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 私は2011年の9月より、International Professionals Programme: IPP を通じてEBRDに入行し、銀行部門にて民間部門を中心に投融資業務を行っています。IPPは2年間、開発銀行での専門知識に関するトレーニングを受けながら、6ヶ月毎に4つの部署(支援対象国の地域事務所を含む)をローテーションするプログラムです。

 私の場合は、ロンドン本部にてインフラストラクチャーグループの運輸部門に勤務した後、ウクライナ地域事務所にて農業ビジネス部門に配属になりました。毎日の仕事内容は、事業・産業・財務分析、財務モデリング、プロジェクト提案書の作成、プロジェクト後のモニタリング、顧客とのコミュニケーション、と多岐に亘ります。現在は、ロンドン本部に戻り、所属部門外(私の場合は銀行部門以外)でのローテーションとしてリスクマネジメント部門にて、新規プロジェクトのリスク査定業務を行っています。短期間で複数の産業部門や業務内容、様々な国のプロジェクトを経験し、大変な面もありますが、非常にやりがいのある面白い毎日を過ごしています。世界各国から集まった12人の同期と共に、励まし合いながら切磋琢磨できることも魅力です。

 私は、学部時代から途上国の開発支援に興味を持っていましたが、民間で経験を積み、専門性を培った後にそれを開発の仕事に活かせたらと思っておりました。そこで、ロンドンの運用会社で働き、ビジネススクールで金融修士号を取得した後にEBRDの門を叩きました。EBRDを志望した理由は、支援対象地域への興味に加え、その理念に共感したためです。EBRDは旧ソ連下の諸国等の市場経済への移行、民間企業の育成を主目的としています。私は、国の経済発展はその国の人たちが主役であると考えていて、民間企業のビジネス強化、産業投資をお手伝いできるEBRDの投融資業務に魅力を感じていました。実際に地域事務所に勤務し、厳しい政治・経済環境下でチャンスを掴もうとする逞しい企業家達と働き、彼らがビジネスプランを実現させ、地域経済に貢献する、そのお手伝いをするのは本当に楽しいものだと実感しました。

 ERBDはその設立理念に基づき、融資基準は民間金融機関に準じています。投資手法はプロジェクトファイナンスが主で、ローン、株式、メザニン投資、PE等、顧客ニーズに合わせた柔軟な商品提供力が強みです。リージョナルMDBならではの特徴としては、支援対象地域での経験の深さ、顧客との長期的な関係、地域を良く知る人材の豊富さが挙げられるでしょう。体制の移行や政治体制の大きな変化を実際に経験してきた職員も多く、現実を知る分、絶妙なバランス感覚に感心させられることも多くあります。多様なバックグラウンドを持つ同僚と、人種、国籍、文化を超えて、刺激し合いながら一つのプロジェクトを作り上げていく喜びはかけがえのないものです。ぜひ多くの日本人の方に興味を持って頂けたら幸いです。 

IPP(International Professionals Programme)アナリスト
北迫絵美