覚書
国と地方の財政状況、地方交付税法第六条の三第二項、所得税・個人住民税の定額減税等を踏まえ、令和六年度の地方財政対策を講ずるに当たり、別紙のとおり申し合わせる。
令和五年十二月二十日
総務大臣松本剛明
財務大臣 鈴木俊一
( 別紙 )
一、令和六年度における所得税・個人住民税の定額減税に係る補塡措置は次のとおりとする。
(一)所得税の定額減税による令和六年度分の地方交付税の減収七、六二〇億円については、当該金額を借入れにより調達した場合の利子相当額にあたる二、〇七六億円を、第七項に基づき、一般会計から交付税特別会計に繰り入れるものとし、当該加算額については交付税特別会計借入金の償還に充てるものとする。
(二)個人住民税の定額減税による令和六年度及び令和七年度の地方税の減収額については、法律の定めるところにより、定額減税減収補塡特例交付金(仮称)の交付により、その全額を補塡する。令和六年度における定額減税減収補塡特例交付金(仮称)の額は、九、二三四億円とする。
二、デジタル田園都市国家構想事業費については、次のとおりとする。
(一)地方創生推進費の金額については、令和六年度は一兆円、令和七年度以降は総務大臣と財務大臣が協議して定める額とする。
(二)令和六年度においては、地域デジタル社会推進費(マイナンバーカード利活用特別分を除く。)の財源を確保するため、地方公共団体金融機構(以下「機構」という。)の公庫債権金利変動準備金(以下「準備金」という。)を活用することとし、「地方公共団体金融機構法」(平成十九年法律第六十四号)附則第十四条の規定に基づき、機構の準備金の一部を「公営企業金融公庫法の廃止に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」(平成二十年政令第二百二十六号)第二十七条の規定に基づき財政投融資特別会計投資勘定に帰属させた上で、当該帰属させた額を同勘定から交付税特別会計に繰り入れることとする。これに基づき、準備金の一部を帰属させる額は、二、〇〇〇億円とし、この旨を法令に定める。
三、地域社会再生事業費の金額については、令和六年度は四、二〇〇億円、令和七年度以降は総務大臣と財務大臣が協議して定める額とする。
四、「こども未来戦略方針」(令和五年六月十三日閣議決定)に基づく「こども・子育て支援加速化プラン」の地方財源については、「こども未来戦略方針」に基づき、確保するものとする。
五、「事務・権限の移譲等に関する見直し方針について」(平成二十五年十二月二十日閣議決定)等に基づく国から地方への事務・権限の移譲に伴い地方が負担することとなる経費を地方財政計画の歳出に計上することとし、その金額については、令和六年度は四四億円とする。
なお、地方財政計画の歳出に計上する令和七年度以降の各年度の金額は、総務大臣と財務大臣が協議して定める額とする。
六、令和二年十二月十七日付け総務・財務両大臣覚書第二項(二)に基づき各年度の地方交付税の総額から減額することとしている額について、令和六年度は二、二二三億五四万三千円、令和九年度から令和二十六年度までは五八五億七、三二二万円とし、所要の法律改正を行う。
七、平成二十二年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第三項(二)、令和四年十二月二十一日付け総務・財務両大臣覚書第八項及び本覚書第一項(一)に基づき加算することとしている額については、令和六年度から令和十一年度においては二、五〇〇億円、令和十二年度においては八〇〇億円とする。
八、令和六年度においては、令和四年十二月二十一日付け総務・財務両大臣覚書第九項に基づき補塡すべき額が生じないことから、地方財源不足額(一兆八、一三二億円)については、次のとおり補塡措置を講ずるものとする。
(一)地方の財源不足を補塡するための建設地方債(七、六〇〇億円)を増発する。
(二)交付税特別会計における剰余金(五〇〇億円)を活用することとし、この旨を法律に定める。
(三)第二項に基づき交付税特別会計における機構の準備金(二、〇〇〇億円)を活用することとし、この旨を法律に定める。
(四)地方交付税法附則第四条の二第一項の規定により令和六年度に加算する額(一五四億円)、同条第三項の規定により令和六年度に加算する額(八三四億円)並びに平成二十二年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第三項(二)及び令和四年十二月二十一日付け総務・財務両大臣覚書第八項に基づき加算する額(二、五〇〇億円)の合算額を一般会計から交付税特別会計に繰り入れるものとし、この旨を法律に定める。
(五)令和六年度における臨時財政対策債の元利償還金等の一部に係る財源不足額(令和六年度における臨時財政対策債の元利償還金額(四兆五五億円)、令和六年度における交付税特別会計の既定借入金に係る元金の償還額及び交付税特別会計借入金利子の支払額(六、九六五億円)、地方交付税法附則第四条の二第四項に基づき令和六年度において地方交付税の総額から減額することとしている額(二、四六〇億七、七〇八万二千円)並びに本覚書第六項に基づき令和六年度において地方交付税の総額から減額することとしている額(二、二二三億五四万三千円)の合算額から、平成二十二年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第三項(二)及び令和四年十二月二十一日付け総務・財務両大臣覚書第八項に基づき減額する臨時財政対策債の額(二、五〇〇億円)を控除した額の一部(四、五四四億円))を補塡するため臨時財政対策債を発行することとし、この旨を法律に定める。
九、新型コロナウイルス感染症対策地方税減収補塡特別交付金の令和六年度の額は一一二億円とする。
十、令和六年度における住宅借入金等特別税額控除減収補塡特例交付金(仮称)の額は、平成二十五年一月二十七日付け総務・財務両大臣覚書第二項、平成二十七年一月十二日付け総務・財務両大臣覚書第九項、平成二十八年十二月十九日付け総務・財務両大臣覚書第十一項、平成三十年十二月十八日付け総務・財務両大臣覚書第十一項、令和二年十二月十七日付け総務・財務両大臣覚書第十三項及び令和三年十二月二十二日付け総務・財務両大臣覚書第九項に基づき補塡する額(一、九七四億円)とする。
また、令和六年度税制改正において、令和六年分の所得税における住宅ローン控除制度が拡充されることに伴い生じる令和七年度分の個人住民税の減収額の全額を補塡するため、法律の定めるところにより、住宅借入金等特別税額控除減収補塡特例交付金(仮称)を交付する。
十一、「特別会計に関する法律」(平成十九年法律第二十三号)第二百二十二条第二項に規定する復興事業(全国防災事業を除く。)に係る地方負担分等に対応するため、震災復興特別交付税の財源として五七〇億円を東日本大震災復興特別会計から交付税特別会計に繰り入れるものとし、この旨を法律に定める。
十二、地方財政計画の総額及び各項目について、地方財政計画における歳入・歳出の適切な計上を図るため、地方財政計画と決算の実質的な乖離の把握に引き続き努め、必要な措置を講ずるものとする。
十三、地方財政計画上の公債費における利払額の計上について、借換えや元利償還等の実態を踏まえ、今後とも定期的に適切な見直しを行うものとする。
十四、交付税特別会計借入金については、金融機関の入札への参加状況を勘案しつつ、民間金融機関からの借入割合を拡大し、資金の円滑な調達を図るものとする。