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省庁別財務書類の試作基準について
 
平成15年12月12日

財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会 公企業会計小委員会
 
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省庁別財務書類の試作について



財政制度等審議会 財政制度分科会

法制・公会計部会 公企業会計小委員会

平成15年12月12日


 平成15年6月30日、財政制度等審議会において取りまとめられた「公会計に関する基本的考え方」において、財務書類として開示すべき情報に関する今後の新たな取り組みの一つとして、「省庁別財務書類の作成の取り組み」が挙げられている。
 省庁別財務書類の作成目的は、予算執行の単位であるとともに行政評価の主体である各省庁ごとのフローとストックの財務書類を作成し、各省庁の説明責任の履行及び行政効率化を進めようとするものである。

 この省庁別財務書類の作成に必要となる会計基準の策定については、「公会計に関する基本的考え方」において、特別会計の財務書類の基準策定の経験を生かし、公企業会計小委員会において検討を行うこととされた。
 当小委員会では、省庁別財務書類を作成するにあたっての主要な論点の検討を行うとともに、会計専門家等で構成する公企業会計ワーキンググループでの具体的な会計処理基準の検討を踏まえ、今般、「省庁別財務書類の試作基準」として取りまとめを行ったものである。
 省庁別財務書類の試作基準は、特別会計の「新たな特別会計財務書類の作成基準」を基本としつつ、財務書類の体系や様式、省庁間での財源や公債の配分等の一般会計固有の論点を中心に検討を行った上で取りまとめたものであり、一般会計の特性を踏まえたものとなっている。

 今後、省庁別財務書類の試作結果を踏まえ、試作基準の見直しを行うほか、特殊法人等との連結の基準についても検討を行った上で、省庁別財務書類の作成基準の取りまとめに向け、引き続き検討を進めていく必要がある。

 



省庁別財務書類の試作基準について



財政制度等審議会 財政制度分科会
法制・公会計部会 公企業会計小委員会
公企業会計ワーキンググループ
平成15年12月5日



.省庁別財務書類の検討経緯及び作成目的

 

(1

) 省庁別財務書類の検討経緯
 平成15年6月30日、財政制度等審議会において取りまとめられた「公会計に関する基本的考え方」において、行政府のアカウンタビリティを高め、財政の効率化・適正化を促すため、「予算執行の単位であるとともに行政評価の主体である省庁に着目し、省庁別のフローとストックの財務書類を作成し、説明責任の履行及び行政効率化を進めること」とされ、省庁別財務書類の作成に向けて検討を行うことが示された。


(2


) 省庁別財務書類の作成目的
 「公会計に関する基本的考え方」に示されているように、省庁別財務書類は、各省庁の財務状況等に関する説明責任の履行の向上及び予算執行の効率化・適正化に資する財務情報を提供すること等を目的として、企業会計の考え方及び手法を活用して作成するものである。



.公企業会計小委員会での検討

 

(1

) 公企業会計小委員会での検討経緯
 「公会計に関する基本的考え方」において、「省庁別財務書類に必要となる会計基準の策定については、特に、一般会計の事業に関する会計基準の検討が必要となるが、これについては、特別会計の基準策定の経験を生かし、それとの整合性を含め、「公企業会計小委員会」において行うことが適当である」とされ、公企業会計小委員会において、省庁別財務書類の作成基準の検討を行うこととされた。
 なお、省庁別財務書類の具体的な作成基準については、会計専門家等で構成される公企業会計ワーキンググループにおいて検討を行った。


(2


) 公企業会計ワーキンググループにおける検討
 公企業会計ワーキンググループにおいては、平成15年9月26日に第1回目の会議を開催し、その後10回にわたり、省庁別財務書類の作成に向けて検討を行った。省庁別財務書類の作成基準の内容としては、「新たな特別会計財務書類の作成基準」を基礎とし、省庁別財務書類の体系・様式等、税収入等の財源や負債計上される公債の各省庁への配分等一般会計に固有な論点を中心に検討を行った。
 なお、適宜、公企業会計小委員会との合同会議や公会計基本小委員会との合同会議も開催し、検討を行った。



.省庁別財務書類の試作基準の基本的考え方等

 

(1

) 省庁別財務書類の作成単位等
 省庁別財務書類は、予算執行の効率化・適正化に資する財務情報を提供すること等を目的としており、また、予算書・決算書との整合性を確保する必要があることから、予算・決算における最も基礎的な単位である所管を作成単位とすることとした。
 なお、省庁別財務書類は、行政府の説明責任の履行に資する財務情報の提供等を目的として作成するものであるが、国の財務書類の作成の基礎になり得るものでもあることから、行政機関以外の国会、裁判所及び会計検査院においても省庁別財務書類の作成を行うこととした。


(2


) 試作基準の構成
 省庁別財務書類は一般会計の各省庁分と所管する特別会計を合算したところの財務状況等を提供するものである。省庁別財務書類の試作にあたり、特別会計については、既に「新たな特別会計財務書類の作成基準」が策定されていることから、特別会計については、この基準に基づいた財務書類を使用することとし、今回は、財務書類が作成されていない一般会計の各省庁分の財務書類を作成するための一般会計省庁別財務書類の試作基準及び一般会計の各省庁の財務書類と所管する特別会計の財務書類とを合算するための省庁別財務書類の試作基準について取りまとめを行った。


(3


) 財務書類の体系・様式
 一般会計においては、特別会計と異なり、業務とは対価関係が明確でない租税収入等を財源として業務実施が行われていることから、一般会計のフローの計算書の体系及び様式について検討を行った。省庁別財務書類の体系としては、特別会計の3財務書類(貸借対照表、業務費用・財源計算書及び区分別収支計算書)の体系とは異なり、貸借対照表、業務費用計算書、資産・負債差額増減計算書及び区分別収支計算書の4財務書類とすることとし、また、様式についても一般会計の特性を踏まえたものとした。


(4


) 一般会計に固有の論点の検討
 省庁別財務書類の試作基準の検討に際し、「新たな特別会計財務書類の作成基準」を基礎とし、一般会計に固有の論点について検討を行った。一般会計に固有の主な論点としては以下のものがある。

 

1

 財源の調整
 現行の各省庁の所掌事務を前提として財務書類を作成した場合、一般会計の歳入の大半は財務省に計上され、財務省以外の各省庁の収支は大きくマイナスとなることが見込まれる。また、各省庁では資産の取得や補助金等の支出が行われているが、各省庁の支出に見合う収入があるという構成にしないと会計的な整理が困難である。このため、各省庁の歳出決算額と主管の歳入決算額の差額について財源の調整を行うこととした。


2


 公債の配分
 公債(負債)についても、現行の所掌事務を前提とした場合、財務省に負債計上されることになるが、各省庁は公債金収入を財源として所掌事務を遂行しており、財源の調整とともに、公債についても各省庁に配分して負債計上することが考えられる。しかし、公債の償還の事務は財務省が行っており、各省庁に公債を配分したとしても公債の償還について各省庁は説明責任を果たすことはできず、また、その配分は大幅な仮定計算によらざるを得ないことから、財務書類上、公債を配分することは適当でないとした。
 ただし、各省庁の業務に要する財源の一部は公債の発行によって調達が行われ、資金調達コストも生じていること等から、各省庁に帰すべき公債に関する情報を参考情報として示すこととした。


(5


) 連結省庁別財務書類の取扱い
 各省庁の業務は特殊法人等を通じて行われている場合もあり、各省庁の財務状況の説明責任を果たすためには、国の会計に加え、これらの特殊法人等を連結した財務書類も作成する必要がある。
 しかし、一般会計においては、財務書類が作成されておらず、省庁別財務書類の作成は、法律上の会計単位とは異なる各省庁を単位とした新たな取り組みであり、また、試作を踏まえて作成意義等について検討を行うこととされていることから、今般、省庁別財務書類の作成に向けての検討の第一段階として、省庁別の一般会計及び特別会計を合算した財務書類の試作基準を取りまとめることとしたものである。
 このため、特殊法人等との連結を行った省庁別財務書類については、試作基準の取りまとめ後において検討を行うこととした。



.試作の実施等

 

(1

) 試作年度等
 省庁別財務書類の試作としては、平成13年度末で開始貸借対照表を作成し、平成14年度の財務書類を作成する。


(2


) 試作基準の見直し
 各省庁を単位とした財務書類の作成は、法律上の会計単位とは異なる新たな取り組みであり、また、「公会計に関する基本的考え方」において「省庁別財務書類の試作結果を踏まえて、作成意義等について改めて検討」することとされている。
 今後、特殊法人等との連結を行った省庁別財務書類の検討とともに、本試作基準に基づき作成された財務書類等を通じて省庁別財務書類の作成に係る個別の論点等を洗い出し、省庁別財務書類の内容等についても更に検討を行うなど、試作基準の見直しを行う。

 


 
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