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告示第二百九十三号


 

平成十一年九月三十日


 

改正 平成十二年三月三十一日

 平成十三年一月六日


 

国際協力銀行法施行令第八条第四項の規定に基づき貸付金利息のうち未収貸付金利息の額、債券発行差金償却の額、債券発行費償却の額及び動産不動産減価償却費の額の算出方法を定める件


 

大蔵省


 

 


 

第一条 (定義)

この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。


 

一 

貸付金の返済期限 貸付けに関する契約により定められた貸付金の返済期日をいう。


 

二 

継続手形貸付金 手形貸付けによる貸付金で証書その他の方法による貸付けに関する契約において手形期間よりも長い貸付期間を定めているものをいう。継続手形貸付金については、貸付期間が継続している間は、その手形期間が経過してもその手形期間の末日は前号に定める貸付金の返済期限とはならないものとする。


 

三 

利払期 利息を後取りする場合には、貸付けに関する契約により定められた利息の支払日をいう。利息を前取りする場合には、手形貸付けによるものについては、各手形期間の末日(継続手形貸付金について一つの手形期間の満了に伴って、手形の書換えが行われなかった場合には、当該手形期間の末日以後当該手形期間に相当する期間ごとに区分した各期間の末日)をいい、証書貸付けによるものについては、契約に定められている利息の各計算期間の末日をいう。


 

四 

貸付金利息の未収金 利払期の到来した貸付金利息のうち、まだ収入していないものをいう。


 

五 

貸付金利息の未収収益 利払期は到来していないが事業年度終了の時までの期間について発生している貸付金利息のうち、まだ収入していないものをいう。


 

六 

未収貸付金利息 貸付金利息の未収金及び貸付金利息の未収収益をいう。


 

七 

事業年度 第十四条から第十七条に規定する事業年度を除き、四月から九月まで及び十月から翌年三月までの各半期をそれぞれ一事業年度とみなす。

第二条 (未収貸付金利息の益金算入の原則)

未収貸付金利息のうち当該事業年度に係るものの額は、貸付金利息として当該事業年度の益金の額に算入するものとする。

第三条 (損害金の取扱い)

貸付けに関する契約により貸付金の返済期限までに貸付金が返済されない場合にその返済期限から返済されるまでの期間に応じて徴収する損害金のうち、分割返済を受けることとなっている貸付金に係る損害金の未収収益で最終の返済期限までの期間に係るものについては、当該貸付金につき約定利率により計算した利息の未収収益に相当する部分を利息の未収収益とみなして、その額を益金の額に算入するものとする。

第四条 (相当期間未収となっている未収貸付金利息の取扱い)

当該事業年度に利払期の到来する貸付金について、第二条の規定により未収貸付金利息(前条の規定により益金の額に算入することとされた未収収益を含む。以下同じ。)を益金の額に算入する場合において次の各号に掲げる要件のすべてに該当するときは、当該貸付金に係る未収貸付金利息の額のうち当該事業年度に係るものは、第二条野規定にかかわらず、当該事業年度の益金の額に算入しないものとする。


 

一 

当該貸付金について、当該事業年度終了の日以前六月(利息の計算期間が六月より長い場合には、当該計算期間の月数とする。以下本条において同じ。)に当たる日の直前に到来した利払期以後当該事業年度終了の日までに到来する利払期に係る利息の全額が当該事業年度終了の時において未収となっていること。


 

二 

当該事業年度終了の日以前六月に当たる日の直前に到来した利払期前の利払期に係る利息で当該事業年度終了の日以前六月に当たる日の直前の日において未収となっていたものについて、当該事業年度終了の時までの間その収入が全くないこと、又はその収入した金額が極めて少額であること(その収入したことにより将来当該未収利息の残額の全部又は相当部分の回収が可能であると認められる事情がない場合に限る。)。

第五条 (相当期間未収となっている利息前取りの未収貸付金利息の取扱い)

継続手形貸付金及び証書貸付けによる貸付金で利息を前取りするものの未収貸付金利息を計上する場合において、当該事業年度終了の日以前六月(利息の計算期間が六月より長い場合には、当該計算期間の月数とする。)に当たる日の直前に到来した利息の計算期間の開始の日から当該事業年度終了の時までの間に、当該貸付金に係る利息についてその収入が全くなかったときは、当該貸付金の当該事業年度に係る未収貸付金利息のうち貸付金利息の未収収益については、第二条の規定にかかわらず、これを益金の額に算入しないものとする。

第六条 (貸付金の債務者について会社更生法の規定による更生手続の開始の決定等があった場合の利息の取扱い)

貸付金の債務者について、会社更生法の規定による次の各号に掲げる事実が発生した場合には、当該各号に掲げる当該貸付金の未収貸付金利息については、第二条の規定にかかわらず、これを益金の額に算入しないもとする。


 

一 

会社更生法の規定による更生手続の開始の決定があった場合 当該貸付金に係る未収貸付金利息で、当該更生手続の開始の決定があった日の属する事業年度開始の日以後更生計画の認可の決定の日の属する事業年度前に終了する事業年度終了の日までの間のもの


 

二 

会社更生法の規定による更生計画の認可の決定があった場合 当該貸付金に係る未収貸付金利息で、当該更正計画の認可の決定により相当期間(おおむね二年以上とする。次条において同じ。)棚上げすることとしたもの

第七条 (利息を棚上げした場合の取扱い

貸付金の債務者について、その債務超過の状況が相当期間継続して早急には事業の好転が望まれない場合において、当該貸付金利息を相当期間棚上げすることを約したときは、その棚上げすることとした未収貸付金利息については、第二条の規定にかかわらず、これを益金の額に算入しないものとする。

第八条 (償却貸付金に係る利息の取扱い)

国際協力銀行法施行令(以下「施行令」という。)第八条第三項の規定により、財務大臣の承認を得て償却する貸付金に係る未収貸付金利息については、第二条の規定にかかわらず、これを益金の額に算入しないものとする。

第九条 (未収貸付金利息の計算)

未収貸付金利息については、貸付金ごとに計算してこれを積み上げ計算することとする。ただし、外国政府等に対する直接借款についての第四条の適用に関しては、直接借款の特殊性にかんがみ、借入人ごと又は当該国ごとに取り扱うことができる。

第十条 (未収貸付金利息の経理)

未収貸付金利息は、洗替え方式により経理することとし、具体的には次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める方法によるものとする。


 

一 

未収貸付金利息の繰入れ 未収貸付金利息の額は、各事業年度に発生した未収貸付金利息のうち、当該事業年度の益金の額に算入することとされたものの額に、前事業年度末において計上されている未収貸付金利息のうち当該事業年度終了の時において収入未済となっているものの額を加えて算出する。


 

二 

未収貸付金利息の戻入れ 前号により繰り入れた未収貸付金利息の額は、翌事業年度において全額損金の額に算入し、一括戻入処理をする。

第十一条 (資産に計上している未収貸付金利息の雑損処理)

貸付金についてその未収貸付金利息を資産に計上している場合において、当該未収貸付金利息について次の各号に掲げる場合には、施行令第八条第三項の規定により財務大臣の承認を得て、その資産に計上している未収貸付金利息の額を雑損として処理することができる。


 

一 

その計上した事業年度終了の日(当該貸付金に係る未収貸付金利息を二以上の事業年度において計上しているときは、これらの事業年度のうち最後の事業年度終了の日(以下この号において同じ。))から二年を経過した日の前日を含む事業年度終了の日までの期間において、当該貸付金に係る未収貸付金利息(その資産に計上している未収貸付金利息以外の未収金を含む。)につき、支払の督促をしたにもかかわらず、その収入が全くないとき。


 

二 

その計上した未収貸付金利息に係る貸付金について施行令第八条第三項の規定より財務大臣の承認を得て償却するとき。


 

三 

条件変更措置により当該計上した未収貸付金利息について徴収を免除することを約したとき。


 

四 

その他当該計上した未収貸付金利息についてこれを雑損として処理することが適当と認められるとき。

第十二条 (銀行債券発行差金償却)

国際協力銀行債券(以下「銀行債券」という。)の債権者に償還すべき金額の総額が銀行債券の募集によって得た実額を越えるときは、その差額を貸借対照表の資産の部に計上することができる。この場合においては銀行債券の償還の期限内に毎決算期において均等額以上を償却するものとする。

第十三条 (銀行債券発行費償却)

銀行債券を発行したときは、その発行のために必要な費用の額はこれを貸借対照表の資産の部に計上することができる。この場合においては銀行債券の発行の後三年以内(三年以内に銀行債券償還の期限が到来する場合にあっては、当該期限内)に毎決算期において均等額以上を償却するものとする。ただし、既に当該費用を貸借対照表の資産の部に計上し、銀行債券の償還の期限内に毎決算期において均等額以上を償却している場合は、銀行債券の償還の期限内に償却することができる。

第十四条 (動産不動産減価償却費)

国際協力銀行の損益計算上の損金に算入すべき動産不動産減価償却費の額は、法人税法施行令(昭和四十年政令第九十七号)の規定に準拠し、平成十年四月一日以後に取得した建物及び無形固定資産については同令第四十八条第一項第一号イ(1)に規定する定額法により、その他の減価償却資産については同号イ(2)に規定する定率法により算出するものとする。

2 前項の規定にかかわらず、取得価額が二十万円未満である減価償却資産のうちその全部又は特定の一部を一括したものについては、その取得価額の合計額を三十六で除しこれに各事業年度の月数を乗じて計算した金額に達するまでの額を動産不動産減価償却費の額とするものとする。

第十五条 (国際金融勘定等における貸倒等引当金への繰入れ)

国際協力銀行の国際金融等勘定における貸倒等引当金への繰入れの額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。


 

一 

各事業年度末における貸付金(貸付資金が未交付であるものを除く。)の残高に千分の三を乗じて算出した金額以内の金額


 

二 

主要な債権国の政府の代表者(以下「パリクラブ」という。)とパリクラブに対して債務の負担の軽減を要請した国(以下「債務国」という。)の政府の代表者との間の合意に基づき、平成六年十二月十五日及び平成十一年十一月三十日にパリクラブにおいて合意された貧困債務国に対する債務の負担の軽減に関する措置が債務国に対して講じられた場合において、各事業年度末における当該債務国に対する当該措置の対象となる債権毎の残高にパリクラブと当該債務国政府の代表者との間の合意により決められた当該債務国に係る債務の負担の軽減の割合を乗じて算出した額の合計額に二分の一を乗じて算出した金額以内の金額

第十六条 (海外経済協力勘定における貸倒等引当金への繰入れ)

国際協力銀行の海外経済協力勘定における貸倒等引当金への繰入れの額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。


 

一 

各事業年度末における国際協力銀行法(以下「法」という。)第二十三条第二項第一号に規定する業務に係る貸付金(貸付資金が未交付であるものを除く。)の残金に千分の十五を乗じて算出した金額以内の金額及び法第二十三条第二項第二号に規定する貸付に係る貸付金(貸付資金が未交付であるものを除く。)の残高に千分の三十を乗じて算出した金額以内の金額の合計額


 

二 

各事業年度末における法第二十三条第二項第二号に規定する出資に係る同号に規定する者(以下「法人等」という。)に対する出資金毎に法人等の前事業年度における未処理損失を法人等の資本金で除した割合(当該割合が100パーセントを越える場合には、100パーセントに相当する割合)を乗じて算出した金額の合計額以内の金額

第十七条 (貸倒等引当金の戻入れ)

前二条の規定により貸倒等引当金に繰り入れられた金額は、当該事業年度の翌事業年度において、その全額を、それぞれ国際金融等勘定又は海外経済協力勘定における益金の額に算入するものとする。