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東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案要綱

東日本大震災の被災者等の負担の軽減を図る等のため、国税関係法律の特例を定めるための法律を制定することとする。

一 所得税関係

  • 1 東日本大震災により住宅、家財等について生じた損失について、次の措置を講ずることとする。(第4条、第5条関係)

    • (1) その損失額を平成22年分の総所得金額等から雑損控除として控除できる。

    • (2) 雑損控除を適用してその年分の総所得金額等から控除しても控除しきれない損失額についての繰越期間を5年とする。

  • 2 事業所得者等の有する棚卸資産、事業用資産等につき東日本大震災により生じた損失(以下「被災事業用資産の損失」という。)について、次の措置を講ずることとする。(第6条、第7条関係)

    • (1) その損失額を平成22年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入することができる。この場合において、青色申告者について平成22年分の所得において純損失が生じたときは、被災事業用資産の損失も含めて、平成21年分の所得への繰戻し還付ができる。

    • (2) 被災事業用資産の損失を有する者の被災事業用資産の損失による純損失の金額及び平成23年において生じた純損失の金額のうち次に掲げるものの繰越期間を5年とする。

      • 1 青色申告者でその有する事業用資産等のうちに被災事業用資産の損失額の占める割合が10分の1以上である者の有する被災事業用資産の損失による純損失を含む平成23年分の純損失の金額

      • 2 白色申告者でその有する事業用資産等のうちに被災事業用資産の損失額の占める割合が10分の1以上である者の有する被災事業用資産の損失による純損失と変動所得に係る損失による純損失の合計額

  • 3 個人が、平成23年3月11日から平成25年12月31日までの間に支出した震災関連寄附金(国又は東日本大震災により著しい被害が発生した地方公共団体に対する寄附金及び東日本大震災に関連する財務大臣が指定寄附金として指定した寄附金をいう。以下同じ。)について、次の措置を講ずることとする。(第8条関係)

    • (1) 震災関連寄附金に対する寄附金控除についての控除対象限度額を、総所得金額等の100分の80相当額とする。

    • (2) 認定特定非営利活動法人及び共同募金会連合会に対して支出した震災関連寄附金のうち被災者の支援活動に必要な資金に充てられるものについて、その寄附金の額が2,000円を超える場合には、所得控除との選択により、その超える額の100分の40相当額(所得税額の100分の25相当額を限度)をその年分の所得税額から控除する。

  • 4 勤労者が、東日本大震災により被害を受けたことにより、平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に、勤労者財産形成住宅貯蓄及び勤労者財産形成年金貯蓄の目的外払出しを行う場合には、その貯蓄に係る利子等に対する遡及課税等は行わないこととする。(第10条関係、附則第3条関係)

  • 5 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等の適用を受けていた住宅が東日本大震災により居住の用に供することができなくなった場合においても、控除対象期間の残りの期間について、引き続き税額控除を適用することができることとする。(第13条関係)

二 法人税関係

  • 1 法人の平成23年3月11日から平成24年3月10日までの間に終了する各事業年度又は平成23年3月11日から同年9月10日までの間に終了する中間期間において生じた繰戻対象震災損失金額(欠損金額のうち東日本大震災により棚卸資産等について生じた損失の額で一定のものに達するまでの金額をいう。)がある場合には、当該各事業年度に係る確定申告書又は当該中間期間に係る仮決算の中間申告書の提出と同時に、その繰戻対象震災損失金額に係る事業年度又は中間期間開始の日前2年以内に開始した事業年度の法人税額のうちその繰戻対象震災損失金額に対応する部分の金額の還付を受けることができる措置を講ずることとする。(第15条、第23条関係)

    なお、偽りその他不正の行為により、震災損失の繰戻しによる法人税額の還付を受けた場合の罰則について必要な規定を設けることとする。(第33条関係)

  • 2 法人の平成23年3月11日から同年9月10日までの間に終了する中間期間において東日本大震災により棚卸資産等について生じた損失の額で一定のものがある場合には、当該中間期間に係る仮決算の中間申告において、当該中間期間において課される所得税額で当該中間期間の法人税額から控除しきれなかった金額(その損失の額を限度)を還付する措置を講ずることとする。(第16条、第24条関係)

  • 3 東日本大震災に係る国税通則法の規定による申告期限の延長により、中間申告書の提出期限と確定申告書の提出期限とが同一の日となる場合は、当該中間申告書の提出を要しないこととする。(第17条、第25条関係)

  • 4 事業者が、平成23年3月11日から平成28年3月31日までの間に、東日本大震災により滅失若しくは損壊をした建物、構築物若しくは機械装置若しくは一定の船舶、航空機若しくは車両運搬具の代替資産の取得等をしてその事業の用に供した場合又は建物、構築物若しくは機械装置の取得等をして被災区域(東日本大震災により滅失をした建物等の敷地等の区域をいう。以下同じ。)内においてその事業の用に供した場合には、これらの減価償却資産の取得価額にその取得等の時期に応じた次の償却割合を乗じた金額の特別償却ができることとする。(第11条、第18条、第26条関係)

    • (1) 建物又は構築物

      • 1 平成23年3月11日から平成26年3月31日までの間に取得等をしたもの 100分の15(中小企業者等にあっては、100分の18)

      • 2 平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に取得等をしたもの 100分の10(中小企業者等にあっては、100分の12)

    • (2) 機械装置又は一定の船舶、航空機若しくは車両運搬具

      • 1 平成23年3月11日から平成26年3月31日までの間に取得等をしたもの 100分の30(中小企業者等にあっては、100分の36)

      • 2 平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に取得等をしたもの 100分の20(中小企業者等にあっては、100分の24)

  • 5 事業者が、平成23年3月11日から平成28年3月31日までの期間(以下「対象期間」という。)内に、次の買換えを行った場合には、その買換えに係る対象期間内に資産の譲渡をして、その譲渡の日を含む事業年度において取得をし、かつ、その取得の日から1年以内にその事業の用に供する資産について、その譲渡をした資産に係る譲渡利益金額に相当する金額の範囲内で圧縮記帳ができることとする。(第12条、第19条〜第21条、第27条〜第29条関係)

    • (1) 被災区域である土地等又はこれらとともに譲渡をするその土地の区域内にある建物若しくは構築物で、平成23年3月11日前に取得がされたものから、国内にある土地等又は国内にある事業の用に供される減価償却資産への買換え

    • (2) 被災区域である土地以外の土地の区域内にある土地等、建物又は構築物から、被災区域である土地等又はその土地の区域内にある事業の用に供される減価償却資産への買換え

  • 6 収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例及び特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例について、東日本大震災のため、代替資産又は買換資産をその取得すべき期間内に取得することが困難となった場合には、一定の要件の下に、その期間を2年以内の範囲で延長することができることとする。(第22条、第30条関係)

三 相続税・贈与税関係

  • 1 平成23年3月10日以前に相続又は贈与により取得した財産に係る相続税又は贈与税で同月11日以後にその申告期限が到来するものについて、指定地域内の土地等及び一定の非上場株式等の価額を東日本大震災の発生直後の価額とすることができることとするとともに、その申告期限を別に定める日まで延長することとする。(第34条〜第36条関係)

  • 2 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置及び特定の贈与者から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(以下「贈与税に係る住宅特例」という。)について、次の措置を講ずることとする。(第37条、第38条関係)

    • (1) 平成22年1月1日から平成23年3月10日までの間に住宅取得等資金の贈与を受けて住宅用家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」という。)をした者が、同日後遅滞なくその住宅用家屋を居住の用に供することが確実であると見込まれることにより贈与税に係る住宅特例の適用を受けた場合において、その住宅用家屋が東日本大震災により滅失等をしたことによってその居住の用に供することができなかったときは、居住の用に供することを要件としない。

    • (2) 平成22年1月1日から同年12月31日までの間に住宅取得等資金の贈与を受けた者が、住宅用家屋の新築等をし、平成23年3月15日後遅滞なくその住宅用家屋を居住の用に供することが確実であると見込まれることにより贈与税に係る住宅特例の適用を受けた場合において、東日本大震災に起因するやむを得ない事情によりその住宅用家屋を同年12月31日までにその居住の用に供することができなかったときは、その居住期限を平成24年12月31日まで延長する。

    • (3) 平成23年1月1日から同年3月10日までの間に贈与により金銭を取得した者が、その金銭を対価に充てて住宅用の家屋の新築等をする場合においては、東日本大震災に起因するやむを得ない事情により平成24年3月15日までに新築等ができなかったときであっても、贈与税に係る住宅特例の適用を受けることができることとした上で、その新築等の期限を平成25年3月15日まで延長する。

四 登録免許税関係

  • 1 東日本大震災の被災者等が東日本大震災により滅失等をした建物に代わるものとして取得する建物の所有権の保存登記及び移転登記並びにその取得資金の貸付け等に係る一定の抵当権の設定登記で、この法律の施行の日の翌日から平成33年3月31日までの間に受けるものに対する登録免許税を免除することとする。(第39条関係)

  • 2 東日本大震災の被災者等が取得する上記1の建物の敷地の用に供される土地の所有権等の移転登記等及びその取得資金の貸付け等に係る一定の抵当権の設定登記で、この法律の施行の日の翌日から平成33年3月31日までの間に受けるものに対する登録免許税を免除することとする。(第40条関係)

  • 3 東日本大震災の被災者等が東日本大震災により滅失等をした船舶又は航空機に代わるものとして取得する船舶又は航空機の所有権の保存登記等及び移転登記等並びにこれらの取得資金の貸付け等に係る一定の抵当権の設定登記等で、この法律の施行の日の翌日から平成33年3月31日までの間に受けるものに対する登録免許税を免除することとする。(第41条関係)

五 消費税等関係

  • 1 東日本大震災の被災者である事業者について、課税事業者選択届出書の提出等に係る適用関係の特例を定めることとする。(第42条関係)

  • 2 東日本大震災に係る国税通則法の規定による申告期限の延長により、中間申告書の提出期限と確定申告書の提出期限とが同一の日となる場合は、当該中間申告書の提出を要しないこととする。(第43条関係)

  • 3 揮発油税及び地方揮発油税に係る「トリガー条項」について、東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を停止することとする。(第44条関係)

  • 4 東日本大震災を原因として滅失等した自動車(以下「被災自動車」という。)について、平成25年3月31日までの間、当該被災自動車の所有者に車検残存期間に応じた自動車重量税に相当する金額を還付する措置を講ずることとする。(第45条関係)

  • 5 被災自動車の使用者が、平成23年3月11日から平成26年4月30日までの間に検査自動車を取得し自動車検査証の交付等(平成23年3月11日以降最初に受けるものに限る。)を受ける場合には、自動車重量税を免除することとする。(第46条関係)

  • 6 地方公共団体又は株式会社日本政策金融公庫等が東日本大震災により被害を受けた者に対して行う金銭の特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書のうち、平成23年3月11日から平成33年3月31日までの間に作成されるものについては、印紙税を課さないこととする。(第47条関係)

  • 7 東日本大震災の被災者が、次のいずれかに該当する場合に作成する不動産の譲渡に関する契約書又は請負に関する契約書(建設業法に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるものに限る。)のうち、平成23年3月11日から平成33年3月31日までの間に作成されるものについては、印紙税を課さないこととする。(第48条関係)

    • (1) 東日本大震災により滅失・損壊した建物(以下「滅失等建物」という。)が所在した土地を譲渡する場合

    • (2) 東日本大震災により損壊した建物(以下「損壊建物」という。)を譲渡する場合

    • (3) 滅失等建物に代わるもの(以下「代替建物」という。)の敷地の用に供する土地を取得する場合

    • (4) 代替建物を取得する場合

    • (5) 代替建物を新築する場合

    • (6) 損壊建物を修繕する場合

六 災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律関係

東日本大震災により住宅又は家財について被害を受けた者については、その被害を平成22年において受けたものとして、平成22年分の所得税について災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律を適用することができることとする。(第49条関係)

七 施行期日

この法律は、公布の日から施行することとする。(附則第1条関係)

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