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【省庁別財務書類の試作基準について】一般会計省庁別財務書類の試作基準(第1章~第6章) 

一般会計省庁別財務書類の試作基準



第1章 一般会計省庁別財務書類の体系等



.体系
 一般会計省庁別財務書類の体系は、貸借対照表、業務費用計算書、資産・負債差額増減計算書、区分別収支計算書及びこれらに関連する事項についての附属明細書とする。



.作成単位
 一般会計の所管を作成単位として、一般会計省庁別財務書類を作成する。



.作成に際しての基礎的な計数
 一般会計省庁別財務書類は、歳入歳出決算及び国有財産台帳等の計数を基礎として作成する。



.作成基準日
 一般会計省庁別財務書類の作成基準日は、会計年度末(3月31日)とする。ただし、出納整理期間における現金の受払等があった場合には、当該期間中の現金の受払い等を終了した後の計数をもって会計年度末の計数とする。
 なお、出納整理期間中の現金の受払い等を終了した後の計数をもって会計年度末の計数としている旨を注記する。



.計数の単位等
 一般会計省庁別財務書類に掲記される科目その他の事項の金額は、百万円単位(単位未満切り捨て)をもって表示する。


第2章 貸借対照表



.貸借対照表の作成目的等

 

(1

) 作成目的
 貸借対照表は、企業会計の考え方及び手法を採り入れることにより、会計年度末において各省庁(国会、裁判所、会計検査院、内閣及び各府省をいう。以下同じ。)に帰属する一般会計の資産及び負債の状況を明らかにすることを目的として作成する。


(2


) 区分等
 貸借対照表は、「資産の部」、「負債の部」及び「資産・負債差額の部」の3区分とする。
 また、資産の部及び負債の部について、特に流動・固定の区分は行わない。ただし、配列については、流動性配列法とする。


(3


) 外貨建て資産及び負債の換算
 外貨建て資産及び負債については、原則として、会計年度末の為替レートで換算し、その換算方法を注記する。
 また、外貨建て資産及び負債の換算差額については、業務費用計算書に計上する。
 ただし、外貨建て資産の保有が政策的に要請されているものに係る換算差額については、資産・負債差額増減計算書において「資産評価差額」として計上する。



.資産項目
 資産については、現金・預金、有価証券、たな卸資産、貸付金、有形固定資産及び出資金等、過去の取引又は事象の結果として各省庁に帰属する一般会計の資源であって、これにより将来の業務提供能力又は経済的便益が期待されるものを計上し、形態を表す科目によって表示する。また、貸借対照表価額については、それぞれの資産の所有目的に応じた評価基準及び評価方法により計上する。

 


(1


) 現金・預金
 手持ち現金、日本銀行預託金、財政融資資金預託金のほか、円貨預け金及び外貨預け金等を「現金・預金」として計上する。
 また、供託金、契約保証金等として、各省庁の一般会計が保管しているものについては、各省庁に消費寄託されていることから「現金・預金」として計上する。なお、寄託者からの請求権は「保管金等」として負債の部に計上する。


(2


) 有価証券

 

1

 計上対象
 各省庁が保有している債券等及び「出資金」として計上されない有価証券を「有価証券」として計上する。また、有価証券の評価基準及び評価方法を注記する。
 なお、契約保証金等として国に寄託されている有価証券は、国に所有権が移転していないため計上しない。


2


 評価基準
 有価証券については、「満期保有目的有価証券」及び「満期保有目的以外の有価証券」に区分し、それぞれ次のとおり評価する。

 

 満期保有目的有価証券
 満期まで所有する意図をもって保有している債券、いわゆる「満期保有目的有価証券」については、償却原価法によって算定された価額をもって貸借対照表価額とする。
 ただし、満期保有目的有価証券で市場価格があるものについて、市場価格が著しく下落した場合には、回復する見込みがあると認められるときを除き、市場価格をもって貸借対照表価額とする。なお、債券の市場価格の下落率が30%以上である場合には、「著しく下落したとき」に該当するものとする。この強制評価減に係る評価差額については、業務費用計算書に計上する。回復する見込みがあると認められ、市場価格によって評価しない場合には、その旨、その理由及び市場価格との差額を注記する。


ii


 満期保有目的以外の有価証券
 「満期保有目的以外の有価証券」のうち、市場価格のあるものについては、会計年度末における市場価格をもって貸借対照表価額とする。市場価格での評価替えに係る評価差額については、洗い替え方式により、資産・負債差額増減計算書において「資産評価差額」として計上する。
 ただし、「満期保有目的以外の有価証券」のうち、市場価格のあるものについて、市場価格が著しく下落した場合には、回復する見込みがあると認められるときを除き、市場価格をもって貸借対照表価額とする。この強制評価減に係る評価差額については、業務費用計算書に計上する。なお、有価証券の市場価格の下落率が30%以上である場合には、「著しく下落したとき」に該当するものとする。回復する見込みがあると認められ、市場価格によって評価しない場合には、その旨、その理由及び市場価格との差額を注記する。
 「満期保有目的以外の有価証券」のうち、市場価格のないものについては、取得原価又は償却原価をもって貸借対照表価額とする。
 ただし、「満期保有目的以外の有価証券」のうち、市場価格のない株式について、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、相当の減額を行う。なお、実質価額の低下割合が30%以上である場合には、「著しく低下したとき」に該当するものとする。この強制評価減に係る評価差額については、業務費用計算書に計上する。


(3


) たな卸資産
 製品、半製品、仕掛品等を「たな卸資産」として計上する。また、原則として、それぞれの種類ごとに取得原価により計上し、その評価基準及び評価方法を注記する。
 ただし、時価が取得原価より著しく下落した場合には、回復する見込みがあると認められるときを除き、時価をもって貸借対照表価額とする。この強制評価減に係る評価差額については、業務費用計算書に計上する。なお、回復する見込みがあると認められ、時価によって評価しない場合には、その旨、その理由及び時価との差額を注記する。


(4


) 未収金
 会計年度末における未収入金を「未収金」として計上する。
 ただし、たな卸資産の売却に伴う未収金については「売掛金」の科目で計上する。


(5


) 未収収益
 一定の契約に従い、継続して役務の提供を行っている場合、会計年度末において、既に提供した役務に対して未だその対価の支払を受けていないものを「未収収益」として計上する。


(6


) 前払金
 会計年度末において、未だ提供されていない役務又は物品に対する既支払額を「前払金」として計上する。
 ただし、前金払されている公共事業の対価について、膨大な数に上る事業ごとにその執行状況を把握し、分離・区分することが困難な場合には、これを「建設仮勘定」として計上することができる。


(7


) 前払費用
 一定の契約に従い、継続して役務の提供を受けている場合、会計年度末において、未だ提供されていない役務に対して支払われた対価を「前払費用」として計上する。


(8


) 貸付金
 貸付先に対する融資残高を「貸付金」として計上する。


(9


) その他の債権等

 

1

 特別会計繰入未収金
 特別会計からの過去又は現在の繰入不足等であって、将来的に財源の繰入等について、法令により金額等が具体的に規定されているものについては、これを「特別会計繰入未収金」として計上する。
 なお、本未収金は、主管歳入に計上する省庁において計上する。


2


 特別会計繰戻未収金
 特別会計への繰入金で、繰入金に相当する金額が繰り戻されること及び繰り戻されるべき具体的金額(又は算出方法)が法令により規定されているものについては、「特別会計繰戻未収金」として計上する。
 なお、本未収金は、主管歳入に計上する省庁において計上する。


3


 その他の債権等
 各省庁の一般会計に帰属する上記以外の債権等については、「その他の債権等」として計上する。
 ただし、金額的に重要性があるもの及び一般会計の各省庁で固有のものについては、「その他の債権等」ではなく独立の科目で表示する。


(1


0) 貸倒引当金
 売掛金、未収金及び貸付金等の債権に対しては、個々の債権の事情に適した合理的な基準により貸倒見積高を算定し、「貸倒引当金」として計上する。ただし、合理的な基準により難い特別の事情がある場合には、過去3年間の実績に基づいて算定することができる。
 貸倒引当金については、その計上基準及び算定方法のほか、貸倒引当金の計上対象となっている債権の状況等について注記する。


(1


1) 有形固定資産

 有形固定資産については、その種類ごとに表示科目を設け計上する。
 また、有形固定資産は管理客体ごとに管理法規が定められていること等から、それぞれの目的に応じた評価方法により計上する。また、減価償却の方法について注記する。

 


1


 国有財産(公共用財産を除く)
 公共用財産(公園及び広場を除く。以下同じ。)を除く国有財産については、国有財産台帳によってその価額が管理されていることから、これを基礎として貸借対照表計上額を決定する。非償却資産については、国有財産台帳価格で計上する。また、償却資産については、価格改定年度以外の年度においては、減価償却費が台帳価格に反映されていないことから、価格改定に適用される減価償却の方法(定率法)により減価償却費相当額を算出し、国有財産台帳価格から当該減価償却費相当額を控除した後の価額を計上する。
 国有財産の台帳価格の改定に係る評価差額については、資産・負債差額増減計算書において「資産評価差額」として計上する。国有財産の処分時においては、台帳価格改定後の価額(価格改定年度の翌年度以降は減価償却費相当額を控除した後の価額)に基づいて処分損益を算定する。
 また、国有財産法施行細則別表1に掲げる国有財産の区分を参考に表示科目を設定する。
 なお、売却を前提としている国有財産については、これを「たな卸資産」として計上する。


2


 公共用財産
 公共用財産のうち、国の所有となるものについて、施設の耐用年数にわたる過去の用地費や事業費等を累計(累積)することにより取得原価を推計し計上する。
 非償却資産である公共用財産の用地部分については、施設の耐用年数分の用地費等を累計(累積)した額を貸借対照表価額とする。
 償却資産である公共用財産の施設部分については、過去の事業費等を累計(累積)することにより資産価額を推計し、更に定額法により減価償却費相当額を算出し、当該資産価額から、当該減価償却費相当額を控除した後の価額を計上する。償却資産の耐用年数は「国の貸借対照表作成の基本的考え方」と同様のものとする。
 また、事業費の累計(累積)にあたっては、国の事業費のほか、地方公共団体等の負担がある場合には、地方公共団体等の負担分を推計し、これも合算した上で事業費を累計(累積)する。


3


 物品
 取得価格又は見積価格が50万円(防衛庁防衛用品の分類に属する装備訓練に必要な機械及び器具(除自動車)については300万円)以上の重要物品を「物品」として計上する。また、物品管理簿の記載価格を基礎とし、減価償却を行い、当該減価償却費相当額を控除した後の価額を計上する。ただし、物品を多数保有するなどの理由により、減価償却相当額控除後の価額で計上することが困難である省庁においては、取得価格で計上し、減価償却を行っていない旨を注記する。
 なお、減価償却の方法については、原則として、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」に定める耐用年数を基準とし、残存価額を取得原価の10%とした定額法とする。


(1


2) 無形固定資産
 国有財産として管理されている地上権等の用益物権及び特許権等の無体財産権のほか、電話加入権やソフトウェアを「無形固定資産」として計上する。また、減価償却の方法について注記する。

 


1


 国有財産
 国有財産として管理されている地上権等の用益物権及び特許権、著作権等の無体財産権については、国有財産台帳価格で計上する。
 地上権等の用益物権については、非償却資産として償却を要しないが、その他の償却資産は償却を行うこととし、実施料等の見積価格で国有財産台帳に計上されているものについては、実施料等相当額を償却し、当該実施料相当額を控除した後の価額を計上する。
 国有財産の台帳価格の改定に係る評価差額については、資産・負債差額増減計算書において「資産評価差額」として計上する。国有財産の処分時においては、台帳価格改定後の価額(価格改定年度の翌年度以降は減価償却費相当額を控除した後の価額)に基づいて処分損益を算定する。


2


 電話加入権
 電話加入権については、取得原価で計上する。ただし、取得原価が判明しないものについては、現在の取得価格に相当する金額(72,000 円)で計上する。


3


 ソフトウェア
 ソフトウェアについては、研究開発費に該当しないソフトウェア制作費について、当該ソフトウェアの利用により将来の費用削減が確実であると認められる場合には、当該ソフトウェアの取得に要した費用(過去に遡って算出することが困難な場合は、5年間の開発費等の累計)を資産価額とし、定額法による減価償却を行い、当該減価償却費相当額を控除した後の価額を計上する。


(1


3) 出資金
 国有財産として管理されている政府出資等のうち、国が政策目的をもって保有しているものを「出資金」として計上する。ただし、政策目的をもって保有していない有価証券については、「有価証券」として計上する。
 「出資金」のうち、市場価格があるものは、会計年度末における市場価格をもって貸借対照表価額とする。市場価格での評価替えに係る評価差額については、洗い替え方式により、資産・負債差額増減計算書において「資産評価差額」として計上する。
 また、市場価格のあるものについて、市場価格が著しく下落した場合には、回復する見込みがあると認められるときを除き、市場価格をもって貸借対照表価額とする。この強制評価減に係る評価差額については、業務費用計算書に計上する。なお、市場価格の下落率が30%以上である場合には、「著しく下落したとき」に該当するものとする。回復する見込みがあると認められ、市場価格によって評価しない場合には、その旨、その理由及び市場価格との差額を注記する。
 「出資金」のうち、市場価格がないものは、出資金額をもって貸借対照表価額とする。
 ただし、市場価格のないものについて、出資先の財政状態の悪化により出資金の価値が著しく低下した場合には、相当の減額を行う。なお、出資金の価値の低下割合が30%以上である場合には、「著しく低下したとき」に該当するものとする。この強制評価減に係る評価差額については、業務費用計算書に計上する。
 この出資先の財政状態について、行政コスト計算書を作成している特殊法人及び認可法人においては、「特殊法人等に係る行政コスト計算書作成指針」に基づいて作成された貸借対照表によって出資金の実質的価値を算出する。
 なお、出資金の評価について、出資先法人に勘定区分があり、当該勘定の業務に充てるために出資がなされている場合には、当該勘定の財政状態によって評価を行う。



.負債項目
 負債については、未払金、政府短期証券、借入金、公債及び退職給付引当金等、過去の取引又は事象に起因する各省庁の一般会計の現在の義務であって、その履行により、将来の業務提供能力又は経済的便益の減少を生じさせるものを計上し、形態を表す科目によって表示する。

 


(1


) 未払金
 会計年度末までに支払義務発生の原因が生じており、その金額が確定し又は合理的に見積もることができるものを「未払金」として計上する。


(2


) 未払費用
 一定の契約に従い、継続して役務の提供を受けている場合、会計年度末において、既に提供された役務に対して未だその対価の支払を終えていないものを「未払費用」として計上する。


(3


) 前受金
 会計年度末において、代金の納入は受けているが、これに対する義務の履行を行っていないものを「前受金」として計上する。


(4


) 前受収益
 一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、会計年度末において、未だ提供していない役務に対し支払を受けた対価を「前受収益」として計上する。


(5


) 賞与引当金
 期末手当・勤勉手当については、会計年度末までの期間に対応する部分を「賞与引当金」として計上し、その計上基準及び算定方法について注記する。


(6


) 政府短期証券
 財務省証券については、残高(額面額)より債券発行差金を控除又は加算した額を貸借対照表価額とし、「政府短期証券」として計上する。
 債券発行差金は、財務省証券の発行期間にわたって償却を行い、債券発行差金の償却分については、業務費用計算書において「支払利息」等として計上する。


(7


) 借入金
 財政融資資金及び民間金融機関等からの借入残高を「借入金」として計上する。
 また、貸付金の原資としての特別会計からの受入金のうち、将来的には貸付金の原資を受け入れた特別会計へ戻すことが予定されているものについては、「貸付金財源受入金」として計上する。


(8


) 公債
 公債については、残高(額面額)より債券発行差金を控除又は加算した額を貸借対照表価額とし、「公債」として計上する。
 債券発行差金は、公債の発行期間にわたって償却を行い、債券発行差金の償却分については、業務費用計算書において「支払利息」等として業務費用計算書に計上する。


(9


) 退職給付引当金

 

1

 退職手当に係る退職給付引当金
 退職手当のうち既に労働提供が行われている部分については負債として認識し、「退職給付引当金」として計上する。計上額については、期末要支給額方式で算定する。
 なお、特殊法人等への出向者に係る退職給付引当金等についても計上することとし、特殊法人等からの出向者に係る退職給付引当金については計上を要しない(特殊法人等への出向者に係る退職給付引当金の計上は、一般会計において負担することとなる者を対象とし(負担関係が不明な場合は、一般会計の負担とする。)、この場合の俸給は、引き続き国の職員として在職していたと仮定した場合の俸給で算定するものとする。)。
 また、退職給付引当金の計上基準及び算定方法について注記する。


2


 恩給給付費
 恩給給付費のうち、一般会計の負担に係る将来給付見込額の割引現在価値額を「退職給付引当金」として計上する。


3


 整理資源
 国家公務員共済年金のうち、整理資源(昭和34年10月前の恩給公務員期間に係る給付分)については、将来給付見込額の割引現在価値額を「退職給付引当金」として計上する。
 なお、各省庁において整理資源の算出は困難なことから、財務省において計算された額を計上する。


4


 国家公務員災害補償年金
 国家公務員災害補償法に基づく補償のうち、職員が死亡した場合に支給される遺族補償年金については、将来給付見込額の割引現在価値額を「退職給付引当金」として計上する。


(1


3) その他の債務等

 

1

 特別会計繰入未済金
 特別会計への過去又は現在の繰入不足等であって、将来的に特別会計に繰り入れるべきものについて、法令の規定により金額等が具体的に規定されているものについては、これを「特別会計繰入未済金」として計上する。
 なお、本未済金は、歳出予算に計上する省庁において計上する。


2


 特別会計繰戻未済金
 特別会計からの繰入金で、繰入金に相当する金額を繰り戻すことが法令で規定されているものについては、繰戻未済額を「特別会計繰戻未済金」として計上する。
 なお、本未済金は、歳出予算に計上する省庁において計上する。


3


 その他の債務等
 各省庁の一般会計に帰属する上記以外の債務等については、「その他の債務等」として計上する。
 ただし、金額的に重要性があるもの又は各特別会計で固有のものについては、「その他の債務等」ではなく独立の科目で表示する。



.資産・負債差額
 貸借対照表における資産と負債の差額については「資産・負債差額の部」として整理する。なお、資産・負債差額の部については、その内訳は表示せず、「資産・負債差額」の科目で一括計上する。



.貸借対照表の標準的な様式
 貸借対照表の標準的な様式は次のとおりとする。
 なお、一般会計の各省庁に固有の表示科目については、適宜、科目を追加する。

 


貸借対照表
(○年○月○日)
(単位:百万円)
貸借対照表を表す図1
貸借対照表を表す図2


第3章 業務費用計算書



.業務費用計算書の作成目的等

 

(1

) 作成目的
 業務費用計算書は、各省庁の業務実施に伴い発生した費用を発生主義により認識し、その内容を明らかにすることを目的として作成する。


(2


) 業務費用計算書の考え方
 業務費用計算書は、各省庁の業務実施に伴い当該年度に発生した費用を発生主義により認識し、その内容を形態別に示すものである。
 なお、業務費用計算書は、資産・負債差額の減少要因のうち、各省庁の業務実施に伴い発生した費用を計算し、この計算結果である「本年度業務費用合計」は、資産・負債差額の増減を明らかにする資産・負債差額増減計算書に連動することとなる。


(3


) 作成方法
 業務費用計算書は、歳入歳出決算の計数から、施設整備費のうち資産計上される部分等を控除するほか、発生主義により把握する経過勘定項目、減価償却費及び引当金等の非資金取引を修正すること等により作成する。



.業務費用計算書の計上項目

 

(1

) 業務費用項目

 

1

 業務実施に伴い発生した費用・損失
 各省庁の所掌する範囲内において、各省庁の業務実施に伴い当該年度に発生した費用及び損失を計上する。


2


 資産の処分損益等
 有価証券、国有財産及び物品等の売却損益及び除却損等を計上(処分益はマイナス項目として計上)し、処分益が計上されている場合には、その旨及び金額を注記する。


3


 引当金等の戻入額等
 貸倒引当金、賞与引当金及び退職給付引当金等の戻入額(又は減少額)をマイナス項目として計上し、戻入額(又は減少額)が計上されている場合には、その旨及び金額を注記する。


4


 評価差額等
 評価差額等のうち、外貨建て資産及び負債(政策的に保有しているものを除く。)の換算差額並びにたな卸資産、有価証券及び出資金の強制評価減に係る評価差額を計上(換算差益はマイナス項目として計上)し、換算差益が計上されている場合には、その旨及び金額を注記する。


(2


) 業務費用計算書には計上しないもの
 資産・負債差額の減少となるもの又は歳出決算として計上されるものであっても、以下のものは業務費用計算書には計上しない。

 


1


 資産及び負債の評価差額
 資産及び負債の評価替えに伴い発生した評価差額のうち、資産・負債差額増減計算書の「資産評価差額」として計上するものについては、業務費用計算書には計上しない。


2


 無償所管換(渡)等
 省庁間又は会計間の財産の無償所管換(渡)等及びこれに準ずる資産の減少に伴い生じた差額については、法令に基づいて所管換えが行われること等から、資産・負債差額増減計算書の「無償所管換等」として計上し、業務費用計算書には計上しない。


3


 資金(積立金)への繰入
 財政法第44条の資金と一般会計との受払いについては、歳入歳出を通して行われるが、過去の業務実施に充てられた不足財源の補填または翌年度以降の業務実施に係る財源のプールであり、当該年度における業務実施に直接充てられるものではなく、これにより資産・負債差額の増減は生じないため、資金への繰入れについては業務費用計算書には計上しない。



.業務費用計算書の標準的な様式
 業務費用計算書の標準的な様式は次のとおりとする。
 なお、一般会計の各省庁で固有の表示科目については、適宜、科目を追加する。

 


業務費用計算書
(自:○年○月○日 至:○年○月○日)
(単位:百万円)
業務費用計算書を表す図
 

 (注1

)「○○業務費」等には、人件費、補助金等及び施設整備費等は含まず、各省庁が所掌する事務・事業の内容を表す適宜の科目で計上する。

 (注2

)「人件費」には共済組合負担金を含む。

 (注3

)「補助金等」には、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」第2条第1項で規定する補助金等を計上する。当該補助金等に該当しない対価性のある委託費及び交付金等については、それぞれ適宜の科目で計上する。

 (注4

)他省庁の所管に属する特別会計への繰入を計上する。

 (注5

)「施設整備費」には、資産計上されるものは含まない。


第4章 資産・負債差額増減計算書



.資産・負債差額増減計算書の作成目的等

 

(1

) 作成目的
 資産・負債差額増減計算書は、前年度末の貸借対照表の資産・負債差額と本年度末の貸借対照表の資産・負債差額の増減について、要因別に開示することを目的として作成する。


(2


) 資産・負債差額増減計算書の考え方
 業務費用と財源の間には、企業会計の費用と収益と同様の対応関係が存在していないこと等から、業務費用と財源を同じ計算書において対応させ、その差額の計算を行うことは適当でないと考えられる。このため、資産・負債差額の増減要因のうち、業務費用計算書に計上されないものについて、資産・負債差額増減計算書において、要因別に示すものである。
 なお、資産・負債差額増減計算書は、貸借対照表の資産・負債差額の増減要因を開示する財務書類であることから、前年度末と本年度末の貸借対照表の資産・負債差額と連動することとなる。



.資産・負債差額増減計算書の計上項目

 

(1

) 資産・負債差額増減項目

 

1

 本年度業務費用合計
 資産・負債差額の増減要因のうち、業務費用計算書で表示・計算された「本年度業務費用合計」を計上する。


2


 財源
 各省庁の業務実施の財源として「主管の財源」及び「財源の調整」を計上する。
 「主管の財源」としては、各省庁の主管歳入の徴収決定済額(当該年度に調査決定を行ったものに限る。)から、資産・負債差額の増減項目とはならない資産の処分に係る収入及び貸付金回収収入等を除いた額を計上する。
 また、主管歳入のうち、資金からの受入や前年度剰余金受入については、前年度以前に資産・負債差額の増加となっているものを改めて歳入として受け入れているものであることから、財源としては計上しない。ただし、租税収入等については、国税収納金整理資金から純額が歳入として計上されていることから、これを財源として計上する。
 「財源の調整」としては、各省庁の歳出の決算額(支出済歳出額)と主管の歳入決算額(収納済歳入額)との差額を計上する。


3


 無償所管換等
 一般会計の省庁間又は会計間の財産の無償所管換(渡)等及びこれに準ずる資産の減については、資産・負債差額の減少要因であるが、法令に基づいて所管換えが行われること等から、各省庁の業務実施に伴い発生した費用として整理することは適当でないと考えられるため、資産・負債差額増減計算書において「無償所管換等」として計上する。また、財産の無償所管換(受)等については、資産・負債差額の増加要因であることから、同様に「無償所管換等」として計上する。
 なお、無償所管換等は純額で計上し、その増減等は附属明細書で記載する。


4


 資産評価差額
 外貨建て資産(その保有が政策的に要請されているもの)の換算差額、有価証券及び出資金の評価差額(強制評価減に係るものを除く。)及び国有財産の台帳価格改定に伴う評価差額について、「資産評価差額」として計上する。
 なお、資産評価差額は純額(本年度発生額と戻入額の差額)を計上し、その増減等は附属明細書で記載する。


5


 その他資産・負債差額の増減
 資金の増減のうち歳入歳出外で増減するもの等について、「その他資産・負債差額の増減」として計上する。


(2


) 財源とは整理しないもの

 

1

 資金からの受入
 資金からの受入のうち、本年度の業務実施の財源とはなっているが、このうち前年度以前に資産・負債差額の増加となっているものを改めて歳入として受け入れているものについては、内部の財政資金の調整(移動)にすぎず、資産・負債差額の増減は生じないことから、財源としては計上しない。


2


 前年度剰余金受入
 前年度剰余金受入は、本年度の業務実施の財源とはなっているが、前年度以前に資産・負債差額の増加となっているものであり、内部の財政資金の調整(移動)にすぎず、資産・負債差額の増減は生じないことから、財源としては計上しない。



.資産・負債差額増減計算書の標準的な様式
 資産・負債差額増減計算書の標準的な様式は次のとおりとする。
 なお、一般会計の各省庁で固有の表示科目については、適宜、科目を追加する。

 


資産・負債差額増減計算書
(自:○年○月○日 至:○年○月○日)
(単位:百万円)
資産・負債差額増減計算書を表す図
 

(注1

)業務費用計算書の本年度末業務費用合計の計数である。

(注2

)「主管の財源」には、各省庁の主管歳入の徴収決定済額(当該年度に調査決定を行ったものに限る。)から、貸付金回収収入や前年度剰余金受入等の各省庁の資産・負債差額の増減を生じさせないものを除いた額を計上する。なお、財務省においては、「主管の財源」に代えて「租税及印紙収入」及び「その他の主管の財源」の科目で表示する。

(注3

)財務省においては、「財源の調整」に代えて他省庁に対する財源の調整額を「他省庁への財源の調整」の科目でマイナス表示する。

(注4

)資金等に係る資産・負債差額の増減を計上する。


第5章 区分別収支計算書



.区分別収支計算書の作成目的等

 

(1

) 作成目的
 区分別収支計算書は、各省庁の財政資金の流れと収支状況を明らかにすることを目的として作成する。


(2


) 作成方法
 区分別収支計算書は、歳入歳出決算の計数を業務収支と公債等に係る財務等収支の区分に並び替えること等により作成する。
 また、「本年度収支」の下で、歳計外の資金及び供託金、契約保証金及び資金の残高を計上する。これにより、区分別収支計算書の「本年度末現金・預金残高」と貸借対照表の「現金・預金」の計数は一致することとなる。



.資金区分の内容
 区分別収支計算書における区分の内容は、次のとおりとする。

 


(1


) 業務収支
 業務収支として、租税収入等の各省庁の業務実施の財源の状況及び業務実施に伴う収支の状況を開示する。

 


1


 財源
 各省庁の業務実施の財源として、「主管の収納済歳入額」及び「財源の調整」を計上する。
 なお、「財源の調整」は、各省庁の歳出の決算額(支出済歳出額)と主管の歳入決算額(収納済歳入額)との差額を計上する。


2


 業務支出
 各省庁の業務実施に伴う支出については、業務内容ごとに区分し、形態別の表示科目でその内容を開示する。


(2


) 財務等収支
 公債や借入金等に関する収支について、「財務等収支」の区分に計上する。



.区分別収支計算書の標準的な様式
 区分別収支計算書の標準的な様式は次のとおりとする。
 なお、各省庁固有の収支については、適宜、表示科目を追加する。

 


区分別収支計算書
(自:○年○月○日 至:○年○月○日)
(単位:百万円)
区分別収支計算書を表す図1
区分別収支計算書を表す図2
 

(注1

)財務省においては、「主管の収納済歳入額」に代えて「租税及印紙収入」、「公債の発行による収入」、「前年度剰余金受入」、「決算調整資金からの受入」及び「その他の主管の収納済歳入額」の科目で表示する。

(注2

)財務省においては、「財源の調整」に代えて他省庁に対する財源の調整額を「他省庁への財源の調整」の科目でマイナス表示する。

(注3

)「○○業務費」等には、人件費、補助金等及び施設整備費等は含まず、各省庁が所掌する事務・事業の内容を表す適宜の科目で計上する。

(注4

)「補助金等」には、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」第2条第1項で規定する補助金等を計上する。当該補助金等に該当しない対価性のある委託費及び交付金等については、それぞれ適宜の科目で計上する。


第6章 注記



.重要な会計方針
 財務書類作成のために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他財務書類作成のための基本となる次に掲げる事項を記載する。

 

 1

 外貨建て資産・負債の換算方法

 2

 有価証券の評価基準及び評価方法

 3

 たな卸資産の評価基準及び評価方法

 4

 有形固定資産及び無形固定資産の減価償却の方法

 5

 引当金(恩給給付費及び整理資源に係る退職給付引当金を除く。)の計上基準及び算定方法

 6

 その他財務書類作成のための基本となる重要な事項



.重要な会計方針の変更
 重要な会計方針を変更した場合、次に掲げる事項を記載する。

 

 1

 会計処理の原則又は手続を変更した場合には、その旨、理由及び重要な会計方針の変更が財務書類に与えている影響の内容

 2

 表示方法を変更した場合には、その内容



.重要な後発事象
 会計年度終了後、財務書類を作成する日までに発生した事象で、翌年度以降の各省庁の一般会計の財務状況等に影響を及ぼす後発事象のうち、次に掲げるものを記載する。

 

 1

 各省庁の主要な業務の改廃

 2

 各省庁の組織・機構の大幅な変更

 3

 国の予算措置の重大な変更

 4

 その他重要な後発事象



.偶発債務等

 

(1

) 偶発債務
 会計年度末においては現実の債務ではないが、将来、一定の条件を満たすような事態が生じた場合に債務となるもののうち、次に掲げるものを記載する。

 

 1

 保証債務及び損失補償債務負担の状況

 2

 係争中の訴訟等で損害賠償等の請求を受けているもの

 3

 その他主要な偶発債務


(2


) 継続費による負担額
 継続費については、国会の議決を経て、あらかじめ数年度にわたる債務負担権限と支出権限が付与されており、将来的に支払義務を負うこととなるため、その経費の総額及び年割額について記載する。


(3


) 国庫債務負担行為による負担額
 国庫債務負担行為については、国会の議決を経て、債務負担権限が付与されており、将来的に支払義務を負うことになるため、国庫債務負担行為による繰越債務額について記載する。



.追加情報
 財務書類の内容を理解するために必要となる次に掲げる事項を記載する。

 

1

 出納整理期間について、出納整理期間が設けられている旨及び出納整理期間における現金の受払等を終了した後の計数をもって会計年度末の計数としている旨

2

 貸倒引当金を計上している債権のうち、その徴収の可能性について重大な懸念が生じており又は生じることが見込まれるもののうち、重要と認められるものについては、債権の種類、懸念の内容及び金額

3

 業務費用計算書において、有価証券の処分益や引当金の戻入等が計上されている場合には、その旨及び金額

4

 各財務書類における表示科目について、その内容等また、各省庁固有の表示科目については、その根拠法令等

5

 その他財務書類の内容を理解するために特に必要と考えられる情報

 
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