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【新たな特別会計財務書類について】第7章~第10章/財政制度等審議会

第7章 参考情報


.特別会計が経理する業務等についての情報
 特別会計の設置目的、特別会計が経理している業務の内容、当該特別会計における勘定間の財政資金の流れ、関係する他会計並びに特殊法人等及び公益法人との間の財政資金の流れのほか、歳入歳出決算の概要等を作成する。なお、特別会計内に勘定区分が設けられている場合には、勘定単位でも作成する。


.機会費用
 業務費用・財源計算書の業務費用としては認識されていないが、特別会計が業務を実施する上での国民の負担と考えられるコスト(以下「機会費用」という。)を記載する。
 機会費用として算定するものは以下に掲げるものとし、会計年度末残高に、会計年度末における10年利付国債の利回りを乗じることにより算出する。
 

1

 特別会計法の規定により「基金」等として整理されているものに係る機会費用

2

 いわゆる特別の会計間の繰入法に基づく返済条件付受入金に係る機会費用

3

 貸付金の原資等としての受入金に係る機会費用


.勘定を合算した財務書類
 各特別会計法等の規定により勘定区分が設けられている特別会計においては、特別会計全体の財務状況を示すものとして、各勘定の財務書類を合算した財務書類を作成する。
 なお、勘定を合算した財務書類の作成については、次章に示すところによる。


.連結財務書類
 特別会計から、特殊法人等に対して出資や補助金等が支出されており、特殊法人等への財政資金を通じて特別会計の業務の一部が行われていると考えられる。これらの財政資金が支出されている特殊法人等を連結することにより、特別会計の経理している業務の全体像を示すため、業務に関連する特殊法人等がある場合には、連結財務書類を作成する。
 なお、連結財務書類の作成については、第9章に示すところによる。

第8章 勘定を合算した財務書類


.勘定を合算した財務書類の作成目的
 各特別会計法等の規定に基づき勘定区分が設けられている特別会計においては、勘定を合算した特別会計の財務状況を開示することを目的として作成する。


.勘定を合算した財務書類の位置付け
 各特別会計法等の規定に基づき勘定区分が設けられている場合には、勘定区分ごとに歳入歳出決算が作成されており、特別会計の財務内容を補足説明する財務書類の作成単位も勘定単位が基本であること、また、勘定を合算した特別会計全体の歳入歳出決算が作成されていないことから、勘定を合算した財務書類は参考情報として作成する。
 なお、勘定を合算することにより、誤った情報を提供することとなる懸念がある特別会計においては、必要な注記を行う。


.勘定を合算した財務書類の体系等
 勘定を合算した財務書類の体系は、合算貸借対照表、合算業務費用・財源計算書及び合算区分別収支計算書とする。


.合算の方法
 勘定を合算した財務書類は、各勘定の財務書類を基礎とし、勘定間の債権債務及び取引を相殺消去し、作成する。

第9章 連結財務書類


.連結財務書類の作成目的
 連結財務書類は、特別会計が経理している業務と関連性があり、政策的に一体性がある特殊法人等を連結することによって、特別会計の経理する事業及びこれに関連する特殊法人等の事業を合算したところの財務状況を開示することを目的として作成する。


.連結財務書類の位置付け
 特別会計の財務書類は、歳入歳出決算の内容を補足説明するためのものであることから、歳入歳出決算に基づく財務書類を基本とすべきと考えられること及び連結に際しては特別会計と特殊法人等との会計処理統一の困難性等の技術的問題が存在していること等から、連結財務書類は参考情報として作成する。


.連結財務書類の体系等
 連結財務書類の体系は、連結貸借対照表、連結業務費用・財源計算書及び連結区分別収支計算書とする。
 連結貸借対照表は、特別会計の経理する業務及びこれに関連する特殊法人等の業務を合算したところの資産及び負債の状況を明らかにするものである。
 連結業務費用・財源計算書は、特別会計の経理する業務及びこれに関連する特殊法人等の業務に関し、当該年度に発生した業務費用の総額とその財源を明らかにするものである。
 連結区分別収支計算書は、特別会計の財政資金の流れと特殊法人等のキャッシュ・フローを合算したところの区分別の収支の状況を明らかにするものである。


.連結の対象
 特別会計と業務関連性があり、かつ、政策的一体性があると認められる特殊法人等を連結対象とする。なお、連結を行った特殊法人等については、その法人名及び出資割合等の連結の根拠を注記する。
 
(1)

 業務関連性
 特別会計から特殊法人等に対して出資や補助金等(「補助金等に係る予算の適正化に関する法律」第2条第1項に規定する補助金等のほか、負担金、交付金、委託費等を含む。以下同じ。)の財政支出が相当程度ある場合には、業務関連性があるものとする。
 「出資や補助金等の財政支出が相当程度ある場合」とは次のとおりとする。
   ・ 特別会計から特殊法人等に対する出資が特殊法人等の出資全体の50%以上である場合
   ・ 特別会計から特殊法人等に対する出資が特殊法人等の出資全体の20%以上であり、かつ、特別会計からの補助金等の財政支出が、特殊法人等の当該年度の決算上の総収入の20%以上である場合
   ただし、上記の場合に該当しないが、特殊法人等において特別会計の業務の一部を実施している場合等においては、特別会計と業務関連性があるものとする。
 なお、「出資や補助金等の財政支出が相当程度ある場合」に該当するが、政策的な投資を業務としている特別会計から財政支出を受けている特殊法人等、特別会計からの出資金の額が僅少な特殊法人等及び特別会計が政策的に保有することとなった株式等を発行している特殊法人等については、特別会計と特殊法人等との業務関連性は弱いと考えられることから連結対象とはしない。このような特殊法人等について連結を行わなかった場合においては、その旨及び理由について注記する。
 
(2)

 政策的一体性
 特別会計の管理大臣と特殊法人等の主務大臣が異なる場合には、その特別会計と特殊法人等とは政策的に一体性があるとは言い難いことから、特別会計の管理大臣と特殊法人等の主務大臣が同一の場合に特別会計と特殊法人等との間に政策的一体性があるものとする。


.連結財務書類の作成方法等
 
(1)

 使用する財務諸類
 特別会計と特殊法人等にそれぞれ適用される会計処理等は、それぞれの会計主体としての特性に応じたものとなっており、その会計処理を特別会計と同一の会計処理へと完全に修正することは困難である。このため、出納整理期間の取引の修正及び特殊法人等に特有の会計処理の修正を行った上で連結財務書類を作成する。
 また、行政コスト計算書を作成している特殊法人及び認可法人においては、行政コスト計算書の添付資料として作成された財務書類に基づいて連結財務書類を作成する。
 なお、特殊法人及び認可法人が作成する行政コスト計算書の添付資料としての連結財務諸表では業務関連性ではなく支配従属関係によって特殊法人及び認可法人の子会社が連結されており、特殊法人及び認可法人の子会社を特別会計の子会社とみなすことは連結財務書類の作成目的とは合致しないことから、当該法人の個別財務書類を連結する。また、独立行政法人についても、同様に、当該法人の個別財務書類を連結する。
 
(2)

 連結の方法
 特殊法人等との連結を行う場合には、特別会計の個別財務書類及び特殊法人等の個別財務諸表の金額を基礎とした上で必要な相殺消去等の処理を行うなど、企業会計における連結財務諸表の作成の手法を準用して連結財務書類を作成する。
 特別会計に勘定区分が設けられている場合には、勘定単位の財務書類と特殊法人等とを連結する。
 また、特殊法人等が複数の勘定区分を有し、業務関連性を勘定単位で区分できる場合には、勘定単位で連結の判断を行い、特殊法人等の勘定と連結を行う。
 なお、特殊法人等(又は特殊法人等の勘定)が複数の特別会計の連結対象となった場合、特殊法人等(又は特殊法人等の勘定)の業務内容が財務会計省令又は内規等で区分されており、実質的に区分経理されている場合と同様の処理ができる場合には、特別会計の出資に係る業務に分割したところの業務と連結を行い、また、特殊法人等(又は特殊法人等の勘定)の業務内容が区分されていない場合には、業務の関連する割合で連結を行うべきと考えられることから、連結を行う特別会計(勘定)の出資の割合による比例連結を行うものとする。
 
(3)

 出納整理期間中の取引
 新たな特別会計財務書類においては、出納整理期間が設けられている特別会計では、当該期間における現金の受払も含めたところで財務書類を作成することとしている。これに対して、特殊法人等においては出納整理期間が設けられていない。
 出納整理期間中に特別会計と特殊法人等との間で、補助金等の精算が行われる場合等があることから、連結に際しては、当該期間中の現金の受払いについて修正を行うものとする。
 
(4)

 特殊法人等に特有の会計処理の取扱い
 特殊法人及び認可法人の行政コスト計算書の添付資料としての財務書類においては、資産見返補助金が負債に計上されている場合があるほか、独立行政法人においては、運営費交付金や一部の寄附金が負債計上されている場合や退職手当に係る引当金が計上されていない場合があるなど、特殊法人等においては、それぞれの特性を反映した財務諸表が作成されている。
 これらの特殊法人等に特有な会計処理については、資産及び負債の適正評価の観点から、負債計上されている資産見返補助金や運営費交付金等については負債から資産・負債差額へ移し換え、退職手当に係る引当金は所要額を計上する等、連結に際して必要な修正を行う。
 
(5)

 会計処理の修正に係る注記
 特別会計と特殊法人等との連結に際し、出納整理期間における現金の受払いの修正や、特殊法人等の特有の会計処理の修正を行った場合には、連結に際して行った主要な修正の内容について注記する。


.連結財務書類における表示科目等の取扱い
 
(1)

 資産・負債差額の部の表示
 特別会計の資産・負債差額の部と特殊法人等の資本の部では、その位置付け及び内容が大きく異なっている。このため、連結財務書類においては、資産と負債の差額は、一括して「資産・負債差額」として表示する。
 
(2)

 他会計等の出資の表示
 連結対象となる特殊法人等においては、当該特別会計以外からの出資を受け入れている場合もある。特殊法人等の解散については法律で規定され、その剰余金等については必ずしも持分割合に応じた分配がなされるわけではないこと等から、連結貸借対照表において、特殊法人等に対する他会計等の出資者からの出資を含んだ総額を資産・負債差額の部に表示し、他会計等からの出資金額を内書きで表示する。

第10章 経過措置等


.新たな特別会計財務書類の作成年度
 新たな特別会計財務書類は、本作成基準に準拠して作成した平成11年度から平成13年度までの財務書類を基礎として、平成14年度決算から作成する。


.公表時期
 新たな特別会計財務書類は、歳入歳出決算の国会提出後、速やかに公表するよう努めるものとする。


.財務書類作成に関する経過措置
 本作成基準に基づく新たな特別会計財務書類の作成にあたっては、各特別会計の資産の保有状況等により、一定の準備期間を要するものが一部あると認められることから、このような特別会計においては、早急に本作成基準に従った作成を行うとともに、本作成基準に従って作成されていない部分については、その旨を注記する。


.本作成基準で示していない会計処理の取扱い
 新たな特別会計財務書類の作成に際し、本作成基準で示していない会計処理が生じた場合には、特別会計における財務内容のディスクロージャーの充実及び説明責任の適切な履行を図るとの観点から企業会計の考え方及び手法を活用し、より分かりやすい財務書類を作成するとの趣旨を踏まえて処理するものとする。


.作成対象となる特別会計
 平成15年4月の造幣・印刷事業の独立行政法人化及び郵政事業庁の公社化に伴い、造幣、印刷、郵政事業、郵便貯金及び簡易生命保険の各特別会計が廃止されたこと、また、平成16年 4月の国立学校の法人化に伴い、国立学校特別会計は廃止されることから、これらの特別会計は、本作成基準に基づく財務書類の作成対象とはしないこととする。