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所得税法等の一部を改正する法律案の概要

所得税法等の一部を改正する法律案の概要

 

 最近の社会経済情勢及び財政状況を踏まえ、持続的な経済社会の活性化を実現するための「あるべき税制」の構築に向け、住宅・土地税制、中小企業関連税制、金融・証券税制、年金税制、法人税制、国際課税等について適切な措置を講ずる。
 
(参 考1) 平成16年度においても、国・地方を合わせ6兆円を相当上回る個人所得課税及び法人課税の恒久的な減税が継続している。
(参 考2)平成15年度税制改正で講じられた措置の実施により、平成16年度においては約1.5兆円のネット減税が先行する。
 
住宅・土地税制
〔住宅ローン減税等〕
 住宅ローン減税の延長
 平成16年居住分について平成15年分と同じ制度とし、平成17年分から平成20年分については減税措置を重点化しながら延長する。


 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の拡充
譲渡資産に係る住宅ローンの残高がない場合を適用対象に追加したうえ、適用期限を3年延長する。


 居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度の創設
 居住用財産の譲渡損失のうち、譲渡資産に係る住宅ローンの残高が譲渡価額を超える場合のその差額を限度として、譲渡損失の繰越控除を認める制度を創設する。
〔土地税制〕
 土地、建物の長期譲渡所得の税率等
 長期譲渡所得に対する税率を15%(個人住民税を含め20%)に引き下げる。
   優良住宅地の造成等のための軽減税率を10%(譲渡益2,000万円以下の部分、個人住民税を含め14%)に引き下げたうえ、適用期限を5年延長する。
   長期譲渡所得の100万円特別控除を廃止する。


 土地、建物の短期譲渡所得に対する税率を引き下げ、一律30%(個人住民税を含め39%)とする。


 土地、建物の譲渡所得と他の所得との損益通算を廃止する。


 


) これらの改正のうち、税率の引下げは平成16年1月1日以後の譲渡について適用し、100万円特別控除の廃止及び損益通算の廃止は平成16年分以後の所得税について適用する。
   
中小企業関連税制
 非上場株式の譲渡益に対する税率を15%(個人住民税を含め20%)に引き下げる。


 エンジェル税制について、適用対象となる特定中小会社の範囲に一定のグリーンシート銘柄会社や一定のベンチャーファンドを通じて投資される会社を追加する等制度を拡充する。


 相続税の課税価格の特例の対象となる中小同族株式等の価額の上限を10億円(現行3億円)に引き上げる。


 相続により取得した非上場株式を相続税納付のためにその発行会社に譲渡した場合について、みなし配当課税を行わず譲渡益課税の対象とする。
 
金融・証券税制
 公募株式投資信託の譲渡益課税を、以下のとおり、上場株式等並みに軽減する。
 
 譲渡益に対して7%(個人住民税を含め10%)の優遇税率を適用する。
 譲渡損失の繰越控除制度(3年)の対象に追加する。
 特定口座における管理を可能にする。


 非上場株式の譲渡益に対する税率を15%(個人住民税を含め20%)に引き下げる。(再掲)


 特定口座を開設することができる主体に銀行等を追加する。
 
年金税制
 公的年金等控除及び老年者控除について、以下の改正を行う。
 
 公的年金等控除の65歳以上の者の上乗せ措置を廃止する。
 老年者控除を廃止する。
 65歳以上の者の公的年金等控除の最低保障額を50万円加算して120万円とする特例措置を講ずる。
 
(注1)  課税最低限(65歳以上の夫婦世帯):205.3万円
モデル年金:(夫)203.5万円、(妻)79.7万円
(注2)  これらの改正は平成17年分以後の所得税について適用する。
 
法人税制
 欠損金の繰越期間の延長
   欠損金の繰越期間を5年から7年に延長する。
     (注 )上記の改正は、平成13年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金額について適用する。
   上記に併せ、法人税に係る除斥期間を延長する。


 連結付加税を廃止する。
 
国際課税
 日米租税条約の改正を契機にわが国の租税条約に関する基本方針を転換したことを踏まえ、今後、他国との租税条約の見直しを進める。そのために関連国内法の見直しを行う。
   条約相手国との間で課税上の取扱いが異なる事業体に対する課税関係及び適用手続を定める。
   濫用防止の観点から、条約の特典が付与される適格な条約相手国の居住者に関する手続を定める。