覚書
国と地方の財政状況、地方交付税法第六条の三第二項等を踏まえ、令和七年度の地方財政対策を講ずるに当たり、別紙のとおり申し合わせる。
令和六年十二月二十五日
総務大臣村上誠一郎
財務大臣加藤勝信
( 別紙 )
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一、「地方創生2・0の『基本的な考え方』」(令和六年十二月二十四日新しい地方経済・生活環境創生本部決定)等を踏まえ、地方財政計画の一般行政経費に新しい地方経済・生活環境創生事業費(仮称)を設けるものとし、その内訳は、地方創生推進費及び地域デジタル社会推進費とする。
これに伴い、デジタル田園都市国家構想事業費は廃止する。
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(一)地方創生推進費の金額については、令和七年度は一兆円、令和八年度以降は総務大臣と財務大臣が協議して定める額とする。
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(二)令和七年度においては、地域デジタル社会推進費の財源を確保するため、地方公共団体金融機構(以下「機構」という。)の公庫債権金利変動準備金(以下「準備金」という。)を活用することとし、「地方公共団体金融機構法」(平成十九年法律第六十四号)附則第十四条の規定に基づき、機構の準備金の一部を「公営企業金融公庫法の廃止に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」(平成二十年政令第二百二十六号)第二十七条の規定に基づき財政投融資特別会計投資勘定に帰属させた上で、当該帰属させた額を同勘定から交付税特別会計に繰り入れることとする。これに基づき、準備金の一部を帰属させる額は、二、〇〇〇億円とし、この旨を法令に定める。
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二、令和五年及び令和六年の人事院勧告等を踏まえた給与改定所要額が、地方財政計画における一般行政経費(単独)のうち追加財政需要額の一部を上回ることとなったこと等を踏まえ、地方財政計画における一般行政経費(単独)に新たに給与改善費(仮称)を計上するものとし、その金額については、令和七年度は二、〇〇〇億円とする。
給与改善費(仮称)の令和八年度以降の取扱いについては、総務大臣と財務大臣が協議して定めるものとする。
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三、地域社会再生事業費の金額については、令和七年度は四、二〇〇億円、令和八年度以降は総務大臣と財務大臣が協議して定める額とする。
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四、「こども未来戦略」(令和五年十二月二十二日閣議決定)に基づく「こども・子育て支援加速化プラン」の地方財源については、「こども未来戦略」に基づき、確保するものとする。
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五、「事務・権限の移譲等に関する見直し方針について」(平成二十五年十二月二十日閣議決定)等に基づく国から地方への事務・権限の移譲に伴い地方が負担することとなる経費を地方財政計画の歳出に計上することとし、その金額については、令和七年度は四七億円とする。
なお、地方財政計画の歳出に計上する令和八年度以降の各年度の金額は、総務大臣と財務大臣が協議して定める額とする。
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六、平成二十年十二月十八日付け総務・財務両大臣覚書第一項(三)に基づき各年度の地方交付税の総額から減額することとしている額について、令和七年度は一、〇三六億九、〇六二万二千円、令和八年度は六一七億八、二三七万八千円、平成二十一年十二月二十三日付け総務・財務両大臣覚書第一項(二)に基づき各年度の地方交付税の総額から減額することとしている額について、令和七年度は五、一六七億三、七八八万六千円、令和八年度は一四七億一、一四二万二千円、令和九年度から令和十二年度までは一四七億一、一四二万三千円とし、所要の法律改正を行う。
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七、令和三年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第六項等に基づく交付税特別会計の既定借入金に係る元金の償還については、令和七年度は二兆八、〇〇〇億円、令和三十三年度は九、一二三億円、令和三十四年度から令和三十六年度は零とし、所要の法律改正を行う。
平成二十二年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第三項(二)、令和五年十二月二十日付け総務・財務両大臣覚書第七項に基づき加算することとしている額については、令和七年度においては加算しないこととし、令和十二年度においては一、八〇〇億円、令和十三年度においては一、一〇〇億円、令和十四年度においては四〇〇億円とする。
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八、令和七年度においては、令和四年十二月二十一日付け総務・財務両大臣覚書第九項に基づき補塡すべき額が生じないことから、地方財源不足額(一兆九二九億円)については、次のとおり補塡措置を講ずるものとする。
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(一)地方の財源不足を補塡するための建設地方債(七、六〇〇億円)を増発する。
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(二)交付税特別会計における剰余金(四〇〇億円)を活用することとし、この旨を法律に定める。
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(三)本覚書第一項(二)に基づき交付税特別会計における機構の準備金(二、〇〇〇億円)を活用することとし、この旨を法律に定める。
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(四)地方交付税法附則第四条の二第一項の規定により令和七年度に加算する額(一五四億円)及び同条第三項の規定により令和七年度に加算する額(七七五億円)の合算額を一般会計から交付税特別会計に繰り入れるものとし、この旨を法律に定める。
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九、定額減税減収補塡特例交付金の令和七年度の額は一〇三億円とする。
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十、新型コロナウイルス感染症対策地方税減収補塡特別交付金の令和七年度の額は七四億円とする。
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十一、令和七年度における住宅借入金等特別税額控除減収補塡特例交付金の額は、平成二十五年一月二十七日付け総務・財務両大臣覚書第二項、平成二十七年一月十二日付け総務・財務両大臣覚書第九項、平成二十八年十二月十九日付け総務・財務両大臣覚書第十一項、平成三十年十二月十八日付け総務・財務両大臣覚書第十一項、令和二年十二月十七日付け総務・財務両大臣覚書第十三項、令和三年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第九項及び令和六年十二月二十日付け総務・財務両大臣覚書第十項に基づき補塡する額(一、七五九億円)とする。
また、令和七年度税制改正において、令和七年分の所得税における住宅ローン控除制度が拡充されることに伴い生じる令和八年度分の個人住民税の減収額の全額を補塡するため、法律の定めるところにより、住宅借入金等特別税額控除減収補塡特例交付金を交付する。
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十二、「特別会計に関する法律」(平成十九年法律第二十三号)第二百二十二条第二項に規定する復興事業(全国防災事業を除く。)に係る地方負担分等に対応するため、震災復興特別交付税の財源として六五九億円を東日本大震災復興特別会計から交付税特別会計に繰り入れるものとし、この旨を法律に定める。
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十三、地方財政計画の総額及び各項目について、地方財政計画における歳入・歳出の適切な計上を図るため、地方財政計画と決算の実質的な乖離の把握に引き続き努め、必要な措置を講ずるものとする。
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十四、地方財政計画上の公債費における利払額の計上について、借換えや元利償還等の実態を踏まえ、今後とも定期的に適切な見直しを行うものとする。
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十五、交付税特別会計借入金については、金融機関の入札への参加状況を勘案しつつ、民間金融機関からの借入割合を拡大し、資金の円滑な調達を図るものとする。