平成24年3月2日
財理第833号
改正 平成24年5月22日財理第2445号
同 25年3月8日 同 第1066号
同 27年6月3日 同 第2551号
同 28年6月2日 同 第1814号
同 28年6月23日 同 第2094号
同 30年3月30日 同 第1150号
財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛
処分困難事由のある財産(平成18年3月17日付財理第1037号「財務省所管一般会計所属普通財産における未利用国有地の現状把握について」通達記の2(3)に規定する財産)のうち売却による処分価値が見込まれない財産や売残り財産に、借地借家法(平成3年法律第90号)第23条第1項又は第2項に規定する事業用定期借地権を設定して貸付けを行うときの取扱いを下記のとおり定めたので通知する。なお、その実施手続については別紙に掲げるところを基本として行うこととする。
記
1 基本事項
首都圏整備法(昭和31年法律第83号)による既成市街地を含む市区町村の区域に所在しない財産で、概ね1ha未満の財産のうち、以下の(1)又は(2)に該当する財産については、税外収入を確保することに加え管理コストを削減する観点から、一般競争入札による事業用定期借地権を設定することにより活用を推進する。
(1) 売残り財産
3回以上又は複数年度にわたり一般競争入札に付したものの売却に至らない財産で、かつ、事業用定期借地権設定の要望がある財産又はその活用が見込まれる財産であると財務局長、福岡財務支局長又は沖縄総合事務局長(以下「財務局長等」という。)が判断するもの
(2) 処分困難事由のある財産のうち売却による処分価値が見込まれない財産
処分困難事由のある財産のうち、土壌汚染や地下埋設物の除去費用が売却評価額を上回る等、売却が困難と見込まれる財産で、かつ、事業用定期借地権設定の要望がある財産又はその活用が見込まれる財産であると財務局長等が判断するもの
2 借地権の種類
本通達に基づいて設定する事業用定期借地権は、賃借権とする。
3 貸付相手方の決定手続き
(1) 要望の把握方法
要望把握の対象とする財産については、財務局、福岡財務支局又は沖縄総合事務局(以下「財務局等」という。)が情報収集を行うことにより選定するものとし、対象財産を選定後、財務局等のホームページなどを活用することにより、当該財産に事業用定期借地権を設定する場合の用途及び期間に関する要望を把握する。
なお、建物の所有以外の使用目的で貸付期間が3年を超える貸付要望があった場合についても、要望内容に基づき財務局長等の判断により個別に財産の活用を検討することができる。この場合、手続きについては、下記5(1)、6、8(1)及び11の規定を除き、本通達の規定を準用する。また、定期借地の要望と競合した場合は、対象財産の需要を勘案の上、どちらの契約方式で一般競争入札に付すか、財務局等が決定することとする。
(2) 貸付期間の設定
財務局等は、把握した要望内容をもとに、対象財産の特性も勘案の上、入札条件に記載する貸付期間を設定する。
同一の財産について複数の要望が寄せられた場合は、原則として最も要望の多い期間を優先し、最も要望の多い期間の要望数が複数同数である場合は、原則として貸付期間が長い方の要望を優先して貸付期間を設定する。
なお、事業用定期借地契約を締結するときの貸付期間は10年以上30年以内となることに留意すること。
(3) 貸付相手方の決定方法
貸付相手方は、貸付料年額の一般競争入札により決定する。
なお、一般競争入札に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がない場合であっても、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第99条の2及び第99条の3の規定に基づく随意契約を適用しない。
(4) 暴力団排除に関する取組
一般競争入札により貸付相手方を決定する場合には、平成24年5月22日付財理第2445号「普通財産の管理処分に係る契約からの暴力団排除について」通達(以下「暴排通達」という。)の記の2の規定に基づき警察当局への照会手続を行うものとする。
4 貸付料
(1) 貸付料予定価格算定基準
貸付料予定価格は民間精通者による貸付料年額の評価額により決定する。
ただし、売残り財産については一般競争入札による売却時の予定価格を基礎として、貸付料予定価格を決定することができる。
(注)貸付料の算定に当たっては、売却のときと同様に当該敷地の更地としての最有効使用に基づく経済価値を基礎に求めることとする。
ただし、地下埋設物や土壌汚染等が存することにより更地としての最有効使用が実現困難(地下埋設物等処理費用が更地価格を上回る見込み等)の財産については、不動産鑑定士等が地下埋設物等の状況等を踏まえた最有効使用を判断して求めた鑑定評価額等による。
(2) 貸付当初3年間の貸付料年額
貸付当初3年間の貸付料は、一般競争入札において落札者が応札した貸付料とし、原則として当初3年間は貸付料の改定は行わないものとする。
(3) 第4年次以降の継続貸付料
第4年次以降の継続貸付料は、平成13年3月30日付財理第1308号「普通財産貸付事務処理要領」通達(以下「貸付通達」という。)別添1「普通財産貸付料算定基準」の第1の1の規定を準用して算出した額とする。
貸付料の適用期間は、貸付通達の第1節の第3の3(1)によること。
(4) 改定通知等
貸付料の改定通知等については、貸付通達の第1節の第3の4によること。
(5) 貸付料の納付
納付方法については貸付通達の第1節の第3の5(1)によること。
納付期限については貸付通達の第1節の第3の5(2)によること。
(6) 貸付料の減免措置
貸付中の財産が、災害を直接の原因とする事由により被害を受けた場合には、平成23年6月8日付財理第2608号「災害を直接の原因とする普通財産の貸付料の減免措置の取扱いについて」通達の定めるところにより、貸付料算定期間の不算入措置などの減免措置を講ずる。
5 権利金等の取扱い
(1) 権利金
事業用定期借地権を設定する際の権利金(国の返還義務を負わないものに限る。)については、民間精通者に照会する等により、その授受の慣行を確認し、慣行がある場合は徴するものとする。
なお、権利金を徴する場合には、下記10の標準合意書式に財務局等において以下の事項を追加することとする。
借受人は、本契約締結と同時に国に権利金を支払わなければならないこと
権利金の額
国が受領した権利金は返還されないこと
本契約締結とは、公正証書を作成した日をいう。
(2) 保証金
本通達に基づく貸付契約に係る義務の履行を実質的に担保するため、会計法(昭和22年法律第35号)第29条の9第1項の規定により、契約保証金として、契約金額(注)の100分の10を納付させることとする。
(注)契約金額は、(一般競争入札において落札者が応札した貸付料年額)×(貸付年数)とする。
6 事業用定期借地権の譲渡
(1) 事業用定期借地権を第三者へ譲渡するための承認申請があったときは、国と事業用定期借地権の譲渡人との間の契約(以下「原契約」という。)における借受人の地位を当該第三者が承継することを条件に、普通財産取扱規則(昭和40年大蔵省訓令2)第30条第4項ただし書の規定による「特別の事情があるものとして別に定める場合」として、財務局長等限りでその譲渡を認めることができるものとする。ただし、次に掲げる場合を除く。
当該第三者が、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)(以下「予決令」という。)第70条及び第71条に規定する者、国有財産に関する事務に従事する者、並びに暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団及び警察当局から排除要請がある者の場合
当該第三者の貸付料支払能力に不安がある場合など譲渡によって国が不利となるおそれがある場合
(2) 貸付期間は原契約における残期間とする。
(3) 借地権の譲渡において名義書換承諾料の授受の慣行がある地域に所在する場合であっても、名義書換承諾料の徴求は行わないものとする。
(4) 原契約における契約保証金と同額を当該第三者から納付させるものとする。
(5) 財務局長等の譲渡の承認に基づき、貸付相手方が譲渡に係る契約を締結したときは、速やかに財務局長等に契約書の写しを提出させるものとする。
7 使用上の制限
(1) 貸付相手方が貸付財産について契約に定める使用目的及び利用計画の変更をしようとする場合は、事前に変更する理由及び変更後の使用目的等を書面によって申請させること。財務局長等は使用目的等の変更申請があった場合において、当該変更をすることにつきやむを得ない事由があると認められるときは、変更を認めることができるものとする。
(2) 貸付相手方が貸付財産上に所在する自己所有の建物その他の工作物等について増改築等により現状の変更をしようとする場合には、貸付通達の第4節の第3の1の規定にかかわらず、国への承認申請は要しないものとするが、事前に増改築等の理由及び計画を記載した書面を提出させるものとする。なお、増改築承諾料の徴求は行わないものとする(軽微な変更の場合は書面提出不要)。
8 特約事項
(1) 定期借地契約であることに鑑み、次の特約事項を付するものとする。
貸付期間満了後契約の更新は行われないこと。
建物改築による貸付期間の延長は行われないこと。
貸付期間が満了したとき又は貸付契約が解除されたときに、建物の買取り、必要費及び有益費の償還を請求できないこと。
(2) 借地契約の終了時の確実な返還を担保するため、次の特約事項を付するものとする。
貸付期間が満了する日、又は貸付契約が解除されたときは国の指定する期日までに、貸付財産上の建物その他工作物を除去し、貸付財産を原状に回復し、国に更地で返還すること。
貸付相手方が更地返還義務に違反した場合は、原状回復に要する費用を貸付相手方に請求すること。
(3) 貸付期間が満了する日までに貸付財産が更地返還されなかったときは、貸付期間の満了する日の翌日から更地化するまでの期間(国が貸付相手方に代わって更地化した場合は、更地化するまでの期間)に係る貸付料相当額を、損害賠償金として貸付相手方に請求するものとする。
(4) 貸付相手方が契約を解除した場合には、貸付料年額に相当する額(残存期間が1年に満たない場合は残存賃料)を貸付相手方から徴収することとする。
(5) 予め契約締結前に把握している瑕疵については、その瑕疵を特定し、貸付相手方は瑕疵担保責任に基づく契約解除及び損害賠償請求並びに瑕疵修補請求並びに貸付料の減免請求(以下「瑕疵担保責任等の追及」という。)を行うことができないものとする。
(6) 貸付財産に隠れた瑕疵が発見された場合、以下のとおり対応するものとする。
国が使用収益に支障があると認めるとき
国において瑕疵の修補を実施するものとし、貸付相手方は瑕疵担保責任等の追及を行うことができないものとする。国による瑕疵修補の期間中、貸付相手方の使用収益が制限される場合には、使用収益が制限される程度に応じた貸付料の減免を行うことができるものとする。
貸付相手方において瑕疵の修補を実施することを妨げないが、その場合であっても国は当該瑕疵修補に要した費用を償還しないものとする。
上記以外の場合
国において瑕疵の修補を実施しないこと及び貸付料の減免は行わないことのほか、
の対応によることとする。
(7) 貸付財産について修繕等(修繕又は保存行為をいう。以下この(7)において同じ。)を要する箇所が生じた場合((6)による場合を除く。)、国が使用収益に支障があると認めるときに限り、国において修繕等を実施するものとする。国による修繕等の期間中、貸付相手方の使用収益が制限される場合には、使用収益が制限される程度に応じた貸付料の減免を行うことができるものとする。
貸付相手方において修繕等を実施することを妨げないが、その場合であっても、当該修繕等に要した費用の償還及び貸付料の減免を行わないものとする。
(8) 暴力団を排除するため、暴排通達の記の3に定める特約事項を付すものとする。
9 履行状況に応じた措置
貸付料の改定等を行う機会においては、貸付契約の履行状況を十分に確認し、契約内容に違反していると認められるものについては、専門家等(法務局又は弁護士等をいう。)の意見を徴した上で、貸付契約の解除等適切な措置を講ずるものとする。
10 標準合意書式
貸付契約は、別紙様式第1号国有財産有償貸付合意書(定期借地、分割納付(新規用))を標準合意書式として、公正証書により作成することとする。なお、公正証書の作成費用は、借受人の負担とする。
また、上記3の(1)に定める建物の所有以外の使用目的で貸付期間が3年を超える貸付けを行う場合には、別紙様式第2号国有財産賃貸借契約書(賃貸借、分割納付(新規用))を標準契約書式とする。
11 借地権の登記
本通達に基づき貸付けを行った財産の賃借権に係る民法第605条(賃借権の対抗力)に規定する登記は行わないものとする。
12 特例処理
本通達により処理することが適当でないと認められる場合には、その事由を付した処理案により理財局長の承認を得て処理することができるものとする。
別紙様式第1号(定期借地、分割納付(新規用))(PDF:256KB)