い会社を監督するものとし、必要があると認めるときは、その業務に関し監督上必要な命令をすることができることとする。

    (第38条関係)

  • 2.財務大臣は、会社若しくは受託法人に対して報告をさせ、又はその職員に、会社等の事務所等への立入検査をさせることができるものとし、財務大臣はその権限の一部を内閣総理大臣等に委任することができることとする。

    (第39条・第40条関係)

  • 3.会社の定款には、代表取締役又は代表執行役のうち経営責任を担うべき者の選任の手続及び要件に関する事項を記載し、又は記録しなければならないこととする。

    (第41条関係)

  • 4.会社を当事者とする合併、会社分割、株式交換、事業の全部又は一部の譲渡及び譲受け並びに会社の解散については、別に法律で定めることとする。

    (第42条関係)

  • 5.会社が行う業務に関して、金融商品取引法の適用除外について所要の規定を整備することとする。

    (第43条関係)

  • 6.会社の役職員について所要の罰則を整備することとする。

    (第44条~第47条関係)

六 附則

  • 1.この法律は、公布の日から施行することとする。ただし、株式会社日本政策金融公庫法等の改正及び当該改正に伴う経過措置の規定等は、平成二十四年四月一日から施行することとする。

    (附則第1条関係)

  • 2.財務大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせるものとすること等会社の設立の手続等に関し必要な事項について定めることとする。

    (附則第2条~第11条関係)

  • 3.会社の成立の時において現に株式会社日本政策金融公庫が有する権利及び義務のうち、国際協力銀行業務等に係るものは、国が承継する資産を除き、その時において会社が承継することとする。

    (附則第12条関係)

  • 4.承継される財産の評価に関すること等権利及び義務の承継に伴う所要の経過措置を整備するとともに、株式会社日本政策金融公庫法等を改正するほか、これに伴う所要の経過措置を整備することとする。

    (附則第13条~第18条、第20条~第51条関係)

  • 5.株式会社日本政策金融公庫は、会社がその成立の時において業務を円滑に開始するため、会社の成立までの間、会社の業務の一部を行うことができることとする。

    (附則第19条関係)

  • 6.政府は、会社の業務の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて業務の廃止その他の所要の措置を講ずることとする。

    (附則第52条関係)