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2 「税」の現状を知ろう

(1)さまざまな「税」

「税」には、いくつかの分類の仕方があります。第一は、「何に税負担を求めるか」による分け方で、大きく分けると、所得に対する税、消費に対する税、資産等に対する税があります。

第二は、「誰が課税主体か」による分け方で、国が課税主体であるものを国税、都道府県や市町村といった自治体が課税主体であるものを地方税といいます。国税・地方税を合わせて40種類以上あり、それぞれの税は法律に定められています。

このほか、「誰が税を負担し(実質負担者)、誰が税を納めるか(納税義務者)」による分け方もあり、納税義務者と実質負担者が一致する直接税(所得税など)と、納税義務者と実質負担者が異なる間接税(消費税など)があります。

図:所得に対する税(所得課税)=所得税、法人税、住民税など。所得(利益)を対象として課税|消費に対する税(消費課税)=消費税、酒税、たばこ税、揮発油税など。物品やサービスの消費等を対象として課税|資産等に対する税(資産課税等)=相続税、贈与税、登録免許税など。資産の取得・保有等を対象として課税
図:国税・地方税の所得課税、消費課税、資産課税等

(2)国の税収

国の税収(一般会計分)を見てみると、バブル景気のもとで平成2年度には60兆円台となりましたが、その後、個人所得課税を中心とする減税や、景気の低迷等により徐々に税収は減少しました。そして、平成21年度には、リーマンショックの影響等により、税収は約39兆円にまで落ち込みましたが、その後の景気回復等により、平成30年度の税収は60.4兆円となっています。

図:一般会計税収の推移

(注)令和元年度以前は決算額、令和2年度は補正後予算額、令和3年度は予算額である。

(3)税制の変遷と各税目の特徴

平成を振り返ると、昭和末期における所得税の重税感や消費の多様化等も踏まえ、税体系全体として税負担の公平につなげるため、個人所得課税等が軽減されるとともに、消費に広く公平に負担を求める消費税(3%)が平成元年(1989年)に創設されました

その後、少子高齢化の加速を背景に、勤労世代の人口が相対的に減少する一方、社会保障の財政需要の増大が避けられないこと等を踏まえ、個人所得課税の軽減と消費税(以下、地方消費税分含む)の充実(3%⇒5%・平成9年(1997年))を柱とする税制改革が行われました。

さらに、社会保障と税の一体改革の下、消費税については、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源と位置付け、平成26年(2014年)に税率を5%から8%に、また令和元年(2019年)10月に8%から10%に引き上げられました。この間、所得税については、所得再分配機能を回復する観点から、最高税率等の見直しが行われているほか、法人税については、国内企業の活力と国際競争力を維持する観点から、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことによって法人課税は成長志向型に改革されています。

このように、時々の経済社会の変化を踏まえつつ、各税目の改正が行われてきました。

主要な税目の特徴は下表のとおりです。

図:主要な税目の特徴

(4)財政の状況

近年、国の一般会計歳出では、社会保障関係費や国債費(国債の元利払いに充てられる費用)が増加している一方、その他の政策的な経費の割合が縮小しています。近年の予算においては、社会保障関係費と国債費と地方交付税交付金等で歳出全体の約4分の3を占めています

令和3年度一般会計予算における歳入のうち、税収は約57.4兆円を見込んでいます。本来、その年の歳出はその年の税収やその他収入で賄うべきですが、令和3年度予算では歳出全体の約3分の2しか賄えておらず、残りの約3分の1は公債金すなわち借金に依存している状況です。

図:令和3年度一般会計歳出・歳入の構成

(注1)予算ベース

(注2)歳出の「その他」には、新型コロナウイルス感染症対策予備費(4.7%(5.0兆円))が含まれる。

一般会計歳出と一般会計税収との差は大きく開き、その差は借金である国債(建設公債・特例公債)の発行によって賄われている状況にあり、子や孫の世代へ負担を先送りしています。また、足もとでは、新型コロナウイルス感染症への対応のため、歳出が拡大しています。現在の税制は高齢化等の影響により拡大する歳出を賄うことができておらず、その基本的な役割である財源調達機能を十分に果たせていません。

図:財政の状況

(注1)2019年度までは決算、2020年度は第3次補正後予算、2021年度は予算による。

(注2)2019年度及び2020年度の計数は、臨時・特別の措置に係る計数を含んだものである。

(5)受益と負担のバランス

諸外国と比較すると、現在の日本の税収の規模は対GDP比で国際的に低い水準となっています。支出面については、社会保障以外の支出規模は国際的に低い水準ですが、社会保障支出の規模は中程度の水準となっています。

高齢化に伴う社会保障の給付の増加と国民の負担の関係について、引き続き、国民全体で議論していく必要があります。

図:受益と負担のバランス

(出典)OECD”National Accounts”、”Revenue Statistics”、内閣府「国民経済計算」等

(注)日本は2018年度実績、諸外国は2018年実績(リトアニア、ルクセンブルグは2017年実績)。

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