財務総合政策研究所

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序にかえて

−研究会開催にあったっての会長挨拶−

 

 アジアの研究会に関わって、今回で4年目になるが、1年目は、アジアという概念規定から始め、アジアをいわば文明論の立場から論じた極めて興味深い研究会であったことから「アジアをめぐる知の冒険」という本になった。

 2年目がアジア経済一般ということで、相当広い分野の先生方が参画し議論した。その時点ではアジア経済は絶好調の時代であったことから、アジア経済をめぐる議論もポジティブな議論が多かった。97年7月のタイから始まったアジアの金融危機・経済危機についての見通しは出なかったので、その意味でわりと楽観的な議論が多かったと思う。

 3年目は、テーマとして韓国というひとつの国をとりあげた。スタートする時点ではまだ経済危機は見通しておらず、危機が始まり韓国に波及してきて、議論も深刻なものとなった。いかに経済というものは生き物であって、先生方が集まっていても、まだその予兆も見通せなかったのかというのが、私自身も含めて反省の材料である。

 したがって、今回、この研究会でこれだけの先生方が集まって、一昨年のアジア危機が始まる前の議論と比較して、今回の議論がどのように展開されていくのか。また、やはり将来の予兆というのをどのようにとらえるのか等の議論を聞かせてもらえると思う。今回の議論に、個人的にも大変期待しているし、そうした議論の集積が行政にも良い意味で反映されることを願っている。

アジア経済情勢研究会会長
大蔵省財政金融研究所顧問

斎藤  次郎


 

序にかえて

−研究会開催にあったっての座長挨拶−

 

 先を見通すというのは非常に難しいだろうと思う。大蔵省のいろいろな研究会でも、アジアの危機が起こる前は誰も危機が起こるなんて言ってなかった。危機が起こったら、みんな「危機だ」と言い出した。これは、学者も私たちも悪いのだろうと思うが、今動いていることをどうやって的確に見通すかというのは、多分、知的に非常に困難な作業だろうと思うが、これまでの研究会の経験から言うと、やはり歴史みたいなものをどのぐらい考えるかというようなことが的確な見通しをつけるときに重要なのではないかと思う。

 これからこの研究会も、金融や為替の分野、国のいろいろな地域の経済の専門家あるいは政治の専門家の方がいるが、なるべく、今、起こっていることを的確に見ていくために、どのような知的な見通しを我々は持ったらいいのだろうかといったことを議論できればいいのでないかと思う。

 もちろん、ここは大蔵省の財政金融研究所なので、財政や金融といった各国の政策や制度も中心話題の1つになると思うが、こうした背景も含めて、比較の視点と長い歴史的な視点というものも、議論できればいいのではないかと思う。 

アジア経済情勢研究会座長
東京大学東洋文化研究所所長

原  洋之介


 

序にかえて

−研究会開催にあったっての財政金融研究所長挨拶−

 

 財政金融研究所は昭和60年5月に発足し、内外の重要問題につきまして中長期的観点から研究活動に取り組んできています。特に近年はアジア経済を中心に有識者から情報を収集し、意見交換を行っており、かなりの研究成果が実績としてできています。こうした成果を踏まえ引き続きアジア経済を中心とした研究を進めていきたいと思っております。

 今回の研究会のテーマは、通貨危機から約1年を経過し、さらに日々急変するアジア各国の経済情勢をフォローアップすることを主眼としています。財政金融研究所も勉強するよい機会だと思っており、活発な意見交換ができることを期待しています。

財政金融研究所所長  

 福田  誠