「税」には、いくつかの分類の仕方があります。第一は、「何に税負担を求めるか」による分け方で、①所得に対する税、②消費に対する税、③資産等に対する税があります。
第二は、「課税主体」による分け方で、国が課税主体であるものを国税、都道府県や市町村といった自治体が課税主体であるものを地方税といいます。国税・地方税を合わせて40種類以上あります。


このほか、「誰が税を負担し(実質負担者)、誰が税を納めるか(納税義務者)」による分け方もあり、納税義務者と実質負担者が一致する直接税(所得税など)と、納税義務者と実質負担者が異なる間接税(消費税など)があります。
国の税収を見てみると、バブル景気のもとで平成2年度には60兆円台となりましたが、景気の低迷や、リーマンショックの影響等により、平成21年度には38.7兆円にまで落ち込みました。その後、景気回復や消費税率の引上げもあって税収は増加し、令和4年度には71.1兆円となっています。
平成を振り返ると、まず、税体系全体として税負担の公平につなげるため、個人所得課税等が軽減されるとともに、消費に広く公平に負担を求める消費税(3%)が平成元年(1989年)に創設されました。
その後、社会保障の財政需要の増大が避けられないこと等を踏まえ、個人所得課税の軽減と消費税(以下、地方消費税分含む)の充実(3%⇒5%・平成9年(1997年))を柱とする税制改革が行われました。
さらに、社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、消費税について、社会保障の財源と位置付け、平成26年(2014年)に税率が5%から8%に、また令和元年(2019年)10月に8%から10%に引き上げられました。この間、所得税については、所得再分配機能を回復する観点から、最高税率等の見直しが行われたほか、法人税については、国内企業の活力と国際競争力を維持する観点から、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」との方針で改革が進められました。
主要な税⽬の特徴は下表のとおりです。
国の一般会計歳出では、社会保障関係費や国債費(国債の元利払いに充てられる費用)が増加している一方、その他の政策的な経費の割合が縮小しています。近年の予算では、社会保障関係費と国債費と地方交付税交付金等で歳出全体の約4分の3を占めています。
令和6年度一般会計歳入のうち、税収は69.6兆円を見込んでいます。本来、その年の歳出はその年の税収やその他収入で賄うべきですが、令和6年度予算では歳出全体の約3分の2しか賄えておらず、残りは公債金すなわち借金に依存している状況です。
一般会計歳出と一般会計税収との差は大きく開き、その差の多くは借金である国債の発行によって賄われている状況にあり、子や孫の世代へ負担を先送りしています。また、近年、新型コロナや物価高騰等に対して、これまでにない規模の補正予算により対応してきたことから、歳出が拡大しました。現在の税制は高齢化等の影響により拡大する歳出を賄うことができておらず、財源調達機能を十分に果たせていません。
諸外国と比較すると、現在の日本の税収の規模は対GDP比で国際的に低い水準となっています。支出面については、社会保障以外の支出規模は国際的に低い水準ですが、社会保障支出の規模は中程度の水準となっています。
高齢化に伴う社会保障の給付の増加と国民の負担の関係について、引き続き、国民全体で議論していく必要があります。